(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170302
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】エアロゾル吸引カートリッジ用のエアロゾル形成部材、エアロゾル冷却部材及び通気部
(51)【国際特許分類】
A24D 3/17 20200101AFI20241129BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20241129BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20241129BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/04
A24D1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082282
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2023087030
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB04
4B045AB07
4B045BA02
4B045BA03
4B045BA05
4B045BA08
4B045BB03
4B045BC16
4B045BC23
(57)【要約】
【課題】 エアロゾルの熱が有効に放熱し、エアロゾルを冷却させることが可能なエアロゾル吸引カートリッジとその構成を得ることを目的とする。
【解決手段】 エアロゾル吸引カートリッジ1に形成される通気部であって、通気部は、支持部材11a、11bの形態をなし、エアロゾル形成部材10に対してエアロゾルの上流側または下流側に配置され、その表面の、エアロゾルが流通する部分の一部または全部に、凹凸形状であるエアロゾル冷却構造が形成されている、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル吸引カートリッジに形成される通気部であって、
前記通気部は、エアロゾル形成部材に対して前記エアロゾルの上流側または下流側に配置され、その表面の、前記エアロゾルが流通する部分の一部または全部に、エアロゾル冷却構造が形成されている、
ことを特徴とする、通気部。
【請求項2】
前記通気部は、前記エアロゾル形成部材と、マウスピースの間に配設された部材である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の通気部。
【請求項3】
前記通気部は、前記エアロゾル吸引カートリッジにおいて、前記エアロゾル形成部材と、マウスピースの間に形成された空洞である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の通気部。
【請求項4】
前記エアロゾル冷却構造は、凹凸形状である、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の通気部。
【請求項5】
前記エアロゾル冷却構造は、前記エアロゾルの上流側から前記下流側に向かって形成された貫通孔において、連続的または非連続的に内径が大きくなる構造である、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の通気部。
【請求項6】
前記エアロゾル冷却構造は、前記エアロゾル吸引カートリッジの半径方向に延伸し、前記エアロゾル吸引カートリッジの長手方向に配列された、1または2以上のフィンであり、
前記フィンの先端は、前記エアロゾル吸引カートリッジの外装部材と接触しない、
ことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の通気部。
【請求項7】
エアロゾル吸引カートリッジに形成されるエアロゾル形成部材であって、
前記エアロゾル形成部材は、加熱することでエアロゾルを発生する充填物を包摂し、円柱形状を形成するシート状の内装部材を備え、
前記内装部材の前記充填物と対向する面には凹凸形状または前記円柱形状の高さ方向に畝形状が形成されている、
ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
【請求項8】
エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル形成部材であって、
前記エアロゾル形成部材は、誘導加熱部材と充填物をシート状の内装部材で包摂して形成された円柱部材を、前記エアロゾル吸引カートリッジの長手方向に2個以上配設したものである、
ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
【請求項9】
エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル冷却部材であって、
前記エアロゾル冷却部材は、その一部または全部が金属を素材とする板状またはシート状の形状をなし、前記エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル形成部材またはマウスピースの、前記エアロゾル吸引カートリッジの長手方向に垂直な面に対して面接触する、
ことを特徴とする、エアロゾル冷却部材。
【請求項10】
エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル冷却部材であって、
前記エアロゾル冷却部材は、その一部または全部が金属を素材とする線状の形状をなし、前記エアロゾル吸引カートリッジの側面から、その内部に刺入られる2本の吸熱部と、前記吸熱部を連結する放熱部と、
を備えることを特徴とする、エアロゾル冷却部材。
【請求項11】
前記エアロゾル冷却部材の2つの前記吸熱部は、エアロゾル形成部材、支持部材またはマウスピースのうち、それぞれ異なる要素に刺入される、
ことを特徴とする、請求項10に記載のエアロゾル冷却部材。
【請求項12】
エアロゾル吸引カートリッジに形成されるエアロゾル形成部材であって、
前記エアロゾル形成部材は、加熱することでエアロゾルを発生する充填物を包摂し、円柱形状を形成するシート状の内装部材を備え、
前記内装部材は、その側面に1または2以上の開口が形成され、前記開口の淵の周囲の一部または全部に、前記円柱形状の径方向の外側に向かって隆起している隆起部を備える、
ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
【請求項13】
エアロゾル吸引カートリッジに備えられるマウスピースであって、
前記マウスピースは、円柱状に形成されており、風味添加剤が封入されているカプセルが壁部に1個または2個以上埋設され、
前記マウスピースの高さ方向に渡って、その底面の直径の半分の領域を中心領域としたとき、
前記カプセルの体積の半分以上が前記中心領域の外側に存在する、
ことを特徴とする、マウスピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗加熱式または誘導加熱式向けのエアロゾル吸引カートリッジ用のエアロゾル形成部材、エアロゾル冷却部材及び通気部に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品を使用したエアロゾル吸引カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引カートリッジは、充填物が集積されたエアロゾル形成部材を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成部材の加熱方法として、(1)加熱装置内部に設置された加熱ブレードに、エアロゾル吸引カートリッジを挿入して、加熱ブレードを電気的に加熱することで充填物を加熱する方式(抵抗加熱式)と(例えば特許文献1参照)の他に、(2)エアロゾル形成部材の充填物の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を配設し、誘導加熱装置で発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ここで、エアロゾル吸引カートリッジにおいては、エアロゾルの通気性が使用者の使用感を大きく左右することが知られている。また、充填物を数100℃の高温に加熱することから、発生するエアロゾルも高温となり、これをそのまま使用することは、使用者の使用感の低下や安全性の面で問題となっていた。また、エアロゾルの通気性が悪く吸引抵抗が高いと、使用者の使用感を低下させるので問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-519915号公報
【特許文献2】特開2021-175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エアロゾルの通気性が良く、その熱が有効に放熱し、エアロゾルを冷却効果が高い、または通気性が良く吸引抵抗が低い、エアロゾル吸引カートリッジ用のエアロゾル形成部材、エアロゾル冷却部材及び通気部を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに形成される通気部であって、前記通気部は、エアロゾル形成部材に対して前記エアロゾルの上流側または下流側に配置され、その表面の、前記エアロゾルが流通する部分の一部または全部に、エアロゾル冷却構造が形成されている、ことを特徴とする、通気部。
請求項2に記載の発明は、前記通気部は、前記エアロゾル形成部材と、マウスピースの間に配設された部材である、ことを特徴とする、請求項1に記載の通気部。
請求項3に記載の発明は、前記通気部は、前記エアロゾル吸引カートリッジにおいて、前記エアロゾル形成部材と、マウスピースの間に形成された空洞である、ことを特徴とする、請求項1に記載の通気部。
請求項4に記載の発明は、前記エアロゾル冷却構造は、凹凸形状である、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の通気部。
請求項5に記載の発明は、前記エアロゾル冷却構造は、前記エアロゾルの上流側から前記下流側に向かって形成された貫通孔において、連続的または非連続的に内径が大きくなる構造である、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の通気部。
請求項6に記載の発明は、前記エアロゾル冷却構造は、前記エアロゾル吸引カートリッジの半径方向に延伸し、前記エアロゾル吸引カートリッジの長手方向に配列された、1または2以上のフィンであり、前記フィンの先端は、前記エアロゾル吸引カートリッジの外装部材と接触しない、ことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の通気部。
請求項7に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに形成されるエアロゾル形成部材であって、前記エアロゾル形成部材は、加熱することでエアロゾルを発生する充填物を包摂し、円柱形状を形成するシート状の内装部材を備え、前記内装部材の前記充填物と対向する面には凹凸形状または前記円柱形状の高さ方向に畝形状が形成されている、ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
請求項8に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル形成部材であって、前記エアロゾル形成部材は、誘導加熱部材と充填物をシート状の内装部材で包摂して形成された円柱部材を、前記エアロゾル吸引カートリッジの長手方向に2個以上配設したものである、ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
請求項9に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル冷却部材であって、前記エアロゾル冷却部材は、その一部または全部が金属を素材とする板状またはシート状の形状をなし、前記エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル形成部材またはマウスピースの、前記エアロゾル吸引カートリッジの長手方向に垂直な面に対して面接触する、ことを特徴とする、エアロゾル冷却部材。
請求項10に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに備えられるエアロゾル冷却部材であって、前記エアロゾル冷却部材は、その一部または全部が金属を素材とする線状の形状をなし、前記エアロゾル吸引カートリッジの側面から、その内部に刺入られる2本の吸熱部と、前記吸熱部を連結する放熱部と、を備えることを特徴とする、エアロゾル冷却部材。
請求項11に記載の発明は、前記エアロゾル冷却部材の2つの前記吸熱部は、エアロゾル形成部材、支持部材またはマウスピースのうち、それぞれ異なる要素に刺入される、ことを特徴とする、請求項10に記載のエアロゾル冷却部材。
請求項12に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに形成されるエアロゾル形成部材であって、前記エアロゾル形成部材は、加熱することでエアロゾルを発生する充填物を包摂し、円柱形状を形成するシート状の内装部材を備え、前記内装部材は、その側面に1または2以上の開口が形成され、前記開口の淵の周囲の一部または全部に、前記円柱形状の径方向の外側に向かって隆起している隆起部を備える、ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
請求項13に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに備えられるマウスピースであって、前記マウスピースは、円柱状に形成されており、風味添加剤が封入されているカプセルが壁部に1個または2個以上埋設され、前記マウスピースの高さ方向に渡って、その底面の直径の半分の領域を中心領域としたとき、前記カプセルの体積の半分以上が前記中心領域の外側に存在する、ことを特徴とする、マウスピース。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、エアロゾルの通気性が向上してエアロゾル発生量が増加するともに、エアロゾルの熱が有効に放熱されることで、効率的な冷却が可能となり、使用者の使用感や安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】発明の実施の形態1に係る通気部を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)、正面図(c)である。
【
図2】発明の実施の形態1に係る通気部の概略の正面図である。
【
図3】発明の実施の形態2に係る通気部を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)、正面図(c)である。
【
図4】発明の実施の形態3に係る通気部を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図5】発明の実施の形態3に係る通気部の概略の側面断面図である。
【
図6】発明の実施の形態4に係る通気部を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図7】発明の実施の形態4に係る通気部の概略の側面図(a)、正面図(b)、底面図(c)である。
【
図8】発明の実施の形態5に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。
【
図9】発明の実施の形態6に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図10】発明の実施の形態6に係るエアロゾル形成部材の概略の側面断面図である。
【
図11】発明の実施の形態6に係るエアロゾル形成部材の概略の側面断面図である。
【
図12】発明の実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。
【
図13】発明の実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。
【
図14】発明の実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。
【
図15】発明の実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材の概略の側面図である。
【
図16】発明の実施の形態8に係るエアロゾル形成部材を備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。
【
図17】発明の実施の形態8に係るエアロゾル形成部材に使用する内装部材を構成するシート状部材の一部の概略の正面図(a)、側面断面図(X-X)(b)である。
【
図18】発明の実施の形態9に係るマウスピースを備えたエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。
【
図19】発明の実施の形態1に係るエアロゾル吸引カートリッジの使用状態を示す概略の側面部分断面図である。
【
図20】他の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの使用状態を示す概略の側面部分断面図である。
【
図21】他の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジを示す概略の斜視図である。
【
図22】他の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの使用状態を示す概略の側面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に誇張や簡略化して表現している。
【0011】
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係る通気部を備えたエアロゾル吸引カートリッジ1の概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)と正面図(c)である。ここで、エアロゾル吸引カートリッジ1は、エアロゾル形成部材10と、支持部材11aと、マウスピース16と、マウスピース16の反対側の端に配置される支持部材11bとが直線的に配列され、円筒状の外装部材17に収納されて細長い円柱形状に形成されている。
【0012】
エアロゾル吸引カートリッジ1は、全体として細長い円柱形状をしており、加熱することでエアロゾルを発生する素材からなる充填物101を有するエアロゾル形成部材10と、エアロゾル形成部材10が外装部材17の内部で動くことを防止するための支持部材11aと、エアロゾル形成部材10からの気流を通すことのできるマウスピース16とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材17で円柱形状に巻かれることで一体的に形成されている。外装部材17は、紙等の柔軟な素材で形成されているが、円筒形状に形成した場合には、その形状を保持できる程度の硬さを有することが好ましい。ここで、「細長い」とは、立体形状において、一方向が他の方向より長いことを意味する。例えば本実施の形態において、「細長い円柱形状(円筒形状)」とは、円柱(円筒)の底面である円の直径より、円柱(円筒)の長手方向である高さ(すなわち底面に垂直な成分)の方が長いことを意味する。以降の実施の形態においても同様である。
【0013】
実施の形態1におけるエアロゾル吸引カートリッジ1は、直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、(円柱の長手方向の)長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引カートリッジ1の外径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ1を差し込む挿入部と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引カートリッジ1の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引カートリッジ1の長さを40mm以上に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ1を受け入れる挿入部の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に差し込んでも、吸口を誘導加熱装置から露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0014】
エアロゾル形成部材10は、
図1に示すように、シート状の素材を円筒形状に形成した内装部材103の内部に収納され、外部の交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材102と、エアロゾル発生源である素材からなる充填物101を備える。また、(円筒の高さ方向の)長さは概ね10~30mmに設定されているのが好ましい。内装部材103の素材は、外装部材17と同様に、紙等の薄くて柔軟な素材を使用することが好ましい。
【0015】
エアロゾル形成部材10の外径は、中心軸に沿って概ね一定の値となっている。この外径の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0016】
<充填物101について>
充填物101は、乾燥・粉砕されたタバコ植物または非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、例えばシート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成された素材よりなる。なお、充填物101は多様な形状を有してもよい。例えば、シート状、短冊状、ペースト状、粒状(顆粒状を含む)または粉状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、小片状、これらの混合体など、様々な形態から成り立っていてもよい。
【0017】
なお、充填物101を短冊状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物101の長さは、エアロゾル形成部材10の高さ方向の長さと略同一、例えば10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物101の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0018】
また、充填物101を粉末状または粒状にする場合には、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉末状または粒状の充填物101における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0019】
次に、充填物101として用いられる原料の具体例について説明する。充填物101は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0020】
充填物101は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0021】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0022】
充填物101は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する風味添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉末状または粒状にしたり、ペースト状に成形されても良い。また、充填物101は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされても良い。ここで、また、シートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物101は、シート状、短冊状、粒状、粉状、ペースト状、板状、繊維状のうちいずれか一種類でもよいし、これらのうち二種以上を混合したものであってもよい。
【0023】
充填物101がシート状の場合には、その形状は一辺の長さがエアロゾル形成部材10高さ方向の長さと略同じで、他方の辺がそれより長い、長尺の矩形状であることが好ましい。また、シートの厚さは、前述と同様に0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。この形態にすることで、後述する捲縮や変形がしやすくなる。ここで、充填物101の長手方向の辺の長さは、誘導加熱部材102とともに捲縮や変形をした状態で、内装部材103の円筒の内部の空間に収納可能な長さであることが好ましく、空間の容積と略同じになる長さであることがさらに好ましい。さらに、捲縮や旋回などの変形をしやすくするために、ある程度の深さを有する線を形成することが好ましい。ここで線の深さは、シートの厚さと同じにして(すなわちシートに貫通孔を形成する)、スリット形状の線を形成しても良いし、シートの厚さ未満として(すなわちシートに非貫通孔を形成する)トレンチ形状の線を形成してもよい。
【0024】
また、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0025】
エアロゾルフォーマは、例えばグリセリン、プロピレングリコール等が好ましく使用される。
【0026】
次に、微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0027】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0028】
さらに、必要に応じ充填物101として風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
結着剤または増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
ここで、ペースト状に形成する場合には、粉末状または粒状の組成物に増粘剤や水などを適量添加して混練することで流動性を付与することができる。
【0031】
また、充填物101の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状の充填物101と粉末状、粒状またはペースト状の充填物101と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物101の表面に粉末状、粒状またはペースト状の充填物101を安定して保持することができる。
【0032】
また、充填物101の内部または表面に、酸化防止剤を含侵または塗布することで、充填物101の成分(特に植物)の酸化による変質や、誘導加熱部材102の錆を防止又は抑制することができるので好ましい。酸化防止剤の種類としては、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、L-アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンEなどが好ましい。さらに、前述したカテキンも酸化防止効果を有するので好ましい。カテキンは緑茶の茶葉特有の成分であり、緑茶の茶葉にはエピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートが含まれる。すなわち、カテキンを含む茶葉(例えば緑茶)を充填物101の成分として使用する場合には、さらにカテキンを添加することで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能である。例えば、緑茶の場合、その成分の約80%がカテキン由来であると考えられるので、充填物101に含まれる緑茶の茶葉の重量の80%以上に相当する重量のカテキンを充填物101中に含有させることで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能となる。また、緑茶に含まれるカテキンのうち、エピガロカテキンガレートが約60%、エピガロカテキンが約20%、エピカテキンガレートが約13%、エピカテキンが約7%とされる。ここで特に酸化防止機能が高いエピガロカテキンガレートを増量させることが、酸化防止機能の向上にさらに効果的である。充填物101にカテキンを含まない植物を使用する場合には、充填物101中のカテキン特にエピガロカテキンガレートを添加することが効果的である。この場合、充填物101に含まれる植物原料の重量の80%以上の重量のカテキン(特にエピガロカテキンガレート)を添加することで、緑茶を使用した場合と同等以上の酸化防止機能を得ることが可能となる。
【0033】
<誘導加熱部材102について>
誘導加熱部材102は、本実施の形態では
図1のように平板状の素材を加工したものである。この平板は、厚さが0.05~0.5mmが好ましく、さらに好ましい厚さは0.1~0.3mmである。長さはエアロゾル形成部材10の高さ方向の長さに比べて略同じが好ましいが、エアロゾルの形成を阻害しない程度、例えばエアロゾル形成部材10の長さと異なっていても良い。具体的には±1~3mm程度が好ましい。なお、誘導加熱部材102は必ずしも平板状である必要はなく、多角形状、棒状、柱状、筒状、粒子状、球状、多孔質状、シート状、L字形状、V字形状その他多彩な形状とその組み合わせの形状とすることも可能である。
【0034】
誘導加熱部材102の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系やマルテンサイト系ステンレス(例えばSUS430、SUS410)の様な磁性を有するステンレス鋼、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0035】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0036】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0037】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル吸引カートリッジ1を十分に加熱できる。
【0038】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル吸引カートリッジを例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル吸引カートリッジ1を安定して加熱できる。
【0039】
誘導加熱部材102の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0040】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0041】
また、誘導加熱部材102は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル吸引カートリッジ1を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0042】
また、誘導加熱部材102は、その一部または全部がシート状の素材が捲縮する形態をとってもよい。例えば、エアロゾル形成部材の高さ方向視(すなわち円柱の正面視)したときに、旋回状すなわち渦巻形状に捲縮してもよい。また、交互に重なった折り畳み形状に捲縮してもよい。さらに、旋回状、折り畳み形状やその他の形状が組み合わされた、不規則形状であってもよい。
【0043】
また、充填物101も同様の視点で見たときに、その一部または全部が薄膜状(シート状)の素材が捲縮する形態をとり、誘導加熱部材102は、その一部または全部が充填物101に接触しながら追従して捲縮した形状を形成してもよい。従って、充填物101も、誘導加熱部材102と同様に、旋回状、折畳形状であったり、旋回状、折畳形状やその他の形状が組み合わされた、不規則形状であったりしてもよい。このような構成の場合、シート状の誘導加熱部材102が充填物101に接触しながら追従しているので、両者の接触面積が大きくなり、加熱効率を向上させてエアロゾル発生が増進される。
【0044】
ここで、誘導加熱部材102は、錆による発熱機能の低下を抑制するために、その表面の一部または全部に防錆層が形成されていることが好ましく、全部に形成されていることがさらに好ましい。
【0045】
ここで、防錆層の種類としては、例えば蝋材膜、リン酸塩皮膜、酸化鉄皮膜が考えられる。これらは誘導加熱部材102が高温状態になった場合でも、人体に有害な物質を発生させないので、防錆層の素材として好ましい。また、そのうちの1種類に限られず、2以上の種類を組み合わせとしても良い。
【0046】
蝋材膜の場合、その素材としては、蜜蝋、ハゼ蝋、サトウキビ蝋、鯨蝋、羊毛蝋のような蝋材料が考えられ、その膜を、誘導加熱部材102の表面に形成する。塗布の方法は、溶融した蝋材料を、例えば通常の刷毛塗したり(刷毛塗法)、誘導加熱部材102を浸漬したり(ディップコーティング法)、吹き付けたり(吹付法)することで塗布できる。膜厚は特に制限はないが、薄すぎると十分な防錆効果が得られなくなり、一方で厚すぎると、充填剤の加熱に影響があり、エアロゾルの発生を阻害する恐れがあるので、適正な厚さに設定することが好ましい。具体的には0.005mm~1mmが好ましく、0.01~0.5mmがさらに好ましい。
【0047】
リン酸塩皮膜は、リン酸鉄、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マンガンなどのリン酸塩の溶液を用いた化学処理(リン酸塩処理)により、金属の表面に化学的に生成した皮膜であり、金属の腐食を防止する機能を有する。ここで、リン酸塩処理の標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗、(3)リン酸塩による化成処理、(4)水洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。リン酸塩による化成処理は、一般に処理する金属をリン酸塩溶液に浸漬して行うが、その他例えばリン酸塩溶液を吹き付けてもよい。リン酸塩皮膜の厚さは、処理時間の長さに伴い変化するが、1μm~20μmが好ましい。
【0048】
リン酸塩処理により、誘導加熱部材102の表面の一部または全部にリン酸塩皮膜を形成することで、誘導加熱部材102の防錆能力の向上が可能となる。
【0049】
また、金属表面に人工的に酸化鉄皮膜を形成することで、錆の発生を防止または抑制することも可能である。ここで酸化鉄皮膜はいわゆる黒錆といわれる四酸化三鉄(Fe3O4)が、安定した不働態膜を形成するので好ましい。四酸化三鉄の膜を形成する標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗または湯洗、(3)140~150℃のアルカリ水溶液(苛性ソーダが好ましい)、(4)水洗または湯洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。また、酸化被膜の厚さは概ね1~2μm程度である。
【0050】
支持部材11aは、エアロゾル形成部材10と、マウスピース16の間に配設された部材であり、エアロゾル形成部材10の支持部材11a側への移動や外装部材17の折れ曲がりを抑制するとともに、エアロゾル形成部材10で発生したエアロゾルを含む気流をマウスピース16側に流通させる。支持部材11aは、例えば円柱状に形成され、その高さ方向の軸がエアロゾル吸引カートリッジ1の中心軸に沿うようにエアロゾル形成部材10とマウスピース16との間に配置される。支持部材11aは、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材11aは、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。本実施の形態では、樹脂材で形成された支持部材本体に、空気の流路となる挿通孔が形成された形態である。支持部材11aを形成する素材としては、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック類、ポリ乳酸、シリコーンのようなゴム類、金属のようなものが挙げられる。また、紙を使用してもよい。
【0051】
実施の形態1において、支持部材11aは円柱の長手方向(エアロゾルの上流側から下流側)に向かって貫通孔を有する、全体として中空管状の形状をしており、エアロゾル形成部材に対して前記エアロゾルの下流側に配置され、エアロゾルを流通させる通気部としての役割も有する(ここで、本明細書においてエアロゾルの上流側とはエアロゾル形成部材10側をいい、下流側とはマウスピース16側をいう。)。また、貫通孔の内壁の表面の、エアロゾルが流通する部分の一部または全部には凹形状が形成されている。ここで、流体が非平滑面の上を流れる場合、乱流に変化し、それによりエネルギー損失を生じる。実施の形態1の場合には、凹形状は、エアロゾルに乱流を発生させてエネルギー損失によりその温度を低下させる、エアロゾル冷却構造としての機能を有する。なお、実施の形態1において、凹形状とはエアロゾル吸引カートリッジ1の半径方向の外側に向かって窪み状の谷形状が形成されていることをいい、凸形状とは内側に向かって突起状の山形状が形成されていることをいう。以降の実施の形態においても同様である。
【0052】
マウスピース16は、円柱状に形成されており、高さ方向の長さは、10~50mmに設定されている。マウスピース16の素材は、例えば紙等を用いて形成される。また、紙からなるシート状の部材を巻いて円柱状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。また、シリコーンを含む多孔質材料で形成されてもよい。マウスピース16は、エアロゾル形成部材10で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する白色のマウスピースである。なお、充填物101が非タバコ植物を原料としている場合、マウスピース16は必ずしも必要ではない。
【0053】
次に、支持部材11bは、円柱状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、高さ方向の長さが3.0~7.0mmに設定されることが好ましい。支持部材11bは、マウスピース16と同様に、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円管状に設けられてもよいし、通気性を有する紙を内装部材103の端に貼り付けてもよい。支持部材11bは、カートリッジの外部からエアロゾル形成部材10に向かって空気を通過させる機能を有する。また、支持部材11bは、エアロゾル形成部材10で生成された水蒸気やエアロゾルのうち、エアロゾル形成部材10に留まって液化した残留液を吸収することができる。また、エアロゾル形成部材10が、支持部材11b側へ移動することを抑制する機能も有する。この支持部材11bは、マウスピース16とは異なる色(例えば黒)にすることで、エアロゾル吸引用カートリッジ10の上流側と下流側を簡単に判断可能にすることができる。また、素材は、ポリプロピレンなどのプラスチック類、ポリ乳酸、金属、ゴム、シリコーン等のゴム類を素材としてもよく、通気性を向上させるためにエアロゾルの通路となる貫通孔を設けても良い。
【0054】
実施の形態1において、支持部材11bは円柱の長手方向(エアロゾルの上流側から下流側)に向かって貫通孔を有する、全体として中空管状の形状をしており、エアロゾル形成部材に対して前記エアロゾルの上流側に配置され、エアロゾルを流通させる通気部としての役割も有する。また、貫通孔の内壁の表面の、エアロゾルが流通する部分の一部または全部には凸形状が形成されている。従って、支持部材11aと同様に、凸形状は、エアロゾルに乱流を発生させてエネルギー損失によりその温度を低下させる、エアロゾル冷却構造としての機能を有する。
【0055】
なお、エアロゾル冷却構造は、凹形状と凸形状が混在した凹凸形状であっても良い。これにより更なるエアロゾル冷却効果を得ることができる。また、凹凸形状は、畝形状や溝形状のように、一連につながった形状であっても良い。ここで畝形状、溝形状は、エアロゾル吸引カートリッジ1の長手方向と垂直方向(すなわち、円柱の径方向に隆起または陥没する)に形成することにより、エアロゾル冷却効果を向上させることが可能である。
【0056】
また、支持部材11aは、
図2の様に貫通孔を2個以上有しても良い。この場合、貫通孔間の隔壁部分にも凹凸形状を設けることで、よりエアロゾル冷却効果を増すことができる。
【0057】
また、支持部材11a、11bのいずれか一方にだけに、エアロゾル冷却構造が形成されていてもよい。
【0058】
なお、内装部材103を使わずに、外装部材17の内壁に直接充填物101を収納してもよい。これにより、製造工程と構造の簡略化が可能になり、製造コストのさらなる削減が可能となる。この場合、支持部材11aとマウスピース16は、充填物101を収納する前に予め外装部材に入れても良いし、収納した後に入れても良い。
【0059】
実施の形態2
図3は、実施の形態2に係るエアロゾル吸引カートリッジ2の概略の側面断面図(a)と正面断面図(X-X)(b)と正面図(c)である。ここで、実施の形態1と共通の構成については、説明を省略する。
【0060】
実施の形態2において、エアロゾル吸引カートリッジ2は支持部材11a、11bを備えず、エアロゾル形成部材10のエアロゾルの上流側と下流側は、外装部材17で形成された空洞に隣接している。本実施の形態では、この空洞がエアロゾルを流通させる通気部としての役割も有する。この場合、外装部材17の内部でエアロゾル形成部材10が移動しないように、内装部材103を外装部材17に接着するなどして、エアロゾル形成部材10を固定することが好ましい。
【0061】
また、実施の形態2において、エアロゾル形成部材10とマウスピース16の間の空洞に露出した、外装部材17の表面の一部または全部には、凹形状が、その反対側には凸形状が形成されており。これらがそれぞれエアロゾル冷却構造21a、21bとなる。
【0062】
ここで、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、なお、エアロゾル冷却構造は、凹形状と凸形状が混在した凹凸形状であっても良いし、畝形状や溝形状であっても良い。また、エアロゾル形成部材10の上流側、下流側のいずれか一方だけに、エアロゾル冷却構造が形成されていてもよい。
【0063】
実施の形態3
図4は、実施の形態3に係るエアロゾル吸引カートリッジ3の概略の側面断面図である。ここで、実施の形態1、2と共通の構成については、説明を省略する。
【0064】
実施の形態3のエアロゾル吸引カートリッジ3は、実施の形態1と同様に、エアロゾル形成部材10のエアロゾルの上流側に支持部材31bを、下流側に支持部材31aを備えている。
【0065】
支持部材31a、31bとも、エアロゾルの上流側から下流側に向かって形成された貫通孔を有し、通気部としての役割も有する。また、この貫通孔は、上流側から下流側に向かって連続的または非連続的に内径が大きくなる。このような、通気部の内径がエアロゾルの流れる方向に向かって大きくなる形状は、貫通孔を通過するエアロゾルの気圧を低下させ、これにより温度を低下させる、エアロゾル冷却構造としての機能を有する。なお、支持部材31a、31bの素材は支持部材11a、11bと同様であってよい。
【0066】
また、エアロゾル冷却構造は、支持部材31aの様に、エアロゾルの上流側から途中までは一定の内径の孔で、その後下流側に向かうにつれて大きくなるような構造でも良いし、支持部材31b様に、上流側から下流側に一様に大きくなるような構造でも良い。さらに、
図5の支持部材31cのように、上流側(図の下側)から下流側(図の上側)に向かって、段階的に内径が大きくなるような構造でもよい。
【0067】
実施の形態4
図6は、実施の形態4に係るエアロゾル吸引カートリッジ4の概略の側面断面図であり、
図7は、通気部の概略の側面図(a)、正面図(b)、底面図(c)である。ここで、実施の形態1から3と共通の構成については、説明を省略する。
【0068】
実施の形態4では、実施の形態1と同様に、支持部材41が通気部としての役割も有する。支持部材41は、
図7に示すように、一端が閉塞された細長い中空管411と、中空管411の外周にその長手方向に配列された1または2以上のフィン412と、中空管411の外周上の、フィン412の隙間に1または2以上形成された開口413と、エアロゾル形成部材10に接触する設置部414と、後述するマウスピース46に接続する接続部415を含む構成を備えている。ここで、
図6に示すように、中空管411の長手方向は、エアロゾル吸引カートリッジ4の長手方向に沿うように配設されることが好ましい。なお、支持部材41の素材は支持部材11a、11bと同様であってよい。
【0069】
中空管411は、エアロゾルの上流側の一端側が閉塞され、下流側の一端が解放されている。形状は円管状が好ましく、長さは支持部材11aと同様であるが、外径が1~4mm、内径が0.5~3mm(但し、外径より小さい)が好ましい。フィン412は板状の部材であり、その形状は円板状、矩形状その他多角形状を採りうるが、後述する冷却機能の観点からは、外装部材17の内側に対応した形状であることから、円板状が好ましい。また、フィン412を中空管411の外周上に配設する場合において、その向きはエアロゾル吸引カートリッジ4の半径方向(すなわち、エアロゾル吸引カートリッジ4の半径方向)に、フィン412を構成する板の面が広がるように配設されることが好ましい。さらに、フィン412の先端は、外装部材17と接触せず、エアロゾルがスムーズに流通できるように隙間が存在することが好ましい。
【0070】
接続部415は、中心に開口が形成された円板形状をしている。ここで、接続部415に形成された開口は、中空管412の貫通孔の内径と同じ、または中空管412を嵌合可能な大きさであることが好ましく、中心管412は、その半径方向の中心が、接続部415の半径方向の中心と一致する位置に接続されていることが好ましい。また、外径の異なる2つの円板を同軸に重ねて一体化した形状を有しており、外径の大きい円板がエアロゾルの上流側、小さい円板が下流側に配置されていることが好ましい。これによりマウスピース46に接続する段差部が形成されている。
【0071】
また、マウスピース46は、円柱形状をしており、高さ方向の長さや外径は、前述のマウスピース16と同様であってよい。また、エアロゾルの円柱の底面の上流側には、支持部材41と接続するための開口461、下流側には通気用の開口462が形成されている。開口461の大きさは、支持部材41の接続部415の段差部を嵌合できる程度の大きさ(すなわち、接続部415の小さい円板の外径と、開口461の内径が略同じ)であることが好ましい。なお、マウスピース46は、その形状からプラスチック等の樹脂類、金属、またはシリコーン等のゴム類で形成されていることが好ましい。一方、開口462は、通気性を確保できる程度の大きさで任意の大きさ、形状、数を採りうる。具体的には、半径0.5~1.5mmの円形の開口が1または2以上形成されることが好ましい。
【0072】
また、エアロゾル形成部材10の上流側の支持部材42は、空気をエアロゾル吸引カートリッジ4内に取り込むための貫通孔が1または2以上形成された円柱形の部材であり、素材は支持部材11b等と、同様のものを使用できる。
【0073】
エアロゾル吸引カートリッジ4において、支持部材41とマウスピース46は、接続部415と開口461で通気可能に接続している。使用時には、エアロゾル形成部材10で発生したエアロゾルは、先ず、外装部材17の内部の空洞と、支持部材41の中空管412の外側の空間に流通する。ここで、エアロゾルは、フィン412による吸熱や、フィン412が障壁となり乱流になることでエネルギー損失をすることにより、冷却される。すなわち、実施の形態4では、フィン412がエアロゾル冷却構造としての機能を有する。
【0074】
冷却されたエアロゾルは、開口413から、中空管412の内部に入り、接続部415の開口を通じてマウスピース46の内部空間に流入し、開口462から使用者に吸引される。
【0075】
実施の形態5
図8は、実施の形態5に係るエアロゾル吸引カートリッジ5の概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。ここで、実施の形態1から4と共通の構成については、説明を省略する。
【0076】
実施の形態5において、エアロゾル形成部材50を構成するシート状の素材を円筒形状に形成した内装部材503は、充填物101と対向する面(すなわち、円筒の内側)に凹凸形状またはエアロゾル形成部材50の円柱形状の高さ方向に沿って、円柱の内向きに隆起する畝形状や溝形状のような非平滑形状が形成されている。なお、エアロゾル形成部材50において、内装部材503以外の充填物101と誘導加熱部材102は実施の形態1と同様である。
【0077】
ここで、内装部材503は、初めから非平滑形状が表面に形成された素材を使用しても良いし、平滑な素材の表面に加工しても良い。形状加工は、研磨、サンドブラストといった物理的な接触を素材表面に与える方法や、レーザを照射して部分的に焼くことで形成する方法、硫酸(希硫酸を含む)、塩酸のような酸や、苛性ソーダのようなアルカリ水溶液を塗布することで部分的に溶解させる方法などが考えられる。また、円筒の内側だけでなく外側にも非平滑形状が形成されていても良い。また、素材は紙の他にプラスチックやプラスチックと紙の複合材料である合成紙が好ましく用いられる。
【0078】
このような素材を円筒形状に形成し、内装部材503として内部に充填物101を充填したとき、凹凸形状の低い部分、畝形状の谷部分や溝形状の底部分には充填物101が入り込みにくくなり空間が生じる。このような空間を形成するためには、充填物101が不定形状、すなわちペースト状、粒状(顆粒状を含む)、粉状といった場合よりも、シート状、短冊状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、小片状といった定型的な形状を有する場合の方が好ましい。
【0079】
ここで、実施の形態5において、エアロゾル形成部材10の上流側の支持部材51bと下流側の支持部材51aは、空気とエアロゾルを流通させるための貫通孔が1または2以上形成された円柱形の部材であり、素材は支持部材11bと。同様のものを使用できる。
【0080】
内装部材503の表面に非平滑形状が形成されていることで、使用時に発生したエアロゾルの一部は、充填物101と内装部材503の間に形成される空間を通じて支持部材51a側へ流通する。これにより通気性の向上と、効率的な熱の拡散が可能となる。なお、畝形状は、エアロゾルが上流側から下流側にスムーズに流通する為に、円柱形状の高さ方向に沿って形成されることが好ましいが、内装部材503の内側に螺旋状に形成されてもよい。
【0081】
実施の形態6
図9は、実施の形態6に係るエアロゾル吸引カートリッジ6の概略の側面断面図である。ここで、実施の形態1から5と共通の構成については、説明を省略する。
【0082】
実施の形態6のエアロゾル吸引カートリッジ6に備えられるエアロゾル形成部材60は、誘導加熱部材102と充填物101をシート状の内装部材103で円柱状に包摂して形成された円柱部材60-1、60-2を、エアロゾル吸引カートリッジ6の長手方向に2個連続して配設したものである。円柱部材60-1、60-2における誘導加熱部材102と充填物101と内装部材103は、実施の形態1のエアロゾル形成部材10のものと同様であってよいので説明を省略する。
【0083】
実施の形態6では、円柱部材60-1、60-2は、円柱部材60-1、60-2の外径は、外装部材17の円筒の貫通孔の内径以下であることが好ましい。このようにすることで、エアロゾルの下流側に配設された円柱部材60-2と、外装部材17の円筒の内壁に形成される隙間を、上流側に配設された円柱部材60-1で発生したエアロゾルが流通できるので、通気性とエアロゾルの冷却性を向上させることが可能である。
【0084】
ここで、円柱部材60-1、60-2の外径は、外装部材17の円筒の貫径より0.1~0.5mm程度小さいことが好ましい。差が0.1mmより小さいと、隙間が小さすぎるので、円柱部材60-1、60-2が外装部材17の円筒の内壁に密着しやすいので、隙間にエアロゾルが流通しにくくなるし、0.5mmより大きい場合には、隙間が大きすぎるので、エアロゾルが希釈され過ぎてしまう恐れがある。
【0085】
また、
図10(a)のエアロゾル形成部材60aのように、側面断面視において円柱部材60a1、60a2の接触面が、エアロゾル吸引カートリッジ6の長手方向に対して斜めに形成されていても良い。このような場合、使用時にエアロゾルの上流側を下にすることで、円柱部材60a1、60a2に位置ずれが発生しやすくなり、これにより上流側で発生したエアロゾルが、エアロゾルの下流側に配設された円柱部材60a2と、外装部材17の円筒の内壁に形成される隙間に流通しやすくなるので好ましい。
【0086】
また、
図10(b)のエアロゾル形成部材60bのように、円柱部材60b1と60b2の間に、通気部材60b3を配設してもよい。このようにすることで、エアロゾルの上流側に配設された円柱部材60b1で発生したエアロゾルは、通気部材60b3を介して、円柱部材60b2と外装部材17の円筒の内壁に形成される隙間に流通しやすくなるので通気性と冷却性の観点から好ましい。通気部材60b3は、通気性が良い部材、例えば不織布やスポンジ、メッシュといった多孔質材を使用することが好ましい。また、素材としては、金属や樹脂類、紙、木材などを使用することが可能である。
【0087】
また、
図10(c)のエアロゾル形成部材60cのように、円柱部材60c1と60c2で、キュリー温度や透磁率が異なる誘導加熱部材602を使用してもよい。例えば、エアロゾルの上流側に配設される円柱部材60c1の誘導加熱部材602aが、エアロゾルの下流側に配設する円柱部材60c2の誘導加熱部材602bよりキュリー温度が高い場合、円柱部材60c1で発生したエアロゾルは、円柱部材60c2の内部または円柱部材60c2と外装部材17の円筒の内壁に形成される隙間を流通する過程で冷却されやすくなる。一方で、円柱部材60c2で発生したエアロゾルは、比較的低温であるので、短い流通過程でも使用できる程度に冷却されやすい。
【0088】
また、
図11(d)は、エアロゾルの上流側に配設された円柱部材60d1より、下流側に配設された円柱部材60d2の方の外径が小さい場合である。このとき、円柱部材60d1で達成したエアロゾルは、円柱部材60d2と外装部材17の円筒の内壁の隙間が大きくなるので、よりエアロゾルの通気性と冷却性が向上する。
【0089】
また、
図11(e)は、配設する円柱部材60e1と60e2が板状の誘導加熱部材102を備える場合に、面の向きが異なる場合である。このとき、円柱部材60e1と円柱部材60e2の接触面付近において、円柱部材60e1の誘導加熱部材102の端部で発生した熱が、円柱部材60e2の内部で、誘導加熱部材102の表面から離れた場所を加熱するし、逆に円柱部材60e2の誘導加熱部材102の端部で発生した熱が、円柱部材60e1の内部で、誘導加熱部材102の表面から離れた場所を加熱することで、加熱範囲を広げることが可能で、エアロゾルの発生効率を向上させることが可能である。ここで、隣接する円柱部材60e1と60e2の面の向きは、45°以上異なることが好ましく、90°異なることがより好ましい。
【0090】
実施の形態7
図12は、実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材78を備えたエアロゾル吸引カートリッジ7の概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。また、
図13は、実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材88を備えたエアロゾル吸引カートリッジ8の概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。また、
図14は、実施の形態7に係るエアロゾル冷却部材98を備えたエアロゾル吸引カートリッジ9の概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。ここで、実施の形態1から6と共通の構成については、説明を省略する。
【0091】
先ず、エアロゾル冷却部材78、88、98は、金属のように熱伝導率が高く、熱の吸収と放出がスムーズに行われる素材で形成されるのが好ましい。具体的には、アルミ、鉄、銅、ステンレスなどが使用できるが、エアロゾル冷却部材78等自体が誘導加熱により発熱するのを避けるために、強磁性体以外の金属や合金、例えばアルミニウム、SUS304等のオーステナイト系ステンレス、銅がより好ましい。
【0092】
エアロゾル冷却部材78は、面内に1または2以上の通気用の開口781が形成された平板形状をしており、その一部または全部がエアロゾル吸引カートリッジ7に備えられるエアロゾル形成部材10またはマウスピース16の、エアロゾル吸引カートリッジ7の長手方向に垂直な面に対して面接触するように配設されている。具体的には、マウスピース16と支持部材51aの間に、エアロゾル吸引カートリッジ7の長手方向の軸がその面と略垂直に交わる向きに配設されていることが好ましい。また、エアロゾル冷却部材78が配設される位置の外装部材17には、熱を外部に効率的に放出するための開口171が1また2以上形成されていることが好ましい。開口781の大きさは、小さすぎると通気性を損ない、大きすぎると冷却性が低下するので、通気性と冷却性を確保できる程度、例えば円形状の場合は直径1~4mmが好ましい。また、開口171は、円形状の場合は直径0.5~1mm程度が好ましい。
【0093】
エアロゾル冷却部材78の形状は、実施の形態7では、効率的に吸熱・放熱ができるように、外装部材17の円筒の内径より小さい外径の円板形状をなしている。また、厚さは薄すぎると吸熱・放熱性が損なわれる一方、厚すぎると加工性を低下させたり、重量増により携帯性を低下させたりするので、0.1~1mmが好ましい。
【0094】
また、エアロゾル冷却部材88も、その一部または全部がエアロゾル吸引カートリッジ8に備えられるエアロゾル形成部材10またはマウスピース16の、エアロゾル吸引カートリッジ8の長手方向に垂直な面に対して面接触するように配設されている。ここでは、マウスピース16の支持部材51aと対向する方の底面と、側面の一部または全体を覆う形態で配設されており、底面に接する部分には、面内に1または2以上の通気用の開口881が形成されている。また、エアロゾル冷却部材88が配設される位置の外装部材17には、放熱用の開口171が1また2以上形成されていることが好ましい。開口881の好ましい大きさは、開口781と同様である。
【0095】
エアロゾル冷却部材88の形状は、効率的に吸熱・放熱ができるように、マウスピース16の支持部材51aと対向する方の底面と、側面の一部または全体を覆う形状、具体的には一方の底面が開放された中空の円筒形状をしていることが好ましい。また、素材はアルミ箔のようなシート状の金属を加工することが好ましい。また、厚さは薄すぎると吸熱・放熱性が損なわれる一方、厚すぎると加工性や携帯性を低下させるので、0.005~0.05mmが好ましい。
【0096】
図14、
図15に示すように、エアロゾル冷却部材98は、その一部または全部が金属を素材とする線状の形状をなし、エアロゾル吸引カートリッジ9の側面から、その内部に刺入られる2本の吸熱部981と、吸熱部981を連結する放熱部982を備える。また、エアロゾル冷却部材98の2つの吸熱部981は、エアロゾル形成部材10、支持部材51a、51bまたはマウスピース16のうち、それぞれ異なる要素に刺入される。
【0097】
実施の形態7では、エアロゾル冷却部材98は、
図15のようにかすがい状の形状をなし、一方の吸熱部981は支持部材51aに、もう一方はマウスピース16に刺入されおり、放熱部982は、その両者を接続する形態で支持部材51aとマウスピース16に渡り配置している。また、エアロゾル冷却部材98は等間隔に複数個備えられるのが好ましく、ここでは4個備えられている。
【0098】
また、マウスピース16の中に、後述するカプセル99を壁部に埋設して、吸熱部981で挟み込むように配置することで、吸熱部981の先端でカプセル99を容易に破壊できるので、好ましい。
【0099】
また、外装部材17には、放熱部982から熱を効率的に放出できるように、放熱部982の一部または全部が外部に露出するような形状と大きさの放熱用の開口171が1また2以上形成されていることが好ましい。具体的には、放熱部982が全部露出することが好ましい。また、エアロゾル冷却部材98は、かすがい形状だけでなく、U字状、V字状など、異なる二つの構成部材に刺入されることができれば、他の形状をとることも可能である。
【0100】
実施の形態8
図16は、発明の実施の形態8に係るエアロゾル形成部材80を備えたエアロゾル吸引カートリッジ12の概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。また、
図17は、発明の実施の形態8に係るエアロゾル形成部材80に使用する内装部材803を構成するシート状部材の概略の正面図(a)、側面断面図(X-X)(b)である。ここで、実施の形態1から7と共通の構成については、説明を省略する。
【0101】
実施の形態8のエアロゾル形成部材80は、充填物801と誘導加熱部材802を包摂する円柱形状を形成するシート状の内装部材803が、その側面に1または2以上の開口8031が形成され、開口8031の淵の周囲の一部または全部に、円柱形状の径方向の外側に向かって隆起している隆起部8032を備える。ここで、充填物101と誘導加熱部材102は、実施の形態1のエアロゾル形成部材10のものと同様であってよいので説明を省略する。
【0102】
隆起部8032は、エアロゾル形成部材80の円柱形状の径方向の外側に向かって隆起し、外装部材17の円筒の内壁にその一部または全体が接触することで、外装部材17の円筒の内側の空間でエアロゾル形成部材80の位置を安定させ、ガタついたり移動したりすることを防いでいる。
【0103】
また、開口8031は、使用時にエアロゾル形成部材80と、外装部材17の円筒の内壁に形成される隙間から、エアロゾル形成部材80の内部に空気を取り入れる。
【0104】
開口8031と隆起部8032は、多様な形状を採りうる。
図17は、エアロゾル形成部材80に使用する内装部材803を構成するシート状部材803a、803b、803cである。例えばシート状部材803aは、略円形状の開口8031aと、その周囲に隆起部8032aを有する。これは、
図16の開口8031と隆起部8032に対応するが、開口8031aと隆起部8032aは、例えば一方向からシート状部材803aを鋭利な道具で穿孔したときに形成される形状を使用してもよい。また、開口8031aと隆起部8032aはシート状部材803aの面内に複数配置されることが好ましい。
【0105】
また、開口8031bと隆起部8032bは、シート状部材803bに略L字型の貫通する切れ込みを形成し、点線Fの部分を支点としてL字形状の内側(隆起部8032bに相当)を持ち上げた場合に形成される。実施の形態8において、開口8031bと隆起部8032bはシート状部材803bの面内に、同じ向きで複数配置されることが好ましい。
【0106】
また、開口8031cと隆起部8032cは、シート状部材803cに略U字型の貫通する切れ込みを形成し、点線Fの部分を支点としてU字形状の内側(隆起部8032cに相当)を持ち上げた場合に形成される。実施の形態8において、開口8031bと隆起部8032bはシート状部材803cの面内に、同じ向きで複数配置されることが好ましい。
【0107】
ここで、開口8031b、8031cの様に、シート状部材803b等に部分的に非閉鎖的な形状の連続した一本の線からなる切れ込み(すなわち、切れ込みが連続した一本の線であり、なおかつ交差する部分を持たない形状)により形成する場合、その辺の一部を内装部材803の円柱の長手方向と一致させ(例えば図におけるX-X)、その他の辺の一部が円柱の周方向(すなわち長手方向と垂直方向)に向くような形状に形成することで、シート状部材803b、803cを円柱形状して、充填物801を包摂したときに、隆起部8032b、部8032cが円柱形状の径方向の外側に向かって隆起しやすくなるので好ましい。
【0108】
これによれば、隆起部8032は、エアロゾル形成部材80の円柱形状の径方向の外側に向かって隆起し、外装部材17の円筒の内壁にその一部または全体が接触することで、外装部材17の円筒の内側の空間でエアロゾル形成部材80がガタついたり移動したりすることを防ぐことできる、エアロゾル吸引カートリッジ12の品質の安定化が可能となる。また、開口8031は、使用時にエアロゾル形成部材80と、外装部材17の円筒の内壁に形成される隙間から、エアロゾル形成部材80の内部に空気を取り入れるので、エアロゾルの通気性と冷却性の向上に効果がある。
【0109】
実施の形態9
図18は、発明の実施の形態9に係るマウスピース96を備えたエアロゾル吸引カートリッジ13の概略の側面断面図(a)、正面断面図(X-X)(b)である。ここで、実施の形態1から8と共通の構成については、説明を省略する。
【0110】
マウスピース96は、マウスピース16と同様に、円柱状に形成されている。また、後述する風味添加剤が封入されているカプセル99が壁部に1個または2個以上埋設されている。
【0111】
実施の形態9では、カプセル99は、マウスピース96の高さ方向に渡って、その底面の直径の半分の領域を中心領域Dとしたとき、カプセル99の体積の半分以上が中心領域Dの外側に存在することが好ましい。ここで、使用時において、エアロゾル形成部材10で形成されたエアロゾルは、マウスピース96の中心近くを通り吸引されるところ、実施の形態9のようにカプセル99を埋設することで、中心領域Dにおけるカプセルの占有率が低くなるので、エアロゾルの通気性の向上に効果がある。
【0112】
ここで、カプセル99の直径は、例えば4mm以下であることが好ましい。また、マウスピース96の直径の半分以下であることさらに好ましい。さらに、カプセル99は複数個埋設してもよいし、風味の異なるカプセルを使用しても良い。
【0113】
なお、このようにカプセル99を埋設する方法としては、マウスピース96製造時に、カプセル99の埋設位置を調整してもよいし、マウスピース96を製造後にカプセル99を埋設してもよい、
【0114】
以上、本発明の実施の形態1から9について説明したが、これによると、エアロゾルの通気性が向上することでエアロゾル発生量が増加するとともに、エアロゾルの熱が有効に放熱されることで、効率的な冷却が可能となり、使用者の使用感や安全性を向上させることが可能となる。また、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶし、異なる実施の形態を組み合わせて使用しても良い。なお、エアロゾル吸引カートリッジ1等というときはエアロゾル吸引カートリッジ1から13を総称する意味で用いる。その他の構成についても同様である。
【0115】
本発明の充填物101は、誘導加熱部材102を収納せずに、抵抗加熱式用のエアロゾル吸引カートリッジとして使用してもよい。
【0116】
また、エアロゾル形成部材10等に含まれる誘導加熱部材102等は一個に限られず、複数個含まれていてもよい。これにより、エアロゾル発生効率の向上が可能となる。
【0117】
また、充填物101は、シート状、短冊状、ペースト状、粒状または粉状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、小片状、これらの混合体など、様々な形態から成り立っていてもよい。
【0118】
これ以外にも、支持部材11a等や支持部材11b等は、エアロゾル形成部材10等が移動することが無い場合には、必ずしも設置する必要はない。例えば、マウスピース16等をエアロゾル形成部材10等と隣接させたり、支持部材11a等のあった場所を空間とし(すなわち、エアロゾル形成部材10等とマウスピース16等の間が全て空洞となっている)たりしてもよい。これにより、部品点数の削減ができるので、コスト削減に有効である。特に空間を設ける場合は、通気性の向上に有効である。また、支持部材11b等や支持部材11a等がなくなることで、エアロゾル形成部材10等を長くすることもできるので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0119】
さらに、外装部材17は、必ずしも一体的ではなく、2つ以上の外装要素を接合して用いても良い。例えば、支持部材11b等と、エアロゾル形成部材10等と支持部材11a等を筒状の外装要素に収納し、ここにマウスピース16等をシート状の外装要素で巻いて円柱状に形成する形態でもよい。なお、この場合、筒状の外装要素とシート状の外装要素をもって、外装部材17等となる。一方で、別に外装部材17等を使う必要は必ずしもなく、内装部材103等を、エアロゾル吸引カートリッジ1と同程度に長く形成して、内装部材103等の円筒の内部に支持部材11b等、支持部材11a等及びマウスピース16等をエアロゾル形成部材10等と一緒に収納することで、エアロゾル吸引カートリッジ1等を形成することが可能であり、これによりさらなる製造工程の簡略化と製造コストの低減を図ることが可能である。
【0120】
なお、充填物101の原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0121】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0122】
また、充填物101の原料としてのエアロゾルフォーマは、実施の形態に挙げたもの以外に、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなども使用できる。
【0123】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0124】
また、風味添加剤は、例えば、マウスピース16の壁部に含浸させることによってマウスピース16に設けられても良い。風味添加剤がマウスピース16に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセル99をマウスピース16の壁部に埋設することによって、マウスピース16に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース16とエアロゾル吸引カートリッジ1との間に風味添加剤が封入されたカプセル99が配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセル99に封入されている場合、使用者は、カプセル99を指で押圧することにより、カプセル99を破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0125】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセル99に封入されている場合、封入されているマイクロカプセル99をエアロゾル吸引カートリッジ1等に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセル99を支持部材11a等に設けても良い。
【0126】
また、充填物101の原料としての結着剤または増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0127】
(カプセルの構成)
なお、カプセル99としては、いわゆるシームレスカプセルと呼ばれているものが好適に利用できる。
【0128】
(シームレスカプセルの概要)
シームレスカプセルに用いられるカプセル99は、シェル層を備え、シェル層内に、常温下にて液状、粉状またはゲル状の喫味成分が1種以上封入されている。
カプセル99は、カプセル99を破壊することで、内部の喫味成分を放出させる構成となっている。具体的には、内部にカプセル99が配置されている部分のマウスピースを指で潰す動作、噛む動作または前述の吸熱部981の先端等により、カプセル99のシェル層を破ることで、シェル層内に封入されている喫味成分を外部に放出し、充填物101から生じるエアロゾルに風味や香りを追加し、喫味の変化をユーザに与えることができるものである。
カプセル99は、シェル層が破られるまでの間は封入されている喫味成分が放出されることを防止し、シェル層が破れることで喫味成分を放出する。シェル層の材料としては、例えば、ゼラチン(動物由来、魚由来)、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、デンプン、加工澱粉、ゲランガム、寒天、カラギーナンなどが好適に利用できる。これらの材料からなるカプセルは、医療用や食品用に広く用いられており、本発明の目的に応じたカプセルを、市場から容易に得ることができる。
その他、シェル層の材料には、目的に合わせて、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂材料を適宜に用いることができる。
【0129】
(カプセルの種類)
カプセル99は、さらに、喫味成分を含有した粉体であって熱や摩擦により喫味成分を発する所謂マイクロカプセル、多孔質体であってもよく、さらには、円筒形のボディとキャップとからなる錠剤型の形状であってもよい。
【0130】
(カプセルの形状、寸法)
カプセル99の形状は、特に限定されず、例えば、カプセル99形状は、球形、楕円形、四角形、円筒形等の形状であってもよく、喫味成分を封入することができればよい。
カプセル99は、配置させる位置や、担持させる部材の形状にもよるが、直径が0.5mm~5mm程度の粒状のものを用いることができる。エアロゾル吸引カートリッジ1等の内部に配置させるカプセル99の直径は、エアロゾル吸引カートリッジ1等の直径が4.0mm~7.5mmで構成されていることから、直径以下であって、エアロゾルの通気に影響を与えない、5mm以下、好適には、4mm以下のもの、さらには直径の半分以下であることが好ましく、場合によっては1mm~2mm程度のものを用いることが好ましい。
【0131】
(カプセルの数量)
エアロゾル吸引カートリッジ1等に用いられるカプセル99の数は、特に限定されず、少なくとも1個が、本発明の目的を達成できるように配置されていればよく、1個又は複数個のカプセルを良好な状態に保持させることができる。
【0132】
(喫味成分)
カプセル99に用いられる喫味成分は、清涼化剤、コーヒーから抽出した成分、香料等が封入されることが好ましい。
【0133】
(清涼化剤)
清涼化剤としては、例えば、メントール、メントール誘導体、メントン、メントン誘導体、メンタンカルボン酸アミド、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪酸誘導体、メンタン、メンタン誘導体、L-カルボン、キシリトール、ユーカリ精油、ハッカ油、スペアミント精油、スピラントール等を使用することできる。
【0134】
(コーヒーから抽出した成分)
コーヒーから抽出した成分は、例えば、カフェイン、ピリジン、メチルピラジン、酢酸、フルフリルアルコール、シクロテン、1H-ピロールカルボアルデヒド、ヒドロキシピリジン、ヒドロキシアセトン、フルフラール、メチルフルフラール、マルトール等のコーヒーの香気成分を含むことが好ましい。さらに、コーヒー豆の粉末、コーヒーエキス、コーヒー香料、生コーヒーエキス等を用いることもできる。
【0135】
(香料)
香料としては、天然香料、合成香料、調合香料の何れも使用できる。また、フレーバー (食品添加物)でも、フレグランス(化粧品香料)でも使用できる。該香料の香りの種類としては、シトラス系、フローラル系、フルーツ系、ミルク系、シプレー系、オリエンタル系、(嗜好)飲食品系、既製(嗜好)喫煙具系、バニラ系、ミント系、甘味料系、スパイス系、ナッツ系、酒類系が挙げられる。中でも、シトラス系、フルーツ系、ミント系等の清涼感を感じる香料;チョコレート、ミルク、コーヒー等の(嗜好)飲食品系等のリラックスを感じる香料;バニラ系、フローラル系、甘味料系等の甘味を感じる香料等が好ましい。
【0136】
(喫味成分)
カプセル99に用いられる喫味成分は、さらに、エアロゾルを生じるエアロゾル発生用物質を含む物質を封入することができる。本発明で好適に用いられるエアロゾル発生用物質としては、例えば、前述の充填物101として用いられる原料として挙げたタバコ植物または非タバコ植物または風味を追加する風味添加剤から抽出される液状の物質(エキス)、または、粉砕した粉砕物の粉末状の物質等が挙げられる。カプセル99内には、上記したように、茶葉類を原料とした液状や水あめ状の物質や、粉末等が収容されたものを使用することが好ましい。本発明では、これらの原料をいずれも使用でき、単独で或いはブレンドして使用することができる。
【0137】
(その他香味成分)
本発明で使用するカプセル内に封入させるその他の成分として、例えば、ハーブ類や、スパイス類や、漢方薬類や、食用果実類や、海藻類などを利用することができる。食用果実類から抽出される液状の物質(エキス)、または、粉砕乾燥物を粉砕した粉砕物の粉末状の物質等は、例えば、カリン、ミカン科ミカン属の植物(ダイダイ、ウンシュウミカン、ナツダイダイ、ポンカン、ハッサク、イヨカン、イーチャンレモン、カラタチ、オレンジ、マンダリンオレンジ、カボス、キシュウミカン、キノット、グレープフルーツ、コウジ、サンボウカン、シトロン、ジャバラ、スダチ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハナユズ、ヒュウガナツ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、ブンタン(ザボン)、ユズ、ライム、レモン、コブミカン等)、バラ科モモ属モモ種の植物、リンゴ、パイナップル、マンゴー、キンカン、メロン、ザクロ、ウメ、アンズ、ブルーベリー、バラ科オランダイチゴ属の植物、ラズベリー、バナナ、及び、ブドウ、から選択される少なくとも一つ以上を含むことが、ユーザに心地よい芳香を提供するために相応しいが、これらに限定されるものではない。
【0138】
(カンナビノイド成分)
さらに、喫味成分として、無味無臭の成分でありながら、リラックス効果が期待されているカンナビノイド成分を使用してもよい。このようなカンナビノイドの使用例としては、麻の茎又は種子に含有されるカンナビノイド、カフェイン、及び、溶媒を含有することが考えられる。カンナビノイドとして、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビゲロール(CBG)、及び、カンナビディバリン(CBDV)よりなる群から選択された少なくとも1種のカンナビノイドを含有することが好ましく、特にカンナビジオールを(CBD)を含有することが好ましい。
【0139】
また、非タバコ植物の様にニコチンを含まない原料を使用する場合には、ニコチンに類似した使用感、いわゆるキック感を得られる物質を添加してもよい。例えば、コショウ科コショウ属の植物(コショウ、ヒハツ、ヒハツモドキ、フウトウカズラ等)、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ピペリン、ロベリン、カビシン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、グルコシノレート、アリルイソチオシアネートなどが好ましい。
【0140】
ここで誘導加熱式の場合は、
図19の様に誘導加熱装置Dの挿入口D1に、エアロゾル吸引カートリッジ1等を、エアロゾルの上流側から挿入して加熱するが、誘導加熱装置Dの温度センサーD2が、挿入口D1の直下であり、エアロゾル吸引カートリッジ1等を挿入したときに、円柱の中心の真下に相当する位置に設置されており、誘導加熱部材102等で発生した熱を支持部材11b等が適度に伝えることで、温度センサーD2の作動の適正化を図っている。すなわち、仮に支持部材11b等がなかったり、誘導加熱部材102等と温度センサーが近接したりしている場合、誘導加熱部材102等で発生した熱が過剰に温度センサーに伝わってしまい、十分にエアロゾルを発生する前に、温度センサーD2反応して誘導加熱装置Dの動作を止めてしまう恐れがある。一方で、必要以上に熱を遮蔽したり距離を取ったりすると、温度センサーD2が反応しないため、誘導加熱装置Dが必要以上に動作することになり、事故や故障を招く恐れがある。なお、
図19以降に示す実施の形態において、エアロゾル吸引カートリッジ14、15の構成物品(支持部材11a等)は、特に断りのない限り(上記の実施の形態と共通のものを使用できる場合)、実施の形態1のものを例えとして示しているが、これに限られず、他の実施の形態のものや従来周知のもの、さらにはこれらの組み合わせを使用しても良い。
【0141】
そこで、
図20のように、支持部材11b等に相当する部材(スペーサー61)を誘導加熱装置Dの挿入口D1の底に予め常設しておくことで、支持部材11b等が、誘導加熱部材102等が温度センサーD2に近接し過ぎずに一定の距離で離隔するので、エアロゾル吸引カートリッジ14にはあえて支持部材11b等を備えない形態も採りうる。このようにすることで、個々のエアロゾル吸引カートリッジ1等に支持部材11b等を設けることによる製造コストを削減することが可能となる。この場合、充填物101や誘導加熱部材102等が内装部材103等からこぼれ出ないように、例えばポリエステルメッシュや、ティシュペーパーの様な通気性を有する紙といった、通気性をもったシート状の部材で、エアロゾル吸引カートリッジ14の上流端をシールすることが好ましい。また、スペーサー61は必ずしも支持部材11b等と同様の素材や形状である必要はなく、マウスピース16等と同じ素材(例えばアセテートフィルタ等)で形成してもよい。
【0142】
さらに、
図21のエアロゾル吸引カートリッジ15のように、外装部材17の外周に、外装部材17を構成する円筒と同軸に、リング状の係止部材18を備えることでも、同様の効果を得ることが可能である。ここで、エアロゾル吸引カートリッジ15の上流端は、
図20のエアロゾル吸引カートリッジ14と同様に、支持部材11b等を有さずに、通気性を有するシート状部材Sでシールされている。係止部材18を構成するリングの外径は、挿入口D2の内径より0~3mm大きく設定されている。
【0143】
この場合、係止部材18を適正な位置に設置することで、エアロゾル吸引カートリッジ15を、上流端側から誘導加熱装置Dの挿入口D1に挿入したときに、
図22のように、温度センサーD2と誘導加熱部材102等との間に所定の空隙を形成することが可能であり、エアロゾル吸引カートリッジ15に支持部材11b等を備えるか、誘導加熱装置Dにスペーサー61を備えた場合と同様の効果を得ることが可能となる。係止部材18の配置は上述のとおり、エアロゾル吸引カートリッジ15を、上流端側から誘導加熱装置Dの挿入口D1に挿入したときに、温度センサーD2と誘導加熱部材102等との間に所定の空隙を形成することができる位置に設置することが好ましい。例えば、挿入口D1の深さをL1とし、温度センサーD2と誘導加熱部材102等との間に形成する空隙の、挿入口D1の深さ方向に沿った直線距離をL2としたとき、エアロゾル吸引カートリッジ15の上流端から下流端に向けて、L1-L2の位置に設置する。また、エアロゾル吸引カートリッジ15の側面視において、係止部材18がエアロゾル吸引カートリッジ15の長手方向と垂直に交差するような配置が好ましい。
【0144】
また、係止部材18は、必ずしも一体のリング状である必要はなく、全体として円を描いていれば、途中で途切れていてもよい。
【0145】
このような形態をとることで、誘導加熱部材102等が温度センサーD2に近接し過ぎずに一定の距離で離隔することができるので、誘導加熱装置Dの動作を安定にすることが可能であるとともに、係止部材18が挿入口D1を塞ぐので、外装部材17の外側面と挿入口D1の内側面の隙間が大きいときでも、空気の流入によるエアロゾルの希薄化を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0146】
1、2、3、4,5、6、7、8、9、12、13 エアロゾル吸引カートリッジ
10、50、60、80 エアロゾル形成部材
60-1、60-2、60a1、60a2、60b1、60b2、60c1、60c2 円柱部材
101 充填物
102、602 誘導加熱部材
103、503、803 内装部材
11a、11b、31a、31b、31c、41,42、51a、51b 支持部材
21a、21b エアロゾル冷却構造
16、46 マウスピース
17 外装部材
78、88、98 エアロゾル冷却部材
8031 開口
8032 隆起部
99 カプセル