(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170305
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】電気コネクタおよびコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/44 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
H01R13/44 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083114
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】202321313591.9
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】508079120
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーチェン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】トミー チィアン
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE10
5E087FF02
5E087GG12
5E087LL21
5E087MM08
5E087QQ04
5E087RR17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気コネクタおよびコネクタ組立体を提供する。
【解決手段】電気コネクタは、相手側コネクタの第2の接続端子と電気的に接続するように構成されている第1の端部を有する第1の接続端子と、第1の方向に延在し端子収容空間を画定する第1のハウジング部分を備える絶縁ハウジングであって、第1の端部は端子収容空間内に設置されている絶縁ハウジングと、を備え、絶縁ハウジングは、第1のハウジング部分の1つの面から延在し端子収容空間と連通する挿入通路を画定する第2のハウジング部分をさらに備え、挿入通路は、挿入ポートを有することで、第1の端子と電気的に接触するように第2の接続端子の一端を挿入ポートおよび挿入通路を通して通過させ端子収容空間に挿入させることを可能にしており、挿入ポートまたは挿入通路は、第1の接続端子に指が挿入ポートまたは挿入通路を通って接触することを防ぐようにサイズ設定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ(100)であって、
相手側コネクタ(200)の第2の接続端子(210)と電気的に接続するように構成されている第1の端部(111)、および反対側の第2の端部(112)を有する、第1の接続端子(110)と、
第1の方向(Z)に延在し端子収容空間(121)を画定する第1のハウジング部分(120)を備える絶縁ハウジングであって、前記第1の端部は前記端子収容空間内に設置されている、絶縁ハウジングと、を備え、
前記絶縁ハウジングは、前記第1のハウジング部分の1つの面から延在し前記端子収容空間と連通する挿入通路(131)を画定する第2のハウジング部分(130)をさらに備え、
前記挿入通路は、挿入ポート(132)を有することで、前記第1の端子と電気的に接触するように前記第2の接続端子の一端を前記挿入ポートおよび前記挿入通路を通して通過させ前記端子収容空間に挿入させることを可能にしており、
前記挿入ポートまたは前記挿入通路は、前記端子収容空間に配置されている前記第1の接続端子に、指が前記挿入ポートまたは前記挿入通路を通って接触することを防ぐようにサイズ設定されている、電気コネクタ(100)。
【請求項2】
前記第2のハウジング部分は、前記第1の方向とは異なる第2の方向(X)に延在することで、前記第2の接続端子を前記端子収容空間内に前記第2の方向に挿入させることを可能にしている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
0°より大きく90°以下である角度が前記第2の方向と前記第1の方向との間に形成されている、請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第2のハウジング部分は前記挿入通路を画定する円筒形状を有し、従って前記挿入ポートから見た場合前記第1の端部が視認可能である、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記電気コネクタは、前記第1の端部を前記端子収容空間に着脱可能に固定する締結組立体をさらに備える、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記締結組立体は、前記第1の端部と前記第2の接続端子の前記一端との固定接触を保つように配置されている、請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
第1の貫通孔(114)が前記第1の端部に形成されており、
前記締結組立体は、前記第1の方向において前記第1の端部の両側にそれぞれ配置されている締結ねじ(161)とナット(162)とを含み、前記締結ねじは、前記第2の接続端子の前記一端に形成されている第2の貫通孔(211)、および前記第1の端部の前記第1の貫通孔(114)を通過して前記ナットと係合するように適合されており、従って前記第2の接続端子の前記一端および前記第1の接続端子の前記第1の端部は、前記ナットと前記締結ねじの頭との間で重なり合い、圧迫される、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記第1の接続端子の前記第1の端部は、前記第2の接続端子の前記一端と表面接触するための少なくとも板状部分を有する、請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記締結組立体は、前記締結ねじの前記頭を少なくとも覆う絶縁カバー(163)をさらに備える、請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
コネクタ組立体であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の電気コネクタと、
前記電気コネクタに対して前記第2の方向に挿入して係合するように適合されている相手側コネクタ(200)と、を備えるコネクタ組立体。
【請求項11】
前記相手側コネクタは、前記第2の方向に延在するシェル(220)を備え、前記第2の接続端子は、前記シェルの内側に部分的に配置されており、他端でケーブル(1)に接続するように適合されている、請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項12】
前記電気コネクタは、ソケットコネクタであり、前記相手側コネクタは、プラグコネクタである、請求項10または11に記載のコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年5月26日に中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第CN202321313591.9号の優先権の利益を主張するものであり、その全体の開示内容が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、電気コネクタおよびコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
電気コネクタは、通常、様々な電子素子またはデバイス間の電気的接続をもたらすために使用され、高電圧コネクタは、車両、充電設備、産業機器、医療機器などで主に使用される。例えば、電気車両またはハイブリッド車両の発展に伴い、車両の電源バッテリ、配電ユニット、インバータ、電動モータ、充電器などの間に安全で信頼性の高い高電圧/高電流接続を提供するために、電気車両のバッテリの充電、バッテリと電動モータとの高電圧接続など、それら車両の接続要件がますます多様化してきている。
【0004】
電気車両の接続システムは、特に高電力充電または最大加速時に、極めて高い電流レベルが通電可能である必要がある。電気車両は、60V以上の電圧レベル、および10A~300Aまたはそれ以上の電流レベルの送電を実現するために、高電圧コネクタを使用する。高電圧用途において、電気コネクタ、特にバッテリなどの電源に電気的に接続されるような基盤端部コネクタは、感電のリスクを回避するために指保護機能を有する必要がある。従来の高電圧コネクタでは、指保護機能を実現するために、特別な構造もしくは構成を有する接続端子を通常使用するか、追加の部品もしくは構成要素を追加するか、またはコネクタを製造するために特定の工程(埋込成形(embedded molding)工程など)を用いるが、その結果コストは増加する。
【0005】
加えて、車両自体の内部の物理的空間が限られているため、電気的接続は、小型性、重量、幾何学的可撓性、およびコストの面でも最適化される必要がある。車両内の設置空間が限られていることにより、コネクタ製品の高さ、およびワイヤハーネスの下の回避空間が課題となる。従来のクイックプラグコネクタ構造の一部は、設置高さの要件を満たさない。従来のねじコネクタ構造は、高さの要件を満たすようにカスタマイズが可能であるが、それは車両の内部構造に干渉し、コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、先行技術に存在する上記および他の問題および欠点のうちの少なくとも1つを解決するために提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、相手側コネクタの第2の接続端子と電気的に接続するように構成されている第1の端部、および反対側の第2の端部を有する、第1の接続端子と、第1の方向に延在し端子収容空間を画定する第1のハウジング部分を備える絶縁ハウジングであって、第1の端部は端子収容空間内に設置されている、絶縁ハウジングと、を備える電気コネクタが提供される。絶縁ハウジングは、第1のハウジング部分の1つの面から延在し端子収容空間と連通する挿入通路を画定する第2のハウジング部分をさらに備え、挿入通路は、挿入ポートを有することで、第1の端子と電気的に接触するように第2の接続端子の一端を挿入ポートおよび挿入通路を通して通過させ端子収容空間に挿入させることを可能にしており、挿入ポートまたは挿入通路は、端子収容空間に配置されている第1の接続端子に、指が挿入ポートまたは挿入通路を通って接触することを防ぐようにサイズ設定されている。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1の方向における挿入通路または挿入ポートのサイズは指の幅または厚さ未満である。
【0009】
いくつかの実施形態において、第2のハウジング部分は、第1の方向とは異なる第2の方向に延在することで、第2の接続端子を端子収容空間内に第2の方向に挿入させることを可能にしている。
【0010】
いくつかの実施形態において、0°より大きく90°以下である角度が第2の方向と第1の方向との間に形成されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、第2の方向は第1の方向に対して垂直である。
【0012】
いくつかの実施形態において、第2のハウジング部分は挿入通路を画定する円筒形状を有し、従って挿入ポートから見た場合第1の端部が視認可能である。
【0013】
いくつかの実施形態において、電気コネクタは、第1の端部を端子収容空間に着脱可能に固定する締結組立体をさらに備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、締結組立体は、第1の端部と第2の接続端子の一端との固定接触を保つように配置されている。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1の貫通孔が第1の端部に形成されており、締結組立体は、第1の方向において第1の端部の両側にそれぞれ配置されている締結ねじとナットとを含み、締結ねじは、第2の接続端子の一端に形成されている第2の貫通孔、および第1の端部の第1の貫通孔を通過してナットと係合するするように適合されており、従って第2の接続端子の一端および第1の接続端子の第1の端部は、ナットと締結ねじの頭との間で重なり合い、圧迫される。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1の接続端子の第1の端部は、第2の接続端子の一端と表面接触するための少なくとも板状部分を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、締結組立体は、締結ねじの頭を少なくとも覆う絶縁カバーをさらに備える。
【0018】
本開示の他の態様によれば、本出願の実施形態のいずれか1つに記載される電気コネクタと、電気コネクタに対して第2の方向に挿入して係合するように適合されている相手側コネクタと、を備えるコネクタ組立体が提供される。
【0019】
いくつかの実施形態において、相手側コネクタは、第2の方向に延在するシェル(外板、shell)を備え、第2の接続端子は、シェルの内側に部分的に配置されており、他端でケーブルに接続するように適合されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、相手側コネクタは、第2の接続端子を保持し挿入通路に挿入されるように適合されている端子ホルダをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、電気コネクタは、ソケットコネクタであり、相手側コネクタは、プラグコネクタである。
【0022】
本開示の実施形態の上記および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せてなされる以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の例示的実施形態によるコネクタ組立体の全体的な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本開示の例示的実施形態によるコネクタ組立体の電気コネクタと相手側コネクタとの間の挿入工程または分離工程を概略的に示す斜視図である。
【
図3】本開示の例示的実施形態による電気コネクタの構造を概略的に示す斜視端面図である。
【
図4】本開示の例示的実施形態による
図3のA-A線に沿う電気コネクタの概略断面図である。
【
図5】本開示の例示的実施形態による相手側コネクタの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図6】本開示の例示的実施形態による
図1のB-B線に沿うコネクタ組立体の概略断面図である。
【
図7】本開示の例示的実施形態による相手側コネクタの第2の接続端子の構造を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態は、添付の図面と併せて以下に詳細に説明される。その説明において、同一または同様の部品は同一または同様の参照符号によって示される。添付の図面を参照する以下の本開示の各実施形態の説明は、本開示の全体としての発明概念を説明することが意図されており、本開示を限定するものとして解釈すべきではない。
【0025】
加えて、以下の詳細な説明において、説明の都合上、開示される実施形態の完全な理解をもたらすために多数の具体的詳細が記載される。しかし、1つまたは複数の実施形態はこれら具体的詳細がなくとも実施できることが明らかになるであろう。他の例において、よく知られている構造体およびデバイスは、図面を簡略化するために概略的に示されている。
【0026】
以下の詳細な説明において、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上方」、「下方」、「内部」、「外部」などの方向指定用語は図面により定義されてもよいが、構成要素の形状および位置はその用語によって限定されず、実際の用途に応じて調節され得る。
【0027】
加えて、本明細書で使用される用語は、単に例示的実施形態を説明することを目的とし、本開示を限定および/または制限することは意図されない。単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、「said(前記)」、および「the(その)」は、文脈上別段に明記されていない限り、複数形も含むことが意図される。本開示において、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、特徴、数、動作、要素、構成要素、またはそれらの組み合わせを指定するために使用されるが、1つまたは複数の特徴、要素、動作、要素、構成要素、またはそれらの組み合わせが存在することまたは追加されることを排除しない。
【0028】
「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書において様々な要素を説明するために使用できるが、要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、単に1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と称することができ、第2の要素を第1の要素と称することができる。用語「および/または(and/or)」は、関連する項目の複数の組み合わせ、または複数の関連する項目のうちのいずれか1つの項目を含む。
【0029】
図1~
図7に示されるように、本開示の例示的実施形態によれば、様々な種類の電子素子またはデバイスの間で電気的接続をもたらすために、電気コネクタと電気コネクタを含むコネクタ組立体とが提供される。例として、本開示により提供される電気コネクタまたはコネクタ組立体は、例えば車両の電源バッテリ、配電ユニット、電力制御ユニット、インバータ、電動モータ、充電器などの電気デバイス間に安全で信頼性の高い高電圧/高電流接続を提供するために、電気車両、ハイブリッド車両、電気産業機器、医療機器、充電設備などの分野における高電圧電気コネクタとして使用されてもよい。
【0030】
図示されている例示的実施形態において、コネクタ組立体は、互いに係合し嵌合することができる電気コネクタ100と相手側コネクタ200とを含む。例示的には、以下の説明ならびに
図1および
図2において、固定するように適合されているソケットコネクタである電気コネクタ100、およびケーブル1と接続するように適合されているプラグコネクタである相手側コネクタ200が例として説明されるが、本開示はこれに限定されない。
【0031】
図1~
図4および
図6に示されるように、電気コネクタ100は、第1の接続端子110と、プラスチックなどの絶縁材から作製されていてもよいハウジングとを含む。1つまたは複数の第1の接続端子110は、ハウジング内に少なくとも部分的に設置されており、送電または信号伝送のために使用されてもよい。第1の接続端子110は、以下で説明されるように、第1の端部111と、反対側の第2の端部112とを有する。第1の端部111は、相手側コネクタ200の第2の接続端子210に電気的接続(電気的な接触など)するための嵌合端として機能する。第2の端部112は、電気デバイスまたはその内部電子素子(銅棒、ケーブル、バッテリ、回路基板など)に設置または電気的接続するための設置端として機能してもよい
【0032】
図示されている実施形態において、電気コネクタ100のハウジングは、第1の方向(例えば
図3、
図4、および
図6におけるZ方向)に延在し端子収容空間121を画定する、第1のハウジング部分120を含む。第1の接続端子110の第1の端部111は、端子収容空間121内に設置されている。例として、第1のハウジング部分120は略円筒輪郭を有してもよい。電気デバイスまたは設置パネル(図示せず)上の電気コネクタの設置高さは第1の方向Zに延在する第1のハウジング部分120のサイズと関連するため、第1の方向Zに延在する第1のハウジング部分120のサイズは、小型輪郭を有する電気コネクタを実現し特定の用途における電気コネクタの設置空間要件を満たすように合理的に設計されていてもよい。
【0033】
本開示の例示的実施形態によれば、
図1~
図4および
図6に示されるように、電気コネクタ100のハウジングは第2のハウジング部分130をさらに含む。いくつかの実施形態において、第2のハウジング部分130は、第1のハウジング部分120の1つの面(例えば外壁)から第1の方向Zとは異なる第2の方向(例えば
図2~
図4および
図6におけるX方向)に延在する。従って、電気コネクタ100のハウジングは、全体として、限定的な(例えば限定的な高さ、横方向サイズまたは配向を有する)設置空間に適合された屈曲(bent)構造またはL字型(elbow)構造を有してもよい。いくつかの例において、0°より大きく90°以下である角度が、第2の方向と第1の方向との間、または第2のハウジング部分130と第1のハウジング部分120との間に形成されていてもよい。
例えば、第2の方向は第1の方向に対して垂直であり、すなわち、第2のハウジング部分130は第1のハウジング部分120に対して垂直に延在するため、90°すなわち直角のコネクタが形成されてもよい。但し、本開示はこれに限定されない。他の実施形態において、電気コネクタまたはそのハウジングは、具体的な用途または設置空間要件に応じて、直線的ソケットなどの直線的構造も採用してもよい。
【0034】
第2のハウジング部分130は、第1のハウジング部分120の端子収容空間121と連通する挿入通路131を画定し、それにより相手側コネクタ200の第2の接続端子210の一端を、挿入通路131を通じて端子収容空間121に挿入させ、端子収容空間121に配置されている第1の接続端子110の第1の端部111と電気的に接触することを可能にしている。例えば、相手側コネクタ200またはその第2の接続端子210は、第2の方向を挿入方向として電気コネクタ100と嵌合することが可能である。
【0035】
いくつかの例において、第2のハウジング部分130は、第2の接続端子210を挿入通路に挿入することを可能にするように構成されかつ配置されている、矩形筒形状または円筒形状(rectangular cylindrical or circular cylindrical shape)などの、挿入通路131を画定する円筒形状を有する。挿入通路131は端子収容空間121から離れて配置されている挿入ポート132を有し、従って挿入ポート132から見た場合、端子収容空間121に配置されている第1の接続端子110の第1の端部が少なくとも視認可能である。相手側コネクタ200の第2の接続端子210(第2の接続端子210の一端)は、挿入ポート132を通って挿入通路131に挿入され、端子収容空間121に配置されている第1の接続端子110の第1の端部111に導かれる。
【0036】
本開示の例示的実施形態において、第2のハウジング部分130の挿入通路131または挿入ポート132は、端子収容空間121に配置されている第1の接続端子110に、ユーザの1本または複数の指が(例えば操作中、相手側コネクタの挿入時、または相手側コネクタの分離時に)挿入通路131に入って接触することを防ぐようにサイズ設定されている。従って、指が挿入ポート132または挿入通路131を通じて第1の接続端子110に触れることは不可能となり、それにより電気コネクタ100側に指保護機能または反接触機能をもたらし、その結果、追加の部品(接続端子を覆うかまたは保護するための追加の構成要素など)または追加のコストを必要とせずに安全性を向上できる。
【0037】
例えば、1次元(例えば第1の方向などの、挿入方向に垂直な次元または方向)における第2のハウジング部分130の挿入通路131および/または挿入ポート132のサイズは、指の長さに垂直な方向における指のサイズ(幅または厚さなど)より小さくてもよく、それによりユーザの指が意図せず挿入通路/端子収容空間に入って接続端子に触れることを防ぎ、効果的に感電のリスクを回避する。本開示はこれに限定されず、例えば、第1の方向および第2の方向に対して垂直な第3の方向Yにおいて第1の接続端子および第2の接続端子が重なり合い、互いに接触している場合、第2のハウジング部分の挿入通路および/または挿入ポートの第3の方向におけるサイズは、指の長さに垂直な方向における指のサイズ(幅または厚さなど)より小さくてもよいことが理解されよう。他の例において、第2の方向に延在する挿入通路の長さは指の長さより長くてもよい。
【0038】
相手側コネクタ200はシェル220を含み、第2の接続端子210はシェル220の内側に部分的に配置されており、ケーブル1のコア11に電気的に接続するなど、他端でケーブル1に接続するように適合されている。いくつかの例において、相手側コネクタ200は直線的プラグであってもよく、そのシェル220は、例えば第2の方向に延在してもよい。その結果、相手側コネクタ200の延在方向(および他端に接続されているケーブルの延在方向)が電気コネクタ100に挿入される相手側コネクタの挿入方向と一致し、設置に必要な空間が小さくなる。他の例において、相手側コネクタは、異なる設置要件に適合するために、直角シェルをさらに有するかまたは直角プラグでもあってもよい。
【0039】
任意選択の実施形態において、
図2、
図5、および
図6に示されるように、相手側コネクタ200は、第2の接続端子210を保持するように適合されている端子ホルダ230をさらに含んでもよい。例えば、端子ホルダ230は、シェル220から第2の方向に延在して組立時に第2のハウジング部分130の挿入通路131に挿入されてもよい。その結果、端子ホルダ230に保持されている第2の接続端子210の一端が、第1のハウジング部分120の端子収容空間121に入って第1の接続端子110の第1の端部111と電気的に接触することができる。例として、端子ホルダ230は中空部分231を有するフレームであってもよく、第2の接続端子210は例えばスナップ嵌合(snap-fit)式に端子ホルダ230の中空部分231に保持されていてもよい。
【0040】
図1~
図3、
図5、および
図6に示されるように、電気コネクタ100は、第1のハウジング部分120から第2のハウジング部分130の周りに周方向に延在する第3のハウジング部分140をさらに含んでもよい。挿入される相手側コネクタ200のシェルの一部および/または封止部(シール、seal)は、第2のハウジング部分130と第3のハウジング部分140との間の空間に収容されてもよい。
図5および
図6に示されるように、相手側コネクタ200またはそのシェル220は、端子ホルダ230とそれに保持されている第2の接続端子210とを少なくとも部分的に囲うことができる、延出部分240を含んでもよい。
組み立てられた状態において、延出部分240は、挿入通路130の挿入ポート131を少なくとも覆うために、第3のハウジング部分140の外側、または第2のハウジング部分130と第3のハウジング部分140との間の空間に配置されていてもよく、従って、組立後は、シェルの外側からその内部の端子に触れることができない。
【0041】
電気コネクタ100は、第1の接続端子110またはその第1の端部111を端子収容空間121内に着脱可能に固定できる締結組立体も含んでもよい。いくつかの例において、
図6に示されるように、締結組立体はさらに、第1の接続端子110の第1の端部111と挿入されている第2の接続端子210の一端との固定接触を保ってもよい。第1の接続端子110の第1の端部111は、第2の接続端子210の一端と表面接触するための少なくとも板状部分を有してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、
図4および
図6に示されるように、締結組立体は締結ねじ161とナット162とを含む。組み立てられた状態において、締結ねじ161およびナット162は、第1の方向における第1の接続端子110の第1の端部111の両側にそれぞれ配置されている。例えば、締結ねじ161は、第2の接続端子210の一端に形成されている第2の貫通孔211(
図2および
図5~
図7参照)、および第1の接続端子110の第1の端部111に形成されている第1の貫通孔114を通過し、(例えばねじ接続によって)ナット162と係合する。
その結果、第2の接続端子210の一端および第1の接続端子110の第1の端部111は、ナット162と締結ねじ161の頭との間で(例えば第1の方向に)重なり合い、圧迫され、それらの間で堅固な接触を保つ。組立工程中、ナット162は、その頭が第1の端部111の表面に当接するように第1の貫通孔114に部分的に配置されていてもよく、締結ねじ161は、端子収容空間121と連通する第1のハウジング部分120の孔(
図1~
図4および
図6参照)から第2の貫通孔211および第1の貫通孔114に順次挿入され、その頭が第2の接続端子210の一端と直接的または間接的に当接するようにナット162と係合してもよい。
図示される実施形態においては、独立したナット162が設けられており、その一部分(頭の直径より小さい直径を有する本体など)は第1の端部111の第1の貫通孔114に配置されていてもよい。但し、本開示はこれに限定されない。他の実施形態において、第1の接続端子110の第1の端部111は、締結ねじ161と係合するためのナットまたはねじ構造と一体的に形成されていてもよい。
【0043】
いくつかの例において、
図4および
図6に示されるように、締結組立体は、締結ねじ161との偶発的な接触により生じるユーザの感電のリスクを回避するために締結ねじ161の頭を少なくとも覆う、絶縁カバー163も含んでもよい。
【0044】
上述のように、電気コネクタ100は電気デバイスに設置または固定するように適合されている。図示される実施形態において、電気コネクタ100のハウジングは、留め具により電気デバイスの設置パネル(図示せず)に設置するように適合されているフランジ部分150をさらに含んでもよい。フランジ部分150は、第1のハウジング部分120の周縁部から外方に(例えば垂直に)延び、平板または設置に適した他の形状を形成してもよい。
組立後、第1の接続端子110の第2の端部112は、電気デバイスまたはその内部電子素子と容易に接続するように端子収容空間121の外部に配置されるべく、第1のハウジング部分120とは反対側のフランジ部分150の他の面に配置されている。いくつかの具体的な例では、第1の方向(
図1~
図4および
図6ではZ方向)において、フランジ部分150(すなわちその下方設置表面)から第1のハウジング部分110の頂部までの高さは期待される値以下(46mm以下など)であり、従って、第1の方向における電気コネクタのハウジングの合計設置高さ、または第1の方向における設置パネルから突出するコネクタ組立体の設置高さは、一部の現在の設置空間要件を満たすように、期待される値以下である。
【0045】
本開示の上述の実施形態が示され説明されてきたが、本開示の原理および趣旨から逸脱することなく様々な変更または修正がこれらの実施形態に対してなされてもよく、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物により定義されることが、当業者によって理解されよう。本明細書で使用される「備える(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語は他の要素またはステップを除外しないことに留意されたい。加えて、特許請求の範囲における任意の参照符号は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【外国語明細書】