(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170314
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】高速モータを含む動力工具
(51)【国際特許分類】
H02P 29/40 20160101AFI20241129BHJP
【FI】
H02P29/40
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024084497
(22)【出願日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】63/504,469
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェイ.ポールセン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ディー.ハンキンス
(72)【発明者】
【氏名】カーター エイチ.イプマ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ピー.ボテ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ジー.ウッド
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA11
5H501BB08
5H501CC04
5H501DD04
5H501GG03
5H501HB07
5H501JJ03
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL35
5H501LL38
5H501LL39
5H501MM02
5H501PP02
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、ハウジング内の電気モータと、コントローラと、ホール効果センサとを含む、動力工具。電気モータは、少なくとも35,000毎分回転数(RPM)の無負荷運転速度を有する。電気モータは、ステータ歯を有するステータコアとステータ積層体とを含むステータと、ロータシャフトとロータ磁石とを含むロータとを含む。コントローラは、電気モータの動作速度を制御するように構成される。ホール効果センサは、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される。ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
少なくとも35,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する、前記ハウジング内の電気モータであって、
ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、
ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータと、含む、
電気モータと、
前記電気モータの動作速度を制御するように構成されるコントローラと、
前記コントローラに接続され、前記ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、ホール効果センサと、を含み、
前記ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で前記低レベル出力信号と前記高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、
動力工具。
【請求項2】
前記ホール効果センサの最大遷移時間は、40マイクロ秒以下である、請求項1に記載の動力工具。
【請求項3】
前記ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する、請求項2に記載の動力工具。
【請求項4】
前記電気モータは、ベアリングを含み、前記ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む、請求項3に記載の動力工具。
【請求項5】
前記ステータ積層体は、0.2ミリメートルの厚さを有する、請求項4に記載の動力工具。
【請求項6】
前記電気モータは、少なくとも37,000RPMの無負荷動作速度を有する、請求項2に記載の動力工具。
【請求項7】
当該動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む、請求項2に記載の動力工具。
【請求項8】
ハウジングと、
バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
少なくとも40,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する、前記ハウジング内の電気モータであって、
ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、
ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータと、を含む、
電気モータと、
前記電気モータに接続され、前記電気モータの動作速度を制御するように構成される、コントローラと、
前記コントローラに接続され、前記ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、ホール効果センサと、を含み、
前記ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で前記低レベル出力信号と前記高レベル出力信号との間を遷移するように構成される、
動力工具。
【請求項9】
前記ホール効果センサの最大遷移時間は、40マイクロ秒以下である、請求項8に記載の動力工具。
【請求項10】
前記ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する、請求項9に記載の動力工具。
【請求項11】
前記電気モータは、ベアリングを含み、前記ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む、請求項9に記載の動力工具。
【請求項12】
前記ステータ積層体は、0.2ミリメートルの厚さを有する、請求項11に記載の動力工具。
【請求項13】
前記電気モータは、少なくとも43,000RPMの無負荷動作速度を有する、請求項9に記載の動力工具。
【請求項14】
当該動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む、請求項9に記載の動力工具。
【請求項15】
ハウジングと、
バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
少なくとも45,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する、前記ハウジング内の電気モータであって、
ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、
ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータと、を含む、
電気モータと、
前記電気モータに接続され、前記電気モータの動作速度を制御するように構成される、コントローラと、
前記コントローラに接続され、前記ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、ホール効果センサと、を含み、
前記ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で前記低レベル出力信号と前記高レベル出力信号との間を遷移するように構成される、
動力工具。
【請求項16】
前記ホール効果センサの最大遷移時間は、40マイクロ秒以下である、請求項15に記載の動力工具。
【請求項17】
前記ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する、請求項16に記載の動力工具。
【請求項18】
前記電気モータは、ベアリングを含み、前記ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む、請求項16に記載の動力工具。
【請求項19】
前記電気モータは、少なくとも50,000RPMの無負荷動作速度を有する、請求項16に記載の動力工具。
【請求項20】
当該動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む、請求項16に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2023年5月26日に出願された米国仮特許出願第63/504,469号の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書に記載される実施形態は、動力工具(パワーツール)用のモータに関する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される実施形態は、高速モータを含む動力工具(パワーツール)を提供する。
【0004】
本明細書に記載される動力工具は、ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、ハウジング内の電気モータと、コントローラと、ホール効果センサとを含む。電気モータは、少なくとも35,000毎分回転数(RPM)の無負荷運転速度を有する。電気モータは、ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータとを含む。コントローラは、電気モータの動作速度を制御するように構成される。ホール効果センサは、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される。ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される。
【0005】
幾つかの態様によれば、ホール効果センサの最大遷移時間は、40マイクロ秒以下である。
【0006】
幾つかの態様では、ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する。
【0007】
幾つかの態様によれば、電気モータは、ベアリングを含み、ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む。
【0008】
幾つかの態様によれば、ステータ積層体は、0.2ミリメートルの厚さを有する。
【0009】
幾つかの態様によれば、電気モータは、少なくとも37,000RPMの無負荷動作速度を有する。
【0010】
幾つかの態様によれば、動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む。
【0011】
本明細書に記載される動力工具は、ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、ハウジング内の電気モータと、コントローラと、ホール効果センサと、を含む。電気モータは、少なくとも40,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する。電気モータは、ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータとを含む。コントローラは、電気モータの動作速度を制御するように構成される。ホール効果センサは、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される。ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間を遷移するように構成される。
【0012】
幾つかの態様において、ホール効果センサの遷移時間は、40マイクロ秒以下である。
【0013】
幾つかの態様では、ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する。
【0014】
幾つかの態様において、電気モータは、ベアリングを含み、ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む。
【0015】
幾つかの態様において、ステータ積層体は、0.2ミリメートルの厚さを有する。
【0016】
幾つかの態様において、電気モータは、少なくとも43,000RPMの無負荷動作速度を有する。
【0017】
幾つかの態様において、動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む。
【0018】
本明細書に記載される動力工具は、ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、ハウジング内の電気モータと、コントローラと、ホール効果センサとを含む。電気モータは、少なくとも45,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する。電気モータは、ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータとを含む。コントローラは、電気モータの動作速度を制御するように構成される。ホール効果センサは、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される。ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間を遷移するように構成される。
【0019】
幾つかの態様において、ホール効果センサの遷移時間は、40マイクロ秒以下である。
【0020】
幾つかの態様では、ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する。
【0021】
幾つかの態様において、電気モータは、ベアリングを含み、ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む。
【0022】
幾つかの態様において、電気モータは、少なくとも50,000RPMの無負荷動作速度を有する。
【0023】
幾つかの態様において、動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む。
【0024】
いずれかの実施形態が詳細に説明される前に、本実施形態は、適用において以下の説明に記載されるあるいは添付の図面に図示されるコンポーネントの構成および配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。実施形態は、実施されることができるかあるいは様々な方法で実行されることができる。また、本明細書で使用される表現法および用語は、説明の目的のためのものであり、限定的であるとみなされるべきでないことが理解されるべきである。「含む(including)」、「含む(comprising)」、または「有する(having)」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される品目およびそれらの均等物ならびに追加の品目を含むことが意図されている。特に断りのない限りあるいは他の方法で限定されない限り、「取り付けられた(mounted)」、「接続された(connected)」、「支持された(supported)」および「結合された(coupled)」という用語、ならびにそれらの変形は、広義に使用されており、直接的および間接的な取付け、接続、支持、および結合の両方を包含する。
【0025】
それらの用法の文脈が明確に異なることを示さない限り、冠詞「a」、「an」および「the」)は、「1つ」または「1つのみ」を意味するものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの冠詞は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味するものと解釈されるべきである。同様に、前記(「the」または「said」)という用語は、不定冠詞「a」または「an」によって以前に導入された名詞を指すために用いられるとき、「the」および「said」は、用法が明確に異なることを示さない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0026】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、および電子コンポーネントまたはモジュールを含むことがあり、それらは、説明の目的から、あたかもコンポーネントの大部分がハードウェアでのみ実装されたかのように図示および記載されることがあることが理解されるべきである。しかしながら、当業者は、この詳細な説明の読取りに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサおよび/または特定用途向け集積回路(「ASICs」)のような1つ以上の処理ユニットによって実行可能な(例えば、非一時的なコンピュータ読取可能媒体上に記憶される)ソフトウェアに実装されることがあることを認識するであろう。よって、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造コンポーネントは、実施形態を実装するために利用されることがあることが留意されるべきである。例えば、本明細書に記載される「サーバ」、「コンピューティングデバイス」、「コントローラ」、「プロセッサ」などは、1つ以上の処理ユニット、1つ以上のコンピュータ可読媒体モジュール、1つ以上の入出力インターフェース、およびコンポーネントを接続する様々な接続(例えば、システムバス)を含むことができる。
【0027】
例えば、量または状態に関連して使用される「約(about)」、「約(approximately)」、「実質的(substantially)」などのような相対的な用語は、記述された値を含むものとして当業者によって理解され、文脈によって指示される意味を有する(例えば、用語は、少なくとも、特定の値などに関連する測定精度、公差[例えば、製造、組立、使用など]に関連する誤差の程度を含む)。そのような用語は、2つのエンドポイントの絶対値によって定義される範囲を開示するものとしても考慮されるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示する。相対的な用語は、指示される値の±百分率(例えば、1%、5%、10%)を指すことがある。
【0028】
特定の図面は、特定のデバイス内に配置されたハードウェアおよびソフトウェアを図示するが、これらの図は、例示的な目的のためのものにすぎないことが理解されるべきである。1つのコンポーネントによって実行されるものとして本明細書に記載される機能性は、分散された方法で複数のコンポーネントによって実行されることがある。同様に、複数のコンポーネントによって実行される機能性は、単一のコンポーネントによって統合されて実行されることがある。幾つかの実施形態において、図示されるコンポーネントは、組み合わされることがあり、あるいは別々のソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアに分割されることがある。例えば、単一の電子プロセッサ内に配置されて単一の電子プロセッサによって実行されるのではなく、論理および処理が、複数の電子プロセッサ間で分散させることがある。それらがどのように組み合わされるかあるいは分割されるかにかかわらず、ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントは、同じコンピューティングデバイス上に配置されることがあり、あるいは1以上のネットワークまたは他の適切な通信リンクによって接続された異なるコンピューティングデバイス間に分散されることがある。同様に、特定の機能性を実行するものとして記載されたコンポーネントは、本明細書に記載されていない追加の機能性を実行することもある。例えば、特定の方法で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、明示的に列挙されていない方法で構成されることもある。
【0029】
従って、請求項において、装置、方法、またはシステムが、例えば、コントローラ、制御ユニット、電子プロセッサ、コンピューティングデバイス、論理要素、モジュール、メモリモジュール、通信チャネルまたはネットワーク、または、例えば、複数の機能を実行するために特定の方法で構成された他の要素を含むとして特許請求されるならば、請求項または発明特定事項は、1つ以上の要素がセットとして複数の機能を集合的に実行するように、1つ以上の要素のいずれか1つが、例えば、列挙される複数の機能のいずれか1つ以上を実行するために、特許請求されるように構成されている場合には、そのような要素の1つ以上を意味するものとして解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ブラシレスDCモータを組み込んだ動力工具を示す。
【0031】
【
図2】幾つかの実施形態による、
図1の動力工具のための制御システムを示す。
【0032】
【
図3A】
図1の動力工具に組み込まれたブラシレスDCモータの内蔵ロータおよび内部ベアリングを示す図である。
【
図3B】
図1の動力工具に組み込まれたブラシレスDCモータの内蔵ロータおよび内部ベアリングを示す図である。
【
図3C】
図1の動力工具に組み込まれたブラシレスDCモータの内蔵ロータおよび内部ベアリングを示す図である。
【0033】
【
図4A】モータの凹んだホール効果センサボード実装を示す。
【
図4B】モータの凹んだホール効果センサボード実装を示す。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【
図9】強力なプルアップ抵抗器(pull-up resister)を有するホール効果センサ実装におけるホール効果センサ遷移(Hall effect sensor transitions)の立ち上がり時間(rising edge time)を示すグラフを示す。
【0039】
【
図10】弱いプルアップ抵抗器を有するホール効果センサ実装におけるホール効果センサ遷移の立ち上がり時間を示すグラフを示す。
【0040】
【0041】
【0042】
【
図13】動力工具のギアケース内の遊星ギアアセンブリの斜視図を示す。
【0043】
【
図14】動力工具のギアケース内の遊星ギアアセンブリの斜視図を示す。
【0044】
【
図15A】複数のモータ設計のための電流-トルク曲線を示す。
【
図15B】複数のモータ設計のための出力電力-トルク曲線を示す。
【
図15C】複数のモータ設計のための効率-トルク曲線を示す。
【0045】
【
図16A】複数のモータ設計のための電流-トルク曲線を示す。
【
図16B】複数のモータ設計のための出力電力-トルク曲線を示す。
【
図16C】複数のモータ設計のための効率-トルク曲線を示す。
【0046】
【
図17A】様々なステータ積層厚さを有する複数のモータ設計のための電流-トルク曲線を示す。
【
図17B】様々なステータ積層厚さを有する複数のモータ設計のための出力電力-トルク曲線を示す。
【
図17C】様々なステータ積層厚さを有する複数のモータ設計のための効率-トルク曲線を示す。
【0047】
【
図18A】一定の負荷下の第1のモータ設計の2つの変形のためのステータ、ロータ、およびコイルについての熱曲線を示す。
【
図18B】一定の負荷下の第1のモータ設計の2つの変形のためのステータ、ロータ、およびコイルについての熱曲線を示す。
【0048】
【
図19A】一定の負荷下の第2のモータ設計の2つの変形のためのステータ、ロータ、およびコイルについての熱曲線を示す。
【
図19B】一定の負荷下の第2のモータ設計の2つの変形のためのステータ、ロータ、およびコイルについての熱曲線を示す。
【0049】
【
図20A】複数のモータ設計のためのピーク電力入力での電力出力および電力損失を示す。
【0050】
【
図20B】複数のモータ設計についてのピーク電力損失を示す。
【0051】
【0052】
【
図22A】1インチのオーガビットおよび2~9/16インチの自動フィードドリルビットを有する動力工具で使用される複数のモータ設計についての適用速度およびRMS電流を示す。
【
図22B】1インチのオーガビットおよび2~9/16インチの自動フィードドリルビットを有する動力工具で使用される複数のモータ設計についての適用速度およびRMS電流を示す。
【
図22C】1インチのオーガビットおよび2~9/16インチの自動フィードドリルビットを有する動力工具で使用される複数のモータ設計についての適用速度およびRMS電流を示す。
【
図22D】1インチのオーガビットおよび2~9/16インチの自動フィードドリルビットを有する動力工具で使用される複数のモータ設計についての適用速度およびRMS電流を示す。
【0053】
【
図23A】1インチオーガビットおよび様々なバッテリパックを有する動力工具で使用される複数のモータ設計のランタイムを示す。
【0054】
【
図23B】2~9/16インチの自動フィードドリルビットおよび様々なバッテリパックを有する動力工具で使用される複数のモータ設計のランタイムを示す。
【0055】
【
図24A】変化する負荷下で2~9/16インチの自動フィードドリルビットと共に使用され、バッテリパックによって動力供給される、複数のモータ設計の熱プロファイルを示す。
【
図24B】変化する負荷下で2~9/16インチの自動フィードドリルビットと共に使用され、バッテリパックによって動力供給される、複数のモータ設計の熱プロファイルを示す。
【
図24C】変化する負荷下で2~9/16インチの自動フィードドリルビットと共に使用され、バッテリパックによって動力供給される、複数のモータ設計の熱プロファイルを示す。
【0056】
【
図25A】変化する負荷下で2~9/16インチの自動フィードドリルビットと共に使用され、バッテリパックによって動力供給される、複数のモータ設計の熱プロファイルを示す。
【
図25B】変化する負荷下で2~9/16インチの自動フィードドリルビットと共に使用され、バッテリパックによって動力供給される、複数のモータ設計の熱プロファイルを示す。
【
図25C】変化する負荷下で2~9/16インチの自動フィードドリルビットと共に使用され、バッテリパックによって動力供給される、複数のモータ設計の熱プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、ブラシレス直流(DC)モータを組み込んだ動力工具100(パワーツール)を示す。動力工具100(power tool)のような、ブラシレスモータ電動工具(motor power tool)では、スイッチング素子は、ブラシレスモータを駆動するために電源(例えば、バッテリパック)からの電力を選択的に印加するようにコントローラからの制御信号によって選択的に有効にされ(enabled)かつ無効にされる(disabled)。動力工具100は、ハンドル部分104とモータハウジング部分106とを備えるハウジング102を有するブラシレスハンマードリルである。動力工具100は、出力ユニット107、トルク設定ダイヤル108、順逆セレクタ110(forward/reverse selector)、トリガ112、バッテリパックインターフェース114、およびライト116をさらに含む。
図1は、ハンマードリルを示すが、幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるモータは、ドリル/ドライバ、インパクトドライバ、インパクトレンチ、丸鋸、レシプロソー、ストリングトリマ、リーフブロワ、真空装置などを含む、他のタイプの動力工具に組み込まれる。
【0058】
図2は、動力工具100のための制御システム200を示す。制御システム200は、コントローラ204を含む。コントローラ204は、動力工具100の様々なモジュールまたはコンポーネント(構成要素)に電気的におよび/または通信的に接続される。例えば、図示のコントローラ204は、モータ208、バッテリパックインターフェース114、(ON-OFFスイッチまたはトリガ112に接続された)スイッチ216、1つ以上のセンサ224(例えば、電流センサ、電圧センサ、位置センサ[例えば、ホール効果センサ]、速度センサなど)、および温度センサ228、1つ以上のインジケータ232、1つ以上のユーザ入力モジュール236、電力入力モジュール240、および(インバータ248に接続された)ゲートコントローラ244に電気的に接続される。モータ208は、ロータ(回転子)、ステータ(固定子)、および長手軸を中心に回転するシャフトを含む。
【0059】
コントローラ204は、とりわけ、動力工具100の動作を制御し、動力工具100の動作を監視し、1つ以上のインジケータ232(例えば、LED、ライト116など)をアクティブ化(起動)させるように動作可能であるハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを含む。ゲートコントローラ244は、モータ208の位相に電力供給するためにDC電源を位相信号に変換するようにインバータ248を制御するように構成される。電流センサは、例えば、インバータ248とモータ208との間の電流を感知するように構成される。温度センサ228は、例えば、インバータ248および/またはモータ208の温度を感知するように構成される。
【0060】
コントローラ204は、コントローラ204および/または動力工具100内のコンポーネントおよびモジュールに電力、動作制御、および保護を提供する、複数の電気コンポーネントおよび電子コンポーネントを含む。例えば、コントローラ204は、とりわけ、処理ユニット252(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子コントローラ、電子プロセッサ、または他の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ256、入力ユニット260、および出力ユニット264を含む。処理ユニット252は、とりわけ、制御ユニット268、算術論理ユニット272(「ALU」)、および(
図2にレジスタのグループとして示される)複数のレジスタ276を含み、既知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正ハーバードアーキテクチャ、フォン・ノイマンアーキテクチャなど)を使用して実装される。処理ユニット252、メモリ256、入力ユニット260、および出力ユニット264、ならびにコントローラ204に接続される様々なモジュールまたは回路は、1つ以上の制御バスおよび/またはデータバス(例えば、共通バス280)によって接続される。制御バスおよび/またはデータバスは、説明のために
図2に一般的に示される。様々なモジュール、回路、およびコンポーネントの間の相互接続および通信のための1つ以上の制御バスおよび/またはデータバスの使用は、本明細書に記載される本発明に鑑みて当業者に知られている。
【0061】
メモリ256は、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であり、例えば、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域およびデータ記憶領域は、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、または他の適切な磁気、光学、物理、または電子メモリデバイスのような、異なるタイプのメモリの組み合わせを含むことができる。処理ユニット252は、メモリ256に接続され、(例えば、実行中に)メモリ256のRAMに、(例えば、概ね永久的なベースで)メモリ256のROMに、または別のメモリまたはディスクのような別の非一時的なコンピュータ読取可能媒体に記憶されることができるソフトウェア命令を実行する。動力工具100の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ204のメモリ256に格納されることができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、および他の実行可能な命令を含む。コントローラ204は、メモリ256から検索し、とりわけ、本明細書に記載される制御プロセスおよび方法に関連する命令を実行するように構成される。他の構成において、コントローラ204は、追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、または異なるコンポーネントを含む。
【0062】
バッテリパックインターフェース114は、電動ツール100をバッテリパックとインターフェースさせる(例えば、機械的、電気的、通信的に接続する)ように構成されかつ動作可能な機械的コンポーネント(例えば、レール、溝、ラッチなど)および電気的コンポーネント(例えば、1つ以上の端子)の組み合わせを含む。例えば、バッテリパックによって動力工具に提供される電力は、バッテリパックインターフェース114を通じて電力入力モジュール240に提供される。電力入力モジュール240は、電力がコントローラ204に供給される前に、バッテリパックから受け取った電力を調整または制御する能動コンポーネントおよび受動コンポーネントの組み合わせを含む。バッテリパックインターフェース114は、例えば、モータ208に電力を選択的に提供するためにFETをスイッチングすることによってスイッチングされるように、インバータ248にも電力を供給する。バッテリパックインターフェース114は、例えば、コントローラ204とバッテリパックとの間の通信ラインまたはリンクを提供する通信ライン284も含む。
【0063】
インジケータ232は、例えば、1つ以上の発光ダイオード(「LED」)を含む。インジケータ232は、動力工具100の状態または動力工具100に関連する情報を表示するように構成されることができる。例えば、インジケータ232は、動力工具100の測定された電気的特性、デバイスの状態などを示すように構成される。1つ以上のユーザ入力モジュール236は、例えば、順方向動作モードまたは逆方向動作モード(例えば、トルク設定ダイヤル108)、(例えば、トルクおよび/または速度スイッチ、順方向/逆方向セレクタ110などを使用する)動力工具100のためのトルクおよび/または速度設定などを選択するために、コントローラ204に動作可能に結合されてよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のユーザ入力モジュール236は、1つ以上のノブ、1つ以上のダイヤル、1つ以上のスイッチ、1つ以上のボタンなどのような、ネイラーのための所望の動作レベルを達成するために必要とされるデジタルおよびアナログ入力デバイスまたは出力デバイスの組み合わせを含んでよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のユーザ入力モジュール236は、動力工具100の外部のデバイス(例えば、ユーザの携帯電話)から無線で信号を受信してよい。
【0064】
コントローラ204は、動力工具100の故障状態が存在するかどうかを決定して、故障状態に関連する1つ以上の制御信号を生成するように構成されてよい。例えば、コントローラ204は、メモリ256内で動力工具100の動作のための所定の動作閾値および限界値を計算してよく、あるいはメモリ256内にそれらを含んでよい。例えば、潜在的な熱故障(例えば、FET、モータ208などの熱故障)がコントローラ204によって検出または予測されるならば、熱故障の可能性が低下するまで、モータ208への電力を制限または中断することができる。幾つかの実施形態において、動力工具100は、モータ208の失速状態を検出するように構成される。コントローラ204が動力工具100の1つ以上のそのような故障状態を検出するか、あるいは動力工具100の故障状態がもはや存在しないと決定するならば、コントローラ204は、情報および/または制御信号を動力工具100の別のコンポーネント(例えば、バッテリパックインターフェース114、インジケータ232など)に提供するように構成されてよい。信号は、例えば、動力工具のヒューズをトリップ(tripまたは開放したり(open)、スイッチをリセットしたり(reset)などするように構成されることができる。
【0065】
温度センサ228は、動力工具(例えば、モータ、駆動シャフト、インバータなど)の様々な温度を測定する。センサ224は、例えば、動力工具100の様々な他のパラメータを検出するための電圧センサ、電流センサ、速度センサ、位置センサ、運動センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニットなど)を含む。
【0066】
図3A~
図8は、モータ300またはその様々な部分を示す。モータ300は、動力工具100内でモータ208として働くブラシレスモータである。上述のように、モータ300は、ドリル/ドライバ、インパクトドライバ、および他のタイプの動力工具のような、他の動力工具と共に使用されてもよい。以下に詳細に説明するように、モータ300は、短縮された軸方向長さ、封止された空隙、ギアケースへの改良された取付けの、および改良されたワイヤルーティングおよびサポートを含むことができる。
【0067】
図3A~
図6に示すように、モータ300は、工具ハウジング内の他のコンポーネントのためのより小さな工具ハウジングおよび/または追加の空間を可能にする、軸方向長さの短縮を可能にすることができる構成(features)を含む。
図3A、
図4Aおよび
図5は、モータ300の切欠図を示し、
図3B、
図3C、
図4Bおよび
図6は、モータ300の斜視図を示す。モータ300は、ロータ302、前方ベアリング304、後方ベアリング306(ベアリング304、306と総称する)、モータ300のステータ包絡線310(ステータエンベロープ)(stator envelope)内の位置センサボードアセンブリ308、およびロータシャフト316を含む。
図5に示すように、ステータ包絡線310は、ロータ軸314の長さに沿ったステータコイル312の端間の空間である。ロータ302、ベアリング304、306、および位置センサボードアセンブリ308をステータ包絡線310内の凹所に置くことは、軸方向におけるよりコンパクトなモータ300を可能にする。幾つかの実施態様において、ベアリング304、306は、セラミックハイブリッドベアリング(例えば、窒化ケイ素ボールおよびステンレス鋼レース)である。
【0068】
本明細書において、軸方向とは、モータ300のロータシャフト316の長さに沿って(すなわち、中心軸に沿って)延びる方向を指す一方で、半径方向とは、ロータシャフト316の長さ(すなわち、中心軸)から半径方向に延びる方向を指す。ロータ302は、ステータ包絡線310内に完全に存在するように示されている。幾つかの実施形態では、ベアリング304、306および位置センサボードアセンブリ308も、ステータ包絡線310内に完全に存在する。幾つかの実施形態において、位置センサボードアセンブリ308は、ステータ包絡線310内に完全に存在するが、ベアリング304、306の一方または両方は、ステータ包絡線310の内側に部分的に存在し、ステータ包絡線310の外側に部分的に存在する。幾つかの実施形態において、ベアリング304、306は、ステータ包絡線310内に完全に存在するが、位置センサボードアセンブリ308は、ステータ包絡線310の内側および外側に部分的に存在する。幾つかの実施形態において、位置センサボードアセンブリ308および1つのベアリング(例えば、前方ベアリング304または後方ベアリング306のいずれか)は、ステータ包絡線310内に完全に存在する一方で、他のベアリング(例えば、前方ベアリング304または後方ベアリング306の他方)は、ステータ包絡線310の内側および外側に部分的に存在する。
【0069】
位置センサボードアセンブリ308は、モータ300の回転位置、速度、および加速度のうちの1つ以上を検出する位置センサ(例えば、ホール効果センサ)を含む。位置センサボードアセンブリ308は、コントローラ204を有する工具(ツール)(図示せず)内の制御PCBに電気的に結合される。
図4B、
図5、および
図6に示すように、位置センサボードアセンブリ308は、ロータシャフト316およびモータベアリングの一方(例えば、前方ベアリング304)の両方を受け入れる貫通穴を含む。位置センサボードアセンブリ308をステータ包絡線310内の凹所に置くことによって、ロータ磁石318は、位置センサとより近く接近させられ、それは、ロータ磁石318および/またはロータコア303を軸方向に延ばすことなく、ロータ位置の検出を向上させる。
【0070】
ロータ302は、一緒に積み重ねられたロータ積層体を有するロータコア、前方ロータエンドキャップ、および後方ロータエンドキャップを含むことがあり、ロータエンドキャップ間で軸方向に延びる幾つかの脚326を持つ。前方ロータエンドキャップは、脚326と一体的に形成される。後方ロータエンドキャップは、外周に沿って各脚326について1つの突起332を含む。各突起332は、前方ロータエンドキャップの対応する脚326の端(end)を受け入れる貫通穴334を含む。次に、脚326は、それらの対応する突起332とコールドステーキングされ、超音波溶接され、あるいは他の方法で接合されることがある。各ロータエンドキャップは、ベアリング304、306の一方が受け入れられるベアリング開口をさらに含む。ロータシャフト316、従って、ロータ302は、ロータエンドキャップ内に収容されるベアリング304、306によって支持される。ロータ302は、ロータコア303の前方端にある第1の面部分323、およびロータコア303の後方端にある第2の面部分325を追加的に含むことがある。第1の面部分323および第2の面部分325(面部分323、325と総称する)は、ロータエンクロージャ(ロータ囲い)(rotor enclosure)内に完全に存在する。面部分323、325は、ロータコア303の磁石受入孔内にロータ磁石318(
図7Aを参照)を保持する。幾つかの実施態様において、面部分323、325は、完全にステータ包絡線310内に完全に存在する。面部分323、325を面板と称することもある。
【0071】
モータ300は、永久磁石318を持つ内側ロータ302、およびロータ302を駆動するように選択的に通電されるコイル巻線を持つ外側ステータ338を含む。
図8を参照すると、外側ステータ338は、ステータ338の前方側にある第1のステータエンドキャップ342、およびステータ338の後方側にある第2のステータエンドキャップ344を有する、ステータフレーム339を含む。第1のステータエンドキャップ342および第2のステータエンドキャップ344は、単一部品(すなわち、ステータフレーム339)として一体的に形成されてよく、あるいは、代替的に、ステータフレーム339を一緒に形成する2つの別個の部品であってよい。ステータフレーム339は、射出成形プロセスによって、例えば、ステータ積層スタックを含むモールド(型)内に樹脂材料を注入することによって形成されてよい。従って、ステータフレーム339は、硬化樹脂で形成されたモノリシック構造であることがある。ステータ338は、ステータ積層体を含む。ステータ積層体およびステータフレーム339は、コイルが周囲に巻かれる歯346を含む。
図8に示すように、ステータ歯346の各歯の間には、ステータ338の半径方向内端に、間隙348(ギャップ)がある。
図7A~
図7Cに示すように、ロータエンクロージャの各脚326は、ステータ歯346の各歯の間の間隙348内に適合し、位置決めされる。従って、ステータ歯346の間の間隙348は、封止(シール)される。封止された間隙348は、汚染物(contaminants)および破片(debris)がロータ領域内に進むのを防止し、それは汚染物および破片がモータ300の損傷を潜在的に引き起こしあるいはモータ300の寿命を減少させることを防止する。脚326、ロータエンドキャップ、およびステータ歯346は、組み合わせにおいて、ロータ302を汚染物および破片から保護する封止されたロータ空間を提供する。加えて、幾つかの実施形態において、封止されたロータ空間は、ロータ回転のための乱流空間をより少なくして、モータ振動を減少させる。
【0072】
ステータフレーム339および関連するステータアセンブリは、ステータフレーム339の半径方向最内側端によって形成される内径352も含む(
図7Bを参照)。ステータフレーム339の内径352未満の直径を有するチャネルが、ステータフレーム339内に画定される。幾つかの実施態様において、ステータ338は、40ミリメートル(「mm」)から150mmの外径を有する。幾つかの実施態様において、ステータ338は、50mmの外径を有する。
【0073】
幾つかの実施形態において、位置センサは、ホール効果センサである。そのような実施形態において、ホール効果センサは、位置センサを通過するロータ磁石に起因する磁場の変化を検出することに応答して、出力信号を生成し、低レベル出力信号(例えば、OFF)と高レベル出力信号(例えば、ON)との間で遷移するように構成されてよい。ホール効果センサは、ホール効果センサの出力信号遷移の立ち上がり時間を短縮するために、抵抗低減プルアップ抵抗器(強いプルアップ抵抗器)で実装されてよい。その結果、モータ300は、より高い速度で作動させられることができ(例えば、コントローラ204によって、より高い速度で作動するように制御されることができ)、コントローラ204は、位置センサからの信号をより迅速に(例えば、1ミリ秒[「ms」]未満)処理することができる。
図9は、第1の時間期間に亘るホール効果センサ遷移を検出する強いプルアップ抵抗器を示す。
図10は、第2の時間期間に亘るホール効果センサ遷移を検出する弱いプルアップ抵抗器を示す。弱いプルアップ抵抗器(抵抗増加抵抗器)は、ホール効果センサ遷移の立ち上がり時間を延ばす。
図9に示すように、強いプルアップ抵抗器を使用することによってホール効果センサ遷移の立ち上がり時間を短縮することによって、コントローラ204は、位置センサからの信号をより迅速に処理することができる。
【0074】
図11~
図14に示すように、モータ300は、ギアケース400に接続される。ギアケース400は、1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多くのステージを含む、遊星ギアアセンブリ405を含んでよい。図示の実施形態において、遊星ギアアセンブリ405は、モータ300の前方に位置付けられる。図示の実施形態において、ギアケース400は、複数の遊星ギア410と噛み合わされる中央太陽ギア407を含む。図示されていないが、遊星ギア410はそれぞれ、ロータ302によって画定される軸を中心として回転するように構成されたギアキャリアのピンに取り付けられてよい。ロータ302は、太陽ギア407に接続され、太陽ギアを駆動するように構成される。(モータ300のロータ302によって直接駆動されて)太陽ギア407が回転すると、遊星ギア410は、それらのそれぞれのピンを中心として回転する。幾つかの実施態様において、遊星ギア410は、太陽ギア407が回転するにつれて、太陽ギア407を周回する。そのような実施形態では、ギアキャリアに接続され、遊星ギア410によって駆動される、出力シャフトは、ロータ302によって駆動される太陽ギア407の結果として回転する。次に、出力シャフトは、動力工具100の出力ユニット107(例えば、チャック)を駆動することがある。他の実施形態において、ギアキャリアは、静止しており、遊星ギア410は、結果として静止しており、太陽ギア407を周回しない。そのような実施態様において、ロータ302は、太陽ギア407を回転させ、それは、静止している遊星ギア410を回転させる。次に、遊星ギア410に接続された外輪ギアが回転して、トルクを出力シャフトおよび出力ユニット107に伝える。
【0075】
遊星ギアアセンブリ405を使用することによって、出力シャフトの速度およびトルクは、ギアアセンブリ405において使用されるギアのサイズおよび各ギアの歯の数に基づいて調整されることができる。従って、(モータ300のロータシャフト316によって直接駆動されて)太陽ギア407が回転すると、ギアキャリアは、比較的より低速で回転し、このようにして、ギアケース400は、ロータ302から出力ユニット107へトルク増加および速度減少を提供する。幾つかの実施態様では、17.22:1、20.00:1、または23.6:1のギア比が、高速モードのために使用される。幾つかの実施形態では、17.22:1および25:1のギア比が使用される。幾つかの実施形態では、15:1~25:1の範囲内の任意のギア比が使用される。幾つかの実施態様において、ギアアセンブリ405は、様々な公差定格(例えば、環状ベアリングエンジニアリング委員会[ABEC]1、3または7)を有するセラミックハイブリッドベアリング(例えば、窒化シリコンボールおよびステンレス鋼レース)を含む。
【0076】
モータ300の幾つかの実施形態は、以下のパラグラフで説明される。これらのモータの共通動作特性は、以下の通りである。各モータは、300RPM/msの速度スルーレート(speed slew rate)、2%/msのモータ電力スルーレート(motor power slew rate)、200Aのハードウェア過電流、20度の位相進行角、5,000の磁場弱化最小RPM、145度の最大伝導角、1kRPM当たり1度の伝導角勾配、最大トルクで120度の最小伝導角、40マイクロ秒(「μs」)(例えば、1μs~40μs)のホール効果センサ最大遷移時間、および(例えば、10kオームから低減された)1kオーム以下の抵抗値を有するモータに接続されたホール効果センサ用のプルアップ抵抗器を備えて構成される。これらの値は、所望の効果のために修正されることがある。例えば、速度スルーレートは200RPM/ms~400RPM/msの間で調整されることがあり、モータ電力スルーレートは1%/ms~3%/msの間で調整されることがあり、ハードウェア過電流は100A~300Aの間で調整されることがあり、位相進行角は10度~30度の間で調整されることがあり、磁場弱化最小RPMは4,000RPM~6,000RPMの間で調整されることがあり、最大伝導角は130度~180度の間で調整されることがあり、伝導角勾配は1kRPM当たり0°~1kRPM当たり2°の間で調整されることがあり、最大トルクでの最小伝導角は100度~140度の間で調整されることがあり、ホールセンサ最大遷移時間は20μs~60μsの間で調整されることがあり、ホール効果センサ用のプルアップ抵抗器の抵抗値は100オーム~2kオームの間で調整されることがあることが、想定される。
【0077】
第1の実施形態(37kモータ設計)において、モータ300は、少なくとも35,000毎分回転数(RMP)(例えば、37,000RPM)の無負荷速度を有し、ギアアセンブリは、17.22:1のギア比を使用する。この実施形態において、モータ300は、各ステータ歯346上に17.5AWGワイヤの12巻きを含む巻線を含む。第2の実施形態(43kモータ設計)において、モータ300は、少なくとも40,000RPM(例えば、43,000RPM)の無負荷速度を有し、ギアアセンブリは、20.00:1のギア比を使用する。この実施形態において、モータ300は、ステータ歯346の各歯上に17AWGワイヤの10巻きを含む巻線を含む。第3の実施形態(50kモータ設計)において、モータ300は、少なくとも45,000RPM(例えば、50,000RPM)の無負荷速度を有し、ギアアセンブリは、23.60:1のギア比を使用する。この実施形態において、モータ300は、各ステータ歯346上に16.5AWGワイヤの8巻きを含む巻線を含む。第1、第2、および第3の実施形態は、ネオジム磁石(例えば、N42M磁石)をロータ磁石318として使用することがあり、各実施形態におけるステータ338の巻線は、磁場の均一な分布を作り出し、トルクリップルを低減するために、漸進的分布で巻き付けられることがある。
【0078】
モータ300のこれらの実施形態(「修正モータ設計」)の各々は、13.60:1のギア比を使用するストックギアアセンブリ、ストックベアリング、漸進分布パターンにおけるステータ歯当たり0.9mm配線の18巻きを含むストックモータ、およびN42Mネオジムロータ磁石を含む、制御モータに対して試験された。モータ300の3つの実施形態の性能結果は、以下に記載される。
【0079】
図15A、
図15B、および
図15Cは、37kモータ設計、43kモータ設計、50kモータ設計、および修正されていない制御モータ設計の性能曲線を示しており、全ての設計は、磁場弱化が有効にされている。図示の各曲線は、モータ300に電力供給するために18Vの公称電圧を有するバッテリパックを使用して作成された。以下にさらに詳細に記載されるように、37k、43k、および50kモータ設計は、修正されていない制御モータ設計である限り、一定の負荷で作動することができなかった。従って、37k、43k、および50k設計の性能曲線1504、1506、および1508は、修正されていない制御モータ設計の性能曲線よりも短く進む。
【0080】
図15Aは、37k、43k、および50kモータ設計のための電流-トルク曲線を示す。各曲線は、モータ300に電力供給するために18Vの公称電圧を有するバッテリパックを使用して作成された。モータ設計のトルク出力は、一般に、速度の増加と共に減少する。モータ設計は、例えば、1インチオーガビットを有する動力工具100において高速および低トルクで有利に使用されることがあり、2-9/16インチ自動供給ドリルビットを使用するときには高トルクおよび低速で使用されることがある。
【0081】
37kモータ設計の性能曲線1504は、類似のトルクで(性能曲線1502として示される)修正されていない制御モータ設計よりも高い速度を一貫して達成する。しかしながら、43kモータ設計の性能曲線1506および50kモータ設計の馬力曲線1508は、比較的低いトルクおよび比較的高いトルクで修正されていない制御モータ設計よりも高い速度対トルク比を達成し、これらの設計は、25~40インチポンドのトルク範囲内で修正されていない制御モータ設計よりも低い速度を有した。37k、43k、および50kモータ設計の電流-トルク曲線1504A、1506A、1508Aは、修正されたモータ設計が、修正されていない制御モータ設計の電流-トルク曲線1502Aと比較されるときに、全てのトルクでより高い電流を引くことをそれぞれ示す。
【0082】
図15Bは、それぞれ、37k、43k、および50kモータ設計の出力電力-トルク曲線1504B、1506B、1508Bを示す。37kモータ設計の出力電力-トルク曲線1504Bは、類似のトルクで、(出力電力-トルク曲線1502Bとして示される)修正されていない制御モータ設計よりも高い出力電力を一貫して達成し、ピーク出力電力の6.4%増加を達成した。しかしながら、43kモータ設計の出力電力-トルク曲線1506B、および50kモータ設計の出力電力-トルク曲線1508Bは、比較的より高いトルクで、修正されていない制御モータ設計よりも高い出力電力-トルク比を達成する。具体的には、43kおよび50kモータ設計は、20~40インチポンドのトルク範囲内で、修正されていない制御モータ設計よりも低い出力を有した。
【0083】
図15Cは、37k、43k、および50kモータ設計の効率-トルク曲線1504C、1506C、1508Cをそれぞれ示す。修正されたモータ設計の効率-トルク曲線1504C、1506C、1508Cは、修正されたモータ設計が、全てのトルクに亘って、(出力電力-トルク曲線1502Cとして示される)修正されていないモータ制御設計よりも低い効率を一貫して有することを示す。しかしながら、修正されていない制御モータ設計と修正されたモータ設計との間の効率におけるギャップは、より高いトルクで狭い。37kモータ設計は、修正されていないモータ制御設計と比較して、ピーク効率における約11%の低下を見た。
【0084】
図16A、
図16B、および
図16Cは、37kモータ設計、43kモータ設計、50kモータ設計、および修正されていない制御モータ設計についての性能曲線を示し、全ての設計は、無効にされた磁場弱化を有する。各曲線は、モータ300に電力供給するために18Vの公称電圧を有するバッテリパックを使用して作成された。
【0085】
図16Aは、37kおよび43kモータ設計のための電流-トルク曲線を示す。モータ300のトルク出力は、一般に、速度が、修正されていない制御モータ設計、37kモータ設計、および43kモータ設計にそれぞれ対応する性能曲線1602、1604、および1606の各々について低下するにつれて、直線的に増加する。37kおよび43kモータ設計の性能曲線1604および1606は、類似のトルクで、修正されていない制御モータ設計よりも高い速度を一貫して達成する。37kおよび43kモータ設計の電流-トルク曲線1604Aおよび1606Aは、それぞれ、修正されたモータ設計が、修正されていない制御モータ設計の電流-トルク曲線1602Aと比較されるときに、全てのトルクでより高い電流を引くことを示す。
【0086】
図16Bは、修正されていない制御モータ設計、37kモータ設計、および43kモータ設計の電流-トルク曲線1602B、1604B、および1606Bをそれぞれ示す。37kおよび43kモータ設計の出力電力-トルク曲線1604Bおよび1606Bは、類似のトルクで、修正されていない制御モータ設計よりも高い出力電力を一貫して達成する。37kモータ設計は、修正されていない制御モータ設計と比較して、ピーク電力の約10%増加を達成する。
【0087】
図16Cは、修正されていない制御モータ設計、37kモータ設計、および43kモータ設計の効率-トルク曲線1602C、1604C、および1606Cをそれぞれ示す。修正されたモータ設計の効率-トルク曲線1604Cおよび1606Cは、修正されたモータ設計が、全てのトルクに亘って修正されていないモータ制御設計よりも低い効率を有することを示す。しかしながら、修正されていない制御モータ設計と修正されたモータ設計との間の効率におけるギャップは、より高いトルクで狭い。具体的には、効率-トルク曲線1604C(37kモータ設計)および1602C(修正されていない制御モータ設計)は、約90インチポンドのトルクで等しい。37kモータ設計は、修正されていない制御モータ設計と比較してピーク効率における約7.9%減少を見るにすぎない。
【0088】
図17A、
図17B、および
図17Cは、他の点では修正されていない制御モータ設計および37kモータ設計についての性能曲線を示し、両者とも0.35mmまたは0.2mmのステータ積層厚を使用する。各曲線は、モータ300に電力供給するために18Vの公称電圧を有するバッテリパックを使用して作成された。性能曲線1702および1703は、0.35mmおよび0.2mmの積層厚をそれぞれ使用する他の点では修正されていない制御モータ設計の性能を示し、性能曲線1704および1706は、0.35mmおよび0.2mmの積層厚をそれぞれ使用する37kモータ設計の性能を示す。
【0089】
図17Aは、0.35mmおよび0.2mmの積層厚を使用する37kモータ設計の電流-トルク曲線を示す。モータ300のトルク出力は、一般に、修正されていない制御モータ設計にそれぞれ対応する性能曲線1702および1703の各々についてならびに37kモータ設計に対応する馬力曲線1704および1706の各々について、速度が低下するにつれて増加する。37kモータ設計の電流-トルク曲線1704Aおよび1706Aは、それぞれ、修正されたモータ設計が、修正されていない制御モータ設計の電流-トルク曲線1702Aおよび1703Aと比較されるときに、積層厚に関係なく、全てのトルクでより高い電流を引くことを示す。
【0090】
図17Bは、他の点では修正されていない制御モータ設計の電流-トルク曲線1702Bおよび1703Bならびに37k設計の電流-トルク曲線1704Bおよび1706Bをそれぞれ示す。37kモータ設計の出力電力-トルク曲線1704Bおよび1706Bは、類似のトルクで(出力電力-トルク曲線1702Bおよび1703Bとして示される)修正されていない制御モータ設計よりも高い出力電力を一貫して達成する。
【0091】
図17Cは、修正されていない制御モータ設計の効率-トルク曲線1702Cおよび1703Cならびに37kモータ設計の効率-トルク曲線1704Cおよび1706Cをそれぞれ示す。37kモータ設計の効率-トルク曲線1704Cおよび1706Cは、37kモータ設計が、積層厚に関係なく、全てのトルクに亘って修正されていないモータ制御設計よりも低い効率を一貫して有することを示す。しかしながら、修正されていない制御モータ設計と修正されたモータ設計との間の効率におけるギャップは、より高いトルクでは狭い。具体的には、効率-トルク曲線1704C(37kモータ設計)および1703C(修正されていない制御モータ設計)は、約100インチポンドのトルクで交差する。
【0092】
図18Aおよび
図18Bは、一定の70インチポンド負荷の下での、他の点で修正されていない制御モータ設計の2つの変形について、ステータ338、ロータ302、およびコイル312についての熱曲線を示す。
図18Aの熱曲線は、0.35mmの厚さを有するステータ積層体を使用する、他の点では修正されていない制御モータ設計の熱的性能を表す一方で、
図18Bの熱曲線は、0.2mmの厚さを有するステータ積層体を使用する、他の点では修正されていない制御モータ設計の熱的性能を表す。両方のセットの熱曲線は、モータ300の両方の変動が約2分停止することを示す。具体的には、約120秒前後で、ステータ338のコイル1、コイル2、およびコイル3についてのコイル温度曲線1802A、1804A、および1806Aは、徐々に衰え、モータ300が停止したことを示す。同様に、ステータ338のコイル1、コイル2、およびコイル3についての1802B、1804B、および1806Bは、約135秒前後で徐々に衰える。
図18Aおよび18Bの両方において、ステータ温度曲線1808Aおよび1808Bならびにロータ温度曲線1810Aおよび1810Bは、ステータ338のコイル312が冷えるにつれて加熱し続ける。しかしながら、モータ300の0.2mm積層体変動のステータ温度曲線1808Bおよびロータ温度曲線1810Bは、モータ300の0.35mm積層体変動のステータ温度曲線1808Aおよびロータ温度曲線1810Aよりも7℃高く上昇する。
【0093】
図19Aおよび
図19Bは、一定の70インチポンドの負荷下での37kモータ設計の2つの変形のためのステータ338、ロータ302、およびコイル312についての熱曲線を示す。
図19Aの熱曲線は、0.35mmの厚さを有するステータ積層体を使用する37kモータ設計の熱的性能を表す一方で、
図18Bの熱的曲線は、0.2mmの厚さを有するステータ積層体を使用する37kモータ設計の熱的性能を表す。両方のセットの熱曲線は、モータ300の両方の変動が2分前後停止することを示す。具体的には、約120秒前後で、ステータ338のコイル1、コイル2、およびコイル3についてのコイル温度曲線1902A、1904A、および1906Aは、徐々に衰えて、モータ300が停止したことを示す。同様に、ステータ338のコイル1、コイル2、およびコイル3についての1902B、1904B、および1906Bも、120秒前後で徐々に衰える。
図19Aおよび
図19Bの両方において、ステータ温度曲線1908Aおよび1908Bならびにロータ温度曲線1910Aおよび1910Bは、コイル312が冷えるにつれて加熱し続ける。しかしながら、モータ300の0.2mm積層体変動のステータ温度曲線1908Bおよびロータ温度曲線1910Bは、モータ300の0.35mm積層体変動のステータ温度曲線1908Aおよびロータ温度曲線1910Aよりも19℃低いままであった。37kモータ設計も、
図18Aおよび
図18Bの修正されていない制御モータ設計よりもかなり低い温度を示した。
【0094】
図20Aは、修正されていない制御モータ設計、ならびに37k、43K、および50kモータ設計のためのピーク電力入力での電力出力および電力損失を棒グラフとして示す。
図20Aを参照すると、各モータ設計のための電力入力は、電力損失部分2001A、2001B、2001C、および2001Dをそれらの対応する電力出力部分2003A、2003B、2003C、および2003Dに加えることによって決定されることができる。修正されていない制御モータ設計の入力電力は、ほぼ1500Wであり、37kモータ設計の入力電力は、ほぼ1570Wであり、43kモータ設計の入力電力は、ほぼ1600Wであり、50kモータ設計の入力電力は、ほぼ1630Wである。棒グラフは、一般に、モータ設計の無負荷RPMが高ければ高いほど、そのモータ設計に必要な電力入力がより高いことを示す。しかしながら、モータ設計の無負荷速度が高ければ高いほど、電力損失はより低く、電力要求は、より一定である。
【0095】
図20Bは、修正されていない制御モータ設計ならびに37k、43K、および50kモータ設計についてのピーク電力損失を棒グラフとして示す。修正されていない制御モータ設計、37kモータ設計、43kモータ設計、および50kモータ設計のベアリング損失(例えば、ベアリング304、306における摩擦および熱に起因する)2002A、2002B、2002C、および2002D、鉄損失(例えば、ステータ338の積層体におけるヒステリシス、渦電流などに起因する)2004A、2004B、2004C、および2004Dは、それぞれ、モータ設計の無負荷速度が増加するにつれて増加する。同様に、37kモータ設計、43kモータ設計、および50kモータ設計のファン損失(例えば、ファン上の空気ドラグに起因する)2008B、2008C、および2008Dは、それぞれ、モータ設計の速度が増加するにつれて増加する。ファン損失は、修正されていない制御モータ設計では無視できた。しかしながら、モータ設計の抵抗損失(例えば、電気抵抗に起因する)2006A、2006B、2006Cおよび2006Dは、それぞれのモータ設計の速度が増加するにつれて減少する。
【0096】
図21は、修正されていない制御装置、37k、43K、および50kモータ設計についての無負荷損失を棒グラフとして示す。修正されていない制御モータ設計、37kモータ設計、43Kモータ設計、および50kモータ設計のベアリング損失2102A、2102B、2102C、および2102D、鉄損失2104A、2104B、2104C、および2104D、抵抗損失2106A、2106B、2106C、および2106D、ならびにファン損失2108A、2108B、2108C、および2108Dは、それぞれ、モータ設計の無負荷速度が増加するにつれて増加する。
【0097】
図22Aおよび
図22Bは、1インチのオーガビットで2×4スプルース-マツ-モミ(spruce-pine-fir)(SPF)ワークピースを貫通して穿孔するために18Vバッテリパックによって電力供給されるときの、修正されていない制御装置、37kおよび43Kモータ設計のための適用速度およびRMS電流を示す。
図22Cおよび22Dは、2~9/16インチの自己供給ドリルビットで2×4SPFワークピースを貫通して穿孔するために18Vバッテリパックによって電力供給されるときの、修正されていない制御装置、37k、43Kおよび50kモータ設計のための適用速度およびRMS電流を示す。
【0098】
図22Aを参照すると、37kおよび43kモータ設計の適用速度は、両方とも、修正されていない制御モータ設計の適用時間よりも約13%速い。具体的には、修正されていない制御モータ設計は、1.24秒の適用時間を有した一方で、37kおよび43kモータ設計の適用時間は、それぞれ、1.08秒および1.09秒であった。
図22Bを参照すると、(1インチのオーガビットで2×4SPFワークピースを貫通して穿孔するために18Vバッテリパックによって電力供給される動力工具100で使用されるときの)37kモータ設計のRMS電流は、同じタスクを実行する間に、修正されていない制御モータ設計のRMS電流よりも47%高く、43kモータ設計のRMS電流は、同じタスクを実行する間に、修正されていない制御モータ設計よりも67%高かった。具体的には、修正されていない制御モータ設計のRMS電流は、36Aであった一方で、37kおよび43kモータ設計のRMS電流は、それぞれ、53Aおよび60Aであった。
【0099】
図22(C)を参照すると、37kモータ設計の適用速度は、修正されていない制御モータ設計の適用時間よりも約14%速かった。具体的には、修正されていない制御モータ設計は、2.15秒の適用時間を有した一方で、37kモータ設計の適用時間は、1.84秒であった。しかしながら、43kおよび50kモータ設計の適用速度は、修正されていない制御モータ設計の適用速度よりも僅かに遅かった。具体的には、43kモータの設計は、2.28秒の適用速度で6%より遅く、50kモータ設計は、2.64秒の適用速度で23%より遅かった。
図22Dを参照すると、(2~9/16インチの自己供給ドリルビットで2×4SPFワークピースを貫通して穿孔するために18Vバッテリパックによって電力供給される動力工具100で使用されるときの)37kモータ設計のRMS電流は、同じタスクを実行する間に、修正されていない制御モータ設計のRMS電流よりも25%高かった。同じタスクのための43kモータ設計のRMS電流は、修正されていない制御モータ設計より35%高く、50kモータ設計のRMS電流は、44%より高かった。具体的には、修正されていない制御モータ設計のRMS電流は、77Aであった一方で、37k、43k、および50kモータ設計のRMS電流は、それぞれ、96A、104A、および111Aであった。
【0100】
図23Aは、2×4インチのSPFワークピース上で2.0Ahおよび5.0Ah定格のバッテリパックをおよび1インチのオーガビット有する18Vを有する動力工具100で使用される、修正されていない制御装置、37kおよび43kモータ設計のランタイム(実行時間)(run time)を示す。各モータ設計は、バッテリパック限界の故に停止するまで実行された。ほとんどの場合において、試験は、より速いモータ速度が、一般に、バッテリの熱耐久性の低下をもたらすが、モータの熱耐久性の改良をもたらすことを見出した。具体的には、修正されていない制御モータ設計の2.0Ahランタイム2302Aおよび5.0Ahランタイム2303Aは、37kモータ設計の2.0Ahランタイム2304Aおよび5.0Ahランタイム2305Aよりも長く、それは比較的短い時間でそのバッテリ限界(例えば、最大閾値を超える電流または温度)に到達した。同様に、43kモータ設計の2.0Ahランタイム2306Aおよび5.0Ahランタイム2307Aは、同様の理由により、修正されていない制御モータ設計のランタイムよりも短い。
【0101】
図23Bは、2×4インチのSPFワークピース上で2.0Ah、5.0Ah、および6.0Ah定格を有する18Vバッテリパックを有し、2~9/16インチの自己供給ドリルビットを有する、動力工具100で使用される、修正されていない制御装置、37kモータ設計、および43kのモータ設計のランタイムを示す。バー2301B、2302B、および2303Bは、それぞれ、修正されていない制御モータ設計に関連し、バー2304Bおよび2305Bは、37kモータ設計に関連し、バー2306Bおよび2307Bは、43kモータ設計に関連する。バー2301B、2302B、2303B、2304B、2305B、2306B、および2307Bの各々は、他の理由で停止する6.0Ahバッテリによって電力供給される修正されていない制御モータ設計および37kモータ設計を表すバー2303Bおよび2305Bの場合を除き、バッテリ限界の故に停止するまで運転されるモータ設計を表す。バー2303Bおよび2305Bを考慮から除くと、モータ設計の各々は、それらの最高速度が増加するにつれて比較的より短い時間期間で走行した。この観察の例外は、バー2306Bと比較されるときのバー2304Bの場合である。
【0102】
図24A、
図24B、および
図24Cは、18V 5.0Ahバッテリパックによって電力供給されかつ自己供給ドリルビットを使用する動力工具100における修正されていない制御装置、37kモータ設計、および43Kモータ設計の熱プロファイルを示す。図示のプロファイルの各々において、モータ設計は、バッテリが最大温度閾値を超えるその温度の故に故障するまで試験された。各プロファイルは、同じファンおよび通気構成(venting)を使用した。
【0103】
曲線2402A、2402B、および2402Cは、2×4インチのSPFワークピースに適用されたときに、修正されていない制御装置、37kモータ設計.および43kモータ設計によってそれぞれ引き出された電流に起因する電流増加を示す。曲線2406A、2408A、2410A、2406B、2408B、2410B、2406C、2408C、および2410Cは、ステータ338のコイル312の温度を示す一方で、曲線2404A、2404B、および2404Cは、ステータ338自体の温度を示す。
【0104】
37kおよび43kモータ設計のコイル312は、修正されていない制御モータ設計のコイル312よりも長く、より低温で動作した。具体的には、(37kおよび43kモータ設計に対応する)曲線2406B、2408B、2410B、2406C、2408C、および2410Cは、全て、平均して、20穴マーク付近(各プロファイルにおいて100秒マーク付近)の修正されていない制御モータ設計の曲線2406A、2408A、および2410Aよりも50~60℃前後冷たい。これは、モータ設計の速度を増加させることが、単にバッテリ熱の増加という犠牲を払うだけで、モータ300の熱容量を拡張することを示す。
【0105】
図25A、
図25B、および
図25Cは、18V 6.0Ahバッテリパックによって電力供給されかつ自己供給ドリルビットを使用する動力工具100における修正されていない制御装置、37kモータ設計、および43Kモータ設計のための熱プロファイルを示す。修正されていない制御装置は、モータ300がその温度限界に達するまで実行され、37kモータ設計は、バッテリパックが最大温度閾値を超えるその温度の故に故障するまで実行される一方で、43kモータ設計は、停止がさらなるデータ収集を妨げるまで実行された。各プロファイルは、同じファンおよび通気構成を使用した。
【0106】
曲線2502A、2502B、および2502Cは、2×4インチのSPFワークピースに適用されるときに、修正されていない制御装置、37kモータ設計、および43kモータ設計によってそれぞれ引き出された電流の増加に起因する電流の増加を示す。曲線2506A、2508A、2510A、2506B、2508B、2510B、2506C、および2510Cは、ステータ338のコイル312の温度を示す一方で、曲線2504A、2504B、および2504Cは、ステータ338自体の温度を示す。
【0107】
37kおよび43kモータ設計のコイル312は、修正されていない制御モータ設計のコイル312よりも長く、より低温で動作した。具体的には、(37kおよび43kモータ設計に対応する)曲線2506B、2508B、2510B、2506C、および2510Cは、全て、平均して、各プロファイルにおいて150秒マーク付近の修正されていない制御モータ設計の曲線2506A、2508A、および2510Aよりも40~50℃前記低温である。これは、モータ設計においてトレードオフがあることを示す。具体的には、これは、モータ設計の速度を増加させることが、バッテリ熱に伴う問題の増加という犠牲を払って、モータ300の熱容量を拡張することを示す。
【0108】
(代表的な構成)
代表的な構成は、以下の条項に示されており、それらは、単独で存在するか、あるいは、本明細書の本文および/または図面に開示されている1つ以上の構成と任意の組み合わせにおいて組み合わされてよい。
【0109】
条項1。ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、少なくとも35,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する、ハウジング内の電気モータであって、ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータと、含む、電気モータと、電気モータの動作速度を制御するように構成されるコントローラと、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、ホール効果センサと、を含み、ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、動力工具。
【0110】
条項2。ホール効果センサの遷移時間は、40マイクロ秒以下である、条項1に記載の動力工具。
【0111】
条項3。ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する、条項1または2に記載の動力工具。
【0112】
条項4。電気モータは、ベアリングを含み、ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む、条項1~3のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0113】
条項5。ステータ積層体は、0.2ミリメートルの厚さを有する、条項4に記載の動力工具。
【0114】
条項6。電気モータは、少なくとも37,000RPMの無負荷動作速度を有する、条項1~5のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0115】
条項7。当該動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む、条項1~6のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0116】
条項8。ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、少なくとも40,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する、ハウジング内の電気モータであって、ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータと、を含む、電気モータと、電気モータに接続され、モータの動作速度を制御するように構成される、コントローラと、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、ホール効果センサと、を含み、ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間を遷移するように構成される、動力工具。
【0117】
条項9。ホール効果センサの遷移時間は、40マイクロ秒以下である、条項8に記載の動力工具。
【0118】
条項10。ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する、条項8または9に記載の動力工具。
【0119】
条項11。電気モータは、ベアリングを含み、ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む、条項8~10のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0120】
条項12。ステータ積層体は、0.2ミリメートルの厚さを有する、条項11に記載の動力工具。
【0121】
条項13。電気モータは、少なくとも43,000RPMの無負荷動作速度を有する、条項8~12のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0122】
条項14。当該動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む、条項8~13のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0123】
条項15。ハウジングと、バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、少なくとも45,000毎分回転数(RPM)の無負荷動作速度を有する、ハウジング内の電気モータであって、ステータ歯を有するステータコアと、ステータ積層体とを含む、ステータと、ロータシャフトと、ロータ磁石とを含む、ロータと、を含む、電気モータと、電気モータに接続され、モータの動作速度を制御するように構成される、コントローラと、コントローラに接続され、ロータ磁石を感知することに応答して低レベル出力信号と高レベル出力信号との間で遷移するように構成される、ホール効果センサと、を含み、ホール効果センサは、1ミリ秒未満の最大遷移時間で低レベル出力信号と高レベル出力信号との間を遷移するように構成される、動力工具。
【0124】
条項16。ホール効果センサの遷移時間は、40マイクロ秒以下である、条項15に記載の動力工具。
【0125】
条項17。ホール効果センサのためのプルアップ抵抗器が、1kΩ以下の抵抗を有する、条項15または16に記載の動力工具。
【0126】
条項18。電気モータは、ベアリングを含み、ベアリングは、窒化ケイ素ボールと、ステンレス鋼レースとを含む、条項15~17のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0127】
条項19。電気モータは、少なくとも50,000RPMの無負荷動作速度を有する、条項15~18のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0128】
条項20。当該動力工具は、15:1~25:1の範囲内のギア比を有する遊星ギアアセンブリを含む、条項15~19のうちのいずれか1項に記載の動力工具。
【0129】
よって、本明細書に記載される実施形態は、とりわけ、高速モータを含む動力工具を提供する。様々な構成および利点は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【外国語明細書】