(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170338
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、及び情報機器
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
G02B5/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024162206
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2023217551の分割
【原出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2023000424
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
(57)【要約】
【課題】輝度均一性を維持しつつ輝度向上の可能な光拡散シートを提供する。
【解決手段】光拡散シート43Bは、略逆四角錐状の複数の第1凹部105Bが設けられた第1面S1と、略逆四角錐状の複数の第2凹部105Cが設けられた第2面S2とを有する。複数の第1凹部105Bの頂角は、75°以上115°以下であり、複数の第2凹部105Cの頂角は、60°以上175°以下である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有するバックライトユニットに用いられる光拡散シートであって、
略逆四角錐状の複数の第1凹部が設けられた第1面と、略逆四角錐状の複数の第2凹部が設けられた第2面とを有し、
前記第1面は入光面であり、前記第2面は出光面であり、
前記複数の第1凹部の配列ピッチは、200μm以上であり、
前記複数の第1凹部の深さは、前記複数の第2凹部の深さよりも深く、
前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上105°以下であり、
前記複数の第2凹部の頂角は、105°以上175°以下であり(但し、前記複数の第1凹部の頂角が90°以上100°以下で且つ前記複数の第2凹部の頂角が170°以上175°以下の範囲を除く)、
前記複数の第2凹部の頂角は、前記複数の第1凹部の頂角よりも大きい、
光拡散シート。
【請求項2】
前記複数の第1凹部の頂角は、80°以上100°以下である、
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記複数の第2凹部の頂角は、110°以上170°以下である、
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
複数の光源を有するバックライトユニットに用いられる光拡散シートであって、
略逆四角錐状の複数の第1凹部が設けられた第1面と、略逆四角錐状の複数の第2凹部が設けられた第2面とを有し、
前記第1面は入光面であり、前記第2面は出光面であり、
前記複数の第1凹部の配列ピッチは、200μm以上であり、
前記複数の第1凹部の深さは、前記複数の第2凹部の深さよりも深く、
前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上105°以下であり、
前記複数の第2凹部の頂角は、95°以上175°以下であり(但し、前記複数の第1凹部の頂角が90°以上100°以下で且つ前記複数の第2凹部の頂角が170°以上175°以下の範囲を除く)、
前記複数の第2凹部の頂角は、前記複数の第1凹部の頂角よりも大きい、
光拡散シート。
【請求項5】
複数の光源を有するバックライトユニットに用いられる光拡散シートであって、
略逆四角錐状の複数の第1凹部が設けられた第1面と、略逆四角錐状の複数の第2凹部が設けられた第2面とを有し、
前記第1面は入光面であり、前記第2面は出光面であり、
前記複数の第1凹部の配列ピッチは、200μm以上であり、
前記複数の第1凹部の深さは、前記複数の第2凹部の深さよりも深く、
前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上115°以下であり、
前記複数の第2凹部の頂角は、100°以上150°以下であり、
前記複数の第2凹部の頂角は、前記複数の第1凹部の頂角よりも大きい、
光拡散シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、及び情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末などの各種情報機器の表示装置として、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)が広く利用されている。液晶ディスプレイのバックライトとしては、光源が液晶パネルの背面に配置される直下型方式が主流となっている。
【0003】
直下型バックライトでは、LED(Light Emitting Diode)等の光源からの光を拡散させて画面全体に亘って輝度や色度を均一化するために、光拡散シートが用いられている(特許文献1参照)。ノートブックやタブレット端末などの薄型ディスプレイでは、光拡散シートの片面に逆ピラミッド状の凹部を設けて光を拡散させている場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光拡散シートには、液晶ディスプレイの画面直下にLEDを分散配置しても画面全体が均一に発光して見える光拡散性能(輝度均一性)が求められると共に、液晶ディスプレイの省エネルギー化のために画面の輝度を向上させることが求められる。ところが、通常、光拡散シートにおいて輝度均一性向上と輝度向上とは互いにトレードオフの関係にある。
【0006】
本開示は、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる光拡散シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本開示に係る光拡散シートは、略逆四角錐状の複数の第1凹部が設けられた第1面と、略逆四角錐状の複数の第2凹部が設けられた第2面とを有する。前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上105°以下であり、前記複数の第2凹部の頂角は、105°以上175°以下である。
【0008】
本開示に係る光拡散シートによると、75°以上105°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第1凹部が設けられた第1面と、105°以上175°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第2凹部が設けられた第2面との間での光の多重反射の作用によって、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる。
【0009】
尚、本開示において、「光拡散シート」は、板状の「光拡散板」や膜状の「光拡散フィルム」を包含するものとする。
【0010】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の第1凹部の頂角は、80°以上100°以下であると、輝度均一性をより一層向上させることができる。
【0011】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の第2凹部の頂角は、110°以上170°以下、好ましくは120°以上160°以下であると、輝度均一性をより一層向上させることができる。
【0012】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の第1凹部の配列ピッチは、200μm以上であり、前記複数の第1凹部の深さは、前記複数の第2凹部の深さよりも深くてもよい。このように、75°以上105°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第1凹部を大きく設けることにより、輝度低下を抑制しつつ輝度均一化を促進することが可能となる。
【0013】
本開示に係るバックライトユニットは、液晶表示装置に組み込まれ、複数の光源から発せられた光を表示画面に導くバックライトユニットであって、前記表示画面と前記複数の光源との間に、前述の本開示に係る光拡散シートを備える。
【0014】
本開示に係るバックライトユニットによると、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる光拡散シートを用いるため、輝度均一性に優れ且つ明るい画面の表示が可能となる。
【0015】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記複数の光源は、青色光源であり、前記表示画面と前記複数の光源との間に、前記光の波長を変換する色変換シートを備えてもよい。このようにすると、白色光源を用いる場合と比較して、バックライトユニットのコストを低減することができる。尚、前記色変換シートを、前記表示画面と前記光拡散シートとの間に配置する場合は、前記光拡散シートを、前記第2面を前記色変換シートの方に向けて(つまり前記第1面を入光面として)配置し、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させる。一方、前記色変換シートを、前記光拡散シートと前記複数の光源との間に配置する場合も、前記光拡散シートを、前記第2面を前記色変換シートの方に向けて(つまり前記第1面を出光面として)配置し、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させる。
【0016】
本開示に係る液晶表示装置は、前述の本開示に係るバックライトユニットと、液晶表示パネルとを備える。
【0017】
本開示に係る液晶表示装置によると、前述の本開示に係るバックライトユニットを備えるため、輝度均一性に優れ且つ明るい画面の表示が可能となる。
【0018】
本開示に係る情報機器は、前述の本開示に係る液晶表示装置を備える。
【0019】
本開示に係る情報機器によると、前述の本開示に係る液晶表示装置を備えるため、輝度均一性に優れ且つ明るい画面の表示が可能となる。
【0020】
尚、本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上105°以下であり、前記複数の第2凹部の頂角は、105°以上175°以下であるとしたが、これに代えて、前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上105°以下であり、前記複数の第2凹部の頂角は、60°以上175°以下、好ましくは95°以上175°以下であってもよい。このようにすると、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度を向上させることができる。或いは、本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の第1凹部の頂角は、75°以上115°以下であり、前記複数の第2凹部の頂角は、65°以上155°以下であってもよい。このようにすると、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によると、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる光拡散シート、並びに、当該光拡散シートを用いたバックライトユニット、液晶表示装置、及び情報機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図2】実施形態に係るバックライトユニットの断面図である。
【
図3】実施形態に係る光拡散シート(片面ピラミッド)の構成の一例を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係る光拡散シート(両面ピラミッド)の構成の一例を示す断面図である。
【
図5】実施形態に係る光拡散シートの斜視図である。
【
図6】実施形態に係る光拡散シートに設けられた凹部の平面構成及び断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態)
以下、実施形態に係る光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、及び情報機器について、図面を参照しながら説明する。尚、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0024】
<液晶表示装置>
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の断面構成の一例を示す。
【0025】
図1に示すように、液晶表示装置50は、液晶表示パネル5と、液晶表示パネル5の下面に貼付された第1偏光板6と、液晶表示パネル5の上面に貼付された第2偏光板7と、液晶表示パネル5の背面側に第1偏光板6を介して設けられたバックライトユニット40とを備えている。液晶表示パネル5は、互いに対向するように設けられたTFT基板1及びCF基板2と、TFT基板1とCF基板2との間に設けられた液晶層3と、TFT基板1とCF基板2との間に液晶層3を封入するために枠状に設けられたシール材(図示省略)とを備える。
【0026】
液晶表示装置50の表示画面50aを正面(
図1の上方)から見た形状は、長方形又は正方形であってもよいし、或いは、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネルなどの任意の形状であってもよい。
【0027】
液晶表示装置50では、各画素電極に対応する各サブ画素において、液晶層3に所定の大きさの電圧を印加して液晶層3の配向状態を変える。これにより、バックライトユニット40から第1偏光板6を介して入射した光の透過率が調整される。透過率が調整された光は第2偏光板7を介して出射されて画像が表示される。
【0028】
本実施形態の液晶表示装置50は、種々の情報機器(例えばカーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、現金自動預け払い機など)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0029】
TFT基板1は、例えば、ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、各TFTを覆うように設けられた層間絶縁膜と、層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。CF基板2は、例えば、ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルターと、ブラックマトリクス及びカラーフィルターを覆うように設けられた共通電極と、共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。液晶層3は、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される。第1偏光板6及び第2偏光板7は、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える。
【0030】
<バックライトユニット>
図2は、本実施形態に係るバックライトユニットの断面構成の一例を示す。
【0031】
バックライトユニット40は、
図2に示すように、主として、複数の光源42と、各光源42の上側に設けられた光拡散シート43とを備える。複数の光源42は、反射シート41上に2次元状に配置されてもよい。各光源42は、例えば白色光源や青色光源であってもよい。光拡散シート43は、複数枚配置してもよい。本例では、光拡散シート43として、光源42に近い方から順に、第1光拡散シート43Aと、第2光拡散シート43Bとを積層して配置する。第1光拡散シート43Aの入光面には、略逆四角錐状の複数の凹部105(凹部105A)が設けられ、第1光拡散シート43Aの出光面は、マット面又は平坦面である。第2光拡散シート43Bの入光面及び出光面にはそれぞれ、略逆四角錐状の複数の凹部105(第1凹部105B及び第2凹部105C)が設けられる。光拡散シート43の詳細については後述する。
【0032】
本例では、各光源42として、青色光源を用いるので、光拡散シート43の上側に色変換シート44を配置する。色変換シート44は、光源42が発した光の色を変換する。色変換シート44は、各光源42と光拡散シート43との間に配置してもよいし、或いは、光拡散シート43同士の間に配置してもよい。
【0033】
光拡散シート43の上側には、輝度を向上させるための輝度向上シートとして、第1プリズムシート45及び第2プリズムシート46を順次配置してもよい。第2プリズムシート46の上側には、プリズムシート45、46に起因する輝度ムラを抑制するために、上用光拡散シート47を配置してもよい。
【0034】
[反射シート]
反射シート41は、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、銀蒸着フィルム等により構成される。
【0035】
[光源]
光源42の種類は特に限定されないが、例えばLED素子やレーザー素子等であってもよく、コスト、生産性等の観点からLED素子を用いてもよい。光源42は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm以上(好ましくは50μm以上)10mm以下(好ましくは5mm以下)であってもよい。光源42としてLED素子を用いる場合、複数のLED素子(LEDチップ)を一定の間隔で2次元マトリクス状に反射シート41上に配置してもよい。光源42となるLED素子の出光角度特性を調節するために、LED素子にレンズを装着してもよい。光源42の配置数も特に限定されないが、複数の光源42を分散配置する場合は、反射シート41上に規則的に配置することが好ましい。規則的に配置するとは、一定の法則性をもって配置することを意味し、例えば、光源42を等間隔で配置する場合が該当する。等間隔で光源42を配置する場合、隣り合う2つの光源42の中心間距離は、0.5mm以上(好ましくは2mm以上)20mm以下であってもよい。
【0036】
光源42が青色光源である場合、例えば、CIE1931の色度座標においてx<0.24、y<0.18の光を発する青色LED素子を用いてもよい。光源42が白色光源である場合、白色光源は、ピーク波長が青色領域のLED素子と、ピーク波長が緑色領域のLED素子と、ピーク波長が赤色領域のLED素子とから構成され、例えばCIE1931の色度座標において0.24<x<0.42、0.18<y<0.48の光を発してもよい。
【0037】
[光拡散シート]
光拡散シート43は、光源42から入射される光線を拡散させる。
図2に示すバックライトユニット40では、光拡散シート43を2枚用いた構成、具体的には、光源42に近い方から第1光拡散シート43A及び第2光拡散シート43Bを積層して配置した構成を例示した。しかし、これに代えて、光源42に近い方から第2光拡散シート43B及び第1光拡散シート43Aを積層して配置してもよい。或いは、光拡散シート43として、第2光拡散シート43Bのみを用いてもよいし、第2光拡散シート43Bを含む3枚以上の光拡散シート43を積層して用いてもよい。
【0038】
光拡散シート43を構成するマトリックス樹脂は、光を透過させる材料で構成されていれば、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロールアセテート、ポリイミド等であってもよい。光拡散シート43の厚さも、特に限定されないが、例えば、50μm以上3mm以下であってもよい。光拡散シート43の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる一方、光拡散シート43の厚さが50μmを下回ると、十分な光拡散効果を得ることが難しくなる。光拡散シート43を複数枚用いる場合、合計厚さが数百μm~数mm程度であってもよい。光拡散シート43は、フィルム状であってもよいし、プレート(板)状であってもよい。光拡散シート43のさらに詳細な構成や製法については後述する。
【0039】
[色変換シート]
色変換シート44は、光源42からの光(例えば青色の光)を、任意の色(例えば緑色や赤色)の波長をピーク波長とする光に変換する。色変換シート44は、例えば、波長450nmの青色光を、波長540nmの緑色光と波長650nmの赤色光に変換する。この場合、波長450nmの青色光を発する光源42を用いると、色変換シート44によって青色光が部分的に緑色光と赤色光に変換されるので、色変換シート44を透過した光は白色光になる。色変換シート44としては、例えばQD(量子ドット)シートや蛍光シート等を用いてもよい。
【0040】
色変換シート44の下側に波長選択シートをさらに配置してもよい。波長選択シートは、光源42の発光波長を持つ光(例えば青色の光)を選択的に透過し、その他の波長を持つ光を反射する。このようにすると、色変換シート44により波長が変化した光は、色変換シート44よりも上方にしか進めないようにすることができる。
【0041】
色変換シート44は、光源42と第1プリズムシート45との間の任意の位置に配置可能である。光源42として白色光源を用いる場合、色変換シート44は配置不要である。
【0042】
[プリズムシート]
第1プリズムシート45及び第2プリズムシート46は、光拡散シート43の方から入射される光線を法線方向に屈折させる。プリズムシート45、46のそれぞれの出光面には、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように設けられ、隣り合う一対の溝条に挟まれた三角柱部分によってプリズムが構成される。プリズムの頂角は、例えば90°程度である。第1プリズムシート45に形成された各溝条と、第2プリズムシート46に形成された各溝条とは、互いに直交するように配置されてもよい。このようにすると、光拡散シート43の方から入射される光線を第1プリズムシート45によって法線方向に屈折させ、さらに第1プリズムシート45から出射される光線を第2プリズムシート45によって上用光拡散シート47の入光面に対して略垂直に進むように屈折させることができる。プリズムシート45、46は、別体で積層されてもよいし、或いは、一体に形成されてもよい。プリズムシート45、46の合計厚さは、例えば、100~400μm程度であってもよい。プリズムシート45、46としては、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムにUV硬化型アクリル系樹脂を用いてプリズム形状をつけたものを用いてもよい。
【0043】
本例では、輝度向上シートとして、2枚のプリズムシート45、46を用いたが、これに代えて、1枚のプリズムシートを用いてもよい。或いは、光源42から発せられた光の輝度を増大させることができる他の種類の輝度向上シートを用いてもよい。この場合、輝度向上シートは、光がシート内部を通過する際に二重反射と光の屈折率を利用して光線を集約することによって、輝度を上昇させてもよい。或いは、輝度向上シートは、液晶表示装置50の第1偏光板6を通過しないS波をリサイクルし、第1偏光板6を通過するP波に変換することによって、輝度を上昇させてもよい。尚、プリズムシート45、46によって十分な輝度向上効果が得られない場合、第2プリズムシート46の上側に他の輝度向上シートをさらに配置してもよい。
【0044】
[上用光拡散シート]
上用光拡散シート47は、第2プリズムシート46から入射される光線を若干程度拡散させてプリズムシート45、46のプリズム部の形状等に起因する輝度ムラを抑制する。上用光拡散シート47は、第2プリズムシート46の表面に直接積層されてもよい。上用光拡散シート47の厚さは、特に限定されないが、例えば、50μm以上3mm以下であってもよい。上用光拡散シート47の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる一方、上用光拡散シート47の厚さが50μmを下回ると、十分な光拡散効果を得ることが難しくなる。上用光拡散シート47は、フィルム状であってもよいし、プレート(板)状であってもよい。上用光拡散シート47は、基材層と、基材層の光出射面に積層され且つ樹脂マトリックス及び樹脂ビーズを有する光拡散層とを備えた構成としてもよい。或いは、上用光拡散シート47として、例えば、PETフィルムの少なくとも一面にUV硬化型アクリル系樹脂を用いて凹凸形状を設けたものを用いてもよい。
【0045】
<光拡散シートの詳細構成>
第1光拡散シート43Aは、
図3に示すように、主として、基材層101Aと、基材層101Aに設けられた光拡散層102Aとを備える。第1光拡散シート43Aは、入光面となる第1面(光拡散層102Aの表面)S1と、出光面となる第2面(基材層101Aの表面)S2とを有する。光拡散層102Aには、光を拡散させる凹凸形状、具体的には、略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部105Aが設けられる。第1光拡散シート43Aの第2面S2は、例えばマット面又は平坦面であってもよい。第1光拡散シート43Aは、第1面S1を出光面、第2面S2を入光面とするように配置してもよい。
【0046】
第2光拡散シート43Bは、
図4に示すように、主として、基材層101Bと、基材層101Bの一面に設けられた第1光拡散層102Bと、基材層101Bの他面に設けられた第2光拡散層102Cとを備える。第2光拡散シート43Bは、入光面となる第1面(第1光拡散層102Bの表面)S1と、出光面となる第2面(第2光拡散層102Cの表面)S2とを有する。第1光拡散層102Bには、光を拡散させる凹凸形状、具体的には、略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の第1凹部105Bが設けられる。第2光拡散層102Cには、光を拡散させる凹凸形状、具体的には、略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の第2凹部105Cが設けられる。
【0047】
[基材層]
基材層101A、101B(以下、合わせて基材層101ということもある)は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成される。基材層101の主成分は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等を用いてもよい。尚、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。基材層101は、拡散剤その他の添加剤を含有してもよいし、或いは、実質的に添加剤を含有しなくてもよい。含有可能な添加剤は、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の無機粒子であってもよいし、例えば、アクリル、アクリルニトリル、シリコーン、ポリスチレン、ポリアミド等の有機粒子であってよい。
【0048】
基材層101の平均厚さの下限としては、10μm程度が好ましく、35μm程度がより好ましく、50μm程度がさらに好ましい。基材層101の平均厚さの上限としては、500μm程度が好ましく、250μm程度がより好ましく、180μm程度がさらに好ましい。基材層101の平均厚さが前記下限に満たないと、拡散層102A、102B、102Cを形成した場合にカールを発生するおそれがある。逆に、基材層101の平均厚さが前記上限を超えると、液晶表示装置50の輝度が低下するおそれがあると共に、液晶表示装置50の薄型化が困難になるおそれがある。尚、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0049】
[光拡散層]
光拡散層102A、102B、102C(以下、合わせて光拡散層102ということもある)は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成されてもよい。光拡散層102は、例えば、基材層101となる母材樹脂の押出成形の際に基材層101と一体に成形してもよいし、或いは、基材層101の成形後に、紫外線硬化型樹脂を用いて別途成形してもよい。
【0050】
光拡散層102A、102B、102Cにそれぞれ設けられた略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部105A、105B、105C(以下、合わせて凹部105という)は、例えば
図5に示すように、二次元マトリクス状に配列されてもよい。言い換えると、複数の凹部105は、互いに直交する2方向に沿って配列されてもよい。隣り合う凹部105同士は、稜線111によって区画される。稜線111は、凹部105が配列される2方向に沿って延びる。凹部105の配列ピッチは、例えば50μm程度以上500μm程度以下であってもよい。凹部105の中心(逆ピラミッドの頂点)112は、凹部105の最深部である。凹部105の中心(最深部)112は、基材層101に達していてもよい。言い換えると、凹部105の深さは、光拡散層102の厚さと等しくてもよい。尚、
図5では、簡単のため、凹部105が5×5のマトリクス状に配置された様子を例示しているが、凹部105の実際の配列数ははるかに多い。
【0051】
本例では、逆ピラミッド状(略逆四角錐状)の凹部105を二次元マトリクス状に配列して凹凸形状を設けたが、凹部105は、本発明の作用効果が失われない程度にランダムに配列されてもよい。凹部105を規則的に2次元配列する場合、凹部105同士の間に隙間を設けてもよいし、或いは、設けなくてもよい。凹部105は、略逆四角錐状とは異なる他の略逆多角錐状を有していてもよい。例えば、凹部105の「逆多角錐」形状を、逆四角錐と同様に隙間なく二次元配置することが可能な逆三角錐又は逆六角錐としてもよい。凹部105の「逆多角錐」形状を逆四角錐とする場合、凹部105を設ける際の押出成形や射出成形等の製造工程で用いられる金型(金属ロール)の表面切削作業の精度を向上させることが容易である。
【0052】
本開示では、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な逆多角錐の凹部を形成することが難しいことを考慮して、「略逆多角錐」との表記を用いるが、「略逆多角錐」は、真正の又は実質的に逆多角錐とみなせる形状を含むものとする。また、「略」とは、近似可能であることを意味し、例えば「略逆四角錐」とは、逆四角錐に近似可能な形状をいう。例えば、頂部が平坦な「逆多角錐台形」についても、本発明の作用効果が失われない程度に頂部面積が小さいものは、「略逆多角錐」に包含されるものとする。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「逆多角錐」から変形した形状も、「略逆多角錐」に包含される。
【0053】
[逆ピラミッド状の凹部]
第1光拡散シート43Aの第1面S1に設けられる逆ピラミッド状の凹部105Aの頂角θは、例えば70°程度以上90°程度以下であってもよい。凹部105の頂角θとは、
図6に示すように、光拡散シート43の載置面(水平面)に対して垂直な面(縦断面)で、逆ピラミッドの頂点112を通り且つ頂点112を挟んで向き合う一対の稜線111を垂直に横切るように凹部105を切断したときに現れる断面(
図6の下図)において、凹部105の傾斜面同士がなす角のことである。尚、
図6の上図は、凹部105の平面構成を示す。また、
図6において、「H」は、凹部105の深さ(ピラミッド形状の高さ)を示し、「P」は、凹部105の水平幅(つまり凹部105の配列ピッチ)を示す。凹部105の深さHは、凹部105の配列ピッチPと、凹部105の頂角θとにより定まる。
【0054】
第2光拡散シート43Bにおいて、第1面S1に設けられる逆ピラミッド状の第1凹部105Bの頂角θは、75°以上105°以下、好ましくは80°以上100°以下であり、第2面S2に設けられる逆ピラミッド状の第2凹部105Cの頂角θは、105°以上175°以下、好ましくは110°以上170°以下、より好ましくは120°以上160°以下である。すなわち、第2凹部105Cの頂角θは、第1凹部105Bの頂角θよりも大きい。これにより、第2光拡散シート43Bにおける第1面S1と第2面S2との間での光の多重反射の作用によって、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる。
【0055】
第2光拡散シート43Bにおいて、第1凹部105Bの配列ピッチは、200μm以上であり、第1凹部105Bの深さHは、第2凹部105Cの深さHよりも深いことが好ましい。このように、75°以上105°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第1凹部105Bを大きく設けることにより、輝度低下を抑制しつつ輝度均一性をさらに向上させることができるので、バックライトユニット40における光拡散シート43の配置数を減らすことができる。例えば、光拡散シート43として、第2光拡散シート43Bのみを配置することが可能となる。或いは、第2光拡散シート43Bと共に第1光拡散シート43Aを配置する場合でも、第1光拡散シート43Aの凹部105Aの深さを、第2光拡散シート43Bの第1凹部105Bの深さよりも浅くして、第1光拡散シート43Aを薄く形成することが可能となる。これにより、バックライトユニット40における光拡散シート43の総厚さを薄くすることができる。
【0056】
尚、本例では、色変換シート44を光拡散シート43よりも上側(表示画面50aと光拡散シート43との間)に配置する構成を前提として、105°以上175°以下の頂角θを持つ逆ピラミッド状の第2凹部105Cが設けられる第2面S2を色変換シート44の方に向けて第2光拡散シート43Bを配置している。言い換えると、75°以上105°以下の頂角θを持つ逆ピラミッド状の第1凹部105Bが設けられる第1面S1を入光面として、第2光拡散シート43Bを配置し、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させている。
【0057】
一方、色変換シート44を光拡散シート43よりも下側(光拡散シート43と複数の光源42との間)に配置する場合も、第2凹部105Cが設けられる第2面S2を色変換シート44の方に向けて第2光拡散シート43Bを配置してもよい。言い換えると、第1凹部105Bが設けられる第1面S1を出光面として、第2光拡散シート43Bを配置し、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させてもよい。
【0058】
また、本例では、優れた輝度均一性を得るために、第2光拡散シート43Bの第1凹部105Bの頂角θを75°以上105°以下に設定し、第2凹部105Cの頂角θを105°以上175°以下に設定した。しかし、第2凹部105Cの頂角θについては60°以上175°以下、好ましくは95°以上175°以下に設定しても、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度を向上させることができる。或いは、第2光拡散シート43Bの第1凹部105Bの頂角θを80°以上100°以下、好ましくは80°以上90°以下に設定し、第2凹部105Cの頂角θを60°以上170°以下、好ましくは100°以上170°以下、より好ましくは120°以上160°以下に設定にすると、特に優れた輝度均一性を実現しながら、輝度を向上させることができる。或いは、第2光拡散シート43Bの第1凹部105Bの頂角θを75°以上115°以下、好ましくは80°以上110°以下、より好ましくは80°以上100°以下に設定し、第2凹部105Cの頂角θを65°以上155°以下、好ましくは70°以上150°以下、より好ましくは100°以上150°以下に設定することによって、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度をより一層向上させることができる。
【0059】
<光拡散シートの製法>
光拡散シート43の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のような製造方法のいずれかを用いて光拡散シート43の製造が可能である。
【0060】
第1光拡散シート43Aの製造方法の一例では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、平坦形状又はマット面の反転形状を表面に有するロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド形状(凹部105A)、他面に平坦面又はマット面を持つ第1光拡散シート43Aを作製する。この製造方法では、基材層101A及び光拡散層102Aは一体に形成される。
【0061】
第1光拡散シート43Aの製造方法の他例では、まず、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする基材層101Aを用意する。この基材層101Aを一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で、基材層101Aの一面に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に複数の略正四角錐状の凸部を有するものを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された基材層101Aを一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線照射により紫外線硬化型樹脂を硬化させ、複数の略正四角錐状の凸部の反転形状である複数の逆ピラミッド形状(凹部105A)を転写し、基材層101Aの一面上に光拡散層102Aが設けられた第1光拡散シート43Aを作製する。この製造方法では、基材層101Aと光拡散層102Aとは別体で形成される。
【0062】
第2光拡散シート43Bの製造方法の一例では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、第1凹部105Bの反転形状である凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、第2凹部105Cの反転形状である凸ピラミッド形状を表面に持つロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド状の第1凹部105B、他面に逆ピラミッド状の第2凹部105Cを持つ第2光拡散シート43Bを作製する。この製造方法では、基材層101B、第1光拡散層102B、第2光拡散層102Cは一体に形成される。
【0063】
第2光拡散シート43Bの製造方法の他例では、まず、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする基材層101Bを用意する。この基材層101Bを一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で、基材層101Bの両面にそれぞれ紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。一対の押圧ロールとしては、第1凹部105Bの反転形状である複数の略正四角錐状の凸部を外周面に有するロールと、第2凹部105Cの反転形状である複数の略正四角錐状の凸部を外周面に有するロールとを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された基材層101Bを一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線照射により紫外線硬化型樹脂を硬化させ、逆ピラミッド状の複数の第1凹部105B及び第2凹部105Cをそれぞれ転写し、基材層101Bの一面上に第1光拡散層102Bが設けられ且つ他面上に第2光拡散層102Cが設けられた第2光拡散シート43Bを作製する。この製造方法では、基材層101Aと第1光拡散層102Bと第2光拡散層102Cとはそれぞれ別体で形成される。
【0064】
<実施形態の特徴>
以上に説明したように、本実施形態の第2光拡散シート43Bは、略逆四角錐状の複数の第1凹部105Bが設けられた第1面S1と、略逆四角錐状の複数の第2凹部105Cが設けられた第2面S2とを有し、複数の第1凹部105Bの頂角は、75°以上105°以下であり、複数の第2凹部105Cの頂角は、105°以上175°以下である。
【0065】
本実施形態の第2光拡散シート43Bによると、75°以上105°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第1凹部105Bが設けられた第1面S1と、105°以上175°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第2凹部105Cが設けられた第2面S2との間での光の多重反射の作用によって、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる。
【0066】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、複数の第1凹部105Bの頂角が、80°以上100°以下であると、輝度均一性をより一層向上させることができる。
【0067】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、複数の第2凹部105Cの頂角が、110°以上170°以下、好ましくは120°以上160°以下であると、輝度均一性をより一層向上させることができる。
【0068】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、複数の第1凹部105Bの配列ピッチは、200μm以上であり、複数の第1凹部105Bの深さは、複数の第2凹部105Cの深さよりも深くてもよい。このように、75°以上105°以下の頂角を持つ略逆四角錐状の第1凹部105Bを大きく設けることにより、輝度低下を抑制しつつ輝度均一化を促進することが可能となる。
【0069】
尚、本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、複数の第2凹部105Cの頂角θを60°以上175°以下、好ましくは95°以上175°以下に設定しても、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度を向上させることができる。或いは、複数の第1凹部105Bの頂角θを75°以上115°以下に設定し、複数の第2凹部105Cの頂角θを65°以上155°以下に設定することによって、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度をより一層向上させることができる。
【0070】
本実施形態のバックライトユニット40は、液晶表示装置50に組み込まれ、複数の光源42から発せられた光を表示画面50aに導く。バックライトユニット40は、表示画面50aと光源42との間に、本実施形態の第2光拡散シート43Bを備える。このように、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる光拡散シートを用いるため、輝度均一性に優れ且つ明るい画面の表示が可能となる。
【0071】
本実施形態のバックライトユニット40において、複数の光源42は、青色光源であり、表示画面50aと複数の光源42との間に、光の波長を変換する色変換シート44を備えてもよい。このようにすると、白色光源を用いる場合と比較して、バックライトユニット40のコストを低減することができる。尚、色変換シート44を、表示画面50aと光拡散シート43との間に配置する場合は、第2光拡散シート43Bを、第2面S2を色変換シート44の方に向けて(つまり第1面S1を入光面として)配置し、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させる。一方、色変換シート44を、光拡散シート43と複数の光源42との間に配置する場合も、第2光拡散シート43Bを、第2面S2を色変換シート44の方に向けて(つまり第1面S1を出光面として)配置し、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させる。
【0072】
本実施形態のバックライトユニット40において、複数の光源42は、光拡散シート43から見て表示画面50aの反対方向に設けられた反射シート41の上に配置されてもよい。このようにすると、光拡散シート43と反射シート41との間での多重反射によって光がさらに拡散されるので、輝度均一性がより一層向上する。
【0073】
本実施形態の液晶表示装置50は、本実施形態のバックライトユニット40と、液晶表示パネル5とを備える。このように、本実施形態のバックライトユニット40を用いることにより、輝度均一性に優れ且つ明るい画面の表示が可能となる。本実施形態の液晶表示装置50が組み込まれた情報機器(パーソナルコンピュータ、携帯電話など)においても同様の効果を得ることができる。
【0074】
尚、本実施形態では、バックライトユニット40として、液晶表示装置50の表示画面50aの背面に複数の光源42を分散配置させた直下型のバックライトユニットを用いている。このため、液晶表示装置50を小型化するためには、光源42と光拡散シート43(
図2に示す例では、光源42に最も近い第1光拡散シート43A)との距離を小さくする必要がある。しかしながら、この距離を小さくすると、例えば、分散配置された光源42同士の間の領域上に位置する部分の表示画面50aの輝度が他の部分よりも小さくなる現象(輝度ムラ)が生じやすくなる。それに対して、本実施形態の第2光拡散シート43Bを含む1枚以上の光拡散シート43を用いることは、輝度ムラの抑制に有用である。特に、今後の中小型液晶ディスプレイの薄型化をにらみ、光源42と光拡散シート43(複数の光拡散シート43を用いる場合は、光源42に最も近い光拡散シート43)との距離を10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、究極的には0mmとした場合に、本実施形態の第2光拡散シート43Bの有用性はより一層顕著になると考えられる。例えば、光源42と光拡散シート43との間の距離が0mm以上1mm以下である場合のように、薄型化のために光源・シート間距離を十分に確保できない場合でも、本実施形態の第2光拡散シート43Bによって、輝度均一性を維持しつつ輝度を向上させることができる。
【0075】
<実施例>
以下、第2光拡散シート43Bの実施例について輝度及び輝度均一性を評価した結果を説明する。
【0076】
輝度及び輝度均一性の評価は、
図2に示すバックライト構成で実施した。
【0077】
具体的には、複数の光源42としては、青色LED素子を正方配列(ピッチは約2.8mm×約2.8mm)したLEDアレイを用いた。
【0078】
第1光拡散シート43Aとしては、厚さ190μmのポリカーボネート製シートを用い、第1面S1には深さ107μm、頂角80°の逆ピラミッド状の凹部105Aをピッチ179μmで二次元マトリクス状に配列し、第2面S2は、算術平均粗さRaが1.4μmのマット面とした。第1光拡散シート43Aは、第1面S1を光源42の方に向け、光源42との距離が実質的に0mmとなるように配置した。
【0079】
第2光拡散シート43Bとしては、以下のサンプルを用意した。比較例では、厚さ400μmのポリカーボネート製シートを用い、第1面S1には深さ298μm、頂角80°の逆ピラミッド状の第1凹部105Bをピッチ500μmで二次元マトリクス状に配列し、第2面S2は、算術平均粗さRaが2.3μmのマット面とした。第1実施例では、厚さ415μmのポリカーボネート製シートを用い、第1面S1には深さ298μm、頂角80°の逆ピラミッド状の第1凹部105Bをピッチ500μmで二次元マトリクス状に配列し、第2面S2には深さ50μm、頂角120°の逆ピラミッド状の第2凹部105Cをピッチ173μmで二次元マトリクス状に配列した。第2実施例では、厚さ415μmのポリカーボネート製シートを用い、第1面S1には深さ298μm、頂角80°の逆ピラミッド状の第1凹部105Bをピッチ500μmで二次元マトリクス状に配列し、第2面S2には深さ50μm、頂角140°の逆ピラミッド状の第2凹部105Cをピッチ275μmで二次元マトリクス状に配列した。第3実施例では、厚さ415μmのポリカーボネート製シートを用い、第1面S1には深さ298μm、頂角80°の逆ピラミッド状の第1凹部105Bをピッチ500μmで二次元マトリクス状に配列し、第2面S2には深さ50μm、頂角160°の逆ピラミッド状の第2凹部105Cをピッチ567μmで二次元マトリクス状に配列した。いずれのサンプルについても、拡散剤は添加しなかった。また、いずれのサンプルについても、第1凹部105B及び第2凹部105Cの配列方向は、光源42の配列方向と同じにした。また、いずれのサンプルについても、第1面S1を光源42の方に向けて配置した。尚、比較例と第1~3実施例とでは、シート厚さに15μmの差があるものの、これは、光学性能にほとんど影響しない範囲である。
【0080】
色変換シート44にはQD(Quantum Dot)シートを用いた。
【0081】
第1プリズムシート45としては、厚さ154μmのPETフィルムに、UV硬化樹脂を用いて高さ25μm、頂角90°のプリズムを形状転写したものを用いた。第2プリズムシート46としては、厚さ151μmのPETフィルムにUV硬化樹脂を用いて、高さ25μm、頂角90°のプリズムを形状転写したものを用いた。第1プリズムシート45と第2プリズムシート46とは、それぞれのプリズムが直交し且つ第2プリズムシート46のプリズムが光源42の配列方向と40°の角度をなすように配置した。
【0082】
上用光拡散シート47としては、厚さ135μmのPETフィルムにビーズコーティングを施したものを用いた。
【0083】
以上に説明した構成において、シート類の浮きを抑えるために上用光拡散シート47の上に透明ガラス板を載せた状態で、以下のように輝度及び輝度均一性の評価を実施した。まず、トプコンテクノハウス社製の2次元色彩輝度計SR-5000を用いて、鉛直方向上向き(LEDアレイからガラス板に向かう方向)の輝度(cd・m2)を測定した。次に、得られた二次元輝度分布画像に対して、個々のLEDの発光強度バラツキに対する補正を行い、異物等に起因する輝点・暗点ノイズを抑えるためのフィルタリング処理を行った後、全画素の輝度について平均値及び標準偏差を算出した。最後に、「輝度」を「輝度の平均値」、「輝度均一性」を「輝度の平均値/輝度の標準偏差」と定義して、輝度及び輝度均一性を算出した。輝度及び輝度均一性の算出は、同じサンプルについて5回実施し、その平均値で輝度及び輝度均一性を評価した。
【0084】
前述の比較例及び第1~3実施例の第2光拡散シート43Bについて輝度及び輝度均一性を評価した結果、輝度については、比較例を基準として、第1実施例では約3%増加し、第2実施例では約2%増加し、第3実施例でも0.5%程度増加し、輝度均一性については、いずれのサンプルも同程度であった。
【0085】
本願発明者は、さらに、光学シミュレーション・ソフトウェアを用いて、前述の比較例及び第1~3実施例と同様の評価条件で、第2光拡散シート43Bにおいて第1凹部105B(入光面ピラミッド)を深さ298μmに固定して頂角を60°から170°まで変化させると共に第2凹部105C(出光面ピラミッド)を深さ107μmに固定して頂角を60°から180°まで変化させて、輝度及び輝度均一性を評価した。但し、光学シミュレーションでは、上用光拡散シート47と、その上の透明ガラス板とは配置しない構成とした。光学シミュレーションによる輝度及び輝度均一性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示す。尚、表1に示す輝度、及び表2に示す輝度均一性はそれぞれ、出光面が鏡面である場合(つまり出光面ピラミッドの頂角が180°の場合)に輝度均一性が最も高くなった、第1凹部105B(入光面ピラミッド)の頂角が80°の場合の輝度及び輝度均一性を100%とした相対輝度及び相対輝度均一性である。
【0086】
【0087】
【0088】
表1、表2に示すように、第1凹部105B(入光面ピラミッド)については70°よりも大きく且つ110°よりも小さくし、第2凹部105C(出光面ピラミッド)については100°よりも大きく且つ180°よりも小さくすることによって、相対輝度及び相対輝度均一性を100%程度以上にすることができた。特に、第1凹部105B(入光面ピラミッド)については80°以上100°以下とし、第2凹部105C(出光面ピラミッド)については110°以上170°以下、好ましくは120°以上160°以下とすることによって、優れた輝度均一性が得られた。
【0089】
また、表1、表2に示すように、第1凹部105B(入光面ピラミッド)を深く(つまり大きく)設けることにより、輝度低下を抑制しつつ輝度均一化を促進できた。
【0090】
尚、表1、表2に示すように、第1凹部105B(入光面ピラミッド)の頂角θを75°以上105°以下に設定し、第2凹部105C(出光面ピラミッド)を60°以上(好ましくは90°よりも大きく)且つ180°よりも小さく設定すれば、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度を向上させることができた。また、表1、表2に示すように、第1凹部105B(入光面ピラミッド)の頂角θを80°以上100°以下(好ましくは80°以上90°以下)に設定し、第2凹部105C(出光面ピラミッド)の頂角θを60°以上170°以下(好ましくは100°以上170°以下、より好ましくは120°以上160°以下)に設定にすれば、特に優れた輝度均一性を実現しながら、輝度を向上させることができた。さらに、第1凹部105B(入光面ピラミッド)の頂角θを70°よりも大きく且つ120°よりも小さく(好ましくは80°以上110°以下、より好ましくは80°以上100°以下に)設定し、第2凹部105C(出光面ピラミッド)の頂角θを60°よりも大きく且つ160°よりも小さく(好ましくは70°以上150°以下、より好ましくは100°以上150°以下に)設定することによって、実用レベルの輝度均一性を確保しながら、輝度をより一層向上させることができた。
【0091】
以上の結果から、第1凹部105B(入光面ピラミッド)及び第2凹部105C(出光面ピラミッド)の両面ピラミッドを有する本実施形態の第2光拡散シート43Bの有効性が示せた。
【0092】
(その他の実施形態)
以上、本開示についての実施形態(実施例を含む。以下同じ。)を説明したが、本開示は前述の実施形態のみに限定されず、開示の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0093】
1 TFT基板
2 CF基板
3 液晶層
5 液晶表示パネル
6 第1偏光板
7 第2偏光板
40 バックライトユニット
41 反射シート
42 光源
43 光拡散シート
43A 第1光拡散シート
43B 第2光拡散シート
44 色変換シート
45 第1プリズムシート
46 第2プリズムシート
47 上用光拡散シート
50 液晶表示装置
50a 表示画面
101、101A、101B 基材層
102、102A、102B、102C 光拡散層
105、105A、105B、105C 凹部