IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-箔転写装置 図1
  • 特開-箔転写装置 図2
  • 特開-箔転写装置 図3
  • 特開-箔転写装置 図4
  • 特開-箔転写装置 図5
  • 特開-箔転写装置 図6
  • 特開-箔転写装置 図7
  • 特開-箔転写装置 図8
  • 特開-箔転写装置 図9
  • 特開-箔転写装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017034
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/24 20060101AFI20240201BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240201BHJP
   B41F 16/00 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
B65C9/24
B41M5/00 700
B41F16/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119399
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】山田 英哲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修史
(72)【発明者】
【氏名】末安 雅人
(72)【発明者】
【氏名】柴 加世
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA12
3E095BA10
3E095CA10
3E095DA03
3E095DA42
3E095DA48
3E095DA59
3E095DA82
3E095EA02
3E095EA10
3E095EA12
3E095EA22
3E095EA24
3E095EA34
3E095FA30
(57)【要約】
【課題】新たな機能を持たせた箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFが巻回される供給リール31と、供給リール31からの箔フィルムFを巻き取るための巻取リール35と、供給リール31から巻取リール35に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに形成されたトナー像に箔を転写する箔転写部50と、シートSの搬送経路を通過するシートSの画像を読取可能な読取センサ100とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記供給リールからの箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記供給リールから前記巻取リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成されたトナー像に箔を転写する箔転写部と、
シートの搬送経路を通過するシートの画像を読取可能な読取センサと、を備えることを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記読取センサは、シートの搬送方向において前記箔転写部の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記読取センサは、シートの搬送方向において前記箔転写部の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記読取センサで読み取ったシートの画像のデータに基づいて前記箔転写部を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記箔転写部は、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱ユニットと、前記加熱ユニットに圧接した状態で前記加熱ユニットとの間で箔フィルムとシートを搬送する加圧ユニットと、を備え、
前記加熱ユニットおよび前記加圧ユニットのうち少なくとも一方のユニットは、他方のユニットに圧接する圧接位置と、前記他方のユニットから離間する離間位置との間で移動可能であり、
前記制御部は、シートに形成されたトナー像に箔を転写する場合において、前記読取センサによりシート上のトナー像が形成された領域を検出した場合、トナー像が形成された領域の先端が前記加熱ユニットと前記加圧ユニットの間の転写位置に到達するタイミングで前記少なくとも一方のユニットが前記圧接位置に位置するように、前記少なくとも一方のユニットを前記離間位置から前記圧接位置に移動させることを特徴とする請求項4に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、シートを搬送しながら前記一方のユニットと前記他方のユニットを圧接させることを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記少なくとも一方のユニットを前記圧接位置に移動させた後、トナー像が形成されていない領域を所定長さ連続して検出した場合、トナー像が形成された領域が前記転写位置を通過するタイミング以後に前記少なくとも一方のユニットが前記圧接位置から前記離間位置に移動し始めるように、前記少なくとも一方のユニットを前記圧接位置から前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記少なくとも一方のユニットを前記圧接位置に移動させた後、前記読取センサによりシート上に所定の目印があることを検出した場合、前記所定の目印の前にあるトナー像が形成された領域が前記転写位置を通過するタイミング以後に前記少なくとも一方のユニットが前記圧接位置から前記離間位置に移動し始めるように、前記少なくとも一方のユニットを前記圧接位置から前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項9】
シートを搬送する搬送ローラであって、前記搬送方向において前記箔転写部の直前に配置された搬送ローラを備え、
前記読取センサは、前記搬送方向において前記搬送ローラの上流側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項10】
シートがセットされるシートトレイと、
前記シートトレイにセットされたシートをピックアップするピックアップローラと、
前記ピックアップローラによりピックアップされたシートを前記箔転写部に向けて搬送する搬送ローラと、を備え、
前記読取センサは、前記搬送方向において前記搬送ローラと前記箔転写部の間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記読取センサにより読み取ったシートの画像に基づいてシートの地色を検出し、
検出したシートの地色と異なる色を所定以上含む領域をトナー像が形成された領域と判定することを特徴とする請求項4に記載の箔転写装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記読取センサにより読み取ったシートの画像に基づいてシートの厚さを検出し、
検出したシートの厚さに基づいて、前記箔転写部における箔フィルムとシートの搬送速度、および、前記箔転写部における箔フィルムとシートの加熱温度の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項4に記載の箔転写装置。
【請求項13】
前記加熱ユニットは、加熱ローラであり、
前記加圧ユニットは、加圧ローラであることを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箔転写装置として、ユーザがタッチパネルに表示されたボタンを操作することで、箔転写のモードを選択することが可能となっているものが知られている(特許文献1)。この技術では、シートの全面に箔転写を行う全面転写モードと、シートの先端側の一部のみに箔転写を行う先端転写モードと、シートの後端側の一部のみに箔転写を行う後端転写モードと、シートの中央の一部のみに箔転写を行う中央転写モードとを選択可能である。先端転写モード、後端転写モード、中央転写モードが選択されると、箔フィルムの無駄な搬送が抑えられるので、箔フィルムを節約することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、箔転写装置にシートに箔を転写する以外の新たな機能を持たせることで、例えば、箔転写装置を広く普及させたり、箔転写装置の利便性を高めたりすることができると考えられる。
【0005】
そこで、新たな機能を持たせた箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
箔転写装置は、箔を含む箔フィルムが巻回される供給リールと、供給リールからの箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、供給リールから巻取リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成されたトナー像に箔を転写する箔転写部と、シートの搬送経路を通過するシートの画像を読取可能な読取センサと、を備える。
【0007】
このような構成によれば、箔転写装置にシートの画像の読み取りという新たな機能を持たせることができる。
【0008】
読取センサは、シートの搬送方向において箔転写部の上流側に配置されていてもよい。
【0009】
これによれば、例えば、読取センサで読み取ったシートの画像に基づいて箔転写部を制御することが可能となる。
【0010】
読取センサは、シートの搬送方向において箔転写部の下流側に配置されていてもよい。
【0011】
これによれば、例えば、シートに転写された箔の状態を評価したり、シートに転写された箔の状態に基づいて箔転写部を制御したりすることが可能となる。
【0012】
箔転写装置は、読取センサで読み取ったシートの画像のデータに基づいて箔転写部を制御する制御部を備える構成であってもよい。
【0013】
箔転写部は、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱ユニットと、加熱ユニットに圧接した状態で加熱ユニットとの間で箔フィルムとシートを搬送する加圧ユニットと、を備え、加熱ユニットおよび加圧ユニットのうち少なくとも一方のユニットは、他方のユニットに圧接する圧接位置と、他方のユニットから離間する離間位置との間で移動可能であり、制御部は、シートに形成されたトナー像に箔を転写する場合において、読取センサによりシート上のトナー像が形成された領域を検出した場合、トナー像が形成された領域の先端が加熱ユニットと加圧ユニットの間の転写位置に到達するタイミングで少なくとも一方のユニットが圧接位置に位置するように、少なくとも一方のユニットを離間位置から圧接位置に移動させる構成であってもよい。
【0014】
これによれば、シート上のトナー像が形成された領域の前にトナー像が形成されていない領域が連続する場合、加熱ユニットと加圧ユニットを離間した状態として箔フィルムを搬送しないようにすることができる。これにより、箔フィルムの無駄な搬送を抑制して箔フィルムを節約することができる。そして、このような箔フィルムの節約モードを、ユーザが設定することなく、箔転写装置が自動で行うので便利である。
【0015】
制御部は、シートを搬送しながら一方のユニットと他方のユニットを圧接させる構成であってもよい。
【0016】
これによれば、シートに圧接痕が発生するのを抑制することができる。
【0017】
制御部は、少なくとも一方のユニットを圧接位置に移動させた後、トナー像が形成されていない領域を所定長さ連続して検出した場合、トナー像が形成された領域が転写位置を通過するタイミング以後に少なくとも一方のユニットが圧接位置から離間位置に移動し始めるように、少なくとも一方のユニットを圧接位置から離間位置に移動させる構成であってもよい。
【0018】
これによれば、シート上のトナー像が形成された領域の後にトナー像が形成されていない領域が連続する場合、加熱ユニットと加圧ユニットを離間した状態として箔フィルムを搬送しないようにすることができる。これにより、箔フィルムの無駄な搬送をより抑制して箔フィルムをより節約することができる。そして、このような箔フィルムのさらなる節約モードを、ユーザが設定することなく、箔転写装置が自動で行うのでより便利である。
【0019】
制御部は、少なくとも一方のユニットを圧接位置に移動させた後、読取センサによりシート上に所定の目印があることを検出した場合、所定の目印の前にあるトナー像が形成された領域が転写位置を通過するタイミング以後に少なくとも一方のユニットが圧接位置から離間位置に移動し始めるように、少なくとも一方のユニットを圧接位置から離間位置に移動させる構成であってもよい。
【0020】
これによれば、ユーザがシートに所定の目印を付けることで、所定の目印よりも後の領域に箔が転写されるのを抑制することができる。これにより、ユーザが箔を転写したくない領域をある程度自由に設定することができるので便利である。
【0021】
箔転写装置は、シートを搬送する搬送ローラであって、シートの搬送方向において箔転写部の直前に配置された搬送ローラを備える構成であってもよい。この場合、読取センサは、シートの搬送方向において搬送ローラの上流側に配置されていてもよい。
【0022】
箔転写装置は、シートがセットされるシートトレイと、シートトレイにセットされたシートをピックアップするピックアップローラと、ピックアップローラによりピックアップされたシートを箔転写部に向けて搬送する搬送ローラと、を備える構成であってもよい。この場合、読取センサは、シートの搬送方向において搬送ローラと箔転写部の間に配置されていてもよい。
【0023】
これによれば、搬送ローラによりシートの位置や搬送状態が安定した後に読取センサによりシートの画像を読み取ることができる。
【0024】
制御部は、読取センサにより読み取ったシートの画像に基づいてシートの地色を検出し、検出したシートの地色と異なる色を所定以上含む領域をトナー像が形成された領域と判定する構成であってもよい。
【0025】
制御部は、読取センサにより読み取ったシートの画像に基づいてシートの厚さを検出し、検出したシートの厚さに基づいて、箔転写部における箔フィルムとシートの搬送速度、および、箔転写部における箔フィルムとシートの加熱温度の少なくとも一方を制御する構成であってもよい。
【0026】
これによれば、シートの厚さに応じた最適な条件でシートに箔を転写することが可能となる。これにより、シートに転写される箔の品質を向上させることが可能となる。
【0027】
加熱ユニットは、加熱ローラであり、加圧ユニットは、加圧ローラであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
上述の構成によれば、箔転写装置にシートの画像の読み取りという新たな機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】加熱ローラを離間位置から圧接位置に移動させるタイミングを説明する図(a)~(c)である。
図4】加熱ローラを圧接位置から離間位置に移動させるタイミングを説明する図(a)~(c)である。
図5】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】制御部の動作の一例を示す、図5に続くフローチャートである。
図7】箔転写装置の作用効果を説明する図(a)~(c)である。
図8】変形例に係る箔転写装置によるシートの地色の検出を説明する図(a),(b)である。
図9】他の変形例に係る箔転写装置を示す図である。
図10】別の変形例に係る箔転写装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートS上のトナー像に箔を転写する装置である。例えば、箔転写装置1は、レーザプリンタなどの画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、箔転写部50と、モータMとを備えている。
【0031】
筐体2は、樹脂などからなり、装置本体21と、カバー22とを備えている。
装置本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、装置本体21に後述するフィルムカートリッジFCを着脱するための開口である。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、装置本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0032】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSがセットされるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上にセットされる。
【0033】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート搬送部10は、モータMによって回転駆動されることでシートSを搬送する。
シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、搬送ローラとしての上流側搬送ローラ11Cとを備えている。
【0034】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3にセットされたシートSをピックアップするローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。ピックアップローラ11Aは、シートSをピックアップする場合には、例えば、ピックアップローラ11Aが1回転する時間だけ駆動する。
【0035】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0036】
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、シートSの搬送方向において箔転写部50の直前に配置された搬送ローラである。詳しくは、上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと箔転写部50との間に配置されている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11AによりピックアップされたシートSを箔転写部50に向けて搬送する。
【0037】
シート排出機構12は、箔転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。
【0038】
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、箔転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、箔転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0039】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムカートリッジFCを備えている。
【0040】
フィルムカートリッジFCは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して装置本体21に着脱可能となっている。フィルムカートリッジFCは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムカートリッジFCの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0041】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0042】
被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0043】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0044】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、箔転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0045】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。巻取リール35は、樹脂などからなり、供給リール31からの箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。巻取リール35は、モータMによって回転駆動されることで箔フィルムFを巻き取る。なお、図1などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示している。
【0046】
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。
【0047】
第1案内軸41は、トナー像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された箔フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された箔フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に箔フィルムFを案内する。
【0048】
第2案内軸42は、箔転写部50を通過した箔フィルムFと接触し、箔転写部50を通過した箔フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。箔転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された箔フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
【0049】
箔転写部50は、供給リール31から巻取リール35に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSと箔フィルムFを挟んだ状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に箔を含む転写層F22を転写するための部分である。箔転写部50は、加圧ユニットとしての加圧ローラ51と、加熱ユニットとしての加熱ローラ61と、圧接離間機構70とを備えている。
【0050】
加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間で箔フィルムFとシートSを挟むローラであり、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆してなる。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの、トナー像が形成された面と反対側の面と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61に圧接した状態で加熱ローラ61との間で箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0051】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータHを配置したローラであり、ヒータHによって加熱され、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触可能となっている。
【0052】
圧接離間機構70は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、加圧ローラ51と加熱ローラ61で箔フィルムFを挟む状態と、少なくとも1つのローラが箔フィルムFから離れた状態とに切り替えるための機構である。詳しくは、圧接離間機構70は、加圧ローラ51および加熱ローラ61のうち一方のユニットを、他方のユニットに圧接する圧接位置と、他方のユニットから離間する離間位置との間で移動させる。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ61のうち少なくとも一方のユニットは、圧接位置と離間位置との間で移動可能である。
【0053】
本実施形態では、圧接離間機構70は、加熱ローラ61を、加圧ローラ51に圧接する圧接位置(実線参照)と、加圧ローラ51から離間する離間位置(仮想線参照)との間で移動させる。これにより、加熱ローラ61は、圧接位置と離間位置との間で移動可能である。圧接離間機構70は、加熱ローラ61を圧接位置と離間位置との間で移動させることで、加熱ローラ61を箔フィルムFに対して接触・離間させる。
【0054】
加圧ローラ51および加熱ローラ61は、圧接した状態で駆動することによって箔フィルムFとシートSを搬送可能である。詳しくは、加圧ローラ51は、加熱ローラ61が圧接位置にある状態で、モータMによって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ61は、加圧ローラ51と加熱ローラ61との間に挟まれる箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0055】
このように構成された箔転写装置1では、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされたシートSが、シート供給機構11により1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送される。シートSは、箔転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で箔転写部50に搬送される。
【0056】
箔転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、シートSに形成されたトナー像の上に箔を含む転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、シートSへの箔の転写を、単に「箔転写」とも称する。
【0057】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。
【0058】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0059】
箔転写装置1は、読取センサ100と、制御部300とをさらに備えている。
読取センサ100は、筐体2内におけるシートSの搬送経路を通過するシートSの画像を読取可能なセンサである。読取センサ100は、一例として、コンタクトイメージセンサ(CIS)である。CISは、例えば、LEDなどの光源と、シートSの幅方向に沿って並んで配置された受光素子と、光源や受光素子を収容するセンサ筐体とを備えるラインセンサである。
【0060】
読取センサ100は、光源からの光をガラスを通してシートSに照射し、シートSで反射した光をガラスを通して受光素子で受光することでシートSの画像を読み取るように構成されている。読取センサ100は、シートSの全幅にわたって1ラインのイメージを順次取得する。
【0061】
読取センサ100は、シートSの搬送方向において箔転写部50の上流側に配置されている。詳しくは、読取センサ100は、シートSの搬送方向において上流側搬送ローラ11Cの上流側に配置されている。より詳しくは、読取センサ100は、シートSの搬送方向においてピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cの間に配置されている。
【0062】
読取センサ100は、ピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cの間を搬送されるシートSの下側の面と向かい合うように配置されている。これにより、読取センサ100は、シートSが、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされた場合、シートSに形成されたトナー像を読取可能である。
【0063】
箔転写装置1は、加熱ローラ61を離間位置(仮想線参照)に位置させた状態でシートトレイ3にセットされたシートSをシート搬送部10により1枚ずつ搬送することで、シートSへの箔転写を行わず、読取センサ100によりシートSの画像を読取可能である。言い換えれば、箔転写装置1は、シートSへの箔転写を行わず、シートSの画像を読み取る動作を実行可能である。
【0064】
制御部300は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって制御を実行する。制御部300は、読取センサ100で読み取ったシートSの画像のデータに基づいて箔転写部50を制御するように構成されている。
【0065】
詳しくは、図3(a)に示すように、制御部300は、シートSに形成されたトナー像に箔を転写する場合において、読取センサ100によりシートS上のトナー像が形成された領域(以下、「トナー像形成領域」ともいう。)TAを検出した場合、図3(b)に示すように、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。
【0066】
このとき、図3(c)に示すように、制御部300は、トナー像形成領域TAの先端が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置に到達するタイミングで加熱ローラ61が圧接位置に位置するように、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。望ましくは、制御部300は、トナー像形成領域TAの先端が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置に到達するタイミングよりも少し前のタイミングで加熱ローラ61が圧接位置に位置するように、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。
【0067】
一例として、制御部300は、トナー像形成領域TAの先端が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置に到達するタイミングよりも少し前のタイミングで加熱ローラ61が圧接位置に位置するように、図3(a)に示す読取センサ100がシートS上のトナー像形成領域TAを検出した時点から、図3(b)に示すように、第1所定時間T1が経過したときに加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させ始める。
【0068】
制御部300は、シートSを搬送しながら加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させる。詳しくは、図3(b),(c)に示すように、制御部300は、離間位置から圧接位置に移動する加熱ローラ61が加圧ローラ51に圧接されるタイミングでは、シートSを、停止させることなく、上流側搬送ローラ11Cから下流側搬送ローラ12Aに向けて搬送されている状態とする。
【0069】
制御部300は、加熱ローラ61を圧接位置に移動させた後、図4(b)に示すように、読取センサ100が、シートS上のトナー像が形成されていない領域(以下、「空白領域」ともいう。)BAを所定長さLだけ連続して検出した場合、図4(c)に示すように、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
【0070】
詳しくは、図4(a)に示すように、制御部300は、読取センサ100がシートS上の空白領域BAを検出してから、図4(b)に示すように、シートSが所定長さLだけ移動する第2所定時間T2の間、空白領域BAを連続して検出した場合、図4(c)に示すように、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
【0071】
このとき、制御部300は、空白領域BAの直前のトナー像形成領域TAが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置を通過するタイミング以後に加熱ローラ61が圧接位置から離間位置に移動し始めるように、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
【0072】
一例として、制御部300は、空白領域BAの直前のトナー像形成領域TAの後端が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置を通過した直後に加熱ローラ61が圧接位置から離間位置に移動し始めるように、読取センサ100がシートS上の空白領域BAを検出した時点から(言い換えれば、直前のトナー像形成領域TAを検出しなくなった時点から)、第3所定時間T3が経過したときに加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させ始める。
【0073】
なお、制御部300は、読取センサ100で読み取ったシートSの画像に含まれる、例えば、シートSの凹凸により現れる影の画像や、シートSに付着した塵埃などの異物の画像などを除去するため、画像処理を実行する構成であってもよい。例えば、制御部300は、平滑化フィルタなどの画像フィルタを用いた画像処理を実行する構成であってもよい。また、制御部300は、読取センサ100で読み取ったシートS上のトナー像の大きさが、箔転写装置1で箔転写が可能なトナー像の大きさよりも小さい場合は、大きさが小さいトナー像が形成された領域を空白領域BAとして処理する構成であってもよい。
【0074】
次に、制御部300の動作の一例について説明する。
図5に示すように、制御部300は、ユーザにより、例えば、図示しない箔転写開始のボタンなどが操作された場合、箔転写の準備動作を実行する(S11)。準備動作において、制御部300は、例えば、ヒータHを制御して加熱ローラ61を所定の制御目標温度に加熱したり、箔フィルムFの残量を検知したりする。
【0075】
準備動作が完了した場合(S12,Yes)、制御部300は、ピックアップローラ11Aを駆動させてシートトレイ3にセットされたシートSをピックアップする(S21)。シートトレイ3から送り出されたシートSの先端が読取センサ100に到達して読取センサ100がシートSを検出した場合(S22,Yes)、制御部300は、読取センサ100がシートS上のトナー像形成領域TAを検出したか否かを判定する(S23)。
【0076】
トナー像形成領域TAを検出しない場合(S23,No)、制御部300は、読取センサ100がシートSを検出している限り(S24,Yes)、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出するまでステップS23,S24の処理を繰り返す。なお、例えば、シートSが、トナー像が形成されていない白紙であったり、トナー像が形成されていない面を下向きにしてシートトレイ3上にセットされていたりした場合、制御部300は、搬送されるシートSの後端が読取センサ100を通過して読取センサ100がシートSを検出しなくなったとき(S24,No)にステップS41(図6参照)に進む。
【0077】
ステップS23において、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出した場合(Yes)、制御部300は、加熱ローラ61が圧接位置に位置するか否かを判定する(S25)。箔転写装置1が箔転写を開始する前の待機状態にあるとき、加熱ローラ61は、離間位置に位置する。加熱ローラ61の位置は、筐体2内に設けられた図示しない光センサなどの位置検出センサを用いて検出することができる。
【0078】
加熱ローラ61が圧接位置に位置しない場合(S25,No)、すなわち、加熱ローラ61が離間位置に位置する場合、制御部300は、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出したときから第1所定時間T1が経過したか否かを判定する(S26)。そして、第1所定時間T1が経過した場合(S26,Yes)、制御部300は、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる(S27)。ステップS25において、加熱ローラ61が圧接位置に位置する場合(Yes)、制御部300は、加熱ローラ61を移動させることなく圧接位置に位置させたまま、図6に示すステップS28に進む。
【0079】
ステップS28において、制御部300は、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出しているか否かを判定する。読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出していない場合(S28,No)、すなわち、空白領域BAを検出している場合、制御部300は、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出しなくなったときから第2所定時間T2が経過したか否かを判定する(S29)。
【0080】
第2所定時間T2が経過していない場合(S29,No)、制御部300は、読取センサ100がシートSを検出している限り(S30,Yes)、ステップS28~S30の処理を繰り返す。ステップS30において、搬送されるシートSの後端が読取センサ100を通過して読取センサ100がシートSを検出しなくなった場合(No)、制御部300は、ステップS41に進む。
【0081】
ステップS29において、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出しなくなったときから第2所定時間T2が経過した場合(Yes)、制御部300は、読取センサ100がトナー像形成領域TAを検出しなくなったときから第3所定時間T3が経過したか否かを判定する(S31)。そして、第3所定時間T3が経過した場合(S31,Yes)、制御部300は、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させ(S32)、ステップS23(図5参照)に戻る。
【0082】
ステップS41において、箔転写すべき次の頁(次のシートS)がある場合(Yes)、制御部300は、ステップS21(図5参照)に戻り、次のシートSへの箔転写を実行する。次の頁がない場合(S41,No)、制御部300は、加熱ローラ61が離間位置に位置するか否かを判定する(S51)。
【0083】
加熱ローラ61が離間位置に位置しない場合(S51,No)、制御部300は、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させ(S52)、処理を終了する。ステップS51において、加熱ローラ61が離間位置に位置する場合(Yes)、制御部300は、加熱ローラ61を移動させることなく離間位置に位置させたまま、処理を終了する。
【0084】
以上の箔転写装置1によれば、読取センサ100を備えるので、箔転写装置1にシートSの画像の読み取りという新たな機能を持たせることができる。
【0085】
また、読取センサ100がシートSの搬送方向において箔転写部50の上流側に配置されているので、読取センサ100で読み取ったシートSの画像に基づいて箔転写部50を制御することができる。
【0086】
具体的には、図7(a),(b)に示すように、シートS上のトナー像形成領域TAの前(図7の上側)にトナー像が形成されていない領域(空白領域BA)が連続する場合、空白領域BAでは、途中まで加熱ローラ61と加圧ローラ51を離間した状態として箔フィルムFを搬送しないようにすることができる。これにより、箔フィルムFの無駄な搬送を抑制して箔フィルムFを節約することができる。そして、このような箔フィルムFの節約モードを、ユーザが設定することなく、箔転写装置1が自動で行うので便利である。
【0087】
また、図7(b),(c)に示すように、シートS上のトナー像形成領域TAの後(図7の下側)に空白領域BAが連続する場合、空白領域BAでは、途中から加熱ローラ61と加圧ローラ51を離間した状態として箔フィルムFを搬送しないようにすることができる。これにより、箔フィルムFの無駄な搬送をより抑制して箔フィルムFをより節約することができる。そして、このような箔フィルムFのさらなる節約モードを、ユーザが設定することなく、箔転写装置1が自動で行うのでより便利である。
【0088】
また、シートSの搬送を止めた状態で加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させると、圧接時に受ける熱と圧力の集中によってシートSに圧接痕が発生する可能性があるが、本実施形態では、シートSを搬送しながら加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させるので、熱と圧力の集中を低減させてシートSに圧接痕が発生するのを抑制することができる。
【0089】
以上、実施形態について説明したが、箔転写装置は以下に例示するように適宜変形して実施することができる。なお、以下では、上述の実施形態と異なる点について説明し、同じ点については同様の構成要素に同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0090】
制御部300は、シートS上のトナー像に箔を転写するために加熱ローラ61を圧接位置に移動させた後、読取センサ100によりシートS上に所定の目印があることを検出した場合、圧接離間機構70を制御して加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させるように構成されていてもよい。このとき、制御部300は、図4(c)を参考に説明すると、所定の目印の前にあるトナー像形成領域TAの後端が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置を通過するタイミング以後に加熱ローラ61が圧接位置から離間位置に移動し始めるように、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
【0091】
所定の目印は、予め設定されて制御部300に記憶されている。所定の目印は、例えば、ユーザがシートSに所定の色のペンで記入した文字、図形、記号およびこれらの組み合わせなどである。例えば、所定の目印は、図形としての、シートSの搬送方向に直交するシートSの幅方向に延びる線である。また、所定の目印は、例えば、ユーザがシートSに貼り付けた所定の色の付箋、シールなどであってもよい。所定の色は、シートS上に形成されたトナー像の色(トナーの色)と異なる色であることが望ましい。所定の色は、1色であってもよいし、複数色であってもよい。
【0092】
このような構成によれば、ユーザがシートSに所定の目印を付けることで、所定の目印よりも後の領域に箔が転写されるのを抑制することができる。具体的には、例えば、シートSにシートSの幅方向に延びる所定の色の線を引いておくことで、当該線より後の領域に箔が転写されるのを抑制することができる。また、シートSに所定の色の付箋を貼り付けておくことで、当該付箋より後の領域に箔が転写されるのを抑制することができる。これにより、ユーザが箔を転写したくない領域をある程度自由に設定することができるので便利である。
【0093】
また、制御部300は、読取センサ100により読み取ったシートSの画像に基づいてシートSの地色を検出し、検出したシートSの地色と異なる色を所定以上含む領域をシートSのトナー像形成領域TAと判定する構成であってもよい。シートSの地色は、例えば、図8(a)に示すように、読取センサ100が検出したシートSの先端部(詳しくは、トナー像形成領域TAの前に位置する余白領域MA)の色から検出する構成としてもよい。
【0094】
また、シートSの地色は、例えば、図8(b)に示すように、読取センサ100が検出したシートSの裏面(トナー像が形成されていない面)の色から検出する構成としてもよい。図8(b)に示す構成では、読取センサ100は、搬送されるシートSの下側の面と向かい合う第1読取センサ100Aと、搬送されるシートSの上側の面と向かい合う第2読取センサ100Bとを含む。箔転写装置1は、箔転写を行うとき、シートSが、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされる。この場合、制御部300は、第2読取センサ100Bが検出したシートSの上側の面の色から地色を検出する。
【0095】
なお、図8(b)に示したように、読取センサ100が第1読取センサ100Aと第2読取センサ100Bを含む場合、箔転写装置1は、シートSへの箔転写を行わず、第1読取センサ100Aと第2読取センサ100BによりシートSの両面の画像を読み取る動作を実行可能であってもよい。
【0096】
また、制御部300は、読取センサ100により読み取ったシートSの画像に基づいてシートSの厚さを検出し、検出したシートSの厚さに基づいて、箔転写部50における箔フィルムFとシートSの搬送速度を制御する構成であってもよい。一例として、制御部300は、シートSの厚さが所定以上である場合、箔転写部50における箔フィルムFとシートSの搬送速度を、シートSの厚さが所定未満である場合よりも遅くする。シートSの厚さは、例えば、読取センサ100により読み取ったシートSの先端の影の太さに基づいて検出することができる。
【0097】
また、制御部300は、検出したシートSの厚さに基づいて、箔転写部50における箔フィルムFとシートSの搬送速度を変更するのではなく、箔転写部50における箔フィルムFとシートSの加熱温度を制御する構成であってもよい。一例として、制御部300は、シートSの厚さが所定以上である場合、加熱ローラ61のヒータHの制御目標温度を、シートSの厚さが所定未満である場合よりも高くする。
【0098】
また、制御部300は、検出したシートSの厚さに基づいて、箔転写部50における箔フィルムFとシートSの搬送速度、および、箔転写部50における箔フィルムFとシートSの加熱温度の両方を制御する構成であってもよい。
【0099】
このように検出したシートSの厚さに基づいて搬送速度や加熱温度を制御することで、シートSの厚さに応じた最適な条件でシートSに箔を転写することが可能となる。これにより、シートSに転写される箔の品質を向上させることが可能となる。
【0100】
また、図9に示すように、読取センサ100は、シートSの搬送方向において上流側搬送ローラ11Cの下流側に配置されていてもよい。詳しくは、読取センサ100は、シートSの搬送方向において上流側搬送ローラ11Cと箔転写部50の間に配置されている。より詳しくは、読取センサ100は、シートSの搬送方向において上流側搬送ローラ11Cと第1案内軸41の間に配置されている。
【0101】
このように読取センサ100を上流側搬送ローラ11Cの下流側に配置することで、上流側搬送ローラ11CにニップされることによりシートSの位置や搬送状態が安定した後に読取センサ100によりシートSの画像を読み取ることができる。
【0102】
また、図10に示すように、読取センサ100は、シートSの搬送方向において箔転写部50の下流側に配置されていてもよい。例えば、図10に実線で示すように、読取センサ100は、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aと排出ローラ12Bの間に配置されていてもよい。また、図10に破線で示すように、読取センサ100は、シートSの搬送方向において箔転写部50と下流側搬送ローラ12Aの間に配置されていてもよい。詳しくは、破線で示した読取センサ100は、シートSの搬送方向において第2案内軸42と下流側搬送ローラ12Aの間に配置されている。
【0103】
このように読取センサ100を箔転写部50の下流側に配置することで、シートSに転写された箔の状態を評価したり、シートSに転写された箔の状態に基づいて箔転写部50を制御したりすることが可能となる。
【0104】
例えば、制御部300は、読取センサ100が読み取ったシートS上のトナー像および箔の画像から、箔が転写されるべき領域(トナー像形成領域TA)であるのに箔が転写されていない領域(箔の欠け)や、逆に箔が転写されるべきではない領域であるのに箔が転写されている領域(例えば、文字のつぶれなど)の有無を検出する。そして、制御部300は、箔の欠けや文字のつぶれなどを検出した場合、例えば、筐体2に設けられた図示しないディスプレイにエラーメッセージを表示させる。また、制御部300は、エラーメッセージとともに、または、エラーメッセージに代えて、搬送速度や加熱温度などの箔転写の条件を変更することをユーザに促すメッセージをディスプレイに表示させてもよい。
【0105】
さらに、制御部300は、箔の欠けや文字のつぶれなどを検出した場合、次のシートSへの箔転写を行う際に箔転写部50を制御して、搬送速度や加熱温度などを変更するように構成されていてもよい。すなわち、制御部300は、箔の欠けや文字のつぶれなどを検出した場合、次のシートSへの箔転写の条件を自動的に変更するように構成されていてもよい。
【0106】
なお、箔転写装置1は、シートSの搬送方向において、箔転写部50の上流側に配置された上流側読取センサと、箔転写部50の下流側に配置された下流側読取センサとを両方備え、制御部300は、上流側読取センサで読み取ったシートSの画像と、下流側読取センサで読み取ったシートSの画像とを比較して、シートSに転写された箔の状態(箔の欠け、文字のつぶれなど)を評価する構成であってもよい。
【0107】
また、制御部300は、読取センサ100によるシートS上のトナー像の検出と、箔転写部50によるシートS上のトナー像への箔転写とを分けて実行する構成であってもよい。詳しくは、制御部300は、箔転写範囲設定モードと、箔転写実行モードとを実行する。
【0108】
制御部300は、まず、箔転写範囲設定モードとして、シートトレイ3にセットされたシートSをピックアップローラ11Aによってピックアップし、読取センサ100によりシートS上のトナー像の範囲を読み取るプレスキャンを実行する。このとき、制御部300は、加熱ローラ61を離間位置に位置させたままとし、プレスキャンを実行したシートSを、箔転写を行わず、一度筐体2の外に排出する。
【0109】
その後、当該シートSが再びシートトレイ3にセットされた場合、制御部300は、箔転写実行モードとして、シートSをピックアップローラ11Aによってピックアップし、箔転写部50に向けて搬送する。このとき、制御部300は、箔転写範囲設定モード実行時に読み取ったシートS上のトナー像の範囲に基づいて圧接離間機構70を制御し、トナー像形成領域TAが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の転写位置を通過するタイミングで加熱ローラ61を圧接位置とし、それ以外のタイミングで加熱ローラ61を離間位置として、箔フィルムFを節約しながら、箔転写部50によりシートS上のトナー像形成領域TAに箔を転写する。
【0110】
また、前記実施形態では、加熱ユニットとして、金属管の内部にヒータHを配置した加熱ローラ61を例示したが、例えば、加熱ユニットは、無端状のベルトと、加圧ユニットとの間でベルトを挟んで加圧ユニットとベルト(加熱ユニット)との間にニップ部を形成するニップ板と、ベルトを加熱するヒータとを備える構成であってもよい。また、加熱ユニットは、サーマルヘッドなどであってもよい。
【0111】
また、前記実施形態では、加圧ユニットとして、芯金の周囲をゴム層で被覆した加圧ローラ51を例示したが、例えば、加圧ユニットは、無端状のベルトと、ゴムなどからなるパッドであって、加熱ユニットとの間でベルトを挟むパッドとを備える構成であってもよい。
【0112】
また、前記実施形態では、加熱ローラ61(加熱ユニット)が、加圧ローラ51(加圧ユニット)に圧接する圧接位置と、加圧ローラ51から離間する離間位置との間で移動可能であったが、例えば、加熱ユニットではなく、加圧ユニットが、加熱ユニットに圧接する圧接位置と、加熱ユニットから離間する離間位置との間で移動可能であってもよい。また、加熱ユニットと加圧ユニットのそれぞれが、相手方のユニットに圧接する圧接位置と、相手方のユニットから離間する離間位置との間で移動可能であってもよい。
【0113】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 箔転写装置
3 シートトレイ
11A ピックアップローラ
11C 上流側搬送ローラ
31 供給リール
35 巻取リール
50 箔転写部
51 加圧ローラ
61 加熱ローラ
100 読取センサ
300 制御部
F 箔フィルム
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10