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特開2024-17035印刷用スクリーン、印刷用スクリーンの製造方法、印刷用スクリーンを用いた印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017035
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】印刷用スクリーン、印刷用スクリーンの製造方法、印刷用スクリーンを用いた印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41N 1/24 20060101AFI20240201BHJP
   B41C 1/14 20060101ALI20240201BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B41N1/24
B41C1/14 101
B41M1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119400
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】590003722
【氏名又は名称】佐賀県
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】松本 奈緒子
【テーマコード(参考)】
2H084
2H113
2H114
【Fターム(参考)】
2H084BB07
2H084BB08
2H084BB09
2H084BB10
2H084BB13
2H084CC10
2H113AA01
2H113AA02
2H113AA04
2H113BA10
2H113DA04
2H113DA57
2H113DA63
2H113FA10
2H113FA43
2H114AB02
2H114AB04
2H114AB08
2H114AB11
2H114DA04
2H114DA56
2H114DA61
2H114EA02
(57)【要約】
【課題】絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させることができると共に、少ない印刷回数で、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付け製品を提供できる印刷用スクリーンを提供する。
【解決手段】本発明に係る印刷用スクリーン10は、マスク部20と、開口部25とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーン10において、前記マスク部20には、所定の厚みを有する支持体40が形成されることを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンにおいて、
前記マスク部には、所定の厚みを有する支持体が形成されることを特徴とする印刷用スクリーン。
【請求項2】
厚みが異なる複数の前記支持体が形成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷用スクリーン。
【請求項3】
マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンにおいて、
前記開口部における前記メッシュには、前記メッシュの最小単位の孔の一部を遮蔽する部分遮蔽体が形成されることを特徴とする印刷用スクリーン。
【請求項4】
マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンにおいて、
前記開口部における前記メッシュには、前記メッシュの最小単位の孔を完全に遮蔽すると共に、厚みが異なる複数の完全遮蔽体が形成されることを特徴とする印刷用スクリーン。
【請求項5】
マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンの前記マスク部に、塗布材料を塗布する塗布工程と、
前記塗布材料を硬化させることで、支持体を前記マスク部に形成する支持体形成工程と、を少なくとも含むことを特徴とする印刷用スクリーンの製造方法。
【請求項6】
厚みが異なる複数の前記支持体を形成することを特徴とする請求項5に記載の印刷用スクリーンの製造方法。
【請求項7】
マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンの前記開口部における前記メッシュに、前記メッシュの最小単位の孔の一部を遮蔽する塗布材料を塗布する塗布工程と、
前記塗布材料を硬化させることで、孔の一部を遮蔽する部分遮蔽体を前記開口部における前記メッシュに形成する部分遮蔽体形成工程と、を少なくとも含むことを特徴とする印刷用スクリーンの製造方法。
【請求項8】
マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンの前記開口部における前記メッシュに、前記メッシュの最小単位の孔を完全に遮蔽すると共に、厚みが異なる複数の塗布材料を塗布する塗布工程と、
前記塗布材料を硬化させることで、厚みが異なる複数の完全遮蔽体を前記開口部における前記メッシュに形成する完全遮蔽体形成工程と、を少なくとも含むことを特徴とする印刷用スクリーンの製造方法。
【請求項9】
前記塗布材料が紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型のインクであることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の印刷用スクリーンの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の印刷用スクリーンを用いて、被印刷物に対して絵具によるパターンを印刷する印刷方法であって、
印刷用スクリーンに絵具を供給する供給工程と、
前記供給工程の後に、供給された絵具をスキージによって被印刷物に印刷する印刷工程と、を有し、
前記供給工程と前記印刷工程とを複数回実施することを特徴とする印刷用スクリーンを用いた印刷方法。
【請求項11】
前記供給工程と前記印刷工程とを複数回実施する際、前記供給工程で供給する絵具が前記供給工程毎で異なることを特徴とする請求項10に記載の印刷用スクリーンを用いた印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用スクリーン、印刷用スクリーンの製造方法、印刷用スクリーンを用いた印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絵付けが施された陶磁器製品を量産する場合は、職人による手描きか、スクリーン印刷による転写紙を作成し、成型された生地に貼り付けて焼成する。このとき、例えば、転写紙上の和絵具の厚みを出すためには、印刷の回数を重ねて絵具を盛っていく必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2014-201512号公報)の段落番号(0027)には、「絵柄層に使用する絵具として、ホウ珪酸ガラス成分(Na2O、K2O、Li2O、CaO、MgO、BaO、ZnO、PbO、B23、Al23、SiO2等を含む)とCoOを含む青色無機顔料フラックス((株)ザワピグメンツ製、35808)を25質量部ホウ珪酸ガラス(Na2O、K2O、Li2O、CaO、MgO、BaO、ZnO、PbO、B23、Al23、SiO2等を含む)(イザワピグメンツ製、35102)を25質量部及びメジウム(ベヒクルとも言う。互応化学工業(株)製、OS-4360)を50質量部の割合にて、3本ローラー(窯業用として一般的な混練機)を用いて混合して絵柄層用ペースト(絵具)を調製した。
【0004】
この絵具を用いて、スクリーン印刷により絵柄層(1回目)を焼成前の印刷厚み約10μmに印刷した。
【0005】
次いで、青色無機顔料((株)イザワピグメンツ製、35808)50質量部、メジウム(互応化学工業(株)製、OS-4360)50質量部の割合にて、同じく3本ローラーにて混合して調製した絵の具を用いて、スクリーン印刷により絵柄層(2回目)を印刷厚み約10μmに印刷した。」などの記載がある。
【特許文献1】特開2014-201512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1などに記載の従来の陶磁器製品の製造工程においては、転写紙上の和絵具の厚みを出すために、印刷回数を重ねるようにしているが、しかしながら印刷回数を重ねることで、印刷された和絵具の層の間に気泡が発生するなどの不具合にもつながり、製品の歩留まりが低下する、という課題があった。
【0007】
また、手描きのような自然な厚みムラ(例えば、絵柄の中央部分が厚く、ふちに向かって薄くなる、というような)表現、或いは濃淡、グラデーションの絵付けをするためには、異なる複数の印刷用スクリーンを準備して、印刷を重ねる必要がある。しかしながら、複数の印刷用スクリーンを準備すると共に、さらに印刷を重ねる工程を実施するために、製品の製造コストが嵩でしまう、という課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するものであって、本発明に係る印刷用スクリーンは、マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンにおいて、前記マスク部には、所定の厚みを有する支持体が形成されることができる。
【0009】
また、本発明に係る印刷用スクリーンは、厚みが異なる複数の前記支持体が形成されることができる。
【0010】
また、本発明に係る印刷用スクリーンは、マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンにおいて、前記開口部における前記メッシュには、前記メッシュの最小単位の孔の一部を遮蔽する部分遮蔽体が形成されることができる。
【0011】
また、本発明に係る印刷用スクリーンは、マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンにおいて、前記開口部における前記メッシュには、前記メッシュの最小単位の孔を完全に遮蔽すると共に、厚みが異なる複数の完全遮蔽体が形成されることができる。
【0012】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法は、マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンの前記マスク部に、塗布材料を塗布する塗布工程と、前記塗布材料を硬化させることで、支持体を前記マスク部に形成する支持体形成工程と、を少なくとも含むことができる。
【0013】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法は、厚みが異なる複数の前記支持体を形成することができる。
【0014】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法は、マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンの前記開口部における前記メッシュに、前記メッシュの最小単位の孔の一部を遮蔽する塗布材料を塗布する塗布工程と、前記塗布材料を硬化させることで、孔の一部を遮蔽する部分遮蔽体を前記開口部における前記メッシュに形成する部分遮蔽体形成工程と、を少なくとも含むことができる。
【0015】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法は、マスク部と、開口部とがメッシュに形成され、スクリーン印刷に用いられる印刷用スクリーンの前記開口部における前記メッシュに、前記メッシュの最小単位の孔を完全に遮蔽すると共に、厚みが異なる複数の塗布材料を塗布する塗布工程と、前記塗布材料を硬化させることで、厚みが異なる複数の完全遮蔽体を前記開口部における前記メッシュに形成する完全遮蔽体形成工程と、を少なくとも含むことができる。
【0016】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法は、前記塗布材料が紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型のインクであることができる。
【0017】
また、前記記載の印刷用スクリーンを用いて、被印刷物に対して絵具によるパターンを印刷する印刷方法であって、印刷用スクリーンに絵具を供給する供給工程と、前記供給工程の後に、供給された絵具をスキージによって被印刷物に印刷する印刷工程と、を有し、前記供給工程と前記印刷工程とを複数回実施することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る印刷用スクリーンを用いた印刷方法は、前記供給工程と前記印刷工程とを複数回実施する際、前記供給工程で供給する絵具が前記供給工程毎で異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る印刷用スクリーン10は、従来の印刷用スクリーン10を改良して、印刷回数を重ねことなく、被印刷物S上にある程度の厚み(20μm~2mm程度の厚み)の絵具Pが印刷可能となるので、本発明に係る印刷用スクリーン10によれば、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。また、本発明に係る印刷用スクリーン10は、厚みの異なる絵具P(Pcの厚みの箇所やPdの厚みの箇所)を被印刷物S上に印刷可能とすることができ、本発明に係る印刷用スクリーン10によれば、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法によれば、本発明に係る印刷用スクリーン10を簡便な工程で作製することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る印刷用スクリーンを用いた印刷方法によれば、より複雑な濃淡の表現のパターンを被印刷物に施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の一般的な印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。
図2】従来の一般的な印刷用スクリーン10の平面図である。
図3】従来の一般的な印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法及びこの製造方法により製造された印刷用スクリーン10を説明する図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法及びこの製造方法により製造された印刷用スクリーン10を説明する図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10を説明する図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10を説明する図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について具体的に説明するが、本明細書で用いる用語の定義等についての説明を行う。図1は従来の一般的な印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図であり、また、図2は従来の一般的な印刷用スクリーン10の平面図である。
【0024】
印刷用スクリーン10は、表裏の関係にある2つの主面を有している。これらの主面を本明細書においては、第1面11、第2面12と称することとする。第1面11は、印刷時下方側に配される面で、印刷時被印刷物(転写紙)Sに向く面である。一方、第2面12は、印刷時上方側に配される面で、印刷時被印刷物(転写紙)Sに向かない面である。また、第1面11側又は第2面12側から印刷用スクリーン10を見たときの図を平面図として定義する。
【0025】
また、印刷用スクリーン10において、第1面11側から第2面12側までの方向(或いは、第2面12側から第1面11側までの方向)を、印刷用スクリーン10の厚み方向Zとして定義する。また、この厚み方向Zと、直交する方向を第1方向X、第2方向Yとする。第1方向Xも第2方向Yも互いに直交しているものとする。
【0026】
印刷用スクリーン10の周囲には、フレーム30が設けられており、このフレーム30に対して、第1スクリーン紗(第1メッシュ媒体)13と第2スクリーン紗(第2メッシュ媒体)14とが交叉するようにして織られたメッシュスクリーン16が張られている。第1スクリーン紗(第1メッシュ媒体)13の長手方向を第1方向X、第2スクリーン紗(第2メッシュ媒体)14の長手方向を第2方向Yとして定義する。各スクリーン紗には、例えば、絹、ナイロン、ポリエステルなどの繊維、ステンレススティールなどの針金状材料を用いることができる。
【0027】
孔(より詳しくは、メッシュ孔)15は、隣り合う2本の第1スクリーン紗(第1メッシュ媒体)13と、隣り合う2本の第2スクリーン紗(第2メッシュ媒体)14とで形成される、第1面11側から第2面12側まで(或いは、第2面12側から第1面11側まで)貫通するスクリーンにおける最小単位の孔として定義する。メッシュ孔15は、メッシュスクリーン16における最小単位の孔、ということもできる。
【0028】
メッシュスクリーン16には、絵具P(又はインクなど)が第2面12側から第1面11側まで通過することができる開口部25が形成されており、この開口部25によって絵具Pによる絵柄等が被印刷物(転写紙)S上に形成される。一方、メッシュスクリーン16における絵具Pの非通過部は、マスク部20とする。印刷用スクリーン10においては、メッシュスクリーン16に開口部25とマスク部20とが形成され、スクリーン印刷に供される。なお、開口部25と孔15とは、本明細書で区別されている。
【0029】
以上のように構成される印刷用スクリーン10を用いた印刷工程について、図3を参照しつつ説明する。図3は従来の一般的な印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図であり、印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。以下の本明細書では、被印刷物(例えば、転写紙等)Sに対して、絵具Pによってスクリーン印刷を行う例について説明するが、本発明がこのような利用形態に限定される必要はなく、転写紙以外の他の被印刷物に対して、インクなどによってスクリーン印刷を行う場合にも利用し得るものである。
【0030】
印刷工程においては、印刷用スクリーン10は、第2面12側が鉛直上方側とされ、第1面11側が、転写紙等の被印刷物Sに当接するように配される。印刷用スクリーン10の第2面12側には、絵具が供給され、スキージ(不図示)によって圧力が印加される。圧力が印加された絵具は、開口部25でメッシュスクリーン16を通過して、被印刷物Sの上に、所定の膜厚を有する、絵具Pの絵柄等のパターンが形成される。
【0031】
本発明は、以上のような従来の印刷用スクリーン10を改良して、印刷回数を重ねことなく、被印刷物S上にある程度の厚み(20μm~2mm程度の厚み)の絵具Pを印刷可能として、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させるようにしたものである。また、本発明に係る印刷用スクリーン10は、厚みの異なる絵具Pを被印刷物S上に印刷可能とするように工夫することで、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することが可能となる。
【0032】
以上のような本発明に係る印刷用スクリーン10を製造する方法についても本発明の範疇であるので、以下、本発明の第1実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法及びこの製造方法により製造された印刷用スクリーン10を、図4を参照して説明する。
【0033】
図4(A)は、従来の一般的な印刷用スクリーン10であり、このような従来の一般的な印刷用スクリーン10は、本発明による改良を施すために、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型のインクを吐出することが可能なインクジェット印刷装置(不図示)の被印刷物載置部(不図示)にセットされる。なお、被印刷物載置部にセットされる印刷用スクリーン10には、鉛直上方からインクが吐出されるようになっている。ここで、印刷用スクリーン10を被印刷物載置部にセットする際には、印刷用スクリーン10の第1面11側が鉛直上方側とされる。また、インクジェット印刷装置としては、ローランド株式会社製のVersa UVなどのフラットヘッドUVプリンターを用いることができる。
【0034】
ここで、前記の紫外線硬化型のインクは、本明細書においては、「塗布材料30」の一種として定義する。また、「塗布材料30」は、初期は粘性のある流動体状の材料であるが、紫外線の照射により硬化したり、熱を加えることで化学反応が進行して硬化したりする材料として定義される。塗布材料30の具体例としては、前述した紫外線硬化型のインク、UVレジンなどの紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、或いは、その他接着剤(でんぷん系、蛋白系、天然ゴム系、漆・松やに・ろう、熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、エラストマー系のものなど)を挙げることができる。
【0035】
本発明において、上記のような塗布材料30を印刷用スクリーン10の第1面11に塗布するための手段としてはインクジェット印刷装置に限定されるものではない。塗布材料30を印刷用スクリーン10の第1面11に塗布するための手段としては、筆塗り、スポイトの使用などの手描き塗布でも構わないし、ディスペンサー機器による塗布でも構わないし、スクリーン印刷による塗布であっても構わない。
【0036】
なお、塗布材料30が硬化すると、本発明においては、支持体40、部分遮蔽体50、或いは、完全遮蔽体60などと称する部材となる。支持体40、部分遮蔽体50、或いは、完全遮蔽体60の詳細については後述する。
【0037】
さて、図4(A)に示すように一般的な印刷用スクリーン10を、インクジェット印刷装置の被印刷物載置部にセットすると、続いて、図4(B)に示すようにインクジェット印刷装置を稼働させて、開口部25に比較的近接したマスク部20に対して、紫外線硬化型のインクを、塗布材料30を塗布する塗布工程が実施される。なお、本実施形態の塗布工程においては、開口部25に比較的近接したマスク部20に対して塗布材料30を塗布するようにしたが、印刷用スクリーン10の第1面11のマスク部20に対して塗布材料30を塗布するようにすればよく、塗布材料30を塗布するマスク部20上の位置が特に限定されるものではない。
【0038】
次に、図4(C)に示すようにインクジェット印刷装置に搭載されている紫外線を照射可能なライト(不図示)により、印刷用スクリーン10のマスク部20に塗布した塗布材料30を照射して、塗布材料30を硬化させて、これを支持体40となす支持体形成工程を実施する。ここで、「支持体40」とは、マスク部20に塗布した塗布材料30の硬化により得られる部材であり、印刷用スクリーン10の第1面11表面から所定の厚みの突起物のような部材として機能するものである。
【0039】
上記のような支持体40が形成された印刷用スクリーン10を用いた印刷工程について、図5を参照しつつ説明する。図5は本発明の第1実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図であり、印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。
【0040】
印刷工程で用いるスクリーン印刷用の絵具Pの配合の例について記載しておくと、
・上絵具(粉末)100g+転写用オイル80g
・上絵具(粉末)100g+転写用オイル150g
・上絵具(粉末)100g+転写用オイル250g
などを挙げることができる。
【0041】
ここで、転写用オイルの成分例を、スキージオイルOS-721(互応化学社製)の場合で示すと、ニトロセルロース、トリメチルベンゼン、ナフタレン、乳酸ブチル、イソプロピルアルコールなどの成分を挙げることができる。
【0042】
印刷工程においては、印刷用スクリーン10は、第2面12側が鉛直上方側とされ、第1面11側が、転写紙等の被印刷物Sに当接するように配される。このとき、印刷用スクリーン10の第1面11に形成されている支持体40の厚みにより、開口部25の周囲は被印刷物Sに当接しきらず、メッシュスクリーン16が被印刷物Sから浮いた状態となる。
【0043】
印刷用スクリーン10の第2面12側には、絵具が供給され、スキージ(不図示)によって圧力が印加されると、圧力が印加された絵具が、開口部25からメッシュスクリーン16を通過して、被印刷物Sの上に所定の膜厚を有する絵柄等のパターンが形成される。ここで、スキージの圧力・応力によって、開口部25の周縁付近のメッシュスクリーン16より、中央付近のメッシュスクリーン16の方が被印刷物S側に凹む。このため、絵柄等のパターンにおける、前記中央付近の絵具Pcの厚みは厚みが薄くなり、前記周縁付近絵具Pdの厚みは厚みがPcに比べて厚くなる。すなわち、絵具Pcの厚み<絵具Pdの厚み、の関係を有する。
【0044】
なお、図5に関連して説明した印刷方法においては、上記のような1回のスキージの印刷動作により、被印刷物Sの上に絵具による絵柄等のパターンを形成する例について説明したが、印刷用スクリーン10の第2面12に再度絵具を供給し、2回目のスキージの印刷動作により、絵柄等のパターンを増していくような印刷を行うことももちろん可能である。さらに、3回目以降のスキージによる印刷動作も同様である。
【0045】
また、1回目のスキージの印刷動作に用いる印刷用スクリーンと、2回目のスキージの印刷動作に用いる印刷用スクリーンとでそれぞれ異なる印刷用スクリーンを用いて、絵柄等のパターンを形成するようにすることもできる。
【0046】
さらに、例えば、2回のスキージの印刷動作により、被印刷物Sの上に絵具のパターンを形成していく際、1回目のスキージの印刷動作の際に、印刷用スクリーン10に供給する絵具と、2回目のスキージの印刷動作の際に、印刷用スクリーン10に供給する絵具と、でそれぞれ異なる絵具を用いるようにしてもよい。ここで、「異なる絵具」とは、例えば、異なる色の絵具を用いるようにすることができる。2回のスキージの印刷動作の際に、異なる色の絵具を用いることで、より複雑な濃淡の表現が可能となる。
【0047】
上記のような複数回の印刷動作や、異なる印刷スクリーンによる印刷動作や、それぞれの回で異なる絵具を用いた印刷動作を印刷方法として採用する際、これ以降で説明する実施形態の印刷用スクリーン10も適宜用いることができる。
【0048】
以上のように、本発明に係る印刷用スクリーン10は、従来の印刷用スクリーン10を改良して、印刷回数を重ねことなく、被印刷物S上にある程度の厚み(20μm~2mm程度の厚み)の絵具Pが印刷可能となるので、本発明に係る印刷用スクリーン10によれば、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。また、本発明に係る印刷用スクリーン10は、厚みの異なる絵具P(Pcの厚みの箇所やPdの厚みの箇所)を被印刷物S上に印刷可能とすることができ、本発明に係る印刷用スクリーン10によれば、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することが可能となる。
【0049】
また、本発明に係る印刷用スクリーンの製造方法によれば、本発明に係る印刷用スクリーン10を簡便な工程で作製することが可能となる。
【0050】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法及びこの製造方法により製造された印刷用スクリーン10を説明する図である。
【0051】
図6(A)は、従来の一般的な印刷用スクリーン10であり、このような印刷用スクリーン10は、第2実施形態においても改良を施すために、例えば、紫外線硬化型のインクを吐出することが可能なインクジェット印刷装置(不図示)の被印刷物載置部(不図示)にセットする。印刷用スクリーン10を被印刷物載置部にセットする際には、印刷用スクリーン10の第1面11側が鉛直上方側とされることは先の実施形態と同様である。
【0052】
インクジェット印刷装置で用いられる紫外線硬化型のインクは、本明細書においては、「塗布材料30」の一種として定義され、「塗布材料30」としては種々のバリエーションを用い得ることも先の実施形態と同様である。また、先の実施形態同様、塗布材料30を印刷用スクリーン10の第1面11に塗布するための手段としてはインクジェット印刷装置に限定されるものではない。
【0053】
なお、先の第1実施形態においては、塗布材料30が硬化すると、支持体40と称する部材となるものと定義した。第1実施形態においては、印刷用スクリーン10の第1面11に形成される支持体40の厚みの種類については特に言及しなかったが、第2実施形態に係る印刷用スクリーン10には、厚みが異なる複数の支持体が形成されることを特徴としている。支持体40と、参照符号にプライムが付された支持体40’とは厚みが異なることを示している。(ただし、支持体40’の厚み<支持体40の厚み)以下、本明細書では、プライムが付された参照符号により厚みの相違等を示すこととする。
【0054】
図6(A)おいては、2つの異なる開口部25、25’が形成された印刷用スクリーン10を例示している。この印刷用スクリーン10をインクジェット印刷装置の被印刷物載置部にセットすると、続いて、図6(B)に示すようにインクジェット印刷装置を稼働させて、開口部25、25’それぞれ比較的近接したマスク部20に対して、紫外線硬化型のインクを、塗布材料30、30’を塗布する塗布工程が実施される。なお、本実施形態においても、塗布材料30、30’を塗布するマスク部20上の位置が特に限定されるものではない。また、塗布材料30の厚みが、塗布材料30’の厚みより厚い。
【0055】
次に、図6(C)に示すようにインクジェット印刷装置に搭載されている紫外線を照射可能なライト(不図示)により、印刷用スクリーン10のマスク部20に塗布した塗布材料30、30’を照射して、塗布材料30、30’を硬化させて、これを支持体40、40’となす支持体形成工程を実施する。支持体40、40’は、マスク部20に塗布した塗布材料30、30’の硬化により得られる部材であり、印刷用スクリーン10の第1面11表面から異なる厚みを有する2種類の突起物のような部材として機能するものである。
【0056】
上記のような支持体40、40’が形成された印刷用スクリーン10を用いた印刷工程について、図7を参照しつつ説明する。図7は本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図であり、印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。
【0057】
印刷工程においては、印刷用スクリーン10は、第2面12側が鉛直上方側とされ、第1面11側が、転写紙等の被印刷物Sに当接するように配される。このとき、印刷用スクリーン10の第1面11に形成されている支持体40、40’の厚みにより、開口部25、25’のそれぞれの周囲は被印刷物Sに当接しきらず、メッシュスクリーン16が被印刷物Sから、それぞれ高さ異なる位置で浮いた状態となる。
【0058】
印刷用スクリーン10の第2面12側には、絵具が供給され、スキージ(不図示)によって圧力が印加されると、圧力が印加された絵具が、開口部25、25’からメッシュスクリーン16を通過して、被印刷物Sの上に所定の膜厚を有する絵柄等のパターンが形成される。開口部25、25’の周囲には、それぞれ厚みの異なる支持体40、40’が形成されているため、開口部25を通過した絵具P1の厚みと、開口部25’ を通過した絵具P2の厚みとは異なる。ただし、絵具P2の厚み<絵具P1の厚み、の関係を有する。
【0059】
第1の実施形態においては、スキージの圧力・応力によって、開口部25の周縁付近のメッシュスクリーン16より、中央付近のメッシュスクリーン16の方が被印刷物S側に凹むことを利用して、絵具の厚みを異ならせるようにしたが、第2実施形態に係る印刷用スクリーン10では、元々異なる厚みの支持体40、40’が印刷用スクリーン10に既に形成されているため、必ずしも印刷時におけるメッシュスクリーン16の凹みを利用して、絵具の厚みを異ならせるようにする必要はない。
【0060】
以上のように、本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10は、従来の印刷用スクリーン10を改良して、印刷回数を重ねことなく、被印刷物S上にある程度の厚み(20μm~2mm程度の厚み)の絵具Pが印刷可能となるので、本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10によれば、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。また、本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10は、厚みの異なる絵具P(P1の厚みの箇所やP2の厚みの箇所)を被印刷物S上に印刷可能とすることができ、本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10によれば、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することが可能となる。
【0061】
また、本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法によれば、本発明の第2実施形態に係る印刷用スクリーン10を簡便な工程で作製することが可能となる。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態に係る印刷用スクリーン10及び第2実施形態に係る印刷用スクリーン10においては、一般の印刷用スクリーン10で被印刷物S上に印刷可能な絵具Pより厚い絵具Pを印刷するために、印刷用スクリーン10の第1面11に支持体40を形成する構成を採用していた。
【0063】
一方、第3実施形態に係る印刷用スクリーン10においては、印刷用スクリーン10の開口部25を通過させる絵具量の一部を抑制することで絵具量を制御するようにし、印刷回数を重ねことなく、被印刷物S上にある程度の厚みの絵具Pを印刷可能とするものである。これにより、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させるようにする。
【0064】
また、第3実施形態に係る印刷用スクリーン10においては、印刷用スクリーン10の開口部25を通過させる絵具量の一部を抑制することで、厚みの異なる絵具Pを被印刷物S上に印刷可能とし、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することを目的としている。
【0065】
図8は本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10を説明する図であり、図8(A)は印刷用スクリーン10の平面図であり、図8(B)は印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。第3実施形態に係る印刷用スクリーン10においては、これまでの実施形態の支持体40に代えて、部分遮蔽体50を開口部25におけるメッシュ孔15に設けることを特徴としている。部分遮蔽体50は、それぞれのメッシュ孔15を完全に遮蔽するものではなく、あくまでそれぞれのメッシュ孔15の一部を遮蔽する構成となっている(図8(B)参照)。
【0066】
部分遮蔽体50を開口部25におけるメッシュ孔15に設けるための方法としては、これまで支持体40を形成したのと同様の方法を採用することができる。すなわち、従来の一般的な印刷用スクリーン10の開口部25に対して、インクジェット印刷装置(不図示)で、塗布材料30としての紫外線硬化型のインクを吐出して、開口部25に塗布材料30を設ける工程を実施し、さらに次に、紫外線の照射により塗布材料30を硬化させる工程を実施し、開口部25におけるメッシュ孔15に部分遮蔽体50が設けられた印刷用スクリーン10を得ることができる。
【0067】
部分遮蔽体50が設けられた印刷用スクリーン10を用いた印刷工程について、図9を参照しつつ説明する。図9は本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図であり、印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。
【0068】
印刷工程においては、印刷用スクリーン10は、第2面12側が鉛直上方側とされ、第1面11側が、転写紙等の被印刷物Sに当接するように配される。印刷用スクリーン10の第2面12側には、絵具が供給される。このとき、絵具の供給量は、被印刷物S上で必要となる絵具の厚みが確保できるように制御される。第2面12側の絵具がスキージ(不図示)によって圧力が印加されると、圧力が印加された絵具は、開口部25からメッシュスクリーン16を通過して、被印刷物Sの上に所定の膜厚を有する絵柄等のパターンが形成される。印刷用スクリーン10の開口部25の一部のメッシュ孔15には部分遮蔽体50が形成されているために、絵柄等のパターンにおける、前記中央付近の絵具Pcの厚みは薄くなり、前記周縁付近絵具Pdの厚みは絵具Pcの厚みより厚くなる。すなわち、絵具Pcの厚み<絵具Pdの厚み、の関係を有する。
【0069】
以上のように、本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10は、従来の印刷用スクリーン10を改良して、印刷回数を重ねことなく、絵具Pの供給量を制御することで被印刷物S上にある程度の厚みの絵具Pが印刷可能となるので、本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10によれば、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。また、本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10は、厚みの異なる絵具P(Pcの厚みの箇所やPdの厚みの箇所)を被印刷物S上に印刷可能とすることができ、本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10によれば、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することが可能となる。
【0070】
また、本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法によれば、本発明の第3実施形態に係る印刷用スクリーン10を簡便な工程で作製することが可能となる。
【0071】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図10は本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10を説明する図である。第3実施形態に係る印刷用スクリーン10においては、開口部25におけるメッシュ孔15に部分遮蔽体50が設けられていた。これに対して、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10においては、開口部25におけるメッシュ孔15全体を完全に遮蔽する完全遮蔽体60を設けると共に、厚みが異なる複数の完全遮蔽体60、60’ 、60’ ’ を適時設けるようにすることに特徴がある。
【0072】
完全遮蔽体60、60’ 、60’ ’を開口部25におけるメッシュ孔15に設けるための方法としては、第2実施形態で部分遮蔽体50を形成したのと同様の方法を採用することができる。すなわち、従来の一般的な印刷用スクリーン10の開口部25に対して、インクジェット印刷装置(不図示)で、塗布材料30としての紫外線硬化型のインクを吐出して、開口部25に塗布材料30を設ける工程を実施し、さらに次に、紫外線の照射により塗布材料30を硬化させる工程を実施し、開口部25におけるメッシュ孔15に完全遮蔽体60、60’ 、60’ ’が設けられた印刷用スクリーン10を得ることができる。ここで、塗布材料30の塗布量は、部分遮蔽体50でなく、メッシュ孔15全体が遮蔽され、かつ厚みが異なる完全遮蔽体60、60’ 、60’ ’となるようにコントロールする。ただし、完全遮蔽体60’ ’の厚み<完全遮蔽体60’の厚み<完全遮蔽体60の厚みの関係性となるようにされている。
【0073】
厚みが異なる複数の完全遮蔽体60、60’ 、60’ ’が設けられた印刷用スクリーン10を用いた印刷工程について、図11を参照しつつ説明する。図11は本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10を用いた印刷工程を説明する図であり、印刷用スクリーン10の断面の概略を示す図である。
【0074】
印刷工程においては、印刷用スクリーン10は、第2面12側が鉛直上方側とされ、第1面11側が、転写紙等の被印刷物Sに当接するように配される。印刷用スクリーン10の第2面12側には、絵具が供給される。このとき、絵具の供給量は、被印刷物S上で必要となる絵具の厚みが確保できるように制御される。
【0075】
第2面12側の絵具がスキージ(不図示)によって圧力が印加されると、圧力が印加された絵具は、開口部25からメッシュスクリーン16を通過して、被印刷物Sの上に所定の膜厚を有する絵柄等のパターンが形成される。印刷用スクリーン10の開口部25の一部のメッシュ孔15には、厚みの異なる複数の完全遮蔽体60、60’ 、60’ ’が形成されている。このために、絵柄等のパターンにおける、前記中央付近の絵具Pcの厚みは厚くなり、前記周縁付近の絵具Pdの厚みは絵具Pcの厚みより薄くなる。すなわち、絵具Pcの厚み>絵具Pdの厚み、の関係を有する。
【0076】
以上のように、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10は、従来の印刷用スクリーン10を改良して、印刷回数を重ねことなく、絵具Pの供給量を制御することで被印刷物S上にある程度の厚みの絵具Pが印刷可能となるので、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10によれば、絵具層間における気泡の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。また、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10は、厚みの異なる絵具P(Pcの厚みの箇所やPdの厚みの箇所)を被印刷物S上に印刷可能とすることができ、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10によれば、自然な厚みムラ表現、濃淡、グラデーションなどを有する絵付けがなされた製品を安価に提供することが可能となる。
【0077】
また、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーンの製造方法によれば、本発明の第4実施形態に係る印刷用スクリーン10を簡便な工程で作製することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
10・・・印刷用スクリーン
11・・・第1面(印刷時下方側に配される面。印刷時被印刷物に向く面。)
12・・・第2面(印刷時上方側に配される面。印刷時被印刷物に向かない面。)
13・・・第1スクリーン紗(第1メッシュ媒体)
14・・・第2スクリーン紗(第2メッシュ媒体)
15・・・孔(メッシュ孔)
16・・・メッシュスクリーン
20・・・マスク部
25、25’・・・開口部
30・・・フレーム
30・・・塗布材料
40、40’・・・支持体
50・・・部分遮蔽体
60、60’ 、60’ ’・・・完全遮蔽体
X・・・第1方向
Y・・・第2方向
Z・・・厚み方向
S・・・被印刷物(転写紙)
P・・・絵具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11