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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170352
(43)【公開日】2024-12-09
(54)【発明の名称】天井搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/07 20060101AFI20241202BHJP
   B61B 3/02 20060101ALI20241202BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B65G49/07 F
B61B3/02 B
B61B13/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181047
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BA05
3D101BB16
3D101BB33
(57)【要約】
【課題】開口部の前面にストッパを配置することなく、搬送時における開口部からの物品の飛び出しを抑制できる天井搬送車を提供する。
【解決手段】開口部200aの開口方向が水平方向に向くように容器200を把持する把持部12と、把持部12が設けられ、走行部3に対して複数の吊持部材Bによって吊り下げられる昇降部7と、複数の吊持部材Bのそれぞれを巻き取り及び繰り出しを行うことによって走行部3に対して昇降部7を昇降させる昇降駆動部63Aと、昇降駆動部63Aを制御して、昇降部7の水平面に対する傾きを調整する制御部8と、を備える。制御部8は、把持部12によって把持される容器200の開口部200a側の高さ位置が容器200において相対的に高くなる飛出防止姿勢となるように、昇降部7の傾きを調整する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の出し入れを行う開口部が一方向に開口する容器を搬送する天井搬送車であって、
前記開口部の開口方向が水平方向に向くように前記容器を把持する把持部と、
前記把持部が設けられると共に、複数の吊持部材によって走行部に吊り下げられる昇降部と、
前記複数の吊持部材のそれぞれを巻き取り及び繰り出しを行うことによって前記走行部に対して前記昇降部を昇降させる昇降駆動部と、
前記昇降駆動部を制御して、前記昇降部の水平面に対する傾きを調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記把持部によって把持される前記容器の前記開口部側の高さ位置が前記容器において相対的に高くなる飛出防止姿勢となるように、前記昇降部の前記傾きを調整する、天井搬送車。
【請求項2】
前記吊持部材が巻き掛けられるプーリと、
前記プーリの位置を移動させる位置変更機構と、を更に備え、
前記制御部は、前記昇降駆動部と前記位置変更機構との両方を制御して、前記把持部によって把持される前記容器が前記飛出防止姿勢となるように、前記昇降部の前記傾きを調整する、請求項1記載の天井搬送車。
【請求項3】
物品の出し入れを行う開口部が側面に設けられた容器を把持する把持部と、
前記把持部が設けられると共に、複数の吊持部材によって走行部に吊り下げられる昇降部と、
前記複数の吊持部材の巻き取り及び繰り出しを行うことによって前記走行部に対して前記昇降部を昇降させる昇降駆動部と、
前記吊持部材が巻き掛けられるプーリと、
前記プーリの位置を移動させる位置変更機構と、
前記位置変更機構を制御して、前記昇降部の水平面に対する傾きを調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記把持部によって把持される前記容器の前記開口部側の高さ位置が前記容器において相対的に高くなる飛出防止姿勢となるように、前記昇降部の前記傾きを調整する、天井搬送車。
【請求項4】
前記プーリは、鉛直方向に沿って移動可能に設けられており、
前記位置変更機構は、鉛直方向に沿って前記プーリを移動させる、請求項2又は3記載の天井搬送車。
【請求項5】
前記制御部は、少なくとも前記走行部が走行中に前記飛出防止姿勢となるように、前記昇降部の傾きを調整する、請求項1~4の何れか一項記載の天井搬送車。
【請求項6】
前記制御部は、前記容器を載置部に載置する前の下降動作において、前記容器の姿勢が前記飛出防止姿勢から前記開口部における開口方向が水平方向を向いた通常姿勢に変更するように、前記昇降部の傾きを調整する、請求項1~5の何れか一項記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
天井等に敷設された軌道を走行する走行部と、棚又はロードポート等の載置部に物品を移載する把持部を有する昇降部と、が設けられた天井搬送車が知られている。昇降部は、ベルト等の複数の吊持部材によって吊り下げ保持されており、当該吊持部材を巻き取りないし繰り出しすることによって昇降される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-64799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような天井搬送車は、物品を出し入れするための開口部が側面に設けられている(水平方向に開口している)容器に収容した状態で物品を搬送することがある。しかしながら、この場合、例えば天井搬送車の加減速や、カーブ区間走行時の遠心力等に起因して、容器の開口部から物品が飛び出すおそれがある。例えば、特許文献1には、物品の搬送時に、物品の飛び出しを防止するストッパ(接触体)を開口部における飛び出し方向の前面に配置させることによって物品の飛び出しを防止する搬送装置が開示されている。
【0005】
本発明の一側面の目的は、開口部の前面にストッパを配置することなく、搬送時における開口部からの物品の飛び出しを抑制できる天井搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、物品の出し入れを行う開口部が一方向に開口する容器を搬送する天井搬送車であって、開口部の開口方向が水平方向に向くように容器を把持する把持部と、把持部が設けられると共に、複数の吊持部材によって走行部に吊り下げられる昇降部と、複数の吊持部材のそれぞれを巻き取り及び繰り出しを行うことによって走行部に対して昇降部を昇降させる昇降駆動部と、昇降駆動部を制御して、昇降部の水平面に対する傾きを調整する制御部と、を備え、制御部は、把持部によって把持される容器の開口部側の高さ位置が容器において相対的に高くなる飛出防止姿勢となるように、昇降部の傾きを調整する。
【0007】
ここでいう「走行部に吊り下げられる」とは、走行部に直接吊り下げられてもよいし、走行部と一体的に移動する他の物体に吊り下げられてもよいことを意味している。この構成の天井搬送車は、把持部によって把持される容器の開口部側の高さ位置が容器において相対的に高くなる飛出防止姿勢、言い換えれば、開口部の開口方向が水平方向に対して斜め上方に傾く飛出防止姿勢となるように、昇降駆動部が制御されることによって昇降部の傾きが調整される。これにより、把持部によって把持される容器の開口部の開口方向が水平方向に向いている場合と比べて、開口部から物品が飛び出す可能性が低減される。すなわち、開口部の前面にストッパを配置することなく、搬送時における開口部からの物品の飛び出しを抑制できる。その結果として、より高速な搬送も可能となる。
【0008】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、吊持部材が巻き掛けられるプーリと、プーリの位置を移動させる位置変更機構と、を更に備え、制御部は、昇降駆動部と位置変更機構との両方を制御して、把持部によって把持される容器が飛出防止姿勢となるように、昇降部の傾きを調整してもよい。この構成では、昇降駆動部と位置変更機構との両方を制御して、昇降部の傾きを調整するので、昇降部の傾きを調整するにあたり、調整量を大きくすることができ、また細かな調整も可能となる。
【0009】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、物品の出し入れを行う開口部が側面に設けられた容器を把持する把持部と、把持部が設けられると共に、複数の吊持部材によって走行部に吊り下げられる昇降部と、複数の吊持部材の巻き取り及び繰り出しを行うことによって走行部に対して昇降部を昇降させる昇降駆動部と、吊持部材が巻き掛けられるプーリと、プーリの位置を移動させる位置変更機構と、位置変更機構を制御して、昇降部の水平面に対する傾きを調整する制御部と、を備え、制御部は、把持部によって把持される容器の開口部側の高さ位置が容器において相対的に高くなる飛出防止姿勢となるように、昇降部の傾きを調整する。
【0010】
この構成の天井搬送車は、把持部によって把持される容器の開口部側の高さ位置が容器において相対的に高くなる飛出防止姿勢、言い換えれば、開口部の開口方向が水平方向に対して斜め上方に傾く飛出防止姿勢となるように、位置変更機構が制御されることによって昇降部の傾きが調整される。これにより、把持部によって把持される容器の開口部の開口方向が水平方向に向いている場合と比べて、開口部から物品が飛び出す可能性が低減される。すなわち、開口部の前面にストッパを配置することなく、搬送時における開口部からの物品の飛び出しを抑制できる。
【0011】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、プーリは、鉛直方向に沿って移動可能に設けられており、位置変更機構は、鉛直方向に沿ってプーリを移動させてもよい。この構成では、簡易な構成で昇降部の傾きを調整することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、制御部は、少なくとも走行部が走行中に飛出防止姿勢となるように、昇降部の傾きを調整してもよい。この構成では、走行時(加減速時又はカーブ区間走行時)に、開口部から物品が飛び出す可能性を低減できる。
【0013】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、制御部は、容器を載置部に載置する前の下降動作において、容器の姿勢が飛出防止姿勢から開口部における開口方向が水平方向を向いた通常姿勢に変更するように、昇降部の傾きを調整してもよい。この構成では、水平な載置面を有する載置部に容器を載置するときに容器に加わる衝撃を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、開口部の前面にストッパを配置することなく、搬送時における開口部からの物品の飛び出しを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態の天井搬送車の側面図である。
図2図2は、保持ユニットを前方から見た正面図である。
図3図3は、第一緩衝機構及び第二緩衝機構の斜視図である。
図4図4は、昇降駆動ユニットの正面図である。
図5図5は、昇降駆動ユニットの側面図である。
図6図6は、昇降駆動ユニットの動作を示す正面図である。
図7図7は、昇降駆動ユニットの動作を示す側面図である。
図8図8(A)は、容器が通常姿勢(水平)となるように把持する保持ユニットを示す正面図であり、図8(B)は、容器が飛び出し防止姿勢となるように把持する保持ユニットを示す正面図である。
図9図9は、保持ユニットの下降動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1に示されるように、一実施形態の天井搬送車1は、半導体デバイスが製造されるクリーンルームの天井付近に敷設された軌道20に沿って走行する。一実施形態の天井搬送車1は、複数の半導体ウェハ等の物品Aが収容された容器200の搬送、及び、半導体ウェハ等に各種処理を施す処理装置に設けられたロードポート(載置部)300等に対する容器200の移載を行う。
【0018】
本実施形態において搬送される容器200は、図9に示されるように、一方向に開口する開口部200aを有している。開口部200aは、容器200をロードポート300等の水平な載置面に載置したときに水平方向に直交する面を構成する側面200bの一部に形成されている。つまり、容器200がロードポート300等の水平な載置面に載置されると、開口部200aは水平方向に開口する。
【0019】
図1に示されるように、天井搬送車1は、フレームユニット2と、走行ユニット(走行部)3と、ラテラルユニット4と、シータユニット5と、昇降駆動ユニット6と、保持ユニット(昇降部)7と、搬送車コントローラ(制御部)8と、を備えている。フレームユニット2は、センターフレーム15と、フロントフレーム16と、リアフレーム17と、を有している。フロントフレーム16は、センターフレーム15における前側(天井搬送車1の走行方向における前側)の端部から下側に延在している。リアフレーム17は、センターフレーム15における後側(天井搬送車1の走行方向における後側)の端部から下側に延在している。
【0020】
走行ユニット3は、センターフレーム15の上側に配置されている。走行ユニット3は、例えば、軌道20に沿って敷設された高周波電流線から非接触で電力の供給を受けることで、軌道20に沿って走行する。ラテラルユニット4は、センターフレーム15の下側に配置されている。ラテラルユニット4は、シータユニット5、昇降駆動ユニット6及び保持ユニット7を横方向(天井搬送車1の走行方向における側方)に移動させる。シータユニット5は、ラテラルユニット4の下側に配置されている。シータユニット5は、昇降駆動ユニット6及び保持ユニット7を水平面内において回動させる。
【0021】
昇降駆動ユニット6は、シータユニット5の下側に配置されている。昇降駆動ユニット6は、複数のベルトBによって保持ユニット7を吊り下げている。昇降駆動ユニット6は、複数のベルトBの巻き取り及び繰り出しを行うことによって走行ユニット3と一体的に移動する昇降駆動ユニット6に対して保持ユニット7を昇降させる。保持ユニット7は、昇降駆動ユニット6の下側に配置されている。保持ユニット7は、容器200のフランジ201を保持する。
【0022】
次に、保持ユニット7の構成について詳細に説明する。図1及び図2に示されるように、保持ユニット7は、ベース11と、一対のグリッパ(把持部)12,12と、筐体13を有している。一対のグリッパ12,12は、水平方向に沿って開閉可能となるようにベース11によって支持されている。一対のグリッパ12,12は、駆動モータ(図示省略)及びリンク機構(図示省略)によって開閉させられる。
【0023】
本実施形態では、一対のグリッパ12,12が開状態のときに、グリッパ12の保持面がフランジ201の下面の高さより下方となるように、保持ユニット7の高さ位置が調整される。そして、この状態で一対のグリッパ12,12が閉状態となることで、グリッパ12の保持面がフランジ201の下面の下方へ進出し、この状態で保持ユニット7を上昇させることにより、一対のグリッパ12,12によってフランジ201が保持(把持)され、容器200が支持される。図8(A)に示されるように、一対のグリッパ12,12は、保持ユニット7が水平面に対して傾きが無い状態において、開口部200aが水平方向を向くように(容器200の底部200cが水平を維持した姿勢で)容器200を保持することができる。
【0024】
図3に示されるように、本実施形態の保持ユニット7には、第一緩衝機構50及び第二緩衝機構40を介してベルトBの一端が接続される。ここで、第一緩衝機構50及び第二緩衝機構40について詳細に説明を行う。第一緩衝機構50及び第二緩衝機構40は、ベルトBと保持ユニット7(図1参照)とを連結する機構であり、走行ユニット3が走行するとき又は保持ユニット7が昇降するときの振動が容器200に伝わることを抑制する機構である。
【0025】
第一緩衝機構50は、鉛直方向下方からベース11を鉛直方向に移動可能に支持する弾性部材58を有し、鉛直方向から見た平面視において天井搬送車1の走行方向に直交する幅方向の一方に配置される。本実施形態では、第一緩衝機構50は、左右方向において保持ユニット7の右側に設けられている。第一緩衝機構50は、接続部材51と、揺動部材53と、第一本体部材54と、第二本体部材56と、一対の弾性部材58,58と、を有している。なお、本実施形態における左右方向とは、天井搬送車1を走行方向前方から見たときの左右方向を意味する。
【0026】
接続部材51は、ベルトBに取り付けられる部材である。揺動部材53は、接続部材51に連結される部材である。揺動部材53は、ピン部材52を介して接続部材51に双方向に回転可能に連結される。第一本体部材54は、略L字状の部材であり、その底部は、平坦となるように形成されている。第一本体部材54は、揺動部材53に接続されている。第一本体部材54は、底部が第二本体部材56にボルト等によって接続されている。第二本体部材56は、弾性部材58を下方から支持すると共に、第一本体部材54の底部を支持する。
【0027】
一対の弾性部材58,58は、所定のバネ定数を有するコイルバネである。一対の弾性部材58,58は、第二本体部材56に支持されると共にベース11を下方から支持する。弾性部材58の下端は、第二本体部材56に固定されている。弾性部材58の上端は、ベース11には固定されておらず、接触することによってベース11を支持する。すなわち、一対の弾性部材58,58のそれぞれは、第二本体部材56とベース11との両方に接触した状態で縮んだ状態にあるとき、第二本体部材56とベース11とを互いに遠ざける方向に付勢する。弾性部材58は、互いに接触する部材間に伝わる振動を低減する役割を有する。なお、ベース11に固定され、第二本体部材56に離接可能に設けられてもよい。
【0028】
第二緩衝機構40は、鉛直方向下方からベース11を鉛直方向に移動可能に支持する弾性部材48を有し、鉛直方向から見た平面視において天井搬送車1の走行方向に直交する幅方向の他方(幅方向において第一緩衝機構50とは反対側)に配置される。本実施形態では、第二緩衝機構40は、左右方向において保持ユニット7の左側に設けられている。第二緩衝機構40は、接続部材41,41と、揺動部材43と、第三本体部材45と、第四本体部材46と、規制部材47と、一対の弾性部材48,48と、を有している。
【0029】
接続部材41,41は、ベルトB,Bが取り付けられる部材である。揺動部材43は、一対の接続部材41,41と、第三本体部材45とを連結する部材である。一対の接続部材41,41と揺動部材43とは、双方向に回転可能に連結され、一対のピン部材42,42を介して連結される。揺動部材43と第三本体部材45とは、双方向に回転可能に連結され、ピン部材44を介して連結されている。第四本体部材46は、弾性部材48,48を下方から支持する。
【0030】
一対の弾性部材48,48は、所定のバネ定数を有するコイルバネである。一対の弾性部材48,48は、第四本体部材46に支持されていると共にベース11を下方から支持する。弾性部材48の下端は、第四本体部材46に固定されている。規制部材47は、第四本体部材46に対してベース11が所定距離以上離れることを規制する。より詳細には、規制部材47は、第四本体部材46に対して所定距離以上離れようとするベース11の上面を係止する。弾性部材48の上端は、ベース11には固定されておらず、接触することによってベース11を支持する。すなわち、一対の弾性部材48,48のそれぞれは、第四本体部材46とベース11との両方に接触した状態にあるとき、第四本体部材46及びベース11を互いに遠ざける方向に付勢する。弾性部材48は、互いに接触する部材間に伝わる振動を低減する役割を有する。なお、弾性部材48は、ベース11に固定され、第四本体部材46に離接可能に設けられてもよい。
【0031】
なお、図示はしないが、保持ユニット7は、第一緩衝機構50と第二緩衝機構40とを連結すると共に、鉛直方向における第一緩衝機構50とベース11との間の距離と、鉛直方向における第二緩衝機構40とベース11との間の距離とを互いに近づけるように動作するリンク機構を備えていてもよい。
【0032】
次に、昇降駆動ユニット6の構成について詳細に説明する。図4及び図5に示されるように、昇降駆動ユニット6は、ベース61と、支持部62と、四つ(複数)の巻取ドラム63と、駆動モータ(昇降駆動部)63Aと、第一アイドラプーリ65Aと、第二アイドラプーリ(プーリ)65Bと、第三アイドラプーリ64と、直動機構(位置変更機構)67と、四本(複数)のベルトBと、を有している。
【0033】
ベース61は、支持部62を介して巻取ドラム63、第一アイドラプーリ65A及び第三アイドラプーリ64を支持している。支持部62は、四つの巻取ドラム63を回転可能に支持する。四つの巻取ドラム63は、前後方向に配列されており、駆動モータ63Aによる駆動によって四本のベルトBのそれぞれを巻き取り又は繰り出しする。駆動モータ63Aによる駆動は、搬送車コントローラ(制御部)8によって制御される。
【0034】
各巻取ドラム63は、支持部62を介して回転自在にベース61に取り付けられている。駆動モータ63Aは、各巻取ドラム63を回転させるための駆動源であり、ベース61に固定されている。四つの巻取ドラム63は、図示しない共通の回動軸に取り付けられることにより、あるいは図示しない連動機構で連結されることにより、一の駆動モータ63Aによって駆動される。
【0035】
各ベルトBの一端は保持ユニット7に接続されており、各ベルトBの他端は各巻取ドラム63に接続されている。本実施形態では、四本のベルトBは、保持ユニット7の三点を吊り下げるように設けられている。より詳細には、保持ユニット7は、四本のベルトBによって吊り下げられており、四本のうち二本のベルトBは、保持ユニット7に対して揺動可能に設けられた一つの揺動部材43(図3参照)に接続部材41を介して接続されており、四本のうち残りの二本のベルトのそれぞれは、保持ユニット7に対して揺動可能に設けられた二つの揺動部材53のそれぞれに接続部材51を介して接続されている。
【0036】
第一アイドラプーリ65A及び第二アイドラプーリ65Bは、第一緩衝機構50に接続されるベルトBが巻き掛けられ、ベルトBの移動を案内する。第一緩衝機構50に接続されるベルトBは二本あり、第一アイドラプーリ65A及び第二アイドラプーリ65Bは、それぞれのベルトBに対応して設けられる。第一アイドラプーリ65Aは支持部62に設けられており、ベース61に対して相対的に移動しない。第二アイドラプーリ65Bは、ベース61に対して相対的に移動する。第三アイドラプーリ64は、第二緩衝機構40に接続されるベルトBが巻き掛けられ、ベルトBの移動を案内する。第二緩衝機構40に接続されるベルトBは二本あり、第三アイドラプーリ64は、それぞれのベルトBに対応して設けられる。
【0037】
直動機構67は、主に、駆動モータ67Aと、ネジ軸67Bと、ボールナット67Cと、を有しており、駆動モータ67Aの回転運動を直線運動に変換する機構である。直動機構67は、ブラケット66を介してベース61に固定されている。駆動モータ67Aの駆動により、ネジ軸67Bに沿って移動するボールナット67Cには、第二アイドラプーリ65Bを支持するプーリ支持部68が取り付けられている。プーリ支持部68には、平面視おいてブラケット66を貫通可能な貫通孔68Aが設けられている。プーリ支持部68を貫通するブラケット66と貫通孔68Aとの間には、リニアガイド69が設けられている。
【0038】
リニアガイド69は、案内レール69Aと、案内レール69Aに沿って摺動可能なブロック部69Bとを主に有している。貫通孔68Aには、ブラケット66に対向する第一対向面が形成されている。また、ブラケット66には、第一対向面に対向する第二対向面が形成されている。第一対向面及び第二対向面の一方に案内レール69Aが配置され、第一対向面及び第二対向面の他方に、ブロック部69Bが設けられている。第二アイドラプーリ65Bは、リニアガイド69によってスムーズかつ安定的に鉛直方向に移動する。
【0039】
本実施形態では、ネジ軸67Bに沿ってボールナット67Cが移動することによりプーリ支持部68が移動し、当該プーリ支持部68の移動に伴い第二アイドラプーリ65Bがベース61に対して相対的に移動する。より詳細には、鉛直方向に延在するネジ軸67Bに沿ってボールナット67C及びプーリ支持部68が鉛直方向に移動することによって、第二アイドラプーリ65Bが鉛直方向に沿って移動する。このように、直動機構67は、ベルトBの保持ユニット7(第一緩衝機構50)への接続部分(ベルトBの一端)が昇降方向に移動するように、第二アイドラプーリ65Bの位置を移動させる。そして、このように第二アイドラプーリ65Bを鉛直方向(昇降方向)に移動させることによって、保持ユニット7の水平面に対する傾きを調整することができる。
【0040】
例えば、図6及び図7に示されるように、両方の直動機構67を作動させて、第二アイドラプーリ65Bを下方に(ベース61に遠ざけるように)移動させれば、保持ユニット7の左側を上方に傾けることができる。これに伴い、図8(B)に示されるように、一対のグリッパ12,12によって把持される容器200の開口部200a側の高さ位置が容器200において相対的に高くなる飛出防止姿勢となる。すなわち、保持ユニット7は、一対のグリッパ12,12によって把持される容器200が飛出防止姿勢となるように、水平面に対する傾きが調整される。容器200における飛出防止姿勢とは、開口部200aの開口方向が水平面に対して斜め上方に所定角度α(例えば2°~30°)傾いた姿勢をいう。
【0041】
搬送車コントローラ8は、センターフレーム15に配置されている。搬送車コントローラ8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)及びRAM(Random access memory)等によって構成された電子制御ユニットである。搬送車コントローラ8は、天井搬送車1の各部を制御する。本実施形態の搬送車コントローラ8は、直動機構67を制御して、保持ユニット7の水平面に対する傾きを調整する。より詳細には、搬送車コントローラ8は、グリッパ12,12によって把持される容器200が飛出防止姿勢(図8(B)参照)となるように、直動機構67を制御して、保持ユニット7の水平面に対する傾きを調整する。
【0042】
搬送車コントローラ8は、少なくとも走行ユニット3が走行中に飛出防止姿勢となるように、保持ユニット7の傾きを調整する。本実施形態では、搬送車コントローラ8は、走行ユニット3が走行中だけでなく、容器200を下降させる動作時及び容器200を上昇させる動作時にも、飛出防止姿勢となるように、保持ユニット7の傾きを調整する。詳細には、搬送車コントローラ8は、容器200をロードポート300に載置する前の下降動作において、容器200の姿勢が飛出防止姿勢から開口部200aにおける開口方向が水平方向を向いた通常姿勢に変更するように、保持ユニット7の傾きを調整する。また、搬送車コントローラ8は、ロードポート300に載置された容器200を把持した後の上昇動作において、容器200の姿勢が通常姿勢から飛出防止姿勢に変更するように、保持ユニット7の傾きを調整する。
【0043】
上記実施形態の天井搬送車1における作用効果について説明する。上記実施形態の天井搬送車1では、一対のグリッパ12,12によって把持される容器200の開口部200a側の高さ位置が容器200において相対的に高くなる飛出防止姿勢となるように、直動機構67が制御されることによって保持ユニット7の傾きが調整される。これにより、保持ユニット7によって把持される容器200の開口部200aの開口方向が水平方向に向いている場合(通常姿勢)と比べて、開口部200aから物品Aが飛び出す可能性が低減される。すなわち、開口部200aの前面にストッパを配置することなく、搬送時における開口部200aからの物品Aの飛び出しを抑制できる。
【0044】
上記実施形態の天井搬送車1では、第二アイドラプーリ65Bは、鉛直方向に沿って移動可能に設けられており、直動機構67は、鉛直方向に沿って第二アイドラプーリ65Bを移動可能に構成している。これにより、簡易な構成で保持ユニット7の傾きの調整を可能としている。
【0045】
上記実施形態の天井搬送車1では、開口部200a側を容器200において相対的に高くするために、開口部200a側と反対側を相対的に低くする制御、すなわち直動機構67を制御して、第一緩衝機構50との接続部分であるベルトBの一端を下降させている。なお、開口部200a側を容器200において相対的に高くするためには、駆動モータ63Aを制御してベルトBを繰り出し、開口部200a側と反対側を相対的に低くしつつ、直動機構67を制御して開口部200a側相対的に高くしてもよい。この場合には、容器200の高さ位置の変動を小さくできる。
【0046】
上記実施形態の天井搬送車1では、搬送車コントローラ8は、走行ユニット3が走行中に飛出防止姿勢となるように、保持ユニット7の傾きを調整している。これにより、天井搬送車1が加減速時又はカーブ区間走行時に、開口部200aから物品Aが飛び出す可能性を低減できる。
【0047】
上記実施形態の天井搬送車1では、容器200をロードポート300に載置する前の下降動作において、容器200の姿勢が飛出防止姿勢から通常姿勢に変更するように、保持ユニット7の傾きを調整している。これにより、水平な載置面を有するロードポート300に容器200を載置するときに容器200に加わる衝撃を低減できる。
【0048】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の一側面の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
(変形例1)
上記実施形態では、容器200の姿勢を飛出防止姿勢にするにあたり、直動機構67を制御することによって保持ユニット7の傾きを調整する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、容器200の姿勢を飛出防止姿勢にするにあたり、保持ユニット7を吊り下げる四つのベルトBの巻き取り量又は繰り出し量を制御することによって保持ユニット7の傾きを調整してもよい。この場合、上記実施形態のように四つの巻取ドラム63の回転が一つの駆動モータ63Aによって駆動される構成ではなく、例えば、四つの巻取ドラム63のそれぞれが対応する駆動モータ63Aによって回転される構成としてもよい。あるいは、保持ユニット7の左側(第二緩衝機構40)に接続されるベルトBに巻き掛けられる二つの巻取ドラム63と保持ユニット7の右側(第一緩衝機構50)に接続されるベルトBに巻き掛けられる二つの巻取ドラム63とがそれぞれ独立して駆動される構成としてもよい。
【0050】
このような変形例1に係る構成の天井搬送車1では、容器200の姿勢を飛出防止姿勢にするにあたり、駆動モータ63Aを制御して、保持ユニット7の右側(第一緩衝機構50)に接続されるベルトBが巻き掛けられた巻取ドラム63を繰り出し方向に回転させてもよい。あるいは、保持ユニット7の左側(第二緩衝機構40)に接続されるベルトBが巻き掛けられた巻取ドラム63を巻き取り方向に回転させてもよい。また、保持ユニット7の右側(第一緩衝機構50)に接続されるベルトBが巻き掛けられた巻取ドラム63を繰り出し方向に回転させると共に、保持ユニット7の左側(第二緩衝機構40)に接続されるベルトBが巻き掛けられた巻取ドラム63を巻き取り方向に回転させてもよい。
(変形例2)
容器200の姿勢を飛出防止姿勢にするにあたり、上記実施形態では、直動機構67を制御することによって保持ユニット7の傾きを調整し、また、上記変形例1では、駆動モータ63Aを制御することによって保持ユニット7の傾きを調整する例を挙げて説明したが、直動機構67と駆動モータ63Aとの両方を制御して、保持ユニット7の傾きを調整してもよい。
【0051】
(その他の変形例)
上記実施形態及び変形例の一部では、ベルトBの一端を昇降方向に移動させるために第二アイドラプーリ65Bの位置を移動させるための位置変更機構として直動機構67を採用した例を挙げて説明したが、これに代えて、同様の機能を有するカム機構又は揺動機構を採用してもよい。
【0052】
上記実施形態の天井搬送車1では、第二アイドラプーリ65Bの位置を鉛直方向に移動させることにより、ベルトBの一端を昇降方向に移動させる例を挙げて説明したが、例えば、水平方向に移動させる等、鉛直方向以外に第二アイドラプーリ65Bを移動させることによって、ベルトBの一端を昇降方向に移動させる構成としてもよい。
【0053】
上記実施形態及び変形例の保持ユニット7は、第一緩衝機構50及び第二緩衝機構40を介してベルトBの一端と接続されている例を挙げて説明したが、保持ユニット7に直接接続されてもよい。また、四本のベルトBが、そのまま直接保持ユニット7に接続されてもよい。また、三本のベルトBによって保持ユニット7に接続されてもよい。
【0054】
上記実施形態及び変形例では、容器200の開口部200aが左側を向くように把持される例を上げて説明したが、右側を向くように把持されてもよい。この場合であっても、上述したような、直動機構67の制御、駆動モータ63Aの制御を適宜組み合わせれば、容器200を飛出防止姿勢とすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1…天井搬送車、3…走行ユニット(走行部)、6…昇降駆動ユニット、7…保持ユニット(昇降部)、8…搬送車コントローラ(制御部)、12…グリッパ(把持部)、40…第二緩衝機構、50…第一緩衝機構、63…巻取ドラム、63A…駆動モータ(昇降駆動部)、65B…第二アイドラプーリ(プーリ)、67…直動機構(位置変更機構)、200…容器、200a…開口部、200b…側面、200c…底部、300…ロードポート(載置部)、A…物品、B…ベルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9