(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017036
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ネジ供給装置、及びネジ絡まり解消部材
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65G47/14 B
B65G47/14 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119401
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】釜井 善弘
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 雄登
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 舜
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA24
3F080BA04
3F080BC07
3F080CA01
3F080CB03
3F080CE11
3F080DA03
(57)【要約】
【課題】ネジ収容部に収容されているネジ同士が絡まることがあっても絡まりを解くことができるネジ供給装置を提案する。
【解決手段】ネジ供給装置1は、複数のネジSを収容するネジ収容部4と、ネジ収容部4に収容されたネジSを掬い上げる掬い上げ部6と、ネジ収容部4の内部から外部に向けて延在し掬い上げ部6で掬い上げられたネジSを支持するとともに振動することで支持したネジSをネジ収容部4の外部に向けて進行させる振動レール5とを備え、掬い上げ部6によって移動したネジSに接触し、複数のネジSの絡まりを解くネジ絡まり解消部8を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネジを収容するネジ収容部と、前記ネジ収容部に収容された前記ネジを掬い上げる掬い上げ部と、前記ネジ収容部の内部から外部に向けて延在し、前記掬い上げ部で掬い上げられた前記ネジを支持するとともに振動することで支持した前記ネジを前記ネジ収容部の外部に向けて進行させる振動レールとを備えるネジ供給装置において、
前記掬い上げ部によって移動した前記ネジに接触し、複数の前記ネジの絡まりを解くネジ絡まり解消部を備えるネジ供給装置。
【請求項2】
前記ネジ絡まり解消部は、前記掬い上げ部によって移動した前記ネジが接触することで弾性変形し、前記ネジに対して前記振動レールに向かう力を付与する弾性部を備える、請求項1に記載のネジ供給装置。
【請求項3】
前記ネジ絡まり解消部は、前記掬い上げ部が下降することで前記ネジを突き上げる突き上げ部を備える、請求項1に記載のネジ供給装置。
【請求項4】
前記掬い上げ部は、凹部又は穴部を有し、
前記突き上げ部は、前記凹部又は前記穴部を通過するように設けられる、請求項3に記載のネジ供給装置。
【請求項5】
複数のネジを収容するネジ収容部と、前記ネジ収容部に収容された前記ネジを掬い上げる掬い上げ部と、前記ネジ収容部の内部から外部に向けて延在し、前記掬い上げ部で掬い上げられた前記ネジを支持するとともに振動することで支持した前記ネジを前記ネジ収容部の外部に向けて進行させる振動レールとを備えるネジ供給装置に装着されるネジ絡まり解消部材であって、
前記掬い上げ部によって移動した前記ネジが接触することで弾性変形し、前記ネジに対して前記振動レールに向かう力を付与するネジ絡まり解消部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラバラの向きのまま投入されたネジを所定の姿勢に整列させて所定の場所へ移動させるネジ供給装置、及びネジ供給装置に装着されるネジ絡まり解消部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、バラバラの向きのまま投入されたネジを所定の姿勢に整列させて所定の場所へ移動させることによって作業者やネジ締めロボットにネジを供給するネジ供給装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、バラバラの向きのままネジを投入可能な収容部(11)と、そのネジを掬い上げるスクイ板(31)と、収容部(11)の内部から外部に向けて延在し、且つネジが所定の姿勢(雄ネジ部が真下に位置してネジ頭部が真上に位置する姿勢、以下「正規姿勢」という)でのみ嵌まるようになっていて、スクイ板(31)で掬い上げられたネジを正規姿勢で整列させて振動によって所定方向に進行させるように構成されたレール(15)と、正規姿勢にならなかったレール上のネジを掃き出すブラシ(70)により構成される小型のネジ供給装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記のネジ供給装置は、様々な種類のネジを供給可能であるが、例えば雄ネジ部の長さが長いネジを供給する場合においては、ネジ同士が絡まってしまい、ネジが供給できないという不具合が生じることがあった。この不具合について、
図8に基づいて説明する。
【0006】
図8に示した従来のネジ供給装置101は、筐体102と、上方に向けて開口するネジ投入口103と、ネジ投入口103から投入されたネジS(
図1の部分拡大図に示すように、雄ネジ部S1と頭部S2を備える)を収容するネジ収容部104と、ネジ収容部104の内側から外側に向かって延在し、延在する向きに沿って振動する振動レール105と、振動レール105の近傍に位置する掬い上げ部106と、振動レール105の上方で揺動する揺動ブラシ107とを備える。このようなネジ供給装置101に対して雄ネジ部S1の長さが比較的長いネジSを収容した場合、ネジS同士が絡まって塊のようになることがある。この場合には、
図8(a)に示すように掬い上げ部106が下方に移動したり
図8(b)に示すように掬い上げ部106が上方に移動したりしても、ネジSは塊のまま上下に移動するため、振動レール105へネジSが移動しない状態が続くことになる。また絡まったネジSが振動レール105へ移動したとしても、絡まっている状態ではネジSは振動レール105に嵌まらないため、ネジSを振動レール105で移動させることができない。なお、ネジ供給装置101には揺動ブラシ107が設けられているものの、ブラシ状の揺動ブラシ107で絡まったネジSを分離させることは難しいため、振動レール105にネジSを散布できない状態が続くことになる。
【0007】
このような問題点に鑑み、本発明は、ネジ収容部に収容されているネジ同士が絡まることがあっても絡まりを解くことができ、これによりネジの供給をより確実に行うことが可能となるネジ供給装置を提供することを目的とする。また、ネジ供給装置に装着することによって、このようなネジの絡まりを解く機能をネジ供給装置に持たせることができるネジ絡まり解消部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のネジを収容するネジ収容部と、前記ネジ収容部に収容された前記ネジを掬い上げる掬い上げ部と、前記ネジ収容部の内部から外部に向けて延在し、前記掬い上げ部で掬い上げられた前記ネジを支持するとともに振動することで支持した前記ネジを前記ネジ収容部の外部に向けて進行させる振動レールとを備えるネジ供給装置において、前記掬い上げ部によって移動した前記ネジに接触し、複数の前記ネジの絡まりを解くネジ絡まり解消部を備えることを特徴とする。
【0009】
このようなネジ供給装置において、前記ネジ絡まり解消部は、前記掬い上げ部によって移動した前記ネジが接触することで弾性変形し、前記ネジに対して前記振動レールに向かう力を付与する弾性部を備えることが好ましい。
【0010】
またこのようなネジ供給装置において、前記ネジ絡まり解消部は、前記掬い上げ部が下降することで前記ネジを突き上げる突き上げ部を備えることが好ましい。
【0011】
またこのようなネジ供給装置において、前記掬い上げ部は、凹部又は穴部を有し、
前記突き上げ部は、前記凹部又は前記穴部を通過するように設けられることが好ましい。
【0012】
また本発明は、複数のネジを収容するネジ収容部と、前記ネジ収容部に収容された前記ネジを掬い上げる掬い上げ部と、前記ネジ収容部の内部から外部に向けて延在し、前記掬い上げ部で掬い上げられた前記ネジを支持するとともに振動することで支持した前記ネジを前記ネジ収容部の外部に向けて進行させる振動レールとを備えるネジ供給装置に装着されるネジ絡まり解消部材であって、前記掬い上げ部によって移動した前記ネジが接触することで弾性変形し、前記ネジに対して前記振動レールに向かう力を付与するネジ絡まり解消部材でもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のネジ供給装置、及びネジ絡まり解消部材によれば、ネジ収容部に収容されているネジ同士が絡まることがあっても絡まりを解くことができ、これによりネジ同士の絡まりから分離したネジを振動レールに散布することができるため、ネジの供給をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るネジ供給装置の第一実施形態を示した外観図である。
【
図2】
図1に示したネジ供給装置の内部構造に関する説明図である。
【
図3】
図1に示したネジ供給に関し、(a)は掬い上げ部が下降した状態の説明図であり、(b)は掬い上げ部が上昇した状態の説明図である。
【
図4】本発明に係るネジ供給装置の第二実施形態を示した外観図である。
【
図5】
図4に示したネジ供給装置の内部構造に関する説明図である。
【
図6】
図4に示したネジ供給装置に関し、(a)は掬い上げ部が上昇した状態の説明図であり、(b)は掬い上げ部が下降した状態の説明図であり、(c)は掬い上げ部が再び上昇した状態の説明図である。
【
図7】本発明に係るネジ供給装置の他の実施形態に関し、(a)は弾性部を複数設けた説明図であり、(b)は突き上げ部を複数設けた説明図である。
【
図8】従来のネジ供給装置に関し、(a)は掬い上げ部が下降した状態の説明図であり、(b)は掬い上げ部が上昇した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1~
図3を参照しながら、本発明に係るネジ供給装置の第一実施形態であるネジ供給装置1について説明する。以下の説明においては、便宜上、ネジ供給装置1を
図1に示す方向から見た状態での向きで説明することとする。また以下の説明におけるX、Y、Z方向とは、図面に示した矢印X、Y、Zに沿う方向であって、ネジ供給装置1を正面から見た際の前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向とする。なお
図1におけるネジ供給装置1は、説明の都合上、筐体の左側を一部省略して内部が表れる状態で示している。また
図2は、一部の部材に関して形状や配置を変更、省略して示している。
【0016】
図1に示すようにネジ供給装置1は、ネジ供給装置1のカバーとなる筐体2を備える。筐体2には、上方に向けて開口するネジ投入口3が設けられていて、ネジ投入口3の内側には、ネジ投入口3から投入された複数のネジSを収容するネジ収容部4が設けられている。
【0017】
ネジ収容部4における左右方向中間部分には、前後方向に沿って延在し、ネジ収容部4を構成する筐体2の壁部を貫通して筐体2の前側まで延在する振動レール5が設けられている。振動レール5は、
図1の部分拡大図に示すように、板状又はブロック状になる一対の部材が所定の間隔Pで平行に設置されて構成される。間隔Pは、ネジSの雄ネジ部S1の幅よりも広く、頭部S2の幅よりも狭く設定されている。このような振動レール5によってネジSは、雄ネジ部S1が下方を向くとともに頭部S2が振動レール5の上面に引っ掛かった姿勢(正規姿勢)で支持される。また振動レール5は、後述する振動発生カムによって前後方向に振動し、これにより振動レール5の上面で支持されたネジSは、後側から前側に向かって進行する。振動レール5によって前進したネジSは、
図1に示すように振動レール5の前側端部に到達したところで筐体2に接触して停止する。この場所がネジ供給位置であり、ネジ供給装置1はこの位置で作業者やネジ締めロボットにネジを供給する。
【0018】
振動レール5の近傍には、上下方向に移動可能な掬い上げ部6が設けられている。本実施形態の掬い上げ部6は、
図3(a)に示すように振動レール5の左側に設けられていて、その上面は、振動レール5に近い右側が左側よりも低くなるように傾いている。なお、図示したように振動レール5の右側には、筐体2の一部であって、振動レール5に近い左側が右側よりも低くなるように傾く傾斜部2aが設けられている。掬い上げ部6と傾斜部2aは、ネジ収容部4の床部の一部を構成する部位である。
【0019】
振動レール5の上方には、
図1に示すように揺動ブラシ7が設けられている。揺動ブラシ7は、多数の線材によって構成されたブラシ部7aと、筐体2に揺動可能に支持された揺動軸7bを備えていて、揺動軸7bを中心として左右方向に揺動可能である。
【0020】
そして掬い上げ部6の上方には、弾性変形可能な弾性部8が設けられている。本実施形態の弾性部8は、上部は平坦状に延在していて下部は円弧状に湾曲する薄板状である。弾性部8の上部には、弾性部8を貫通する取付け孔8aが設けられている(
図2参照)。本実施形態の弾性部8は、
図3(a)に示すように取付け孔8aに挿通させたネジ等によって弾性部8をネジ収容部4の内側に取り付けた際、弾性部8における下部の先端部は、ネジ収容部4の内側からW1離隔したところに位置する。なお弾性部8は、本明細書における「ネジ絡まり解消部」や「ネジ絡まり解消部材」でもある。
【0021】
ネジ供給装置1の内部には、
図2に示した駆動機構11が設けられている。駆動機構11は、振動レール5を振動させ、また揺動ブラシ7を揺動させることが可能なモータ12を備える。モータ12の回転シャフト12aには、モータ歯車13が設けられていて、モータ歯車13には、右側に位置する左側歯車14と左側に位置する右側歯車15が噛み合っている。
【0022】
また駆動機構11は、シャフト14aを介して左側歯車14に連結した外縁部に凹凸部を設けた振動発生カム16を備える。
【0023】
振動発生カム16の近傍には、上述した振動レール5と連結する振動伝達アーム17が設けられている。振動伝達アーム17は、不図示のバネによって後方へ付勢されていて、振動伝達アーム17の下端部は、振動発生カム16の凹凸部に接触する。すなわち、振動発生カム16が回転すると、振動伝達アーム17の下端部が振動発生カム16の凹凸部によって弾かれ、弾かれた際の振動が振動伝達アーム17を介して振動レール5に伝達されるため、振動レール5を前後方向に振動させることができる。
【0024】
また駆動機構11は、左側歯車14と掬い上げ部6とを連結する連結アーム18を備える。連結アーム18は、左側歯車14に対して、左側歯車14の中心から偏心した部位に取り付けられていて、モータ12を駆動させて左側歯車14が回転すると掬い上げ部6は上下運動する。
【0025】
また駆動機構11は、シャフト15aを介して右側歯車15に連結した、右側歯車15とともに回転するブラシカム19を備える。図示したようにブラシカム19は、シャフトと同心の円弧部分と、円弧部分よりも径方向外側に突出する突出部分とを備える形状で形作られている。
【0026】
更に駆動機構11は、ブラシカム19の近傍に設けられ、上下方向に移動可能な縦型アーム20と、縦型アーム20が上下運動するとそれに応じて揺動する揺動アーム21とを備える。揺動アーム21は、上述した揺動軸7bに設けた歯車と噛み合っている。そして縦型アーム20の下端部は、ブラシカム19の側面(上述した円弧状部分と突出部分)に接触している。すなわち、ブラシカム19が回転すると縦型アーム20が上下運動し、これにより揺動アーム21を介して揺動ブラシ7が揺動する。
【0027】
次に、ネジ供給装置1の動作について説明する。まず作業者が複数のネジSをネジ投入口3から投入する。このとき、ネジ投入口3から投入されてネジ収容部4に収容されたネジSは、向きがバラバラの状態である。ここで、モータ12が駆動して掬い上げ部6が上下運動を行うと、ネジSは、掬い上げ部6によって振動レール5の上方まで押し上げられる。そして押上げられたネジSのうち、雄ネジ部S1が下方を向いているネジSは、
図1の部分拡大図に示すように、雄ネジ部S1が振動レール5の隙間に嵌まり込むとともに頭部S2が振動レール5に載置された正規姿勢で振動レール5に支持される。一方、正規姿勢にならなかったネジSは、その姿勢のままで振動レール5に支持されるか、又は振動レール5から脱落する。なお、モータ12が駆動することによって、振動レール5の上方で揺動ブラシ7が揺動するため、正規姿勢にならなない状態で振動レール5に支持されたネジSは、揺動ブラシ7によって掃き出されて振動レール5から脱落する。なお、落下したネジSは再び掬い上げ部6で押し上げられるため、掬い上げ部6で繰り返し押し上げられることによって、振動レール5に正規姿勢のネジSを整列させることができる。
【0028】
またモータ12が駆動する際、振動レール5は、上述した振動発生カム16等によって振動し、これにより振動レール5に整列したネジSは前側に向かって移動するため、整列した先頭のネジSを、振動レール5の前側端部まで移動させることができる。先頭のネジSを作業者やロボットが取り出すと、次のネジSが振動レール5の前側端部まで自動的に移動するため、ネジ締め作業における作業者やロボットによるネジSの取り出しが効率的に行われる。
【0029】
ところでネジ供給装置1は、様々な種類のネジSを供給可能であるが、例えば雄ネジ部S1の長さが長いネジSを用いる場合は、
図8に示した従来のネジ供給装置101のように、ネジ収容部4に収容したネジS同士が絡まってしまうことがある。この場合においてもネジ供給装置1によれば、絡まりを解いて分離したネジSを振動レール5に散布させることが可能である。以下、ネジ供給装置1におけるネジSの絡まりを解く仕組みについて説明する。
【0030】
図3(a)は、掬い上げ部6の上方でネジS同士が絡まって塊のようになった状態を示している。上述したようにネジ供給装置1は、掬い上げ部6の上方に弾性部8を備えている。図示したように弾性部8における下部の先端部は、ネジ収容部4の内側からW1離隔したところに位置している。ここで、
図3(a)に示すように下方に移動していた掬い上げ部6が、
図3(b)に示すように上方へ移動すると、弾性部8の下端部にネジSの塊が接触し、弾性部8は弾性変形する。図示例において弾性部8の下端部は、ネジSの塊が接触する前の初期状態においてネジ収容部4の内側からW1離隔しているが、ネジSの塊が接触して弾性変形すると、上下方向にh持ち上げられるとともにネジ収容部4の内側からW2離隔する(W2はW1よりも大)。すなわちネジSの塊が弾性部8に接触した際、弾性部8の下端部は、ネジSの塊に対して、掬い上げ部6が移動する上下方向とは異なる左右方向に力を付与する。この力によってネジSの塊の一部が移動するため、移動した部分においてネジSの絡まりが解消される。つまりネジ供給装置1は、弾性部8によって、掬い上げ部6による移動方向とは異なる方向にネジSを移動させることにより、ネジSの絡まりを解消する。またネジSの絡まりを解消するにあたり、弾性部8の下端部は振動レール5に近づく向きに力を付与しているため、塊から分離したネジSは振動レール5に向けて移動する。なお、掬い上げ部6の上面は、振動レール5に近い右側が左側よりも低くなるように傾いているため、この点でもネジSは、振動レール5に向けて移動する。すなわち、ネジSを振動レール5に散布させた状態にすることができるため、正規姿勢のネジSを振動レール5に整列させることができる。
【0031】
次に、
図4~
図6を参照しながら、本発明に係るネジ供給装置の第二実施形態であるネジ供給装置51について説明する。以下の説明においても、便宜上、ネジ供給装置51を
図4に示す方向から見た状態での向きで説明することとする。なお、ネジ供給装置51を説明するにあたっては、上述したネジ供給装置1との相違点を中心に行うこととし、ネジ供給装置1と共通する部位については、図面に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
ネジ供給装置51は、上述した掬い上げ部6に替えて掬い上げ部52を備えている。掬い上げ部52は、図示したように振動レール5の左側に設けられていて、その上面は、振動レール5に近い右側が左側よりも低くなるように傾いている。また掬い上げ部52には、上下方向に掬い上げ部52を貫通する円形の穴部52aが設けられている。また掬い上げ部52は、
図5に示すように連結アーム18に連結していて、モータ12を駆動させて左側歯車14が回転すると、掬い上げ部6は連結アーム18を介して上下運動する。
【0033】
またネジ供給装置51は、穴部52aに挿通された突き上げ部53を備えている。本実施形態の突き上げ部53は、円柱状をなしていて上端部は半球状に形作られている。また突き上げ部53は、下端部が筐体2に保持されていて、筐体2に対して不動である。そして突き上げ部53の長さは、
図6(a)に示すように掬い上げ部52が上昇した状態で上端部が突き上げ部53の上面から若干突出する程度に設定されている。すなわち、掬い上げ部52が上昇すると、突き上げ部53は掬い上げ部52にほぼ隠れた状態になる一方、
図6(b)に示すように掬い上げ部52が下降すると、突き上げ部53は掬い上げ部52の穴部52aから突き出した状態になる。なお突き上げ部53は、本明細書における「ネジ絡まり解消部」や「ネジ絡まり解消部材」でもある。
【0034】
このようなネジ供給装置51においても、ネジ供給装置1と同様に、振動レール5で整列したネジSを前進させて、先頭のネジSを振動レール5の前側端部まで移動させることができる。また本実施形態のネジ供給装置51において、ネジ収容部4に収容したネジS同士が絡まってしまう場合は、以下のようにしてネジSの絡まりを解くことができる。
【0035】
図6(a)は、掬い上げ部52の上方でネジS同士が絡まって塊のようになった状態を示している。このとき掬い上げ部52は上昇していて、突き上げ部53は掬い上げ部52にほぼ隠れた状態にある。そして
図6(b)に示すように掬い上げ部52が下降すると、突き上げ部53は穴部52aから突き出した状態になる。すなわち突き上げ部53の下降に伴ってネジSの塊も下降しようとするところ、ネジSの塊の一部は、突き上げ部53によって突き上げられて上方に移動するため、移動した部分においてネジSの絡まりが解消される。つまりネジ供給装置51は、突き上げ部53によって、掬い上げ部6による移動とは異なるタイミングでネジSを移動させることにより、ネジSの絡まりを解消する。また掬い上げ部52の上面は、振動レール5に近い右側が左側よりも低くなるように傾いている。このため、
図6(c)に示すように掬い上げ部52が再び上昇すると、塊から分離したネジSは振動レール5に向けて移動する。すなわち、ネジSを振動レール5に散布させた状態にすることができるため、正規姿勢のネジSを振動レール5に整列させることができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0037】
例えば上述したネジ供給装置1において、掬い上げ部6と弾性部8は振動レール5の左側にそれぞれ一つ設けられていたが、これらは振動レール5の右側に設けてもよいし、
図7(a)に示すように振動レール5に対して左右両側に設けてもよい。またネジ供給装置51において、掬い上げ部52と突き上げ部53は振動レール5の左側にそれぞれ一つ設けられていたが、これらは振動レール5の右側に設けてもよいし、
図7(b)に示すように振動レール5に対して左右両側に設けてもよい。
【0038】
またネジ供給装置51の突き上げ部53は、図示例では掬い上げ部52の内側を貫通する穴部52aを通過するように設けられていたが、掬い上げ部52に対してその縁部を切り欠く凹部を設け、この凹部を通過するように突き上げ部53を設けてもよい。
【0039】
またネジ供給装置1において、本実施形態の弾性部8は、取付け孔8aに挿通させたネジ等によって筐体2に固定されている。従ってネジ供給装置1において、使用するネジSの雄ネジ部S1の長さが短い場合等のようにネジSの絡まりが想定されない場合には、弾性部8を筐体2から取り外して使用することができる。すなわち本実施形態のネジ供給装置1は、ネジ絡まり解消部の有無を切り替えることができる機能を備えている。なおネジ絡まり解消部の有無を切り替える機能は、弾性部8を上方にスライドさせる構成を筐体2に持たせることによっても実現可能である。またネジ供給装置1において、ネジ絡まり解消部を常時作用させる場合は、弾性部8を溶接等によって筐体2に一体的に設けてもよい。
【0040】
なお、このようなネジ絡まり解消部の有無を切り替えることができる機能は、ネジ供給装置51において、突き上げ部53を筐体2に対して着脱できるように構成することによっても実現可能である。
【0041】
また弾性部8や、掬い上げ部52及び突き上げ部53は、既存のネジ供給装置に対しても比較的容易に装着することができる。従って、ネジSの絡まりを解く機能を持たない既存のネジ供給装置においても、弾性部8等を装着することによって、ネジSの絡まりを解く機能を持たせることができる。
【符号の説明】
【0042】
1:ネジ供給装置
4:ネジ収容部
5:振動レール
6:掬い上げ部
8:弾性部(ネジ絡まり解消部、ネジ絡まり解消部材)
51:ネジ供給装置
52:掬い上げ部
52a:穴部
53:突き上げ部(ネジ絡まり解消部、ネジ絡まり解消部材)
S:ネジ