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特開2024-170374締結構造物を解析するための方法及びこれに関連するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170374
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】締結構造物を解析するための方法及びこれに関連するシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20241203BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】86
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075122
(22)【出願日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】18/315,082
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リリー, ブライアン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シェファー, ジョセフ ディー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試験中に、妥当なコスト、スケジュール、及び精度で、必要な属性を全て正確にかつ現在進行形で測定することが、物理的に不可能であることである。
【解決手段】締結構造物を解析するための方法は、締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることと、電子設計モデル内に少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことと、電子設計モデルに少なくとも1つのシミュレーション荷重を印加することと、少なくとも1つのセンサ要素モデルを使用して測定パラメータをモニタし、少なくとも1つのシミュレーション荷重に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件を検出することと、検出された荷重条件を、モニタされた測定パラメータの所定の測定閾値と比較することと、を含む。締結構造物管理システムは、コンピューティングシステムと、コンピューティングシステムと通信するように動作する記憶デバイスとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結構造物(500)を解析するための方法(100)であって、
前記締結構造物(500)の電子設計モデル(400)にアクセスすること(102)であって、前記締結構造物(500)が、複数のファスナ要素(504)によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素(502)を含み、前記電子設計モデル(400)は、各構造要素(502)についての構造要素パラメータ(610)、及び各ファスナ要素(504)についてのファスナパラメータ(612)を含み、前記構造要素パラメータ(610)及び前記ファスナパラメータ(612)は、組み立て済みの締結構造物(500)が曝露されると予測される環境における、対応する前記構造要素(502)及び対応する前記ファスナ要素(504)の特性及び挙動を表現する、前記締結構造物(500)の電子設計モデル(400)にアクセスすること(102)と、
前記電子設計モデル(400)内に少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を埋め込むこと(104)であって、各センサ要素モデル(402)が、前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの2つ以上の構造要素(502)の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれ、前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)は、前記電子設計モデル(400)に一又は複数のシミュレーション荷重(616)が印加されることに応答して、前記選択ロケーションにおける測定パラメータ(614)をモニタするよう設定される、少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を埋め込むこと(104)と、
少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)を、前記電子設計モデル(400)に印加すること(106)と、
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を使用して前記測定パラメータ(614)をモニタし、前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)に基づいて、対応する前記選択ロケーションにおける荷重条件(618)を検出すること(108)と、
検出された前記荷重条件(618)を、モニタされた前記測定パラメータ(614)の所定の測定閾値(620)と比較すること(110)と、
を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記締結構造物(500)が、前記複数のファスナ要素(504)によって組み立てられた3つ以上の構造要素(502)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記締結構造物(500)が、製品構造物、ビークル構造物、自動車両構造物、航空ビークル構造物、航空機構造物、ミサイル構造物、ロケット構造物、発射構造物、衛星構造物、橋梁構造物、及びトンネル構造物、のうちの少なくとも1つを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のファスナ要素(504)がファスナ要素(504)のセットを含み、前記少なくとも2つの構造要素(502)が、少なくとも1つの複合材構造要素と、少なくとも1つの非複合材構造要素とを含み、前記少なくとも1つの非複合材構造要素は、前記ファスナ要素(504)のセットによって、前記少なくとも1つの複合材構造要素のうちの一又は複数と接合される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のファスナ要素(504)及び前記ファスナ要素(504)のセットは、金属ファスナ、金属ネジ、金属機械ネジ、金属ボルト、金属ピン、金属リベット、金属ナット、及び金属保持機構、のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの複合材構造要素は、熱可塑性複合物、熱硬化性複合物、強化複合物、繊維強化複合物、炭素繊維強化複合物、強化ポリマー、繊維強化ポリマー、及び炭素繊維強化ポリマー、のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非複合材構造要素は、チタン、チタンベースの金属、チタン合金、Ti-6Al-4V、Ti 6-4、アルミニウム、アルミニウムベースの金属、アルミニウム合金、バナジウム、バナジウムベースの金属、及びバナジウム合金、のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のファスナ要素(504)が、複数のファスナ要素モデル(404)として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各ファスナ要素モデル(404)が、トラス要素、ビーム要素、又は殻体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの構造要素(502)が、少なくとも2つの構造要素モデル(406)として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各構造要素モデル(406)が、ビーム要素、殻体要素、又は固体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各センサ要素モデル(402)が、トラス要素、ビーム要素、又は殻体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記選択ロケーションが、前記少なくとも2つの構造要素(502)の選択表面ロケーション、前記少なくとも2つの構造要素(502)の選択内部ロケーション、前記少なくとも2つの構造要素(502)の間の選択間隙ロケーション、及び前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの2つ以上の構造要素(502)の選択重複ロケーション、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)が、シミュレーション熱荷重、シミュレーション湿度荷重、シミュレーション機械荷重、シミュレーション構造荷重、及びシミュレーション軸荷重、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記検出された荷重条件(618)が、変位条件、回転条件、剛性条件、クランプアップ条件、変形条件、及び損傷状態条件、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、一次元要素モデルと二次元要素モデルの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、ひずみ測定デバイス、伸縮計、ひずみゲージ、ひずみトランスデューサ、荷重センサ、ロードセル、力センサ、ピエゾ抵抗型力センサ、トルクセンサ、トルクトランスデューサ、トルクセル、剛性センサ、及び触覚センサ、のうちの少なくとも1つを表現する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、前記複数のファスナ要素(504)のうちの少なくとも1つのファスナ要素モデル(404)に関連付けられた少なくとも1つのファスナ要素モデル(404)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ファスナ要素モデル(404)が一次元要素モデルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ファスナ要素モデル(404)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与える様態で前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)に応答するように、前記組み立て済みの締結構造物(500)が曝露されると予測される環境における実際のファスナの特性及び挙動を表現するファスナパラメータ(612)で較正されたモデルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ファスナ要素モデル(404)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記検出された荷重条件(618)が前記所定の測定閾値(620)の所定の許容範囲内にある場合、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を認証すること(112)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記検出された荷重条件(622)が前記所定の測定閾値(620)の所定の許容範囲内にない場合、修正された構造物の修正された設計モデルを生成するよう、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を変更すること(202)と、
前記修正された構造物の前記修正された設計モデルに基づいて、前記締結構造物(500)を解析するための方法(200)を繰り返すこと(204)と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記電子設計モデル(400)が、前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの一又は複数の構造要素(502)を変更すること、前記複数のファスナ要素(504)のうちの一又は複数のファスナ要素(504)を変更すること、前記複数のファスナ要素(504)に一又は複数のファスナ要素(504)を追加すること、及び前記複数のファスナ要素(504)から一又は複数のファスナ要素(504)を除去すること、のうちの少なくとも1つによって変更される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、複数のセンサ要素モデル(402)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記複数のセンサ要素モデル(402)によって検出された前記荷重条件(618)に基づいて、前記締結構造物(500)の分布荷重条件(622)を決定すること(302)と、
前記分布荷重条件(622)を、前記分布荷重条件(622)の所定の分布閾値(624)と比較すること(304)と、
を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記分布荷重条件(622)が、分布変位条件、分布回転条件、分布剛性条件、分布クランプアップ条件、分布変形条件、及び分布損傷状態条件、のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記分布荷重条件(622)が前記所定の分布閾値(624)の所定の許容範囲内にある場合、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を認証すること(306)を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記分布荷重条件(622)が前記所定の分布閾値(624)の所定の許容範囲内にない場合、修正された構造物の修正された設計モデルを生成するよう、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を変更すること(308)と、
前記修正された構造物の前記修正された設計モデルに基づいて、前記締結構造物(500)を解析するための方法(300)を繰り返すこと(310)と、
を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記電子設計モデル(400)が、前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの一又は複数の構造要素(502)を変更すること、前記複数のファスナ要素(504)のうちの一又は複数のファスナ要素(504)を変更すること、前記複数のファスナ要素(504)に一又は複数のファスナ要素(504)を追加すること、及び前記複数のファスナ要素(504)から一又は複数のファスナ要素(504)を除去すること、のうちの少なくとも1つによって変更される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
締結構造物管理システム(600)であって、
設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行するよう設定されたコンピューティングシステム(602)と、
前記コンピューティングシステム(602)と通信するように動作する記憶デバイス(606)と、
を備え、
前記コンピューティングシステム(602)は、前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行すると共に、
設計コンピューティングシステム(608)から締結構造物(500)の電子設計モデル(400)にアクセスすることであって、前記締結構造物(500)が、複数のファスナ要素(504)によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素(502)を含み、前記電子設計モデル(400)は、各構造要素(502)についての構造要素パラメータ(610)、及び各ファスナ要素(504)についてのファスナパラメータ(612)を含み、前記構造要素パラメータ(610)及び前記ファスナパラメータ(612)は、組み立て済みの締結構造物(500)が曝露されると予測される環境における、対応する前記構造要素(502)及び対応する前記ファスナ要素(504)の特性及び挙動を表現する、締結構造物(500)の電子設計モデル(400)にアクセスすることと、
前記電子設計モデル(400)内に少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を埋め込むことであって、各センサ要素モデル(402)が、前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの2つ以上の構造要素(502)の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれ、前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)は、前記電子設計モデル(400)に一又は複数のシミュレーション荷重(616)が印加されることに応答して、前記選択ロケーションにおける測定パラメータ(614)をモニタするよう設定される、少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を埋め込むことと、
少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)を、前記電子設計モデル(400)に印加することと、
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を使用して前記測定パラメータ(614)をモニタし、前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)に基づいて、対応する前記選択ロケーションにおける荷重条件(618)を検出することと、
検出された前記荷重条件(618)を、モニタされた前記測定パラメータ(614)の所定の測定閾値(620)と比較することと、
を実行するよう設定される、
締結構造物管理システム(600)。
【請求項33】
前記締結構造物(500)が、前記複数のファスナ要素(504)によって組み立てられた3つ以上の構造要素(502)を含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項34】
前記締結構造物(500)が、製品構造物、ビークル構造物、自動車両構造物、航空ビークル構造物、航空機構造物、ミサイル構造物、ロケット構造物、発射構造物、衛星構造物、橋梁構造物、及びトンネル構造物、のうちの少なくとも1つを形成する、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項35】
前記複数のファスナ要素(504)がファスナ要素(504)のセットを含み、前記少なくとも2つの構造要素(502)が、少なくとも1つの複合材構造要素と、少なくとも1つの非複合材構造要素とを含み、前記少なくとも1つの非複合材構造要素は、前記ファスナ要素(504)のセットによって、前記少なくとも1つの複合材構造要素のうちの一又は複数と接合される、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項36】
前記複数のファスナ要素(504)及び前記ファスナ要素(504)のセットは、金属ファスナ、金属ネジ、金属機械ネジ、金属ボルト、金属ピン、金属リベット、金属ナット、及び金属保持機構、のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の締結構造物管理システム。
【請求項37】
前記少なくとも1つの複合材構造要素は、熱可塑性複合物、熱硬化性複合物、強化複合物、繊維強化複合物、炭素繊維強化複合物、強化ポリマー、繊維強化ポリマー、及び炭素繊維強化ポリマー、のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の締結構造物管理システム。
【請求項38】
前記少なくとも1つの非複合材構造要素は、チタン、チタンベースの金属、チタン合金、Ti-6Al-4V、Ti 6-4、アルミニウム、アルミニウムベースの金属、アルミニウム合金、バナジウム、バナジウムベースの金属、及びバナジウム合金、のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の締結構造物管理システム。
【請求項39】
前記複数のファスナ要素(504)が、複数のファスナ要素モデル(404)として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項40】
各ファスナ要素モデル(404)が、トラス要素、ビーム要素、又は殻体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項39に記載の締結構造物管理システム。
【請求項41】
前記少なくとも2つの構造要素(502)が、少なくとも2つの構造要素モデル(406)として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項42】
各構造要素モデル(406)が、ビーム要素、殻体要素、又は固体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項41に記載の締結構造物管理システム。
【請求項43】
各センサ要素モデル(402)が、トラス要素、ビーム要素、又は殻体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項44】
前記選択ロケーションが、前記少なくとも2つの構造要素(502)の選択表面ロケーション、前記少なくとも2つの構造要素(502)の選択内部ロケーション、前記少なくとも2つの構造要素(502)の間の選択間隙ロケーション、及び前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの2つ以上の構造要素(502)の選択重複ロケーション、のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項45】
前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)が、シミュレーション熱荷重、シミュレーション湿度荷重、シミュレーション機械荷重、シミュレーション構造荷重、及びシミュレーション軸荷重、のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項46】
前記検出された荷重条件(618)が、変位条件、回転条件、剛性条件、クランプアップ条件、変形条件、及び損傷状態条件、のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項47】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項48】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、一次元要素モデルと二次元要素モデルの少なくとも一方を含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項49】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、ひずみ測定デバイス、伸縮計、ひずみゲージ、ひずみトランスデューサ、荷重センサ、ロードセル、力センサ、ピエゾ抵抗型力センサ、トルクセンサ、トルクトランスデューサ、トルクセル、剛性センサ、及び触覚センサ、のうちの少なくとも1つを表現する、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項50】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、前記複数のファスナ要素(504)のうちの少なくとも1つのファスナ要素モデル(404)に関連付けられた少なくとも1つのファスナ要素モデル(404)を含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項51】
前記ファスナ要素モデル(404)が一次元要素モデルを含む、請求項50に記載の締結構造物管理システム。
【請求項52】
前記ファスナ要素モデル(404)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与える様態で前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)に応答するように、前記組み立て済みの締結構造物(500)が曝露されると予測される環境における実際のファスナの特性及び挙動を表現するファスナパラメータ(612)で較正されたモデルを含む、請求項50に記載の締結構造物管理システム。
【請求項53】
前記ファスナ要素モデル(404)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む、請求項50に記載の締結構造物管理システム。
【請求項54】
前記コンピューティングシステム(602)は、前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行すると共に、検出された前記荷重条件(618)が前記所定の測定閾値(620)の所定の許容範囲内にある場合、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を認証するよう設定される、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項55】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、複数のセンサ要素モデル(402)を含む、請求項32に記載の締結構造物管理システム。
【請求項56】
前記コンピューティングシステム(602)は、前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行すると共に、
前記複数のセンサ要素モデル(402)によって検出された前記荷重条件(618)に基づいて、前記締結構造物(500)の分布荷重条件(622)を決定することと、
前記分布荷重条件(622)を、前記分布荷重条件(622)の所定の分布閾値(624)と比較することと、
を実行するよう設定される、請求項55に記載の締結構造物管理システム。
【請求項57】
前記分布荷重条件(622)が、分布変位条件、分布回転条件、分布剛性条件、分布クランプアップ条件、分布変形条件、及び分布損傷状態条件、のうちの少なくとも1つを含む、請求項56に記載の締結構造物管理システム。
【請求項58】
前記コンピューティングシステム(602)は、前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行すると共に、前記分布荷重条件(622)が前記所定の分布閾値(624)の所定の許容範囲内にある場合、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を認証するよう設定される、請求項56に記載の締結構造物管理システム。
【請求項59】
締結構造物(500)を解析するための解析コンピューティングシステム(700)であって、
少なくとも1つのプロセッサ(702)及び関連するメモリ(704)と、
設計解析アプリケーションプログラム(604)を記憶している少なくとも1つの電子記憶デバイス(706)と、
前記少なくとも1つのプロセッサ(702)と通信するように動作し、かつ通信ネットワーク(710)とインターフェース接続するよう設定された、ネットワークインターフェース(708)と、を備え、
前記解析コンピューティングシステム(700)は、前記少なくとも1つのプロセッサ(702)が前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行するのに併せて、
設計コンピューティングシステム(608)から、前記ネットワークインターフェース(708)及び前記通信ネットワーク(710)を介して、締結構造物(500)の電子設計モデル(400)にアクセスすることであって、前記締結構造物(500)が、複数のファスナ要素(504)によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素(502)を含み、前記電子設計モデル(400)は、各構造要素(502)についての構造要素パラメータ(610)、及び各ファスナ要素(504)についてのファスナパラメータ(612)を含み、前記構造要素パラメータ(610)及び前記ファスナパラメータ(612)は、組み立て済みの締結構造物(500)が曝露されると予測される環境における、対応する前記構造要素(502)及び対応する前記ファスナ要素(504)の特性及び挙動を表現する、締結構造物(500)の電子設計モデル(400)にアクセスすることと、
前記電子設計モデル(400)内に少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を埋め込むことであって、各センサ要素モデル(402)が、前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの2つ以上の構造要素(502)の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれ、前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)は、前記電子設計モデル(400)に一又は複数のシミュレーション荷重(616)が印加されることに応答して、前記選択ロケーションにおける測定パラメータ(614)をモニタするよう設定される、少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を埋め込むことと、
少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)を、前記電子設計モデル(400)に印加することと、
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)を使用して前記測定パラメータ(614)をモニタし、前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)に基づいて、対応する前記選択ロケーションにおける荷重条件(618)を検出することと、
検出された前記荷重条件(618)を、モニタされた前記測定パラメータ(614)の所定の測定閾値(620)と比較することと、
を実行するよう設定される、
解析コンピューティングシステム。
【請求項60】
前記少なくとも1つの電子記憶デバイス(706)は、前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)と、前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)に関連付けられた前記測定パラメータ(614)と、前記測定パラメータ(614)に関連付けられた前記所定の測定閾値(620)と、を記憶するよう設定される、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項61】
前記締結構造物(500)が、前記複数のファスナ要素(504)によって組み立てられた3つ以上の構造要素(502)を含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項62】
前記締結構造物(500)が、製品構造物、ビークル構造物、自動車両構造物、航空ビークル構造物、航空機構造物、ミサイル構造物、ロケット構造物、発射構造物、衛星構造物、橋梁構造物、及びトンネル構造物、のうちの少なくとも1つを形成する、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項63】
前記複数のファスナ要素(504)がファスナ要素(504)のセットを含み、前記少なくとも2つの構造要素(502)が、少なくとも1つの複合材構造要素と、少なくとも1つの非複合材構造要素とを含み、前記少なくとも1つの非複合材構造要素は、前記ファスナ要素(504)のセットによって、前記少なくとも1つの複合材構造要素のうちの一又は複数と接合される、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項64】
前記複数のファスナ要素(504)及び前記ファスナ要素(504)のセットは、金属ファスナ、金属ネジ、金属機械ネジ、金属ボルト、金属ピン、金属リベット、金属ナット、及び金属保持機構、のうちの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項65】
前記少なくとも1つの複合材構造要素は、熱可塑性複合物、熱硬化性複合物、強化複合物、繊維強化複合物、炭素繊維強化複合物、強化ポリマー、繊維強化ポリマー、及び炭素繊維強化ポリマー、のうちの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項66】
前記少なくとも1つの非複合材構造要素は、チタン、チタンベースの金属、チタン合金、Ti-6Al-4V、Ti 6-4、アルミニウム、アルミニウムベースの金属、アルミニウム合金、バナジウム、バナジウムベースの金属、及びバナジウム合金、のうちの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項67】
前記複数のファスナ要素(504)が、複数のファスナ要素モデル(404)として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項68】
各ファスナ要素モデル(404)が、トラス要素、ビーム要素、又は殻体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項67に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項69】
前記少なくとも2つの構造要素(502)が、少なくとも2つの構造要素モデル(406)として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項70】
各構造要素モデル(406)が、ビーム要素、殻体要素、又は固体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項69に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項71】
各センサ要素モデル(402)が、トラス要素、ビーム要素、又は殻体要素として、前記電子設計モデル(400)内に表現される、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項72】
前記選択ロケーションが、前記少なくとも2つの構造要素(502)の選択表面ロケーション、前記少なくとも2つの構造要素(502)の選択内部ロケーション、前記少なくとも2つの構造要素(502)の間の選択間隙ロケーション、及び前記少なくとも2つの構造要素(502)のうちの2つ以上の構造要素(502)の選択重複ロケーション、のうちの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項73】
前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)が、シミュレーション熱荷重、シミュレーション湿度荷重、シミュレーション機械荷重、シミュレーション構造荷重、及びシミュレーション軸荷重、のうちの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項74】
前記検出された荷重条件(618)が、変位条件、回転条件、剛性条件、クランプアップ条件、変形条件、及び損傷状態条件、のうちの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項75】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項76】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、一次元要素モデルと二次元要素モデルの少なくとも一方を含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項77】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、ひずみ測定デバイス、伸縮計、ひずみゲージ、ひずみトランスデューサ、荷重センサ、ロードセル、力センサ、ピエゾ抵抗型力センサ、トルクセンサ、トルクトランスデューサ、トルクセル、剛性センサ、及び触覚センサ、のうちの少なくとも1つを表現する、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項78】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、前記複数のファスナ要素(504)のうちの少なくとも1つのファスナ要素モデル(404)に関連付けられた少なくとも1つのファスナ要素モデル(404)を含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項79】
前記ファスナ要素モデル(404)が一次元要素モデルを含む、請求項78に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項80】
前記ファスナ要素モデル(404)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与える様態で前記少なくとも1つのシミュレーション荷重(616)に応答するように、前記組み立て済みの締結構造物(500)が曝露されると予測される環境における実際のファスナの特性及び挙動を表現するファスナパラメータ(612)で較正されたモデルを含む、請求項78に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項81】
前記ファスナ要素モデル(404)が、前記検出された荷重条件(618)に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む、請求項78に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項82】
前記解析コンピューティングシステム(700)は、前記少なくとも1つのプロセッサ(702)が前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行するのに併せて、前記検出された荷重条件(618)が前記所定の測定閾値(620)の所定の許容範囲内にある場合、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を認証するよう設定される、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項83】
前記少なくとも1つのセンサ要素モデル(402)が、複数のセンサ要素モデル(402)を含む、請求項59に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項84】
前記解析コンピューティングシステム(700)は、前記少なくとも1つのプロセッサ(702)が前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行するのに併せて、
前記複数のセンサ要素モデル(402)によって検出された前記荷重条件(618)に基づいて、前記締結構造物(500)の分布荷重条件(622)を決定することと、
前記分布荷重条件(622)を、前記分布荷重条件(622)の所定の分布閾値(624)と比較することと、
を実行するよう設定される、請求項83に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項85】
前記分布荷重条件(622)が、分布変位条件、分布回転条件、分布剛性条件、分布クランプアップ条件、分布変形条件、及び分布損傷状態条件、のうちの少なくとも1つを含む、請求項84に記載の解析コンピューティングシステム。
【請求項86】
前記解析コンピューティングシステム(700)は、前記少なくとも1つのプロセッサ(702)が前記設計解析アプリケーションプログラム(604)を実行するのに併せて、前記分布荷重条件(622)が前記所定の分布閾値(624)の所定の許容範囲内にある場合、前記締結構造物(500)の前記電子設計モデル(400)を認証するよう設定される、請求項84に記載の解析コンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して締結構造物の解析に関し、特に、設計の物理的な試験及び/又は検証と併せて、荷重条件を測定するためのシミュレーション荷重及び埋め込みセンサモデルを使用する、電子設計モデルの解析に関する。この解析は、製品構築ブロックの設計、試験、及び認証の全てのレベル、並びに製品寿命の全ての態様に適用されうる。ゆえに、解析は、下位レベルの組立品において、上位レベルの組立品において、及び最終的には最終製品(product end item)において、反復されうる。解析は、航空機設計のみならず、他種のビークル及び輸送構造物に関しても応用される。様々な他種の締結構造物の設計への応用も想定される。
【背景技術】
【0002】
[0002]締結構造物(航空機など)の設計においては、局所荷重及び荷重分布の決定に関連付けられる複数の課題が生じる。例えば、熱機械試験を受ける締結されたアセンブリにおける様々な性能特性(変位、回転、剛性、クランプアップ、損傷状態など)は、多くの困難に直面する。性能特性は、典型的には、閉鎖環境のチャンバ内での物理試験によって評価されるが、かかる試験では、本質的に、望ましい挙動の目視による物理的な測定が不明瞭/不可能である。主たる問題は、試験中に、妥当なコスト、スケジュール、及び精度で、必要な属性を全て正確にかつ現在進行形で測定することが、物理的に不可能であることである。
【0003】
[0003]したがって、当業者は、締結構造物の設計を試験するための技法を改善するための研究開発の努力、特に、接合部品(とりわけ接合部におけるファスナ(締結具))及び/又はファスナ間の何らかの箇所の内部荷重の状態を解析的に評価するためのインシトゥの(in-situ)技法の開発を継続している。
【発明の概要】
【0004】
[0004]締結構造物を解析するための方法、締結構造物管理システム、締結構造物を解析するための解析コンピューティングシステムの例が開示される。以下の記載は、本開示に係る発明の主題の非限定的な例の列挙であり、これらは、特許請求されることもされないこともある。
【0005】
[0005]一例では、締結構造物を分析するための開示されている方法は、(1)締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることであって、締結構造物が、複数のファスナ要素によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素を含み、電子設計モデルが、各構造要素についての構造要素パラメータ、及び各ファスナ要素についてのファスナパラメータを含み、構造要素パラメータ及びファスナパラメータが、組み立て済みの締結構造物が曝露されると予測される環境における、対応する構造要素及び対応するファスナ要素の特性及び挙動を表現する、締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることと、(2)電子設計モデル内に少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことであって、各センサ要素モデルが、少なくとも2つの構造要素のうちの2つ以上の構造要素の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれ、少なくとも1つのセンサ要素モデルは、電子設計モデルに一又は複数のシミュレーション荷重が印加されることに応答して、選択ロケーションにおける測定パラメータをモニタするよう設定される、少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことと、(3)電子設計モデルに少なくとも1つのシミュレーション荷重を印加することと、(4)少なくとも1つのセンサ要素モデルを使用して測定パラメータをモニタし、少なくとも1つのシミュレーション荷重に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件を検出することと、(5)検出された荷重条件を、モニタされた測定パラメータの所定の測定閾値と比較することと、を含む。
【0006】
[0006]一例では、締結構造物管理システムは、コンピューティングシステムと、コンピューティングシステムと通信するように動作する記憶デバイスとを含む。コンピューティングシステムは、設計解析アプリケーションプログラムを実行するよう設定される。コンピューティングシステムは、設計解析アプリケーションプログラムを実行すると共に、(1)設計コンピューティングシステムから締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることであって、締結構造物が、複数のファスナ要素によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素を含み、電子設計モデルが、各構造要素についての構造要素パラメータ、及び各ファスナ要素についてのファスナパラメータを含み、構造要素パラメータ及びファスナパラメータが、組み立て済みの締結構造物が曝露されると予測される環境における、対応する構造要素及び対応するファスナ要素の特性及び挙動を表現する、締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることと、(2)電子設計モデル内に少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことであって、各センサ要素モデルが、少なくとも2つの構造要素のうちの2つ以上の構造要素の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれ、少なくとも1つのセンサ要素モデルは、電子設計モデルに一又は複数のシミュレーション荷重が印加されることに応答して、選択ロケーションにおける測定パラメータをモニタするよう設定される、少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことと、(3)電子設計モデルに少なくとも1つのシミュレーション荷重を印加することと、(4)少なくとも1つのセンサ要素モデルを使用して測定パラメータをモニタし、少なくとも1つのシミュレーション荷重に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件を検出することと、(5)検出された荷重条件を、モニタされた測定パラメータの所定の測定閾値と比較することと、
を実行するよう設定される。
【0007】
[0007]一例では、締結構造物を分析するための開示されている解析コンピューティングシステムは、少なくとも1つのプロセッサ及びそれに関連するメモリと、少なくとも1つの電子記憶デバイスと、ネットワークインターフェースとを含む。少なくとも1つの電子記憶デバイスは、設計解析アプリケーションプログラムを記憶している。ネットワークインターフェースは、少なくとも1つのプロセッサと通信するように動作し、かつ、通信ネットワークとインターフェース接続するよう設定される。解析コンピューティングシステムは、少なくとも1つのプロセッサが設計解析アプリケーションプログラムを実行するのに併せて、(1)設計コンピューティングシステムから、ネットワークインターフェース及び通信ネットワークを介して、締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることであって、締結構造物が、複数のファスナ要素によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素を含み、電子設計モデルが、各構造要素についての構造要素パラメータ、及び各ファスナ要素についてのファスナパラメータを含み、構造要素パラメータ及びファスナパラメータが、組み立て済みの締結構造物が曝露されると予測される環境における、対応する構造要素及び対応するファスナ要素の特性及び挙動を表現する、締結構造物の電子設計モデルにアクセスすることと、(2)電子設計モデル内に少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことであって、各センサ要素モデルが、少なくとも2つの構造要素のうちの2つ以上の構造要素の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれ、少なくとも1つのセンサ要素モデルは、電子設計モデルに一又は複数のシミュレーション荷重が印加されることに応答して、選択ロケーションにおける測定パラメータをモニタするよう設定される、少なくとも1つのセンサ要素モデルを埋め込むことと、(3)電子設計モデルに少なくとも1つのシミュレーション荷重を印加することと、(4)少なくとも1つのセンサ要素モデルを使用して測定パラメータをモニタし、少なくとも1つのシミュレーション荷重に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件を検出することと、(5)検出された荷重条件を、モニタされた測定パラメータの所定の測定閾値と比較することと、
を実行するよう設定される。
【0008】
[0008]開示されている、締結構造物を解析するための方法、締結構造物管理システム、締結構造物を解析するための解析コンピューティングシステムのその他の例は、以下の詳細説明、添付図面、及び付随する特許請求の範囲から自明となろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】締結構造物を解析するための方法の一例のフロー図である。
図2図1と組み合わされる、締結構造物を解析するための方法の別の例のフロー図である。
図3図1と組み合わされる、締結構造物を解析するための方法の更に別の例のフロー図である。
図4】電子設計モデルの一例の機能ブロック図である。
図5】締結構造物の一例の機能ブロック図である。
図6】締結構造物管理システムの一例の機能ブロック図である。
図7】締結構造物を解析するための解析コンピューティングシステムの一例の機能ブロック図である。
図8】航空機の製造・保守方法のブロック図である。
図9】航空機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018]図1図6を例として概括的に参照するに、本開示は、締結構造物500を解析するための方法100、200、300を対象としている。図1図3において、オプションの特徴は、フロー図の破線のブロックとして示されている。図2は、図1と組み合わされて、方法200の一例を開示する。図3は、図1と組み合わされて、方法300のいくつかの例を開示する。図4は電子設計モデル400の一例を開示している。図5は締結構造物500の一例を開示している。
【0011】
[0019]図1及び図4図6を再度参照するに、一又は複数の例において、締結構造物500を解析するための方法100(図1参照)は、締結構造物500の電子設計モデル400がアクセスされる102で始まる。締結構造物500は、複数のファスナ要素504によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素502を含む。電子設計モデル400は、各構造要素502についての構造要素パラメータ610、及び各ファスナ要素504についてのファスナパラメータ612を含む。構造要素パラメータ610及びファスナパラメータ612は、組み立て済みの締結構造物500が曝露されると予測される環境における、対応する構造要素502及び対応するファスナ要素504の特性及び挙動を表現する。104において、少なくとも1つのセンサ要素モデル402が、電子設計モデル400内に埋め込まれる。各センサ要素モデル402は、少なくとも2つの構造要素502のうちの2つ以上の構造要素502の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれる。少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、電子設計モデル400に一又は複数のシミュレーション荷重616が印加されることに応答して、選択ロケーションにおける測定パラメータ614をモニタするよう設定される。106において、少なくとも1つのシミュレーション荷重616が、電子設計モデル400に印加される。108において、少なくとも1つのセンサ要素モデル402を使用して測定パラメータ614がモニタされ、少なくとも1つのシミュレーション荷重616に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件618が検出される。110において、検出された荷重条件618が、モニタされた測定パラメータ614の所定の測定閾値620と比較される。
【0012】
[0020]方法100の別の例では、締結構造物500は、複数のファスナ要素504によって組み立てられた3つ以上の構造要素502を含む。方法100の更に別の例では、締結構造物500は、製品構造物、ビークル構造物、自動車両構造物、航空ビークル構造物、航空機構造物、ミサイル構造物、ロケット構造物、発射構造物、衛星構造物、橋梁構造物、トンネル構造物、又は、ひとまとめに締結された複数の部品を有する他の任意の好適な構造物、を形成する。
【0013】
[0021]方法100の更に別の例では、複数のファスナ要素504は、ファスナ要素504のセットを含む。この例では、少なくとも2つの構造要素502は、少なくとも1つの複合材構造要素と、少なくとも1つの非複合材構造要素とを含む。少なくとも1つの非複合材構造要素は、ファスナ要素504のセットによって、少なくとも1つの複合材構造要素のうちの一又は複数と接合される。更なる例では、複数のファスナ要素504及びファスナ要素504のセットは、金属ファスナ、金属ネジ、金属機械ネジ、金属ボルト、金属ピン、金属リベット、金属ナット、金属保持機構、又は他の任意の好適なファスナ部品を、任意の好適な組み合わせで含む。更なる別の例では、少なくとも1つの複合材構造要素は、熱可塑性複合物、熱硬化性複合物、強化複合物、繊維強化複合物、炭素繊維強化複合物、強化ポリマー、繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、又は他の任意の好適な複合材料を、任意の好適な組み合わせで含む。また更なる別の例では、少なくとも1つの非複合材構造要素は、チタン、チタンベースの金属、チタン合金、Ti-6Al-4V、Ti 6-4、アルミニウム、アルミニウムベースの金属、アルミニウム合金、バナジウム、バナジウムベースの金属、バナジウム合金、紙、発泡体、樹脂、金属、添加剤、又は他の任意の好適な非複合材固形材料を、任意の好適な組み合わせで含む。
【0014】
[0022]方法100のまた更に別の例では、複数のファスナ要素504は、複数のファスナ要素モデル404として、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、ファスナ要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。ABAQUS(登録商標)は、ロードアイランド州JohnstonのDassault Systemes Simulia Corporationの登録商標である。LS-DYNAは、ペンシルバニア州CanonsburgのAnsys,Inc.から市販されている。更なる例では、各ファスナ要素モデル404は、トラス(truss)要素、ビーム要素、殻体要素、又は他の任意の好適な定形(finite)要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。
【0015】
[0023]方法100の別の例では、少なくとも2つのファスナ要素502は、少なくとも2つの構造要素モデル406として、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、構造要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。更なる例では、各構造要素モデル406は、ビーム要素、殻体要素、固体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。例えば、電子設計モデル400は、構造要素モデル406のメッシュとして視認されうる。
【0016】
[0024]方法100の更に別の例では、各センサ要素モデル402は、トラス要素、ビーム要素、殻体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、センサ要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。
【0017】
[0025]方法100のまた別の例では、選択ロケーションは、少なくとも2つの構造要素502の選択表面ロケーション、少なくとも2つの構造要素502の選択内部ロケーション、少なくとも2つの構造要素502の間の選択間隙ロケーション、少なくとも2つの構造要素502のうちの2つ以上の構造要素502の選択重複ロケーション、又は少なくとも2つの構造要素502に関連付けられた他の任意の好適なロケーション、を含む。
【0018】
[0026]方法100のまた更に別の例では、少なくとも1つのシミュレーション荷重616は、シミュレーション熱荷重、シミュレーション湿度(hygric)荷重、シミュレーション機械荷重、シミュレーション構造荷重、シミュレーション軸荷重、又は他の任意の好適なシミュレーション荷重を、任意の好適な組み合わせで含む。シミュレーション荷重は、定数として、周期的に、静的荷重として、周辺(ambient)荷重として、高い変化率を伴って、動的に、衝撃荷重として、波状的に、又は他の任意の好適な印加技法で、印加されうる。
【0019】
[0027]方法100の別の例では、検出された荷重条件618は、変位条件、回転条件、剛性条件、クランプアップ条件、変形条件、損傷状態条件、又は他の任意の好適な検出された荷重条件を、任意の好適な組み合わせで含む。検出された荷重条件618の多くは、締結構造物が、別々の熱膨張特性を有する別種の構造要素を含むことに起因するものである。例えば、締結構造物は、様々な種類の複合材構造要素(熱可塑性複合物など)と、非複合材構造要素(チタンなど)とを含みうる。
【0020】
[0028]方法100の更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、検出された荷重条件618に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む。方法100の更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、一次元要素モデル、二次元要素モデル、又は他の任意の好適な有限要素モデルを、任意の好適な組み合わせで含む。方法100のまた更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、ひずみ測定デバイス、伸縮計、ひずみゲージ、ひずみトランスデューサ、荷重センサ、ロードセル、力センサ、ピエゾ抵抗型力センサ、トルクセンサ、トルクトランスデューサ、トルクセル、剛性センサ、触覚センサ、又は他の任意の好適なセンサの任意の好適な組み合わせを表現する。
【0021】
[0029]方法100の別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、複数のファスナ要素504のうちの少なくとも1つのファスナ要素504に関連付けられた少なくとも1つのファスナ要素モデル404を含む。更なる例では、ファスナ要素モデル404は、一次元要素モデル、又は他の任意の好適な有限要素モデルを、任意の好適な組み合わせで含む。更に別の例では、ファスナ要素モデル404は、検出された荷重条件618に影響を与える様態で少なくとも1つのシミュレーション荷重616に応答するように、組み立て済みの締結構造物500が曝露されると予測される環境における実際のファスナの特性及び挙動を表現するファスナパラメータ612で較正されたモデルを含む。また更に別の例では、ファスナ要素モデル404は、検出された荷重条件618に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む。
【0022】
[0030]更に別の例では、方法100は、検出された荷重条件618が所定の測定閾値620の所定の許容範囲内にある場合、締結構造物500の電子設計モデル400を認証すること112も含む。
【0023】
[0031]図1図2、及び図4図6を再度参照するに、一又は複数の例において、締結構造物を解析するための方法200(図2参照)は上述の方法100(図1参照)を含む。一例では、方法200は方法100の110から202へと続き、202において、検出された荷重条件622が所定の測定閾値620の所定の許容範囲内にない場合には、締結構造物500の電子設計モデル400は、修正された構造物の修正された設計モデルを生成するよう変更される。204において、締結構造物500を解析するための方法200は、方法100の102に戻ることによって、修正された構造物の修正された設計モデルに基づいて繰り返される。更なる例では、電子設計モデル400は、少なくとも2つの構造要素502のうちの一又は複数の構造要素502を変更すること、複数のファスナ要素504のうちの一又は複数のファスナ要素504を変更すること、複数のファスナ要素504に一又は複数のファスナ要素504を追加すること、複数のファスナ要素504から一又は複数のファスナ要素504を除去すること、又は電子設計モデルに他の任意の好適な変更を行うことを、任意の好適な組み合わせで実行することによって、変更される。
【0024】
[0032]図1及び図3図6を再度参照するに、一又は複数の例において、締結構造物を解析するための方法300(図3参照)は上述の方法100(図1参照)を含む。この例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、複数のセンサ要素モデル402を含む。一例では、方法300は方法100の110から302へと続き、302において、締結構造物500の分布荷重条件622が、複数のセンサ要素モデル402によって検出された荷重条件618に基づいて決定される。304において、分布荷重条件622が、分布荷重条件622の所定の分布閾値624と比較される。
【0025】
[0033]方法300の別の例では、分布荷重条件622は、分布変位条件、分布回転条件、分布剛性条件、分布クランプアップ条件、分布変形条件、分布損傷状態条件、又は他の任意の好適な分布荷重条件を、任意の好適な組み合わせで含む。検出された荷重条件618の多くは、締結構造物が、別々の熱膨張特性を有する別種の構造要素を含むことに起因するものである。例えば、締結構造物は、様々な種類の複合材構造要素(熱可塑性複合物など)と、非複合材構造要素(チタンなど)とを含みうる。
【0026】
[0034]更に別の例では、方法300は、分布荷重条件622が所定の分布閾値624の所定の許容範囲内にある場合、締結構造物500の電子設計モデル400を認証すること306も含む。
【0027】
[0035]また更に別の例では、方法300は、分布荷重条件622が所定の分布閾値624の所定の許容範囲内にない場合、修正された構造物の修正された設計モデルを生成するよう、締結構造物500の電子設計モデル400を変更すること308も含む。310において、締結構造物500を解析するための方法300は、方法100の102に戻ることによって、修正された構造物の修正された設計モデルに基づいて繰り返される。また更なる例では、電子設計モデル400は、少なくとも2つの構造要素502のうちの一又は複数の構造要素502を変更すること、複数のファスナ要素504のうちの一又は複数のファスナ要素504を変更すること、複数のファスナ要素504に一又は複数のファスナ要素504を追加すること、複数のファスナ要素504から一又は複数のファスナ要素504を除去すること、又は電子設計モデルに他の任意の好適な変更を行うことを、任意の好適な組み合わせで実行することによって、変更される。
【0028】
[0036]図4図6を例として概括的に参照するに、本開示は、締結構造物管理システム600を対象としている。図4は電子設計モデル400の一例を開示している。図5は締結構造物500の一例を開示している。図6は、コンピューティングシステム602と、コンピューティングシステム602にアクセス可能な設計解析アプリケーションプログラム604を記憶する記憶デバイス606とを有する、締結構造物管理システム600を示している。
【0029】
[0037]図4図6を再度参照するに、一又は複数の例において、締結構造物管理システム600は、コンピューティングシステム602及び記憶デバイス606を含む。コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行するよう設定される。記憶デバイス606は、コンピューティングシステム602と通信するように動作する。コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、設計コンピューティングシステム608から締結構造物500の電子設計モデル400にアクセスするよう設定される。締結構造物500は、複数のファスナ要素504によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素502を含む。電子設計モデル400は、各構造要素502についての構造要素パラメータ610、及び各ファスナ要素504についてのファスナパラメータ612を含む。構造要素パラメータ610及びファスナパラメータ612は、組み立て済みの締結構造物500が曝露されると予測される環境における、対応する構造要素502及び対応するファスナ要素504の特性及び挙動を表現する。コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、電子設計モデル400内に少なくとも1つのセンサ要素モデル402を埋め込むよう更に設定される。各センサ要素モデル402は、少なくとも2つの構造要素502のうちの2つ以上の構造要素502の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれる。少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、電子設計モデル400に一又は複数のシミュレーション荷重616が印加されることに応答して、選択ロケーションにおける測定パラメータ614をモニタするよう設定される。
【0030】
[0038]加えて、コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、電子設計モデル400に少なくとも1つのシミュレーション荷重616を印加するよう設定される。コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、少なくとも1つのセンサ要素モデル402を使用して測定パラメータ614をモニタし、少なくとも1つのシミュレーション荷重616に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件618を検出するよう、更に設定される。これに加えて、コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、検出された荷重条件618を、モニタされた測定パラメータ614の所定の測定閾値620と比較するよう、更に設定される。
【0031】
[0039]締結構造物管理システム600の別の例では、締結構造物500は、複数のファスナ要素504によって組み立てられた3つ以上の構造要素502を含む。締結構造物管理システム600の更に別の例では、締結構造物500は、製品構造物、ビークル構造物、自動車両構造物、航空ビークル構造物、航空機構造物、ミサイル構造物、ロケット構造物、発射構造物、衛星構造物、橋梁構造物、トンネル構造物、又は、ひとまとめに締結された複数の部品を有する他の任意の好適な構造物、を形成する。
【0032】
[0040]締結構造物管理システム600の更に別の例では、複数のファスナ要素504は、ファスナ要素504のセットを含む。この例では、少なくとも2つの構造要素502は、少なくとも1つの複合材構造要素と、少なくとも1つの非複合材構造要素とを含む。少なくとも1つの非複合材構造要素は、ファスナ要素504のセットによって、少なくとも1つの複合材構造要素のうちの一又は複数と接合される。更なる例では、複数のファスナ要素504及びファスナ要素504のセットは、金属ファスナ、金属ネジ、金属機械ネジ、金属ボルト、金属ピン、金属リベット、金属ナット、金属保持機構、又は他の任意の好適なファスナ部品を、任意の好適な組み合わせで含む。更なる別の例では、少なくとも1つの複合材構造要素は、熱可塑性複合物、熱硬化性複合物、強化複合物、繊維強化複合物、炭素繊維強化複合物、強化ポリマー、繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、又は他の任意の好適な複合材料を、任意の好適な組み合わせで含む。また更なる別の例では、少なくとも1つの非複合材構造要素は、チタン、チタンベースの金属、チタン合金、Ti-6Al-4V、Ti 6-4、アルミニウム、アルミニウムベースの金属、アルミニウム合金、バナジウム、バナジウムベースの金属、バナジウム合金、紙、発泡体、樹脂、金属、添加剤、又は他の任意の好適な非複合材固形材料を、任意の好適な組み合わせで含む。
【0033】
[0041]締結構造物管理システム600のまた更に別の例では、複数のファスナ要素504は、複数のファスナ要素モデル404として、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、ファスナ要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。更なる例では、各ファスナ要素モデル404は、トラス要素、ビーム要素、殻体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。
【0034】
[0042]締結構造物管理システム600の別の例では、少なくとも2つの構造要素502は、少なくとも2つの構造要素モデル406として、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、構造要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。更なる例では、各構造要素モデル406は、ビーム要素、殻体要素、固体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。例えば、電子設計モデル400は、構造要素モデル406のメッシュとして視認されうる。
【0035】
[0043]締結構造物管理システム600の更に別の例では、各センサ要素モデル402は、トラス要素、ビーム要素、殻体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、センサ要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。
【0036】
[0044]締結構造物管理システム600のまた別の例では、選択ロケーションは、少なくとも2つの構造要素502の選択表面ロケーション、少なくとも2つの構造要素502の選択内部ロケーション、少なくとも2つの構造要素502の間の選択間隙ロケーション、少なくとも2つの構造要素502のうちの2つ以上の構造要素502の選択重複ロケーション、又は少なくとも2つの構造要素502に関連付けられた他の任意の好適なロケーション、を含む。
【0037】
[0045]締結構造物管理システム600のまた更に別の例では、少なくとも1つのシミュレーション荷重616は、シミュレーション熱荷重、シミュレーション湿度荷重、シミュレーション機械荷重、シミュレーション構造荷重、シミュレーション軸荷重、又は他の任意の好適なシミュレーション荷重を、任意の好適な組み合わせで含む。シミュレーション荷重は、定数として、周期的に、静的荷重として、周辺荷重として、高い変化率を伴って、動的に、衝撃荷重として、波状的に、又は他の任意の好適な印加技法で、印加されうる。
【0038】
[0046]締結構造物管理システム600の別の例では、検出された荷重条件618は、変位条件、回転条件、剛性条件、クランプアップ条件、変形条件、損傷状態条件、又は他の任意の好適な検出された荷重条件を、任意の好適な組み合わせで含む。検出された荷重条件618の多くは、締結構造物が、別々の熱膨張特性を有する別種の構造要素を含むことに起因するものである。例えば、締結構造物は、様々な種類の複合材構造要素(熱可塑性複合物など)と、非複合材構造要素(チタンなど)とを含みうる。
【0039】
[0047]締結構造物管理システム600の更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、検出された荷重条件618に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む。締結構造物管理システム600のまた別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、一次元要素モデル、二次元要素モデル、又は他の任意の好適な有限要素モデルを、任意の好適な組み合わせで含む。締結構造物管理システム600のまた更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、ひずみ測定デバイス、伸縮計、ひずみゲージ、ひずみトランスデューサ、荷重センサ、ロードセル、力センサ、ピエゾ抵抗型力センサ、トルクセンサ、トルクトランスデューサ、トルクセル、剛性センサ、触覚センサ、又は他の任意の好適なセンサの任意の好適な組み合わせを表現する。
【0040】
[0048]締結構造物管理システム600の別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、複数のファスナ要素504のうちの少なくとも1つのファスナ要素504に関連付けられた少なくとも1つのファスナ要素モデル404を含む。更なる例では、ファスナ要素モデル404は、一次元要素モデル、又は他の任意の好適な有限要素モデルを、任意の好適な組み合わせで含む。更に別の例では、ファスナ要素モデル404は、検出された荷重条件618に影響を与える様態で少なくとも1つのシミュレーション荷重616に応答するように、組み立て済みの締結構造物500が曝露されると予測される環境における実際のファスナの特性及び挙動を表現するファスナパラメータ612で較正されたモデルを含む。また更に別の例では、ファスナ要素モデル404は、検出された荷重条件618に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む。
【0041】
[0049]締結構造物管理システム600の更に別の例では、コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、検出された荷重条件618が所定の測定閾値620の所定の許容範囲内にある場合、締結構造物500の電子設計モデル400を認証するよう設定される。
【0042】
[0050]締結構造物管理システム600の更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は複数のセンサ要素モデル402を含む。更なる例では、コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、複数のセンサ要素モデル402によって検出された荷重条件618に基づいて締結構造物500の分布荷重条件622を決定するよう設定される。コンピューティングシステム602は、分布荷重条件622を分布荷重条件622の所定の分布閾値624と比較するよう更に設定される。また更なる例では、分布荷重条件622は、分布変位条件、分布回転条件、分布剛性条件、分布クランプアップ条件、分布変形条件、分布損傷状態条件、又は他の任意の好適な分布荷重条件を、任意の好適な組み合わせで含む。分布荷重条件622の多くは、締結構造物が、別々の熱膨張特性を有する別種の構造要素を含むことに起因するものである。例えば、締結構造物は、様々な種類の複合材構造要素(熱可塑性複合物など)と、非複合材構造要素(チタンなど)とを含みうる。また更に別の例では、コンピューティングシステム602は、設計解析アプリケーションプログラム604を実行すると共に、分布荷重条件622が所定の分布閾値624の所定の許容範囲内にある場合、締結構造物500の電子設計モデル400を認証するよう設定される。
【0043】
[0051]締結構造物管理システム600の一又は複数の追加の例では、コンピューティングシステム602は、少なくとも1つのプロセッサ626及びそれに関連するメモリ628と、ユーザ入力デバイス630と、ユーザディスプレイデバイス632と、通信ネットワーク636を介して設計コンピューティングシステム608と通信するように動作するネットワークインターフェース634と、を更に含みうる。コンピューティングシステム602は、ローカルユーザコンピューティングデバイス638及び/又はリモートユーザコンピューティングデバイス640と通信するように動作しうる。記憶デバイス606は、少なくとも1つのアプリケーションプログラム642、モデル644、及びデータ646を記憶するために割り当てられた記憶領域を含みうる。
【0044】
[0052]図4図7を例として概括的に参照するに、本開示は、解析コンピューティングシステム700を対象としている。図4は電子設計モデル400の一例を開示している。図5は締結構造物500の一例を開示している。図6は、解析コンピューティングシステム700に実装されうるある種の構成要素を有する、締結構造物管理システム600を示している。図7は、少なくとも1つのプロセッサ702と、少なくとも1つのプロセッサ702にアクセス可能な設計解析アプリケーションプログラム604を記憶している少なくとも1つの電子記憶デバイス706とを有する、解析コンピューティングシステム700を示している。
【0045】
[0053]図4図7を再度参照するに、一又は複数の例において、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702及びそれに関連するメモリ704と、少なくとも1つの電子記憶デバイス706と、ネットワークインターフェース708とを含む。少なくとも1つの電子記憶デバイス706は、設計解析アプリケーションプログラム604を記憶している。ネットワークインターフェース708は、少なくとも1つのプロセッサ702と通信するように動作し、かつ、通信ネットワーク710とインターフェース接続するよう設定される。解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、設計コンピューティングシステム608から、ネットワークインターフェース708及び通信ネットワーク710を介して、締結構造物500の電子設計モデル400にアクセスするよう設定される。締結構造物500は、複数のファスナ要素504によって組み立てられた少なくとも2つの構造要素502を含む。電子設計モデル400は、各構造要素502についての構造要素パラメータ610、及び各ファスナ要素504についてのファスナパラメータ612を含む。構造要素パラメータ610及びファスナパラメータ612は、組み立て済みの締結構造物500が曝露されると予測される環境における、対応する構造要素502及び対応するファスナ要素504の特性及び挙動を表現する。解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、少なくとも1つのセンサ要素モデル402を電子設計モデル400内に埋め込むよう更に設定される。各センサ要素モデル402は、少なくとも2つの構造要素502のうちの2つ以上の構造要素502の間の選択接合部に関連する選択ロケーションに埋め込まれる。少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、電子設計モデル400に一又は複数のシミュレーション荷重616が印加されることに応答して、選択ロケーションにおける測定パラメータ614をモニタするよう設定される。
【0046】
[0054]加えて、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、電子設計モデル400に少なくとも1つのシミュレーション荷重616を印加するよう設定される。解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、少なくとも1つのセンサ要素モデル402を使用して測定パラメータ614をモニタし、少なくとも1つのシミュレーション荷重616に基づいて、対応する選択ロケーションにおける荷重条件618を検出するよう更に設定される。これに加えて、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、検出された荷重条件618を、モニタされた測定パラメータ614の所定の測定閾値620と比較するよう設定される。
【0047】
[0055]解析コンピューティングシステム700の別の例では、少なくとも1つの電子記憶デバイス706は、少なくとも1つのセンサ要素モデル402と、少なくとも1つのセンサ要素モデル402に関連付けられた測定パラメータ614と、測定パラメータ614に関連付けられた所定の測定閾値620と、を記憶するよう設定される。
【0048】
[0056]解析コンピューティングシステム700の更に別の例では、締結構造物500は、複数のファスナ要素504によって組み立てられた3つ以上の構造要素502を含む。解析コンピューティングシステム700の更に別の例では、締結構造物500は、製品構造物、ビークル構造物、自動車両構造物、航空ビークル構造物、航空機構造物、ミサイル構造物、ロケット構造物、発射構造物、衛星構造物、橋梁構造物、トンネル構造物、又は、ひとまとめに締結された複数の部品を有する他の任意の好適な構造物、を形成する。
【0049】
[0057]解析コンピューティングシステム700のまた更に別の例では、複数のファスナ要素504は、ファスナ要素504のセットを含む。少なくとも2つの構造要素502は、少なくとも1つの複合材構造要素と、少なくとも1つの非複合材構造要素とを含む。少なくとも1つの非複合材構造要素は、ファスナ要素504のセットによって、少なくとも1つの複合材構造要素のうちの一又は複数と接合される。更なる例では、複数のファスナ要素504及びファスナ要素504のセットは、金属ファスナ、金属ネジ、金属機械ネジ、金属ボルト、金属ピン、金属リベット、金属ナット、金属保持機構、又は他の任意の好適なファスナ部品を、任意の好適な組み合わせで含む。更に別の例では、少なくとも1つの複合材構造要素は、熱可塑性複合物、熱硬化性複合物、強化複合物、繊維強化複合物、炭素繊維強化複合物、強化ポリマー、繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、又は他の任意の好適な複合材料を、任意の好適な組み合わせで含む。また更に別の例では、少なくとも1つの非複合材構造要素は、チタン、チタンベースの金属、チタン合金、Ti-6Al-4V、Ti 6-4、アルミニウム、アルミニウムベースの金属、アルミニウム合金、バナジウム、バナジウムベースの金属、バナジウム合金、紙、発泡体、樹脂、金属、添加剤、又は他の任意の好適な非複合材固形材料を、任意の好適な組み合わせで含む。
【0050】
[0058]解析コンピューティングシステム700の別の例では、複数のファスナ要素504は、複数のファスナ要素モデル404として、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、ファスナ要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。更なる例では、各ファスナ要素モデル404は、トラス要素、ビーム要素、殻体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。
【0051】
[0059]解析コンピューティングシステム700のまた別の例では、少なくとも2つの構造要素502は、少なくとも2つの構造要素モデル406として、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、構造要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。更なる例では、各構造要素モデル406は、ビーム要素、殻体要素、固体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。例えば、電子設計モデル400は、構造要素モデル406のメッシュとして視認されうる。
【0052】
[0060]解析コンピューティングシステム700の更に別の例では、各センサ要素モデル402は、トラス要素、ビーム要素、殻体要素、又は他の任意の好適な定形要素の任意の好適な組み合わせとして、電子設計モデル400内に表現される。換言すると、センサ要素モデルは、ソフトウェア(ABAQUS(登録商標)又はLS-DYNAなど)内に表現される、モデル化された構造要素である。
【0053】
[0061]解析コンピューティングシステム700のまた更に別の例では、選択ロケーションは、少なくとも2つの構造要素502の選択表面ロケーション、少なくとも2つの構造要素502の選択内部ロケーション、少なくとも2つの構造要素502の間の選択間隙ロケーション、少なくとも2つの構造要素502のうちの2つ以上の構造要素502の選択重複ロケーション、又は少なくとも2つの構造要素502に関連付けられた他の任意の好適なロケーション、を含む。
【0054】
[0062]解析コンピューティングシステム700の別の例では、少なくとも1つのシミュレーション荷重616は、シミュレーション熱荷重、シミュレーション湿度荷重、シミュレーション機械荷重、シミュレーション構造荷重、シミュレーション軸荷重、又は他の任意の好適なシミュレーション荷重を、任意の好適な組み合わせで含む。シミュレーション荷重は、定数として、周期的に、静的荷重として、周辺荷重として、高い変化率を伴って、動的に、衝撃荷重として、波状的に、又は他の任意の好適な印加技法で、印加されうる。
【0055】
[0063]解析コンピューティングシステム700のまた別の例では、検出された荷重条件618は、変位条件、回転条件、剛性条件、クランプアップ条件、変形条件、損傷状態条件、又は他の任意の好適な検出された荷重条件を、任意の好適な組み合わせで含む。検出された荷重条件618の多くは、締結構造物が、別々の熱膨張特性を有する別種の構造要素を含むことに起因するものである。例えば、締結構造物は、様々な種類の複合材構造要素(熱可塑性複合物など)と、非複合材構造要素(チタンなど)とを含みうる。
【0056】
[0064]解析コンピューティングシステム700の更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、検出された荷重条件618に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む。解析コンピューティングシステム700のまた更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、一次元要素モデル、二次元要素モデル、又は他の任意の好適な有限要素モデルを、任意の好適な組み合わせで含む。解析コンピューティングシステム700の別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、ひずみ測定デバイス、伸縮計、ひずみゲージ、ひずみトランスデューサ、荷重センサ、ロードセル、力センサ、ピエゾ抵抗型力センサ、トルクセンサ、トルクトランスデューサ、トルクセル、剛性センサ、触覚センサ、又は他の任意の好適なセンサの任意の好適な組み合わせを表現する。
【0057】
[0065]解析コンピューティングシステム700の更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は、複数のファスナ要素504のうちの少なくとも1つのファスナ要素504に関連付けられた少なくとも1つのファスナ要素モデル404を含む。更なる例では、ファスナ要素モデル404は、一次元要素モデル、又は他の任意の好適な有限要素モデルを、任意の好適な組み合わせで含む。更に別の例では、ファスナ要素モデル404は、検出された荷重条件618に影響を与える様態で少なくとも1つのシミュレーション荷重616に応答するように、組み立て済みの締結構造物500が曝露されると予測される環境における実際のファスナの特性及び挙動を表現するファスナパラメータ612で較正されたモデルを含む。また更に別の例では、ファスナ要素モデル404は、検出された荷重条件618に影響を与えないゼロ剛性モデルを含む。
【0058】
[0066]解析コンピューティングシステム700の更に別の例では、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、検出された荷重条件618が所定の測定閾値620の所定の許容範囲内にある場合、締結構造物500の電子設計モデル400を認証するよう設定される。
【0059】
[0067]解析コンピューティングシステム700のまた更に別の例では、少なくとも1つのセンサ要素モデル402は複数のセンサ要素モデル402を含む。更なる例では、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、複数のセンサ要素モデル402によって検出された荷重条件618に基づいて締結構造物500の分布荷重条件622を決定するよう設定される。加えて、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、分布荷重条件622を、分布荷重条件622の所定の分布閾値624と比較するよう設定される。また更なる例では、分布荷重条件622は、分布変位条件、分布回転条件、分布剛性条件、分布クランプアップ条件、分布変形条件、分布損傷状態条件、又は他の任意の好適な分布荷重条件を、任意の好適な組み合わせで含む。分布荷重条件622の多くは、締結構造物が、別々の熱膨張特性を有する別種の構造要素を含むことに起因するものである。例えば、締結構造物は、様々な種類の複合材構造要素(熱可塑性複合物など)と、非複合材構造要素(チタンなど)とを含みうる。また更に別の例では、解析コンピューティングシステム700は、少なくとも1つのプロセッサ702が設計解析アプリケーションプログラム604を実行するのに併せて、分布荷重条件622が所定の分布閾値624の所定の許容範囲内にある場合、締結構造物500の電子設計モデル400を認証するよう設定される。
【0060】
[0068]一又は複数の更なる例では、解析コンピューティングシステム700は、ユーザ入力デバイス712及びユーザディスプレイデバイス714も含みうる。解析コンピューティングシステム700は、ローカルユーザコンピューティングデバイス716及び/又はリモートユーザコンピューティングデバイス718と通信するように動作しうる。少なくとも1つの電子記憶デバイス706は、少なくとも1つのアプリケーションプログラム642、モデル644、及びデータ646を記憶するために割り当てられた記憶領域を含みうる。
【0061】
[0069]締結構造物500を解析するための、方法100、200、300、電子設計モデル400、締結構造物管理システム600、及び解析コンピューティングシステム700の例は、航空機の設計及び製造に関連しうるか、又は航空機の設計及び製造の文脈で使用されうる。航空機の例を記載しているが、本書で開示している例及び原理は、航空宇宙産業及びその他の産業(自動車産業、宇宙産業、建築産業、並びにその他の設計業及び製造業など)における別の製品にも適用されうる。したがって、本書で開示している例及び原理は、航空機に加えて、様々な種類のビークルの設計及び製造における、また様々な種類の輸送構造物の設計及び構築における、締結構造物を解析するための方法にも適用されうる。
【0062】
[0070]上記の詳細説明は添付図面に言及しているが、これらの添付図面は、本開示の説明の具体例を示している。異なる構造及び工程を有する他の例も、本開示の範囲から逸脱するものではない。同様の参照番号は、別々の図面における同じ特徴、要素、又は構成要素を表しうる。本開示全体を通じて、複数のアイテムのいずれもがそのアイテムとして個別に言及されてよく、複数のアイテムは、そのアイテムとして集合的に言及されることも、複数の類似の参照番号とともに言及されることもある。更に、本書で使用される場合、「1つの(a又はan)」という語に後続する特徴、要素、構成要素、又はステップについて、複数の特徴、要素、構成要素、又はステップを除外することが明示的に述べられていない限り、かかる除外は行われないと理解すべきである。
【0063】
[0071]上記では、本開示による主題の例示的かつ非網羅的な例が提供されている。かかる例は、特許請求されうるが、必ずしも特許請求されるわけではない。本書における「例(example)」への言及は、例と関連付けて説明している一又は複数の特徴、構造、要素、構成要素、特性、及び/又は工程ステップが、本開示による主題の少なくとも1つの態様、実施形態、及び/又は実行形態に含まれることを意味する。ゆえに、本開示全体を通じて、「一例(one example)」、「別の例(another example)」、「一又は複数の例(one or more examples)」という表現、及び類似の文言は、同一の例を指し示しうるが、必ずしも同一の例を指し示すわけではない。更に、例のいずれか1つを特徴付ける主題は、他の例のいずれかを特徴付ける主題を含みうるが、必ず含むわけではない。更に、例のいずれか1つを特徴付ける主題は、他の例のいずれかを特徴付ける主題と組み合わされうるが、必ず組み合わされるわけではない。
【0064】
[0072]本書で使用される場合、特定の機能を行う「よう構成/設定された(configured to)」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、更なる改変の後にのみその特定の機能を行う可能性を有するのではなく、実際には、いかなる変更もなしにかかる特定の機能を行うことが可能なものである。換言すると、特定の機能を行う「よう構成/設定された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を行うという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、かつ/又は設計される。本書で使用される場合、「よう構成/設定され」とは、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが更なる改変なしに特定の機能を行うことを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの特性が存在していることを意味する。この開示においては、特定の機能を行う「よう構成/設定され」ていると説明されているシステム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的には、その機能を行う「よう適合している(adapted to)」及び/又は「よう動作可能である(operative to)」とも説明されうる。
【0065】
[0073]「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の語は、別様に指示されない限り、本書では単に符号として使用されており、これらの語が指し示すアイテムに、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことは意図されていない。更に、例えば「第2」のアイテムへの言及は、例えば「第1」の若しくはより小さい数が振られたアイテム、及び/又は、例えば「第3」の若しくはより大きな数が振られたアイテムの存在を、必要とすることも排除することもない。
【0066】
[0074]本書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数のアイテムの種々の組み合わせが使用されてよいこと、及び、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされることもあることを意味している。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、「アイテムA」、又は「アイテムAとアイテムB」を含みうるが、これに限定される訳ではない。この例は、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムC」、又は「アイテムB及びアイテムC」も含みうる。他の例では、「のうちの少なくとも1つ」は、限定する訳ではないが例としては、「2つのアイテムA、1つのアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4つのアイテムBと7つのアイテムC」、並びに他の好適な組み合わせでありうる。本書で使用される場合、「及び/又は(and/or)」という語並びに「/」という記号は、関連して列挙されたアイテムのうちの一又は複数のあらゆる組み合わせを含む。
【0067】
[0075]本書で使用される場合、「連結された(coupled)」、「連結(coupling)」、及び類似の語は、互いに(例えば機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的に)接合され、リンクされ、締結され、取り付けられ、接続され、連通し、又は別様に関連付けられた、2つ以上の要素のことを指し示す。これらの要素は、様々な例において、直接的に関連付けられても、間接的に関連付けられてもよい。一例としては、要素Aは要素Bに直接的に関連付けられうる。別の例としては、要素Aは、例えば別の要素Cを介して、要素Bに間接的に関連付けられうる。開示されている様々な要素間の全ての関連付けが必ずしも表現されているわけではないことが理解されよう。したがって、図に示されたもの以外の連結も存在しうる。
【0068】
[0076]本書で使用される場合、「約/およそ(approximately)」という語は、規定された状態に近いが厳密に同じではなく、それでも望ましい機能を行うか又は望ましい結果を得る状態を、指し示しているか又は表している。一例としては、「約/およそ」という語は、許容可能な所定の公差又は精度の範囲内にある状態(例えば、規定された状態の10%の範囲内にある状態)を指し示す。しかし、「約/およそ」という語は、規定された状態と厳密に同じ状態を除外するわけではない。本書で使用される場合、「実質的に(substantially)」という語は、望ましい機能を行うか又は望ましい結果を得る、規定された状態と本質的に同じ状態を指し示す。
【0069】
[0077]先に参照した図1図3において、ブロックは、工程、ステップ、及び/又はそれらの一部を表わすことが可能であり、様々なブロックを接続する線は、工程又はその一部の任意の特定の順序又は従属関係を示唆するものではない。開示されている様々な工程間の全ての従属関係が必ずしも表わされているわけではないと理解されよう。本書に記載の開示されている方法の工程について記述している図1図3及び関連する開示内容は、工程が実行されるシーケンスを絶対的に決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されていても、その工程のシーケンスは、適宜改変されうると理解されたい。したがって、例示されている工程に対して改変、追加、及び/又は省略が行われてよく、ある種の工程は、異なる順序で又は同時に実行されることもある。加えて、当業者には、記述されている全ての工程を実行する必要はないことが認識されよう。
【0070】
[0078]先に参照した図4図7は、機能的な要素、特徴、又はその構成要素を表現していることがあり、必ずしも何らかの特定の構造を示唆するものではない。したがって、例示されている構成には、改変、追加、及び/又は省略が行われうる。加えて、当業者には、先に参照した図4図7に記載され、図示されている全ての要素、特徴、及び/又は構成要素があらゆる例に含まれる必要はないこと、並びに、本書に記載の全ての要素、特徴、及び/又は構成要素が各実施例に必ずしも記載されるわけではないことが、認識されよう。したがって、図4図7に記載され、図示されている要素、特徴、及び/又は構成要素の一部は、図4図7、他の図面、及び/又は関連する開示内容に記載され、図示されているその他の特徴を含むことを必要とせずに、様々なやり方で組み合わされうるが、かかる一又は複数の組み合わせは、本書に明示的に例示されていないこともある。同様に、提示されている例に限定されない追加の特徴が、本書に図示され、記載されている特徴の一部又は全部と組み合わされることもある。先に参照した図4図7に示している例の概略図は、明示的に記述されない限り、実施例に関する構造的制限をもたらすことを意味するものではない。むしろ、1つの例示的な構造が示されていても、その構造は適宜改変されうることを理解されたい。したがって、例示されている構造には、改変、追加、及び/又は省略が行われうる。更に、図4図7の各々において、同様の又は少なくとも実質的に同様の目的に適う要素、特徴、及び/又は構成要素には類似の番号が付されているが、本書では、かかる要素、特徴、及び/又は構成要素について、図4図7の各々を参照して詳述されないこともある。同様に、図4図7の各々において全ての要素、特徴、及び/又は構成要素が付番されているわけではないが、本書では、それらに関連する参照符号が一貫して使用されうる。
【0071】
[0079]更に、本明細書全体における、「特徴」、「利点」、又は本書で使用されている類似の文言に対する言及は、本書で開示されている例により実現されうる特徴及び利点の全てが、何らかの単一の例であるべきということ、又は何らかの単一の例におけるものであることを、示唆するものではない。むしろ、特徴及び利点に言及する文言は、一例に関連して記述されている特定の特徴、利点、又は特性が、少なくとも1つの例に含まれることを意味すると理解される。ゆえに、本開示全体を通じて使用される、「特徴」、「利点」、及び類似の文言についての記述は、同一の例に言及するものでありうるが、必ずしもそうとは限らない。
【0072】
[0080]本書で開示している主題の例は、図8に示している航空機の製造・保守方法800、及び図9に示している航空機900に照らして説明されうる。一又は複数の例において、開示されている締結構造物を解析するための方法及びシステムは航空機製造に使用されうる。保守方法800は、製造前段階において、航空機900の仕様及び設計(ブロック802)と、材料調達(ブロック804)とを含みうる。製造段階においては、航空機900の、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック806)と、システムインテグレーション(ブロック808)とが行われうる。その後、航空機900は、認可及び納品(ブロック810)を経て運航(ブロック812)に供されうる。運航期間中、航空機900には、定期的な整備及び保守(ブロック814)が予定されうる。定期的な整備及び保守は、航空機900の一又は複数のシステムの改変、再構成、改修等を含みうる。
【0073】
[081]保守方法800の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施されうる。この明細書においては、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるがこれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるがこれらに限定されず、かつ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0074】
[082]図9に示しているように、保守方法800によって製造される航空機900は、複数の高レベルシステム904及び内装906を有する機体902を含みうる。高レベルシステム904の例は、推進システム908、電気システム910、液圧システム912、及び環境システム914のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれることもある。航空宇宙産業の例を示しているが、本書で開示されている原理は、その他の産業(自動車産業など)にも適用されうる。したがって、本書で開示されている原理は、航空機900に加えて、その他のビークル(例えば陸上ビークル、海洋ビークル、宇宙ビークル等)にも適用されうる。
【0075】
[083]締結構造物を解析するための開示されている方法及びシステムは、製造・保守方法800の一又は複数の任意の段階において用いられうる。例えば、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック806)に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機900の運航(ブロック812)期間中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様のやり方で作製又は製造されうる。また、ツーリングセット(複数可)、システム(複数可)、方法(複数可)又はこれらの任意の組み合わせ、の一又は複数の例は、例えば、航空機900の組み立てを著しく効率化するか、又は航空機900のコストを著しく削減することによって、製造段階(ブロック806及びブロック808)において利用されうる。同様に、ツーリングセット、システム、若しくは方法を実現する一又は複数の例、又はこれらの組み合わせは、限定するわけではないが例としては、航空機900の運航(ブロック812)期間中に、及び/又は、整備及び保守(ブロック814)において、利用されうる。
【0076】
[084]記載している一例の特徴、利点、及び特性は、一又は複数のその他の例において、任意の好適な様態で組み合わされうる。当業者には、本書に記載の例が、特定の例の具体的な特徴又は利点のうちの一又は複数がなくとも実践されうることが認識されよう。他の事例では、全ての例に存在するわけではない更なる特徴及び利点が、ある種の例においては認識されうる更に、締結構造物500を解析するための、方法100、200、300、締結構造物管理システム600、及び解析コンピューティングシステム700の様々な例について図示し、説明してきたが、当業者は、本明細書を読むことで、変形例を想起しうる。本出願は、かかる変形を含むものであり、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】