(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017041
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】業冷庫のデータ収集管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119408
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】 遠隔地の業冷庫群を管理する。
【解決手段】 本データ収集管理装置10では、遠隔地の業冷庫群を管理するものであり、業冷庫群50は制御基板32,42を備える複数の業冷庫30,40からなり、各業冷庫群30,40毎に無線通信手段である通信器34やインターネット回線20を介して接続している。データ収集管理装置10は、それぞれの業冷庫30,40を管理するデータベース12を有しており、少なくとも制御基板32,42のユニークな制御基板番号と無線通信手段である通信器34のユニークなSIM番号とをデータとして個別の業冷庫30,40ごとに機器IDを発行するか判断している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地の業冷庫または業冷庫群を管理するデータ収集管理装置であって、前記業冷庫または業冷庫群は制御基板を備える複数の業冷庫からなり、各業冷庫または各業冷庫群毎に無線通信手段を介して接続しており、
前記データ収集管理装置は、それぞれの前記業冷庫を管理するデータベースを有し、少なくとも前記制御基板のユニークな制御基板番号と前記無線通信手段のユニークなSIM番号と前記業冷庫のユニークな製造番号とをデータとして個別の前記業冷庫ごとに機器IDを発行するか判断することを特徴とするデータ収集管理装置。
【請求項2】
前記遠隔地の業冷庫または業冷庫群は、相互通信可能な中継基板を介して通信可能とされる親機と子機とを含み、
前記親機は、脱着可能な前記制御基板を収容する業冷庫と、前記無線通信手段と、前記中継基板とを備え、
前記子機は、脱着可能な前記制御基板を収容する業冷庫と、前記中継基板とを備え、
前記親機と、前記子機には、個別の親機/子機番号が設定され、
前記制御基板は、複数のスイッチの組み合わせで前記業冷庫の制御モードを特定するDIPスイッチが備えられており、
前記無線通信手段は、業冷庫または業冷庫群を構成する業冷庫の前記制御基板番号と前記SIM番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、前記データ収集管理装置に通知することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集管理装置。
【請求項3】
前記無線通信手段は、前記遠隔地の業冷庫または業冷庫群を登録する際と、電源再投入の際とに、初期設定通信を行い、前記業冷庫または業冷庫群を構成する業冷庫の前記制御基板番号と前記SIM番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、前記データ収集管理装置に送信し、
前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを取得データとして前記業冷庫または業冷庫群の個別の業冷庫ごとに機器IDを発行するか判断することを特徴とすることを特徴とする請求項2に記載のデータ収集管理装置。
【請求項4】
前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行することを特徴とする請求項3に記載のデータ収集管理装置。
【請求項5】
前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせに対して予め対応づけた処理を行なうことを特徴とする請求項3に記載のデータ収集管理装置。
【請求項6】
前記データ収集管理装置は、予めマニュアル入力によってデータベースの内容を設定する初期設定マニュアル入力が可能であり、前記無線通信手段を介して前記データ収集管理装置が遠隔地の業冷庫または業冷庫群から前記取得データを取得するよりも先に前記初期設定マニュアル入力が行われるときに、前記初期設定マニュアル入力された前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行することを特徴とする請求項3に記載のデータ収集管理装置。
【請求項7】
前記データ収集管理装置は、前記無線通信手段を介して前記データ収集管理装置が遠隔地の業冷庫または業冷庫群から前記取得データを取得するよりも後に前記初期設定マニュアル入力が行われるときに、初期設定マニュアル入力された前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されている場合に、初期設定マニュアル入力を受け付けないことを特徴とする請求項6に記載のデータ収集管理装置。
【請求項8】
前記データ収集管理装置は、前記機器IDを新規に発行しないと判断したときに、エラーメッセージを所定の外部の通信端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集管理装置。
【請求項9】
前記データ収集管理装置は、特定の業冷庫または業冷庫群に対して、前記機器IDを新規に発行しないと判断したときに、以後、当該業冷庫または業冷庫群と通信を行わず、通信エラーを発生させることを特徴とする請求項1に記載のデータ収集管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地の業冷庫を管理するデータ収集管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
業冷庫(業務用冷蔵庫)の運転状況は、設置場所において、利用者によって監視されている。運転状況を業冷庫機器に表示するものの他、リモートコントローラなどに表示されるものもある。
また、遠隔地の業務機器の運転状況を監視するものとして、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の手法では、設置場所で業冷庫を管理しなければならない。一方、設置場所にかかわらず、遠隔地で一括して管理したいという要望があった。しかし、遠隔地にある複数の業冷庫を管理しようとすると、管理情報を得る手段が必要であるうえ、人手が介在するためのヒューマンエラーを回避しなければならないという新たな課題も生じる。
特許文献1に開示されている技術では、遠隔地の空調装置の運転状況、例えばエラーの発生の通知を受け取ることができる。しかし、情報の登録の際にはヒューマンエラーが生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、遠隔地の業冷庫または業冷庫群を管理することが可能なデータ収集管理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遠隔地の業冷庫または業冷庫群を管理するデータ収集管理装置であって、前記業冷庫または業冷庫群は制御基板を備える複数の業冷庫からなり、各業冷庫または各業冷庫群毎に無線通信手段を介して接続しており、前記データ収集管理装置は、それぞれの前記業冷庫を管理するデータベースを有し、少なくとも前記制御基板のユニークな制御基板番号と前記無線通信手段のユニークなSIM番号と前記業冷庫のユニークな製造番号とをデータとして個別の前記業冷庫ごとに機器IDを発行するか判断する構成としてある。
【0007】
上記構成において、前記業冷庫または業冷庫群は制御基板を備える複数の業冷庫からなり、各業冷庫または業冷庫群毎に無線通信手段を介して前記データ収集管理装置と接続している。前記データ収集管理装置は、それぞれの前記業冷庫を管理するデータベースを有している。
それぞれの前記業冷庫を個別に管理する情報は様々であるが、本発明のデータ収集管理装置は、少なくとも前記制御基板のユニークな制御基板番号と前記無線通信手段のユニークなSIM番号と前記製造番号とをデータとして個別の前記業冷庫ごとに機器IDを発行するか判断する。
【0008】
また、前記遠隔地の業冷庫または業冷庫群の一例の構成として、遠隔地の業冷庫または業冷庫群は、相互通信可能な中継基板を介して通信可能とされる親機と子機とを含み、前記親機は、脱着可能な前記制御基板を収容する業冷庫と、前記無線通信手段と、前記中継基板とを備え、前記子機は、脱着可能な前記制御基板を収容する業冷庫と、前記中継基板とを備える構成としても良い。
【0009】
上記構成において、前記親機と、前記子機には、個別の親機/子機番号が設定され、前記制御基板は、複数のスイッチの組み合わせで前記業冷庫の制御モードを特定するDIPスイッチが備えられる。そして、前記無線通信手段は、業冷庫または業冷庫群を構成する業冷庫の前記制御基板番号と前記SIM番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、前記データ収集管理装置に通知する。
【0010】
本発明の一例の構成として、前記無線通信手段は、前記遠隔地の業冷庫または業冷庫群を登録する際と、電源再投入の際とに、初期設定通信を行い、前記業冷庫または業冷庫群を構成する業冷庫の前記制御基板番号と前記SIM番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、前記データ収集管理装置に送信し、前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを取得データとして前記業冷庫または業冷庫群の個別の業冷庫ごとに機器IDを発行するか判断する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記無線通信手段は、例えば、初めて前記遠隔地の業冷庫または業冷庫群を登録する際と、電源再投入の際とに、初期設定通信を行い、前記業冷庫または業冷庫群を構成する業冷庫の前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、前記データ収集管理装置に送信する。
そして、前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを取得データとして前記業冷庫または業冷庫群の個別の業冷庫ごとに機器IDを発行するか判断する。
【0012】
本発明の一実施例として、前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行する構成とすることができる。
データベースに記録するに際して、業冷庫に対する機器IDを新規に発行するか否かを判断する。上記構成において、前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行する。
【0013】
本発明の一実施例として、前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とのいずれか一方が、既存のデータベースに記録されている場合に、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせに対して予め対応づけた処理を行なう構成とすることができる。
前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とは、ユニークであり、同じものがデータベースに含まれるとすれば、ヒューマンエラーが生じている可能性がある。ヒューマンエラーには各種の態様が想定される。上記のように構成した場合、前記データ収集管理装置は、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とのいずれか一方が、既存のデータベースに記録されている場合に、前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号と前記親機/子機番号と前記DIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせに対して予め対応づけた処理を行なう。
例えば、想定されるヒューマンエラーを表示することなどが一例となる。
【0014】
本発明の一実施例として、前記データ収集管理装置は、予めマニュアル入力によってデータベースの内容を設定する初期設定マニュアル入力が可能であり、前記無線通信手段を介して前記データ収集管理装置が遠隔地の業冷庫または業冷庫群から前記取得データを取得するよりも先に前記初期設定マニュアル入力が行われるときに、初期設定マニュアル入力された前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行する。
【0015】
上記構成において、例えば、前記無線通信手段を介して前記データ収集管理装置が遠隔地の業冷庫または業冷庫群から前記取得データを取得するよりも先に、マニュアル入力によってデータベースの内容を設定する初期設定マニュアル入力した場合には、初期設定マニュアル入力された前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行する。
【0016】
本発明の一実施例として、前記データ収集管理装置は、前記無線通信手段を介して前記データ収集管理装置が遠隔地の業冷庫または業冷庫群から前記取得データを取得するよりも後に前記初期設定マニュアル入力が行われるときに、初期設定マニュアル入力された前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されている場合に、初期設定マニュアル入力を受け付けない構成とすることができる。
【0017】
前記無線通信手段を介して前記データ収集管理装置が遠隔地の業冷庫または業冷庫群から前記取得データを取得した後に、前記初期設定マニュアル入力を行うことも可能である。上記構成においては、このように前記初期設定マニュアル入力が後に行われるときに、初期設定マニュアル入力された前記制御基板番号と前記SIM番号と前記製造番号とが、既存のデータベースに記録されている場合に、初期設定マニュアル入力を受け付けない。
ヒューマンエラーが生じている可能性が高いので、初期設定マニュアル入力を受け付けないようにする。
【0018】
本発明の一実施例として、前記データ収集管理装置は、前記機器IDを新規に発行しないと判断したときに、エラーメッセージを所定の外部の通信端末に送信する構成とすることができる。
上記のように構成した場合、前記データ収集管理装置は、前記機器IDを新規に発行しないと判断したときに、エラーメッセージを所定の外部の通信端末に送信する。
【0019】
本発明の一実施例として、前記データ収集管理装置は、特定の業冷庫または業冷庫群に対して、前記機器IDを新規に発行しないと判断したときに、以後、当該業冷庫または業冷庫群と通信を行わず、通信エラーを発生させる構成とすることができる。
ヒューマンエラーが生じている可能性が高い場合に、管理する者がすぐに気がつかない場合もある。このような場合でも、前記データ収集管理装置は、特定の業冷庫または業冷庫群に対して、前記機器IDを新規に発行しないと判断したときに、以後、当該業冷庫または業冷庫群と通信を行わないようにすれば、通信エラーを発生させるので、通信エラーが継続的に発生し、管理する者に確実に知らしめる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ヒューマンエラーが生じがちな遠隔管理において、制御基板のユニークな制御基板番号と無線通信手段のユニークなSIM番号と前記製造番号とをデータとすることで、設定の誤りを比較的簡易に発見し、ヒューマンエラーを回避することが可能なデータ収集管理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるデータ収集管理装置のブロック図である。
【
図3】新規登録時と電源投入時のデータの組み合わせを示す表である。
【
図4】データ収集管理装置のフローチャートである。
【
図5】業冷庫の機器IDと登録されているデータの組み合わせを示す表である。
【
図6】
図2に示す表に具体的なデータを挿入した表である。
【
図7】一例として遠隔地に業冷庫が1台ある場合のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるデータ収集管理装置をブロック図により示している。
同図において、データ収集管理装置10は、制御装置11と、データベース12と、通信器13とを備えており、インターネット回線20に接続されてデータ通信が可能である他、通信器13によって無線通信網を介するデータ通信も可能となっている。
遠隔地には業冷庫(業務用冷蔵庫)群50が設置されている。業冷庫群50は、1台の親機の業冷庫30と、複数台の子機の業冷庫40(40-A,40-Bと表示している)とから構成されている。親機の業冷庫30は、冷蔵冷凍庫本体31と、積載される制御基板32と、子機の業冷庫40と通信するための中継基板33と、無線通信網に接続するための通信器34とを備えている。
【0023】
このように、本データ収集管理装置10では、遠隔地の業冷庫群を管理するものであり、業冷庫群50は制御基板32,42を備える複数の業冷庫30,40からなり、各業冷庫30,40毎に無線通信手段である通信器34やインターネット回線20を介して接続している。
【0024】
また、子機の業冷庫40は、冷蔵冷凍庫本体41と、積載される制御基板42と、親機の業冷庫30と通信するための中継基板43とを備えている。
業冷庫群50では、親機の業冷庫30が通信器34を介して無線通信網に接続する他、各子機の業冷庫40も中継基板43を介して親機の業冷庫30の中継基板33と通信可能であり、さらに、親機の業冷庫30の通信器34を介して無線通信網に接続可能となっている。この無線通信網はインターネット回線20にも接続されている。
ここで、通信網に接続するというのは、例えば、通信網を介して特定の通信器とデータの送受信を行うことができることを含む。なお、インターネット回線20には、一般的なクライアントPC21や、タブレット(図示せず)などが接続されている。このクライアントPC21は、インターネット回線20を介してデータ収集管理装置10とデータの送受信が可能である。
【0025】
データ収集管理装置10は、データベース12を有しており、データ収集管理サーバとして機能する。このデータベースは、業冷庫群50の各業冷庫である親機の業冷庫30と子機の業冷庫40との通信により機器IDの配信と合わせて、人間がマニュアル入力する業冷庫管理情報と、通信によって入手する情報を紐づけて保管および管理する。人間のマニュアル入力による業冷庫管理情報は、業冷庫製造番号、型式名、製品名、SIM番号、営業所名を含んでいる。
【0026】
一方、データ収集管理装置10は、各業冷庫30,40から通信によって以下の情報を取得する。この情報は取得データに相当し、SIM番号と、制御基板32,42の基板番号と、制御基板32,42に備えられているDIPスイッチのオン・オフの組み合わせであるDIPSW(DIPスイッチ)情報と、各業冷庫30,40の親機あるいは子機に設定される親機/子機番号を含んでいる。SIM番号は、通信器34が利用する電話番号などのユニークな識別番号であり、同じものはないユニークなものである。基板番号はそれぞれの制御基板32,42ごとにユニークな識別番号であり、同じものはないユニークなものである。DIPスイッチは制御基板32,42が冷蔵冷凍庫本体31,41を冷蔵庫として使用したり冷凍庫と使用したりするなどの動作を設定するスイッチであり、DIPSW情報はそのスイッチのオン・オフの組み合わせであるため、ユニークではなく、一致するものはあり得る。親機/子機番号は特定の業冷庫群50の中で各業冷庫30,40を親機あるいは子機として設定して重複させないものであるため、特定の業冷庫群50の中では重複するものはないが、業冷庫群50の全体でみれば、一致するものはある。
【0027】
このように、遠隔地の業冷庫群50は、相互通信可能な中継基板33,43を介して通信可能とされる親機の業冷庫30と子機の業冷庫40とを含み、親機の業冷庫30は、脱着可能な制御基板32を収容する冷蔵冷凍庫本体31と、無線通信手段である通信器34と、中継基板33とを備え、子機の業冷庫40は、脱着可能な制御基板42を収容する冷蔵冷凍庫本体41と、中継基板43とを備え、親機の業冷庫30と、子機の業冷庫40には、個別の親機/子機番号が設定されている。
【0028】
制御基板32,42は、複数のスイッチの組み合わせで業冷庫30,40の制御モードを特定するDIPスイッチが備えられており、無線通信手段である通信器34は、後述するように業冷庫群50を構成する冷蔵冷凍庫本体31,41の制御基板番号とSIM番号と親機/子機番号とDIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、データ収集管理装置に通知する。
【0029】
図2は、機器IDを発行する判断を示す表であり、データ収集管理装置10が通信によって各業冷庫30,40から取得する4つの情報に基づいて判断することになる。すなわち、SIM番号と、基板番号と、DIPSW情報と、親機/子機番号とを各項目として、データベース12を参照し、新規の値であるか、既存の値であるかの対比結果を各業冷庫のデータとし、
図2に示す表を参照して右から2つめの欄の結果を得ることができるようになっている。
【0030】
また、
図3は、新規登録時と電源投入時のデータの組み合わせを示す表であり、上段の16行の組み合わせは、人間がマニュアル入力する業冷庫管理情報の5つの組み合わせを示しており、下段の16行の組み合わせは、データ収集管理装置10が通信によって電源投入時に各業冷庫30,40から取得する4つの情報の組み合わせを示している。
【0031】
人間がマニュアル入力する情報と、通信で通知する情報とでは、SIM番号が共通情報となる。このため、人間がマニュアル入力する業冷庫管理情報と、通信によって入手する4つの情報を紐づけて保管および管理することが可能である。
【0032】
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
図4は、データ収集管理装置10における制御装置11が実行するプログラムのフローチャートである。
制御装置11は、ステップS100にて、マニュアル入力があるか否かを判断する。マニュアル入力がある場合、ステップS105に、初期マニュアル入力の処理を行う。初期マニュアル入力(新規登録時)は、インターネット回線20に接続されたクライアントPC21からデータ収集管理装置10にアクセスしておこなう。データ収集管理装置10は、WEBサーバー機能を備えており、クライアントPC21のブラウザ上で各種の入力画面を表示し、所定の入力を促してデータを取得し、データベース12を逐次更新する。
【0033】
初期マニュアル入力(新規登録時)では、ユーザーはクライアントPC21により
図3に示す5つの情報を入力する。人間がマニュアル入力するときは、通信で取得可能な4つの情報に加えて製造番号も入力される。
このようなマニュアル入力をする処理は、無線通信手段が遠隔地の業冷庫群50を登録する際に、初期設定通信を行い、業冷庫群50を構成する業冷庫30,40の制御基板番号とSIM番号と製造番号と親機/子機番号とDIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、データ収集管理装置に送信する処理に該当する。
【0034】
人間によるマニュアル入力が終了すると、制御装置11は、ステップS110にて、DB参照して確認をする。
図3における上段の16行が、新規登録時に入力する5つの情報に基づいて、データベース12を参照した結果を示している。
製造番号は、新たに製造した業冷庫30,40に付けられるものであり、新規登録するときにはデータベース12には登録されていない。
図3ではデータベース12を参照しても同じレコードが登録されていないということを表す「N」と示している。仮に、データベース12を参照して同じ値を持つレコードが登録されているケースでは「-」と示している。
【0035】
次に、新たに製造した業冷庫30,40についても、既存の業冷庫群50の業冷庫30,40と入れ替えられたりすることもあり、この場合は既存の機器を使い回すということもありえる。例えば、
図3における上段の8行は、通信器34もデータベース12に登録されていないので新規であるが、その次の8行の場合は通信器34を特定するユニークなSIM番号がデータベース12に登録されているということが分かる。この結果を解析すると通信器34を使い回していることが分かる。
【0036】
新たに製造した業冷庫30,40の場合、冷蔵冷凍庫本体31,41を制御する制御基板32,42が新しいものであれば、制御基板32,42に付けられているユニークな基板番号はデータベース12に登録されていない。
図3における上段の4行と、その次の4行を飛ばした、次の4行においては、データベース12を参照した結果、対象となる基板番号は新規であって「N」と表示されている。一方で、
図3における上段の4行を除いた次の4行と、その次の4行を飛ばした、最後の4行においては、データベース12を参照した結果、対象となる基板番号が登録されていて「-」と表示されている。登録されているということは、制御基板32,42は新規なものではなく使い回しているということが分かる。
【0037】
例えば、現場において作業者が通信器34や、制御基板32,42を使い回しているのであれば、確認結果は正しく、入力作業に誤りが無いことが理解できる。しかし、ヒューマンエラーは生じるので、作業者の作業と入力結果とが一致しないこともありえる。ヒューマンエラーがなければ、通信器34や制御基板32,42を使い回さないで新たに製造した業冷庫30,40を登録する場合、SIM番号も基板番号も新規であり、
図3の上段の4行に示すように、データベース12は登録されておらず、機器IDを発行すべく、結果のところに「○」と示している。一方で、使い回しでないにもかかわらず使い回しと同じ結果を表示しているということは、ヒューマンエラーの可能性があり、機器IDを発行しないので、結果のところには「NG」と示している。
このように、データ収集管理装置10は、それぞれの業冷庫30,40を管理するデータベース12を有しており、少なくとも制御基板32,42のユニークな制御基板番号と無線通信手段である通信器34のユニークなSIM番号と業冷庫30,40のユニークな製造番号とをデータとして個別の業冷庫30,40ごとに機器IDを発行するか判断している。
【0038】
より具体的には、データ収集管理装置10は、制御基板番号とSIM番号と製造番号とが、既存のデータベース12に記録されていない場合に、機器IDを新規に発行している。
【0039】
この例では、データ収集管理装置10は、クライアントPC21などから予めマニュアル入力によってデータベースの内容を設定する初期設定マニュアル入力が可能である。このような初期設定マニュアル入力が、無線通信手段である通信器34を介してデータ収集管理装置が遠隔地の業冷庫群50からデータを取得するよりも先に行われるときに、初期設定マニュアル入力された制御基板番号とSIM番号と製造番号とが、既存のデータベースに記録されていない場合に、前記機器IDを新規に発行する。
【0040】
新規登録の意図であったのに機器IDが発行されないのはヒューマンエラーが発生していることが考えられ、制御装置11は、ステップS115にて、異常を発見したか判断し、異常を発見したものとして、ステップS120へと分岐する。まず、制御装置11は、ステップS120にて、エラーを解析し、予め想定されているパターン分けする。予め想定されているパターンとは、
図3に示す右欄の内容を指す。上段の4行については、異常が発見されない場合の処理であり、その後の12行が、エラーを解析し、予め想定されているパターン分けした結果と言える。具体的には、新規登録の意図であったのに、SIM番号や機器番号がデータベース12に登録されていたのは、制御基板の使い回しや、通信器の使い回しという予め想定されたパターンということである。両者の組み合わせもあり得る。使い回しでないのに、このパターンに相当するのであれば、ヒューマンエラーが生じていると言える。
【0041】
制御装置11は、ステップS125にて、エラーメッセージを表示し、続く、ステップS130にて、通信フラグをオフにする。エラーメッセージは、クライアントPC21などに表示させることができる。例えば、「新規登録の入力が行われましたが、入力された情報がデータベース12に既登録です。」というような簡単なメッセージでも良いし、さらに踏み込んでこのような場合に何をチェックすれば良いかということを表示するようにしてもよい。また、通信フラグをオフにすることにより、以後、通信を行わないようにするので、通信エラーを誘導し、管理者がエラーメッセージを見落としても、以後のタイミングで通信エラーが生じることで、何らかのエラーが生じているということに気がつきやすくなる。
すなわち、データ収集管理装置10は、特定の業冷庫群50に対して、機器IDを新規に発行しないと判断したときに、以後、業冷庫群50と通信を行わず、通信エラーを発生させるようにしてもよい。
なお、ユニークではないDIPSW情報や親機/子機番号の情報が、既存の情報と一致する場合は当然ありえるため、そのまま登録して構わない。
【0042】
人間によるマニュアル入力が行われないとき、および、行われたが異常が発見されなければ、制御装置11は、ステップS135以下の処理を開始する。
制御装置11は、ステップS135にて、通信要求があるか判断する。通信要求は、通信器13を介して、あるいはインターネット回線20を介して外部からデータ収集管理装置10への接続要求があるということである。例えば、業冷庫群50は電源投入されたときにデータ収集管理装置10へ接続要求を行なうため、いずれかの業冷庫群50が電源投入されたときにはデータ収集管理装置10はステップS135にて通信要求があると判断する。
【0043】
次に、制御装置11は、ステップS140にて、通信フラグがオンに設定されているか判断する。上述したように、通信フラグは通信エラーを誘導するものであり、通信フラグがオフに設定されていると、制御装置11は、ステップS160にて、通信フラグがオフであるか判断し、オフであるときは、ステップS165にて、通信エラーを表示する。通信エラーのエラーメッセージは、クライアントPC21などに表示させることができる。例えば、「通信エラーが生じています。通信の障害に加えて、データベースの参照エラーの可能性もあります。」というようなメッセージなどを表示することが考えられる。また、これ以外にも担当者に対してショートメッセージを送るようにしても良い。
このように、データ収集管理装置10は、機器IDを新規に発行しないと判断したときに、エラーメッセージを所定の外部の通信端末であるクライアントPC21に送信するようにしている。
【0044】
通信フラグがオフに設定されていなければ、制御装置11は、ステップS145にて、データ受信を行なう。すなわち、接続の要求を発した業冷庫群50から送信されるデータを受信する。接続要求を発した業冷庫群50は、
図3に示すように、製造番号とともに、SIM番号と、制御基板32,42の基板番号と、制御基板32,42に備えられているDIPスイッチのオン・オフの組み合わせであるDIPSW情報と、各業冷庫30,40の親機あるいは子機に設定される親機/子機番号の情報を送信する。
このように電源投入時の情報を送信する処理は、電源再投入の際に、初期設定通信を行い、業冷庫群50を構成する業冷庫30,40の制御基板番号とSIM番号と親機/子機番号とDIPスイッチにおける前記スイッチの組み合わせとを、データ収集管理装置に送信する処理に該当する。
【0045】
次に、制御装置11は、ステップS150にて、データベース(DB)参照して確認する。電源投入時には、製造番号を送信するが、新規登録時に製造番号が登録されているので、製造番号をキーにしてデータベースを参照することで、登録されている情報を取得することができる。
【0046】
データベースを参照して得られる情報と、送信された情報とが、それぞれの情報毎に一致するか否かに基づいて、
図3の表を参照することで、結果と内容を得ることができる。例えば、SIM番号と基板番号はユニークであるものとして登録されているはずであるが、製造番号をキーにしてデータベースを参照しても、SIM番号と基板番号がともに、あるいはいずれか一方だけが新規(N)である場合がある。これは、
図3の表を参照すると、下の16行のうちの上から4,8,12行目に相当し、内容を参照すると、それぞれ「通信器+制御基板交換」、「通信器のみ交換」、「基板のみ交換」と表示されている。
これにより、例えばサービスマンが業冷庫群50の設置場所に赴いて、修理対応をしたようなときでも、電源投入によってデータ収集管理装置10に情報が送られ、状況を正しく理解することができる。この場合、それが正しければ機器IDを新規発行することなく情報を書き換えれば良い。
【0047】
また、製造番号をキーにしてデータベースを参照して、ユニークではないDIPSW情報が、既存の情報と異なる場合もありえる。この場合は、例えばサービスマンが業冷庫群50の設置場所に赴いて修理対応をしたときに、DIPスイッチの変更による機種変更をしたか、あるいは、その設定が間違っていることを表している。また、親機/子機番号の情報が、既存の情報と異なる場合もありえる。この場合は、例えばサービスマンが業冷庫群50の設置場所に赴いて修理対応をしたときに、子機の業冷庫40の側で設定を誤ったことを表している。
【0048】
そして、以上の内容に基づいて、制御装置11は、ステップS155にて、異常があるか判断し、異常があると判断すると、ステップS120以下の処理を実行する。すなわち、制御装置11は、ステップS120にて、エラーを解析し、予め想定されているパターン分けする。次に、制御装置11は、ステップS125にて、エラーメッセージを表示し、ステップS130にて、通信フラグをオフにする。
このように、データ収集管理装置10は、制御基板番号とSIM番号と親機/子機番号とDIPスイッチにおけるスイッチの組み合わせに対して予め対応づけた処理を行なっている。
【0049】
以上の処理では、先に人間による初期設定としてのマニュアル入力があった後に、電源投入による通信要求が発生している。しかし、電源投入による通信要求が発生したときに、それに基づく情報を予めデータベースに反映してから、人間によるマニュアル入力を行われるようにしてもよい。
【0050】
この場合、初期設定マニュアル入力された制御基板番号とSIM番号と製造番号とが、既存のデータベースに記録されている場合には、ヒューマンエラーと判断して、初期設定マニュアル入力を受け付けないようにすることも可能である。
すなわち、データ収集管理装置10は、初期設定マニュアル入力が、無線通信手段である通信器34を介してデータ収集管理装置10が遠隔地の業冷庫群50からデータを取得するよりも後に行われるときに、初期設定マニュアル入力された制御基板番号とSIM番号と製造番号とが、既存のデータベースに記録されている場合に、初期設定マニュアル入力を受け付けないようにしてもよい。
【0051】
図5は、業冷庫の機器IDと登録されているデータの組み合わせを示す表である。
この例では、制御基板番号(1~10)とSIM番号(a~j)は一致するものがない。このため、全ての業冷庫に対して「A1~A10」という機器IDが付与されている。一方、親機/子機番号は、「α~ε」とされているものが二組存在しており、同様にDIPSW情報は、「イ~ホ」の組み合わせが二組存在している。これらは重複可能なものである。ただし、親機/子機番号は、「α~ε」については、一つの業冷庫群50の中で重複することはあり得ない。このため、
図5に示す例では、二組の業冷庫群50がデータ収集管理装置10のデータベース12に登録されていることが分かる。
【0052】
図6は、
図2に示す表に具体的なデータを挿入した表である。
上述したように新規登録時あるいは電源投入時には、データ収集管理装置10に対して4つの情報が通知され、データ収集管理装置10の制御装置11は、ステップS110,S150にて、データベース12を参照してそれらの情報が既に登録されているのか確認する。
図6に示す1行目には、制御基板番号が「11」、SIM番号が「k」、DIPSW情報が「ト」、親機/子機番号が「ζ」となっている。これらはいずれも
図5に示すデータベース12には登録されていない。従って、
図2を参照すると、それぞれ新規のNと判断されるデータである。
【0053】
一方で、制御基板番号が「10」、SIM番号が「j」、DIPSW情報が「ホ」、親機/子機番号が「α、ε」については、
図5に示すデータベース12には登録されているものである。このため、
図2を参照すると、新規のNとは判断されないデータである。
従って、これらを含む2行目~16行目のような情報が通知されると、データ収集管理装置10の制御装置11は、ステップS115,S155にて、異常があると判断される。異常の内容としては、制御基板番号が「10」、SIM番号が「j」については、機器の使い回しに相当することがあり、DIPSW情報が「ホ」、親機/子機番号が「α、ε」については、機種変更であったり、子機設定間違いということもある。
【0054】
図7は、一例として遠隔地に業冷庫が1台ある場合のブロック図である。
この場合は、親機と子機の区別はないが、情報としては親機の番号を付しておくことで他の業冷庫群50を同等に処理することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0056】
10…データ収集管理装置、11…制御装置、12…データベース、13…通信器、20…インターネット回線、21…クライアントPC、30…業冷庫(親機)、31…冷蔵冷凍庫本体、32…制御基板、33…中継基板、34…通信器、40…業冷庫(子機)、41…冷蔵冷凍庫本体、42…制御基板、43…中継基板、50…業冷庫(業務用冷蔵庫)群。