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特開2024-170448メイソインジゴの多形体およびメイソインジゴの改変された製剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170448
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】メイソインジゴの多形体およびメイソインジゴの改変された製剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/34 20060101AFI20241203BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C07D209/34 CSP
A61K31/404
A61P29/00
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141101
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2021532308の分割
【原出願日】2019-11-21
(31)【優先権主張番号】62/776,965
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
3.LANETTE
4.SPAN
5.CREMOPHOR
6.CARBOPOL
7.KOLLIDON
8.EUDRAGIT
(71)【出願人】
【識別番号】504227936
【氏名又は名称】ナトロジェン・セラピューティクス・インターナショナル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【弁理士】
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ロングイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より良好な溶解性およびバイオアベイラビリティおよび/またはより長い貯蔵寿命を有する改変されたメイソインジゴ製剤を提供する。
【解決手段】N-メチルイソインジゴ結晶質を含む新規な結晶形態、製造方法、医薬組成物、製剤および医薬、調製方法、ならびにがんを予防し、または炎症性サイトカイン発現および/または抗炎症性サイトカインの発現低減に関連するがんもしくは炎症関連疾患を治療する医薬を調製するためのN-メチルイソインジゴ結晶質の使用方法を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2シータを単位として7.71°にピークを含むX線粉末回折パターンを有する、固体結晶形態(結晶形I)のN-メチルイソインジゴ。
【請求項2】
2シータを単位として約7.71°、約17°、約18°、および約29°にピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ。
【請求項3】
(a)2シータを単位として7.71°±0.2°、17°±0.2°、18°±0.2°、および29°±0.2°にピークを含む、X線粉末回折パターン;
(b)図1の赤外線スペクトルと一致して、波数を単位として457.33、542.45、610.05、734.01、773.14、1052.31、1075.01、1095.87、1154.70、1331.53、1376.54、1463.82、1474.27、1617.41、1618.39、1684.00、2923.19、3074.83、3137.94、3183.81、および3400.17cm-1にピークを含む、N-メチルイソインジゴの赤外線スペクトル;
(c)図2のNMRスペクトルと一致して、ppmを単位として1.58554、3.29446、6.80109、7.05415、7.07039、および7.26075に化学シフトを含む、N-メチルイソインジゴのNMRスペクトル;および
(d)25μm未満の平均粒度d50の粒度分布
のうちの1つ以上を有する、請求項1または2に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ。
【請求項4】
2.50未満の粒度分布比(d90-d10)/d50および100μm未満の最大粒径を有する、請求項1または2に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ。
【請求項5】
固体結晶形態のN-メチルイソインジゴが25μm未満の平均粒度d50の粒度分布を有し、該粒度分布が、製剤化の際の製剤加工を容易にし、固体結晶形態のN-メチルイソインジゴの安定性およびバイオアベイラビリティを高める、請求項1または2に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
固体結晶形態のN-メチルイソインジゴが少なくとも90重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
精製されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ。
【請求項9】
結晶質である、請求項1~8のいずれか1項に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴ。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴを調製する方法であって、氷酢酸を含む溶液から結晶質形態のN-メチルイソインジゴを沈殿させるステップを含む、方法。
【請求項11】
溶液が更にN-メチルイサチン、オキシインドール、および/またはHClを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴまたは請求項6もしくは7に記載の医薬組成物を含む、がんを治療する方法における使用のための医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか1項に記載の固体結晶形態のN-メチルイソインジゴまたは請求項6もしくは7に記載の医薬組成物を含む、サイトカイン発現レベルに関連する炎症関連疾患を治療する方法における使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001]本出願は2018年12月7日に出願された米国仮特許出願第62/776,9
65号の優先権を主張し、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
[002]本発明は医薬組成物、より特定的にはメイソインジゴの新規な結晶質(crys
talline)形態、調製方法、およびがんを予防し、がんを治療し、またはサイクリン依存性キナーゼの阻害、炎症性サイトカインの発現、もしくは抗炎症性サイトカインの発現低減に関連する炎症関連疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[003]がんの予防および治療は、疫学、治療技術、および早期診断を達成する技量の進
歩のため、この10年間米国で著しく向上した。しかしながら、肺、乳房、前立腺、結腸などのような多様ながんの治療法を見出すことは、いまだに大きな課題である。がんの治療のための現在の手法は今でも寿命の延長、またはクオリティーオブライフの上昇に限定されている。加えて、ほとんどの有意義な治療はやはり著しい副作用がある。したがって、副作用がより低いより効果的な治療薬を見出すことが必要不可欠である。
【0004】
[004]腫瘍細胞は、細胞外シグナルと細胞周期機構との組込みおよび協調の喪失に起因
する無制限の細胞増殖によって特徴付けられる。典型的な細胞周期はG1、S、G2およびM期に分類される。哺乳動物の細胞において、増殖は細胞周期のG1期に制御される。制限点で細胞は異なる運命を有することができる。これらの細胞の運命の例には:1)細胞周期を離れ、可逆的静止期に入る;2)細胞周期を出、アポトーシスを受ける;3)分化し、不可逆的に細胞周期を出る;および4)制限点を通過し、大部分は細胞外シグナルから独立するようになり、自動的に続く細胞周期(S、G2、M)を通って次のG1期に進むことが含まれる。次に様々なタンパク質が細胞の細胞周期を通る調節された進行を担う。細胞周期機構の重要な成分はサイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)およびそれらの阻害剤である。サイクリンは際立って多様なファミリーのタンパク質であり、G1期の中期/後期から細胞周期のM期まで合成され、次いで迅速に分解される。CDKは通例300アミノ酸の触媒ドメインを含有し、これはそれ自体が不活性である。Cdkはサイクリンに結合することによって活性になる。cdkの活性はそれらの内因性阻害剤(CDK阻害剤、またはcdkIはp15/p16/p18/p19およびp21/p27を含む)により阻害される。特定のサイクリン/CDK複合体が細胞周期の特定の段階で形成され、それらの活性はS期および有糸分裂を通した細胞周期の進行に必要とされる。
【0005】
[005]CDKの過剰活性化は大多数のヒト腫瘍細胞の特徴である。触媒CDKサブユニ
ットを直接標的化するかまたはCDK調節経路3)に間接的に影響を及ぼすことにより治療的介入のCDK活性を調節するために方策が開発されて来ている。フラボピリドール同族体、ポリサルフェート、トヨカマイシン誘導体等のような小分子CDK阻害剤はCDKのATP結合部位と特異的に相互作用するように設計された。それらの薬剤に対する臨床試験で抗がん作用が示されている。CDK活性の調節はCDKSのリン酸化反応を調節するかまたはCDKもしくはそれらの阻害剤(CDKI)の発現を変化させることにより達成されることができる。他の細胞周期成分を妨害せず正常な細胞に影響を及ぼさない特異的なモジュレーターを見出すのは困難である。
【0006】
[006]本発明者らの以前の研究は、第二世代のインジルビンであるメイソインジゴが、
白血病細胞をG期で停止させ、がん遺伝子c-mybの発現を阻害し、細胞生存能力を低下させることなく細胞増殖が完全に阻害される低い濃度(低い毒性)で細胞分化および成熟を誘発することを示した。
【0007】
[007]更により良好な溶解性およびバイオアベイラビリティおよび/またはより長い貯
蔵寿命を有する改変されたメイソインジゴ製剤に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
[008]本発明は様々な自己免疫疾患/炎症性疾患ならびにがんに対して優れた治療効力
を示すメイソインジゴの新規な結晶形態(固体形態)(結晶形I)を提供する。本発明は更にその結晶形態(形態1)を調製する方法ならびにその新規な結晶形態を含む医薬組成物および投薬形態を提供する。
【0009】
[009]幾つかの実施形態において、本発明は2シータを単位として約7.71°にピー
クを含むX線粉末回折パターンを有するN-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態(結晶形I)を提供する。
【0010】
[0010]1つの実施形態において、固体形態または固体結晶形態は2シータを単位として約7.71°、約17°、約18°、および約29°にピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0011】
[0011]別の実施形態において、固体形態または固体結晶形態は実質的に図5に示されているX線粉末回折パターンを有する。
[0012]ある態様において、固体形態または固体結晶形態は実質的に図1に示されているN-メチルイソインジゴの赤外線スペクトルを有する。他の態様において、固体形態または固体結晶形態は実質的に図2に示されているN-メチルイソインジゴのNMRスペクトルを有する。
【0012】
[0013]更に他の態様において、固体形態または固体結晶形態は約235℃~237℃に吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。1つの態様において、固体形態または固体結晶形態は実質的に表1に示されている示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
【0013】
[0014]幾つかの実施形態において、固体形態または固体結晶形態は25μm未満の平均粒度d50の粒度分布を有する。ある実施形態において、固体形態または固体結晶形態は25μm未満、24μm未満、23μm未満、22μm未満、21μm未満、20μm未満、19μm未満、18μm未満、17μm未満、または16μm未満の平均粒度d50の粒度分布を有する。他の実施形態において、固体形態または固体結晶形態は1μm~25μm(例えば、1μm~25μm、1μm~20μm、5μm~25μm、5μm~20μm、10μm~25μm、または10μm~20μm)の平均粒度d50の粒度分布を有する。
【0014】
[0015]ある態様において、固体形態または固体結晶形態は2.50未満の粒度分布比(d90-d10)/d50を有する。幾つかの態様において、粒度分布比(d90-d10)/d50は2.50未満、2.40未満、2.30未満、2.20未満、2.10未満、2.00未満、または1.90未満である。
【0015】
[0016]他の態様において、固体形態または固体結晶形態は100μm未満の最大粒径を
有する。ある態様において、最大粒径は100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、または50μm未満である。
【0016】
[0017]ある態様において、粒度分布は、固体形態または固体結晶形態の製剤化の際の製剤加工を容易にする。他の態様において、粒度分布は、固体形態または固体結晶形態の安定性およびバイオアベイラビリティを高める。
【0017】
[0018]幾つかの実施形態において、本発明は本明細書に開示される固体形態または固体結晶形態、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
[0019]ある実施形態において、固体形態または固体結晶形態は少なくとも約90重量%の量で医薬組成物中に存在する。他の実施形態において、固体形態または固体結晶形態は少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%の量で医薬組成物中に存在する。
【0018】
[0020]更に他の実施形態において、固体形態または固体結晶形態は1重量%~90重量%(即ち、1重量%~90重量%、1重量%~80重量%、1重量%~70重量%、1重量%~60重量%、1重量%~50重量%、1重量%~40重量%、1重量%~30重量%、1重量%~20重量%、または1重量%~10重量%)の量で医薬組成物中に存在する。
【0019】
[0021]ある態様において、固体形態または固体結晶形態は実質的に精製されている。他の態様において、固体形態または固体結晶形態は結晶質である。
[0022]ある実施形態において、本発明は本明細書に開示される固体形態または固体結晶形態を調製する方法を提供し、方法は有機溶媒を含む溶液から結晶質形態を沈殿させることを含む。1つの実施形態において、溶液は氷酢酸を含む。別の実施形態において、溶液は更にN-メチルイサチン、オキシインドール、および/またはHClを含む。
【0020】
[0023]他の実施形態において、本発明は本明細書に開示される方法により調製され、他の任意の許容できる有機溶媒、好ましくは氷酢酸で再結晶されるN-メチルイソインジゴの固体形態または固体結晶形態を提供する。
【0021】
[0024]幾つかの実施形態において、本発明は本明細書に開示されるN-メチルイソインジゴの固体形態もしくは固体結晶形態または本明細書に開示される医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含むがんを治療する方法を提供する。
【0022】
[0025]他の実施形態において、本発明は本明細書に開示されるN-メチルイソインジゴの固体形態もしくは固体結晶形態または本明細書に開示される医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、サイトカイン発現レベルに関連する炎症関連疾患を治療する方法を提供する。
【0023】
[0026]ある態様において、本発明は本明細書に開示されるN-メチルイソインジゴの固体形態または固体結晶形態から本質的になる医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】[0027]図1は、N-メチルイソインジゴの赤外線スペクトルである。
図2】[0028]図2は、N-メチルイソインジゴのNMRスペクトルである。
図3】[0029]図3は、N-メチルイソインジゴの質量スペクトル(ポジティブQ1スキャン)である。
図4】[0030]図4は、N-メチルイソインジゴの質量スペクトル(ネガティブQ1スキャン)である。
図5】[0031]図5は、X線粉末回折パターンの比較を示す。4つのN-メチルイソインジゴ試料に対する非平滑化XRDデータ。7.71degの約40,000カウントのピークは頭が切れていて、5<2シータ<55degの範囲のデータの詳細な表示が可能である。注:試料0501(青色の曲線)の余分なピークは図6および表2に更に詳細に示されている。
図6】[0032]図6は、ピーク選択分析の結果をプロットして示す。4つ全てのN-メチルイソインジゴ試料の4つ全てのXRDパターンの5<2シータ<31deg領域の詳細。試料0501の余分なピークにはa~mの符号が付けられ、表2にまとめられる。最大強度は約7.71deg(d-スペース=11.5Å)に観察され、全ての試料で約40,000カウントであり、N-メチルイソインジゴの分子平面が結晶構造の単位格子内のこの軸とほぼ平行であるという考えと一致する。
図7】[0033]図7は、単結晶の座標、Cambridge構造データベース参照コード「ISOIND」に基づくイソインジゴの計算された粉末回折パターン(Cu Kα放射線、λ=1.5418Å)を示す。
図8】[0034]図8は、N-メチルイソインジゴの試料1~6のH-NMRスペクトルの例である。
図9】[0035]図9は、N-メチルイソインジゴの試料1~6の13C-NMRスペクトルの例である。
図10A】[0036]図10Aは、試料1~6のX線粉末回折パターンの比較を示す。
図10B図10B、10C、10D、10E、10F、および10Gは、試料1、2、3、4、5、および6に対する個々のX線粉末回折パターンをそれぞれ示す。
図10C図10B、10C、10D、10E、10F、および10Gは、試料1、2、3、4、5、および6に対する個々のX線粉末回折パターンをそれぞれ示す。
図10D図10B、10C、10D、10E、10F、および10Gは、試料1、2、3、4、5、および6に対する個々のX線粉末回折パターンをそれぞれ示す。
図10E図10B、10C、10D、10E、10F、および10Gは、試料1、2、3、4、5、および6に対する個々のX線粉末回折パターンをそれぞれ示す。
図10F図10B、10C、10D、10E、10F、および10Gは、試料1、2、3、4、5、および6に対する個々のX線粉末回折パターンをそれぞれ示す。
図10G図10B、10C、10D、10E、10F、および10Gは、試料1、2、3、4、5、および6に対する個々のX線粉末回折パターンをそれぞれ示す。
図11】[0037]図11は、メイソインジゴの結晶形(Crystal Form)Iの粒度およびそれらの分布の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0038]本明細書において、本発明者は、新規で独特な結晶形態(結晶形I)ならびに様々な自己免疫/炎症性疾患およびがんを処置する際に優れた効力を示す結晶質N-メチルイソインジゴを製造する方法を開示する。
【0026】
[0039]ある態様において、本発明は実質的に図10Aに示されるX線粉末回折パターンを有するN-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態を提供する。1つの態様において、N-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態は実質的に図10Bに示されるX線粉末回折パターンを有する。別の態様において、N-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態は実質的に図10Cに示されるX線粉末回折パターンを有する。別の態様において、N-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態は実質的に図10Dに示されるX線粉末回折パターンを有する。もう1つ別の態様において、N-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結
晶形態は実質的に図10Eに示されるX線粉末回折パターンを有する。もう1つ別の態様において、N-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態は実質的に図10Fに示されるX線粉末回折パターンを有する。別の態様において、N-メチルイソインジゴの固体形態またはN-メチルイソインジゴの固体結晶形態は実質的に図10Gに示されるX線粉末回折パターンを有する。
【0027】
[0040]他の態様において、固体形態または固体結晶形態は実質的に図8および/または図9に示されるN-メチルイソインジゴのNMRスペクトルを有する。
[0041]ある実施形態において、固体形態または固体結晶形態は、患者またはそれを必要とする患者に投与されるのに使用される状態にある医薬組成物または製剤の形態である。固体形態または固体結晶形態は、経口、静脈内、局所、局部的据付、腹腔内または経鼻経路により投与され得る。前記組成物はそれを必要とする患者への投与により所望の薬理学的効果を達成するように利用されることができる。
【0028】
[0042]本発明の目的から、患者は、個々の状態または病気に対して治療を必要とするヒトを含めた哺乳動物である。したがって、本発明は、薬学的に許容される担体および薬学的に有効な量の固体形態または固体結晶形態からなる医薬組成物を含む。薬学的に許容される担体は好ましくは、担体に起因するいかなる副作用も固体形態または固体結晶形態の有益な効果を損なわないように活性成分の効果的な活性と矛盾しない濃度で患者にとって比較的非毒性で無害の担体である。
【0029】
[0043]固体形態または固体結晶形態の薬学的に有効な量は好ましくは、処置される個々の状態に対してある結果を生じるかまたはある影響を及ぼす量である。本発明の固体形態または固体結晶形態は任意の有効な慣習の投与単位形態を用い、例えば即放性、遅放性、および徐放性調製、経口、非経口、局所、経鼻、眼から、光学的に、舌下、直腸、経膣、などにより、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と共に投与されることができる。
【0030】
[0044]本発明による化合物は全身性および/または局所活性を有することが可能である。この目的で、これらは、例えば、経口、非経口、肺、経鼻、舌下、舌、頬側、直腸、膣、皮膚、経皮、結膜、耳経路により、または体内埋め込み剤もしくはステント剤によるなどの適したやり方で投与されることができる。
【0031】
[0045]これらの投与経路のうち、本発明による化合物は適した投与形態で投与されることが可能である。
[0046]経口投与の場合、本発明による化合物を、例えば、錠剤(素錠または被覆錠剤、例えば遅延して溶けるかまたは不溶性の腸溶性または制御放出性のコーティングを有するもの)、口腔内崩壊錠剤、フィルム剤/ウエハー剤、フィルム剤/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えばハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠剤、顆粒剤、丸剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤のように、本発明の化合物を迅速におよび/または改変されたやり方で送達する当技術分野で公知の投与形態に製剤化することが可能である。本発明による化合物を結晶質および/または非晶質および/または溶解形態で前記投与形態に組み込むことが可能である。
【0032】
[0047]非経口投与は吸収ステップを回避して(例えば静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内または管腔内(intralumbal))または吸収を含んで(例えば筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)実施されることができる。非経口投与に適した投与形態は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または無菌の粉末剤(powder)の形態の注射および注入用調製である。
【0033】
[0048]他の投与経路に適した例は、吸入のための医薬形態[とりわけ粉末吸入器、噴霧器]、点鼻薬、点鼻液、鼻腔用スプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤/フィルム剤/ウエハー剤/カプセル剤;坐剤;点眼剤、眼軟膏剤、眼浴剤、眼内挿入剤(ocular insert)、点耳剤、耳スプレー剤、耳粉末剤(ear powder)、耳濯ぎ剤(ear-rinse)、耳タンポン(ear tampon)、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合剤(mixturae agitandae))、脂溶性懸濁剤、乳剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮治療系(例えば、パッチ剤)、ミルク剤、ペースト剤、フォーム剤、散布剤(dusting powder)、体内埋め込み剤またはステント剤である。
【0034】
[0049]本発明による化合物は定まった投与形態に組み込まれることができる。これは公知のやり方で薬学的に適した賦形剤と共に混合することによって奏されることができる。薬学的に適した賦形剤としては、とりわけ以下のものがある。
・充填材および担体(例えば、セルロース、微晶質セルロース(microcrystalline cellulose)(例えば、Avicel”)、ラクトース、マンニトール、デンプン、リン酸カルシウム(例えば、Di-Cafos))、
・軟膏基剤(例えばワセリン、パラフィン、トリグリセリド、ワックス、羊毛脂、ウールワックスアルコール、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール)、
・座薬用基剤(例えば、ポリエチレングリコール、カカオバター、固い脂肪)、
・溶媒(例えば水、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、プロピレングリコール、中鎖トリグリセリド脂肪油、液体ポリエチレングリコール、パラフィン)、
・界面活性剤、乳化剤、分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、レシチン、リン脂質、脂肪アルコール(例えば、Lanette)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Span”)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド(例えば、Cremophor)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、グリセロール脂肪酸エステル、ポロクサマー(例えば、Pluronic)、
・緩衝剤、酸および塩基(例えばホスフェート、カーボネート、クエン酸、酢酸、塩化水素酸、水酸化ナトリウム溶液、炭酸アンモニウム、トロメタモール、トリエタノールアミン)、
・等張化剤(例えばグルコース、塩化ナトリウム)、
・吸着剤(例えば高分散化シリカ)、
・増粘剤、ゲル形成剤、濃厚剤および/または結合剤(例えばポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル-セルロース、カルボキシメチルセルロース-ナトリウム、デンプン、カルボマー、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol);アルギネート、ゼラチン)、
・崩壊剤(例えば加工デンプン、カルボキシメチルセルロース-ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート(例えば、Explotab)、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロース-ナトリウム(例えば、AcDiSof))、
・流動調節剤、潤滑剤、流動促進剤および離型剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、高分散化シリカ(例えば、Aerosil))、
・コーティング材(例えば砂糖、シェラック)および迅速にまたは改変されたやり方で溶けるフィルムまたは拡散膜用のフィルムフォーマー(例えばポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、例えば、Eudragit))、カプセル材(例えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、
・合成ポリマー(例えばポリラクチド、ポリグリコリド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit)、ポリビニルピロリドン(例えば、Kolli
don)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールならびにそれらのコポリマーおよびブロックコポリマー)、可塑剤(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリアセチン、トリアセチルシトレート、ジブチルフタレート)、浸透促進剤、
・安定剤(例えば酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル)、保存料(例えばパラベン、ソルビン酸、チオマーサル、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジンアセテート、安息香酸ナトリウム)、
・着色剤(例えば無機顔料、例えば、酸化鉄、二酸化チタン)、
・香味料、甘味料、香味-および/または臭気-マスキング剤。
【0035】
[0050]本発明は更に、本明細書に開示されるN-メチルイソインジゴの結晶質形態を、慣習的に1種以上の薬学的に適した賦形剤と共に含む医薬組成物、および本発明に従うそれらの使用に関する。
【0036】
[0051]様々な疾患および障害が本明細書に開示されるN-メチルイソインジゴの結晶質形態で治療されることができる。これらの疾患および障害が以下により詳細に記載される。
【0037】
[0052]不規則および/または異常炎症
[0053]不規則および/または異常炎症は広範囲のヒトの病気の主要な要素である。多様な変性疾患を患う人々は過剰の血中炎症マーカーレベルを示すことが多い。かかる炎症マーカーの1つのタイプは炎症マーカーサイトカイン、例えばIL-1α、β、IL-2、IL-3、IL-6、IL-7、IL-9、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、TNF-α、LT、LIF、オンコスタチン、およびIFNc1α、β、γである。
【0038】
[0054]炎症性サイトカインにより直接引き起こされる一般的な医学的問題の非限定的リストには:炎症性サイトカインが滑膜内に損傷を起こし関節の軟骨および骨の破壊に至る関節炎;炎症性サイトカインが血液循環および損傷ネフロンを制限する腎不全;炎症性サイトカインが自己免疫発作を誘発する狼瘡;炎症性サイトカインが気道を閉じる喘息;炎症性サイトカインが皮膚炎を誘発する乾癬;炎症性サイトカインが膵臓細胞損傷を誘発する膵炎;炎症性サイトカインが自己免疫反応を誘発するアレルギー;炎症性サイトカインが外傷組織を攻撃する線維症;炎症性サイトカインが治癒を阻止する外科合併症;炎症性サイトカインがエリスロポエチン産生を攻撃する貧血;ならびに炎症性サイトカインが線維筋痛患者で上昇する線維筋痛がある。慢性の炎症に関連するその他の病気には慢性の炎症により引き起こされるがん;慢性の炎症が冠動脈アテローム性動脈硬化に寄与する心臓まひ;慢性の炎症が脳細胞を破壊するアルツハイマー病;慢性の炎症が心筋の衰弱を引き起こす鬱血性心不全;慢性の炎症が血栓塞栓事象を促進する脳卒中;ならびに慢性の炎症が心臓弁を損傷する大動脈弁狭窄がある。動脈硬化、骨粗しょう症、パーキンソン病、感染症、炎症性大腸炎、例えばクローン病および潰瘍性結腸炎ならびに多発性硬化症(典型的な自己免疫炎症関連疾患)も炎症に関連する。進行段階にある幾つかの病気は生命を脅かす可能性がある。幾つかの方法がかかる炎症性疾患の治療に利用可能であるが、結果は一般的に効力不足およびそれに伴う薬物関連副作用から明らかなように十分でない。
【0039】
[0055]炎症性大腸炎
[0056]炎症性大腸炎(IBD)はクローン病(CD)および潰瘍性結腸炎(UC)を含み、いずれも世界中の多くの部分で増大する頻度で起こる特発性の慢性病である。米国において、毎年600,000を超える人が侵されている。IBDは小腸および大腸のいずれかまたは両方に関することができる。CDは胃腸管のあらゆる部分に関わることができ
るが、ほとんどの場合遠位小腸および結腸に関する。それは直腸を使わないか、または直腸の回りにドレナージによる炎症もしくは感染症を引き起こす。UCは通常、多くの場合直腸から始まる大腸の下方部分に潰瘍を生じる。症状は変化するが、下痢、発熱、および痛みを含み得る。UCが長引く患者は結腸がんを発症するリスクが増大する。現在のところ、感染および免疫メカニズムが提案されているがIBDの原因は不明であるので十分な治療法はない。IBD治療は、慣習的に副腎皮質ステロイド、アミノサリチレートおよび標準的な免疫抑制剤、例えばアザチオプリン(6-メルカプトプリン)、メトトレキサートおよびシクロスポリンを用いて炎症症状を制御することを目的とする。もちろん、最良の病態修飾療法は免疫抑制剤:アザチオプリンおよびメトトレキサートであり、いずれも作用の発現が遅く、中程度の効力しかない。長期の治療は肝臓の損傷(線維症または肝硬変)および骨髄抑制を起こし得る。また、患者はかかる治療に不応性になることが多い。他の治療法は単に症状に対処するのみである。
【0040】
[0057]乾癬
[0058]乾癬はいろいろな形態および様々な重症度レベルで現れる最も一般的な免疫介在性の慢性の皮膚病の1つであり、米国でおよそ2%または450万を超える人々が罹り、そのうちの150万人は中程度~重篤な形態の病気を有すると考えられる。乾癬患者の10~30パーセントはある形態の関節炎、即ち関節付近の骨および結合組織を損傷する乾癬性関節炎も発症する。乾癬は薄片状の白い蓄積により覆われて盛り上がった赤い皮膚の斑点として見える。また、にきびのような(膿疱性乾癬)または焼けた(紅皮症)外観も有し得る。乾癬はまた激しい痒みおよび熱傷も引き起こし得る。患者は心身ともに影響を受ける。現在幾つかのモダリティー、例えば局所治療、光線療法、および全身適用が乾癬の治療に利用可能である。しかし、それらは一般に病気を抑え病気を変性させるのみと考えられる。そしていずれも治癒的ではない。また、多くの治療は美容上望ましくないか、長期の使用に不都合であるか、または有意な毒性を伴う。
【0041】
[0059]過去20年間乾癬の生物学的特性の理解が進むと共にこの病気の炎症性を担うTリンパ球およびサイトカインの活性を標的とする生物学的治療が利用可能になった。現在、乾癬に対して処方される薬物には、関節リウマチ(RA)治療に対して初めに使用されたTNF-α阻害剤、ENBREL(登録商標)(エタネルセプト)、REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)およびHUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)、および2002年に認可されたBiogenのT-細胞阻害剤AMEVIVE(登録商標)(アレファセプト)および2003年に認可されたGenentech/XomaのRAPTIVA(登録商標)(エファリズマブ)がある。より最近になって、生物製剤、例えば、IL-17に対する抗体(例えば、イキセキズマブ、Eli Lilly)またはIL-23に対する抗体(例えば、グセルクマブ、Johnson & Johnson)が開発された。AMEVIVE(登録商標)(アレファセプト)はヒトIgG(1)のヒンジ、C(H)2およびC(H)3ドメインに融合したヒトLFA-3の第1の細胞外ドメインからなる免疫グロブリン融合タンパク質である。それはNK細胞を介してT細胞増殖を阻害する。RAPTIVA(登録商標)(エファリズマブ)はT細胞接着分子、白血球機能関連抗原-1(LFA-1)を標的とするヒト化モノクローナル抗体である抗-CD11aとして知られている。LFA-1のそのリガンド(ICAM-1、細胞間接着分子-1)に対する結合の防止はリンパ球の活性化および遊走を阻害し、結果として低減したリンパ球浸潤を生成することにより、最終的に乾癬の兆候および症状に至る事象のカスケードを限定する。しかし、TNF-α阻害剤に対する潜在的な副作用は重篤であり、例えば、リンパ腫を発症し、鬱血性心不全を悪化させ、結果として重い感染症および敗血症、ならびに多発性硬化症および中枢神経系の問題の憎悪を起こす。AMEVIVE(登録商標)(アレファセプト)またはRAPTIVA(登録商標)(エファリズマブ)のT-細胞阻害剤の副作用は乾癬治療においてより良好に耐えられるが、これらの治療は免疫抑制剤として働く。免疫抑制剤は感染症の危険性を増大させ、潜在的な慢性の感染症を復
活させ、またはがん発症の危険性を増大する可能性がある。
【0042】
[0060]過去20年間で乾癬の生物学的特性の理解は大いに進歩し、上記のように乾癬の異例の治療が利用可能になったが、それが生成する苦痛の多くはいまだに適切に対処されていない。1998年にNational Psoriasis Foundationにより行なわれた40,000人を超えるアメリカ人の乾癬患者の概観により、若年の患者の79%が彼らの治療の無効性に失望していることが示された。重篤な病気の人のうち32%は彼らの治療が十分有効でなかったと感じていた。
【0043】
[0061]関節リウマチ
[0062]関節リウマチ(RA)は面倒な炎症性障害の別の例である。それは関節および/またはその他の内部器官の内膜(滑膜)の慢性の炎症に特徴付けられる一般的な慢性炎症関連疾患である。炎症性細胞はまた骨および軟骨も侵し損傷することができる。関係する関節はその形状および配列を失うことができ、結果として運動を喪失する。RAの患者は関節の痛み、凝り、火照り、発赤、および腫れ、ならびに発熱、倦怠感、および貧血のような他の全身症状をもつ。現在米国において人口のおよそ1%または210万人が罹っており、女性(150万人)が男性(60万人)より多い。RAの病理は十分理解されていないが、不適切な免疫学的反応のカスケードがメカニズムとして仮定されている。残念ながら従来の治療はRAに効果がない(29)。病気は1950年代以来使用されているコルチコステロイドおよび非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を含む徴候的薬物に完全に応答しない。また、これらの薬物には重大な副作用のリスクもある。メトトレキサート(MTX)のような疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の治療効果は一貫性がなく寿命が短いことが多い。
【0044】
[0063]最近炎症過程におけるサイトカイン、TNF-α、およびIL-1の役割の理解に基づいてRAの治療のための新しい種類の生物学的DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)が開発された。FDAは幾つかのかかるDMARDを、例えば1998年にImmunex/Amgen Inc.のENBREL(登録商標)(エタネルセプト)、Centocor/Johnson & JohnsonのREMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)、2002年にAbbott Laboratories Inc.のHUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)、そして2001年にAmgenのKINERET(登録商標)(アナキンラ)を承認した。ENBREL(登録商標)(エタネルセプト)は可溶性のTNF受容体(TNFR)組換えタンパク質である。REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)はヒト化マウス(キメラ)抗-TNF-αモノクローナル抗体である。HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)は、ヒト由来重鎖および軽鎖可変領域ならびにヒトIgG1:k定常領域を有する抗体が得られるファージディスプレイ技術を用いて創成された完全ヒト抗-TNFモノクローナル抗体である。これら3つのタンパク質に基づく薬物は全てTNF-αを標的とし結合してTNF-αの効果をブロックする。KINERET(登録商標)(アナキンラ)は組換えIL-1受容体アンタゴニストであり、そのアミノ末端に単一のメチオニン残基が付加されている以外は天然のヒトIL-1Raと同様である。KINERET(登録商標)(アナキンラ)は、IL-1タイプI受容体(IL-1RI)に結合するIL-1を競合的に阻害し、結果としてIL-1の炎症誘発効果を低減することによりIL-1の生物学的活性をブロックする。
【0045】
[0064]これらの生物学的DMARDによる処置は中程度乃至ひどく活性なRAにおいて症状を緩和し、構造的損傷の進行を抑制し、身体機能を改善する。3つの上市されたTNF-αブロック薬はRA患者の治療において広く使用されているDMARDであるMTXと併用されると同様な効力を有する。これらの生物学的治療は、多くのRA患者において短期および中期で有意な効力および良好な全般的安全性プロフィールを提供するが、例えば肝臓などで重大な問題および長期の副作用を起こすことがあり、まだ評価される必要が
ある。ENBREL(登録商標)(エタネルセプト)またはREMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)の両方の使用とリンパ腫の発症との間には気掛かりな関連があった。上に記載されたように、幾つかの報告は、ENBREL(登録商標)(エタネルセプト)またはREMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)で処置された患者が彼らの鬱血性心不全を悪化させ、重大な感染症および敗血症を発症し、多発性硬化症およびその他の中枢神経系の問題の憎悪を増大することを示している。
【0046】
[0065]泌尿器慢性骨盤痛症候群
[0066]間質性膀胱炎または痛みを伴う膀胱症候群および慢性前立腺炎または慢性骨盤痛症候群は最近泌尿器慢性骨盤痛症候群(UCPPS)と改名された。UCPPSは軽度の熱傷または不快感から深刻な痛みまでの範囲にわたることができる心地悪い膀胱圧、膀胱痛および/または骨盤痛の組合せにより特徴付けられる慢性の病気である。およそ100万人のアメリカ人が罹る。児童と男性が罹り得るがほとんどが女性である。UCPPSは患者のクオリティーオブライフに対して長く続く不利で著しい影響を有し得る。継続する努力にもかかわらず、有効な治療もUCPPSの発病の機構上の理解も存在しない。
【0047】
[0067]専ら症状軽減に基づく多様な投薬および療法が利用可能である。これらの療法には:経口投薬;ジメチルスルホキシドを用いた膀胱注入(尿道を介して挿入された薄い柔軟な管を通して直接膀胱内)、またはヘパリン、リドカインおよび重炭酸ナトリウムの組合せのような薬物の組合せを含有する溶液の注入);骨盤痛を緩和し、場合によっては、頻尿を低減するために微弱な電気を用いる神経刺激(経皮的な電気神経刺激またはTENS);膀胱拡張;ならびに外科的手術(膀胱拡大、高周波療法または切除)がある。
【0048】
[0068]経口投薬は鎮痛剤(イブプロフェン、および非ステロイド系抗炎症薬);三環式抗鬱剤、例えばアミトリプチリンまたはイミプラミン;または抗ヒスタミン剤、例えばジフェンヒドラミンおよびロラタジン;またはペントサン、化学的および構造的にグリコサミノグリカンと似ている半合成的に生成したヘパリン様巨大分子炭水化物誘導体によって弛緩させ刺激から膀胱を保護することにより痛みおよび/または他の症状を緩和することを目的とする最も便利な治療法である。これらのうち、ペントサン(エルミロン)は食品医薬品局(FDA)により、特に間質性膀胱炎に対して認可された唯一の経口薬物である。ペントサンがどのように機能するかは知られていないが、膀胱の内面を補強またはその他回復させ、膀胱壁を刺激し得る尿内の物質から膀胱壁を保護するのであろう。しかし、患者が痛みの軽減を感じ始めるには数か月かかり、頻尿の低減を感じるには半年もかかるであろう。
【0049】
[0069]UCPPSの病因は知られていない。しかし、炎症/自己免疫、細胞増殖の異常性、神秘的な感染、遺伝子、化学、神経学、心理学、ホルモン、および多因子を含む幾つかの仮説が存在する。これらのうちで増殖および炎症がおそらく最も重要である。組織学的には、膀胱上皮層の薄化または潰瘍形成により特徴付けられる。UCPPS患者の膀胱の膀胱鏡検査の異常さは「glomerulations」といわれる点状出血および固有層内にまで延びる潰瘍(Hunner’s潰瘍)を含む。最も一貫性のある組織学的異常さは膀胱上皮の露出または1-2の細胞層までの薄化を含む。これらの知見は、UCPPSが正常な膀胱上皮細胞増殖の阻害と、その結果としての上皮障壁の完全性の喪失およびその後の膀胱壁内感覚神経細胞の尿構成成分への曝露によって引き起こされ得ることを示唆する。この仮説は、UCPPS患者の膀胱上皮細胞由来の細胞増殖のグリコシル化されたfrizzled関連ペプチド阻害剤の最近の同定により支持された。この抗増殖因子(APF)は細胞接着分子および増殖因子産生を調節することによって膀胱細胞増殖を著しく阻害する。
【0050】
[0070]多発性硬化症
[0071]多発性硬化症(MS)は米国において350,000~500,000の人々で診断される自己免疫疾患である。脳および脊髄においてミエリンの炎症および瘢痕化の多数の領域が病気を示す。MS患者はミエリンの瘢痕化の位置および程度に応じて様々な程度の神経学的機能障害を示す。MSの共通の症状には倦怠感、虚弱、痙性、平衡障害、膀胱および腸管障害、無感覚、失明、震え、および憂鬱がある。MSの現在の治療法は単に症状を緩和するかまたは身体障害の進行を遅らせるのみであり、幹細胞移植および遺伝子療法を含めてMSの幾つかの新しい治療法は温存(conservatory)である。抗-TNF抗体が実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)において保護効果を示してはいるが、MS患者において病気を悪化させ、TNF-α単独の阻害が充分ではないことを示唆している。
【0051】
[0072]神経変性疾患
[0073]アルツハイマー病(AD)およびパーキンソン病(PD)は2つの最も一般的な神経変性疾患である。ADは脳障害である。それは人の日常活動を行なう能力に深刻な影響を及ぼす。脳の思考、記憶、および言語を司る部分が関与する。通常60歳を超えた約400万のアメリカ人がADにかかると見積もられる。
【0052】
[0074]PDは米国において150万を超える人々がかかる中枢神経系の進行性疾患である。臨床的に、病気は、自発運動の低下、歩行困難、姿勢の不安定、硬直、および震えにより特徴付けられる。PDは脳の黒質における色素沈着したニューロンの変性により引き起こされ、結果としてドーパミンアベイラビリティーが低下する。これらの神経変性疾患の原因は知られてなく、現在のところこの病気の治療法はない。
【0053】
[0075]このように、上記およびその他の炎症関連疾患の治療のための新規な手法が必要とされている。炎症関連疾患が引き起こされるメカニズムは不明のままであり、多くの場合互いに変化するが、サイトカインの脱調節により引き起こされる免疫系の機能障害が炎症の開始および進行に重要な役割を果たすことが示されている。
【0054】
[0076]サイトカインは一般に3つのタイプ:炎症性(IL-1α、β、IL-2、IL-3、IL-6、IL-7、IL-9、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、TNF-α、LT、LIF、オンコスタチン、およびIFNc1α、β、γ);抗炎症性(IL-4、IL-10、IL-11、W-13およびTGFB);ならびにケモカイン(IL-8、Groα、MIP-1、MCP-1、ENA-78、およびRANTES)に分類されることができる。
【0055】
[0077]多くの炎症性状態において、炎症性サイトカイン、殊にTNF-α、IL-1β、およびIL-6、ならびに抗炎症性サイトカインIL-10は様々な炎症関連疾患の発病において重要な役割を果たすようであり、したがって潜在的な治療学標的となり得る。例えば、幾つかの炎症性サイトカイン(TNF-α、IFNγ、IL-1、IL-2、IL-6およびIL-12)およびケモカイン(IL-8、MCP-1およびRANTES)の上昇したレベルが幾つかの炎症関連疾患、例えばCD、乾癬、RA、グレーブス病および橋本甲状腺炎で観察されており、これは可溶性のTNF受容体、IL-1受容体アンタゴニストおよび抗炎症性サイトカインIL-10での増大と並行する。IL-10はインビトロでLPMC培養において、またインビボで患者において、両方で上昇した炎症性サイトカイン産生を抑えることが示されている。IL-10で処置されたCD患者の正の応答はCDにおいて炎症性および抗炎症性サイトカインの産生に不均衡もあり得ることを示している。
【0056】
[0078]要約すると、炎症関連疾患を治療する手法は近年、部分的にはこれらの病気の重症度に関する関心増大の結果として、また部分的にはそれらの免疫病原性におけるサイト
カインの重要な役割の理解のかなりの進歩のために、進化的変化を受けた。努力の大部分はTNF-αおよびIL-1を標的とすることに集中し、幾つかの製品(TNF-α阻害剤:インフリキシマブ、モノクローナル抗-TNF-α抗体;およびエタネルセプト、p75 TNF-α受容体)が上に述べたようにRA、乾癬、およびIBDの治療のために現在上市されているかまたは臨床試験されている。IL-1、IL-6、IL17、IL23またはIL-10を標的とする幾つかの他の薬物候補または方策が開発されているかまたは開発中である。これらの生物学的な治療はRAまたはその他の自己免疫/炎症性疾患の多くの患者において短期および中期で有意な効力を提供する。これらの薬物は耐容性が良好であり、良好な全般的安全性プロフィールを有しているが、活性なファーマコ-ビジランスが必要である。その作用メカニズム、および広範な副作用に関する以前の告知に基づいて、血液学的、感染性、神経学、腫瘍学および免疫学効果を含む副作用の長期危険性を検討するべきである。
【0057】
[0079]単一の炎症性サイトカインを消炎療法として標的化する方策は、炎症関連疾患が非常に高度なサイトカインネットワーク「系」を含むという非常に重要な事実を無視する。例えば、IL-8に関連する免疫分子のファミリーであるケモカインはおよそ50のリガンドおよび20の受容体を含有し、冗長に作用することが多く、したがって適当な特異的アンタゴニストの選択を困難にするばかりでなく、長期の効力を欠如する。また、現在上市されている製品または開発中の製品は主としてタンパク質に基づく薬剤であり、生産するのが高価であり、投与する(即ち、注入)のが不便である。したがって、免疫系の機能発揮は炎症性および抗炎症性のメディエーターまたはサイトカインの活性により微妙なバランスがとられているので、ただ1つの特定の炎症性サイトカインを小分子によりブロックする代わりに多数の炎症性/抗炎症性サイトカインの調節はより少ない副作用でより良好な治療効力を達成するべきであるばかりでなく、小分子薬物の多くの利点も有する。
【0058】
[0080]この概念に基づいて、出願人らは先に幾つかの種類小分子を調べて多様なサイトカインの調節におけるそれらの能力を試験し、様々な炎症関連疾患の治療のためのそれらの臨床適用の可能性を調査した。
【0059】
[0081]メイソインジゴは、中国において慢性骨髄性白血病(CML)の治療に使用されている副作用の少ないインジルビン誘導体である。出願人らは、メイソインジゴおよびその誘導体が、サイクリン依存性キナーゼを阻害し、細胞分化を誘発し、アポトーシスを促進するそれらの能力を通して固形腫瘍に対して活性であることを示した。本発明において、出願人らは齧歯動物ならびにヒトの様々な炎症関連疾患、例えば炎症性大腸炎および乾癬の治療におけるこの種の分子の新規な治療活性を示す。出願人らは、この種類の物質が細胞株においてIL-1β、IL-6およびTNF-αを含む多発性の炎症性サイトカインの分泌および発現を阻害し、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を促進することを示す。最近の臨床試験において、メイソインジゴは潰瘍性結腸炎に対して非常に効果的であることが立証され、一方有意な副作用は観察されなかった。
【0060】
[0082]メイソインジゴは、がんを予防し、がんを治療し、そして炎症性サイトカインの発現、抗炎症性サイトカインの発現低減、または両方に関連する炎症関連疾患を治療するのに効果的であることが示されている。
【0061】
[0083]ある態様において、本明細書に開示されるメイソインジゴの結晶質形態は照明、高温および高湿度の条件下で安定である。本明細書に開示されるメイソインジゴの結晶質形態はまた、製剤の生産、輸送および貯蔵の要件を満たす磨砕、圧力および加熱の条件下でも安定である。
【0062】
[0084]他の態様において、本明細書に開示されるメイソインジゴの結晶質形態は、例え
ば、純度、取扱いの可能性(より低い吸湿性)、流動性、研磨容易性、および/または品質管理の点で他の結晶形態と比較してより優れており、製剤に適した結晶として有用である。これらの結晶質形態は熱、光、酸素、湿度、または他の分子と接触しても優れた安定性を示す。更にまた、本発明の結晶形態はろ過性能、乾燥特性、および流動性に優れており、産業的に有利に生産されることができる。
【0063】
[0085]また、残留する溶媒の量がICH(医薬品規制調和国際会議)ガイドラインの残留溶媒に関するガイドラインに記載の基準値未満である本発明の結晶形態は医薬として安全である。更に、開示される結晶形態は比較的に小さい電荷量を有し、医薬の生産および包装において取扱いが容易である。
【0064】
[0086]更に他の態様において、本発明の結晶形態は1つ以上の有益な性質、特に次の利点:改良された安定性、水または水性系への改良された溶解度および溶解率、改良された熱力学安定性、および/または改良された貯蔵安定性を有する。
【0065】
[0087]1つの態様において、本明細書に開示される調製方法は安定で、繰返し可能で、制御可能であり、そのため工業生産に適している。
結晶形Iの調製
[0088]機器および出発材料
[0089]反応容器:製造はサーモウェル、還流冷却器ならびに試薬および溶媒を装入するための口を備えた12リットル丸底フラスコで行なう。
【0066】
[0090]ろ過フラスコ:真空につなぐための枝を備えた20リットルのガラスろ過フラスコ。
[0091]卓上ろ過用漏斗:内径10.25”(26.035cm)、全高8”(20.32cm)で、固定された多孔質フィルタープレートを含有し、12.7mmの真空接続器を備えた高密度ポリエチレン漏斗。
【0067】
[0092]出発材料:N-メチルイサチンおよびオキシインドール。
[0093]主プロセスステップ
[0094]バルクのN-メチルイソインジゴ(Natura-alpha、NAT)の生産のための製造プロセスは次の主ステップを含む。
【0068】
[0095]1.オーバーヘッドアジテーターをセットした加熱マントル上の12Lの3ッ首丸底フラスコに、3.75Lの氷酢酸、続いて0.75kg(4.65mol)のN-メチルイサチンおよび0.63kg(4.73mol)のオキシインドールおよび30mlの濃HClを装入する。
【0069】
[0096]2.反応混合物を2~3時間85~95℃に加熱する。
[0097]3.反応混合物を25~30℃に冷却させ、沈殿した生成物を吸引ろ過する。
[0098]4.フィルターケーキを0.75Lおよび0.38Lの氷酢酸で洗浄し、吸引乾固する。
【0070】
[0099]5.フィルターケーキを4.5Lの還流氷酢酸に再び溶かし、再結晶した生成物を吸引ろ過し、0.75Lおよび0.38L部の氷酢酸で洗浄し、真空下50℃で乾燥する。
【0071】
[00100]Natura-alpha(NAT)は以下のように酢酸中で触媒の濃HCl
を用いてN-メチルイサチンをオキシインドールと縮合させることにより調製される。
【0072】
【化1】
【0073】
[00101]本明細書中で、本発明者らはまたN-メチルイソインジゴ結晶質組成物も開示
する。
[00102]N-メチルイソインジゴは暗赤色の結晶質粉末である。N-メチルイソインジ
ゴはアセトン、クロロホルム、およびエタノールにやや溶け難い。N-メチルイソインジゴは水に難溶性である。
【0074】
[00103]N-メチルイソインジゴの構造解明および確認は最初の標準的なバッチSR-
I 205aに対して行なう。N-メチルイソインジゴの固体の状態は以下(「他の特性」の欄)に示される。
【0075】
[00104]構造およびその他の特性の解明
[00105]構造の解明:化合物N-メチルイソインジゴの構造解明および構造が提供され
る。構造解明に使用された分析技術は赤外分光光度法、核磁気共鳴分析法、および質量分析法である。
【0076】
[00106]赤外線スペクトル
[00107]化合物の赤外線スペクトルは無水KBr中化合物の1%混合物のペレットで得
られた。1685および1695cm-1のIR吸収は予想生成物のカルボニル吸収の特徴であった。結果は以下図1に提供される。
【0077】
[00108]核磁気共鳴スペクトル
[00109]核磁気共鳴スペクトルはNuMega Resonance Labs, I
nc.(San Diego, CA)により記録された。スペクトルは基準ピークとしてδ 7.27ppmの残留プロトン共鳴を用いて重水素化クロロホルム溶液で得られた;δ 3.29(s、3H)、6.79(d、J=8Hz、1H)、6.81(d、J=8Hz、1H)、7.06(dd、J=8、8Hz、1H)、7.08(dd、J=8、8Hz、1H)、7.31(dd、J=8、8Hz、1H)、7.39(dd、J=8、8Hz、1H)、7.85(bs、1H)、9.12(d、J=8Hz、1H)、および9.19(d、J=8Hz、1H)のプロトン共鳴は予想生成物の構造と一致した。結果は以下図2に提供される。
【0078】
[00110]質量分析法
[00111]質量スペクトルもNuMega Resonance Labs, Inc.
により記録された。イオン化はエレクトロスプレーイオン化法を用いることにより達成された。ポジティブQ1スキャン(図3)の277質量単位の陽イオンおよびネガティブQ1スキャン(図4)の275質量単位の陰イオンはそれぞれ予想生成物のM+HおよびM-Hイオンの特徴であった。
【0079】
[00112]他の特性
[00113]固体状態
[00114]融点
[00115]融点は毛細管型融点装置を用いて得られた。毛細管はO.D.が0.8~1.
1mm、長さが90mmで一端でシールされた。融解温度はK-タイプの熱電対を用いて較正された電子温度計で測定された。
【0080】
[00116]表1のデータはバッチ間が同等であることを示す。
[00117]多形研究
[00118]多形のスクリーニング
[00119]X線回折パターンは原薬の4つのバッチNAT-0501、NAT-0502
、NAT-0503およびNAT-0601を用いて評価された。
【0081】
[00120]4つの試料に対する生のX線回折パターンが図5に示され、但し明確にするた
めにy軸は故意にずらしてあり、100%ピークはカットしてある(2θ=7.71°)。これらの4つのX線回折プロフィールから以下のことが明らかとなる:
[00121]1.同じ製造手順に由来する4つ全ての試料は、2θ=7.71°の1つのピ
ークが優勢である(約40,000カウントに対して次に高いピークは2,000)同じ結晶形態の化合物を含む。
【0082】
[00122]2.試料NAT-0502およびNAT-0503は結晶質成分がほぼ同じで
ある。
[00123]3.試料NAT-0601は他より少しだけより結晶質であり、17、18お
よび29°ピークの肩のようにより弱いピークがより多い。
【0083】
[00124]4.試料NAT-0501は追加のピークを含み、追加の成分が粉末中に少量
あることを意味する(例えば、幾つかの多発性だが小さいピークが11、16および23°にある)。これに対する可能な説明はロット#0501が再処理されたということであり得る。ロット#NAT-0501が調製されたとき、再結晶化ステップはなく、純度は98%未満であることが判明した。再結晶化ステップが加えられ、得られた生成物は仕様を満たした。
【0084】
[00125]図6はプログラムJadeにおけるピーク選択分析の詳細図を示し、4つ全て
の試料に対して見出された2θ値のリストは表2にまとめられている。
[00126]試料の粉末X線回折パターンにおける特徴的ピークの検索/適合は粉末X線デ
ータベース(PDF 2006およびICSD 2007)に公知の相をもたらさなかった。したがって、相の決定はなされ得なかった。しかしながら、(Cambridge構造データベースから得られた)イソインジゴの粉末パターンの外観から分かるように、試料のパターンはイソインジゴのおおよそのサイズおよび配向(結晶単位格子内)の平面の広げられた分子と一致し、これも図7に見られるようにちょうど7.7°に1つの主ピー
クを、そして13<2θ<30°)にずっと弱いが「指状の」領域を有する。
【0085】
[00127]データはグラファイト単色化されたCu Kα x放射線(λ=1.5418
Å)を用い、スキャンステップサイズおよびスピードをそれぞれ0.02degおよび0.01deg sec-1としてPhilips XPertシステムで集められた。XYプロットはプログラムWinplotRおよびJadeを用いて解析された。
【0086】
【表2-1】
【0087】
【表2-2】
【0088】
[00128]用語「約」および「実質的に示される」は通例X線粉末回折(XRPD)ピー
クについては±0.2、そして示差走査熱量測定(DSC)については±3℃を指す。
粒度および分布
[00129]結晶形Iはその粒度および分布について分析された。5つのバッチがMalv
ern Mastersizer 2000(MIIA14730、Malvern、UK)を用いて試験された。
【0089】
[00130]表3に示されるように、5つのバッチの結晶形Iの粒度は非常に均一であり、
一様に分布していることが判明した。図11は化合物の結晶形Iの粒子分布の例を示す。これらの物理的な性質は、生の医薬品成分(API)材料の追加の加工をすることなく、必要とされる様々な固体および局所製剤への製剤化のような製剤加工を容易にする。物理的な性質はまたバッチ間の等価で安定なバイオアベイラビリティにも寄与する。
【0090】
【表3】
【0091】
[00131]実験データは、結晶形Iが理想的な分布で均一な粒度を有することを示してい
る(図11参照)。この均一な粒度は結晶形Iから医薬組成物への製剤化を容易にする。均一な粒度はまた結晶形Iを形成するプロセスの再現性も示している。
追加の結晶形態の調製
[00132]いろいろな形態の結晶質のN-メチルイソインジゴ(Natura-alph
a)を生成するいろいろな合成経路およびいろいろな結晶化/再結晶化条件を研究した後
、本発明者らは以下の合成および結晶化/再結晶化の追加の条件を確認した。得られた生成物はX線粉末回折(XRD)を用いて検査された。
【0092】
【化2】
【0093】
[00133]インドールが触媒としてNaHを用いてヨウ化メチルと反応してメチルインド
ールを生成し、これがN-ブロモスクシンイミド(NBS)およびジメチルスルホキシド(DMSO)の下で酸化されてN-メチルイサチンとなった。次いでN-メチルイサチンは酸性化された条件下で2-オキシインドールと反応してN-メチルイソインジゴを生成した。次いで化合物はカラムクロマトグラフにより精製され、以下に記載されるいろいろな条件下で再結晶され、構造がH-NMR、13C-NMR、およびLC-MSを用いて特徴付けられた。代表的なスペクトルが図8~9に示される。
【0094】
[00134]試料#1:メタノール/水での再結晶化:300mgの新しく合成したN-メ
チルイソインジゴを80℃に加熱し、80mlのメタノールを加え、還流下で透明になるまで加熱した。次いで加熱還流しながら溶液に200mlの水をゆっくり加えた。溶液は再び曇ったが、これを還流下で再び透明になるまで連続的に加熱し、次いでまだ熱いうちにろ過した。溶液を静置し、室温まで冷却した。化合物は次第に沈殿し、次いでこれをろ過し乾燥した。
【0095】
[00135]試料#2:メタノール中再結晶化:300mgの新しく合成したN-メチルイ
ソインジゴを80℃に加熱し、80mlのメタノールを加え、透明になるまで加熱還流した。次いで溶液をまだ熱いうちにろ過し、静置して室温まで冷却した。化合物は次第に沈殿し、次いでこれをろ過し、乾燥した。
【0096】
[00136]試料#3:酢酸エチルおよびリグロインでの再結晶化:100mgの新しく合
成したN-メチルイソインジゴを80℃に加熱し、透明になるまで加熱還流しながら40mlの酢酸エチルを加えた。次いで120mlのリグロインを溶液にゆっくり加えた。溶液は曇ったが、再び透明になるまで還流加熱した。まだ熱いうちに溶液をろ過し、静置し、室温まで冷却した。化合物は次第に沈殿し、次いでこれをろ過し乾燥した。
【0097】
[00137]試料#4:酢酸エチル中再結晶化:100mgの新しく合成したN-メチルイ
ソインジゴを80℃に加熱し、加熱還流下で透明になるまで30mlの酢酸エチルを加えた。次いで溶液をまだ熱いうちにろ過し、静置し、室温まで冷却した。化合物は次第に沈殿し、次いでこれろ過し、乾燥した。
【0098】
[00138]試料#5:エチルアルコールおよび水での再結晶化:100mgの新しく合成
したN-メチルイソインジゴを80℃に加熱し、加熱還流しながら透明になるまで30m
lのエチルアルコールを加えた。次いで60mlの蒸留水を溶液に加えた。溶液は適度に曇った後再び透明になった。溶液をまだ熱いうちにろ過し、静置し、室温に冷却した。化合物は次第に沈殿し、次いでこれをろ過し、乾燥した。
【0099】
[00139]試料#6:エチルアルコール中再結晶化:100mgの新しく合成したN-メ
チルイソインジゴを80℃に加熱し、加熱還流下で透明になるまで30mlのエチルアルコールを加えた。溶液をまだ熱いうちにろ過し、静置し、室温に冷却した。化合物は次第に沈殿し、次にこれをろ過し、乾燥した。
【0100】
[00140]試料1~6の純度を分析し、各々の試料は>98.00%純粋であることが分
かった。
[00141]試料#1~#6の幾つかの物理的性質を表4に示す。これらの結晶形態の外観
は異なる:試料#1および#5は粉末様であり;試料#2および#4は樹枝状であり、一方試料#3および#6は針状である。樹枝状および針状はいずれも流動速度が遅いことが知られており、したがって製剤には理想的でない。
【0101】
【表4】
【0102】
[00142]新しく合成したN-メチルイソインジゴの構造の特性決定はH NMR、
C-NMRおよびLC-MSにより行なった。代表的なスペクトルを図8および9に示す。
【0103】
[00143]図10A~10Gは、6つの結晶質試料のX線スペクトル(PXRD)を示す
。いずれもお互いに繰り返さなかった。PXRDは試料1~6が多様な結晶質形態の混合物であることを示唆する。
【0104】
[00144]他の試料と比較して、試料1および試料5のXRDスペクトルは生成したメイ
ソインジゴの比較的良好な結晶質状態を意味する多くの狭く鋭いピークを示した。しかし、比較的広いピークがより大きいθで生じ、非結晶質形態も存在したことを暗示する。比較すると、試料1は試料5よりもより短い融解範囲のより多い鋭く強いピークを生じたので試料5よりメイソインジゴのより良好な結晶質状態を示した。
【0105】
[00145]試料2および試料4はより少ない狭いピークおよびより少ない高いピークを示
し、結晶質形態がより大きい粒度を有するだけでなく結晶タイプの混合物であったことを
示す。
【0106】
[00146]試料3および6は他の試料と比較して狭いだけでなく比較的不純であるピーク
を示した。これらの試料の多くのピークは互いに重なり合い、メイソインジゴの結晶タイプの典型的な混合物を示す。試料3および6の結晶タイプの数は他の4つの試料よりずっと多かった。これは多くの結晶質形態が所与の再結晶質(re-crystalline)条件で迅速に生じ、結晶質形態が溶媒を含有するかもしれないことを示す。これらの結果は試料3および6の再結晶質条件が均一な結晶質粉末を生成するのに適切でなかったことを示唆する。
【0107】
[00147]N-メチルイソインジゴは化学的に「コンジュゲート芳香族ラクタム」に分類
されるので、水素結合(H結合)およびπ-スタック構造が分子間で容易に形成される。したがって、これらの化合物を溶媒に溶かすのは困難であり、結晶化中に溶媒を含有し得る結晶および非典型的結晶形態を形成するのが容易である。試料1~6の結晶形態は均一でなく劣った流れ速度を有する粒子を含有する。このため、追加の加工手順なしで試料1~6の結晶形態を製剤化するのがより困難になる。対照的に、結晶形Iはその性質が独特であり、均一な粒度、流動性を有し、その生成および単離に再現性がある。
【0108】
[00148]他に規定されない限り、本明細書中の全ての技術および科学用語は本発明が属
する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または等価ないかなる方法および材料も本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料は本明細書に記載されている。引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は参照によりあらゆる目的でその全体が本明細書に組み込まれる。
【0109】
[00149]本明細書中で述べた刊行物は単に本出願の出願日前の開示として提供されてい
る。本明細書中のいかなる記載も、本発明が先行発明という点でかかる刊行物に先行しないことを認めるものと解してはならない。
【0110】
[00150]本発明がその特定の実施形態に関連して記載されてきたが、更なる改変が可能
であると理解され、本出願は一般に本発明の原理に従う本発明のあらゆる変化、使用、または適合を包含することが意図され、例えば本発明が属する当技術分野の知識または慣行内として、また以上に述べられ、添付の特許請求の範囲の規定に従う本質的な特徴に適用できるものとして、本開示からのかかる逸脱を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
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図10G
図11