(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170472
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】可燃性及び非可燃性ヒドロフルオロオレフィン含有冷媒を再生するためのプロセス及び方法
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
C09K5/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024148459
(22)【出願日】2024-08-30
(62)【分割の表示】P 2021552959の分割
【原出願日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】62/815,490
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/952,667
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリー イー.コーバン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】カール ロバート クラウス
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ ハビランド マイナー
(72)【発明者】
【氏名】ション ペン
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ シャーマ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン サン-ブランクス
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ウェストダイク
(57)【要約】
【課題】冷媒を再生するための方法及び装置。
【解決手段】本方法は、1つ以上のヒドロフルオロオレフィンを含む未再生の冷媒組成物を供給源容器から受容容器に移送する工程と、受容容器をリサイクルセンターに輸送する工程と、を含む。未再生の冷媒組成物が分析されて、未再生の冷媒組成物サンプルの組成が判定される。分析された未再生の冷媒組成物に基づいて目標組成物が決定され、目標組成物に基づいて1つ以上の処理が決定される。未再生の冷媒組成物が1つ以上の処理で処理されて、再生された冷媒組成物を形成し、再生された冷媒組成物の組成は目標組成物と等しい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を再生する方法であって、
1つ以上のヒドロフルオロオレフィンを含む未再生の冷媒組成物を供給源容器から処理容器に移送する工程と、
目標組成物を決定する工程と、
前記目標組成物に基づいて、1つ以上の処理を決定する工程と、
移送、ブレンド、蒸留、窒素パージ、濾過、脱水、苛性スクラブ、デカント、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの処理を行って、部分的に再生された冷媒組成物又は再生された冷媒組成物を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記受容容器を処理センターに輸送する工程と、前記未再生の冷媒組成物に対して、ガスクロマトグラフィー、質量分析法、原子吸光分析法、炎光発光分析法、赤外線分光法及びこれらの組み合わせからなる群から選択される分析を実施して、前記未再生の冷媒組成物サンプルの組成を判定する工程と、を更に含み、前記組成物は前記再生された冷媒組成物であり、前記再生された冷媒組成物は前記目標組成物と等しい、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再生された冷媒組成物に添加剤を添加する工程を更に含み、
前記添加剤は、前記再生された冷媒組成物に基づいて0.4重量%未満の濃度で存在する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記目標組成物は、少なくとも1つの一次成分及び少なくとも1つの二次成分を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記二次成分は、AHRI 700に従い、25℃で1.5体積%超の濃度の非凝縮性材料を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非凝縮性材料がフッ素化オリゴマー及び酸化ポリオールエステルのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの処理は、前記未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて、前記少なくとも1つの一次成分と前記少なくとも1つの二次成分との濃度比を増加させる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記処理は、ブレンドすること、及び/又は前記未再生の冷媒を前記受容容器から処理容器に移送することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記未再生の冷媒組成物は、(i)2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、トランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、もしくは1,1-ジフルオロメタン、又は(ii)2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びトランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、もしくは1,1-ジフルオロメタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記未再生の冷媒組成物が油を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記油は、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、又はポリビニルエーテルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の処理は、移送、ブレンド、濾過、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記未再生の冷媒組成物が少なくとも2つの不混和性化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記処理がデカントを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再生された冷媒組成物の純度が、前記冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の処理が、前記部分的に再生された冷媒組成物を形成する第1の処理と、前記再生された冷媒組成物を形成する第2の処理と、を少なくとも含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の処理は、前記未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との濃度比を増加させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第2の処理は、前記部分的に再生された冷媒組成物の総重量に基づいて、前記少なくとも1つの一次成分と前記少なくとも1つの二次成分との濃度比を増加させて、前記再生された冷媒組成物を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の処理は、0.1マイクロメートル以下のスクリーンを通した濾過を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記未再生の冷媒組成物の油濃度が、前記未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%低減され、
前記油濃度は、前記部分的に再生された冷媒組成物の総重量に基づいて0.5重量%未満に低減される、
請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の処理が、前記未再生の冷媒組成物を乾燥剤と接触させることによる脱水を含み、
前記未再生の冷媒組成物の水濃度が、前記未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%低減され、
前記水濃度は、前記部分的に再生された冷媒組成物の総重量に基づいて0.5重量%未満に低減される、
請求項16に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法によって形成される、部分的に再生された冷媒組成物。
【請求項23】
可燃性冷媒組成物を処理するための装置であって、
前記可燃性冷媒組成物を処理するように構成された1つ以上の処理モジュールを有する処理ユニットを備え、
前記可燃性冷媒組成物がヒドロフルオロオレフィンを含み、
前記処理ユニットは、ブレンドモジュール、蒸留モジュール、窒素パージモジュール、濾過モジュール、脱水モジュール、苛性スクラブモジュール、又はデカントモジュールのうちの1つ以上を含む、
装置。
【請求項24】
冷媒を再生する方法であって、
未再生の冷媒組成物の分析結果を顧客から受け取る工程と、
前記分析結果に基づいて、目標組成物を決定する工程と、
前記目標組成物に基づいて、1つ以上の処理を決定する工程と、
前記1つ以上の処理を実行するように構成された1つ以上の処理モジュールを含む移動式処理ユニットをディスパッチ(dispatch)する工程と、
前記移動式処理ユニットにより、前記未再生の冷媒組成物を処理して、前記目標組成物を含む再生された冷媒組成物を形成する工程と、
を含み、
前記目標組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、トランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、又は1,1-ジフルオロメタンを含む、
方法。
【請求項25】
前記1つ以上の処理モジュールは、ブレンドモジュール、蒸留モジュール、窒素パージモジュール、濾過モジュール、脱水モジュール、苛性スクラブモジュール、又はデカントモジュールのうちの1つ以上を含み、前記目標組成物が少なくとも99.5%の純度である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の処理モジュールが電気的に接地されている、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年3月8日出願の米国特許出願第62/815490号及び2019年12月23日出願の米国特許出願第62/952667号の利益を主張する。米国特許出願第62/815490号及び米国特許出願第62/952667号の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ある程度のレベルの可燃性を有する冷媒を含む、地球温暖化係数が低く価値の高い冷媒の回収及び再生に関する。
【背景技術】
【0003】
地球のオゾン層を損傷する可能性があり、及び/又は地球温暖化に寄与する可能性があるクロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、及びヒドロフルオロカーボン(HFC)に代わる選択肢として、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)が提案されている。ヒドロフルオロオレフィンは塩素を含有せず、したがって地球のオゾン層を破壊することがない。
【0004】
1未満の地球温暖化係数(GWP)を示すHFO-1234yf、(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)などのヒドロフルオロオレフィン(HFO)が、旧来の環境にあまり優しくない冷媒に取って代わりつつある。ヒドロフルオロオレフィン分子のオレフィン部分は、使用中に遭遇する物質に対して反応性を示し得る。典型的には、HFO反応性は、極端な使用条件(すなわち、冷媒及び/又は冷媒ブレンドの通常の動作条件の範囲外の条件)、不適合な製品とのブレンド、偽造材料の導入、あるいは不注意な汚染などの誤用の間に遭遇する。したがって、そのような冷媒又は冷媒ブレンドのHFO部分の反応性は、望ましくない副生成物を生じさせるような方法で分解を引き起こすおそれがある。そのような副生成物の形成は、冷媒の所望の又は意図された性能を低下させるおそれのある材料を冷媒組成物に導入する。不純物の1つの源は、システム内の冷媒の1つ以上に作用する副反応の結果であり得る。副反応は、例えば、熱分解、重合、酸化、又は水和を含む様々なプロセスから生じ得る。副反応は、システム内の材料間で、又は空気若しくは水などの外部材料がシステムに侵入した結果として起こり得る。結果として生じた不純物は、例えば、1つ以上の冷媒の反応から生じるアルコール、アルデヒド、ケトン、オリゴマー、又はポリマーを含み得る。別の不純物源は、システム内に存在する潤滑油などの他の材料に作用する副反応から生じ得る。これらは、例えば、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、ポリキシリレングリコール、鉱油又はアルキルベンゼン油を含み得る。一実施形態では、ポリオールエステル潤滑剤は、対応する酸に加水分解し得る。結果として生じた不純物は、固体、液体、又は気体として存在し得る。加えて、ねじ係止剤などの材料もまた、望ましくない副生成物を生じさせる可能性がある。他の望ましくない汚染物質源は、ホース、ガスケット、及びOリングからの可塑剤を含み得る。現状では、冷媒は、回収プロセス又はリサイクルプロセス中に簡便に除去することができない未知の不純物をその中に有するため、これらの冷媒は劣化しているとみなされる。従来の方法では、劣化した冷媒は廃棄(破壊)され、システムは新鮮な、すなわち新たな若しくは未使用の冷媒又は冷媒ブレンドで再充填される。従来のこのような方法は、価値の高い冷媒又は冷媒ブレンドの不必要な損失をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第62/815490号
【特許文献2】米国特許出願第62/952667号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、既存のシステムで更に使用するため、又は全く新しいシステムで再使用するために、劣化した冷媒組成物をリサイクル及び再生する方法が必要とされている。また、劣化した冷媒又は冷媒ブレンドを改善し、汚染物質を除去し、未希釈の又は既存のブレンドを他の材料と再ブレンドして、新たなブレンド又は更には改善された性能のブレンドを形成することも望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、冷媒を含有する組成物をリサイクル及び再生するための組成物、設備及び方法を提供することにより、従来の問題を解決することができる。
【0008】
定義
冷媒回収は、冷媒を改善することなく、冷媒を収容している設備から別の容器に冷媒を除去することを意味する。
【0009】
冷媒リサイクルは、油、水、酸性度、及び微粒子を低減させる手順又はプロセスを使用して、何らかの汚染物質を除去することを意味する。リサイクル中に処理された冷媒は、GC-FID、GC-TCD、又はGC MSなどの分析手順によって試験されない。リサイクルされた冷媒は、幾分改善されるが、米国暖房冷凍空調工業会(AHRI)規格700を満たさない。AHRI 700(2017):冷媒規格は、供給源にかかわらず、フルオロカーボン冷媒、炭化水素冷媒及び二酸化炭素冷媒の適切な汚染物質レベル(純度要件)を示し、許容可能な試験方法を列挙している。
【0010】
冷媒再生は、冷媒の品質、ひいては性能に悪影響を及ぼす可能性がある油、水、酸性度、微粒子、残留物、及びその他の不純物を除去することを意味する。再生は、再処理された冷媒がAHRI 700品質規格を満たすように、使用済みの(又は回収された)冷媒を再処理することを含む。冷媒の品質は、GC-FID、GC-TCD、GC-MS、FTIR、Goetz Bub、Karl Fischer、Byk-Garner Color、及び様々な他の分析方法などの分析技術によって検証される。
【0011】
一実施形態において、冷媒を再生する方法が、1つ以上のヒドロフルオロオレフィンを含む未再生の冷媒組成物を供給源容器(又は設備)から受容容器に移送する工程と、受容容器をリサイクルセンターに輸送する工程と、を含む。未再生の冷媒組成物が分析されて、未再生の冷媒組成物サンプルの組成が判定される。分析された未再生の冷媒組成物に基づいて目標組成物が決定され、目標組成物に基づいて1つ以上の処理が決定される。未再生の冷媒組成物が1つ以上の処理で処理されて、目標組成物を含む再生された冷媒組成物が形成される。
【0012】
一実施形態において、可燃性冷媒組成物を処理するための装置が、可燃性冷媒組成物を処理するように構成された1つ以上の処理モジュールを有する処理ユニットを含む。可燃性冷媒組成物は、ヒドロフルオロオレフィンを含み、処理ユニットは、ブレンドモジュール、蒸留モジュール、窒素パージモジュール、濾過モジュール、脱水モジュール、苛性スクラブモジュール、又はデカントモジュールのうちの1つ以上を含む。
【0013】
一実施形態では、冷媒を再利用する方法が、未再生の冷媒組成物の分析結果を顧客から受け取り、分析結果に基づいて目標組成物を決定する工程を含む。目標組成物に基づいて、1つ以上の処理が決定される。1つ以上の処理を実行するように構成された1つ以上の処理モジュールを含む移動式処理ユニットがディスパッチ(dispatch)される。移動式処理ユニットは、未再生の冷媒組成物を処理して、目標組成物を含む再生された冷媒組成物を形成する。いくつかの実施形態において、目標組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)又はトランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(E))、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、トランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、又は1,1-ジフルオロメタンのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
再生可能なヒドロフルオロオレフィンは、以下のヒドロフルオロオレフィン冷媒のうちの少なくとも1つを含み得る:
1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CHF=CFCF3)、
1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CF2=CHCF3)、
1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CF2=CFCHF2)、
1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CHF=CFCHF2)、
2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CH2=CFCF3)、
1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンCHF=CHCF3)、
1,1,2,3テトラフルオロ-1-プロペン(CF2=CFCH2F)、
1,1,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CF2=CHCHF2)、
1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CHF=CFCHF2)、
3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CH2=CHCF3)、
2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CHF2CF=CH2);
1,1,2-トリフルオロ-1-プロペン(CH3CF=CF2);
1,2,3-トリフルオロ-1-プロペン(CH2FCF=CF2);
1,1,3-トリフルオロ-1-プロペン(CH2FCH=CF2);
1,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CHF2CH=CHF);
1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CFCF3);
1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF3CF2CF=CF2);
1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3);
1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCF2CF3);
1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CHF2CF=CFCF3);
1,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン((CF3)2C=CHF);1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF2=CHCF2CF3);
1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCHFCF3);
1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CHF2);
2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CF3CF2CF=CH2); 1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CHF=CHCF2CF3); 1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCHFCF3);
1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCF2CHF2);
1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CHF2CF=CFCHF2);
1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CH2FCF=CFCF3); 1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CHF2CH=CFCF3); 1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CF3CH=CFCHF2); 1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CH2F);
1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCHFCHF2);
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン(CH2=C(CF3)2);
1,1,1,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CH2FCH=CFCF3);
1,1,1,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CF3CH=CFCH2F);
3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CF3CF2CH=CH2);
1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHF2CH=CHCF3);
1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン(CH3CF=CFCF3);
2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CH2=CFCF2CHF2);
1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHF2CF=CHCHF2);
1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-ブテン(CH3CF2CF=CF2);
1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CH2FCF=CFCHF2);
1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-メチル-1-プロペン(CF2=C(CF3)(CH3));
2-(ジフルオロメチル)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CH2=C(CHF2)(CF3))、2,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CH2=CFCHFCF3);
1,2,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCH2CF3);
1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CHCHFCF3);
1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CHCF2CHF2);
1,2,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCHFCHF2); 3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン(CH2=CHCF2CHF2);
1,1-ジフルオロ-2-(ジフルオロメチル)-1-プロペン(CF2=C(CHF2)(CH3));
1,3,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン(CHF=C(CF3)(CH3));
3,3-ジフルオロ-2-(ジフルオロメチル)-1-プロペン(CH2=C(CHF2)2);
1,1,1,2-テトラフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCH3);
1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン(CH3CF=CHCF3);
1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-2-ペンテン(CF3CF=CFCF2CF3);
1,1,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-1-ペンテン(CF2=CFCF2CF2CF3);
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CF3)2C=CHCF3);
1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CF3CF=CHCF2CF3);
1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CF3CH=CFCF2CF3);
1,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン(CHF=CFCF2CF2CF3);
1,1,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン(CF2=CHCF2CF2CF3);
1,1,2,3,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン(CF2=CFCF2CF2CHF2);
1,1,2,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CHF2CF=CFCF2CF3);
1,1,1,2,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CF3CF=CFCF2CHF2);
1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CF3CF=CFCHFCF3);
1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CHF=CFCF(CF3)2);
1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF2=CFCH(CF3)2);
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン(CF3CH=C(CF3)2);
1,1,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF2=CHCF(CF3)2);
2,3,3,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF3);
1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン(CHF=CFCF2CF2CHF2);
3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH2=C(CF3)CF2CF3);
1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF2=CHCH(CF3)2);
1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CHF=CHCF(CF3)2);
1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF2=C(CF3)CH2CF3);
3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン((CF3)2CFCH=CH2);
3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CF3CF2CF2CH=CH2);
2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CH2=CFCF2CF2CHF2);
1,1,3,3,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF2=CHCF2CH2CF3);
1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-メチル-2-ブテン(CF3CF=C(CF3)(CH3));
2,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH2=CFCH(CF3)2);
1,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CHF=CHCH(CF3)2);
1,1,1,4-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン(CH2FCH=C(CF3)2);
1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン(CH3CF=C(CF3)2);
1,1,1-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CF3)2C=CHCH3);
3,4,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-2-ペンテン(CF3CF2CF=CHCH3);
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-ブテン(CF3C(CH3)=CHCF3);
3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン(CH2=CHCF2CHFCF3);
4,4,4-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH2=C(CF3)CH2CF3);
1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-1-ヘキセン(CF3(CF2)3CF=CF2);
1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-3-ヘキセン(CF3CF2CF=CFCF2CF3);
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CF3)2C=C(CF3)2);
1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CF3)2CFCF=CFCF3);
1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CF3)2C=CHC2F5);
1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CF3)2CFCF=CHCF3);
3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ-1-ヘキセン(CF3CF2CF2CF2CH=CH2);
4,4,4-トリフルオロ-3,3-ビス(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH2=CHC(CF3)3);
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CF3)2C=C(CH3)(CF3));
2,3,3,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン(CH2=CFCF2CH(CF3)2);
1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-3-メチル-2-ペンテン(CF3CF=C(CH3)CF2CF3);
1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン(CF3CH=CHCH(CF3)2);
3,4,4,5,5,6,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン(CF3CF2CF2CF=CHCH3);
3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ1-ヘキセン(CH2=CHCF2CF2CF2CHF2);
1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CF3)2C=CHCF2CH3);
4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン(CH2=C(CF3)CH2C2F5);
3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-2-メチル-1-ペンテン(CF3CF2CF2C(CH3)=CH2);
4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヘキセン(CF3CF2CF2CH=CHCH3);
4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-1-ヘキセン(CH2=CHCH2CF2C2F5);
1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロ-3-ヘキセン(CF3CF2CF=CFC2H5);
4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン(CH2=CHCH2CF(CF3)2);
1,1,1,2,5,5,5-ヘプタフルオロ-4-メチル-2-ペンテン(CF3CF=CHCH(CF3)(CH3));
1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CF3)2C=CFC2H5);
1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン(CF3CF=CFCF2CF2C2F5);
1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-3-ヘプテン(CF3CF2CF=CFCF2C2F5);
1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン(CF3CH=CFCF2CF2C2F5);
1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン(CF3CF=CHCF2CF2C2F5);
1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン(CF3CF2CH=CFCF2C2F5);
1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン(CF3CF2CF=CHCF2C2F5);
ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF3);
トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル(CF2=CFOCF3)及びこれらの組み合わせ。
【0015】
本発明の一実施形態は、前述のヒドロフルオロオレフィンの任意の組み合わせを含む冷媒を再生する方法に関し、この方法は、
1つ以上のヒドロフルオロオレフィンを含む未再生の冷媒組成物を供給源容器(又は設備)から処理容器に移送する工程と、
受容容器を処理センターに輸送する工程と、
未再生の冷媒組成物に対して、ガスクロマトグラフィー、質量分析法、原子吸光分析法、炎光発光分析法、赤外線分光法及びこれらの組み合わせからなる群から選択される分析を実施して、未再生の冷媒組成物サンプルの組成を判定する工程と、
分析された未再生の冷媒組成物に基づいて、目標組成物を決定する工程と、
目標組成物に基づいて、1つ以上の処理を決定する工程と、
移送、ブレンド、蒸留、窒素パージ、濾過、脱水、苛性スクラブ、デカント、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの処理を行って、部分的に再生された冷媒組成物又は再生された冷媒組成物を形成する工程と、
を含む。
【0016】
本発明の一実施形態は、組成物が再生された冷媒組成物であり、
再生された冷媒組成物が目標組成物と等しい、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0017】
本発明の別の一実施形態は、
再生された冷媒組成物に添加剤を添加する工程を更に含み、
添加剤は、再生された冷媒組成物に基づいて0.4重量%未満の濃度で存在する、
前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0018】
本発明の別の一実施形態は、目標組成物が少なくとも1つの一次成分及び少なくとも1つの二次成分を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0019】
本発明の別の一実施形態は、二次成分が、AHRI 700に従い、25℃で1.5体積%超の濃度の非凝縮性材料を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0020】
本発明の別の一実施形態は、非凝縮性材料がフッ素化オリゴマーを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0021】
本発明の別の一実施形態は、非凝縮性材料が酸化ポリオールエステルを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0022】
本発明の別の一実施形態は、少なくとも1つの処理が、未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との濃度比を増加させる、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0023】
本発明の別の一実施形態は、処理が、未再生の冷媒を受容容器から処理容器に移送することを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0024】
本発明の別の一実施形態は、処理が、未再生の冷媒をブレンドして受容容器から処理容器に移送することを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0025】
本発明の別の一実施形態は、未再生の冷媒組成物が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、トランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、又は1,1-ジフルオロメタンのうちの少なくとも1つを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0026】
本発明の別の一実施形態は、未再生の冷媒組成物が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びトランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、又は1,1-ジフルオロメタンのうちの少なくとも1つを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0027】
本発明の別の一実施形態は、未再生の冷媒組成物が油を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0028】
本発明の別の一実施形態は、油がポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、又はポリビニルエーテルを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0029】
本発明の別の一実施形態は、1つ以上の処理が、移送、ブレンド、濾過、及びこれらの組み合わせを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0030】
本発明の別の一実施形態は、未再生の冷媒組成物が少なくとも2つの不混和性化合物を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0031】
本発明の別の一実施形態は、処理がデカントを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0032】
本発明の別の一実施形態は、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0033】
本発明の別の一実施形態は、1つ以上の処理が少なくとも2つの処理を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0034】
本発明の別の一実施形態は、第1の処理が、未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との濃度比を増加させる、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0035】
本発明の別の一実施形態は、部分的に再生された冷媒組成物が、少なくとも1つの第2の処理で処理されて、再生された冷媒組成物を形成する、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0036】
本発明の別の一実施形態は、少なくとも1つの第2の処理が、部分的に再生された冷媒組成物の総重量に基づいて、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との濃度比を増加させる、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0037】
本発明の別の一実施形態は、第2の処理が、0.1マイクロメートル以下のスクリーンを通した濾過を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0038】
本発明の別の一実施形態は、未再生の冷媒組成物の油濃度が、未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%低減され、
油濃度は、部分的に再生された冷媒組成物の総重量に基づいて、0.5重量%未満に低減される、
前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0039】
本発明の別の一実施形態は、第2の処理が脱水を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0040】
本発明の別の一実施形態は、未再生の冷媒組成物を乾燥剤と接触させ、
未再生の冷媒組成物の水濃度が、未再生の冷媒組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%低減され、
水濃度は、部分的に再生された冷媒組成物の総重量に基づいて0.5重量%未満に低減される、
前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0041】
本発明の一実施形態は、前述の方法の任意の組み合わせによって形成される、部分的に再生された冷媒組成物に関する。
【0042】
本発明の別の一実施形態は、第1の処理が移送又はブレンドを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0043】
本開示の一実施形態は、可燃性冷媒組成物を処理するための装置であって、
可燃性冷媒組成物を処理するように構成された1つ以上の処理モジュールを有する処理ユニットを備え、
可燃性冷媒組成物がヒドロフルオロオレフィンを含み、
処理ユニットは、ブレンドモジュール、蒸留モジュール、窒素パージモジュール、濾過モジュール、脱水モジュール、苛性スクラブモジュール、又はデカントモジュールのうちの1つ以上を含む、
装置に関する。
【0044】
本発明の別の一実施形態は、ヒドロフルオロオレフィンが2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0045】
本発明の別の一実施形態は、1つ以上の処理モジュールが電気的に接地されている、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0046】
本発明の一実施形態は、冷媒を再生する方法であって、
未再生の冷媒組成物の分析結果を顧客から受け取る工程と、
分析結果に基づいて、目標組成物を決定する工程と、
目標組成物に基づいて、1つ以上の処理を決定する工程と、
1つ以上の処理を実行するように構成された1つ以上の処理モジュールを含む移動式処理ユニットをディスパッチする工程と、
移動式処理ユニットにより、未再生の冷媒組成物を処理して、目標組成物を含む再生された冷媒組成物を形成する工程と、
を含み、
目標組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、トランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、又は1,1-ジフルオロメタンのうちの少なくとも1つを含む、
方法に関する。
【0047】
本発明の別の一実施形態は、1つ以上の処理モジュールが、ブレンドモジュール、蒸留モジュール、窒素パージモジュール、濾過モジュール、脱水モジュール、苛性スクラブモジュール、又はデカントモジュールのうちの1つ以上を含む、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0048】
本発明の別の一実施形態は、1つ以上の処理モジュールが電気的に接地されている、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0049】
本発明の別の一実施形態は、目標組成物が少なくとも99.5%の純度である、前述の実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0050】
本発明の実施形態は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の原理を例示する添付図面と併せてなされる、以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】一実施形態に係る、冷媒再生システムの概略図である。
【
図2】一実施形態に係る、冷媒再生方法のブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る、冷媒再生方法のブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る、縦型トンタンクの正面図である。
【
図5】一実施形態に係る、縦型トンタンクの側面図である。
【
図6】一実施形態に係る、縦型トンタンクの内部配管の拡大側面図である。
【
図7】一実施形態に係る、縦型トンタンクの配管継手を示す。
【
図8】一実施形態に係る、縦型トンタンクの底部の図である。
【
図9】一実施形態に係る、縦型トンタンクのバルブ構成の拡大上面図である。
【
図10】一実施形態に係る、縦型トンタンクのバルブ構成の拡大側面図である。
【
図11】一実施形態に係る、下部保護カラーを有する縦型トンタンクの図である。
【
図12】一実施形態に係る、縦型トンタンクの底部保護カラーの一部としてのドアを示す。
【0052】
可能な限り、同じ部品を表すために図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0053】
劣化した、又は使用済みの冷媒を回収、リサイクル、及び再生するための方法が提供される。本開示の実施形態は、例えば、使用現場から冷媒組成物を回収する工程と、冷媒組成物を試験して不純物を判定する工程と、冷媒組成物の特性を所定の閾値を超えて変更する工程と、冷媒組成物を使用現場に移送する工程とを含む。
【0054】
冷媒再生システム100を
図1に記載する。
図1の例では、未再生の冷媒組成物115を収容している供給源タンク110が、受容タンク120に連通可能に接続され、未再生の冷媒組成物115の一部又は全てが受容タンク120に移送されることを可能にするように構成されている。未再生の冷媒組成物115の1つ以上のサンプルが、供給源タンク110又は受容タンク120又はこれらの組み合わせから収集され得る。サンプルを分析して、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分のレベルを判定することができる。1つ以上の成分のレベルにより、未再生の冷媒組成物115が所望の組成規格の範囲外となる可能性がある。いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、非共沸組成物であってもよい。他の実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、共沸組成物であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、1つ以上のヒドロフルオロオレフィン冷媒の重合又は分解から生じる成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、成分は、ポリマー、オリゴマー、フタレート、アジペート、フッ素化炭化水素、又は他の反応生成物を含んでもよい。一実施形態では、未再生の冷媒組成物は、未再生の冷媒組成物115の1つ以上の冷媒成分の重合から得られるホモポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、未再生の冷媒組成物115のサイクル性能を低下させ得る酸成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、ホース、ガスケット、又はフィッティングなどの冷蔵システム構成要素に有害であり得る塩素含有種又は酸化種を含んでもよい。いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、水、油(例えば、鉱油又はポリオールエステル)、又は染料などの他の成分を含んでもよい。
【0056】
未再生の冷媒組成物115の様々な成分の存在及び濃度は、ガスクロマトグラフィー、質量分析法、赤外線分光法、水分レベル、酸レベル、非凝縮性レベル、高沸点残留物及び/又は色測定を含む様々な分析技術を用いて分析され得る。1つ以上の成分のレベルが、これらの成分の1つ以上の所定の閾値の範囲外にある場合、未再生の冷媒組成物115の処理計画(又は手順)が決定される。
【0057】
処理計画は、未再生の冷媒組成物115の組成を変化させて、目標組成物に適合させる工程を含む。処理計画は、未再生の冷媒組成物115の1つ以上の処理を含み得る。いくつかの実施形態では、目標組成物は、組成規格に適合し、冷蔵システムでの使用に適した、再生された冷媒組成物である。いくつかの実施形態では、目標組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)又はトランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(E))のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、目標組成物は、冷媒組成物の少なくとも99.5%以上の量の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)又はトランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(E))を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115の冷媒のうちの1つ以上が可燃性冷媒であってもよい。可燃性とは、ASTM E-681-09「Standard Test Method for Concentration Limits of Flammability of Chemicals(Vapors and Gases)」に従い、60℃及び圧力101.3キロパスカルの空気中の可燃範囲の濃度を有する気体を意味する。
【0059】
縦型トンタンク(VTT)
一実施形態では、プロセスの一態様は、使用済み冷媒の容易な回収、リサイクル及び再生を可能にする便利な容器を使用することである。本明細書に記載される例示的な実施形態では、容器は、回収、リサイクル及び再生中に可燃性組成物を保持、移送、又は搬送するように設計された500L~1000L、又はより具体的には750L~950L、又はより具体的には850L~950Lの縦型シリンダであり、縦型に配向されていることにより、使用済み冷媒の処理を容易にするのに役立つ。可燃性冷媒用に設計されたいかなる縦型シリンダも、不燃性冷媒用に便利に使用され得ることに留意されたい。本発明の縦型トンタンク(VTT)は、特定の設計パラメータを有し、これらの設計パラメータは、以下に記載される組み合わせにおいて、上述の他の再生プロセスと組み合わせることで独自に有用となる。供給源タンク110及び/又は受容タンク120を含む1つ以上の縦型トンタンクを、様々な役割で冷蔵分配システム100内で使用することができる。
【0060】
配向
VTTシリンダは、圧力容器が縦向きに設計されており、これは、使用、輸送及び保管の際にシリンダが直立している(縦型である)ことを意味する。回収/リサイクル/再充填(R/R/R)動作の近辺の設置面積(m2)が限られる場合があるため、この特定の向きは、予想される回収場所での物理的な設置面積を小さくするのに役立つ。加えて、縦向きの設計は、縦型トンタンクの実際の搬送に有利である。縦型トンタンクは、水平トンタンクの場合のように重力による損失が生じたり位置がおかしくなったりすることなく、フォークリフトに便利に積み込むことができる。縦型トンタンクの基部の設計もまた、生成物の搬送を改善する設計となっている。一設計オプションでは、縦型トンタンクの底部は、フォークリフトの歯部用の開口部を有する一体型パレットを有する。したがって、本開示のVTTは、可燃性冷媒を遠隔の回収処理場所に物理的に移動させるために安全かつ便利に使用することができる。
【0061】
圧力、可燃性及び体積は、R/R/Rプロセスで使用される冷媒に応じて、適切な設計コードに従う。米国では、例えば、縦型トンタンクはASMEの設計、構造及び圧力基準に従うが、EUでは、縦型トンタンクはADRに従い、日本では、縦型トンタンクはHPGLに従う。
【0062】
浸漬管の配向
改善されたVTTの別の一実施形態は、浸漬管の配置及び配向である。浸漬管はシリンダ設計にとって基本的なものであるが、次のセクションで説明するように、浸漬管の配置とフランジとの組み合わせ、並びに上部フランジ及び下部フランジに合わせた浸漬管の配向により、独自の生成物搬送が使用済み冷媒のR/R/Rにもたらされる。
図4及び
図5は、浸漬管を備える縦型トンタンク(VTT)の一実施形態の正面図及び側面図を示す。タンクの上部及び底部に1/2インチ及び1インチの接続部を有する浸漬管62及び65が示されている。上部フランジ60及び底部フランジ61への浸漬管62及び65の取り付け部も示されている。浸漬管62及び65の向き並びに、それが上部フランジ及び底部フランジとどのように嵌合するかに注目されたい。
【0063】
底部フランジ及び上部フランジ
設計変更されたVTTの有用性の別の一実施形態は、R/R/Rプロセスにも役立つフランジの追加及び配置である。VTTから別のVTT又は別の貯蔵容器にプロセス冷媒を搬送することができる一方で、VTT内にどの残留物が残っているかを確認するために、VTT内に入り込むことが可能であることが望ましい場合がある。したがって、VTTは、(上部フランジ60)及び(底部フランジ61)として表記されている2つのより大きなフランジを含むように設計されている。底部フランジ及び上部フランジは、VTTタンクを開けて、目視検査又はボアスコープなどのスコープ法による容易な検査を行うのに役立つ。フランジはまた、使用済み冷媒不純物から収集され得るあらゆるデブリの容易な除去を助ける。フランジを
図4及び
図5に示す。
【0064】
フランジからバルブへの配管
設計変更されたVTTにおける別の一実施形態は、フランジからバルブへの配管/接続の配置及び設計である。図から分かるように、底部フランジは、フランジからのより大きいドレイン管及び小さいドレイン管の両方を有する。
図6は、ドレイン管の配置及び配向を示す。
【0065】
図7及び
図8は、(VTT)の底部の上面図及び側面図である。これらの図は、要素をより詳細に示し、それらがどのように主底部フランジへと構成されるかを示す。より小さい配管の詳細は、1/2インチ管64に接続し、次いでコネクタへとつながる要素83、84、85(より小さいフランジ)として示されている。より大きい配管の詳細は、1インチ管63に接続する要素87、88及び89として示されている。
【0066】
部品リスト
【0067】
【0068】
ガスケット
別の設計要素は、ガスケットから更なる汚染が生じないようにする、図に示すようなPTFEガスケットの追加である。PTFEガスケットは、HFOタイプの生成物では無害であることが判明しており、したがって、この設計と組み合わせて使用する必要がある。
【0069】
バルブ
別の独自の設計要素は、冷媒移送中に放出され得る冷媒の量を抑制するドライバルクカプラ(DBC)の追加である。ドライバルクカプラは、ロック解除機構が係合するまで生成物の移送を停止する特定のロック機構を有する。生成物は、ロック解除機構が係合された後に移送される。この機構は、可燃性生成物の放出を1グラム未満に低減させ、このVTT設計では非常に望ましい。DBCはまた、DBCの結合及び結合解除中に放出される冷媒が、典型的には1グラム未満であるため、冷媒の持続可能な搬送を助ける。DBCをこのプロセスに組み合わせることにより、生成物の移送が容易になり、安全性が向上し、冷媒及び/又は汚染物質の意図しない曝露が抑制される。これらは、図面中の要素122、124及び125である。要素123は、金属配管からDBCへのアダプタである。DBCブランドは、一般に、Denver Gardner TODO、Econostoバルブ、及びDixonバルブとして知られている。
【0070】
底部カラー
特別に設計されたVTTは、VTTに付随する底部バルブを保護するために定位置にラッチする底部カラーを有する。カラーは、フォークリフトの歯が下側バルブ及び/又はフランジに当たらないようにすることで、生成物を保護する。更に、底部カラーをジップロックで係止して、偽造防止のための検出を補助することができる。認証されたジップロックの制動が、生成物が不正に開封された可能性があることを示してもよい。
【0071】
カラーがバルブにどのように適合するかの説明については、
図9を参照されたい。
図10は、タンクが外部に接続されていない時にバルブを更に保護することの可能な保護ドアを示す。
【0072】
図1の例では、未再生の冷媒組成物115は、受容タンク120から処理ユニット130に移送されてもよい。処理ユニット130は、未再生の冷媒組成物115に作用して、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の未再生の冷媒組成物115成分の濃度を所定の閾値未満に低減させる1つ以上の処理モジュールを含む。いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115を第1の処理で処理して、部分的に再生された冷媒組成物を形成してもよい。
【0073】
一実施形態では、処理ユニット130は、ブレンドモジュール131を含む。ブレンドモジュール131は、未再生の冷媒組成物115又は部分的に再生された冷媒組成物に組成物を添加して、1つ以上の成分の濃度を変更する。変更により、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に変更され得る。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える。
【0074】
一実施形態では、処理ユニット130は、移送モジュール132を含む。移送モジュール132は、未再生の冷媒組成物115又は部分的に再生された冷媒組成物の少なくとも一部を再生タンクに移送する。冷媒組成物の移送により、未再生の冷媒組成物115の1つ以上の成分の濃度が変更される。いくつかの実施形態では、移送により、再生タンクが部分的に充填される。
【0075】
いくつかの実施形態では、非共沸(又は共沸)冷媒を含む冷媒混合物を再生タンクに充填するための方法が、移送前の冷媒混合物の液相中の冷媒組成物の少なくとも1つの成分の割合を特定の範囲に調整することを含む。いくつかの実施形態では、冷媒組成物は、移送モジュール132による処理の前に、ブレンドモジュール131によって処理され得る。
【0076】
混合比を、冷媒組成物供給源から、冷媒混合物の最大充填量の100重量%未満の量の冷媒組成物で充填される再生容器に移送される前の部分的に再生された冷媒組成物又は未再生の冷媒組成物115に関して、以下に説明する。
【0077】
本明細書で使用される用語「最大充填量」(最大充填量の100重量%)は、例えば、米国運輸省(US DOT)、欧州連合ADR、欧州道路危険物国際輸送協定(ADR)、及び日本の高圧ガス保安法などの規制機関が定める、容器に充填可能な最大量をいう。これらの輸送規制によれば、最大充填量は以下のように算出される:
G=V/C
G:フルオロカーボンの質量(kg)
V:容器の容量(L)
C:容器に充填されているフルオロカーボンの種類及び規制で定義されている温度又は圧力限界に応じた定数。
【0078】
未再生の冷媒組成物115が再生容器を部分的に満たすと、各成分の一部が気化して再生容器内の残りの空間を満たす。非共沸組成物の場合、蒸気中の低沸点成分の相対的割合は、液体の未再生の冷媒組成物115中の低沸点成分の割合よりも大きい。したがって、液体の未再生の冷媒組成物の高沸点成分に対する低沸点成分の割合は、移送によって変更される。
【0079】
いくつかの実施形態では、目標組成物は非共沸組成物を含む。いくつかの実施形態では、目標組成物は、少なくとも1つの一次成分を含む。未再生の冷媒組成物115は、少なくとも1つの一次成分に加えて、少なくとも1つの二次成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの一次成分は、目標組成物の所望の材料である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二次成分は、目標組成物の望ましくない成分である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの二次成分は、少なくとも1つの一次成分よりも低い沸点を示し得る。移送モジュール132による処理の間に、液体の未再生の冷媒組成物115に基づいて、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との比を増加させることができる。
【0080】
一実施形態では、処理ユニット130は、デカントモジュール133を含む。デカントモジュール133は、部分的に再生された冷媒組成物又は未再生の冷媒組成物115から1つ以上の不混和性材料を分離することができる。例えば、デカントモジュール133は、液体のうちの1つ以上をデカントモジュール132から吐出及び/又は流出させることによって、複数の不混和性液体を分離してもよい。一実施形態では、分離される液体は不純物であり、したがって、デカントモジュール133内に残っている未再生の冷媒組成物115から分離される。一実施形態では、分離される液体は、所望の冷媒組成物を含んでもよく、したがって、デカントモジュール132内に残っている1つ以上の不純物から所望の材料を分離してもよい。デカントにより、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に変更され得る。一実施形態では、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との比を、液体の未再生の冷媒組成物115に基づいて増加させることができる。いくつかの実施形態では、非凝縮性材料の濃度を変更することで、AHRI 700(米国暖房冷凍空調工業会規格、「フルオロカーボン冷媒規格」、AHRI 700、2016年9月)に従い、25℃で1.5体積%未満の濃度としてもよい。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える。
【0081】
一実施形態では、処理ユニット130は、蒸留モジュール133を含む。蒸留モジュール134は、部分的に再生された冷媒組成物又は未再生の冷媒組成物115から1つ以上の材料を分離することができる。例えば、蒸留モジュール134は、1つ以上の材料を蒸留モジュール134から蒸留することによって、未再生の冷媒組成物115から1つ以上の不純物を分離してもよい。一実施形態では、分離される材料は不純物であり、したがって、蒸留モジュール134内に残っている未再生の冷媒組成物115から分離される。一実施形態では、分離される材料は、所望の冷媒組成物を含んでもよく、したがって、蒸留モジュール134内に残っている1つ以上の不純物から所望の材料を分離してもよい。蒸留により、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に変更され得る。一実施形態では、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との比を、液体の未再生の冷媒組成物115に基づいて増加させることができる。いくつかの実施形態では、非凝縮性材料の濃度を変更することで、AHRI 700に従い、25℃で1.5体積%未満の濃度としてもよい。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える。
【0082】
一実施形態では、処理ユニット130は、濾過モジュール135を含む。濾過モジュール135は、部分的に再生された冷媒組成物又は未再生の冷媒組成物115から1つ以上の不溶性微粒子を分離することができる。例えば、濾過モジュール135は、濾過によって、未再生の冷媒組成物115から複数の不溶性粒子を分離してもよい。いくつかの実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、少なくとも0.01マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.03マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.05マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.08マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.1マイクロメートルのスクリーン、又は少なくとも0.15マイクロメートルのスクリーンを通して濾過される。一実施形態では、未再生の冷媒組成物115は、0.1マイクロメートルのスクリーンを通して濾過される。濾過により、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に変更され得る。一実施形態では、少なくとも1つの一次成分と少なくとも1つの二次成分との比を、液体の未再生の冷媒組成物115に基づいて増加させることができる。一実施形態では、1つ以上の成分の濃度を変更することで、油濃度を、0.5重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、更により好ましくは0.0025重量%未満、22重量百万分率(ppm)未満としてもよい。一実施形態では、1つ以上の成分の濃度を変更することで、染料の濃度を低減させることができる。一実施形態では、未再生の冷媒組成物115の色は、3未満のガードナー色値に変更される。
【0083】
一実施形態では、処理ユニット130は、スクラブモジュール136を含む。スクラブモジュール136は、未再生の冷媒組成物115を処理組成物と接触させることによって、未再生の冷媒組成物115を処理することができる。いくつかの実施形態では、処理組成物は、苛性/塩基性スクラバであってもよい。例えば、スクラブモジュール136は、未再生の冷媒組成物115を苛性溶液と接触させて、酸部分を含む成分を除去してもよい。一実施形態では、未再生の冷媒組成物115を、ベンチュリスクラバを使用して水酸化ナトリウム水溶液と接触させる。スクラブにより、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に変更され得る。一実施形態では、1つ以上の成分の濃度を変更することで、未再生の冷媒組成物115の全酸価(TAN)を2グラム当たり2ミリグラムKOH未満としてもよい。一実施形態では、1つ以上の成分の濃度を変更することで、AHRI 700に従い、HClとして1重量ppm未満の酸性レベルとしてもよい。いくつかの実施形態では、得られたスクラブされた未再生の冷媒組成物115を更に収集し、乾燥させて、残留水を除去してもよい。
【0084】
一実施形態では、処理ユニット130は、脱水モジュール137を含む。脱水モジュール137は、未再生の冷媒組成物115から水を除去するために使用され得る。例えば、脱水モジュール137は、未再生の冷媒組成物115を、分子篩などの乾燥剤と接触させてもよい。脱水により、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の不純物の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に低減され得る。一実施形態では、スクラブされた未再生の冷媒組成物115を脱水モジュール137に通すことによって、スクラブされた未再生の冷媒組成物115を脱水することができる。いくつかの実施形態では、水分濃度を変更することで、AHRI 700に従い、水分レベルを20重量ppm未満としてもよい。一実施形態では、水分濃度を変更することで、AHRI 700に従い、水分レベルを10重量ppm未満、又はAHRI 700に従い、水分レベルを5重量ppm未満としてもよい。
【0085】
一実施形態では、処理ユニット130は、不活性ガスパージモジュール138を含む。不活性ガスパージモジュール138は、未再生の冷媒組成物115を、窒素、アルゴン、又はキセノンなどの不活性ガスと接触させて、未再生の冷媒組成物115中の溶解した反応性ガスを置換してもよい。一実施形態では、不活性ガスは、乾燥窒素を含み得る。不活性ガスパージにより、未再生の冷媒組成物115中の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に変更され得る。一実施形態では、非凝縮性ガス(NCG)又は非吸収性ガス(NAG)の濃度を変更することで、濃度を、AHRI 700に従い、25℃で1.5体積%未満、好ましくは、AHRI 700に従い、25℃で0.9体積%未満としてもよい。NAGは、典型的には、冷媒液相への空気の溶解度が極めて低い冷媒の気相中に蓄積された空気(典型的には、78%窒素、21%酸素、及び約1%のアルゴンから構成される)を含む。冷媒内に含まれるNAGの総量を減少させることが重要であり得るが、典型的には、NAGの酸素含有部分を窒素部分よりも優先的に減少させることがより望ましい。酸素含有部分は、特定の状況下では、冷媒の分解傾向を助長するか、又は望ましくないポリマー材料を形成する可能性がある。
【0086】
一実施形態では、処理ユニット130は、非吸収性ガス(NAG)還元ユニット139を含む。
【0087】
NAG還元ユニット139は、未再生の冷媒組成物を、未再生の冷媒組成物の酸素又は他の酸化可能な成分と反応し得る金属粉末などの還元剤と接触させることができる。一実施形態では、還元剤は鉄粉末を含んでもよい。NAG還元ユニット139による処理により、未再生の冷媒組成物において、未再生の冷媒組成物の1つ以上の成分の濃度が、1つ以上の所定の閾値未満に低減され得る。一実施形態では、非凝縮性材料の濃度を変更することで、濃度を、AHRI 700に従い、25℃で1.5体積%未満、好ましくは、AHRI 700に従い、25℃で0.9体積%未満としてもよい。
【0088】
別の一実施形態では、凝縮器が、冷媒を凝縮させ、NAGを最小限の冷媒損失で通過させるのに十分に冷たい冷却媒体と共に使用される。圧力を上昇させ、冷媒をより高い温度で凝縮させやすくするために、圧縮器を凝縮器と共に使用してもよい。
【0089】
更に別の一実施形態では、NAGは膜を通過することができ、除去されるが、冷媒は通過しないように膜が配置されていることにより、NAGが冷媒から分離される。
【0090】
処理ユニット130のモジュールは、単独で又は組み合わせて使用することができる。未再生の冷媒組成物115は、処理ユニット130のモジュールのいずれかによって1回以上処理されてもよい。処理ユニット130の1つ以上のモジュールによる1回以上の処理により、未再生の冷媒組成物115が再生された冷媒組成物になり、1つ以上の不純物の全ての濃度が1つ以上の所定の閾値未満に低減され得る。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物は、未使用材料と同等の不純物レベルを示す。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.7重量%を超える。いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.9重量%を超える。
【0091】
図1に示すように、再生された冷媒組成物は、処理ユニット130から使用タンク140に移送されてもよい。使用タンク140は、再生材料と未使用材料との両方を含んでもよい。使用タンク140は、冷蔵システムに直接接続され、冷蔵システムに冷媒を供給するように構成されてもよい。あるいは、使用タンク140は、分配タンク150に接続されてもよい。使用タンク140は、典型的にはより小さい分配タンク150に冷媒を供給してもよい。その後、分配タンク150は、使用場所に輸送され、冷蔵システム又は顧客貯蔵タンクに冷媒を供給するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、使用タンク140又は分配タンク150の冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.5重量%を超える。いくつかの実施形態では、使用タンク140又は分配タンク150の冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.7重量%を超える。いくつかの実施形態では、使用タンク140又は分配タンク150の冷媒組成物の純度が、冷媒組成物の総重量に基づいて99.9重量%を超える。
【0092】
いくつかの実施形態では、再生された冷媒組成物に添加剤を添加してもよい。一実施形態では、添加剤は、再生された冷媒組成物に基づいて0.4重量%未満の濃度で存在する。一実施形態では、添加剤は阻害剤を含み得る。一実施形態では、阻害剤は、リモメン、α-テルピネン、α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、4-メトキシフェノール、又はベンゼン1,4-ジオールのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一実施形態では、阻害剤は、-70℃~180℃の融点を有する材料を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される再生された冷媒組成物は、1つ以上の任意の潤滑剤、染料(紫外線染料を含む)、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサ、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食及び酸化防止剤、金属表面エネルギー減少剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調節剤、並びにそれらの混合物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、任意の非冷媒組成物は、添加剤と称されることもある。実際に、これらの任意選択的な非冷媒成分の多くは、1つ以上のこれらの分類に適合し、それら自体が1つ以上の性能特徴の達成に役立つ品質を有し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非冷媒成分は、組成物全体に対して少ない量で存在する。いくつかの実施形態では、開示される組成物における添加剤(複数可)の濃度の量は、全組成物の、約0.1重量%未満~約5重量%と同程度までである。本発明のいくつかの実施形態では、添加剤が、全組成物の約0.1重量%~約5重量%又は約0.1重量%~約3.5重量%の量で開示された組成物中に存在する。一実施形態では、添加剤は、再生された冷媒組成物に基づいて0.4重量%未満の濃度で存在する。開示される組成物に対して選択される添加剤成分(複数可)は、実用性及び/又は個々の設備構成要素、若しくはシステムの要件に基づいて選択される。
【0095】
一実施形態では、潤滑剤は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、リン酸エステル、パラフィン、ナフテン、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0096】
本明細書に開示する潤滑剤は、市販の潤滑剤であってよい。例えば、潤滑剤は、BVM 100NとしてBVA Oilより販売されているパラフィン鉱油、商標名Suniso(登録商標)1GS、Suniso(登録商標)3GS及びSuniso(登録商標)5GSでCrompton Co.より販売されているナフテン系鉱油、商標名Sontex(登録商標)372LTでPennzoilにより販売されているナフテン系鉱油、商標名Calumet(登録商標)RO-30でCalumet Lubricantsにより販売されているナフテン系鉱油、商標名Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150及びZerol(登録商標)500でShrieve Chemicalsにより販売されている直鎖アルキルベンゼン、HAB22としてNippon Oilより販売されている分枝鎖アルキルベンゼン、商標名Castrol(登録商標)100でCastrol,United Kingdomにより販売されているポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Michigan)のRL-488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、及びこれらの混合物(本章で開示される任意の混合物を意味する)であってもよい。
【0097】
潤滑剤を含む本発明の組成物では、潤滑剤は、全組成物の40.0重量%未満の量で存在する。他の実施形態において、潤滑剤の量は、全組成物の20重量%未満である。他の実施形態において、潤滑剤の量は、全組成物の10重量%未満である。他の実施形態では、潤滑剤のおおよその量は、全組成物の約0.1重量%~5.0重量%である。
【0098】
本明細書に開示する組成物の上記重量比にも関わらず、いくつかの伝熱システムでは、本組成物が使用されている間、そのような伝熱システムの1つ以上の設備構成要素から追加の潤滑剤が得られる可能性があることが理解されている。例えば、いくつかの冷蔵システム、空調システム及びヒートポンプシステムでは、圧縮器及び/又は圧縮器潤滑サンプ内に潤滑剤を充填してもよい。このような潤滑剤は、任意の潤滑添加剤に加えて、このようなシステムの冷媒中に存在する。使用中、圧縮器内にある時、冷媒組成物は、ある量の設備潤滑剤を捕捉して、冷媒-潤滑剤組成物を出発比率から変更してもよい。
【0099】
本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、少なくとも1つの染料を含んでいてよい。染料は、少なくとも1つの紫外線(ultra-violet、UV)染料であってもよい。紫外線染料は、蛍光染料であってよい。蛍光染料は、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン(phenanthracene)、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン及び当該染料の誘導体及びこれらの組み合わせ(本章で開示されている当該染料又はこれらの誘導体の任意の混合物を意味する)からなる群から選択されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、開示する組成物は、約0.001重量%~約1.0重量%の紫外線染料を含有する。他の実施形態では、紫外線染料は約0.005重量%~約0.5重量%の量で存在し、他の実施形態では、紫外線染料は全組成物の0.01重量%~約0.25重量%の量で存在する。
【0101】
紫外線染料は、機器(例えば、冷蔵ユニット、空調器、又はヒートポンプ)中での漏出点又は漏出点近傍において染料の蛍光を観察することができることから、組成物の漏出を検出するにあたって有用な成分である。紫外線発光(例えば、染料からの蛍光)は、紫外線光下で観察されてもよい。したがって、こうした紫外線染料を含有する組成物が装置中の所与の点から漏出した場合、蛍光は、漏出点又は漏出点の近傍で検出され得る。
【0102】
本発明の組成物と共に使用され得る別の非冷媒成分は、本開示の組成物中において1つ以上の染料の溶解度を改善するために選択される少なくとも1つの可溶化剤を含めてもよい。いくつかの実施形態では、染料の可溶化剤に対する重量比は、約99:1~約1:1の範囲である。可溶化剤としては、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム又はこれらの混合物)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル及び1,1,1-トリフルオロアルカン及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の可溶化剤の混合物を意味する)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、非冷媒成分は、1つ以上の潤滑剤と開示する組成物との相溶性を改善するために少なくとも1つの相溶剤を含む。相溶剤は、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム又はこれらの混合物)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル、1,1,1-トリフルオロアルカン、及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の相溶化剤の混合物を意味する)からなる群から選択してもよい。
【0104】
可溶化剤及び/又は相溶剤は、ジメチルエーテル(dimethyl ether、DME)など、炭素、水素及び酸素のみを含むエーテルからなる炭化水素エーテル、並びにこれらの混合物(本章で開示されている任意の炭化水素エーテルの混合物を意味する)からなる群から選択されてもよい。
【0105】
相溶剤は、3~15個の炭素原子を含有する直鎖又は環式脂肪族又は芳香族炭化水素相溶剤であり得る。相溶化剤は、中でも、プロピレン及びプロパンを含む少なくともプロパン、n-ブタン及びイソブテンを含むブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン及びシクロペンタンを含むペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、並びにデカンからなる群から選択され得る少なくとも1つの炭化水素であり得る。市販の炭化水素相溶化剤としては、これらに限定されるものではないが、Exxon Chemical(USA)から商標名Isopar(登録商標)Hで販売されているもの、ウンデカン(C11)とドデカン(C12)の混合物(高純度C11~C12イソパラフィン)、Aromatic 150(C9~C11芳香族)(Aromatic 200(C9~C15芳香族)及びNaptha140(C5~C11パラフィン、ナフテン及び芳香族炭化水素の混合物)及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の炭化水素の混合物を意味する)が挙げられる。
【0106】
相溶剤は、代替的に、少なくとも1つのポリマー性相溶剤であってもよい。ポリマー相溶剤は、フッ素化アクリレート及び非フッ素化アクリレートのランダムコポリマーであってよく、ポリマーは、式CH2=C(R1)CO2R2、CH2=C(R3)C6H4R4、及びCH2=C(R5)C6H4XR6(式中、Xは酸素又は硫黄であり、R1、R3、及びR5が、H及びC1~C4のアルキルラジカルからなる群から独立して選択され、並びにR2、R4、及びR6がC及びFを含有する炭素鎖系ラジカルからなる群から独立して選択され、チオエーテル、スルホキシド、又はスルホン基及びそれらの混合物の形態でH、Cl、エーテル酸素、若しくは硫黄を更に含有し得る)で表される少なくとも1つのモノマーの繰り返し単位を含む。かかるポリマー性相溶化剤の例としては、商標名Zonyl(登録商標)PHSでE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE,19898,USA)から市販されているものが挙げられる。Zonyl(登録商標)PHSは、40重量%のCH2=C(CH3)CO2CH2CH2(CF2CF2)mF(Zonyl(登録商標)フルオロメタクリレート又はZFMとも称される)であり、式中、mが、1~12、主に2~8であるものと、60重量%のラウリルメタクリレート(CH2=C(CH3)CO2(CH2)11CH3(LMAとも称される)とを重合することによって作製されたランダムコポリマーである。
【0107】
いくつかの実施形態では、相溶剤成分は、潤滑剤の金属への粘着性を低減させる方法で、熱交換器中で見出される金属銅、アルミニウム、鋼、又は他の金属及びその合金の表面エネルギーを低減させる添加剤約0.01~30重量%(相溶剤の総量を基準にして)を含有する。金属表面エネルギーを低下させる添加剤の例としては、商標名Zonyl(登録商標)FSA、Zonyl(登録商標)FSP及びZonyl(登録商標)FSJにてDuPontから市販されているものが挙げられる。
【0108】
本発明の組成物と共に使用され得る他の任意選択的な非冷媒成分は、金属表面不活性化剤であってもよい。金属表面不活性化剤には、アレオキサリル(areoxalyl)ビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629-10-3)、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687-78-8)、2,2,-オキサミドビス-エチル-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート(CAS登録番号70331-94-1)、N,N-(ジサリシクリデン(disalicyclidene))-1,2-ジアミノプロパン(CAS登録番号94-91-7)、及びエチレンジアミンテトラ-酢酸(CAS登録番号60-00-4)及びその塩、並びにそれらの混合物(本章に開示される金属表面不活性化剤のうちのいずれかの混合物を意味する)からなる群から選択される。
【0109】
本発明の組成物と共に使用される任意の非冷媒成分は、代替として、ヒンダードフェノール類、チオホスフェート類、ブチル化トリフェニルホスホロチオナト類、オルガノホスフェート類又はホスファイト類、アリールアルキルエーテル類、テルペン類、テルペノイド類、エポキシド類、フッ素化エポキシド類、オキセタン類、アスコルビン酸、チオール類、ラクトン類、チオエーテル類、アミン類、ニトロメタン、アルキルシラン類、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド類、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン性液体、及びそれらの混合物であって、本段落に開示の安定化剤のいずれかの混合物、からなる群から選択される安定化剤であってもよい。
【0110】
安定剤は、以下からなる群から選択され得る:トコフェロール;ヒドロキノン;t-ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート、及びジチオホスフェート(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland(以後「Ciba」)から商標名Irgalube(登録商標)63として市販);ジアルキルチオリン酸エステル(Cibaからそれぞれ商標名Irgalube(登録商標)353及びIrgalube(登録商標)350として市販);ブチル化トリフェニルホスホロチオネート(Cibaから商標名Irgalube(登録商標)232として市販);アミンホスフェート(Cibaから商標名Irgalube(登録商標)349(Ciba)として市販);ヒンダードホスファイト(CibaからIrgafos(登録商標)168として市販)、及びトリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Cibaから商標名Irgafos(登録商標)OPHとして市販);(ジ-n-オクチルホスファイト)、及びイソ-デシルジフェニルホスファイト(CibaからIrgafos(登録商標)DDPPとして市販);トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート、リン酸トリクレシル及びトリキシレニルホスフェートを含むトリアリールホスフェート、並びにイソプロピルフェニルホスフェート(IPPP)及びビス(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP)を含む混合アルキルアリールホスフェート;Syn-O-Ad(登録商標)8784など、商標名Syn-O-Ad(登録商標)にて市販されているものなどのブチル化トリフェニルホスフェート;商標名Durad(登録商標)620として市販のものなどのtert-ブチル化トリフェニルホスフェート;商標名Durad(登録商標)220及びDurad(登録商標)110で市販されているものなどのイソプロピルトリフェニルホスフェート;アニソール;1,4-ジメトキシベンゼン;1,4-ジエトキシベンゼン;1,3,5-トリメトキシベンゼン;ミルセン、アロオシメン、リモネン(特にd-リモネン);レチナール;ピネン;メントール;ゲラニオール;ファルネソール;フィトール;ビタミンA;テルピネン;δ-3-カレン;テルピノレン;フェランドレン;フェンチェン;ジペンテン;リコピンなどのカラテノイド(caratenoids)、βカロチン、及びゼアキサンチンなどのキサントフィル;ヘパキサンチン及びイソトレチノインなどのレチノイド;ボルナン;1,2-プロピレンオキシド;1,2-ブチレンオキシド;n-ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1-ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;3-エチル-3-ヒドロキシメチル-オキセタン(例えば、OXT-101(Toagosei Co.,Ltd));3-エチル-3-((フェノキシ)メチル)-オキセタン(例えば、OXT-211(Toagosei Co.,Ltd));3-エチル-3-((2-エチル-ヘキシルオキシ)メチル)-オキセタン(例えば、OXT-212(Toagosei Co.,Ltd));アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);コエンザイムA;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)-2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-チオール));システイン((R)-2-アミノ-3-スルファニル-プロパン酸);リポアミド(1,2-ジチオラン-3-ペンタンアミド);5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-[2,3(又は3,4)-ジメチルフェニル]-2(3H)-ベンゾフラノン(Cibaから商標名Irganox(登録商標)HP-136として市販);ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;商標名Irganox(登録商標)PS802(Ciba)でCibaから市販されているジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート;ジドデシル3,3’-チオプロピオネート(Cibaから商標名Irganox(登録商標)PS800として市販);ジ-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(Cibaから商標名Tinuvin(登録商標)770として市販);ポリ-(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート(Cibaから商標名Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)として市販);メチルビスタローアミン;ビスタローアミン;フェノール-α-ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5-ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’-ジヒドロキシアセトフェノン;2-アミノベンゾフェノン;2-クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン性液体並びにその混合物及びそれらの組み合わせ。
【0111】
本発明の組成物と共に使用される任意の非冷媒組成物は、代替として、イオン性液体安定化剤であってもよい。イオン性液体安定剤は、室温(およそ25℃)で液体である有機塩からなる群から選択され得、それらの塩は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、及びトリアゾリウム、並びにそれらの混合物からなる群から選択される陽イオン;並びに[BF4]-、[PF6]-、[SbF6]-、[CF3SO3]-、[HCF2CF2SO3]-、[CF3HFCCF2SO3]-、[HCClFCF2SO3]-、[(CF3SO2)2N]-、[(CF3CF2SO2)2N]-、[(CF3SO2)3C]-、[CF3CO2]-、及びF-、並びにそれらの混合物からなる群から選択される陰イオンを含有する。いくつかの実施形態では、イオン性液体安定剤は次からなる群から選択される;emim BF4(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩)、bmim BF4(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラボラート);emim PF6(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);及びbmim PF6(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)からなる群から選択され、これらの全ては、Fluka(Sigma-Aldrich)より入手可能である。
【0112】
いくつかの実施形態では、安定剤は、ヒンダードフェノールであり得、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,4-ジメチル-6-tertブチルフェノール;トコフェロール;などt-ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンの他の誘導体などを含むヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン;など、4,4’-チオ-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含むヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;4,4’-チオビス(3-メチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-チオビス(4メチル-6-tert-ブチルフェノール);など、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)を含むアルキリデン-ビスフェノール;4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2-、又は4,4-ビフェノールジオール誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール、2,2-又は4,4-ビフェニルジオール(2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)など);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、又は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、(2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール、4,4-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)を含むヘテロ原子を含むビスフェノール;など、アシルアミノフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);以下などのスルフィド;ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、並びにこれらの混合物(本項に開示されているフェノールのいずれかの混合物を意味する)など、1つ以上の置換又は環状直鎖又は分岐鎖脂肪族置換基を含むフェノールなどの任意の置換フェノール化合物である。
【0113】
いくつかの実施形態において、安定化剤は、以上に詳述したもののうち、単一の安定化化合物であってもよい。他の実施形態において、安定化剤は、詳述した同一のクラスに属する化合物であるか、又は異なるクラスに属する化合物であるかを問わず、これら安定化化合物のうちの2つ以上の混合物であってもよい。
【0114】
本発明の組成物と共に使用される任意の非冷媒組成物は、代替として、トレーサであってもよい。トレーサは、単一の化合物であってもよいが、同一の分類の化合物又は異なる分類の化合物の2つ以上のトレーサ化合物であってもよい。いくつかの実施形態において、トレーサは、組成物全体の重量に基づいて、約1重量百万分率(ppm)~約5000ppmの合計濃度で組成物中に存在する。他の実施形態において、トレーサは、約10ppm~約1000ppmの合計濃度で存在する。他の実施形態において、トレーサは、約20ppm~約500ppmの合計濃度で存在する。他の実施形態において、トレーサは、約25ppm~約500ppmの合計濃度で存在する。他の実施形態では、トレーサは、約50ppm~約500ppmの合計濃度で存在する。代替的に、トレーサは、全濃度約100ppm~約300ppmの合計濃度にて存在する。
【0115】
トレーサは、ヒドロフルオロカーボン類(HFC類)、重水素化ヒドロフルオロカーボン類、クロロフルオロカーボン類(CFC類)、ヒドロフルオロクロロカーボン類(HCFC類)、クロロカーボン類、パーフルオロカーボン類、フルオロエーテル類、臭素化化合物、ヨウ素酸化合物、アルコール類、アルデヒド類及びケトン類、亜酸化窒素及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、トレーサは、トリフルオロメタン(HFC-23)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、塩化メチル(R-40)、クロロフルオロメタン(HCFC-31)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、クロロペンタフルオロエタン(CFC-115)、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114)、1,1-ジクロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114a)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HFC-254cb)、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HFC-254eb)、1,1,1-トリフルオロプロパン(HFC-263fb)、1,1-ジフルオロ-2-クロロエチレン(HCFC-1122)、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチレン(CFC-1113)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC-43-10mee)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロヘプタン、ヘキサフルオロブタジエン、3,3,3-トリフルオロプロピン、ヨードトリフルオロメタン、重水素化炭化水素、重水素化ヒドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、フルオロエーテル類、臭素化化合物、ヨード化化合物、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、亜酸化窒素(N2O)、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、トレーサは、2つ以上のヒドロフルオロカーボン、又は1つ以上のパーフルオロカーボンと組み合わされた1つのヒドロフルオロカーボンを含有するブレンドである。他の実施形態において、トレーサは、少なくとも1つのCFCと、少なくとも1つのHCFC、HFC又はPFCと、のブレンドである。
【0116】
当該組成物の何らかの希釈、汚染、又は他の変更の検出を可能にするために、所定の量でトレーサが本発明の組成物に添加されてもよい。また、トレーサにより、競合の侵害生成物に対して特許権者の生成物を特定することにより、既存の特許権を侵害する生成物の検出を行えるようにしてもよい。更に、一実施形態において、トレーサ化合物により、生成物を生成する製造プロセスの検出を行えるようにすることで、ひいては、特定の製造プロセス化学に対する特許侵害の検出を行えるようにしてもよい。
【0117】
本発明の組成物と共に使用され得る添加剤は、代替的には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0284555号に詳細に記述されているようにパーフルオロポリエーテルであってもよい。
【0118】
非冷媒成分に好適であると上で記載した特定の添加剤は、冷媒として可能性があるものとして特定されていることが理解されるであろう。しかしながら、本発明によれば、これらの添加剤が使用される場合、本発明の冷媒混合物の新規かつ基本的特徴に影響を及ぼし得る量では存在しない。本発明の冷媒混合物及びそれらを含有する組成物は、HFC-32、HFO-1234yf、及びCO2以外の冷媒を、約0.5重量%以下で含有することが好ましい。
【0119】
いくつかの実施形態では、冷媒組成物の移送、処理、及び貯蔵は、ATEXガイドラインを満たす設備及びプロセスを使用して実施され得る。いくつかの実施形態では、設備及びプロセスは、指令99/92/EC(ATEX 137)及び/又は指令94/9/EC(ATEX 95)のうちの1つ以上を満たす。一実施形態では、処理ユニット130のモジュールの一部又は全ては、指令99/92/EC(ATEX 137)及び/又は指令94/9/EC(ATEX 95)のうちの1つ以上を満たす。一実施形態では、処理領域130の全てのモジュールは、指令99/92/EC(ATEX 137)及び/又は指令94/9/EC(ATEX 95)のうちの1つ以上を満たす。いくつかの実施形態では、帯電/放電を低減させることによって、発火源を低減させることができる。一実施形態では、設備は電気的に接地されてもよい。いくつかの実施形態では、冷媒組成物の移送、処理、及び貯蔵は、NFPAガイドラインを満たす設備及びプロセスを使用して実施され得る。いくつかの実施形態では、設備及びプロセスは、NFPA 497/NFPA 90及び/又はNFPA 69要件のうちの1つ以上を満たす。一実施形態では、処理ユニット130のモジュールの一部又は全ては、NFPA 497/NFPA 90及び/又はNFPA 69要件のうちの1つ以上を満たす。
【0120】
冷媒を再生する方法200を
図2に記載する。ブロック210において、未再生の冷媒組成物を供給源容器から受容容器に移送する。ブロック220において、受容容器をリサイクルセンターに輸送する。ブロック230において、未再生の冷媒組成物を分析して、未再生の冷媒組成物サンプル中の不純物の1つ以上の不純物レベルが1つ以上の所定の閾値を上回っていると判定する。ブロック240において、分析された未再生の冷媒組成物に基づいて、目標組成物を決定する。ブロック250において、目標組成物及び1つ以上の不純物レベルに基づいて、1つ以上の処理を決定する。ブロック260において、未再生の冷媒組成物を1つ以上の処理で処理して、再生された冷媒組成物を形成する。処理の間に、再生された冷媒組成物の1つ以上の不純物レベルが、1つ以上の所定の閾値未満に低減される。
【0121】
冷媒を再生する方法300を
図3に記載する。ブロック310において、未再生の冷媒組成物の分析結果を顧客から受け取る。ブロック320において、分析結果に基づいて目標組成物を決定する。ブロック330において、目標組成物に基づいて1つ以上の処理を決定する。ブロック340において、1つ以上の処理を実行するように構成された1つ以上の処理モジュールを含む移動式処理ユニットをディスパッチする。ブロック350において、移動式処理ユニットによって未再生の冷媒組成物を処理して、目標組成物を含む再生された冷媒組成物を形成する。いくつかの実施形態において、目標組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(E))、トランス-ジクロロエチレン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、又は1,1-ジフルオロメタンのうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、目標組成物は2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む。
【0122】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供されるものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例0123】
HFO-1234yf冷媒のサンプルを不揮発性残留物について試験し、残留物レベル(残留物>100重量ppm)を有することが判明した。このHFO-1234yfサンプルでは、冷媒が全て蒸発した時にのみ残留物が現れたため、残留物は硬質粒子状物質ではなく、ある種の溶解物質であり、メッシュスクリーンを介して除去することはできなかった。しかしながら、残留物の冷媒気相への溶解度が限られていることに基づいて、冷媒から残留物を分離することができる。ガス圧縮器を使用してHFO-1234yf冷媒の気相を移送することで、冷媒から残留物を分離することができる。残留物を元の容器内に残したまま、冷媒ガスを新しい容器に搬送する。元の容器内に残っているヒール又は冷媒を、焼却によって破壊してもよい。典型的には、蒸気回収プロセスでは、「再生された冷媒」の収率は、冷媒組成物に応じて約80~90%となり得る。冷媒蒸気の移動又は移送のために使用されるガス圧縮器は、再生される冷媒の可燃性及び圧力に基づいてフッ素化冷媒を適切に搬送することの可能な、任意の種類のオイルフリー工業用ガス圧縮器(縦型又は水平)であり得る。必要に応じて、単段又は二段圧縮器、あるいは複数のガス圧縮器の組み合わせを使用することが可能である。
【0124】
以下の規格を有するCorkenブランドの単段オイルフリー工業用ガス圧縮器を使用して、1つのISO容器から、洗浄されパージされたISO容器に冷媒を搬送した。
【0125】
【0126】
圧縮器は、最大100Cの温度カットアウト設定に設定した。
【0127】
蒸気回収プロセスからのデータを以下に示す:実施例1
【0128】
【0129】
再生された冷媒生成物は、NVR<50重量ppmを有することが判明し、冷媒としての使用に許容可能であると判定された。再生された冷媒は、様々な汚染物質密度を考慮して、NVR<20重量ppmを有するべきである。次いで、再生された冷媒をAHRI 700に従って分析し、HFO-1234yfの必要な規格を満たすと判断し、それにより、再生プロセスが生成物の純度、水分、酸、色又は他の放出特性に影響を与えなかったことを確認した。
冷媒を、未希釈の又は既存のブレンドを他の材料と再ブレンドして新たなブレンドを形成することによって、又は場合によっては改善された性能のブレンドを形成することによって処理することができる。これを、本明細書で言及される他のプロセスと併せて、又は、冷媒ブレンドの組成が目標組成物と適合しない場合には別々に行ってもよい。
生成物の組成変化を達成するためのブレンドは、望ましくない材料(高MW潤滑剤又はグリースなどの溶解ポリマー)が元の容器内に「ヒール」形態で残るように、再生された冷媒を移送することを必要とする。望ましくないヒール(潤滑剤又は溶解ポリマーを含有する)が元のISOの蒸気ヒール部分内に残るように、成分「A」として示される再生された冷媒を液体移送してもよい。次いで、新たな未使用の成分「B」を新たなISO容器に添加し、得られたブレンドが、新たな規格を満たす特性を有する「A」及び「B」の何らかの組成物となるようにしてもよい。