IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アーラ フーズ エイエムビーエイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170491
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】酸性βラクトグロブリン飲料調製物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/66 20060101AFI20241203BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241203BHJP
   A23L 33/19 20160101ALI20241203BHJP
【FI】
A23L2/00 J
A23L2/00 F
A23L2/66
A23L33/19
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151048
(22)【出願日】2024-09-02
(62)【分割の表示】P 2020573349の分割
【原出願日】2019-06-26
(31)【優先権主張番号】18180224.0
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18180212.5
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/067299
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/067316
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/067280
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520507335
【氏名又は名称】アーラ フーズ エイエムビーエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、セレン バング
(72)【発明者】
【氏名】ラウリドセン、カスペル ベーゲルンド
(72)【発明者】
【氏名】イエーガー、ターニャ クリスティーネ
(72)【発明者】
【氏名】センデルガールド、コーレ
(72)【発明者】
【氏名】デ モーラ マシエル、ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ベルテルセン、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】パルジコラエイ、ベーナズ ラジ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ホエイタンパク質を含み、改善された官能特性及び/又は視覚特性を有する、酸性の包装された熱処理飲料調製物を提供する。
【解決手段】以下を含む、2~4.7の範囲のpHを有し、包装された熱処理済み調製物である。
a)飲料の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質、その少なくとも85%w/wはβラクトグロブリン(BLG)である、ならびに
b)任意に甘味料、糖ポリマー及び/又は香料
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、2~4.7の範囲のpHを有し、包装された熱処理済み調製物:
-前記飲料の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質、その少なくとも85%w/wはβラクトグロブリン(BLG)である、ならびに
-任意に甘味料、糖ポリマー及び/又は香料。
【請求項2】
少なくとも低温殺菌されている、請求項1に記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項3】
無菌である請求項1に記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項4】
飲料調製物のタンパク質画分が少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、請求項1から3のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項5】
飲料調製物のタンパク質画分が1.11未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、請求項1から4のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項6】
タンパク質画分が最大で10%のタンパク質変性度を有する、請求項1から5のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項7】
最大で10%のタンパク質変性度を有する、請求項1から6のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項8】
3.0~4.3の範囲のpHを有する、請求項1から7のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項9】
飲料調製物のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する、請求項1から8のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物、デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【請求項10】
CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する、請求項1から9のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物、デルタb=室温で測定されたb6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【請求項11】
Na、K、Mg及びCaの量の和が最大で750mMである、請求項1から10のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項12】
最大で200NTUの濁度を有する、請求項1から11のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項13】
200NTUより大きい濁度を有する、請求項1から12のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項14】
タンパク質画分が3000gで5分間の遠心分離後、最大で15%の不溶性物質を含有する、請求項1から13のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項15】
100/秒のせん断速度で、摂氏22度で測定して、最大で200cPセンチポアズの粘度を有する、請求項1から14のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項16】
凝集抑制剤を含まない、請求項1から15のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項17】
飲料の重量に対して4.0~35%w/w、好ましくは4.0~30%w/wの総量のタンパク質を含む、請求項1から16のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項18】
炭水化物を調製物の総エネルギー含有量の0~95%の範囲でさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項19】
脂質含有量として調製物の総エネルギー含有量の0~60%でさらに有する、請求項1から18のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項20】
各主要な非BLGホエイタンパク質が以下のように存在する請求項1から19のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物:
総タンパク質に対する重量パーセントとして、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対して、最大で20%で、好ましくは最大で15%、より好ましくは最大で10%、さらにより好ましくは最大で6%で、最も好ましくは最大で4%で、存在する。
【請求項21】
BLG単離物を含む、請求項1から20のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項22】
以下を含む、2~4.7の範囲のpHを有する、包装された熱処理済み調製物を製造する方法工程:
a)
-2~45重量%の総量の、その少なくとも85%がBLGであるタンパク質と、
-任意に、甘味料、糖ポリマー及び/又は香料と
を含む液体溶液を提供すること、
b)前記液体溶液を包装すること、
工程a)の前記液体溶液及び/又は工程b)の包装された前記液体溶液は少なくとも低温殺菌を含む熱処理に供される。
【請求項23】
溶液の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質を含み、その少なくとも85w/w%がBLGであるタンパク質溶液の、2.0~4.7の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の濁度を制御するための使用。
【請求項24】
溶液の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質を含み、その少なくとも85w/w%がBLGであるタンパク質溶液の、2.0~4.7の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の渋味を制御するための使用。
【請求項25】
タンパク質吸収不良に関連する疾患を治療する方法において使用するための、請求項1から21のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物。
【請求項26】
栄養補助食品としての請求項1から21のいずれかに記載の包装された熱処理済み調製物の使用。
【請求項27】
運動前、運動中又は運動後に摂取される、請求項26に記載の包装された熱処理済み調製物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2.0~4.7の範囲のpHを有する、新たな包装された熱処理飲料調製物に関する。本発明はさらに、包装された熱処理飲料調製物を製造する方法、及び包装された熱処理飲料調製物のさまざまな使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホエイタンパク質を含む栄養補助食品は、筋肉合成、体重管理、ならびに筋肉及び体重の維持に一般的に使用されている。栄養補助食品は、さまざまな種類の消費者、例えばスポーツをする人、アスリート、子供、高齢者、ならびに栄養失調のあるもしくはそのリスクがある、及び/又はタンパク質の必要量が増加している患者を対象としている。
ホエイタンパク質は、乳清又はホエイから単離することができる。ホエイは、典型的にはβラクトグロブリン(BLG)、αラクトアルブミン(ALA)、血清アルブミン、及び免疫グロブリンの混合物を含み、この中でBLGが最も優勢である。したがって、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)は、これらのタンパク質の混合物を含む。ホエイタンパク質単離物(WPI)は、WPCよりも含有する脂肪及びラクトースが少ない。
ホエイタンパク質を含む酸性熱処理飲料などの、ホエイタンパク質を含む飲料は周知である。
【0003】
Etzel 2004(Etzel,M.R.、2004、Manufacture and use of dairy protein fraction.American Society for Nutritional Science、996~1002頁)は、pH2~7で2.5重量%のWPIを含有する飲料を記載している。彼らは、熱処理に供された飲料が、凝集抑制剤を添加した場合にのみ入手できることを見出した。
【0004】
国際公開第2018/115520号パンフレットは、食用の単離されたβラクトグロブリン組成物及び/又は塩溶型のBLGの結晶化に基づく結晶化βラクトグロブリンを含有する組成物を製造する方法を開示している。その後、結晶化BLGは、残りの母液から分離されうる。
【0005】
国際公開第2004/049819号パンフレットは、溶液中、1つ又は複数の球状タンパク質が少なくとも部分的にフィブリルに凝集している1つ又は複数の球状タンパク質の溶液を提供する工程と;以下の工程:pHを上昇させる工程;塩濃度を増加させる工程;溶液を濃縮する工程;及び溶液の溶媒品質を変化させる工程のうちの1つ又は複数をランダムな順序で実施する工程とを含む、球状タンパク質の機能特性を改善する方法を開示している。好ましくは、1つ又は複数の球状タンパク質の溶液が、低pHでの加熱又は変性剤の添加によって提供される。このようにして得られたタンパク質添加物、食品及び非食品用途のためのその使用、ならびにタンパク質添加物を含有する食品及び非食品製品も開示されている。
【0006】
国際公開第2014/055830号パンフレットは、2.5~4.6の範囲のpHを有し、水と;200~1700mg/LのEGCgを提供するのに十分な量の少なくとも1つのEGCg源と;25~45g/Lの総タンパク質を提供するのに十分な量の少なくとも1つのタンパク質源とを含む常温保存可能な清澄な液体栄養組成物を開示している。常温保存可能な清澄な液体栄養組成物は、組成物の初期配合物に存在するEGCg含有量の固形分の20重量%以下を、加熱滅菌中にエピマー化、分解、又はエピマー化と分解の両方に失う。一定の実施形態では、EGCgの損失が、加熱滅菌後の常温保存可能な清澄な液体栄養組成物中に存在するエピマー化生成物GCgの量によって示される。常温保存可能な清澄な液体栄養組成物を調製する方法も開示されている。
【0007】
国際公開第2011/112695号パンフレットは、栄養組成物ならびに栄養組成物を調製及び使用する方法を開示している。栄養組成物は、ホエイタンパク質ミセル及びロイシンを含み、低粘度流体マトリックス及び許容される官能特性を維持しながら、ヒトのタンパク質合成を改善するのに十分な量のロイシンを提供する。
【0008】
国際公開第2011/051436号パンフレットは、ヒト又は動物の消費を意図した少なくとも部分的に透明な組成物、及びこのような組成物の包装を開示している。本発明の一実施形態は、少なくとも部分的に透明な水性非アルコール組成物を含有する少なくとも部分的に透明な容器に関する。容器は、組成物中に存在する液晶を可視化させる少なくとも1つの偏光子を含む。
【0009】
国際公開第2010/037736号パンフレットは、ホエイタンパク質の単離、ならびにホエイ製品及びホエイ単離物の調製を開示している。特に、本発明は、βラクトグロブリン生成物の単離、及び動物から得られたホエイからのα濃縮ホエイタンパク質単離物の単離に関する。本発明によって提供されるα濃縮ホエイタンパク質単離物は、βラクトグロブリンが少ないことに加えて、αラクトアルブミン及び免疫グロブリンGも多い。
【0010】
フランス特許第2296428号明細書は、任意の既知の分離法によって得られた乳清タンパク質に基づく栄養学的及び治療的使用のためのタンパク質組成物を開示している。組成物は、乳児及び成人の消化器障害(例えば、下痢)の治療又は予防、腸感染症に対する抵抗性を増加させるため、ならびに一定の代謝障害(例えば、高フェニルアラニン血症)を治療するために使用することができる。これらはまた、皮膚科学的又は美容的に使用することもでき、低タンパク質食の一部を形成することができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、渋味及び食感などの官能特性が、消費者による液体栄養飲料の選択において重要な役割を果たすことを観察した。
酸性熱処理飲料にホエイタンパク質を組み込む際の課題のいくつかは、飲料中に沈降する不安定な沈殿の形成、高粘度又はゲル形成、ならびに高度の渋味及び/又は乾燥食感による不快な味である。
【0012】
本発明の目的は、ホエイタンパク質を含み、改善された官能特性及び/又は視覚特性を有する、酸性の包装された熱処理飲料調製物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、低粘度、心地よい味、任意に低い渋味を有し、透明であっても不透明であってもよい高タンパク質飲料を提供することである。
【0014】
本発明者らは、このような包装された熱処理飲料を、依然として低粘度、ならびに任意に低レベルの渋味及び乾燥食感を有しながら、pH4.7までの広範な酸性pH範囲内で提供できることをここで発見した。本発明は、透明である飲料と不透明であるが安定である飲料の両方を提供する。
【0015】
したがって、本発明の一態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する、包装された熱処理飲料調製物であって、飲料が
-飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/wがBLGであるタンパク質と、
-任意に、甘味料、糖ポリマー及び/又は香料と
を含む、調製物に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する、包装された熱処理飲料調製物を製造する方法であって、以下の工程:
a)
-2~45重量%の総量の、その少なくとも85%がBLGであるタンパク質と、
-任意に、甘味料、糖ポリマー及び/又は香料と
を含む液体溶液を提供する工程と、
b)液体溶液を包装する工程と
を含み、
工程a)の液体溶液及び/又は工程b)の包装された液体溶液が、少なくとも低温殺菌を含む熱処理に供される、
方法に関する。
【0017】
さらに、本発明の一態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の濁度を制御するための、溶液の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85w/w%がBLGであるタンパク質を含むタンパク質溶液の使用に関する。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の渋味を制御するための、溶液の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85w/w%がBLGであるタンパク質を含むタンパク質溶液の使用に関する。
【0019】
本発明のさらなる態様は、タンパク質吸収不良に関連する疾患を治療する方法で使用するための、本発明による包装された熱処理飲料調製物に関する。
【0020】
本発明のさらなる態様は、栄養補助食品としての本発明による包装された熱処理飲料調製物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】120℃で20秒間、又は75℃で15秒間熱処理された、pH3.7及びタンパク質含有量6%w/wを有する、BLG飲料及びWPI飲料の画像を示す図である。
図2】WPI-B pH3.0~3.7 120℃及びBLG pH3.7 120℃/20秒の画像を示す図である。
図3】WPI-B pH3.0~3.7 75℃及びBLG pH3.7 75℃/15秒の画像を示す図である。
図4】WPI-B pH3.7及びBLG pH3.9、75℃/15秒の画像を示す図である。
図5】6%UHT処理(120℃/20秒)BLG飲料調製物の濁度を示す図である。
図6】6%低温殺菌(75℃/15秒)BLG飲料組成物の濁度を示す図である。
図7】6%UHT処理(120℃/20秒)BLG飲料調製物の粘度を示す図である。
図8】6%UHT処理(120℃/20秒)飲料組成物の黄色度(b)を示す図である。
図9】6%低温殺菌(75℃/15秒)飲料組成物の黄色度(b)を示す図である。
図10】75℃/15秒での15%BLG飲料pH3.7(左)及び6%WPI-a pH3.7(右)の画像を示す図である。
図11】高タンパク質BLG飲料組成物の官能評価の結果、ならびにpH3.7での6w/w%及び15w/w%BLG試料の画像を示す図である。
図12】(左から右に)30、27.5、25、20%BLG飲料調製物を75℃で5分間加熱することによって調製された高タンパク質飲料調製物を示す図である。加熱後でさえ粘度は低いままであった。
図13】異なるWPI飲料試料及びBLG飲料試料の画像を示す図である。
図14】飲料の官能評価(0~15のスケール)を示す図である。WPI pH3.0 120℃/20秒及びBLG pH3.7 75℃/15秒。
図15】タンパク質飲料の味に対するpH及び温度の効果を示す図である。
図16】pH3.0(120℃/20秒)及びpH3.7(75℃/15秒)でのBLG飲料の渋味に関する官能データを示す図である。
図17】120℃/20秒又は75℃/15秒で熱処理されたpH3.7のBLG飲料の乾燥食感に関する官能データを示す図である。
図18】熱処理温度がホエイ芳香にどのように影響を及ぼすかを記録する官能データを示す図である。
図19】ミネラルが濃縮され、pH3.7を有し、95℃で5分間熱処理された6%BLG飲料の画像を示す図である。
図20】pH3.7を有し、ミネラルが濃縮され、75℃で5分間熱処理された6%BLG飲料の画像を示す図である。
図21】93℃で4分間熱処理した場合の、スクロースを添加した場合と添加しない場合のpH4.3の乳性BLG飲料の安定性を示す図である。
図22】pH4.2又は4~5を有し、75℃で5分間加熱することによって調製された不透明な6%タンパク質BLG飲料の画像を示す図である。
図23】pH3.7を有し、75℃で5分間熱処理されたBLG飲料及びSPI飲料の画像を示す図である。
図24】pH3.7を有するBLG飲料及びSPI飲料の画像を示す図である。
図25】暗所(20℃)で最大6か月間保管した、6w/w%BLG UHT処理(120℃/20秒)飲料組成物(pH3.0及び3.7)の黄色度(b)を示す図である。
図26】暗所(20℃)で最大6か月間保管した、6w/w%BLG低温殺菌(75℃/15秒)飲料(pH3.0及び3.7)の黄色度(b)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本発明の文脈において、「βラクトグロブリン」又は「BLG」という用語は、例えば天然のアンフォールディング型及び/又はグリコシル化型の哺乳動物種からのβラクトグロブリンに関し、天然に存在する遺伝学的変異体を含む。この用語はさらに、凝集BLG、沈殿BLG及び結晶性BLGを含む。BLGの量に言及する場合、凝集BLGを含むBLGの総量に言及する。BLGの総量は、例1.31に従って決定される。「凝集BLG」という用語は、少なくとも部分的にアンフォールディングされ、さらに、典型的には疎水性相互作用及び/又は共有結合によって、他の変性BLG分子及び/又は他の変性ホエイタンパク質と凝集したBLGに関する。
【0023】
BLGは、ウシホエイ及び乳清で最も優勢なタンパク質であり、いくつかの遺伝学的変異体で存在し、牛乳中の主なものはA及びBと標識される。BLGはリポカリンタンパク質であり、多くの疎水性分子に結合でき、それらの輸送における役割を示唆している。BLGは、シデロホアを介して鉄に結合できることも示されており、病原体との戦いにおいて役割を果たしている可能性がある。BLGのホモログはヒト母乳で欠けている。
【0024】
ウシBLGは、分子量がおよそ18.3~18.4kDaのおよそ162アミノ酸残基の比較的小さなタンパク質である。生理学的条件下では、これは主に二量体であるが、核磁気共鳴分光法を使用して決定されるように、その天然状態を維持しながら、約pH3未満で単量体に解離する。逆に、BLGは、さまざまな自然条件下で、四量体、八量体及びその他の多量体凝集形態でも発生する。
【0025】
本発明の文脈において、「非凝集βラクトグロブリン」又は「非凝集BLG」という用語はまた、例えば天然のアンフォールディング型及び/又はグリコシル化型の哺乳動物種からのβラクトグロブリンに関し、天然に存在する遺伝学的変異体を含む。しかしながら、この用語は、凝集BLGも、沈殿BLGも、結晶化BLGも含まない。非凝集BLGの量又は濃度は、例1.6に従って決定される。
【0026】
総BLGに対する非凝集BLGのパーセンテージは、計算(m総BLG-m非凝集BLG)/m総BLG 100%によって決定される。m総BLGは、例1.31に従って決定されたBLGの濃度又は量であり、m非凝集BLGは、例1.6に従って決定された非凝集BLGの濃度又は量である。
【0027】
本発明の文脈において、「結晶」という用語は、その構成要素(原子、分子又はイオンなど)が高度に秩序化された微視的構造で配置され、全ての方向に延びる結晶格子を形成する固体材料に関する。
【0028】
本発明の文脈において、「BLG結晶」という用語は、高度に秩序化された微視的構造で配置され、全ての方向に延びる結晶格子を形成する、非凝集、好ましくは天然のBLGを主に含有するタンパク質結晶に関する。BLG結晶は、例えば、モノリシック(monolithic)又は多結晶性であり、例えばインタクトな結晶、結晶の断片、又はこれらの組み合わせでありうる。結晶の断片は、例えば、インタクトな結晶が処理中に機械的せん断を受けると形成される。結晶の断片も結晶の高度に秩序化された微視的構造を有するが、インタクトな結晶の均一な表面及び/又は均一な角もしくは縁が欠けている可能性がある。例えば、多くのインタクトなBLG結晶の例についてはPCT出願番号PCT/EP2017/084553の図18、BLG結晶の断片の例についてはPCT出願番号PCT/EP2017/084553の図13を参照されたい。どちらの場合も、BLG結晶又は結晶断片を、光学顕微鏡を使用して、明確に定義されたコンパクト及びコヒーレント構造として視覚的に識別できる。BLG結晶又は結晶断片は、通常、少なくとも部分的に透明である。タンパク質結晶はさらに複屈折であることが知られており、この光学特性を使用して、結晶構造を有する未知の粒子を識別することができる。一方、非結晶性BLG凝集体は、通常、定義付けが乏しく、不透明として、及び不規則なサイズの開いた又は多孔性の塊として現れる。
【0029】
本発明の文脈において、「結晶化する」という用語は、タンパク質結晶の形成に関する。結晶化は、例えば、自発的に起こりうる、又は結晶化種の添加によって開始されうる。
【0030】
本発明の文脈において、「食用組成物」という用語は、食品成分としてのヒトの消費及び使用に安全であり、問題のある量のトルエン又は他の望ましくない有機溶媒などの毒性成分を含有しない組成物に関する。
【0031】
本発明の文脈において、「ALA」又は「αラクトアルブミン」という用語は、例えば天然型及び/又はグリコシル化型の哺乳動物種からのαラクトグロブリンに関し、天然に存在する遺伝学的変異体を含む。この用語はさらに、凝集ALA及び沈殿BLGを含む。ALAの量に言及する場合、例えば凝集ALAを含むALAの総量に言及する。ALAの総量は、例1.31に従って決定される。「凝集ALA」という用語は、典型的には少なくとも部分的にアンフォールディングされ、さらに、典型的には疎水性相互作用及び/又は共有結合によって、他の変性ALA分子及び/又は他の変性ホエイタンパク質と凝集したALAに関する。
【0032】
αラクトアルブミン(ALA)は、ほとんど全ての哺乳動物種の乳中に存在するタンパク質である。ALAはラクトースシンターゼ(LS)ヘテロダイマーの調節サブユニットを形成し、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(β4Gal-T1)は触媒成分を形成する。合わせて、これらのタンパク質は、ガラクトース部分をグルコースに移すことによってLSがラクトースを生成することを可能にする。βラクトグロブリンとの主な構造上の違いの1つは、ALAには共有結合凝集反応の開始点として機能できる遊離チオール基がないことである。
【0033】
本発明の文脈において、「非凝集ALA」という用語はまた、例えば天然のアンフォールディング型及び/又はグリコシル化型の哺乳動物種からのALAに関し、天然に存在する遺伝学的変異体を含む。しかしながら、この用語は、凝集ALAも沈殿ALAも含まない。非凝集BLGの量又は濃度は、例1.6に従って決定される。
【0034】
総ALAに対する非凝集ALAのパーセンテージは、計算(m総ALA-m非凝集ALA)/m総ALA 100%によって決定される。m総ALAは、例1.31に従って決定されたALAの濃度又は量であり、m非凝集ALAは、例1.6に従って決定された非凝集ALAの濃度又は量である。
【0035】
本発明の文脈において、「カゼイノマクロペプチド」又は「CMP」という用語は、例えば天然型及び/又はグリコシル化型の哺乳動物種からの「κ-CN」又は「カッパ-カゼイン」の加水分解に由来する親水性ペプチド、残基106~169に関し、アスパラギン酸プロテイナーゼ、例えばキモシンによる天然に存在する遺伝学的変異体を含む。
【0036】
本発明の文脈において、「BLG単離物」という用語は、総タンパク質に対して少なくとも85%w/wの量のBLGを含有する組成物を意味する。BLG単離物は、好ましくは、全固形分に対して少なくとも30%w/w、好ましくは少なくとも80%w/wの総タンパク質含有量を有する。
【0037】
本発明の文脈において、「BLG単離物粉末」という用語は、粉末形態のBLG単離物、好ましくは自由流動性粉末に関する。
【0038】
本発明の文脈において、「BLG単離物液体」という用語は、液体形態のBLG単離物、好ましくは水性液体に関する。
【0039】
「ホエイ」という用語は、乳のカゼインを沈殿させ、除去した後に残る液相に関する。カゼインの沈殿は、例えば乳の酸性化及び/又はレンネット酵素の使用によって達成されうる。カゼインのレンネットベースの沈殿によって生成されるホエイ製品である「スイートホエイ」、及びカゼインの酸ベースの沈殿によって生成されるホエイ製品である「酸ホエイ」又は「サワーホエイ」などの、いくつかのタイプのホエイが存在する。カゼインの酸ベースの沈殿は、例えば食物酸の添加又は細菌培養によって達成されうる。
【0040】
「乳清」という用語は、例えば精密濾過又は大細孔限外濾過によって、カゼイン及び乳脂肪球を乳から除去した際に残る液体に関する。乳清は「理想的なホエイ」と呼ばれることもある。
【0041】
「乳清タンパク質」又は「血清タンパク質」という用語は、乳清中に存在するタンパク質に関する。
【0042】
本発明の文脈において、「ホエイタンパク質」という用語は、ホエイ又は乳清中に見られるタンパク質に関する。ホエイタンパク質は、ホエイ又は乳清に見られるタンパク質種のサブセット、さらには単一ホエイタンパク質種でさえありうる、あるいはホエイタンパク質は、ホエイ又は/及び乳清に見られるタンパク質種の完全なセットでありうる。
【0043】
本発明の文脈において、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物の主要な非BLGタンパク質は、ALA、CMP、ウシ血清アルブミン、免疫グロブリン、オステオポンチン、ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼである。本発明の文脈において、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物の主要な非BLGホエイタンパク質の重量パーセントは、以下である:
総タンパク質に対して18%w/wの量のALA、
総タンパク質に対して18%w/wの量のCMP、
総タンパク質に対して4%w/wの量のBSA、
総タンパク質に対して5%w/wの量のカゼイン種、
総タンパク質に対して6%w/wの量の免疫グロブリン、
総タンパク質に対して0.5%w/wの量のオステオポンチン、
総タンパク質に対して0.1%w/wの量のラクトフェリン、及び
総タンパク質に対して0.1%w/wの量のラクトペルオキシダーゼ。
【0044】
本発明の文脈において、「母液」という用語は、BLGを結晶化し、BLG結晶を少なくとも部分的に除去した後に残るホエイタンパク質溶液に関する。母液はまだいくらかのBLG結晶を含有しうるが、通常は分離を免れた小さなBLG結晶のみを含有しうる。
【0045】
本発明の文脈において、カゼインという用語は、乳に見られるカゼインタンパク質に関し、生乳に見られる天然のミセルカゼイン、個々のカゼイン種、及びカゼイン塩を共に包含する。
【0046】
本発明の文脈において、「過飽和」又は「BLGに関して過飽和」である液体は、所与の物理的及び化学的条件下でその液体中の非凝集BLGの飽和点を超える濃度の溶解した非凝集BLGを含有する。「過飽和」という用語は、結晶化の分野で周知であり(例えば、Gerard Coquerela、「Crystallization of molecular systems from solution:phase diagrams,supersaturation and other basic concepts」、Chemical Society Reviews、2286~2300頁、7号、2014参照)、いくつかの異なる測定技術によって(例えば、分光法又は粒径分析によって)、過飽和を決定することができる。本発明の文脈において、BLGに関して過飽和は、以下の手順によって決定される。
【0047】
特定の条件セットの液体がBLGに関して過飽和であるかどうかを試験するための手順:
a)試験する液体の試料50mlを、高さ115mm、内径25mm及び容量50mLの遠心管(VWRカタログ番号525-0402)に移す。工程a)~h)の間、試料及びその後の画分を液体の元の物理的及び化学的条件に保つように注意すべきである。
b)試料を直ちに3000gで3.0分間、最大30秒の加速及び最大30秒の減速で遠心分離する。
c)遠心分離の直後に、(ペレットが形成した場合、ペレットを乱すことなく)できるだけ多くの上清を第2の遠心管(工程aと同じタイプ)に移す。
d)上清の小口試料0.05mLを採取する(小口試料A)。
e)粒径が最大で200ミクロンのBLG結晶10mg(全固形分に対して少なくとも98%純粋、非凝集BLG)を第2の遠心管に添加し、混合物を攪拌する。
f)第2の遠心管を元の温度で60分間放置する。
g)工程f)の直後に、第2の遠心管を500gで10分間遠心分離し、次いで、上清の別の小口試料0.05mL(小口試料B)を採取する。
h)存在する場合は、工程g)の遠心分離ペレットを回収し、これをmilliQ水に再懸濁し、顕微鏡で目に見える結晶の存在について懸濁液を直ちに検査する。
i)例1.6に概説される方法を使用して、小口試料A及びBの非凝集BLGの濃度を決定する-結果を小口試料の総重量に対する%BLG w/wとして表す。小口試料Aの非凝集BLGの濃度をCBLG,Aと呼び、小口試料Bの非凝集BLGの濃度をCBLG,Bと呼ぶ。
j)工程a)の試料を採取した液体は、cBLG,BがcBLG,Aよりも低く、工程i)で結晶が観察された場合、(特定の条件で)過飽和であった。
【0048】
本発明の文脈において、「液体」及び「溶液」という用語は、粒子状物質を含まない組成物と、例えばタンパク質結晶又は他のタンパク質粒子などの液体及び固体及び/又は半固体粒子の組み合わせを含有する組成物の両方を包含する。したがって、「液体」又は「溶液」は、懸濁液又はスラリーでさえありうる。しかしながら、「液体」及び「溶液」は、好ましくはポンプ輸送可能である。
【0049】
本発明の文脈において、「ホエイタンパク質濃縮物」(WPC)及び「血清タンパク質濃縮物」(SPC)という用語は、全固形分に対して20~89%w/wの総量のタンパク質を含有する乾燥又は水性組成物に関する。
【0050】
WPC又はSPCは、好ましくは以下を含有する:
全固形分に対して20~89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15~70%w/wのBLG、
総タンパク質に対して8~50%w/wのALA、及び
タンパク質に対して0~40%w/wのCMP。
【0051】
あるいは、しかしまた好ましくは、WPC又はSPCは以下を含有しうる:
全固形分に対して20~89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15~90%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4~50%w/wのALA、及び
タンパク質に対して0~40%w/wのCMP。
【0052】
好ましくは、WPC又はSPCは以下を含有する:
全固形分に対して20~89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15~80%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4~50%w/wのALA、及び
タンパク質に対して0~40%w/wのCMP。
【0053】
より好ましくは、WPC又はSPCは以下を含有する:
全固形分に対して70~89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して30~90%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4~35%w/wのALA、及び
タンパク質に対して0~25%w/wのCMP。
【0054】
SPCは、典型的にはCMPを含有しない、又は微量のCMPのみを含有する。
【0055】
「ホエイタンパク質単離物」(WPI)及び「血清タンパク質単離物」(SPI)という用語は、全固形分に対して90~100%w/wの総量のタンパク質を含有する乾燥又は水性組成物に関する。
【0056】
WPI又はSPIは、好ましくは以下を含有する:
全固形分に対して90~100%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15~70%w/wのBLG、
総タンパク質に対して8~50%w/wのALA、及び
総タンパク質に対して0~40%w/wのCMP。
【0057】
あるいは、しかしまた好ましくは、WPI又はSPIは以下を含有しうる:
全固形分に対して90~100%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して30~95%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4~35%w/wのALA、及び
総タンパク質に対して0~25%w/wのCMP。
【0058】
より好ましくは、WPI又はSPIは以下を含有しうる:
全固形分に対して90~100%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して30~90%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4~35%w/wのALA、及び
総タンパク質に対して0~25%w/wのCMP。
【0059】
SPIは、典型的にはCMPを含有しない、又は微量のCMPのみを含有する。
【0060】
本発明の文脈において、「追加のタンパク質」という用語は、BLGではないタンパク質を意味する。ホエイタンパク質溶液中に存在する追加のタンパク質は、典型的には、乳清又はホエイに見られる非BLGタンパク質の1つ又は複数を含む。このようなタンパク質の非限定的な例は、αラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、免疫グロブリン、カゼイノマクロペプチド(CMP)、オステオポンチン、ラクトフェリン及び乳脂肪球膜タンパク質である。
【0061】
「から本質的になる」及び「から本質的になっている」という用語は、当の請求項又は特徴が、指定される材料又は工程と、特許請求される発明の基本的及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程とを包含することを意味する。
【0062】
本発明の文脈において、「Y及び/又はX」という句は、「Y」又は「X」、又は「Y及びX」を意味する。同じ論理の線に沿って、「n、n、...、ni-1及び/又はn」という句は、「n」又は「n」又は...又は「ni-1」、又は「n」又は構成要素:n、n、...ni-1及びnの任意の組み合わせを意味する。
【0063】
本発明の文脈において、「乾燥」又は「乾燥した」という用語は、当の組成物又は生成物が、最大で10%w/wの水、好ましくは最大で6%w/w、より好ましくはさらに少ない水を含むことを意味する。
【0064】
本発明の文脈において、「物理的微生物減少」という用語は、組成物の生存微生物の総量の減少をもたらす組成物との物理的相互作用に関する。この用語は、微生物の殺傷をもたらす化学物質の添加を包含しない。この用語はさらに、噴霧乾燥中に噴霧された液滴が曝露される熱曝露を包含しないが、噴霧乾燥前の可能な予熱を含む。
【0065】
本発明の文脈において、粉末のpHは、脱塩水90gに混合された粉末10gのpHを指し、例1.16に従って測定される。
【0066】
本発明の文脈において、一定の組成物、生成物又は材料の成分の重量パーセント(%w/w)は、別の基準(例えば、全固形分又は総タンパク質)が具体的に言及されない限り、特定の組成物、生成物又は材料の重量に対するその成分の重量パーセントを意味する。
【0067】
本発明の文脈において、方法工程「濃縮」及び動詞「濃縮する」は、タンパク質の濃縮に関し、全固形分ベースのタンパク質の濃縮と総重量ベースのタンパク質の濃縮の両方を包含する。これは、例えば濃縮が、タンパク質の含有量が全固形分に対して増加する限り、組成物のタンパク質の絶対濃度w/wが増加することを必ずしも必要としないことを意味する。
【0068】
本発明の文脈において、成分Xと成分Yとの間の「重量比」という用語は、計算m/m(式中、mは成分Xの量(重量)であり、mは成分Yの量(重量)である)によって得られる値を意味する。
【0069】
本発明の文脈において、「少なくとも低温殺菌」及び「少なくとも低温殺菌された」という用語は、70℃で10秒間の熱処理以上の微生物殺傷効果を有する熱処理に関する。殺菌効果を決定するための基準は、大腸菌(E.coli)O157:H7である。
【0070】
本発明の文脈において、「ホエイタンパク質供給原料」という用語は、液体BLG単離物が由来するホエイタンパク質源に関する。ホエイタンパク質供給原料は、液体BLG単離物よりも総タンパク質に対するBLGの含有量が低く、典型的にはWPC、WPI、SPC又はSPIである。
【0071】
本発明の文脈において、「BLG濃縮組成物」という用語は、ホエイタンパク質供給原料からBLGを単離することから得られたBLG濃縮組成物に関する。BLG濃縮組成物は、典型的には、ホエイタンパク質供給原料と同じホエイタンパク質を含むが、BLGが、ホエイタンパク質供給原料よりも、総タンパク質に対して有意に高い濃度で存在する。BLG濃縮組成物は、例えば、クロマトグラフィー、タンパク質結晶化及び/又は膜ベースのタンパク質分画によってホエイタンパク質供給原料から調製されうる。BLG濃縮組成物は、総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wの量のBLGを含む。場合によっては、BLG濃縮組成物を液体BLG単離物として直接使用することができる。しかしながら、BLG濃縮組成物を液体BLG単離物に変換するには、多くの場合、追加の処理が必要である。
【0072】
本発明の文脈において、「ホエイタンパク質溶液」という用語は、塩溶型のBLGに関して過飽和であり、BLG結晶を調製するのに有用である特別な水性ホエイタンパク質組成物を記載するために使用される。
【0073】
本発明の文脈において、「無菌」という用語は、当の無菌組成物又は生成物が生存微生物を含有せず、したがって、室温での貯蔵中に微生物の増殖がないことを意味する。滅菌された組成物は無菌である。
【0074】
飲料調製物などの液体を滅菌し、無菌容器に無菌的に包装する場合、これは、典型的には室温で少なくとも6か月の貯蔵寿命を有する。滅菌処理は、液体の腐敗を引き起こしうる胞子及び微生物を殺傷する。
【0075】
本発明の文脈において、「エネルギー含有量」という用語は、食品に含有されるエネルギーの総含有量を意味する。エネルギー含有量は、キロジュール(kJ)又はキロカロリー(kcal)で測定することができ、食品の量当たりのカロリー、例えば食品100グラム当たりのkcalと呼ばれる。一例は、350kcal/100グラム飲料のエネルギー含有量を有する飲料である。
食品の総エネルギー含有量には、食品中に存在する全ての主栄養素からのエネルギー寄与、例えばタンパク質、脂質及び炭水化物からのエネルギーが含まれる。食品中の主栄養素からのエネルギーの分布は、食品中の主栄養素の量、及び食品の総エネルギー含有量に対する主栄養素の寄与に基づいて計算することができる。エネルギー分布は、食品の総エネルギー含有量のエネルギーパーセント(E%)として表すことができる。例えば、20E%のタンパク質、50E%の炭水化物及び30E%の脂質を含む飲料の場合、これは、総エネルギーの20%がタンパク質に由来し、総エネルギーの50%が炭水化物に由来し、総エネルギーの30%が脂肪(脂質)に由来することを意味する。
【0076】
本発明の文脈において、「栄養的に完全な栄養補助食品」という用語は、タンパク質、脂質及び炭水化物を含み、ビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む食品として理解され、飲料が完全で健康的な食事に一致する栄養プロファイルを有する。
【0077】
本発明の文脈において、「栄養的に不完全な補助食品」という用語は、1つ又は複数の主栄養素を含み、任意にビタミン、ミネラル及び微量元素をさらに含む食品を意味する。栄養的に不完全な飲料は、唯一の栄養素としてタンパク質を含みうる、又は例えばタンパク質及び炭水化物を含みうる。
【0078】
「特別医療目的用食品(FSMP)」又は「医療食品」という用語は、経口摂取又は経管栄養用の食品であり、特有の栄養要求性がある特定の医学的障害、疾患又は状態に使用され、医療監督下で使用される。医療食品は、栄養的に完全な補助食品/飲料又は栄養的に不完全な補助食品/飲料でありうる。
【0079】
「栄養素」という用語は、生物が生き残り、成長及び繁殖するために使用する物質を意味する。栄養素は、主栄養素又は微量栄養素のいずれかでありうる。主栄養素は、消費されるとエネルギーを提供する栄養素、例えばタンパク質、脂質及び炭水化物である。微量栄養素は、ビタミン、ミネラル及び微量元素などの栄養素である。
【0080】
「栄養素」という用語は、生物が生き残り、成長及び繁殖するために使用する物質を意味する。栄養素は、主栄養素又は微量栄養素のいずれかでありうる。主栄養素は、消費されるとエネルギーを提供する栄養素、例えばタンパク質、脂質及び炭水化物である。微量栄養素は、ビタミン、ミネラル及び微量元素である栄養素である。
【0081】
「インスタント飲料粉末」又は「インスタント飲料粉末製品」という用語は、水などの液体の添加によって液体飲料に変換することができる粉末を意味する。
【0082】
本発明の文脈において、実体として使用される「飲料」という用語ならびに「飲料調製物」及び「調製物」という用語は、例えば注ぐ、すする、又は経管栄養によって、飲料として摂取することができる任意の水性液体に関する。
【0083】
本発明の文脈において、「タンパク質画分」という用語は、当の組成物のタンパク質、例えば粉末又は飲料調製物のタンパク質に関する。
【0084】
本発明の文脈において、「渋味」という用語は、食感に関する。渋味は頬筋の収縮のように感じ、唾液産生の増加をもたらす。したがって、渋味はそれ自体が味ではなく、口の中での物理的な食感及び時間依存性の感覚である。
【0085】
本発明の文脈において、「乾燥食感」という用語は、口の中の感覚に関連し、口及び歯の乾燥のように感じ、唾液産生の最小化をもたらす。
したがって、乾燥食感はそれ自体が味ではなく、口の中での物理的な食感及び時間依存性の感覚である。
【0086】
本発明の文脈において、本明細書で使用される「ミネラル」という用語は、別段の指定がない限り、主要なミネラル、微量又はマイナーなミネラル、他のミネラル、及びこれらの組み合わせのいずれか1つを指す。主要なミネラルには、カルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、マグネシウムが含まれる。微量又はマイナーなミネラルには、鉄、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、ヨウ素、セレン、マンガンが含まれ、他のミネラルには、クロム、フッ素、ホウ素、リチウム及びストロンチウムが含まれる。
【0087】
本発明の文脈において、本明細書で使用される「脂質」、「脂肪」及び「油」という用語は、特に明記しない限り、植物もしくは動物に由来する又はこれらから処理される脂質材料を指すために互換的に使用される。これらの用語は、合成脂質材料がヒトの消費に適している限り、このような合成脂質材料も含む。
【0088】
本発明の文脈において、「透明な」という用語は、視覚的に清澄な外観を有し、光が通過することを可能にし、それを通して明らかな画像が見える飲料調製物を包含する。透明な飲料は最大で200NTUの濁度を有する。
【0089】
本発明の文脈において、「不透明な」という用語は、視覚的に不明瞭な外観を有する飲料調製物を包含し、これは200NTUより大きい濁度を有する。
【0090】
本発明の一態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する、包装された熱処理飲料調製物であって、飲料が
-飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/wがBLGであるタンパク質と、
-任意に、甘味料、糖ポリマー及び/又は香料と
を含む、調製物に関する。
【0091】
少なくとも85%w/wのタンパク質を含む包装された熱処理飲料調製物は、いくつかの理由で非常に有益である。酸性飲料中の高いBLG含有量は、依然として清澄度及び色の欠如を維持しながら、pH範囲を上げ、加熱温度を下げることも可能にし、これは高タンパク質濃度が適用されている場合でさえ可能である。これは、透明で無色の高タンパク質飲料を、伝統的なWPIで製造できるよりも低い酸性pHレベルで製造できることを意味する。
【0092】
驚くべきことに、BLG飲料は、伝統的な酸性WPI飲料と比較して、低い渋味、乾燥食感、酸味、ホエイ芳香(ホエイアロマ、whey aroma)及びクエン酸香味(クエン酸フレーバ、citric acid flavour)を有することが分かった。
【0093】
本発明及び拡大されたpH範囲の別の利点は、依然として白色であり、黄色がからず、依然として安定でありながら、高濁度、低粘度を有する乳性飲料を製造できることである。
【0094】
本発明の包装された熱処理飲料調製物のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質の少なくとも85%w/wがBLGである。好ましくは、タンパク質の少なくとも88%w/wがBLGであり、より好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは少なくとも91%w/w、最も好ましくはタンパク質の少なくとも92%w/wがBLGである。
【0095】
さらに高い相対量のBLGが実現可能であると同時に望ましいので、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物のタンパク質の少なくとも94%w/wがBLGであり、より好ましくはタンパク質の少なくとも96%w/wがBLGであり、さらにより好ましくはタンパク質の少なくとも98%w/w、最も好ましくはおよそ100%w/wがBLGである。
【0096】
例えば、包装された熱処理飲料調製物は、好ましくは、総タンパク質に対して少なくとも97.5%w/w、好ましくは少なくとも98.0%w/w、より好ましくは少なくとも98.5%w/w、さらにより好ましくは少なくとも99.0%の量のBLG、最も好ましくは総タンパク質に対して少なくとも99.5%w/w、例えば総タンパク質に対しておよそ100.0%w/wの量のBLGを含む。
【0097】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が少なくとも低温殺菌される。
【0098】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が滅菌され、したがって無菌である。
【0099】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質の天然のコンフォメーションが維持される。タンパク質の天然のコンフォメーションは、好ましくは、少なくともBLG、好ましくは全てのタンパク質のタンパク質コンフォメーションに不可逆的な変化をもたらさない熱処理を使用することによって維持される。
【0100】
タンパク質のネイティブ性(nativenss)の程度は、タンパク質濃度、pH、熱処理の温度及び時間などのいくつかの因子に依存する。
【0101】
固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350は、タンパク質のネイティブ性(nativity)の尺度である。Rが少なくとも1.11である場合、天然のコンフォメーションが優勢であるが、Rが1.11未満である場合、少なくとも部分的なアンフォールディング及び凝集が優勢である。固有トリプトファン蛍光を分析する方法は、例1.1に記載される。
【0102】
本発明者らは、依然として低粘度を有し、透明でありながら、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350を、熱処理高タンパク質飲料について得ることができることを見出した。これは、タンパク質画分及び/又は飲料調製物を低温殺菌に相当する熱処理(例えば、90℃未満の温度)に供する場合でさえも可能である。
【0103】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、したがって、タンパク質が天然状態にあることを示す。
【0104】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
飲料調製物のタンパク質画分又は飲料調製物自体が、少なくとも1.15、より好ましくは少なくとも1.16、さらにより好ましくは少なくとも1.17の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有することが特に好ましくなりうる。
【0105】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質画分と、任意に脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物酸又は乳化剤などの他の成分とを含む包装された熱処理飲料調製物が、少なくとも1.11のトリプトファン蛍光発光比を有する。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0106】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理飲料調製物が、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0107】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質が、変性されている、又は少なくとも部分的に変性されている。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物のタンパク質画分が、1.11未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、したがって、タンパク質が少なくとも部分的にアンフォールディングされ、凝集が優勢であることを示す。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態では、熱処理飲料調製物が、1.10未満、より好ましくは1.08未満、さらにより好ましくは1.05未満、最も好ましくは1.00未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0109】
しかしながら、本発明の他の好ましい実施形態では、熱処理飲料調製物のタンパク質画分が、1.15未満、より好ましくは1.14未満、さらにより好ましくは1.13未満、最も好ましくは1.12未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0110】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理飲料調製物が、1.15未満、より好ましくは1.14未満、さらにより好ましくは1.13未満、最も好ましくは1.12未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0111】
飲料調製物は、タンパク質画分に加えて、任意に脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物酸又は乳化剤等などの他の食品添加物も含みうる。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物が、1.11未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、したがって、タンパク質が少なくとも部分的にアンフォールディングされ、凝集が優勢であることを示す。
【0112】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理飲料調製物が、1.10未満、より好ましくは1.08未満、さらにより好ましくは1.05未満、最も好ましくは1.00未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する。
【0113】
タンパク質の変性は、トリプトファン蛍光以外の別の分析方法でも説明できる。この方法は例1.3に記載される。
【0114】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物のタンパク質画分が、最大で10%のタンパク質変性度を有する。好ましくは最大で8%、より好ましくは最大で5%、さらにより好ましくは最大で3%、さらにより好ましくは最大で1%、最も好ましくは最大で0.5%である。
【0115】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で10%のタンパク質変性度を有する。好ましくは最大で8%、より好ましくは最大で5%、さらにより好ましくは最大で3%、さらにより好ましくは最大で1%、最も好ましくは最大で0.5%である。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態では、タンパク質画分及び/又は飲料調製物が、例えば、高温熱処理に供されると、タンパク質変性度が、10%超、好ましくは20%超、好ましくは30%超、好ましくは40%超、又は好ましくは50%超、又は好ましくは70%超、又は好ましくは80%超、又は好ましくは90%超、又は好ましくは95%超、又は好ましくは99%超となる。
【0117】
例えば、飲料調製物のタンパク質画分は、10%超、好ましくは20%超、より好ましくは30%超、さらにより好ましくは40%超、最も好ましくは50%より大きいタンパク質変性度を有しうる。さらに高い変性度が好ましい場合があり、よって、飲料調製物のタンパク質画分は、70%超、好ましくは80%超、より好ましくは90%超、さらにより好ましくは95%超、最も好ましくは99%より大きいタンパク質変性度を有しうる。
【0118】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~4.3の範囲のpHを有する。これらのpH範囲は、低粘度及び改善された味を有する透明な飲料の製造に特に好ましい。
【0119】
外観に関して、驚くべきことに、タンパク質の少なくとも85%w/wがBLGであるホエイタンパク質飲料を使用すると、熱処理中にpHを上げることができ、熱処理WPI飲料と比較した場合に、視覚認知(色及び濁度)及び粘度の改善が得られることが分かった。したがって、本発明は、酸性ホエイタンパク質飲料を熱処理し、熱処理された低粘度の、好ましくは透明な酸性飲料を製造することが可能なpH範囲、特にpH上限を増加させる。
【0120】
驚くべきことに、本発明のBLG飲料と比較して、WPIで製造された飲料の間で感覚パラメータに有意差があることが分かった。驚くべきことに、また有利なことに、BLG飲料は、WPI飲料と比較して、より低いレベルの渋味、乾燥食感、酸味、ホエイ芳香及びクエン酸香味を有することが分かった。酸性飲料のpHを上げることによって、飲料の酸性度のバランスをとるために必要な甘味料が少なくなり、したがって、このような飲料に必要な甘味料の濃度が低くなることがさらに分かった。
【0121】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~4.1、又は好ましくは3.1~4.0、又は好ましくは3.2~3.9、又は好ましくは3.7~3.9、より好ましくは3.4~3.9、さらにより好ましくは3.5~3.9の範囲のpHを有する。
【0122】
包装された熱処理飲料調製物のpHは、好ましくは3.7~4.3の範囲、より好ましくは3.9~4.3の範囲、さらにより好ましくは4.1~4.3の範囲でありうる。
【0123】
あるいは、しかしまた好ましくは、包装された熱処理飲料調製物のpHは、3.7~4.1の範囲、より好ましくは3.9~4.1の範囲でありうる。
【0124】
これらのpH範囲は、飲料調製物が低温殺菌される場合に特に適切である。
【0125】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは、3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7、又は好ましくは3.4~3.6、又は好ましくは3.5~3.7、又は好ましくは3.4~3.6の範囲のpHを有する。
【0126】
滅菌などの高温処理と組み合わせたこれらのpH範囲は、低粘度及び改善された味を有する透明な飲料の製造に特に適切である。
【0127】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、4.1~4.7の範囲のpHを有し、このpH範囲は、依然として低粘度を有しながら、乳白色外観及び高濁度を有する安定な飲料の製造に特に適切である。本発明のいくつかの実施形態では、pH範囲が4.2~4.6である。本発明の他のいくつかの実施形態では、pH範囲が4.2~4.5である。
【0128】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~3.9の範囲のpH及び飲料調製物の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質を有する。
【0129】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.7~3.9の範囲のpH及び飲料調製物の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質を有する。
【0130】
本発明のさらに好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、
-3.0~3.9、好ましくは3.7~3.9の範囲のpH、
-飲料調製物の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質、及び
-少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)
を有する。
【0131】
本発明のなおさらに好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、
-3.0~3.9、好ましくは3.7~3.9の範囲のpH、
-飲料調製物の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質、及び
-最大で10%、好ましくは最大で5%、さらにより好ましくは最大で1%のタンパク質変性度
を有する。
【0132】
飲料調製物の視覚的外観は、透明な飲料と不透明な飲料の両方に関して消費者にとって重要である。特に、清澄な水のような飲料、又は白色乳性飲料の場合、本発明者らは、飲料の色を制御できること、又はむしろ飲料の色の欠如を制御できることが有利であることを見出した。
【0133】
しかしながら、飲料の製造中に専用の着色剤を添加する場合でさえ、本発明者らは、飲料の視覚的外観の望ましくない変動又は変化を回避するために、追加の色源を回避できることが有利であることを見出した。本発明者らは、本明細書に記載される高いBLGタンパク質プロファイルが、従来のWPIよりもカラーニュートラル/無色であり、従来のWPIよりも少ない色の変動で寄与することを見出した。従来のWPIは、漂白剤などの酸化剤を添加することである程度軽減されうる黄色がかった外観を有している。しかしながら、酸化剤の添加は通常望ましくなく、本発明ではもはや必要ではない。
【0134】
例1.9に記載されるCIELABカラースケールが、飲料の色を決定するために使用される。例として、正のデルタb値は、脱塩水よりも黄色である色を示し、負のデルタb値は、脱塩水よりも青色である飲料を示す。したがって、黄色でも青色でもない飲料を得るために、色デルタb値を0に近づけることが消費者によって通常好まれる。
【0135】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、特に調製物が最大で200NTU、より好ましくは最大で40NTUの濁度を有する場合、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する。
【0136】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、CIELABカラースケールで0.0~0.40の範囲、好ましくは0.10~0.25の範囲の色値デルタbを有する。
【0137】
例えば200NTU超、好ましくは1000NTUより大きい濁度を有する、不透明な飲料調製物については、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは、-6~-1.7の範囲、好ましくは-5.0~-2.0の範囲のCIELABカラースケールでの色値デルタbを有する。本発明の他の好ましい実施形態では、200NTU超、好ましくは1000NTUより大きい濁度を有する飲料調製物が、-10~-0.5の範囲、より好ましくは-9~-1.0の範囲のCIELABカラースケールでの色値デルタbを有する。
【0138】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物のタンパク質画分が、特に調製物が最大で200NTU、より好ましくは最大で40NTUの濁度を有する場合、-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する。
【0139】
これらの飲料は、より高いデルタb値及びより黄色の色を有するWPIを含む飲料と比較して、より少ない黄色を有する。
【0140】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで0.0~0.40の範囲、好ましくは0.10~0.25の範囲の色値デルタbを有する。
【0141】
値は緑-赤成分を表し、緑は負方向、赤は正方向である。赤色でも緑色でもない飲料を得るために、色デルタa値がほぼゼロであることが通常好ましい。
【0142】
包装された熱処理飲料調製物のタンパク質画分が、特に調製物が最大で200NTU、より好ましくは最大で40NTUの濁度を有する場合、CIELABカラースケールで-0.2~0.2の範囲のデルタaを有することが典型的に好ましい。好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、CIELABカラースケールで-0.15~0.15の範囲、好ましくは-0.10~0.10の範囲の色値デルタaを有する。
【0143】
本発明者らは、包装された熱処理飲料調製物の所望の特性のいくつかに到達するためにミネラル含有量を制御することが有利となりうることを見出した。
本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、複数のミネラルを含む。1つの例示的な実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、少なくとも4種のミネラルを含む。一実施形態では、4種のミネラルが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムである。
【0144】
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書及び例2で定義されるようにBLG単離物を使用すると、粘度を損なうことなく、高ミネラル濃度を有する熱処理飲料調製物を製造できることを見出した。これにより、高いミネラル含有量を有する包装された熱処理飲料調製物を製造することが可能になり、栄養的に完全な栄養補助食品又は栄養的に不完全な補助食品である飲料を製造することができるようになる。
【0145】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、Na、K、Mg及びCaの量の和が、包装された熱処理飲料調製物中、0~750mMの範囲内、好ましくは100~600mMの範囲内、又は好ましくは、200~500mMの範囲内である。
【0146】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、Na、K、Mg及びCaの量の和が、包装された熱処理飲料調製物中、最大で750mMである。
【0147】
本発明の他の好ましい実施形態では、Na、K、Mg及びCaの量の和が、包装された熱処理飲料調製物中、最大で600mM、好ましくは最大で500mM、又は好ましくは最大で400mM、又は好ましくは最大で300mM、又は好ましくは最大で200mM、好ましくは最大で170mM、最も好ましくは最大で150mM、又は好ましくは最大で130mM、又は好ましくは最大で100mM、又は好ましくは最大で80mM、又は好ましくは最大で60mM、又は好ましくは最大で40mM、又は好ましくは最大で30mM、又は好ましくは最大で20mM、又は好ましくは最大で10mM、又は好ましくは最大で5mM、又は好ましくは最大で1mMである。
【0148】
別の例示的な実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、カルシウム、ヨウ素、亜鉛、銅、クロム、鉄、リン、マグネシウム、セレン、マンガン、モリブデン、ナトリウム、カリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数のミネラルを含む。
【0149】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で150mMのKCl及び最大で150mMのCaCl2を含む、又は包装された熱処理飲料調製物が、最大で130mMのKCl及び最大で130mMのCaCl2を含む、又は包装された熱処理飲料調製物が、最大110mMのKCl及び最大で110mMのCaCl2を含む、又は包装された熱処理飲料調製物が、最大で100mMのKCl及び最大で100mMのCaCl2を含む、又は好ましくは包装された熱処理飲料調製物が、最大で80mMのKCl及び最大で80mMのCaCl2を含む、又は好ましくは包装された熱処理飲料調製物が、最大で50mMのKCl及び最大で50mMのCaCl2を含む、又は好ましくは包装された熱処理飲料調製物が、最大で40mMのKCl及び最大で40mMのCaCl2を含む。
【0150】
本発明の他の好ましい実施形態では、熱処理飲料調製物が低ミネラル飲料である。
【0151】
本発明の文脈において、「低ミネラル」という用語は、以下の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらにより好ましくは全てを有する組成物、例えば液体、飲料、粉末又は別の食品に関する:
-全固形分に対して最大で1.2%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.3%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.10%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で100mgリンのリンの総含有量。
【0152】
好ましくは、低ミネラル組成物が、以下のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらにより好ましくは全てを有する:
-全固形分に対して最大で0.7%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.2%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.08%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で80mgリンのリンの総含有量。
【0153】
さらにより好ましくは、低ミネラル組成物が、以下のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらにより好ましくは全てを有する:
-全固形分に対して最大で0.5%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.15%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.06%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で50mgリンのリンの総含有量。
【0154】
低ミネラル組成物が以下を有することが特に好ましい:
-全固形分に対して最大で0.5%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.15%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.06%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で50mgリンのリンの総含有量。
【0155】
本発明者らは、本発明が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に有利な、リン及びカリウムなどの他のミネラルの含有量が非常に低い、包装された熱処理飲料調製物を調製することを可能にすることを見出した。
【0156】
包装された熱処理飲料調製物は、好ましくは低リン飲料調製物である。
包装された熱処理飲料調製物は、好ましくは低カリウム飲料調製物である。
包装された熱処理飲料調製物は、好ましくは、低リン及び低カリウム飲料調製物である。
【0157】
本発明の文脈において、「低リン」という用語は、タンパク質100g当たり最大で100mgリンのリンの総含有量を有する組成物、例えば、液体、粉末又は別の食品に関する。好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で80mgのリンの総含有量を有する。より好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で50mgのリンの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で20mgリンのリンの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で5mgリンのリンの総含有量を有しうる。本発明による低リン組成物は、腎臓機能が低下している患者群のための食品を製造するための食品成分として使用されうる。
【0158】
したがって、本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で80mgのリンを含む。好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で30mgのリンを含む。より好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で20mgのリンを含む。さらにより好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で10mgのリンを含む。最も好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で5mgのリンを含む。
【0159】
リンの含有量は、当の組成物の元素リンの総量に関し、例1.19に従って決定される。
【0160】
本発明の文脈において、「低カリウム」という用語は、タンパク質100g当たり最大で700mgカリウムのカリウムの総含有量を有する組成物、例えば、液体、粉末又は別の食品に関する。好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で600mgのカリウムの総含有量を有する。より好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で500mgのカリウムの総含有量を有しうる。より好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で400mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。より好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で300mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で200mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で100mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で50mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる、またさらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で10mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。
【0161】
本発明による低カリウム組成物は、腎臓機能が低下している患者群のための食品を製造するための食品成分として使用されうる。
【0162】
したがって、本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で600mgのカリウムを含む。より好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で500mgのカリウムを含む。より好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で400mgのカリウムを含む。より好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で300mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で200mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で100mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で50mgのカリウムを含み、さらにより好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、タンパク質100g当たり最大で10mgのカリウムを含む。
【0163】
カリウムの含有量は、当の組成物の元素カリウムの総量に関し、例1.19に従って決定される。
【0164】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で100mgリン/100gタンパク質及び最大で700mgカリウム/100gタンパク質、好ましくは最大で80mgリン/100gタンパク質及び最大で600mgカリウム/100gタンパク質、より好ましくは最大で60mgリン/100gタンパク質及び最大で500mgカリウム/100gタンパク質、より好ましくは最大で50mgリン/100gタンパク質及び最大で400mgカリウム/100gタンパク質、又はより好ましくは最大で20mgリン/100gタンパク質及び最大で200mgカリウム/100gタンパク質、又はさらにより好ましくは最大で10mgリン/100gタンパク質及び最大で50mgカリウム/100gタンパク質を含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で100mgリン/100gタンパク質及び最大で340mgカリウム/100gタンパク質を含む。
少量のリン及びカリウムを含む熱処理飲料調製物に、有利には炭水化物及び脂質を補足することができ、熱処理飲料調製物は、好ましくは、飲料の総エネルギー含有量の30~60%の範囲、好ましくは35~50E%の範囲の総量の炭水化物、及び総エネルギー含有量の20~60%の範囲、好ましくは30~50E%の範囲の総量の脂質をさらに含む。
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、複数のビタミンを含む。1つの例示的な実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、少なくとも10種のビタミンを含む。1つの例示的な実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、リボフラビン、パントテン酸、ビタミンE、チアミン、ナイアシン、葉酸、ビオチン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数のビタミンを含む。
【0165】
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料が、複数のビタミン及び複数のミネラルを含む。
【0166】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、安息香酸、酪酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、リン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の食物酸を含有する。
【0167】
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、塩、香味料、調味料及び/又は香辛料からなる群から選択される香料をさらに含む。本発明の好ましい実施形態では、香料が、チョコレート、ココア、レモン、オレンジ、ライム、イチゴ、バナナ、フォレストフルーツ香料又はこれらの組み合わせを含む。香料の選択は、製造する飲料に依存しうる。
【0168】
透明度は、消費者が製品を評価するために使用するパラメータである。液体食品の透明度を決定する1つの方法は、例1.7に記載されるように製品の濁度を測定することによる。
【0169】
包装された熱処理飲料調製物のいくつかの実施形態では、飲料調製物が透明であることが有益である。これは、例えば、飲料がスポーツ飲料又は「プロテインウォーター」で使用される場合に有利となる可能性があり、その場合、飲料の外観が水に似ていることが有益である。
【0170】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で200NTUの濁度を有し、このような飲料が透明である。
【0171】
驚くべきことに、本発明による熱処理飲料調製物によって、最大で200NTUの濁度を有する透明な熱処理飲料調製物を得ることができることが本発明者らによって見出された。
【0172】
これは、適用された熱処理が滅菌と低温殺菌の両方であった場合に見られた。
【0173】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で150NTUの濁度、又は好ましくは最大で100NTUの濁度、又は好ましくは最大で80NTUの濁度、又は好ましくは最大で60NTUの濁度、又はより好ましくは最大で40NTUの濁度、又は好ましくは最大で30NTUの濁度、好ましくは最大で20NTUの濁度、より好ましくは最大で10NTUの濁度、より好ましくは最大で5NTUの濁度を有し、さらにより好ましくは最大2NTUの濁度を有する。
【0174】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、200NTUより大きい濁度を有し、このような飲料が不透明である。
【0175】
包装された熱処理飲料調製物のいくつかの実施形態では、飲料調製物が不透明であることが有益である。これは、例えば、飲料が乳に似ていて、乳白色外観を有するべきである場合に有利である。栄養的に完全な栄養補助食品の外観は、典型的には不透明である。
【0176】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、250NTUより大きい濁度を有する。好ましくは、包装された熱処理飲料調製物が、300NTUより大きい濁度を有し、より好ましくは、500NTUより大きい濁度を有し、より好ましくは1000より大きい濁度、好ましくは1500NTUより大きい濁度を有し、さらにより好ましくは2000NTUより大きい濁度を有する。
【0177】
熱処理飲料調製物中の不溶性物質の量は、飲料の不安定性及び沈殿物の沈降が時間とともにどの程度起こるかの尺度である。多量の不溶性物質を有する飲料は、典型的には、不安定であると見なされる。
【0178】
本発明の文脈において、ホエイタンパク質飲料調製物は、3000×gで5分間の遠心分離で、加熱試料中の総タンパク質の最大で15%が沈殿した場合、「安定」であると見なされる。例1.10の分析方法を参照されたい。
【0179】
驚くべきことに、低いBLG含有量を有するWPIをタンパク質源として使用する場合と比較して、少なくとも85w/w%の量でBLGをタンパク質源として使用すると、タンパク質画分が、3000gで5分間の遠心分離後に、最大で15%の不溶性物質を含有することが分かり、飲料調製物が安定であることを実証している。
【0180】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理飲料調製物のタンパク質画分が、最大で15%の不溶性物質を含有する。
【0181】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で15%の不溶性物質を含有する。
【0182】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは最大で12%の不溶性物質、より好ましくは最大で10%の不溶性物質、さらにより好ましくは最大で8%の不溶性物質、最も好ましくは最大で6%の不溶性物質を含有する。
【0183】
さらに低レベルの不溶性物質が通常好ましく、いくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で4%の不溶性物質、好ましくは最大で2%の不溶性物質、より好ましくは最大で1%の不溶性物質を含有し、最も好ましくは検出可能な不溶性物質を全く含有しない。
【0184】
消費者は、熱処理飲料が液体であり、飲みやすく、ゲル化しないことを好む。
【0185】
飲料調製物の粘度を決定する1つの方法は、例1.8に記載されるように飲料の粘度を測定することによる。
【0186】
包装された熱処理飲料調製物のいくつかの実施形態では、飲料調製物が非常に低い粘度を有することが有益である。これは、飲料がスポーツ飲料として、又は栄養的に完全な栄養補助食品もしくは栄養的に不完全な補助食品のいくつかの実施形態で使用される場合に有利である。
【0187】
驚くべきことに、酸性pHを有し、低温殺菌などの熱処理に供され、さらには滅菌に供された飲料調製物が、100/秒のせん断速度で、摂氏22度で測定して、最大で200センチポアズ(cP)の粘度を有することが本発明者らによって見出された。
【0188】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で200cPの粘度を有する。
【0189】
好ましくは、包装された熱処理飲料調製物の粘度が、最大で150cP、好ましくは最大で100cP、より好ましくは最大で80cP、さらにより好ましくは最大で50cP、最も好ましくは最大で40cPである。
【0190】
さらに低い粘度が通常好ましく、したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物の粘度が、最大で20cP、好ましくは最大で10cP、より好ましくは最大で5cP、さらにより好ましくは最大で3cP、さらにより好ましくは最大で2cP、最も好ましくは最大で1cPである。
【0191】
pH3.0より上のpHを有する、WPIを含む酸性の透明な熱処理飲料を製造するためには、飲料に凝集抑制剤を添加することが不可欠であることが以前に見出された。例えば、Etzel 2004(Etzel,M.R.、2004、Manufacture and use of dairy protein fraction.American Society for Nutritional Science、996~1002頁)を参照されたい。
【0192】
驚くべきことに、少なくとも85%w/wのBLGを含む透明な熱処理飲料を、凝集抑制剤を添加することなく、pH3.0より高いpHでさえ製造することができることが本発明者らによって見出された。
【0193】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、凝集抑制剤を含まない、又は代わりに微量の凝集抑制剤のみを含む。
【0194】
本発明の文脈において、「凝集抑制剤」という用語は、例えばラウリル硫酸塩、ポリソルベート、ならびにモノグリセリド及び/又はジグリセリドなどの食品グレードの非タンパク質界面活性剤に関する。
【0195】
本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で0.1%w/wの凝集抑制剤、好ましくは最大で0.03%w/wの凝集抑制剤を含み、最も好ましくは凝集抑制剤を含まない。これらの実施形態は、透明な低脂肪飲料に関して特に好ましい。
【0196】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、ポリフェノールを含まない。
【0197】
しかしながら、本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、ポリフェノールを含む。例えばエピガロカテキン-3-ガラート(EGCG)などのポリフェノールは、熱処理時にホエイタンパク質の凝集を制限することが示されている。これらは本発明による高タンパク質飲料調製物を調製するために必要ではないが、これらを成分として使用してもよい。
【0198】
したがって、包装された熱処理飲料調製物が、0.01~1%w/w、より好ましくは0.02~0.6%w/w、さらにより好ましくは0.03~0.4%w/wの範囲、最も好ましくは0.04~0.2%w/wの範囲の総量のポリフェノールを含むことが好ましくなりうる。
【0199】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールが少なくとも、EGCGを含み、EGCGから本質的になっていてもよい。
【0200】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、飲料の重量に対して4.0~35%w/w、好ましくは4.0~30%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0201】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、飲料の重量に対して5.0~45%w/w、より好ましくは5.0~35%w/w、さらにより好ましくは5.0~34%w/w、最も好ましくは5.0~32%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0202】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、少なくとも3~45%w/w、より好ましくは11~40%w/w、さらにより好ましくは15~38%w/w、最も好ましくは20~36%w/wの量のタンパク質含有量を含有する。
【0203】
本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、飲料の重量に対して2.0~10.0%w/wのタンパク質含有量を有することが有利である。
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは飲料の重量に対して2.0~10%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して3.0~10%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して5.0~9.0%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して6.0~8.0%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0204】
本発明のいくつかの実施形態では、飲料のタンパク質含有量が、飲料の重量に対して10.0~45.0%w/wなど高いことが有利である。
【0205】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは飲料の重量に対して10.0~45.0%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して10.0~20%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して12~30%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して15~25%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料の重量に対して18~20%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0206】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物のタンパク質含有量が、包装された熱処理飲料調製物の重量に対して5.0~45.0%w/w、好ましくは6.0~35%w/w、より好ましくは7.0~34%w/w、さらにより好ましくは8.0~32%w/w、最も好ましくは10~30%w/wであることが有利である。
【0207】
本発明は、驚くべきことに、15%w/wを超える、さらには20%w/wを超えるタンパク質含有量を有する包装された熱処理飲料調製物を提供することを可能にする。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは飲料調製物の重量に対して15~45.0%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料調製物の重量に対して20~35%w/wの総量のタンパク質、より好ましくは飲料調製物の重量に対して21~34%w/wの総量のタンパク質、さらにより好ましくは飲料調製物の重量に対して25~32%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0208】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは飲料調製物の重量に対して21~35%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料調製物の重量に対して25~35%w/wの総量のタンパク質、より好ましくは飲料調製物の重量に対して28~35%w/wの総量のタンパク質、さらにより好ましくは飲料調製物の重量に対して30~35%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0209】
本発明のさらに好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、好ましくは飲料調製物の重量に対して21~33%w/wの総量のタンパク質、好ましくは飲料調製物の重量に対して25~33%w/wの総量のタンパク質、より好ましくは飲料調製物の重量に対して28~33%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0210】
液体溶液のタンパク質は、好ましくは哺乳動物の乳から、好ましくは例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、ラクダ、ラマ、雌ウマ及び/又はシカの乳などの反芻動物の乳から調製される。ウシ乳由来のタンパク質が特に好ましい。したがって、液体溶液のタンパク質は、好ましくはウシ乳タンパク質である。
【0211】
液体溶液のタンパク質は、好ましくはホエイタンパク質及び/又は乳清タンパク質であり、さらにより好ましくはウシホエイタンパク質及び/又は乳清タンパク質である。
【0212】
本発明の包装された熱処理飲料調製物は、スポーツ飲料として特に有用であり、その場合、好ましくは、任意にごく限られた量の脂質及び/又は任意に限られた量の炭水化物も含有する。
【0213】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、調製物が、スポーツ飲料として特に有用であり、例えば飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して2~20%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して2~10%w/w、最も好ましくは飲料の重量に対して2~6%w/wの範囲の総量のタンパク質を含む。
【0214】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に不完全な栄養補助食品として特に有用であり、例えば飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して2~20%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して3~10%w/wの範囲の総量のタンパク質を含む。
【0215】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に完全な栄養補助食品として特に有用であり、例えば飲料の重量に対して4~45%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して5~20%w/wの範囲の総量のタンパク質を含む。
【0216】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に特に有利である。
【0217】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、例えば飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して2~20%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して3~12%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して3~10%w/wの範囲の総量のタンパク質を含む。
【0218】
包装された熱処理飲料調製物が、他のタンパク質源と組み合わせて、好ましくは主タンパク質源として、可能であれば唯一のタンパク質源として、BLG単離物を含むことが特に好ましい。
【0219】
本発明の包装された熱処理飲料調製物は、タンパク質以外の主栄養素を含みうる。本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、炭水化物をさらに含む。本発明の熱処理飲料調製物中の総炭水化物含有量は、熱処理飲料調製物の意図した用途に依存する。
【0220】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、炭水化物の少なくとも1つの供給源をさらに含む。1つの例示的な実施形態では、炭水化物の少なくとも1つの供給源が、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ固形物、サッカロース、マルトース、スクロマルト、マルチトール粉末、グリセリン、グルコースポリマー、コーンシロップ、加工デンプン、レジスタントスターチ、米由来炭水化物、イソマルツロース、白砂糖、グルコース、フルクトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ、蜂蜜、糖アルコール、フルクトオリゴ糖、大豆繊維、コーンファイバー、グアーガム、コンニャク粉、ポリデキストロース、Fibersol、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0221】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、糖ポリマー、すなわちオリゴ糖及び/又は多糖を含む。
【0222】
いくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、調製物の総エネルギー含有量の0~95%の範囲、好ましくは調製物の総エネルギー含有量の10~85%の範囲、好ましくは調製物の総エネルギー含有量の20~75%の範囲、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の30~60%の範囲の炭水化物をさらに含む。
【0223】
さらに低い炭水化物含有量が通常好ましく、よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物の炭水化物含有量が、好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~30%の範囲、より好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~20%の範囲、さらにより好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~10%の範囲である。
【0224】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物の炭水化物含有量が、調製物の総エネルギー含有量の最大で5%、より好ましくは調製物の総エネルギー含有量の最大で1%、さらにより好ましくは調製物の総エネルギー含有量の最大で0.1%である。
【0225】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、調製物が、スポーツ飲料として特に有用であり、飲料の総エネルギー含有量(E)の最大で75%、好ましくは最大で40E%、好ましくは最大で10E%、又は好ましくは最大で5E%の総量の炭水化物を含む。
【0226】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に不完全な栄養補助食品として特に有用であり、飲料の総エネルギー含有量(E)の70~95%、好ましくは80~90E%の範囲の総量の炭水化物を含む。
【0227】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に完全な栄養補助食品として特に有用であり、飲料の総エネルギー含有量の30~60%の範囲、好ましくは35~50E%の範囲の総量の炭水化物を含む。
【0228】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に特に有利である。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、飲料の総エネルギー含有量の30~60%の範囲、好ましくは35~50E%の範囲の総量の炭水化物を含む。
【0229】
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、ビタミン、香味料、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食物酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分をさらに含む。
【0230】
本発明の一実施形態では、飲料調製物が、少なくとも1つの高甘味度甘味料をさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つの高甘味度甘味料が、アスパルテーム、シクラマート、スクラロース、アセスルファム塩、ネオテーム、サッカリン、ステビア抽出物、例えばレバウディオサイドAなどのステビオール配糖体、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明のいくつかの実施形態では、甘味料が、1つ又は複数の高甘味度甘味料(HIS)を含む、又はからなることが特に好ましい。
【0231】
HISは、天然甘味料と人工甘味料の両方で見られ、典型的には、スクロースの少なくとも10倍の甘味強度を有する。
【0232】
使用する場合、HISの総量は、典型的には0.01~2%w/wの範囲である。例えば、HISの総量は、0.05~1.5%w/wの範囲でありうる。あるいは、HISの総量は、0.1~1.0%w/wの範囲でありうる。
【0233】
甘味料の選択は、製造される飲料に依存しうるが、例えば高甘味度砂糖甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムK又はスクラロース)は、甘味料からのエネルギー寄与が望まれない飲料に使用されうる一方、天然プロファイル有する飲料については、天然甘味料(例えば、ステビオール配糖体、ソルビトール又はスクロース)が使用されうる。
【0234】
さらに、甘味料が、1つ又は複数のポリオール甘味料を含む、又はからなることがさらに好ましい場合がある。有用なポリオール甘味料の非限定的な例は、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトール、トレイトール、ガラクチトール又はこれらの組み合わせである。使用する場合、ポリオール甘味料の総量は、典型的には1~20%w/wの範囲である。例えば、ポリオール甘味料の総量は、2~15%w/wの範囲でありうる。あるいは、ポリオール甘味料の総量は、4~10%w/wの範囲でありうる。
【0235】
本発明の包装された熱処理飲料調製物は、タンパク質以外の主栄養素を含みうる。本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、脂質をさらに含む。本発明の熱処理飲料調製物中の総脂質含有量は、熱処理飲料調製物の意図した用途に依存する。
【0236】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、調製物の総エネルギー含有量の0~60%、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~50%の範囲、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~45%の範囲、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~30%の範囲、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~20%の範囲、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~10%の範囲、又は好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~5%の範囲の脂質含有量を有する。
【0237】
脂質の量は、ISO 1211:2010(脂肪含有量の決定-Rose-Gottlieb重量分析法)に従って決定される。
【0238】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物の脂質含有量が、調製物の総エネルギー含有量の最大で3%、より好ましくは調製物の総エネルギー含有量の最大で1%、さらにより好ましくは調製物の総エネルギー含有量の最大で0.1%である。
【0239】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、調製物が、スポーツ飲料として特に有用であり、例えば最大で10E%、好ましくは最大で1E%の総量の脂質を含む。
【0240】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に不完全な栄養補助食品として特に有用であり、例えば飲料の総エネルギー含有量の最大で10%、好ましくは最大で1E%の総量の脂質を含む。
【0241】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に完全な栄養補助食品として特に有用であり、例えば総エネルギー含有量の20~50%の範囲、好ましくは30~40E%の範囲の総量の脂質を含む。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に特に有利である。
【0242】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、例えば総エネルギー含有量の20~60%の範囲、好ましくは30~50E%の範囲の総量の脂質を含む。
【0243】
飲料調製物は、典型的には50~98%w/wの範囲、好ましくは45~97%w/wの範囲、より好ましくは40~95%w/wの範囲、さらにより好ましくは35~90%w/wの範囲、最も好ましくは30~85%w/wの範囲の総量の水を含有する。
【0244】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物が、55~90%w/wの範囲、好ましくは57~85%w/wの範囲、より好ましくは60~80%w/wの範囲、さらにより好ましくは62~75%w/wの範囲、最も好ましくは65~70%w/wの範囲の総量の水を含有する。
【0245】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物が、90~98%w/wの範囲、好ましくは92~97.5%w/wの範囲、より好ましくは94~97%w/wの範囲、さらにより好ましくは95~97%w/wの範囲、最も好ましくは96~97%w/wの範囲の総量の水を含有する。これらの実施形態は、例えば透明な水のような飲料に有用である。
【0246】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物が非アルコール性であり、これは飲料調製物が最大で1.0%w/w、より好ましくは最大で0.5%w/w、さらにより好ましくは最大で0.1%w/wのエタノールを含有し、最も好ましくは、検出可能なエタノールを含有しないことを意味する。
【0247】
飲料調製物は、典型的には1~45%w/wの範囲、好ましくは5~40%w/wの範囲、より好ましくは10~35%w/wの範囲、さらにより好ましくは12~30%w/wの範囲、最も好ましくは16~25%w/wの範囲の量の全固形分を含有する。
【0248】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、飲料調製物が、10~45%w/wの範囲、好ましくは15~43%w/wの範囲、より好ましくは20~40%w/wの範囲、さらにより好ましくは25~38%w/wの範囲、最も好ましくは30~35%w/wの範囲の量の全固形分を含有する。
【0249】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、1~10%w/wの範囲、好ましくは1.5~8%w/wの範囲、より好ましくは2~6%w/wの範囲、さらにより好ましくは2~5%w/wの範囲、最も好ましくは2~4%w/wの範囲の量の全固形分を含有する。これらの実施形態は、例えば透明な水のような飲料に有用である。
【0250】
固体ではない飲料調製物の部分は、好ましくは水である。
【0251】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、αラクトアルブミン(ALA)及びカゼイノマクロペプチド(CMP)の和が、飲料調製物の非BLGタンパク質の少なくとも40%w/w、好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは飲料調製物の非BLGタンパク質の少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wを構成する。
【0252】
本発明の他の好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質が、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントが、最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である、総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0253】
さらに低い濃度の主要な非BLGホエイタンパク質が望ましくなり得る。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質が、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0254】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ALAが、飲料調製物の非BLGタンパク質の最大で80%w/w、好ましくは最大で60%w/w、さらにより好ましくは最大で40%w/w、最も好ましくは飲料調製物の非BLGタンパク質の最大で30%w/wを構成する。
【0255】
さらに低いALAの含有量が好まれうるので、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ALAが、飲料調製物の非BLGタンパク質の最大で20%w/w、好ましくは最大で15%w/w、さらにより好ましくは最大で10%w/w、最も好ましくは飲料調製物の非BLGタンパク質の最大で5%w/wを構成する。
【0256】
本発明者らは、ラクトフェリン及び/又はラクトペルオキシダーゼの還元が、カラーニュートラル(colour-neutral)ホエイタンパク質生成物を得るのに特に有利である兆候を見てきた。
【0257】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ラクトフェリンが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。さらに低濃度のラクトフェリンが望まれうる。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、ラクトフェリンが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0258】
同様に、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ラクトペルオキシダーゼが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。さらに低濃度のラクトペルオキシダーゼが望まれうる。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、ラクトペルオキシダーゼが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0259】
ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼは、例1.29に従って定量化される。
【0260】
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物がスポーツ飲料である。
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が栄養的に完全な栄養補助食品である。
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が栄養的に不完全な栄養補助食品である。
本発明の一実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に適した低リン及び低カリウム飲料である。
【0261】
本発明の包装された熱処理飲料調製物は、スポーツ飲料として特に有用であり、その場合、好ましくは、任意にごく限られた量の脂質及び/又は任意に限られた量の炭水化物も含有する。
【0262】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、調製物が、スポーツ飲料として特に有用であり、例えば:
-飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して2~20%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して2~10%w/w、最も好ましくは飲料の重量に対して2~6%w/wの範囲の総量のタンパク質、
-飲料の総エネルギー含有量(E)の最大で75%、好ましくは最大で40E%、好ましくは最大で10E%、又は好ましくは最大で5E%の総量の炭水化物、及び
-最大で10E%、好ましくは最大で1E%の総量の脂質
を含む。
【0263】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に不完全な栄養補助食品として特に有用であり、例えば:
-飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して2~20%w/w又は好ましくは3~10%w/wの範囲の総量のタンパク質、
-飲料の総エネルギー含有量(E)の70~95%、好ましくは80~90E%の範囲の総量の炭水化物、及び
-飲料の総エネルギー含有量の最大で10%、好ましくは最大で1E%の総量の脂質
を含む。
【0264】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、栄養的に完全な栄養補助食品として特に有用であり、例えば:
-飲料の重量に対して4~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して5~20%w/wの範囲の総量のタンパク質、
-飲料の総エネルギー含有量の30~60%の範囲、好ましくは35~50E%の範囲の総量の炭水化物、及び
-総エネルギー含有量の20~50%の範囲、好ましくは30~40E%の範囲の総量の脂質
を含む。
【0265】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に特に有利である。飲料調製物は、リン及びカリウムなどの他のミネラルの含有量が非常に低い。
【0266】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、例えば:
-飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは飲料の重量に対して2~20%w/w、又は好ましくは飲料の重量に対して3~12%w/w、好ましくは、3~10%w/wの範囲の総量のタンパク質、
-飲料の総エネルギー含有量の30~60%の範囲、好ましくは35~50E%の範囲の総量の炭水化物、及び
-総エネルギー含有量の20~60%の範囲、好ましくは30~50E%の範囲の総量の脂質
を含む。
【0267】
熱処理飲料調製物は、好ましくは、本明細書に記載される適切な容器、例えばボトル、カートン、ブリック及び/又はバッグ中に存在する。
【0268】
本発明者らは、驚くべきことに、少なくともいくらかのタンパク質変性に曝露された熱処理飲料調製物が、ある条件下での貯蔵中に発色する傾向があることを発見した。その後、本発明者らは、発色が少なくとも部分的に光(電磁放射線)への曝露によって引き起こされ、この現象がBLGの濃度の増加とともに増加することを発見した。本発明者らはさらに、周囲光の少なくとも一部を遮断する容器を選択することによって、この問題を低減又は回避することさえできることを発見した。
【0269】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、容器壁が、最大で10%、好ましくは最大で1%、より好ましくは最大で0.1%、さらにより好ましくは最大で0.01%、最も好ましくは最大で0.001%の250~500nmの範囲の任意の波長での光透過率を有する。
【0270】
本発明の他の好ましい実施形態では、容器壁が、最大で10%、好ましくは最大で1%、より好ましくは最大で0.1%、さらにより好ましくは最大で0.01%、最も好ましくは最大で0.001%の250~500nmの範囲の平均光透過率を有する。
【0271】
容器壁の光透過率は、容器壁の平面部分を提供し、任意の関連する波長で容器壁を通る光透過率を測定することによって測定される。測定は、標準的な分光光度計を使用し、容器壁の一部の平面が光路に対して垂直に配置されるように、容器壁の一部を光路に挿入することによって(例えば、キュベット又は同様の配置を使用して)実施される。波長iでの透過率は、T=Ii,後/Ii,前 100%(式中、Ii,前は容器壁に到達する前の波長iでの光強度であり、Ii,後は光路の光ビームが容器壁の一部を通過した後の波長iの強度である)として計算される。
【0272】
平均光透過率は、所与の波長範囲内で行われた全ての透過率測定Tの和を計算し、この和を所与の波長範囲内の透過率測定数で割ることによって計算される。
【0273】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、容器壁が、最大で10%、好ましくは最大で1%、より好ましくは最大で0.1%、さらにより好ましくは最大で0.01%、最も好ましくは最大で0.001%の250~800nmの範囲の任意の波長での光透過率を有する。
【0274】
本発明の他の好ましい実施形態では、容器壁が、最大で10%、好ましくは最大で1%、より好ましくは最大で0.1%、さらにより好ましくは最大で0.01%、最も好ましくは最大で0.001%の250~800nmの範囲の平均光透過率を有する。
【0275】
このような低光透過性容器は、例えば、着色された、吸収剤を含む、もしくはコーティングされたポリマー、又は着色もしくはコーティングされたガラスを使用して、又は代わりに例えばアルミニウム箔の形態で、金属層を容器壁に組み込むことによって製造されうる。このような無又は低光透過性容器は、食品及び製薬業界で知られている。
【0276】
適切なポリマー材料の非限定的な例は、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)又はPET様ポリマーである。
【0277】
本発明者らはさらに、飲料調製物が主に天然のコンフォメーションのBLGを含有する場合、発色を低減又は回避さえすることができることを見出した。したがって、例えば変性の少ない方法を使用することによってタンパク質の変性度を減らすことで、色の問題が軽減されることが分かっている。
【0278】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、容器壁の少なくとも一部が透明であり、好ましくは、容器全体が透明である。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、容器壁の少なくとも一部、好ましくは容器壁全体が、少なくとも11%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも80%の400~700nmの範囲の平均光透過率を有する。
【0279】
本発明の一態様は、2~4.7の範囲のpHを有する、包装された熱処理飲料調製物を製造する方法であって、以下の工程:
a)
-2~45重量%の総量の、その少なくとも85%がBLGであるタンパク質と、
-任意に、甘味料、糖ポリマー及び/又は香料と
を含む液体溶液を提供する工程と、
b)液体溶液を包装する工程と
を含み、
工程a)の液体溶液及び/又は工程b)の包装された液体溶液が、少なくとも低温殺菌を含む熱処理に供される、
方法に関する。
【0280】
工程a)の液体溶液は、好ましくは、液体溶液が最終的な熱処理を欠いていることを除いて、熱処理飲料調製物の内容物に記載されているのと同じ化学組成を有する。したがって、熱処理飲料調製物の文脈で言及された実施形態及び選好は、液体溶液にも等しく適用される。
【0281】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明の液体溶液は、タンパク質の少なくとも85%w/wがBLGである。好ましくは、タンパク質の少なくとも88%w/wがBLGであり、より好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは少なくとも91%w/w、最も好ましくはタンパク質の少なくとも92%w/wがBLGである。
【0282】
さらに高い相対量のBLGが実現可能であると同時に望ましいので、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液のタンパク質の少なくとも94%w/wがBLGであり、より好ましくはタンパク質の少なくとも96%w/wがBLGであり、さらにより好ましくはタンパク質の少なくとも98%w/w、最も好ましくはおよそ100%w/wがBLGである。
【0283】
例えば、液体溶液は、好ましくは、総タンパク質に対して少なくとも97.5%w/w、好ましくは少なくとも98.0%w/w、より好ましくは少なくとも98.5%w/w、さらにより好ましくは少なくとも99.0%の量のBLG、最も好ましくは総タンパク質に対して少なくとも99.5%w/w、例えば総タンパク質に対しておよそ100.0%w/wの量のBLGを含む。
【0284】
工程b)の包装は、任意の適切な包装技術であることができ、任意の適切な容器が、液体溶液を包装するために使用されうる。
【0285】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、工程b)の包装が無菌包装である、すなわち、液体溶液が無菌条件下で包装される。例えば、無菌包装は、無菌充填システムを使用することによって実施することができ、これは、好ましくは、液体溶液を1つ又は複数の無菌容器に充填することを含む。
【0286】
液体溶液が充填前に既に無菌である、又は微生物が非常に少ない場合、無菌充填及び密封が特に好ましい。
【0287】
有用な容器の例は、例えば、ボトル、カートン、ブリック及び/又はバッグである。
【0288】
この方法のいくつかの好ましい実施形態では、工程b)の包装された液体溶液が、少なくとも低温殺菌を含む熱処理に供される。この実施形態は、典型的には、容器内熱処理又はレトルト処理と呼ばれ、低温殺菌又はさらには無菌性を達成するために、容器全体及びその内容物を加熱することを含む。容器内熱処理を使用する場合、温度を70~82℃の範囲、より好ましくは70~80℃の範囲、最も好ましくは70~78℃の範囲に保つことが特に好ましい。このようにして、タンパク質のアンフォールディングのレベルが最小限にとどめられる。
【0289】
本発明の方法の他の好ましい実施形態では、工程a)の液体溶液が、少なくとも低温殺菌を含む熱処理に供され、その後、工程b)で包装される。
【0290】
特に好ましい実施形態では、熱処理が、飲料調製物を70~82℃の範囲の温度に加熱することを含む。
【0291】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理の温度が、70~80℃の範囲、好ましくは70~79℃の範囲、より好ましくは71~78℃の範囲、さらにより好ましくは72~77℃の範囲、最も好ましくは73~76℃の範囲、例えばおよそ75℃である。
【0292】
好ましくは、熱処理の持続時間は、70~82の温度範囲で実施される場合、1秒~30分である。最高曝露時間は温度範囲の最低温度に最適であり、その逆もまた同様である。液体溶液のpHが低いほど、アンフォールディングすることなく高い温度に耐えることができる。
【0293】
本発明の特に好ましい実施形態では、熱処理が、70~80℃で1秒~30分、より好ましくは71~77℃で1分~25分、さらにより好ましくは72~76℃で2分~20分を提供する。
【0294】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理が、85℃~95℃の温度に1~3分間加熱することを含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、特にBLGについてのアンフォールディング及び任意に凝集も必要とされる場合、より高い温度も好まれうる。例えば、熱処理の温度は、少なくとも81℃、好ましくは少なくとも91℃、好ましくは少なくとも95℃、より好ましくは少なくとも100℃、さらにより好ましくは少なくとも120℃、最も好ましくは少なくとも140℃でありうる。
【0296】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、滅菌が、120~150℃の範囲の温度で4~30秒を含む。
【0297】
熱処理は、例えば、90~130℃の範囲の温度及び5秒~10分の範囲の持続時間を含みうる。熱処理は、例えば、90~95℃の範囲の温度に1~10分間、例えばおよそ120℃におよそ20秒間加熱することを含む。あるいは、熱処理は、115~125℃の範囲の温度に5~30秒の持続時間、例えばおよそ120℃におよそ20秒間加熱することを含みうる。
【0298】
あるいは、熱処理は、例えば、典型的には135~144℃の範囲の温度及び2~10秒の範囲の持続時間を含むUHT型処理でありうる。
【0299】
あるいは、しかしまた好ましくは、熱処理は、145~180℃の範囲の温度及び0.01~2秒の範囲の持続時間、より好ましくは150~180℃の範囲の温度及び0.01~0.3秒の範囲の持続時間を含みうる。
【0300】
熱処理の実施は、プレートもしくは多管式熱交換器、かき取り表面熱交換器又はレトルトシステムなどの機器の使用を含みうる。あるいは、また95℃より高い温度での熱処理に特に好まくは、例えば直接蒸気注射、直接蒸気注入、又は噴霧調理を使用した、直接蒸気型加熱が使用されうる。さらに、このような直接蒸気型加熱は、好ましくは、フラッシュ冷却と組み合わせて使用される。噴霧調理の実施の適切な例は、全ての目的のために本明細書に組み込まれる、国際公開第2009113858号パンフレットに見出される。直接蒸気注射及び直接蒸気注入の実施の適切な例は、全ての目的のために本明細書に組み込まれる、国際公開第2009113858号パンフレット及び国際公開第2010/085957号パンフレットに見出される。高温処理の一般的な態様は、例えば全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、「Thermal technologies in food processing」ISBN 185573558 Xに見出される。
【0301】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、低温殺菌が、別の物理的微生物減少と組み合わされる。
【0302】
物理的微生物減少の有用な例には、雑菌濾過、UV照射、高圧処理、パルス型電界処理及び超音波のうちの1つ又は複数が含まれる。
【0303】
本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、熱処理が、最大で50%、好ましくは最大で20%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で5%のタンパク質変性度を提供するように選択される。
【0304】
熱処理が、少なくとも1.11、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17の固有トリプトファン蛍光比(I330/I350)を提供するように選択されることがさらに好ましい。
【0305】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理が、滅菌液体飲料調製物をもたらす滅菌である。このような滅菌は、好ましくは、雑菌濾過と熱処理、例えば低温殺菌を組み合わせることによって得られうる。滅菌は、例えば、熱処理とそれに続く雑菌濾過、又はさらにより好ましくは雑菌濾過とそれに続く熱処理を含みうる。
【0306】
本発明の文脈において、「雑菌濾過」という用語は、細菌及び胞子などの微生物を保持するのに十分な孔径であるが、天然のBLGを保持しない孔径で実施される濾過に関する。雑菌濾過は、滅菌濾過と呼ばれることもあり、当の液体の精密濾過を含む。雑菌濾過は、典型的には、最大で1ミクロン、好ましくは最大で0.8ミクロン、より好ましくは最大で0.6ミクロン、さらにより好ましくは最大で0.4ミクロン、最も好ましくは最大で0.2ミクロンの孔径を有する膜で実施される。
【0307】
雑菌濾過は、例えば、0.02~1ミクロン、好ましくは0.03~0.8ミクロン、より好ましくは0.04~0.6ミクロン、さらにより好ましくは0.05~0.4ミクロン、最も好ましくは0.1~0.2ミクロンの孔径を有する膜を含みうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、雑菌濾過に供され、その後、最大で80℃、好ましくは最大で78℃の温度を使用する熱処理に供される。この熱処理の持続時間は、好ましくは、無菌飲料調製物を調製するのに十分長く選択される。
【0308】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液が、雑菌濾過に供され、その後、81~160℃、より好ましくは100~155℃の温度を使用する熱処理に供される。この熱処理の温度と持続時間の組み合わせは、好ましくは無菌飲料調製物を提供するように選択される。
【0309】
使用される熱処理温度に応じて、飲料調製物が冷却されることが有益である。本発明の方法の好ましい態様によると、熱処理の後で、熱処理飲料調製物が、任意の工程で、好ましくは0~50℃、好ましくは0~25℃、又は好ましくは0~20℃、又は好ましくは0~15℃、好ましくは0~10℃、又は好ましくは4~8℃、又は好ましくは2~5℃、又は好ましくは1~5℃に冷却される。
【0310】
飲料調製物が低温殺菌されている場合、これは、好ましくは、熱処理後に0~15℃、好ましくは1~10℃、より好ましくは1~6℃に冷却される。
【0311】
この方法の一実施形態によると、一般に、任意の酸又は塩基を使用してpHを調整することができる。当業者であれば、pHを調整するのに適した手段を認識するだろう。適切な酸には、例えば、クエン酸、塩酸、リンゴ酸又は酒石酸、又はリン酸、最も好ましくはクエン酸及び/又はリン酸が含まれる。
【0312】
有用な塩基の有用な例は、水酸化物塩、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、炭酸塩又は炭酸水素塩、カルボン酸塩、例えば、クエン酸塩又は乳酸塩、及びこれらの組み合わせである。好ましくは、KOH又はNaOHなどの塩基を使用してpHを調整する。
【0313】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が3.0~4.3の範囲のpHを有する。これらのpH範囲は、低粘度及び改善された味を有する透明な飲料の製造に特に好ましい。
【0314】
外観に関して、驚くべきことに、タンパク質の少なくとも85%w/wがBLGであるホエイタンパク質飲料を使用すると、熱処理中にpHを上げることができ、熱処理WPI飲料と比較した場合に、視覚認知(色及び濁度)及び粘度の改善が得られることが分かった。したがって、本発明は、ホエイタンパク質を含有する低粘度の、好ましくはまた透明な酸性飲料を製造することが可能なpH範囲を増加させる。
【0315】
驚くべきことに、本発明のBLG飲料と比較して、WPIで製造された飲料の間で感覚パラメータに有意差があることが分かった。驚くべきことに、また有利なことに、BLG飲料は、WPI飲料と比較して、より低いレベルの渋味、乾燥食感、酸味、ホエイ芳香及びクエン酸香味を有することが分かった。酸性飲料のpHを上げることによって、飲料の酸性度のバランスをとるために必要な甘味料が少なくなり、したがって、このような飲料に必要な甘味料の濃度が低くなることがさらに分かった。
【0316】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~4.1、又は好ましくは3.1~4.0、又は好ましくは3.2~3.9、又は好ましくは3.7~3.9、より好ましくは3.4~3.9、さらにより好ましくは3.5~3.9の範囲のpHを有する。
【0317】
したがって、液体溶液が、3.0~4.1、又は好ましくは3.1~4.0、又は好ましくは3.2~3.9、又は好ましくは3.7~3.9、より好ましくは3.4~3.9、さらにより好ましくは3.5~3.9の範囲のpHを有することが好ましい。
【0318】
本発明者らは、特に飲料が透明であるべきである場合、pH3.6より上のpHで酸性タンパク質飲料を製造することが特に困難であることを見出した。しかしながら、本発明はこれを可能にする。
【0319】
したがって、液体溶液のpHは、好ましくは3.7~4.3の範囲、より好ましくは3.9~4.3の範囲、さらにより好ましくは4.1~4.3の範囲でありうる。
【0320】
あるいは、しかしまた好ましくは、包装された熱処理飲料調製物のpHは、3.7~4.1の範囲、より好ましくは3.9~4.1の範囲でありうる。
【0321】
これらのpH範囲は、飲料調製物が低温殺菌される場合に特に適切である。
【0322】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、好ましくは、3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7、又は好ましくは3.4~3.6、又は好ましくは3.5~3.7、又は好ましくは3.4~3.6の範囲のpHを有する。
【0323】
滅菌などの高温処理と組み合わせたこれらのpH範囲は、低粘度及び改善された味を有する透明な飲料の製造に特に適切である。
【0324】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、4.1~4.7の範囲のpHを有し、このpH範囲は、依然として低粘度を有しながら、乳白色外観及び高濁度を有する安定な飲料の製造に特に適切である。本発明のいくつかの実施形態では、pH範囲が4.2~4.6である。本発明の他のいくつかの実施形態では、pH範囲が4.2~4.5である。
【0325】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、飲料の重量に対して4.0~35%w/w、好ましくは4.0~30%w/w、より好ましくは5.0~30%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0326】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液が、液体溶液の重量に対して5.0~45%w/w、より好ましくは5.0~35%w/w、さらにより好ましくは5.0~34%w/w、最も好ましくは5.0~32%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0327】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、少なくとも3~45%w/w、より好ましくは11~40%w/w、さらにより好ましくは15~38%w/w、最も好ましくは20~36%w/wの量のタンパク質含有量を含有する。
【0328】
本発明のいくつかの実施形態では、液体溶液が、溶液の重量に対して2.0~10.0%w/wのタンパク質含有量を有することが有利である。
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、液体溶液が、好ましくは液体溶液の重量に対して2.0~10%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して3.0~10%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して5.0~9.0%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して6.0~8.0%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0329】
場合によっては、液体溶液のタンパク質含有量が、液体溶液の重量に対して10.0~45.0%w/wなど高いことが有利である。
【0330】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、液体溶液が、好ましくは液体溶液の重量に対して10.0~45.0%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して10.0~20%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して12~30%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して15~25%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して18~20%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0331】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液のタンパク質含有量が、液体溶液の重量に対して5.0~45.0%w/w、好ましくは6.0~35%w/w、より好ましくは7.0~34%w/w、さらにより好ましくは8.0~32%w/w、最も好ましくは10~30%w/wであることが有利である。
【0332】
本発明は、驚くべきことに、15%w/w、さらには20%w/wを超えるタンパク質含有量を有する包装された熱処理飲料調製物を提供することを可能にする。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、好ましくは液体溶液の重量に対して15~45.0%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して20~35%w/wの総量のタンパク質、より好ましくは液体溶液の重量に対して21~34%w/wの総量のタンパク質、さらにより好ましくは液体溶液の重量に対して25~32%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0333】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液が、好ましくは液体溶液の重量に対して21~35%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して25~35%w/wの総量のタンパク質、より好ましくは液体溶液の重量に対して28~35%w/wの総量のタンパク質、さらにより好ましくは液体溶液の重量に対して30~35%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0334】
本発明のさらに好ましい実施形態では、液体溶液が、好ましくは液体溶液の重量に対して21~33%w/wの総量のタンパク質、好ましくは液体溶液の重量に対して25~33%w/wの総量のタンパク質、より好ましくは液体溶液の重量に対して28~33%w/wの総量のタンパク質を含む。
【0335】
液体溶液のタンパク質は、好ましくは哺乳動物の乳から、好ましくは例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、ラクダ、ラマ、雌ウマ及び/又はシカの乳などの反芻動物の乳から調製される。ウシ乳由来のタンパク質が特に好ましい。したがって、液体溶液のタンパク質は、好ましくはウシ乳タンパク質である。
【0336】
液体溶液のタンパク質は、好ましくはホエイタンパク質及び/又は乳清タンパク質であり、さらにより好ましくはウシホエイタンパク質及び/又は乳清タンパク質である。
【0337】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、αラクトアルブミン(ALA)及びカゼイノマクロペプチド(CMP)の和が、液体溶液の非BLGタンパク質の少なくとも40%w/w、好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは液体溶液の非BLGタンパク質の少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wを構成する。
【0338】
本発明の他の好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質が、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0339】
さらに低い濃度の主要な非BLGホエイタンパク質が望ましくなり得る。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質が、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0340】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ALAが、液体溶液の非BLGタンパク質の最大で80%w/w、好ましくは最大で60%w/w、さらにより好ましくは最大で40%w/w、最も好ましくは液体溶液の非BLGタンパク質の最大で30%w/wを構成する。
【0341】
さらに低いALAの含有量が好まれうるので、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ALAが、液体溶液の非BLGタンパク質の最大で20%w/w、好ましくは最大で15%w/w、さらにより好ましくは最大で10%w/w、最も好ましくは液体溶液の非BLGタンパク質の最大で5%w/wを構成する。
【0342】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、3.0~3.9の範囲のpH及び液体溶液の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質を有する。
【0343】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液が、3.7~3.9の範囲のpH及び液体溶液の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質を有する。
【0344】
本発明のさらに好ましい実施形態では、液体溶液が、
-3.0~3.9、好ましくは3.7~3.9の範囲のpH、
-液体溶液の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質、及び
-少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)
を有する。
【0345】
本発明のなおさらに好ましい実施形態では、液体溶液が、
-3.0~3.9、好ましくは3.7~3.9の範囲のpH、
-液体溶液の重量に対して10~34%w/w、より好ましくは12~30%w/w、さらにより好ましくは15~25%w/wの総量のタンパク質、及び
-最大で10%、好ましくは最大で5%、さらにより好ましくは最大で1%のタンパク質変性度
を有する。
【0346】
上記のように、驚くべきことに、少なくとも85%w/wのBLGを含む透明な熱処理飲料を、凝集抑制剤を添加することなく、pH3.0より高いpHでさえ製造することができることが本発明者らによって見出された。
【0347】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、凝集抑制剤を含まない、又は代わりに微量の凝集抑制剤のみを含む。
【0348】
本発明のいくつかの実施形態では、液体溶液が、最大で0.1%w/wの凝集抑制剤、好ましくは最大で0.03%w/wの凝集抑制剤を含み、最も好ましくは凝集抑制剤を含まない。これらの実施形態は、透明な低脂肪飲料に関して特に好ましい。
【0349】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液がポリフェノールを含まない。
【0350】
しかしながら、本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液がポリフェノールを含む。したがって、液体溶液が、0.01~1%w/w、より好ましくは0.02~0.6%w/w、さらにより好ましくは0.03~0.4%w/wの範囲、最も好ましくは0.04~0.2%w/wの範囲の総量のポリフェノールを含むことが好ましくなりうる。
【0351】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールが少なくとも、EGCGを含み、EGCGから本質的になっていてもよい。
【0352】
液体溶液が、他のタンパク質源と組み合わせて、好ましくは主タンパク質源として、可能であれば唯一のタンパク質源として、BLG単離物を含むことが特に好ましい。
【0353】
BLG単離物は、好ましくはBLG分離物粉末である、又は液体BLG単離物は、水及び1~50%w/wの範囲の量のBLG単離物粉末の固体を含有する。
【0354】
βラクトグロブリン(BLG)単離物粉末は、好ましくは噴霧乾燥によって調製され、i)2~4.9、ii)6.1~8.5、又はiii)5.0~6.0の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/wの量のBLG、及び
-最大で10%w/wの量の水
を含む。
【0355】
BLG単離物粉末は、好ましくは、以下のうちの1つ又は複数を有する:
-少なくとも0.2g/cmのかさ密度、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)、
-最大で10%のタンパク質変性度、
-最大で200NTUのpH3.9での熱安定性、及び
-最大で1000コロニー形成単位/g。
【0356】
BLG単離物粉末は、好ましくは食用組成物である。
【0357】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、2~4.9の範囲のpHを有する。このような粉末は、酸性食品、特に酸性飲料に特に有用である。
【0358】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、6.1~8.5の範囲のpHを有する。
【0359】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、少なくとも40%w/w、好ましくは少なくとも50%w/w、少なくとも60%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにより好ましくは少なくとも80%w/wの量の総タンパク質を含む。
【0360】
さらに高いタンパク質含有量が必要とされる場合があり、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにより好ましくは少なくとも95%w/wの量の総タンパク質を含む。
【0361】
総タンパク質は、例1.5に従って測定される。
【0362】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、総タンパク質に対して少なくとも92%w/w、好ましくは少なくとも95%w/w、より好ましくは少なくとも97%w/w、さらにより好ましくは少なくとも98%の量のBLG、最も好ましくは総タンパク質に対して少なくとも99.5%w/wの量のBLGを含む。
【0363】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、αラクトアルブミン(ALA)及びカゼイノマクロペプチド(CMP)の和が、粉末の非BLGタンパク質の少なくとも40%w/w、好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは粉末の非BLGタンパク質の少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wを構成する。
【0364】
本発明の他の好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質が、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0365】
さらに低い濃度の主要な非BLGホエイタンパク質が望ましくなり得る。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、各主要な非BLGホエイタンパク質が、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0366】
本発明者らは、ラクトフェリン及び/又はラクトペルオキシダーゼの還元が、カラーニュートラル(colour-neutral)ホエイタンパク質生成物を得るのに特に有利である兆候を見てきた。
【0367】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ラクトフェリンが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。さらに低濃度のラクトフェリンが望まれうる。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、ラクトフェリンが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0368】
同様に、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ラクトペルオキシダーゼが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で25%、好ましくは最大で20%、より好ましくは最大で15%、さらにより好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で6%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。さらに低濃度のラクトペルオキシダーゼが望まれうる。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、ラクトペルオキシダーゼが、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対するその重量パーセントの最大で4%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で2%、さらにより好ましくは最大で1%である総タンパク質に対する重量パーセントで存在する。
【0369】
ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼは、例1.29に従って定量化される。
【0370】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で10%w/w、好ましくは最大で7%w/w、より好ましくは最大で6%w/w、さらにより好ましくは最大で4%w/w、最も好ましくは最大で2%w/wの量の含水量を有する。
【0371】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で60%w/w、好ましくは最大で50%w/w、より好ましくは最大で20%w/w、さらにより好ましくは最大で10%w/w、さらにより好ましくは最大で1%w/w、最も好ましくは最大で0.1%の量の炭水化物を含む。BLG単離物粉末は、例えば、ラクトース、オリゴ糖、及び/又はラクトースの加水分解産物(すなわち、グルコース及びガラクトース)、スクロース、及び/又はマルトデキストリンなどの炭水化物を含有しうる。
【0372】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で10%w/w、好ましくは最大で5%w/w、より好ましくは最大で2%w/w、さらにより好ましくは最大で0.1%w/wの量の脂質を含む。
【0373】
本発明者らは、BLG単離物粉末の所望の特性のいくつかに到達するためにミネラル含有量を制御することが有利となりうることを見出した。
【0374】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末のNa、K、Mg及びCaの量の和が、最大で10mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離物粉末のNa、K、Mg及びCaの量の和は、最大で6mmol/gタンパク質、より好ましくは最大で4mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大で2mmol/gタンパク質である。
【0375】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末のNa、K、Mg及びCaの量の和が、最大で1mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離物粉末のNa、K、Mg及びCaの量の和が、最大で0.6mmol/gタンパク質、より好ましくは最大で0.4mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大で0.2mmol/gタンパク質、最も好ましくは最大で0.1mmol/gタンパク質である。
【0376】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末のMg及びCaの量の和が、最大で5mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離物粉末のMg及びCaの量の和が、最大で3mmol/gタンパク質、より好ましくは最大で1.0mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大で0.5mmol/gタンパク質である。
【0377】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末のMg及びCaの量の和が、最大で0.3mmol/gタンパク質である。好ましくは、BLG単離物粉末のMg及びCaの量の和が、最大で0.2mmol/gタンパク質、より好ましくは最大で0.1mmol/gタンパク質、さらにより好ましくは最大で0.03mmol/gタンパク質、最も好ましくは最大で0.01mmol/gタンパク質である。
【0378】
本発明者らは、腎臓疾患の患者に特に有用なBLG単離物粉末の低リン/低カリウム変種を使用することが可能であることを見出した。このような製品を製造するためには、BLG単離物粉末が、等しく低い含有量のリン及びカリウムを有さなければならない。
【0379】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で100mgリンのリンの総含有量を有する。好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で80mgのリンの総含有量を有する。より好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で50mgのリンの総含有量を有する。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で20mgリンのリンの総含有量を有する。BLG単離物粉末は、タンパク質100g当たり最大で5mgリンのリンの総含有量を有する。
【0380】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で600mgのカリウムを含む。より好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で500mgのカリウムを含む。より好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で400mgのカリウムを含む。より好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で300mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で200mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で100mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で50mgのカリウムを含み、さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、タンパク質100g当たり最大で10mgのカリウムを含む。
【0381】
リンの含有量は、当の組成物の元素リンの総量に関し、例1.19に従って決定される。同様に、カリウムの含有量は、当の組成物の元素カリウムの総量に関し、例1.19に従って決定される。
【0382】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で100mgリン/100gタンパク質及び最大で700mgカリウム/100gタンパク質、好ましくは最大で80mgリン/100gタンパク質及び最大で600mgカリウム/100gタンパク質、より好ましくは最大で60mgリン/100gタンパク質及び最大で500mgカリウム/100gタンパク質、より好ましくは最大で50mgリン/100gタンパク質及び最大で400mgカリウム/100gタンパク質、又はより好ましくは最大で20mgリン/100gタンパク質及び最大で200mgカリウム/100gタンパク質、又はさらにより好ましくは最大で10mgリン/100gタンパク質及び最大で50mgカリウム/100gタンパク質を含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で100mgリン/100gタンパク質及び最大で340mgカリウム/100gタンパク質を含む。
【0383】
本発明による低リン及び/又は低カリウム組成物は、腎臓機能が低下している患者群のための食品を製造するための食品成分として使用されうる。
【0384】
本発明者らは、いくつかの用途、例えば、酸性食品、特に酸性飲料について、最大で4.9、さらにより好ましくは最大で4.3のpHを有する酸性BLG単離物粉末を有することが特に有利であることを見出した。これは、高タンパク質で透明な酸性飲料に特に当てはまる。
【0385】
本発明の文脈において、透明な液体は、例1.7に従って測定される最大で200NTUの濁度を有する。
【0386】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、2~4.9の範囲のpHを有する。好ましくは、BLG単離物粉末は、2.5~4.7、より好ましくは2.8~4.3、さらにより好ましくは3.2~4.0、最も好ましくは3.4~3.9の範囲のpHを有する。あるいは、しかしまた好ましくは、BLG単離物粉末は、3.6~4.3の範囲のpHを有しうる。
【0387】
本発明者らは、いくつかの用途、例えば、pH中性食品、特にpH中性の飲料について、pH中性BLG単離物粉末を有することが特に有利であることを見出した。これは、高タンパク質で透明な又は不透明なpH中性飲料に特に当てはまる。
【0388】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、6.1~8.5の範囲のpHを有する。好ましくは、粉末は、6.1~8.5、より好ましくは6.2~8.0、さらにより好ましくは6.3~7.7、最も好ましくは6.5~7.5の範囲のpHを有する。
【0389】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、5.0~6.0の範囲のpHを有する。好ましくは、粉末は、5.1~5.9、より好ましくは5.2~5.8、さらにより好ましくは5.3~5.7、最も好ましくは5.4~5.6の範囲のpHを有する。
【0390】
有利には、本発明で使用されるBLG単離物粉末は、少なくとも0.20g/cm、好ましくは少なくとも0.30g/cm、より好ましくは少なくとも0.40g/cm、さらにより好ましくは少なくとも0.45g/cm、さらにより好ましくは少なくとも0.50g/cm、最も好ましくは少なくとも0.6g/cmのかさ密度を有しうる。
【0391】
凍結乾燥BLG単離物などの低密度粉末はふわふわしており、使用中に製造現場の空気中に簡単に引き込まれまる。これは、凍結乾燥粉末と他の食品の相互汚染のリスクを高め、粉塵環境が衛生上の問題の原因であることが知られているため、問題である。極端な場合、粉塵環境は、粉塵爆発のリスクも高める。
【0392】
本発明の高密度変種は、取り扱いがより容易であり、周囲空気に流れ込みにくい。
【0393】
本発明の高密度変種の追加の利点は、これらが輸送中にあまり場所を取らず、それによって、1体積単位で輸送することができるBLG単離物粉末の重量を増加させることである。
【0394】
さらに、本発明の高密度変種の利点は、これらが、例えば粉砂糖(かさ密度およそ0.56g/cm)、グラニュー糖(かさ密度およそ0.71g/cm)、粉末クエン酸(かさ密度およそ0.77g/cm)などの他の粉末食品成分との粉末混合物で使用される場合に、分離しにくいことである。
【0395】
本発明のBLG単離物粉末は、0.2~1.0g/cmの範囲、好ましくは0.30~0.9g/cmの範囲、より好ましくは0.40~0.8g/cmの範囲、さらより好ましくは0.45~0.75g/cmの範囲、さらにより好ましくは0.50~0.75g/cmの範囲、最も好ましくは0.6~0.75g/cmの範囲のかさ密度を有しうる。
【0396】
粉末のかさ密度は、例1.17に従って測定される。
【0397】
本発明者らは、BLGの天然のコンフォメーションを維持することが有利であることを見出し、BLGが酸性飲料に使用される場合、BLGのアンフォールディングの増加が乾燥食感のレベルの増加をもたらすという兆候を見た。
【0398】
固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)は、BLGのアンフォールディングの程度の尺度であり、本発明者らは、BLGのアンフォールディングが低い又は全くないことと相関する高い固有トリプトファン蛍光発光比で、観察される乾燥食感が少ないことを見出した。固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)は、例1.1に従って測定される。
【0399】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を有する。
【0400】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を有する。
【0401】
BLG単離物粉末がかなりの量の非タンパク質物質を含有する場合、固有トリプトファン蛍光発光比を測定する前にタンパク質画分を単離することが好ましい。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比を有する。
【0402】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末のタンパク質画分が、少なくとも1.12、好ましくは少なくとも1.13、より好ましくは少なくとも1.15、さらにより好ましくは少なくとも1.17、最も好ましくは少なくとも1.19の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)を有する。
【0403】
タンパク質画分は、例えば、BLG単離物粉末を脱塩水に溶解し、溶液を、タンパク質を保持するフィルタを使用した透析又は限外濾過ベースの透析に供することによって、BLG単離物粉末から分離することができる。BLG単離物粉末が干渉レベルの脂質を含有する場合、このような脂質を、例えば、精密濾過によって除去することができる。精密濾過と限外濾過/ダイアフィルトレーションの工程を組み合わせて、タンパク質画分から脂質と小分子の両方を除去することができる。
【0404】
BLG単離物粉末のBLGの相当量が非凝集BLGであることが通常好ましい。好ましくは、BLGの少なくとも50%が非凝集BLGである。より好ましくは、BLGの少なくとも少なくとも80%が非凝集BLGである。さらにより好ましくは、BLGの少なくとも90%が非凝集BLGである。最も好ましくは、BLGの少なくとも95%が非凝集BLGである。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末のBLGのおよそ100%が非凝集BLGである。
【0405】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で10%、好ましくは最大で8%、より好ましくは最大で6%、さらにより好ましくは最大で3%、さらにより好ましくは最大で1%、最も好ましくは最大で0.2%のタンパク質変性度を有する。
【0406】
しかしながら、例えば、不透明な飲料が望ましい場合、BLG単離物粉末が相当レベルのタンパク質変性を有することも好まれうる。したがって、本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、少なくとも11%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%のタンパク質変性度を有する。
【0407】
BLG単離物粉末が相当レベルのタンパク質変性を有する場合、低レベルの不溶性タンパク質物質、すなわち、貯蔵中に飲料中に沈降する沈殿タンパク質物質を維持することが通常好ましい。不溶性物質のレベルは、例1.10に従って測定される。
【0408】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で20%w/wの不溶性タンパク質物質、好ましくは最大で10%w/wの不溶性タンパク質物質、より好ましくは最大で5%w/wの不溶性タンパク質物質、さらにより好ましくは最大で3%w/wの不溶性タンパク質物質、最も好ましくは最大で1%w/wの不溶性タンパク質物質を含む。BLG単離物粉末が不溶性タンパク質物質を全く含有しないことがさらに好ましい場合がある。
【0409】
本発明者らは、BLG単離物粉末のpH3.9での熱安定性が、透明な高タンパク質飲料にとってのその有用性の優れた指標であることを見出した。pH3.9での熱安定性は、例1.2に従って測定される。
【0410】
BLG単離物粉末が、最大で200NTU、好ましくは最大で100NTU、より好ましくは最大で60NTU、さらにより好ましくは最大で40NTU、最も好ましくは最大で20NTUのpH3.9での熱安定性を有することが特に好ましい。さらに優れた熱安定性が可能であり、BLG単離物粉末は、好ましくは最大で10NTU、好ましくは最大で8NTU、より好ましくは最大で4NTU、さらにより好ましくは最大で2NTUのpH3.9での熱安定性を有する。
【0411】
BLG単離物粉末の微生物の含有量は、好ましくは最小限に保たれる。しかしながら、微生物減少法はタンパク質のアンフォールディング及び変性につながる傾向があるため、高度のタンパク質のネイティブ性と低含有量の微生物の両方を得ることは困難である。本発明は、非常に低い含有量の微生物を得ると同時に、高レベルのBLGのネイティブ性を維持することを可能にする。
【0412】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、最大で15000コロニー形成単位(CFU)/gを含有する。好ましくは、BLG単離物粉末が、最大で10000CFU/gを含有する。より好ましくは、BLG単離物粉末が、最大で5000CFU/gを含有する。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、最大で1000CFU/gを含有する。さらにより好ましくは、BLG単離物粉末が、最大で300CFU/gを含有する。最も好ましくは、BLG単離物粉末が、例えば最大で10CFU/gなどの最大で100CFU/gを含有する。特に好ましい実施形態では、粉末が無菌である。無菌BLG単離物粉末は、例えば、BLG単離物粉末の製造中に、例えば酸性pHでの精密濾過及び熱処理などのいくつかの物理的微生物減少法を組み合わせることによって調製されうる。
【0413】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、i)2~4.9、ii)6.1~8.5、又はiii)5.0~6.0の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%w/w、好ましくは少なくとも80%w/w、さらにより好ましくは少なくとも90%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水、
-最大で2%w/w、好ましくは最大で0.5%w/wの量の脂質
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)、
-最大で10%のタンパク質変性度、及び
-最大で200NTUのpH3.9での熱安定性
を有する。
【0414】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、i)2~4.9、又はii)6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%w/w、好ましくは少なくとも80%w/w、さらにより好ましくは少なくとも90%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、より好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水、
-最大で2%w/w、好ましくは最大で0.5%w/wの量の脂質
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)、
-最大で10%、好ましくは最大で5%のタンパク質変性度、及び
-最大で70NTU、好ましくは最大で50NTU、さらにより好ましくは最大で40NTUのpH3.9での熱安定性
を有する。
【0415】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、i)2~4.9又はii)6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも30%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも0.2g/cmのかさ密度、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)、
-最大で10%のタンパク質変性度、及び
-最大で200NTUのpH3.9での熱安定性
を有する。
【0416】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、2~4.9の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは少なくとも94%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水、
-最大で2%w/w、好ましくは最大で0.5%w/wの量の脂質
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも0.2g/cm、好ましくは少なくとも0.3g/cm、より好ましくは少なくとも0.4g/cmのかさ密度、
-少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)、
-最大で10%、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で2%のタンパク質変性度、及び
-最大で50NTU、好ましくは最大で30NTU、さらにより好ましくは最大で10NTUのpH3.9での熱安定性
を有する。
【0417】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは少なくとも94%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水、
-最大で2%w/w、好ましくは最大で0.5%w/wの量の脂質
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも0.2g/cm、好ましくは少なくとも0.3g/cm、より好ましくは少なくとも0.4g/cmのかさ密度、
-最大で10%、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で2%のタンパク質変性度、及び
-最大で50NTU、好ましくは最大で30NTU、さらにより好ましくは最大で10NTUのpH3.9での熱安定性
を有する。
【0418】
本発明のさらに好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、6.1~8.5の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは少なくとも94%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水、
-最大で2%w/w、好ましくは最大で0.5%w/wの量の脂質
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも0.2g/cm、好ましくは少なくとも0.3g/cm、より好ましくは少なくとも0.4g/cmのかさ密度、
-最大で10%、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で2%のタンパク質変性度、及び
-最大で50NTU、好ましくは最大で30NTU、さらにより好ましくは最大で10NTUのpH3.9での熱安定性
を有する。
【0419】
本発明のさらに好ましい実施形態では、BLG単離物粉末が、5.0~6.0の範囲のpHを有し、
-少なくとも80%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは少なくとも94%w/wの量の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して少なくとも94%w/wの量のβラクトグロブリン(BLG)、
-最大で6%w/wの量の水、
-最大で2%w/w、好ましくは最大で0.5%w/wの量の脂質
を含み、
前記BLG単離物粉末が、
-少なくとも0.2g/cm、好ましくは少なくとも0.3g/cm、より好ましくは少なくとも0.4g/cmのかさ密度、
-最大で10%、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で2%のタンパク質変性度、
-最大で50NTU、好ましくは最大で30NTU、さらにより好ましくは最大で10NTUのpH3.9での熱安定性、及び
-好ましくは10%未満のBLG結晶化度
を有する。
【0420】
総タンパク質に対して少なくとも85%w/wの量のBLGを含有するBLG単離物粉末は、典型的には、以下の工程:
a)
i)2~4.9の範囲のpH、
ii)6.1~8.5の範囲のpH、又は
iii)5.0~6.0の範囲のpH
を有する液体BLG単離物であって、総タンパク質に対して少なくとも85w/wの量のBLGを含有する液体BLG単離物を提供する工程と、
b)任意に、液体BLG単離物を物理的微生物減少に供する工程と、
c)液体BLG単離物を、好ましくは噴霧乾燥によって乾燥させる工程と
を含む方法によって提供される。
【0421】
BLG単離物は、好ましくは哺乳動物の乳から、好ましくは例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、ラクダ、ラマ、雌ウマ及び/又はシカの乳などの反芻動物の乳から調製される。ウシ乳由来のタンパク質が特に好ましい。したがって、BLGは、好ましくはウシBLGである。
【0422】
液体BLG単離物は、いくつかの異なる方法で提供されうる。
【0423】
典型的には、液体BLG単離物の提供は、以下の方法のうちの1つ又は複数によって、ホエイタンパク質供給原料からBLGを単離して、BLG濃縮組成物を得ることを含む、又はからなる:
-塩溶によるBLGの結晶化又は沈殿、
-塩析によるBLGのBLGの結晶化又は沈殿、
-イオン交換クロマトグラフィー、及び
-限外濾過によるホエイタンパク質の分画。
【0424】
BLG濃縮組成物を得る特に好ましい方法は、好ましくは塩溶、又は代わりに塩析による、BLGの結晶化によるものである。
【0425】
ホエイタンパク質供給原料は、好ましくは、WPC、WPI、SPC、SPI又はこれらの組み合わせである。
【0426】
「ホエイタンパク質供給原料」という用語は、BLG濃縮組成物及びその後の液体BLG単離物が由来する組成物に関する。
【0427】
本発明のいくつかの実施形態では、BLG濃縮組成物の調製が、米国特許第2790790号明細書によるpH範囲3.6~4.0での高塩BLG結晶化を含む、又はからなる。
【0428】
本発明の他の実施形態では、BLG濃縮組成物の調製が、de Jonghら(Mild Isolation Procedure Discloses New Protein Structural Properties of β-Lactoglobulin、J Dairy Sci.、第84(3)巻、2001、562~571)又はVyasら(Scale-Up of Native β-Lactoglobulin Affinity Separation Process、J.Dairy Sci.85:1639~1645、2002)によって記載される方法を含む、又はからなる。
【0429】
しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態では、BLG濃縮組成物が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、PCT出願PCT/EP2017/084553に記載される、塩溶条件下、pH5~6での結晶化によって調製される。
【0430】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG濃縮組成物が、総タンパク質に対して少なくとも90%のBLGを含有し、好ましくはBLG結晶を含有する、PCT/EP2017/084553による食用BLG組成物である。
【0431】
液体BLG単離物として使用するために必要な特性をまだ有さない場合、ホエイタンパク質供給原料から単離されたBLG濃縮組成物は、液体BLG単離物を提供する一部として、以下の群から選択される1つ又は複数の工程に供されうる:
-脱塩、
-ミネラルの添加、
-希釈、
-濃縮、
-物理的微生物減少、及び
-pH調整。
【0432】
脱塩の非限定的な例としては、例えば、透析、ゲル濾過、UF/ダイアフィルトレーション、NF/ダイアフィルトレーション及びイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。
【0433】
ミネラルの添加の非限定的な例としては、例えば、Na、K、Ca及び/又はMgの塩などの可溶性の食品に許容される塩の添加が挙げられる。このような塩は、例えば、リン酸塩、塩化物塩、又は食物酸の塩、例えば、クエン酸塩又は乳酸塩でありうる。ミネラルは、固体、懸濁型又は溶解型で添加されうる。
【0434】
希釈の非限定的な例としては、例えば、水、脱塩水、又はミネラル、酸もしくは塩基の水溶液などの液体希釈剤の添加が挙げられる。
【0435】
濃縮の非限定的な例としては、例えば、蒸発、逆浸透、ナノ濾過、限外濾過及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0436】
濃縮が全固形分に対するタンパク質の濃度を増加させなければならない場合、限外濾過又は代わりに透析などの濃縮工程を使用することが好ましい。濃縮が全固形分に対するタンパク質の濃度を増加させる必要がない場合、例えば、蒸発、ナノ濾過及び/又は逆浸透などの方法が有用となりうる。
【0437】
物理的微生物減少の非限定的な例としては、例えば熱処理、雑菌濾過、UV照射、高圧処理、パルス型電界処理及び超音波が挙げられる。これらの方法は、当業者に周知である。
【0438】
pH調整の非限定的な例としては、例えば、塩基及び/又は酸、好ましくは食品に許容される塩基及び/又は酸の添加が挙げられる。二価金属カチオンをキレート化することができる酸及び/又は塩基を使用することが特に好ましい。このような酸及び/又は塩基の例は、クエン酸、クエン酸塩、EDTA、乳酸、乳酸塩、リン酸、リン酸塩、及びこれらの組み合わせである。
【0439】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、特に調製物が最大で200NTU、より好ましくは最大で40NTUの濁度を有する場合、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する。
【0440】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液が、CIELABカラースケールで0.0~0.40の範囲、好ましくは+0.10~+0.25の範囲の色値デルタbを有する。
【0441】
本発明の液体溶液は、タンパク質以外の主栄養素を含みうる。本発明のいくつかの実施形態では、液体溶液が、炭水化物をさらに含む。本発明の液体溶液中の総炭水化物含有量は、最終的な熱処理飲料調製物の意図した用途に依存する。
【0442】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、炭水化物の少なくとも1つの供給源をさらに含む。1つの例示的な実施形態では、炭水化物の少なくとも1つの供給源が、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ固形物、スクロマルト、グルコースポリマー、コーンシロップ、加工デンプン、レジスタントスターチ、米由来炭水化物、イソマルツロース、白砂糖、グルコース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、デキストロース、高フルクトースコーンシロップ、蜂蜜、糖アルコール、フルクトオリゴ糖、大豆繊維、コーンファイバー、グアーガム、コンニャク粉、ポリデキストロース、Fibersol、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0443】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、糖ポリマー、すなわちオリゴ糖及び/又は多糖を含む。
【0444】
いくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、液体溶液の総エネルギー含有量の0~95%の範囲、好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の10~85%の範囲、好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の20~75%の範囲、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の30~60%の範囲の炭水化物をさらに含む。
【0445】
さらに低い炭水化物含有量が通常好ましく、よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液の炭水化物含有量が、好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~30%の範囲、より好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~20%の範囲、さらにより好ましくは調製物の総エネルギー含有量の0~10%の範囲である。
【0446】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液の炭水化物含有量が、液体溶液の総エネルギー含有量の最大で5%、より好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の最大で1%、さらにより好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の最大で0.1%である。
【0447】
本発明の一実施形態では、液体溶液が、ビタミン、香味料、ミネラル、甘味料、抗酸化剤、食物酸、脂質、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス及び非ホエイタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分をさらに含む。
【0448】
本発明の一実施形態では、液体溶液が、少なくとも1つの高甘味度甘味料をさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つの高甘味度甘味料が、アスパルテーム、シクラマート、スクラロース、アセスルファム塩、ネオテーム、サッカリン、ステビア抽出物、例えばレバウディオサイドAなどのステビオール配糖体、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明のいくつかの実施形態では、甘味料が、1つ又は複数の高甘味度甘味料(HIS)を含む、又はからなることが特に好ましい。
【0449】
HISは、天然甘味料と人工甘味料の両方で見られ、典型的には、スクロースの少なくとも10倍の甘味強度を有する。
【0450】
使用する場合、HISの総量は、典型的には0.01~2%w/wの範囲である。例えば、HISの総量は、0.05~1.5%w/wの範囲でありうる。あるいは、HISの総量は、0.1~1.0%w/wの範囲でありうる。
【0451】
甘味料の選択は、製造される飲料に依存しうるが、高甘味度甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムK又はスクラロース)は、甘味料からのエネルギー寄与が望まれない飲料に使用されうる一方、天然プロファイル有する飲料については、天然甘味料(例えば、ステビオール配糖体、ソルビトール又はスクロース)が使用されうる。
【0452】
代わりに又はさらに、炭水化物甘味料を使用してもよい。
【0453】
さらに、甘味料が、1つ又は複数のポリオール甘味料を含む、又はからなることがさらに好ましい場合がある。有用なポリオール甘味料の非限定的な例は、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトール、トレイトール、ガラクチトール又はこれらの組み合わせである。使用する場合、ポリオール甘味料の総量は、典型的には1~20%w/wの範囲である。例えば、ポリオール甘味料の総量は、2~15%w/wの範囲でありうる。あるいは、ポリオール甘味料の総量は、4~10%w/wの範囲でありうる。
【0454】
本発明の液体溶液は、タンパク質以外の主栄養素を含みうる。本発明のいくつかの実施形態では、液体溶液が、脂質をさらに含む。本発明の最終的な熱処理飲料調製物中の総脂質含有量は、熱処理飲料調製物の意図した用途に依存する。
【0455】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、液体溶液の総エネルギー含有量の0~60%、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の0~50%の範囲、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の0~45%の範囲、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の0~30%の範囲、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の0~20%の範囲、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の0~10%の範囲、又は好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の0~5%の範囲の脂質含有量を有する。
【0456】
脂質の量は、ISO 1211:2010(脂肪含有量の決定-Rose-Gottlieb重量分析法)に従って決定される。
【0457】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液の脂質含有量が、液体溶液の総エネルギー含有量の最大で3%、より好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の最大で1%、さらにより好ましくは液体溶液の総エネルギー含有量の最大で0.1%である。
【0458】
液体溶液は、典型的には50~99%w/wの範囲、好ましくは45~97%w/wの範囲、より好ましくは40~95%w/wの範囲、さらにより好ましくは35~90%w/wの範囲、最も好ましくは30~85%w/wの範囲の総量の水を含有する。
【0459】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、55~90%w/wの範囲、好ましくは57~85%w/wの範囲、より好ましくは60~80%w/wの範囲、さらにより好ましくは62~75%w/wの範囲、最も好ましくは65~70%w/wの範囲の総量の水を含有する。
【0460】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、90~99%w/wの範囲、好ましくは92~98.5%w/wの範囲、より好ましくは94~98%w/wの範囲、さらにより好ましくは95~98%w/wの範囲、最も好ましくは96~98%w/wの範囲の総量の水を含有する。これらの実施形態は、例えば透明な水のような飲料に有用である。
【0461】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が非アルコール性であり、これは液体溶液が最大で1.0%w/w、より好ましくは最大で0.5%w/w、さらにより好ましくは最大で0.1%w/wのエタノールを含有し、最も好ましくは、検出可能なエタノールを含有しないことを意味する。
【0462】
液体溶液は、典型的には1~45%w/wの範囲、好ましくは5~40%w/wの範囲、より好ましくは10~35%w/wの範囲、さらにより好ましくは12~30%w/wの範囲、最も好ましくは16~25%w/wの範囲の量の全固形分を含有する。
【0463】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、10~45%w/wの範囲、好ましくは15~43%w/wの範囲、より好ましくは20~40%w/wの範囲、さらにより好ましくは25~38%w/wの範囲、最も好ましくは30~35%w/wの範囲の量の全固形分を含有する。
【0464】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、1~10%w/wの範囲、好ましくは1.5~8%w/wの範囲、より好ましくは2~6%w/wの範囲、さらにより好ましくは2~5%w/wの範囲、最も好ましくは2~4%w/wの範囲の量の全固形分を含有する。これらの実施形態は、例えば透明な水のような飲料に有用である。
【0465】
固体ではない液体溶液の部分は、好ましくは水である。
【0466】
本発明者らは、包装された熱処理飲料調製物の所望の特性のいくつかに到達するためにミネラル含有量を制御することが有利となりうることを見出した。
本発明のいくつかの実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、複数のミネラルを含む。1つの例示的な一実施形態では、液体溶液が、少なくとも4種のミネラルを含む。一実施形態では、4種のミネラルが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムである。
【0467】
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書及び例2で定義されるようにBLG単離物を使用すると、粘度を損なうことなく、高ミネラル濃度を有する熱処理飲料調製物を製造できることを見出した。これにより、高いミネラル含有量を有する包装された熱処理飲料調製物を製造することが可能になり、栄養的に完全な栄養補助食品又は栄養的に不完全な補助食品である飲料を製造することができるようになる。
【0468】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、Na、K、Mg及びCaの量の和が、液体溶液中、0~750mMの範囲内、好ましくは100~600mMの範囲内、又は好ましくは、200~500mMの範囲内である。
【0469】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、Na、K、Mg及びCaの量の和が、液体溶液中、最大で750mMである。
【0470】
本発明の他の好ましい実施形態では、Na、K、Mg及びCaの量の和が、液体溶液中、最大で600mM、好ましくは最大で500mM、又は好ましくは最大で400mM、又は好ましくは最大で300mM、又は好ましくは最大で200mM、好ましくは最大で170mM、最も好ましくは最大で150mM、又は好ましくは最大で130mM、又は好ましくは最大で100mM、又は好ましくは最大で80mM、又は好ましくは最大で60mM、又は好ましくは最大で40mM、又は好ましくは最大で30mM、又は好ましくは最大で20mM、又は好ましくは最大で10mM、又は好ましくは最大で5mM、又は好ましくは最大で1mMである。
【0471】
別の例示的な実施形態では、液体溶液が、カルシウム、ヨウ素、亜鉛、銅、クロム、鉄、リン、マグネシウム、セレン、マンガン、モリブデン、ナトリウム、カリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数のミネラルを含む。
【0472】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、最大で150mMのKCl及び最大で150mMのCaCl2を含む、又は液体溶液が、最大で130mMのKCl及び最大で130mMのCaCl2を含む、又は液体溶液が、最大110mMのKCl及び最大で110mMのCaCl2を含む、又は液体溶液が、最大で100mMのKCl及び最大で100mMのCaCl2を含む、又は好ましくは液体溶液が、最大で80mMのKCl及び最大で80mMのCaCl2を含む、又は好ましくは液体溶液が、最大で50mMのKCl及び最大で50mMのCaCl2を含む、又は好ましくは液体溶液が、最大で40mMのKCl及び最大で40mMのCaCl2を含む。
【0473】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体溶液が低ミネラル飲料である。
【0474】
本発明の文脈において、「低ミネラル」という用語は、以下の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらにより好ましくは全てを有する組成物、例えば液体、飲料、粉末又は別の食品に関する:
-全固形分に対して最大で1.2%w/wの灰分含有量、
- 全固形分に対して最大で0.3%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.10%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で100mgリンのリンの総含有量。
【0475】
好ましくは、低ミネラル組成物が、以下のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらにより好ましくは全てを有する:
-全固形分に対して最大で0.7%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.2%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.08%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で80mgリンのリンの総含有量。
【0476】
さらにより好ましくは、低ミネラル組成物が、以下のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらにより好ましくは全てを有する:
-全固形分に対して最大で0.5%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.15%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.06%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で50mgリンのリンの総含有量。
【0477】
低ミネラル組成物が以下を有することが特に好ましい:
-全固形分に対して最大で0.5%w/wの灰分含有量、
-全固形分に対して最大で0.15%w/wのカルシウム及びマグネシウムの総含有量、
-全固形分に対して最大で0.06%w/wのナトリウム及びカリウムの総含有量、
-タンパク質100g当たり最大で50mgリンのリンの総含有量。
【0478】
本発明者らは、本発明が、腎臓疾患を患っている、又は腎臓機能が低下している患者に有利な、リン及びカリウムなどの他のミネラルの含有量が非常に低い、包装された熱処理飲料調製物を調製することを可能にすることを見出した。
【0479】
液体溶液は、好ましくは低リン溶液である。
【0480】
液体溶液は、好ましくは低カリウム溶液である。
【0481】
液体溶液は、好ましくは、低リン及び低カリウム溶液である。
【0482】
本発明の文脈において、「低リン」という用語は、タンパク質100g当たり最大で100mgリンのリンの総含有量を有する組成物、例えば、液体、粉末又は別の食品に関する。好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で80mgのリンの総含有量を有する。より好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で50mgのリンの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で20mgリンのリンの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で5mgリンのリンの総含有量を有しうる。本発明による低リン組成物は、腎臓機能が低下している患者群のための食品を製造するための食品成分として使用されうる。
【0483】
したがって、本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で80mgのリンを含む。好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で30mgのリンを含む。より好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で20mgのリンを含む。さらにより好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で10mgのリンを含む。最も好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で5mgのリンを含む。
【0484】
リンの含有量は、当の組成物の元素リンの総量に関し、例1.19に従って決定される。
【0485】
本発明の文脈において、「低カリウム」という用語は、タンパク質100g当たり最大で700mgカリウムのカリウムの総含有量を有する組成物、例えば、液体、粉末又は別の食品に関する。好ましくは、低リン組成物は、タンパク質100g当たり最大で600mgのカリウムの総含有量を有する。より好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で500mgのカリウムの総含有量を有しうる。より好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で400mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。より好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で300mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で200mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で100mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。さらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で50mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる、またさらにより好ましくは、低カリウム組成物は、タンパク質100g当たり最大で10mgカリウムのカリウムの総含有量を有しうる。
【0486】
本発明による低カリウム組成物は、腎臓機能が低下している患者群のための食品を製造するための食品成分として使用されうる。
【0487】
したがって、本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で600mgのカリウムを含む。より好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で500mgのカリウムを含む。より好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で400mgのカリウムを含む。より好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で300mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で200mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で100mgのカリウムを含む。さらにより好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で50mgのカリウムを含み、さらにより好ましくは、液体溶液が、タンパク質100g当たり最大で10mgのカリウムを含む。
【0488】
カリウムの含有量は、当の組成物の元素カリウムの総量に関し、例1.19に従って決定される。
【0489】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、最大で100mgリン/100gタンパク質及び最大で700mgカリウム/100gタンパク質、好ましくは最大で80mgリン/100gタンパク質及び最大で600mgカリウム/100gタンパク質、より好ましくは最大で60mgリン/100gタンパク質及び最大で500mgカリウム/100gタンパク質、より好ましくは最大で50mgリン/100gタンパク質及び最大で400mgカリウム/100gタンパク質、又はより好ましくは最大で20mgリン/100gタンパク質及び最大で200mgカリウム/100gタンパク質、又はさらにより好ましくは最大で10mgリン/100gタンパク質及び最大で50mgカリウム/100gタンパク質を含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、最大で100mgリン/100gタンパク質及び最大で340mgカリウム/100gタンパク質を含む。
【0490】
少量のリン及びカリウムを含む液体溶液に、有利には炭水化物及び脂質を補足することができ、熱処理飲料調製物は、好ましくは、液体溶液の総エネルギー含有量の30~60%の範囲、好ましくは35~50E%の範囲の総量の炭水化物、及び総エネルギー含有量の20~60%の範囲、好ましくは30~50E%の範囲の総量の脂質をさらに含む。
【0491】
本発明の一実施形態では、液体溶液が、複数のビタミンを含む。1つの例示的な一実施形態では、液体溶液が、少なくとも10種のビタミンを含む。1つの例示的な実施形態では、液体溶液が、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、リボフラビン、パントテン酸、ビタミンE、チアミン、ナイアシン、葉酸、ビオチン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数のビタミンを含む。
【0492】
本発明の一実施形態では、液体溶液が、複数のビタミン及び複数のミネラルを含む。
【0493】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体溶液が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、安息香酸、酪酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、リン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の食物酸を含有する。
【0494】
本発明の一実施形態では、液体溶液が、塩、香味料、調味料及び/又は香辛料からなる群から選択される香料をさらに含む。本発明の好ましい実施形態では、香料が、チョコレート、ココア、レモン、オレンジ、ライム、イチゴ、バナナ、フォレストフルーツ香料又はこれらの組み合わせを含む。香料の選択は、製造する飲料に依存しうる。
【0495】
本発明の一態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の濁度を制御するための、溶液の重量に対して2~45%w/w、好ましくは3~35%w/wの総量の、その少なくとも85w/w%、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質を含むタンパク質溶液の使用に関する。
【0496】
本発明の別の態様は、2.0~4.7の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の渋味を制御するための、溶液の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85w/w%、好ましくは90w/w%がBLGであるタンパク質を含むタンパク質溶液の使用に関する。
【0497】
本発明の別の態様は、タンパク質吸収不良に関連する疾患を治療する方法で使用するための、本明細書で定義される包装された熱処理飲料調製物に関する。
【0498】
本発明の別の態様は、栄養補助食品としての本明細書で定義される包装された熱処理飲料調製物の使用に関する。
【0499】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書で定義される包装された熱処理飲料調製物が、栄養補助食品として使用され、運動前、運動中又は運動後に摂取される。
【0500】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0501】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0502】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して10~45%w/w、好ましくは10~35%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0503】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-包装された熱処理飲料調製物が最大で200NTU、好ましくは最大で40NTUの濁度を有する。
【0504】
本発明の他の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-包装された熱処理飲料調製物が最大で200NTU、好ましくは最大で40NTUの濁度を有する。
【0505】
本発明のさらに好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.5~4.7、好ましくは3.7~4.3、さらにより好ましくは3.7~4.1の範囲のpHを有し、飲料調製物が、
-飲料の重量に対して2~45%w/w、好ましくは5.0~35%、より好ましくは6.0~32%w/wの総量のタンパク質、
-タンパク質の少なくとも88%w/w、好ましくは少なくとも90%w/w、より好ましくは少なくとも92%w/w
がBLGであり、
-最大で5%w/w、好ましくは最大で1%%w/w、さらにより好ましくは最大で0.2%w/wの総量の脂質、
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
飲料調製物が、
-最大で100cP、好ましくは最大で20cP、より好ましくは最大で10cPの粘度、
-少なくとも1.13、好ましくは少なくとも1.15、より好ましくは少なくとも1.16の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)、
及び
-任意に、最大で50NTU、好ましくは最大で20 NTU、より好ましくは最大で10NTUの濁度
を有する。
【0506】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
包装された熱処理飲料調製物が最大で200NTU、好ましくは最大で40NTUの濁度を有する。
【0507】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して10~45%w/w、好ましくは10~20%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
包装された熱処理飲料調製物が最大で200NTU、好ましくは最大で40NTUの濁度を有する。
【0508】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-飲料調製物のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有し、デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【0509】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-飲料調製物のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有し、デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【0510】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して10~45%w/w、好ましくは10~20%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-飲料調製物のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有し、デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【0511】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-Na、K、Mg及びCaの量の和が、最大で750mM、好ましくは最大で400mM、好ましくは最大で200mMである。
【0512】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して2~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-Na、K、Mg及びCaの量の和が、最大で750mM、好ましくは最大で400mM、好ましくは最大で200mMである。
【0513】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
飲料の重量に対して10~45%w/w、好ましくは10~20%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-Na、K、Mg及びCaの量の和が、最大で750mM、好ましくは最大で400mM、好ましくは最大で200mMである。
【0514】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理不透明飲料調製物が、3.0~4.7、好ましくは3.9~4.6、より好ましくは4.0~4.5の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、及び/又は
-タンパク質画分が最大で5%のタンパク質変性度を有する、及び/又は
-調製物の総エネルギー含有量の5%より大きい脂質含有量
を含む。
【0515】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~4.7、好ましくは3.9~4.6、より好ましくは4.0~4.5の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して2~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-濁度が200NTU超、好ましくは1000NTU超である、及び/又は
-粘度が最大で200cPである。
【0516】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理不透明飲料調製物が、3.0~4.7、好ましくは3.9~4.6、より好ましくは4.0~4.5の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して2~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、及び/又は
-タンパク質画分が最大で5%のタンパク質変性度を有する、及び/又は
-調製物の総エネルギー含有量の5%より大きい脂質含有量
を含む。
【0517】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~4.7、好ましくは3.9~4.6、より好ましくは4.0~4.5の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して2~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-濁度が200NTU超、好ましくは1000NTU超である、及び/又は
-粘度が最大で200cPである。
【0518】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理不透明飲料調製物が、3.0~4.7、好ましくは3.9~4.6、より好ましくは4.0~4.5の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して10~45%w/w、好ましくは10~20%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、及び/又は
-タンパク質画分が最大で5%のタンパク質変性度を有する、及び/又は
-調製物の総エネルギー含有量の5%より大きい脂質含有量
を含む。
【0519】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.0~4.7、好ましくは3.9~4.6、より好ましくは4.0~4.5の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して10~45%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-濁度が200NTU超、好ましくは1000NTU超である、及び/又は
-粘度が最大で200cPである。
【0520】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.2、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して5~34%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.13の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0521】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、2.0~4.7、好ましくは3.0~3.9、又は好ましくは3.2~3.7の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して5~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.13の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0522】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.7~4.3、好ましくは3.9~4.3、又は好ましくは4.1~4.3の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して5~10%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.13の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0523】
本発明の好ましい実施形態では、包装された熱処理飲料調製物が、3.7~4.3、好ましくは3.9~4.3、又は好ましくは4.1~4.3の範囲のpHを有し、飲料が、
-飲料の重量に対して10~35%w/wの総量の、その少なくとも85%w/w、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質、及び
-任意に、甘味料及び/又は香料
を含み、
-飲料調製物のタンパク質画分が、少なくとも1.13の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有し、
-調製物の総エネルギー含有量の最大で5%の脂質含有量
を含む。
【0524】
本発明のいくつかの実施形態では、熱処理飲料が、25℃で少なくとも6か月の貯蔵寿命を有し、
-少なくとも1%(w/w)、好ましくは少なくとも5%(w/w)の総量のBLGを提供するPCT/EP2017/084553で定義される食用BLG組成物、
-甘味料、例えば砂糖甘味料及び/又は非砂糖甘味料、
-少なくとも1つの食物酸、例えばクエン酸又は他の適切な食物酸、
-任意に、香味料、及び
-最大で80mgリン/100gタンパク質
を含み、
2.5~4.0の範囲のpHを有する。
【0525】
本発明の好ましい実施形態では、本発明は、3.0~4.5の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の濁度を制御するための、溶液の重量に対して3~30%w/wの総量の、その少なくとも85w/w%、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質を含むタンパク質溶液の使用に関する。
【0526】
本発明の好ましい実施形態では、本発明は、2.0~4.0の範囲のpHを有する熱処理酸性飲料調製物の渋味を制御するための、溶液の重量に対して3~30%w/wの総量の、その少なくとも85w/w%、好ましくは少なくとも90%w/wがBLGであるタンパク質を含むタンパク質溶液の使用に関する。
【0527】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載される1つ又は複数の方法によって得られる熱処理飲料調製物に関する。
【0528】
本発明の態様の1つの文脈に記載される実施形態及び特徴は、本発明の他の態様にも適用されることに留意すべきである。
【0529】
本出願で引用される全ての特許及び非特許参考文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0530】
ここで、本発明を、以下の非限定的な例でさらに詳細に説明する。
【0531】

例1:分析方法
例1.1:固有トリプトファン蛍光によるタンパク質ネイティブ性の決定
トリプトファン(Trp)蛍光分光法は、タンパク質のフォールディング及びアンフォールディングを監視するためのよく知られたツールである。天然タンパク質内に埋め込まれたTrp残基は、典型的には、アンフォールディングタンパク質などのより溶媒に曝露された位置に存在する場合よりも、330nm付近で最も高い蛍光発光を示す。アンフォールディングタンパク質では、Trp蛍光発光の波長は、典型的にはより高い波長にシフトし、通常、350nm付近で測定される。本発明者らは、ここでは、この遷移を利用して、330nmと350nmでの蛍光発光の比を計算して、加熱温度の影響を調査することによって、熱的に誘導されたアンフォールディングを監視する。
【0532】
分析は以下の工程を含む:
・飲料組成物をMQ水で0.6mg/mlに希釈した。
・試料300μlを気泡を避けて白色96ウェルプレートに移した、又は3mLを10mm石英キュベットに移した。
・5nmスリットを用いた295での励起により、310~400nmのトリプトファン蛍光発光強度を上から記録した。
・試料を、プレートリーダーアクセサリー(G9810A)又はシングルキュベットホルダーを備えたCary Eclipse蛍光分光光度計を使用して22℃で測定した。
・発光強度比を、330nmで測定した蛍光発光強度を350nmでの発光強度で割って計算し、R=I330/I350、タンパク質ネイティブ性の尺度として使用した。
・少なくとも1.11のRは、優勢な天然BLGコンフォメーションを表し、
・1.11未満のRは、少なくとも部分的なアンフォールディング及び凝集を報告する。
【0533】
例1.2:pH3.9での熱安定性
pH3.9での熱安定性:
pH3.9での熱安定性は、pH3.9での長時間の低温殺菌時にタンパク質組成物が清澄なままである能力の尺度である。
【0534】
pH3.9での熱安定性は、試験する粉末又は液体の試料を水と混合する(又は代わりに、これが希液体である場合、低温蒸発によってこれを濃縮する)ことによってpH3.9を有し、6.0%w/wタンパク質を含む水溶液を形成し、必要最小量の0.1M NaOH又は0.1M HClでpHを3.9に調整することによって決定する。
【0535】
pHを調整した混合物を30分間静置した後、混合物25mLを30mL薄壁ガラス試験管に移す。これを75.0℃の温度を有する水浴に浸漬することによって、75.0℃に300秒間加熱する。加熱した直後に、ガラス試験管を氷浴に移して1~5℃に冷却し、熱処理試料の濁度を例1.7に従って測定する。
【0536】
例1.3:ホエイタンパク質組成物のタンパク質変性度の決定
変性ホエイタンパク質は、pH4.6未満又はpH4.6より上のpH値よりもpH4.6での溶解度が低いことが知られているため、ホエイタンパク質組成物の変性度を、溶液中のタンパク質が安定しているpHでのタンパク質の総量に対するpH4.6での可溶性タンパク質の量を測定することによって決定する。
【0537】
より具体的には、ホエイタンパク質の場合、分析するホエイタンパク質組成物(例えば、粉末又は水溶液)を、以下に変換する:
-5.0%(w/w)総タンパク質を含有し、pH7.0又は3.0を有する第1の水溶液、及び
-5.0%(w/w)総タンパク質を含有し、pH4.6を有する第2の水溶液。
【0538】
3%(w/w)NaOH(水溶液)又は5%(w/w)HCl(水溶液)を使用してpH調整を行う。
【0539】
第1の水溶液の総タンパク質含有量(PpH7.0又は3.0)を、例1.5に従って決定する。
【0540】
第2の水溶液を室温で2時間保管し、その後、3000gで5分間遠心分離する。上清の試料を回収し、例1.5に従って分析して、上清中のタンパク質濃度(SpH4.6)を得る。
ホエイタンパク質組成物のタンパク質変性度Dを、以下の通り計算する:
D=((PpH7.0又は3.0-SpH4.6)/PpH7.0又は3.0100%
【0541】
例1.4逆相UPLC分析を使用したタンパク質変性(pH4.6酸性沈殿による)の決定
BLG試料(非加熱参照及び加熱BLG飲料組成物など)をMQ水で2%に希釈した。タンパク質溶液5mL、Milli-Q 10mL、10%酢酸4mL、及び1.0M NaOAc 6mLを混合し、20分間撹拌して、pH4.6付近で変性タンパク質を沈殿凝集させる。溶液を0.22μmフィルタを通して濾過し、凝集体及び非天然タンパク質を除去する。
【0542】
全ての試料を、研磨水を添加することによって同程度の希釈に供した。
【0543】
各試料について、UPLCカラム(Protein BEH C4;300Å;1.7μm;150×2.1mm)を備えたUPLCシステムに同体積をロードし、214nmで検出した。
【0544】
試料を、以下の条件を使用して流した:
緩衝液A:Milli-Q水、0.1%w/w TFA
緩衝液B:HPLCグレードのアセトニトリル、0.1%w/w TFA
流量:0.4ml/分
勾配:0~6.00分24~45%B;6.00~6.50分45~90%B;6.50~7.00分90%B;7.00~7.50分90~24%B及び7.50~10.00分24%B。
タンパク質標準(Sigma L0130)に対するBLGピークの面積を使用して、試料中の天然bLGの濃度を決定した(5レベルの較正曲線)。
試料をさらに希釈し、線形範囲外の場合は再注入した。
【0545】
例1.5:総タンパク質の決定
試料の総タンパク質含有量(真のタンパク質)を、以下によって決定する:
1)ISO 8968-1/2 | IDF 020-1/2-乳-窒素含有量の決定-パート1/2:ケルダール法を使用した窒素含有量の決定に従って、試料の総窒素を決定する。
2)ISO 8968-4 | IDF 020-4-乳-窒素含有量の決定-パート4:非タンパク質窒素含有量の決定に従って、試料の非タンパク質窒素を決定する。
3)タンパク質の総量を(m総窒素-m非タンパク質窒素6.38として計算する。
【0546】
例1.6:非凝集BLG、ALA及びCMPの決定
非凝集αラクトアルブミン(ALA)、βラクトグロブリン(BLG)及びカゼイノマクロペプチド(CMP)の含有量をそれぞれ、0.4mL/分のHPLC分析によって分析した。濾過試料25μLを、溶離液(Milli-Q水465g、アセトニトリル417.3g及びトリフルオロ酢酸1mL)で平衡化され、210nmでのUV検出器を使用する結合プレカラムPWxl(6mm×4cm、Tosohass、日本)と直列に接続された2つのTSKgel3000PWxl(7.8mm 30cm、Tosohass、日本)カラムに注入する。
【0547】
天然αラクトアルブミン(Cα)、βラクトグロブリン(Cβ)及びカゼイノマクロペプチド(CCMP)の含有量の定量的決定を、対応する標準タンパク質について得られたピーク面積を試料のピーク面積と比較することによって実施した。
【0548】
追加のタンパク質(非BLGタンパク質)の総量を、総タンパク質の量(例1.5に従って決定)からBLGの量を差し引くことによって決定した。
【0549】
例1.7:濁度の決定
濁度は、空気中の煙と同様に、一般に肉眼では見えない多数の粒子によって引き起こされる流体の曇り又はボケである。
濁度は比濁法濁度単位(NTU)で測定される。
【0550】
飲料/試料20mLをNTUガラスに添加し、Turbiquant(登録商標)3000IR濁度計に入れた。NTU値を安定化後に測定し、2回繰り返した。
【0551】
例1.8:粘度の決定
飲料調製物の粘度を、レオメーター(Anton Paar、Physica MCR301)を使用して測定した。
試料3.8mLをカップDG26.7に添加した。試料を22℃に平衡化し、次いで、50秒-1で30秒間事前せん断し、引き続いて30秒の平衡時間及び1秒-1~200秒-1~1秒-1の間のせん断速度スイープを実施した。
特に明記しない限り、粘度は100秒-1のせん断速度で単位センチポアズ(cP)で提供される。測定されたcP値が高いほど、粘度が高くなる。
【0552】
あるいは、粘度は、GilsonによるViscomanを使用して推定され、約300秒-1のせん断速度で報告される。
【0553】
例1.9:色の決定
Chroma Meter(Konica Minolta、CR-400)を使用して色を測定した。試料15gを小さなペトリ皿(55x14.2mm、VWRカタログ番号391-0895)に添加して、気泡形成を回避した。試料のタンパク質含有量を、6.0w/w%タンパク質以下に標準化した。
【0554】
Chroma Meterを白色較正プレート(番号19033177)に較正した。光源をD65に設定し、観察者を2°に設定した。色(CIELAB色空間、a-、b-、L値)を、ペトリ皿のさまざまな場所での3つの個別の読み取り値の平均として、懸濁液を覆う蓋で測定した。
脱塩水参照は以下の値を有する:
39.97±0.3
0.00±0.06
-0.22±0.09
【0555】
測定値を、脱塩水測定値に基づいてデルタ/差値に変換した。
デルタL=室温で測定された、L6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -L脱塩水
デルタa=室温で測定された、a6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -a脱塩水
デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水
【0556】
試料を6.0w/w%タンパク質以下に標準化する。
【0557】
色空間(CIELAB空間とも呼ばれる)は、1976年に国際照明委員会(CIE)によって定義された均一色空間の1つであり、明度及び色相を定量的に報告するために使用された(ISO 11664-4:2008(E)/CIE S 014-4/E:2007)。
【0558】
この空間では、Lは明度(値0~100)を示し、L=0で最も暗い黒、L=100で最も明るい白を示す。
【0559】
色チャンネルa及びbは、a=0及びb=0で真のニュートラルグレー値を表す。a軸は緑-赤成分を表し、緑は負方向、赤は正方向である。b軸は青-黄成分を表し、青は負方向、黄は正方向である。
【0560】
例1.10飲料安定性試験/不溶性タンパク質物質
3000gで5分間の遠心分離で、加熱試料中の総タンパク質の15%未満が沈殿した場合、ホエイタンパク質飲料組成物を安定とみなした:
・試料およそ20gを遠心管に添加し、3000gで5分間遠心分離した。
・遠心分離前のタンパク質及び遠心分離後の上清のケルダール分析を使用して、タンパク質回収率を定量化した。例1.5を参照されたい。
【0561】
タンパク質損失を計算する:
【数1】
【0562】
このパラメータは、不溶性タンパク質物質のレベルと呼ばれることもあり、液体試料と粉末試料の両方の分析に使用できる。試料が粉末である場合、粉末10gを脱塩水90gに懸濁し、穏やかに攪拌しながら22℃で1時間水和させる。試料およそ20g(例えば、液体試料又は懸濁粉末試料)を遠心管に入れ、3000gで5分間遠心分離した。遠心分離前のタンパク質(P)及び遠心分離後の上清(P3000xg)のケルダール分析を使用して、例1.5に従ってタンパク質回収率を定量化した。
【0563】
不溶性タンパク質物質の量を計算する:
【数2】
【0564】
例1.11:官能評価
熱処理飲料調製物は、記述的な官能評価を受けた。飲料調製物を、プレート熱交換器を使用して熱に供した。
1容量の試料を1容量の水と混合し、非加熱ホエイタンパク質単離物と比較し、乳酸及びクエン酸も最終試飲セッションの前に属性リストを作成するために使用する。
【表1】
【0565】
クラッカー、白茶、メロン及び水を使用して、各試料間で参加者の口を洗浄した。
【0566】
周囲温度(20~25℃)の15mL試験試料を小さなカップで提供した。
【0567】
試験試料を、ランダム化された順序で、3つの異なるブロックで3回、10人にそれぞれ提供した。
【0568】
属性(上記の表を参照)を、0=低強度及び15=高強度の15cmスケールで評価した。
【0569】
統計分析を、「Panelcheck」ソフトウェアで、複数の反復について3元配置ANOVA試験を使用して実施した。試料を固定し、パネルをランダムに設定した。
【0570】
最小の有意差値(文字に関連付けられた群のペアワイズ比較)を意味するボンフェローニ補正を使用して、試料間の有意差を評価した。
【0571】
例1.12:イメージングによる透明度の決定
飲料調製物の写真を、「lorem ipsum」テキストが書かれた紙片に触れる濁度NTU測定バイアルに試料を入れることによって行った。スマートフォンを使用してバイアルを撮影し、本発明者らは、バイアルを通してテキストがはっきりと観察できるかどうかを評価した。
【0572】
例1.13:灰分含有量の測定
食品の灰分含有量を、NMKL 173:2005「食品中の灰分重量測定」に従って決定する。
【0573】
例1.14:導電率の決定
水溶液の「導電率」(「比導電率」と呼ばれることもある)は、溶液が電気を伝導する能力の尺度である。導電率は、例えば、2つの電極間の溶液のAC抵抗を測定することによって決定することができ、結果は、典型的にはミリシーメンス/cm(mS/cm)の単位で示される。導電率は、例えば、EPA(米国環境保護庁)の方法第120.1号に従って測定されうる。
【0574】
本明細書で言及される導電率値は、特に明記されていない限り、25℃に正規化されている。
【0575】
導電率は、導電率計(tetracon 325電極を備えたWTW Cond 3210)で測定する。
【0576】
システムは、使用前にマニュアルに記載されるように較正する。電極は、局所的な希釈を避けるために、測定が行われるのと同じタイプの媒体で徹底的にすすぐ。測定が行われる領域が完全に沈むように、電極を媒体中に下げる。次いで、電極を攪拌して、電極に閉じ込められた空気を除去する。次いで、安定な値をディスプレイから取得及び記録できるまで、電極を静止状態に保つ。
【0577】
例1.15:溶液の全固形分の測定
溶液の全固形分は、NMKL 110第2版、2005(全固形分(水)-乳及び乳製品の重量決定)に従って決定されうる。NMKLは、「ヨーロッパ標準分析法と食品分析に関する北欧委員会」の略語である。
【0578】
溶液の含水量は、100%-全固形分の相対量(%w/w)として計算することができる。
【0579】
例1.16:pHの決定
全てのpH値は、pHガラス電極を使用して測定し、25℃に正規化する。
【0580】
pHガラス電極(温度補償を備える)を、使用前に慎重にすすぎ、使用前に較正する。
【0581】
試料が液体形態である場合、pHを25℃の液体溶液中で直接測定する。
【0582】
試料が粉末である場合、粉末10グラムを脱塩水90mlに室温で激しく攪拌しながら溶解する。次いで、溶液のpHを25℃で測定する。
【0583】
例1.17:ゆるみ密度及びかさ密度の決定
乾燥粉末の密度は、指定された条件下で特別なStampf体積計(すなわち、メスシリンダー)を使用して分析される粉末の重量と体積の関係として定義される。密度は、典型的にはg/ml又はkg/Lで表される。
【0584】
この方法では、乾燥粉末の試料をメスシリンダーに詰める。指定された回数のタッピング後、製品の体積を読み取り、密度を計算する。
【0585】
この方法によって、以下の3種類の密度を定義することができる:
・盛り込み密度、これは指定されたメスシリンダーに移された後の粉末の体積で割った質量である。
・ゆるみ密度、これはこの規格で指定された条件による100回のタッピング後の粉末の体積で割った質量である。
・かさ密度、これはこの規格で指定された条件による625回のタッピング後の粉末の体積で割った質量である。
【0586】
これらの方法は、特別なメスシリンダー、250ml、目盛り付き0~250ml、重量190±15g(J.Engelsmann A.G.67059 Ludwigshafen/Rh)及びStampf体積計(例えば、J.Engelsmann A.G.)を使用する。
【0587】
乾燥製品のゆるみ密度及びかさ密度を、以下の手順によって決定する。
【0588】
前処理:
測定する試料を室温で保管する。
【0589】
次いで、容器を繰り返し回転及び旋回させることによって試料を完全に混合する(粒子の粉砕を避ける)。容器は2/3を超えて満たされない。
【0590】
手順:
100.0±0.1gの粉末を量り、メスシリンダーに移す。体積Vをmlで読み取る。
【0591】
粉末100gがシリンダーに収まらない場合は、量を50又は25gに減らすべきである。
【0592】
メスシリンダーをStampf体積計に固定し、100回タッピングする。スパチュラで表面を平らにし、体積V100をmlで読み取る。
【0593】
タブの数を625(100タップを含む)に変更する。タッピングした後、表面を平らにし、体積V625をmlで読み取る。
【0594】
密度の計算:
以下の式に従って、g/mlで表されるゆるみ密度及びかさ密度を計算する:
かさ密度=M/V
(式中、Mはグラムで計量された試料を示し、Vはmlで625回のタッピング後の体積を示す)。
【0595】
例1.18:粉末の含水量の決定
食品の含水量は、ISO 5537:2004(粉乳-水分量の測定(参照方法))に従って測定される。NMKLは、「ヨーロッパ標準分析法と食品分析に関する北欧委員会」の略語である。
【0596】
例1.19:カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リンの量の決定(ICP-MS法)
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム及びリンの総量は、試料を最初にマイクロ波分解を使用して分解し、次いで、ICP装置を使用してミネラルの総量を決定する手順を使用して決定する。
【0597】
装置:
マイクロ波はAnton Paar製で、ICPはPerkinElmer Inc製のOptima 2000DVである。
【0598】
材料:
1M HNO
2%HNO中イットリウム
5%HNO中カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム及びリンの適切な標準
【0599】
前処理:
粉末試料0.2g又は液体試料1gを量り取り、粉末をマイクロ波分解管に移す。1M HNO5mLを添加する。マイクロ波説明書に従って、試料をマイクロ波で分解する。分解した管を通風室に入れ、蓋を外して揮発性煙霧を蒸発させる。
【0600】
測定手順:
既知量のMilli-Q水を使用して、前処理した試料をDigiTUBEに移す。イットリウムの2%HNO中溶液を分解管に添加し(希釈試料50mL当たり約0.25mL)、Milli-Q水を使用して既知の体積に希釈する。製造業者によって記載される手順を使用して、ICPで試料を分析する。
【0601】
盲試料を、1M HNO 10mLとイットリウムの2%HNO中溶液0.5mLの混合物を、Milli-Q水を使用して最終体積100mLに希釈することによって調製する。
【0602】
予想される試料濃度を挟む濃度を有する少なくとも3つの標準試料を調製する。
【0603】
液体試料の検出限界は、Ca、Na、K及びリンについては0.005g/100g試料、Mgについては0.0005g/100g試料である。粉末試料の検出限界は、Ca、Na、K、Phoについては0.025g/100g試料、Mgについては0.0005g/100g試料である。
【0604】
Phoの検出限界以下の場合、検出限界の値を例で使用して、最悪の事態として存在するPhoの最大量を実証する。
【0605】
例1.20:フロシン値の決定:
フロシン値を、「Maillard Reaction Evaluation by Furosine Determination During Infant Cereal Processing」、Guerra-Hernandezら、Journal of Cereal Science 29(1999)171~176に記載されるように決定し、タンパク質の総量を例1.5に従って決定する。フロシン値は、タンパク質100g当たりのフロシンmg単位で報告する。
【0606】
例1.21:液体中のBLGの結晶化度の決定
以下の方法を使用して、5~6の範囲のpHを有する液体中のBLGの結晶化度を決定する。
a)当の液体の試料10mLを、孔径0.45ミクロンのCAメンブレンを備えたMaxi-Spinフィルタに移す。
b)直ちにフィルタを1500gで5分間回転させ、遠心分離機を2℃に保つ。
c)冷Milli-Q水(2℃)2mLをスピンフィルタの保持液側に添加し、直ちに、遠心分離機を2℃に冷却したまま、フィルタを1500gで5分間スピンし、透過液(透過液A)を回収し、体積を測定し、例1.31に概説される方法を使用して、HPLCを介してBLG濃度を決定する。
d)2M NaCl 4mLをフィルタの保持液側に添加し、迅速に攪拌し、混合物を25℃で15分間放置する。
e)直ちにフィルタを1500gで5分間スピンし、透過液(透過液B)を回収する。
f)例1.31に概説される方法を使用して、透過液A及び透過液BのBLGの総重量を決定し、これらの結果を重量パーセントではなくBLGの総重量に変換する。透過液AのBLGの重量をm透過液Aと呼び、透過液BのBLGの重量をm透過液Bと呼ぶ。
g)BLGに関する液体の結晶化度を、以下の通り決定する:
結晶化度=m透過液B/(m透過液A+m透過液B100%
【0607】
例1.22:乾燥粉末中のBLGの結晶化度の決定
この方法を使用して、乾燥粉末中のBLGの結晶化度を決定する。
a)粉末試料5.0グラムを冷Milli-Q水(2℃)20.0グラムと混合し、2℃で5分間放置する。
b)当の液体の試料を0.45ミクロンのCAメンブレンを備えたMaxi-Spinフィルタに移す。
c)直ちにフィルタを1500gで5分間スピンし、遠心分離機を2℃に保つ。
d)冷Milli-Q水(2℃)2mLをスピンフィルタの保持液側に添加し、直ちに、フィルタを1500gで5分間スピンし、透過液(透過液A)を回収し、体積を測定し、例1.31に概説される方法を使用して、HPLCを介してBLG濃度を決定し、結果を重量%ではなくBLGの総重量に変換する。透過液AのBLGの重量をm透過液Aと呼ぶ。
f)次いで、粉末中のBLGの結晶化度を、以下の式を使用して計算する:
【数3】

(式中、m総BLGは、工程a)の粉末試料中のBLGの総量である)。
【0608】
粉末試料のBLGの総量が不明な場合、粉末試料の別の5g(同じ粉末源から)をMilli-Q水20.0グラムに懸濁し、NaOH水溶液を添加してpHを7.0に調整し、混合物を撹拌しながら25℃で1時間放置し、最後に例1.31を使用して粉末試料のBLGの総量を決定することによってこれを決定することができる。
【0609】
例1.23:UF透過液導電率の決定
試料15mLを、3kDaカットオフ(3000NMWL)を有するAmicon Ultra-15遠心濾過機ユニットに移し、4000gで20~30分間、又は導電率を測定するのに十分な体積のUF透過液が濾過機ユニットの底部に蓄積するまで遠心分離する。遠心分離直後に導電率を測定する。試料の取り扱い及び遠心分離は、試料の供給源の温度で実施する。
【0610】
例1.24:粉末中の乾燥BLG結晶の検出
粉末中の乾燥BLG結晶の存在は、以下の方法で識別できる。
【0611】
分析する粉末の試料を、2部の水と1部の粉末の重量比で、4℃の温度を有する脱塩水に再懸濁し、穏やかに混合し、4℃で1時間再水和させる。
【0612】
再水和試料を、好ましくは複屈折を検出するために平面偏光を使用して、顕微鏡検査によって検査して、結晶の存在を識別する。
【0613】
結晶様物質を分離し、X線結晶構造解析を行って、結晶構造の存在を確認し、好ましくは結晶格子(空間群及び単位胞寸法)がBLG結晶の格子に対応していることも確認する。
【0614】
分離された結晶様物質の化学組成を分析して、その固体が主にBLGから主になることを確認する。
【0615】
例1.25:ラクトースの総量の決定
ラクトースの総量を、ISO 5765-2:2002(IDF 79-2:2002)「粉乳、ドライアイス混合物及びプロセスチーズ-ラクトース含有量の決定-パート2:ラクトースのガラクトース部分を利用した酵素法」に従って決定する。
【0616】
例1.26:炭水化物の総量の決定:
炭水化物を加水分解し、フルフラール及びヒドロキシフルフラールに変換し、これらを490nmで分光光度的に監視されるクロマゲン(chromagen)に変換するSigma Aldrich Total Carbohydrate Assay Kit(カタログMAK104-1KT)を使用して炭水化物の量を決定する。
【0617】
例1.27:脂質の総量の決定
脂質の量は、ISO 1211:2010(脂肪含有量の決定-Rose-Gottlieb重量分析法)に従って決定される。
【0618】
例1.28:ブリックスの決定
ブリックス測定は、研磨水(逆浸透によって濾過して、最大で0.05mS/cmの導電率を得た水)に対して較正されたPAL-αデジタルハンドヘルド屈折計(Atago)を使用して行った。
【0619】
試料約500μlを機器のプリズム面に移し、測定を開始した。測定値を読み取り、記録した。
【0620】
ホエイタンパク質溶液のブリックスは、全固形分(TS)の含有量に比例し、TS(%w/w)はおよそブリックス0.85となる。
【0621】
例1.29 ラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼの決定
ラクトフェリンの濃度は、Soyeurt 2012(Soyeurtら;Mid-infrared prediction of lactoferrin content in bovine milk:potential indicator of mastitis;Animal(2012)、6:11、1830~1838頁)に概説されるELISAイムノアッセイによって決定する。
ラクトペルオキシダーゼの濃度は、市販のウシラクトペルオキシダーゼキットを使用して決定する。
【0622】
例1.30:コロニー形成単位の数の決定
試料1グラム当たりのコロニー形成単位の数の決定は、ISO 4833-1:2013(E):食品及び動物飼料の微生物学-微生物を計数するための水平法-30℃でのコロニーカウント技術に従って実施する。
【0623】
例1.31:BLG、ALA及びCMPの総量の決定
この手順は、組成物中のALA、BLG及びCMPなどのタンパク質、ならびに任意に他のタンパク質種を定量分析するための液体クロマトグラフィー(HPLC)法である。例1.6の方法とは反対に、本方法はまた、凝集して存在するタンパク質を測定し、したがって、当の組成物中のタンパク質種の総量の測定値を提供する。
【0624】
分離の方法はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)であり、この方法は試料溶媒とHPLC移動相の両方として6MグアニジンHCl緩衝液を使用する。メルカプトエタノールを、タンパク質又はタンパク質凝集体のジスルフィド(S-S)を還元して、アンフォールディング単量体構造を作り出す還元剤として使用する。
【0625】
試料調製は、10mgタンパク質当量を移動相に溶解することによって容易に達成される。
【0626】
2つのTSK-GEL G3000SWXL(7.7mm×30.0cm)カラム(GPCカラム)及びガードカラムを直列に配置して、原材料中の主タンパク質の十分な分離を達成する。
【0627】
溶出された分析物を、UV検出(280nm)によって検出及び定量化する。
【0628】
機器/材料:
1.手動シール洗浄付きHPLCポンプ515(Waters)
2.HPLCポンプコントローラーモジュールII(Waters)
3.オートサンプラ717(Waters)
4.デュアル吸光度検出器2487(Waters)
5.定量的レポートを作成できるコンピュータソフトウェア(Empower 3、Waters)
6.分析カラム:2つのTSK-GEL G3000SWXL(7.8×300mm、P/N:08541)
ガードカラム:TSK-ガードカラムSWxL(6.0×40mm、P/N:08543)
7.超音波浴(Branson 5200)
8.0.2μm酢酸セルロースメンブレンを備えた25mmシリンジフィルタ(514-0060、VWR)
【0629】
手順:
移動相:
A.ストック緩衝液
1.NaHPO 56.6g、NaHPO 3.5g及びEDTA 2.9gを1000mLビーカーに量り入れる。
水800mLに溶解する。
2.pHを測定し、必要に応じてHCl(pHを下げる)又はNaOH(pHを上げる)で7.5±0.1に調整する。
3.1000mLメスフラスコに移し、水で体積まで希釈する。
【0630】
B.6MグアニジンHCl移動相
1.グアニジンHCl 1146gを2000mLビーカーに量り入れ、ストック緩衝液(A)200mLを添加する。
2.磁気攪拌棒(50℃)で混合しながら、この溶液を水で約1600mLに希釈する。
3.NaOHでpHを7.5±0.1に調整する。
4.2000mLメスフラスコに移し、水で体積まで希釈する。
5.0.22μmメンブレンフィルタを備えた溶媒濾過装置を使用して濾過する。
【0631】
較正標準
定量化する各タンパク質の較正標準を、以下の方法で調節する:
1.タンパク質参照標準約25mgを10mL
メスフラスコに正確に(0.01mgまで)量り入れ、水10mLに溶解する。
これがタンパク質のタンパク質ストック標準溶液(S1)となる。
2.S1 200μlを20mlメスフラスコにピペットで入れ、移動相で体積まで希釈する。
これが低使用標準溶液WS1となる。
3.S1 500μLを10mLメスフラスコにピペットで入れ、移動相で体積まで希釈する。
これが標準溶液WS2となる。
4.S1 500μLを5mLメスフラスコにピペットで入れ、移動相で体積まで希釈する。
これが標準溶液WS3となる。
5.S1 750μLを5mLメスフラスコにピペットで入れ、移動相で体積まで希釈する。
これが標準溶液WS4となる。
6.S1 1.0mLを5mLメスフラスコにピペットで入れ、移動相で体積まで希釈する。
これが高使用標準溶液WS5となる。
7.目盛り付き使い捨てピペットを使用して、WS1~5 1.5mLを別々のバイアルに移す。
2-メルカプトエタノール10μLを各バイアル及びキャップに添加する。溶液を10秒間ボルテックスする。
標準を周囲温度で約1時間放置する。
8.0.22μm酢酸セルロースシリンジフィルタを使用して標準を濾過する。
【0632】
タンパク質の純度は、ケルダール(N×6.38)及びHPLCを使用した標準溶液WS5からの面積%を使用して測定する。
タンパク質(mg)=「タンパク質標準重量」(mg)×P1×P2
P1=P%(ケルダール)
P2=タンパク質面積%(HPLC)
【0633】
試料調製
1.元の試料のタンパク質25mgに相当する量を25mLメスフラスコに量り入れる。
2.移動相およそ20mLを添加し、試料を約30分間溶解させる。
3.移動相を体積に添加し、2-メルカプトエタノール167μLを試料溶液25mlに添加する。
4.約30分間超音波処理し、その後、試料を周囲温度で約1時間半放置する。
5.溶液を混合し、0.22μl酢酸セルロースシリンジフィルタを使用して濾過する。
【0634】
HPLCシステム/カラム
カラムの平衡化
1.GPCガードカラムと2つのGPC分析カラムを直列に接続する。
新しいカラムを、一般的にはリン酸塩緩衝液に入れる。
2.水を新しいカラムに30~60分で0.1から0.5mL/分まで徐々に流す。
約1時間流し続ける。
3.流量を0.5mL/分から0.1mL/分まで徐々に減少させ、
リザーバー中移動相で置き換える。
4.圧力衝撃を回避するために、ポンプ流量を30~60分で0.1から0.5mL/分まで徐々に増加させ、0.5mL/分のままにする。
5.10個の試料を注入してカラムを飽和させ、ピークが溶出するのを待つ。
これは、カラムのコンディショニングに役立つ。
次の注入前に各注入が完了するのを待つ必要なしにこの工程を行う。
6.移動相と少なくとも1時間平衡化する。
【0635】
結果の計算
定量化するタンパク質、例えば、αラクトアルブミン、βラクトグロブリン及びカゼイノマクロペプチドの含有量の定量的決定を、対応する標準タンパク質について得られたピーク面積を試料のピーク面積と比較することによって実施する。結果を、特定のタンパク質g/元の試料100g、又は元の試料の重量に対する特定のタンパク質の重量パーセントとして報告する。
【0636】
例2:噴霧乾燥酸性BLG単離物粉末の製造
ホエイタンパク質供給原料
標準的なチーズ製造工程からのスイートホエイに由来するラクトース枯渇UF保持液を、1.2ミクロンフィルタを通して濾過し、BLG結晶化法の供給原料として使用される前にSynder FRメンブレンを介して脂肪を減少させた。供給原料の化学組成を表Aに示す。この例で言及されるBLG、ALAなどの特定のタンパク質の全ての重量パーセントは、総タンパク質に対する非凝集タンパク質の重量パーセントに関することに留意する。
【0637】
調整
スイートホエイ供給原料を、46ミルスペーサー供給原料圧力1.5~3.0barで、Koch HFK-328型メンブレン(70mメンブレン)を使用し、ダイアフィルトレーション媒体として研磨水(逆浸透によって濾過して、最大で0.05mS/cmの導電率が得た水)を使用して、20℃の限外濾過設定で全固形分(TS)21%±5の供給原料濃度に調整した。次いで、pHがおよそ5.5になるようにHClを添加してpHを調整した。保持液の導電率の低下が20分間にわたって0.1mS/cm未満になるまで、ダイアフィルトレーションを続けた。次いで、透過液流が1.43L/時間/m未満になるまで、保持液を濃縮した。濃縮保持液の第1の試料を採取し、3000gで5分間の遠心分離に供した。第1の試料の上清をBLG収率の決定に使用した。
【0638】
結晶化
濃縮保持液を300L結晶化タンクに移し、再水和して噴霧乾燥したBLG結晶から作られた純粋なBLG結晶材料を播種した。その後、播種されたホエイタンパク質溶液をおよそ10時間にわたって20℃からおよそ6℃に冷却して、BLG結晶を形成及び成長させた。
【0639】
冷却後、結晶含有ホエイタンパク質溶液の試料(第2の試料)を採取し、3000gで5分間の遠心分離によってBLG結晶を分離した。第2の試料からの上清及び結晶ペレットを以下に記載されるようにHPLC分析に供した。結晶化の収率を、以下に概説されるように計算したところ、57%と決定された。
【0640】
【表A】
【0641】
HPLCを使用したBLG収率の決定:
第1の試料及び第2の試料の上清を、研磨水を添加することによって同程度の希釈に供して、希釈した上清を0.22μmフィルタを通して濾過した。各濾過及び希釈した上清について、同体積をPhenomenex Jupiter(登録商標)5μm C4 300Å、LCカラム250×4.6mm、Ea.を備えたHPLCシステムにロードし、214nmで検出した。
【0642】
試料を、以下の条件を使用して流した:
緩衝液A:MilliQ水、0.1%w/w TFA
緩衝液B:HPLCグレードのアセトニトリル、0.085%w/w TFA
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
勾配:0~30分82~55%A及び18~45%B;30~32分55~10%A及び45~90%B;32.5~37.5分10%A及び90%B;38~48分10~82%A及び90~18%B。
【0643】
データ処理:
両上清を同じ方法で処理したため、BLGピークの面積を直接比較して、相対収率を計算することができる。結晶はBLGのみを含有し、試料は全て同じ方法で処理されているため、αラクトアルブミン(ALA)の濃度、したがってALAの面積は試料の全てで同じはずである。したがって、結晶化前後のALAの面積を、相対収率を計算する際の補正係数(cf)として使用する。
【数4】
【0644】
相対収率を、以下の式で計算する:
【数5】
【0645】
BLC結晶の酸溶解
分離前に、供給原料を研磨水と1:2で混合し、結晶化タンクからの材料の残りを、64スペーサー及び75L/時間の供給原料流を使用して、350g、2750RPM、150RPM Diff.でデカンターを使用して分離した。次いで、デカンターからのBLG結晶/固相を研磨水と混合して、より薄いスラリーにした後、リン酸又はHClを添加してpHをおよそ3.0に下げて、結晶を迅速に溶解した。
【0646】
BLG結晶を溶解した後、純粋なBLGタンパク質液体を、結晶化のための供給原料を調製するために使用されるのと同じUF設定で15ブリックスに濃縮し、pHをおよそ3.8の最終pHに調整した。次いで、液体BLG単離物を75℃に5分間加熱し、その後、10℃に冷却した。熱処理により、熱処理前の137.000 CFU/gから熱処理後の1000CFU/g未満まで微生物負荷が減少することが分かった。熱処理はタンパク質変性を引き起こさず、固有トリプトファン蛍光比(I330nm/I350nm)は1.20と決定され、BLG分子の天然のコンフォメーションを示している。
【0647】
BLGを、180℃の入口温度及び75℃の出口温度を有するパイロットプラント噴霧乾燥機で乾燥された。出口でサンプリングした得られた粉末は、およそ約4%w/wの含水量を有しており、粉末の化学組成を表Bに示す。乾燥粉末の試料を溶解し、タンパク質変性度が1.5%と決定され、固有トリプトファン蛍光発光比(I330/I350)が1.20と測定された。
【0648】
【表B】
【0649】
噴霧乾燥粉末のかさ密度(625タップ)は0.2~0.3g/cmと推定された。
【0650】
例3:一般的なホエイタンパク質飲料の調製
タンパク質ベースで85%以上のBLGを含有する乾燥BLG単離物タンパク質粉末を、所望の最終タンパク質濃度に到達するために必要な脱塩水の最大約95%に分散する。
酸性BLG単離物粉末を例2に概説されるように製造し、pH5.5 BLG単離物粉末をPCT/EP2017/084553の例7に概説されるように製造する。
【0651】
PCT/EP2017/084553に記載されるように、BLG材料の溶解は、酸(リン酸、塩酸、クエン酸、リンゴ酸、又はこれらの溶解型もしくは粉末型の塩などの1つ又は複数の食品グレードの酸から選択される)の添加によって促進されうる。酸の添加により溶解中にpHが低下する場合、pHが好ましくは所望の標的pHを超えるべきでない(すなわち、酸及び/又は塩基による不必要な滴定を避ける)。
【0652】
任意に、ミネラル、甘味料、香料、安定剤、乳化剤、又は脂肪及び炭水化物の供給源を含む他の成分を添加することもできる。使用される方法は、以下の工程を含む:
・脂肪が含まれている場合、最初に水浴で油を70℃に加熱する、
・乳化剤(典型的には、最終レシピで0.2w/w%まで)、例えばリン酸塩を含まない用途に推奨される、クエン酸エステルである乳化剤Grindsted Citrem LR10と混合する。60℃まで冷却させる(タンパク質と混合した場合の潜在的な変性/凝集を回避/低減するため)
・予熱した水(60℃)とゆっくり混合する
・全ての粉末材料を事前混合した形態で添加する(「フィッシュアイ」を回避するため);これは、炭水化物とタンパク質の事前混合を含む、
・任意に、ミネラル(NaCl、KCl、CaCl2及びMgCl2)を添加して、特別医療目的用食品(FSMP)要件に準拠するNa、K、Ca及びMgの濃度を達成する(目標は許容範囲の中央である)。ミネラルを脱塩水に溶解し、Na、K、Ca及びMgの所望の濃度に達するように添加する。FMSPへの準拠を可能にする他の食品グレードのミネラルをさらに使用し、溶解型又は粉末型で添加してもよい。
・必要に応じて、最大10%のリン酸(又は他の食品グレードの酸)又は最大10%のNaOHを使用してpHを最終pHに調整する。
・残りの水を添加して、所望のタンパク質濃度に到達させる、及び
・組成物を場合におりホモジナイズする(「上流ホモジナイゼーション」)
・組成物を熱処理に供する
・任意にホモジナイズする(「下流ホモジナイゼーション」)。
【0653】
比較のために、ホエイタンパク質単離物で、残りの工程を維持しながら、参照試料の調製において85%以上のBLG製品を置き換える。
試料を暗所環境において20℃で保管した。
【0654】
例4:ホエイタンパク質組成物の熱処理
飲料の熱処理を、10μm結合マイクロファイバーフィルタエレメント、コード12-57-60k(Headlineフィルタ)を備えた、プレート熱交換器(製造業者:OMVE HTST/UHTパイロットプラントHT320-20)を使用して、120℃で20秒間(高温、短時間(HTST)、BLGの変性をもたらす)加熱する又は75℃で15秒間~5分間の保持時間(BLGは天然のままである)によって行った。他の熱処理条件を適用してもよい。
熱処理飲料組成物を75~85℃で100mL滅菌ボトル中でタッピングし、次いで、直ちに密封し、氷上に置いた。
【0655】
他の実験では、ホエイタンパク質源を、試料15~30mLを含有する薄壁ガラスバイアルに移すことによって熱処理を行った。バイアルを75℃~95℃の範囲の標的温度で事前平衡化された水浴に1~5分間浸漬し、引き続いて、氷上で冷却する。
【0656】
例5:熱処理飲料調製物の製造
本例では、6%タンパク質を含み、pH3.7を有するBLG飲料及びWPI飲料を調製した。
【0657】
BLG飲料は、pH5.5 BLG単離物粉末(PCT/EP2017/084553の例7に記載される)を10℃の脱塩水に溶解することによって調製した。10%HPOを溶液にゆっくり添加した。最終的なpHをpH3.7に調整した。
【0658】
溶液を、例4に記載されるようにプレート熱交換器を使用して120℃で20秒間熱処理した、又は15秒~5分の保持時間で75℃で熱処理した。飲料をタッピングして、熱滅菌ホエイタンパク質飲料組成物を得た。
同じ手順を使用して、WPI粉末からWPI飲料を調製した。
【0659】
以下の表1に、飲料調製物の調製に使用したBLG粉末の組成を示し、比較のためにWPIの組成も列挙する。
【0660】
【表1】
【0661】
pH3.7及び6%w/wのタンパク質含有量を有するBLG及びWPIを含む飲料調製物を、120℃で20秒間及び75℃で15秒間熱処理し、タンパク質の95.9w/w%はBLGであった。WPI飲料(WPI-B)では、タンパク質の57w/w%がBLGであった。異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)及び色(例1.9)を分析した。
【0662】
結果を以下の表2及び図1に提示する。
【表2】
【0663】
結論:
BLG試料の濁度は75℃で低いままであったが、WPI試料の濁度は高かった。WPI試料はまた不透明であった(図1参照)。
【0664】
濁度263NTUを有するWPIと比較して、滅菌BLG試料は濁度7.0NTUを有していた。
【0665】
粘度も低いままであった。
【0666】
したがって、pH3.7でタンパク質含有量の約96w/w%のBLG含有量を有する透明な飲料を製造することが可能であるが、これは、同じ条件下で不透明になったWPI試料では不可能である。
【0667】
例6a:清澄なホエイタンパク質飲料の利用可能なpH範囲を拡大できることの実証
6w/w%タンパク質の約92w/w%がBLGであるBLG試料を調製し、比較のために、それぞれ約60w/w%(WPI-A)及び57w/w%(WPI-B)のBLGを含む2つの異なるWPI試料を調製した。
【0668】
6w/w%ホエイタンパク質組成物を、例3に記載されるように調製し(BLG単離物粉末を例2に従って製造する)、10%リン酸を使用して最終pHを調整して、それぞれ3.0~3.9の選択されたpH値を得る。実験の一態様では、3.0~3.9のpHレベルに調整された試料を120℃で20秒間UHT処理し、タッピングし、密封し、冷却した。実験の別の態様では、例4に記載されるように、pH3.0及び3.9の試料を75℃で15秒間低温殺菌した。
【0669】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)、色(例1.9)及び外観(例1.12)を分析した。
【0670】
結果を図2図10に提示する。
【0671】
結果:
図2は、120℃で20秒間熱処理されたpH3.0~3.7のWPI-B及び120℃で20秒間熱処理されたpH3.7のBLG飲料の画像を示している。図3は、75℃で熱処理されたpH3.0~3.7のWPI-B及び75℃/15秒で熱処理されたpH3.7のBLGの画像を示している。図4は、75℃で15秒間加熱された、pH3.7のWPI-B及びpH3.9のBLG飲料の画像を示している。
【0672】
驚くべきことに、本発明者らは、BLG飲料調製物が、UHT滅菌される場合(図2)、pH3.7でさえ清澄なままであり、またその環境下ではWPIが不透明である低温殺菌される場合(図3及び図4)、pH3.7を超え得る(pH3.9~4.1)ことを見出した。これらの知見は、図5(UHT)及び図6(低温殺菌)に示される濁度測定によってさらに裏付けられ、WPIがそれぞれ40NTUを大幅に超えるpH3.7及び3.9でも40NTU未満のままであった。
【0673】
BLG飲料調製物のUHT処理では、粘度は低いままである。低粘度は、飲料試料が容易に飲めることを実証している。特に高いpH値では、WPIを使用すると粘度が劇的に増加する(図7)。
【0674】
本発明者らはさらに、少量のBLG(UHTと低温殺菌の両方)を含む熱処理WPI飲料の黄色度(b値)が最大少なくともpH3.7までBLGを大幅に超えることを見出した。図8(UHT)及び図9(低温殺菌)を参照されたい。
【0675】
結論:
タンパク質の少なくとも85%w/wがBLGであるホエイタンパク質飲料の使用は、消費者に望ましい属性を備えたホエイタンパク質飲料を提供するための、次の少なくとも2つの重要な機会を可能にする。
1.熱処理中にpHを上げると、WPIと比較して、視覚認知(色、濁度)、及び粘度が改善する。
2.利用可能なpH範囲をさらに拡大しながら、1)の利点を維持する低温殺菌を可能にする。
【0676】
例6b:清澄なホエイタンパク質飲料の利用可能なpH範囲を拡大できることの実証
本例では、6重量%及び12重量%のタンパク質を含み、pH2.7、3.0、3.3及び3.7を有するBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。飲料の調製に使用されるBLG粉末を表3に提示し、この粉末は、タンパク質の98.2w/w%をBLGとして含む。Na、K、Ca及びMgの量が検出レベル未満である。
【0677】
【表3】
【0678】
1Mリン酸を使用して、飲料の最終pHをpH2.7、3.0、3.3及び3.7に調整した。飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して75℃又は95℃に5分間熱処理した。
【0679】
異なる試料の濁度(例1.7)及び固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)を分析した。
【0680】
結果を表4に提示する。
【0681】
【表4】
【0682】
結果:
結果は、6w/w%又は12w/w%のタンパク質を含む、16NTU未満の濁度を有する清澄なBLG飲料を製造することが可能であることを明確に実証している。飲料を75℃で5分間又は95℃で5分間熱処理した。目視検査によると、飲料は凝集も沈降も示さなかった。これと比較して、例6aのWPI試料(図4参照)は、75℃で15秒間の熱処理後、pH3.7のWPI試料(6w/w%タンパク質)が濁っていることを示している。
【0683】
さらに、驚くべきことに、75℃で5分間熱処理された2.7~3.7のpH範囲の6w/w%又は12w/w%のタンパク質を含む飲料は全て、1.17~1.18の驚くほど高いTrp蛍光比によって実証されるように、優勢な天然のコンフォメーションを有していることも分かった。
【0684】
例6c:20℃で6か月の貯蔵後の飲料の色の安定性
本例では、6重量%のタンパク質を含み、pH3.0及び3.7を有するBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。飲料の調製に使用したBLG粉末を表3に記載する。
【0685】
10%リン酸を使用して、飲料の最終pHをpH3.0及び3.7に調整した。飲料を、例4に概説されるように、プレート熱交換器を使用して75℃で15秒間熱処理、又は120℃で20秒間UHT処理した。
熱処理後、飲料を暗所で、20℃で6か月間保管した。
異なる試料の色(例1.9)を、0日目、及び6週間後、3か月後及び6か月後に分析した。
【0686】
結果を図25及び図26に提示する。
【0687】
結果:
結果は、貯蔵中のBLG飲料の発色が、UHT処理(120℃/20秒)BLG飲料と比較して低温殺菌(75℃/15秒)に供された試料で遅いことが分かったことを実証している。驚くべきことに、低温殺菌BLG飲料とUHT処理BLG飲料の両方で6か月間の貯蔵後の色(黄色度)が、新たに調製されたWPI飲料(WPI-A及びWPI-B)の黄色度よりも低くさえあった。図8(UHT)及び図9(低温殺菌)は、新たに調製されたWPI飲料において、pH3.0で0.33~0.43のb値、及びpH3.7で0.7~1.15のb値を示した。これにより、ホエイタンパク質飲料のタンパク質源として少なくとも6w/w%のbLGを含む飲料を使用することが、無色の飲料の製造にとって特に有利となる。
【0688】
例7:BLGを使用した熱滅菌高タンパク質飲料の調製
タンパク質の約92w/w%がBLG(0.42w/w%がALA)であるBLG試料を調製し、比較のために、タンパク質の約60w/w%がBLG(8w/w%がALA)で、WPI粉末のpHが3.3であるWPI-Aを使用してWPI試料を調製した。
【0689】
BLG単離物粉末製品(例2から、粉末のpHは3.9)を水道水に分散させて、タンパク質濃度が6.0、10、15、20、25、及び32w/w%の範囲の飲料を製造し、10%リン酸を使用してpH3.7に調整した。
タンパク質の98.2w/w%をBLGとして含むBLG単離物粉末(上記の表3参照)を脱塩水に分散させて、タンパク質濃度が12w/w%の飲料を製造した。1M HClを使用してpHをpH3.7に調整した。
【0690】
溶液を、例4に従って、表5に記載されるように、15秒~5分の持続時間、75~120℃で熱的に処理し、直ちに氷上で冷却した。
【0691】
異なる試料の粘度(例1.8)、固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されたタンパク質のネイティブ性(例1.1)、外観(例1.12)及び濁度(例1.7)を分析した。
【0692】
【表5】
【0693】
結果:
結果を上記の表5及び図10図12に示す。
【0694】
図10は、清澄で透明な75℃/15秒で加熱されたpH3.7の15w/w%BLG飲料の画像を示しているが(左)、75℃/15秒で加熱されたpH3.7の6%WPI-A(右)は不透明であった。
【0695】
図11は、高タンパク質BLG飲料組成物の官能評価、ならびにpH3.7での6w/w%及び15w/w%BLG試料の画像を示しており、両試料とも清澄である。
【0696】
図12は、32w/w%、27.5w/w%、25w/w%、20w/w%(左から右)のタンパク質含有量を有するBLG飲料を75℃で5分間加熱することによって調製した高タンパク質飲料調製物を示しており、全ての試料が低粘度を有し、液体であった。
【0697】
本発明者らは、驚くべきことに、75℃で最大5分間加熱した場合でも、全ての溶液が低粘度のままであることを見出し、変性がほとんど又は全くないことを示唆している。
【0698】
高タンパク質で観察された粘度は、非凝集天然タンパク質に典型的であった((Inthavong、Kharlamova、Nicolai、Chassenieux、及びNicolai、2016)によって記載される流動挙動は、200g/lで約10cPと述べている。
【0699】
トリプトファン蛍光分光法は、穏やかに加熱した場合(75℃)、少なくとも1.11の固有トリプトファン発光比(I330/I350)を有することから証明されるように、BLGが天然のコンフォメーションのままであるが、より厳しい加熱は、1.11未満の固有トリプトファン発光比(I330/I350)によって示されるように変性を引き起こすことを確認した。
【0700】
RP-HPLC分析により、75℃で5分間加熱された6%BLG飲料の変性及び95℃で5分間加熱した場合の41%の変性を明らかにするトリプトファン蛍光の結果が確認された。
【0701】
加熱後も粘度が低いままであることが示された。
【0702】
BLG飲料調製物は変性温度より上に加熱できることが分かった。しかしながら、95℃/5分で加熱すると、16w/w%より大きいタンパク質を含むBLG飲料ではゲル化が起こり、95℃/5分で12w/w%、90℃/5分で10w/w%及び120℃/15秒で6w/w%は液体のままであった。固有トリプトファン発光比(I330/I350)の低下によって証明されるように、これらの加熱条件下では少なくとも部分的な変性/凝集が起こる。
【0703】
しかしながら、1.17の固有トリプトファン発光比(I330/I350)によって証明されるように、75℃/5分で熱処理した場合、12w/w%のタンパク質を含むBLG飲料調製物では、BLGが天然のコンフォメーションのままであり、この飲料が透明で液体形態であることも分かった。
【0704】
本発明者らが大いに驚いたことには、感覚パネル(分析については例1.11及び図11参照)は、75℃で加熱された6%及び15%のBLG飲料調製物の乾燥食感の有意差を識別しなかった。
【0705】
例8:味が改善されたホエイタンパク質飲料調製物
BLG試料及びWPI試料を調製した。試料の組成を以下に示す。
使用するBLG単離物粉末は例2に従って製造する。
【表5-2】
【0706】
試料を、10人の感覚パネルによって分析した(例1.11参照)。WPI試料は、特に高pH値で、BLG飲料よりも黄色で、高いb値を有し、高い濁度を有した。分析データを表6に提示する。
【0707】
【表6】
【0708】
表6の試料の視覚的外観を図13に示す。
【0709】
官能評価のデータを図14図18に示す。
【0710】
デルタbの計算には、以下の式を使用する:
デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水
デルタaの計算には、以下の式を使用する:
デルタa=室温で測定された、a6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -a脱塩水
デルタLの計算には、以下の式を使用する:
デルタL=室温で測定された、L6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -L脱塩水
脱塩水の色値は以下である:
=39,97、a=0及びb=-0.22。
【0711】
結果:
清澄度と無色の特性を維持しながら、pHを上げ、加熱温度を下げる機会を利用することにより、WPI-AとBLGで製造された飲料の味で有意な差が観察された。BLG飲料は、図14に示されるように、WPI飲料と比較して、低い渋味、乾燥食感、酸味、ホエイ芳香及びクエン酸香味を有する。
【0712】
図15は、熱処理前にpHを3.7に上げることによって、製品の清澄度及び低色を保持しながら、BLG飲料の酸味が120℃と75℃の両方で減少することを示している。表2及び図1に見られるように、pH3.7では透明で清澄な飲料を製造することができないため、これはWPIでは不可能であった。
【0713】
図16は、温度とpHの両方をpH3.0、120℃/20秒からpH3.7、75℃/15秒に変化させると、渋味が有意に減少することを実証している。
【0714】
図17は、加熱温度を120℃/20秒から75℃/15秒に下げることによって、乾燥食感が有意に減少することを実証している(75℃の天然対120℃の変性タンパク質)。
【0715】
図18は、透明で清澄な無色のWPI飲料を製造することができないpH3.7で75℃/15秒の加熱を使用することによって、BLGを天然の状態に維持すると、ホエイ芳香が減少することを実証している。
【0716】
pH3.7で、75℃/15秒で熱処理されたWPIでは清澄な飲料を製造することができなかった。図3も参照されたい。
【0717】
例9a:低色の甘味BLG飲料調製物
6%w/w BLG飲料を調製した。以下で使用されるBLG粉末の組成を参照されたい。飲料を例3に記載されるように調製した。
【表6-2】
【0718】
調製したBLG飲料は6%のタンパク質を含み、pH3.7を有していた。
【0719】
8w/w%スクロースを炭水化物スクロースとして使用した。また、高甘味度甘味料スクラロースを使用して試験を実施した。試料を水浴中で93℃の熱処理に4分間供し、次いで、氷浴で冷却した。
【0720】
異なる試料の視覚的外観(例1.12)、色(例1.9)、濁度(例1.7)及び粘度(例1.8)を分析した。
結果を以下の表7に提示する。
【0721】
【表7】
【0722】
結果:
8w/w%スクロースを甘味料として使用し、これらを93℃で4分間の熱処理に供することによって、甘味BLG飲料を製造することができることが分かった。8w/w%スクロースの添加は、粘度、濁度及び清澄度にわずかな影響しか与えず(表5参照)、またスクロースの添加によって色が影響を受けることもなかった。
【0723】
市販の飲料、例えばスポーツ栄養に典型的に存在する添加物を含むBLG飲料を調製した。これは、75℃で5分間加熱処理された、pH3.7℃の6%w/wタンパク質BLG飲料を含む。以下の表8の組成を参照されたい。
【0724】
【表8】
【0725】
【表9】
【0726】
結果:
添加物を含むBLG飲料と添加物を含まないBLG飲料の両方が低粘度、透明及び本質的に無色のままであることが表9で分かる。
【0727】
例9b:甘味低色清澄BLG飲料
本例では、2w/w%、6w/w%及び10重量%のタンパク質を含み、pH3.7を有するBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。飲料の調製に使用したBLG粉末は、タンパク質の98.2w/w%をBLGとして含んでいた。表3(例6b)を参照されたい。
BLG飲料を、5又は18w/w%スクロースの最終濃度で炭水化物源としてスクロースを使用してさらに甘くした。飲料を水浴中、75℃又は95℃で5分間の熱処理に供し、その後、氷上で冷却した。
さらに、表3のBLG粉末を使用して、10w/w%タンパク質、17w/w%炭水化物を含み、pH3.7を有する飲料を調製した。これらの試料を、例4に従って、プレート熱交換器を使用して、120℃で20秒間の熱処理に供した。
【0728】
異なる試料の粘度(例1.8)、濁度(例1.7)、色(例1.9)、固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)、及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0729】
結果を以下の表10に提示する。
【0730】
【表10】
【0731】
結果:
結果は、スクロースの形態で18w/w%炭水化物を含有する安定な(15%未満の不溶性タンパク質物質)2w/w%飲料を、75℃と95℃の両方で5分間熱処理することによって、pH3.7で調製できることを実証している。
【0732】
2w/w%BLG飲料の粘度及び濁度は驚くほど低く、飲料は無色で、75℃及び95℃でそれぞれ加熱した後、0.29及び0.31のデルタb値を示した。1.19のI330/350比によって実証されるように、75℃での加熱により、主に天然のホエイタンパク質からなる飲料が製造された。さらに驚くべきことに、1.13のTrp蛍光比によって示されるように、95℃で5分間加熱しても、主に天然のタンパク質が得られることが分かった。
【0733】
表10はさらに、低粘度及び低濁度の安定な無色のBLG飲料を、6w/w%タンパク質(5又は18w/w%スクロースを含む)及び10w/w%タンパク質(5w/w%スクロースを含む)でさえも調製できることを実証している。
【0734】
これらの飲料のBLGは、1.11を超えるTrp蛍光比によって実証されるように、75℃で5分間熱処理した場合、天然のままであり、1.11未満のTrp蛍光比によって実証されるように、95℃で5分間加熱した場合、飲料は少なくとも部分的にアンフォールディング/凝集することがさらに実証されている。
【0735】
120℃で20秒間の滅菌によって熱処理した、17%スクロースを含む6w/w%BLG飲料に関しては、粘度も濁度も低く、無色であり、デルタb値は0.47であった。
【0736】
タンパク質源と炭水化物源の両方の濃度を上げても、全ての飲料が著しく清澄で、黄色度が最小のままであった。表10を参照されたい。これは、最大で33E%~少なくとも90E%の炭水化物からのエネルギー寄与が実現可能であるBLG飲料の製造を明確に実証している。
【0737】
例10a:添加ミネラルを含む清澄なBLG飲料調製物の例示的な方法
この例で使用したBLG粉末はpH5.5を有し、タンパク質の約96%w/wをBLGとして(及びタンパク質の0.4%w/wをALAとして)含んでいた。
【0738】
酸性BLG単離物粉末を例2に従って調製し、飲料調製物を例5に従って調製した。
【0739】
飲料調製物の高温熱処理:
pH3.7を有する6%BLG飲料調製物を調製した。KCl及びCaClを、1Mストック溶液から液体形態で添加した。これらを95℃で5分間熱処理した。
【0740】
結果:
結果を以下の表11及び図19に要約する。
【0741】
図19は、pH3.7で、95℃で5分間熱処理され、ミネラルが添加された6%BLG飲料の画像を示している。
A:添加したミネラル0mM
B:添加したCaCl2 15mM
C:添加したKCl 20mM
D:添加したKCl 10mM及び添加したCaCl2 15mM
【0742】
ミネラル(0~20mM KCl、0~15mM CaCl又は10mM CaCl及び10mM)を添加したBLG飲料調製物の濁度は、pH3.7で95℃で5分間加熱した場合、30NTU未満のままであった。
【0743】
添加KCl 30mMでゲル化が観察された(混濁ゲル)。
【0744】
添加CaCl 20mMでゲル化が観察された(清澄ゲル)。
【0745】
表10のミネラルの添加量は、BLG製品とWPI製品の差を大幅に上回っているため、結果は、タンパク質組成がWPIに対するミネラルの差よりも重要であることを明確に示唆している。
試料は清澄なままであり(図19参照)、以下の表11の限度内で低い粘度を有していた。
【0746】
【表11】
【0747】
飲料調製物の低温熱処理
pH3.7を有する6%BLG飲料調製物を調製した。KCl及びCaClを、1Mストック溶液から液体形態で添加した。これらを75℃の低温殺菌温度で5分間熱処理した。
【0748】
結果
本発明者らは、驚くべきことに、低温殺菌温度(75℃、5分)を使用すると、並はずれて高いミネラル濃度が許容されることを見出した。以下の表12を参照されたい。
【0749】
図20は、75℃で5分間熱処理され、ミネラルが添加された、pH3.7の、6%BLG飲料の画像を示している。
A:添加したミネラル 0mM、
B:添加したKCl 100mM、
C:添加したCaCl2 100mM、
D:添加したKCl 100mM及び添加したCaCl2 100mM
【0750】
加熱前に100mM KCl又は100mM CaClを飲料組成物に添加した場合でも、飲料調製物は清澄なままであった。図20を参照されたい。さらに、100mM KClと100mM CaClの両方を添加した場合でも、粘度は驚くほど低かった。
【0751】
【表12】
【0752】
例10b:ミネラルが添加されたBLG飲料
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。粉末中のミネラルであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びリンの含有量は全て検出限界を下回っている。
【0753】
飲料調製物の高温熱処理:
pH2.7、3.0、3.3及び3.7を有する6重量%タンパク質を含むBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。BLG飲料は、脱塩水にそれぞれ5、3及び1Mまで溶解したストック溶液から添加されたミネラルNaCl、KCl、CaCl及びMgClを含んでいた。ミネラル濃度を以下の表13に記載する。
【0754】
【表13】
【0755】
飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して95℃に5分間熱処理した。
【0756】
異なる試料の濁度(例1.7)、固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)、及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0757】
結果を以下の表14に提示する。
【0758】
【表14】
【0759】
結果:
結果は、95℃で5分間の熱処理後、安定でかつ清澄な酸性熱処理飲料を製造することが可能であることを示している。熱処理BLG飲料は、6w/w%タンパク質とミネラル(Na、K、Ca及びMg)の両方を含み、全て、pH2.7~3.7で、13NTU未満の濁度及び3%未満の不溶性粒子の量を有していた。これは、最終製品中のNa、K、Ca及びMgの和が27.9~28.2mMの場合でも可能である(表13のミネラル濃度参照)。
【0760】
ミネラルを添加した飲料調製物の低温熱処理
6重量%及び12重量%タンパク質を含み、pH2.7、3.0、3.3及び3.7を有するBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。
BLG飲料は、脱塩水中それぞれ5、3及び1Mの塩のストック溶液から添加されたミネラルNaCl、KCl、CaCl及びMgClを含んでいた。ミネラル添加を以下の表15に示す。
【0761】
【表15】
【0762】
飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して75℃に5分間熱処理した。
【0763】
異なる試料の濁度(例1.7)及び固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)を分析した。
【0764】
結果を以下の表16に提示する。
【0765】
【表16】
【0766】
結果
結果は、75℃で5分間の熱処理後、清澄な酸性熱処理飲料を製造することが可能であることを示している。目視検査によると、飲料は凝集も沈降も示さなかった。熱処理BLG飲料は、6w/w%タンパク質とミネラル(Na、K、Ca及びMg)の両方を含み、全て、pH2.7~3.7で、10NTU以下の濁度を有していた。これは、最終製品中のNa、K、Ca及びMgの和が27.9~28.9mMの場合でも可能である(表15のミネラル濃度参照)。
【0767】
驚くべきことに、天然の(Trp蛍光比1.17~1.20)及び清澄な(10NTU未満)BLG飲料を、75℃で5分間の熱処理によって、6w/w%タンパク質でNa、K、Ca、及びMgの和が27.9~28.9mM及び12w/w%タンパク質で50~52.6mMの場合でも製造することができることが分かった。表16を参照されたい。
【0768】
また、驚くべきことに、pH3.0の12w/w%タンパク質BLG飲料は、Na、K、Ca及びMgの和が50.6mMとミネラル濃度が高いにもかかわらず(試料J)、2.8NTUの濁度を有し、これは検出レベル以下の量の低濃度のミネラル(Na、K、Ca及びMg)を含むpH3.0の6%WPI飲料で測定された8.63NTUの濁度よりも低い。例8の表6を参照されたい。異なるミネラルの検出レベルは、Na:0.005g/100g=2,2mM、K:0.005g/100g=1.3mM、Ca:0.005/100g=1.2mM及びMg:0.0005/100g=0.2mMで、合計すると4.9mMとなる。
【0769】
これらの驚くべき結果は、ミネラルなどの、タンパク質の安定性に対する効果を有する添加物を含有する清澄な飲料の製造に多くの新しい可能性をもたらす。75℃という低い熱処理温度を使用することにより、タンパク質構造は天然のままであり、ミネラルはタンパク質がアンフォールディングされている場合にのみタンパク質凝集を増加/誘導するため、ミネラル耐性の増加が達成される。
【0770】
例11a:乳性ホエイタンパク質飲料、高温熱処理
BLG及び任意に炭水化物源を含む不透明な乳性飲料を製造する例示的な方法。BLG粉末を水道水に溶解し、例3によるpHに調整し、93℃で4分間熱的に処理する。BLG飲料は、タンパク質の約92%w/wをBLGとして及びタンパク質の約0.42%w/wをALAとして含んでおり、これらの飲料を、pH3.9を有する酸性BLG単離物粉末に基づいて製造する(例2)。
【0771】
pH4.3を有する6%BLG飲料を調製した。8%スクロースを炭水化物源として添加した。濁度、粘度、色及び透明度を、例1.7、1.8、1.9に記載される手順に従って測定し、同様に飲料安定性を例1.10のように測定した。
【0772】
結果を以下の表17及び表18ならびに図21に提示する。
【0773】
【表17】
【0774】
【表18】
【0775】
6%タンパク質を含み、pH4.3を有するWPI試料を調製した。WPI試料を94℃で5分間熱的に処理した。0%スクロース又は8%スクロースをWPI-A試料に添加し、0%スクロース又は6%スクロースをWPI-B試料に添加した。
【表18-2】
【0776】
結果:
図21は、93℃で4分間熱処理された、スクロースを添加した場合と添加しない場合のpH4.3の乳性BLG飲料の安定性を示している。A:0%スクロース(遠心分離前)、B:8%スクロース(遠心分離前)、C:0%スクロース(遠心分離後)、D:8%スクロース(遠心分離後)
【0777】
表17及び表18ならびに図21に提示される結果は、pH4.3などのハイエンドpHが乳性飲料の製造を可能にすること実証しており、これは、例えば、消費者が乳白色外観を有するホエイタンパク質飲料を好む場合、本発明のいくつかの実施形態において好ましい。また、pH4.3でも、スクロースを含む調製物と含まない調製物の両方で粘度が低いことが分かった。
【0778】
色もニュートラルのままであった。これは、乳性飲料が黄色がかった色を有さないことを好む消費者によって特に好まれる。b値が高く、正の場合、黄色がかった色が見られる。
【0779】
3000×gで5分間の遠心分離後も、タンパク質の減少が15%未満で、濁度が高いことによって証明されるように、飲料が安定であることが分かった。
【0780】
ゲル化し、高粘度を有するため、pH4.3のWPI-A又はWPI-Bに基づく乳性6w/w%タンパク質WPI飲料を製造することができず、これはスクロースを添加した場合と添加していない場合の両方のWPI試料に当てはまった。
【0781】
例11b:乳性ホエイタンパク質飲料、高温熱処理
炭水化物を含まない乳性高温処理飲料:
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。
【0782】
pH4.2及び4.4を有する6重量%タンパク質を含むBLG飲料を、0.75M NaOHを使用して例3に記載されるように調製した。
飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して95℃に5分間熱処理した。
【0783】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)、固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)、色(例1.9)及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0784】
結果を以下の表19に提示する。
【0785】
【表19】
【0786】
デルタbの計算には、以下の式を使用する:
デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水
デルタaの計算には、以下の式を使用する:
デルタa=室温で測定された、a6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -a脱塩水
デルタLの計算には、以下の式を使用する:
デルタL=室温で測定された、L6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -L脱塩水
脱塩水の色値は以下である:
=39.97、a=0及びb=-0.22。
【0787】
結果:
表19に提示される結果は、pH4.4などのハイエンドpHが乳性飲料の製造を可能にすること実証しており、これは、例えば、消費者が乳白色外観を有するホエイタンパク質飲料を好む場合、本発明のいくつかの実施形態において好ましい。
【0788】
驚くべきことに、低粘度(2cP未満)の安定な(5%未満の不溶性タンパク質物質)乳性BLG飲料(少なくとも11000NTUの濁度)を、飲料を95℃で5分間熱処理すると、pH値4.4でも首尾よく調製することができることが分かった。
【0789】
pH4.2で0.99及びpH4.4で1.01の固有トリプトファン発光比(I330/I350)によって証明されるように、飲料を95℃で5分間熱処理すると、pH4.2と4.4の両方で少なくとも部分的な変性/凝集が起こる。
【0790】
これと比較して、ゲル化し、高粘度を有するため、pH4.3のWPI-A又はWPI-Bに基づく乳性6w/w%タンパク質WPI飲料を製造することができなかったことが例11aに記載されている。
【0791】
炭水化物源を含む乳性高温処理飲料:
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。
【0792】
2重量%及び6重量%タンパク質を含むBLG飲料を、炭水化物源としてスクロースを使用して5又は18w/w%スクロースの最終スクロース濃度まで甘くし、pHを4.2に調整し、例3に記載されるように調製した。
【0793】
BLG飲料を、例4に概説されるように、プレート熱交換器を使用して95℃で5分間の熱処理に供した。
【0794】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)、固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)、色(例1.9)及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0795】
結果を以下の表20に提示する。タンパク質及び炭水化物のエネルギーパーセンテージ(%E)を計算する。
【0796】
【表20】
【0797】
結果:
表20に提示される結果は、pH4.2などのハイエンドpH、及び95℃で5分間の熱処理により、炭水化物が総飲料エネルギー含有量の45.5%、75%及び90%を構成する、タンパク質と炭水化物の両方を含む乳性飲料の製造が可能になることを実証している。3つの飲料全てが、1276NTUより大きい高い濁度、及び10.3cP以下の低い粘度を有していた。これらの飲料全てが安定であり、不溶性タンパク質物質は1.6%未満であった。タンパク質と炭水化物の両方を含む3つの飲料全てで、少なくとも部分的なアンフォールディング/凝集が起こった。これは、1.03以下の固有トリプトファン発光比(I330/I350)によって証明される。
【0798】
全ての飲料が、乳白色で不透明な外観を有していた。
【0799】
例12a:乳性ホエイタンパク質飲料、長時間の低温熱処理
異なるpHでBLGを含む乳性飲料を製造する例示的な方法BLG粉末を水道水に溶解し、例3に従って10%リン酸を使用してpH4.2~4.5に調整する。調製物を75℃で5分間熱的に処理し、これらは6%w/wのタンパク質含有量を有していた。BLG飲料は、タンパク質の約92%w/wをBLGとして、及びタンパク質の0.42%w/wをALAとして含んでおり、pH3.9を有するBLG粉末に基づいて製造されている。
【0800】
濁度、粘度、色及び視覚的透明度を、例1.7、1.8、1.9及び1.12に記載される手順に従って測定した。
【0801】
結果を以下の表21及び図22に提示する。
【0802】
図22は、pH4.2~4.5で、75℃で5分間加熱することによって調製された不透明な6%タンパク質BLG飲料の画像を示している。
【0803】
【表21】
【0804】
結果:
pH4.2~4.5の飲料は、依然として低い粘度を有しながら、乳白色で不透明な外観及び高い濁度を有することが分かった。
【0805】
例12b:乳性ホエイタンパク質飲料、長時間の低温熱処理
本例では、6重量%のタンパク質を含み、pH4.2、4.4及び4.6を有するBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。飲料の調製に使用したBLG粉末は、タンパク質の98.2w/w%をBLGとして含んでいた。例6bの表3を参照されたい。
【0806】
0.75M NaOHを使用して最終的なpHを4.2、4.4、及び4.6に調整した。飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して75℃に5分間熱処理した。
【0807】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)、不溶性粒子の量(例1.10)及び色(例1.9)を分析した。
【0808】
結果を表21に提示する。
【0809】
【表21】
【0810】
結果:
驚くべきことに、低粘度の安定な(不溶性粒子7%未満)乳性飲料は、pH4.2、pH4.4及びpH4.6でも75℃で最大少なくとも5分間の熱処理によって製造することができ、例6aのpH3.7のWPI-A及びWPI-B飲料よりもさらに低い粘度を示すことが分かった。
【0811】
例12c:乳性ホエイタンパク質飲料、長時間の低温熱処理、炭水化物を含む
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。
【0812】
6重量%及び10重量%タンパク質を含むBLG飲料を、5又は18w/w%スクロースの最終濃度で炭水化物源としてスクロースを使用して甘くした。0.75M NaOHを使用して、pHを4.2に調整し、飲料を例3に記載されるように調製した。
【0813】
BLG飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して75℃で5分間の熱処理に供した。
【0814】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0815】
結果を以下の表22に提示する。タンパク質及び炭水化物のエネルギーパーセンテージ(%E)を計算する。
【0816】
【表22】
【0817】
結果:
表22に提示される結果は、pH4.2などのハイエンドpHにより、75℃で5分間熱処理されたタンパク質と炭水化物の両方を含む乳性飲料の製造が可能になることを実証している。
【0818】
驚くべきことに、乳性飲料は、不溶性粒子が0.7%未満で安定であることが分かった。乳性飲料はpH4.2で低粘度を有し、炭水化物が総エネルギー含有量の33.3%、45.5%及び75%を構成していた。
【0819】
例13:85%より大きいbLGを含有する無色のホエイタンパク質飲料
タンパク質の約92%w/wがBLGであり、タンパク質の約0.42%w/wがALAである飲料調製物を調製した(BLG単離物粉末のpHは3.9であった)。例3を参照されたい。
【0820】
比較のために、約80%w/w BLG及び約4%w/w ALAを含むSPI(血清タンパク質単離物)を含むホエイタンパク質試料を調製した(SPI粉末のpHは6.7であった)。
【0821】
試料は6%w/wのタンパク質含有量を有していた。飲料のpHをpH3.7に調整した。
【0822】
調製物の濁度、粘度、色及び透明度を、例1.7、1.8、1.9に記載される手順に従って測定し、同様に飲料安定性を例1.10のように測定した。
【0823】
結果を以下の表23ならびに図23及び図24に提示する。
【0824】
【表23】
【0825】
結果:
SPI(約80%BLG、約4%ALA)の粘度は、pH3.7のBLG調製物と比較して、熱処理によりさらに増加することが分かった。
【0826】
さらに、SPI飲料は、BLG試料よりもb値が高く、したがって黄色がかった色を有していた。
【0827】
例14a:85%以上のBLG、炭水化物源及び脂肪源を含む栄養ホエイタンパク質飲料
例14aは、タンパク質の少なくとも85%w/wがBLGである、熱滅菌飲料調製物を調製する例示的な方法を記載している。
【0828】
本発明者らは、驚くべきことに、100mMの添加KCl及び100mMの添加CaClを含む6%栄養組成物が、75℃で5分間加熱した後でも液体のままであった(粘度約1cP)ので、BLG飲料(85%以上)が、最大少なくとも5分の保持時間での75℃での低温殺菌による熱処理中に存在する驚くほど高いミネラル濃度を許容する(例10a)ことを見出した。
【0829】
ホエイタンパク質の熱安定性は通常、高いミネラル投与量で損なわれるため、本発明者らは、栄養的に完全な酸性BLG飲料を製造して、現在のFSMP(特別医療目的用食品)要件を満たす組み合わせの85%以上のBLG、炭水化物源、脂肪源及びミネラルを含む滅菌栄養飲料を製造する機会をさらに調査した。
【0830】
タンパク質を溶解し、表24に記載されるエネルギー分布に基づく比の例で脂質及び炭水化物と混合する。
【0831】
食品グレードの酸及びミネラルを、特別医療目的用食品(FSMP)に設定された要件に対応するように選択した。
【0832】
FSMP要件を満たし、栄養的に完全な栄養補助食品を製造するために、飲料にビタミンをさらに供給してもよい。
【0833】
【表24】
【0834】
13.5w/w%スクロース及び4.7w/w%菜種油も含む6w/w%BLG栄養飲料を70℃で混合した。医療栄養の推奨事項に対応するために選択されたタンパク質、脂肪及び炭水化物の組成。
【0835】
一定の態様では、(1)40mM KCl及び14mM CaCl2、又は(2)80mM KCl及び28mM CaCl2を、追加の成分と共に、又は(3)表24に示されるさらなるミネラル添加なしで添加した。
【0836】
溶液を200barでホモジナイズした。
【0837】
溶液を75℃又は95℃の水浴に5分間浸漬することによって熱的に処理し、氷上で冷却した。
【0838】
【表25】
【0839】
結果:
75℃及び95℃で加熱することによって、脂肪源及び炭水化物源と組み合わせてBLGを使用して、不透明な飲料を製造することができることが分かった。
【0840】
75℃では、これは天然の状態のままであるが(脂肪を含んでいるにもかかわらず、Trp蛍光比1.18を有していた)、95℃では変性(Trp蛍光)を引き起こす。粘度は低いままである。天然のコンフォメーションを維持することが可能であったので、医療栄養にとって重要なミネラルの投与が可能になる(FSMP要件)。さらに、栄養組成物が選択されたミネラルの存在下で液体のままである能力は、医療栄養での使用の実現可能性を明確に示唆している。
【0841】
例14b:炭水化物源及び脂肪源ならびに添加ミネラルを含有する栄養ホエイタンパク質飲料
例14bは、FSMP要件に準拠する、BLG、炭水化物源、脂肪源、及び添加ミネラルを含む乳性飲料を製造する方法を記載している。
【0842】
ホエイタンパク質の熱安定性は高ミネラル投与量でしばしば損なわれるため、この例では、6~16.7%w/wのBLG源(純度98.2%)を含み、2.7~7.3%w/wの脂肪源(菜種油)及び7.5~18%w/wのスクロースをさらに含有する(以下の表26に記載)栄養飲料を滅菌することによって、現在のFSMP(特別医療目的用食品)要件を満たす栄養的に完全な酸性BLG飲料を調製する機会を調査した。
【0843】
最終的な飲料のpH3.5ならびにNa、K、Ca及びMgのレベルに到達するための食品グレードの酸及び塩を使用したpH及びミネラル組成も表26に示す。BLG飲料がFSMP要件を満たし、栄養的に完全な栄養補助食品を製造することを保証するために、飲料にビタミンをさらに供給してもよい。
【0844】
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。BLG粉末中のミネラルであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びリンの含有量は全て検出限界を下回っている。
【0845】
【表26】
【0846】
表26に示される最終的な熱滅菌栄養組成物中のNa、K、Mg及びCaの測定含有量(ICP-MS 例1.19)は、FSMP要件に準拠しており、合計で131~167mMになる。これらの結果は、医療栄養におけるbLGの使用の実現可能性を明確に示唆している。
【0847】
栄養飲料組成物を、例3に記載されるように調製し、例4に従って水浴に浸漬されたバイアル中75℃で5分間加熱することによって熱処理した。
【0848】
異なる試料の粘度(例1.8)、濁度(例1.7)、色(例1.9)、固有トリプトファン蛍光発光比R=I330/I350として決定されるタンパク質のネイティブ性(例1.1)、及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0849】
結果を以下の表27に提示する。
【0850】
【表27】
【0851】
結果:
驚くべきことに、75℃で5分間加熱することによって、脂肪源と炭水化物源の両方と組み合わせて、タンパク質の98.2%超をBLGとして含むBLG源を使用して乳性飲料を製造することができることが分かった。これは、130~167mMのこれらのミネラルの総濃度を有する大量の添加Na、K、Ca及びMgの存在下でさえも可能である。
【0852】
75℃では、BLGは天然のままであり(Trp蛍光比1.17以上)、不溶性タンパク質物質のレベルが著しく低く(3000×gの遠心分離後の不溶性タンパク質物質1%未満)、低粘度の安定な乳性(濁度5000NTU超)飲料が、大量の添加ミネラルの存在下にもかかわらず調製された。総乾物含量が増加すると(16.7%bLG、3.34%脂肪、10%スクロース)、粘度は14.2cPにわずかに増加する。飲料は本質的に無色であった。
【0853】
例15:低リンタンパク質飲料
例3からの精製BLG産物(供給原料3 PCTEP 2017/084553から得られた結晶調製物)を使用して、4つの低リン飲料試料を調製する。全ての乾燥成分を脱塩水と混合して、各試料10kgを得て、10
℃で1時間水和させる。
【表27-2】
【0854】
試料を90℃に180秒間供し、無菌容器に無菌的に充填する。
【0855】
包装された飲料は、周囲温度で少なくとも1年の貯蔵寿命を有する。
【0856】
5つの飲料を調製するために使用される全ての成分が、リンが少ないため、得られた飲料は、80mg/100gタンパク質よりはるかに低いリン含有量を有する。したがって、4つの飲料は、腎臓疾患患者のためのタンパク質飲料としての使用に適している。
炭水化物及び脂肪を含む低リンBLG飲料:
【0857】
本発明者らはまた、表28に示されるように同様に低レベルのリンを含有するスクロースよび脂肪源と組み合わせて少なくとも85%w/wのBLG(これは特にリンが少ない、表3)を含むBLGタンパク質粉末を使用すると、最終的な飲料中に1mgリン/gタンパク質未満の著しく低いリン含有量を有する飲料を製造することができることを実証した。これは、6%w/w~20%w/wのbLGの広いタンパク質濃度範囲にわたって実証されている。
【0858】
【表28】
【0859】
使用される原材料の全てのリン含有量が低いため、80mg/100gタンパク質よりかなり少ない量を含む最終飲料(表28参照)により、これらのbLG飲料は、腎臓疾患患者へのタンパク質、脂肪及び炭水化物栄養素の送達に特に適したものとする。
【0860】
例16a:乳性ホエイタンパク質飲料、ミネラル添加及び低温熱処理
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。使用した粉末中のミネラルであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びリンの含有量は全て検出限界を下回っている。
【0861】
pH4.2、4.4及び4.6を有する6重量%タンパク質を含むBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。BLG飲料は、ミネラルNa、K、Ca及びMgを含んでおり、ミネラル濃度は以下の表298に記載される。
【0862】
【表29】
【0863】
飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して75℃に5分間熱処理した。
【0864】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)、不溶性タンパク質物質(例1.10)及び色(例1.9)を分析した。
【0865】
結果を以下の表30に提示する。
【0866】
【表30】
【0867】
結果:
低粘度(0.7~1.5cP)及び負の低黄色度(b)を有する安定な(0~4%不溶性タンパク質物質)、天然の(Trp蛍光比1.16~1.17)BLG飲料を、合計が29.1~35.3mMのNa、K、Ca及びMgの高いミネラル含有量でも、pH4.2~4.6のpH値で、75℃で5分間の熱処理によって製造することができることが分かった(表29)。
【0868】
例16b:乳性ホエイタンパク質飲料、ミネラル及び炭水化物添加、低温熱処理
この例で使用したBLG粉末は、pH3.79を有し、タンパク質の約98.2%w/wをBLGとして含む(例6bの表3参照)。粉末中のミネラルであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びリンの含有量は全て検出限界を下回っている。
【0869】
pH4.2を有する6重量%及び10重量%タンパク質を含むBLG飲料を、例3に記載されるように調製した。BLG飲料は、ミネラルNa、K、Ca及びMgを含んでおり、ミネラル濃度は以下の表31に記載される。飲料は、5重量%又は18重量%のスクロースも含んでいた。
【0870】
【表31】
【0871】
飲料を、例4に概説されるように、水浴を使用して75℃に5分間熱処理した。
【0872】
異なる試料の濁度(例1.7)、粘度(例1.8)及び不溶性タンパク質物質(例1.10)を分析した。
【0873】
結果を以下の表32に提示する。
【0874】
【表32】
【0875】
結果:
驚くべきことに、スクロースとミネラル(Na、K、Ca及びMg成分を合計すると29.1~35.3mM)の両方を含む乳性飲料が製造されることが分かった。これらの飲料は、低い粘度(3.6cP未満)及び高い安定性(1.4%未満の不溶性粒子)を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2024-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、3.0~4.3の範囲のpHを有し、無菌の包装された熱処理済み飲料調製物:
-前記飲料の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質、その少なくとも85%w/wはβラクトグロブリン(BLG)である、ならびに
-任意に甘味料、糖ポリマー及び/又は香料、
ただし前記飲料調製物は最大で200NTUの濁度及び、100/秒のせん断速度で、摂氏22度で測定した粘度として最大で200cP(センチポアズ)を有する
【請求項2】
飲料調製物のタンパク質画分が少なくとも1.11の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、請求項1に記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項3】
飲料調製物のタンパク質画分が1.11未満の固有トリプトファン蛍光発光比(I330nm/I350nm)を有する、請求項1又は2に記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項4】
タンパク質画分が最大で10%のタンパク質変性度を有する、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項5】
最大で10%のタンパク質変性度を有する、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項6】
3.0~3.9の範囲のpHを有する、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項7】
飲料調製物のタンパク質画分が、CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物、デルタb=室温で測定された、b6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【請求項8】
CIELABカラースケールで-0.10~+0.51の範囲の色値デルタbを有する、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物、デルタb=室温で測定されたb6.0w/w%タンパク質に標準化された試料 -b脱塩水 である。
【請求項9】
Na、K、Mg及びCaの量の和が最大で750mMである、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み調製物。
【請求項10】
最大で40NTUの濁度を有する、請求項1からのいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項11】
タンパク質画分が3000gで5分間の遠心分離後、最大で15%の不溶性物質を含有する、請求項1から10のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項12】
100/秒のせん断速度で、摂氏22度で測定して、最大で40cPセンチポアズの粘度を有する、請求項1から11のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項13】
凝集抑制剤を含まない、請求項1から12のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項14】
飲料の重量に対して4.0~35%w/w、好ましくは飲料の重量に対して4.0~30%w/wの総量のタンパク質を含より好ましくは飲料の重量に対して10~20%w/wの総量のタンパク質を含む、請求項1から13のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項15】
炭水化物を調製物の総エネルギー含有量の0~95%の範囲でさらに含む、請求項1から14のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項16】
脂質含有量として調製物の総エネルギー含有量の0~60%でさらに有する、請求項1から15のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項17】
各主要な非BLGホエイタンパク質が以下のように存在する請求項1から16のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物:
総タンパク質に対する重量パーセントとして、スイートホエイからの標準的なホエイタンパク質濃縮物中の総タンパク質に対して、最大で15%で、好ましくは最大で10%、さらにより好ましくは最大で6%で、最も好ましくは最大で4%で、存在する。
【請求項18】
BLG単離物を含む、請求項1から17のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項19】
タンパク質の少なくとも90%w/wがベータ-ラクトグロブリン(BLG)であり、
好ましくは、タンパク質の少なくとも92%w/wがベータ-ラクトグロブリン(BLG)であり、
最も好ましくはタンパク質の少なくとも94%w/wがベータ-ラクトグロブリン(BLG)であり、
より好ましくはタンパク質の少なくとも96%w/wがベータ-ラクトグロブリン(BLG)である。
さらにより好ましくはタンパク質の少なくとも98%w/wがベータ-ラクトグロブリン(BLG)である、
請求項1から18のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項20】
総タンパク質量として、
2.0~10%w/wを飲料の重量に対して含み、
好ましくは5.0~9.0%w/wを飲料の重量に対して含む、
請求項1から19のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項21】
総タンパク質量として、
10.0~45.0%w/wを飲料の重量に対して含み、
好ましくは12~30%w/wを飲料の重量に対して含む、
請求項1から19のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項22】
以下を含む、3.0~4.3の範囲のpH、最大で200NTUの濁度、及び100/秒のせん断速度で、摂氏22度で測定した粘度として最大で200cP(センチポアズ)を有する、無菌の包装された熱処理済み飲料調製物を製造する方法
a)
-2~45重量%の総量の、その少なくとも85%がBLGであるタンパク質と、
-任意に、甘味料、糖ポリマー及び/又は香料と
を含む液体溶液を提供すること、
b)前記液体溶液を包装すること、
工程a)の前記液体溶液及び/又は工程b)の包装された前記液体溶液は少なくとも滅菌を含む熱処理に供される。
【請求項23】
溶液の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質を含み、その少なくとも85w/w%がBLGであるタンパク質溶液の、3.0~4.3の範囲のpHを有する熱処理済み酸性飲料調製物の濁度を制御するための使用。
【請求項24】
溶液の重量に対して2~45%w/wの総量のタンパク質を含み、その少なくとも85w/w%がBLGであるタンパク質溶液の、3.0~4.3の範囲のpHを有する熱処理済み酸性飲料調製物の渋味を制御するための使用。
【請求項25】
タンパク質吸収不良に関連する疾患を治療する方法において使用するための、請求項1から21のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物。
【請求項26】
栄養補助食品としての請求項1から21のいずれかに記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物の使用。
【請求項27】
運動前、運動中又は運動後に摂取される、請求項26に記載の無菌の包装された熱処理済み飲料調製物の使用。