(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170499
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】スロット付き構造を有するヒンジを備えるステアラブル機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
A61B17/94
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024151230
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2021559024の分割
【原出願日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】2022848
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2022849
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】517197509
【氏名又は名称】フォーティメディックス・アセッツ・ザ・セカンド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FORTIMEDIX ASSETS II B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】マテウス・ヘンドリック・ルイス・ティッセン
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・アントニウス・エリサベート・フェルベーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】曲げ性に関して最適化されたスロット付き構造を有するヒンジを備えた円筒状要素を提供する。
【解決手段】ヒンジ構造を備えた円筒状要素は、第1の部分524;522(n-1)と、第2の部分522(1);522(n)であって、円筒状要素の接線方向で見て互いに対して180°回転した位置に配置された2つの回転セクション530(1);530(n)を中心として第1の部分に対して回転可能である第2の部分と、取付け要素と、を有する。回転セクションは、ピンを収容する開口部が設けられること、ピンが、取付け要素の一部分に取り付けられること、及び、取付け要素の別の部分に取り付けられること、によって実現され、それによって、第1の部分及び第2の部分は、長手方向、接線方向、及び半径方向に互いに対して移動することができないが、回転中心を中心として互いに対して回転するように構成されている。
【選択図】
図9c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(520c;1100c)を有し、ヒンジ構造を備えた円筒状要素(520;1100)であって、
第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))と、
第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))と、前記第2の部分は、前記中心軸から前記第1の部分と同じ距離をあけて位置しており、前記円筒状要素の接線方向で見て互いに対して180°回転した位置に配置された2つの回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))を中心として前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))に対して回転可能であり、
取付け要素(502(1);1006;502(n))と、
ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))と、
を備え、
前記回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))は、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))又は前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のいずれか一方に、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を収容する開口部が設けられること、
前記ピン(556(1));1156(1);556(n);1156(n))が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の一部分(506(1);506(n))に取り付けられること、及び、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの他方が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けられること、
によって実現され、
それによって、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、長手方向、接線方向、及び半径方向に互いに対して移動することができないが、回転中心を中心として互いに対して回転するように構成されている、円筒状要素。
【請求項2】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記中心軸と実質的に直角に延在する半径方向において互いに重ならないように配置されている、請求項1に記載の円筒状要素。
【請求項3】
前記開口部が設けられた前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方は、前記開口部が設けられた第1の回転セクション部分(548(1))を備え、
前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの前記他方は、前記第1の回転セクション部分を少なくとも部分的に囲む第2の回転セクション部分(550(1))を備え、前記第2の回転セクション部分は、前記取付け要素に少なくとも部分的に取り付けられている、請求項1又は2に記載の円筒状要素。
【請求項4】
前記第1の回転セクション部分及び前記第2の回転セクション部分は、前記中心軸から同じ距離をあけて位置する、請求項3に記載の円筒状要素。
【請求項5】
前記第1の回転セクション部分及び前記第2の回転セクション部分は、相補的形状又は回転可能に嵌合する形状を有するセクションを備える、請求項3又は4に記載の円筒状要素。
【請求項6】
前記第1の回転セクション部分は、前記開口部の外縁部を画定するスロット(542(1))が設けられた延長部(548(1))として形成され、かつ前記ピンを形成するアイランド(556(1))が前記開口部内に形成されるように形成され、前記第2の回転セクション部分は、ノッチ(550(1))によって形成される、請求項3~5のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項7】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって、単一の円筒状要素から作製される、請求項1~6のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項8】
前記取付け要素は、前記中心軸から前記第1の部分及び前記第2の部分とは異なる距離をあけて位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項9】
前記取付け要素は、前記円筒状要素の内側に位置する更なる円筒状要素(500)内の更なるヒンジ構造のヒンジ部分(502(1);502(n))である、請求項1~8のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項10】
前記取付け要素は、前記円筒状要素の内側に位置する更なる円筒状要素内の隣接するステアリングストリップ(1004)間にある接線方向スペーサ(1006)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項11】
前記取付け要素は、前記円筒状要素の内側に位置する更なる円筒状要素内の隣接するステアリングケーブル(1004a)間にある接線方向スペーサ(1006)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項12】
前記開口部は、前記回転中心を形成する中心を有する円形開口部であり、前記ピン(556(1);556(n))は、前記回転中心を中心として回転可能であるように前記開口部内に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項13】
前記開口部は、前記回転中心を形成する中心を有する円の弧に沿って配置されたスロット(1158(1);1158(n))であり、前記ピン(1156(1);1156(n))は、前記円の弧に沿って前記スロット内で移動可能であるように前記スロット内に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項14】
前記ピンは、前記開口部を切断加工する前に前記開口部内に位置する材料を切り抜いて形成された円盤である、請求項1~13のいずれか一項に記載の円筒状要素。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の円筒状要素を備えるステアラブル機器。
【請求項16】
前記ステアラブル機器は、前記ステアリングストリップ(1004)又は前記ステアリングケーブル(1004a)によってステアラブルな遠位端部分を備え、前記ステアリングストリップ(1004)は、前記更なる円筒状要素(1000)を切り抜いて形成された長手方向要素である、請求項10又は11のいずれか一項に従属する請求項15に記載のステアラブル機器。
【請求項17】
前記接線方向スペーサ(1006)は、前記更なる円筒状要素(1000)を切り抜いて形成された一部分である、請求項16に記載のステアラブル機器。
【請求項18】
中心軸を有し、ヒンジ構造を備えた円筒状要素を製造する方法であって、前記円筒状要素は、
第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))と、
第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))と、前記第2の部分は、前記中心軸から前記第1の部分と同じ距離をあけて位置しており、前記円筒状要素の接線方向で見て互いに対して180°回転した位置に配置された2つの回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))を中心として前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))に対して回転可能であり、
取付け要素(502(1);1006;502(n))と、
ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))と、
を備え、
前記回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))は、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))又は前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のいずれか一方に、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を収容する開口部が設けられること、
前記ピン(556(1));1156(1);556(n);1156(n))が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の一部分(506(1);506(n))に取り付けられること、及び、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの他方が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けられること、
によって実現され、
それによって、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、長手方向、接線方向、及び半径方向に互いに対して移動することができないが、回転中心を中心として互いに対して回転するように構成されており、
前記方法は、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))を形成するように、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって前記円筒状要素から所定のパターンを切り取ることによって、単一の円筒状要素(520;1100)から前記第1の部分及び前記第2の部分を形成することを含む、方法。
【請求項19】
更なる円筒状要素(500;1000;1000a)を前記単一の円筒状要素(520;1100)の内側に挿入することと、前記更なる円筒状要素(500;1000;1000a)は、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))を備え、
次いで前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の前記一部分に取り付けることと、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの前記他方を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けることと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記更なる円筒状要素(500;1000)を前記単一の円筒状要素(520;1100)の内側に挿入する間に、前記ピン(556(1);1156(1);556(n))を前記単一の円筒状要素(520;1100)の周囲材料にまだ取り付けている1つ又は複数の破断要素を破損させることと、前記破損は、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の一部分に取り付けた後に行われ、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの前記他方を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けることと、
を含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
請求項15~17のいずれか一項に記載のステアラブル機器を製作する動作を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、外科手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲性用途のためのステアラブル機器(steerable instrument)に関する。本発明によるステアラブル機器は、医学的用途及び非医学的用途の両方で使用することができる。後者の例には、到達するのが困難な場所にある機械ハードウェア及び/又は電子ハードウェアの検査及び/又は修理が含まれる。したがって、内視鏡用途又は侵襲機器など、以下の説明で使用される用語については広範に解釈する必要がある。
【背景技術】
【0002】
[0002] 標的エリアを露出させるのに大きい切開を必要とする外科的介入から、最小侵襲の外科的介入、すなわち標的エリアへのアクセスを確立するのに自然孔又は小さい切開しか必要としない外科的介入への転換は、周知かつ進行中のプロセスである。最小侵襲の外科的介入を実行する際、医師などの操作者には、ヒト又は動物の体内にその身体のアクセスポートを介して侵襲機器を差し込みガイドするように構成されているアクセス装置が必要である。ヒト又は動物の患者への瘢痕組織形成及び痛みを低減するために、アクセスポートは、好ましくは、皮膚及び皮下組織の単一の小さい切開によって設けられる。この点から、身体の自然孔を使用する可能性は更に高くなる。更に、アクセス装置により、好ましくは、侵襲機器が提供する1つ又は複数の自由度を操作者が制御することが可能となる。このようにして、操作者は、使用される機器が衝突するリスクを低減しながら、人間工学的かつ正確にヒト又は動物の体内の標的エリアで必要な措置を行うことができる。
【0003】
[0003] 外科的侵襲機器及びこれらの機器が標的領域に向かってガイドされる内視鏡が、当該技術分野において周知である。侵襲機器及び内視鏡は両方とも、そのナビゲーション及びステアリング能力を強化するステアラブルな管を備え得る。そのようなステアラブルな管は、好ましくは、少なくとも1つの可撓性ゾーンを含む近位端部、少なくとも1つの可撓性ゾーンを含む遠位端部、及び剛性又は可撓性の中間部を備え、ステアラブルな管は、更に、剛性の中間部に対する近位端部の少なくとも一部の偏向を、遠位端部の少なくとも一部の関連する偏向に変換するようになされたステアリング構成体を備える。
【0004】
[0004] 更に、ステアラブルな管は、好ましくは、外側要素、内側要素、及び1つ又は複数の中間要素を含む、いくつかの同軸に配置された円筒状要素を備え、この1つ又は複数の中間要素は、管の近位端部及び遠位端部における可撓性ゾーンの数、並びにステアリング構成体のステアリング部材の所望の実現形態、すなわち、すべてのステアリング部材を単一の中間要素内に配置し得るか、又はステアリング部材を異なるセットに分割し、ステアリング部材の各セットを異なる中間部材に配置するかに依存する。更に、ステアリング部材は、異なる中間部材に配置されたサブ部分に分割することができる。先行技術の装置のほとんどでは、ステアリング構成体は、ステアリング部材として、例えば直径が1mm以下の従来のステアリングケーブルを備え、このステアリングケーブルは、管の近位端部及び遠位端部における関連する可撓性ゾーン間に配置されている。しかしながら、ステアリングケーブルは、特定の用途では欠点を有する場合がある。したがって、それらを回避し、1つ又は複数の中間要素の一体型部品を形成する長手方向要素の1つ又は複数のセットによってステアリング部材を実現することが好ましい場合がある。中間要素の各々は、射出成形又はめっきなどの好適な材料付加技法を使用することによって、又は円筒状要素から開始して、次いで、レーザ切断加工、光化学エッチング、ディーププレスなどの好適な材料除去技法、ドリル加工或いはフライス加工などの従来のチッピング技法、若しくは高圧ウォータージェット切断加工システムを使用することによって製造することができる。上述の材料除去技法のうち、レーザ切断加工は、妥当な経済的条件下で材料を非常に正確かつきれいに除去することが可能となるので非常に有利である。上述のステアラブルな管及びそのステアリング構成体の設計並びに製造に関する更なる詳細については、例えば、本出願人によるWO2009/112060A1、WO2009/127236A1、US13/160,949、及びUS13/548,935に記載されており、当該出願すべては、その全体が参照により本明細書に援用される。本発明のヒンジは、これらの特許文献に記載のすべての構成体に適用可能である。更に、本発明のヒンジは、「古典的な」ケーブル又はワイヤを有する機器に同等に適用可能である。
【0005】
[0005] ステアラブル侵襲機器は、典型的には、管をステアリングするため及び/又はステアラブルな管の遠位端部に配置された器具を操作するために、ステアラブルな管の近位端部に配置されたハンドルを備える。そのような器具は、例えば、カメラ、例えばはさみ、鉗子などの手動マニピュレータ、又は、例えば電気、超音波、若しくは光エネルギー源などのエネルギー源を使用するマニピュレータとすることができる。機器はカテーテルであってもよい。
【0006】
[0006] 本願では、「近位」及び「遠位」という用語は、操作者、例えば、機器又は内視鏡を操作する医師に対して定義されている。例えば、近位端部は、医師の近くに位置する部分として解釈し、遠位端部は、医師から離れたところに位置する部分として解釈するべきである。
【0007】
[0007] これらのステアラブル機器では、長手方向要素(又はステアリングワイヤ若しくはケーブル)は、近位端及び遠位端の両方において機器の長手方向軸に対して屈曲することを可能にするべき機器の少なくとも部分において可撓性がある必要がある。これらの長手方向要素は、多くの場合、隣接する外側円筒状要素及び隣接する内側円筒状要素間に位置する。機器のこれらの可撓性ゾーンを屈曲させるとき、同様の各ゾーンにおいて、これらの長手方向要素は、外側円筒状要素及び内側円筒状要素の屈曲可能部分とともに屈曲する。
【0008】
[0008] 円筒状要素内の屈曲可能ゾーンは、円筒状要素内のスロット付き構造として製造されたヒンジによって実現することができる。このようなスロットは、円筒状要素にレーザ切断加工又は水切断加工することによって作製し得る。可撓性(すなわち、屈曲能力)、円筒状要素の長手方向における弾性に対する抵抗(縦剛性)、及び円筒状要素の接線方向における弾性に対する抵抗(接線剛性)に関して、そのようなヒンジを最適化することが継続的に望まれている。ヒンジがその弾性範囲から外れることなく、円筒状要素の可能な限り短い長手方向部分に沿った90°を超える屈曲能力を円筒状要素に与えるヒンジが特に必要とされている。ヒンジに関するより具体的な背景は以下の通りである。
【0009】
[0009] WO2009/112060及びWO2009/127236に記載のステアラブル機器では、内層及び外層における可撓性セクションには、これらのセクションの曲げ性をもたらすために何らかの種類のヒンジ及び/又は弾性構造が必要である。好ましくは、これらのセクションの屈曲には、最小の力しか必要なく、最小の摩擦しかないが、可撓性セクションは、頑丈な取り扱い及び操作性能をもたらすために十分な縦強度及びねじり(回転)強度を有するべきである。別の要件として、これらの層に必要な幾何学的形状及び特徴を製造した後、加工済み管が依然として、更なる取り扱い、位置合わせ、及び機器組み立ての工程のために一体かつ真っ直ぐであるべきであるということがある。
【0010】
[0010] ヒンジは、例えば、WO2009/112060、WO2009/127236、及びWO2018/067004に示されるように、弾性変形によって容易に屈曲することができ、かつ加工済み管を一体かつ真っ直ぐに保つ材料の小さい要素によって形成することができる。これらのタイプのヒンジの欠点として、ヒンジ要素の変形を塑性的ではなく弾性的に保つことが望まれるので曲げ性が制限されるということがある。塑性変形によりヒンジの疲労寿命が非常に短くなり、この場合、屈曲可能ゾーンの少ない回数の偏向に対してしか機器の構造的完全性が維持されない可能性がある。別の欠点として、ヒンジの材料を弾性的に屈曲させるには比較的大きい力が必要になるということがあり、強い引っ張りワイヤを使用して引っ張りワイヤの弾性的な伸張による偏向損失を防止する必要がある。
【0011】
[0011] また、ヒンジは、円形に成形されたヒンジ要素が対応する凹部内で自由に回転することができる実際のヒンジを切断加工することによっても形成することができる。加工後に管がばらけることを防止するために、このヒンジの形状は、円形要素が対応する凹部によって180度を超えて取り囲まれているようなものでなければならず、これにより長手方向の完全性がもたらされる。しかし、ヒンジは、(管の長手方向軸と直角の)ヒンジ軸自体に沿って摺動することによって依然として分離する可能性があり、したがって、加工済み管は、依然として別個の部分にばらける可能性がある。また、加工後、これらのヒンジを有する管は、加工後に真っ直ぐのまま留まらず、非常に柔軟であり、容易に屈曲する。これでは、更なる取り扱い、位置合わせ、及び機器組み立てが困難になる。これらのヒンジは、例えば、非先行公開の蘭国特許出願NL2021823の
図5Aに説明されている。加工後の管の柔軟さ及びヒンジ軸に沿った部品の分離を防止するために、NL2021823の
図16B及び
図18に説明されているように、容易に屈曲可能な非常に小さい弾性ブリッジをこれらのヒンジに組み込むことができる。また、WO2016089202に説明されているように、このようなヒンジに着脱可能な取付け具を適用して、加工後に管を一体かつ真っ直ぐに保つこともできる。着脱可能な取付け具と組み合わせた「真の」ヒンジのこの組み合わせは、NL2021823の
図16Aに示されている。この「真の」ヒンジの主な欠点として、NL2021823の
図10に見ることができるように、ヒンジ構造の全体的なサイズを許容可能な限界内に保ちたいときに、ヒンジの幾何学的形状自体によって偏向が強く制限されるということがある。弾性変形可能な要素と組み合わせたときの別の欠点として、曲げ力が増加することがある。
【0012】
[0012] WO2008/139768A1、US2009/0124857A1、WO2004/103430A2、及びUS2006/0199999A1は、複数の円筒状セクションが円筒状要素を形成するように円筒軸に沿って配置されている機器を記載している。ヒンジは、円筒状セクションの端部に設けられた耳部又は同様の構造によって実現され、円筒状セクションは、これらの耳部又は同様の構造が半径方向に重なっているように配置されており、したがって、ヒンジを形成するためにピンを耳部の開口部に挿入することができる。しかしながら、これらの配置は、本明細書で上記した要件、すなわち、加工済み管が、更なる取り扱い、位置合わせ、及び機器組み立ての工程のために依然として一体かつ真っ直ぐであるべきであるという要件を満たさない。更に、これらの配置には、単一の円筒状又は管状要素を組み立てるために、複数の個々の円筒セクションが一緒にされ、位置合わせされることが必要となり、複雑な組立て手順につながる。また、組み立て後、これらのヒンジを有する管は、真っ直ぐのまま留まらず、非常に柔軟であり、容易に屈曲する。これでは、更なる管状要素との同軸の位置合わせを含む、更なる取り扱い及び機器組立てが困難になる。
【発明の概要】
【0013】
[0013] 本発明の目的は、曲げ性に関して最適化されたスロット付き構造を有するヒンジを備えた円筒状要素を提供することである。一実施形態では、そのようなヒンジが設けられた内視鏡及び/又は侵襲性用途のためのステアラブル機器を提供することも目的とする。
【0014】
[0014] このことは、請求項1に記載の円筒状要素によって達成される。
【0015】
[0015] 円筒状要素は、方法の独立請求項に記載の方法によって製造することができる。
【0016】
[0016] 本発明の実施形態は、従属請求項に記載される。
【0017】
[0017] 請求項に記載のヒンジを有する円筒状要素により、曲げ性が向上する。請求項に記載の機器は、強い「真の」ヒンジを有し、このヒンジは、いくつかの部分が互いに対して自由に回転することができるので、高い偏向を可能にし、疲労寿命の制限も高い曲げ力も有さない。
【0018】
[0018] ここで、本発明について、「円筒状」要素を参照して詳細に説明することが分かる。しかしながら、「円筒状」とは、円形断面のみに限定されるものではないことを理解されたい。楕円形、矩形等を含む任意の他の好適な断面を適用してもよい。
【0019】
[0019] 本発明の更なる特徴及び利点が、非限定的かつ非排他的な実施形態による本発明の説明から明らかとなる。これらの実施形態は、保護の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。当業者は、本発明の他の代替形態及び同等の実施形態を、本発明の範囲から逸脱することなく着想及び実施化することができることを理解する。本発明の実施形態について、添付図面の図を参照して説明し、同様又は同じ参照記号は、同様、同じ、又は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】[0020] 2つのステアラブル機器を有する侵襲機器アセンブリの概略斜視図を示す。
【
図2a】[0021] ステアラブル侵襲機器の非限定的な実施形態の側面図を示す。
【
図2b】[0022] ステアラブル機器の細長い管状体の非限定的な実施形態の詳細な斜視図を提供する。
【
図2c】[0023]
図2bに示す細長い管状体の遠位端部のより詳細な図を提供する。
【
図2d】[0024]
図2bに示すステアラブル機器の細長い管状体の長手方向断面図を示す。
【
図2e】[0025] 第1の近位可撓性ゾーン及び第1の遠位可撓性ゾーンが屈曲している、
図2bに示すステアラブル機器の細長い管状体の長手方向断面図を示し、ステアリング構成体の動作を例示する。
【
図2f】[0026] 追加的に第2の近位可撓性ゾーン及び第2の遠位可撓性ゾーンが屈曲している、
図2eに示すステアラブル機器の細長い管状体の長手方向断面図を示し、ステアリング構成体の動作を更に例示する。
【
図2g】[0027] 1つの近位可撓性ゾーン及び1つの遠位可撓性ゾーンを有するステアラブル機器の例示的な実施形態の長手方向断面図を示す。
【
図2h】[0028]
図2gに示すステアラブル機器の3つの円筒状要素の斜視分解図を示す。
【
図2i】[0029]
図2hに示すステアラブル機器の中間円筒状要素の例示的な実施形態の広げた形の上面図を示す。中間円筒状要素は、広げた形を巻いて円筒状構成にし、溶接技法などの任意の既知の取り付け手段によって、巻いた構成の隣接し合う側面を付けることによって形成することができる。
【
図3】[0030]
図2bに示す細長い管状体の一部の斜視図を示し、外側円筒状要素が部分的に取り除かれており、細長い管状体の第1の近位可撓性ゾーンと第1の遠位可撓性ゾーンとを相互接続する中間円筒状要素の壁に長手方向スリットを設けた後に得られた長手方向ステアリング要素の例示的な実施形態を示す。
【
図4】[0031] 本発明の例示的な実施形態の3D図を示す。
【
図5a】[0032] 本発明の一実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図5b】本発明の一実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図5c】本発明の一実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図5d】本発明の一実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図6】[0033] 一実施例によるヒンジ構造の一部分の概略断面図を示す。
【
図7】[0034] 更なる例によるヒンジ構造の一部分の概略断面図を示す。
【
図8a】[0035] 本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図8b】本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図8c】本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図9a】[0036] 本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図9b】本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図9c】本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【
図10a】[0037]
図9aの構造と組み合わせて本発明の別の実施形態を形成するヒンジ構造を示す。
【
図10b】
図9aの構造と組み合わせて本発明の別の実施形態を形成するヒンジ構造を示す。
【
図11】[0038] 本発明の別の実施形態によるヒンジ構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0039]
図2aは、ステアラブル侵襲機器10の非限定的な実施形態を示す。
図1は、2つのそのようなステアラブル侵襲機器10を備えた導入器(introducer)を有する侵襲機器アセンブリ1の非限定的な実施形態を示す。ステアラブル侵襲機器10の詳細については、
図2b~
図2jと関連させて説明する。
【0022】
[0040]
図2aは、ステアラブル侵襲機器10の側面図を示す。ステアラブル機器10は、2つの作動可撓性ゾーン14、15を含む近位端部11と、2つの遠位可撓性ゾーン16、17を含む遠位端部13と、中間部12とを有する細長い管状体18を備える。ここでは、中間部12は剛性があるように示されている。しかしながら、特定の用途では、以下で詳細に説明するように、中間部12は可撓性があってもよい。本実施形態における作動可撓性ゾーン14、15は、可撓性近位ゾーンとして構成されており、更に可撓性近位ゾーンと呼ばれる。これらの可撓性近位ゾーン14、15は、好適な長手方向要素(
図2aに図示せず)によって、遠位可撓性ゾーンに接続されている。代替的に、可撓性近位ゾーンは、先行技術において既知であるように、ステアリングケーブルによって遠位可撓性ゾーンに接続されていてもよい。以下で詳細に説明するように、1つのこのような近位可撓性ゾーン14、15をそれぞれ屈曲させることによって、対応する可撓性遠位ゾーンもまた屈曲する。
【0023】
[0041] 上述のように、中間部12は可撓性があってよい。これは、1つ又は複数の屈曲可能ゾーンによって実現され得る。しかしながら、これらの屈曲可能ゾーンは、単に可撓性があるだけであり、それらの屈曲が別の屈曲可能ゾーンによって制御されるものではない。所望であれば、3つ以上のステアラブル可撓性遠位ゾーンを設けることができる。遠位端部13には、鉗子2などの器具が配置される。近位端部11にはハンドル3が配置されており、このハンドル3は、例えば、機器内に配置された好適な作動ケーブル(図示せず)を介して、例えば、鉗子2のジョーを開閉するようになされている。そのようにするためのケーブル配置は、当該技術分野において周知である。当業者に既知であるように、他の器具が遠位端に設けられてもよい。
【0024】
[0042]
図2bは、ステアラブル機器10の細長い管状体18の遠位部分の詳細な斜視図を提供しており、細長い管状体18が、遠位端部分13において第1の遠位可撓性ゾーン16のあと末端となる外側円筒状要素104を含む、いくつかの同軸に配置された層又は円筒状要素を備えることを示す。外側円筒状要素104の遠位端部分13は、例えば、溶接スポット100におけるスポット溶接によって、外側円筒状要素104の内側に隣接して位置する円筒状要素103に固定して取り付けられている。しかしながら、任意の機械的スナップフィット接続又は好適な接着剤による接着を含む、任意の他の好適な取り付け方法を使用することができる。
【0025】
[0043]
図2cは、遠位端部13のより詳細な図を提供しており、この実施形態では、遠位端部13が、3つの同軸に配置された層又は円筒状要素、すなわち、内側円筒状要素101、第1の中間円筒状要素102、及び第2の中間円筒状要素103を含むことを示す。内側円筒状要素101、第1の中間円筒状要素102、及び第2の中間円筒状要素103の遠位端は、3つすべてが互いに固定して取り付けられている。これは、溶接スポット100におけるスポット溶接によって行うことができる。しかしながら、任意の機械的スナップフィット接続又は好適な接着剤による接着を含む、任意の他の好適な取り付け方法を使用することができる。取り付け点は、図示されるように、内側円筒状要素101、第1の中間円筒状要素102、及び第2の中間円筒状要素103の端縁部にあり得る。しかしながら、これらの取り付け点は、これらの縁部からある程度離れて、好ましくは端縁部と可撓性ゾーン17の位置との間に位置してもよい。
【0026】
[0044] 当業者には、
図2bに示す細長い管状体18が合計4つの円筒状要素を備えることが明らかであろう。
図2bに示す実施形態による細長い管状体18は、ステアリング構成体のステアリング部材が中に配置されている2つの中間円筒状要素102及び103を備える。
【0027】
[0045]
図2bに示す細長い管状体18の例示的な実施形態におけるステアリング構成体は、細長い管状体18の近位端部11における2つの可撓性ゾーン14、15と、細長い管状体18の遠位端部13における2つの可撓性ゾーン16、17と、近位端部11及び遠位端部13における関連する可撓性ゾーン間に配置されるステアリング部材とを備える。ステアリング部材の例示的な実際の配置を
図2dに示し、
図2bに示す細長い管状体18の例示的な実施形態の概略的な長手方向断面図を提供する。
【0028】
[0046]
図2dは、上述した4つの層又は円筒状要素、すなわち内側円筒状要素101、第1の中間円筒状要素102、第2の中間円筒状要素103、及び外側円筒状要素104の断面を示す。
【0029】
[0047] 内側円筒状要素101は、機器の遠位端から近位端までの全長に沿って見たとき、ステアラブル機器10の遠位端部13に配置された剛性リング111、第1の可撓性部分112、第1の中間剛性部分113、第2の可撓性部分114、第2の中間剛性部分115、第3の可撓性部分116、第3の中間剛性部分117、第4の可撓性部分118、及びステアラブル機器10の近位端部分11に配置された剛性端部部分119を備える。
【0030】
[0048] 第1の中間円筒状要素102は、機器の遠位端から近位端までの全長に沿って見たとき、剛性リング121、第1の可撓性部分122、第1の中間剛性部分123、第2の可撓性部分124、第2の中間剛性部分125、第3の可撓性部分126、第3の中間剛性部分127、第4の可撓性部分128、及び剛性端部部分129を備える。部分122、123、124、125、126、127、及び128は共に、ワイヤのような長手方向に移動させることができる長手方向要素120を形成する。第1の中間要素102の剛性リング121、第1の可撓性部分122、第1の中間剛性部分123、第2の可撓性部分124、第2の中間剛性部分125、第3の可撓性部分126、第3の中間剛性部分127、第4の可撓性部分128、及び剛性端部部分129の長手方向寸法は、それぞれ、内側円筒状要素101の剛性リング111、第1の可撓性部分112、第1の中間剛性部分113、第2の可撓性部分114、第2の中間剛性部分115、第3の可撓性部分116、第3の中間剛性部分117、第4の可撓性部分118、及び剛性端部部分119の長手方向寸法とそれぞれ位置合わせされており、好ましくはそれらとほぼ等しく、またこれらの部分と一致もしている。本説明において、「ほぼ等しい」とは、それぞれの同じ寸法が10%未満、好ましくは5%未満の限度内で等しいことを意味する。
【0031】
[0049] 同様に、第1の中間円筒状要素102は、1つ又は複数の他の長手方向要素を備え、そのうちの1つが参照番号120aで示されている。
【0032】
[0050] 第2の中間円筒状要素103は、機器の遠位端から近位端までの全長に沿って見たとき、第1の剛性リング131、第1の可撓性部分132、第2の剛性リング133、第2の可撓性部分134、第1の中間剛性部分135、第1の中間可撓性部分136、第2の中間剛性部分137、第2の中間可撓性部分138、及び剛性端部部分139を備える。部分133、134、135、及び136は共に、ワイヤのような長手方向に移動させることができる長手方向要素130を形成する。第2の中間円筒103の第1の剛性リング131、第1の可撓性部分132と共に第2の剛性リング133及び第2の可撓性部分134、第1の中間剛性部分135、第1の中間可撓性部分136、第2の中間剛性部分137、第2の中間可撓性部分138、及び剛性端部部分139の長手方向寸法は、それぞれ、第1の中間要素102の剛性リング111、第1の可撓性部分112、第1の中間剛性部分113、第2の可撓性部分114、第2の中間剛性部分115、第3の可撓性部分116、第3の中間剛性部分117、第4の可撓性部分118、及び剛性端部部分119の長手方向寸法とそれぞれ位置合わせされており、好ましくはそれらとほぼ等しく、またこれらの部分と一致もしている。
【0033】
[0051] 同様に、第2の中間円筒状要素103は、1つ又は複数の他の長手方向要素を備え、そのうちの1つが参照番号130aで示されている。
【0034】
[0052] 外側円筒状要素104は、機器の遠位端から近位端までの全長に沿って見たとき、第1の剛性リング141、第1の可撓性部分142、第1の中間剛性部分143、第2の可撓性部分144、及び第2の剛性リング145を備える。外側円筒状要素104の第1の可撓性部分142、第1の中間剛性部分143、及び第2の可撓性部分144の長手方向寸法は、それぞれ、第2の中間要素103の第2の可撓性部分134、第1の中間剛性部分135、及び第1の中間可撓性部分136の長手方向寸法とそれぞれ位置合わせされており、好ましくはそれらとほぼ等しく、またこれらの部分と一致もしている。剛性リング141は、剛性リング133とほぼ同じ長さを有し、例えば、スポット溶接又は接着によって剛性リング133に固定して取り付けられている。好ましくは、剛性リング145は、例えば、スポット溶接又は接着によって、それぞれ剛性リング145と第2の中間剛性部分137との間で適切な固定取付けを行うのに必要な長さのみにわたって第2の中間剛性部分137と重なっている。剛性リング111、121、及び131は、例えば、スポット溶接又は接着によって互いに取り付けられている。これは、その端縁部で行ってもよいが、これらの端縁部から距離をあけたところで行ってもよい。
【0035】
[0053] 一実施形態では、同じことを剛性端部部分119、129、及び139に適用してもよく、これらも同等の様式で共に取り付けることができる。しかしながら、構造は、近位部分における円筒状要素の直径が、遠位部分における直径と比べて大きい又は小さいようなものであってもよい。そのような実施形態では、近位部分における構造は、
図2dに示すものとは異なる。直径の増減の結果として、増幅又は減衰が達成され、すなわち、遠位部分における可撓性ゾーンの曲げ角度が、近位部分における対応する可撓性部分の曲げ角度よりも大きく又は小さくなる。
【0036】
[0054] 円筒状要素101、102、103、及び104の内径及び外径は、細長い管状体18に沿う同じ位置において、内側円筒状要素101の外径が第1の中間円筒状要素102の内径よりもわずかに小さく、第1の中間円筒状要素102の外径が第2の中間円筒状要素103の内径よりもわずかに小さく、第2の中間円筒状要素103の外径が外側円筒状要素104の内径よりもわずかに小さくなるように選択され、それによって、隣接する円筒状要素の互いに対する摺動が可能となる。寸法決めは、隣接する要素間で滑り嵌めができるようにするべきである。隣接する要素間の間隙は、概して0.02~0.1mmのオーダであってよいが、特定の用途及び使用される材料に依存する。間隙は、長手方向要素の重なる構成を防止するために、好ましくは長手方向要素の壁厚よりも小さいものである。間隙を長手方向要素の壁厚の約30%~40%に制限すれば概ね十分である。
【0037】
[0055]
図2dに見ることができるように、近位端部11の可撓性ゾーン14は、ステアラブル機器10のステアリング構成体の長手方向ステアリング部材の第1のセットを形成する第2の中間円筒状要素103の部分134、135、及び136によって遠位端部13の可撓性ゾーン16に接続されている。更に、近位端部11の可撓性ゾーン15は、ステアリング構成体の長手方向ステアリング部材の第2のセットを形成する第1の中間円筒状要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128によって遠位端部13の可撓性ゾーン17に接続されている。上述の構造を使用すると、ステアラブル機器10を二重曲げに使用することが可能となる。この構造の動作原理については、
図2e及び
図2fに示す例に関連して説明する。
【0038】
[0056] 便宜上、
図2d、
図2e、及び
図2fに示すように、円筒状要素101、102、103、及び104の種々の部分は、以下のように定義されるゾーン151~160にグループ化されている。ゾーン151は、剛性リング111、121、及び131を備える。ゾーン152は、部分112、122、及び132を備える。ゾーン153は、剛性リング133及び141並びに部分113及び123を備える。ゾーン154は、部分114、124、134、及び142を備える。ゾーン155は、部分115、125、135、及び143を備える。ゾーン156は、部分116、126、136、及び144を備える。ゾーン157は、剛性リング145、及びそれと一致している部分117、127、並びに137の一部を備える。ゾーン158は、ゾーン157の外側の部分117、127、及び137の一部を備える。ゾーン159は、部分118、128、及び138を備える。最後に、ゾーン160は、剛性端部部分119、129、及び139を備える。
【0039】
[0057] ステアラブル機器10の遠位端部13の少なくとも一部を偏向させるために、ゾーン158に、任意の半径方向に曲げ力を加えることが可能である。
図2e及び
図2fに示す例によれば、ゾーン158を、ゾーン155に対して下方に屈曲させる。その結果、ゾーン156は下方に屈曲する。第2の中間剛性部分137と第2の剛性リング133との間に配置された第2の中間円筒状要素103の部分134、135、及び136を備えるステアリング部材の第1のセットにより、ゾーン156の下方屈曲は、ステアリング部材の第1のセットの長手方向変位によって、ゾーン155に対してゾーン154の上方屈曲に変換される。これは
図2e及び
図2fの両方に示されている。
【0040】
[0058]
図2eに示すように、ゾーン156の例示的な下方屈曲が、機器の遠位端におけるゾーン154のみの上方屈曲をもたらすことに留意されたい。ゾーン156が屈曲した結果としてゾーン152が屈曲することは、ゾーン152と154との間に配置されたゾーン153によって防止される。その後、任意の半径方向に曲げ力がゾーン160に加えられると、ゾーン159も屈曲する。
図2fに示すように、ゾーン160を、
図2eに示すその位置に対して上方向に屈曲させる。その結果、ゾーン159は上方向に屈曲する。剛性リング121と剛性端部部分129との間に配置された第1の中間円筒状要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128を備えるステアリング部材の第2のセットにより、ゾーン159の上方屈曲は、ステアリング部材の第2のセットの長手方向変位によって、
図2eに示すその位置に対してゾーン152の下方屈曲に変換される。
【0041】
[0059]
図2fは、
図2eに示すゾーン154における機器の最初の屈曲が維持されることを更に示しているが、これは、上述のように、この屈曲がゾーン156の屈曲によってのみ支配され、ゾーン152の屈曲がゾーン159の屈曲によってのみ支配されるからである。ゾーン152及び154が互いに対して独立して屈曲可能であるということにより、ステアラブル機器10の遠位端部13に、互いに独立した位置及び長手軸方向を与えることが可能である。具体的には、遠位端部13は、有利なS字形状をとることができる。当業者であれば、ゾーン152及び154を互いに対して独立して屈曲させる能力により、遠位端部13、ひいてはステアラブル機器10全体の操作性が著しく強化されることを理解するであろう。
【0042】
[0060] ステアラブル機器10の遠位端部13及び近位端部11の曲げ半径及び全長に関連する特定の要件に適応するように、又は近位端部11の少なくとも一部の屈曲と遠位端部13の少なくとも一部の屈曲との間の増幅率又は減衰率に適応するように、
図2d~
図2fに示す可撓性部分の長さを変えることが可能なことは明らかである。
【0043】
[0061] ステアリング部材は、1つ又は複数の中間円筒状要素102、103の一体型部品を形成する長手方向要素の1つ又は複数のセットを備える。好ましくは、長手方向要素は、中間円筒状要素102、103の壁に長手方向スリットを設けた後の中間円筒状要素102、103の壁の残りの部分を備え、この長手方向スリットは残りの長手方向ステアリング要素を画定する。
【0044】
[0062] 後者の長手方向ステアリング要素の製造に関する更なる詳細について
図2g~
図2iを参照して提供し、これら図は、その近位端部11及び遠位端部13の両方に1つのみの可撓性ゾーンを備えるステアラブル機器の例示的な実施形態に関する。
【0045】
[0063]
図2gは、同軸に配置された3つの円筒状要素、すなわち内側円筒状要素2202、中間円筒状要素2203、及び外側円筒状要素2204を備えるステアラブル機器2201の長手方向断面を示す。円筒状要素2202、2203、及び2204を作製するために使用すべき好適な材料としては、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニチノール(登録商標)などの形状記憶合金、プラスチック、ポリマー、複合体、又は他の切断加工可能な材料を含む。代替的に、円筒状要素は、3Dプリンティングプロセスによって作製することができる。
【0046】
[0064] 内側円筒状要素2202は、機器2201の遠位端部13に位置する第1の剛性端部2221、第1の可撓性部2222、中間剛性部2223、第2の可撓性部2224、及び機器2201の近位端部11に位置する第2の剛性端部2225を備える。
【0047】
[0065] 外側円筒状要素2204も、第1の剛性端部2241、第1の可撓性部2242、中間剛性部2243、第2の可撓性部2244、及び第2の剛性端部2245を備える。円筒状要素2202の部分2221、2222、2223、2224、及び2225それぞれの長さ、並びに円筒状要素2204の部分2241、2242、2243、2244、及び2245それぞれの長さは、好ましくは、内側円筒状要素2202を外側円筒状要素2204に挿入したときにこれらの異なるそれぞれの部分が互いに長手方向に位置合わせされるように実質的に同じである。
【0048】
[0066] 中間円筒状要素2203も、第1の剛性端部2331及び第2の剛性端部2335を有し、これらは、組み立てられた状態では、2つの他の円筒状要素2202、2204の対応する剛性部2221、2241間及び2225、2245間にそれぞれ位置する。中間円筒状要素2203の中間部2333は、以下で説明するように、異なる形態及び形状を有することができる3つ以上の別個の長手方向要素を備える。3つの円筒状要素2202、2203、及び2204を組み立て、要素2202を要素2203に挿入し、2つの組み合わせた要素2202、2203を要素2204に挿入した後、少なくとも、内側円筒状要素2202の第1の剛性端部2221、中間円筒状要素2203の第1の剛性端部2331、及び外側円筒状要素2204の第1の剛性端部2241が、機器の遠位端において互いに取り付けられる。
図2g及び
図2hに示す実施形態では、内側円筒状要素2202の第2の剛性端部2225、中間円筒状要素2203の第2の剛性端部2335、及び外側円筒状要素2204の第2の剛性端部2245もまた、機器の近位端において、3つの円筒状要素2202、2203、2204が1つの一体型ユニットを形成するように互いに取り付けられる。
【0049】
[0067]
図2hに示す実施形態では、中間円筒状要素2203の中間部2333は、同形の断面を有するいくつかの長手方向要素2338を備え、その結果、中間部2333は、
図2iに中間円筒状要素2203の広げた状態で示されるような全体形状及び形態を有する。
図2iから、中間部2333が、等間隔に配置された平行な長手方向要素2338の中間円筒状部分2203の円周にわたるいくつかによって形成されることも明らかとなる。有利には、長手方向要素2338の数は、機器2201が任意の方向に完全に制御可能になるように少なくとも3つであるが、任意のより多い数も可能である。好ましくは、長手方向要素2338の数は、6つ又は8つである。
【0050】
[0068] このような中間部の製作は、射出成形若しくはめっき技法によって、又は所望の内径及び外径を有する円筒管から開始して、最終的に中間円筒状要素2203の所望の形状になるのに必要である円筒管の壁の部分を除去することによって、最も便利に行われる。しかしながら、代替的に、任意の3Dプリンティング方法を使用することができる。
【0051】
[0069] 材料の除去は、レーザ切断加工、光化学エッチング、ディーププレスなどの種々の技法、ドリル加工若しくはフライス加工などの従来のチッピング技法、高圧ウォータージェット切断加工システム、又は利用可能な任意の好適な材料除去プロセスによって行うことができる。好ましくは、妥当な経済的条件下で材料を非常に正確かつきれいに除去することが可能となるのでレーザ切断加工が使用される。上述のプロセスは、従来のステアリングケーブルを何らかの方法で端部に接続しなければならない従来の機器で必要とされるような、中間円筒状要素の種々の部分を接続するための追加の工程を必要とせずに、部材2203をいわば1プロセスで作製することができるので、便利な方法である。それぞれの可撓性部2222、2224、2242、及び2244を有する内側円筒状要素2202及び外側円筒状要素2204を製作するために、同じタイプの技術を使用することができる。
【0052】
[0070]
図3は、上述のように近位可撓性ゾーン14と遠位可撓性ゾーン16とを相互接続する第2の中間円筒状要素103の壁に長手方向スリット5を設けた後に得られた長手方向(ステアリング)要素4の例示的な実施形態を示す。すなわち、長手方向ステアリング要素4は、機器の長手方向軸を中心として少なくとも部分的に螺旋状になっており、その結果、機器の近位部分におけるそれぞれのステアリング要素4の端部部分が、機器の遠位部分において同じ長手方向ステアリング要素4の端部部分とは別の、長手方向軸を中心とした角度配向で配置されている。長手方向ステアリング要素4が直線配向で配置された場合、ある平面の近位部分における機器の屈曲が、同じ平面だが180度反対方向への遠位部分における機器の屈曲をもたらすことになる。長手方向ステアリング要素4のこの螺旋構造は、ある平面の近位部分における機器の屈曲が、別の平面、又は同じ平面の同じ方向への遠位部分における機器の屈曲をもたらし得るという効果を可能にする。好ましい螺旋構造は、機器の近位部分におけるそれぞれのステアリング要素4の端部部分が、機器の遠位部分における同じ長手方向ステアリング要素4の端部部分に対して、長手方向軸を中心として180度角度的にずれた配向で配置されるようにするものである。しかしながら、例えば、任意の他の角度的にずれた配向、例えば90度が、本文書の範囲内にある。スリットは、ステアラブル機器の所定の場所に設けられたときに、長手方向要素の移動が隣接する長手方向要素によってガイドされるように寸法決めされている。
【0053】
[0071]
図2dに示す可撓性部分112、132、114、142、116、144、118、及び138、並びに
図2g及び
図2hに示す可撓性部2222、2224、2242、及び2244は、2008年3月10日に出願された欧州特許出願第08004373.0号(第5頁第15~26行)に記載された方法によって得ることができるが、任意の他の好適なプロセスを使用して可撓性部分を作製することができる。
【0054】
[0072] そのような可撓性部は、
図2b及び
図2cに示すような構造を有し得る。すなわち、可撓性は、複数のスリット14a、15a、16a、17aによって得られ得る。例えば、2つの周方向スリットが、同じ周方向線に沿って円筒状要素に設けられてもよく、両方のスリットは、互いにある距離をあけて位置する。周方向スリット14a、15a、16a、17aの複数の同一のセットが、機器の長手方向に複数の距離をあけて設けられ、連続するセットは、角度的に回転した位置、例えば毎回90度回転したところに配置される。このような配置では、円筒状要素のすべての部分はまだ互いに接続されている。
【0055】
[0073] 更に、
図2dに示すように、長手方向ステアリング部材の第1及び第2のセットをそれぞれ形成する第1の中間円筒状要素102の部分122、123、124、125、126、127、及び128並びに第2の中間円筒状要素103の部分134、135、及び136が、
図2hに示すような長手方向ステアリング要素4として実現される場合、上述の製造方法を使用することができる。同じことが、
図2h及び
図2iの長手方向要素2338に適用される。更に、EP2762058Aに記載の任意の実施形態を本発明にしたがって使用することができる。
【0056】
[0074] そうでない場合、長手方向要素4、2338は、例えばEP1708609Aに記載されているような当該技術分野で既知の任意の他の技法によって得ることもできる。これらの部分で使用される長手方向要素の構造に関する唯一の制限としては、可撓性部分が一致している位置において機器の全体的な可撓性が維持されなければならないということがある。
【0057】
[0075]
図2d、
図2e、及び
図2fそれぞれに示すステアラブル機器の例示的な実施形態に関して上述したような異なる同軸に配置された層又は円筒状要素101、102、103、104、2202、2203、及び2204は、それらが多層システムを作製するのに好適であるならば、既知の方法のいずれかによって製作することができる。多層システムとは、近位端部の移動を遠位端部に伝達するために少なくとも2つの別個のセットの長手方向要素4、2338を備えるステアラブル機器であるものと理解するべきである。異なる円筒状要素の組み立ても同じように実現することができる。異なる円筒状要素を製作する好ましい方法は、上述のEP2762058Aに記載されており、当該出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0058】
[0076] 上記の実施形態では、近位部分及び遠位部分は同様に構造されている。しかしながら、以下で明らかになるように、必ずしもそうである必要はない。
【0059】
[0077]
図4は、ステアラブル機器の一例の3D図を示す。同様の参照番号は、他の図中の同じ要素を指す。それらの説明はここでは繰り返さない。機器は、5つの同軸の円筒状要素202~210を備える。内側円筒状要素210は、中間円筒状要素208によって囲まれ、この中間円筒状要素208は、中間円筒状要素206によって囲まれ、この中間円筒状要素206は、中間円筒状要素204によって囲まれ、最後に、この中間円筒状要素204は、外側円筒状要素202によって囲まれている。内側中間円筒状要素は、可撓性渦巻ばねから作製されてもよい。機器の近位端及び遠位端はそれぞれ、参照番号226及び227それぞれで示されている。
【0060】
[0078] ここに図示するように、機器18は、可撓性ゾーン14と可撓性ゾーン16との間のその中間部に可撓性ゾーン19を備える。すなわち、中間円筒状要素204(可撓性ゾーン19の領域の外面に位置する)には、中間円筒状要素に所望の可撓性を与えるためにスロット付き構造が設けられている。可撓性ゾーン19内のスロット付き構造の長手方向の長さは、所望の用途に依存する。可撓性ゾーン14と16との間の部分全体と同じ長さであってもよい。中間円筒状要素204の内側の他のすべての円筒状要素206、208、210も可撓性ゾーン19において可撓性がある。可撓性ゾーン19内に長手方向要素を有するそれらの円筒状要素は、定義上、可撓性がある。他のものには、好ましくは、好適なスロット付き構造によって作製された好適なヒンジが設けられる。
【0061】
[0079] 本発明によれば、スロット付き構造のうちの少なくとも1つは、以下で詳細に説明するような特別な設計を有する。この構造は、上記の図を参照して説明した機器がヒンジを有する任意の位置で適用されてもよい。
【0062】
[0080]
図5aは、スロット付き構造として作製されたヒンジ501を有する円筒状要素500を示す。円筒状要素500は、部分504と、部分504の反対側にある更なる部分509とを備える。ヒンジ501がそれらの間に位置する。
【0063】
[0081] ヒンジ501は、複数のヒンジ部分502(1)、502(2)、・・・502(n)、・・・、502(N)を備える(Nは1より大きい整数である)。図示の例では、各ヒンジ部分502(n)は同一の形状を有するが、必ずしもそうでなくてもよい。図示される各ヒンジ部分502(n)は、円筒状要素500の剛性リング形状部分である。
【0064】
[0082] 部分504及びヒンジ部分502(1)は、2つの回転可能セクション507(1)(
図5aにでは1つが見える)によって互いに対して回転可能であり、これら2つの回転可能セクション507(1)は、円筒状要素500の接線方向において互いに対して180°回転して位置する。その趣旨で、リング形状部分502(1)には、円筒状要素500の接線方向で見たときに互いに180°反対側に配置された2つの延長部506(1)(
図5aでは1つのみ見える)が設けられている。すなわち、2つの回転可能セクション507(1)及び関連付けられた2つの延長部506(1)は、中心軸500c(シリンダ軸)に沿って同じ位置に位置し、2つの回転可能セクションと2つの延長部とを相互接続する線が中心軸と直角に交差するように位置する。各延長部506(1)は、部分504に向かって配向された円形外縁部を有する。部分504には、円筒状要素500の接線方向で見たときに互いに180°反対側に配置された2つのノッチ505(1)(
図5aでは1つのみ見える)が設けられている。各ノッチ505(1)は、ノッチ505(1)内で延長部506(1)が回転することを可能にするように、延長部506(1)の円形外縁部と同じか又はわずかに大きい半径の円形内縁部を有する。各ノッチ505(1)は、1つの延長部506(1)を収容している。
【0065】
[0083] 好ましくは、延長部506(1)及びノッチ505(1)は、例えばレーザ切断加工又は水切断加工によって、円筒状要素500に円形スロットを切り込むことによって作製される。任意の他の切断加工技法を代わりに使用してもよい。一例では、切断加工プロセスは、スロットが小ブリッジ510(1)によって中断されるように行われ、その結果、延長部506(1)及びノッチ505(1)は、まだ互いに取り付けられている。これらのブリッジは、特許出願WO2016/089202A1並びに非先行公開の特許出願PCT/NL2019/050680で詳細に説明されている「破断要素」として動作する。これらのブリッジ又は破断要素は、円筒状要素及び機器が製造されるときに意図的に作製されるが、特定の閾値を上回る力がそれらに加わると破損するくらいに弱く故意に作製されている。ここで、それらは、両矢印503で示されるように、少なくともそのような閾値力で部分504及びヒンジ部分502(1)を2つの延長部506(1)を中心として互いに対して回転させると破損するように設計されている。閾値力は、部分504又はヒンジ部分502(1)のいずれか一方が、かけられた回転力によりその最大弾性を超えて変形する前に、ブリッジ510(1)が破損するように選択される。以下で説明するように、それらは製造プロセス中の後半で破損されるだけである。破損させる前は、破断要素、例えばブリッジ510(1)は、円筒状要素に所定の追加の剛性を与え、それによって、円筒状要素を別の円筒状要素の内側に挿入するとき又は別の円筒状要素をその円筒状要素に挿入するときに、円筒状要素をより容易に操ることができる。一旦破損すると、破断要素はそれ以上役割を果たさず、延長部506(1)はノッチ505(1)内で回転することができる。
【0066】
[0084] このような破断要素は、以下のように作製することができる。スロットは、例えば、円筒要素の全厚みにわたって切り込むように所定のエネルギー及び幅を有するレーザビーム又は水ビームを円筒要素に向けることによって作製される。レーザビームは、円筒要素の外面に対してレーザ光源を移動させることによって、該外面に対して移動する。しかしながら、破断要素が形成されることになる位置では、レーザビームは特定の時間期間中断されるが、レーザ光源は依然として円筒要素外面に対して移動する。
【0067】
[0085] 上述したように、スロット付き構造の種々の部分を互いに対して最初に偏向させたとき、これらの破断要素は破断する。このような破断要素の大きい利点は、破断した後、破断要素の2つの対向する側面間の距離が実質的に0μmであり、その結果、それらの間の遊びが極めて小さくなるということである。
【0068】
[0086] これらの種類の破断要素は、レーザ切断加工によって形成される、本明細書に記載の機器内及び円筒要素の任意の要素間又は部分間に適用することができる。
【0069】
[0087] 破断要素は、以下の方法で設計するべきである。破断させる前は、各破断要素が円筒要素の対向部分に取り付けられている。円筒要素のこれらの対向部分は、それを上回るとこれらの対向部分の永久変形が生じる力を規定するそれぞれの降伏応力値を有する。更に、各破断要素は、破断要素を破断させるために加えられる力を規定するそれぞれの破断引張応力値を有する。各破断要素の引張応力値は、円筒要素のこれらの対向部分の降伏応力値よりも低くあるべきである。例えば、各破断要素の引張応力値は、円筒要素のこれらの部分の降伏応力の1%~80%の範囲である。この範囲は、代替的に、1%~50%であってもよい。
【0070】
[0088] 部分504には、ヒンジ部分502(1)の外縁部512に面する外縁部514が設けられている。外縁部514及び外縁部512は、それらの間に開放空間を画定しており、したがって、一旦ブリッジ510(1)が破損すると、部分504及びヒンジ部分502(1)は、外縁部514及び512が互いに接触するときに到達する所定の曲げ角度まで、延長部506(1)を中心として互いに対して自由に回転することができる。
【0071】
[0089] 外縁部514及び512は、円筒状要素500への切り込み、例えばレーザ切断加工又は水切断加工から生じる。すべての隣接するヒンジ部分502(n)、502(n+1)は、それらの間に、部分504とヒンジ部分502(1)との間に画定される空間のような開放空間を有し、この空間は、切断加工、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工から生じる。これらの空間は、円筒状要素500の接線方向で見て交互に90°回転している。
【0072】
[0090] ヒンジ部分502(1)は、ヒンジ部分502(2)の外縁部517に面する更なる外縁部515を有する。外縁部515には、円筒状要素500の接線方向で見たときに互いに180°反対側に配置された2つの円形ノッチ505(2)(
図5aでは1つ見える)が設けられている。各円形ノッチ505(2)は、ヒンジ部分502(2)の円形延長部506(2)を収容している。ノッチ505(2)及び延長部506(2)の各組合せは、ノッチ505(1)及び延長部506(1)の組合せに対して90°回転した位置にある。ノッチ505(1)及び延長部506(1)の組合せと同様に、ノッチ505(2)及び延長部506(2)の組合せは、一例では、例えばレーザ切断加工又は水切断加工によって、円筒状要素500に円形スロットを切り込むことによって作製される。任意の他の切断加工技法を代わりに使用してもよい。一例では、切断加工は、ブリッジ510(1)と類似した小ブリッジ510(2)によってスロットが中断されるように行われ、その結果、延長部506(2)及びノッチ505(2)は、まだ互いに取り付けられている。これらのブリッジは、上述のように「破断要素」としても動作する。
【0073】
[0091] 回転可能セクション507(n)、507(n+1)の連続する対は、円筒状要素500の接線方向で見たときに互いに対して約90°回転しているので、ヒンジ部分502(n-1)及びヒンジ部分502(n)は、互いに対して第1の方向に回転することができ、この第1の方向は、ヒンジ部分502(n)のヒンジ部分502(n+1)に対する回転の第2の方向と直角である。図示するように、連続するヒンジ部分間の回転方向は、該第1の方向と該第2の方向とで交互し、ヒンジ501が全方向に可撓性を有するようにしている。
【0074】
[0092] 一例では、各ノッチ505(n)は、ノッチ505(n)と延長部506(n)との間にスロットが作製されたとき、ブリッジ510(1)と類似又は同一のブリッジによって、収容している延長部506(n)にまだ取り付けられている。したがって、そのような例では、
図5aの円筒状要素構造500が作製された後、すべての隣接し合う部分及びヒンジ部分はまだ互いに取り付けられており、構造は別個の部品にばらけない。したがって、準備が整ったとき、
図5aの円筒状要素構造500を一体型ユニットとして、
図5bに示す円筒状要素構造520に挿入することができる。この円筒状要素520は、ヒンジ構造全体が屈曲動作に使用される前はすべての種々の部分及びヒンジ部分がまだ破断要素によって互いに取り付けられている一体型要素として作製することもできる。
【0075】
[0093]
図5bは、円筒状要素520を詳細に示す。
【0076】
[0094]
図5bは、スロット付き構造として作製されたヒンジ521を有する円筒状要素520を示す。円筒状要素520は、部分524と、部分524の反対側にある更なる部分529とを備える。ヒンジ521がそれらの間に位置する。
【0077】
[0095] ヒンジ521は、複数のヒンジ部分522(1)、522(2)、・・・522(n)、・・・、522(N)を備える(Nは1より大きい整数である)。図示の例では、各ヒンジ部分522(n)は同一の形状を有するが、必ずしもそうでなくてもよい。図示される各ヒンジ部分522(n)は、円筒状要素520の剛性リング形状部分である。
【0078】
[0096] 部分524及びヒンジ部分522(1)は、2つの回転可能セクション530(1)(
図5bでは1つのみ見える)によって互いに対して回転可能であるように配置されており、これら2つの回転可能セクション530(1)は、円筒状要素521の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する。
図5bに点線の円Vdで示される、1つのそのような回転可能セクション530が
図5dに詳細に示される。上述の円筒状要素500の回転可能セクション507(1)と同様に、2つの回転可能セクション530(1)を接続する線は、ヒンジ521の中心軸520cと直角に交差する。したがって、部分524及びヒンジ部分522(1)は、この線を中心として回転可能である。
【0079】
[0097]
図5dに示すように、回転可能セクション530(1)は、円形外縁部が設けられた延長部548(1)を備える。この延長部548(1)は、第1の回転セクション部分とも呼ばれ得る。この円形延長部548(1)は、ヒンジ部分522(1)の円形ノッチ550(1)内に収容されている。円形ノッチは、第2の回転部分とも呼ばれ得、又は第2の回転セクション部分の一部を形成し得、第2の回転セクション部分は、部分524に面するヒンジ部分522(1)の領域を含む。円形延長部548(1)の半径と円形ノッチ550(1)の半径とは同じである。それらは同じ回転中心を有する。円形延長部548(1)及び円形ノッチ550(1)は、切断加工作業、例えば、レーザ若しくは水切断加工、又は任意の他の好適な切断加工技法によって作製された小さいスロットによって分離されている。スロットの製作中、スロットは、所定の位置で中断され、したがって、延長部548(1)及びノッチ550(1)は、1つ又は複数の小ブリッジ552(1)によってまだ互いに取り付けられている。これらのブリッジ552(1)は、上で定義した「破断要素」として動作する。すなわち、それらは、特定の閾値を上回る力が加わると破損する。ここで、それらは、少なくともそのような閾値力で部分524及びヒンジ部分522(1)を2つの延長部548(1)を中心として互いに対して回転させると破損するように設計されている。閾値力は、部分524又はヒンジ部分522(1)のいずれか一方が、かけられた回転力によりその最大弾性を超えて変形する前に、ブリッジ552(1)が破損するように選択される。以下で説明するように、それらは製造プロセス中の後半で破損されるだけである。
【0080】
[0098] 延長部548(1)には、その回転中心を中心として円形スロット542(1)が設けられている。スロット542(1)の半径は、円形延長部548(1)自体の半径よりも小さい。スロット542(1)の内側には、円形アイランド556(1)が残る。本明細書において以下で明らかになるように、このアイランド556(1)は、ヒンジ内のピン又は回転可能な円盤(disc)とも呼ばれ得る要素を形成する。したがって、本発明のコンテキストでは、ピンは、別の要素の開口部に挿入される要素として定義され、この別の要素はそのピンを中心として回転することができる。スロット542(1)の製造中、スロット542(1)は小ブリッジ540(1)によって中断され、それによって円形アイランド556(1)はまだ延長部548(1)の残りの部分に取り付けられている。これらのブリッジ540(1)は、上で定義した「破断要素」として動作する。すなわち、それらは、特定の閾値を上回る力が加わると破損する。ここで、それらは、円形アイランド556(1)及び延長部548(1)を少なくともそのような閾値力で互いに対して回転させると破損するように設計されている。閾値力は、延長部548(1)又は円形アイランド556(1)のいずれか一方が、かけられた回転力によりその最大弾性を超えて変形する前に、ブリッジ540(1)が破損するように選択される。以下で説明するように、それらは製造プロセス中の後半で破損されるだけである。
【0081】
[0099] 参照番号544(1)は、円形アイランド556(1)内の取付け構造を指す。取付け構造544(1)は、円筒状要素500を円筒状要素520に挿入した後、円形アイランド556(1)を円筒状要素500の円形延長部506(1)に取り付けることができるように配置されている。このような取り付けは、接着、はんだ付け、溶接、及びレーザ溶接を含む任意の好適な取り付け技法によって行うことができる。レーザ溶接を補助するために、取付け構造544(1)は、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって作製されたS字形態の小さいスロット付き構造として形成され得る。
【0082】
[00100] ヒンジ部分522(1)には、1つ又は複数のリップ554(1)(
図5b及び
図5dには1つが示されている)が設けられ得る。そのようなリップ554(1)は、円形アイランド556(1)と実質的に同じ接線位置に、回転可能セクション530(1)に隣接して位置し得る。リップ554(1)は、円筒状要素500を円筒状要素520に挿入した後、例えば、溶接又はレーザ溶接によって、円筒状管520のヒンジ部分522(1)を円筒状要素500のヒンジ部分502(1)に取り付けるために使用される。
【0083】
[00101] 再び
図5bを参照すると、ヒンジ部分522(1)及びヒンジ部分522(2)は、2つの回転可能セクション530(2)(
図5bには1つのみ示されている)を中心として互いに対して回転することができるように配置されており、これら2つの回転可能セクション530(2)は、円筒状要素520の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する。回転可能セクション530(2)の構造は、好ましくは、回転可能セクション530(1)と同一である。したがって、回転可能セクション530(2)は、好ましくは、
図5dに示す回転可能セクション530(1)と同じ要素を有し、ここで、すべての指数(1)は(2)によって置き換えられる。回転可能セクション530(2)は、円筒状要素520の接線方向で見たときに、回転可能セクション530(1)の位置に対して90°回転した位置に位置する。
【0084】
[00102] より一般的な用語で定義すると、2つの隣接するヒンジ部分522(n)と522(n+1)との間の回転機構は以下の通りである。ヒンジ部分522(n)及びヒンジ部分522(n+1)は、2つの回転可能セクション530(n+1)を中心として互いに対して回転することができるように配置されており、これら2つの回転可能セクション530(n+1)は、円筒状要素520の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する。回転可能セクション530(n+1)の構造は、好ましくは、回転可能セクション530(1)と同一である。したがって、回転可能セクション530(n+1)は、
図5dに示す回転可能セクション530(1)と同じ要素を有し、ここで、すべての指数(1)は(n+1)によって置き換えられる。回転可能セクション530(n+1)は、円筒状要素520の接線方向で見たときに、回転可能セクション530(n)及び530(n+2)の位置に対して90°回転した位置に位置する。また、回転可能セクション530(n)及び530(n+2)は、好ましくは、回転可能セクション530(1)と同一である。
【0085】
[00103] 部分524には、ヒンジ部分522(1)の外縁部528に面する外縁部526が設けられている。外縁部526及び外縁部528は、それらの間に開放空間を画定しており、したがって、一旦ブリッジ552(1)が破損すると、部分524及びヒンジ部分522(1)は、外縁部526及び528が互いに接触するときに到達する所定の曲げ角度まで、延長部548(1)を中心として互いに対して自由に回転することができる。
【0086】
[00104] 外縁部526及び528は、円筒状要素520に所定のパターンを切り込む、例えばレーザ切断加工又は水切断加工することから生じる。すべての隣接するヒンジ部分522(n)、522(n+1)は、それらの間に、部分524とヒンジ部分522(1)との間に画定される空間のような開放空間を有し、この空間は、切断加工、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工から生じる。これらの空間は、円筒状要素520の接線方向で見て交互に90°回転している。
【0087】
[00105] 連続する回転可能セクション530(n)及び530(n+1)が、円筒状要素520の接線方向で見たときに互いに対して約90°回転しているので、ヒンジ部分522(n-1)及びヒンジ部分522(n)は、互いに対して第1の方向に回転し、この第1の方向は、ヒンジ部分522(n)のヒンジ部分522(n+1)に対する回転の第2の方向と直角である。図示するように、連続するヒンジ部分間の回転方向は、該第1の方向と該第2の方向とで交互し、ヒンジ521が全方向に可撓性を有するようにしている。
【0088】
[00106] 一例では、各ノッチ550(n)は、ノッチ550(n)と延長部548(n)との間にスロットが作製されたとき、ブリッジ552(n)によって延長部548(n)にまだ取り付けられている。したがって、
図5bの円筒状要素構造520が作製された後、そのような例では、すべての種々の部分がまだ互いに取り付けられており、構造は別個の部品にばらけない。更に、円筒状要素520を作製した後、すべての円形アイランド556(n)も、ブリッジ540(n)によってまだ周囲の円形延長部548(n)に取り付けられている。したがって、準備が整ったとき、
図5bの円筒状要素構造520は、円筒状要素500を円筒状要素構造520に挿入する準備ができたときは、まだ一体型ユニットである。更に、互いに挿入される前は、両方の円筒状要素500、520は、すべてのブリッジ510(n)、552(n)により直線構造をまだ有しており、2つの円筒状要素500、520を互いに挿入する動作が容易になる。
【0089】
[00107] ブリッジ552(1)及び540(1)は、本明細書において上述した「破断要素」として設計されている。すなわち、それらは、周囲材料をその最大弾性を超えて変形させるのに必要な力よりも小さい所定の力が加わると破損する。
【0090】
[00108]
図5cは、円筒状要素500、520が互いに挿入されたときに結果として得られるヒンジ構造を示す。図示するように、組み立てられた状態では、円筒状要素500、520は、円筒状要素520の各回転可能セクション530(n)が円筒状要素500の1つの回転可能セクション507(n)と位置合わせされるように、長手方向及び接線方向の両方で互いに位置合わせされている。組み立てを完成させるために、円筒状要素500を円筒状要素520に挿入した後、各取付け構造544(n)は、例えば、接着、はんだ付け、溶接、又はレーザ溶接によって1つの円形延長部506(n)に取り付けられる。任意選択的に、1つ又は複数のヒンジ部分522(n)も、例えば、リップ554(n)をヒンジ部分502(n)に接着、はんだ付け、溶接、又はレーザ溶接することによって、ヒンジ部分502(n)に取り付けられる。この後者の動作は、より大きい剛性をヒンジ構造全体に与える。
【0091】
[00109] 部分529を、同様の方法で、例えば、リップ534を部分509に接着、はんだ付け、溶接、若しくはレーザ溶接することによって、又は任意の他の好適な方法で、部分509に取り付けることができる。同様に、部分504及び524を互いに取り付けることができる。
【0092】
[00110] 円筒状要素500及び520をこのようにして互いに取り付けた後、使用者は、
図5aの両矢印503で示される方向に回転力をかけることができる。回転力が特定の閾値を超えることによって、すべての破断要素510(n)、540(n)、及び552(n)が破損する。その結果、部分504/524は、隣接するヒンジ部分502(1)/522(1)に対してピン556(1)を中心として自由に回転することができ、ヒンジ部分502(n)/522(n)は、隣接するヒンジ部分502(n+1)/522(n+1)に対してピン556(n+1)を中心として自由に回転することができる。同様に、部分509/529は、ヒンジ部分502(N)/522(N)に対して自由に回転することができる。
【0093】
[00111] 更に、各円形アイランド556(n)は、円筒状要素500内の円形延長部506(n)にしっかりと取り付けられ、円筒状要素520の延長部548(n)内で円形延長部506(n)と共に自由に回転することができる。この構造によって、円形アイランド556(n)は、2つの機能を有するピン又はスピンドルとして作用する。第1に、それは、延長部548(n)の回転中心となる回転ピンとして作用する。第2に、ピン556(n)と延長部548(n)との間のスロットを非常に狭くすることができるので、ピン556(n)は、ヒンジ部分502(n)/522(n)及び隣接するヒンジ部分502(n+1)/522(n+1)を、それらの間に遊びがほとんどない状態で互いに対して明確に定義された位置に保つように作用する。部分504/524のヒンジ部分502(1)/522(1)に対する位置及びヒンジ部分502(N)/522(N)の部分509/529に対する位置についても同様のことが当てはまる。
【0094】
[00112]
図6は、円筒状要素500の延長部506(n)の概略断面図と、そのような延長部506(n)がどのようにピン556(n)に取り付けられているかとを示し、このピン556(n)は、スロット542(n)によって画定された円筒状要素520内の延長部548(n)の穴に回転可能に配置されている。ピン556(n)は、例えば、取付け構造544(n)を延長部506(n)に(レーザ)溶接することによって、延長部506(n)に取り付けられる。構造は回転対称であるので、円筒状要素500は、その対称軸500cの両側に(したがって、接線方向で見て180°回転した位置に)2つのそのようなピン556(n)を有し、両方とも円筒状要素520の延長部548(1)内のスロット542(n)によって画定された穴に収容されている。これは、ヒンジ構造の隣接する部分が互いに接続されていながらも互いに対して自由に回転することができる堅固な構造を提供する。隣接するヒンジ部分502(n)/522(n)及び502(n+1)/522(n+1)が、円筒状要素500又は円筒状要素520のうちのいずれかの材料の任意の部分によってもはや互いに取り付けられていないことにも留意されたい。したがって、回転中に逆回転力を発生させることになる材料の弾性変形はない。
【0095】
[00113]
図7は、
図8a及び
図8bに示す、円筒状要素520を囲む円筒状要素820の延長部848(n)にピン556(n)を更に取り付けることができることを示す。これは、取付け構造844(n)によって延長部848(n)をピン556(n)に接着、はんだ付け、溶接、又はレーザ溶接することによって行うことができる。
【0096】
[00114]
図8aは、円筒状要素820をより詳細に示す。
【0097】
[00115]
図8aは、スロット付き構造として作製されたヒンジ821を有する円筒状要素820を示す。円筒状要素820は、部分824と、部分824の反対側にある更なる部分829とを備える。ヒンジ821がそれらの間に位置する。
【0098】
[00116] ヒンジ821は、複数のヒンジ部分822(1)、822(2)、・・・822(n)、・・・、822(N)を備える(Nは1より大きい整数である)。図示の例では、各ヒンジ部分822(n)は同一の形状を有するが、必ずしもそうでなくてもよい。図示される各ヒンジ部分822(n)は、円筒状要素820の剛性リング形状部分である。
【0099】
[00117] 部分824及びヒンジ部分822(1)は、2つの回転可能セクション830(1)(
図8bでは1つのみ見える)によって互いに対して回転可能であるように配置されており、これら2つの回転可能セクション830(1)は、円筒状要素821の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する。
図8bに点線の円Vdで示されるように、1つのそのような回転可能セクション830(1)が
図8cに詳細に示される。両方の回転可能セクション830(1)を接続する線は、ヒンジ821の中心軸と交差する。したがって、部分824及びヒンジ部分822(1)は、この線を中心として回転可能である。
【0100】
[00118]
図8cに示すように、回転可能セクション830(1)は、円形外縁部が設けられた延長部848(1)を備える。この円形延長部848(1)は、ヒンジ部分822(1)の円形ノッチ850(1)内に収容されている。円形延長部848(1)の半径と円形ノッチ850(1)の半径とは同じである。それらは同じ回転中心を有する。円形延長部848(1)及び円形ノッチ850(1)は、切断加工作業、例えば、レーザ若しくは水切断加工、又は任意の他の好適な切断加工技法によって作製された小さいスロットによって分離されている。スロットの製作中、スロットは、所定の位置で中断され、したがって、延長部848(1)及びノッチ850(1)は、1つ又は複数の小ブリッジ852(1)によってまだ互いに取り付けられている。これらのブリッジ852(1)は、上で定義した「破断要素」として動作する。すなわち、それらは、特定の閾値を上回る力が加わると破損する。ここで、それらは、少なくともそのような閾値力で部分824及びヒンジ部分822(1)を2つの延長部848(1)を中心として互いに対して回転させると破損するように設計されている。閾値力は、部分824又はヒンジ部分822(1)のいずれか一方が、かけられた回転力によりその最大弾性を超えて変形する前に、ブリッジ852(1)が破損するように選択される。以下で説明するように、それらは製造プロセス中の後半で破損されるだけである。
【0101】
[00119] 参照番号844(1)は、円形延長部848(1)内の取付け構造を指す。取付け構造844(1)は、円筒状要素520を円筒状要素820に挿入した後、円形延長部848(1)を円筒状要素520のピン556(1)に取り付けることができるように配置されている。このような取り付けは、接着、はんだ付け、溶接、及びレーザ溶接を含む任意の好適な取り付け技法によって行うことができる。レーザ溶接を補助するために、取付け構造844(1)は、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって作製されたS字形態の小さいスロット付き構造として形成され得る。
【0102】
[00120] ヒンジ部分822(1)には、1つ又は複数のリップ854(1)(
図8b及び
図8cには1つが示されている)が設けられ得る。そのようなリップ854(1)は、円筒状要素520のリップ554(1)(
図5d参照)に隣接して位置し得る。リップ854(1)は、円筒状要素520を円筒状要素820に挿入した後、例えば、溶接又はレーザ溶接によって、円筒状管820のヒンジ部分822(1)を円筒状要素520のヒンジ部分522(1)に取り付けるために使用される。そうすることによって、ヒンジ部分502(1)、522(1)、及び822(1)が、互いにしっかりと取り付けられる。
【0103】
[00121] 円筒状要素500の延長部506(1)は、円筒状要素820の延長部848(1)と同じ長手方向に配向されているが、これらの延長部の両方が、円筒状要素520の延長部548(1)と反対の長手方向に配向されていることに留意されたい。したがって、延長部548(1)は、ピン556(1)を中心として延長部506(1)と848(1)との間で回転することができ、このピン556(1)は、一方の端部で延長部506(1)に取り付けられ、その反対側の端部で延長部848(1)に取り付けられている。
【0104】
[00122] 再び
図8aを参照すると、ヒンジ部分822(1)及びヒンジ部分822(2)は、2つの回転可能セクション830(2)(
図8aには1つのみ示されている)を中心として互いに対して回転することができるように配置されており、これら2つの回転可能セクション830(2)は、円筒状要素820の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する。回転可能セクション830(2)の構造は、好ましくは、回転可能セクション830(1)と同一である。したがって、回転可能セクション830(2)は、好ましくは、
図8cに示す回転可能セクション830(1)と同じ要素を有し、ここで、すべての指数(1)は(2)によって置き換えられる。回転可能セクション830(2)は、円筒状要素820の接線方向で見たときに、回転可能セクション830(1)の位置に対して90°回転した位置に位置する。
【0105】
[00123] より一般的な用語で定義すると、2つの隣接するヒンジ部分822(n)と822(n+1)との間の回転機構は以下の通りである。ヒンジ部分822(n)及びヒンジ部分822(n+1)は、2つの回転可能セクション830(n+1)を中心として互いに対して回転することができるように配置されており、これら2つの回転可能セクション830(n+1)は、円筒状要素820の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する。回転可能セクション830(n+1)の構造は、好ましくは、回転可能セクション830(1)と同一である。したがって、回転可能セクション830(n+1)は、
図8cに示す回転可能セクション830(1)と同じ要素を有し、ここで、すべての指数(1)は(n+1)によって置き換えられる。回転可能セクション830(n+1)は、円筒状要素820の接線方向で見たときに、回転可能セクション830(n)及び830(n+2)の位置に対して90°回転した位置に位置する。また、回転可能セクション830(n)及び830(n+2)は、好ましくは、回転可能セクション830(1)と同一である。
【0106】
[00124] 部分824には、ヒンジ部分822(1)の外縁部828に面する外縁部826が設けられている。外縁部826及び外縁部828は、それらの間に開放空間を画定しており、したがって、一旦ブリッジ852(1)が破損すると、部分824及びヒンジ部分822(1)は、外縁部826及び828が互いに接触するときに到達する所定の曲げ角度まで、延長部848(1)を中心として互いに対して自由に回転することができる。
【0107】
[00125] 外縁部826及び828は、円筒状要素820に所定のパターンを切り込む、例えばレーザ切断加工又は水切断加工することから生じる。すべての隣接するヒンジ部分822(n)、822(n+1)は、それらの間に、部分824とヒンジ部分822(1)との間に画定される空間のような開放空間を有し、この空間は、切断加工、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工から生じる。これらの空間は、円筒状要素820の接線方向で見て交互に90°回転している。
【0108】
[00126] 連続する回転可能セクション830(n)及び830(n+1)が、円筒状要素820の接線方向で見たときに互いに対して約90°回転しているので、ヒンジ部分822(n-1)及びヒンジ部分822(n)は、互いに対して第1の方向に回転し、この第1の方向は、ヒンジ部分822(n)のヒンジ部分822(n+2)に対する回転の第2の方向と直角である。図示するように、連続するヒンジ部分間の回転方向は、該第1の方向と該第2の方向とで交互し、ヒンジ821が全方向に可撓性を有するようにしている。
【0109】
[00127] 一例では、各ノッチ850(n)は、ノッチ850(n)と延長部848(n)との間にスロットが作製されたとき、ブリッジ852(n)によって延長部848(n)にまだ取り付けられている。したがって、
図8bの円筒状要素構造820が作製された後、そのような例では、すべての種々の部分がまだ互いに取り付けられており、構造は別個の部品にばらけない。したがって、準備が整ったとき、
図8aの円筒状要素構造820は、円筒状要素520を円筒状要素構造820に挿入する準備ができたときは、まだ一体型ユニットである。更に、互いに挿入される前は、両方の円筒状要素520、820は、すべてのブリッジ552(n)、852(n)により直線構造をまだ有しており、2つの円筒状要素520、820を互いに挿入する動作が容易になる。
【0110】
[00128] ブリッジ852(1)及び840(1)は、本明細書において上で定義した「破断要素」として設計されている。すなわち、それらは、周囲材料をその最大弾性を超えて変形させるのに必要な力よりも小さい所定の力が加わると破損する。
【0111】
[00129]
図8bは、円筒状要素500、520、及び820が互いに挿入されたときに結果として得られるヒンジ構造を示す。図示するように、組み立てられた状態では、円筒状要素500、520、820は、円筒状要素520の各回転可能セクション530(n)が円筒状要素500の1つの回転可能セクション507(n)及び円筒状要素820の1つの回転可能セクション830(n)の両方と位置合わせされるように、長手方向及び接線方向に互いに位置合わせされている。組み立てを完成させるために、円筒状要素500を円筒状要素520に挿入した後、各ピン556(n)は、例えば、接着、はんだ付け、溶接、又はレーザ溶接によって、例えば、取付け構造544(n)によって1つの円形延長部506(n)に取り付けられる。その後、円筒状要素500と共に円筒状要素520を円筒状要素820に挿入した後、各延長部848(n)は、例えば、接着、はんだ付け、溶接、又はレーザ溶接によって、例えば、取付け構造844(n)によってピン556(n)に取り付けられる。
【0112】
[00130] 任意選択的に、1つ又は複数のヒンジ部分822(n)も、例えば、リップ854(n)をリップ554(n)に接着、はんだ付け、溶接、及び/又はレーザ溶接することによって、ヒンジ部分522(n)に取り付けられる。この後者の動作は、より大きい剛性をヒンジ構造全体に与える。
【0113】
[00131] 部分829を、同様の方法で、例えば、リップ834を部分529に接着、はんだ付け、溶接、若しくはレーザ溶接することによって、又は任意の他の好適な方法で、部分529に取り付けることができる。同様に、部分524及び824を互いに取り付けることができる。
【0114】
[00132] 円筒状要素500、520、及び820をこのようにして互いに取り付けた後、使用者は、
図8aの両矢印803で示される方向に回転力をかけることができる。回転力が特定の閾値を超えることによって、すべての「破断要素」510(n)、540(n)、552(n)、及び852(n)が破損する。その結果、部分504/524/824は、隣接するヒンジ部分502(1)/522(1)/822(1)に対してピン556(1)を中心として自由に回転することができ、ヒンジ部分502(n)/522(n)/822(n)は、隣接するヒンジ部分502(n+1)/522(n+1)/822(n+1)に対してピン556(n+1)を中心として自由に回転することができる。同様に、部分509/529/829は、ヒンジ部分502(N)/522(N)/822(N)に対して自由に回転することができる。
【0115】
[00133] 更に、各円形アイランド856(n)は、円筒状要素520内の円形延長部548(n)にしっかりと取り付けられ、円筒状要素820の延長部848(n)内でそれと共に自由に回転することができる。この構造によって、円形アイランド856(n)は、2つの機能を有するピン又はスピンドルとして作用する。第1に、それは、延長部848(n)の回転中心となる回転ピンとして作用する。第2に、ピン856(n)と延長部848(n)との間のスロットを非常に狭くすることができるので、ピン856(n)は、ヒンジ部分822(n)/522(n)及び隣接するヒンジ部分822(n+1)/522(n+1)を、それらの間に遊びがほとんどない状態で互いに対して明確に定義された位置に保つように作用する。部分824/524のヒンジ部分822(1)/522(1)に対する位置及びヒンジ部分822(N)/522(N)の部分829/529に対する位置についても同様のことが当てはまる。
【0116】
[00134]
図9a、
図9b、及び
図9cは、円筒状要素を切り抜いて形成され、ステアラブル機器のためのステアリングストリップとして配置された長手方向要素を有するステアラブル機器に適用された本発明のヒンジ構造の一実施形態を示す。そのようなステアラブル機器は、
図1~
図4を参照して示した機器のうちのいずれか1つに基づき得る。以下では、本発明のヒンジ構造の適用について、1つの円筒状要素にステアリングストリップを有するステアラブル機器を参照して説明する。しかしながら、本発明は、円筒状要素を切り抜いて形成されたステアリングストリップを有する1つ又は複数の円筒状要素を有する任意のステアラブル機器に適用することができる。
【0117】
[00135]
図9aは、内側円筒状要素を示し、
図9bは、内側円筒状要素が中に挿入された、そのようなステアリングストリップを有する中間円筒状要素を示す。
図9cは、内側円筒状要素及び中間円筒状要素のセットが中に挿入された外側円筒状要素を示す。
【0118】
[00136]
図9aは、機器の遠位端又は近位端にあり得る内側円筒状要素920の先端部の一例を示す。本説明では、遠位端に位置すると仮定するが、同様の構成体が近位端に位置してもよい。代替的に、ステアリングストリップは、ボール形状部材又はロボットステアリング機構のモータによってステアリングされ得る。上述したように、機器の先端部はステアラブルである。内側円筒状要素は、完全に可撓性があってよく、医療環境で使用することができる任意のタイプのプラスチック又は金属を含む、任意の好適な材料から作製され得る。
図9aの構造は、スロット付きヒンジ構造921によって可撓性が与えられる、可能な実施形態の1つの例にすぎない。
【0119】
[00137] スロット付きヒンジ構造921は、円筒状要素920のリング形状の端部部分924から近位端方向に配置されている。スロット付きヒンジ構造921は、複数のヒンジ部分922(1)、922(2)、・・・、922(n)、・・・、922(N)を備える。端部部分924は、ヒンジ部分922(1)に対して回転可能に配置され、ヒンジ部分922(N)は、ヒンジ構造921から近位端方向に配置された円筒状要素部分929に対して回転可能に配置されている。
【0120】
[00138] 端部部分924は、円筒状要素920の接線方向で見たときに互いに対して180°回転して位置する2つの回転セクション930(1)を中心としてヒンジ部分922(1)に対して回転することができる。すなわち、2つの回転セクション930(1)を接続する線は、円筒状要素920の対称軸と交差する。端部部分924がヒンジ部分922(1)に対して回転するとき、回転はこの線を中心とする。
【0121】
[00139] 隣接する各2つのヒンジ部分922(n)と922(n+1)との間には、2つの回転セクション930(n+1)が存在し、したがって、それらは、これら2つの回転セクション930(n+1)を接続する線を中心として互いに対して回転することができる。一実施形態では、すべての回転セクション930(n)が同一であるが、それが厳密に必要というわけではない。
【0122】
[00140] そのような回転セクション930(n)の一例が、回転セクション930(2)を参照して提供される。回転セクション930(2)は、ヒンジ部分922(1)と922(2)との間に位置する。回転セクション930(2)の位置に対して180°回転した位置に、第2の回転セクション930(2)がある。回転セクション930(2)は、ヒンジ部分922(1)の円形延長部948(2)を備える。延長部948(2)は、ヒンジ部分922(2)の円形ノッチ950(2)内に収容されている。延長部948(2)及びノッチ950(2)は、円筒状要素920に切り込まれたスロットによって分離されている。例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって切断加工し、スロットを製作する間、延長部948(2)及びノッチ950(2)は、上述した「破断要素」として作用する小ブリッジ952(2)によって互いに取り付けられたままである。すなわち、それらは、ヒンジ部分922(1)及び922(2)の周囲材料をそれらの最大弾性を超えて変形させるのに必要な力を下回り、特定の閾値力を上回る所定の力で、ヒンジ部分922(1)及び922(2)を互いに対して回転させると破損するように設計される。
【0123】
[00141] 延長部948(2)の中心点は、ブリッジ952(2)が破損するとヒンジ部分922(1)及び922(2)が回転可能になる回転点を画定している。
【0124】
[00142] 回転セクション930(2)はまた、ヒンジ部分922(2)からヒンジ部分922(1)に向かって延在する2つのリップ要素960(2)、962(2)を備える。両方のリップ要素960(2)及び962(2)は、円形形状を有し、円形延長部948(2)の半径よりも大きい、回転点からの半径方向距離をあけて位置する。リップ要素960(2)は、ヒンジ部分922(1)に配置された円形スロット964(2)内で円方向に移動することができる。リップ要素962(2)は、ヒンジ部分922(1)に配置された円形スロット966(2)内で円方向に移動することができる。
【0125】
[00143] リップ要素960(2)、962(2)、及び円形スロット964(2)、966(2)は、当業者には明らかとなるように、円筒状要素920に所定のパターンを切り込むことによって、例えばレーザ切断加工又は水切断加工することによって形成することができる。その切断加工プロセス中、リップ要素960(2)及び962(2)は、上述した「破断要素」として作用する小ブリッジによって、ヒンジ部分922(1)からの周囲材料に取り付けられたままであり得る。
【0126】
[00144] リップ要素960(2)及び962(2)は、円形延長部948(2)を含むヒンジ部分922(1)の一部分を収容しており、それにより、ヒンジ部分922(1)及び922(2)が円筒状要素920の長手方向に互いに対して容易に移動することができなくなっている。
【0127】
[00145] ヒンジ部分922(1)は、ヒンジ部分922(1)と922(2)との間に所定の開放空間を画定するように成形された、ヒンジ部分922(2)の縁部970に面する縁部968を有する。この開放空間及びスロット964(2)、966(2)の長さは、ヒンジ部分922(1)及び922(2)が互いに対して回転することができる角度を決定する。
【0128】
[00146] ヒンジ部分922(1)、922(2)を、両矢印903で示される方向に、所定の閾値を上回る所定の力で互いに対して回転させると、破断要素952(2)(及びリップ要素960(2)、962(2)をヒンジ部分922(1)の隣接する材料に取り付ける考えられる破断要素)が破損し、その結果、ヒンジ部分922(1)及び922(2)はもう互いに取り付けられていなくなり、自由に回転することができることに留意されたい。しかしながら、これは、内側円筒状要素920を、
図9bに示す中間円筒状要素1000に挿入する前に行わないことが好ましい。
【0129】
[00147] これもまた、連続する回転セクション930(n)及び930(n+1)は、円筒状要素920の接線方向で90°回転しており、全方向に完全な可撓性をヒンジ構造921に与える。
【0130】
[00148]
図9bは、中間円筒状要素1000の一例を示す。中間円筒状要素1000は、リング形状の遠位端部分1002を備え、この遠位端部分1002は、ここでは円筒状要素1000を切り抜いて、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工して長手方向要素を形成することによって作製された複数のステアリングストリップ1004に取り付けられている。一方向(及び反対方向)への曲げ性が望まれるとき、2つのそのようなステアリングストリップ1004で十分である。しかしながら、全方向への曲げ性が望まれる場合、少なくとも3つのステアリングストリップ1004を適用するべきである。ステアリングストリップ1004は、一例では、接線方向に等距離の位置に位置する。本例では、8つのそのようなステアリングストリップ1004が適用されている。
【0131】
[00149]
図9bに示すように、2つの隣接するステアリングストリップ1004は、接線方向スペーサによって互いに対して接線方向に移動することが防止されている。接線方向スペーサの2つの異なるセットが示されている。第1のセットは、隣接するステアリングストリップ1004に接触する程度まで接線方向に延在するスペーサ要素を両側に有する長手方向ストリップとして形成されたスペーサ1028を備える。これらのスペーサ要素は、任意の所望の形態、すなわち、可撓性プレート状要素、M字形状要素、S字形状要素、ピン形状要素、又は当業者に既知の任意の他の好適な形態を有してもよい。スペーサ1028は、代替的に、先行技術から既知であるように、2つの隣接するステアリングストリップ1004のうちのいずれか一方に直接取り付けられ、2つの隣接するステアリングストリップ1004のうちの他方に延在する、可撓性プレート状要素、M字形状要素、S字形状要素、ピン形状要素、又は当業者に既知の任意の他の好適な形態として形成することもできる。
【0132】
[00150] 接線方向スペーサの第2のセットは、2つの隣接するステアリングストリップ1004間に長手方向に連続的に配置された複数のスペーサ要素1005を備える。スペーサ1028の第1のセット及びスペーサ1005の第2のセットは、円筒状要素1000の接線方向に交互になっている。
【0133】
[00151] 各スペーサ要素1005は、円筒状要素1000への切り込み、例えばレーザ切断加工又は水切断加工から生じるスロットによって隣接するステアリングストリップ1004から分離されたプレート1006を備える。切断加工中、プレート1006は、好ましくは、本明細書で上述した破断要素である「破断要素」1012によって、一方又は両方の隣接するステアリングストリップ1004に取り付けられたままである。破断要素1012は、ステアリングストリップ1004と、破断要素1012が取り付けられたプレート1006との間に相対的な縦力が加わったときに、その力が特定の閾値力を超えると破断要素1012が破損するように設計されている。閾値力は、ステアリングストリップ1004及びプレート1006に結果として生じる力がそれらの最大弾性を下回った状態に留まるように選択されるべきである。
【0134】
[00152] 図示の実施形態では、プレート1006は、円筒状要素1000への切り込み、例えばレーザ切断加工又は水切断加工によって生じるスロットによって隣接するステアリングストリップ1004から分離された更なるプレート1014に取り付けられている。切断加工中、プレート1014は、好ましくは、「破断要素」1016によって、一方又は両方の隣接するステアリングストリップ1004に取り付けられたままである。破断要素1016は、ステアリングストリップ1004と、破断要素1016が取り付けられたプレート1014との間に相対的な縦力が加わったときに、その力が特定の閾値力を超えると破断要素1016が破損するように設計されている。閾値力は、ステアリングストリップ1004及びプレート1014に結果として生じる力がそれらの最大弾性を下回った状態に留まるように選択されるべきである。
【0135】
[00153] 一例では、プレート1006は、可撓性のある取付けストリップ1018によってプレート1014に取り付けられており、それによって、それらは互いから所定の長手方向距離をあけて位置する。そのため、取付けストリップ1018は、
図9bに示すように両側にスロットを有することによって、プレート1014内(及び/又はプレート1006内)まで延在することができる。
【0136】
[00154] プレート1014は、遠位端に向かって面する縁部1020を有し、プレート1006は、近位端に向かって面する縁部1022を有する。連続するスペーサ要素1005は、機器の特定の必要な可撓性によって決まる所定の距離を互いからあけて長手方向に位置する。
【0137】
[00155] 円筒状要素920及び1000が製造されたとき、それらの両方は、上述したように、すべての種々の構成要素が破断要素によってまだ互いに取り付けられている一体型円筒状要素である。それらは依然として真っ直ぐであり、円筒状要素920を円筒状要素1000に容易に挿入することができる。それらは、互いに挿入されると、長手方向及び接線方向の両方で位置合わせされる。次いで、一実施形態では、端部924及び1002は、例えば、接着、はんだ付け、溶接、レーザ溶接等によって互いに取り付けられる。
【0138】
[00156] 互いに挿入されると、円筒状要素920、1000のセットは、
図5b及び
図5dを参照して説明した円筒状要素520と同一の形状を有してよい円筒状要素に挿入される。
図9cは、これが行われた機器の(例えば、遠位)端部構造を示す。円筒状要素920、1000のセットは、円筒状要素520と長手方向及び接線方向の両方で位置合わせされている。この位置合わせは、ヒンジ部分522(n-1)の内側に位置する各ピン556(n)がプレート1006の一部分1008と半径方向に位置合わせされて取り付けられるようにするものである。これは、存在する場合、取付け構造544(n)によって行われてもよい。取り付けは、接着、溶接、レーザ溶接等によって行うことができる。更に、ピン556(n)から長手方向にずれた位置に位置するヒンジ部分522(n)の一部分は、部分1008から同じく長手方向にずれた位置に位置する部分1010においてプレート1006に取り付けられる。ヒンジ部分522(n)のこの部分はリップ554(n)であり得る。このようにして、ヒンジ部分522(n-1)の内側に位置する各ピン556(n)は、中間円筒状要素1000内にそれ自体が位置する1つの単一プレート1006によってヒンジ部分522(n)にしっかりと取り付けられる。更に、プレート1006は、中間円筒状要素1000内の隣接するステアリングストリップ間にある接線方向スペーサとしても機能する。
【0139】
[00157] 好ましくは、長手方向及び接線方向の位置合わせが行われた後、端部部分524は、端部部分1002に取り付けられる。
【0140】
[00158] 3つの円筒状要素920、1000、520すべてが、上述のように、互いに挿入され、所望通りに長手方向及び接線方向に位置合わせされ、互いに取り付けられた後、使用者は、別個の構成要素をまだ互いに取り付けたままにしているすべての破断要素が破損するが周囲材料がそれらの最大弾性を超える力を受けないような力で、回転力903(
図9a参照)を全方向にかけることによって機器を屈曲させることができる。次いで、内側円筒状要素920及び外側円筒状要素520内のすべての回転セクションが自由に回転することができるようになる。次いで、いくつかの構成要素が弾性的に屈曲するので、任意の屈曲に抗する反力のみが中間円筒状要素1000に発生する。
【0141】
[00159] 当然のことながら、
図9a、
図9b、
図9cの機器に、円筒状要素820(
図8a)のような更なる外側円筒状要素を適用して、より高い剛性を構造全体に与えることができる。
【0142】
[00160]
図9a、
図9b、及び
図9cの実施形態は、プレート1006が回転セクション530(n)の内側にあることを示しているが、円筒状要素1000及び520は、円筒状要素520を円筒状要素1000に挿入し、プレート1006が回転セクション530(n)の外側に位置するように設計されてもよい。
【0143】
[00161]
図10a及び
図10bは、ステアラブル機器のステアリング要素として作用するステアリングケーブル又はワイヤを有するステアラブル機器に適用された本発明のヒンジ構造の一実施形態を示す。このようなステアラブル機器は、先行技術から既知のステアリングケーブルを設けた任意のステアラブル機器に基づき得る。例えば、そのようなステアラブル機器は、非先行公開PCT/NL2019/0506850に記載の実施形態のいずれか1つに基づき得る。
【0144】
[00162]
図10aは、ステアリングケーブル1004aが設けられており、
図9aに示す内側円筒状要素920と同軸に位置合わせして組み立てられた中間円筒状要素1000aを示す。
図10bは、外側円筒状要素520aと組み立てられ、長手方向及び接線方向に位置合わせされた内側円筒状要素920及び中間円筒状要素1000aを示す。外側円筒状要素520aは、
図9cに示す外側円筒状要素520と同一であってよいことに留意されたい。
【0145】
[00163]
図10aは、
図9bの中間円筒状要素1000と実質的に類似しているが、ステアリングストリップ1004に代わりステアリングケーブル1004aを備える中間円筒状要素1000aの一例を示す。
図10aにおいて、
図9bの要素に対応する要素は、接尾辞「a」が与えられた対応する参照番号によって示される。これら特徴は、有利なことに、
図9bを参照して説明した対応する特徴と同様であり、当業者が理解するように、該当する場合、ステアリングストリップ1004の代わりにステアリングケーブル1004aの使用を促進するように修正されてもよいことを理解されたい。したがって、様々な特徴の説明は、本明細書では繰り返さない。
【0146】
[00164] 中間円筒状要素1000aは、複数のステアリングケーブル1004aに取り付けられたリング形状の遠位端部分1002aを備える。一方向(及び反対方向)への曲げ性が望まれるとき、2つのそのようなステアリングケーブル1004aで十分である。しかしながら、全方向への曲げ性が望まれる場合、少なくとも3つのステアリングケーブル1004aを適用するべきである。ステアリングケーブル1004aは、一例では、接線方向に等距離の位置に位置する。
【0147】
[00165]
図10aに示すように、2つの隣接するステアリングケーブル1004aは、接線方向スペーサによって互いに対して接線方向に移動することが防止されている。接線方向スペーサの2つの異なるセットが示されている。第1のセットは、隣接するステアリングケーブル1004aに接触する程度まで接線方向に延在するスペーサ要素を両側に有する長手方向ストリップとして形成されたスペーサ1028aを備える。
【0148】
[00166] 接線方向スペーサの第2のセットは、2つの隣接するステアリングケーブル1004a間に長手方向に連続的に配置された複数のスペーサ要素1005aを備える。スペーサ1028aの第1のセット及びスペーサ1005aの第2のセットは、円筒状要素1000aの接線方向に交互になっている。
【0149】
[00167] 各スペーサ要素1005aは、スロットによって隣接するステアリングケーブル1004aから分離されたプレート1006aを備える。
【0150】
[00168] 図示の実施形態では、プレート1006aは、スロットによって隣接するステアリングケーブル1004aから分離された更なるプレート1014aに取り付けられている。
【0151】
[00169] 一例では、プレート1006aは、可撓性のある取付けストリップ1018aによってプレート1014aに取り付けられており、それによって、それらは互いから所定の長手方向距離をあけて位置する。
【0152】
[00170] 円筒状要素920及び1000aが製造されたとき、それらの両方は、上述したように、すべての種々の構成要素が破断要素によってまだ互いに取り付けられている一体型円筒状要素である。それらは依然として真っ直ぐであり、円筒状要素920を円筒状要素1000aに容易に挿入することができる。それらは、互いに挿入されると、長手方向及び接線方向の両方で位置合わせされる。次いで、一実施形態では、端部924及び1002aは、例えば、接着、はんだ付け、溶接、レーザ溶接等によって互いに取り付けられる。
【0153】
[00171] 互いに挿入されると、円筒状要素920、1000aのセットは、
図5b及び
図5dを参照して説明した円筒状要素520と同一の形状を有してよい円筒状要素に挿入される。
図10bは、これが行われた機器の(例えば、遠位)端部構造を示す。円筒状要素920、1000aのセットは、円筒状要素520と長手方向及び接線方向の両方で位置合わせされる。この位置合わせは、ヒンジ部分522(n-1)の内側に位置する各ピン556(n)がプレート1006aの一部分1008aと半径方向に位置合わせされて取り付けられるようにするものである。これは、存在する場合、取付け構造544(n)によって行われてもよい。取り付けは、接着、溶接、レーザ溶接等によって行うことができる。更に、ピン556(n)から長手方向にずれた位置に位置するヒンジ部分522(n)の一部分は、部分1008aから同じく長手方向にずれた位置に位置する部分1010aにおいてプレート1006aに取り付けられる。ヒンジ部分522(n)のこの部分はリップ554(n)であり得る。このようにして、ヒンジ部分522(n-1)の内側に位置する各ピン556(n)は、中間円筒状要素1000a内にそれ自体が位置する1つの単一プレート1006によってヒンジ部分522(n)にしっかりと取り付けられる。更に、プレート1006aは、中間円筒状要素1000a内の隣接するステアリングケーブル間にある接線方向スペーサとしても機能する。
【0154】
[00172] 好ましくは、長手方向及び接線方向の位置合わせが行われた後、端部部分524は、端部部分1002aに取り付けられる。
【0155】
[00173] 3つの円筒状要素920、1000a、520すべてが、上述のように、互いに挿入され、所望通りに長手方向及び接線方向に位置合わせされ、互いに取り付けられた後、使用者は、別個の構成要素をまだ互いに取り付けたままにしているすべての破断要素が破損するが周囲材料がそれらの最大弾性を超える力を受けないような力で、回転力903(
図9a参照)を全方向にかけることによって機器を屈曲させることができる。次いで、内側円筒状要素920及び外側円筒状要素520内のすべての回転セクションが自由に回転することができるようになる。次いで、いくつかの構成要素が弾性的に屈曲するので、任意の屈曲に抗する反力が中間円筒状要素1000aのみに発生する。
【0156】
[00174] 当然のことながら、
図10a、
図10bの機器に、円筒状要素820(
図8a)のような更なる外側円筒状要素を適用して、より高い剛性を構造全体に与えることができる。
【0157】
[00175]
図10a及び
図10bの実施形態は、プレート1006aが回転セクション530(n)の内側にあることを示しているが、円筒状要素1000a及び520は、円筒状要素520を円筒状要素1000aに挿入し、プレート1006aが回転セクション530(n)の外側に位置するように設計されてもよい。
【0158】
[00176] 本発明は、これまで説明した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態では、円筒状ヒンジ521の隣接するヒンジ部分522(n)、522(n+1)は、それらのうちの一方に、接線方向で見て互いの反対側に位置する2つの穴が設けられているので、互いに対して回転することができる。各穴は、該円筒状ヒンジ521の内側で要素506(n)、1006に取り付けられた、及び/又は該円筒状要素521の外側で要素848(n)に取り付けられたピン556(n)を収容している。その要素506(n)、1006、又は848(n)は、他方のヒンジ部分の一部分にも取り付けられている。したがって、ピンは、その対応する穴の内側に留まり、隣接するヒンジ部分は、互いから明確に定義された距離をあけたところに留まる。それらは、ピン556(n)を中心として互いに対して自由に回転することができる。
【0159】
[00177] しかしながら、ピン自体は、
図11を参照して説明するように、回転中心である必要はない。
【0160】
[00178]
図11は、外側円筒状要素520の代替形態を示す。
図11は、円筒状要素1100に挿入された円筒状要素1000を示す。円筒状要素1000の内側には、円筒状要素920を参照して上述した任意の他の好適な可撓性円筒状要素があり得る。またここでも、機器の偏向可能セクションの屈曲を制御するためにステアリングストリップを有する円筒状要素がより多くあり得る。代替的に、円筒状要素1000の代わりに円筒状要素1000aを、円筒状要素1000を参照して本明細書の以下で説明する様式と同様の様式で、円筒状要素1100に挿入してもよい。
【0161】
[00179] 円筒状要素1100は、機器の遠位端に位置し得る端部部分1124を有する。しかしながら、それは代替的に近位端であってもよい。端部部分1124に隣接して、円筒状要素1100は、(円筒状)ヒンジ1121の複数のヒンジ部分1122(1)、1122(2)、・・・、1122(n)、・・・、1122(N)を備える。端部部分1124は、ヒンジ部分1122(1)に対して回転可能であり、同様に、端部部分1129は、ヒンジ部分1122(N)に対して回転可能である。
【0162】
[00180] 各ヒンジ部分1122(n-1)は、2つの回転可能セクション1130(n)によって、隣接するヒンジ部分1122(n)に対して回転可能である。端部部分1124は、2つの回転可能セクション1130(1)によって、隣接するヒンジ部分1122(1)に対して回転可能である。ヒンジ部分1122(N)は、2つの回転可能セクション1130(N+1)によって端部部分1129に対して回転可能である。2つの各回転セクション1130(n)は、接線方向で見て互いに対して180°回転して位置する。
【0163】
[00181] 回転セクション1130(1)がより詳細に示されている。しかしながら、すべての他の回転セクション1130(n)が、好ましくは同じように形成される。
【0164】
[00182] 端部部分1124は、ヒンジ部分1122(1)の外縁部1128に向かって面する外縁部1126を有する。外縁部1126及び1128は、端部部分1124とヒンジ部分1122(1)との間に開放空間を画定するように設計されている。縁部1126及び1128は、2つの所定の位置1160(1)でのみ互いに接触する。製造中に、これらの開放空間は、円筒状要素1100に所定のパターンを切り込む、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工することによって形成することができる。円筒状要素1000を円筒状要素1100にまだ挿入していない限り、端部部分1124及びヒンジ部分1122(1)をまだ互いに取り付けたままに保つために、位置1160(1)において破断要素が適用され得る。位置1160(1)は回転中心となる。
【0165】
[00183] ヒンジ部分1122(1)には、ヒンジ部分1122(1)内のスロット1158(1)の内側で移動することができるピン1156(1)が設けられている。スロット1158(1)は、ヒンジ部分1122(1)に切り込む、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工することによって作製され、同時にピン1156(1)を形成する。したがって、ピン1156(1)は、ヒンジ部分1122(1)への切り込みから生じる円盤である。スロット1158(1)は、回転中心1160(1)と同じ位置に中心を有する円の弧に位置付けられた円形状を有する。
【0166】
[00184] 円筒状要素1100の準備が整うと、円筒状要素1000は、円筒状要素1100に挿入され、長手方向及び接線方向の両方で適切に位置合わせされる。この実施形態では、円筒状要素1000は、すべての回転セクション1130(n)の下にスペーサ要素1005を備え、回転中心1130(1)の下にわずかに異なるスペーサ構造を示す
図9cとは異なることに留意されたい。
図11の実施形態では、回転セクション1130(1)の下のスペーサ要素1005のプレート1014は、端部部分1002の一部であり得る。回転中心1160(1)は、プレート1014とプレート1006との間にある取付けストリップ1018の可撓性部分と半径方向に位置合わせされているように位置合わせされる。ピン1156(1)は、例えば、接着、溶接、レーザ溶接などによってプレート1006に取り付けられる。更に、回転中心1160(1)に隣接する端部部分1124の一部分は、例えば、接着、溶接、レーザ溶接などによってプレート1014に取り付けられる。端部部分1124のこの部分は、端部部分1124に切り込まれたリップ1154(1)であり得る。このようにして、ピン1156(1)は、端部部分1124に取り付けられるが、スロット1158(1)内の適所に適切に保持される。取付けストリップ1018は、端部部分1124とヒンジ部分1122(1)との間の長手方向の変位を防止する。回転中心1160(1)は、半径方向で見たときに取付けストリップ1018の可撓性部分の上に位置するので、端部部分1124及びヒンジ部分1122(1)は、回転中心1160(1)を中心として互いに対して回転することができる。
【0167】
[00185] 端部部分1124は、好ましくは、例えば、溶接、接着、又はレーザ溶接などによって端部部分1002に取り付けられる。
【0168】
[00186] 隣接するヒンジ部分1122(n-1)と1122(n)との間の2つの回転セクション1130(n)は、好ましくは、回転セクション1130(1)と同じ設計を有する。回転中心1160(n)は、プレート1014とプレート1006との間にある取付けストリップ1018の可撓性部分と半径方向に位置合わせされているように位置合わせされる。ピン1156(n)は、例えば、接着、溶接、レーザ溶接などによってプレート1006に取り付けられる。更に、回転中心1160(n)に隣接するヒンジ部分1122(n-1)の一部分は、例えば、接着、溶接、レーザ溶接などによってプレート1014に取り付けられる。ヒンジ部分1122(n-1)のこの部分は、ヒンジ部分1122(n-1)に切り込まれたリップであり得る。このようにして、ピン1156(n)は、ヒンジ部分1122(n-1)に取り付けられるが、スロット1158(n)の適所に適切に保持される。取付けストリップ1018は、ヒンジ部分1122(n-1)とヒンジ部分1122(n)との間の長手方向の変位を防止する。回転中心1160(n)は、半径方向で見たときに取付けストリップ1018の可撓性部分の上に位置するので、ヒンジ部分1122(n-1)及びヒンジ部分1122(n)は、回転中心1160(n)を中心として互いに対して回転することができる。
【0169】
[00187] ピン556(n)は、本明細書の上記実施形態では、接着、はんだ付け、溶接、又はレーザ溶接によって、取付け部材、すなわち延長部506(n)及び延長部848(n)に取り付けることができる、実質的に平坦な円盤形状を有するものとして説明された。しかしながら、代替的な実施形態では、ピン556(n)は、突出部を備えるか又は突出部が設けられ、及び/又は半径方向に延長部を有する細長い構造によって形成されてもよく、それにより、ピン556(n)は、スナップフィット若しくは形状嵌めなどの機械的接続又は同様のものによって取付け部材、すなわち延長部506(n)に取り付けられて、ピンを取付け部材に回転締結するようにすることができることを理解されたい。例えば、取付け部材には、ピンの突出部又は細長い構造を中に挿入して固定することができる取付け部材開口部を設けることができ、これは、例えば、突出部又は細長い構造が、取付け部材開口部と等しいか又はそれよりもわずかに大きい直径を有することによって行われる。ピンは、同様の様式で延長部848(n)又はプレート1006に締結され得る。
【0170】
[00188] ここでも、連続する回転中心1130(n-1)及び1130(n)は、好ましくは、接線方向で見て互いに対して90°回転した位置に位置する。そうである場合、構造全体を任意の所望の方向に屈曲させることができる。
【0171】
[00189] 使用者が初めて回転力をかけたとき、使用者は、回転中心1160(1)における縁部1126、1128間、及びピン1156(1)とヒンジ部分1122(1)の周囲材料との間にある上述の破断要素を破損させることに留意されたい。ピン1156(1)は、
図11ではスロット1158(1)と同じだがより短い長さを有する円の弧の形状を有するように示されていることにも留意されたい。しかしながら、ピン1156(1)は、円形のような任意の他の好適な形状を有してもよい。同じことが、他のすべての破断要素及びピン1156(n)それぞれに適用される。すべてのピン1156(n)には、レーザ溶接などによる取り付けをサポートする、スロット付き構造1144(n)のような特別な取付け構造が設けられてもよい。
【0172】
[00190] 隣接する円筒状要素間の相互の間隙が非常に小さいので、それらは互いに取り付けられていない限り長手方向に互いに対して容易に移動することができるが、相互の半径方向の遊びは最小限に保たれる。相互の間隙は、0.02~0.1mmの範囲であり得る。円筒状要素の厚さは、0.1~2.0mm、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.1~0.5mm、最も好ましくは0.2~0.4mmの範囲であり得る。円筒状要素の直径は、0.5~20mm、好ましくは0.5~10mm、より好ましくは0.5~6mmの範囲であり得る。
【0173】
[00191]
図5~
図11に例示する実施形態について、ステアラブル機器の遠位端部13を参照して説明しているが、本明細書で上述したヒンジは、ステアラブル機器の他のセクションにも適用できることを理解されたい。
【0174】
[00192] 本明細書で上述したすべての円筒状要素は、好ましくは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニチノール(登録商標)などの形状記憶合金、プラスチック、ポリマー、複合材料、又は他の切断加工可能な材料のような任意の好適な材料からなる単一の円筒管から製造される。代替的に、円筒状要素は、3Dプリンティングプロセスによって作製することができる。その管の厚さは、その用途に依存する。医療用途では、厚さは、0.1~2.0mm、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.1~0.5mm、最も好ましくは0.2~0.4mmの範囲であり得る。内側円筒状要素の直径は、その用途に依存する。医療用途では、直径は、0.5~20mm、好ましくは0.5~10mm、より好ましくは0.5~6mmの範囲であり得る。
【0175】
[00193] すべての円筒状要素のスロット及び開口部は、レーザ又は水切断加工によって作製することができる。隣接し合う要素を分離するためだけに作製されるより小さいスロットは、好ましくは、5~50μm、より好ましくは15~30μmの範囲の幅を有し得る。
【0176】
[00194] 本発明の範囲が上記で説明した例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、それらの複数の改変形態及び修正形態が可能であることが当業者に明らかとなる。本発明について、図及び説明において詳細に例示及び説明したが、そのような例示及び説明は、例示的又は実例的なものにすぎず、限定的なものではないとみなすべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されず、利点をもたらすことができる開示された実施形態の任意の組合せを備える。
【0177】
[00195] 上記実施形態は、2セットの長手方向要素によって遠位端における屈曲可能ゾーン16、17の屈曲を制御するように配置された機器の近位端における屈曲可能ゾーン14及び15と共に示されている。屈曲可能ゾーン14、15は、長手方向要素の移動を制御するように配置された好適なモータのような他の作動手段によって置き換えることができる。更なる代替形態では、そのような作動手段は、長手方向要素が取り付けられるボールとして構造されてもよい。ボールを回転させると、長手方向要素が長手方向に移動し、したがって、可撓性ゾーン16、17の屈曲が制御される。これはまた、
図2g、
図2h、
図2iを参照して説明したように、その遠位端に1つのみのステアラブルで屈曲可能なゾーンを有する機器にも適用される。
【0178】
[00196] 開示された実施形態の変形は、当業者が請求項に記載の発明を実施する際に、図、説明、及び添付の特許請求の範囲の参酌から理解及び達成することができる。説明及び特許請求の範囲において、「備える」という語は他の要素を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。実際、それは「少なくとも1つ」を意味するものと解釈するべきである。単にある特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているということだけでは、これらの特徴の組合せを有利に使用できないことを示さない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。上述の実施形態及び態様の特徴は、それらを組み合わせて明らかな技術的矛盾が生じない限り、組み合わせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の円筒状要素(520;1100)および前記第1の円筒状要素の内側又は外側に位置する第2の円筒状要素(500;820;1000;1000a)を含むステアラブル機器であって、前記ステアラブル機器は中心軸(520c;1100c)を有し、
前記第1の円筒状要素(520;1100)は、ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を収容する開口部が設けられる第1の部分(524;522(n-1);1122)を備え、前記開口部と前記ピンは、前記第1の部分(524;522(n-1);1122)の切断加工から生じ、
取付け要素(502(1);848(n);1006;502(n))を備える前記第2の円筒状要素(500;1000;1000a)は、前記第2の円筒状要素の切断加工から生じ、
ここで、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))は前記取付け要素(502(1);848(n);1006;502(n))の一部(506(1);506(n))に取り付けられ、
したがって、前記第1の部分(524;522(n-1);1122(n-1))および前記取付け要素(502(1);848(n);1006;502(n))は、回転中心(530(1);1130(1);530(n);1130(n))を中心として互いに対して回転するように構成されている、ステアラブル機器。
【請求項2】
前記第1の円筒状要素(520;1100)は、前記中心軸から前記第1の部分と同じ距離をあけて位置している第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))を備え、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって、前記第1の円筒状要素(520;1100)から作製され、
前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けられ、
それによって、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、回転中心(530(1);1130(1);530(n);1130(n))を中心として互いに対して回転するように構成されている、請求項1に記載のステアラブル機器。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記開口部が設けられた第1の回転セクション部分(548(1))を備え、
前記第2の部分は、前記第1の回転セクション部分を少なくとも部分的に囲む第2の回転セクション部分(550(1))を備え、前記第2の回転セクション部分は、前記取付け要素に少なくとも部分的に取り付けられている、請求項2に記載のステアラブル機器。
【請求項4】
前記第1の回転セクション部分及び前記第2の回転セクション部分は、相補的形状又は回転可能に嵌合する形状を有するセクションを備える、請求項3に記載のステアラブル機器。
【請求項5】
前記第1の回転セクション部分は、前記開口部の外縁部を画定するスロット(542(1))が設けられた延長部(548(1))として形成され、かつ前記ピンを形成するアイランド(556(1))が前記開口部内に形成されるように形成され、前記第2の回転セクション部分は、ノッチ(550(1))によって形成される、請求項3に記載のステアラブル機器。
【請求項6】
前記開口部は、前記回転中心を形成する中心を有する円形開口部であり、前記ピン(556(1);556(n))は、前記回転中心を中心として回転可能であるように前記開口部内に配置されている、請求項1に記載のステアラブル機器。
【請求項7】
前記開口部は、前記回転中心を形成する中心を有する円の弧に沿って配置されたスロット(1158(1);1158(n))であり、前記ピン(1156(1);1156(n))は、前記円の弧に沿って前記スロット内で移動可能であるように前記スロット内に配置されている、請求項1に記載のステアラブル機器。
【請求項8】
前記取付け要素は、前記第1の円筒状要素の内側に位置する前記第2の円筒状要素内の隣接するステアリングストリップ(1004)間にある接線方向スペーサ(1006)である、請求項1に記載のステアラブル機器。
【請求項9】
前記取付け要素は、前記第1の円筒状要素の内側に位置する前記第2の円筒状要素内の隣接するステアリングケーブル(1004a)間にある接線方向スペーサ(1006)である、請求項1に記載のステアラブル機器。
【請求項10】
前記ステアラブル機器は、前記ステアリングストリップ(1004)によってステアラブルな遠位端部分を備え、前記ステアリングストリップ(1004)は、前記第2の円筒状要素(1000)を切り抜いて形成された長手方向要素である、請求項8に記載のステアラブル機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0178
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0178】
[00196] 開示された実施形態の変形は、当業者が請求項に記載の発明を実施する際に、図、説明、及び添付の特許請求の範囲の参酌から理解及び達成することができる。説明及び特許請求の範囲において、「備える」という語は他の要素を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。実際、それは「少なくとも1つ」を意味するものと解釈するべきである。単にある特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているということだけでは、これらの特徴の組合せを有利に使用できないことを示さない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。上述の実施形態及び態様の特徴は、それらを組み合わせて明らかな技術的矛盾が生じない限り、組み合わせることができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 中心軸(520c;1100c)を有し、ヒンジ構造を備えた円筒状要素(520;1100)であって、
第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))と、
第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))と、前記第2の部分は、前記中心軸から前記第1の部分と同じ距離をあけて位置しており、前記円筒状要素の接線方向で見て互いに対して180°回転した位置に配置された2つの回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))を中心として前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))に対して回転可能であり、
取付け要素(502(1);1006;502(n))と、
ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))と、
を備え、
前記回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))は、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))又は前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のいずれか一方に、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を収容する開口部が設けられること、
前記ピン(556(1));1156(1);556(n);1156(n))が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の一部分(506(1);506(n))に取り付けられること、及び、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの他方が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けられること、
によって実現され、
それによって、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、長手方向、接線方向、及び半径方向に互いに対して移動することができないが、回転中心を中心として互いに対して回転するように構成されている、円筒状要素。
[2] 前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記中心軸と実質的に直角に延在する半径方向において互いに重ならないように配置されている、[1]に記載の円筒状要素。
[3] 前記開口部が設けられた前記第1の部分又は前記第2の部分の前記一方は、前記開口部が設けられた第1の回転セクション部分(548(1))を備え、
前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの前記他方は、前記第1の回転セクション部分を少なくとも部分的に囲む第2の回転セクション部分(550(1))を備え、前記第2の回転セクション部分は、前記取付け要素に少なくとも部分的に取り付けられている、[1]又は[2]に記載の円筒状要素。
[4] 前記第1の回転セクション部分及び前記第2の回転セクション部分は、前記中心軸から同じ距離をあけて位置する、[3]に記載の円筒状要素。
[5] 前記第1の回転セクション部分及び前記第2の回転セクション部分は、相補的形状又は回転可能に嵌合する形状を有するセクションを備える、[3]又は[4]に記載の円筒状要素。
[6] 前記第1の回転セクション部分は、前記開口部の外縁部を画定するスロット(542(1))が設けられた延長部(548(1))として形成され、かつ前記ピンを形成するアイランド(556(1))が前記開口部内に形成されるように形成され、前記第2の回転セクション部分は、ノッチ(550(1))によって形成される、[3]~[5]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[7] 前記第1の部分及び前記第2の部分は、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって、単一の円筒状要素から作製される、[1]~[6]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[8] 前記取付け要素は、前記中心軸から前記第1の部分及び前記第2の部分とは異なる距離をあけて位置する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[9] 前記取付け要素は、前記円筒状要素の内側に位置する更なる円筒状要素(500)内の更なるヒンジ構造のヒンジ部分(502(1);502(n))である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[10] 前記取付け要素は、前記円筒状要素の内側に位置する更なる円筒状要素内の隣接するステアリングストリップ(1004)間にある接線方向スペーサ(1006)である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[11] 前記取付け要素は、前記円筒状要素の内側に位置する更なる円筒状要素内の隣接するステアリングケーブル(1004a)間にある接線方向スペーサ(1006)である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[12] 前記開口部は、前記回転中心を形成する中心を有する円形開口部であり、前記ピン(556(1);556(n))は、前記回転中心を中心として回転可能であるように前記開口部内に配置されている、[1]~[11]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[13] 前記開口部は、前記回転中心を形成する中心を有する円の弧に沿って配置されたスロット(1158(1);1158(n))であり、前記ピン(1156(1);1156(n))は、前記円の弧に沿って前記スロット内で移動可能であるように前記スロット内に配置されている、[1]~[3]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[14] 前記ピンは、前記開口部を切断加工する前に前記開口部内に位置する材料を切り抜いて形成された円盤である、[1]~[13]のいずれか一項に記載の円筒状要素。
[15] [1]~[14]のいずれか一項に記載の円筒状要素を備えるステアラブル機器。
[16] 前記ステアラブル機器は、前記ステアリングストリップ(1004)又は前記ステアリングケーブル(1004a)によってステアラブルな遠位端部分を備え、前記ステアリングストリップ(1004)は、前記更なる円筒状要素(1000)を切り抜いて形成された長手方向要素である、[10]又は[11]のいずれか一項に従属する[15]に記載のステアラブル機器。
[17] 前記接線方向スペーサ(1006)は、前記更なる円筒状要素(1000)を切り抜いて形成された一部分である、[16]に記載のステアラブル機器。
[18] 中心軸を有し、ヒンジ構造を備えた円筒状要素を製造する方法であって、前記円筒状要素は、
第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))と、
第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))と、前記第2の部分は、前記中心軸から前記第1の部分と同じ距離をあけて位置しており、前記円筒状要素の接線方向で見て互いに対して180°回転した位置に配置された2つの回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))を中心として前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))に対して回転可能であり、
取付け要素(502(1);1006;502(n))と、
ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))と、
を備え、
前記回転セクション(530(1);1130(1);530(n);1130(n))は、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))又は前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のいずれか一方に、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を収容する開口部が設けられること、
前記ピン(556(1));1156(1);556(n);1156(n))が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の一部分(506(1);506(n))に取り付けられること、及び、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの他方が、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けられること、
によって実現され、
それによって、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))は、長手方向、接線方向、及び半径方向に互いに対して移動することができないが、回転中心を中心として互いに対して回転するように構成されており、
前記方法は、前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))を形成するように、例えば、レーザ切断加工又は水切断加工によって前記円筒状要素から所定のパターンを切り取ることによって、単一の円筒状要素(520;1100)から前記第1の部分及び前記第2の部分を形成することを含む、方法。
[19] 更なる円筒状要素(500;1000;1000a)を前記単一の円筒状要素(520;1100)の内側に挿入することと、前記更なる円筒状要素(500;1000;1000a)は、前記取付け要素(502(1);1006;502(n))を備え、
次いで前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の前記一部分に取り付けることと、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの前記他方を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けることと、
を含む、[18]に記載の方法。
[20] 前記更なる円筒状要素(500;1000)を前記単一の円筒状要素(520;1100)の内側に挿入する間に、前記ピン(556(1);1156(1);556(n))を前記単一の円筒状要素(520;1100)の周囲材料にまだ取り付けている1つ又は複数の破断要素を破損させることと、前記破損は、前記ピン(556(1);1156(1);556(n);1156(n))を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の一部分に取り付けた後に行われ、
前記第1の部分(524;1124;522(n-1);1122(n-1))及び前記第2の部分(522(1);1122(1);522(n);1122(n))のうちの前記他方を前記取付け要素(502(1);1006;502(n))の別の部分に取り付けることと、
を含む、[18]又は[19]に記載の方法。
[21] [15]~[17]のいずれか一項に記載のステアラブル機器を製作する動作を含む、[18]~[20]のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】