(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170508
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸の治療のためのα2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)拮抗薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20241203BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20241203BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241203BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K31/506
C07D491/107
A61P25/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024151538
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2021527185の分割
【原出願日】2019-11-13
(31)【優先権主張番号】18207138.1
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デルベック,マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ミヒャエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】睡眠関連呼吸障害、例えば閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸及びいびきの治療及び/又は予防のための方法における使用のための治療剤を提供する。
【解決手段】α2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)アンタゴニスト、特に、式(I)の置換ピペリジニル-ピリミジニル-テトラヒドロキノリンを提供する。式(I)中、基Xは(A)または(B)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための、以下の式(I)
の化合物、
【化1】
[式中
Xは、以下の基
【化2】
{式中、
R
1はC
1~C
6-アルキルまたはC
3~C
5-シクロアルキル(ここで、アルキルは
ヒドロキシ、C
1~C
4-アルコキシおよびハロアルコキシからなる群から選択される1
~2個の互いに独立した置換基で置換されている)を表し、および
R
2は水素またはC
1~C
4-アルキルを表すか、あるいは
R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員のN-複素環
を形成し、
ここで、該N-複素環はオキソ、ヒドロキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル
、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、アミノ
カルボニル、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルコキシ
-C
1~C
4-アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシアルキルからなる群より選択される
1~3個の互いに独立した置換基で置換されていてもよく、または
該N-複素環は2個の置換基を有していてもよく、それらは、それらが共に結合するN
-複素環の炭素原子と一緒になって4~6員の複素環を形成し(ここで、該複素環は、そ
の一部がオキソ、メチルおよびエチルからなる群から選択される1~3個の互いに独立し
た置換基で置換されていてもよい)}であり、
R
3は水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表し、および
R
4は水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表す]
またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項2】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための請求項1に記載の
化合物であって、
R1はC1~C6-アルキルまたはC3~C5-シクロアルキル(ここで、アルキルは
ヒドロキシおよびC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1~2個の互いに独
立した置換基で置換されている)を表し、および
R2は水素またはC1~C4-アルキルを表すか、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員のN-複素環
を形成し、
ここで、該N-複素環はオキソ、ヒドロキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル
、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、アミノ
カルボニル、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシおよびハロゲンからなる群
より選択される1~3個の互いに独立した置換基で置換されていてもよく、または
該N-複素環は2個の置換基を有していてもよく、それらは、それらが共に結合するN
-複素環の炭素原子と一緒になって4~6員の複素環(ここで、該複素環は、その一部が
オキソ、メチルおよびエチルからなる群から選択される1~3個の互いに独立した置換基
で置換されていてもよい)を形成し、
R3は水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表し、および
R4は水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表す、
前記化合物またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項3】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための請求項1に記載の
化合物であって、
R1はC2~C6-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシ、メトキシおよびエトキ
シからなる群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R2は水素を表すか、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、1-オキシドチ
オモルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンを形成し、
ここで、前記アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジン、モルホリ
ン、チオモルホリン、1-オキシドチオモルホリンおよび1,1-ジオキシドチオモルホ
リンは、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、C1~C3-アルキ
ル、メトキシおよびメトキシメチルからなる群より選択される1~2個の互いに独立した
置換基で置換されていてもよく、あるいは
前記アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジンおよびモルホリンは
2つの置換基であって、それらが共に結合するアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ア
ゼパン、ピペラジンまたはモルホリンの炭素原子と一緒になって、アゼチジン、オキセタ
ンまたは1,1-ジオキシドチエタン(ここで、該アゼチジン、オキセタンまたは1,1
-ジオキシドチエタンは、その一部がメチルおよびエチルからなる群から選択される1~
2個の互いに独立した置換基で置換されていてもよい)を形成する2つの置換基を有して
いてもよく、
R3は水素を表し、および
R4は水素、フッ素またはメトキシを表すか、あるいは
R3は水素、フッ素またはメトキシを表し、および
R4は水素を表す、
前記化合物またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項4】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための請求項1に記載の
化合物であって、
R1はC2~C4-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシおよびメトキシからなる
群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R2は水素を表すか、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリン(ここで、該アゼチジン、ピロ
リジン、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンは、ヒドロキシカルボニル
、メチル、トリフルオロメチル、メトキシおよびメトキシメチルからなる群から独立して
選択される1~2個の置換基で置換されていてもよい)を形成し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合するアゼチジンの炭素原
子と一緒になって、オキセタンまたは1,1-ジオキシドチエタンを形成する2つの置換
基を有していてもよく、
R3は水素、フッ素またはメトキシを表し、および
R4は水素を表すか、あるいは
R3は水素を表し、および
R4は水素、フッ素またはメトキシを表す
前記化合物またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項5】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための請求項1に記載の
化合物であって、
R1はC2~C4-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシおよびメトキシからなる
群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R2は水素を表すか、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリン(ここで、該アゼチジン、ピロ
リジン、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンは、ヒドロキシカルボニル
、メチル、トリフルオロメチル、メトキシおよびメトキシメチルからなる群から独立して
選択される1~2個の置換基で置換されていてもよい)を形成し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合するアゼチジンの炭素原
子と一緒になってオキセタンまたは1,1-ジオキシドチエタンを形成する2つの置換基
を有していてもよく、
R3は水素またはフッ素を表し、および
R4は水素、フッ素またはメトキシを表す、
前記化合物またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項6】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための請求項1に記載の
化合物であって、
Xは、以下の基
【化3】
[式中、
R
1はC
2~C
4-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシおよびメトキシからなる
群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R
2は水素を表すか、あるいは
R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリン(ここで、該アゼチジン、ピロ
リジン、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンは、ヒドロキシカルボニル
およびメチルからなる群から独立して選択される1~2個の置換基で置換されていてもよ
い)を形成し、あるいは
R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合するアゼチジンの炭素原
子と一緒になってオキセタンを形成する2つの置換基を有していてもよい]であり、
R
3は水素、フルオロまたはメトキシを表し、および
R
4は水素を表すか、あるいは
R
3は水素を表し、および
R
4は水素、フルオロまたはメトキシを表す、
前記化合物またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項7】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使用のための請求項6に記載の
化合物であって、
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合するアゼチジンの炭素原
子と一緒になってオキセタンを形成する2つの置換基を有し、
R3は水素を表し、および
R4 は水素を表す、
前記化合物またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
【請求項8】
睡眠関連呼吸障害が閉塞性もしくは中枢性睡眠時無呼吸またはいびきである、請求項1
~7に記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の使用のための、式(I)の1つ以上の化合物と1つ以
上の他の活性化合物との組み合わせ。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の使用のための、請求項1~7のいずれかに記載の式(
I)の化合物の少なくとも1つを、1つ以上の不活性な非毒性の薬学的に適切な賦形剤と
組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の組み合わせを、請求項1~8のいずれかに記載の使用のための1つ以
上の不活性な非毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項12】
睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防のための方法であって、請求項1~7のい
ずれかに記載の少なくとも1つの化合物の治療有効量、または請求項1~7のいずれかに
記載の少なくとも1つの化合物を不活性な非毒性の薬学的に許容可能な添加剤と組み合わ
せて含む薬剤の治療有効量を、全身的および/または局所的に投与することによる方法。
【請求項13】
前記薬剤が、ムスカリン受容体アンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴ
ニスト、利尿薬、コルチコステロイドからなる群から選択される少なくとも1つのさらな
る活性化合物をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ムスカリン受容体アンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、利尿
薬、コルチコステロイドからなる群から選択される1つ以上のさらなる活性成分と組み合
わせて、請求項1~7のいずれかに定義される式(I)の化合物を含む医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびいび
きの治療および/または予防のための方法における使用のためのα2-アドレナリン受容
体サブタイプC(α-2C)アンタゴニスト、特に、式(I)の置換ピペリジニル-ピリ
ミジニル-テトラヒドロキノリンおよびピペリジニル-ピリジニル-テトラヒドロキノリ
ンに関する。
【背景技術】
【0002】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、上気道の閉塞エピソ-ドを繰り返すことを特徴とす
る睡眠関連呼吸障害である。息を吸い込むとき、上気道の開存性は2つの反対の力の相互
作用によって確保される。上気道の筋組織の拡張作用により、管腔を収縮させる負の管腔
内圧が打ち消される。横隔膜と他の補助呼吸筋の能動的収縮は、気道に負圧を発生させ、
呼吸の駆動力を構成する。上気道の安定性は、上気道の拡張筋の協調と収縮特性によって
実質的に決定される。
【0003】
OSAにおける上気道虚脱はいくつかの上気道拡張筋の活動の低下のため、睡眠開始時
に起こり、その結果、解剖学的に脆弱な気道を開いた状態に維持することができないと考
えられる。しかし、上気道の拡張筋の中で最も重要で、舌下神経に支配されているオトガ
イ舌筋を含むいくつかの上気道拡張筋は呼吸刺激に反応して睡眠中の活動を増加させるこ
とができ、睡眠開始時のこれらの変化のいくつかに対抗する可能性がある。OSA患者は
閉塞性無呼吸の頻度が高い睡眠相と比較して、オトガイ舌筋活動が25~40%高値を示
すにすぎない無呼吸なしの区間を有することが観察された(Jordan AS、Whi
te DP、Lo YLら;Airway dilator muscle activ
ity and lung volume during stable breath
ing in obstructive sleep apnea;Sleep 200
9;32(3):361-8)。ノルアドレナリンは、舌下運動ニューロン活動の最も強
力な神経調節因子の1つである(Horner R.L.;Neuromodulati
on of hypoglossal motoneurons during sle
ep;Respir Physiol Neurobiol 2008;164(1-2
):179-196)。ノルアドレナリン作動性駆動の低下は、上気道拡張筋活動の低下
、特にオトガイ舌筋活動の低下をもたらす舌下運動ニューロン興奮の睡眠依存性低下につ
ながると考えられている。
【0004】
α2Cアドレナリン受容体は中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンからのノルアドレ
ナリンの放出を調節する。それらはノルアドレナリンのシナプス前フィードバック阻害に
関与する自己受容体である(Hein L.ら;Two functionally d
istinct alpha2-adrenergic receptors regu
late sympathetic neurotransmission;Natur
e 1999;402(6758):181-184)。α2cアドレナリン受容体拮抗
作用を介して舌下神経の運動ニューロンニューロンの活動が増加すると、上気道が安定化
し、虚脱や閉塞から保護される。さらに、いびきはまた、上気道の安定化のメカニズムに
よって抑制され得る。
【0005】
単純性いびきでは、上気道の閉塞はない。上気道が狭くなることによって、吸気および
呼気の流速が増加する。これは弛緩した筋肉とともに、気流中の口やのどの軟部組織の粗
動を引き起こす。このわずかな振動が典型的ないびき音を発生させる。
【0006】
閉塞性いびき(上気道抵抗症候群、重いいびき、低呼吸症候群)は、睡眠中の再発性の
上気道の部分的閉塞によって起こる。その結果、気道抵抗が増大し、かなりの胸腔内圧変
動を伴う呼吸仕事量が増大する。それにより、吸気中の負の胸腔内圧発生はOSAにおけ
る完全な気道閉塞の結果として生じる値にまで達することができる。心臓、循環および睡
眠の質に対する病態生理学的影響は、閉塞性睡眠時無呼吸におけるものと同じである。病
因はOSAと同じである可能性が高い。閉塞性いびきは、しばしば、OSAの前兆をもた
らす(Hollandt J.H.ら;Upper airway resistanc
e syndrome(UARS)-obstructive snoring;HNO
2000;48(8):628-634)。
【0007】
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は、脳機能障害または呼吸調節障害の結果として起こる
。CSAは睡眠中に呼吸しようとする駆動性がないことを特徴とし、その結果、換気が不
十分または不在であり、ガス交換が損なわれる期間が繰り返し生じる。CSAにはいくつ
かの症状がある。これらには、高地誘発性周期性呼吸、特発性CSA(ICSA)、麻薬
誘発性中枢性無呼吸、肥満低換気症候群(OHS)、チェ-ン・スト-クス呼吸(CSB
)などがある。様々なタイプのCSAに関与する正確な誘発機序はかなり異なる可能性が
あるが、睡眠中の不安定な換気駆動は主要な基礎的特徴である(Eckert D.J.
ら;Central sleep apnea:Pathophysiology an
d treatment;Chest 2007;131(2):595-607)。
【0008】
米国特許出願公開第2018/0235934号は、舌下運動ニューロンニューロン興
奮性を促進するための薬剤を使用して、閉塞性睡眠時無呼吸などの障害を治療するための
方法を記載している。舌下運動ニューロンの興奮性を促進する薬剤として、中枢性ノルア
ドレナリンニューロンの脱抑制剤および/または刺激剤について記載している。いくつか
の実施形態において、中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンの脱抑制剤は、ヨヒンビン
またはα2-アドレナリン受容体サブタイプA(α-2A)アンタゴニストまたはα2-
アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)アンタゴニストのようなα2-アドレナリ
ン受容体アンタゴニストである。当該α2-アドレナリン受容体アンタゴニストは、アチ
パメゾ-ル、MK-912、RS-79948、RX 821002、[3H]2-メト
キシイダゾキサンおよびJP-1302からなる群より選択される。
【0009】
α2Cアドレナリン受容体はG蛋白質共役型受容体ファミリ-に属する。異なるα1-
アドレナリン受容体に加えて、3つの異なるα2-アドレナリン受容体サブタイプが存在
する(α2A、α2Bおよびα2C)。これらは、シナプスまたは血液を介して誘導され
る内因性カテコ-ルアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン)による刺激に際して、異
なる組織におけるいくつかの多様な生理学的作用の媒介に関与する。α2アドレナリン受
容体は、主に心血管系および中枢神経系において重要な生理学的役割を果たしている。α
2A-およびα2C-アドレナリン受容体は、中枢神経系におけるノルアドレナリンのシ
ナプス前フィードバック阻害に関与する主要な自己受容体である。α2C-アドレナリン
受容体でのノルアドレナリンの効力と親和性は、α2A-アドレナリン受容体よりも高い
。α2C-アドレナリン受容体はノルアドレナリンの内生濃度が低い時にノルアドレナリ
ン放出を抑制するが、α2A-アドレナリン受容体はノルアドレナリンの内生濃度が高い
時にノルアドレナリン放出を抑制する(Uys M.M.ら;Therapeutic
Potential of Selectively Targeting the α
2C-Adrenoceptor in Cognition,Depression,
and Schizophrenia-New Developments and F
uture Perspective;Frontiers in Psychiatr
y 2017;8月14日;8:144;doi:10.3389/fpsyt.201
7.00144eCollection 2017)。
【0010】
α2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)アンタゴニストとしての置換ピペ
リジニル-ピリミジニル-テトラヒドロキノリン類およびピペリジニル-ピリジニル-テ
トラヒドロキノリン類ならびにそれらの製法およびその医薬としての使用は、WO201
5/091414A1およびWO2015/091417A1において、原発型および続
発型の糖尿病性細小血管症、糖尿病性創傷治癒、四肢での糖尿病性潰瘍、特に糖尿病性足
潰瘍の創傷治癒の促進、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、糖尿病性勃起不全、糖尿病性
心不全、糖尿病性冠動脈性心臓病、末梢および心血管障害、血栓塞栓性障害および虚血、
末梢循環障害、レイノー現象、CREST症候群、微小循環障害、間欠性跛行ならびに末
梢および自律神経障害の治療および/または予防に有用であることが開示されている。睡
眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびいびきの治療におけ
るこれらの化合物の使用については何も開示されていない。
【0011】
OSA患者に対する現在のゴ-ルドスタンダ-ド治療は持続的気道陽圧療法(CPAP
)である。気流タ-ビンポンプスプリントによって生成される正の気流圧力は上気道を開
き、咽頭虚脱の全ての潜在的な原因を逆転させ、それによって、呼吸低下、無呼吸および
睡眠断片化を防止する。残念ながら、OSAを有する全ての患者の50%までは、長期的
にCPAPに耐えられない(M.Kohler、D.Smith、V.Tippettら
;Thorax 2010;65(9):829-32;Predictors of
long-term compliance with continuous pos
itive airway pressure)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0235934号公報
【特許文献2】国際公開第WO2015/091414号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO2015/091417号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Jordan AS、White DP、Lo YLら;Sleep 2009;32(3):361-8
【非特許文献2】Horner R.L.;Respir Physiol Neurobiol 2008;164(1-2):179-196
【非特許文献3】Hein L.ら;Nature 1999;402(6758):181-184
【非特許文献4】Hollandt J.H.ら;HNO 2000;48(8):628-634
【非特許文献5】Eckert D.J.ら;Chest 2007;131(2):595-607
【非特許文献6】Uys M.M.ら;Frontiers in Psychiatry 2017;8月14日;8:144;doi:10.3389/fpsyt.2017.00144eCollection 2017
【非特許文献7】M.Kohler、D.Smith、V.Tippettら;Thorax 2010;65(9):829-32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、依然として、閉塞性睡眠時無呼吸のような睡眠関連呼吸障害の治療および
/または予防のための有効な治療剤を見出す必要性が存在する。したがって、本発明の目
的は、睡眠関連呼吸障害、例えば閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸およびいびき
の治療および/または予防のための有効な治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、本発明の式(I)の置換ピペリジニル-ピリミジニル-テトラヒドロ
キノリンおよびピペリジニル-ピリジニル-テトラヒドロキノリンは上気道虚脱性を阻害
し、したがって睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびい
びきの治療および/または予防における使用のための薬剤の製造に適していることが今回
見出された。
【0016】
本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびいび
きの治療および/または予防法における使用のための、以下の式(I)の化合物、
【化1】
[式中
Xは、以下の基
【化2】
{式中、
R
1はC
1~C
6-アルキルまたはC
3~C
5-シクロアルキルを表し、アルキルは、
ヒドロキシ、C
1~C
4-アルコキシおよびハロアルコキシからなる群から選択される1
~2個の互いに独立した置換基で置換されており、および
R
2は水素またはC
1~C
4-アルキルを表し、あるいは
R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員のN-複素環
を形成し、
ここで、該N-複素環は、オキソ、ヒドロキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチ
ル、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、アミ
ノカルボニル、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルコキ
シ-C
1~C
4-アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシアルキルからなる群より選択され
る1~3個の互いに独立した置換基で置換されていてもよく、または
該N-複素環は2個の置換基を有していてもよく、それらは、それらが共に結合してい
るN-複素環の炭素原子と一緒になって4~6員の複素環を形成し(ここで、該複素環は
、その一部がオキソ、メチルおよびエチルからなる群から選択される1~3個の互いに独
立した置換基で置換されていてもよく)}であり、
R
3は、水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表し、および
R
4は、水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表す]
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリミジン-5-イル]メタノンを0分の時点で0.007mg/kgで静脈内ボ-ラス注射後、0.0025mg/kg/hで4時間静脈内投与したときの、異なる陰圧レベルでの上気道の虚脱性への影響。虚脱が認められない豚の割合を示す。平均値。
【
図2】[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリミジン-5-イル]メタノンを0分の時点で0.07mg/kgで静脈内ボ-ラス注射後、0.025mg/kg/hで4時間静脈内投与したときの、異なる陰圧レベルでの上気道の虚脱性への影響。虚脱が認められない豚の割合を示す。平均値。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の文脈において、特に明記しない限り、置換基は以下のように定義される:
アルキル自体ならびにアルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルアミノおよびアルコ
キシカルボニル中の「アルコ」および「アルキル」は、1~6個の炭素原子、好ましくは
1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を表し、例として、そして好まし
くはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、te
rt-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルである。
【0019】
アルコキシは、例として、そして好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イ
ソプロポキシ、n-ブトキシおよびtert-ブトキシを表す。
【0020】
アルコキシアルキルは、例として、そして好ましくはメトキシメチル、エトキシメチル
、n-プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n-ブトキシメチル、tert-ブト
キシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、n-プロポキシエチル、イソプロポキシ
エチル、n-ブトキシエチルおよびtert-ブトキシエチルを表す。
【0021】
基R
1
およびR
2
の定義におけるN-複素環は、4~7個の環原子を有する飽和および
部分不飽和単環基であって、窒素ヘテロ原子ならびにS、O、N、SOおよびSO2から
なる群からの3個までのさらなるヘテロ原子および/またはヘテロ基を有し、窒素原子は
N-オキシドを形成してもよい単環基を表し、例として、そして好ましくはアゼチジン、
ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、1-オ
キシドチオモルホリンおよび1,1-ジオキシドチオモルホリン、特に好ましくはアゼチ
ジン、ピロリジン、モルホリンおよび1,1-ジオキシドチオモルホリンである。
【0022】
基R
1
およびR
2
の定義における複素環であって、それが結合しているN-複素環との
共有炭素原子を有する複素環は、4~6個の環原子ならびにS、O、N、SOおよびSO
2からなる群からの4個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有し、窒素原子はN
-オキシドを形成してもよい飽和および部分不飽和単環基を表し、例として、そして好ま
しくはアゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ピペリジ
ン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、テトラヒドロピランおよび1,1-ジオ
キシドチエタン、特に好ましくはアゼチジンおよびオキセタンであり、さらにより好まし
くはオキセタンである。
【0023】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表し、好ましくはフッ素および塩素で
ある。
【0024】
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書において、そのままで、または別の基の一部と
して使用される場合、-OH基を指す。
【0025】
本明細書で使用される「本発明の化合物」という表現は、式Iの化合物を指す。
【0026】
薬学的に許容される塩(例えば、有機酸および無機酸の両方を有する酸付加塩)は、医
薬の分野において公知である。薬学的に許容される酸付加塩の代表的な例としては、塩化
物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ギ酸塩、
酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩、
酢酸塩およびシュウ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の水和物または溶媒和物は、固体または液体状態で、水との水和または溶媒分子
との配位によって分子化合物または錯体を形成する式(I)の化合物の形態として指定さ
れる。水和物の例は、セスキ水和物、一水和物、二水和物または三水和物である。同様に
、本発明の化合物の塩の水和物または溶媒和物も好適である。
【0028】
薬学的に許容可能なエステルは、適用可能な場合、医薬の分野において慣用的であり、
そして遊離形態の薬理学的特性を保持する薬学的に許容可能な酸を使用する公知の方法に
よって調製され得る。これらのエステルの非限定的な例としては、脂肪族または芳香族ア
ルコ-ルのエステルが挙げられる。薬学的に許容されるエステルの代表的な例としてはメ
チル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル
、tert-ブチルおよびベンジルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明はその範囲内に、化合物の全ての可能な幾何異性体、例えばZおよびE異性体(
シスおよびトランス異性体)、ならびに化合物の全ての可能な光学異性体、例えばジアス
テレオマ-およびエナンチオマ-を含む。さらに、本発明はその範囲に、個々の異性体お
よびそれらの任意の混合物(例えばラセミ混合物)の両方を含む。個々の異性体は出発物
質の対応する異性体形態を使用して得られてもよく、またはそれらは従来の分離方法に従
って、最終化合物の調製後に分離されてもよい。光学異性体、例えば鏡像異性体をそれら
の混合物から分離するために、慣用の分割法、例えば分別結晶化を使用することができる
。
【0030】
本発明の特定の実施形態は、睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法における使
用のための、以下の式(I)の化合物:
R1は、C1~C6-アルキルまたはC3~C5-シクロアルキル(ここで、アルキル
はヒドロキシおよびC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1~2個の互いに
独立した置換基で置換されている)を表し、および
R2は、水素またはC1~C4-アルキルを表し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員のN-複素環
を形成し、
ここで、該N-複素環は、オキソ、ヒドロキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチ
ル、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、アミ
ノカルボニル、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシおよびハロゲンからなる
群より選択される1~3個の互いに独立した置換基で置換されていてもよく、または
該N-複素環は2個の置換基を有していてもよく、それらは、それらが共に結合してい
るN-複素環の炭素原子と一緒になって4~6員の複素環(ここで、該複素環は、その一
部がオキソ、メチルおよびエチルからなる群から選択される1~3個の互いに独立した置
換基で置換されていてもよい)を形成し、
R3は、水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表し、および
R4は、水素、フッ素、メトキシまたはエトキシを表す化合物、
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0031】
本発明のさらなる特定の実施形態は、睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防のた
めの方法における使用のための、以下の式(I)の化合物:
R1は、C2~C6-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシ、メトキシおよびエト
キシからなる群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R2は、水素を表し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、1-オキシドチ
オモルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンを形成し、
ここで、前記アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジン、モルホリ
ン、チオモルホリン、1-オキシドチオモルホリンおよび1,1-ジオキシドチオモルホ
リンは、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、C1~C3-アルキ
ル、メトキシおよびメトキシメチルからなる群より選択される1~2個の互いに独立した
置換基で置換されていてもよく、あるいは
前記アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジンおよびモルホリンは
2つの置換基であって、それらが共に結合するアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ア
ゼパン、ピペラジンまたはモルホリンの炭素原子と一緒になって、アゼチジン、オキセタ
ンまたは1,1-ジオキシドチエタン(ここで、該アゼチジン、オキセタンまたは1,1
-ジオキシドチエタンは、その一部がメチルおよびエチルからなる群から選択される1~
2個の互いに独立した置換基で置換されていてもよい)を形成する2つの置換基を有して
いてもよく、
R3は水素を表し、および
R4は、水素、フッ素またはメトキシを表すか、あるいは
R3は、水素、フッ素またはメトキシを表し、および
R4は水素を表す化合物、
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0032】
本発明のさらなる特定の実施形態は、睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法に
おける使用のための、以下の式(I)の化合物:
R1は、C2~C4-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシおよびメトキシからな
る群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R2は水素を表し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、モルホリン、1,1-ジオキシドチオモルホリン(ここで、アゼチジン、ピロリジン
、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンは、ヒドロキシカルボニル、メチ
ル、トリフルオロメチル、メトキシおよびメトキシメチルからなる群から独立して選択さ
れる1~2個の置換基で置換されていてもよい)を形成し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合しているアゼチジンの炭
素原子と一緒になって、オキセタンまたは1,1-ジオキシドチエタンを形成する2つの
置換基を有していてもよく、
R3は、水素、フッ素またはメトキシを表し、および
R4は水素を表すか、あるいは
R3は水素を表し、および
R4は、水素、フッ素またはメトキシを表す化合物、
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0033】
本発明のさらなる特定の実施形態は、睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防法に
おける使用のための、以下の式(I)の化合物:
R1はC2~C4-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシおよびメトキシからなる
群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R2は水素を表し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、モルホリン、1,1-ジオキシドチオモルホリン(ここで、アゼチジン、ピロリジン
、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンは、ヒドロキシカルボニル、メチ
ル、トリフルオロメチル、メトキシおよびメトキシメチルからなる群から独立して選択さ
れる1~2個の置換基で置換されていてもよい)を形成し、あるいは
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合しているアゼチジンの炭
素原子と一緒になってオキセタンまたは1,1-ジオキシドチエタンを形成する2つの置
換基を有していてもよく、
R3は、水素またはフッ素を表し、および
R4は、水素、フッ素またはメトキシを表す化合物、
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0034】
本発明のさらに特に好ましい実施形態は、睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防
法における使用のための、以下の式(I)の化合物:
Xは、以下の基
【化3】
[式中、
R
1はC
2~C
4-アルキル(ここで、アルキルはヒドロキシおよびメトキシからなる
群から選択される置換基で置換されている)を表し、および
R
2は水素を表し、あるいは
R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジ
ン、モルホリン、1,1-ジオキシドチオモルホリン(ここで、アゼチジン、ピロリジン
、モルホリンまたは1,1-ジオキシドチオモルホリンは、ヒドロキシカルボニルおよび
メチルからなる群から独立して選択される1~2個の置換基で置換されていてもよい)を
形成し、あるいは
R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成し、こ
こで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合しているアゼチジンの炭
素原子と一緒になってオキセタンを形成する2つの置換基を有していてもよい]であり、
R
3は、水素、フルオロまたはメトキシを表し、および
R
4は水素を表すか、あるいは
R
3は水素を表し、および
R
4は、水素、フルオロまたはメトキシを表す化合物、
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0035】
本発明のさらに特に好ましい実施形態は、睡眠関連呼吸障害の治療および/または予防
のための方法における使用のための、以下の式(I)の化合物:
Xは、以下の基
【化4】
[式中、R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になってアゼチジンを形成
し、ここで、該アゼチジンは2つの置換基であって、それらが共に結合しているアゼチジ
ンの炭素原子と一緒になってオキセタンを形成する2つの置換基を有する]であり、
R
3は水素を表し、および
R
4 は水素を表す化合物、
ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0036】
R2が水素を表す式(I)の化合物も好ましい。
【0037】
R1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、2-オキサ-6-
アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イルを表す、式(I)の化合物も好ましい。
【0038】
R1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1,1-ジオキシ
ドチオモルホリン-4-イルを表す式(I)の化合物も好ましい。
【0039】
R3が水素を表す式(I)の化合物も好ましい。
【0040】
R4が水素を表す式(I)の化合物も好ましい。
【0041】
R3とR4が水素を表す式(I)の化合物も好ましい。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中
枢性睡眠時無呼吸およびいびきの治療および/または予防のための方法における使用のた
めの、以下からなる群から選択される式(I)の化合物:
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
{2-[(2-メトキシエチル)アミノ]ピリミジン-5-イル}メタノン、
[4-(7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル]{2-[(1-メトキシブタン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-イ
ル}メタノン、
[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル]{2-[(1-メトキシブタン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-イ
ル}メタノン、
{2-[(1-メトキシブタン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-イル}[4-(
7-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イ
ル]メタノン、
{2-[(1-メトキシブタン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-イル}[4-(
6-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イ
ル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
{2-[(1-メトキシブタン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-イル}メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
{2-[(1-ヒドロキシブタン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-イル}メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリミジン-5-イ
ル]メタノン、
[4-(7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリ
ミジン-5-イル]メタノン、
[4-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリ
ミジン-5-イル]メタノン、
1-(5-{[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン
-1-イル]カルボニル}ピリミジン-2-イル]-D-プロリン塩酸塩、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[2-(1,1-ジオキシドチオモルホリン-4-イル)ピリミジン-5-イル]メタノ
ン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[2-(2,6-ジメチルモルホリン-4-イル)ピリミジン-5-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]ピペリジン-1-イル]
[2-(2,6-ジメチルモルホリン-4-イル)ピリミジン-5-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[2-(2,2-ジメチルモルホリン-4-イル)ピリミジン-5-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
{6-[(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-3-イル}メタノン、
[4-(7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル]{6-[(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-3-イル}メタノン
、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(1,1-ジオキシドチオモルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル]メタノン
、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
{6-[(2R)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]ピリジン-3-イル
}メタノン、
1-(5-{[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン
-1-イル]カルボニル}}ピリジン-2-イル]-D-プロリン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
(6-{[(2S)-1-ヒドロキシブタン-2-イル]アミノ}ピリジン-3-イル)
メタノン、
[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル][6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]メタ
ノン、
[4-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル][6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]メタ
ノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリジン-3-イル
]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(2,6-ジメチルモルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(2,6-ジメチルモルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(2,2-ジメチルモルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル]メタノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
{6-[2-(トリフルオロメチル)モルホリン-4-イル]ピリジン-3-イル}メタ
ノン、
[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル]
[6-(2,2-ジオキシド-2-チア-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)
ピリジン-3-イル]メタノン、
ならびにそれらの塩、溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物に関する。
【0043】
より好ましい実施形態において、本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性およ
び中枢性睡眠時無呼吸およびいびきの治療および/または予防のための方法における使用
のための、化合物[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジ
ン-1-イル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリ
ミジン-5-イル]メタノンならびにその塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物に関する
。
【0044】
式(I)の化合物、それらの製造およびそれら作用は、原発型および続発型の糖尿病性
細小血管症、糖尿病性創傷治癒、四肢での糖尿病性潰瘍、特に糖尿病性足潰瘍の創傷治癒
の促進、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、糖尿病性勃起不全、糖尿病性心不全、糖尿病
性冠動脈性心臓病、末梢および心血管障害、血栓塞栓性障害および虚血、末梢循環障害、
レイノー現象、CREST症候群、微小循環障害、間欠性跛行ならびに末梢および自律神
経障害の治療および/または予防のための方法に使用するためのα2Cアンタゴニストと
して、WO2015/091414およびWO2015/091417で一般に開示され
ており、特にその化合物は本発明の記載の特定的な明示部分であり、引用することにより
本明細書に組込まれる。
【0045】
本明細書で使用される有効量という用語は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性およ
び中枢性睡眠時無呼吸およびいびきの治療および/または予防に有効な式(I)の化合物
の量を指す。
【0046】
本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびいび
きの治療および/または予防のための方法における使用のための(α-2C)アンタゴニ
スト、特に式(I)の置換ピペリジニル-ピリミジニル-テトラヒドロキノリンおよびピ
ペリジニル-ピリジニル-テトラヒドロキノリンに関する。
【0047】
本発明はさらに、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およ
びいびきの治療および/または予防のための薬剤の製造のための式(I)の化合物の使用
に関する。
【0048】
本発明のさらなる主題は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無
呼吸およびいびきを治療および/または予防するための方法における、式(I)の1つ以
上の化合物と1つ以上の他の活性化合物との組み合わせの使用である。
【0049】
本発明のさらなる主題は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無
呼吸およびいびきを治療および/または予防するための方法において使用するための、1
つ以上の不活性な非毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせて、少なくとも1つの式(
I)の化合物を含む医薬組成物である。
【0050】
本発明はさらに、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およ
びいびきを治療および/または予防するための方法において使用するための、1つ以上の
不活性な非毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせた、1つ以上の他の活性化合物との
組み合わせを含む医薬組成物に関する。
【0051】
本発明はまた、式(I)の少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量、または式(I
)の少なくとも1つの化合物を含む薬剤の治療的に有効な量を、不活性で、無毒で、薬学
的に許容可能な添加剤と組み合わせて、全身的および/または局所的に投与することによ
る、睡眠関連呼吸障害の処置および/または予防のための方法に関する。
【0052】
本発明のさらなる主題は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無
呼吸およびいびきを治療および/または予防するための方法において使用するための、式
(I)の1つ以上の化合物と1つ以上の他の活性化合物との組み合わせである。
【0053】
本発明の式(I)の置換ピペリジニル-ピリミジニル-テトラヒドロキノリンおよびピ
ペリジニル-ピリジニル-テトラヒドロキノリンは単独で、または必要であれば、1つ以
上の他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて使用することができるが、ただし、この組
み合わせは望ましくない許容できない副作用をもたらさない。睡眠関連呼吸障害、好まし
くは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびいびきを治療する目的に適した組合せの好ま
しい例には、以下が含まれる:
・例として、そして好ましくはテオフィリン、ドキサプラム、ニケタミドまたはカフェイ
ンなどの呼吸刺激剤;
・例として、そして好ましくはモダフィニルまたはアルモダフィニルなどの精神刺激薬;
・例として、そして好ましくはアンフェタミン、メタンフェタミンまたはメチルフェニデ
ートなどのアンフェタミンおよびアンフェタミン誘導体;
・例として、そして好ましくはフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタ
ロプラム、セルトラリン、フルボキサミンまたはトラゾドンなどのセロトニン再取り込み
阻害剤;
・例として、そして好ましくはL-トリプトファンなどのセロトニン前駆体;
・例として、そして好ましくはベンラファキシンまたはデュロキセチンなどの選択的セロ
トニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬;
・例として、そして好ましくはミルタザピンなどのノルアドレナリン作動性および特異的
セロトニン作動性抗うつ薬;
・例として、そして好ましくはレボキセチンまたはアトモキセチンなどの選択的ノルアド
レナリン再取り込み阻害薬;
・例として、そして好ましくはアミトリプチリン、プロトリプチリン、ドキセピン、トリ
ミプラミン、イミプラミン、クロミプラミンまたはデシプラミンなどの三環系抗うつ薬;
・例として、そして好ましくはオキシブチニンなどのムスカリン受容体アンタゴニスト;
・例として、そして好ましくはバクロフェンなどのGABAアゴニスト;
・例として、そして好ましくはフルチカゾン、ブデソニド、ベクロメタゾン、モメタゾン
、チキソコルトールまたはトリアムシノロンなどのグルココルチコイド;
・カンナビノイド受容体アゴニスト;
・例として、そして好ましくはアセタゾラミド、メタゾラミドまたはジクロフェナミドな
どのカルボアンヒドラーゼ阻害剤;
・例として、そして好ましくはフルマゼニル、ナロキソンまたはナルトレキソンなどのオ
ピオイドおよびベンゾジアゼピン受容体アンタゴニスト;
・例として、そして好ましくはネオスチグミン、ピリドスチグミン、フィゾスチグミン、
ドネペジル、ガランタミンまたはリバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬;
・例として、そして好ましくはシブトラミン、オピラマート、フェンテルミン、リパーゼ
阻害剤またはカンナビノイド受容体アンタゴニストなどの食欲抑制剤;
・ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト。
【0054】
本発明の好ましい主題はムスカリン受容体アンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容
体アンタゴニスト、利尿薬、コルチコステロイドからなる群から選択される1つ以上の他
の活性化合物と式(I)の1つ以上の化合物との組み合わせであり、睡眠関連呼吸障害、
好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸およびいびきを治療および/または予防する
ための方法において使用するための組み合わせである。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、ムスカリン受容体アンタゴニ
ストと組み合わせて、例として、そして好ましくはオキシブチニンと組み合わせて投与さ
れる。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体
アンタゴニストと組み合わせて、例として、そして好ましくはスピロノラクトン、エプレ
レノンまたはフィネレノンと組み合わせて投与される。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の化合物が利尿薬、例として、そして好ま
しくはフロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド
、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、ト
リクロルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタ
ゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾルアミド、グリセロ-ル、イソソルビド、マンニ
トール、アミロライドまたはトリアムテレンと組み合わせて投与される。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の化合物はコルチコステロイド、例として
、そして好ましくはプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシ
ノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、フルニゾリド、ブデソニドま
たはフルチカゾンと組み合わせて投与される。
【0059】
必要に応じて、本発明の式(I)のアリールピペラジンは、望ましくない許容できない
副作用をもたらさない限り、1つ以上の医療技術装置または補助具の使用と併せて使用す
ることもできる。このような組み合わせ用途に適した医療装置および補助具は、例として
、そして好ましくは以下のものである:
・例として、そして好ましくはCPAP(持続的気道陽圧)装置、BiPAP(二例気道
陽圧)装置およびIPPV(間欠的陽圧換気)装置などの気道陽圧換気装置;
・舌下神経の神経刺激装置;
・例として、そして好ましくは下顎前進装置のような口腔器具;
・鼻用使い捨て弁;
・鼻ステント。
【0060】
本発明の式(I)の置換ピペリジニル-ピリミジニル-テトラヒドロキノリンおよびピ
ペリジニル-ピリジニル-テトラヒドロキノリンは、全身的および/または局所的に作用
することができる。この目的のために、それらは、適切な様式で、例えば、経口、非経口
、肺、肺内(吸入)、鼻、鼻腔内、咽頭、リンガル、舌下、バッカル、直腸、皮膚、経皮
、結膜または耳の経路によって、またはインプラントもしくはステントとして投与され得
る。
【0061】
本発明のさらなる主題は、経口、非経口、肺、肺内(吸入)、鼻、鼻腔内、咽頭、リン
ガル、舌下、バッカル、直腸、皮膚、経皮、結膜もしくは耳の経路による、またはインプ
ラントもしくはステントとしての、全身および/または局所投与のための式(I)の化合
物を含む医薬組成物である。好ましい投与は経口経路である。
【0062】
これらの投与経路のために、本発明による化合物は、適切な投与形態で投与することが
できる。
【0063】
経口投与のためには、最新技術に従って機能する投与形態であって、本発明による化合
物を迅速におよび/または改変された様式で放出し、本発明による化合物を結晶および/
またはアモルファス化および/または溶解形態で含有するもの、例えば錠剤(コーティン
グされていないか、またはコーティングされた錠剤、例えば、本発明による化合物の放出
を制御する、胃液耐性または遅延溶解または不溶性コーティングを有する錠剤)、口腔中
で迅速に崩壊する錠剤またはフィルム/ウェハー、フィルム/凍結乾燥物、カプセル(例
えば、硬または軟ゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒、ペレット、粉末、エマルジョン、
懸濁液、エアロゾルまたは溶液などが適切である。
【0064】
非経口投与は吸収段階を省略して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰
椎内投与)、あるいは吸収を伴って(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内投
与)実施することができる。非経口投与のための適切な投与形態としては、溶液、懸濁液
、エマルジョン、凍結乾燥物または滅菌粉末の形態の注射および注入調製物が挙げられる
。
【0065】
他の投与経路としては、例えば、吸入製剤(粉末吸入器およびネブライザ-を含む)、
点鼻薬、溶液またはスプレー、リンガル、舌下またはバッカル投与用の錠剤、錠剤、フィ
ルム/ウェハーまたはカプセル、座薬、経口または眼用製剤、膣カプセル、水性懸濁液(
ローション、振盪可能な混合物)、親油性懸濁液、軟膏、クリ-ム、経皮治療系(例えば
、プラスター)、乳剤、ペースト、泡沫、粉剤、インプラントまたはステントが好適であ
る。
【0066】
経口または非経口投与、特に経口および静脈内投与が好ましい。
【0067】
本発明の化合物は上記の投与形態に変換することができる。これは、不活性で無毒性の
薬学的に適切な添加剤と混合することにより、それ自体公知の方法で行うことができる。
これらの添加剤には、担体(例えば、微晶質セルロース、ラクトース、マンニトール)、
溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例え
ば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、バインダー(例えば
、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定剤(
例えば、アスコルビン酸などの酸化防止剤)、着色剤(例えば、酸化鉄などの無機顔料)
、ならびに風味または臭気補正剤が含まれる。
【0068】
一般に、非経口投与において効果的な結果を達成するために、約0.001~10mg
/kg、好ましくは約0.01~1mg/kg体重の量を投与することが有利であること
が分かった。経口投与では、用量が約0.01~100mg/kg、好ましくは約0.0
1~20mg/kg、極めて特に好ましくは0.1~15mg/kg体重である。
【0069】
それにもかかわらず、前述の量から逸脱すること、すなわち、体重、投与経路、活性物
質に対する個々の応答、調製物の性質および投与が行われる時間または間隔に依存して逸
脱することが必要な場合がある。したがって、場合によっては前述の最小量未満で管理す
れば十分であり、他の場合には前述の上限を超えなければならない。より多量の投与の場
合には、これらを1日を通していくつかの個々の投与に分割することが推奨され得る。
【0070】
以下の実施例により本発明を説明する。本発明は、当該実施例に限定されない。
【実施例0071】
A.実験方法
本発明の化合物の有利な薬理学的特性は、以下の方法によって決定することができる。
睡眠時無呼吸における本発明による式(I)の化合物の治療能力は、閉塞性睡眠時無呼吸
(OSA)のブタモデルにおいて前臨床的に評価された。
【0072】
陰圧を使用すると、麻酔をかけた自発呼吸ブタの上気道が虚脱して閉塞を誘発すること
が可能である(Wirth K.J.ら;Sleep 36(5)(2013)pp.6
99-708)。
【0073】
当該モデルにはドイツランドレース豚を用いる。豚を麻酔し、気管切開する。2本の気
管カニューレを気管に挿入し、1本は気管の吻側部に、もう1本は尾側部に挿入する。接
続ピースを使用して、吻側カニューレは陰圧装置および遠位気管カニューレへのチューブ
に接続される。遠位気管カニューレはさらに、自由気管呼吸に役立ち、上気道を迂回する
接続ピースを介して、大気への開放端を有するチューブに接続される。これらのチューブ
を適切に開放やクランプすることにより、呼吸を経鼻呼吸から尾側気管カニューレを通し
ての呼吸に切り替え、上気道を迂回させ、(隔離)上気道を陰圧装置に接続することがで
き、吸気方向の気流を引き起こすことができる。
【0074】
特定の時点で、ブタに尾側カニューレを介して呼吸させ、-50、-100および-1
50cm水頭圧(cm H2O)の陰圧を上気道に適用することによって、上気道の虚脱
性を試験する。これは上気道を虚脱する原因となり、それは気流の遮断および管システム
内の圧力降下において現れる。この試験は、試験物質の投与前および試験物質の投与後一
定の間隔で実施する。適切に効果的な被験物質は、吸気相におけるこの気道の虚脱を防ぐ
ことができる。
【0075】
このOSA豚モデルにおいて、[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-
イル)ピペリジン-1-イル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-
6-イル)ピリミジン-5-イル]メタノンであるα2-アドレナリン受容体サブタイプ
C-(α-2C)拮抗薬を0.007mg/kgの静脈内ボーラス注射後に0.0025
mg/kg/hを4時間静脈内投与として全身投与すると、-50cm水頭圧の陰圧で2
時間まで、-100cm水頭圧の陰圧で90分まで上気道虚脱が抑制された。[4-(3
,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イル][2-(2-
オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリミジン-5-イル]メタノン
を0.07mg/kgの静脈内ボ-ラス注射後に0.025mg/kg/hの静脈内注入
を4時間行ったところ、-150cm水頭圧の陰圧で2時間まで、-50cm水頭圧およ
び-100cm水頭圧の陰圧で4時間まで、上気道虚脱が抑制された。
【0076】
図1:[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イ
ル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリミジン-5
-イル]メタノンを0分の時点で0.007mg/kgで静脈内ボ-ラス注射後、0.0
025mg/kg/hで4時間静脈内投与したときの、異なる陰圧レベルでの上気道の虚
脱性への影響。虚脱が認められない豚の割合を示す。平均値。
図2:[4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-1-イ
ル][2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)ピリミジン-5
-イル]メタノンを0分の時点で0.07mg/kgで静脈内ボ-ラス注射後、0.02
5mg/kg/hで4時間静脈内投与したときの、異なる陰圧レベルでの上気道の虚脱性
への影響。虚脱が認められない豚の割合を示す。平均値。
【0077】
上記のデ-タから、式(I)のα2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)ア
ンタゴニストは、睡眠関連呼吸障害、好ましくは閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸および
いびきの治療に適していると推論できる。