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特開2024-170522活動性強直性脊椎炎を治療するための抗TNF抗体、組成物、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170522
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】活動性強直性脊椎炎を治療するための抗TNF抗体、組成物、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241203BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/655 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/4706 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241203BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K31/519
A61K31/655
A61K31/4706
A61P19/02
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K39/395 N
C07K16/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024152014
(22)【出願日】2024-09-04
(62)【分割の表示】P 2019542504の分割
【原出願日】2017-11-16
(31)【優先権主張番号】62/455,651
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,ダイアン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シア,エリザベス,シー.
(72)【発明者】
【氏名】キム,リー-リアン
(72)【発明者】
【氏名】ロ,キム フン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】活動性強直性脊椎炎(AS)の安全かつ効果的な治療に使用するための組成物を提供する。
【解決手段】特定の配列を含む重鎖(HC)及び別の特定の配列を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む組成物であって、前記組成物が、IV注入により投与され、前記組成物で治療された患者が、4週間の治療又は2週間の治療でASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重
鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺
乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む組
成物であって、前記組成物が、IV注入により投与され、前記組成物で治療された患者が
、4週間の治療又は2週間の治療でASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、組成
物。
【請求項2】
前記抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±
10分にわたって投与される2mg/kgの用量で投与されるように、前記組成物が投与
される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物を、メトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロ
キシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与することを更に含む、請求項1~
2に記載の組成物。
【請求項4】
活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重
鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺
乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む組
成物であって、前記組成物が、IV注入により投与され、治療の16週目に、前記抗TN
F抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASMI=-0.4
±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 MCS=6.5
±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択される1つ又
は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成する、組成物。
【請求項5】
前記抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±
10分にわたって投与される2mg/kgの用量で投与されるように、前記組成物が投与
される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物を、メトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロ
キシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与することを更に含む、請求項4~
5に記載の組成物。
【請求項7】
活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重
鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺
乳類抗TNF抗体であって、前記抗TNF抗体が静脈内(IV)注入により投与され、前
記治療を受けた患者の≧65%が治療の16週目にASAS20を達成する、少なくとも
1つの単離された哺乳類抗TNF抗体。
【請求項8】
前記≧65%の患者が治療の16週目にASAS20を達成し、治療差(プラセボと比
較した改善)は≧45%である、請求項7に記載の抗TNF抗体。
【請求項9】
前記抗体が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±10分に
わたって投与される2mg/kgの用量で投与される、請求項7~8に記載の抗TNF抗
体。
【請求項10】
前記抗体がメトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキシ
クロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与される、請求項7~8に記載の抗TN
F抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活動性強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis、AS)の安全かつ効果的な
治療に使用するための、配列番号36を含む重鎖(heavy chain、HC)及び配列番号3
7を含む軽鎖(light chain、LC)を有する抗TNF抗体を利用する組成物及び方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
TNFαは、17kDのタンパク質サブユニットの可溶性ホモ三量体である。TNFの
膜結合型の26kDの前駆体形態もまた存在する。
【0003】
単球又はマクロファージ以外の細胞もTNFαを生成する。例えば、ヒト非単球腫瘍細
胞株はTNFα並びにCD4+及びCD8+末梢血Tリンパ球を生成し、いくつかの培養
されたT及びB細胞株もTNFαを生成する。
【0004】
TNFαは、軟骨及び骨の分解、接着分子の誘導、血管内皮細胞で凝血促進活性を誘導
する、好中球及びリンパ球の接着を増大させる、並びにマクロファージ、好中球及び血管
内皮細胞からの血小板活性化因子の放出を刺激するなどの組織損傷をもたらす炎症誘発作
用を引き起こす。
【0005】
TNFαは、感染、免疫障害、腫瘍性病態、自己免疫病態及び移植片対宿主病態に関連
している。TNFαと癌及び感染性病態との関連は、宿主の異化状態に関連していること
が多い。癌患者は、通常食欲不振に関連する体重減少に悩まされる。
【0006】
癌及びその他の疾患に関連する大幅な衰弱は、「悪液質」として知られる。悪液質は、
悪性腫瘍の成長に応答する、進行性の体重減少、食欲不振、及び除脂肪体重の持続的衰え
を含む。悪液質状態は、多くの癌罹患率及び死亡率の原因となる。TNFαが、癌、感染
性病態及びその他の異化状態における悪液質に関与するという証拠がある。
【0007】
TNFαは、発熱、倦怠感、食欲不振、及び悪液質を含む、グラム陰性敗血症及び内毒
素ショックにおいて中心的な役割を果たすと考えられている。内毒素は、単球/マクロフ
ァージ生成並びにTNFα及びその他のサイトカインの分泌を強く活性化する。TNFα
及びその他の単球由来サイトカインは、内毒素に対する代謝及び神経ホルモン応答を媒介
する。ヒトボランティアへの内毒素投与は、発熱、頻脈、増加した代謝速度、及びストレ
スホルモン放出など、インフルエンザのような症状を伴う急性疾患をもたらす。TNFα
の循環が、グラム陰性敗血症に罹患した患者において増加する。
【0008】
したがって、TNFαは、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス、細菌及び寄生虫感染
、悪性腫瘍、並びに/又は神経変性疾患に関連付けられており、関節リウマチ及びクロー
ン病などの疾患における特定の生物学的治療に有用な標的である。TNFαに対するキメ
ラモノクローナル抗体(cA2)を用いた非盲検試験における有益な作用が、炎症の抑制
、並びに関節リウマチ及びクローン病における再発後の良好な再処置とともに報告されて
いる。cA2を用いた無作為の二重盲検プラセボ対照試験における有益な結果も、関節リ
ウマチにおいて炎症の抑制とともに報告されている。
【0009】
他の研究者は、インビトロで中和活性を有した組換えヒトTNFに特異的なmAbを説
明している。これらのmAbのうちのいくつかが、ヒトTNFのエピトープをマッピング
し、酵素イムノアッセイを開発するため、また組換えTNFの精製を補助するために使用
された。しかしながら、これらの研究は、免疫原性、低特異性、及び/又は製薬学的不適
性により、ヒトにおけるインビボ診断又は治療用途に使用することができるTNF中和抗
体を生成するための基礎を提供しない。
【0010】
TNFに対する中和抗血清又はmAbは、ヒト以外の哺乳動物において、実験的内毒素
血症及び菌血症における致死的攻撃後の有害な生理学的変化を抑止し、死亡を阻止するこ
とが示されている。この作用は、例えば、げっ歯類致死率アッセイ及び霊長類病理モデル
系において示されている。
【0011】
hTNFの推定受容体結合座位が開示されており、TNFのアミノ酸11~13、37
~42、49~57及び155~157からなるTNFαの受容体結合座位が開示されて
いる。
【0012】
非ヒト哺乳類、キメラ、ポリクローナル(例えば、抗血清)、及び/又はモノクローナ
ル抗体(Mab)並びに断片(例えば、タンパク質分解消化又はその融合タンパク質生成
物)は、場合によっては、ある特定の疾患を処置する試みのために調査されている有力な
治療薬である。しかしながら、かかる抗体又は断片は、ヒトに投与された場合、免疫応答
を誘発する場合がある。かかる免疫応答は、血液循環からの抗体又は断片の免疫複合媒介
クリアランスをもたらし、反復投与を、治療に適さないものとし得、それにより、患者に
対する治療的利益が低減し、抗体又は断片の再投与が制限される。例えば、非ヒト部分を
含む抗体又は断片の反復投与は、血清病及び/又はアナフィラキシーをもたらし得る。こ
れら及びその他の問題を回避するために、当該技術分野において周知のように、キメラ化
及びヒト化を含む、かかる抗体及びその部分の免疫原性を低減するための多くのアプロー
チが取られてきた。しかしながら、これら及びその他のアプローチは尚も、多少の免疫原
性、低親和性、低結合活性を有する、又は細胞培養、スケールアップ、生成及び/若しく
は低収率における問題を伴う抗体又は断片をもたらし得る。したがって、かかる抗体又は
断片は、治療用タンパク質としての製造又は使用にあまり理想的には適していない可能性
がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、これらの問題のうちのもう1つを克服する抗TNF抗体又は断片、並びに
既知の抗体又はその断片の改善を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が静脈内(intravenous、IV)
注入により投与され、当該抗TNF抗体で治療された患者が、治療の4週目又は治療の2
週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳
類抗TNF抗体を提供する。
【0015】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでそ
の後8週ごと(q8w)に、30±10分にわたって2mg/kgの用量で静脈内(IV
)注入により投与され、当該抗TNF抗体で治療された患者が、治療の4週目又は治療の
2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、少なくとも1つの単離された哺
乳類抗TNF抗体を提供する。
【0016】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗体がメトトレキサート(methotrexate、MT
X)、スルファサラジン(sulfasalazine、SSZ)又はヒドロキシクロロキン(hydroxy
chloroquine、HCQ)を含んで、又は含まずに投与され、当該抗TNF抗体が静脈内(
IV)注入により投与され、当該抗TNF抗体で治療された患者が、治療の4週目又は治
療の2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、少なくとも1つの単離され
た哺乳類抗TNF抗体を提供する。
【0017】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と
、を含む組成物であって、当該組成物がIV注入により投与され、当該組成物で治療され
た患者が、治療の4週目又は治療の2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達成す
る、組成物を提供する。
【0018】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と
、を含む組成物であって、当該組成物が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q
8w)に、30±10分にわたって2mg/kgの用量でIV注入により投与され、当該
組成物で治療された患者が、治療の4週目又は治療の2週目にASDAS不活性疾患(<
1.3)を達成する、組成物を提供する。
【0019】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と
、を含む組成物であって、当該組成物がメトトレキサート(MTX)、スルファサラジン
(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与され、当該
組成物がIVにより投与され、当該組成物で治療された患者が、治療の4週目又は治療の
2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、組成物を提供する。
【0020】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物がIV注入により投与され、当該組成物で治療
された患者が、治療の4週目又は治療の2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達
成する、方法を提供する。
【0021】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと
(q8w)に、30±10分にわたって2mg/kgの用量でIV注入により投与され、
当該組成物で治療された患者が、治療の4週目又は治療の2週目にASDAS不活性疾患
(<1.3)を達成する、方法を提供する。
【0022】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物がメトトレキサート(MTX)、スルファサラ
ジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与され、
当該組成物が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±10分に
わたって2mg/kgの用量でIV注入により投与され、当該組成物で治療された患者が
、治療の4週目又は治療の2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、方法
を提供する。
【0023】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物がIV注入により投与され、当該組成物で治療
された患者が、治療の4週目又は治療の2週目にASDAS不活性疾患(<1.3)を達
成し、当該方法が、当該投与前、同時又は後に、少なくとも1つの検出可能な標識若しく
はレポーター、TNF拮抗薬、抗リウマチ薬、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド系抗炎症薬
(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所
麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬、抗乾癬薬、コルチコステロイド、たんぱく質同化ステロ
イド、エリスロポエチン、免疫付与、免疫グロブリン、免疫抑制薬、成長ホルモン、ホル
モン補充薬、放射性医薬品、抗うつ薬、抗精神病薬、興奮剤、喘息薬ベータアゴニスト、
吸入ステロイド、エピネフリン若しくは類似体、サイトカイン、又はサイトカインアンタ
ゴニストから選択される有効量の少なくとも1つの化合物又はタンパク質を含む少なくと
も1つの組成物を投与することを更に含む、方法を提供する。
【0024】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が静脈内(IV)注入により投与
され、治療の16週目に、当該抗TNF抗体で治療された患者が、Bath強直性脊椎炎
機能インデックス(Bath Ankylosing Spondylitis Functional Index、BASFI)=-
2.4±2.1標準偏差(standard deviation、SD)、Bath強直性脊椎炎計測イン
デックス(Bath Ankylosing Spondylitis Metrology Index、BASMI)=-0.4±
0.6SD、36項目略式健康調査身体的健康度(36-item Short-Form Health Survey P
hysical Component Summary、SF-36 PCS)=8.5±7.5SD、36項目略
式健康調査精神的健康度(36-item Short-Form Health Survey Mental Component Summar
y、SF-36 MCS)=6.5±9.1SD、及び強直性脊椎炎の生活の質(Ankylos
ing Spondylitis Qualify of Life、ASQoL)=-5.4±5.0SDからなる群か
ら選択される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成する、
少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体を提供する。
【0025】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでそ
の後8週ごと(q8w)に、30±10分にわたって2mg/kgの用量で静脈内(IV
)注入により投与され、治療の16週目に、当該抗TNF抗体で治療された患者が、BA
SFI=-2.4±2.1SD、BASMI=-0.4±0.6SD、SF-36 PC
S=8.5±7.5SD、SF-36 MCS=6.5±9.1SD、及びASQoL=
-5.4±5.0SDからなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準におけるベース
ラインからの平均変化を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体を提
供する。
【0026】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体がメトトレキサート(MTX)、
スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まず
に投与され、当該抗TNF抗体が2mg/kgの用量で静脈内(IV)注入により投与さ
れ、治療の16週目に、当該抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±
2.1SD、BASMI=-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5
SD、SF-36 MCS=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0S
Dからなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変
化を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体を提供する。
【0027】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と
、を含む組成物であって、当該組成物がIV注入により投与され、治療の16週目に、当
該抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASMI=
-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 MCS
=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択され
る1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成する、組成物を提
供する。
【0028】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と
、を含む組成物であって、当該組成物が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q
8w)に、30±10分にわたって2mg/kgの用量でIV注入により投与され、治療
の16週目に、当該抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.1S
D、BASMI=-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD、S
F-36 MCS=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDからな
る群から選択される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成
する、組成物を提供する。
【0029】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と
、を含む組成物であって、当該組成物がメトトレキサート(MTX)、スルファサラジン
(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与され、当該
組成物がIV注入により投与され、治療の16週目に、当該抗TNF抗体で治療された患
者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASMI=-0.4±0.6SD、SF-
36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 MCS=6.5±9.1SD、及びA
SQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準にお
けるベースラインからの平均変化を達成する、組成物を提供する。
【0030】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物がIV注入により投与され、治療の16週目に
、当該抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASM
I=-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 M
CS=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択
される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成する、方法を
提供する。
【0031】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと
(q8w)に、30±10分にわたって2mg/kgの用量でIV注入により投与され、
治療の16週目に、当該抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.
1SD、BASMI=-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD
、SF-36 MCS=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDか
らなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を
達成する、方法を提供する。
【0032】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物がメトトレキサート(MTX)、スルファサラ
ジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに投与され、
当該組成物がIV注入により投与され、治療の16週目に、当該抗TNF抗体で治療され
た患者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASMI=-0.4±0.6SD、S
F-36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 MCS=6.5±9.1SD、及
びASQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準
におけるベースラインからの平均変化を達成する、方法を提供する。
【0033】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(H
C)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む
組成物を投与することを含み、当該組成物がIV注入により投与され、治療の16週目に
、当該抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASM
I=-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 M
CS=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択
される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成し、当該方法
が、当該投与前、同時又は後に、少なくとも1つの検出可能な標識若しくはレポーター、
TNF拮抗薬、抗リウマチ薬、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)
、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬、抗乾癬薬、コルチコス
テロイド、たんぱく質同化ステロイド、エリスロポエチン、免疫付与、免疫グロブリン、
免疫抑制薬、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性医薬品、抗うつ薬、抗精神病薬、興
奮剤、喘息薬,ベータアゴニスト、吸入ステロイド、エピネフリン若しくは類似体、サイ
トカイン、又はサイトカインアンタゴニストから選択される有効量の少なくとも1つの化
合物又はタンパク質を含む少なくとも1つの組成物を投与することを更に含む、方法を提
供する。
【0034】
本発明は、強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療又は予防に使用するための配列番号3
6を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単
離された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が、対象に投与され、以下の表
における応答からなる群から選択される臨床応答を誘導する、少なくとも1つの単離され
た哺乳類抗TNF抗体を提供する。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が静脈内(IV)注入により投与
され、当該治療を受けた患者の≧65%が治療の16週目にASAS20を達成する、少
なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体を提供する。
【0037】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が静脈内(IV)注入により投与
され、当該治療を受けた患者の≧65%が、≧45%の治療差(プラセボと比較した改善
)で治療の16週目にASAS20を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳類抗T
NF抗体を提供する。
【0038】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでそ
の後8週ごと(q8w)に、30±10分にわたって投与される2mg/kgの用量で静
脈内(IV)注入により投与され、当該治療を受けた患者の≧65%が治療の16週目に
ASAS20を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体を提供する。
【0039】
本発明は、活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための配列番号36
を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離
された哺乳類抗TNF抗体であって、当該抗TNF抗体が、メトトレキサート(MTX)
、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)を含んで、又は含ま
ずに、静脈内(IV)注入により投与され、当該治療を受けた患者の≧65%が治療の1
6週目にASAS20を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体を提
供する。
【0040】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、
(a)安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽
鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む組成物を投与することを含み、
当該組成物がIV注入により投与され、当該治療を受けた患者の≧65%が治療の16週
目にASAS20を達成する、方法を提供する。
【0041】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、
(a)安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽
鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む組成物を投与することを含み、
当該組成物がIV注入により投与され、当該治療を受けた患者の≧65%が、≧45%の
治療差(プラセボと比較した改善)で治療の16週目にASAS20を達成する、方法を
提供する。
【0042】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、
(a)安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽
鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む組成物を投与することを含み、
当該組成物が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±10分に
わたって投与される2mg/kgの用量でIV注入により投与され、当該治療を受けた患
者の≧65%が治療の16週目にASAS20を達成する、方法を提供する。
【0043】
本発明は、TNF関連状態を治療するための方法であって、当該TNF関連状態が、活
動性強直性脊椎炎であり、当該方法が、
(a)安全かつ有効な量の配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽
鎖(LC)を有する単離された哺乳類抗TNF抗体を含む組成物を投与することを含み、
当該組成物が、メトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキ
シクロロキン(HCQ)を含んで、又は含まずに、IV注入により投与され、当該治療を
受けた患者の≧65%が治療の16週目にASAS20を達成する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】ハイブリドーマ細胞上清中のTNV mAbが組換えTNF受容体へのTNFα結合を阻害する能力のアッセイを示すグラフ表示を示す。既知量のTNV mAbを含有する様々な量のハイブリドーマ細胞上清を、固定濃度(5ng/mL)の125I標識TNFαとともにプレインキュベートした。混合物を、組換えTNF受容体/IgG融合タンパク質p55-sf2で予めコーティングされた96ウェルのOptiplateに移した。mAbの存在下でp55受容体に結合したTNFαの量は、未結合の材料を洗い流し、γ計数器を使用して計数した後に決定した。これらの実験において8つのTNV mAb試料を試験したが、簡潔化のため、DNA配列分析により、他のTNV mAbのうちの1つと同一であることを示したmAbのうちの3つ(セクション5.2.2を参照のこと)は、ここに示されていない。各試料を二重に試験した。示される結果は、2つの独立した実験を代表する。
図2A】TNV mAb重鎖可変領域のDNA配列を示す。示される生殖系列遺伝子は、DP-46遺伝子である。「TNVs」は、示される配列がTNV14、TNV15、TNV148、及びTNV196の配列であることを示す。TNV配列の最初の3つのヌクレオチドは、翻訳開始Metコドンを定義する。TNV mAb遺伝子配列中の点線は、ヌクレオチドが生殖系列配列中のものと同じであることを示す。TNV配列の最初の19のヌクレオチド(下線付き)は、可変領域をPCR増幅するために使用されたオリゴヌクレオチドに対応する。成熟mAbで始まるアミノ酸翻訳(一文字表記)は、生殖系列遺伝子についてのみ示される。生殖系列アミノ酸翻訳における3つのCDRドメインは、太字で示され、下線付きである。TNV148(B)と標識された行は、示される配列がTNV148及びTNV148Bの両方に関することを示す。生殖系列DNA配列(CDR3)中のギャップは、知られていないか又は生殖系列遺伝子に存在しない配列のためである。TNV mAb重鎖は、J6結合領域を使用する。
図2B】TNV mAb重鎖可変領域のDNA配列を示す。示される生殖系列遺伝子は、DP-46遺伝子である。「TNVs」は、示される配列がTNV14、TNV15、TNV148、及びTNV196の配列であることを示す。TNV配列の最初の3つのヌクレオチドは、翻訳開始Metコドンを定義する。TNV mAb遺伝子配列中の点線は、ヌクレオチドが生殖系列配列中のものと同じであることを示す。TNV配列の最初の19のヌクレオチド(下線付き)は、可変領域をPCR増幅するために使用されたオリゴヌクレオチドに対応する。成熟mAbで始まるアミノ酸翻訳(一文字表記)は、生殖系列遺伝子についてのみ示される。生殖系列アミノ酸翻訳における3つのCDRドメインは、太字で示され、下線付きである。TNV148(B)と標識された行は、示される配列がTNV148及びTNV148Bの両方に関することを示す。生殖系列DNA配列(CDR3)中のギャップは、知られていないか又は生殖系列遺伝子に存在しない配列のためである。TNV mAb重鎖は、J6結合領域を使用する。
図3】TNV mAb軽鎖可変領域のDNA配列を示す。示される生殖系列遺伝子は、ヒトκ生殖系列可変領域遺伝子のVg/38Kファミリーの代表的なメンバーである。TNV mAb遺伝子配列中の点線は、ヌクレオチドが生殖系列配列中のものと同じであることを示す。TNV配列の最初の16のヌクレオチド(下線付き)は、可変領域をPCR増幅するために使用されたオリゴヌクレオチドに対応する。成熟mAbのアミノ酸翻訳(一文字表記)は、生殖系列遺伝子についてのみ示される。生殖系列アミノ酸翻訳における3つのCDRドメインは、太字で示され、下線付きである。TNV148(B)と標識された行は、示される配列がTNV148及びTNV148Bの両方に関することを示す。生殖系列DNA配列(CDR3)中のギャップは、知られていないか又は生殖系列遺伝子に存在しない配列のためである。TNV mAb軽鎖は、J3結合領域を使用する。
図4】TNV mAb重鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。示されるアミノ酸配列(一文字表記)は、非クローン化PCR生成物及びクローン化PCR生成物の両方から決定されたDNA配列から推定された。分泌シグナル配列(シグナル)、フレームワーク(FW)、及び相補性決定領域(CDR)ドメインに分割したアミノ配列が示される。DP-46生殖系列遺伝子のアミノ酸配列は、各ドメインの上の行に示されている。点線は、TNV mAbにおけるアミノ酸が生殖系列遺伝子と同一であることを示す。TNV148(B)は、示される配列がTNV148及びTNV148Bの両方に関することを示す。「TNV」は、異なる配列が示されない限り、示される配列が全てのTNV mAbに関することを示す。生殖系列配列(CDR3)中の破線は、配列が知られていないか又は生殖系列遺伝子に存在しないことを示す。
図5】TNV mAb軽鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。示されるアミノ酸配列(一文字表記)は、非クローン化PCR生成物及びクローン化PCR生成物の両方から決定されたDNA配列から推定された。分泌シグナル配列(シグナル)、フレームワーク(FW)、及び相補性決定領域(CDR)ドメインに分割したアミノ配列が示される。Vg/38K型軽鎖生殖系列遺伝子のアミノ酸配列は、各ドメインの上の行に示される。点線は、TNV mAbにおけるアミノ酸が生殖系列遺伝子と同一であることを示す。TNV148(B)は、示される配列がTNV148及びTNV148Bの両方に関することを示す。「All」は、示される配列がTNV14、TNV15、TNV148、TNV148B、及びTNV186に関することを示す。
図6】rTNV148B発現C466細胞を作製するために使用された重鎖及び軽鎖発現プラスミドの模式図を示す。p1783は重鎖プラスミドであり、p1776は軽鎖プラスミドである。rTNV148B可変及び定常領域コードドメインは、黒色のボックスで示される。J-Cイントロンの免疫グロブリンエンハンサーは、灰色のボックスで示される。関連する制限部位が示される。Ab遺伝子の転写が時計方向に進むように配向されたプラスミドが示される。プラスミドp1783の長さは19.53kbであり、プラスミドp1776の長さは15.06kbである。両プラスミドの完全なヌクレオチド配列は既知である。p1783の可変領域コード配列は、BsiWI/BstBI制限断片を置き換えることにより、別の重鎖可変領域配列に容易に置き換えることができる。p1776の可変領域コード配列は、SalI/AflII制限断片を置き換えることにより、別の可変領域配列に置き換えることができる。
図7】5つのrTNV148B生成細胞株の成長曲線分析のグラフ表示を示す。30mlの容量中に1.0×10細胞/mlの生存細胞密度を有するように、T75フラスコ内のI5Q+MHX培地に細胞を播種することにより、0日目に培養を開始した。これらの研究に使用された細胞培養物は、トランスフェクション及びサブクローニングが行われるため、連続培養であった。その後、Tフラスコ内の細胞を十分に再懸濁し、0.3mlの培養物のアリコートを取り出した。成長曲線研究は、細胞計数が1.5×10細胞/ml未満に低下したときに終了した。アリコート中の生細胞数をトリパン(typan)ブルー排除により決定し、残りのアリコートは後のmAb濃度決定のために保管された。ヒトIgGのELISAが、同じ時に全ての試料アリコートに対して行われた。
図8】様々なMHX選択物濃度の存在下での細胞成長速度の比較のグラフ表示を示す。細胞サブクローンC466A及びC466Bを、無MHX培地(IMDM、5%FBS、2mMグルタミン)に解凍し、更に2日間培養した。次いで、両細胞培養物を、MHXなし、0.2X MHX、又は1X MHXのいずれかを含有した3つの培養に分割した。1日後、新しいT75フラスコに、1×10細胞/mlの開始密度で培養物を播種し、細胞を1週間、24時間間隔で計数した。最初の5日間の倍加時間は、SOP PD32.025の式を使用して計算し、バーの上に示す。
図9】2つのrTNV148B生成細胞株からの経時的なmAb生成の安定性のグラフ表示を示す。トランスフェクション及びサブクローニングを行った後、連続培養にあった細胞のサブクローンを使用して、24ウェル培養皿中での長期連続培養を開始した。MHX選択物を伴う又は伴わないI5Q培地中で細胞を培養した。細胞を、4~6日毎に培養物を分けることにより連続して継代して、新たな生存培養物を維持し、同時に前の培養物を消耗させた。消耗した細胞上清のアリコートは、培養物が消耗した直後に回収し、mAb濃度が決定されるまで保管した。ヒトIgGのELISAが、同じ時に全ての試料アリコートに対して行われた。
図10】実施例4の対照と比較した、本発明の抗TNF抗体に応答した関節炎マウスモデルのマウスTg197の体重変化を示す。約4週齢のTg197研究マウスを性別及び体重に基づき9つの処置群のうちの1つに割り当て、DulbeccoのPBS(D-PBS)、又は1mg/kg若しくは10mg/kgのいずれかの本発明の抗TNF抗体(TNV14、TNV148、又はTNV196)の単回腹腔内ボーラス投与で処置した。体重を投与前からの変化として分析したとき、10mg/kgのcA2で処置した動物は、研究を通してD-PBS処置動物よりも一貫して高い体重増加を示した。この体重増加は、3~7週目で有意であった。10mg/kgのTNV148で処置した動物も、研究の7週目に有意な体重増加を達成した。
図11A】実施例4に示す関節炎指数に基づく疾患重症度の進行を表す。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、3週目から始まり、残りの研究の間中(7週目)継続してD-PBS対照群よりも低かった。1mg/kgのTNV14で処置した動物及び1mg/kgのcA2で処置した動物は、D-PBS処置群と比較したとき、3週目以降のAIにおいて有意な減少を示すことができなかった。各々を類似の用量のその他のものと比較したとき(10mg/kgのTNV14、148、及び196と比較した10mg/kgのcA2)、10mg/kgの処置群の間に有意差はなかった。1mg/kgの処置群を比較したとき、1mg/kgのTNV148は、1mg/kgのcA2よりも3、4及び7週で有意に低いAIを示した。1mg/kgのTNV148も、1mg/kgのTNV14処置群よりも3及び4週目で有意に低かった。TNV196は研究の6週目までAIにおいて有意な減少を示したが(D-PBS処置群と比較したとき)、TNV148はこの研究の終了時に有意のままであった唯一の1mg/kg処置群であった。
図11B】実施例4に示す関節炎指数に基づく疾患重症度の進行を表す。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、3週目から始まり、残りの研究の間中(7週目)継続してD-PBS対照群よりも低かった。1mg/kgのTNV14で処置した動物及び1mg/kgのcA2で処置した動物は、D-PBS処置群と比較したとき、3週目以降のAIにおいて有意な減少を示すことができなかった。各々を類似の用量のその他のものと比較したとき(10mg/kgのTNV14、148、及び196と比較した10mg/kgのcA2)、10mg/kgの処置群の間に有意差はなかった。1mg/kgの処置群を比較したとき、1mg/kgのTNV148は、1mg/kgのcA2よりも3、4及び7週で有意に低いAIを示した。1mg/kgのTNV148も、1mg/kgのTNV14処置群よりも3及び4週目で有意に低かった。TNV196は研究の6週目までAIにおいて有意な減少を示したが(D-PBS処置群と比較したとき)、TNV148はこの研究の終了時に有意のままであった唯一の1mg/kg処置群であった。
図11C】実施例4に示す関節炎指数に基づく疾患重症度の進行を表す。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、3週目から始まり、残りの研究の間中(7週目)継続してD-PBS対照群よりも低かった。1mg/kgのTNV14で処置した動物及び1mg/kgのcA2で処置した動物は、D-PBS処置群と比較したとき、3週目以降のAIにおいて有意な減少を示すことができなかった。各々を類似の用量のその他のものと比較したとき(10mg/kgのTNV14、148、及び196と比較した10mg/kgのcA2)、10mg/kgの処置群の間に有意差はなかった。1mg/kgの処置群を比較したとき、1mg/kgのTNV148は、1mg/kgのcA2よりも3、4及び7週で有意に低いAIを示した。1mg/kgのTNV148も、1mg/kgのTNV14処置群よりも3及び4週目で有意に低かった。TNV196は研究の6週目までAIにおいて有意な減少を示したが(D-PBS処置群と比較したとき)、TNV148はこの研究の終了時に有意のままであった唯一の1mg/kg処置群であった。
図12】実施例5の対照と比較した、本発明の抗TNF抗体に応答した関節炎マウスモデルのマウスTg197の体重変化を示す。約4週齢のTg197研究マウスを体重に基づき8つの処置群のうちの1つに割り当て、対照品(D-PBS)、又は3mg/kgの抗体(TNV14、TNV148)(0週目)の腹腔内ボーラス投与で処置した。注射は1、2、3、及び4週目に全ての動物において繰り返された。群1~6は、試験品の有効性に関して評価された。群7及び8の動物から得られた血清試料は、2、3及び4週目のTNV14又はTNV148の免疫応答誘導及び薬物動態クリアランスに関して評価された。
図13A】関節炎指数に基づく実施例5の疾患の重症度の進行を表すグラフである。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、2週目から始まり、残りの研究の間中(5週目)継続してD-PBS対照群よりも有意に低かった。1mg/kg又は3mg/kgのcA2で処置した動物及び3mg/kgのTNV14で処置した動物は、d-PBS対照群と比較したときに、研究を通して任意の時点でAIにおいて任意の有意な減少を達成することができなかった。3mg/kgのTNV148で処置した動物は、d-PBS処置群と比較したとき、3週目から始まり、5週目まで継続する有意な減少を示した。10mg/kgのcA2で処置した動物は、研究の4及び5週目でより低い用量の両cA2(1mg/kg及び3mg/kg)と比較したとき、AIにおいて有意な減少を示し、また3~5週目でTNV14で処置した動物よりも有意に低かった。3mg/kgの処置群のいずれかの間に有意差はなかったようだが、3mg/kgのTNV14で処置した動物に関するAIは、ある時点で10mg/kgよりも有意に高く、一方TNV148で処置した動物は、10mg/kgのcA2で処置した動物と有意に異ならなかった。
図13B】関節炎指数に基づく実施例5の疾患の重症度の進行を表すグラフである。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、2週目から始まり、残りの研究の間中(5週目)継続してD-PBS対照群よりも有意に低かった。1mg/kg又は3mg/kgのcA2で処置した動物及び3mg/kgのTNV14で処置した動物は、d-PBS対照群と比較したときに、研究を通して任意の時点でAIにおいて任意の有意な減少を達成することができなかった。3mg/kgのTNV148で処置した動物は、d-PBS処置群と比較したとき、3週目から始まり、5週目まで継続する有意な減少を示した。10mg/kgのcA2で処置した動物は、研究の4及び5週目でより低い用量の両cA2(1mg/kg及び3mg/kg)と比較したとき、AIにおいて有意な減少を示し、また3~5週目でTNV14で処置した動物よりも有意に低かった。3mg/kgの処置群のいずれかの間に有意差はなかったようだが、3mg/kgのTNV14で処置した動物に関するAIは、ある時点で10mg/kgよりも有意に高く、一方TNV148で処置した動物は、10mg/kgのcA2で処置した動物と有意に異ならなかった。
図13C】関節炎指数に基づく実施例5の疾患の重症度の進行を表すグラフである。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、2週目から始まり、残りの研究の間中(5週目)継続してD-PBS対照群よりも有意に低かった。1mg/kg又は3mg/kgのcA2で処置した動物及び3mg/kgのTNV14で処置した動物は、d-PBS対照群と比較したときに、研究を通して任意の時点でAIにおいて任意の有意な減少を達成することができなかった。3mg/kgのTNV148で処置した動物は、d-PBS処置群と比較したとき、3週目から始まり、5週目まで継続する有意な減少を示した。10mg/kgのcA2で処置した動物は、研究の4及び5週目でより低い用量の両cA2(1mg/kg及び3mg/kg)と比較したとき、AIにおいて有意な減少を示し、また3~5週目でTNV14で処置した動物よりも有意に低かった。3mg/kgの処置群のいずれかの間に有意差はなかったようだが、3mg/kgのTNV14で処置した動物に関するAIは、ある時点で10mg/kgよりも有意に高く、一方TNV148で処置した動物は、10mg/kgのcA2で処置した動物と有意に異ならなかった。
図14】実施例6の対照と比較した、本発明の抗TNF抗体に応答した関節炎マウスモデルマウスTg197の体重変化を示す。約4週齢のTg197研究マウスを性別及び体重に基づき6つの処置群のうちの1つに割り当て、3mg/kg又は5mg/kgのいずれかの抗体(cA2又はTNV148)の単回腹腔内ボーラス投与で処置した。この研究は、D-PBS及び10mg/kgのcA2対照群を利用した。
図15】実施例6に示す関節炎指数に基づく疾患の重症度の進行を表す。全ての処置群が初期の時点で多少の保護を示し、5mg/kgのcA2及び5mg/kgのTNV148は、1~3週目にAIにおいて有意な減少を示し、全ての処置群が2週目で有意な減少を示した。実験の後期に、5mg/kgのcA2で処置した動物は多少の保護を示し、4、6及び7週目で有意に減少した。低用量(3mg/kg)のcA2及びTNV148は両方とも、6週目で有意な減少を示し、全ての処置群が7週目で有意な減少を示した。研究の終わりで(8週目)有意な減少を維持することができた処置群はなかった。任意の時点で処置群のいずれかの間(食塩水対照群は除く)に有意差はなかった。
図16】実施例7の対照と比較した、本発明の抗TNF抗体に応答した関節炎マウスモデルマウスTg197の体重変化を示す。TNV148(ハイブリドーマ細胞に由来する)及びrTNV148B(トランスフェクトした細胞に由来する)の単回腹腔内投与の有効性を比較するために。約4週齢のTg197研究マウスを性別及び体重に基づき9つの処置群のうちの1つに割り当て、DulbeccoのPBS(D-PBS)、又は1mg/kgの抗体(TNV148、rTNV148B)の単回腹腔内ボーラス投与で処置した。
図17】実施例7に示す関節炎指数に基づく疾患の重症度の進行を表す。10mg/kgのcA2で処置した群の関節炎指数は、4週目から始まり、残りの研究の間中(8週目)継続してD-PBS対照群よりも低かった。TNV148で処置した群及び1mg/kgのcA2で処置した群は両方とも、4週目でAIにおける有意な減少を示した。以前の研究(P-099-017)は、TNV148が単回の1mg/kgの腹腔内ボーラス後の関節炎指数の減少にわずかにより効果的であることを示したが、この研究では、両バージョンのTNV抗体で処置した群からのAIがわずかに高いことを示した。1mg/kgのcA2で処置した群(6週目を除く)は、10mg/kgのcA2群と比較したとき、有意に増加せず、TNV148で処置した群は、7及び8週目で有意に高かったが、1mg/kgのcA2、1mg/kgのTNV148及び1mg/kgのTNV148Bの間には研究の任意の時点でAIにおいて有意差はなかった。
図18】活動性強直性脊椎炎(AS)を有する対象において、静脈内投与されるSimponi(ゴリムマブ)の試験のための研究設計の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、配列番号1、2、及び3の重鎖可変CDR領域の全て、並びに/若しくは配
列番号4、5、及び6の軽鎖可変CDR領域の全てを含む、単離された組換え及び/又は
合成抗TNFヒト、霊長類、げっ歯類、哺乳類、キメラ、ヒト化若しくはCDR移植され
た抗体、及びそれに対するTNF抗イディオタイプ抗体、並びに少なくとも1つの抗TN
F抗体又は抗イディオタイプ抗体をコード化する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含
む組成物及びコード核酸分子を提供する。本発明は、診断用及び治療用組成物、方法、並
びにデバイスを含む、かかる核酸及び抗体、並びに抗イディオタイプ抗体の作製及び使用
方法を更に含むが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用するとき、「抗腫瘍壊死因子α抗体」、「抗TNF抗体」、「抗TNF
抗体部分」若しくは「抗TNF抗体断片」、及び/又は「抗TNF抗体変異体」などは、
本発明の抗体の中に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性
決定領域(CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若
しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、あるいはTNF受
容体又は結合タンパク質の少なくとも一つの部分などであるがこれらに限定されない免疫
グロブリン分子の少なくとも一部を含む分子を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有
分子を含む。かかる抗体は所望により、特定のリガンドに更に影響を及ぼし、限定されな
いが、かかる抗体は、インビトロで、インサイツで、及び/又はインビボで、少なくとも
1つのTNF活性若しくは結合又はTNF受容体活性若しくは結合を、調節する、減少さ
せる、増加させる、拮抗する、作動させる、軽減する、緩和する、遮断する、阻害する、
抑止する、及び/又は干渉する。非限定的な例として、本発明の好適な抗TNF抗体、特
定された部分又は変異体は、少なくとも1つのTNF又はその特定された部分、変異体若
しくはドメインに結合することができる。好適な抗TNF抗体、特定された部分又は変異
体はまた、所望により、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、TNF放出、TNF
受容体シグナル伝達、膜TNF切断、TNF活性、TNF生成、及び/又は合成などであ
るがこれらに限定されない、TNF活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼす
こともできる。用語「抗体」は、更に、抗体、その消化断片、特定部分及び変異体を包含
することを意図し、これには抗体模倣薬が挙げられ、あるいは抗体の構造及び/若しくは
機能を模倣する抗体の部分若しくはその特定断片若しくは一部を含み、単鎖抗体及びその
断片が挙げられる。機能断片としては、哺乳類のTNFに結合する抗原結合断片が挙げら
れる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消
化及び部分的還元による)及びF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、fac
b(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化
による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はsc
Fv(例えば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるがこれらに限定されない、T
NF又はその部分に結合することができる抗体断片が、本発明に包含される(例えば、上
記のColligan,Immunologyを参照のこと)。
【0047】
かかる断片は、当該技術分野において既知であるように、及び/又は本明細書に記載さ
れるように、酵素切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体は、1つ
以上の終止コドンが自然な終止部位の上流に導入された抗体遺伝子を使用して、様々な切
断型でも生成され得る。例えば、F(ab’)重鎖部分をコード化する遺伝子の組み合
わせは、重鎖のCHドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよ
う設計することができる。抗体の様々な部分を従来の技術により化学的に結合でき、又は
遺伝子工学技術を用いて隣接タンパク質(contiguous protein)として調製できる。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」は、実質的にタンパク質の全ての部分(例
えば、CDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えば、C1、C2、C
)、ヒンジ(V、V))が軽微な配列の変化又は変異だけで実質的にヒトにおいて非
免疫原性である抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯
類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)、及びその他の哺乳類動物
を指定された抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科に特異的な抗体を指す。更に、
キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含む。このような変化又は変異は、任意選択的
に、また好ましくは、非改変抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持する
か又は低下させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ又はヒト化抗体とは異なる。ヒト抗
体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子
を発現することができる非ヒト動物、又は原核若しくは真核細胞により生成され得ること
が指摘される。その上、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体では見られない
リンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域を接
続する2~約8個のグリシン又はその他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得
る。このようなリンカーペプチドはヒト由来のものと見なされる。
【0049】
また、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル、好ま
しくはヒト又はヒト化抗体である、二重特異的、異種特異的、異種結合性、又は類似の抗
体を使用してもよい。この場合では、結合特異性のうち一方は少なくとも1つのTNFタ
ンパク質に対するものであり、他方は任意のその他の抗原に対するものである。二重特異
的抗体の製造方法は、当該技術分野において既知である。従来、二重特異的抗体の組換え
体生成は、2種の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づくが、ここで2本の重鎖は
異なる特異性を有する(Milstein and Cuello、Nature、30
5:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせのため
に、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の可能な混合物
を生成し、これらのうち1種のみが正しい二重特異的構造を有する。正しい分子の精製(
通常アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる)はかなり面倒であり、生成物
の収率は低い。類似する手順が、例えば、国際公開第93/08829号、米国特許第6
,210,668号、同第6,193,967号、同第6,132,992号、同第6,
106,833号、同第6,060,285号、同第6,037,453号、同第6,0
10,902号、同第5,989,530号、同第5,959,084号、同第5,95
9,083号、同第5,932,448号、同第5,833,985号、同第5,821
,333号、同第5,807,706号、同第5,643,759号、同第5,601,
819号、同第5,582,996号、同第5,496,549号、同第4,676,9
80号、国際公開第91/00360号、国際公開第92/00373号、欧州特許第0
3089号、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1
991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology
121:210(1986)に開示されており、これらの各々は、参照により全体が本
明細書に組み込まれる。
【0050】
本発明の方法及び組成物において有用である抗TNF抗体(TNF抗体とも称される)
は、TNFへの高親和性結合、並びに所望によりかつ好ましくは低毒性を有することを任
意に特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の
構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にまた好ましくは低い免疫原性を有
する、本発明の抗体、その特定された断片、又は変異体が本発明において有用である。本
発明で使用することができる抗体は、任意選択的に、症状の測定可能な緩和並びに低い及
び/又は許容できる毒性を備えて、長期間患者を治療する能力によって特徴付けられる。
低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びにその他の好適な特性は
、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療
される患者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HAC
A若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は治療される患者において低い力価(二重
抗原酵素イムノアッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100未満)が増加
することとして定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1
125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0051】
有用性:本発明の単離核酸は、細胞、組織、器官又は動物(哺乳類及びヒトを含む)に
おいて測定し、又は作用して、免疫障害若しくは疾患、循環器障害若しくは疾患、感染性
、悪性及び/若しくは神経性障害又は疾患のうちの少なくとも1つから選択されるがこれ
らに限定されない、少なくとも1つのTNF状態を診断、監視、調節、処置、緩和、発生
を予防するのを助ける、又はその症状を低減するために使用され得る、少なくとも1つの
抗TNF抗体又はその特定された変異体を生成するために使用され得る。
【0052】
かかる方法は、症状、作用、又は機序のかかる調節、処置、緩和、予防、若しくは低減
を必要としている細胞、組織、器官、動物又は患者に、少なくとも1つの抗TNF抗体を
含む有効量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。有効量は、本明細書に記
載される、又は関連分野で知られている、既知の方法を使用して行い決定して、単回(例
えば、ボーラス)、複数回、若しくは持続投与当たり約0.001~500mg/kgの
量、又は単回、複数回、若しくは持続投与当たり0.01~5000μg/mLの血清濃
度を達成する量、又はこの中の任意の有効範囲若しくは値を含み得る。引用文献。本明細
書で引用する全ての刊行物又は特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本
発明の時点での最高水準を示し、かつ/又は本発明の説明及び使用可能性を提供する。刊
行物は、任意の科学刊行物若しくは特許公報、又は全ての記録された電子若しくは印刷型
式を含む、任意の媒体形式で利用可能なその他の任意の情報を指す。以下の文献は、参照
により全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Cur
rent Protocols in Molecular Biology,John
Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambro
ok,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory
Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,N
Y(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Lab
oratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(198
9)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocol
s in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(
1994-2001)、Colligan et al.,Current Proto
cols in Protein Science,John Wiley&Sons,
NY,NY,(1997-2001)。
【0053】
本発明の抗体:配列番号1、2、及び3の重鎖可変CDR領域の全て、並びに/又は配
列番号4、5、及び6の軽鎖可変CDR領域の全てを含む、本発明の少なくとも1つの抗
TNF抗体は、所望により、当該技術分野において周知であるように、細胞株、混合細胞
株、不死化細胞又は不死化細胞のクローン集団により生成され得る。例えば、Ausub
el,et al.,ed.,Current Protocols in Molec
ular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(
1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Clo
ning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Col
d Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane
,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spr
ing Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.
,Current Protocols in Immunology,John Wi
ley&Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et
al.,Current Protocols in Protein Science
,John Wiley&Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照された
く、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
ヒトTNFタンパク質又はその断片に特異的なヒト抗体は、単離された及び/若しくは
TNFタンパク質、又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適
切な免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特定の又は一般的な哺乳類抗体も同様に生じ得
る。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、任意の好適な技術を使用して
行うことができる。
【0055】
1つのアプローチでは、ハイブリドーマは、適切な不死化細胞株(例えば、Sp2/0
、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、>243、P3
X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 S
A5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT
、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 1
44、NAMAIWA、NEURO 2Aなどであるがこれらに限定されない骨髄腫細胞
株、又はヘテロミローマ(heteromylomas)、その融合生成物、又はそれらに由来する任意
の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意のその他の好適な細胞株
を融合させることにより生成される。例えば、www.atcc.org、www.li
fetech.com.などを参照のこと。単離若しくはクローニングされた脾臓、末梢
血、リンパ、扁桃、又はその他の免疫若しくはB細胞含有細胞などであるがこれらに限定
されない抗体生成細胞、あるいは組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻類、原核生
物、両生類、昆虫類、爬虫類、魚類、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、
霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA,rDNA、ミトコンドリアDNA若しくは
RNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本
鎖若しくは三本鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの組み合わせのような、内因性若し
くは異種の核酸のいずれかとして、重鎖若しくは軽鎖定常若しくは可変若しくはフレーム
ワーク若しくはCDR配列を発現する任意のその他の細胞を有する。例えば、上記のAu
subel及びColligan,Immunology chapter 2を参照さ
れたく、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又
は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意のその他の好適な宿主細
胞も、本発明の抗体、特定された断片又はその変異体をコード化する異種若しくは内因性
の核酸を発現するために使用され得る。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、
選択的培養条件又はその他の好適な既知の方法を使用して単離され、限界希釈若しくは細
胞選別又はその他の既知の方法によってクローニングされ得る。所望の特異性を有する抗
体を生成する細胞は、好適なアッセイ(例えばELISA)によって選択することができ
る。
【0057】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する(例えば、バクテリオフ
ァージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブ
ラリであるがこれに限定されない、例えば、Cambridge antibody T
echnologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,
Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdee
n,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax
Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkel
ey,CA、Ixsys。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願PCT/GB
91/01134号、国際出願PCT/GB92/01755号、国際出願PCT/GB
92/002240号、国際出願PCT/GB92/00883号、国際出願PCT/G
B93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際
出願PCT/GB94/01422号、国際出願PCT/GB94/02662号、国際
出願PCT/GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/1444
3号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願PCT
/US94/1234号、国際公開第92/18619号、国際公開第96/07754
号、(Scripps)、欧州特許第614 989号(MorphoSys)、国際公
開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際
公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)
、国際出願PCT/US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06
283号、欧州特許第371 998号、欧州特許第550 400号、(Xoma)、
欧州特許第229046号、国際出願PCT/US91/07149号(Ixsys)、
又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、
同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第58245
14号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第59068
9号(Ixsys、現在はApplied Molecular Evolution(
AME)、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野に
おいて既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを生成す
ることができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、
Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-9
07(1997)、Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechn
ol.16:95-118(1996)、Eren et al.,Immunol.9
3:154-161(1998)(各々は、参照により全体が組み込まれる)、並びに関
連する特許及び出願)方法を含むがこれらに限定されない、必要な特異性の抗体を生成又
は単離する他の好適な方法を使用することができる。かかる技術には、リボソームディス
プレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
94:4937-4942(May 1997)、Hanes et al.,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.19
98))、単一細胞抗体生成技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(「SLAM」)(米
国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:8
87-892(1987)、Babcook et al.,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロッ
プレット(gel microdroplet)、及びフローサイトメトリー(Powell et al
.,Biotechnol.8:333-337(1990)、One Cell Sy
stems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Met
h.182:155-163(1995)、Kenny et al.,Bio/Tec
hnol.13:787-790(1995))、B細胞選択物(Steenbakke
rs et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(
1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.
5,In Vitro Immunization in Hybridoma Tec
hnology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science
Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(19
88))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
非ヒト抗体又はヒト抗体を工学的処理又はヒト化するための方法も同様に使用でき、当
該技術分野において周知である。一般に、ヒト化又は工学処理された抗体は、例えば、マ
ウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、又はその他の哺乳動物などであるがこれらに限定
されない、非ヒトの供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒトアミノ
酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれ、典型的には既知のヒト配列の「インポ
ート」可変領域、定常領域又はその他のドメインから採取される。既知のヒトIg配列が
開示されており、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/
query.fcgi、www.atcc.org/phage/hdb.html、w
ww.sciquest.com/、www.abcam.com/、www.anti
bodyresource.com/onlinecomp.html、www.pub
lic.iastate.edu/~pedro/research_tools.ht
ml、www.mgen.uni-heidelberg.de/SD/IT/IT.h
tml、www.whfreeman.com/immunology/CH05/ku
by05.htm、www.library.thinkquest.org/1242
9/Immune/Antibody.html、www.hhmi.org/gran
ts/lectures/1996/vlab/、www.path.cam.ac.u
k/~mrc7/mikeimages.html、www.antibodyreso
urce.com/、mcb.harvard.edu/BioLinks/Immun
ology.html.www.immunologylink.com/、pathb
ox.wustl.edu/~hcenter/index.html、www.bio
tech.ufl.edu/~hcl/、www.pebio.com/pa/3409
13/340913.html、www.nal.usda.gov/awic/pub
s/antibody/、www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhit
o/Elisa.html、www.biodesign.com/table.asp
、www.icnet.uk/axp/facs/davies/links.html
、www.biotech.ufl.edu/~fccl/protocol.html
、www.isac-net.org/sites_geo.html、aximt1.
imt.uni-marburg.de/~rek/AEPStart.html、ba
serv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html、www.
recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu/、www.
mrc-cpe.cam.ac.uk/imt-doc/public/INTRO.h
tml、www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html、imgt
.cnusc.fr:8104/、www.biochem.ucl.ac.uk/~m
artin/abs/index.html、antibody.bath.ac.uk
/、abgen.cvm.tamu.edu/lab/wwwabgen.html、w
ww.unizh.ch/~honegger/AHOseminar/Slide01
.html、www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s/、www.
nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.htm、www.
path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.
html、www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_
aim.html、www.biosci.missouri.edu/smithgp
/index.html、www.cryst.bioc.cam.ac.uk/~fm
olina/Web-pages/Pept/spottech.html、www.j
erini.de/fr_products.htm、www.patents.ibm
.com/ibm.html.Kabat et al.,Sequences of
Proteins of Immunological Interest,U.S.D
ept.Health(1983)である(各々は、参照により全体が本明細書に組み込
まれる)。
【0059】
このようなインポートされた配列は、免疫原性を減少させるため、あるいは、当該技術
分野において既知のように、結合、親和性、オン速度、オフ速度、結合活性、特異性、半
減期、又はその他の適切な任意の特性を低減、増強又は改変するために使用することがで
きる。一般に、非ヒト若しくはヒトCDR配列の一部又は全ては、可変及び定常領域の非
ヒト配列がヒト若しくは他のアミノ酸に置き換えられる間も維持される。抗体はまた、所
望により、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性を保持したままで、ヒ
ト化され得る。この目的を達成するために、所望により、ヒト化抗体を、親配列及びヒト
化配列の3次元モデルを使用した、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析プロセスに
よって調製することが可能である。3次元免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であ
り、当業者によく知られている。選択された候補の免疫グロブリン配列について、可能性
の高い3次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。こ
れらの表示を調べることにより、候補の免疫グロブリン配列の機能における残基の役割と
して可能性の高いものの分析、即ち候補の免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影
響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する親和
性の増大など、望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート
配列から、FR残基を選択し組合せることができる。一般的に、CDR残基は抗原結合に
対する影響において、直接的かつ最も実質的に関与している。本発明の抗体のヒト化又は
工学的処理は、Winter(Jones et al.,Nature 321:52
2(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(
1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(
1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(19
93)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(
1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U
.S.A.89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immun
ol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第597686
2号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第57
63192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号
、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530
101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際
出願PCT/:US98/16280号、US96/18978号、US91/0963
0号、US91/05939号、US94/01234号、GB89/01334号、G
B91/01134号、GB92/01755号、国際公開第90/14443号、国際
公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、欧州特許第229246号
(各々、参照により全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載
されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことが
できる。
【0060】
抗TNF抗体はまた、所望により、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野におい
て既知である、ヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニック動物
(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生成するこ
ともできる。ヒト抗TNF抗体を生成する細胞をかかる動物から単離し、本明細書に記載
される方法などの好適な方法を使用して不死化してもよい。
【0061】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニッ
クマウスは、既知の方法によって生成することができる(例えば、これらに限定されない
が、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,
825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,8
25号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,
650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovi
tsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/2488
4号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開
第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、
Kucherlapateらの欧州特許第0463 151(B1)号、Kucherl
apateらの欧州特許第0710 719(A1)号、Suraniらの米国特許第5
,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bru
ggemannらの欧州特許第0438 474(B1)号、Lonbergらの欧州特
許第0814 259(A2)号、Lonbergらのイギリス特許第2 272 44
0(A)号、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1
994)、Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-5
91(1994),Green et al,Nature Genetics 7:1
3-21(1994)、Mendez et al.,Nature Genetics
15:146-156(1997)、Taylor et al.,Nucleic
Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、Tu
aillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(
8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev
Immunol 13(1):65-93(1995)、及びFishwald et
al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996)、
これらはそれぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。一般に、これらのマウ
スは、機能的に再配列された、又は機能的な再配列を受けることができる少なくとも1つ
のヒト免疫グロブリン遺伝子座からのDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む
。このようなマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を分断又は欠失させて、内因性遺伝
子によりコード化されている抗体を産生する動物の能力を除去することができる。
【0062】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチ
ドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。この方法は、望ま
しい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの多数の試料採集をスクリーニ
ングすることを伴う。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは、当該技
術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個
以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミ
ノ酸長であり得る。ペプチドライブラリを作成する直接的化学合成方法に加えて、いくつ
かの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプには、バクテリオファージ又は細
胞の、表面上のペプチド配列のディスプレイが関与している。各バクテリオファージ又は
細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコード化するヌクレオチド配列を含有
する。このような方法は、国際公開第91/17271号、同第91/18980号、同
第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。ペプチドのライ
ブラリを作成するための他のシステムは、インビトロ化学合成及び組換え方法の両方の局
面を有する。国際公開第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/
19256号を参照されたい。また、米国特許第5,658,754号及び同第5,64
3,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリ
ーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambri
dge Antibody Technologies(Cambridgeshire
,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許
第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第526020
3号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第56
56730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、
Dyaxに譲渡された同第5223409号、同第5403484号、同第557169
8号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された同第5427908号、同第
5580717号、Cambridge antibody Technologies
に譲渡された同第5885793号、Genentechに譲渡された同第575037
3号、Xomaに譲渡された同第5618920号、同第5595898号、同第557
6195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、C
olligan(上記)、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照さ
れたく、上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明の抗体はまた、かかる抗体を乳中に生成するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなどのト
ランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1
つの抗TNF抗体を使用して調製することもできる。かかる動物は、既知の方法を使用し
て提供することができる。例えば、これらに限定されないが、米国特許第5,827,6
90号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,99
2号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489
号などを参照されたい(それらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0064】
本発明の抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、かかる抗体、特定さ
れた部分又は変異体を生成するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば
、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、少なく
とも1つの抗TNF抗体コード核酸を使用して更に調製することができる。非限定的な例
として、例えば、誘導プロモーターを使用して、組換えタンパク質を発現するトランスジ
ェニックタバコ葉をうまく使用して大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、
Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.
240:95-118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、
トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において生成されるか、又は天然源か
ら精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する、商業生成レベルで哺乳類タンパ
ク質を発現するために使用されてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Ex
p.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文
献を参照のこと。抗体はまた、タバコ種子及びポテト塊茎を含む、一本鎖抗体(scFv
)などの抗体断片を含むトランスジェニック植物種子からも大量に生成されてきた。例え
ば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101-10
9(1998)及びその中で引用される文献を参照のこと。したがって、本発明の抗体は
また、既知の方法により、トランスジェニック植物を使用して生成することもできる。例
えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Bioche
m.30:99-108(Oct.,1999),Ma et al.,Trends
Biotechnol.13:522-7(1995)、Ma et al.,Plan
t Physiol.109:341-6(1995)、Whitelam et al
.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びそ
の中で引用される文献も参照されたい。また、限定されないが、一般に抗体の植物発現に
ついても参照のこと。上記文献の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
本発明の抗体は、広範囲にわたる親和性(K)でヒトTNFに結合することができる
。好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1つのヒトmAbは、所望によりヒトTN
Fに高い親和性で結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトTNFを約10
M以下、例えば0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)×10-7、1
-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又はその中の任意
の範囲若しくは値など(ただしこれらに限定されない)のKで結合することができる。
【0066】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験的に決定す
ることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-
Antigen Interactions,」In Fundamental Imm
unology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New Yo
rk,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Fr
eeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明
細書に記載される方法を参照されたい。)特定の抗体抗原相互作用の測定される親和性は
、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なり得る。したがって、
親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、K、K、K)の測定は、好ましくは
、抗体及び抗原の標準化溶液、並びに本明細書で記載される緩衝剤などの標準化緩衝剤を
用いて行われる。
【0067】
核酸分子。配列番号1、2、3、4、5、6、7、8のうちの少なくとも1つの隣接ア
ミノ酸の少なくとも70~100%をコード化するヌクレオチド配列、特定された断片、
変異体若しくはそれらのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを
含む寄託ベクターなどの本明細書に提供される情報を使用して、配列番号1、2、及び3
の重鎖可変CDR領域の全て並びに/又は配列番号4、5、及び6の軽鎖可変CDR領域
の全てを含む少なくとも1つの抗TNF抗体をコード化する本発明の核酸分子は、本明細
書に記載されるか、又は当該技術分野において既知の方法を使用して得ることができる。
【0068】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA若しくは任意の他の形態のよう
なRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に生成されるcDNA
及びゲノムDNAが挙げられるがこれらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意
の組み合わせであってよい。DNAは、3本鎖、2本鎖若しくは1本鎖、又はこれらの任
意の組み合わせであってよい。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、
センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖と呼ばれる、
非コード鎖であってもよい。
【0069】
本発明の単離された核酸分子は、所望により1つ以上のイントロンを有するオープンリ
ーディングフレーム(ORF)、例えば、これらに限定されないが、少なくとも1つの重
鎖(例えば、配列番号1~3)若しくは軽鎖(例えば、配列番号4~6)のCDR1、C
DR2、及び/又はCDR3のような、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定
された部分を含む核酸分子、抗TNF抗体若しくは可変領域のコード配列(例えば、配列
番号7、8)を含む核酸分子、並びに上述の核酸分子とは実質的に異なるが、遺伝コード
の縮重により、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知である少なくと
も1つの抗TNF抗体を尚もコード化するヌクレオチド配列を含む核酸分子を含み得る。
当然のことながら、遺伝コードは、当該技術分野において周知である。したがって、当業
者には、本発明の特定の抗TNF抗体をコード化する、かかる縮重核酸変異体を生成する
ことは、日常的であろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたく、かかる核酸
変異体は、本発明に含まれる。本発明の単離核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ
、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2
、LC CDR3、のHC可変領域及びLC可変領域をコードする核酸の非限定的な例に
対応する、配列番号10、11、12、13、14、15が挙げられる。
【0070】
本明細書に示されるように、抗TNF抗体をコード化する核酸を含む本発明の核酸分子
は、それ自体で抗体断片のアミノ酸配列をコード化するもの、全抗体若しくはその一部の
コード配列、抗体、断片若しくは部分のコード配列、並びに追加の配列、例えば、少なく
とも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴って、又は伴わずに、非コード
5’及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mR
NAのリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を
果たす転写された非翻訳配列を含むがこれに限定されない追加の非コード配列とともに、
少なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列、更なるアミノ酸
、例えば、更なる機能性を提供するアミノ酸をコード化する追加のコード配列を挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコード化する配列は、抗体断
片又は部分を含む融合された抗体の精製を促進するペプチドをコード化する配列などのマ
ーカー配列に融合させることができる。
【0071】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチ
ド。本発明は、本明細書で開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリダイ
ゼーション条件下でハイブリダイズする単離核酸を提供する。したがって、本実施形態の
ポリヌクレオチドは、このようなポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は
定量化するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを使用して
、蓄積されたライブラリにおける部分又は完全長クローンを同定、単離、又は増幅するこ
とができる。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、単離された、又はそ
うでなければヒト若しくは哺乳類の核酸ライブラリからのcDNAに相補的な、ゲノム配
列又はcDNA配列である。
【0072】
好ましくは、cDNAライブラリは、完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全
長配列の少なくとも85%又は90%、及びより好ましくは完全長配列の少なくとも95
%を含む。cDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるために正規化してよい
。相補的な配列に対して低減した配列同一性を持つ配列と共に使用される、ストリンジェ
ンシーが低度又は中度のハイブリダイゼーション条件が典型的であるが、排他的ではない
。ストリンジェンシーが中度及び高度の条件は、任意選択的に、より高い同一性を持つ配
列に対して使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性
を持つ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガス又はパラロガス配
列を同定するために利用できる。
【0073】
所望により、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載されているポリヌクレオチ
ドによってコード化される抗体の少なくとも一部をコード化することになる。本発明のポ
リヌクレオチドは、本発明の抗体をコード化するポリヌクレオチドに対する選択的ハイブ
リダイゼーションのために利用可能な核酸配列を包含する。例えば、上記のAusube
l、上記のColliganを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み
込まれる。
【0074】
核酸の構築。本発明の単離核酸は、当技術分野にて周知のように、(a)組換え方法、
(b)合成技術、(c)精製技術、又はこれらの組み合わせを使用して作製することがで
きる。
【0075】
核酸は、本発明のポリヌクレオチドに加えて、首尾よく配列を含むことができる。例え
ば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核酸に挿
入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列を挿入
して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例えば、ヘ
キサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するための便利な手段を提供
する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、所望により、本発明のポリヌクレオチドの
クローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター又はリンカーである。
【0076】
追加の配列をかかるクローニング及び/又は発現配列に付加して、クローニング及び/
又は発現におけるそれらの機能を最適化し、ポリヌクレオチドの単離に役立てることがで
きるか、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベク
ター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知で
ある。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照のこと。)
【0077】
核酸を構築するための組換え方法。RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任
意の組み合わせのような本発明の単離核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニ
ング手順を用いて生物源から得ることができる。いくつかの実施形態において、本発明の
ポリヌクレオチドに対して厳しい条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチ
ドプローブが、cDNA又はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列を同定するために
使用される。RNAの単離、並びにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には
周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照のこ
と。)
【0078】
核酸のスクリーニング及び単離方法。本明細書で開示されているような、本発明のポリ
ヌクレオチドの配列に基づいたプローブを用いて、cDNA又はゲノムライブラリをスク
リーニングすることができる。プローブを使用して、同じ又は異なる生体内の相同遺伝子
を単離するため、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさせることができる。
当業者であれば、アッセイに様々な度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを
用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかが厳しい可能性があ
ることは明らかであろう。ハイブリダイゼーションのための条件が厳しくなるにつれて、
二重鎖形成が生じるために、プローブと標的との間の相補性の程度が大きくなるはずであ
る。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドのような
部分的に変性する溶媒の存在、のうちの1つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブ
リダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でのホルムア
ミド濃度の操作により反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能
な結合のために必要な相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び
/又は洗浄媒質のストリンジェンシーに従って変化する。相補性の程度は、最適には10
0%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、
プローブ及びプライマー内のわずかな配列変動は、ハイブリダイゼーション及び/又は洗
浄媒質のストリンジェンシーを低下させることで補償できるということを理解すべきであ
る。
【0079】
RNA又はDNAの増幅方法は当該技術分野において周知であり、本明細書で紹介する
教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用可能である。
【0080】
DNA又はRNA増幅の既知の方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase cha
in reaction、PCR)及び関連する増幅プロセス(例えば、Mullisらの米国特許
第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第
4,965,188号、Taborらの同第4,795,699号及び同第4,921,
794号、Innisの同第5,142,033号、Wilsonらの同第5,122,
464号、Innisの同第5,091,310号、Gyllenstenらの同第5,
066,584号、Gelfandらの同第4,889,818号、Silverらの同
第4,994,370号、Biswasの同第4,766,067号、Ringoldの
同第4,656,134号を参照されたい)、及び二本鎖DNA合成のためのテンプレー
トとして標的配列に対してアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekら
の米国特許第5,130,238号、商標名NASBAを持つ)が挙げられるが、これら
に限定されない(これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。(例
えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0081】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて、ゲノムDNA又はcDNAラ
イブラリから直接、本発明のポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の配列を増幅すること
ができる。PCR及びその他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現すべきタンパク
質をコード化する核酸配列をクローニングする、サンプル中の所望のmRNAの存在を検
出するため、核酸の配列決定のため、又はその他の目的のためのプローブとして用いるた
めの核酸を作製するのに有用であり得る。インビトロ増幅方法によって当業者を導くのに
十分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambrook及び上記のAusub
el並びにMullisら米国特許第4,683,202号(1987)、及びInni
s,et al.,PCR Protocols A Guide to Method
s and Applications,Eds.,Academic Press I
nc,San Diego,CA(1990)に見られる。ゲノムPCR増幅用の市販キ
ットは当該技術分野において既知である。例えば、Advantage-GC Geno
mic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加えて、例えば、T4遺
伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)を用いて、長いPCR
産物の収率を改善することができる。
【0082】
核酸を構築するための合成方法。本発明の単離核酸は、既知の方法による直接化学合成
によっても調製可能である(例えば、上記のAusubelらを参照)。化学合成は、一
般に、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は1本鎖をテンプレートとし
て使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、2本鎖DNAに変換可能な1本鎖オリ
ゴヌクレオチドを生成する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100以上の塩基の
配列に限定され得るものの、より長い配列は、より短い配列の連結反応によって得ること
ができることを認識するであろう。
【0083】
組換え発現カセット。本発明は、本発明の核酸を含む組換え発現カセットを更に提供す
る。本発明の核酸配列、例えば本発明の抗体をコード化するcDNA又はゲノム配列を用
いて、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入できる組換え発現カセットを構築すること
ができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレ
オチドの転写を導く、転写開始調節配列に機能的に連結される、本発明のポリヌクレオチ
ドを含む。異種及び非異種(即ち、内因性)プロモーターの両方を使用して、本発明の核
酸の発現を導くことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、プロモーター、エンハンサー、又は他の要素として機能する
単離核酸を、本発明のポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するために、本発明の
ポリヌクレオチドの非異種形の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入する
ことができる。例えば、インビボ又はインビトロで、突然変異、欠失及び/又は置換によ
り、内因性プロモーターを変えることができる。
【0085】
ベクター及び宿主細胞。本発明は、本発明の単離核酸分子を含むベクター、組換えベク
ターで遺伝子工学処理された宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術
による少なくとも1つの抗TNF抗体の生成にも関する。例えば、上記のSambroo
kら、上記のAusubelらを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組
み込まれる。
【0086】
ポリヌクレオチドは、任意選択的に、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベ
クターに結合することができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿
物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクターがウイルスであ
る場合は、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでこれをパッケージングし、
その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0087】
DNA挿入物は、適切なプロモーターに機能的に連結されるべきである。発現コンスト
ラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソ
ーム結合部位を更に含む。構築物により発現される成熟した転写産物のコード部分は、好
ましくは、最初に翻訳開始部位を含み、翻訳されるmRNAの最後に終止コドン(例えば
、UAA、UGA、又はUAG)が適切に位置することになる。哺乳類又は真核生物の細
胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0088】
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含むが、これは任意であ
る。かかるマーカーは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(MTX)、ジ
ヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634
,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,
636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイ
コフェノール酸又はグルタミンシンセターゼ(glutamine synthetase、GS、米国特許第
5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性
遺伝子、並びに大腸菌及びその他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイク
リン又はアンピシリンの抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は、参
照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び
条件は、当該技術分野において既知である。適切なベクターは、当事者にとって容易に明
白となるであろう。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムト
ランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂
質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の既知の
方法により影響を受け得る。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4
章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章など、当
該技術分野において記載されている。
【0089】
本発明の少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得
、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加アミノ酸の領
域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、
宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発
明の抗体に追加して、精製を容易にすることもできる。抗体又は少なくとも1つのその断
片の最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSamb
rook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusu
bel、第16、17及び18章など、多くの標準的な実験室マニュアルに記載されてい
る。
【0090】
当業者であれば、本発明のタンパク質をコード化する核酸の発現に利用可能な多数の発
現系について精通している。
【0091】
別の方法としては、本発明の核酸は、本発明の抗体をコード化する内因性DNAを含む
宿主細胞内で、(操作により)オン切換えすることにより、宿主細胞中で発現させること
ができる。このような方法は、米国特許第5,580,734号、同第5,641,67
0号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているよう
に、当該技術分野において周知であり、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれ
る。
【0092】
抗体、その特定された部分又は変異体の産生にとって有用な細胞培養の一例は哺乳動物
細胞である。哺乳類細胞系は、単層の細胞の形を取ることが多いが、哺乳類細胞の懸濁液
又はバイオリアクターも使用可能である。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能ない
くつかの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1
(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-165
1)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばA
TCC CRL1610)及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、C
os-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0
-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、Americ
an Type Culture Collection,Manassas,Va(w
ww.atcc.org)から容易に入手できる。好適な宿主細胞には、骨髄腫及びリン
パ腫細胞などのリンパ系起源の細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞はP3X63A
g8.653細胞(ATCC登録番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞
(ATCC登録番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞
は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0093】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター(例えば、後期又は初期SV
40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号、同第5,3
85,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)
プロモーター、EF-1αプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくと
も1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサー、及び/又はリボソーム結合部
位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ
付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定
されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含み得る。例えば、上記のAusubelら
、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用
なその他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type
Culture Collectionの細胞株及びハイブリドーマのカタログ(www
.atcc.org)又はその他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0094】
真核宿主細胞が利用されるとき、典型的には、ベクター内にポリアデニル化又は転写終
結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル
化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。
スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague
,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該
技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベ
クター内に組み込むことができる。
【0095】
抗体の精製。抗TNF抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈
殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマト
グラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒ
ドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられる
がこれらに限定されない周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製すること
ができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に利用することもできる
。例えば、Colligan、Current Protocols in Immun
ology又はCurrent Protocols in Protein Scie
nce,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、
例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたく、それぞれは参照により全体が本
明細書に組み込まれる。
【0096】
本発明の抗体には、天然に精製された生成物、化学合成処置の生成物、並びに例えば、
酵母、高等植物、昆虫及び哺乳類細胞を含む、真核宿主から組換え技法により生成された
生成物が含まれる。組換え生成処置に用いられる宿主に応じて、本発明の抗体は、グリコ
シル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。か
かる方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAu
subel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,
Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュア
ルに記載されており、全てが参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0097】
抗TNF抗体
配列番号1、2、及び3の重鎖可変CDR領域の全て並びに/又は配列番号4、5、及
び6の軽鎖可変CDR領域の全てを含む本発明の単離された抗体は、任意の好適なポリヌ
クレオチドによってコード化される本明細書で開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意
の単離又は調製された抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合断片は、ヒトTN
Fに結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質
的に中和する。少なくとも1つのTNFタンパク質又は断片の少なくとも1つの生物学的
活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定された部分若しくは変
異体は、タンパク質又は断片に結合し、それによりTNFのTNF受容体への結合を通し
て、又は他のTNF依存性若しくは媒介性機序を通して媒介される活性を阻害することが
できる。本明細書で使用するとき、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20
~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65
、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、
99、100%又はそれ以上、TNF依存性活性を阻害することができる抗体を指す。T
NF依存性活性を阻害する抗TNF抗体の能力は、好ましくは、本明細書に記載されかつ
/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なTNFタンパク質又は受容
体アッセイによって評価される。本発明のヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、
IgM、IgE、IgDなど)又はアイソタイプのものであってもよく、κ又はλ軽鎖を
含み得る。一実施形態において、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定された断片、例えば、
IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含
む。このタイプの抗体は、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、
少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA)及びIgM(例えば、γ1、γ2
、γ3、γ4)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他のトランスジェニッ
ク非ヒト哺乳動物を用いることによって調製することができる。別の実施形態において、
抗ヒトTNFヒト抗体は、IgG1重鎖及びIgG1軽鎖を含む。
【0098】
本発明の少なくとも1つの抗体は、少なくとも1つのTNFタンパク質、サブユニット
、断片、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定のエピト
ープに結合する。この少なくとも1つのエピトープは、このタンパク質の少なくとも一部
を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができ、このエピトープは、好ましくは
、このタンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外部部分、
又は細胞質顆粒部分から構成されている。少なくとも1つの特定されたエピトープは、配
列番号9の隣接アミノ酸の特定された部分全体に対する少なくとも1~3個のアミノ酸の
少なくとも1つのアミノ酸配列の任意の組み合わせを含むことができる。
【0099】
一般に、本発明のヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補性決定領域
(CDR1、CDR2及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び
少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なく
とも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。非限定的な例として、抗体
又は抗原結合部分若しくは変異体は、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3及
び/又は配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3のうちの少なくとも1つを含み
得る。特定の実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、対応するCDR1、2、及び/又
は3のアミノ酸配列(例えば、配列番号1、2、及び/又は3)を有する少なくとも1つ
の重鎖CDR(即ち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部を含
む抗原結合領域を有することができる。別の特定の実施形態において、抗体又は抗原結合
部分若しくは変異体は、対応するCDR1、2、及び/又は3のアミノ酸配列(例えば、
配列番号4、5、及び/又は6)を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(即ち、CDR1
、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部を含む抗原結合領域を有することが
できる。好ましい実施形態において、抗体又は抗原結合断片の3つの重鎖CDR及び3つ
の軽鎖CDRは、本明細書に記載される、mAb TNV148、TNV14、TNV1
5、TNV196、TNV118、TNV32、及びTNV86のうちの少なくとも1つ
の対応するCDRのアミノ酸配列を有する。かかる抗体は、組換えDNA技術の従来技術
を使用して抗体をコード化する(即ち、1つ以上の)核酸分子を調製し発現させることに
よって、又は任意のその他の適切な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗
体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることに
より調製できる。
【0100】
抗TNF抗体は、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少な
くとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施態様において、抗TNF抗体は、
所望により配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び/又は所望により配列番
号8のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含
む。ヒトTNFに結合し、規定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、好適な方法、
例えば、当該技術分野において既知でありかつ/又は本明細書に記載される、ファージデ
ィスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(
5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、
好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再配列されたヒト免疫グ
ロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再配列を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽
鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子と、を含むトランスジェニックマウスを、ヒト
TNF又はその断片で免疫化して抗体の生成を誘発することができる。所望する場合、抗
体生成細胞を単離することができ、本明細書に記載されるように、かつ/又は当該技術分
野において既知であるように、ハイブリドーマ又はその他の不死化抗体生成細胞を調製す
ることができる。あるいは、抗体、特定された部分又は変異体は、好適な宿主細胞内で、
コード核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0101】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列内のアミ
ノ酸を含む抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖及びCDRにも関する。好ましくは、
かかる抗体又は抗原結合断片及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例
えば、Kが約10-9M以下)で、ヒトTNFに結合することができる。本明細書に記
載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列には、保存的アミノ酸置換、並びに
アミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のア
ミノ酸を、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷
、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で置換することを指す。保存的
置換は、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン
(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミ
ン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T
)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシ
ン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトフ
ァン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及び
Y;C、S、及びT。
【0102】
アミノ酸コード。本発明の抗TNF抗体を構成するアミノ酸は、略されることが多い。
アミノ酸表記は、その1文字コード、その3文字コード、名称、又は3つのヌクレオチド
コドン(複数可)によりアミノ酸を表記することにより示すことができ、当該技術分野に
おいてよく理解されている(Alberts,B.,et al.,Molecular
Biology of The Cell,Third Ed.,Garland P
ublishing,Inc.,New York,1994を参照のこと)。
【0103】
【表2】
【0104】
本発明の抗TNF抗体は、本明細書で特定されるように、自然突然変異又はヒトによる
操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0105】
当然のことながら、当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上述のものを含む数多くの
要因に依存する。一般的に言えば、任意の所与の抗TNF抗体、断片又は変異体について
のアミノ酸置換、挿入、又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、2
0、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、
5、4、3、2、1、例えば、1~30、又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない
【0106】
機能上不可欠である本発明の抗TNF抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又
はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により特
定することができる(例えば、上記のAusubel、第8,15章;Cunningh
am and Wells,Science 244:1081-1085(1989)
)。後者の手順では、分子内の各残基毎に1つのアラニン置換変異が導入される。次いで
、結果として得られた突然変異分子は、例えば、少なくとも1つのTNF中和活性などが
あるがこれに限定されない生物学的活性について試験される。抗体結合にとってきわめて
重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造分析によって特
定することができる(Smith,et al.,J.Mol.Biol.224:89
9-904(1992)及びde Vos,et al.,Science 255:3
06-312(1992))。
【0107】
本発明の抗TNF抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6のうちの少なくとも1つの
隣接アミノ酸のうちの1個~全てから選択された、少なくとも1つの部分、配列又は組み
合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0108】
抗TNF抗体は更に、所望により、配列番号7、8のうちの少なくとも1つの、隣接ア
ミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含み得る。
【0109】
一実施形態において、免疫グロブリン鎖又はその一部分(例えば、可変領域、CDR)
のアミノ酸配列は、配列番号7、8のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列
と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、
77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、9
0、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任
意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、配列番号8の
配列と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号7と比較するこ
とができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(即ち、90、91、92、
93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは
値)は、当該技術分野において既知であるように、適切なコンピュータアルゴリズムを用
いて決定される。
【0110】
代表的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列は、配列番号7、8に示されている。本発明の抗
体又はその特定された変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含み得
、その数は、抗TNF抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選
択される。任意選択的に、隣接アミノ酸のこの部分列は、少なくとも約10、20、30
、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、1
50、160、170、180、190、200、210、220、230、240、2
50、又はそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、か
かる部分列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択
される任意の整数であり得る。
【0111】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性抗体
が含まれている。生物学的活性抗体は、天然(非合成)、内因性又は関連する及び既知の
抗体のものの、少なくとも20%、30%又は40%、及び好ましくは少なくとも50%
、60%又は70%、及び最も好ましくは少なくとも80%、90%又は95%~100
0%の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量化測定の方法は、当
業者には周知である。
【0112】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載され
るヒト抗体及び抗原結合断片に関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば
、増大した、インビボでの血清半減期)を有する抗体又は抗原結合断片を生成することが
できる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル
基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、分子量が約800~
約120,000ダルトンであって、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレング
リコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミ
ノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、また、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基
は、約8~約40の炭素原子を含み得る。
【0113】
本発明の修飾された抗体及び抗原結合断片は、直接的又は間接的に抗体に共有結合され
る、1つ以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体又は抗原結合断片に結合される各有機
部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。本
明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を含
む。本明細書で使用するとき、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に
対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水
に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明
に包含される。本発明の抗体を修飾する適切な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であ
り得、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレン
グリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース
、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギ
ニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本
発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,0
00ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用
することができ、下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリ
マー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することがで
きる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、適切な方法を利用
することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又
は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上
の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている
)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0114】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよい
し、又は1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。本発明の抗体を修飾するのに好適な脂
肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n-テトラデカン
酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n-オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、
n-エイコサン酸塩(C20、アラキジン酸塩)、n-ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸
)、n-トリアコンタン酸塩(C30)、n-テトラコンタン酸塩(C40)、シス-Δ
9-オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、全てのシス-Δ5,8,11,14-
エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタンジオン酸、テトラデカン
ジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エ
ステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む
。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含み得る。
【0115】
修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な
方法を使用して調製することができる。本明細書で使用されるとき、用語「修飾剤」は、
活性化基を含む適切な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意
味する。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と
第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例
えば、アミン反応性活性化基は、トシル酸塩、メシル酸塩、ハロ(クロロ、ブロモ、フル
オロ、ヨード)などの求電子性基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(NHS)な
どを含む。チオール類と反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセ
チル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオー
ル(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジ
ド-含有分子と連結することができ、また、アジド基は、三価リン基と反応してホスホル
アミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入す
るための好適な方法が、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson
,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic P
ress:San Diego,CA(1996)を参照されたい)。活性化基は、有機
基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分
、例えば、二価のC~C12基(ここで、1つ以上の炭素原子は酸素、窒素、又は硫黄
などのヘテロ原子で置換され得る)を介して、結合することができる。好適なリンカー部
分は、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH-、-NH-(CH
NH-、-(CH-NH-及び-CH-O-CH-CH-O-CH-CH
-O-CH-NH-を含む。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(
3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-ア
ルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへ
キサン)を脂肪酸と反応させることにより、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間
のアミド結合を形成することによって生成可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢
酸(TFA)処理により生成物から除去して、記載されているように別のカルボン酸塩に
連結し得る一級アミンを露出させることができ、あるいは、これを無水マレイン酸と反応
させ、結果として得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成す
ることができる。(例えば、参照により教示の全体が本明細書に組み込まれる、Thom
psonらの国際公開第92/16221号を参照のこと。)
【0116】
本発明の修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合断片を修飾剤と反応させることによ
って生成することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEG
のNHSエステルを採用することによって、非部位特異的方法で抗体に結合させることが
できる。抗体又は抗原結合断片のジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還
元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合断片を調製することもできる。こ
のとき、還元された抗体又は抗原結合断片をチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明
の修飾された抗体を生産することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される
有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、逆タンパク質分解(Fisch
et al.,Bioconjugate Chem.,3:147-153(199
2)、Werlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:41
1-417(1994)、Kumaran et al.,Protein Sci.6
(10):2233-2241(1997)、Itoh et al.,Bioorg.
Chem.,24(1):59-68(1996)、Capellas et al.,
Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))及
びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,
Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方
法などの好適な方法を使用して調製することができる。
【0117】
抗Tnf抗体組成物に対する抗イディオタイプ抗体。モノクローナル又はキメラ抗TN
F抗体に加えて、本発明は、本発明のかかる抗体に特異的な抗イディオタイプ(抗Id)
抗体にも関する。抗Id抗体は、一般に別の抗体の抗原結合領域に関連する固有の決定基
を認識する抗体である。抗Idは、Id抗体源と同じ種及び遺伝子型の動物(例えばマウ
ス株)を、抗体又はそのCDR含有領域により免疫化することによって調製することがで
きる。免疫化された動物は、免疫化抗体のイディオタイプ決定基を認識し、それに応答し
て、抗Id抗体を生成する。抗Id抗体はまた、更に別の動物で免疫応答を誘導する「免
疫原」として使用され得、いわゆる抗-抗Id抗体を生成する。
【0118】
抗Tnf抗体組成物。本発明はまた、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野に
おいて既知であるように、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも
1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも
6つ、又はそれ以上のその抗TNF抗体を含む、少なくとも1つの抗TNF抗体組成物も
提供する。かかる組成物は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8の隣接アミノ酸の
70~100%、又はその特定される断片、ドメイン若しくは変異体からなる群から選択
される抗TNF抗体のアミノ酸配列の少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しく
はN末端欠失変異体、ドメイン、断片、又はその特定される変異体を含む非自然発生組成
物を含む。好ましい抗TNF抗体組成物は、配列番号1、2、3、4、5、6の70~1
00%の抗TNF抗体、又はその特定された断片、ドメイン若しくは変異体の、少なくと
も1つのCDR又はLBR含有部分として少なくとも1つ又は2つの完全長、断片、ドメ
イン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、配列番号1、2、3、4、5、6の7
0~100%、又は特定された断片、ドメイン若しくはその変異体のうちの少なくとも1
つを40~99%含む。このような組成物の百分率は、当該技術分野において既知である
ように、又は本明細書に記載されるように、重量、体積、濃度、容量モル濃度、あるいは
液体若しくは乾燥溶液、混合物、懸濁液、エマルション、又はコロイドとしての重量モル
濃度によるものである。
【0119】
本発明の抗TNF抗体組成物は更に、このような調節、処置、又は治療を必要としてい
る細胞、組織、器官、動物、又は患者に対する少なくとも1つの抗TNF抗体を含み、所
望により、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、TNF抗体若しくは断片、可溶性T
NF受容体若しくは断片、それらの融合タンパク質、又は小分子TNF拮抗薬などである
が、これらに限定されない)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィ
ン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウ
ム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋弛緩剤、麻薬、
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋
遮断剤、抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌剤、駆虫薬、抗ウイルス剤、カルバ
ペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンア
ミド、テトラサイクリン、その他の抗菌剤)、抗乾癬剤、コルチコステロイド、アナボリ
ックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関
連ホルモン、止瀉剤、鎮咳剤、制吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝固薬、エリスロピエチン
(例えば、エポエチンα)、フィルグラスチム(例えばG-CSF、Neupogen)
、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫化薬、免疫グロブリン、免
疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、
ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、抗
代謝剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、
催眠薬、交感神経作動薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、喘息薬、β作動薬、吸入ステ
ロイド、ロイコトリエン阻害薬、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン又は類似
薬、ドルナーゼα(Pulmozyme)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選
択される少なくとも1つを更に含む、任意の好適かつ有効量の組成物又は薬学的組成物の
うちの少なくとも1つを含み得る。このようなサイトカインの非限定的な例としては、I
L-1~IL-23のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。適切な投与量は
、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,P
harmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appl
eton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pha
rmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia
2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing
,Loma Linda,CA(2000)を参照されたく、これらの各々は、参照によ
り全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
このような抗癌剤又は抗感染薬はまた、本発明の少なくとも1つの抗体と関連、結合、
同時処方、又は併用される毒素分子も含み得る。毒素は、病態細胞又は組織を選択的に死
滅させるように、任意に作用させることができる。病態細胞は、癌細胞又は他の細胞であ
り得る。このような毒素は、これらに限定するものではないが、例えば、リシン、ジフテ
リア毒素、ヘビ毒素、又は細菌毒素の少なくとも1つから選択される、毒素の少なくとも
1つの機能的細胞毒性ドメインを含む、精製若しくは組換え毒素又は毒素断片であり得る
。毒素という用語はまた、ヒト及び他の哺乳類において、死に至り得る毒素性ショックを
含む、任意の病態をもたらし得る任意の自然発生するか、突然変異若しくは組換え細菌又
はウイルスによって生成される内毒素及び外毒素の両方を含む。かかる毒素には、腸管毒
素原性大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(LT)、熱安定性エンテロトキシン(ST)
、赤痢菌細胞毒素、アエロモナス属エンテロトキシン、毒素性ショック症候群毒素-1(
TSST-1)、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、B(SEB)、又はC(S
EC)、連鎖球菌エンテロトキシンなどを挙げることができるが、これらに限定されない
。かかる細菌は、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管出血性大腸菌(例えば血清型0
157の株:H7)、ブドウ球菌種(例えば、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス-ピ
オゲネス)、赤痢菌種(例えば、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌及びソ
ンネ赤痢菌)、サルモネラ種(例えば、腸チフス菌、サルモネラコレラ-スイス、サルモ
ネラエンテリティディス)、クロストリジウム種(例えば、クロストリジウム-パーフリ
ンジェンス、クロストリジウム-ディフィシル、クロストリジウム-ボツリヌス)、カン
ピロバクター種(例えば、カンピロバクター-ジュジュニ、カンピロバクター-フィータ
ス)、ヘリコバクター種(例えば、ヘリコバクター-ピロリ)、アエロモナス種(例えば
、アエロモナス-ソブリア、アエロモナス-ハイドロフィラ、アエロモナス-キャビエ)
、プレシオモナス-シゲロイデス、腸炎エルシニア、ビブリオ種(例えば、コレラ菌、ビ
ブリオ-パラヘモリティカス)、クレブシエラ種、緑膿菌、及び連鎖球菌の種の株を含む
が、これらに限定されない。例えば、Stein,ed.,INTERNAL MEDI
CINE,3rd ed.,pp 1-13,Little,Brown and Co
.,Boston,(1990)、Evans et al.,eds.,Bacter
ial Infections of Humans:Epidemiology an
d Control,2d.Ed.,pp 239-254,Plenum Medic
al Book Co.,New York(1991)、Mandell et al
,Principles and Practice of Infectious D
iseases,3d.Ed.,Churchill Livingstone,New
York(1990)、Berkow et al,eds.,The Merck
Manual,16th edition,Merck and Co.,Rahway
,N.J.,1992、Wood et al,FEMS Microbiology
Immunology,76:121-134(1991)、Marrack et a
l,Science,248:705-711(1990)を参照のこと(これらの文献
の内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0121】
本発明の抗TNF抗体化合物、組成物又は混合物は更に、希釈剤、結合剤、安定剤、緩
衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意
の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含み得る。薬学的に許容できる助剤が好ましい。
かかる滅菌溶液を調製する非限定的な例及びその方法は、当該技術分野において周知であ
り、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceut
ical Sciences,18th Edition,Mack Publishi
ng Co.(Easton,PA),1990などであるが、これに限定されない。当
該技術分野において周知、又は本明細書に記載されるように、抗TNF抗体、断片、又は
変異体組成物の投与方法、溶解度、及び/又は安定性に好適な製薬学的に許容できる担体
を、日常的に選択することができる。
【0122】
本組成物において有用な製薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、タン
パク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、
及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、
並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してよく
、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。典型的なタンパク
質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブ
ミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどを含む。緩衝能においても機能し得る代表的な
アミノ酸/抗体構成要素には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン
、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリ
ン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ
酸の1つはグリシンである。
【0123】
本発明に使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルト
ース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、乳糖、シ
ョ糖、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルト
デキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、
マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシ
トールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物賦形剤
は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0124】
抗TNF抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含み得、典型的には、緩衝剤は、有機
酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン
酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、ト
リス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物における使用に好
ましい緩衝剤は、クエン酸塩などの有機酸塩である。
【0125】
加えて、本発明の抗TNF抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマ
ー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンな
どのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化
剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」など
のポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレス
テロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み
得る。
【0126】
本発明による抗TNF抗体、部分又は変異体組成物における使用に適したこれら及び追
加の既知の製薬学的賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例え
ば、「Remington:The Science&Practice of Pha
rmacy」、19th ed.,Williams&Williams,(1995)
、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,
Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙され
ており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は
賦形剤材料は、炭水化物(例えば、単糖類及びアルジトール類)並びに緩衝剤(例えば、
クエン酸塩)又は高分子試薬である。
【0127】
製剤。上述したとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリ
ン酸緩衝剤である安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに製薬
学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗TNF抗体を含む薬剤学的又は獣医学的用
途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの
既知の、即ち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレ
ゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノ
ール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、
アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、
塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物
からなる群から任意に選択される保存剤を含有する。当該技術分野において既知であるよ
うに、0.001~5%、又は0.001、0.003、0.005、0.009、0.
01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4.、
0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、
1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、
2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、
3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、
4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるがこれらに限定されない
、その中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物が使用され得る。非限
定的な例としては、保存剤無添加、0.1~2%m-クレゾール(例えば、0.2、0.
3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、約0.1~3%のベンジルアルコール(例え
ば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.
5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%フェノー
ル(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.000
5~1.0%のアルキルパラベン(複数可)(例えば、0.00075、0.0009、
0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02
、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.
9、1.0%)などが挙げられる。
【0128】
上述のとおり、本発明は、包装材と、所望により水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び
/又は保存剤を伴う少なくとも1つの抗TNF抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイア
ルと、を含む製品を提供し、この包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、
12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上に
わたり保持することができることを記したラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥
された少なくとも1つの抗TNF抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保
存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に含み、この包装材は、少な
くとも1つの抗TNF抗体を水性希釈剤でもどして、24時間以上にわたって保持するこ
とができる溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0129】
本発明に従って使用される少なくとも1つの抗TNF抗体は、本明細書に記載されるか
又は当該技術分野において既知の、哺乳類細胞又はトランスジェニック調製物から生成す
ることを含む組換え手段により生成してもよいし、又は他の生物源から精製してもよい。
【0130】
本発明の製品中に含まれる、少なくとも1つの抗TNF抗体の範囲は、湿式/乾式系の
場合、もどす時に約1.0μg/mL~約1000mg/mLの範囲の濃度が得られる量
で含まれるが、これより低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、これらの濃度は意図
される送達ビヒクルによって決まり、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又
は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0131】
好ましくは、水性希釈剤は任意選択的に、薬学的に許容できる保存剤を更に含む。好ま
しい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロ
ロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブ
チルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及び
チメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使
用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。このような濃度は
選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0132】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、保存剤エンハンサーは、所望により
かつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度
で一般に使用される。好ましくは、生理学的に耐容性の緩衝剤を添加して、改善されたp
H制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9
の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を対象
にすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する
。好適な緩衝剤には、リン酸塩緩衝剤を含み、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特に
リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を含む。
【0133】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウ
レート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)
、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Plur
onic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及
びPEG(ポリエチレングリコール)などの、製薬学的に許容できる可溶化剤、又はポリ
ソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic
(登録商標)ポリオールなどの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並
びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を製剤又は組成物に任意に添加することで、
凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプ
ラスチック容器が使用される場合に特に有用である。薬学的に許容できる界面活性剤の存
在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0134】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗TNF抗体と、フェノール、m-クレゾール、p
-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラ
ベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト
ニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から
選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製すること
ができる。少なくとも1つの抗TNF抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の
溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶
液中の一定量の少なくとも1つの抗TNF抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を
提供するのに十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。このプロセスの変化
形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加
剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関
して最適化することのできる因子である。
【0135】
特許請求される製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好
ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中
に含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗TNF抗体
のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として患者に提供することができる。単一
溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用することがで
き、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できる
よりも便利な治療レジメンを提供することができる。
【0136】
特許請求される本製品は、即時から24時間以上の期間にわたる投与に有用である。し
たがって、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の
製剤は、約2~約40℃の温度で任意に安全に保管し、タンパク質の生物学的活性を長期
間保持することができ、したがって包装ラベルは、溶液が6、12、18、24、36、
48、72、又は96時間以上の期間にわたって保持及び/又は使用できることを示すこ
とができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、このようなラベルに最高1~1
2か月、半年、1年半及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0137】
本発明の少なくとも1つの抗TNF抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤
中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び
混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤
中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び所望により保存剤
又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者
によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無
、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化する
ことのできる因子である。
【0138】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアル
でもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗TNF抗体のバイアルを含む併用バイ
アルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併
用バイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを
満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0139】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもど
される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗TNF抗体のバイアルを含む併用バイアルを
、薬局、診療所、又はその他のかかる機関及び施設に提供することによって、患者に対し
間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれ以
上の容量であってよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回
又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/
又は患者に提供できる。
【0140】
これらの単一バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、BD Pens、BD A
utojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登
録商標)、B-D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、及びOptiPe
n(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm
Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商
標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、ije
ct(登録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標
)、Intraject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)などの溶液送達
用のペン型インジェクタデバイスが挙げられ、例えば、Becton Dickense
n(Franklin Lakes,NJ,www.bectondickenson.
com)、Disetronic(Burgdorf,Switzerland,www
.disetronic.com)、Bioject,Portland,Oregon
(www.bioject.com)、National Medical Produ
cts,Weston Medical(Peterborough,UK,www.w
eston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minnea
polis,MN,www.mediject.com)によって製造又は開発されてい
る。併用バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、HumatroPen(登録商標
)などの、もどした溶液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬物をもどす
ためのペン型インジェクタシステムが挙げられる。
【0141】
ここで特許請求される製品は、包装材を含む。包装材は、規制当局によって必要とされ
る情報に加えて、製品を使用できる条件を提供する。本発明の包装材は、少なくとも1つ
の抗TNF抗体を水性希釈剤でもどして溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたっ
て、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供す
る。単一バイアルの溶液製品の場合、ラベルは、この溶液が2~24時間又はそれ以上に
わたって使用できることを示す。ここで特許請求される製品は、ヒト用医薬製品用途に有
用である。
【0142】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗TNF抗体及び選択された緩衝剤、好ましくは生
理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤を混合することを含むプロセスによ
り調製することができる。少なくとも1つの抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、
従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、
水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤
を提供するのに十分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態
は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の
使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して
最適化することのできる因子である。
【0143】
特許請求される安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若
しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なく
とも1つの抗TNF抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することがで
きる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用す
ることができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在
使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0144】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液のいずれかの少なくとも1つの抗
TNF抗体は、当該技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺
、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ又は当該技術分野に
おいて周知であり当業者により理解されるその他の手段などの様々な送達方法を介して、
本発明により患者に投与することができる。
【0145】
治療適用。本発明はまた、当該技術分野において既知である、又は本明細書に記載され
るように、本発明の少なくとも1つの二重インテグリン抗体を使用して、細胞、組織、器
官、動物又は患者における少なくとも1つのTNF関連疾患を調節又は処置するための方
法も提供する。
【0146】
本発明はまた、肥満、免疫関連疾患、循環器疾患、感染症、悪性疾患又は神経学的疾患
のうち少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、細胞、組織、器官、動物又は患者
における少なくとも1つのTNF関連疾患を調節又は処置するための方法も提供する。
【0147】
本発明はまた、関節リウマチ、若年性、全身性発症若年性関節リウマチ、強直性脊椎炎
、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、変形性関節炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大
腸炎、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経
炎、特発性肺線維症、全身性血管炎/ヴェグナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/
精管切除修復術、アレルギー性/アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、ア
レルギー性接触性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、器官移植拒絶反応、
移植片対宿主病、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性菌敗血症、グラム陰
性菌敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少性発熱、尿性敗血症、髄膜炎菌血
症、外傷/出血、熱傷、電離放射線暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、アルコール性
肝炎、慢性炎症性病変、サルコイドーシス、クローン病変、鎌状赤血球貧血症、糖尿病、
ネフローゼ、アトピー性疾患、過敏性反応、アレルギー性鼻炎、枯草熱、通年性鼻炎、結
膜炎、子宮内膜症、喘息、じん麻疹、全身性アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血
性疾患、血小板減少症、任意の器官又は組織の移植片拒絶反応、腎移植拒絶反応、心臓移
植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT
)拒絶反応、皮膚同種移植拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植片拒絶反応、小腸移植拒
絶反応、胎児胸腺移植拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、任意の器官又は組織の異種移植
拒絶反応、同種移植拒絶反応、抗受容体過剰反応、グレーブス病、レイノー病、B型イン
スリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介性細胞障害、III型過敏症反応、
全身性エリテマトーデス、POEMS症候群(多発性神経障害、臓器肥大、内分泌障害、
単クローン性免疫グロブリン血症、及び皮膚症状症候群)、多発性神経障害、臓器肥大、
内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症、皮膚症状症候群、抗リン脂質症候群、天
疱瘡、強皮症、混合性結合組織病、特発性アジソン病、真性糖尿病、慢性活動性肝炎、原
発性胆汁性肝硬変、白斑、血管炎、MI後心臓切開術症候群、IV型過敏症、接触性皮膚
炎、過敏性肺炎、同種移植拒絶反応、細胞内生物による肉芽腫、薬物過敏、代謝性/特発
性ウィルソン病、ヘマクロマトーシス、α-1-アンチトリプシン欠乏症、糖尿病性網膜
症、橋本甲状腺炎、骨粗鬆症、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞
性線維症、新生児慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性血食組織のリンパ
組織球増多症、皮膚科学的状態、乾癬症、脱毛症、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎
、急性腎不全、血液透析、尿毒症、毒性、子癇前症、okt3療法、抗cd3療法、サイ
トカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、無力症、貧血、悪液質などが挙げられる
がこれらに限定されない)、慢性サリチル酸塩中毒などの少なくとも1つが挙げられるが
それらに限定されない、細胞、組織、器官、動物又は患者における少なくとも1つの免疫
関連疾患を調節又は治療するための方法も提供する。例えば、Merck Manual
,12th~17th Editions,Merck & Company,Rahw
ay,NJ(1972,1977,1982,1987,1992,1999),Pha
rmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds.、
Second Edition,Appleton and Lange,Stamfo
rd,Conn.(1998,2000)を参照されたく、それぞれは参照することによ
り全体が組み込まれる。
【0148】
本発明は、心機能不全症候群(cardiac stun syndrome)、心筋梗塞、うっ血性心不全
、卒中、虚血発作、出血、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、糖尿病性動脈
硬化性疾患、高血圧、動脈性高血圧、腎血管性高血圧、失神、ショック、心血管系の梅毒
、心不全、肺性心、原発性肺高血圧、不整脈、心房異所性拍動、心房粗動、心房細動(持
続性又は発作性)、還流後症候群、心肺バイパス炎症応答、無秩序型又は多源性心房頻脈
、規則的狭QRS頻脈(regular narrow QRS tachycardia)、固有不整脈(specific arr
hythmias)、心室細動、ヒス束不整脈(His bundle arrhythmias)、房室ブロック、脚ブ
ロック、心筋虚血性疾患、冠動脈疾病、狭心症、心筋梗塞、心筋症、拡張型うっ血性心筋
症、拘束型心筋症、心臓弁膜症、心内膜炎、心膜疾患、心臓腫瘍、大動脈瘤及び末梢動脈
瘤、大動脈切開、大動脈の炎症、腹部大動脈及びその分岐の閉塞、末梢血管障害、閉塞性
動脈障害、末梢アテローム性動脈硬化症、閉塞性血栓性血管炎、機能性末梢動脈障害、レ
イノー現象及び疾患、先端チアノーゼ、紅痛症、静脈性疾患、静脈血栓症、静脈瘤、動静
脈瘻、リンパ浮腫、脂肪性浮腫、不安定狭心症、再灌流傷害、ポンプ後症候群(post pum
p syndrome)、虚血再灌流傷害などのうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されな
い、細胞、組織、器官、動物又は患者における循環器疾患を調節又は治療するための方法
も提供する。かかる方法は、少なくとも1つの抗TNF抗体を含む有効量の組成物又は医
薬組成物を、かかる調節、処置又は治療を必要としている細胞、組織、器官、動物又は患
者に投与することを、所望により含み得る。
【0149】
本発明はまた、急性又は慢性細菌感染、細菌、ウイルス及び真菌感染を含む急性及び慢
性寄生又は感染プロセス、HIV感染/HIV神経障害、髄膜炎、肝炎(A、B又はCな
ど)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、大腸菌0157:h7、溶血性尿毒症
性症候群/塞栓性血小板減少性紫斑病、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、ハ
ンセン病、中毒性ショック症候群、連鎖球菌筋炎、ガス壊疽、結核菌、マイコバクテリウ
ム-アビウム-イントラセルラーレ、ニューモシスティスカリニ肺炎、骨盤内炎症性疾患
、精巣炎/精巣上体炎、レジオネラ、ライム病、a型インフルエンザ、エプスタイン-バ
ーウイルス、ウイルス関連血球貪食症候群、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎などのうちの
少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、細胞、組織、器官、動物又は患者におい
て少なくとも1つの感染症を調節又は処置するための方法も提供する。
【0150】
本発明はまた、白血病、急性白血病、急性リンパ球性白血病(acute lymphoblastic le
ukemia,ALL)、B細胞、T細胞又はFAB ALL、急性骨髄性白血病(acute myel
oid leukemia、AML)、慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia、CML)
、慢性リンパ球性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、有毛細胞白血病、
骨髄異形成症候群(myelodyplastic syndrome、MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性
リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、直腸
結腸癌、膵臓癌、鼻咽頭癌、悪性組織球増殖症、悪性の腫瘍随伴症候群/高カルシウム血
症、固形腫瘍、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨
痛などのうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、細胞、組織、器官、動物
又は患者における少なくとも1つの悪性疾患を調節又は治療するための方法も提供する。
【0151】
本本発明はまた、神経変性疾患、多発性硬化症、片頭痛、エイズ痴呆症候群、脱髄疾患
、例えば、多発性硬化症及び急性横断性脊髄炎、錐体外路及び小脳障害、例えば、皮質脊
髄系の病変、大脳基底核の障害若しくは小脳障害、多動性運動障害、例えば、ハンチント
ン舞踏病及び老年性舞踏病、薬剤誘発性運動障害、例えば、CNSドーパミン受容体を遮
断する薬物により誘発されるもの、運動低下性運動障害、例えば、パーキンソン病、進行
性核上麻痺、小脳の構造病変、脊髄小脳変性症、例えば、脊髄性運動失調症、フリードラ
イヒ失調症、小脳皮質変性症、多系統変性症(Mencel、Dejerine-Tho
mas,Shi-Drager及びMachado-Joseph)、全身性疾患(レフ
スム病、無βリポタンパク血症、運動失調症、毛細血管拡張症、及びミトコンドリア多系
統障害)、脱髄性コア障害(demyelinating core disorder)、例えば、多発性硬化症、
急性横断性脊髄炎及び運動単位’の障害、例えば、神経性筋委縮症(前角細胞変性症、例
えば、筋萎縮性側索硬化症、乳児脊髄性筋萎縮症及び若年性脊髄性筋萎縮症)、アルツハ
イマー病、中年層のダウン症候群、びまん性レヴィー小体病、レヴィー小体型の老人性痴
呆症、ウェルニッケコルサコフ症候群、慢性アルコール中毒、クロイツフェルト-ヤコブ
病、亜急性硬化性全脳炎、ハレルフォルデン-スパッツ病、並びにボクサー認知症などの
うちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、細胞、組織、器官、動物又は患者
における少なくとも1つの神経学的疾患を調節又は処置するための方法も提供する。所望
により、少なくとも1つのTNF抗体又は特定された部分又は変異体を含む有効量の組成
物又は医薬組成物を、このような調節、処置又は治療を必要としている細胞、組織、器官
、動物又は患者に対し投与する工程を含むことができる。例えば、Merck Manu
al,16th Edition,Merck&Company,Rahway,NJ(
1992)を参照のこと。
【0152】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、処置、又は治療を必要としている細胞、組織、
器官、動物又は患者に、少なくとも1つの抗TNF抗体を含む有効量の組成物又は医薬組
成物を投与することを含み得る。かかる方法は、所望により、かかる免疫疾患の治療のた
めの同時投与又は併用療法を更に含み得、この少なくとも1つの抗TNF抗体、特定され
た部分又はその変異体の投与は、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、TNF抗体若
しくは断片、可溶性TNF受容体若しくは断片、その融合タンパク質、又は低分子TNF
拮抗薬などであるが、これらに限定されない)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサー
ト、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオ
リンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、
筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局
所麻酔薬、神経筋遮断剤、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウ
イルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシ
リン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他の抗菌薬)、抗乾癬剤、コルチコステ
ロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺薬、ビタミ
ン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝固薬、
エリスロポエチン(例えば、エポエチンα)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、
Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫化薬、
免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ
)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳薬、毛様筋麻痺薬
、アルキル化剤、抗代謝剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁病薬、抗精
神病薬、抗不安薬、催眠薬、交感神経作動薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、喘息薬、
β作動薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エ
ピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼα(Pulmozyme)、サイトカイン若しく
はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを投与する前に、同時に、及び/又
は後に投与することを更に含む。適切な投与量は、当該技術分野において周知である。例
えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Han
dbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Sta
mford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarasco
n Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Editi
on,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(200
0)を参照されたく、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0153】
本発明の組成物、併用療法、同時投与、デバイス及び/又は方法(本発明の少なくとも
1つの抗体、その特定された部分及びその変異体を更に含む)に好適なTNF拮抗薬は、
抗TNF抗体、その抗原結合断片、及びTNFに特異的に結合する受容体分子、TNF合
成、TNF放出、若しくは標的細胞に対するその作用を阻止及び/又は阻害する化合物、
例えば、サリドマイド、テニダプ、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、ペントキシフ
ィリン及びロリプラム)、A2bアデノシン受容体作動薬及びA2bアデノシン受容体エ
ンハンサー、TNF受容体シグナル伝達を阻止及び/又は阻害する化合物、例えば、マイ
トジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤、膜TNF切断を遮断及び/又は阻
害する化合物、例えば、メタロプロテイナーゼ阻害剤、TNF活性を遮断及び/又は阻害
する化合物、例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトプリ
ル)、並びにTNF生成及び/又は合成を遮断及び/又は阻害する化合物、例えば、MA
Pキナーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0154】
本明細書で使用されるとき、「腫瘍壊死因子抗体」、「TNF抗体」、「TNFα抗体
」又は「断片」などは、インビトロ、その場で、及び/又は好ましくはインビボで、TN
Fα活性を減少、遮断、阻害、抑止又は干渉する。例えば、本発明の好適なTNFヒト抗
体は、TNFαに結合することができ、抗TNF抗体、その抗原結合断片、及びTNFα
に特異的に結合する特定された変異体又はそのドメインを含む。好適なTNF抗体又は断
片は、TNF RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、TNF放出、TNF受容体シ
グナル伝達、膜TNF切断、TNF活性、TNF生成及び/又は合成を、減少、遮断、抑
止、干渉、阻止及び/又は阻害することもできる。
【0155】
キメラ抗体cA2は、A2と呼ばれる高親和性中和マウス抗ヒトTNFαIgG1抗体
の抗原結合可変領域及びヒトIgG1のκ免疫グロブリンの定常領域からなる。ヒトIg
G1 Fc領域は、同種の抗体のエフェクター機能を改善し、循環血清半減期を増加させ
、抗体の免疫原性を減少させる。キメラ抗体cA2の結合活性及びエピトープの特異性は
、マウス抗体A2の可変領域に由来する。特定の実施形態において、マウス抗体A2の可
変領域をコード化する核酸の好ましい供給源は、A2ハイブリドーマ細胞株である。
【0156】
キメラA2(cA2)は、天然及び組換えの両方のヒトTNFαの細胞傷害性作用を用
量依存的に中和する。キメラ抗体cA2と組換えヒトTNFαとの結合アッセイから、キ
メラ抗体cA2の親和性定数は、1.04×1010-1であると計算された。競合阻
害によるモノクローナル抗体の特異性及び親和性を決定するための好ましい方法は、Ha
rlow,et al.,antibodies:A Laboratory Manu
al,Cold Spring Harbor Laboratory Press,C
old Spring Harbor,New York,1988、Colligan
et al.,eds.,Current Protocols in Immuno
logy,Greene Publishing Assoc.and Wiley I
nterscience,New York,(1992-2000)、Kozbor
et al.,Immunol.Today,4:72-79(1983)、Ausub
el et al.,eds.Current Protocols in Molec
ular Biology,Wiley Interscience,New York
(1987-2000)、及びMuller,Meth.Enzymol.,92:58
9-601(1983)に見ることができ、これらの参照文献は、参照により全体が本明
細書に組み込まれる。
【0157】
特定の実施形態において、マウスモノクローナル抗体A2は、c134Aと呼ばれる細
胞株によって生成される。キメラ抗体cA2は、c168Aと呼ばれる細胞株によって生
成される。
【0158】
本発明において使用することができるモノクローナル抗TNF抗体の更なる例は、当該
技術分野において記載されている(例えば、米国特許第5,231,024号、Moll
er,A.et al.,Cytokine 2(3):162-169(1990)、
米国出願第07/943,852号(1992年9月11日出願)、Rathjen e
t al.、国際公開第91/02078号(1991年2月21日公開)、Rubin
et al.、EPO特許公開第0 218 868号(1987年4月22日公開)
、Yone et al.、EPO特許公開第0 288 088号(1988年10月
26日)、Liang,et al.,Biochem.Biophys.Res.Co
mm.137:847-854(1986)、Meager,et al.,Hybri
doma 6:305-311(1987)、Fendly et al.,Hybri
doma 6:359-369(1987)、Bringman,et al.,Hyb
ridoma 6:489-507(1987)及びHirai,et al.,J.I
mmunol.Meth.96:57-62(1987)を参照のこと。これらの参照文
献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0159】
TNF受容体分子。本発明に有用な好ましいTNF受容体分子は、TNFαに高い親和
性で結合し(例えば、Feldmannら、国際公開第92/07076号(1992年
4月30日公開)、Schall et al.,Cell 61:361-370(1
990)、及びLoetscher et al.,Cell 61:351-359(
1990)を参照のこと。これらの参照文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれ
る)、所望により低い免疫原性を有するものである。特に、55kDa(p55 TNF
-R)及び75kDa(p75 TNF-R)のTNF細胞表面受容体は、本発明におい
て有用である。受容体の細胞外ドメイン(ECD)又はその機能的部分を含むこれらの受
容体の切断型(例えば、Corcoran et al.,Eur.J.Biochem
.223:831-840(1994)を参照のこと)も本発明において有用である。E
CDを含むTNF受容体の切断型は、尿及び血清中で、30kDa及び40kDaのTN
Fα阻害結合タンパク質として検出されている(Engelmann,H.et al.
,J.Biol.Chem.265:1531-1536(1990))。TNF受容体
多量体分子及びTNF免疫受容体融合分子、並びにそれらの誘導体及び断片又は部分は、
本発明の方法及び組成物において有用であるTNF受容体分子の更なる例である。本発明
に使用することができるTNF受容体分子は、症状の良好~優れた緩和及び低毒性で患者
を長期間処置する能力を特徴とする。低い免疫原性及び/又は高い親和性並びにその他の
未定義の特性は、得られる治療結果に寄与し得る。
【0160】
本発明において有用なTNF受容体多量体分子は、ポリエチレングリコール(PEG)
などの、1つ以上のポリペプチドリンカー又はその他の非ペプチドリンカーを介して連結
された2つ以上のTNF受容体のECDの全て又は機能的部分を含む。多量体分子は、多
量体分子の発現をもたらすための分泌タンパク質のシグナルペプチドを更に含むことがで
きる。これらの多量体分子及びそれらの生成方法は、米国出願第08/437,533号
(1995年5月9日出願)に記載されており、その内容は、参照により全体が本明細書
に組み込まれる。
【0161】
本発明の方法及び組成物において有用なTNF免疫受容体融合分子は、1つ以上の免疫
グロブリン分子の少なくとも一つの部分及び1つ以上のTNF受容体の全て又は機能的部
分を含む。これらの免疫受容体融合分子は、モノマー又はヘテロ若しくはホモ多量体とし
て集合させることができる。免疫受容体融合分子はまた、一価であっても多価であっても
よい。かかるTNF免疫受容体融合分子の例は、TNF受容体/IgG融合タンパク質で
ある。TNF免疫受容体融合分子及びそれらの生成方法は、当該技術分野において記載さ
れている(Lesslauer et al.,Eur.J.Immunol.21:2
883-2886(1991)、Ashkenazi et al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 88:10535-10539(1991)、Pepp
el et al.,J.Exp.Med.174:1483-1489(1991)、
Kolls et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2
15-219(1994)、Butler et al.,Cytokine 6(6)
:616-623(1994)、Baker et al.,Eur.J.Immuno
l.24:2040-2048(1994)、Beutlerら、米国特許第5,447
,851号及び米国出願第08/442,133号(1995年5月16日出願)、これ
らの参照文献の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。免疫受容体融合分
子の生成方法は、Caponら、米国特許第5,116,964号、Caponら、米国
特許第5,225,538号及びCapon et al.,Nature 337:5
25-531(1989)にも見ることができ、これらの参照文献は参照により全体が本
明細書に組み込まれる。
【0162】
TNF受容体分子の機能的等価物、誘導体、断片、又は領域は、本発明に使用すること
ができるTNF受容体分子に機能的に類似するのに十分な大きさ及び配列のものである(
例えば、TNFαに高い親和性で結合し、低い免疫原性を有する)、TNF受容体分子の
部分、又はTNF受容体分子をコード化するTNF受容体分子配列の部分を指す。TNF
受容体分子の機能的等価物はまた、本発明に使用することができるTNF受容体分子に機
能的に類似する(例えば、TNFαに高い親和性で結合し、低い免疫原性を有する)修飾
されたTNF受容体分子も含む。例えば、TNF受容体分子の機能的等価物は「SILE
NT」コドン、又は1つ以上のアミノ酸置換、欠失、若しくは付加(例えば、1個の酸性
アミノ酸を別の酸性アミノ酸の代わりに用いるか、又は同じ若しくは異なる疎水性アミノ
酸をコード化する1つのコドンを、疎水性アミノ酸をコード化する別のコドンの代わりに
用いる)を含有し得る。Ausubel et al.,Current Protoc
ols in Molecular Biology,Greene Publishi
ng Assoc.and Wiley-Interscience,New York
(1987-2000)を参照のこと。
【0163】
サイトカインは、いかなる既知のサイトカインも包含する。例えば、Copewith
Cytokines.comを参照されたい。サイトカイン拮抗薬としては、任意の抗体
、断片若しくは模倣薬、任意の可溶性受容体、断片若しくは模倣薬、任意の低分子拮抗薬
、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
治療処置。本発明の任意の方法は、かかる調節、処置、又は治療を必要とする細胞、組
織、器官、動物、又は患者に、少なくとも1つの抗TNF抗体を含む安全かつ有効な量の
組成物又は薬学的組成物を投与することを含む、TNF媒介障害を処置するための方法を
含み得る。かかる方法は、所望により、かかる免疫疾患の治療のための同時投与又は併用
療法を更に含み得、この少なくとも1つの抗TNF抗体、特定された部分又はその変異体
の投与は、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、TNF抗体若しくは断片、可溶性T
NF受容体若しくは断片、その融合タンパク質、又は低分子TNF拮抗薬などであるが、
これらに限定されない)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、
アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、
硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ス
テロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断
剤、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナ
ム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド
、テトラサイクリン、その他の抗菌薬)、抗乾癬剤、コルチコステロイド、アナボリック
ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホ
ルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例
えば、エポエチンα)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、
サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫化薬、免疫グロブリン、免疫
抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホ
ルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳薬、毛様筋麻痺薬、アルキル化剤、抗代
謝剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、催
眠薬、交感神経作動薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、喘息薬、β作動薬、吸入ステロ
イド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類
似体、ドルナーゼα(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬
から選択される少なくとも1つを投与する前に、同時に、及び/又は後に投与することを
更に含む。
【0165】
本明細書で使用するとき、用語「安全」は、それが本発明の抗TNF抗体(例えば、抗
TNF抗体ゴリムマブ)による組成物、用量、投与レジメン、治療又は方法に関する場合
、良好なリスクに対する、標準的なケア又は他の抗TNF剤などの別の比較薬と比較した
有害事象(adverse events、AE)及び深刻な有害事象(serious adverse events、SA
E)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度による利益比を指す。有害事象とは、
医薬品を投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。具体的には、本発
明の抗TNF抗体による組成物、用量、投与レジメン、治療又は方法に関する場合の安全
は、例えば、注入反応、肝胆検査値異常、TBを含む感染、及び悪性腫瘍を含む有害事象
の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度を指す。
【0166】
組成物、用量、投与レジメン、治療又は方法の文脈において本明細書で使用される場合
、「効果」及び「効果的な」という用語は、本発明の抗TNF抗体(例えば、抗TNF抗
体ゴリムマブ)による特定の組成物、用量、投与量、治療又は方法の有効性を指す。有効
性は、本発明の薬剤に応答した、疾患の経過中の変化に基づいて測定され得る。例えば、
本発明の抗TNF抗体は、治療されている障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標
において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、患者に投
与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを判定するために、対象の病気、
疾患又は病状の程度を反映する様々な指標が評価され得る。そのような指標には例えば、
疾患重篤度、症状、又は対象となっている障害の発現についての、臨床的に認識されてい
る指標が含まれる。改善の程度は、一般に、医師又は他の適切に訓練された個人によって
決定され、彼らは臨床症状の改善を示す徴候、症状、生検、若しくは他の試験結果、又は
疾患活動性の任意の他の尺度に基づいて決定し得る。例えば、本発明の抗TNF抗体は、
強直性脊椎炎(AS)に関連する患者の状態の改善を達成するために投与され得る。AS
に関連する患者の状態の改善は、例えば、強直性脊椎炎疾患活動性スコア(Ankylosing S
pondylitis Disease Activity Score、ASDAS)、Bath強直性脊椎炎機能インデ
ックス(BASFI)、Bath強直性脊椎炎計測インデックス(BASMI)、36項
目略式健康調査身体的健康度(SF-36 PCS)、36項目略式健康調査精神的健康
度(SF-36 MCS)、及び/又は強直性脊椎炎の生活の質(ASQoL)アンケー
トの結果を含む1つ又は2つ以上の基準を使用して評価することができる。ASDASは
、国際強直性脊椎炎評価学会によって開発された、ASにおいて使用するための疾患活動
性スコア(disease activity score、DAS)である。ASDASは、例えば、全背部痛
、朝のこわばりの持続時間、末梢疼痛/腫脹、及び患者の総合評価を含む評価を有する式
を使用して計算される。BASFIは、10個の質問の平均として表される対象の自己評
価であり、このうちの8個は対象の機能的な解剖学に関し、このうちの2個は日常生活に
対処する対象の能力に関する。BASMIは、外側腰椎屈曲、耳珠-壁間距離、腰椎屈曲
、果間距離、及び頸椎回転角度を含む5つの評価のスコアに評価を変換することによって
計算される集計スコアである。SF-36は、スコア化された8つのマルチアイテムスケ
ールからなるアンケートであり、SF-36 PSA及びSF-36 MCSは、異なる
疾患の相対的な負担及び異なる治療の相対的な利益の比較を可能にする、SF-36から
得られるサマリースコアである。ASQoLは、睡眠、気分、動機、対処能力、日常生活
の活動、自主性、人間関係、及び社会生活に対する痛みの影響に関連する質問への回答を
要求する18項目からなる、自己管理患者報告転帰手段である。
【0167】
典型的には、病態の治療は、組成物中に含有される比活性に応じ、平均して、合計、1
回の投与当たり患者の体重1kg当たり少なくとも約0.01~500ミリグラムの範囲
の少なくとも1つの抗TNF抗体、好ましくは、単回又は複数回投与当たり患者の体重1
kg当たり少なくとも約0.1~100ミリグラムの範囲の抗体の、少なくとも1つの抗
TNF抗体組成物の安全かつ有効な量又は投与量を投与することにより達成される。ある
いは、有効な血清濃度は、単回又は複数回投与当たり、0.1~5000μg/mLの血
清濃度を含み得る。適切な投与量は、医療実践者には既知であり、当然のことながら、具
体的な疾患状態、投与される組成物の比活性、及び処置を受けている具体的な患者に依存
する。場合によっては、望ましい治療量を得るために、反復投与、即ち、特定の監視され
た量又は定量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投
与は、望ましい日用量又は作用が得られるまで繰り返される。
【0168】
好ましい用量は、所望により、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0
.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13
、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、
27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、4
0、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53
、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、
68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、8
1、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94
、95、96、97、98、99及び/若しくは100~500mg/kg/投与、又は
その任意の範囲、値若しくは分画を含むか、あるいは単回若しくは複数回投与当たり0.
1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.
9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.
0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.
5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、
12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、15、15.5、15
.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.
9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、
25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、7
0、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600
、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、35
00、4000、4500及び/若しくは5000μg/mLの血清濃度、又はその任意
の範囲、値若しくは分画を得るように含み得る。
【0169】
あるいは、投与される用量は、特定の薬剤の薬物動態特徴並びにその投与方法及び経路
、レシピエントの年齢、健康及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度
、並びに所望の作用などの既知の因子により異なり得る。活性成分の投与量は、通常、体
重1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、投与当たり1キロ
グラム当たり0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム又は徐放性形態が、望ま
しい結果を得るために有効である。
【0170】
非限定的な例として、ヒト又は動物の処置は、単回、注入又は反復投与を使用して、1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、
31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40日目のうちの少な
くとも1日に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24
、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、
38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、5
1若しくは52週目のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4
、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで、1日当
たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2
、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、1
8、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40
、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少なくとも
1つの抗体の1回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0171】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、一般に、1単位又は容器当たり約0.1ミリグラ
ム~約500ミリグラムの活性成分を含有する。これらの医薬組成物において、活性成分
は、組成物の総重量に基づいて、通常、約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0172】
非経口投与には、抗体は、製薬学的に許容できる非経口ビヒクルと合わせて、又は別途
供給される、溶液、懸濁液、エマルション若しくは凍結乾燥粉末として、処方することが
できる。かかるビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液及び
1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び固定油などの非水性ビヒクルを使
用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添
加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール;化学安定性に関しては
緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は適切な技術によって滅
菌される。
【0173】
適切な薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストであるRemington’s
Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載
されている。
【0174】
代替的投与。製薬学的に有効な量の、本発明による少なくとも1つの抗TNF抗体を投
与するために、本発明により、多くの既知の及び開発された投与方法を使用することがで
きる。以下の記述では経肺投与が使用されているが、本発明に従ってその他の投与方式を
使用して、適切な結果を得てもよい。
【0175】
本発明のTNF抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液とし
て、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分
野において既知である他の方法による投与に適した様々なデバイス及び方法のいずれかを
使用して、送達することができる。
【0176】
非経口製剤及び投与。非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩
水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物に由来する油、水素
化ナフタレンなどを含有し得る。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、
適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、
例えば、水溶液、無菌注射液、又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤
であってよい。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水
などが可能であり、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用すること
ができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然
又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む
、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術
分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載され
ているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載
されているようなレーザー穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されず、これら
は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0177】
代替的送達。本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内
、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、
骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊
髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔
内又は経皮手段による少なくとも1つの抗TNF抗体の投与に関する。少なくとも1つの
抗TNF抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内又は静脈内)又は任意のその他の投与、特
に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであ
るがこれらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、
錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与
用に、あるいは粉末、点鼻剤若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれ
らに限定されない形態で、鼻腔内に、あるいは皮膚構造を改変するか、又は経皮パッチ中
の薬物濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進
剤を用いて(Junginger,et al.In「Drug Permeation
Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(M
arcel Dekker,Inc.New York 1994、参照により全体が本
明細書に組み込まれる)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用を
可能にする酸化剤を用いて(国際公開第98/53847号)、又はエレクトロポレーシ
ョンなどの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚
を通して荷電薬物の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波
の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を用いて、ゲ
ル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系などであるが、これらに限定されな
い、経皮的に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明
細書に組み込まれる)。
【0178】
経肺/鼻腔内投与。経肺投与のためには、好ましくは、少なくとも1つの抗TNF抗体
組成物は、肺の下気道又は洞に達するのに有効な粒径で送達される。本発明により、少な
くとも1つの抗TNF抗体は、吸入により治療薬を投与するための、当該技術分野におい
て既知の様々な吸入又は鼻腔内デバイスのいずれかにより送達することができる。患者の
洞腔又は肺胞内にエアロゾル化した製剤を被着させることができるこれらのデバイスとし
ては、定量吸入器、ネブライザー、乾燥粉末発生器、噴霧器などが挙げられる。抗体の経
肺又は鼻腔内投与を目的とするのに適したその他のデバイスも、当該技術分野において既
知である。かかるデバイスは全てエアロゾル中の抗体を分配するための投与に適した製剤
を使用することができる。このようなエアロゾルは、溶液(水性及び非水性の両方)又は
固体粒子のいずれかで構成されることができる。Ventolin(登録商標)定量吸入
器のような定量吸入器は、典型的には噴射ガスを使用し、吸気中の作動を必要とする(例
えば、国際公開第94/16970号、国際公開第98/35888号を参照のこと)。
Turbuhaler(商標)(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Gl
axo)、Diskus(登録商標)(Glaxo)、Spiros(商標)吸入器(D
ura)、Inhale Therapeuticsにより市販されているデバイス、及
びSpinhaler(登録商標)パウダー吸入器(Fisons)などの乾燥粉末吸入
器は、混合粉末の呼気作動を使用する(米国特許第4668218号(Astra)、欧
州特許第237507号(Astra)、国際公開第97/25086号(Glaxo)
、国際公開第94/08552号(Dura)、米国特許第5458135号(Inha
le)、国際公開第94/06498号(Fisons)、参照により全体が本明細書に
組み込まれる)。AERx(商標)(Aradigm)、Ultravent(登録商標
)ネブライザー(Mallinckrodt)、及びAcorn II(登録商標)ネブ
ライザー(Marquest Medical Products)などのネブライザー
(米国特許第5404871号(Aradigm)、国際公開第97/22376号)(
上記の文献は参照により全体が本明細書に組み込まれる)は溶液からエアロゾルを生じさ
せるのに対し、定量吸入器、乾燥粉末吸入器などは小粒子エアロゾルを発生させる。市販
の吸入デバイスのこれらの具体例は、本発明の実施に適した特定のデバイスを代表するも
のとして意図されており、本発明の範囲を制限するものとして意図されているものではな
い。好ましくは、少なくとも1つの抗TNF抗体を含む組成物は、乾燥粉末吸入器又は噴
霧器によって送達される。本発明の少なくとも1つの抗体を投与するための吸入デバイス
には、複数の望ましい特徴が存在する。例えば、吸入デバイスによる送達は、有利に信頼
性が高く、再現可能であり、かつ正確である。吸入デバイスは所望により、うまく呼吸で
きるように、例えば、約10μm未満、好ましくは約1~5μmの小さな乾燥粒子を送達
することができる。
【0179】
スプレーでのTNF抗体組成物の投与。TNF抗体組成物タンパク質を含むスプレーは
、少なくとも1つの抗TNF抗体の懸濁液又は溶液に加圧下でノズルを通過させることに
より生じさせることができる。ノズルの大きさ及び構成、適用される圧力並びに液体供給
速度は、所望の出力及び粒径を達成するように選定することができる。例えば、キャピラ
リー又はノズルフィードとともに電界により電気スプレーを作製することができる。有利
なことに、噴霧器により送達される少なくとも1つの抗TNF抗体組成物タンパク質の粒
子は、約10μm未満、好ましくは約1μm~約5μm、最も好ましくは約2μm~約3
μmの範囲の粒径を有する。
【0180】
噴霧器とともに使用するのに適した少なくとも1つの抗TNF抗体組成物タンパク質の
製剤は、典型的には、水溶液中に、例えば、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5
、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、
25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又
は100mg/mL若しくはmg/gmであるがこれらに限定されない、1ml若しくは
mg/gmの溶液当たり約0.1mg~約100mg、又はその中の任意の範囲若しくは
値の少なくとも1つの抗TNF抗体組成物タンパク質の濃度で抗体組成物タンパク質を含
む。この製剤は、賦形剤、緩衝剤、等張剤、保存剤、界面活性剤、及び好ましくは亜鉛な
どの薬剤を含み得る。この製剤は、緩衝剤、還元剤、バルクタンパク質又は炭水化物など
の抗体組成物タンパク質を安定化させるための賦形剤又は薬剤も含み得る。抗体組成物タ
ンパク質の処方において有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミンなどが挙
げられる。抗体組成物タンパク質の処方において有用な典型的な炭水化物としては、ショ
糖、マンニトール、乳糖、トレハロース、グルコースなどが挙げられる。抗体組成物タン
パク質製剤はまた、エアロゾル形成時の溶液の霧化により引き起こされる抗体組成物タン
パク質の表面誘発性の凝集を低減又は阻止することができる界面活性剤も含み得る。ポリ
オキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール、並びにポリオキシエチレンソルビトール
脂肪酸エステルのような様々な従来の界面活性剤を使用することができる。量は一般に、
製剤の0.001~14重量%の範囲にわたる。本発明の目的上とりわけ好ましい界面活
性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソル
ベート20などである。TNF抗体又は特定された部分若しくは変異体などのタンパク質
の製剤には、当該技術分野において既知の更なる薬剤もまた製剤中に含むことができる。
【0181】
ネブライザーによるTNF抗体組成物の投与。抗体組成物タンパク質は、ジェットネブ
ライザー又は超音波ネブライザーなどのネブライザーにより投与することができる。典型
的には、ジェットネブライザーでは、オリフィスを通して高速の空気ジェットを作り出す
のに圧縮空気供給源を使用する。ガスがノズルを超えて膨脹する際に低圧領域が作り出さ
れ、それが液体リザーバに接続された毛細管を通して抗体組成物タンパク質の溶液を引き
出す。毛細管からの液体流は、それが管を出る際に不安定な糸状体及び液滴に剪断されて
エアロゾルを作り出す。ある範囲の構成、流速及びバッフル型を、所定のジェットネブラ
イザーからの所望の性能の特徴を達成するのに使用することができる。超音波ネブライザ
ーにおいては、高周波電気エネルギーを使用して、典型的には圧電変換器を使用して、振
動性の機械的エネルギーを作り出す。このエネルギーが、直接又はカップリング液を通じ
てのいずれかで抗体組成物タンパク質の製剤に伝播されて、抗体組成物タンパク質を含む
エアロゾルを作り出す。有利なことに、ネブライザーにより送達される抗体組成物タンパ
ク質の粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm~約5μm、最も好ましくは約2μ
m~約3μmの範囲の粒径を有する。
【0182】
ジェット又は超音波いずれかのネブライザーでの使用に適した少なくとも1つの抗TN
F抗体の製剤は、典型的には、溶液1mL当たり約0.1mg~約100mgの少なくと
も1つの抗TNF抗体タンパク質の濃度を含む。この製剤は、賦形剤、緩衝剤、等張剤、
保存剤、界面活性剤、及び好ましくは亜鉛などの薬剤を含み得る。この製剤は、緩衝剤、
還元剤、バルクタンパク質、又は炭水化物などの少なくとも1つの抗TNF抗体組成物タ
ンパク質の安定化のための賦形剤又は薬剤も含み得る。少なくとも1つの抗TNF抗体組
成物タンパク質の処方において有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミンな
どが挙げられる。少なくとも1つの抗TNF抗体の処方において有用な典型的な炭水化物
としては、ショ糖、マンニトール、乳糖、トレハロース、グルコースなどが挙げられる。
少なくとも1つの抗TNF抗体製剤はまた、エアロゾル形成時に溶液の霧化により引き起
こされる少なくとも1つの抗TNF抗体の表面誘発性の凝集を低減又は阻止し得る界面活
性剤も含み得る。ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール、並びにポリオキシ
エチレンソルビタル脂肪酸エステルのような様々な従来の界面活性剤を使用することがで
きる。量は、一般に製剤の0.001~4重量%の範囲である。本発明の目的上とりわけ
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート
80、ポリソルベート20などである。抗体タンパク質などのタンパク質の製剤には、当
該技術分野において既知の更なる薬剤もまた製剤中に含むことができる。
【0183】
定量吸入器によるTNF抗体組成物の投与。定量吸入器(MDI)では、噴射剤、少な
くとも1つの抗TNF抗体及び任意の賦形剤又はその他の添加剤が、液化圧縮ガスを含む
混合物としてキャニスター内に収容される。絞り弁の作動により、好ましくは、約10μ
m未満、好ましくは約1μm~約5μm、最も好ましくは約2μm~3μmの範囲のサイ
ズの粒子を含有するエアロゾルとしての混合物が放出される。ジェット粉砕、噴霧乾燥、
臨界点凝結などを含む、当業者に既知の様々な方法により生成された抗体組成物タンパク
質の製剤を用いることにより、所望のエアロゾル粒径を得ることができる。好ましい定量
吸入器としては、3M又はGlaxoにより製造されかつヒドロフルオロカーボン噴射剤
を使用するものが挙げられる。
【0184】
定量吸入器デバイスで使用するための少なくとも1つの抗TNF抗体の製剤は、一般に
、少なくとも1つの抗TNF抗体を、例えば、界面活性剤の助けを借りて噴射剤中に懸濁
した非水性溶媒中の懸濁液として含有する微粉を含む。噴射剤は、トリクロロフルオロメ
タン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール及び1,1,1,
2-テトラフルオロエタン、HFA-134a(ヒドロフルオロアルカン-134a)、
HFA-227(ヒドロフルオロアルカン-227)などが挙げられる、クロロフルオロ
カーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又は炭化水素のよ
うな本目的上使用される任意の従来の物質であることができる。好ましくは、噴射剤はヒ
ドロフルオロカーボンである。界面活性剤は、少なくとも1つの抗TNF抗体を噴射剤中
の懸濁液として安定化させる、活性薬剤を化学的分解に対して保護するなどのために選択
することができる。好適な界面活性剤には、ソルビタントリオレエート、ダイズレシチン
、オレイン酸などが挙げられる。場合によっては、エタノールなどの溶媒を使用する溶液
エアロゾルが好ましい。タンパク質の処方のための当該技術分野で既知の更なる薬剤を薬
剤中に含んでもよい。
【0185】
当業者は、本発明の方法が、本明細書に記載されないデバイスを介する少なくとも1つ
の抗TNF抗体組成物の経肺投与により達成され得ることを認識するであろう。
【0186】
経口製剤及び投与。経口のための製剤は、腸壁の浸透性を人工的に増加させるためのア
ジュバント(例えば、レゾルシノール、並びにポリオキシエチレンオレイルエーテル及び
n-ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤)の同時投与、並び
に酵素的分解を阻害するための酵素阻害剤(例えば、膵トリプシン阻害剤、ジイソプロピ
ルフルオロリン酸(DFF)及びトラシロール)の同時投与による。経口投与のための固
体型剤形の活性成分化合物は、ショ糖、乳糖、セルロース、マンニトール、トレハロース
、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルギン酸塩、キチン
、キトサン、ペクチン、トラガカントガム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼ
イン、アルブミン、合成又は半合成ポリマー、及びグリセリドなどの、少なくとも1つの
添加物と混合することができる。これらの剤形はまた、他の種類(複数可)の添加剤、例
えば、不活性希釈剤、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)、パラベン存剤(ソルビン酸
),アスコルビン酸、α-トコフェロールなど、抗酸化剤(システイン)、崩壊剤、結合
剤、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、着香剤、香料なども含有し得る。
【0187】
錠剤及び丸剤は腸溶コーティング調製物に更に加工することができる。経口投与のため
の液体調製物には、医学的用途に許容できるエマルション、シロップ、エリキシル剤、懸
濁剤及び溶液調製物が挙げられる。これらの調製物は、その分野で通例に使用される不活
性希釈剤、例えば水を含有することができる。リポソームはインスリン及びヘパリンの薬
物送達系としても記述されている(米国特許第4,239,754号)。より最近では、
混合アミノ酸の人工的ポリマーのミクロスフェア(プロテイノイド)が、医薬品を送達す
るために使用されている(米国特許第4,925,673号)。更に、米国特許第5,8
79,681号及び米国特許第5,5,871,753号に記載される担体化合物が、生
物学的活性薬剤を経口で送達するのに使用されることは、当該技術分野において既知であ
る。
【0188】
粘膜製剤及び投与。粘膜表面を通る吸収のため、少なくとも1つの抗TNF抗体を投与
するための組成物及び方法は、複数のサブミクロン粒子と、粘膜付着性巨大分子と、生物
活性ペプチドと、エマルション粒子の粘膜付着を達成することにより粘膜表面を通る吸収
を促進する水性連続相と、を含む、エマルションを含む(米国特許第5,514,670
号)。本発明のエマルションの適用に適する粘膜表面には、角膜、結膜、口腔内、舌下、
鼻、膣、肺、胃、腸及び直腸投与経路を挙げることができる。膣又は直腸投与のための製
剤、例えば坐薬は、賦形剤として、例えば、ポリアルキレングリコール、ワセリン、カカ
オバターなどを含有し得る。鼻内投与のための処方は固体であってよく、賦形剤として、
例えば乳糖を含有することができ、又は水性若しくは油性溶液の点鼻薬であることができ
る。口腔内投与のために、賦形剤として、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、αデンプン(pregelinatined starch)などが挙げられる(米国特許第5,
849,695号)。
【0189】
経皮製剤及び投与。経皮投与のために、少なくとも1つの抗TNF抗体を、リポソーム
若しくはポリマーナノ粒子、微小粒子、マイクロカプセル又はミクロスフェア(特に明示
しない限り、集合的に微小粒子と称する)などの送達デバイス中にカプセル化する。ポリ
乳酸、ポリグリコール酸及びそれらのコポリマーなどのポリヒドロキシ酸、ポリオルトエ
ステル、ポリ無水物及びポリホスファゼンなどの合成ポリマー、並びにコラーゲン、ポリ
アミノ酸、アルブミン及びその他のタンパク質などの天然ポリマー、アルギン酸塩及びそ
の他の多糖類並びにそれらの組み合わせから作製される微小粒子を含む多くの好適なデバ
イスが既知である(米国特許第5,814,599号)。
【0190】
長時間投与及び製剤。本発明の化合物を、単回投与により、長期間にわたり、例えば、
1週~1年間、被験体に送達することが時折望ましい場合がある。様々な徐放、デポー又
は埋め込み剤形を利用することができる。例えば、剤形は、体液において溶解度が低い化
合物の製薬的に許容できる非毒性塩、例えば、(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、
タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノ-又はジスルホン
酸、ポリガラクツロン酸などの多塩基酸との酸付加塩、(b)亜鉛、カルシウム、ビスマ
ス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなど
の多価金属カチオン、又は例えば、N,N’-ジベンジル-エチレンジアミン若しくはエ
チレンジアミンから形成された有機カチオンを有する塩、あるいは(c)(a)及び(b
)の組み合わせ、例えば、タンニン酸亜鉛塩を含有し得る。加えて、本発明の化合物、又
は好ましくは前述したものなどの比較的不溶性の塩を、注射に好適な、例えばゴマ油とと
もに、例えば、モノステアリン酸アルミニウムゲルなどのゲル中に処方することができる
。とりわけ好ましい塩は、亜鉛塩、亜鉛タンニン酸塩、パモ酸塩などである。別の種類の
注射用徐放デポー製剤は、例えば米国特許第3,773,919号に記載されるポリ乳酸
/ポリグリコール酸ポリマーなどのゆっくりと分解する非毒性の非抗原性ポリマー中にカ
プセル化されるために分散された化合物又は塩を含有する。化合物、又は好ましくは上述
したものなどの比較的不溶性の塩は、特に動物での使用のために、コレステロールマトリ
ックスのシラスティックペレット中に処方することもできる。更なる徐放デポー又は埋め
込み製剤、例えば、ガス又は液体リポソームは、文献(米国特許第5,770,222号
、及び「Sustained and Controlled Release Dru
g Delivery Systems」,J.R.Robinson ed.,Mar
cel Dekker,Inc.,N.Y.,1978)で既知である。
【0191】
本発明を全般的に記述したことから、同様物は、具体的説明として提供されるが制限す
ることを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであ
ろう。
【0192】
実施例1:哺乳類細胞におけるTNF抗体のクローニング及び発現。
典型的な哺乳類発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介する少なくとも1つのプ
ロモーター要素、抗体コード配列、並びに転写の終結及び転写物のポリアデニル化に必要
なシグナルを含む。付加的な要素には、エンハンサー、コザック配列並びにRNAスプラ
イシングのためのドナー及びアクセプター部位に隣接している介在配列が含まれる。高効
率の転写は、SV40からの初期及び後期プロモーター、レトロウイルス、例えば、RS
V、HTLVI、HIVIからの長末端反復(long terminal repeats、LTRS)、及
びサイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)の初期プロモーターで達成するこ
とができる。しかしながら、細胞要素を使用することもできる(例えば、ヒトアクチンプ
ロモーター)。本発明の実施において使用するのに好適な発現ベクターとしては、例えば
、pIRES1neo、pRetro-Off、pRetro-On、PLXSN若しく
はpLNCX(Clonetech Labs,Palo Alto,CA)、pcDN
A3.1(+/-)、pcDNA/Zeo(+/-)又はpcDNA3.1/Hygro
(+/-)(Invitrogen)、PSVL及びPMSG(Pharmacia,U
ppsala,Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2d
hfr(ATCC 37146)並びにpBC12MI(ATCC 67109)などの
ベクターが挙げられる。使用することができる哺乳類の宿主細胞には、ヒトHela29
3、H9及びJurkat細胞、マウスNIH3T3及びC127細胞、Cos1、Co
s7及びCV1、ウズラQC1-3細胞、マウスL細胞及びチャイニーズハムスター卵巣
(Chinese hamster ovary、CHO)細胞が含まれる。
【0193】
あるいは、遺伝子を、染色体に組み込まれた遺伝子を含有する安定した細胞株において
発現させることができる。dhfr、gpt、ネオマイシン又はハイグロマイシンなどの
選択マーカーとの共トランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の特定及び単
離を可能にする。
【0194】
トランスフェクトされた遺伝子はまた、大量のコード化された抗体を発現するために増
幅され得る。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、目的の遺伝子の数百又
は更には数千のコピーを有する細胞株を開発するのに有用である。別の有用な選択マーカ
ーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphy,et al.,Bio
chem.J.227:277-279(1991)、Bebbington,et a
l.,Bio/Technology 10:169-175(1992))。これらの
マーカーを使用して、哺乳類細胞を選択的培地中で成長させ、最も高い耐性を有する細胞
が選択される。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた増幅遺伝子(複数可)を含有す
る。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びNSO細胞が抗体の生成に使用されるこ
とが多い。
【0195】
発現ベクターpC1及びpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強いプロモーター(LTR)
(Cullen,et al.,Molec.Cell.Biol.5:438-447
(1985))に加え、CMVエンハンサー(Boshart,et al.,Cell
41:521-530(1985))の断片を含有する。例えば、制限酵素切断部位B
amHI、XbaI及びAsp7l8を伴う複数のクローニング部位は、目的の遺伝子の
クローニングを容易にする。ベクターは更に、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イ
ントロン、ポリアデニル化及び終結シグナルを含有する。
【0196】
CHO細胞におけるクローニング及び発現。ベクターpC4は、TNF抗体の発現に使
用される。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2-dhfr(ATCC受託番号37
146)の誘導体である。このプラスミドは、SV40初期プロモーターの制御下でマウ
スDHFR遺伝子を含有する。これらのプラスミドでトランスフェクトされる、ジヒドロ
葉酸活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣細胞又はその他の細胞は、化学療法剤メトト
レキサートを補充した選択的培地(例えば、α-MEM、Life Technolog
ies,Gaithersburg,MD)中で細胞を成長させることによって選択する
ことができる。メトトレキサート(MTX)に耐性の細胞におけるDHFR遺伝子の増幅
は、十分に文書化されている(例えば、F.W.Alt,et al.,J.Biol.
Chem.253:1357-1370(1978)、J.L.Hamlin and
CMa,Biochem.et Biophys.Acta 1097:107-143
(1990)及びM.J.Page and M.A.Sydenham,Biotec
hnology 9:64-68(1991)を参照のこと)。増大したMTX濃度にお
いて成長した細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標的酵素であるDHFRの過
剰生成により、薬物に対する耐性を発達させる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子に連結さ
れている場合、通常、共増幅され、過剰発現される。このアプローチを使用して、増幅遺
伝子(複数可)の1,000を超えるコピーを有する細胞株を開発することができること
が、当該技術分野において知られている。続いて、メトトレキサートを回収する際、宿主
細胞の1つ以上の染色体(複数可)に組み込まれた増幅遺伝子を含有する細胞株が得られ
る。
【0197】
プラスミドpC4は、目的の遺伝子を発現するために、ラウス肉腫ウイルスの長末端反
復(LTR)の強いプロモーター(Cullen,et al.,Molec.Cell
.Biol.5:438-447(1985))に加え、ヒトサイトメガロウイルス(C
MV)の即初期遺伝子のエンハンサー(Boshart,et al.,Cell 41
:521-530(1985))から単離された断片を含有する。プロモーターの下流は
、遺伝子の組み込みを可能にするBamHI、XbaI及びAsp718制限酵素切断部
位である。これらのクローニング部位の後に、プラスミドは、ラットプレプロインスリン
遺伝子の3’イントロン及びポリアデニル化部位を含有する。他の高効率のプロモーター
、例えば、ヒトβアクチンプロモーター、SV40初期若しくは後期プロモーター、又は
他のレトロウイルス、例えばHIV及びHTLVIからの長末端反復も発現のために使用
することができる。ClontechのTet-Off及びTet-On遺伝子発現系、
並びに類似の系を使用して、哺乳類細胞において調節された方法で、TNFを発現させる
ことができる(M.Gossen,and H.Bujard,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 89:5547-5551(1992))。mRNAのポリア
デニル化のために、例えば、ヒト成長ホルモン又はグロビン遺伝子からの他のシグナルも
使用することができる。染色体に組み込まれた目的の遺伝子を有する安定した細胞株は、
gpt、G418又はハイグロマイシンなどの選択マーカーとの共トランスフェクション
の際に選択することもできる。最初に1つを超える選択マーカー、例えばG418、に加
えてメトトレキサートを使用するのが有利である。
【0198】
このプラスミドpC4を制限酵素で消化した後に、当該技術分野において既知の手順に
より、子ウシ腸ホスファターゼを使用して脱リン酸化する。次に、ベクターは1%アガロ
ースゲルから単離される。
【0199】
次に、単離された可変及び定常領域コードDNA及び脱リン酸化ベクターをT4 DN
Aリガーゼで連結する。次に、大腸菌HB101又はXL-1 Blue細胞を形質転換
し、例えば、制限酵素分析を使用して、プラスミドpC4に挿入された断片を含有する細
菌を特定する。
【0200】
トランスフェクションには、活性DHFR遺伝子が欠損しているチャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞が使用される。5μgの発現プラスミドpC4は、リポフェクチン
を使用して、0.5μgのプラスミドpSV2-neoで共トランスフェクトされる。プ
ラスミドpSV2-neoは、優性の選択マーカーである、G418を含む一群の抗生物
質に対して耐性を付与する酵素をコード化するTn5からのneo遺伝子を含有する。1
μg/mLのG418で補充したαマイナスMEMに細胞を播種する。2日後、細胞をト
リプシン処理し、ハイブリドーマクローニングプレート(Greiner,German
y)中の、10、25又は50ng/mLのメトトレキサート+1μg/mLのG418
で補充したαマイナスMEMに播種する。約10~14日後、単一クローンをトリプシン
処理した後、異なる濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、40
0nM、800nM)を使用して、6ウェルペトリ皿又は10mLフラスコに播種する。
次に、最高濃度のメトトレキサートで成長させているクローンを、更に高い濃度のメトト
レキサート(1mM、2mM、5mM、10mM、20mM)を含む新しい6ウェルプレ
ートに移す。100~200mMの濃度で成長するクローンが得られるまで同じ手順を繰
り返す。所望の遺伝子生成物の発現は、例えば、SDS-PAGE及びウエスタンブロッ
トによって、又は逆相HPLC分析によって分析される。
【0201】
実施例2:トランスジェニックマウスを使用する、ヒトTNFと反応する高親和性ヒト
IgGモノクローナル抗体の生成。
要約。ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを
使用して、1つ以上のTNF媒介性疾患の処置のための、TNF作用を阻害するために治
療的に使用することができる高親和性の完全ヒトモノクローナル抗体を生成する。重鎖及
び軽鎖両方のヒト可変及び定常領域抗体導入遺伝子を含有する(CBA/JxC57/B
L6/J)Fハイブリッドマウスをヒト組換えTNFで免疫化する(Taylor e
t al.,Intl.Immunol.6:579-591(1993)、Lonbe
rg,et al.,Nature 368:856-859(1994)、Neube
rger,M.,Nature Biotech.14:826(1996)、Fish
wild,et al.,Nature Biotechnology 14:845-
851(1996))。いくつかの融合物が完全ヒトTNF反応性IgGモノクローナル
抗体の1つ以上のパネルを生み出した。完全ヒト抗TNF抗体を更に特徴付けする。全て
はIgG1κである。かかる抗体は、およそ1×10~9×1012の親和性定数を有
することが分かった。これらの完全ヒトモノクローナル抗体の予期せぬ高親和性により、
それらはTNF関連疾患、病態、又は障害における治療用途のための好適な候補となる。
【0202】
略語。BSA-ウシ血清アルブミン、Co-二酸化炭素、DMSO-ジメチルスルホ
キシド、EIA-酵素イムノアッセイ、FBS-ウシ胎児血清、H-過酸化水素、
HRP-西洋わさびペルオキシダーゼ、ID-皮内(interadermal)、Ig
-免疫グロブリン、TNF-組織壊死因子α、IP-腹腔内、IV-静脈内、Mab-モ
ノクローナル抗体、OD-光学密度、OPD-oフェニレンジアミン二塩酸塩、PEG-
ポリエチレングリコール、PSA-ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシン、
RT-室温、SQ-皮下、v/v-単位容量当たりの容量、w/v-単位容量当たりの重
量。
【0203】
材料及び方法。
動物。ヒト抗体を発現し得るトランスジェニックマウスは、当該技術分野において既知
であり、(例えば、GenPharm International,San Jose
,CA、Abgenix,Freemont,CAなどから)市販されており、これはヒ
ト免疫グロブリンを発現するが、マウスIgM又はIgκを発現しない。例えば、かかる
トランスジェニックマウスは、V(D)J結合、重鎖クラススイッチ及び体細胞突然変異
を受けてヒト配列免疫グロブリンのレパートリーを生成する、ヒト配列導入遺伝子を含有
する(Lonberg,et al.,Nature 368:856-859(199
4))。軽鎖導入遺伝子は、例えば、部分的に、生殖系列ヒトVκ領域のほぼ半分を含む
酵母人工染色体クローンに由来し得る。加えて、重鎖導入遺伝子は、ヒトμ及びヒトγ1
の両方(Fishwild,et al.,Nature Biotechnology
14:845-851(1996))並びに/又はγ3定常領域をコード化することが
できる。適切なゲノトピック系統由来のマウスを免疫化及び融合プロセスにおいて使用し
て、TNFに対する完全ヒトモノクローナル抗体を生成することができる。
【0204】
免疫化。1つ以上の免疫化スケジュールは、抗TNFヒトハイブリドーマを生成するた
めに使用することができる。以下の例示的な免疫化プロトコルに従って、最初のいくつか
の融合を行うことができるが、他の類似の既知のプロトコルを使用することもできる。数
匹の14~20週齢の雌及び/又は外科的に去勢した雄のトランスジェニックマウスに対
して、最終容量100~400μl(例えば、200)で等量のTITERMAX又は完
全フロイントアジュバントで乳化した1~1000μgの組換えヒトTNFをIP又はI
Dに接種する。各マウスはまた、所望により、2SQ部位の各々に100μLの生理学的
生理食塩水中1~10μgを受けることもできる。その後、マウスは、1~7、5~12
、10~18、17~25及び/又は21~34日後にIP(1~400μg)及びSQ
(1~400μg×2)により等量のTITERMAX又は完全フロイントアジュバント
で乳化したTNFで、免疫化され得る。抗凝固薬なしで12~25及び25~40日後に
眼窩後方穿刺によりマウスを出血させることができる。次に、血液を室温で1時間凝固さ
せ、血清を回収し、既知の方法によりTNF EIAアッセイを使用して滴定する。反復
注射が力価の増加を生じなければ、融合を行う。その際、マウスに、100μLの生理学
的生理食塩水に希釈した1~400μgのTNFの最終IVブースター注射を与えること
ができる。3日後、マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、脾臓を無菌的に除去し、100
U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン及び0.25μg/mL
のアンホテリシンB(PSA)を含有する、10mLの冷リン酸塩緩衝生理食塩水(PB
S)中に浸漬することができる。PSA-PBSで脾臓を無菌灌流することにより、脾細
胞を採取する。細胞を冷PSA-PBS中で1回洗浄し、トリパンブルー染料排除を使用
して計数し、25mMへぺスを含有するRPMI 1640培地に再懸濁する。
【0205】
細胞融合。既知である、例えば、当該技術分野で既知である方法に従い、1:1~1:
10のマウス骨髄腫細胞対生脾臓細胞比率で融合を行うことができる。非限定的な例とし
て、脾臓細胞及び骨髄腫細胞は一緒にペレット化することができる。次に、30秒かけて
ペレットを37℃でゆっくり1mLの50%(w/v)PEG/PBS溶液(PEG分子
量1,450、Sigma)に再懸濁することができる。その後、1分かけて25mMへ
ぺスを含有する10.5mLのRPMI 1640培地(37℃)をゆっくり添加するこ
とによって、融合を停止させることができる。融合細胞を5分間500~1500rpm
で遠心分離する。その後、細胞をHAT培地(25mMへぺス、10%胎児クローンI血
清(Hyclone)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミン、10μ
g/mLのゲンタマイシン、2.5%Origen培養サプリメント(Fisher)、
10% 653調整RPMI1640/へぺス培地、50μM 2-メルカプトエタノー
ル、100μMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン及び16μMチミジンを含有
するRPMI 1640培地)に再懸濁した後、15の96ウェル平底組織培養プレート
に200μL/ウェルで平板培養する。次に、7~10日間、5%CO及び95%空気
を含有する加湿した37℃のインキュベータにプレートを配置する。
【0206】
マウス血清におけるヒトIgG抗TNF抗体の検出。固相EIAを使用して、ヒトTN
Fに特異的なヒトIgG抗体についてマウス血清をスクリーニングすることができる。簡
潔に、PBS中2μg/mLのTNFで一晩プレートをコーティングすることができる。
0.02%(v/v)Tween20を含有する0.15M生理食塩水で洗浄した後、ウ
ェルをPBS中1%(w/v)BSA、200μL/ウェルで、室温で1時間遮断するこ
とができる。プレートは、直ちに使用するか、又は将来の使用のために-20℃で凍結す
る。マウス血清希釈物を、50μL/ウェルでTNFコーティングしたプレート上で、室
温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄した後、1%BSA-PBS中に1:3
0,000で希釈したFc特異的な50μL/ウェルHRP標識ヤギ抗ヒトIgGにより
、室温で1時間プローブする。プレートを再度洗浄することができ、100μL/ウェル
のクエン酸塩-リン酸塩基質溶液(0.1Mクエン酸及び0.2Mリン酸ナトリウム、0
.01% H及び1mg/mL OPD)を15分かけて室温で添加する。次に、
25μL/ウェルで反応停止溶液(4N硫酸)を添加し、自動プレート分光光度計により
490nmでODを読み取る。
【0207】
ハイブリドーマ上清における完全ヒト免疫グロブリンの検出。好適なEIAを使用して
、完全ヒト免疫グロブリンを分泌する成長陽性ハイブリドーマを検出することができる。
簡潔に、96ウェルのポップアウトプレート(VWR、610744)を、4℃で一晩、
炭酸ナトリウム緩衝剤中10μg/mLのヤギ抗ヒトIgG Fcでコーティングするこ
とができる。プレートを洗浄し、37℃で1時間、1%BSA-PBSで遮断し、直ちに
使用するか、又は-20℃で凍結する。未希釈ハイブリドーマ上清を、プレート上で、3
7℃で1時間インキュベートする。プレートを洗浄し、1%BSA-PBS中に1:10
,000で希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトκにより、37℃で1時間プローブする。次に
、上述のように、プレートを基質溶液とともにインキュベートする。
【0208】
完全ヒト抗TNF反応性の決定。上記のハイブリドーマは、好適なRIA又は他のアッ
セイを使用してTNFに対する反応性について同時にアッセイすることができる。例えば
、上記のように、上清をヤギ抗ヒトIgG Fcプレート上でインキュベートし、洗浄し
た後、室温で1時間、ウェル当たり適切な計数で、放射線標識されたTNFでプローブす
る。ウェルをPBSで2回洗浄し、好適な計数器を使用して、結合した放射線標識された
TNFを定量化する。
【0209】
ヒトIgG1κ抗TNF分泌ハイブリドーマを細胞培養において拡張し、限定希釈によ
り系列的にサブクローニングすることができる。結果として得られたクローン集団を拡張
し、凍結培地(95%FBS、5%DMSO)中で凍結保存し、液体窒素中で保管する。
【0210】
アイソタイプ。抗体のアイソタイプの決定は、特定の滴定に対するマウス免疫血清をス
クリーニングするために使用されたものと類似の形式のEIAを使用して達成することが
できる。上述のように96ウェルプレート上にTNFをコーティングすることができ、2
μg/mLの精製された抗体を、室温で1時間プレート上でインキュベートすることがで
きる。プレートを洗浄し、1%BSA-PBS中に1:4000で希釈したHRP標識ヤ
ギ抗ヒトIgG又はHRP標識ヤギ抗ヒトIgGで、室温で1時間プローブする。プ
レートを再度洗浄し、上述のように基質溶液とともにインキュベートする。
【0211】
ヒトTNFによるヒト抗ヒトTNF抗体の結合動力学。抗体の結合特徴は、例えば、T
NF捕捉EIA及びBIAcore技術を使用して好適に評価することができる。精製さ
れたヒトTNF抗体の段階的濃度は、上述のように、アッセイにおいて、2μg/mLの
TNFでコーティングされたEIAプレートへの結合について評価することができる。そ
の後、相対結合効率を示す片対数プロットとしてODを表すことができる。
【0212】
定量的結合定数は、例えば、以下のように、又は任意のその他の既知の好適な方法によ
って得ることができる。BIAcore CM-5(カルボキシメチル)チップをBIA
core 2000ユニットに配置する。HBS緩衝剤(0.01M HEPES、0.
15M NaCl、3mM EDTA、0.005% v/v P20界面活性剤、pH
7.4)を、安定したベースラインが得られるまで、5μl/分でチップのフローセル上
に流す。200μLの水中15mgのEDC(N-エチル-N’-(3-ジメチル-アミ
ノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩)の溶液(100μL)を、200μLの水中2.
3mgのNHS(N-ヒドロキシコハク酸イミド)の100μLの溶液に添加する。結果
として得られた溶液の40μLをチップ上に注入する。6μLのヒトTNFの溶液(10
mM酢酸ナトリウム中15μg/mL、pH 4.8)をチップ上に注入し、約500R
Uの増加をもたらす。緩衝剤をTBS/Ca/Mg/BSA泳動緩衝剤(20mMトリス
、0.15M塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、2mM酢酸マグネシウム、0.5
%トリトンX-100、25μg/mL BSA、pH7.4)に変更し、一晩チップ上
に流してそれを平衡化し、全ての未反応のコハク酸エステルを加水分解又はキャップする
【0213】
33.33、16.67、8.33、及び4.17nMで泳動緩衝剤中に抗体を溶解す
る。流量を30μL/分に調整し、器具の温度を25℃に調整する。1つはTNFが固定
化され(試料)、2つ目は非誘導化フローセル(ブランク)である、2つのフローセルを
動態実行に使用する。各抗体濃度を120μL、フローセル上に30μL/分で注入し(
会合相)、続いて360秒間連続して緩衝剤を流す(解離相)。各30μLの2Mチオシ
アン酸グアニジンを2回順次注入することにより、チップの表面を再生する(組織壊死因
子α/抗体複合体の解離)。
【0214】
データの分析は、当該技術分野において既知であるBIA評価3.0又はCLAMP2
.0を使用して行われる。各抗体濃度について、ブランクセンソグラムを試料センソグラ
ムから減ずる。解離(kd,sec-1)及び会合(k,mol-1 sec-1)の
両方についてグローバルフィットを行い、解離定数(K,mol)を算出する(k
)。抗体親和性が十分に高いため、捕捉された抗体のRUが100超である場合、抗
体の追加希釈が実行される。
【0215】
結果と考察
抗ヒトTNFモノクローナル抗体の生成。いくつかの融合を行い、ヒトTNFに特異的
な数十の抗体を生み出す各融合物を15のプレート(1440ウェル/融合物)に播種す
る。これらのうち、いくつかは、ヒト及びマウスIg鎖の組み合わせからなることがわ分
かる。残りのハイブリドーマは、ヒト重鎖及び軽鎖のみからなる抗TNF抗体を分泌(s
ecret)する。ヒトハイブリドーマの全てがIgG1κであることが予想される。
【0216】
ヒト抗ヒトTNF抗体の結合動力学。ELISA分析は、これらのハイブリドーマのほ
とんど又は全てからの精製された抗体が、濃度依存的にTNFに結合することを確認する
図1~2は、これらの抗体の相対的結合効率の結果を示す。この場合、抗体のその同族
抗原(エピトープ)に対する結合活性度を測定する。TNFを直接EIAプレートに結合
すると、タンパク質の変性を引き起こし得、見かけ上の結合親和性は、未変性タンパク質
への結合を反映することができないことに留意するべきである。50パーセントの結合が
広範な濃度にわたって見られる。
【0217】
定量的結合定数はヒト抗体のBIAcore分析を使用して得られ、ヒトモノクローナ
ル抗体のいくつかが1×10-9~7×10-12の範囲のKを有して非常に高い親和
性であることを明らかにする。
【0218】
結論。
いくつかの融合は、ヒトTNFで免疫化されるヒト可変及び定常領域抗体導入遺伝子を
含有するハイブリッドマウスからの脾細胞を利用して行われる。IgG1κアイソタイプ
のいくつかの完全ヒトTNF反応性IgGモノクローナル抗体のセットを生成する。完全
ヒト抗TNF抗体を更に特徴付けする。生成された抗体のうちのいくつかは、1×10
~9×1012の親和性定数を有する。これらの完全ヒトモノクローナル抗体の予期せぬ
高親和性により、それらはTNF依存疾患、病態又は関連状態における治療用途に好適な
ものとなる。
【0219】
実施例3:ヒトTNFαに反応性のヒトIgGモノクローナル抗体の生成。
要約。重鎖及び軽鎖両方のヒト可変及び定常領域抗体導入遺伝子を含有する(CBA/
JxC57BL/6J)Fハイブリッドマウス(1~4)を組換えヒトTNFαで免疫
化した。GenTNVと命名された1つの融合が、固定化された組換えヒトTNFαに結
合する完全ヒトIgG1κモノクローナル抗体を8つ生み出した。特定直後、8つの細胞
株は、更に特徴付けするためにMolecular Biologyに譲渡された。これ
らMabは配列が完全にヒトであるため、それらはヒトにおけるcA2(Remicad
e)よりも免疫原性が低いと予想される。
【0220】
略語。BSA-ウシ血清アルブミン、Co-二酸化炭素、DMSO-ジメチルスルホ
キシド、EIA-酵素イムノアッセイ、FBS-ウシ胎児血清、H-過酸化水素、
HC-重鎖、HRP-西洋わさびペルオキシダーゼ、ID-皮内(interadermal)、Ig
-免疫グロブリン、TNF-組織壊死因子α、IP-腹腔内、IV-静脈内、Mab-モ
ノクローナル抗体、OD-光学密度、OPD-oフェニレンジアミン二塩酸塩、PEG-
ポリエチレングリコール、PSA-ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシン、
RT-室温、SQ-皮下、TNFα-腫瘍壊死因子α、v/v-単位容量当たりの容量、
w/v-単位容量当たりの重量。
【0221】
序論。ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを
利用して、組換えヒトTNFαに特異的な完全ヒトモノクローナル抗体を生成した。cA
2(Remicade)は、血清半減期が増加し、免疫原性に関する副作用が減少する利
益を有して、TNFα媒介性疾患に関与する炎症性プロセスを治療的に阻害するために使
用されるため、これらの固有の抗体を使用することができると期待される。
【0222】
材料及び方法。
動物ヒト免疫グロブリンを発現するが、マウスIgM又はIgκを発現しないトランス
ジェニックマウスは、GenPharm Internationalにより開発されて
きた。これらのマウスは、V(D)J結合、重鎖クラススイッチ及び体細胞突然変異を受
けて抗原特異的ヒト免疫グロブリン(1)のレパートリーを生成する、機能性ヒト抗体導
入遺伝子を含有する。軽鎖導入遺伝子は、部分的に、生殖系列ヒトVκ遺伝子座のほぼ半
分を含む酵母人工染色体クローンに由来する。いくつかのVH遺伝子に加えて、重鎖(H
C)導入遺伝子は、ヒトμ及びヒトγ1(2)、並びに/又はγ3定常領域の両方をコー
ド化する。本明細書に記載されるモノクローナル抗体を生成するための免疫化及び融合プ
ロセスにおいて、HCo12/KCo5遺伝子型系統由来のマウスを使用した。
【0223】
ヒトTNFαの精製。セファロース4B(Pharmacia)に連結されたTNFα
受容体-Fc融合タンパク質(p55-sf2)(5)を充填したカラムを使用して、ア
フィニティクロマトグラフィーにより、ヒトTNFαを、C237A細胞からの組織培養
上清から精製した。細胞上清を、その体積の9分の1の10XDulbeccoのPBS
(D-PBS)と混合し、4mL/分で4℃のカラムを通過させた。次に、PBSでカラ
ムを洗浄し、0.1Mクエン酸ナトリウム、pH3.5でTNFαを溶出し、2Mトリス
HCl、pH8.5で中和した。精製されたTNFαは、10mMトリス、0.12M塩
化ナトリウム、pH7.5に緩衝剤交換され、0.2umのシリンジフィルタを通して濾
過された。
【0224】
免疫化。約16週齢の雌のGenPharmマウスを、0、12及び28日目に等量の
Titermaxアジュバントで乳化した合計100μgのTNFα(ロットJG102
298又はJG102098)で、IP(200μL)及びID(尾の付け根にて100
μL)により免疫化した。抗凝固薬なしで21及び35日目に眼窩後方穿刺によりマウス
を出血させた。血液を室温で1時間凝固させ、血清を回収し、TNFα固相EIAアッセ
イを使用して滴定した。28日目の注射後、マウスを7週間休ませた後に、GenTNV
と命名された融合を行った。その後、TNFαに対して1:160の特定のヒトIgG力
価を有するマウスに、100μLの生理学的生理食塩水で希釈した50μgのTNFαの
最終IVブースター注射を与えた。3日後、マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、脾臓を
無菌的に除去し、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン
及び0.25μg/mLのアンホテリシンB(PSA)を含有する、10mLの冷リン酸
塩緩衝生理食塩水(PBS)中に浸漬した。PSA-PBSで脾臓を無菌灌流することに
より、脾細胞を採取した。細胞を冷PSA-PBS中で1回洗浄し、Coulter計数
器を使用して計数し、25mMへぺスを含有するRPMI 1640培地に再懸濁した。
【0225】
細胞株。Cell Biology Services(CBS)グループは、97年
5月14日に、Centocor’s Product Developmentグルー
プから非分泌マウス骨髄腫融合パートナー653を受け取った。細胞株を、10%(v/
v)FBS(Cell Culture Labs)、1mMピルビン酸ナトリウム、0
.1mM NEAA、2mM L-グルタミン(全てJRH Biosciencesか
ら)で補充したRPMI培地(JRH Biosciences)中で拡張し、95%FBS及び5%D
MSO(Sigma)中で凍結保存した後、CBSの蒸気相液体窒素冷凍庫に保管した。
細胞バンクは無菌であり(Quality Control Centocor,Mal
vern)、マイコプラズマ(Bionique Laboratories)がなかっ
た。細胞は融合まで対数増殖期培養物内で維持された。融合前に、それらをPBS中で洗
浄し、計数し、トリパンブルー染料排除により生存率を決定した(95%超)。
【0226】
ヒトTNFαは、組換え細胞株により生成され、C237Aと命名され、Centoc
orのMolecular Biologyで生成された。細胞株を、5%(v/v)F
BS(Cell Culture Labs)、2mM L-グルタミン(全てJRH
Biosciencesから)及び0.5:g/mLのマイコフェノール酸で補充したI
MDM培地(JRH Biosciences)中で拡張し、95%FBS及び5%DM
SO(Sigma)中で凍結保存した後、CBS(13)の蒸気相液体窒素冷凍庫に保管
した。細胞バンクは無菌であり(Quality Control Centocor,
Malvern)、マイコプラズマ(Bionique Laboratories)が
なかった。
【0227】
細胞融合。細胞融合は、1:1の比率の653マウス骨髄腫細胞及びマウス生脾臓細胞
を使用して行った。簡潔に、脾臓細胞及び骨髄腫細胞を一緒にペレット化した。30秒間
かけてペレットを37℃でゆっくり1mLの50%(w/v)PEG/PBS溶液(PE
G分子量1,450g/モル、Sigma)に再懸濁した。1分かけて10.5mLのR
PMI培地(添加剤なし)(JRH)(37℃)をゆっくり添加することにより、融合を
停止させた。融合細胞を5分間750rpmで遠心分離した。その後、細胞をHAT培地
(10%ウシ胎児血清(JRH)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミ
ン、10μg/mLのゲンタマイシン、2.5%Origen培養サプリメント(Fis
her)、50μM 2-メルカプトエタノール、1% 653調整RPMI培地、10
0μMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン及び16μMチミジンを含有するRP
MI/HEPES培地)に再懸濁した後、5つの96ウェル平底組織培養プレートを20
0μL/ウェルで平板培養した。次に、7~10日間、5%CO及び95%空気を含有
する加湿した37℃のインキュベータにプレートを配置した。
【0228】
マウス血清におけるヒトIgG抗TNFα抗体の検出。固相EIAを使用して、ヒトT
NFαに特異的なヒトIgG抗体についてマウス血清をスクリーニングした。簡潔に、P
BS中1μg/mLのTNFαで一晩プレートをコーティングした。0.02%(v/v
)Tween20を含有する0.15M生理食塩水で洗浄した後、ウェルをPBS中1%
(w/v)BSA、200μL/ウェルで、室温で1時間遮断した。プレートは、直ちに
使用するか、又は後に使用するために-20℃で凍結されるかのいずれかであった。マウ
ス血清を、50μL/ウェルで、室温で1時間、2倍階段希釈法で、ヒトTNFαコーテ
ィングされたプレート上でインキュベートした。プレートを洗浄した後、1%BSA-P
BS中に1:30,000で希釈したFc特異的(Accurate)な50μL/ウェ
ルのHRP標識ヤギ抗ヒトIgGにより、室温で1時間プローブした。プレートを再度洗
浄し、100μL/ウェルのクエン酸塩-リン酸塩基質溶液(0.1Mクエン酸及び0.
2Mリン酸ナトリウム、0.01% H及び1mg/mL OPD)を15分かけ
て室温で添加した。次いで、25μL/ウェルで反応停止溶液(4N硫酸)を添加し、自
動プレート分光光度計を使用して490nmでODを読み取った。
【0229】
ハイブリドーマ上清における完全ヒト免疫グロブリンの検出。GenPharmマウス
は、マウス及びヒト免疫グロブリン鎖の両方を生成することができるため、2つの別個の
EIAアッセイを使用して、ヒト軽鎖及びヒト重鎖の両方の存在について成長陽性ハイブ
リドーマクローンを試験した。プレートを上述のようにコーティングし、未希釈のハイブ
リドーマ上清を37℃で1時間、プレート上でインキュベートした。プレートを洗浄し、
37℃で1時間、1% BSA-HBSS中で1:10,000に希釈したHRP抱合ヤ
ギ抗ヒトκ(Southern Biotech)抗体、又は1% BSA-HBSS中
で1:30,000に希釈したHRP抱合ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗体のいずれか
でプローブした。次に、上述のように、プレートを基質溶液とともにインキュベートした
。抗ヒトκ及び抗ヒトIgG Fc EIA形式の両方で陽性シグナルをもたらさなかっ
たハイブリドーマクローンは廃棄された。
【0230】
アイソタイプ。抗体のアイソタイプの決定は、特定の力価に対するマウス免疫血清をス
クリーニングするために使用されたものと類似の形式のEIAを使用して達成した。4℃
で一晩、炭酸ナトリウム緩衝剤中10:g/mLのヤギ抗ヒトIgG(H+L)でEIA
プレートをコーティングし、上述のように遮断した。24ウェル培養物からの希釈なしの
上清を、室温で1時間、プレート上でインキュベートした。プレートを洗浄し、1%BS
A-PBS中に1:4000で希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトIgG、IgG、Ig
又はIgG(Binding Site)で、室温で1時間プローブした。プレー
トを再度洗浄し、上述のように基質溶液とともにインキュベートした。
【0231】
結果及び考察。完全ヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体の生成。組換えヒトTNF
αタンパク質で免疫化されたGenPharmマウスから、GenTNVと命名された融
合を1回行った。この融合から、196の成長陽性ハイブリッドがスクリーニングされた
。ヒトTNFαと反応性の完全ヒトIgG抗体を分泌した8つのハイブリドーマ細胞株を
特定した。これらの8つの細胞株はそれぞれ、ヒトIgG1κアイソタイプの免疫グロブ
リンを分泌し、限界希釈により全てを2回サブクローニングして、安定した細胞株を得た
(90%超均質)。細胞株名及びそれぞれのCコード表記を表1に列挙する。細胞株の各
々は、液体窒素中に保管された12-バイアル研究細胞バンクにおいて凍結された。
【0232】
8つの細胞株のそれぞれの24ウェル培養皿のウェルから回収した親細胞は、トランス
フェクション及び更なる特徴付けのために、1999年2月18日にMolecular
Biologyグループに引き渡された。
【0233】
【表3】
【0234】
結論。
GenTNV融合は、Centocorで調製された組換えヒトTNFαで免疫化され
たヒト可変及び定常領域抗体導入遺伝子を含有するハイブリッドマウスからの脾細胞を利
用して行われた。IgG1κアイソタイプの8つの完全ヒトTNFα反応性IgGモノク
ローナル抗体を生成した。更なる特徴付け及び開発のために、親細胞株をMolecul
ar Biologyグループに移した。これらの新しいヒト抗体のうちの1つは、Re
micadeと比較して、免疫原性及びアレルギー型合併症が減少する潜在的な利益を有
して、抗炎症に有用である可能性がある。
【0235】
参考文献
Taylor,et al.,International Immunology
6:579-591(1993)。
Lonberg,et al.,Nature 368:856-859(1994)

Neuberger,M.Nature Biotechnology 14:826
(1996)。
Fishwild,et al.,Nature Biotechnology 14
:845-851(1996)。
Scallon,et al.,Cytokine 7:759-770(1995)
【0236】
実施例4:ヒト抗TNFα抗体を発現する細胞株のクローニング及び調製。
要約。TNV表記の8つのヒトモノクローナル抗体(mAb)のパネルは、明らかに高
結合活性で固定化されたヒトTNFαに結合することが認められた。8つのmAbのうち
の7つは、組換えTNF受容体へのヒトTNFαの結合を効率的に遮断することを示した
。7つのmAbをコード化するDNAの配列分析は、全てのmAbがヒトV領域を有して
いることを確認した。DNA配列は、3対のmAbが互いに同一であり、そのため8つの
mAbの元のパネルがTNV14、TNV15、TNV148、及びTNV196で表さ
れる4つの別個のmAbのみを含有していることも明らかにした。mAbの推定アミノ酸
配列の分析及びインビトロTNFα中和データの結果に基づいて、mAb TNV148
及びTNV14を更なる研究のために選択した。
【0237】
TNV148重鎖の位置75(フレームワーク3)のプロリン残基がデータベース検索
中同じサブグループの他のヒト抗体のその位置に見られなかったため、それを既知の生殖
系列フレームワークe配列と一致させるために、部位特異的DNA突然変異誘発を行って
、その位置にセリン残基をコード化した。セリン修飾mAbはTNV148Bと表記され
た。TNV148B及びTNV14の重鎖及び軽鎖可変領域をコード化するPCR増幅D
NAを、別のヒトmAb(12B75)の最近クローニングされた重鎖及び軽鎖遺伝子に
基づいた(国際公開第02/12500号として公開された、IL-12 Antibo
dies,Compositions,Methods and Usesと題される、
2000年10月7日出願の米国特許出願第60/236,827号、参照により全体が
本明細書に組み込まれる)、新しく調製した発現ベクター内にクローニングした。
【0238】
P3X63Ag8.653(653)細胞又はSp2/0-Ag14(Sp2/0)マ
ウス骨髄腫細胞を、それぞれの重鎖及び軽鎖発現プラスミドでトランスフェクトし、高レ
ベルの組換えTNV148B及びTNV14(rTNV148B及びrTNV14)mA
bを生成する細胞株について2回のサブクローニングによりスクリーニングした。経時的
なmAb生成の成長曲線及び安定性の評価は、653トランスフェクタントクローンC4
66D及びC466Cが使用済培養物において安定して約125:g/mLのrTNV1
48B mAbを生成し、一方Sp2/0トランスフェクタント1.73-12-122
(C467A)が使用済培養物において安定して約25:g/mlのrTNV148B
mAbを生成したことを示した。同様の分析が、Sp2/0トランスフェクタントクロー
ンC476Aが使用済培養物において18:g/mlのrTNV14を生成したことを示
した。
【0239】
序論。ヒトTNFα免疫化GenPharm/Medarexマウス(HCo12/K
Co5遺伝子型)由来の8つのmAbのパネルは、ヒトTNFαに結合しかつ完全ヒトI
gG1κアイソタイプを有することを前に示した。単純な結合アッセイを使用して、TN
Fαが組換えTNF受容体に結合するのを遮断する能力を評価することにより、本発明の
例示的なmAbがTNFα中和活性を有する可能性があるかどうかを決定した。これらの
結果、DNA配列結果、及びmAbのいくつかのインビトロ特徴付けに基づいて、更に特
徴付けされるmAbとしてTNV148が選択された。
【0240】
TNV148 mAbをコード化するDNA配列をクローニングし、好適な定常領域を
コード化する遺伝子発現ベクター内に合うように修飾し、十分に特徴付けされた653及
びSp2/0マウス骨髄腫細胞内に導入し、結果として得られたトランスフェクトされた
細胞株を、元のハイブリドーマ細胞株の40倍のmAbを生成するサブクローンが特定さ
れるまでスクリーニングした。
【0241】
材料及び方法。
試薬及び細胞。TRIZOL試薬はGibco BRLから購入した。プロテイナーゼ
KはSigma Chemical Companyから得た。逆転写酵素はLife
Sciences,Inc.から得た。Taq DNAポリメラーゼはPerkin E
lmer Cetus又はGibco BRLのいずれかから得た。制限酵素はNew
England Biolabsから購入した。QIA quick PCR Puri
fication KitはQiagenから得た。QuikChange Site-
Directed Mutagenesis KitはStratageneから購入し
た。Wizardプラスミドミニプレップキット及びRNasinはPromegaから
であった。OptiplatesはPackardから得た。125IodineはAm
ershamから購入した。カスタムオリゴヌクレオチドはKeystone/Bios
ource Internationalから購入した。この作業で使用したオリゴヌク
レオチドの名称、識別番号、及び配列を表2に示す。
【0242】
表2.TNV mAb遺伝子をクローニング、工学処理、又は配列決定するために使用
されたオリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチド5’14s及びHuH-J6によりコード化されるアミノ酸を配列
の上に示す。「M」アミノ酸残基は翻訳開始コドンを表す。オリゴヌクレオチド5’14
s及びHuH-J6の下線付き配列は、それぞれ、BsiWI及びBstBI制限部位を
示す。HuH-J6の斜線はエクソン/イントロン境界に対応する。配列がマイナス鎖に
対応するオリゴヌクレオチドは、3’-5’配向で書かれていることに留意する。
【0243】
【表4】
【0244】
653マウス骨髄腫細胞の凍結バイアルを1つ得た。バイアルをその日に解凍し、Tフ
ラスコ中のIMDM、5%FBS、及び2mMグルタミン(培地)中で拡張させた。これ
らの細胞は、本明細書に記載される抗TNF DNAで2~3週間後にトランスフェクト
されるまで、連続培養において維持された。解凍した5日後に培養物のいくつかを採取し
、遠心分離によりペレット化し、95%FBS、5%DMSOに再懸濁し、30のバイア
ルに等分し、凍結し、後に使用するために保管した。同様に、Sp2/0マウス骨髄腫細
胞の凍結バイアルを1つ得た。バイアルを解凍し、上述のように新しい凍結物(freeze-d
own)を調製し、凍結バイアルをCBCの冷凍庫ボックスAA及びAB内で保管した。こ
れらの細胞を解凍し、本明細書に記載される全てのSp2/0トランスフェクションに使
用した。
【0245】
受容体へのTNFの結合の阻害のためのアッセイ。TNV mAbを含有するハイブリ
ドーマ細胞上清を使用して、mAbが組換えTNF受容体融合タンパク質p55-sf2
への125I標識TNFαの結合を遮断する能力についてアッセイした(Scallon
et al.(1995)Cytokine 7:759-770)。37℃で1時間
インキュベートする間に、PBS中0.5:g/mlで50:lのp55-sf2をOp
tiplatesに添加してウェルをコーティングした。PBS/0.1%BSAを希釈
剤として使用して、8つのTNV細胞上清の系列希釈を、96ウェル丸底プレートにおい
て調製した。抗IL-18 mAbを含有する細胞上清が陰性対照として含まれ、cA2
(抗TNFキメラ抗体、Remicade、米国特許第5,770,198号、参照によ
り全体が本明細書に組み込まれる)でスパイクされた同じ抗IL-18上清が陽性対照と
して含まれた。最終TNFα濃度が5ng/mlとなるように、125I標識TNFα(
58:Ci/:g,D.Shealy)を100:lの細胞上清に添加した。混合物を室
温で1時間プレインキュベートした。コーティングされたOptiplatesを洗浄し
て未結合のp55-sf2を除去し、50:lの125I-TNFα/細胞上清混合物を
Optiplatesに移した。室温で2時間後、PBS-Tweenで3回、Opti
platesを洗浄した。100:lのMicroscint-20を添加し、TopC
ount γ計数器を使用して、結合したcpmを決定した。
【0246】
V遺伝子の増幅及びDNA配列分析。RNAの調製のために、ハイブリドーマ細胞をP
BSで1回洗浄した後にTRIZOL試薬を添加した。7×10~1.7×10の細
胞を1mlのTRIZOLに再懸濁した。200μlのクロロホルムの添加後に管を激し
く振った。試料を4℃で10分間遠心分離した。水相を新しいmicrofuge管に移
し、等量のイソプロパノールを添加した。管を激しく振り、室温で10分間インキュベー
トした。次に、試料を4℃で10分間遠心分離した。ペレットを1mlの70%エタノー
ルで1回洗浄し、真空乾燥機で短時間乾燥させた。RNAペレットを40μlのDEPC
処理水で再懸濁した。RNA調製物の品質は、1%アガロースゲル中で0.5μlを分画
することによって決定された。使用するまで、RNAを-80℃の冷凍庫に保管した。
【0247】
重鎖及び軽鎖のcDNAを調製するために、11.5μlの容量に3μlのRNA及び
1μgのオリゴヌクレオチド119(重鎖)又はオリゴヌクレオチド117(軽鎖)のい
ずれか(表1を参照のこと)を含む混合物を調製した。この混合物を水浴中で70℃で1
0分間インキュベートした後、氷上で10分間冷却した。2.5μlの10×逆転写酵素
緩衝剤、10μlの2.5mM dNTP、1μlの逆転写酵素(20単位)、及び0.
4μlのリボヌクレアーゼ阻害剤RNasin(1単位)から構成される別個の混合物を
調製した。13.5μlのこの混合物を、11.5μlの冷RNA/オリゴヌクレオチド
混合物に添加し、反応物を42℃で40分間インキュベートした。その後、使用するまで
cDNA合成反応物を-20℃の冷凍庫に保管した。
【0248】
未精製の重鎖及び軽鎖のcDNAをテンプレートとして使用して、可変領域コード配列
をPCR増幅した。重鎖DNAの増幅をプライムする能力について、5つのオリゴヌクレ
オチド対(366/354、367/354、368/354、369/354、及び3
70/354、表1)を同時に試験した。軽鎖DNAの増幅をプライムする能力について
、2つのオリゴヌクレオチド対(362/208及び363/208)を同時に試験した
。総容量50μlにおいて2単位のPLATINUM(商標)高忠実度(HIFI)Ta
q DNAポリメラーゼを使用して、PCR反応を行った。各反応物は、2μlのcDN
A反応物、10ピコモルの各オリゴヌクレオチド、0.2mMのdNTP、5μlの10
XHIFI緩衝剤、及び2mMの硫酸マグネシウムを含んでいた。熱サイクラープログラ
ムは、95℃で5分間、続いて(94℃で30秒間、62℃で30秒間、68℃で1.5
分間)を30サイクルであった。その後、68℃で10分間の最終インキュベーションが
行われた。
【0249】
直接DNA配列決定のためのPCR生成物を調製するために、製造業者のプロトコルに
従い、QIAquick(商標)PCR Purification Kitを使用して
それらを精製した。50μlの減菌水を使用してスピンカラムからDNAを溶出させた後
、真空乾燥機を使用して10μlの容量まで乾燥させた。次に、総容量20μlの、1μ
lの精製されたPCR生成物、10μMオリゴヌクレオチドプライマー、4μlのBig
Dye Terminator(商標)ready reaction mix、及び1
4μlの減菌水でDNA配列決定反応物を設定した。オリゴヌクレオチド対367/35
4で作製された重鎖PCR生成物は、オリゴヌクレオチドプライマー159及び360を
用いて配列決定された。オリゴヌクレオチド対363/208で作製された軽鎖PCR生
成物は、オリゴヌクレオチド34及び163を用いて配列決定された。配列決定の熱サイ
クラープログラムは、25サイクルの(96℃で30秒間、50℃で15秒間、60℃で
4分間)、続いて4℃で一晩であった。反応生成物は、ポリアクリルアミドゲルを介して
分画され、ABI 377 DNAシーケンサを使用して検出された。
【0250】
アミノ酸を変更するための部位特異的変異誘発。TNV148 mAbにおいてPro
75をセリン残基に置き換えるために、TNV148重鎖可変領域DNA配列の単一ヌク
レオチドを変更した。相補的オリゴヌクレオチド399及び400(表1)を設計し、製
造業者により説明されるように、QuikChange(商標)部位特異的突然変異誘発
法を使用して、この変更を起こさせた。15%ポリアクリルアミドゲルにより2つのオリ
ゴヌクレオチドを最初に分画し、主要バンドを精製した。10ng又は50ngのいずれ
かのTNV148重鎖プラスミドテンプレート(p1753)、5μlの10X反応緩衝
剤、1μlのdNTPミックス、125ngのプライマー399、125ngのプライマ
ー400及び1μlのPfu DNAポリメラーゼを使用して、突然変異誘発反応物を調
製した。減菌水を添加して総容量を50μlにした。次に、95℃で30秒間、その後、
95℃で30秒間、55℃で1分間、64℃で1分間、そして68℃で7分間のサイクル
を14回繰り返し、続いて30℃で2分間(1サイクル)インキュベートするようにプロ
グラムされた熱サイクラーにおいて、反応ミックスをインキュベートした。これらの反応
物は、変異原性オリゴヌクレオチドを、その他の点では同一の新しく合成されたプラスミ
ドに組み込むように設計された。元のTNV148プラスミドを除去するために、元のメ
チル化プラスミドのみを切断する1μlのDpnIエンドヌクレアーゼを添加した後、試
料を37℃で1時間インキュベートした。次に、1μlの反応物を使用して、標準的な熱
ショック方法によりEpicurian Coli XL1-Blueスーパーコンピテ
ント大腸菌を形質転換し、LB-アンピシリン寒天プレート上で平板培養した後に形質転
換された細菌を特定した。製造業者により説明されるWizard(商標)キットを使用
して、プラスミドミニプレップを調製した。Wizard(商標)カラムから試料を溶出
した後、エタノールでプラスミドDNAを沈殿させてプラスミドDNAを更に精製し、そ
の後20μlの減菌水に再懸濁した。次に、DNA配列分析を行って、所望の塩基変更を
有するプラスミドクローンを特定し、他の塩基変更が不注意にTNV148コード配列内
に導入されなかったことを確認した。セクション4.3に記載される同じパラメータを使
用して、1μlのプラスミドを、3μlのBigDyeミックス、1μlのpUC19フ
ォワードプライマー、及び10μlの減菌水で調製されたサイクル配列決定反応物に供し
た。
【0251】
12B75遺伝子からの発現ベクターの構築。いくつかの組換えDNA工程を行って、
前にクローニングされた12B75コード重鎖及び軽鎖遺伝子のゲノムコピーから、それ
ぞれ、新しいヒトIgG1発現ベクター及び新しいヒトκ発現ベクターを調製した(これ
は、国際公開第02/12500号として公開された、IL-12 Antibodie
s,Compositions,Methods and Usesと題される、200
0年10月7日出願の米国特許出願第60/236,827号に開示されており、その全
体は参照により本明細書に組み込まれる)。最終ベクターは、任意の適切に設計されたP
CR増幅可変領域で、既存の可変領域配列の簡単な一工程置換を可能にするように設計さ
れた。
【0252】
プラスミドp1560の12B75重鎖遺伝子を修飾するために、プロモーター及び可
変領域を含有する6.85kbのBamHI/HindIII断片をp1560からpU
C19に移してp1743を作製した。p1560と比較してサイズがより小さいこのプ
ラスミドは、製造業者のプロトコルに従い、翻訳開始部位のすぐ上流に固有のBsiWI
クローニング部位を導入するための、QuikChange(商標)突然変異誘発の使用
(オリゴヌクレオチドBsiWI-1及びBsiWI-2を使用する)を可能にした。結
果として得られたプラスミドはp1747と呼ばれた。BstBI部位を可変領域の3’
端に導入するために、5’オリゴヌクレオチドプライマーはSalI及びBstBI部位
で設計された。このプライマーをpUCリバースプライマーとともに使用してp1747
から2.75kbの断片を増幅した。次に、この断片を12B75可変領域の自然に生じ
るSalI部位及びHindIII部位にクローニングして戻し、それにより固有のBs
tB1部位を導入した。p1750と表記される結果として得られた中間ベクターは、B
siWI及びBstBI端を有する可変領域断片を受容することができた。定常領域も1
2B75遺伝子に由来する重鎖ベクターのバージョンを調製するために、p1750のB
amHI-HindIIIインサートは、HindIII部位の下流にEcoRI部位を
有するためにpBR322に移された。次に、結果として得られたプラスミドp1768
を、HindIII及びEcoRIで消化し、p1560からpBCに大きなBamHI
-BamHI断片をクローニングすることによって得られたサブクローンであるp174
4からの5.7kbのHindIII EcoRI断片にライゲートした。次に、結果と
して得られたプラスミドp1784は、BsiWI及びBstBI端を有するTNV A
b cDNA断片のベクターとして使用された。追加の作業は、12B75遺伝子からの
IgG1定常領域を含み、12B75重鎖J-Cイントロンをどの程度含有するかによっ
て互いに異なる、発現ベクターp1788及びp1798を調製するために行われた。
【0253】
プラスミドp1558の12B75軽鎖遺伝子を修飾するために、12B75プロモー
ター及び可変領域を含有する5.7kbのSalI/AflII断片を、p1558から
プラスミドL28のXhoI/AflII部位に移した。この新しいプラスミドp174
5は、突然変異誘発工程のためのより小さなテンプレートを提供した。オリゴヌクレオチ
ド(C340salI及びC340sal2)を使用して、QuikChange(商標
)突然変異誘発により、可変領域の5’端に固有のSalI制限部位を導入した。結果と
して得られた中間ベクターp1746は、可変領域断片がクローニングされ得る固有のS
alI及びAflII制限部位を有していた。p1746にクローニングされた任意の可
変領域断片は、軽鎖遺伝子の3’半分と結合されることが好ましいであろう。この目的の
ために使用され得る12B75軽鎖遺伝子の3’半分からの制限断片を調製するために、
オリゴヌクレオチドBAHN-1及びBAHN-2を互いにアニールして、制限部位Bs
iW1、AflII、HindII、及びNotIを含有し、KpnI及びSacI部位
にライゲートされ得る端部を含有する二本鎖リンカーを形成した。このリンカーをpBC
のKpnI部位とSacI部位との間にクローニングして、プラスミドp1757を得た
。p1558をAflIIで消化した後、HindIIIで部分的に消化することにより
生成された、12B75軽鎖定常領域を含有する7.1kbの断片を、p1757のAf
lII部位とHindII部位との間にクローニングしてp1762を得た。この新しい
プラスミドは、プロモーター及び可変領域を含有するBsiWI/AflII断片が遺伝
子の2つの半分を結合して移入できるBsiWI及びAflIIの固有の部位を含有して
いた。
【0254】
発現プラスミドのcDNAクローニング及びアセンブリ。DNA端部を更に埋めるため
に、全てのRT-PCR反応物(上記を参照のこと)をKlenow酵素で処理した。重
鎖PCR断片を制限酵素BsiWI及びBstBIで消化した後、プラスミドL28(1
2B75系中間ベクターp1750はまだ調製されていなかったため、L28を使用した
)のBsiWI部位とBstBI部位との間にクローニングした。クローニングされたイ
ンサートのDNA配列分析は、結果として得られたコンストラクトが正しく、PCR増幅
中に誤差が導入されなかったことを示した。これらのL28プラスミドコンストラクト(
TNV14、TNV15、TNV148、TNV148B、及びTNV196)に割り当
てられた識別番号を表3に示す。
【0255】
TNV14、TNV148、及びTNV148B重鎖のBsiWI/BstBIインサ
ートは、L28ベクターから新しく調製された中間ベクターp1750に移された。これ
らの中間プラスミドに割り当てられた識別番号を表2に示す。このクローニング工程及び
後続の工程は、TNV15及びTNV196には行われなかった。次に、可変領域は、2
つの異なるヒトIgG1発現ベクター内に移された。制限酵素EcoRI及びHindI
IIを使用して、可変領域を、Centocorの以前使用されたIgG1ベクターp1
04内に移した。Gm(f+)アロタイプのIgG1をコード化する、結果として得られ
た発現プラスミドは、p1781(TNV14)、p1782(TNV148)、及びp
1783(TNV148B)と表記された(表2を参照のこと)。可変領域はまた、12
B75(GenPharm)遺伝子に由来するIgG1定常領域の上流にもクローニング
された。G1m(z)アロタイプのIgG1をコード化するこれらの発現プラスミドも表
3に列記される。
【0256】
表3.様々な重鎖及び軽鎖プラスミドのプラスミド識別番号。
L28ベクター又はpBCベクターは、初期のAb cDNAクローンを表す。これら
のプラスミドのインサートは、中間プラスミドを作製するために不完全な12B75系ベ
クターに移された。1つの追加の移動工程により、線形化された後に細胞に導入されたか
、又は細胞のトランスフェクション前にmAb遺伝子インサートを精製するために使用さ
れたかのいずれかであった最終発現プラスミドがもたらされた。ND=実施せず。
【0257】
【表5】
【0258】
軽鎖PCR生成物を制限酵素SalI及びSacIIで消化した後、プラスミドpBC
のSalI部位とSacII部位との間にクローニングした。1つのアミノ酸で異なる2
つの異なる軽鎖バージョンは、p1748及びp1749と表記された(表2)。DNA
配列分析により、これらのコンストラクトが正しい配列を有することが確認された。次に
、p1748及びp1749のSalI/AflII断片を、中間ベクターp1746の
SalI部位とAflII部位との間にクローニングして、それぞれp1755及びp1
756を作製した。次に、軽鎖遺伝子のこれらの5’等分を、BsiWI/AflII断
片をp1755及びp1756から新しく調製されたコンストラクトp1762に移すこ
とにより遺伝子の3’等分に結合し、それぞれ最終発現プラスミドp1775及びp17
76を作製した(表2)。
【0259】
細胞のトランスフェクション、スクリーニング及びサブクローニング。合計15のマウ
ス骨髄腫細胞のトランスフェクションを様々なTNV発現プラスミドで行った(結果及び
考察セクションの表3を参照のこと)。これらのトランスフェクションは、(1)宿主細
胞がSp2/0又は653であるか、(2)重鎖定常領域がCentocorの以前のI
gG1ベクター又は12B75重鎖定常領域でコード化されたか、(3)mAbがTNV
148B、TNV148、TNV14、又は新しいHC/LCの組み合わせであったか、
(4)DNAが、線形化プラスミド又は精製されたAb遺伝子インサートであるかどうか
、及び(5)重鎖遺伝子における完全なJ-Cイントロン配列が存在又は不在であるかど
うかにより区別された。加えて、トランスフェクションのいくつかは、多数のクローンを
スクリーニングすることができる可能性を増大させるために繰り返された。
【0260】
Sp2/0細胞及び653細胞は各々、前に記載された標準条件下で(Knight
DM et al.(1993)Molecular Immunology 30:1
443-1453)、エレクトロポレーションにより重鎖及び軽鎖DNA(それぞれ8~
12:g)の混合物でトランスフェクトされた。トランスフェクション番号1、2、3、
及び16に関して、トランスフェクション前に制限酵素で消化することにより、適切な発
現プラスミドが線形化された。例えば、SalI及びNotI制限酵素は、それぞれTN
V148B重鎖プラスミドp1783及び軽鎖プラスミドp1776を線形化するために
使用された。残りのトランスフェクションに関して、BamHIで重鎖プラスミドを、そ
してBsiWI及びNotIで軽鎖プラスミドを消化することにより、mAb遺伝子のみ
を含有するDNAインサートをプラスミドベクターから分離した。次に、アガロースゲル
電気泳動及びQiex精製樹脂により、mAb遺伝子インサートを精製した。精製された
遺伝子インサートでトランスフェクトされた細胞は、選択マーカー源として、3~5:g
のPstI線形化pSV2gptプラスミド(p13)で同時にトランスフェクトされた
。エレクトロポレーション後に、96ウェル組織培養皿中のIMDM、15%FBS、2
mMグルタミン中に細胞を播種し、5%COのインキュベータにおいて、37℃でイン
キュベートした。2日後、等量のIMDM、5%FBS、2mMグルタミン、2X MH
X選択物(1X MHX=0.5:g/mLのマイコフェノール酸、2.5:g/mLの
ヒポキサンチン、50:g/mLのキサンチン)を添加し、コロニーが形成される間、更
に2~3週間プレートをインキュベートした。
【0261】
コロニーを有するウェルから回収された細胞上清を、記載されるようにELISAによ
りヒトIgGについてアッセイした。簡潔に言うと、ポリクローナルヤギ抗ヒトIgG
Fc断片でコーティングされた96ウェルEIAプレート内で、様々な希釈の細胞上清を
インキュベートした後、アルカリホスファターゼ抱合ヤギ抗ヒトIgG(H+L)及び適
切な色基質を使用して結合ヒトIgGを検出した。細胞上清において測定された同じ精製
されたmAbを標準として使用した標準曲線は、上清中のヒトIgGの定量化を可能にす
るために各EIAプレートに含まれた。最もヒトIgGを生成しているように見えたそれ
らのコロニー中の細胞を、使用済培養物における更なる生成判断のために24ウェルプレ
ート内に継代し、生成が最も高い親クローンを特定した。
【0262】
生成が最も高い親クローンをサブクローニングして、生成がより高いサブクローンを特
定し、より均質な細胞株を調製した。96ウェル組織培養プレートに、IMDM、5%F
BS、2mMグルタミン、1X MHXの、ウェル当たり1つの細胞又はウェル当たり4
つの細胞を播種し、コロニーが現れるまで、12~20日間、5%CO2インキュベータ
において37℃でインキュベートした。ウェル当たり1つのコロニーを含有するウェルか
ら細胞上清を回収し、上述のようにELISAにより分析した。選択したコロニーを24
ウェルプレートに継代し、培養物を消耗させた後、それらの上清におけるヒトIgGレベ
ルを定量化することにより、生成が最も高いサブクローンを特定した。このプロセスは、
選択された初回のサブクローンを2回目のサブクローニングに供したときに繰り返された
。2回目の最良のサブクローンを開発の細胞株として選択した。
【0263】
細胞サブクローンの特徴付け。2回目の最良のサブクローンを選択し、成長曲線を行っ
て、mAbの生成レベル及び細胞成長特徴を評価した。T75フラスコに、30mlのI
MDM、5%FBS、2mMグルタミン、及び1X MHX(又は無血清培地)中1×1
細胞/mlで播種した。300μlのアリコートを24時間間隔で取り出し、生細胞
密度を測定した。生細胞数が1×10細胞/ml未満になるまで分析を継続した。回収
された細胞上清のアリコートは、存在する抗体の濃度についてアッセイされた。標準とし
てrTNV148B又はrTNV14 JG92399を使用して、ELISAアッセイ
を行った。ポリクローナルヤギ抗ヒトIgG FcでコーティングされたELISAプレ
ート上で試料を1時間インキュベートし、結合mAbを、1:1000希釈のアルカリホ
スファターゼ抱合ヤギ抗ヒトIgG(H+L)で検出した。
【0264】
様々な量のMHX選択物の存在下での成長速度を比較する目的のため、2つの細胞株に
ついて異なる成長曲線分析も行われた。細胞株C466A及びC466Bを、無MHX培
地(IMDM、5%FBS、2mMグルタミン)に解凍し、更に2日間培養した。その後
、両細胞培養物を、MHXなし、0.2X MHX、又は1X MHX(1X MHX=
0.5:g/mLのマイコフェノール酸、2.5:g/mLのヒポキサンチン、50:g
/mLのキサンチン)のいずれかを含有する3つの培養物に分けた。1日後、新しいT7
5フラスコに、1×10細胞/mlの開始密度で培養物を播種し、細胞を1週間、24
時間間隔で計数した。mAb生成のためのアリコートは回収されなかった。SOP PD
32.025に提供される式を使用して、これらの試料についての倍加時間を算出した。
【0265】
経時的なmAb生成の安定性を評価するために、追加の研究が行われた。MHX選択物
を有する、又は有しないのいずれかで、24ウェルプレート中のIMDM、5%FBS、
2mMグルタミン中で培養物を成長させた。培養物がコンフルエントになったら、新しい
培養物に分割し、その後、古い培養物は消耗させた。この時に、上清のアリコートを取り
出し、4℃で保管した。55~78日の期間にわたって、アリコートを取り出した。この
期間の終了時に、上に概説するように、抗ヒトIgG Fc ELISAにより、存在す
る抗体の量について上清を試験した。
【0266】
結果及び考察。
組換え受容体へのTNF結合の阻害。
ハイブリドーマ細胞上清に含有される8つのTNV mAbが、受容体へのTNFα結
合を阻害することができるかどうかを決定するために、簡単な結合アッセイが行われた。
ヒトIgGの標準ELISA分析により、それぞれの細胞上清におけるTNV mAbの
濃度を最初に決定した。次に、組換えp55TNF受容体/IgG融合タンパク質p55
-sf2をEIAプレート上にコーティングし、様々な量のTNV mAbの存在下で、
125I標識TNFαをp55受容体に結合させた。図1に示すように、8つのTNV
mAbのうちの1つ(TNV122)を除く全てが、p55受容体へのTNFαの結合を
効率的に遮断した。実際、TNV mAbは、陰性対照ハイブリドーマ上清にスパイクさ
れたcA2陽性対照mAbよりもTNFα結合を阻害するのにより有効であるように見え
た。これらの結果は、TNV mAbが細胞系アッセイ及びインビボでTNFαの生物活
性を遮断するであろう可能性が高く、したがって、追加の分析が必要であることを示すと
解釈された。
【0267】
DNA配列の分析。
RNAがヒトmAbをコード化することの確認。
受容体結合アッセイにおいてTNFα遮断活性を示した7つのTNV mAb(TNV
14、TNV15、TNV32、TNV86、TNV118、TNV148、及びTNV
196)を特徴付ける際の最初の工程として、これらのmAbを生成する7つのハイブリ
ドーマ細胞株から全RNAを単離した。次に、各RNA試料を使用して、各mAbの完全
なシグナル配列、完全な可変領域配列、及び定常領域配列の一部を含むヒト抗体重鎖又は
軽鎖cDNAを調製した。次に、これらのcDNA生成物をPCR反応で増幅させ、最初
に断片をクローニングすることなくPCR増幅DNAを直接配列決定した。配列決定した
重鎖cDNAは、マウスに存在する5つのヒト生殖系列遺伝子のうちの1つであるDP-
46と>90%同一であった(図2)。同様に、配列決定した軽鎖cDNAは、マウスに
存在するヒト生殖系列遺伝子のうちの1つと100%又は98%のいずれかと同一であっ
た(図3)。これらの配列結果は、cDNAに転写され配列決定されたRNA分子がヒト
抗体重鎖及びヒト抗体軽鎖をコード化したことを確認した。可変領域がシグナル配列コー
ド配列の5’端にマッピングされるオリゴヌクレオチドを使用してPCR増幅されたため
、シグナル配列の最初の数個のアミノ酸は元のTNV翻訳生成物の実際の配列ではない可
能性があるが、組換えTNV mAbの実際の配列を表すことに留意するべきである。
【0268】
固有の中和mAb。
各mAbの重鎖及び軽鎖両方の可変領域全体のcDNA配列の分析は、TNV32がT
NV15と同一であり、TNV118がTNV14と同一であり、TNV86がTNV1
48と同一であることを明らかにした。受容体結合アッセイの結果は、DNA配列分析と
一致していた、即ち、TNV86及びTNV148の両方が、TNF結合の遮断において
TNV118及びTNV14の両方よりも約4倍良好であった。したがって、後続の作業
は、4つの固有のTNV mAbである、TNV14、TNV15、TNV148、及び
TNV196にのみ焦点を当てた。
【0269】
4つのmAbの関連性
DNA配列結果は、4つのTNV mAbの重鎖をコード化する遺伝子が全て互いに高
度に相同であり、全てが同じ生殖系列遺伝子DP-46に由来するように見えることを明
らかにした(図2)。加えて、重鎖CDR3配列の各々は非常に類似し、同じ長さのもの
であるため、そしてそれらが全てJ6エクソンを使用するため、それらは明らかに、単一
のVDJ遺伝子再配列事象から生じ、この後に各mAbを固有のものにする体細胞変化が
続いた。DNA配列分析は、4つのmAbにおいて2つの別個の軽鎖遺伝子のみが存在し
たことを明らかにした(図3)。TNV14及びTNV15における軽鎖可変領域コード
配列は、互いに同一であり、ヒトκ鎖のVg/38Kファミリーの代表的な生殖系列配列
と同一である。TNV148及びTNV196軽鎖コード配列は、互いに同一であるが、
2つのヌクレオチド位置での生殖系列配列が異なる(図3)。
【0270】
4つのmAbの推定アミノ酸配列は、実際のmAbの関連性を明らかにした。4つのm
Abは、4つの別個の重鎖(図4)を含有するが、別個の軽鎖は2つのみである(図5
。TNV mAb配列と生殖系列配列との間の差異は、大半はCDRドメインに限定され
ていたが、mAb重鎖のうちの3つもフレームワーク領域において生殖系列配列とは異な
っていた(図4)。DP-46生殖系列コードAbフレームワーク領域と比較して、TN
V14は同一であり、TNV15は1つのアミノ酸が異なり、TNV148は2つのアミ
ノ酸が異なり、TNV196は3つのアミノ酸が異なっていた。
【0271】
cDNAのクローニング、部位特異的変異誘発、及び最終発現プラスミドのアセンブリ
。cDNAのクローニング。PCR増幅可変領域のDNA配列に基づいて、クローニング
されるコード配列を発現ベクター内に適応させる目的のため、新しいオリゴヌクレオチド
は別のPCR増幅を行うように命じられた。重鎖の場合、この2回目のPCRの生成物は
制限酵素BsiWI及びBstBIで消化され、プラスミドベクターL28(表2に示さ
れるプラスミド識別番号)にクローニングされた。軽鎖の場合、2回目のPCR生成物は
SalI及びAflIIで消化され、プラスミドベクターpBCにクローニングされた。
次に、個々のクローンを配列決定して、それらの配列が、潜在的に異種の分子集団の各位
置での最も豊富なヌクレオチドを明らかにするPCR生成物の直接配列決定から得られた
前回の配列と同一であることを確認した。
【0272】
TNV148を変更するための部位特異的変異誘発。mAb TNV148及びTNV
196は、TNFα生理活性の中和において、次に最良のmAb(TNV14)よりも4
倍強力であることが一貫して観察された。しかしながら、上述のように、TNV148及
びTNV196重鎖フレームワーク配列は、生殖系列フレームワーク配列とは異なる。T
NV148重鎖配列と他のヒト抗体との比較は、多くの他のヒトmAbがフレームワーク
1の位置28でIle残基を含有し(成熟配列のみ計数)、一方でフレームワーク3の位
置75でのPro残基は、その位置では稀なアミノ酸であったことを示した。
【0273】
TNV196重鎖の類似の比較は、フレームワーク3で生殖系列配列とは異なる3つの
アミノ酸がヒトmAbにおいて希であり得ることを示唆した。これらの差異は、ヒトに投
与された場合、TNV148及びTNV196を免疫原性にする可能性があった。TNV
148は、関心のアミノ酸残基を1個しか有しておらず、この残基はTNFα結合に重要
ではないと考えられているため、部位特異的変異誘発技術を使用して、生殖系列Ser残
基が位置75でPro残基の代わりにコード化されるように、TNV148重鎖コード配
列(プラスミドp1753の)の単一のヌクレオチドを変更した。結果として得られたプ
ラスミドはp1760と呼ばれた(表2を参照のこと)。結果として得られた遺伝子及び
mAbは、それを元のTNV148遺伝子及びmAbと区別するためにTNV148Bと
呼ばれた(図5を参照のこと)。
【0274】
最終発現プラスミドのアセンブリ。ゲノム断片として前にクローニングされた12B7
5重鎖及び軽鎖遺伝子に基づいた新しい抗体発現ベクターを調製した。異なるTNV発現
プラスミドが調製されたが(表2を参照のこと)、それぞれの場合において、5’フラン
キング配列、プロモーター、及びイントロンエンハンサーは、それぞれの12B75遺伝
子に由来した。軽鎖発現プラスミドに関して、完全なJ-Cイントロン、定常領域コード
配列、及び3’フランキング配列も12B75の軽鎖遺伝子に由来した。最終生成細胞株
(p1781及びp1783、以下を参照のこと)をもたらした重鎖発現プラスミドに関
して、ヒトIgG1定常領域コード配列は、Centocorの前に使用された発現ベク
ター(p104)に由来した。重要なことには、ここで報告される最終生成細胞株は、元
のハイブリドーマ由来TNV mAb(G1m(z))とは異なるアロタイプ(Gm(f
+))のTNV mAbを発現する。これは、GenPharmマウスに由来する12B
75重鎖遺伝子はCH1ドメインのC末端部でArg残基をコード化するが、Cento
corのIgG1発現ベクターp104はその位置でLys残基をコード化するためであ
る。J-Cイントロン、完全定常領域コード配列、及び3’フラランキング配列が12B
75重鎖遺伝子に由来する他の重鎖発現プラスミド(例えば、p1786、p1788)
が調製されたが、これらの遺伝子でトランスフェクトされた細胞株は、生成細胞株として
選択されなかった。ベクターは、最終発現プラスミドをもたらすであろう後のPCR増幅
V領域の一工程クローニングを可能にするように慎重に設計された。
【0275】
PCR増幅可変領域cDNAは、L28又はpBCベクターから、プロモーター領域及
びJ-Cイントロンの一部を提供する中間段階の12B75系ベクターに移された(プラ
スミド識別番号に関しては表2を参照のこと)。次に、抗体遺伝子の5’半分を含有する
制限断片を、これらの中間段階のベクターから、それぞれの遺伝子の3’半分を提供する
最終発現ベクターに移して、最終発現プラスミド(プラスミド識別番号に関しては表2を
参照のこと)を形成した。
【0276】
細胞のトランスフェクション及びサブクローニング。発現プラスミドは、制限消化によ
って線形化されたか、又は各プラスミド中の抗体遺伝子インサートがプラスミド骨格鎖か
ら精製されたかのいずれかであった。Sp2/0及び653マウス骨髄腫細胞は、エレク
トロポレーションにより重鎖DNA及び軽鎖DNAでトランスフェクトされた。15の異
なるトランスフェクションが行われ、そのほとんどはAbで規定されるように固有であり
、遺伝子が線形化された全プラスミド又は精製された遺伝子インサート上にあるかどうか
にかかわらずAb遺伝子の特定の特徴であり、宿主細胞株であった(表4に要約される)
。マイコフェノール酸に耐性のクローンからの細胞上清を、ヒトIgGの存在についてE
LISAによりアッセイし、精製されたrTNV148Bを参照標準曲線として使用して
定量化した。
【0277】
生成が最も高いrTNV148B細胞株
rTNV148Bトランスフェクション2からの、生成が最高の653親株のうちの1
0(使用済24ウェル培養物において5~10:g/mLを生成)をサブクローニングし
て、生成がより高い細胞株についてスクリーニングし、より均質な細胞集団を調製した。
親株2.320、2.320-17、及び2.320-20のサブクローンのうちの2つ
は、使用済24ウェル培養物において約50:g/mlを生成し、これは、それらの親株
に対して5倍の増加であった。サブクローニングした株2.320-17及び2.320
-20の2回目のサブクローニングがもたらした。
【0278】
各mAbをコード化する重鎖及び軽鎖プラスミドの識別番号を示す。精製されたmAb
遺伝子インサートで行われたトランスフェクションの場合、gpt選択マーカーの供給源
としてプラスミドp13(pSV2gpt)が含まれた。重鎖定常領域は、Remica
deをコード化するために使用された同じヒトIgG1発現ベクター(「旧」)又は12
B75(GenPharm/Medarex)重鎖遺伝子内に含有される定常領域(「新
規」)のいずれかによりコード化された。H1/L2は、TNV14重鎖及びTNV14
8軽鎖で構成される「新規」mAbを指す。プラスミドp1783及びp1801は、そ
れらの重鎖遺伝子がJ-Cイントロンをどの程度含有するかによってのみ異なる。細胞ク
ローンの遺伝子名の最初の数字を定義するトランスフェクション番号は右側に示される。
本明細書に記載されるrTNV148B生成細胞株C466(A、B、C、D)及びC4
67Aは、それぞれトランスフェクション番号2及び1に由来した。rTNV14生成細
胞株C476Aはトランスフェクション番号3に由来した。
【0279】
【表6】
【0280】
使用済の24ウェル培養上清でのELISAアッセイは、これらの2回目のサブクロー
ンが全て98~124:g/mLを生成したことを示し、これは初回のサブクローンに対
して少なくとも2倍の増加であった。これらの653細胞株に、表5に示されるように、
Cコード表記を割り当てた。
【0281】
rTNV148Bトランスフェクション1からの生成が最高のSp2/0親株のうちの
3つをサブクローニングした。親株1.73の2回のサブクローニングは、使用済24ウ
ェル培養物において25:g/mLを生成したクローンの特定につながった。このSp2
/0細胞株をC467Aと表記した(表5)。
【0282】
生成が最も高いrTNV14細胞株
rTNV14トランスフェクション3からの生成が最高のSp2/0親株のうちの3つ
を1回サブクローニングした。サブクローン3.27-1は、生成が19:g/mlであ
り、使用済の24ウェル培養物において最も高い生産体であることが分かった。この細胞
株をC476Aと表記した(表5)。
【0283】
表5.選択された生成細胞株及びそれらのCコードの要約。
元のクローン名の最初の1桁は、細胞株がどのトランスフェクションに由来するかを示
す。本明細書に報告されるCコード細胞株の全てが制限酵素で線形化された重鎖及び軽鎖
全プラスミドでのトランスフェクションに由来した。
【0284】
【表7】
【0285】
サブクローニングされた細胞株の特徴付け
細胞株成長特徴をより慎重に特徴付けし、大規模でmAb生成レベルを決定するために
、T75培養物を使用して成長曲線分析を行った。結果は、細胞株の4つのC466シリ
ーズの各々が1.0×10~1.25×10細胞/mlのピーク細胞密度及び110
~140:g/mLの最大mAb蓄積レベルに達したことを示した(図7)。対照的に、
生成が最高のSp2/0サブクローンC467Aは、2.0×10細胞/mLのピーク
細胞密度及び25:g/mLの最大mAb蓄積レベルに達した(図7)。成長曲線分析は
、rTNV14生成細胞株C476Aに対して行われなかった。
【0286】
更なる成長曲線分析を行って、異なる濃度のMHX選択物における成長速度を比較した
。この比較は、MHXの不在下で培養されたC466細胞が、通常量のMHX(1X)で
培養された同じ細胞よりも速く成長しているように思われる近年の観測によって促された
。マイコフェノール酸などの化合物の細胞傷害性濃度は数桁の大きさ以上に測定される傾
向にあるため、より低い濃度のMHXを使用することにより、mAb生成の安定性を犠牲
にすることなく細胞の倍加時間を大幅に速くし得ることが可能であると考えられた。細胞
株C466A及びC466Bは、MHXなし、0.2X MHX、又は1X MHXのい
ずれかで培養された。生細胞の計数は、7日間、24時間間隔で行われた。結果により、
MHX濃度依存性細胞成長率が明らかになった(図8)。細胞株C466Aは、1X M
HXにおいて25.0時間の倍加時間を示したが、MHXなしではわずか20.7時間の
倍加時間を示した。同様に、細胞株C466Bは、1X MHXにおいて32.4時間の
倍加時間を示したが、MHXなしではわずか22.9時間の倍加時間を示した。重要なこ
とには、0.2X MHXにおける両細胞株の倍加時間は、1X MHXよりもMHXな
しで観測されたものとより類似していた(図8)。この観測は、倍加時間が重要なパラメ
ータであるバイオリアクターにおいて、増強された細胞性能がより少ないMHXを使用す
ることにより実現され得る可能性を示す。しかしながら、安定性試験結果(以下を参照の
こと)は、細胞株C466DがMHXの不在下でも少なくとも60日間、rTNV148
Bを安定して生成することが可能であることを示唆するが、安定性試験はまた、MHXの
不在と比較して、細胞がMHXの存在下で培養されたとき、より高いmAb生成レベルも
示した。
【0287】
約60日の期間にわたって様々な細胞株からのmAbの生成を評価するために、MHX
選択物を含有する又は含有しない、いずれかの培養物で安定性試験を行った。細胞株の全
てが高mAb生成を維持したわけではなかった。培養のちょうど2週間後、クローンC4
66Aの生成は研究開始時よりも約45%少なかった。クローンC466Bからの生成も
大幅に低下したように思われた。しかしながら、クローンC466C及びC466Dは、
かなり安定した生成を維持し、C466Dは最も高い絶対生成レベルを示した(図9)。
【0288】
結論
ヒトTNFαに対する8つのヒトmAbの初期パネルから、タンパク質配列及びTNF
中和効力を含むいくつかの基準に基づいて、TNV148B並びにTNV14が好ましい
ものとして選ばれた。100:g/mL超のrTNV148B及び19:g/mL超のr
TNV14を生成する細胞株を調製した。
【0289】
実施例5:単回ボーラス注射を使用した抗TNF抗体及び対照を使用した関節炎マウス
の研究
約4週齢のTg197研究マウスを性別及び体重に基づき9つの処置群のうちの1つに
割り当て、DulbeccoのPBS(D-PBS)、又は1mg/kg若しくは10m
g/kgのいずれかの本発明の抗TNF抗体(TNV14、TNV148、又はTNV1
96)の単回腹腔内ボーラス投与で処置した。
【0290】
結果:体重を投与前からの変化として分析したとき、10mg/kgのcA2で処置し
た動物は、研究を通してD-PBS処置動物よりも一貫して高い体重増加を示した。この
体重増加は、3~7週目で有意であった。10mg/kgのTNV148で処置した動物
も、研究の7週目に有意な体重増加を達成した。(図10を参照のこと)。
【0291】
図11A~Cは、関節炎指数に基づく疾患の重症度の進行を表す。10mg/kgのc
A2で処置した群の関節炎指数は、3週目から始まり、残りの研究の間中(7週目)継続
してD-PBS対照群よりも低かった。1mg/kgのTNV14で処置した動物及び1
mg/kgのcA2で処置した動物は、D-PBS処置群と比較したとき、3週目以降の
AIにおいて有意な減少を示すことができなかった。各々を類似の用量のその他のものと
比較したとき(10mg/kgのTNV14、148及び196と比較した10mg/k
gのcA2)、10mg/kgの処置群の間に有意差はなかった。1mg/kgの処置群
を比較したとき、1mg/kgのTNV148は、1mg/kgのcA2よりも3、4及
び7週で有意に低いAIを示した。1mg/kgのTNV148も、1mg/kgのTN
V14処置群よりも3及び4週目で有意に低かった。TNV196は研究の6週目までA
Iにおいて有意な減少を示したが(D-PBS処置群と比較したとき)、TNV148は
この研究の終了時に有意のままであった唯一の1mg/kg処置群であった。
【0292】
実施例6:複数ボーラス投与として抗TNF抗体及び対照を使用した関節炎マウスの研

約4週齢のTg197研究マウスを体重に基づき8つの処置群のうちの1つに割り当て
、対照品(D-PBS)、又は3mg/kgの抗体(TNV14、TNV148)(0週
目)の腹腔内ボーラス投与で処置した。注射は1、2、3及び4週目に全ての動物におい
て繰り返された。群1~6は、試験品の有効性に関して評価された。群7及び8の動物か
ら得られた血清試料は、2、3及び4週目のTNV14又はTNV148の免疫応答誘導
及び薬物動態クリアランスに関して評価された。
【0293】
結果:体重を投与前からの変化として分析したとき、有意差は認められなかった。10
mg/kgのcA2で処置した動物は、研究を通してD-PBS処置動物よりも一貫して
高い体重増加を示した。(図12を参照のこと)。
【0294】
図13A~Cは、関節炎指数に基づく疾患の重症度の進行を表す。10mg/kgのc
A2で処置した群の関節炎指数は、2週目から始まり、残りの研究の間中(5週目)継続
してD-PBS対照群よりも有意に低かった。1mg/kg又は3mg/kgのcA2で
処置した動物及び3mg/kgのTNV14で処置した動物は、d-PBS対照群と比較
したときに、研究を通して任意の時点でAIにおいて任意の有意な減少を達成することが
できなかった。3mg/kgのTNV148で処置した動物は、d-PBS処置群と比較
したとき、3週目から始まり、5週目まで継続する有意な減少を示した。10mg/kg
のcA2で処置した動物は、研究の4及び5週目でより低い用量の両cA2(1mg/k
g及び3mg/kg)と比較したとき、AIにおいて有意な減少を示し、また3~5週目
でTNV14で処置した動物よりも有意に低かった。3mg/kgの処置群のいずれかの
間に有意差はなかったようだが、3mg/kgのTNV14で処置した動物に関するAI
は、ある時点で10mg/kgよりも有意に高く、一方TNV148で処置した動物は、
10mg/kgのcA2で処置した動物と有意に異ならなかった。
【0295】
実施例7:単回腹腔内ボーラス投与として抗TNF抗体及び対照を使用した関節炎マウ
スの研究
約4週齢のTg197研究マウスを性別及び体重に基づき6つの処置群のうちの1つに
割り当て、3mg/kg又は5mg/kgのいずれかの抗体(cA2又はTNV148)
の単回腹腔内ボーラス投与で処置した。この研究は、D-PBS及び10mg/kgのc
A2対照群を利用した。
【0296】
体重を投与前からの変化として分析したとき、全ての処置は似たような体重増加を達成
した。3又は5mg/kgのTNV148又は5mg/kgのcA2のいずれかで処置し
た動物は、研究の早期(2及び3週目)に体重量が有意に増加した。TNV148で処置
した動物のみが後の時点において有意な体重増加を維持した。3及び5mg/kgのTN
V148で処置した動物はどちらも、7週目で有意を示し、3mg/kgのTNV148
で処置した動物は注射の8週間後に尚も有意に上昇した。(図14を参照のこと)。
【0297】
図15は、関節炎指数に基づく疾患の重症度の進行を表す。全ての処置群が初期の時点
で多少の保護作用を示し、5mg/kgのcA2及び5mg/kgのTNV148は、1
~3週目にAIにおいて有意な減少を示し、全ての処置群が2週目で有意な減少を示した
。実験の後期に、5mg/kgのcA2で処置した動物は多少の保護作用を示し、4、6
及び7週目で有意に減少した。低用量(3mg/kg)のcA2及びTNV148は両方
とも、6週目で有意な減少を示し、全ての処置群が7週目で有意な減少を示した。研究の
終わりで(8週目)有意な減少を維持することができた処置群はなかった。任意の時点で
処置群のいずれかの間(食塩水対照群は除く)に有意差はなかった。
【0298】
実施例8:抗TNF抗体と修飾された抗TNF抗体との間の単回腹腔内ボーラス投与と
して抗TNF抗体及び対照を使用した関節炎マウスの研究
TNV148(ハイブリドーマ細胞に由来する)及びrTNV148B(トランスフェ
クトした細胞に由来する)の単回腹腔内投与の有効性を比較するために。約4週齢のTg
197研究マウスを性別及び体重に基づき9つの処置群のうちの1つに割り当て、Dul
beccoのPBS(D-PBS)又は1mg/kgの抗体(TNV148、rTNV1
48B)の単回腹腔内ボーラス投与で処置した。
【0299】
体重を投与前からの変化として分析したとき、10mg/kgのcA2で処置した動物
は、研究を通してD-PBS処置動物よりも一貫して高い体重増加を示した。この体重増
加は、1週目及び3~8週目で有意であった。1mg/kgのTNV148で処置した動
物も、研究の5、6、及び8週目に有意な体重増加を達成した。(図16を参照のこと)
【0300】
図17は、関節炎指数に基づく疾患の重症度の進行を表す。10mg/kgのcA2で
処置した群の関節炎指数は、4週目から始まり、残りの研究の間中(8週目)継続してD
-PBS対照群よりも低かった。TNV148で処置した群及び1mg/kgのcA2で
処置した群は両方とも、4週目でAIにおける有意な減少を示した。以前の研究(P-0
99-017)は、TNV148が単回の1mg/kgの腹腔内ボーラス後の関節炎指数
の減少にわずかにより効果的であることを示したが、この研究では、両バージョンのTN
V抗体で処置した群からのAIがわずかに高いことを示した。1mg/kgのcA2で処
置した群(6週目を除く)は、10mg/kgのcA2群と比較したとき、有意に増加せ
ず、TNV148で処置した群は、7及び8週目で有意に高かったが、1mg/kgのc
A2、1mg/kgのTNV148及び1mg/kgのTNV148Bの間には研究の任
意の時点でAIにおいて有意差はなかった。
【0301】
実施例9:強直性脊椎炎の治療又は予防のための抗TNF抗体
概要
活動性強直性脊椎炎を有する対象において静脈内投与される抗TNFαモノクローナル
抗体ゴリムマブの多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験。
【0302】
SIMPONI(登録商標)(ゴリムマブ)は、免疫グロブリンG1(IgG1)重鎖
アイソタイプ(G1m[z]アロタイプ)及びκ軽鎖アイソタイプを有する完全ヒトモノ
クローナル抗体である。ゴリムマブは、配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号3
7を含む軽鎖(LC)を有する。ゴリムマブの分子量は、149,802~151,06
4ダルトンの範囲である。ゴリムマブは、高い親和性及び特異性でヒト腫瘍壊死因子α(
TNFα)に結合し、TNFα生物活性を中和する。
【0303】
目的及び仮説
主目的
この研究の主な目的は、ASの徴候及び症状の低減を評価することによって、活動性強
直性脊椎炎(AS)を有する対象におけるゴリムマブ2mg/kgのIV投与の有効性を
評価することである。
【0304】
副次的目的
副次的目的は、ゴリムマブについて以下:
・身体機能、可動域、健康関連の生活の質、及び他の健康結果の改善に関する有効性
・安全性
・薬物動態(PK)、薬力学(PD)、及び免疫原性を評価することである。
【0305】
仮説
研究の主な目的に対処するために、統計的仮説(代替仮説)は、IVゴリムマブ2mg
/kgが、一次有効性エンドポイントに基づいて、活動性ASを有する対象の徴候及び症
状の低減において、プラセボより統計的に優れているということである。
【0306】
この研究の一次エンドポイントは、16週目に、強直性脊椎炎評価(ASAS)国際作
業部会基準におけるベースラインからの20%改善(ASAS20と呼ばれる)を達成す
る対象の割合である。このエンドポイントは、規制当局及び臨床ASコミュニティによっ
て十分に受け入れられるので選択された。
【0307】
試験設計の概要
これは、NSAIDに対して反応が不十分であるか、又は不耐性である、活動性ASを
有する対象におけるIVゴリムマブの有効性及び安全性をプラセボと比較したフェーズ3
多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。約200人の対象は、約40の治験部
位で無作為化される。全ての対象は、0週目、4週目、及びその後52週まで8週ごと(
q8w)に、IV注入でゴリムマブ2mg/kg又はプラセボを受けるように無作為に割
り当てられる。16週目に、プラセボ注入を受けた全ての対象は、交差し、ゴリムマブI
V注入を受け始める。
【0308】
ゴリムマブIV治療群における対象は、ゴリムマブIV注入を受け続ける。データベー
スロックは、28週及び60週にスケジュールされる。最後の試験治療投与の少なくとも
8週間後に、有害事象(AE)及び深刻な有害事象(SAE)について対象を追跡する。
研究の終了は、最後の対象が60週の訪問を完了する時間として定義される。
【0309】
対象集団
試験に適格な対象は、改訂ニューヨーク基準によって「明確」として定義される少なく
とも3か月間のASの診断、ならびに0~10cmのスケールでそれぞれ、全背部痛に対
する、Bath強直性脊椎炎疾患活動性インデックス(Bath Ankylosing Spondylitis Di
sease Activity Index、BASDAI)≧4及び視覚的アナログスケール(Visual Analo
gue Scale、VAS)≧4によって証明されるように、活動性疾患の症状を有する18歳
以上の男性又は女性である。対象は、≧0.3mg/dLのC反応性タンパク質(C-reac
tive protein、CRP)レベルを有することが必要である。
【0310】
試験集団の他の主要な特徴は、以下の通りである
・メトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)、及びヒドロキシクロロ
キン(HCQ)及び低用量経口コルチコステロイドの現在の使用者は、許容され、これら
の薬剤の安定した投与を受ける状態で研究を開始するべきである。
・1つ以下の生物学的抗TNFα剤(ゴリムマブ以外)への曝露前の対象は、研究に含
めることが可能であるが、試験集団の最大20%に限定される。
・側面脊椎X線写真上で視覚化された頸椎及び腰椎の全ての椎間レベルに存在する橋渡
しする靱帯骨棘として定義される完全な脊椎強直症を有する対象は、研究に含めることが
可能であるが、研究集団の最大10%に限定される。
【0311】
適格な対象のためのスクリーニングは、試験薬の投与前6週間以内に実施される。
【0312】
対象はまた、包含及び除外基準を満たす必要がある。
【0313】
投与量及び投与
初回スクリーニング訪問では、試験に適格である可能性があると考えられる全ての対象
から、実験に登録するためのプロトコル指定の包含及び除外基準に従って、インフォーム
ドコンセントが得られる。無作為化訪問では、対象は再評価され、全ての指定された包含
及び除外基準が満たされる場合、対象は、ゴリムマブIV注入又はプラセボIV注入のい
ずれかを受けるように無作為化される。ランダム化は、地理的領域によって及び抗TNF
α療法の使用前に階層化される。
【0314】
第1の研究注入の前に、対象は、以下の2つの治療群のうちの1つに1:1比で無作為
に割り当てられる:
群1(n=100):対象は、0週目、4週目及び12週目にIVプラセボ注入を受け
る。対象は、16週目にIVゴリムマブ2mg/kgに交差し、16週目、20週目及び
その後q8wに投与を受ける。
群2(n=100):対象は、0週目、4週目及びその後q8wに、2mg/kgのI
Vゴリムマブを受ける。対象は、盲検を維持するために、16週目にIVプラセボ注入を
受ける。
【0315】
全ての注入は、30±10分にわたって完了される。
【0316】
有効性評価/エンドポイント
本研究のために選択された有効性評価は、ASの治療のための治療用生物学的薬剤の以
前の試験において確立された。本研究のために選択された患者報告転帰(patient report
ed outcome、PRO)は、AS及び適用可能なUS/EU規制指針文書における他の研究
のために医療文献に受け入れられている臨床的に関連する測定値と一致する。
【0317】
強直性脊椎炎応答評価には、以下が含まれる。
・Bath強直性脊椎炎機能インデックス(BASFI)
・患者の総合評価
・全背部痛
・Bath強直性脊椎炎疾患活動性インデックス(BASDAI)
・36項目略式健康調査(SF-36)
・Bath強直性脊椎炎計測インデックス(BASMI)
・強直性脊椎炎の生活の質(ASQoL)アンケート
・胸郭の拡張
・夜の背部痛
・付着部炎指数
・医学的転帰研究睡眠スケール
・作業制限アンケート(Work Limitations Questionnaire、WLQ)
・生産性視覚的アナログスケール
・EuroQol-5D(EQ-5D)アンケート
【0318】
一次エンドポイント
この研究の一次エンドポイントは、16週目のASAS20応答者の割合である。試験
は、16週目にASAS20を有する対象の割合が、プラセボ群と比較してゴリムマブ群
において統計的に有意に大きくなることが実証された場合、陽性であると考えられる。
【0319】
主要な副次的エンドポイント
以下の主要な副次的分析が実行される。エンドポイントは、以下に指定されるように重
要な順序で列挙される。
1.16週目にASAS40を達成した対象の割合
2.16週目に、BASDAIにおけるベースラインからの少なくとも50%の改善を
達成する対象の割合
3.16週目のBASFIにおけるベースラインからの変化
【0320】
薬物動態評価
血液試料を選択された訪問で収集して、ASを有する成人対象におけるIVゴリムマブ
のPKを評価する。試験薬剤がその訪問で投与される場合、薬物動態試料は、IV注入ラ
インとは異なるアームから引き出されるべきである。具体的には、0、4、12、20、
36、及び52週目の訪問において、血清ゴリムマブ濃度についての2試料が収集され、
1つの試料が注入直前に収集され、もう一方が注入終了1時間後に収集される。残りの訪
問のそれぞれについては、血清ゴリムマブ濃度についての1試料のみが収集される。この
試料は、試験薬剤の注入がその訪問において投与される場合は、注入前に収集されるべき
である。無作為なPK試料はまた、12週目、16週目、又は20週目の訪問時以外の1
2~20週目間の訪問の集団PK分析のために引き出される。この試料は、試験薬剤注入
の少なくとも24時間前又は後に、収集されなければならない。適用可能な時点で、ゴリ
ムマブ濃度及びゴリムマブに対する抗体の両方の測定のための血清は、引き出された同じ
血液に由来する。
【0321】
免疫原性評価
ASを有する成人対象におけるゴリムマブの免疫原性を評価するために、ゴリムマブに
対する抗体の検出のための血清試料を、時間及びイベントスケジュールに従って収集する
【0322】
バイオマーカー評価
バイオマーカー試料は、臨床転帰における個体間変動の分子的理解を得るために収集さ
れ、これは、薬剤に異なる応答を示す集団サブグループを同定するのに役立ち得る。バイ
オマーカー試料はまた、新たな問題に対処するのに役立て、将来において安全で、より効
果的で、最終的に個別化された療法の開発を可能にするために使用されてもよい。
【0323】
薬理遺伝学的(DNA)評価
ゲノム検査が、疾患又は薬剤に対する応答と、特定の遺伝子とのリンクに関する研究の
ために行われる。ゴリムマブに関連するDNA研究のみ、又は、この薬物が開発された疾
患に関連するDNA研究のみが行われる。ゲノムの幅広い薬理遺伝学的及び/又はエピジ
ェネティクス試験は、同意を得た対象において本試験で行われる。研究のこの部分に参加
する対象は、別個のインフォームドコンセント(同意書)に署名しなければならない。更
に、対象は、試験の他の側面への参加や、試験への今後の参加に影響を与えることなしに
、随時、そのような同意を撤回することができる。
【0324】
薬理遺伝学的血液試料は、必要に応じて薬理遺伝学的研究を可能にするために収集され
る(現地規制が許可される)。薬理遺伝学的研究への対象の参加は任意である。
【0325】
安全性の評価
他の抗TNFα剤の安全性プロフィール、並びにこれまでのゴリムマブ安全性データに
基づいて、いくつかの関心のあるAEが特定され、この研究において監視及び評価される
。これらには、輸注反応、肝胆検査値異常、TBを含む感染、及び悪性腫瘍が挙げられる
【0326】
統計的方法
連続変数のn、平均、SD、中央値、IQ範囲、最小値、及び最大値、並びに離散変数
の数及び割合などの単純な記述要約統計を使用して、ほとんどのデータを要約する。
【0327】
抗TNFα療法の以前の使用によって階層化されたコクラン-マンテル-ヘンツェル(
Cochran-Mantel-Haenszel、CMH)検定を使用して、治療に応答する対象の割合などの
カテゴリー変数を比較する。一般に、抗TNFα療法を因子として使用する前のANOV
Aは、特に明記しない限り、連続変数を分析するために使用される。全ての統計的試験は
、α=0.05(両側検定)で行われる。統計分析に加えて、グラフデータ表示(卵、折
れ線グラフ)及び対象リストもまた、データを要約/提示するために使用され得る。
【0328】
集団セット
集団セットは、意図的な治療集団(即ち、全ての無作為化された対象)である。効力解
析に含まれる対象は、割り当てられた治療を受けるか否かにかかわらず、割り当てられた
治療群に従って要約される。
【0329】
安全性及びPK分析は、試験治療の少なくとも1回の投与を受けた全ての対象を含む。
【0330】
エンドポイント分析
一次エンドポイント分析
主目的に対処するために、16週目にASAS20応答を有する対象の割合(一次エン
ドポイント)が、0.05の有意水準(両側検定)で抗TNFα療法の使用前に階層化さ
れたCMH試験(Yes/No)を用いて、プラセボ群とゴリムマブ群との間で比較され
る。この主要効力解析では、全ての無作為化された対象からのデータは、それらの実際の
治療を受けたかにかかわらず、それらの割り当てられた治療群に従って分析される。対象
が16週目に少なくとも1つのASAS構成要素についてのデータを有する場合は、最終
観測代入(last observation carried forward、LOCF)手順を使用して、欠落してい
るASAS構成要素を帰属させる。対象が16週目に全てのASAS構成要素についての
データを有しない場合、対象は非応答者と見なされる。
【0331】
主要二次エンドポイント(複数可)分析
以下の主要二次分析は、以下に指定されるように重要な順序で行われる。
1.16週目にASAS40を達成した対象の割合を、治療群間で比較する。
2.16週目にBASDAIにおいてベースラインから少なくとも50%の改善を達成
した対象の割合を、治療群間で比較する。
3.16週目のBASFIにおけるベースラインからの変化を、治療群間で比較する。
【0332】
多数のタイプI誤り率を制御するために、第1の主要な二次エンドポイントは、一次エ
ンドポイントが0.05の有意水準(両側検定)で統計的有意性を達成した場合にのみ試
験される。次の主要な二次エンドポイントは、一次エンドポイント及び前述の主要な二次
エンドポイント(複数可)が、0.05の有意水準(両側検定)で統計的に有意である場
合にのみ試験される。
【0333】
安全性分析の概要
日常的な安全性評価が行われる。AE、SAE、並びに注入反応及びTBを含む感染を
含む合理的に関連するAEの発生及び種類は、治療群によって要約される。NCI CT
CAE毒性等級に基づく異常な実験室パラメータ(血液学及び化学)を有する対象の数が
要約される。加えて、ANA及び抗dsDNA抗体を有する対象の数、並びにゴリムマブ
に対する抗体と注入反応との関係が要約される。
【0334】
全ての安全性分析は、試験薬剤の少なくとも1回の投与を受けた全ての対象の集団を使
用して行われる。分析は、対象が実際に受けた治療を使用して行われる。
【0335】
加えて、グラフデータ表示(卵、折れ線グラフ)及び対象リストもまた、データを要約
/提示するために使用され得る。
【0336】
略語:
AE 有害事象
AS 強直性脊椎炎
ASAS20 強直性脊椎炎評価20
ASQoL 強直性脊椎炎の生活の質
ASSERT 組換えインフリキシマブ療法の評価のための強直性脊椎炎研究
BASDAI Bath強直性脊椎炎疾患活動性インデックス
BASFI Bath強直性脊椎炎機能インデックス
BASMI Bath強直性脊椎炎計測インデックス
BCG カルメット・ゲラン桿菌
CHF うっ血性心不全
CMH コクラン-マンテル-ヘンツェル
CRP C反応性タンパク質
DAS 疾患活動性スコア
DBL データベースロック
DMARD 疾患変性抗リウマチ薬
DMC データ監視委員会
DNA デオキシリボ核酸
ECG 心電図
eCRF 電子ケースの報告形態
eDC 電子データキャプチャ
EQ-5D EuroQol-5D
EQ VAS EQ視覚的アナログスケール
EU 欧州連合
GCP 良好な臨床実践
HBV B型肝炎ウイルス
HCQ ヒドロキシクロロキン
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HRQOL 健康関連の生活の質
IB 治験薬概要書
ICF インフォームドコンセントフォーム
ICH 医薬品規制調和国際会議
IEC 独立倫理委員会
IgG 1 免疫グロブリンG1
IMA 独立筋骨格評価因子
IRB 治験審査委員会
IV 静脈内
IWRS 相互作用ウェブ応答システム
MCS 精神的健康度
MOS-SS 医学的転帰研究睡眠スケール
MMP-1 マトリックスメタロプロテイナーゼ-1
MMP-3 マトリックスメタロプロテイナーゼ-3
MTX メトトレキサート
NSAID 非ステロイド性抗炎症薬
PCS 身体的健康度
PD 薬力学
PK 薬物動態
PQC 製品品質の苦情
PRO 患者報告転帰
PsA 乾癬性関節炎
q8w 8週ごと
RA 関節リウマチ
RBC 赤血球
SAE 深刻な有害事象
SAP 統計的分析計画
SC 皮下
SF-36 36項目略式健康調査
SSZ スルファサラジン
TB 結核
TNFα 腫瘍壊死因子α
TST ツベルクリン皮膚反応
US 米国
VAS 視覚的アナログスケール
WBC 白血球
WLQ 作業制限アンケート
【0337】
序論
ゴリムマブは、免疫グロブリンG1(IgG1)重鎖アイソタイプ(G1m[z]アロ
タイプ)及びκ軽鎖アイソタイプを有する完全ヒトモノクローナル抗体である。ゴリムマ
ブは、配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する。
ゴリムマブの分子量は、149,802~151,064ダルトンの範囲である。ゴリム
マブは、ヒト腫瘍壊死因子α(TNFα)の可溶性及び膜貫通生物活性形態の両方を有す
る高親和性安定複合体を形成するヒトモノクローナル抗体であり、これは、TNFαの受
容体への結合を防止する。他のTNFαスーパーファミリーリガンドに対する結合は観察
されなかった。具体的には、ゴリムマブは、ヒトリンパ球に結合しない、又は中和しない
。腫瘍壊死因子αは、主に活性化単球、マクロファージ、及びT細胞によって、自己会合
して生物活性ホモトリマーを形成する膜貫通タンパク質として合成され、タンパク質分解
によって細胞表面から急速に放出される。TNFαのp55又はp75TNF受容体のい
ずれかへの結合は、受容体細胞質ドメインのクラスター化をもたらし、シグナル伝達を開
始させる。腫瘍壊死因子αは、様々な刺激に応答して産生され、続いて、カスパーゼ依存
性アポトーシス経路の活性化及び転写因子核因子(NF)-B及び活性化タンパク質-1
(AP-1)の活性化による炎症応答を促進する。腫瘍壊死因子αはまた、胚中心におけ
る免疫細胞の組織における役割を介して免疫応答を調節する。TNFαの発現の上昇は、
リウマチ性関節炎(RA)などの慢性炎症性疾患、並びに乾癬性関節炎(PsA)及び強
直性脊椎炎(AS)などの脊椎関節症に関連しており、これらの疾患に特徴的な関節性炎
症及び構造的損傷の重要なメディエーターである。
【0338】
強直性脊椎炎
強直性脊椎炎(AS)は、仙腸関節、多くの場合軸骨格、靭帯付着部、及び末梢関節を
伴う未知の病因の慢性炎症性疾患である。強直性脊椎炎は、女性よりも多くの男性に影響
を及ぼし、米国におけるその有病率は、人口の0.2~0.5%で推定される。22靭帯
付着部の慢性炎症は、主に軸スケルトン内で、新たな骨形成、靱帯骨棘、及び関節の強直
症を引き起こす。この軸方向の強直性は、運動範囲の劇的な損失及び障害につながる場合
がある。疾患はまた、ブドウ膜炎、心筋炎、肺線維症、腸炎症、及び心伝導異常を含む、
骨格外症状も有し得る。脊椎関節関節炎のサブセットである強直性脊椎炎は、ヒト白血球
抗原-B27(HLA B27)抗原の存在と強く関連していると考えられる。34
【0339】
患者は、様々な筋骨格症状(付着部炎による近位関節痛、胸痛、及び末梢関節周囲の圧
痛)を経験し得るが、最も一般的な提示症状は慢性的な腰痛症である。腰痛症は、通常、
40歳よりも前に始まり、発症が潜行性であり、朝のこわばりに関連付けられ、最終的に
は対称的である。これらの筋骨格症状は、疲労、発熱、及び体重減少などの構成的症状に
関連し得る。TNFα阻害剤が承認されるまで、ASの治療は限定された有効性を有し、
主に運動及びNSAIDからなり、末梢関節関節炎を有する患者のサブセットにおける経
口スルファサラジン(SSZ)の役割を主に構成した。10生物学的TNFα阻害剤は、
AS患者における徴候及び症状、移動性及び身体機能を著しく改善するためにランダム化
された制御試験で示されている。
【0340】
強直性脊椎炎におけるTNFαの役割
ASなどの様々な指標に対する抗TNFα療法の有効性及び安全性プロファイルは、十
分に特徴付けられている。腫瘍壊死因子αは、多種多様な機能活性を示す主要な炎症性メ
ディエーターと考えられる。異常に高レベルのTNFαは、RA、PsA、及びASを含
むいくつかの免疫介在性疾患の病態生理学に関与している。抗TNFα抗体によるTNF
αの結合は、標的が細胞表面TNFα受容体に結合することを防ぎ、その結果、下流シグ
ナル伝達カスケード及び不適切な又は過剰なTNFα発現の有害な影響を防止する。活動
性ASの患者からの末梢血16、20、26及び滑膜組織の両方において、TNFαの
レベルが上昇したことが観察されている。TNFαはおそらく、RAの滑膜炎にあるよう
なASの仙腸関節炎において役割を果たすことが示唆されている。コンピュータ断層撮影
を対象とする仙腸関節生検で評価された活動性ASを有する5人の患者の研究では、免疫
組織学的分析により、大部分がT細胞及びマクロファージからなる細胞浸潤が明らかにな
り、3人の対象の生検のin situハイブリダイゼーション試験により、豊富なTN
Fαが明らかになった。
【0341】
多くの非盲検及び二重盲検プラセボ対照試験は、ASの徴候及び症状を緩和する際に、
インフリキシマブ、組換えIgG1-κヒトマウスキメラモノクローナル抗TNFα抗体
の実質的な有効性を示している。インフリキシマブは、ASに対する治療として研究され
た第1の抗TNFα剤であり、ASを有する対象又はASを含む脊椎関節症と診断された
対象のいずれかにおける0、2、及び6週目での5mg/kgのインフリキシマブ注入の
誘導レジメンは、疾患活動性測定における急速な改善をもたらした。3、7、24、25
、27
【0342】
ASのみを有する、及びASを含む脊椎関節症28を有する、患者におけるインフリ
キシマブの2つの無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験は、インフリキシマブ療法が臨
床転帰測定において迅速で有意な改善をもたらしたことを示した。ASSERT研究(A
Sを有する279人の対象を含むインフリキシマブの大型、多施設、二重盲検、プラセボ
対照試験)において、プラセボ治療群における18%に対してインフリキシマブ治療対象
において24週目の強直性脊椎炎評価20(ASAS20)応答率は60%であった。
身体機能、可動域、生活の質、及びMRI上の疾患活動性スコアの測定において有意な
改善もあった。AS患者におけるインフリキシマブ療法は、一般に十分に忍容された。
【0343】
エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、及びセルトリズマブを含む皮下(SC)
薬を使用しているASにおける腫瘍壊死因子α阻害もまた、無作為化プラセボ対照試験で
有効であることが示されている。4、11、18、19、30ASの病態生理学における
TNFαの正確な役割は未だ明らかではないが、TNFα阻害がこの疾患において主要な
治療上の利益であるという多数の証拠がすでに存在している。
【0344】
研究の全体的な根拠
抗TNF剤を用いた治療は炎症性関節炎の治療に成功裏に使用されてきたが、抗TNF
剤は安全性、投与計画、費用及び免疫原性に関して限界がある。これらの制限のいくつか
に対処するために、ゴリムマブと呼ばれる完全ヒト抗TNFmAb(CNTO 148及
びrTNV 148Bとしても知られる)。ゴリムマブ、完全ヒト抗TNFmAbは、ヒ
トTNFに高い親和性で結合し、TNFの生物活性を阻害する。更に、ゴリムマブは、T
NF媒介細胞毒性及びTNF媒介内皮細胞活性化を阻害する。ゴリムマブはまた補体媒介
細胞溶解の活性化を誘導し、ヒトTNFを過剰発現するマウスにおける関節炎の発症を減
少させる。
【0345】
SCゴリムマブを含む抗TNFα剤による治療は、ASに罹患している対象において、
徴候及び症状、身体機能、並びに健康関連生活の質(HRQOL)を有意に改善すること
が実証されている。5年間の追跡調査を通して、SCゴリムマブの長期的な安全性と有効
性を評価するために、ASを有する対象におけるゴリムマブのSC投与に関する世界的な
無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験が完了した(試験C0524T09)。ゴ
リムマブの皮下投与は、ASの徴候及び症状を改善するのに有効であることが実証された
。安全性分析は、SCゴリムマブが一般的に耐容性が良好であることを示し、他の抗TN
Fα剤で観察されたものと同様の安全性プロフィールを示した。
【0346】
SCゴリムマブの既知の安全性及び有効性を考慮すると、IVゴリムマブは、RA、P
sA、及びASなどのリウマチ性疾患における他の抗TNFα剤と一致する許容される安
全性プロファイルで有効であることが証明されると予想された。ゴリムマブの静脈内投与
は、RA治療の承認の基礎となったフェーズ3試験(CNTO148ART3001)で
決定的に研究されている。CNTO148ART3001試験は、同時メトトレキサート
(MTX)療法にもかかわらず活動性RAを有する対象における、0週目、4週目、及び
その後8週ごと(q8w)に30±10分にわたって注入されるゴリムマブ2mg/kg
のIV投与の有効性及び安全性に関する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設2群試験で
あった。MTXにもかかわらず活動性RAを有する対象は、0週目、4週目、及び8週ご
とに24週まで2mg/kgを投与されるプラセボ注入又はIVゴリムマブのいずれかを
受けるように無作為化された。24週目に開始して、100週まで、全ての対象をIVゴ
リムマブで治療した。IVゴリムマブは、RAの徴候及び症状、身体機能、並びに健康関
連の生活の質の改善、並びに構造的損傷の進行の抑制において実質的な利益を提供するこ
とが実証された。
【0347】
RAの治療において静脈内投与されたゴリムマブ(CNTO148ART3001)は
、輸注反応の低い発生率で強力な有効性と許容される安全性プロファイルを示した。この
提案されたフェーズ3試験は、活動性ASを有する対象の治療における静脈内(IV)ゴ
リムマブの有効性及び安全性を評価するように設計されている。現在入手可能なIV抗T
NFα剤は免疫原性及び輸注反応に関して制限があり、IVゴリムマブの提案された30
±10分注入と比較してより長い注入時間(60~120分)を有するので、AS患者に
おけるIV投与経路が評価されている。
【0348】
患者はまた、SC剤と比較してより頻繁な投与よりもq8w IVゴリムマブの維持投
与計画を好むかもしれない。したがって、IVゴリムマブは現在利用可能な治療選択肢へ
の重要な追加であり得る。
【0349】
この試験のための投与計画は、0週目及び4週目に30分かけてIV注入により投与さ
れる2mg/kgのゴリムマブ、その後8週ごとである。
【0350】
試験計画及び理論的根拠
試験デザインの概要
これは、NSAIDに対して反応が不十分であるか、又は不耐性である、活動性ASを
有する対象におけるIVゴリムマブの有効性及び安全性をプラセボと比較したフェーズ3
多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。約200人の対象は、約70の治験部
位で無作為化される。対象は、0週目、4週目及び12週目に、IV注入でゴリムマブ2
mg/kg又はプラセボを受けるように無作為に割り当てられる。16週目に、プラセボ
注入を受けた全ての対象は、交差し、16週目、20週目、及びその後q8wに52週ま
でゴリムマブIV注入を受け始める。ゴリムマブIV治療群の対象は、16週目にプラセ
ボ注入を受け、盲検を維持し、20週目及びその後q8wに52週までゴリムマブIV注
入を受容し続ける。データベースロック(DBL)は、28週及び60週に予定されてい
る。
【0351】
最後の試験治療投与の少なくとも8週間後に、有害事象(AE)及び深刻な有害事象(
SAE)について対象を追跡する。研究の終了は、最後の対象が60週の訪問を完了する
時間として定義される。
【0352】
図18に、試験計画の概略を示す。
【0353】
試験計画の理論的根拠
試験母集団
標的研究集団は、改訂ニューヨーク基準によって定義されるように、試験薬剤の最初の
投与の少なくとも3ヶ月前に活性ASを有する対象である。
【0354】
治療群、投与量、及び用量投与間隔
対象は、以下のように、0週~1週の2つの治療群で無作為化される。
・群1(n=100):IVプラセボ注入
・群2(n=100):IVゴリムマブ2mg/kg注入
【0355】
ゴリムマブに無作為に割り付けられた対象は、0週目、4週目、及びその後q8wに5
2週目まで、ゴリムマブ2mg/kgのIV注入を受ける。ゴリムマブに無作為化された
16人の対象では、プラセボ注入を受けて盲検を維持する。0,4週目及び12週目にプ
ラセボIV注入を受容するために無作為に割り当てられた全ての対象は、第16週での活
性治療に交差し、第16,20週及びその後q8wに52週目まで、ゴリムマブ2mg/
kg IV注入を受ける。ゴリムマブIV治療群における対象は、ゴリムマブIV注入を
受け続ける。
【0356】
治療のフェーズ及び持続時間
この研究では、スクリーニング、二重盲検プラセボ制御、活性治療、及び安全性フォロ
ーアップの4相になる。6週間までのスクリーニング段階は、スクリーニング試験評価を
実施するのに十分な時間を可能にし、試験適格性を決定する。試験の第2相は、第0週か
ら第16.週までの二重盲検プラセボ制御期である。試験の第3相は、第16週から第5
2.週までの活性治療期である。試験の第4相は、安全性フォローアップ相であり、試験
薬剤の最後の投与から8週間であろう。安全性フォローアップは、ゴリムマブの半減期の
約5倍に相当する期間にわたって対象を監視することを可能にする。各対象の最初の治療
割り当ては、試験の60週間にわたって部位及び対象にまだ盲検化されている。この持続
時間は、ASに対する維持療法としてのIVゴリムマブの有効性及び安全性を実証するの
に適切な時間を提供する。
【0357】
この研究は、最後の対象が最後の予定された訪問を完了すると終了する(60週目の訪
問)。
【0358】
試験管理、ランダム化、及び盲検化
無作為化は、治療群に対する対象の評価における偏りを最小限に抑え、既知及び未知の
対象属性(例えば、人口統計学的及びベースライン特性)が治療群全体に均等にバランス
がとれるようにする可能性を高め、治療群にわたる統計的比較の妥当性を高めるために、
使用される。加えて、ランダム化は、地理的領域及び抗TNFα療法の使用前に階層化さ
れる(はい又はいいえ)。
【0359】
個々の対象及び研究者は、研究の継続期間にわたって盲検化されたままである。盲検処
置は、データ収集中及び臨床的エンドポイントの評価中の潜在的な偏りを低減するために
使用される。2つのDBLは、28週目及び第60.週目の研究のために計画されている
。第1のDBLは、全ての対象が、第28週目の訪問又は終了研究参加を完了した後に行
われる。第2のDBLは、全ての対象が、第60週目の訪問又は終了研究参加を完了した
後に行われる。データベースは、第28週にロックされ、サマリーレベルデータは、選択
された個人のデータ分析及びデータレビューのために、対象レベルデータをDBLで非盲
検化する。全ての機関職員及び対象は、第60週目のDBLが生じるまで、無盲検薬剤師
を除いて、治療割り当てに対して盲検化されたままである。
【0360】
有効性の評価
本研究のために選択された有効性評価は、ASの治療のための治療用生物学的薬剤の以
前の試験において確立された。本研究のために選択された患者が報告した成果(PROs
)はまた、ASの他の研究及び適用可能な米国/EU規制指針文書の医学文献に受け入れ
られている臨床的に関連する測定とも一致する。
【0361】
強直性脊椎炎応答評価には、以下が含まれる。
・Bath強直性脊椎炎機能インデックス(BASFI)
・患者の総合評価
・全背部痛
・Bath強直性脊椎炎疾患活動性インデックス(BASDAI)
・36項目略式健康調査(SF-36)
・Bath強直性脊椎炎計測インデックス(BASMI)
・強直性脊椎炎の生活の質(ASQoL)アンケート
・胸郭の拡張
・夜の背部痛
・付着部炎
・医学的転帰研究睡眠スケール
・作業制限アンケート(WLQ)
・Productivity Visual Analog Scale
・EuroQol-5D (EQ-5D)アンケート
【0362】
対象集団
試験に適格な対象は、改訂されニューヨーク基準によって「明確」として定義される少
なくとも3ヶ月のASの診断、ならびに0~10cmのスケールでそれぞれ、全背部痛に
対する、Bath強直性脊椎炎疾患活動性インデックス(BASDAI)≧4及び視覚的
アナログスケール(VAS)≧4によって証明されるように、活動性疾患の症状を有する
18歳以上の男性又は女性である。対象は、≧0.3mg/dLのC反応性タンパク質(
CRP)レベルを有することが必要である。
【0363】
試験集団の他の主要な特徴は、以下のとおりである:
・MTX、SSZ、及びヒドロキシクロロキン(HCQ)及び低用量経口コルチコステ
ロイドの現在の使用者は許容され、これらの薬剤の安定した投与量に関する研究に入るべ
きである。
・1つ以下の生物学的抗TNFα剤(ゴリムマブ以外)への曝露前の対象は、試験に含
まれることが可能であるが、試験集団の最大20%に限定される。
・側面脊椎レントゲン写真上で視覚化された頸椎及び腰椎の全ての椎間レベルに存在す
る橋渡しする靱帯骨棘として定義される完全な脊椎強直症を有する対象は、研究に含める
ことが可能であるが、研究集団の最大10%に限定される。
【0364】
適格な対象のためのスクリーニングは、試験薬の投与前6週間以内に実施される。
【0365】
この試験に対象を登録するための組み入れ基準及び除外基準は、以下の2つのサブセク
ションに記述される。以下の組み入れ基準又は除外基準について疑問がある場合、治験責
任医師は、試験に対象を包含する前に適切な治験依頼者担当者に相談すべきである。
【0366】
組み入れ基準
可能性のある対象はそれぞれ、この試験に登録されるために、下記の基準全てを満たす
必要がある。
1.対象は18歳以上の男女でなければならない。
2.対象は健康診断、病歴、バイタルサイン、スクリーニング時に行われた12誘導心
電図(ECG)に基づいて医学的に安定していなければならない。この決定は、対象の情
報源文書に記録され、研究者によって頭文字で署名されていなければならない。
3.対象は、スクリーニングで行われる臨床検査試験に基づいて医学的に安定でなけれ
ばならない。肝臓酵素又は血液学を含む血清化学パネルの結果が正常な基準範囲外である
場合、対象は、研究者が異常又は異常を正常から臨床的に有意でないか、又は試験中の集
団に適切かつ妥当であると判断した場合にのみ、対象が含まれてもよい。この決定は、対
象の情報源文書に記録され、研究者によって頭文字で署名されていなければならない。包
含基準#6及び#16の結果に記載されている試験については、評価基準#6及び#16
で許容される適格範囲内でなければならない。
4.改訂ニューヨーク基準によって規定されるように、試験薬剤の最初の投与の少なく
とも3ヶ月前に明確なAS診断を受ける。
X線撮影基準と少なくとも1つの臨床基準との両方が満たされなければならない。
a.X線撮影基準:仙腸関節炎等級>2両側、又は仙腸関節炎等級3~4片側。
b.臨床基準(少なくとも1つ):
i.運動により改善されるが安静により軽快しない、3ヶ月を超える腰痛症及びこわ
ばり。
ii.矢状面及び前頭面の両方における腰椎の運動の制限。
iii.年齢及び性別について補正された正常値に対する胸郭の拡張制限。
5.0~10cmのスケールでそれぞれ、全背部痛に対する、4のBASDAIスコア
及び4のVASスコアの両方によって証明されるように、スクリーニング時及びベースラ
イン時の活性疾患の症状を有する。
6.スクリーニング時に0.3mg/dLのCRPレベルを有する。
7.NSAID(複数可)の最大推奨用量での合計4週間にわたる少なくとも2つのN
SAIDに対して不十分な応答を有するか、又はNSIDに対する不耐性、毒性、禁忌の
ために、最大4週間の最大NSAID治療を受けることができない。
8.ASにNSAID又は他の鎮痛剤を使用する場合、試験薬剤の最初の投与の少なく
とも2週間前に、安定な用量でなければならない。現在ASにNSAID又は他の鎮痛剤
を使用していない場合、試験薬剤の最初の投与の少なくとも2週間前にASにNSAID
又は他の鎮痛剤を受けてはならない。
9.経口コルチコステロイドを使用する場合、試験薬剤の最初の投与前の少なくとも2
週間にわたって、10mgのプレドニゾン/日に相当する安定な用量でなければならない
。現在コルチコステロイドを使用していない場合、試験薬剤の最初の投与前の少なくとも
2週間にわたって、経口コルチコステロイドを受けていてはならない。
10.MTX、SSZ、又はHCQを使用する場合、試験薬剤の最初の投与の少なくと
も3ヶ月前に治療を開始しなければならず、疾患変性抗リウマチ薬(disease modifying
antirheumatic drug、DMARD)に起因する重大な毒性副作用を有してはならない。投
与及び投与のメトトレキサート経路(25mg/週を超えない)は、試験薬剤の最初の投
与の少なくとも4週間前に安定であるべきである。SSZ又はHCQを使用する場合、試
験薬剤の最初の投与前の少なくとも4週間にわたって、同様に安定な用量でなければなら
ない。MTX、SSZ、又はHCQを現在使用していない場合、試験薬剤の最初の投与の
少なくとも4週間前にこれらのDMARDを受けてはならない。
11.無作為化の前に、女性は以下のいずれかでなければならない:
・妊娠する可能性がない場合:月経前、閉経後(少なくとも12ヶ月間無月経の>4
5歳)、永久不妊(卵子、卵管閉塞、子宮摘出術、両側卵管摘出術)、又は別の方法で妊
娠できない、
・妊娠の可能性があり、臨床試験に参加している対象に対する避妊法の使用に関する
現地の規制に一致する、非常に効果的な避妊方法を実践している場合:卵子、確立された
経口使用、注射又は埋め込みホルモン法による避妊、子宮内装置又は子宮内システムの配
置;バリア方法:殺精子フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬を有するコンドー
ム又は殺精子フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬を有する閉塞キャップ(横隔
膜又は頸部/ボールトキャップ)、男性パートナーの断種(精管切除したパートナーは、
その対象の唯一のパートナーであるべきである);真の禁欲(これが対象の好みの通常の
生活様式と一致している場合)。
12.妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時に血清妊娠試験陰性(ヒト絨毛性
ゴナドトロピン[β-HCG])、及び無作為化前の0週目に尿妊娠試験陰性でなければ
ならない。
13.試験期間中及び試験薬の最後の投与を受けてから4ヶ月間は、女性は妊娠しない
こと、又は生殖補助医療の目的で卵子(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意しなけ
ればならない。
14.妊娠する可能性のある女性と性的に活動的であり、精管切除を受けていない男性
は、試験中及び試験剤の最後の投薬後4ヶ月間は、例えば、殺精子剤フォーム/ジェル/
フィルム/クリーム/座薬付きのコンドーム又はパートナーによる殺精子剤フォーム/ジ
ェル/フィルム/クリーム/座薬付きの閉塞キャップ(隔壁又は頚管/ボールトキャップ
)の使用といった、受胎調節の障壁法を使用することに同意する必要がある。また、男性
は全員、研究中及び研究剤の最後の投薬を受承してから4ヶ月間は、精液を提供してはな
らない。
15.以下の結核(tuberculosis、TB)スクリーニング基準に従って適格であると考
えられること:
a.スクリーニング前に、潜在性又は活動性TBの病歴がないこと。潜在性TBの病
歴を有し、潜在性TBの治療を現在受けている対象については、試験薬剤の最初の投与の
前に潜在性TBに対する治療を開始するか、又は試験薬剤の最初の投与前の5年以内に潜
在性TBに適切な治療を完了したことを実証する。
b.病歴及び/又は身体的検査の際に活動性TBを示唆する徴候又は症状を有しない
こと。
c.活動性TBを有する人と最近密接な接触がないこと。そのような接触があった場
合は、TB専門医師に紹介して追加評価を行い、保証された場合は、試験薬剤の最初投与
の前に、潜在性TBに対する適切な治療を受けること。
d.試験薬剤の最初の投与の6週間以内に、QuantiFERON(登録商標)-
TB Gold試験の陰性結果を有するか、又は活動性TBが除外され、潜在性TBに対
する適切な治療が試験薬剤の最初の投与の前に開始された、新たに同定されたQuant
iFERON(登録商標)-TB Gold試験の陽性結果を有する。QuantiFE
RON(登録商標)-TB Gold試験がその国で承認/登録されていないか、又はT
STが現地の健康機関によって義務付けられている場合には、試験薬剤の最初の投与の6
週間以内に、ツベルクリン皮膚反応(tuberculin skin test、TST)陰性、又は活動性
TBが除外され、潜在性TBに対する適切な治療が試験薬剤の最初の投与の前に開始され
た、新たに同定されたTST陽性がさらに必要とされる。
i.活動性TBが除外され、その胸部X線写真がTB(活動性又は古い、非活動性
TB)を示唆する異常を示しておらず、研究者によって決定されるように対象がTBにつ
いての更なる危険因子を有しない場合、継続的に不確定なQuantiFERON(登録
商標)-TB Gold試験結果を有する対象は、潜在性TBの治療を受けずに登録する
ことができる。
ii.QuantiFERON(登録商標)-TB Gold試験及びTSTは、
潜在性TBの病歴及び潜在性TBの進行中の治療を有した対象、又は上記のように十分な
治療を完了したことを実証した対象は、スクリーニングにおいて必要とされない。潜在性
TBのための更なる治療を開始するために、上記のように十分な治療を完了したことを実
証した対象は必須ではない。
e.試験薬剤の最初の投与の前3ヶ月以内に行った胸部X線写真(後-前像)があり
、適格な放射線医の読み取りを受け、現在活動性のTB又は古い不活動性TBのエビデン
スがないこと。
16.以下のパラメータ内のスクリーニング検査結果を有すること:
a.ヘモグロビン≧8.5g/dL
b.白血球≧3.5×103/μL
c.好中球≧1.5×103/μL
d.血小板≧100×103/μL
e.血清クレアチニン≧1.5mg/dL
f.AST、ALT、及びアルカリホスファターゼのレベルは、試験を実施する実験
室のULN範囲の1.5倍以内でなければならない。
17.対象は、このプロトコルに指定された禁止事項及び制限事項を守る意思があり、
それが可能でなければならない。
18.それぞれの対象は、各自が研究の目的とそれに必要な手順を理解し、研究に参加
する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名する必
要がある。
19.研究のために任意選択のDNAサンプルを提供することに同意する場合は、各対
象は別々のインフォームドコンセントフォームに署名しなければならない(現地の規制が
許す場合)。任意選択のDNA研究試料に対して許諾を拒否しても、この試験への参加か
ら対象を除外することはない。
20.試験薬剤の最初の投与前2週間以内、及び試験期間にわたって、アーユルヴェー
ダ医学、伝統的な漢方薬(複数可)、及び鍼療法を含む、補完療法の使用を控える意思が
ある。
【0367】
除外基準
可能性のある対象で、以下の基準のいずれかに該当する者は、この試験の参加から除外
される:
1.限定するものではないが、RA、PsA、全身性エリテマトーデス、又はライム病
が挙げられるがこれらに限定されない、ゴリムマブ療法からの利益の評価を混乱させるこ
とができる他の炎症性疾患を有する。
2.研究中に登録されている間、又は試験薬剤の最後の投与を受けた4ヶ月以内に、妊
娠している、授乳している、又は妊娠を計画している。
3.試験薬剤の最初の投与前の4週間以内に、MTX、SSZ、又はHCQ以外の任意
の全身性免疫抑制剤又はDMARDを受けた。これらのカテゴリーの薬剤としては、クロ
ロキン、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノレートモフェチル、金、及びペニ
シリンが挙げられるが、これらに限定されない。コルチコステロイドはこの基準には含ま
れない。コルチコステロイドに関する他の適格性基準を参照されたい。
4.試験薬剤の最初の投与前の4週間以内にレフルノミドを受けた(薬物排除治療を受
けることに関係なく)か、又は試験薬剤の最初の投与前の3ヶ月以内にレフルノミドを受
け、薬物排除治療を受けていない。
5.試験薬剤の最初の投与前の4週間前に副腎皮質刺激ホルモンを含む、硬膜外、関節
内、IM、又はIVコルチコステロイドを受けた。
6.ゴリムマブを受けたことがある。
7.インフリキシマブ(バイオ類似の抗TNFα剤を含む)、アダリムマブ、又はセル
トリズマブぺゴオールを、試験薬剤の最初の投与前の3ヶ月以内に受けた。
8.試験薬剤の最初の投与前の6週間以内にエタネルセプト又はイサイプを受けた。
9.2つ以上の以前の抗TNFα剤を受けた。
10.以前の抗TNFα剤に対する主な失敗(治験責任医師によって評価された場合の
反応の欠如、又は治療の最初の16週間以内に効力の欠如による中止と定義される)を経
験したことがある。
11.トシリズマブ、アレフェプトプト、エファリズマブ、ナタリズマブ、アバタセプ
ト、アナキンラ、ウテキヌマブ、ブロダルマブ、セクキヌマブ、イキセキズマブ、及びB
細胞枯渇療法を含むがこれらに限定されない抗TNFα薬以外の以前の生物学的療法を受
けたことがある。
12.トファシチニブ又は他のJanusキナーゼ阻害剤(JAK)阻害剤を受けたこ
とがある。
13.ヒト免疫グロブリンタンパク質に対する過敏症が知られている。
14.クロラムブシル、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、又は他のア
ルキル化剤を含む細胞毒性薬物を使用していた。
15.スクリーニングの前に、ヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症を含む活発な
肉芽腫性感染症の病歴がある。潜在的TBの病歴の適格性に関する情報は、組み入れ基準
を参照されたい。
16.12ヶ月間のスクリーニングにおいて、カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calm
ette Guerin、BCG)ワクチン接種を有していた。
17.TBを含む悪性疾患又は現在の活動性感染症の異常な示唆を示す、試験薬剤の最
初の投与の3ヶ月前の胸部X線写真を有する。
18.スクリーニング前の6ヶ月以内に非結核性のマイコバクテリア感染症又は日和見
感染症(卵、サイトメガロウイルス、肺気胞症、アスペルギロシス症)を有していた。
19.試験薬剤の最初の投与前の2ヶ月以内に帯状ヘルペス感染症を有していた。
20.試験薬剤の最初の投与前の3ヶ月以内、試験中、又は試験薬剤の最後の投与後3
ヶ月以内に、任意のライブウイルス又は細菌ワクチン接種を受けたか、又は受けることが
望まれる。
21.感染した関節プロテーゼの病歴を有するか、又はそのプロテーゼが取り外されて
いない、若しくは交換されていない場合、関節プロテーゼの疑わしい感染のための抗生物
質を受けている。
22.深刻な感染症を有する(限定するものではないが、肝炎、肺炎、敗血症、若しく
は腎盂腎炎を含むが、これらに限定されない)か、又は感染症のために入院されているか
、又は試験薬剤の最初の投与前の2ヶ月以内に感染用のIV抗生物質で治療された。
23.慢性腎臓感染症、慢性胸部感染症(卵、気管支拡張症)、副鼻腔炎、再発性尿路
感染症(卵、再発性腎盂腎炎)、開放性、排出性、又は感染性の皮膚創傷、又は潰瘍を含
むがこれらに限定されない、慢性又は再発性の感染症の病歴がある、又は継続している。
24.対象が、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)抗体
陽性であるか、スクリーニング時にHIV検査結果が陽性である。
25.B型肝炎感染を有する。対象は、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HB
V)のスクリーニングを受けなければならない。最低でも、これには、HBsAg(HB
V表面抗原)、抗HBs(HBV表面抗体)、及び抗HBC総(HBVコア抗体の合計)
を試験することを含む。
26.スクリーニング前に2つの負のHCV RNA試験結果を有することがない限り
、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する抗体に対して血清陽性である対象は、スクリーニ
ング前に6ヶ月間離れており、スクリーニング時に第3の負のHCV RNA試験結果を
有する。
27.多発性硬化症又は視神経炎などの、既知の脱髄性疾患の病歴を有する。
28.重度、進行性、又は制御されていない腎、肝臓、血液学、胃腸、内分泌、肺、心
臓、神経学、脳、又は精神疾患の現在の徴候又は症状を有する。
29.医学的に制御された無症候性CHFを含む、同時のうっ血性心不全(congestive
heart failure、CHF)を有する。
30.リンパ腫、又は異常な大きさ若しくは位置のリンパ性増殖性疾患、臨床的に有意
な巨脾症、又は意義不明の単クローン性γグロブリン血症のようなリンパ増殖性疾患の可
能性のあるリンパ腫、又は徴候と症状を含む、リンパ増殖性疾患の既知の病歴を有する。
31.対象が、スクリーニング前に5年以内に悪性疾患の病歴を有する(例外は、外科
的に硬化された子宮頸部の場で、試験薬剤の最初の投与及び癌の少なくとも3ヶ月前の再
発の証拠なしで治療された皮膚の扁平上皮癌及び基底細胞癌である)。
32.対象が、ゴリムマブ又はその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不
耐性を有する(ゴリムマブIBを参照)。
33.対象が、計画された第1の用量の研究薬の前に、任意の禁じられた治療を行った

34.対象が、5半減期又は3ヶ月以内に治験薬(治験ワクチンを含む)を受け、いず
れかがより長く、又は計画された第1の用量の研究薬の3ヶ月以内に侵襲性治験医療装置
を使用しているか、又は治験研究に現在登録されている。
35.対象が、治験責任医師の意見では参加が対象の最善の利益にならない(卵子、幸
福を危うくする)か、又はプロトコルに規定された評価を妨げる、制限する、若しくは混
乱させる可能性がある条件を有する。
36.対象が、スクリーニング前1ヶ月以内に大手術(卵、全身麻酔が必要)を受けた
か、又は手術から完全に回復しなかったか、又は対象が試験に参加する予定の期間又は試
験薬剤の投与の最後の投与後1ヶ月以内に手術を計画した。
37.移植器官を有する(試験薬剤の最初の投与の3ヶ月前に実施された角膜移植を除
く)。
38.過去3年以内に薬物乱用(薬物又はアルコール)問題を抱えていたか又は抱えて
いる。
39.不良な忍容性、又は静脈へのアクセスが困難であるために、複数の静脈穿刺を受
ける意思がない、又は受けることができない。
40.対象が、治験責任者又は試験実施機関の被雇用者であり、治験責任者又は試験実
施機関の指示に基づいて提示試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはその
ような被雇用者又は治験責任者の家族である。
【0368】
注記:調査者は、全ての研究登録基準がスクリーニング時に満たされ、再度無作為化の
前に満たされていることを確実にするべきである。スクリーニング後であるが、試験薬の
最初の投与量が、全ての適格性基準を満たすことができないように、スクリーニング後で
あるが、第1の用量の試験薬が投与される前に、対象の状態が変化する場合(検査結果又
は追加の医療記録の受領を含む)、対象は、研究への参加から除外されるべきである。
【0369】
禁止及び制限
潜在的な対象は、研究期間中に参加のために適格であるために、以下の禁止及び制限を
遵守することができなければならない。
1.妊娠が可能な異性愛の性的に活動的な女性と、及び子供をもうけることができる男
性はいずれも、非常に効果的な避妊方法を使用し、研究期間中にわたって、及び試験薬剤
の最後の投与後4ヶ月間にわたって避妊の使用を継続しなければならない。
2.以下の薬物の使用は、IV試験薬剤投与と同時に許容されない。
・クロロキン、アザチオプリン、経口シクロスポリンA、タクロリムス、ミコフェノ
レートモフェチル、レフルノマイド、経口又は非経口金を含む全身性免疫抑制剤又はDM
ARD(MTX、SSZ、及びHCQ以外)。全身性免疫抑制剤は、コルチコステロイド
類を指すものではない;コルチコステロイドの制限に関する他のものを参照されたい
・TNFの低減を標的とした生物学的薬剤(限定するものではないが、インフリキシ
マブ、SCゴリムマブ、セルトリズマブぺゴオール、エタネルセプト、yisaipu、
CT-P13[Remsima(登録商標)]及びアダリムマブが挙げられるが、これら
に限定されない)
・IL-1ra(アナキンラ)
・トシリズマブ、又はIL-6又はIL-6受容体を標的とする任意の他の生物学的
標的化
・トファシチニブ又は任意の他のJAK阻害剤
・B細胞枯渇剤(卵、リツキシマブ)
・シクロホスファミド、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、又は他のアル
キル化剤などの細胞毒性薬物
・アバタセプト
・ウステキヌマブ
・抗IL-17剤(卵、ブロダルマブ、セクキヌマブ、及びイキセキズマブ)
・治験薬
3.研究中に生ウイルス又は生細菌ワクチン接種を受けないことに同意しなければなら
ない。対象はまた、試験薬剤の最後の投与を受けた3ヶ月後に生ワクチンを受けないこと
も同意しなければならない。スクリーニングの12ヶ月以内にBCGワクチン接種を受け
たことがないでなければならない。
4.試験薬剤以外の治験医療装置又は治験薬を、研究期間にわたって受けないことに同
意しなければならない。
5.アスピリン及び選択的COX-2阻害剤を含むNSAIDで治療された対象、及び
他の鎮痛剤は、研究が行われている国で承認された通常の市販用量を受けるべきである。
NSAID及び他の鎮痛剤の処方は、試験薬の最初の投与前の少なくとも2週間調節され
るべきではなく、16週目まで、対象が容認できない副作用を生じた場合にのみ変更され
てもよい。16~60週目の後、1回用量の減少が許容される。そうでなければ、NSA
ID及び他の鎮痛剤の処方は、対象が容認できない副作用を生じた場合にのみ変更されて
もよい。
カプサイシン及びジクロフェナクを含む局所鎮痛剤の使用が許容される。
6.経口コルチコステロイドで治療された対象は、試験薬剤の最初の投与前の少なくと
も2週間にわたって、1日当たり≦10mgのプレドニゾンに相当する安定投与量を受け
、この用量を16週目に投与し続ける必要がある。16週目及び60週目に、経口コルチ
コステロイドの1回用量の減少が許容される。そうでなければ、経口コルチコステロイド
の用量及び種類は、対象が容認できない副作用を生じた場合にのみ、研究者の裁量で変更
されてもよい。
コルチコステロイドの硬膜外投与、IM又はIV投与は、試験薬剤の最初の投与前の4
週間以内には許容されず、研究全体を通して治療を許可されていない。全ての試みは、A
S以外の指標のための試験中に、硬膜外、IM、及びIVコルチコステロイドの使用を避
けるために行われるべきである。長期(2週間超)の経口又はIVコルチコステロイドは
、60週目には許容されないもの以外の指標に使用される。治療医師の意見において、A
S以外の指標に使用される短期(≦2週間)経口、IV、IM、又は硬膜外コルチコステ
ロイドは、適切な代替物が存在しない状況に限定されるべきである。
関節内ステロイドは、試験薬剤の最初の投与の4週間前に投与されるべきではない。特
に研究の最初の16週間の間、関節内コルチコステロイド注射を回避する試みがなされな
ければならない。しかしながら、必要であれば、対象は、試験の60週間の間、2つ以下
の影響を受けた部位で、2つ以下の関節内、腱鞘、又は滑液嚢コルチコステロイド注射を
受けてもよい。
7.伝統的医学(卵、漢方薬、鍼療法、アーユルヴェーダ医学)を含むがこれらに限定
されない、AS疾患活動性又は評価に影響を及ぼし得る補完療法の使用は、60週目まで
禁じられている。
【0370】
事前研究及び併用療法
全ての努力は、第16週を通して安定した、又はASの治療のために指定された、対象
の併用薬を維持するために、全ての努力を行うべきである。併用薬投与量は低減されても
よく、又は異常な検査室値、副作用、同時病気、又は手術治療の性能のために一時的に中
断され得るが、変化の変化及び理由は、対象の医療記録において明確に文書化されるべき
である。
【0371】
対象は、60週の研究期間中に、ASの新たな治療を開始するべきではない。
【0372】
併用薬レビューは、時間及びイベントスケジュールにおいて特定された研究訪問におい
て行われる。
【0373】
メトトレキサート、スルファサラジン、又はヒドロキシクロロキン
対象は、安定した用量のMTX、SSZ、又はHCQに試験を入れることが可能である
【0374】
対象がMTX、SSZ、又はHCQを使用している場合、治療は、試験薬剤の最初の投
与の少なくとも3ヶ月前に開始されるべきである。投与のMTX経路及び投与量≦25m
g/週は、試験薬剤の最初の投与前の少なくとも4週間にわたって安定であるべきである
。この試験でMTXを摂取した全ての対象は、少なくとも5mgの経口葉酸又は5mgの
葉酸を毎週受容することが推奨される。SSZ又はHCQを使用する場合、対象はまた、
試験薬剤の最初の投与前の少なくとも4週間にわたって安定用量を受けていなければなら
ない。
【0375】
MTX、SSZ、又はHCQで治療しない対象は、試験薬剤の最初の投与の少なくとも
4週間前に治療を中止しなければならず、60週目までMTX、SSZ、又はHCQを受
けてはならない。
【0376】
全ての努力は、この薬剤を受けている対象における試験の60週目に、MTX、SSZ
、及びHCQの投与の安定投与及び投与経路を維持するために行われるべきである。MT
X毒性の場合の用量調整に関するガイドラインは、Trial Center File
に含まれる。
【0377】
コルチコステロイド治療
ASのための経口コルチコステロイドで治療された対象は、試験薬剤の最初の投与前の
少なくとも2週間にわたって、1日当たり10mgのプレドニゾンに相当する安定投与量
を受けるべきであり、この投与量を16週まで投与し続ける。16週目及び60週目に、
経口コルチコステロイドの1回用量の減少が許容される。そうでなければ、経口コルチコ
ステロイドの用量及び種類は、対象が容認できない副作用を生じた場合にのみ、研究者の
裁量で変更されてもよい。ベースラインで経口コルチコステロイドで治療されていない対
象は、研究薬の最初の投与の少なくとも2週間前にASのための経口コルチコステロイド
を中止しなければならず、60週目まで経口コルチコステロイドを受けてはならない。
【0378】
ASの治療のためのコルチコステロイドの静脈内、筋肉内、又は硬膜外投与は60週ま
で許可されていない。
【0379】
AS以外の指標に使用される長期(2週間超)の経口又はIVコルチコステロイドは、
60週目には許容されない。治療医師の意見において、AS以外の指標に使用される短期
(≦2週間)経口、IV、IM、又は硬膜外コルチコステロイドは、適切な代替物が存在
しない状況に限定されるべきである。吸入、耳、眼、鼻腔内、及びコルチコステロイドの
粘膜送達の他の経路は、研究の過程を通して許容される。
【0380】
特に研究の最初の16週間の間、関節内コルチコステロイド注射を回避する試みがなさ
れなければならない。しかしながら、必要であれば、対象は、試験の60週間の間、2つ
以下の影響を受けた部位で、2つ以下の関節内、腱鞘、又は滑液嚢コルチコステロイド注
射を受けてもよい。単一の関節において重度の圧痛又は腫れがある場合、対象は、関節内
コルチコステロイド注射を受ける前に感染について評価されることが勧められる。
【0381】
非ステロイド性抗炎症性薬物及び他の鎮痛薬
安定した用量のNSAID及び他の鎮痛剤の使用が許容される。
【0382】
アスピリン及び選択的シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤を含むNSAIDで治療された
対象、並びに他の鎮痛剤は、研究が行われている国で認可されている通常の市販用量を受
けるべきであり、試験薬剤の最初の投与の少なくとも2週間前に安定投与量であるべきで
ある。16週目に、NSAID及び他の鎮痛剤の用量及び種類は、対象が容認できない副
作用を生じた場合にのみ変更されてもよい。16週目の後及び第60週まで、1回用量減
少が許容される。そうでなければ、NSAID及び他の鎮痛剤の処方は、対象が容認でき
ない副作用を生じた場合にのみ変更されてもよい。
【0383】
カプサイシン及びジクロフェナクを含む局所鎮痛剤の使用が許容される。
【0384】
この試験では、アスピリンは、心臓血管又は脳血管疾患のために処方された低用量アス
ピリンを除いて、NSAIDと見なされる。
【0385】
疾患修飾性抗リウマチ薬/全身性免疫抑制薬
MTX、SSZ、及びHCQを除く疾患修飾性抗リウマチ薬/全身性免疫抑制薬は、試
験薬剤の最初の投与の少なくとも4週間前に中止しなければならず、60週目までは禁止
されている。これらのDMARDとしては、クロロキン、金製剤、ペニシラミン、及びレ
フルノミドが挙げられるが、これらに限定されない。被験体が試験薬の最初の投与前3ヶ
月以内にレフルノミドを投与された場合、被験体は薬物排除手順を受けたにちがいない。
60週までの禁忌の全身性免疫抑制薬には、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノ
ール酸モフェチル、及びアザチオプリンが含まれるが、これらに限定されない。全身性免
疫抑制剤は、コルチコステロイドを指すものではない。
【0386】
生物学的薬剤、細胞毒、又は治験薬
生物学的薬剤(卵、SCゴリムマブ、アナキンラ、エタネルセプト、アダリムマブ、イ
ンフリキシマブ、アレファセプト、エファリズマブ、リツキシマブ、ナタリズマブ)、細
胞毒(卵、クロラムブシル、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスター、他のアルキ
ル化剤)、又は治験薬は研究の60週の間に許可されていない。これらの薬物のいずれか
が使用されている場合、対象は更なる試験薬の注入を中止されるであろう。
【0387】
補完療法
60週間の研究期間中は、アーユルヴェーダ医学、漢方薬、又は鍼などの非薬物療法を
含む補完療法の使用は認められていない。
【0388】
研究評価
有効性
評価
Bath強直性脊椎炎疾患活動性インデックス
BASDAI14は、以下に定義される:
以下の基準でVAS(0~10cm)を使用した対象の自己評価:
A.疲労
B.脊髄痛
C.関節痛
D.付着部炎
E.定性的な朝のこわばり
F.定量的な朝のこわばり
BASDAI=0.2(A+B+C+D+0.5[E+F])。
【0389】
Bath強直性脊椎炎機能的インデックス
BASFIは、10問の平均(VAS;0~10cm)として表される対象の自己評価
であり、そのうち8つは対象の機能的解剖学的構造に関するものであり、2つは対象の日
常生活に対処する能力に関するものである。スケールに沿った増加は、状態の悪化を示
す。
【0390】
患者の総合評価
患者の疾患活動性の総合評価はVASに記録される(0~10cm;0=非常によく、
10=非常に悪い)。
【0391】
全背部痛
対象は、過去1週間にわたるVAS(0~10cm;0=痛みなし、10=最も激しい
痛み)についてのその平均総腰痛を評価するように求められる。
【0392】
夜の背部痛
対象は、先週のVASで夜間の背部痛を評価するよう求められる(0~10cm;0=
痛みなし、10=最も激しい痛み)。
【0393】
筋骨格の評価
筋骨格系の評価には、BASMIの各構成要素、付着部炎指数、及び胸部拡張が含まれ
る。
【0394】
筋骨格評価を実施する際に適切な訓練及び経験を有する独立した筋骨格評価因子(inde
pendent musculoskeletal assessor、IMA)は、全ての筋骨格評価を行うために各試験
実施機関で指定される。対象についてのベースライン筋骨格評価を行う同じIMAはまた
、52週目までの全ての後続の訪問において、その対象について筋骨格評価を実施すべき
であることが強く推奨される。
【0395】
スポンサーは、各部位における最初の対象のスクリーニング前に、各部位の指定された
IMAについてトレーニングを提供する。バックアップIMAは、対象の研究訪問のため
の筋骨格評価を行う前にトレーニングを完了しなければならない。各IMAのトレーニン
グ文書は、研究部位で維持されるべきである。可能な場合、試験実施機関における独立し
た評価者は、研究中に変更されるべきではない。
【0396】
過去3年間に過去の臨床試験でスポンサーによってIMAがトレーニングされ、このト
レーニングの十分な文書化(認定)がある場合、そのトレーニングはこの研究に適してい
ると見なされる。ただし、試験開始前にトレーニングを繰り返すことを勧める。
【0397】
ある機関で筋骨格評価を行っている全てのIMAは、試験実施機関の委任ログに記載さ
れている必要があり、訪問ごとにソースドキュメントに文書化されている必要がある。
【0398】
28週以降、筋骨格系の評価者はもはや独立している必要はない。しかしながら、筋骨
格系の評価者を試験中に変更しないことが推奨される。
【0399】
Bath強直性脊椎炎計測(Metrology)インデックス
BASMIは、5つの要素(0~10の範囲)の総合スコアとして表され、表6に示す
ようにファンデルハイデ計算を使用して計算される。
【0400】
【表8】
外側腰椎屈曲、耳珠から壁までの距離、及び頸椎回転については、左右の平均をとる
必要がある。スコアが0~10の範囲を超える場合は、それぞれ0又は10の値を使用す
る必要がある。
【0401】
BASMIlinは、5つのSスコアの平均である。
【0402】
5つの成分の評価(A)は部位で収集され、スコア(S)は、分析が行われたときの評
価に基づいてプログラム的に計算される。
【0403】
強直性脊椎炎応答基準における評価
ASAS国際作業部会(ASAS 20)の基準による応答の20%の改善1、23、
33は、次のように定義される:
1.以下の4つのドメインのうち少なくとも3つにおいて、0~10cmスケールでベ
ースラインから20%以上の改善、及び1以上のベースラインからの絶対的な改善:
i.患者のグローバル
ii.全背部痛
iii.機能(BASFI)
iv.炎症(朝のこわばりに関するBASDAIの最後の2つの質問の平均)
2.潜在的な残りのドメインにおけるベースラインからの劣化(≧20%、及び0~1
0cmスケールで少なくとも1の悪化)。
【0404】
ASAS40は、4つのドメインの3つにおける≧40%の改善として定義され、0~
10cmのスケールで少なくとも2の絶対的な改善、及び残りのドメインにおける劣化は
ない。
【0405】
ASAS 5/6は、疼痛(VAS 0~10cm)、患者全体(VAS 0~10c
m)、機能(BASFIスコア)、朝のこわばり(BASDAI)、CRP、及び脊椎の
可動性(腰椎側屈)の6つのドメインのいずれか5つにおける≧20%の改善として定義
される。
【0406】
低い疾患活動性
低レベルの疾患活動性は、上述の4つのASASドメインのそれぞれにおいて0~10
cmのスケールで2未満の値として定義される「ASAS部分寛解」の基準によって測定
される。
【0407】
強直性脊椎炎の疾患活動性スコア
強直性脊椎炎評価学会(ASAS)の評価は、ASで使用するための疾患活動性スコア
(DAS)、ASDASを開発した。21、32この研究のために、以下の式を使用して
ASDASスコアを計算する。
【0408】
ASDAS=0.121×全背部痛+0.058×朝のこわばりの持続時間+0.11
0×患者総合評価+0.073×末梢疼痛/腫脹+0.579×Ln(CRP(mg/L
)+1)。
【0409】
ASDASの主な改善は、減少≧2.0.として定義される。非活動性疾患は、ASD
ASスコア<1.3として定義される。
【0410】
ASDASにおける臨床的に重要な改善は、減少≧1.1として定義される。
【0411】
付着部炎指数
付着部炎は、AS及び他の脊椎関節症の重要な特徴である。本研究では、臨床研究で使
用されている現在のカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California
San Francisco、UCSF)の付着部炎指数が実施される。6,15IMAによる列挙さ
れた靭帯付着部の評価は、合計付着部炎スコアの決定を可能にする(表7)。
【0412】
【表9】
【0413】
靭帯付着部は、0(圧痛なし)又は1(圧痛あり)のいずれかとしてスコア化される。
【0414】
胸郭の拡張
胸郭の拡張は、cmで表される、最大吸息及び最大呼気における胸郭の円周間の差であ
る。男性の第4肋間腔のレベル、及び女性の乳房の真下のレベルで測定される。
【0415】
36項目略式健康調査
医療アウトプット研究の健康指標SF-36アンケートは、ランド医療保険実験の一部
として開発され、8つのマルチアイテムスケールからなる。
・健康問題による身体的機能の制限
・身体的な健康問題による日常的役割の活動の制限
・身体の痛み
・全般的な精神的健康状態(心理的窮迫及び健康な状態)
・個人的又は感情的な問題による日常的役割の活動の制限
・身体的又は精神的健康問題による社会的機能の制限
・活力(エネルギー及び疲労)
・全般的な健康状態の認識
【0416】
これらのスケールは、0~100でスコア化され、より高いスコアはより良好な健康を
示す。別のアルゴリズムでは、2つの集計スコア、身体的健康度(Physical Component S
ummary、PCS)及び精神的健康度(Mental Component Summary、MCS)が得られる。
これらのサマリースコアはまた、米国の総人口基準に基づいて、より良好な健康を示す高
いスコアでスケーリングされるが、線形変換が、スコアを50の平均及び10,の標準偏
差に変換するために実行されるノルムベースのシステムを使用してスコア化される。35
SF-36によって測定される概念は、任意の年齢、疾患、又は治療群に特異的ではなく
、異なる疾患の相対的な負担と、異なる治療の相対的な利益との比較を可能にする。36
【0417】
医学的転帰研究睡眠スケール
睡眠問題の程度は、MOS-SSを使用して評価される。17MOS-SSは、開始、
維持(卵、眠り)、量、妥当性、眠り(卵、眠気)、及び呼吸障害(卵、息切れ、いびき
)を含む、6次元の睡眠を測定し、呼吸障害(卵、息切れ、いびき)を含む睡眠の6次元
を測定する。MOS睡眠スケールは、一般的な健康指標であり、健康状態及び治療によっ
て直接影響されることが知られている健康関連の生活の質(health-related quality of
life、HRQOL)概念-睡眠を評価することであり、疾患及び治療によって直接影響を
受けることが知られている。したがって、MOS-SSは、任意の年齢、疾患、又は治療
群に特有ではない。MOS-SSの信頼性及び妥当性は、神経障害性疼痛及びRAを含む
多数の疾患領域において評価されている。
【0418】
強直性脊椎炎の生活の質(ASQoL)アンケート
強直性脊椎炎の生活の質は、自己管理患者報告転帰手段である。12それは、睡眠、気
分、動機、対処能力、日常生活の活動、自立、人間関係、社会生活への痛みの影響に関す
る質問に対して、「はい」又は「いいえ」の回答を要求する18項目で構成されている。
1のスコアは、各アイテム上の「はい」の応答に与えられ、全ての項目スコアは、0~1
8の範囲の合計スコアに合計される。より高いスコアは、健康に関係する生活の質を悪化
させることを示す。対象は、この手段を4分未満で完了させることができる。
【0419】
EQ-5Dアンケート
EuroQol-5D(EQ-5D)は、EuroQoL群によって開発された健康状
態の標準化された尺度であり、臨床的及び経済的な評価(EuroQoL Group、
1990)の健康の単純な一般的尺度を提供する。13EQ-5Dは、広範な健康状態及
び治療に適用可能である。EQ-5Dは、本質的に、2つの要素:EQ-5D記述系及び
EQ視覚類似体スケール(EQ VAS)から本質的になる。EQ-5D記述系は、以下
の5次元:移動性、自己ケア、通常の活動、疼痛/不快感、及び不安/うつ病を含む。各
次元は、問題なし、わずかな問題、中程度の問題、深刻な問題、及び極端な問題の5レベ
ルである。レスポンデントは、5つの次元のそれぞれにおいて最も適切な陳述に対して、
ボックス内の身長を目印する(又は十字を配置する)ことによって、自分の健康状態を示
すように依頼される。この決定は、その次元に対して選択されたレベルを表す1桁の数を
もたらす。5次元の桁は、応答者の健康状態を記述する5桁の数字で組み合わせることが
でき、これは、それぞれの次元のレベルのそれぞれに値(重みとも呼ばれる)を取り付け
る式を適用することにより、1つの要約インデックス(EQ-5Dインデックス)に変換
され得る。EQ VASは、回答者の自己評価による健康状態を縦線で記録する。VAS
では、エンドポイントに「最良の健康状態」及び「最悪の健康状態」と表示される。EQ
VASは、個々の応答者によって判定される健康結果の定量的尺度として使用すること
ができる。
【0420】
エンドポイント
一次エンドポイント
この研究の一次エンドポイントは、16週目にASAS20応答を達成する対象の割合
である。
【0421】
試験は、16週目のASAS20を有する対象の割合が、プラセボ群と比較してゴリム
マブ群において統計的に有意に大きくなることが実証される場合、陽性であると考えられ
る。
【0422】
主要な二次エンドポイント
以下の主要な二次エンドポイントは、以下に指定されるように重要な順序で列挙される

1.16週目にASAS40応答を達成した対象の割合
2.16週目にBASDAIにおけるベースラインから少なくとも50%の改善を達成
する対象の割合
3.16週目にBASFIにおけるベースラインからの変化
【0423】
他の二次エンドポイント
制御された二次エンドポイント(複数のタイプIの誤り率の制御を伴う)。
以下の制御された二次エンドポイントは、一次及び主要な二次エンドポイントに加えて
分析され、以下に指定されるように重要な順序で列挙される。
1.16週目のSF-36 PCSにおけるベースラインからの変化
2.16週目のSF-36 MCSにおけるベースラインからの変化
3.16週目に低レベルの疾患活動性(ASAS部分寛解)を達成する対象の割合
4.16週目のASQoLにおけるベースラインからの変化
5.16週目のBASMIにおけるベースラインからの変化
【0424】
多数を制御するために、一次及び全ての主要な二次エンドポイントが統計的有意性を達
成するときにのみ、上記の順序に従って順次試験される。
【0425】
他の二次エンドポイントが含まれる。
一次、主要二次、及び制御された二次エンドポイントに加えて、以下のエンドポイント
が評価される。
1.2週目にASAS20応答を達成する対象の割合。
2.ASAS20応答及びASAS40応答を経時的に達成する対象の割合。
3.低疾患活性を達成する対象の割合(ASAS部分寛解)。
4.BASFIにおけるベースラインの経時的な変化。
5.BASMIにおけるベースラインからの経時的な変化
6.SF-36のPCS及びMCSスコアにおけるベースラインからの経時的な変化。
7.経時的に<3のBASDAIスコアを達成する対象の割合。
8.ASDASにおけるベースラインからの経時変化
9.経時的にASDAS主改善(減少≧2.0)を達成する対象の割合。
10.ASDAS非活動性疾患(<1.3)を経時的に達成する対象の割合。
11.ベースラインで付着部炎を有する対象における付着部炎スコアにおけるベースラ
インからの経時的な変化。
12.ASQoLスコアにおけるベースラインからの経時的な変化。
【0426】
対象の完了/離脱
完了
対象は、研究の60週目で評価を完了した場合、試験を完了したと考えられる。いずれ
の理由についても、研究治療を時期尚早に中止する対象は、研究を完了しているとは見な
されない。
【0427】
試験からの離脱
以下の理由のいずれかの場合、対象は試験から離脱させられる。
・フォローアップの喪失
・同意の撤回
・死亡
【0428】
対象がフォローアップまで失われた場合、対象に接触し、中止/離脱の理由を決定する
ために、試験実施機関の担当者によってあらゆる合理的な努力が行われなければならない
。以下のように取られた測定値は文書化されなければならない。
【0429】
対象が試験を完了する前に離脱する場合、離脱の理由は、eCRF及びソース文書にお
いて文書化されるべきである。離脱した対象に割り当てられた試験薬は、別の対象に割り
当てられなくてもよい。離脱する対象は交代されない。治療終了前に対象が試験薬剤投与
を中止した場合、治療後評価を得る必要がある。
【0430】
主研究に残ったまま任意選択の研究試料の収集への参加の撤回
対象は、試験に残ったまま、任意選択の研究試料についての同意を撤回することができ
る。そのような場合、任意の研究試料が破棄される。試料破壊プロセスは、上記のように
進む。
【0431】
将来の研究における試料の使用の撤回
対象は、研究のために試料を使用するために同意を撤回することができる。そのような
場合、試料は、臨床試験に必要とされなくなった後に破棄される。研究のための試料保持
の詳細は、任意の研究試料について、主ICF及び別個のICFに提示される。
【0432】
統計的方法
連続変数のn、平均、SD、中央値、IQ範囲、最小値、及び最大値、並びに離散変数
の数及び割合などの単純な記述要約統計を使用して、ほとんどのデータを要約する。
【0433】
特に明記しない限り、抗TNFα療法の以前の使用によって階層化されたコクラン-マ
ンテル-ヘンツェル(CMH)検定を使用して、治療に応答する対象の割合などのカテゴ
リー変数を比較する。一般に、抗TNFα療法を因子として使用する前のANOVAは、
特に明記しない限り、連続変数を分析するために使用される。全ての統計的試験は、α=
0.05(両側検定)で行われる。統計分析に加えて、グラフデータ表示(卵、折れ線グ
ラフ)及び対象リストもまた、データを要約/提示するために使用され得る。
【0434】
対象情報の効力解析及び概要は、意図的な治療集団(即ち、全ての無作為化対象)に基
づく。効力解析に含まれる対象は、割り当てられた治療を受けるか否かにかかわらず、割
り当てられた治療群に従って要約される。
【0435】
安全性及びPK分析は、試験治療の少なくとも1回の投与を受けた全ての対象を含む。
【0436】
効力解析
一次エンドポイント分析
この研究の一次エンドポイントは、16週目にASAS20応答を達成する対象の割合
である。
【0437】
主要な目的に対処するために、16週目にASAS20応答を達成する対象の割合は、
0.05(2面)の有意水準で抗TNFα療法(はい又はいいえ)を使用して階層化され
たCMH試験を用いて、プラセボ群とゴリムマブ群との間で比較される。
【0438】
この主有効性分析では、全ての無作為化された対象からのデータは、それらの実際の治
療を受けたかにかかわらず、それらの割り当てられた治療群に従って分析される。対象が
16週目に少なくとも1つのASAS構成要素についてのデータを有する場合は、最終観
測代入(LOCF)手順を使用して、欠落しているASAS構成要素を帰属させる。対象
が16週目に全てのASAS構成要素についてのデータを有しない場合、対象は非応答者
と見なされる。更に、治療失敗規則が適用される。
【0439】
加えて、サブグループ分析は、人口統計的特性、ベースライン疾患特性、及びベースラ
イン薬剤による一次有効性エンドポイントにおける一貫性を評価するために行われる。サ
ブグループと治療群との間の相互作用検定も、必要に応じて提供される。
【0440】
主要な二次分析
以下の主要な二次分析は、以下に指定されるように重要な順序で行われる。
1.16週目にASAS40を達成する対象の割合をまとめて、治療群間で比較する。
2.16週目にBASDAIのベースラインから少なくとも50%の改善を達成する対
象の割合をまとめて、治療群間で比較する。
3.16週目のBASFIにおけるベースラインからの変化をまとめて、治療群間で比
較する。
【0441】
2つの治療群(1つの統計的比較)のみが存在するため、各有効性エンドポイント内で
多数を調節する必要はない。
【0442】
多数のタイプI誤り率を制御するために、第1の主要な二次エンドポイントは、一次エ
ンドポイントが0.05の有意水準(両側検定)で統計的有意性を達成した場合にのみ試
験される。次の主要な二次エンドポイントは、一次エンドポイント及び前述の主要な二次
エンドポイント(複数可)が、0.05の有意水準(両側検定)で統計的に有意である場
合にのみ試験される。
【0443】
他の計画の効力解析
制御された二次エンドポイント(複数のタイプIの誤り率の制御を伴う)
以下の効力解析は、一次及び主要な二次分析に加えて行われる。
1.16週目におけるSF-36 PCSにおけるベースラインからの変化を要約し、
治療群間で比較する。
2.16週目におけるSF-36 MCSにおけるベースラインからの変化を要約し、
治療群間で比較する。
3.16週目に低レベルの疾患活性(ASAS部分寛解)を達成する対象の割合を要約
し、治療群間で比較する。
4.16週目におけるASQoLにおけるベースラインからの変化を要約し、治療群間
で比較する。
5.16週目におけるBASMIにおけるベースラインからの変化を要約し、治療群間
で比較する。
【0444】
多数を制御するために、上記の分析は、全ての一次及び主要な二次エンドポイントが統
計的有意性を達成したときにのみ、上記の順序に従って順次実施される。そうでなければ
、公称P値が提供される。
【0445】
他の二次エンドポイントが含まれる。
以下のエンドポイントは、治療群によって要約される。エンドポイントの訪問が指定さ
れていない場合、要約は52週まで経時的である。治療群間の比較は、16週目の前及び
16週目の訪問時に行われる。
1.2週目にASAS20応答を達成する対象の割合は、治療群によって要約され、群
間で比較される。
2.ASAS20応答及びASAS40応答を達成する対象の割合。
3.低疾患活性を達成する対象の割合(ASAS部分寛解)。
4.BASFIにおけるベースラインの変化。
5.BASMIにおけるベースラインからの変化。
6.SF-36のPCS及びMCSスコアにおけるベースラインからの変化。
7.<3のBASDAIスコアを達成する対象の割合。
8.ASDASにおけるベースラインからの変化。
9.ASDAS主要改善を達成した対象の割合(減少≧2.0)。
10.ASDAS非活動性疾患を達成する対象の割合(<1.3)。
11.ベースラインにおいて付着部炎を有する対象における付着部炎スコアにおけるベ
ースラインからの変化。
12.ASQoLスコアにおけるベースラインからの変化。
【0446】
エンドポイントの基準
試験は、16週目のASAS20を有する対象の割合が、プラセボ群と比較してゴリム
マブ群において統計的に有意に大きくなることが実証される場合、陽性であると考えられ
る。
【0447】
試験薬物情報
試験薬の物理的記述
ゴリムマブ
IV投与用の50mgゴリムマブ最終バイアル製品(FVP)は、4mLのI型ガラス
バイアル中にCNTO 148 IgGを含有する使い捨て滅菌溶液として供給される。
各バイアルは、pH5.5のヒスチジン、ソルビトール、及びポリソルベート80の水性
媒体中の12.5mg/mLゴリムマブの4mL溶液を含む。防腐剤は存在しない。
【0448】
プラセボ
通常の生理食塩水が、単回使用注入バッグ内でIV注入用の滅菌液体として供給される
。防腐剤は存在しない。
【0449】
調製、ハンドリング、及び保存
試験現場では、ゴリムマブ溶液のバイアルを2~8℃(35.6~46.4°F)の安
全な冷蔵庫に保管し、凍結せず、遮光する。製品の激しい振とうを避けるべきである。投
与前に、製品は、粒子状物質及び変色に関して視覚的に検査されるべきである。変色、可
視粒子、又は他の異物が溶液中に観察される場合、製品は使用されるべきではない。
【0450】
ガラスバイアル瓶中の試験薬剤は、使用の準備が整う。試験薬剤のIV注入は、盲検薬
剤師又は他の適切に許諾された及び許可された人員によって、対象の体重に従って調製さ
れる。薬剤師又は他の適切に許諾され、認可された職員は、適切な数のバイアルを使用し
て必要な量の試験薬剤を調製する。
【0451】
無菌手順は、試験材料の調製及び投与中に使用されなければならない。日光への曝露は
、調製及び投与中に回避されるべきである。
【0452】
結果及び結論
活動性強直性脊椎炎を有する成人患者における静脈内ゴリムマブの安全性及び有効性の
ための28週までの結果:
序論
GO-ALIVEは、活動性ASを有する成人患者におけるIVゴリムマブの安全性と
有効性を評価するためにデザインされたフェーズ3多施設共同無作為化二重盲検プラセボ
対照試験である。患者(18歳以上)は明確なAS(改訂ニューヨーク基準に従って)及
びBASDAI≧4、総腰痛視覚的アナログスケール≧4、及びCRP≧0.3mg/d
Lの診断を受けた。患者は、0週目、4週目及び8週ごとのIVゴリムマブ2mg/kg
、又は16週目にゴリムマブにクロスオーバーする0週目、4週目、及び12週目のプラ
セボに無作為化された(1:1)。最大20%の患者は、以前の抗TNF薬(ゴリムマブ
以外)を有し得、患者の最大10%は、脊椎の完全な強直性を有し得る。一次エンドポイ
ントは、16週目におけるASAS20であった。主要な二次エンドポイントは、16週
目におけるASAS40、BASDAI50、及びBASFIスコアの変化であった。他
の統計的に制御された評価はBASMI、ASAS部分寛解、SF-36 PCS/MC
S、及びASQoLであった。患者は、有害について監視され、28週目までのデータを
ここに報告する。全ての研究者及び何人かのスポンサー職員は、研究の終了(60週目)
まで治療群について盲検化されたままである。したがって、個々の患者に対する治療群の
割り当ては、ここでは報告されていない。
【0453】
結果:
208人の患者を無作為化し、試験薬剤を受けた(プラセボ:103;ゴリムマブ:1
05)。ベースラインの人口統計学的及び疾患の特徴は治療群間で類似していた。患者の
78%は男性であり、平均年齢は39歳であった。平均疾患期間は5.5歳、89.9%
はHLA-B27陽性、5.8%は完全な脊椎強直症、14.4%は以前の抗TNFを使
用した。16週目には、プラセボよりも有意により大きい割合のゴリムマブ患者が、AS
AS20(73.3%対26.2%)、ASAS40(47.6%対8.7%)、及びB
ASDAI 50(41.0%対14.6%)を有した応答(全てp<0.001;表)
。BASFIの減少もゴリムマブで有意に大きかった。16週目では、SF-36 PC
S/MCS及びASQoLの改善は、プラセボ群よりもゴリムマブ群の方が有意に大きか
った。ASK20は2週目という早い時期にゴリムマブの方がプラセボよりも有意に高か
った(37.1%対19.4%;p=0.005)。ゴリムマブ群における応答は、28
週目まで維持された。16週目でゴリムマブに交差したプラセボ患者は、20週目におけ
る臨床応答の改善を有し、これは28週目まで維持された。16週目までに、プラセボ患
者の23.3%、及びゴリムマブ患者の32.4%が、1以上のAEを有していた。感染
症が最も一般的なAEであった(プラセボ、7.8%、ゴリムマブ、11.4%)。28
週目までに、全てのゴリムマブ治療患者の34.8%が1AE以上を示した。鼻咽頭炎(
5.4%)は最も一般的であった。2人の患者(1.0%)にSAEがあった(膵炎、n
=1;肺炎、n=1)。28週目まで、日和見感染症、悪性腫瘍、又は死亡はなく、輸注
反応率は低かった(1.4%)。3名の患者に4つの反応が有したが、深刻又は重度なも
のはなかった。
【0454】
結論:
IVゴリムマブ2mg/kgは、プラセボと比較して、ASの徴候及び症状の低減に有
効であった。ゴリムマブは、28週目まで十分に忍容され、安全性プロフィールは、SC
ゴリムマブを含む他の抗TNFと一致した。
【0455】
【表10】
【0456】
【表11】
【0457】
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図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11A
図11B
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図13B
図13C
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図17
図18
【配列表】
2024170522000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む組成物であって、前記組成物が、IV注入により投与され、前記組成物で治療された患者が、4週間の治療又は2週間の治療でASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0456
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0456】
【表11】

以下の態様を包含し得る。
[1] 活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む組成物であって、前記組成物が、IV注入により投与され、前記組成物で治療された患者が、4週間の治療又は2週間の治療でASDAS不活性疾患(<1.3)を達成する、組成物。
[2] 前記抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±10分にわたって投与される2mg/kgの用量で投与されるように、前記組成物が投与される、上記[1]に記載の組成物。
[3] 前記組成物を、メトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)と共に、又はなしで投与することを更に含む、上記[1]~[2]に記載の組成物。
[4] 活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む組成物であって、前記組成物が、IV注入により投与され、治療の16週目に、前記抗TNF抗体で治療された患者が、BASFI=-2.4±2.1SD、BASMI=-0.4±0.6SD、SF-36 PCS=8.5±7.5SD、SF-36 MCS=6.5±9.1SD、及びASQoL=-5.4±5.0SDからなる群から選択される1つ又は2つ以上の基準におけるベースラインからの平均変化を達成する、組成物。
[5] 前記抗TNF抗体が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±10分にわたって投与される2mg/kgの用量で投与されるように、前記組成物が投与される、上記[4]に記載の組成物。
[6] 前記組成物を、メトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)と共に、又はなしで投与することを更に含む、上記[4]~[5]に記載の組成物。
[7] 活動性強直性脊椎炎の安全かつ効果的な治療に使用するための、配列番号36を含む重鎖(HC)及び配列番号37を含む軽鎖(LC)を有する少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体であって、前記抗TNF抗体が静脈内(IV)注入により投与され、前記治療を受けた患者の≧65%が治療の16週目にASAS20を達成する、少なくとも1つの単離された哺乳類抗TNF抗体。
[8] 前記≧65%の患者が治療の16週目にASAS20を達成し、治療差(プラセボと比較した改善)は≧45%である、上記[7]に記載の抗TNF抗体。
[9] 前記抗体が0週目及び4週目に、次いでその後8週ごと(q8w)に、30±10分にわたって投与される2mg/kgの用量で投与される、上記[7]~[8]に記載の抗TNF抗体。
[10] 前記抗体がメトトレキサート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)と共に、又はなしで投与される、上記[7]~[8]に記載の抗TNF抗体。
【外国語明細書】