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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170568
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】大型薬物の送達改善
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/107 20060101AFI20241203BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20241203BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20241203BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241203BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K9/107 ZNA
A61K9/00
A61K47/42
A61K45/00
A61K31/573
A61K31/07
A61K31/167
A61K38/48
A61K39/395 N
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/14
A61K9/70 401
A61P17/00
A61P17/10
A61P17/14
A61P17/06
A61P17/02
A61P35/00
A61P17/08
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P1/00
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/08
A61P3/06
A61P31/00
A61P31/04
A61P25/14
A61P25/04
A61P27/02
A61P21/00
A61P13/00
A61P21/02
A61P25/00
A61P25/06
A61P25/28
A61P25/16
A61P9/10
A61K8/04
A61K8/64
A61Q19/00
C07K14/00
A61K9/107
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024153896
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2021531637の分割
【原出願日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】62/774,677
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,407
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/808,274
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519180208
【氏名又は名称】エイリオン セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】エデルソン,ジョナサン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大型薬物の経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを向上させるための方法、組成物およびデバイスを提供する。
【解決手段】ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
【請求項2】
マイクロニードルの密度が、約2~約10マイクロニードル/cm2の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロニードルの密度が、約2~約35マイクロニードル/cm2の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むナノエマルションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むマクロエマルションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
非刺激性浸透促進剤の投与をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
非刺激性浸透促進剤が、担体ペプチドおよびコペプチドより選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
非刺激性浸透促進剤が、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有するカチオン性ペプチドおよび正に帯電した担体より選択される、請求項6~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用前に実施する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用後に実施する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
部位のMSCおよび大型薬物を含む組成物の部位への適用が、実質的に同時に生じる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
大型薬物が、ボツリヌス毒素である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
生物学的活性物質と共にボツリヌス毒素を送達することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生物学的活性物質が、ステロイド類、レチノイド類、麻酔剤、充填剤、シリコーンおよび/またはコラーゲンより選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生物学的活性物質が、ヒドロコルチゾン、レチンAおよび/またはリドカインより選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
大型薬物が、抗体薬である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
抗体薬が、抗TNFα抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、抗IL-12抗体、抗IL-17抗体、抗IL-22抗体および抗IL-23抗体より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
抗体薬が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、セルトリズマブペゴール、シプリズマブ、ザノリムマブ、ブリアキヌマブ、セクキヌマブ、ブロダルマブ、フェザキヌマブ、ウステキヌマブおよび/またはグセルクマブの1つ以上でみられるエピトープ結合要素を有する抗体より選択される、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
生物学的活性物質と共に抗体薬を送達することをさらに含む、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
非刺激性浸透促進剤と共に抗体薬を送達することをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
非刺激性浸透促進剤が、コペプチドおよび担体ペプチドより選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
部位のMSCが、複数のニードルを含むデバイスを用いて達成される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
部位が、対象体の筋肉または筋肉群を覆う皮膚表面体である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
部位が、汗腺を含む皮膚表面である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
部位が、皮脂腺を含む皮膚表面である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
部位が、毛包を含む皮膚表面である、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ニードルが、皮膚の角質層を通って突き出るのに十分な長さを有する、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ニードルが、皮膚の真皮中の神経に到達するには不十分な長さを有する、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ニードルの長さが、約10μm~約4000μmである、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ニードルの長さが、約10μm~約800μmである、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ニードルの長さが、約10μm~約500μmである、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ニードルの長さが、約200μm以上である、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ニードルの長さが、約300μm以上である、請求項22~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ニードルの長さが、約500μm以上である、請求項22~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
ニードルの長さが、約200μm、約300μm、約500μm、約800μm、約1000μm、約1100μm、約1200μm、約1300μm、約1400μm、約1500μm、約1600μm、約1700μm、約1800μm、約1900μm、約2000μm、約2100μm、約2200μm、約2300μm、約2400μm、約2500μm、約2600μm、約2700μm、約2800μm、約2900μm、約3000μm、約3100μm、約3200μm、約3300μm、約3400μm、約3500μm、約3600μm、約3700μm、約3800μmまたは約3900μmと等しいかまたはそれより長い、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ニードルが、生体適合性材料から構成される、請求項22~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ニードルが、金属から構成される、請求項22~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
MSCが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回のMNまたはMNアレイの押付けの投与を含み、各押付けが、MNを皮膚に連続的に適用する回数である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
MNアレイが、1回以上の押付け間に回転される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
MNアレイが、1回以上の押付け間に回転されない、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
押付けが、ほぼ同じ部位に行われる、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
押付けが、重複部位に行われる、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
押付けが、異なる部位に行われる、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
MNアレイが、スタンプまたはローラーの形態である、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
押付けが、スタンプするまたはローリングすることにより行われる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
大型薬物が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚に浸透する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
大型薬物が、約5~約60分、約5~約12分、約5~約15分または約15~約30分の投与内で皮膚に浸透する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
大型薬物が、約1、2、3、4、5または6時間の投与内で皮膚に浸透する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ニードルが、少なくとも1つの溶解性ポリマーから構成される、請求項22~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
投与が、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
大型薬物を含む組成物を2用量以上経時的に投与することを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
投与が、同等の処置効果を生じさせるために、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、固定処置用量にわたってより少ない用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
各用量の大型薬物を含む組成物が、特定の時間で離されている、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
特定の時間が、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンを投与するための特定の時間と比較して長い、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
参照処置レジメンが、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
請求項1~56のいずれか一項に記載の方法を含む、皮膚障害を処置する方法。
【請求項58】
皮膚障害が、ざ瘡、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、レイノー症候群、乾癬、光線性角化症、湿疹性皮膚炎、過剰な皮脂産生障害、火傷、紅斑性狼瘡、色素沈着過剰障害、色素沈着減少障害、皮膚癌、皮膚感染症、顔のしわ、見苦しい表情、首のしわ、機能過多の顔のしわ、運動過多性の顔のしわ、広頚筋バンド、および/またはそれらの組合せより選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項1~57のいずれか一項に記載の方法を含む、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、脱毛、レイノー現象、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、骨関節症、紅斑性狼瘡、全身性狼瘡、円板状狼瘡、薬剤誘発性狼瘡、新生児狼瘡、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺障害、喘息、慢性閉塞性肺障害、アミロイド症、全身性アミロイド症、皮膚アミロイド症、癌、皮膚癌、血液癌、肺癌、結腸癌、肺癌、前立腺肥大症、異脂肪血症、高コレステロール血症、感染症、C.ディフィシル感染症、スタフィロコッカス感染症、ジストニア、頭痛、疼痛、関節炎関連疼痛、リウマチ性関節炎関連疼痛、乾癬性関節炎関連疼痛、変形性関節症関連疼痛、特定の眼科的状態、特定の泌尿器学的状態、神経筋疾患、筋肉の痙攣および/または拘縮を伴う状態、斜視、片側顔面痙攣、振戦、痙縮、例えば多発性硬化症により生じるもの、眼窩後筋、神経学的状態、片頭痛または他の頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、または卒中より選択される、障害を処置または予防する方法。
【請求項60】
大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
大型薬物を含む組成物と、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有する複数のマイクロニードルを含むパッチ。
【請求項62】
大型薬物を含む組成物が、ナノエマルションを含む、請求項61に記載のパッチ。
【請求項63】
大型薬物を含む組成物が、マクロエマルションを含む、請求項61に記載のパッチ。
【請求項64】
ニードルが、皮膚の角質層を通って突き出るのに十分な長さを有する、請求項61~63のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項65】
ニードルが、皮膚の真皮中の神経に到達するには不十分な長さを有する、請求項62~64のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項66】
ニードルの長さが、約10μm~約4000μmである、請求項62~65のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項67】
ニードルの長さが、約200μm以上である、請求項62~66のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項68】
ニードルの長さが、約300μm以上である、請求項62~67のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項69】
ニードルの長さが、約500μm以上である、請求項62~68のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項70】
ニードルが、生体適合性材料から構成される、請求項62~69のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項71】
ニードルが、金属から構成される、請求項62~70のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項72】
ニードルが、溶解性ポリマーから構成される、請求項62~70のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項73】
大型薬物が、100KDa以上の分子量を有する、請求項62~72のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項74】
大型薬物が、ボツリヌス毒素である、請求項62~73のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項75】
大型薬物が、抗体薬である、請求項62~73のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項76】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲内のマイクロニードルの穿刺孔サイズを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
【請求項77】
投与が、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
大型薬物を含む組成物を2用量以上経時的に投与することを含む、請求項76~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
投与が、同等の処置効果を生じさせるために、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、固定処置用量にわたってより少ない用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
各用量の大型薬物を含む組成物が、特定の時間で離されている、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
特定の時間が、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンを投与するための特定の時間と比較して長い、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
参照処置レジメンが、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項77~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
大型薬物を含む組成物と、ある部位のマイクロニードルコンディショニングのためのデバイスを含むキットであって、デバイスが、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイである、キット。
【請求項84】
大型薬物を含む組成物が、ナノエマルションを含む、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
大型薬物を含む組成物が、マクロエマルションを含む、請求項83または84に記載のキット。
【請求項86】
デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、請求項83~85のいずれか一項に記載のキット。
【請求項87】
請求項56~68のいずれか一項に記載のパッチを含む、請求項83~86のいずれか一項に記載のキット。
【請求項88】
大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、請求項83に記載のキット。
【請求項89】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を適用する工程を含む方法であって、該部位が、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)でコンディショニングされている、方法。
【請求項90】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を適用する工程を含む方法であって、該部位が、約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲内のマイクロニードルの穿刺孔サイズを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)でコンディショニングされている、方法。
【請求項91】
大型薬物を含む組成物と、ある部位のマイクロニードルコンディショニングのためのデバイスを含むキットであって、デバイスが、約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲内のマイクロニードルの穿刺孔サイズを有するマイクロニードルアレイである、キット。
【請求項92】
大型薬物を含む組成物が、ナノエマルションを含む、請求項91に記載のキット。
【請求項93】
大型薬物を含む組成物が、マクロエマルションを含む、請求項91または92に記載のキット。
【請求項94】
デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、請求項91~93のいずれか一項に記載のキット。
【請求項95】
請求項56~68のいずれか一項に記載のパッチを含む、請求項91~94のいずれか一項に記載のキット。
【請求項96】
大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、請求項91に記載のキット。
【請求項97】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、マイクロニードルアレイの約1回~約13回の押付けが該部位に行われるマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
【請求項98】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、マイクロニードルアレイの約1回~約4回の押付けが該部位の1cm2当たりに行われるマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて、適用する工程を含む方法。
【請求項99】
マイクロニードルアレイの約1~約3回の押付けが、部位の1cm2当たりに行われる、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
マイクロニードルアレイの約1~約2回の押付けが、部位の1cm2当たりに行われる、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約1μm~約700μmの範囲内のマイクロニードルの長さを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて、適用する工程を含む方法。
【請求項102】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約1μm~約500μmの範囲内のマイクロニードルの長さを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて、適用する工程を含む方法。
【請求項103】
ある部位に、100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含む1滴/cm2~約2滴/cm2の約1/100の製品容量のエマルション組成物を、マイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
【請求項104】
ある部位に、100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含む約0.0001mls/cm2~約0.065mls/cm2の製品容量のエマルション組成物を、マイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
【請求項105】
製品容量が、約0.0001mls/cm2~約0.05mls/cm2の範囲内である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むナノエマルションを含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むマクロエマルションを含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
非刺激性浸透促進剤の投与をさらに含む、請求項101~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
非刺激性浸透促進剤が、担体ペプチドおよびコペプチドより選択される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
非刺激性浸透促進剤が、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有するカチオン性ペプチドおよび正に帯電した担体より選択される、請求項108~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用前に実施する、請求項101~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用後に実施する、請求項101~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
部位のMSCおよび大型薬物を含む組成物の部位への適用が、実質的に同時に生じる、請求項101~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
大型薬物が、ボツリヌス毒素である、請求項101~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
生物学的活性物質と共にボツリヌス毒素を送達することをさらに含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
生物学的活性物質が、ステロイド類、レチノイド類、麻酔剤、充填剤、シリコーンおよび/またはコラーゲンより選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
生物学的活性物質が、ヒドロコルチゾン、レチンA、および/またはリドカインより選択される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
大型薬物が、抗体薬である、請求項101~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
抗体薬が、抗TNFα抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、抗IL-12抗体、抗IL-17抗体、抗IL-22抗体および抗IL-23抗体より選択される、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
抗体薬が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、セルトリズマブペゴール、シプリズマブ、ザノリムマブ、ブリアキヌマブ、セクキヌマブ、ブロダルマブ、フェザキヌマブ、ウステキヌマブおよび/またはグセルクマブの1つ以上でみられるエピトープ結合要素を有する抗体より選択される、請求項118~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
生物学的活性物質と共に抗体薬を送達することをさらに含む、請求項118~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
非刺激性浸透促進剤と共に抗体薬を送達することをさらに含む、請求項118~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
非刺激性浸透促進剤が、コペプチドおよび担体ペプチドより選択される、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
部位のMSCが、複数のニードルを含むデバイスを用いて達成される、請求項101~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
部位が、対象体の筋肉または筋肉群を覆う皮膚表面体である、請求項101~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
部位が、汗腺を含む皮膚表面である、請求項101~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
部位が、皮脂腺を含む皮膚表面である、請求項101~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
部位が、毛包を含む皮膚表面である、請求項101~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
ニードルが、皮膚の角質層を通って突き出るのに十分な長さを有する、請求項124~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
ニードルが、皮膚の真皮中の神経に到達するには不十分な長さを有する、請求項124~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
ニードルが、生体適合性材料から構成される、請求項124~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
ニードルが、金属から構成される、請求項124~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
MNアレイが、1回以上の押付け間に回転される、請求項101~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
MNアレイが、1回以上の押付け間に回転されない、請求項101~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
押付けが、ほぼ同じ部位に行われる、請求項134~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
押付けが、重複部位に行われる、請求項134~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
押付けが、異なる部位に行われる、請求項134~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
MNアレイが、スタンプまたはローラーの形態である、請求項134~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
押付けが、スタンプするまたはローリングすることにより行われる、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
大型薬物が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚に浸透する、請求項101~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
大型薬物が、約5~約60分、約5~約12分、約5~約15分または約15~約30分の投与内で皮膚に浸透する、請求項101~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
大型薬物が、約1、2、3、4、5または6時間の投与内で皮膚に浸透する、請求項101~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
ニードルが、少なくとも1つの溶解性ポリマーから構成される、請求項124~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
投与が、約700μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項101、106~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
投与が、約500μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項102、106~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
大型薬物を含む組成物を2用量以上経時的に投与することを含む、請求項101~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
投与が、参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、固定処置用量にわたってより少ない用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
各用量の大型薬物を含む組成物が、特定の時間で離されている、請求項147または148に記載の方法。
【請求項150】
特定の時間が、参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンを投与するための特定の時間と比較して長い、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
参照処置レジメンが、約700μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項145、147~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
参照処置レジメンが、約500μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、請求項147~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
請求項101~152のいずれか一項に記載の方法を含む、皮膚障害を処置する方法。
【請求項154】
皮膚障害が、ざ瘡、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、レイノー症候群、乾癬、光線性角化症、湿疹性皮膚炎、過剰な皮脂産生障害、火傷、紅斑性狼瘡、色素沈着過剰障害、色素沈着減少障害、皮膚癌、皮膚感染症、顔のしわ、見苦しい表情、首のしわ、機能過多の顔のしわ、運動過多性の顔のしわ、広頚筋バンド、および/またはそれらの組合せより選択される、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
請求項101~153のいずれか一項に記載の方法を含む、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、脱毛、レイノー現象、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、骨関節症、紅斑性狼瘡、全身性狼瘡、円板状狼瘡、薬剤誘発性狼瘡、新生児狼瘡、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺障害、喘息、慢性閉塞性肺障害、アミロイド症、全身性アミロイド症、皮膚アミロイド症、癌、皮膚癌、血液癌、肺癌、結腸癌、肺癌、前立腺肥大症、異脂肪血症、高コレステロール血症、感染症、C.ディフィシル感染症、スタフィロコッカス感染症、ジストニア、頭痛、疼痛、関節炎関連疼痛、リウマチ性関節炎関連疼痛、乾癬性関節炎関連疼痛、変形性関節症関連疼痛、特定の眼科的状態、特定の泌尿器学的状態、神経筋疾患、筋肉の痙攣および/または拘縮を伴う状態、斜視、片側顔面痙攣、振戦、痙縮、例えば多発性硬化症により生じるもの、眼窩後筋、神経学的状態、片頭痛または他の頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、または卒中より選択される、障害を処置または予防する方法。
【請求項156】
大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、請求項101~155のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願第62/774,677号(2018年12月3日出願)、第62/789,407号(2019年1月7日出願)および第62/808,274号(2019年2月20日出願)に基づく優先権を主張し、これらすべての全内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0002】
効果的な経皮送達技術の開発に多大なリソースが投資されている。当業者は、特に大型薬物について、効果的な経皮送達を達成することに関連する課題を十分認識している。分子サイズが増加するにつれて、経皮浸透は、ごく僅かになるかまたは存在しなくなるまで減少する。
【発明の概要】
【0003】
経皮投与は、一般的に、注射および経口送達に関連する望ましくない結果がない薬物の代替投与経路を提供しようとする研究の対象となっている。例えば、ニードルは、局所疼痛、出血および皮下出血をしばしば引き起こし、患者を伝染性疾患にさらす可能性があり;経口投与は、患者の胃の極めて酸性な環境のために医薬のバイオアベイラビリティが低いことに悩まされ得る。いくつかの実施態様において、経皮送達は、他の投与経路と比較して、より均一で、規則的でおよび/または一貫した薬物動態プロファイルを有する。
【0004】
多くの利点があるが、経皮薬物送達は、多くのロジスティック上の問題を引き起こす。限られた数の薬物だけが、この経路により投与可能であることが示されている。親水性分子、大型分子構造(例えば数百ダルトンを超える)、遺伝子治療、ワクチンなどを含むがこれらに限定されない活性物質を経皮的に送達することは困難であった。Prausnitz, M. R. & Langer, R. "Transdermal drug delivery," Nat Biotechnol. 26(11): 1261-1268 (2008)。
【0005】
本開示は、目的薬物の経皮送達の改善された技術を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、特定のマイクロニードリング技術と、大型薬物を含む組成物の局所適用との組合せが、局所薬物の送達を促進し得る、および/または他に改善し得ることを教示する。いくつかの実施態様において、このような組成物は、例えば大型薬物を含む、エマルション(例えばナノエマルション)であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、このような組成物は、エマルションを含んでもよくまたは含まなくてもよく、エマルションおよび/または例えば液剤、ゲル剤、クリーム剤、または局所適用に適した他の製剤として製剤化され得る。
【0006】
目的薬物の経皮送達のためにエマルション技術とマイクロニードリング技術を組み合わせることにより様々な利点を達成する最近の技術(例えば国際出願第PCT/US17/53333号参照、出典明示により本明細書の一部とする)が開発され;いくつかの実施態様において、これらの技術は、大型分子構造の経皮送達について特に驚くべき向上を達成できることが示されている。
【0007】
本開示は、特定のマイクロニードルの密度および/または特定のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードリングアプローチを用いたとき、さらに大きな利点が達成されることを開示する。驚くべきことに、本開示は、特に所望の結果が相対的に低い密度および/または相対的に小さい穿刺サイズのマイクロニードリングアプローチで達成されることを教示する。
【0008】
特定の目的薬物の投与に有用であり得る様々なマイクロニードリング技術が開発されている。マイクロニードリングは、より大きなニードルの使用(例えば標準的な注射技術)と関連することが多い特定の欠点(例えば疼痛および/または出血の程度)を回避し得る。マイクロニードリング技術は、1つまたは複数の(例えばアレイの)中空または中実のマイクロニードルを利用し得る。目的薬物は、マイクロニードルの中(例えば、マイクロニードルが中空である場合および/または薬物がマイクロニードル材料に組み込まれている場合)またはその上(すなわち、表面上)に配置され得る、および/または皮膚部位のマイクロニードリング前、その間またはその後に該部位に適用され得る。マイクロニードルの中または上にある薬物は、部位への適用後に、例えばマイクロニードルからの拡散または排出により、またはマイクロニードル材料の破壊および/または崩壊により放出され得る。
【0009】
いくつかの実施態様において、本開示は、マイクロニードリングが皮膚を「コンディショニングする」(特に、大型薬物の投与間に皮膚をプレコンディショニングする)ために用いられる戦略、例えば経皮製品が適用された、適用されているまたは適用されるだろうマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)を提供する。本開示は、本明細書に記載のこのようなマイクロニードルコンディショニング(例えば、相対的に低い密度および/または相対的に小さい穿刺サイズのマイクロニードルコンディショニング)は、驚くべきことに、より高い密度および/またはより大きい穿刺サイズのマイクロニードルコンディショニングアプローチと比較して、大型薬物(例えば分子量が約100KDa以上である)の経皮送達を向上させるのに有意な利益を提供するという知見を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、マイクロニードリングが、大型薬物の送達における驚くべき改善を提供し得ることを教示する。いくつかの実施態様において、本開示は、マイクロニードリング処置が、エマルション組成物(例えばナノエマルション)中の大型薬物の送達に特に有利であり得ることを証明する。
【0010】
小分子(特に、分子量が400~1000Daの範囲である短い親水性のペプチド)の経皮送達を分析する研究は、「ペプチドの皮膚浸透は、その分子量に依存し、分子量の増加につれて減少する」ことを見出しため、以前の報告は、マイクロニードルコンディショニング戦略は、小さい分子量の薬物にのみ有用である可能性が高いことを見出している。Zhang, S., et al., "Enhanced delivery of hydrophilic peptides in vitro by transdermal microneedle pretreatment." Acta Pharmaceutica Sinica B. 4(1):100-104 (2014)。さらに、このような小分子送達に対するマイクロニードルの密度、マイクロニードルの長さ、および/またはマイクロニードルの穿刺サイズの影響を評価する研究は、マイクロニードルの密度が小分子送達および/またはバイオアベイラビリティに影響を及ぼさないこと、および相対的により長いマイクロニードルの長さおよびより大きいマイクロニードルの穿刺サイズが小分子送達および/またはバイオアベイラビリティを改善することを証明した。Yanによる初期の報告(Yan, G., et al., " Evaluation needle length and density of microneedle arrays in the pretreatment of skin for transdermal drug delivery", International Journal of Pharmaceutics, 391: 7-12, 2010)は、「十分長いニードルの長さ(>600μm)を有するマイクロニードルを用いた場合、より低いニードル密度(<2000ニードル/cm2)を有するマイクロニードルアレイが薬物の流れを向上させるのにより効果的であった」と述べていたが、後の研究は、Yanが用いたアプローチに欠陥を特定し、これには、Yanが用いたアッセイは「アーチファクトを生じやすく」、皮膚の張力および/または水和力のレベルの生物学的変化をもたらし得る」ことが含まれる(Donnelly, R.F., et al., Optical coherence tomography is a valuable tool in the study of the effects of microneedle geometry on skin penetration characteristics and in-skin dissolution, Journal of Controlled Release, 147: 333-341, 2010参照)。さらに、Yanによって研究された最低のマイクロニードルの密度(400ニードル/cm2)でさえ相対的に高かった。またさらに、Yan自身が示したデータは、1100μm未満のニードルの長さについて小分子送達(例えば、皮膚を通る「薬物の流れ」)に対してニードルの密度が顕著な影響を及ぼさないことを示している。
【0011】
上記のDonnellyの研究は、(密度または他の因子よりむしろ)マイクロニードル(MN)浸透深さが効率的な薬物浸透性を決定するのに最も重要な因子であることを報告している。Donnellyはまた、「MN間隔の変化が達成される浸透の深さに影響を及ぼさない」ことを証明した。
【0012】
したがって、本開示の前に、当該技術分野は、マイクロニードルの密度の変化が、少なくとも文献で研究された密度レベルでは皮膚を横切った薬物の送達に影響を及ぼすとは予想されないことを示していた。第1の原理では、当然、マイクロニードリングが送達を改善する場合、相対的により高いマイクロニードルの密度(および/または相対的により大きいマイクロニードルの穿刺サイズ)はより効果的であると予想されるかもしれないことが予想されるかもしれない。マイクロニードルの密度およびマイクロニードルの直径の各因子が増加するにつれて、穿刺された皮膚の総表面積が増加し、これにより、より多くの活性成分が皮膚に経皮的に浸透することが可能になることが予想される。しかしながら、本開示は、少なくとも、エマルション(例えばナノエマルション)中の1つおよび/または複数の大型薬物について、相対的により低いマイクロニードルの密度および/または相対的により小さいマイクロニードルの穿刺サイズがより良好な結果を達成するという驚くべき発見を示す。すなわち、驚くべきことに、マイクロニードルにより穿刺される皮膚の総表面積が減少するにつれて、皮膚に適用されるエマルション中の大型薬物のバイオアベイラビリティが増加することを見出した。いくつかの実施態様において、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲のマイクロニードルの密度は、相対的により高いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリングと比較したときでも、経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得る。さらに、本開示は驚くべきことに、約100~約60,000μm2/マイクロニードルの範囲のマイクロニードルの穿刺サイズを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得ることを開示する。また、本開示はさらに、より小さいマイクロニードルの穿刺サイズ(例えば約100~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲)を用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により大きいマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリングと比較したときでも、経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得ることを開示する。いくつかの実施態様において、マイクロニードルの穿刺サイズは、約100~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲であり得る。
【0013】
本開示の前に、当業者は、あらゆる特定のマイクロニードルの密度を用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、大型薬物は言うまでもなく、小分子でさえ経皮送達を向上させるとは予想されないと文献から理解していただろう。本開示は驚くべきことに、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲のマイクロニードルの密度を用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、分子量が約150,000Daであるボツリヌス毒素などの薬物の経皮送達を著しく向上させ得ることを開示する。標準的な抗体はまた、同様の分子量を有する。さらに、本開示は驚くべきことに、約100~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲のマイクロニードルの穿刺サイズを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、このような大型薬物の経皮送達を著しく向上させ得ることを開示する。
【0014】
本開示を読む当業者は、論理的に、マイクロニードルの密度を減少させること、および/またはマイクロニードルの穿刺サイズを減少させることにより、穿刺される総面積を減少させることに加えて、処置領域の皮膚上にマイクロニードルアレイによりまたはそれを用いて行われる押付け(impression)回数を最小限にする(例えば減少させる)ことにより、同等の効果を達成できることを理解する。この理解と一致して、穿刺される総表面積の減少(例えば、少なくとも部分的には(より)小さいマイクロニードルの穿刺サイズにより達成され得て、これは付随的に更なる利点を有し得る)という上記の驚くべき観察に照らすと、本開示はさらに、相対的により小さいマイクロニードルアレイの押付けは、相対的により多い回数の押付けより高いバイオアベイラビリティをもたらし得ることを示す。いくつかの実施態様において、約1押付け/cm2~約5押付け/cm2の範囲のマイクロニードル押付けは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。
【0015】
本開示は、約1押付け/cm2~約4押付け/cm2の範囲のマイクロニードル押付けを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により多い数のマイクロニードル押付けを用いたマイクロニードリングと比較したときでも、経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得ることを示す。いくつかの実施態様において、処置部位に行われる約1押付け~約20押付けの範囲のマイクロニードル押付けは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。さらに、本開示は、処置部位に行われる約1押付け~約13押付けの範囲のマイクロニードル押付けを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により多い数のマイクロニードル押付けを用いたマイクロニードリングと比較したときでも、経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得ることを示す。
【0016】
さらに、本開示を読む当業者は、相対的により高い穿刺される表面と比較して、マイクロニードルの密度を減少させること、マイクロニードルの穿刺サイズを減少させること、および/またはマイクロニードルアレイの押付けを減少させることよって大型薬物を適用する穿刺される総面積を減少させることが、マイクロニードルにより穿刺される皮膚領域に投与される製品総容量(すなわち、大型薬物を含む製品製剤)の減少をもたらすことを理解する。したがって、本開示は、大型薬物の改善された経皮送達および/またはより高いバイオアベイラビリティは、適用される製品総容量(例えば、大型薬物を含む製剤の)を減少させることにより達成され得ることを当業者に教示する。
【0017】
本明細書に具体化された教示がない場合、当業者は、典型的には、より多くの製品を投与すると生物学的効果が増加することを期待するであろう。したがって、本開示の前に、このような適用がMSCと併用する場合、および/またはエマルション(例えばナノエマルション)を含む製品組成物による場合を含む、生物学的活性物質(例えば大型薬物)を含有する製品の量を増加させて適用することは、ますますより大きな生物学的効果を達成するはずであると予想されたであろう。しかしながら、本開示は、驚くべきことに、特定の「臨界」または「閾値」製品容量を超えると、MSCと併用して所与の皮膚処置領域に適用される製品組成物の容量をさらに増加させることで、(効果が増大するのではなく)効果が低下したことを示す。したがって、特定の臨界製品容量を超えると、生物学的活性物質(例えば、大型薬物、特に、エマルションを含む製品組成物の場合を含む)を含有する、増加させた容量の製品組成物の投与(例えばMSCと併用して)は、投与される生物学的活性物質の容量は増加しているにもかかわらず、生物学的効果を減少させる。
【0018】
いくつかの実施態様において、皮膚に、1滴/cm2~約5滴/cm2の約1/100の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、皮膚に、1滴/cm2~約4滴/cm2の約1/100の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、皮膚に、1滴/cm2~約3滴/cm2の約1/100の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、皮膚に、1滴/cm2~約2.5滴/cm2の約1/100の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。本開示は、皮膚に、1滴/cm2~約2滴/cm2の約1/100の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、(例えば、大型薬物の)相対的により高い製品容量(および/または用量)と比較したときでも経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得ることを開示する。
【0019】
いくつかの実施態様において、皮膚に、約0.0001mls/cm2~約0.04mls/cm2の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、皮膚に、約0.0001mls/cm2~約0.05mls/cm2の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、皮膚に、約0.0001mls/cm2~約0.06mls/cm2の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、皮膚に、約0.0001mls/cm2~約0.065mls/cm2の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。さらに、本開示は、皮膚に、約0.0025mls/cm2~約0.07mls/cm2の範囲の(例えば、大型薬物を含む組成物の)製品容量を、マイクロニードルアレイの1つまたは複数の押付けを用いた皮膚のコンディショニングと組み合わせて適用することにより、大型薬物の相対的により高い製品容量(および/または用量)と比較したときでも経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得ることを開示する。
【0020】
本開示の特定の実施態様(例えば、適用される製品組成物の容量を減少させたもの)により提供される利点の中には、局所製剤の投与時間(例えば擦りこみの時間)の短縮がある。すでに述べたように、本開示は、驚くべきことに、局所的に適用される薬物の容量の減少(および/またはいくつかの実施態様において、用量の減少)が、特に(限定されるものではないが)例えば薬物がエマルション(例えばナノエマルション)製剤に適用される場合、実際、皮膚を横切る薬物のより大型送達(例えばバイオアベイラビリティ)を達成できることを示す。
【0021】
先に述べたように、小分子送達におけるマイクロニードルの長さの研究は、相対的により長いマイクロニードルの長さが、小分子送達および/またはバイオアベイラビリティを改善することが証明されている。Yanによる報告(Yan, G., et al., " Evaluation needle length and density of microneedle arrays in the pretreatment of skin for transdermal drug delivery", International Journal of Pharmaceutics, 391: 7-12, 2010)参照。しかしながら、本開示を読む当業者は、穿刺される総面積の減少が、相対的により大きい穿刺される総面積と比較して、経皮送達および/または活性物質(例えば大型薬物のバイオアベイラビリティ)を改善することを理解する。したがって、本開示を読む当業者は、論理的に、大型薬物の改善された経皮送達および/またはより高いバイオアベイラビリティが、マイクロニードル皮膚コンディショニングアレイのマイクロニードルの長さを減少させることにより達成され得ることを理解する。当業者は、マイクロニードルが長いほど、増加した長さを構造的に支持するためにマイクロニードルの基部を大きくしなければならず、ニードルの基部が大きいほど、そのニードルにより作られる穿刺面積が大きくなることを理解する。当業者は、マイクロニードルが長いほど、マイクロニードル自体の表面積が増加するため穿刺される組織の表面積は大きくなることを理解する。本開示は驚くべきことに、相対的により短いマイクロニードルの長さを用いたマイクロニードル皮膚コンディショニングは、相対的により長いマイクロニードルの長さを用いたときより大きいバイオアベイラビリティをもたらし得ることを開示する。いくつかの実施態様において、約1μm~約900μmの範囲のマイクロニードルの長さは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、1400μm未満、いくつかの実施態様において、約1100μm未満または1000μm未満のマイクロニードルの長さが望ましい。実際、本開示は、約800μm以下のマイクロニードルの長さの驚くべき有効性を具体的に示す。いくつかの実施態様において、約15μm~約800μmの範囲のマイクロニードルの長さは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。いくつかの実施態様において、本開示は、約500μm以下のマイクロニードルの長さの驚くべき有効性を示す。いくつかの実施態様において、約15μm~約500μmの範囲のマイクロニードルの長さは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得る。
【0022】
いくつかの実施態様において、マイクロニードルの長さは、約50μm~約900μmの範囲であり得る。いくつかの実施態様において、本開示は、処置部位に行われる、約50μm~約900μm、または約100μm~約700μmの範囲のマイクロニードルの長さを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により長いマイクロニードルの長さを用いたマイクロニードリングと比較したときでも経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得ることを開示する。いくつかの実施態様において、処置部位に行われる、約100μm~約800μmの範囲のマイクロニードルの長さを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により長いマイクロニードルの長さを用いたマイクロニードリングと比較したときでも経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得る。いくつかの実施態様において、処置部位に行われる、約15μm~約500μmの範囲のマイクロニードルの長さを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により長いマイクロニードルの長さを用いたマイクロニードリングと比較したときでも経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得る。いくつかの実施態様において、処置部位に行われる、約800μm未満のマイクロニードルの長さを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、相対的により長いマイクロニードルの長さを用いたマイクロニードリングと比較したときでも経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを著しく向上させ得る。
【0023】
より短いニードルの長さがより効果的送達を達成できる(すなわち、「バイオアベイラビリティの増加」として記載される)という、本明細書で示される予想外の発見により提供される利点の中には、大型薬物の投与のためにマイクロニードル皮膚コンディショニングを受けている(例えば局所処置と組み合わせておよび/またはその一部として)対象体への疼痛の軽減がある。様々な長さ(例えば約500~約1400μmの範囲内を含む)マイクロニードルは、容易に入手可能であり、これらの長さで出血を最小限に抑えるかまたは回避することができるため、特に有用であると説明されている。しかしながら、本開示は、出血がないときでさえ、特に1400μmの長さでは、時にはより短い長さでさえ、著しい疼痛を経験し得ることを理解している。1400μmより極めて短い、いくつかの実施態様において、1100μm未満、1000μm未満、900μm未満またはそれより短いマイクロニードル長さの有効性を示すことによる本開示は、大型薬物、特に(限定されるものではないが)エマルション(またはナノエマルション)製剤の状況で投与される薬物について、局所投与における疼痛を回避または軽減することにおいて重要な利点を提供する。
【0024】
本開示は特に、マイクロニードリング技術(例えば、相対的により低いニードル密度、相対的により小さいマイクロニードルの穿刺サイズ(例えばマイクロニードル当たりの穿刺サイズ)、相対的により少ないマイクロニードル押付け、相対的により小さい製品容量(および/または用量)、および相対的により短いニードルの長さを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニング)は、特に(限定されるものではないが)エマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物および/またはナノエマルション組成物)中の、大型薬物の経皮送達を著しく向上させることができることを示す。例示されるように、例えば、大型薬物(ボツリヌス毒素)の投与前に約31マイクロニードル/cm2未満のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いたマイクロニードルの適用による皮膚のプレコンディショニングは、驚くべきことに、皮膚を横切る大型薬物の送達を向上させた。本明細書に含まれる具体的な例は、様々な条件および/または環境(例えば異なる皮膚部位、適用回数など)下でのこのような送達の向上を示す。当業者は、本開示の範囲内にある他の変形(例えば適用部位、投与回数など)を承知しているだろう。
【0025】
特定の目的ナノエマルション組成物は、直径が約10nm~約300nmの範囲の液滴サイズ、約0.01:1~約20:1の範囲の水性分散媒体対油の比;約0.1~約40の範囲の油対界面活性剤の比および/または約-80mV~約+80mVの範囲のゼータ電位により特徴付けられる油中水型および水中油型のナノエマルションを含む(例えば、PCT/US2006/26918;PCT/US06/46236;PCT/US2012/22276;およびPCT/US2012/22279の1つ以上のナノエマルション組成物の記載を参照、これら各々の開示は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【0026】
本明細書で利用されるナノエマルション組成物中の液滴のものと同等なサイズ(例えば105±2.92nm)の固形ナノ粒子の経皮送達が、小分子薬物でさえ皮膚を横切って経皮的に効果的に送達する(または送達を向上させる)という報告に照らして考慮すると、国際出願第PCT/US17/53333号はすでに、マイクロニードリングとエマルション(例えばナノエマルション)技術の組合せにより達成される特定の驚くべき特徴を記載している。例えば、Gomaaらは、PLGAナノ粒子に封入されたローダミン色素(分子量479Da)の溶液を、マイクロニードリングによりプレコンディショニングされた皮膚に適用し、皮膚浸透を評価した研究を記載した。Gomaa, Y., et al, "Effect of microneedle treatment on the skin permeation of a nanoencapsulated dye." J Pharm Pharmacol. 2012 November ; 64(11): 1592-1602参照。データは、6時間の連続塗布後に極めて少量の色素が皮膚に浸透し始めたことを示し;皮膚が24時間継続的に処置されるまで、浸透の有意な増加は観察されなかった。研究者らは、「NP[ナノ粒子]は、毛包に十分沈着し得るが、通常は角質層に浸透できないという新たなコンセンサスがある」と説明した。したがって、本開示の前に、当業者は、ナノサイズのビヒクルでのマイクロニードリング技術の使用は、小分子薬物(例えばローダミン色素)さえも経皮的に効果的に送達できないと予想するであろう;確かに、大型薬物の送達および/またはバイオアベイラビリティの改善は不可能と考えられていただろう。国際出願第PCT/US17/53333号は、マイクロニードリングが、特にエマルション(例えばナノエマルション)システムと併用して利用したときに、大型薬物の経皮送達を著しく向上させることができることを示す。本開示はさらに、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリングは、特にエマルションシステム(例えばナノエマルションシステム)と併用して利用されるときに、相対的により高いマイクロニードルの密度を利用するときと比較して、著しく、大型薬物の経皮送達を向上させるおよび/またはそのバイオアベイラビリティを改善することができることを示す。いくつかの実施態様において、約40マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約40マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリング、または約35マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約35マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたより良好なマイクロニードリング、または約32マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約32マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリング、または約31マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約31マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリング、または約30マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約30マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリング、または約29マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約29マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリング、または約28マイクロニードル/cm2未満(例えば約2~約28マイクロニードル/cm2の範囲)のマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードリングは、特にエマルションシステム(例えばナノエマルションシステム)と併用して利用されるときに、相対的により高いマイクロニードルの密度を利用するときと比較して、著しく、大型薬物の経皮送達を向上させるおよび/またはそのバイオアベイラビリティを改善することができる。
【0027】
さらに、本開示は驚くべきことに、約100~約60,000μm2/マイクロニードルの範囲のマイクロニードルの穿刺サイズを用いた皮膚のマイクロニードルコンディショニングは、著しい経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを達成し得ることを開示する。また、本開示は、例えば約100~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲の、より小さいマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリングは、特にエマルションシステム(例えばナノエマルションシステム)と併用して利用されるときに、相対的により大きいマイクロニードルの穿刺サイズを利用するときと比較して、著しく、大型薬物の経皮送達を向上させるおよび/またはそのバイオアベイラビリティを改善することができることを開示する。いくつかの実施態様において、約50,000μm2/マイクロニードル未満(例えば約100~約50,000μm2/マイクロニードルの範囲)のマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリング、また約45,000μm2/マイクロニードル未満(例えば約100~約45,000μm2/マイクロニードルの範囲)はマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリング、または約40,000μm2/マイクロニードル未満(例えば約100~約40,000μm2/マイクロニードルの範囲)のマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリング、または約35,000μm2/マイクロニードル未満(例えば約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲)のマイクロニードルの穿刺サイズを用いたより良好なマイクロニードリング、または約30,000μm2/マイクロニードル未満(例えば約100~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲)のマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリング、または約25,000μm2/マイクロニードル未満(例えば約100~約25,000μm2/マイクロニードルの範囲)のマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードリングは、特にエマルションシステム(例えばナノエマルションシステム)と併用して利用されるときに、相対的により大きいマイクロニードルの穿刺サイズを利用するときと比較して、著しく、大型薬物の経皮送達を向上させるおよび/またはそのバイオアベイラビリティを改善することができる。
【0028】
とりわけ、本開示は、本明細書に記載のマイクロニードリング技術は、他の破壊剤(すなわち、化学浸透促進剤および皮膚構造を破壊または穿刺する他の技術)を利用しないときに、(例えば大型薬物の、特にマクロエマルションまたはナノエマルション組成物からの)経皮送達を向上させることができることを開示する。マイクロニードルを用いたボツリヌス毒素と同じ大きさの薬剤(すなわち約150kDa)の経皮送達の以前の研究は、皮膚を破壊するために更なる処置が適用されない限り、送達は失敗すると報告している。例えば、米国特許出願公開第2010/0196445号は、ボツリヌス毒素は、皮膚構造がマイクロニードリングの部位で破壊されるように、皮膚消化酵素も適用されない限り、予めコーティングされたマイクロニードルから効果的に送達されないと報告している。
【0029】
いくつかの実施態様において、本開示は、浸透促進剤をさらに用いることなく、本明細書に記載のマイクロニードリング技術を利用することにより、大型薬物(例えばボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達の向上および/またはそのバイオアベイラビリティの改善を達成する技術を提供する。これとは別にまたはこれに加えて、いくつかの実施態様において、本開示は、他の破壊戦略なしに、マイクロニードリング技術を利用することにより、大型薬物(例えばボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達の向上および/またはそのバイオアベイラビリティの改善を達成する技術を提供する。したがって、提供する技術は、破壊剤の使用にしばしば伴う炎症、刺激および/またはアレルギー反応なしに、効果的な送達および/またはバイオアベイラビリティの改善を達成することができる。
【0030】
これとは別にまたはこれに加えて、本開示は、マイクロニードル構造内またはその上に、大型薬物、特に大型タンパク質薬物(例えばボツリヌス毒素、抗体など)を結合する特定の以前のアプローチにつての問題の原因を特定する。典型的には、このような従来の結合戦略は、マイクロニードルに適用され、空気乾燥される関連する薬物の液体溶液を利用する。このような戦略は、上記米国特許出願公開第2010/0228225号においてマイクロニードルをボツリヌス毒素でコーティングするために利用された。米国特許出願公開第2017/0209553号は、ボツリヌスと共にニードルに負荷されるマイクロニードルを記載する。本開示は、それにより製造されるボツリヌスコーティングまたは負荷材料が安定でなく、それ故に製品を作るのに用いられるときに商業的に実施可能でないことを理解している。実際、このような液体を粉末材料から製造する場合でさえ、本開示は、多くの大型薬物(例えばボツリヌス毒素)について、凍結乾燥プロセスにより形成されていない粉末および他の固形材料が極めて不安定であり得ることを理解している。例えば、Johnson, Eらによると「ボツリヌス毒素は、表面の変性、熱およびアルカリ性条件のために変性の影響を極めて受けやすい。ボツリヌス毒素の凍結乾燥は、安定で、臨床医によって容易に用いられる形態の製品を流通させる最も経済的に健全で実用的な方法である。」米国特許第5,512,547号。同様に、このようなアプローチは、それ自体の安定性および貯蔵の課題を有する治療抗体の投与には機能しないだろう。本開示は、本明細書に記載のエマルション組成物(例えば、いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物、および/またはいくつかの実施態様において、マクロエマルション組成物)の使用が、マイクロニードルとの結合のために、大型薬物、特に大型タンパク質薬物(特にボツリヌス毒素および/または抗体薬を含む)の安定性を保護できるかまたは他の方法で改善できるという知見を提供する。
【0031】
本開示は、驚くべきことに、大型薬物の経皮送達および/またはバイオアベイラビリティの改善のための効果的な技術を提供する。特に、本開示は、このような薬物の経皮送達を、特定のマイクロニードリング技術の使用によって著しく向上させることができることを教示する。本開示を読む当業者は、その教示が、大型薬物のあらゆる局所製剤に適用可能である可能性があることを理解する。いくつかの実施態様において、本開示は特に、マイクロニードリング技術をエマルション組成物(例えば、いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物、および/またはいくつかの実施態様において、マクロエマルション組成物)と組み合わせたときに、特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施態様において、マイクロニードリング技術は、ローション、クリームまたは液体組成物と組み合わされ、これは、今度は、エマルション組成物(例えば、いくつかの実施態様において、ナノエマルション実施態様を用いる、および/またはいくつかの実施態様において、マクロエマルション組成物を用いる)であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、提供する技術は、皮膚破壊技術、例えば化学浸透促進剤は利用しない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、ラット試験の生存率により決定される、MSC(「マイクロニードル皮膚コンディショニング」)後のボツリヌスナノエマルション製剤のバイオアベイラビリティに対する、マイクロニードルアレイ密度の変化の影響を示す。
【0033】
図2図2は、ラット試験の生存率により決定される、MSC後のボツリヌスナノエマルション製剤のバイオアベイラビリティに対する、マイクロニードルの穿刺サイズの変化の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(定義)
本出願では、文脈から他に明らかでない限り、(i)本明細書で用いる用語「ある(a)」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解され得て;(ii)用語「または」は、「および/または」を意味すると理解され得て;(iii)用語「含む(comprising)」および「含有する(including)」は、それ自体によりまたは1つ以上の更なる構成要素またはステップと共に提示されるかにかかわらず、挙げられた構成要素またはステップを包含すると理解され得て;および(iv)用語「約(about)」および「およそ(approximately)」は、当業者に理解される標準的な変動を許容すると理解され得て;および(v)範囲で提供される場合、端点が含まれる。
【0035】
摩耗:本明細書で用いる用語「摩耗」は、皮膚の最上層を変化させる、破壊する(destroy)、除去するまたは壊す(disrupt)あらゆる手段を指す。いくつかの実施態様において、摩耗は、皮膚の最上層を変化させる、破壊する、除去するまたは壊す機械的手段を指す。いくつかの実施態様において、摩耗は、皮膚の最上層を変化させる、破壊する、除去するまたは壊す化学的手段を指す。数例を挙げると、スクラブ剤、微粒子(例えばマグネシウムまたはアルミニウム粒子)、酸(例えばαヒドロキシ酸またはβヒドロキシ酸)、アルコールなどの薬物が、摩耗を引き起こし得る。一般的に、浸透向上剤、例えばDonovan(例えば米国特許出願公開第2004/009180号および2005/175636、および国際公開第04/06954号)、およびGraham(例えば米国特許第6,939,852号および米国特許出願公開第2006/093624号)などに記載のものが、摩耗を引き起こすと予想される。当然、当業者は、特定の薬物は、1つの濃度で、または1つ以上の他の薬物と組み合わせて存在するときに、摩耗を引き起こし得るが、異なる条件下では摩耗を引き起こさない場合があることを理解する。したがって、特定の物質が「摩耗剤」であるかどうかは、状況に依存する。摩耗は、当業者により、例えば角質層の変化、破壊、除去または浸食を示す、皮膚の赤みまたは刺激の観察および/または皮膚の組織学的試験により、容易に評価され得る。
【0036】
投与:本明細書で用いる用語「投与」は、典型的には、対象体またはシステムへの組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況において、対象体、例えばヒトへの投与のために利用され得る様々な経路を承知しているだろう。例えば、いくつかの実施態様において、投与は、眼内、経口、非経腸、局所などであり得る。いくつかの実施態様において、投与は、気管支(例えば気管支注入による)、頬側、皮膚(例えば真皮への局所的投与、皮内、皮膚間、経皮などの1つ以上であり得るか、またはそれを含み得る)、経腸、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定の臓器内(例えば肝内)、粘膜、鼻腔、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば気管内注入による)、膣、硝子体などであり得る。いくつかの実施態様において、投与は、断続的(例えば時間で離された複数の投与)および/または周期的(例えば共通の期間で離された個々の投与)に投与することを含み得る。いくつかの実施態様において、投与は、少なくとも選択した期間連続投与すること(例えば灌流)を含み得る。
【0037】
薬物:一般的に、本明細書で用いる用語「薬物」は、例えばポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、またはその組合せもしくは複合体を含む、あらゆる化学物質クラスの化合物または実体を指すのに用いられ得る。適切な状況では、当業者に文脈から明らかであるように、当該用語は、細胞または生物体、またはその画分、抽出物または成分であるかまたはそれらを含む実体を指すのに利用され得る。これとは別にまたはこれに加えて、文脈が明らかにするように、当該用語は、天然でみられる、および/または天然から得られるという点で、天然物を指すのに用いられ得る。いくつかの場合では、再び文脈から明らかなように、当該用語は、人間の手の作用によって設計、操作および/または生成される、および/または天然で見られないという点で人工である1つ以上の実体を指すのに用いられ得る。いくつかの実施態様において、薬物は、単離されたまたは純粋な形態で利用され得て;いくつかの実施態様において、薬物は、粗製形態で利用され得る。いくつかの実施態様において、潜在的な薬物は、例えば、それらの中の活性物質を同定または特徴付けるためにスクリーニングされ得るコレクションまたはライブラリーとして提供され得る。いくつかの場合では、ポリマーであるかまたはそれを含む化合物または実体を指し得て;いくつかの場合では、当該用語は、1つ以上のポリマー分子を含む化合物または実体を示し得る。いくつかの実施態様において、用語「薬物」は、ポリマーではない、および/またはあらゆるポリマーおよび/または1つ以上の特定のポリマー部分を実質的に含まない化合物または実体を指し得る。いくつかの実施態様において、当該用語は、あらゆるポリマー部分を欠くかまたはそれを実質的に含まない化合物または実体を指し得る。いくつかの実施態様において、当該用語は、分子複合体を指し得る。
【0038】
抗体:本明細書で用いる用語「抗体」は、特定の標的抗原への特異的結合を与えるのに十分な標準的免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを指す。当技術分野で公知のように、天然で産生されるインタクト抗体は、一般的に「Y字型」構造と呼ばれるものへと互いに結合する、2つの同一の重鎖ポリペプチド(各々約50kDa)および2つの同一の軽鎖ポリペプチド(各々約25kDa)から構成される約150kDaの四量体物質である。各重鎖は、少なくとも4つのドメイン(各々約110アミノ酸の長さ)から構成される-アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に位置する)と、それに続く3つの定常ドメインのCH1、CH2、およびカルボキシ末端CH3(Yのステムの基部に位置する)。「スイッチ」として知られる短い領域は、重鎖の可変領域と定常領域を接続する。「ヒンジ」は、抗体の残りの部分にCH2およびCH3ドメインを接続する。このヒンジ領域の2つにおけるジスルフィド結合は、2つの重鎖ポリペプチドをインタクト抗体で互いに接続する。各軽鎖は、2つのドメインから構成される-アミノ末端可変(VL)ドメイン、それに続くカルボキシ末端定常(CL)ドメイン、ここでこれらは、互いに別の「スイッチ」で分離されている。インタクト抗体四量体は、重鎖と軽鎖が単一のジスルフィド結合によって互いに結合している2つの重鎖-軽鎖二量体から構成され;他の2つのジスルフィド結合は、重鎖ヒンジ領域を互いに接続し、その結果、二量体が互いに接続され、四量体が形成される。天然で産生される抗体も、典型的には、CH2ドメインでグリコシル化される。天然抗体の各ドメインは、圧縮された逆平行βバレル内で互いにパックされた2つのベータシート(例えば、3、4または5本鎖シート)から形成される「免疫グロブリンフォールド」により特徴付けられる構造を有する。各可変ドメインは、「補体決定領域」(CDR1、CDR2およびCDR3)として知られる3つの超可変ループと、4つのやや不変の「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む。天然の抗体が折りたたまれると、FR領域がドメインの構造フレームワークを提供するベータシートを形成し、重鎖と軽鎖の両方のCDRループ領域が3次元空間に集められ、Y構造の先端に位置する単一の超可変抗原結合部位を作り出す。天然に存在する抗体のFc領域は、補体系の要素に結合し、また、例えば細胞毒性を媒介するエフェクター細胞を含むエフェクター細胞上の受容体にも結合する。当技術分野で公知のように、Fc受容体に対するFc領域の親和性および/または他の結合特性は、グリコシル化または他の修飾によって調節し得る。いくつかの実施態様において、本発明に従って生成および/または利用された抗体は、修飾または操作されたそのようなグリコシル化を有するFcドメインを含む、グリコシル化Fcドメインを含む。本発明の目的のために、いくつかの実施態様において、天然抗体に見られるような十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む、あらゆるポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、このようなポリペプチドが天然に産生されるか(例えば、抗原に反応する生物体によって生成される)、または組換え工学、化学合成または他の人工的なシステムまたは方法によって生成されるかどうかにかかわらず、「抗体」と称されおよび/またはそれとして用いられ得る。いくつかの実施態様において、抗体はポリクローナルであり;いくつかの実施態様において、抗体はモノクローナルである。いくつかの実施態様において、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類またはヒト抗体に特徴的な定常領域配列を有する。いくつかの実施態様において、抗体配列要素は、当技術分野で公知のように、ヒト化、霊長類化、キメラなどである。さらに、本明細書で用いる用語「抗体」は、適切な実施態様において(他に断らない限りまたは文脈から明らかでない限り)、代用提示において抗体の構造的および機能的特徴を利用するための当技術分野で知られているまたは開発された構築物またはフォーマットのいずれかを指し得る。例えば、実施態様において、本発明に従って利用される抗体は、インタクトなIgG、IgEおよびIgM、二重または多重特異性抗体(例えばZybody(登録商標)など)、一本鎖Fv、ポリペプチドのFc融合体、Fab、ラクダ抗体、マスク抗体(例えばProbodies(登録商標))、Small Modular Immuno Pharmaceutical(「SMIPTM」)、一本鎖またはタンデムダイアボディ抗体(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalin(登録商標)、Nanobody(登録商標)、ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリンリピートタンパク質またはDARPIN(登録商標)、Avimer(登録商標)、DaRT、TCR様抗体、Adnectin(登録商標)、Affilin(登録商標)、Trans-body(登録商標)、Affibody(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProtein、Fynomer(登録商標)、Centyrin(登録商標)およびKALBITOR(登録商標)より選択されるであるが、これらに限定されないフォーマットである。いくつかの実施態様において、抗体は、天然に(例えば哺乳動物生物において)産生される場合に有するであろう共有結合修飾(例えばグリカンの結合)を欠き得る。いくつかの実施態様において、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカン、ペイロード(例えば検出可能部分、治療部分、触媒部分など)、または他のペンダント基(例えばポリエチレングリコールなど)の結合)を含み得る。
【0039】
抗体薬:本明細書で用いる用語「抗体薬」は、特定の抗原に特異的に結合する薬物を指す。いくつかの実施態様において、当該用語は、特異的結合を与えるのに十分な免疫グロブリン構造要素を含む、あらゆるポリペプチドまたはポリペプチド複合体を包含する。例示的な抗体薬は、ヒト抗体、霊長類化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、コンジュゲート抗体(すなわち、他のタンパク質、放射標識、細胞毒素とコンジュゲートまたは融合した抗体)、Small Modular ImmunoPharmaceutical(「SMIPTM」)、一本鎖抗体、ラクダ抗体および抗体フラグメントを含むがこれらに限定されない。本明細書で用いる用語「抗体薬」はまた、所望の生物学的活性を示す限り、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、シングルドメイン抗体(例えばサメシングルドメイン抗体(例えばIgNARまたはそのフラグメント))、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを含む。いくつかの実施態様において、当該用語は、ステープルペプチドを包含する。いくつかの実施態様において、当該用語は、1つ以上の抗体様結合ペプチド模倣物を包含する。いくつかの実施態様において、当該用語は、1つ以上の抗体様結合足場タンパク質を包含する。いくつかの実施態様において、当該用語は、モノボディまたはアドネクチンを包含する。多くの実施態様において、抗体薬は、アミノ酸配列が、相補性決定領域(CDR)として当業者によって認識される1つ以上の構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含み;いくつかの実施態様において、抗体薬は、アミノ酸配列が、参照抗体に見られるものと実質的に同一である少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、配列において同一であるか、または参照CDRと比較して1~5個のアミノ酸置換を含む点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、参照CDRと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を示す点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、参照CDRと少なくとも96%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を示す点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が、参照CDRと比較して削除、追加または置換されているが、含まれるCDRが、参照CDRのものと他では同一であるアミノ酸配列を有する点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が、参照CDRと比較して削除、追加または置換されているが、参照CDRと他では同一であるアミノ酸配列を有する点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、少なくとも1つのアミノ酸が、参照CDRと比較して置換されているが、参照CDRのものと他では同一であるアミノ酸配列を有する点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、含まれるCDRは、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が、参照CDRと比較して削除、追加または置換されているが、参照CDRと他では同一であるアミノ酸配列を有する点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施態様において、抗体薬は、アミノ酸配列が、当業者によって免疫グロブリン可変ドメインとして認識される構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、抗体薬は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるかまたは大部分が相同である結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。いくつかの実施態様において、抗体薬は、抗体-薬物コンジュゲートであるか、またはそれを含む。
【0040】
抗体構成要素:本明細書で用いる抗体構成要素は、エピトープまたは抗原に特異的に結合し、1つ以上の免疫グロブリンの構造的特徴を含むポリペプチド要素(完全なポリペプチド、または例えば本明細書に記載の融合ポリペプチドなどのより大型ポリペプチドの一部であり得る)を指す。一般的に、抗体構成要素は、アミノ酸配列が、抗体結合領域に特徴的な要素(例えば、場合により1つ以上のフレームワーク領域の存在下で、抗体軽鎖または可変領域またはその1つ以上の相補性決定領域(「CDR」)、または抗体重鎖または可変領域またはその1つ以上のCDR)を含むあらゆるポリペプチドである。いくつかの実施態様において、抗体構成要素は、完全長抗体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、抗体構成要素は、完全長短いが、少なくとも1つの結合部位(公知の抗体「可変領域」の構造を有する少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの配列を含む)を含む。いくつかの実施態様において、用語「抗体構成要素」は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるかまたは大部分が相同である結合ドメインを有する、あらゆるタンパク質を包含する。特定の実施態様において、含まれる「抗体構成要素」は、免疫グロブリン結合ドメインと少なくとも99%の同一性を示す結合ドメインを有するポリペプチドを包含する。いくつかの実施態様において、含まれる「抗体構成要素」は、免疫グロブリン結合ドメイン、例えば参照免疫グロブリン結合ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の同一性を示す結合ドメインを有するあらゆるポリペプチドである。含まれる「抗体構成要素」は、天然の供給源に見られる抗体(またはその一部、例えばその抗原結合部分)のものと同一のアミノ酸配列を有し得る。抗体構成要素は、単一特異性、二重特異性または多重特異性であり得る。抗体構成要素は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEのヒトクラスのいずれかを含む、あらゆる免疫グロブリンクラスに特徴的な構造要素を含み得る。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって実行され得ることが示されている。このような抗体の実施態様はまた、2つ以上の異なる抗原に特異的に結合する、二重特異性(bispecific)、二重特異性(dual specific)または多重特異性フォーマットであり得る。抗体の「抗原結合部分」なる用語に含まれる結合フラグメントの例は、(i)VH、VL、CH1およびCLドメインからなる一価フラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントである、F(ab')2フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVHおよびVLドメインからなるFvフラグメント;(v)単一可変ドメインを含むDabフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341 :544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含まれる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインのVHおよびVLは、別々の遺伝子によってコードされているが、VHおよびVLの領域が対となって一価の分子を形成する(一本鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883参照)、単一のタンパク質鎖としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーにより、組み換え法を用いて結合し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の「抗体構成要素」は、このような一本鎖抗体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、「抗体構成要素」は、ダイアボディ(diabody)であるか、またはそれを含む。ダイアボディは、VHおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖上に発現するが、同じ鎖上の2つのドメイン間で対をなすことを可能にするには短すぎるリンカーを用い、それ故に、ドメインが他方の鎖の相補的ドメインと対をなし、2つの抗原結合部位を作製する、二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger, P., et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448; Poljak, R. J., (1994) Structure 2(12):1121-1123参照)。このような抗体結合部分は、当該技術分野において公知である(KontermannおよびDubel編、Antibody Engineering (2001) Springer-Verlag. New York. 790 pp. (ISBN 3-540-41354-5))。いくつかの実施態様において、抗体構成要素は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒になって一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む一本鎖「線形抗体」であるか、またはそれを含む(Zapata et al., (1995) Protein Eng. 8(10): 1057-1062;および米国特許第5,641,870号)。いくつかの実施態様において、抗体構成要素は、キメラまたはヒト化抗体の特徴的な構成要素を有し得る。一般的に、ヒト化抗体は、レシピエントの相補的決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置き換えられた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの実施態様において、抗体構成要素は、ヒト抗体の特徴的な構成要素を有し得る。
【0041】
抗体フラグメント:本明細書で用いる「抗体フラグメント」は、例えば抗体の抗原結合または可変領域などのインタクト抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント;トリアボディ;テトラボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。例えば、抗体フラグメントは、単離フラグメント、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって接続されている組換え一本鎖ポリペプチド分子(「ScFvタンパク質」)、および超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識ユニットを含む。多くの実施態様において、抗体フラグメントは、それが親抗体と同じ抗原に結合するフラグメントである親抗体の十分な配列を含み;いくつかの実施態様において、フラグメントは、親抗体の親和性に匹敵する親和性で抗原に結合し、および/または抗原への結合について親抗体と競合する。抗体の抗原結合フラグメントの例は、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、dsFvダイアボディ、dAbフラグメント、Fd'フラグメント、Fdフラグメント、および単離された相補性決定領域(CDR)領域を含むがこれらに限定されない。抗体の抗原結合フラグメントは、あらゆる手段によって生成され得る。例えば、抗体の抗原結合フラグメントは、インタクト抗体の断片化によって酵素的または化学的に生成され得て、および/または部分的な抗体配列をコードする遺伝子から組み換えで生成され得る。これとは別にまたはこれに加えて、抗体の抗原結合フラグメントは、全体的または部分的に合成的に生成され得る。抗体の抗原結合フラグメントは、所望により、一本鎖抗体フラグメントを含み得る。これとは別にまたはこれに加えて、抗体の抗原結合フラグメントは、例えばジスルフィド結合によって、一緒に連結された複数の鎖を含み得る。抗体の抗原結合フラグメントは、所望により、多分子複合体を含み得る。機能的抗体フラグメントは、典型的には少なくとも約50アミノ酸を含み、より典型的には少なくとも約200アミノ酸を含む。
【0042】
約:本明細書で用いる用語「およそ」または「約」は、1つ以上の目的の値に適用される場合、所記の基準値に類似する値を指す。いくつかの実施態様において、用語「およそ」または「約」は、他に断らない限りまたは他に文脈から明らかでない限り(例えば、1つ以上の目的の値が十分に狭い範囲を定義しているとき、このようなパーセンテージ変動の適用は不要になる)、所記の基準値のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の範囲内にある値の範囲を指す。
【0043】
関連する:2つの事象または実体は、一方の存在、レベルおよび/または形態が他方のものと相関している場合、当該用語が本明細書で用いられるとき、互いに「関連する」。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物など)は、その存在、レベルおよび/または形態が、疾患、障害または状態の発生率および/またはそれらに対する感受性(例えば関連する集団)と相関する場合、特定の疾患、障害または状態に関連すると見なされる。いくつかの実施態様において、2つ以上の実体は、それらが直接的または間接的に相互作用する場合、互いに物理的に「関連し」、その結果、互いに物理的に近接しているおよび/または物理的に近接したままである。いくつかの実施態様において、互いに物理的に関連する2つ以上の実体は、互いに共有結合しており;いくつかの実施態様において、互いに物理的に関連する2つ以上の実体は、互いに共有結合していないが、例えば水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性およびそれらの組み合わせによって、非共有結合している。
【0044】
生体適合性:本明細書で用いる用語「生体適合性」は、例えばインビボで、そのような組織と接触して配置されたときに、生体組織に重大な害を引き起こさない材料を指す。いくつかの実施態様において、材料は、細胞に対して毒性でない場合、「生体適合性」である。いくつかの実施態様において、材料は、インビトロでの細胞へのそれらの添加が20%以下の細胞死をもたらす場合、および/またはインビボでのそれらの投与が重大な炎症または他のそのような有害作用を誘発しない場合、「生体適合性」である。
【0045】
生分解性:本明細書で用いる用語「生分解性」は、細胞に導入されると、細胞に重大な毒性作用を与えることなく、細胞が再利用または廃棄し得る成分に(例えば、酵素分解、加水分解および/またはそれらの組合せなどの細胞機構によって)分解される材料を指す。いくつかの実施態様において、生分解性材料の分解によって生成した成分は生体適合性であり、したがって、インビボで重大な炎症および/または他の有害作用を誘発しない。いくつかの実施態様において、生分解性ポリマー材料は、それらの成分モノマーに分解する。いくつかの実施態様において、生分解性材料(例えば生分解性ポリマー材料を含む)の分解は、エステル結合の加水分解を含む。これとは別にまたはこれに加えて、いくつかの実施態様において、生分解性材料(例えば生分解性ポリマー材料を含む)の分解は、ウレタン結合の開裂を含む。例示的な生分解性ポリマーは、例えば、乳酸およびグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマーであり、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、およびPEGとの共重合体、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ラクチド-カプロラクトン共重合体、それらの混合物および共重合体を含むがこれらに限定されない。例えばタンパク質、例えばアルブミン、コラーゲン、ゼラチンおよびプロラミン、例えばゼイン、および多糖類、例えばアルギン酸、セルロース誘導体およびポリヒドロキシアルカノエート、例えばポリヒドロキシブチレート、それらの混合物および共重合体を含む、多くの天然に存在するポリマーも生分解性である。当業者は、(例えば、当技術分野で公知のように、特定の化学基の置換または付加のみが異なる実質的に同一の構造によって親ポリマーに関連している)このようなポリマーがいつ生体適合性および/またはその生分解性誘導体であるかを理解するか、または決定することができるであろう。
【0046】
生物学的活性物質:本明細書で用いる用語「生物学的活性物質」は、対象体、例えばヒトに投与されたときに特定の生物学的効果を有する薬物を指す。いくつかの実施態様において、生物学的活性物質は、治療活性物質、美容活性物質、および/または診断活性物質であり得る。いくつかの実施態様において、生物学的活性物質は、米国食品医薬品局によって「活性医薬品成分」として分類されるであろう実体または部分であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、生物学的活性物質は、大型薬物である。いくつかの実施態様において、生物学的活性物質は、その存在が、所望の薬理学的および/または治療的、美容的および/または診断的効果と相関する薬物であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、生物学的活性物質は、その生物学的効果が用量依存的であるという特徴がある(例えば、用量の増加とともに、場合により少なくとも第1の濃度範囲にわたって直線的に増加する)。いくつかの実施態様において、薬物は、実際に所望の効果を達成する異なる薬物の送達を単に向上させる場合、「生物学的活性物質」であるとは見なされない。
【0047】
ボツリヌスマクロエマルション組成物:本明細書で用いる用語「ボツリヌスマクロエマルション組成物」は、少なくとも1つのマクロエマルションがボツリヌス毒素を含む、あらゆるマクロエマルション組成物を指す。ボツリヌス毒素は、マクロエマルション内、マクロエマルション表面上、および/またはマクロエマルションを規定するミセル膜内に存在し得る。
【0048】
ボツリヌスナノエマルション組成物:本明細書で用いる用語「ボツリヌスナノエマルション組成物」は、少なくとも1つのナノエマルションがボツリヌス毒素を含む、あらゆるナノエマルション組成物を指す。ボツリヌス毒素は、ナノエマルション内、ナノエマルション表面上、および/またはナノエマルションを規定するミセル膜内に存在し得る。
【0049】
ボツリヌス毒素:本明細書で用いる用語「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるあらゆる神経毒を指す。他に断らない限り、当該用語は、適切な活性(例えば筋弛緩活性)を保持するそのような神経毒のフラグメントまたは部分(例えば軽鎖および/または重鎖)を包含する。用語「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、FおよびGを包含する。本明細書で用いるボツリヌス毒素はまた、ボツリヌス毒素複合体(すなわち、例えば300、600および900kDaの複合体)と、精製された(すなわち、例えば単離された)ボツリヌス毒素(すなわち、例えば約150kDa)の両方を包含する。「精製されたボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体のためのタンパク質を含む、他のタンパク質から単離されたまたは実質的に単離された、ボツリヌス毒素として定義される。精製された毒素は、95%を超える純度であり得て、好ましくは99%を超える純度である。当業者は、本発明がボツリヌス毒素の特定の供給源に限定されないことを理解する。例えば、本発明に従った使用のためのボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌から単離し得て、化学的に合成し得て、組み換えで(すなわち、ボツリヌス菌以外の宿主細胞または生物体において)生成し得る。ボツリヌスは、ボツリヌス毒素血清型Aより長いまたは短い持続時間で作用するように、遺伝子操作されてもよく、または化学的に修飾されてもよい。
【0050】
担体:本明細書で用いる担体は、組成物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、添加剤またはビヒクルを指す。いくつかの例示的な実施態様において、担体は、例えば、無菌液体、例えば水および油、例えば石油、動物、植物または合成由来の油、例えばピーナツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含む。いくつかの実施態様において、担体は、1つ以上の固体成分であるか、またはそれを含む。
【0051】
併用療法:本明細書で用いる用語「併用療法」は、2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療薬、治療薬と治療モダリティなど)に同時に曝露される状況を指す。いくつかの実施態様において、2つ以上のレジメンは同時に投与され得て;いくつかの実施態様において、このようなレジメンは連続して投与され得て(例えば、第1のレジメンのすべての「用量」は、第2のレジメンの任意の用量の投与の前に投与される)。いくつかの実施態様において、このような薬物は重複投与レジメンで投与される。いくつかの実施態様において、併用療法の「投与」は、他の薬物またはモダリティを組み合わせて投与される対象体への1つ以上の薬物および/またはモダリティの投与を含み得る。明確にするために、いくつかの実施態様において、2つ以上の薬物またはその活性部分が、組合せ組成物で、または組合せ化合物で(例えば、単一の化学複合体または共有結合実体の一部として)投与され得るが、併用療法は、個々の薬物が単一の組成物で一緒に(または必然的に同時にさえ)投与されることを必要としない。
【0052】
同等な:本明細書で用いる用語「同等な」は、2つ以上の薬物、実体、状況、条件のセットなどを指し、これらは、互いに同一でなくてもよいが、当業者が観察される相違点または類似点に基づいて結論を合理的に導き出し得ることを理解するように、これらの間の比較を可能にするのに十分に類似している。いくつかの実施態様において、条件、環境、個体または集団の同等なセットは、複数の実質的に同一の特徴および1つまたは少数の様々な特徴により特徴付けられる。当業者は、文脈において、2つ以上のそのような薬物、実体、状況、条件のセットなどが同等であると見なされるために、所与の環境においてどの程度の同一性が必要とされるかを理解する。例えば、当業者は、環境、個体または集団の様々なセットの下でまたはそれらと共に、得られた結果または観察された現象の間の相違点が、変化したこれらの特徴における改変によって引き起こされるかまたはそれを示すという合理的な結論を保証するのに十分な数および種類の実質的に同一な特徴により特徴付けられるとき、状況、個体または集団のセットは互いに同等であることを理解する。
【0053】
組成物:当業者は、本明細書で用いる用語「組成物」は、1つ以上の特定の構成要素を含む別個の物理的実体を指すために用いられ得ることを理解する。一般的に、他に明記されない限り、組成物は、あらゆる形態、例えばガス、ゲル、液体、固体などであり得る。
【0054】
含む:指定の1つ以上の構成要素またはステップを「含む」と本明細書で記載される組成物または方法は、オープンエンドであり、これは、指定の構成要素またはステップが必須であるが、他の構成要素またはステップが組成物または方法の範囲内で加えられ得ることを意味する。冗長にならないために、指定の1つ以上の構成要素またはステップを「含む(comprising)」(または「含む(comprise)」)と記載されたあらゆる組成物または方法はまた、対応し、より限定された同じ指定の構成要素またはステップ「から本質的になる(consisting essentially of)」(または「から本質的になる(consist essentially of)」)組成物または方法を記載するものであり、これは、組成物または方法が、指定の必須の構成要素またはステップを含み、そして組成物または方法の基本的で新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の構成要素またはステップも含み得ることを意味することも理解される。指定の1つ以上の構成要素またはステップを「含む」または「から本質的になる」として本明細書に記載されるあらゆる組成物または方法は、指定されていない他の構成要素またはステップを除外した、対応し、より限定され、クローズエンドな指定の構成要素またはステップ「からなる(consisting of)」(または「からなる(consist of)」)組成物または方法もまた記載するものであることも理解される。本明細書で開示するあらゆる組成物または方法において、指定のあらゆる必須構成要素またはステップの知られているまたは開示された同等物を、その構成要素またはステップに置き換えられ得る。
【0055】
剤形または単位剤形:当業者は、用語「剤形」は、対象体に投与するための活性物質(例えば治療薬または診断薬)の物理的に別個の単位を指すのに用いられ得ることを理解する。典型的には、このような各単位は、所定量の活性物質を含む。いくつかの実施態様において、このような量は、関連する集団に投与されたときに所望のまたは有益な結果と相関すると決定された投与レジメン(すなわち治療的投与レジメン)に従った投与に適切な単位投与量(またはその完全な分数)である。当業者は、特定の対象体に投与される治療用組成物または薬物の総量は、1人以上の医師によって決定され、複数の剤形の投与を含み得ることを理解する。
【0056】
投与レジメン:当業者は、用語「投与レジメン」は、対象体に個別に投与され、典型的には期間によって分離される、一連の単位用量(典型的には複数)を指すのに用いられ得ることを理解する。いくつかの実施態様において、所与の治療薬は、推奨される投与レジメンを有し、これは、1つ以上の用量を含み得る。いくつかの実施態様において、投与レジメンは、それぞれが他の用量から時間的に分離される複数の用量を含む。いくつかの実施態様において、個々の用量は、同じ長さの期間によって互いに分離されており;いくつかの実施態様において、投与レジメンは、複数の用量、および個々の用量を分離する少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施態様において、投与レジメン内のすべての用量は、同じ単位用量である。いくつかの実施態様において、投与レジメン内の異なる用量は、異なる量である。いくつかの実施態様において、投与レジメンは、第1用量の第1投与、続いて第1用量と異なる第2用量の1回以上の更なる投与を含む。いくつかの実施態様において、投与レジメンは、第1用量の第1投与、続いて第1用量と同じ第2用量の1回以上の更なる投与を含む。いくつかの実施態様において、投与レジメンは、関連する集団全体に投与されたときの所望のまたは有益な結果と相関する(すなわち治療的投与レジメンである)。
【0057】
エマルション:用語「エマルション」は、「通常はコロイドサイズより大きい液滴中の非混和性液体中に乳化剤の有無にかかわらず分散した液体からなるシステム」という当該技術分野における理解と一致して本明細書で用いられる。例えばMedline Plus Online Medical Dictionary, Merriam Webster (2005)の記載参照。
【0058】
添加剤:本明細書で用いる添加剤は、例えば所望の一貫性または安定化効果を提供するかまたはそれに寄与するために、医薬組成物に含まれ得る非治療的物質を指す。適切な医薬添加剤は、例えばデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。
【0059】
ヒト:いくつかの実施態様において、ヒトは、胚、胎児、乳児、子供、ティーンエイジャー、成人または高齢者である。
【0060】
親水性:本明細書で用いる用語「親水性」および/または「極性」は、水と混合するか、または水に容易に溶解する傾向を指す。
【0061】
疎水性:本明細書で用いる用語「疎水性」および/または「非極性」は、水をはじくか、水と混じり合わないか、または水に容易に溶解しない傾向を指す。
【0062】
改善、増加または減少:本明細書またはその文法的同等物で用いる、用語「改善」、「増加」または「減少」は、ベースライン測定、例えば本明細書に記載の処置の開始前の同一個体における測定、または本明細書に記載の処置がない場合の対照個体(または複数の対照個体)における測定に関連する値を示す。いくつかの実施態様において、「対照個体」は、処置されている個体と同じ形態の疾患または傷害に罹患している個体である。
【0063】
巨大分子:用語「巨大分子」は、本明細書では一般的に、サイズが約100キロダルトン(KDa)を超える分子を記載するために用いられる。いくつかの実施態様において、巨大分子は、約110kDa、約120kDa、約130kDa、約140kDa、約150kDa、約160kDa、約170kDa、約180kDa、約190kDa、約200kDa、約250kDa、約300kDa、約400kDaまたは約500kDaより大きい。いくつかの実施態様において、巨大分子は、ポリマーであるか、またはポリマー部分または実体を含む。いくつかの実施態様において、巨大分子は、ポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、巨大分子は、核酸であるか、またはそれを含む。
【0064】
大型薬物:本明細書で用いる用語「大型薬物」は、一般的に、サイズが約100キロダルトン(KDa)を超える分子量を有する薬物を指す。いくつかの実施態様において、巨大分子は、約110kDa、約120kDa、約130kDa、約140kDa、約150kDa、約160kDa、約170kDa、約180kDa、約190kDa、約200kDa、約250kDa、約300kDa、約400kDaまたは約500kDaより大きい。いくつかの実施態様において、大型薬物は、生物学的活性物質である。いくつかの実施態様において、大型薬物は、1つ以上の巨大分子であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、大型薬物は、1つ以上の分子複合体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、大型薬物は、ポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、大型薬物は、ポリペプチド複合体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、大型薬物は、細菌毒素(例えばボツリヌス毒素)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、大型薬物は、抗体薬であるか、またはそれを含む。
【0065】
マクロエマルション:本明細書で用いる用語「マクロエマルション」は、液滴の少なくとも一部が数百ナノメートルから数マイクロメートルのサイズ範囲の直径を有するエマルションを指す。当業者によって理解されるように、マクロエマルションは、直径が300nmを超える液滴により特徴付けられる。いくつかの実施態様において、本開示に従って利用されるマクロエマルション組成物は、1つ以上のより大型薬物または1つ以上の生物学的活性物質を含む。いくつかの実施態様において、マクロエマルション組成物に含まれる大型薬物は、生物学的活性物質であり得る。本開示に従って用いるためのマクロエマルション組成物は、例えば化学的または機械的手段を含む、あらゆる利用可能な手段に従って製造され得ることが当業者によって理解される。いくつかの実施態様において、マクロエマルション中の液滴は、約301nm~約1000μmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施態様において、マクロエマルションは、約301nm~約1000μmのサイズ分布の液滴を有する。いくつかの実施態様において、マクロエマルション中の液滴は、約500nm~約5000μmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施態様において、マクロエマルションは、約500nm~約5000μmのサイズ分布の液滴を有する。
【0066】
マイクロニードル:本明細書で用いる用語「マイクロニードル」は、一般的に、皮膚に浸透するのに適切な長さ、直径および形状の細長い構造のものを指す。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、皮膚に挿入されたときの神経との接触を最小限にしながら、薬物送達のための効率的な経路を作成するように(それ自体またはデバイス内で)配置および構築される。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さに沿って一定である直径を有する。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さに沿って変化する直径を有する。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さの長さに沿って先細になる直径を有する。いくつかの実施態様において、マイクロニードルの直径は、皮膚に浸透する先端で最も狭い。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、中実であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、中空であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、管状であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、一端が密閉され得る。いくつかの実施態様において、複数のマイクロニードルが、利用される。いくつかの実施態様において、複数のマイクロニードルが、アレイ形式で利用される。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約4,000μmの範囲内の長さを有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約2,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約400μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約800μm~約1500μmの長さであり得る。
【0067】
マイクロニードルアレイの押付け:本明細書で用いる用語「マイクロニードルアレイの押付け」は、マイクロニードルおよび/またはマイクロニードルアレイを皮膚上に押し付け、その後それを皮膚から除去することによって達成されるマイクロニードル押付けを指す。いくつかの実施態様において、マイクロニードルアレイは、皮膚上に(例えばマイクロニードルアレイスタンプを用いて)スタンプされ得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルアレイは、皮膚上に(例えばマイクロニードルアレイローラーを用いて)ローリングされ得る。
【0068】
マイクロニードルの密度:本明細書で用いる用語「マイクロニードルの密度」は、面積の測定値(例えば平方センチメートル)当たりのマイクロニードルの数を指す。いくつかの実施態様において、マイクロニードルの密度は、マイクロニードルアレイの面積当たりのマイクロニードルの数として評価され;いくつかの実施態様において、マイクロニードルの密度は、マイクロニードリングされる部位の面積当たりのマイクロニードル穿刺の数として評価され;いくつかの実施態様において、マイクロニードルの密度は、アレイ内のマイクロニードルについて可能な最大またはほぼ最大の皮膚浸透を同時に達成する、面積当たりのマイクロニードルの数として評価される。いずれにしても、当業者は、関連領域が平坦(例えばマイクロニードルアレイスタンプ)、湾曲(例えばマイクロニードルアレイローラー)または不規則であるかにかかわらず、マイクロニードルの密度が表現され得ることを理解する。当業者は、例えば、アレイが、異なる長さのニードルを有する場合、および/または、アレイが部位に適用されると、すべてのニードルが実際には皮膚を穿刺できるのではないような位相的多様さをマイクロニードリングされる部位が有する場合、マイクロニードリングされる部位の面積当たりのマイクロニードル穿刺としてのマイクロニードルの密度の評価が特に有用であり得ることを理解する。
【0069】
マイクロニードルの穿刺サイズ:本明細書で用いる用語「マイクロニードルの穿刺サイズ」または「マイクロニードルの穿刺孔サイズ」は、マイクロニードルおよび/またはマイクロニードルアレイを皮膚上に押し付け、それを皮膚から取り除いた後に達成されるマイクロニードルアレイの各マイクロニードルによって作くられる計算された穿刺面積を指す。多くの実施態様において、マイクロニードルの穿刺サイズは、マイクロニードルの基部の面積として計算される。
【0070】
ナノエマルション:本明細書で用いる用語「ナノエマルション」は、少なくともいくつかの液滴がナノメーターサイズ範囲の直径を有するエマルションを指す。当業者によって理解されるように、ナノエマルションは、直径が300nm以下の液滴により特徴付けられる。いくつかの実施態様において、本開示に従って利用されるナノエマルション組成物は、1つ以上の大型薬物または1つ以上の生物学的活性物質を含む。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物に含まれる大型薬物は、生物学的活性物質であり得る。本開示に従って用いるためのナノエマルション組成物は、例えば化学的または機械的手段を含む、あらゆる利用可能な手段に従って製造され得ることが当業者によって理解される。いくつかの実施態様において、ナノエマルション中の液滴は、約1nm~約300nmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルションは、約1nm~約300nmのサイズ分布の液滴を有する。
【0071】
ナノ粒子:本明細書で用いる用語「ナノ粒子」は、National Science Foundationによって定義されるように、300nm未満の直径を有する固体粒子を指す。いくつかの実施態様において、ナノ粒子は、National Institutes of Healthによって定義されるように、100nm未満の直径を有する。
【0072】
患者:本明細書で用いる用語「患者」は、提供される組成物が、例えば実験、診断、予防、美容および/または処置の目的で投与されるか、または投与され得るあらゆる生物体を指す。典型的な患者は、動物(例えば哺乳類、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト哺乳類および/またはヒト)を含む。いくつかの実施態様において、患者は、ヒトである。いくつかの実施態様において、患者は、1つ以上の障害または状態に罹患しているかまたは罹患しやすい。いくつかの実施態様において、患者は、障害または状態の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施態様において、患者は、1つ以上の障害または状態と診断されている。いくつかの実施態様において、障害または状態は、1つ以上の腫瘍の存在であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、患者は、疾患、障害または状態を診断および/または処置するために、特定の治療を受けているか、または受けていた。
【0073】
浸透促進剤:本明細書で用いる用語「浸透促進剤」は、その存在またはレベルが、その非存在下で観察されるものと比較して、皮膚を横切る目的薬物の浸透の増加と相関する物質を指す。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、それが皮膚構造を分解および/または破壊することを特徴とする。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、化学剤(例えば化学物質または酵素)であるか、またはそれを含む。例えば、1つ以上の角質層の構成要素を損傷、破壊および/または分解し得る化学剤は、例えば、アルコール、例えば短鎖アルコール、長鎖アルコールまたはポリアルコール;アミンおよびアミド、例えばウレア、アミノ酸またはそのエステル、アミド、AZONE(登録商標)、AZONE(登録商標)の誘導体、ピロリドンまたはピロリドンの誘導体;テルペンおよびテルペンの誘導体;脂肪酸およびそのエステル;大環状化合物;界面活性剤(tenside);またはスルホキシド(例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、デシルメチルスルホキシドなど);界面活性剤(surfactant)、例えばアニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤;ポリオール;エッセンシャルオイル;および/またはヒアルロニダーゼを含み得る。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、物質が皮膚に適用されたときに炎症性および/またはアレルギー性反応が生じるという点で刺激性であり得る。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、刺激性でない。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、皮膚構造を損傷、破壊または分解しないが、それにもかかわらず、その存在またはレベルが、その非存在下で観察されるものと比較して、皮膚を横切る目的薬物の浸透の増加と相関する化学剤であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、コペプチド、担体分子および担体ペプチドは、皮膚構造を損傷、破壊および/または分解しない浸透促進剤であり得る。いくつかの実施態様において、コペプチド、担体分子および担体ペプチドは、皮膚を刺激しない浸透促進剤であり得る。用語「浸透促進剤」は、機械的デバイス(例えばニードル、メスなど)、またはその同等物(例えば他の損傷させる処置)を含まない。また、当業者は、ナノ粒子またはエマルションなどの構造は、化学剤ではないため、その存在が、構造と関連し得る目的薬物の皮膚浸透の向上と相関しているとしても、化学浸透促進剤ではないことを理解する。
【0074】
医薬組成物:本明細書で用いる用語「医薬組成物」は、活性物質が1つ以上の医薬的に許容される担体と一緒に製剤化される組成物を指す。いくつかの実施態様において、活性物質は、関連する集団に投与されたときに所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンでの投与に適切な単位用量で存在する。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、局所投与に適合したもの、例えば、皮膚、肺または口腔に適用されるゲル剤、クリーム剤、軟膏剤または放出制御パッチ剤もしくはスプレー剤として;例えば、ペッサリー、クリーム剤またはフォーム剤として膣内または直腸内;舌下;眼内;経皮;または経鼻、肺および他の粘膜表面に適用される、無菌液体もしくは懸濁液または徐放性の製剤を含む、固体または液体形態での投与のために特別に製剤化され得る。
【0075】
医薬的に許容される:本明細書に記載の組成物を製剤化するのに用いられる担体、希釈液または添加剤に適用される、本明細書で用いる用語「医薬的に許容される」は、担体、希釈液または添加剤が、組成物の他の成分と適合性がなければならず、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0076】
医薬的に許容される担体:本明細書で用いる用語「医薬的に許容される担体」は、ある器官または体の一部から別の器官または体の一部へ対象化合物を運搬または輸送する際に含まれる、医薬的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば液体または固体の賦形剤、希釈液、添加剤または材料を封入する溶媒を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、対象体または患者に害を及ぼさないという意味で「許容され」なければならない。医薬的に許容される担体として機能を果たし得る物質のいくつかの例としては、糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えばトウモロシデンプンおよび馬鈴薯デンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;添加剤、例えばカカオバターおよび坐剤ワックス;油、例えばピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、中鎖トリグリセリドおよびダイズ油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;および医薬製剤で使用される他の無毒性の適合性の物質が挙げられる。
【0077】
プレミックス:本明細書で用いる用語「プレミックス」は、その後ナノエマルション組成物を生成するのに、または本発明に従って用いられる成分のあらゆる組合せを指す。例えば、プレミックスは、高剪断力に供されるとき、本発明に従ってナノエマルションを生成する成分のあらゆる集合である。いくつかの実施態様において、プレミックスは、高剪断力に供されるとき、均一なナノエマルション組成物などのナノエマルション組成物を生成する成分の集合である。プレミックスはしばしば、液体分散媒体と、分散媒体内にナノエマルションを生成するのに十分な他の成分を含有する。本開示のいくつかの実施態様によれば、1つ以上の大型薬物がプレミックスに含まれ得る。本開示のいくつかの実施態様によれば、1つ以上の生物学的薬物がプレミックスに含まれ得る。本発明によれば、ボツリヌス毒素がプレミックスに含まれ得る。本発明によれば、1つ以上の抗体がプレミックスに含まれ得る。いくつかの実施態様において、プレミックスは、1つ以上の界面活性剤、浸透促進剤および/または他の物質を含み得る。いくつかの実施態様において、プレミックスは溶液を含む。プレミックスがボツリヌス毒素、抗体、別の生物学的活性物質および/または浸透促進剤を含むいくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素、抗体、別の生物学的活性物質および/または浸透促進剤は、高剪断力をプレミックスに適用する前に溶液中にある。
【0078】
予防するまたは予防:疾患、障害および/または状態の発生に関連して用いられるとき、本明細書で用いる予防するまたは予防は、疾患、障害および/または状態を発症するリスクを低減すること、および/または疾患、障害または状態の1つ以上の特徴または症状の開始を遅らせることを指す。疾患、障害または状態の開始が一定期間遅らせられたとき、予防は完了したと見なされ得る。
【0079】
タンパク質:本明細書で用いる用語「タンパク質」は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合によって互いに連結された少なくとも2つのアミノ酸のストリング)を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分(例えば糖タンパク質、プロテオグリカンなど)を含み得て、および/または他の方法で処理または修飾され得る。当業者は、「タンパク質」が、(シグナル配列の有無にかかわらず)細胞によって産生されるような完全なポリペプチド鎖であり得るか、またはその特徴的な部分であり得ることを理解する。当業者は、タンパク質が、例えば1つ以上のジスルフィド結合によって連結されているかまたは他の手段によって結合されている、複数のポリペプチド鎖を含むことがあることを理解する。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸またはその両方を含み得て、当技術分野で公知の様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含み得る。有用な修飾は、例えば末端アセチル化、アミド化、メチル化などを含む。いくつかの実施態様において、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、およびそれらの組合せを含み得る。用語「ペプチド」は、一般的に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すのに用いられる。いくつかの実施態様において、タンパク質は、抗体、抗体フラグメント、その生物学的に活性な部分、および/またはその特徴的な部分である。
【0080】
ポリペプチド:本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、一般的に、少なくとも3つのアミノ酸のポリマーの当技術分野で認識されている意味を有する。当業者は、用語「ポリペプチド」は、本明細書に記載の完全な配列を有するポリペプチドを包含するだけでなく、このような完全なポリペプチドの機能的フラグメント(すなわち、少なくとも1つの活性を保持するフラグメント)を表すポリペプチドも包含するように十分に一般的であることを意図することを理解する。さらに、当業者は、タンパク質配列は、一般的に、活性を破壊することなくいくらかの置換を許容することを理解する。したがって、活性を保持し、同じクラスのポリペプチドと、少なくとも30~40%、多くの場合50%、60%、70%または80%超の全体的な配列同一性を共有し、さらに通常は少なくとも3~4個、多くの場合20個以上のアミノ酸を含む1つ以上の高度に保存された領域において、はるかに高い、多くの場合90%超、さらには95%、96%、97%、98%または99%超の同一性の少なくとも1つの領域を含むポリペプチドは、本明細書で用いる関連用語「ポリペプチド」に含まれる。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸またはその両方を含み得て、当技術分野で公知の様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含み得る。有用な修飾は、例えば末端アセチル化、アミド化、メチル化などを含む。いくつかの実施態様において、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、およびそれらの組合せを含み得る。用語「ペプチド」は、一般的に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すのに用いられる。いくつかの実施態様において、タンパク質は、抗体、抗体フラグメント、その生物学的に活性な部分、および/またはその特徴的な部分である。
【0081】
参照:本明細書で用いる参照は、比較が実施される基準または対照を説明する。例えば、いくつかの実施態様において、目的の薬物、動物、個体、集団、試料、レジメン、配列または値は、参照または対照の薬物、動物、個体、集団、試料、レジメン、配列または値と比較される。いくつかの実施態様において、参照または対照は、目的の試験または決定と実質的に同時に試験および/または決定される。いくつかの実施態様において、参照または対照は、歴史的な参照または対照であり、所望により有形媒体に具体化される。典型的には、当業者によって理解されるように、参照または対照は、評価中のものと同等の条件または状況下で決定または特徴付けられる。当業者は、いつ特定の可能な参照または対照への信頼および/または比較を判断するために十分な類似性が存在するかを理解する。
【0082】
自己投与:本明細書で用いる用語「自己投与」は、対象体が医学的管理を必要とせずに、彼または彼女自身に組成物を投与する能力を有する状況を指す。本発明のいくつかの実施態様において、自己投与は、臨床現場の外で実施され得る。一例を挙げると、本発明のいくつかの実施態様において、顔用化粧品クリームは、自分の家で対象体によって投与され得る。
【0083】
小分子:一般的に、「小分子」は、当該技術分野において、サイズが約5ダルトン(Kd)未満である有機分子であることが理解されている。いくつかの実施態様において、小分子は、約3Kd、2Kdまたは1Kd未満である。いくつかの実施態様において、小分子は、約800ダルトン(D)、600D、500D、400D、300D、200Dまたは100D未満である。いくつかの実施態様において、小分子は、非ポリマー性である。いくつかの実施態様において、小分子は、タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸でない。いくつかの実施態様において、小分子は、核酸またはヌクレオチドでない。いくつかの実施態様において、小分子は、糖類または多糖類でない。
【0084】
対象体:本明細書で用いる「対象体」は、生物体、典型的には哺乳動物(例えば、いくつかの実施態様において出生前のヒト形態を含む、ヒト)を意味する。いくつかの実施態様において、対象体は、関連する疾患、障害または状態に罹患している。いくつかの実施態様において、対象体は、疾患、障害または状態に罹患しやすい。いくつかの実施態様において、対象体は、疾患、障害または状態の1つ以上の症状または特徴を示す。いくつかの実施態様において、対象体は、疾患、障害または状態のいかなる症状または特徴も示さない。いくつかの実施態様において、対象体は、疾患、障害、または状態に対する感受性またはリスクに特徴的な1つ以上の特徴を有する人である。いくつかの実施態様において、対象体は、患者である。いくつかの実施態様において、対象体は、診断および/または治療が施されているおよび/または施された個体である。
【0085】
実質的に:本明細書で用いる用語「実質的に」は、目的の特徴または特性の全体的もしくはほぼ全体的な度合い(extent)または程度(degree)の定性的条件を指す。生物学分野の当業者は、生物学的および化学的現象が、たとえあったとしても、完結すること、および/または完全に進むこと、または絶対的な結果を達成もしくは回避することはほとんどないことを理解する。したがって、用語「実質的に」は、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的欠如を捉えるために本明細書で用いる。
【0086】
治療薬:本明細書で用いる用語「治療薬」は、一般的に、生物体に投与されたときに所望の薬理学的効果を誘発するあらゆる薬物を指す。いくつかの実施態様において、薬物は、それが適切な集団にわたって統計的に有意な効果を示す場合、治療薬であると見なされる。いくつかの実施態様において、適切な集団は、モデル生物体の集団であり得る。いくつかの実施態様において、適切な集団は、特定の年齢層、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な基準によって定義され得る。いくつかの実施態様において、治療薬は、疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状または特徴を軽減する、改善する、緩和する、予防する、その発症を遅らせる、その重症度を低下させる、および/またはその発生率を低下させるのに用いられ得る物質である。いくつかの実施態様において、「治療薬」は、ヒトへの投与のためにそれを販売できる前に、政府機関によって承認されているかまたは承認される必要がある薬物である。いくつかの実施態様において、「治療薬」は、ヒトへの投与のために処方箋が必要とされる薬物である。いくつかの実施態様において、薬物は、実際に所望の効果を達成する異なる薬物の送達を単に向上させる場合、「治療薬」であるとは見なされない。
【0087】
治療有効量:本明細書で用いる治療有効量は、それが投与される所望の効果を生じる量を意味する。いくつかの実施態様において、当該用語は、疾患、障害および/または状態を処置するために、疾患、障害および/または状態に罹患しているかまたは罹患しやすい集団に治療的投与レジメンに従って投与されたとき、十分である量を指す。いくつかの実施態様において、治療有効量は、疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状の発生率および/または重症度を低下させる、および/または発症を遅らせるものである。当業者は、用語「治療有効量」は、実際には、特定の個体において処置の成功が達成されることを必要としないことを理解する。むしろ、治療有効量は、そのような処置を必要とする患者に投与されたときに、かなりの数の対象体において特定の所望の薬理学的応答を提供する量であり得る。いくつかの実施態様において、治療有効量への言及は、1つ以上の特定の組織(例えば、疾患、障害または状態の影響を受ける組織)または体液(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)中で測定される量への言及であり得る。当業者は、いくつかの実施態様において、治療有効量の特定の薬物または療法は、単回用量で製剤化および/または投与され得ることを理解する。いくつかの実施態様において、治療的に有効な薬物は、例えば投与レジメンの一部として、複数の用量で製剤化および/または投与され得る。
【0088】
治療レジメン:本明細書で用いる用語「治療レジメン」は、関連する集団にわたる投与が所望のまたは有益な治療結果と相関し得る投与レジメンを指す。
【0089】
処置:本明細書で用いる用語「処置(treatment)」(「処置する(treat)」または「処置すること(treating)」)は、特定の疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状、特徴および/または原因を、部分的または完全に、軽減する、改善する、緩和する、その発症を遅らせる、その重症度を低下させる、および/またはその発生率を低下させる、療法のあらゆる投与を指す。いくつかの実施態様において、このような処置は、関連する疾患、障害および/または状態の兆候を示さない対象体、および/または疾患、障害および/または状態の初期兆候のみを示す対象体のものであり得る。これとは別にまたはこれに加えて、このような処置は、関連する疾患、障害および/または状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象体のものであり得る。いくつかの実施態様において、処置は、関連する疾患、障害および/または状態に罹患していると診断された対象体のものであり得る。いくつかの実施態様において、処置は、関連する疾患、障害および/または状態の発生のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の易罹患性因子を有することが知られている対象体のものであり得る。
【0090】
均一:用語「均一」は、本明細書でナノエマルション組成物に関して用いる場合、個々の液滴が特定の範囲の液滴直径サイズを有するナノエマルション組成物を指す。例えば、いくつかの実施態様において、均一なナノエマルション組成物は、最小直径と最大直径との間の差が約300、250、200、150、100、90、80、70、60、50nm、またはそれ未満を超えないものである。いくつかの実施態様において、本発明の均一な大型薬物のナノエマルション組成物内の液滴(例えば大型薬物含有液滴)は、約300、250、200、150、130、120、115、110、100、90、80nm、またはそれ未満より小さい直径を有する。いくつかの実施態様において、本発明の均一な大型薬物のナノエマルション組成物内の液滴(例えば大型薬物含有液滴)は、約10nm~約300nmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施態様において、本発明の均一な大型薬物のナノエマルション組成物内の液滴は、約10~300、10~200、10~150、10~130、10~120、10~115、10~110、10~100、または10~90nmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施態様において、本発明の大型薬物のナノエマルション組成物内の液滴(例えば大型薬物含有液滴)は、約300、250、200、150、130、120、115、110、100または90nm未満の平均液滴サイズを有する。いくつかの実施態様において、平均液滴サイズは、約10~300、50~250、60~200、65~150、70~130nmの範囲内である。いくつかの実施態様において、平均液滴サイズは、約80~110nmである。いくつかの実施態様において、平均液滴サイズは、約90~100nmである。いくつかの実施態様において、本発明の均一なナノエマルション組成物内の液滴(例えば大型薬物含有液滴)の大部分は、特定されたサイズ未満または特定された範囲内の直径を有する。いくつかの実施態様において、大部分は、組成物中の液滴の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%以上である。本発明のいくつかの実施態様において、均一なナノエマルション組成物は、試料のマイクロフルイダイゼーションにより達成される。
【0091】
変異型:本明細書で用いる用語「変異型」は、参照実体と顕著な構造的同一性を示すが、参照実体と比較して1つ以上の化学部分の存在またはレベルにおいて参照実体と構造的に異なる実体を指す。多くの実施態様において、変異型はまた、その参照実体と機能的に異なる。一般的に、特定の実体が参照実体の「変異型」であると適切に見なされるかどうかは、参照実体との構造的同一性の程度に基づく。当業者によって理解されるように、あらゆる生物学的または化学的参照実体は、特定の特徴的な構造要素を有する。変異型は、定義上、1つ以上のこのような特徴的な構造要素を共有する別個の化学的実体である。いくつかの例を挙げると、小分子は、特徴的なコア構造要素(例えば大員環状コア)および/または1つ以上の特徴的なペンダント部分を有し得て、その結果、小分子の変異型は、コア構造要素および特徴的なペンダント部分を共有するが、他のペンダント部分および/またはコア内の結合タイプ(シングル対ダブル、E対Zなど)で異なるものであり、ポリペプチドは、線形または三次元空間において互いに対して指定された位置を有する、および/または特定の生物学的機能に寄与する、複数のアミノ酸から構成される特徴的な配列要素を有し得て、核酸は、線形または三次元空間において互いに対して指定された位置を有する複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的な配列要素を有し得る。例えば、変異ポリペプチドは、アミノ酸配列の1つ以上の違い、および/またはポリペプチド骨格に共有結合している化学部分(例えば炭水化物、脂質など)の1つ以上の違いの結果として、参照ポリペプチドと異なり得る。いくつかの実施態様において、変異ポリペプチドは、所望により保存的アミノ酸置換以外で、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または99%である、参照ポリペプチドとの全体的な配列同一性を示す。これとは別にまたはこれに加えて、いくつかの実施態様において、変異ポリペプチドは、少なくとも1つの特徴的な配列要素を参照ポリペプチドと共有しない。いくつかの実施態様において、参照ポリペプチドは、1つ以上の生物学的活性を有する。いくつかの実施態様において、変異ポリペプチドは、1つ以上の参照ポリペプチドの生物学的活性を共有する。いくつかの実施態様において、変異ポリペプチドは、1つ以上の参照ポリペプチドの生物学的活性を欠く。いくつかの実施態様において、変異ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、1つ以上の生物学的活性のレベルの低下を示す。多くの実施態様において、目的ポリペプチドが、親のものと同一であるが、特定の位置に少数の配列変化のあるアミノ酸配列を有する場合、目的ポリペプチドは、親または参照ポリペプチドの「変異型」であると見なされる。典型的には、変異型の残基の20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満は、親と比較して置換されている。いくつかの実施態様において、変異型は、親と比較して、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個の置換された残基を有する。多くの場合、変異型は、極めて少数(例えば5、4、3、2または1未満)の置換された機能的残基(すなわち特定の生物活性に関与する残基)を有する。さらに、変異型は、典型的には、5、4、3、2または1個以下の付加または欠失があり、多くの場合親と比較して、付加または欠失がない。さらに、あらゆる付加または欠失は、典型的には、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6未満であり、一般的には約5、約4、約3または約2残基未満である。いくつかの実施態様において、親または参照ポリペプチドは、天然で見られるものである。
【0092】
(特定の実施態様の詳細な説明)
経皮薬物送達
いくつかの実施態様において、本発明は、大型薬物(例えばボツリヌス毒素、抗体)の経皮的な送達および/またはバイオアベイラビリティを改善するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、マイクロニードリング技術をエマルション組成物と組み合わせたときに特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施態様において、マイクロニードリング技術は、ローション、クリームまたは液体組成物と組み合わされ、これは、今度は、エマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物および/またはナノエマルション組成物)であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、提供する技術は、浸透促進剤は利用しない。いくつかの実施態様において、提供する技術は、皮膚を損傷、破壊および/または分解する化学浸透促進剤を利用しない。いくつかの実施態様において、提供する技術は、化学浸透促進剤は利用しない。
【0093】
ヒトの皮膚は、真皮および表皮を含む。表皮は、数層の組織、すなわち角質層、透明層、顆粒層、有棘層、基底層(皮膚の外面から内側に向かって順に特定した)を有する。
【0094】
角質層は、一般的に、そしておそらく特に大型薬物の経皮送達において最も大型ハードルを提示する。角質層は、典型的には、約10~15μmの厚さであり、数層に配置された平らな角質化した細胞(角質細胞)からなる。角質細胞間の空間は、脂質構造で満たされ、皮膚を通る物質の浸透に重要な役割を果たし得る(Bauerova et al., 2001, European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics, 26:85)。
【0095】
角質層の下の残りの表皮は、約150μmの厚さである。真皮は、約1~2mmの厚さであり、表皮の下に位置する。真皮は、様々な毛細血管および神経突起によって神経支配されている。
【0096】
経皮投与は、一般的に、注射および経口送達に関連する望ましくない結果がない代替投与経路を提供しようとする研究の対象となっている。例えば、ニードルは、局所疼痛をしばしば引き起こし、注射を受けている患者を血液感染性疾患にさらす可能性がある。経口投与は、患者の胃の極めて酸性な環境のために医薬のバイオアベイラビリティが低いことに悩まされ得る。
【0097】
非侵襲的投与を提供することによってこれらの欠点を克服しようとして、特定の医薬品の経皮投与技術を開発するための努力がなされてきた。一般的に、経皮投与では、患者の皮膚への損傷を最小限に抑えることが望ましい。したがって、経皮投与は、注射に関連する疼痛を軽減または排除し、血液汚染の可能性を低減し、全身に組み込まれた際の薬物のバイオアベイラビリティを改善し得る。
【0098】
伝統的に、経皮投与の試みは、角質層の破壊および/または分解に集中してきた。いくつかの試みには、化学浸透促進剤の使用が含まれる。浸透促進剤は、皮膚構造を分解および/または破壊するように機能し得る。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、化学剤(例えば、1つ以上の角質層の構成要素を破壊および/または分解し得る、化学物質または酵素)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、薬物が皮膚に適用されたときに炎症性および/またはアレルギー性反応が生じるという点で刺激性であり得る。
【0099】
「しかしながら、浸透促進剤の主な制限は、その有効性が皮膚刺激の発生としばしば密接に相関することである。」Alkilani, A. Z., et al., "Transdermal drug delivery: Innovative pharmaceutical developments based on disruption of the barrier properties of the stratum corneum." Pharmaceutics. 7:438-470 (2015)。浸透促進剤は、有効性と安全性のプロファイルが低い傾向がある。「それらは所望の皮膚破壊を達成せず、皮膚を横切る輸送を増加させるそれらの能力は低く、変動する。」同上。
【0100】
いくつかの試みは、角質層の一部をバイパスまたは切除するために機械的装置の使用を含んでいる。また、皮膚を通る医薬品の浸透を促進するための超音波またはイオントフォレーシスの使用を含んでいる。ほとんどの場合、目標は、薬物、典型的には小分子を可能にすることであり、その結果、薬物は、真皮の毛細血管床に通過し、そこで薬物は、治療効果を達成するために対象に全身的に組み込まれ得る。これらの方法は、不快感および/または皮膚の損傷を引き起こすことなく皮膚に適用され得るエネルギーの量によって制限される。
【0101】
巨大分子の経皮送達
マイクロニードリング技術は、様々な小さな薬物、例えばカルセイン(約623Da)、デスモプレシン(約1070Da)、ジクロフェナク(約270Da)、ニコチン酸メチル(約40Da)、ビスクロロエチルニトロソウレア(約214Da)、インスリン(約5.8kDa)、ウシ血清アルブミン(約66.5kDa)およびオボアルブミン(約45kDa)の経皮送達を向上させるために示されるが、本開示までは、大型薬物、特に100kDa以上のものの送達および/またはバイオアベイラビリティの改善には問題が残っていた。
【0102】
巨大分子の経皮送達は、大型課題をもたらすと認識されている。本開示まで、マイクロニードリング、特に、相対的に低いマイクロニードルの密度および/または相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズ(例えばマイクロニードル当たりの穿刺サイズ)を用いたマイクロニードル皮膚プレコンディショニングは、大型薬物の経皮投与に影響を及ぼすまたは効果があるとは考えられていなかった。例えば、低分子量テトラペプチド-3(456.6Da);ヘキサペプチド(498.6Da);アセチルヘキサペプチド-3(889Da);およびオキシトシン(1007.2Da)の4つの親水性ペプチド、ならびにL-カルニチン(161.2Da)の送達のための中実マイクロニードルの使用の研究は、マイクロニードル前処理がこれらの各ペプチドの浸透を著しく増加させる一方で、ペプチドの皮膚浸透はその分子量に依存し、分子量が増加すると減少することを示した。Zhang, S., et al., "Enhanced delivery of hydrophilic peptides in vitro by transdermal microneedle pretreatment." Acta Pharmaceutica Sinica B. 4(1):100-104 (2014)。
【0103】
MSCのサンドペーパー摩耗、テープストリッピングおよび単一穿刺皮下ニードルモデルを、より大きなFITC(フルオレセインイソチオシアネート)コンジュゲート分子の分子サイズが経皮送達に及ぼす影響の研究で比較したとき、すべての方法で同様であることが見出され、そして、未処理の皮膚で試験したとき、試験分子のサイズが大きくなるにつれて、経皮薬物送達が再び減少することが示された(4.3、9.6および42.0KDaのFITCコンジュゲート)。テープストリッピングが最も効果的な手法であり、一方、サンドペーパー摩耗が最も皮膚に損傷を与えることが分かった。Wu, X., et al., "Effects of pretreatment of needle puncture and sandpaper abrasion on the in vitro skin permeation of fluorescein isothiocyanate (FITC)-dextran." International Journal of Pharmaceutics. 316:102-108 (2006)。
【0104】
他の研究では、さらにより巨大な分子の送達が試みられた:カスケードブルー(CB、分子量538)、デキストラン-カスケードブルー(DCB、分子量10kDa)およびFITC結合デキストラン(FITC-Dex、分子量72kDa)。その研究では、様々な長さ(300、550、700または900μm)のマイクロニードルを用いて、皮板ヒト皮膚を穿刺し、上記化合物の各々の拡散を評価した。300μmマイクロニードルアレイを除くすべてで各化合物の輸送が見られたが、DCBおよびFITC-Dexの分解が観察された。
【0105】
従来技術が示すように、分子サイズが増加するにつれて、MSC(「マイクロニードル皮膚コンディショニング」)を用いた経皮浸透は、それが最小限になり、さらには存在しないところまで減少する。ある程度の最小限の浸透が観察された場合でさえ、より巨大な分子は、分解されて生物学的に不活性になることが観察された。目的の大型薬物の経皮送達のためにエマルション技術とマイクロニードリング技術を組み合わせることによって様々な利点を達成する最近の技術(例えば国際出願第PCT/US17/53333号参照)が開発され;いくつかの実施態様において、これらの技術は、機械的または化学的浸透促進手段を用いずに、大型分子構造の経皮送達について特に驚くべき向上を達成できることを示した。例えば、いくつかの実施態様において、これらの技術は、約150KDaで、FITC-Dexの2倍を超えるサイズであるボツリヌス菌の経皮送達を達成した。本開示は、本明細書に記載のマイクロニードリング技術は、驚くべきことに、大型薬物(例えば100kDa超の分子量を有する(例えば、ボツリヌス))の経皮送達をさらに向上させる、および/またはそのバイオアベイラビリティを改善することができることを開示する。ボツリヌス菌は、複雑なタンパク質であり、タンパク質が生物学的に活性であるためには、3つの領域または機能部分が無傷である必要がある。したがって、タンパク質の3つの領域のいずれか1つが損傷すると、タンパク質は生物学的に不活性になる。Johnson, E.らによると「ボツリヌス毒素は、表面の変性、熱およびアルカリ性条件のために変性の影響を極めて受けやすい」。米国特許出願公開第5512547号。したがって、Wuによって説明されたマイクロニードリング条件下では、ボツリヌス菌のかなりのレベルの分解および不活性化が予想される。
【0106】
とりわけ、本開示は、本明細書に記載のマイクロニードリング技術は、他の浸透促進剤、特に破壊剤(すなわち、化学浸透促進剤および皮膚構造を破壊または穿刺する他の技術)を利用しないときに、(例えば大型薬物の、特にマクロエマルションまたはナノエマルション組成物からの)の経皮送達向上させるおよび/またはそのバイオアベイラビリティを改善することができることを開示する。
【0107】
マイクロニードリング
本開示は、本明細書に記載のMSCが、驚くべきことに大型薬物の経皮送達を改善することができるという驚くべき発見を提供する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化され得る。いくつかの実施態様において、大型薬物は、1つ以上の生物学的活性物質と組み合わせられ得る。いくつかの実施態様において、大型薬物は、エマルション(例えば、マクロエマルションまたはナノエマルションとして)組成物としてまたはその中で製剤化され得る。いくつかの実施態様において、1つ以上の大型薬物を含むエマルションは、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化され得る。
【0108】
いくつかの実施態様において、本開示による使用のためのマイクロニードル(MN)アレイは、皮下(hypodermicおよびsubcutaneous)ニードルの使用に一般的に関連する欠点のいくつかを克服し、患者の快適さおよびコンプライアンスを改善するために開発された、低侵襲性システムを特徴とするかまたはこれら特徴を共有する。このような欠点は、例えば、医療専門家が、ニードルがどこに進んでいるのかを正確に視覚化できないため、皮下ニードルを用いたニードル先端の誤配置の可能性を含み;このようなニードルの誤配置は、ボツリヌス菌が顔に不正確に注射されたときに、まぶたが垂れる(「眼瞼下垂」)などの有害反応を引き起こし得る。MNは、このような問題を起こしにくい。MNの他の利点は、出血を引き起こさず、MN作製穴を通った病原体の導入を最小限に抑え、経皮投与のばらつきを排除できることである。他の利点は、自己投与の可能性、偶発的な針刺し事故のリスクの低減、感染症の伝播のリスクの低減、および廃棄の容易さである。いくつかの実施態様において、MNは、パッチまたはデバイス(例えばスタンプ、ローラー、アレイ、アプリケーター、ペン)などの支持体の片側に組み立てられた複数の微視的突起である。
【0109】
いくつかの実施態様において、本開示による使用のためのMNは、皮膚接触を改善し、皮膚への浸透を促進するために、アレイで設計および/または構築され得る。いくつかの実施態様において、利用されるMNは、皮膚に挿入されたときに神経との接触を最小限に抑えながら、薬物送達のための効率的な経路を作るのに適した長さ、幅および形状のものである。Alkilani, A. Z., et al., "Transdermal drug delivery: Innovative pharmaceutical developments based on disruption of the barrier properties of the stratum corneum." Pharmaceutics. 7:438-470 (2015)。
【0110】
いくつかの実施態様において、適切なMNは、中実、コーティングされた、多孔性、溶解性、中空またはヒドロゲルのMNであり得る。中実MNは皮膚に微小な穴を作り、これにより薬物製剤の輸送を増加させる(例えば「ポークアンドパッチ」法)。コーティングされたMNは、コーティングされた薬物の皮膚への急速な溶出を可能にする(例えば「コートアンドポーク」法)。溶解性MNは、マイクロニードル内に組み込まれた薬物の急速なおよび/または制御された放出を可能にする。中空MNは、皮膚を穿刺し、マイクロニードルの孔を通った製剤の能動的注入または拡散の後に組成物の放出を可能にするために用いられ得る(例えば「ポークアンドフロー」法)。溶解性MNの場合、MNは、溶解性MNの場合は溶解により放出されるまで薬物組成物を保持するか、またはヒドロゲルMNの場合は膨潤する、薬物デポーとして機能し得る(例えば「ポークアンドリリース」法)。しかしながら、本明細書ですでに記載したように、多くの実施態様において、大型薬物は、1つ以上のマイクロニードルを介した注射によって送達されない。すなわち、多くの実施態様において、そのような実施態様に従って利用される任意のマイクロニードルは、大きな薬物の送達を達成するどんな方法でも、大きな薬物でコーティングされず、それを負荷されず、またはそれを用いて製造されない。あるいは、いくつかの実施態様において、本開示に従って利用される(MSC中またはその他)本明細書に記載のMNは、大型薬物が本明細書に記載のマクロまたはナノエマルションに製剤化される場合、大型薬物を含み得る、および/または送達し得る。したがって、本明細書を読む当業者に理解されるように、大型薬物を送達するマイクロニードルを用いた皮膚の処置は(例えば、マイクロニードルを介した注射による、マイクロニードルコーティングの放出による、または溶解したマイクロニードルからの放出による)、マイクロニードル皮膚コンディショニングではない。
【0111】
いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さ全体にわたって一定である直径を有する。いくつかの実施態様において、マイクロニードルの直径は、マイクロニードルの基部末端で最大である。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルの基部より遠位の端部の点の点に向かって先細である。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、中実であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、中空であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、管状であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードル一端が密閉され得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルのアレイの一部である。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約4,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約2,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約400μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約500μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約600μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約700μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約800μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約800μm~約1500μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1400μm未満の長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1100μm未満の長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1000μm未満の長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約800μm未満の長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約100μm~約800μmの長さであり得る。
【0112】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のマイクロニードリングは、共通の長さの複数のマイクロニードル(例えば、マイクロニードルアレイ)を皮膚に適用することを含み;本明細書に記載のマイクロニードリングは、異なる長さの複数のマイクロニードル(例えば、マイクロニードルアレイ)を皮膚に適用することを含む。
【0113】
様々な長さのマイクロニードルが、本明細書に記載のマイクロニードリング技術において用いられ得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のMSCで用いられるマイクロニードルの長さは、処置部位の皮膚の厚さに基づいて調整される。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約100μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約150μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約200μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約250μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約300μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約350μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約400μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約450μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約500μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約550μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約600μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約650μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約700μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約750μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約800μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約850μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約900μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約950μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約1000μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約1100μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約1200μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約1300μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約1400μmの長さのマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、約1500μmの長さのマイクロニードルを含む。
【0114】
いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、複数のニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、2マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、3マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、4マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、5マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、6マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、7マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、8マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、9マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、10マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、11マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、12マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、13マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、14マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、15マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、16マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、17マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、18マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、19マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、20マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、21マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、22マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、23マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、24マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、25マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、26マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、27マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、28マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、29マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、30マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、31マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、35マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、40マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、45マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、50マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、55マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、60マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、65マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、70マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、75マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、80マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、85マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、90マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、95マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、100マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、200マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、300マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、400マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、500マイクロニードル/cm2を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1000マイクロニードル/cm2未満を含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、2000マイクロニードル/cm2未満を含む。
【0115】
あらゆる形状のマイクロニードルが、本明細書に記載のマイクロニードリング技術において用いられ得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、円形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、三角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、長方形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、正方形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、四角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、五角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、六角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、七角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、八角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、九角形の断面を有し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、十角形の断面を有し得る。
【0116】
様々な断面積のマイクロニードルが、本明細書に記載のマイクロニードリング技術において用いられ得る。本明細書に記載のMSC(「マイクロニードル皮膚コンディショニング」)に用いられるMNアレイにおける各マイクロニードルの断面積は、次に、MSCに用いられるMNアレイのマイクロニードルの穿刺サイズ(例えばマイクロニードル当たりの穿刺サイズ)を定義し得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルの穿刺サイズは、約100~約60,000μm2/マイクロニードルの範囲であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルの穿刺サイズは、約100~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲であり得る。
【0117】
いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、複数のマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、少なくとも2個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、少なくとも3個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、少なくとも4個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、少なくとも5個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、最大でも10個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、少なくとも11個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、少なくとも12個の異なるマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、最大でも1個のマイクロニードルの穿刺サイズを有するニードルを含む。
【0118】
様々なマイクロニードルの穿刺サイズを含むMNまたはMNアレイが、本明細書に記載のマイクロニードリング技術において用いられ得る。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、100μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、200μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、300μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、400μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、600μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、700μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、800μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、900μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1100μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1200μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1300μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1400μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1600μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1700μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1800μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、1900μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、2000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、2500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、3000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、3500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、4000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、4500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、5000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、5500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、6000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、6500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、7000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、7500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、8000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、8500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、9000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、9500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、10000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、10500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、11000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、11500μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、12000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、13000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、14000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、15000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、20000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、25000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、30000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、35000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、40000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、45000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、50000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、55000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。いくつかの実施態様において、MNまたはMNアレイは、60000μm2/マイクロニードル未満のマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを含む。
【0119】
いくつかの実施態様において、本開示による使用のためのMNは、マイクロ成形プロセスまたはレーザーを含むがこれらに限定されない技術を用いて、異なる材料から製造し得る。いくつかの実施態様において、MNは、ポリマー、金属、セラミック、半導体、有機物、複合材料またはシリコンを含む様々なタイプの生体適合性材料を用いて製造し得る。それらが皮膚に侵入して溶解するように設計されていない限り、いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、皮膚に挿入される、および/または挿入後に皮膚から除去される間に、インタクトのままであって、薬物を送達する、または生体液を収集するために機械的強度を有する。いくつかの実施態様において、MNは、完全に除去される前に、最大数日間その場に留まることができる。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、標準的な技術を用いて滅菌可能であり得る。いくつかの実施態様において、MNは生分解性である。いくつかの実施態様において、MNはポリマー材料を含む。いくつかの実施態様において、ポリマー材料は、ポリ-L-乳酸、ポリ-グリコール酸、ポリカーボネート、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテルとマレイン酸無水物のコポリマー、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、マルトース、デキストリン、ガラクトース、デンプン、ゼラチン、またはそれらの組合せを含む。
【0120】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のMSCは、MNまたはMNアレイの1回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの2回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの3回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの4回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの5回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの6回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの7回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの8回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの9回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの10回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの11回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの12回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの13回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの14回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの15回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの16回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの17回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの18回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの19回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイの20回の押付けを含む。いくつかの実施態様において、MSCは、MNまたはMNアレイを皮膚錠で1回以上ローリングすることを含む。いくつかの実施態様において、MNアレイは、押付け間に回転される。いくつかの実施態様において、MNアレイは、押付け間に回転されない。いくつかの実施態様において、押付けは、同じ部位に行われる。いくつかの実施態様において、押付けは、重複部位に行われる。いくつかの実施態様において、押付けは、異なる部位に行われる。いくつかの実施態様において、押付けは、MNアレイをスタンプすることにより行われる。いくつかの実施態様において、押付けは、マイクロニードルローラーを部位上で1回以上ローリングすることにより行われる。確立されたMN慣行に従って、いくつかの実施態様において、MNアレイの皮膚押付けは、1秒未満継続するか、あるいは、いくつかの実施態様において、1秒以上継続し、例えば、30秒以上、60秒以上、2分以上、5分以上、10分以上、30分以上など継続し得る。
【0121】
上記のとおり、本開示は、マイクロニードルにより穿刺される皮膚の総表面積が減少するにつれて、皮膚に適用されるエマルション中の大型薬物のバイオアベイラビリティが増加することを教示する。したがって、いくつかの実施態様において、相対的により少ない押付けが好ましい場合がある。いくつかの実施態様において、マイクロニードル皮膚コンディショニングと併用して投与される大型薬物が、エマルション(例えば、薬物を含むエマルション)ではない(または含まない)局所製剤中であるとき、より少ないマイクロニードルアレイの押付けが好ましい場合がある。いくつかの実施態様において、より短いマイクロニードルの長さが好ましい場合がある。いくつかの実施態様において、マイクロニードル皮膚コンディショニングと併用して投与される大型薬物が、エマルション(例えば、薬物を含むエマルション)ではない(または含まない)局所製剤中であるとき、相対的により短いマイクロニードルの長さが好ましい場合がある。
【0122】
さらに、上記のとおり、本開示を読む当業者は、いくつかの実施態様において、MSCと併用した、生物学的活性物質(例えば大型薬物)を含有する相対的に減少させた量の製品の適用は、より大型生物学的効果を達成し得ることを理解する。したがって、いくつかの実施態様において、活性物質(例えば大型薬物)を含有する製品容量の相対的減少が好ましい場合がある。いくつかの実施態様において、マイクロニードル皮膚コンディショニングと併用して投与される大型薬物が、エマルション(例えばナノエマルション)であるか、またはそれを含む局所製剤中であるとき、相対的により小さい製品容量が好ましい場合がある。いくつかの実施態様において、マイクロニードル皮膚コンディショニングと併用して投与される大型薬物が、エマルション(例えば、薬物を含むエマルション)ではない(または含まない)局所製剤中であるとき、相対的により小さい製品容量が好ましい場合がある。大型薬物の経皮送達のための大型薬物を含む組成物と組み合わせて用いるのに適したMNアレイおよびMSCデバイスは、例えば米国特許第6,334,856号;第6,503,231号;第6,908,453号;第8,257,324号;および第9,144,671号に記載されたものなどのデバイスを含む。
【0123】
大型薬物
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるように提供および/または利用される組成物は、1つ以上の大型薬物を含む。いくつかの実施態様において、利用される大型薬物は、生物学的活性物質(例えば治療的活性物質)である。とりわけ、本開示は、本明細書に記載のMSCと組み合わせた大型薬物を含む組成物の局所投与および経皮送達のための戦略および驚くべき改善を提供する。さらに、本開示は、マイクロニードリング処置が、エマルション組成物(例えばナノエマルション)中の大型薬物の送達に特に有利であり得ることを証明する。
【0124】
1.タンパク質薬物
様々なタンパク質薬物のいずれかは、提供される組成物に組み込まれ、MSCと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、タンパク質薬物は、ペプチド薬物であり得る。いくつかの実施態様において、ペプチドは、100kDa超の分子量を有する。いくつかの実施態様において、ペプチド薬物は、少なくとも150kDaの分子量を有する。いくつかの実施態様において、ペプチド薬物は、天然に存在するアミノ酸のみから構成される。いくつかの実施態様において、ペプチド薬物は、1つ以上の天然に存在しないアミノ酸を含む。
【0125】
当業者は、関連する規制当局によって治療的使用が承認されている様々なタンパク質薬物を承知しているだろう。例えば、米国食品医薬品局は、承認された生物学的治療薬のリストを承認された年ごとに整理しており、www.fda.gov/biologicsbloodvaccines/developmentapprovalprocess/biologicalapprovalsbyyear/ucm547553.htmで見つけられる。本開示を読む当業者は、その教示が、様々なこのような薬物に適用可能であり得ることを理解する。特に興味深いのは、例えば臨床試験を受けている可能性がある、または受けた可能性がある(例えば、米国食品医薬品局または他の管轄区域の同等の機関によって承認されているかまたは承認中である可能性がある、あるいは臨床試験に含まれている可能性がある、例えばwww.clinicaltrials.govのリストに含まれている可能性がある可能性がある、または1つ以上の臨床施設のInstitutional Review Boardsまたはその同等物に記録されている可能性がある)ものを含む、局所投与を意図および/または製剤化されたものである
【0126】
(i)ボツリヌス毒素
いくつかの実施態様において、大型薬物は、ボツリヌス毒素であり得る。ボツリヌス毒素(BTX)は、嫌気性のグラム陽性菌であるボツリヌス菌によって天然で産生され、強力なポリペプチド神経毒である。最も注目すべきことに、BTXは、ボツリヌス中毒と呼ばれるヒトおよび動物における神経麻痺の病気を引き起こす。BTXは、明らかに腸の内壁を通過し、末梢運動神経を攻撃し得る。ボツリヌス毒素中毒の症状は、歩行、嚥下および会話の困難から呼吸筋の麻痺、そして死へと進行し得る。
【0127】
ボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は、7つの既知のボツリヌス毒素血清型すべてについて、約150kDaである。ボツリヌス毒素は、150kDaのボツリヌス毒素タンパク質分子を、関連非毒素タンパク質と一緒に含む複合体として、クロストリジウム属(Clostridium)の細菌によって放出される。したがって、BTX-A複合体は、クロストリジウム属の細菌によって900kDa、500kDaおよび360kDaの形態として産生される。ボツリヌス毒素B型およびC1型は、明らかに500kDaの複合体としてのみ産生される。ボツリヌス毒素D型は、300kDaと500kDaの両方の複合体として産生される。最後に、ボツリヌス毒素E型およびF型は、約300kDaの複合体としてのみ生成される。
【0128】
BTX複合体(すなわち、約150kDaを超える分子量を有するそれらの組成物)は、非毒素血球凝集素タンパク質ならびに非毒素非毒性非血球凝集素タンパク質を含むと考えられている。これらの2つの非毒素タンパク質(ボツリヌス毒素分子とともに関連神経毒複合体を構成する)は、ボツリヌス毒素分子の変性に対する安定性、および毒素が摂取されたときの消化酸に対する保護を提供するように作用し得る。
【0129】
BTXタンパク質またはBTX複合体のいずれかを、本発明に従って、既知の治療薬および/または独立して活性な生物学的活性物質として利用し得る。実際、適切な活性を保持するBTXタンパク質または複合体のあらゆる部分またはフラグメントが、本明細書に記載されるように利用され得ることが当業者によって理解される。
【0130】
いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素は、A型、Ab型、Af型、B型、Bf型、C1型、C2型、D型、E型、F型およびG型;その変異体;そのバリアント;そのフラグメント;その特徴的な部分;および/またはその融合からなる群より選択され得る。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素は、例えば参照(例えば野生型)毒素(またはその関連フラグメント)と比較して1つ以上の構造変異を有する、バリアント毒素であり得る。いくつかの特定の実施態様において、バリアント毒素は、適切な同等の参照形態(例えば野生型形態)よりも長いまたは短い生物学的活性寿命を有し得る。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素は、Sakaguchi, 1982, Pharmacol. Ther., 19:165;および/またはSmith et al., 2005, Infect. Immun., 73:5450(これら両方は出典明示により本明細書の一部とする)に記載のサブタイプのいずれかとして存在する。
【0131】
いくつかの実施態様において、本発明は、ボツリヌス毒素組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、ナノエマルションボツリヌス毒素組成物を提供する。本発明に従って利用され得るボツリヌス毒素の市販の供給源は、BOTOX(登録商標)、DYSPORT(登録商標)(ヒト血清アルブミンおよびラクトースとのボツリヌス菌A型毒素血球凝集素複合体;Ispen Limited、Berkshire U.K.)、Xeomin(登録商標)、PurTox(登録商標)、Medy-Tox、NT-201(Merz Pharmaceuticals)、および/またはMYOBLOC(登録商標)(ボツリヌス毒素B型、ヒト血清アルブミン、コハク酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムからなり、pHが5.6の注射溶液、Elan Pharmaceuticals、Dublin、Ireland)、NEURONOX(Medytox)、HENGLI(Lanzhou Institute)などを含むがこれらに限定されない。当業者は、このような市販のボツリヌス毒素組成物の標準的および/または承認された投与レジメンを知っており、関連するこのような組成物を理解し、および/またはレジメンは、本明細書に記載のマイクロニードリング技術(例えば、特にMSC)と一緒に利用され得る。
【0132】
いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約1~約200,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約1~約100,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約1~約50,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約500~約20,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約50~約500単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム剤および/またはローション剤として製剤化される、提供される組成物は、1mL当たり約25~約400単位のボツリヌス毒素を含む。
【0133】
いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約2~約40,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約2~約12,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約50~約1,000単位のボツリヌス毒素を含む。
【0134】
いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素組成物は、ボツリヌス毒素以外の少なくとも1つの生物学的活性物質を含む。これとは別にまたはこれに加えて、いくつかの実施態様において、ボツリヌス組成物は、このような生物学的活性物質以外の少なくとも1つの他の組成物と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、ボツリヌス組成物は、浸透促進剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、ボツリヌス組成物は、別の生物学的活性物質と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、ボツリヌス組成物は、別の生物学的活性物質および浸透促進剤と組み合わせて投与される。
【0135】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のボツリヌス毒素と組み合わせて利用される生物学的活性物質は、皮膚上または皮膚内で作用する、および/または治療的および/または美容的効果を及ぼす薬物であり得る。例えば、いくつかの実施態様において、このような生物学的活性物質は、麻酔薬(例えばリドカイン)、ステロイド類(例えばヒドロコルチゾン)および/またはレチノイド類(例えばレチノイン)などの治療的薬、皮膚充填剤(例えばヒアルロン酸または他の弾性材料)、コラーゲンおよび/またはシリコーンなどの美容薬より選択される。いくつかの実施態様において、ボツリヌス組成物は、送達修飾剤、例えば浸透促進剤(いくつかの実施態様において、刺激性でない、および/または皮膚構造および/または皮膚を分解、破壊および/または損傷しない)と組み合わせて投与される。
【0136】
いくつかの実施態様において、非刺激性浸透促進剤は、例えばコペプチド、担体分子および担体ペプチドより選択され得る。いくつかの実施態様において、担体分子は、正に帯電している。いくつかの実施態様において、担体分子は、コペプチドであり得る。いくつかの実施態様において、担体分子は、長鎖の正に帯電したポリペプチドまたは正に帯電した非ペプチジルポリマー、例えばポリアルキレンイミンであり得る。いくつかの実施態様において、担体ペプチドは、カチオン性ペプチドであり得る。いくつかの実施態様において、担体ペプチドは、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有する正に帯電した担体である。いくつかの実施態様において、担体分子は、米国特許出願公開第2010/0168023号または米国特許出願公開第2009/0247464号に開示されているものであり得て、これらの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0137】
いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約1~約100,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約1~約100,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約1~約50,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約500~約20,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約50~約500単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の両方を含む、提供される組成物は、1mL当たり約25~約400単位のボツリヌス毒素を含む。
【0138】
いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約2~約40,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約2~約12,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約50~約1,000単位のボツリヌス毒素を含む。
【0139】
(ii)抗体薬
いくつかの実施態様において、本開示は、抗体薬の送達に関する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体であり得る。とりわけ、本開示は、抗体薬を含む特定の組成物を提供し、また、抗体薬を含む組成物の投与のための技術を提供し、このような投与は、本明細書に記載のMSCと組み合わされる。
【0140】
いくつかの実施態様において、抗体薬は、皮膚状態を処置するのに適切であり得る。いくつかの実施態様において、抗体薬は、融合タンパク質であり得る。いくつかの実施態様において、抗体薬は、別の部分とコンジュゲートし得る。いくつかの実施態様において、抗体薬は、ポリエチレングリコールとコンジュゲートし得る。いくつかの実施態様において、抗体は、多重特異性(例えば二重特異性)であり得て、2つ以上の異なる標的抗原またはエピトープに結合できる。
【0141】
いくつかの実施態様において、抗体は、TNFαを含む(例えば、抗TNFα抗体、例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、および/またはセルトリズマブペゴールで見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施態様において、抗体は、CD2を含む(例えば、抗CD2抗体、例えばシプリズマブで見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施態様において、抗体は、CD4を含む(例えば、抗CD4抗体、例えばザノリムマブで見られるエピトープ結合要素を含む)。
【0142】
いくつかの実施態様において、抗体は、IL-12を含む(例えば、抗IL-12抗体、例えばブリアキヌマブで見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施態様において、抗体は、IL-17を含む(例えば、抗IL-17抗体、例えばセクキヌマブおよび/またはブロダルマブで見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施態様において、抗体は、IL-22を含む(例えば、抗IL-22抗体、例えばフェザキヌマブで見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施態様において、抗体は、IL-23を含む(例えば、ウステキヌマブおよび/またはグセルクマブで見られるエピトープ結合要素を含む)。
【0143】
いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、抗体薬以外の少なくとも1つの生物学的活性物質を含む。これとは別にまたはこれに加えて、いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、このような生物学的活性物質を含む少なくとも1つの他の組成物と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、浸透促進剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、別の生物学的活性物質と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、別の生物学的活性物質および浸透促進剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、ナノエマルションである。いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、クリームおよび/またはローション製剤である。
【0144】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗体薬と組み合わせて利用される生物学的活性物質は、皮膚上または皮膚内で作用する、および/または治療的および/または美容的効果を及ぼす薬物であり得る。例えば、いくつかの実施態様において、このような生物学的活性物質は、麻酔薬(例えばリドカイン)、ステロイド類(例えばヒドロコルチゾン)および/またはレチノイド類(例えばレチノイン)などの治療的薬、皮膚充填剤(例えばヒアルロン酸または他の弾性材料)、コラーゲンおよび/またはシリコーンなどの美容薬より選択される。いくつかの実施態様において、抗体薬組成物は、送達修飾剤、例えば浸透促進剤(いくつかの実施態様において、刺激性でない、および/または皮膚構造および/または皮膚を分解、破壊および/または損傷しない)と組み合わせて投与される。
【0145】
いくつかの実施態様において、非刺激性浸透促進剤は、例えばコペプチド、担体分子および担体ペプチドより選択され得る。いくつかの実施態様において、担体分子は、正に帯電している。いくつかの実施態様において、担体分子は、コペプチドであり得る。いくつかの実施態様において、担体分子は、長鎖の正に帯電したポリペプチドまたは正に帯電した非ペプチジルポリマー、例えばポリアルキレンイミンであり得る。いくつかの実施態様において、担体ペプチドは、カチオン性ペプチドであり得る。いくつかの実施態様において、担体ペプチドは、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有する正に帯電した担体である。いくつかの実施態様において、担体分子は、米国特許出願公開第2010/0168023号または米国特許出願公開第2009/0247464号に開示されているものであり得て、これらの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0146】
2.予防薬
様々な予防薬のいずれかが、提供される組成物に組み込まれ、本発明によるMSCと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、予防薬は、ワクチンを含むが、これに限定されない。いくつかの実施態様において、ワクチンは、単離されたタンパク質またはペプチド、不活化された生物体およびウイルス、死んだ生物体およびウイルス、遺伝子改変された生物体またはウイルス、および細胞抽出物を含み得る。いくつかの実施態様において、予防薬は、インターロイキン、インターフェロン、サイトカインおよびアジュバント、例えばコレラ毒素、ミョウバン、フロイントアジュバントと組み合わせ得る。いくつかの実施態様において、予防薬は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ヘモフィルス・インフルエンザエ、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、コリネバクテリウム・ジフテリアエ、リステリア・モノサイトゲネス、バチルス・アンスラシス、クロストリジウム・テタニ、ボツリヌス菌、クロストリジウム・パーフリンジェンス、ナイセリア・メニンギティディス、ナイセリア・ゴノレー、ストレプトコッカス・ミュータンス、シュードモナス・エルギノーサ、サルモネラ・チフィ、ヘモフィルス・パラインフルエンザエ、ボルデテラ・パータシス、フランシセラ・ツラレンシス、エルシニア・ペスティス、ビブリオ・コレラ、レジオネラ・ニューモフィラ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・レプレ、トレポネーマ・パリダム、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospirosis interrogans)、ボレリア・バーグドルフェリ、カンピロバクター・ジェジュニなどの細菌生物の抗原;天然痘、インフルエンザAおよびB、呼吸器多核体イルス、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1および2、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、ムンプス、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、ウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、A型、B型、C型、D型およびE型肝炎ウイルスなどのウイルスの抗原;クリプトコックス・ネオフォルマンス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、ノカルジア・アステロイデス、リケッチア・リケッチイ、リケッチア・チフィ、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・シタッシ、クラミジア・トラコマチス、プラスモディウム・ファルシパルム、トリパノソーマ・ブルセイ、エントアメーバ・ヒストリティカ、トキソプラズマ・ゴンディ、トリコモナス・バギナリス、スキストソーマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)などの真菌、原生動物および寄生生物の抗原を含み得る。いくつかの実施態様において、これらの抗原は、完全に死滅した生物体、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはそれらの組み合わせの形態であり得る。
【0147】
当業者は、前の段落が、本発明による技術を用いて送達することができる、例示的で包括的ではない薬物のリストを提供することを認識する。あらゆる薬物を、本発明に従って提供される組成物と関連付けることができる。
【0148】
局所製剤
本明細書に記載の組成物は、局所および/または経皮(例えば、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与によって、それを必要とする対象体に大型薬物を送達するために用いられ得る点で特に有用である。いくつかの実施態様において、大型薬物を含む、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、局所および/または経皮(例えば、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与によって、それを必要とする対象体に投与される。
【0149】
いくつかの実施態様において、クリームおよび/またはローション製剤は、精製水、メチルパラベン、鉱油、ミリスチン酸イソプロピル、白色ワセリン、乳化ワックス、およびプロピルパラベンを含む。いくつかの実施態様において、クリームおよび/またはローション製剤は、精製水、鉱油、ミリスチン酸イソプロピル、白色ワセリン、および乳化ワックスを含む。
【0150】
いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載の特定のクリームおよび/またはローション製剤を提供する。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、水を含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、メチルパラベンを含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、鉱油を含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、ミリスチン酸イソプロピルを含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、白色ワセリンを含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、乳化ワックスを含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、プロピルパラベンを含む。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、パラベンを含まない。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、メチルパラベンを含まない。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、プロピルパラベンを含まない。例示的なローション剤の処方を表1に提供する。
【表1】
【0151】
いくつかの実施態様において、クリームおよび/またはローション製剤は、局所および/または経皮投与に有用であり得る。本発明は、提供されるクリームおよび/またはローション製剤が、皮膚の真皮層への薬物の送達に特に有用であり得るという認識を包含する。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、それを必要とする対象体への局所および/または経皮送達のために製剤化される。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、それを必要とする対象体へ局所および/または経皮送達により投与される。
【0152】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、美容的に許容される成分と製剤化される。例えば、いくつかの実施態様において、提供される組成物は、水、およびあらゆる美容的に許容される溶媒、特に、モノアルコール、例えば1~8個の炭素原子を有するアルカノール(例えばエタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコールおよびフェニルエチルアルコール)、ポリアルコール、例えばアルキレングリコール(例えばグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコール)、およびグリコールエーテル、例えばモノ-、ジ-およびトリ-エチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル(単独または混合物で用いられる)と製剤化される。このような成分は、例えば、組成物全体の重量に対して、最大60重量%、70重量%、80重量%または90重量%の割合で存在し得る。
【0153】
いくつかの実施態様において、局所投与のための提供される組成物は、組成物が適用される対象体に望ましいまたは適切な外観特性(例えば、脂性肌を有する対象体への投与に特に望ましいまたは適切であり得るマットな外観)を与える1つ以上の美容的に許容される成分を含む。
【0154】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、例えば脂性肌を有する個体に特に望ましい場合があるマット製品を得るために、少なくとも1つの美容的に許容される充填剤材料と共に製剤化される。
【0155】
いくつかの実施態様において、大型薬物は、局所投与に適した組成物に製剤化される。例示的な大型薬物は、本明細書に記載されるものを含む。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、全身送達が達成されるように、本明細書に記載のMSCと組み合わせて製剤化および送達され得て;いくつかの実施態様において、提供される組成物は、局所的であるが全身的ではない送達が達成されるように製剤化および/または送達され得る。
【0156】
いくつかの実施態様において、局所製剤に適した組成物は、浸透促進剤を含む。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、皮膚構造および/または皮膚を分解、破壊および/または損傷する。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、皮膚構造および/または皮膚を分解、破壊および/または損傷しない。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、刺激性である。いくつかの実施態様において、浸透促進剤は、刺激性でない。
【0157】
本開示は、本明細書に記載のMSCと組み合わせて提供される組成物を用いた、真皮への治療薬(特に、大型生物学的薬物、例えばボツリヌス毒素および/または抗体薬)の効果的かつ効率的な送達を具体的に示す。例えば、いくつかの実施態様において、本発明は、臨床的に重大な副作用なしに、本明細書に記載の組成物の投与を含む方法を提供する。一例を挙げると、局所送達が企図される場合、臨床的に重大な副作用は、望ましくない全身性副作用、真皮の下にある神経組織への損傷(例えば神経麻痺)、筋肉への望ましくない作用(例えば筋肉麻痺)、および/または治療薬の望ましくない血中濃度などを含むがこれらに限定されない。
【0158】
当業者は、提供される組成物が、例えばパッチなどのデバイスに組み込まれ得ることを理解する。様々な経皮パッチ構造が当技術分野で知られており;当業者は、提供される組成物がそのような様々な構造のいずれかに容易に組み込まれ得ることを理解する。いくつかの実施態様において、経皮パッチは、皮膚に適用されるパッチの片側から延びる複数のニードルを含み得て、ここで、ニードルは、パッチから延びて、皮膚の角質層を通って突き出る。いくつかの実施態様において、ニードルは血管を破裂させない。いくつかの実施態様において、ニードルは、皮膚の真皮中の神経に到達するのに十分深く浸透しない。
【0159】
いくつかの実施態様において、経皮パッチは接着剤を含む。接着パッチのいくつかの例は周知である(例えば、米国意匠特許第296,006号;および米国特許第6,010,715号;第5,591,767号;第5,008,110号;第5,683,712号;第5,948,433号;および第5,965,154号;これらはすべて出典明示により本明細書の一部とする)。接着パッチは、一般的に、患者の皮膚に適用される接着層、提供される組成物を保持するためのデポーまたはリザーバー、および提供される組成物がデポーから漏れるのを防ぐ外面を有することを特徴とする。パッチの外面は、非接着性であり得る。
【0160】
本発明によれば、提供される組成物は、長期間安定したままであるように、パッチに組み込まれる。例えば、いくつかの実施態様において、提供される組成物は、大型薬物を安定化し、薬物がマトリックスおよびパッチから拡散することを可能にするポリマーマトリックスに組み込まれ得る。提供される組成物はまた、パッチが皮膚に適用されると、提供される組成物が皮膚を通って拡散し得るように、パッチの接着剤層に組み込まれ得る。いくつかの実施態様において、接着剤層は、薬物が皮膚を通って拡散するように、熱活性化され得て、ここで、約37℃の温度は接着剤をゆっくりと液化させる。接着剤は37℃未満で貯蔵されると、粘着性を保ち得て、皮膚に塗布されると、接着剤は液化するにつれて粘着性を失う。
【0161】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、パッチに加えられる圧力が、提供される組成物を、マイクロニードルおよび角質層を通ってパッチの外に向くように、パッチ内のデポーに提供され得る。マイクロニードルの例示的な実施態様は、上に記載されている。提供される組成物を皮内投与するのに用いるのに適したデバイスは、例えば米国特許第4,886,499号;第5,190,521号;第5,328,483号;第5,527,288号;第4,270,537号;第5,015,235号;第5,141,496号;および第5,417,662号に記載されているものを含む。皮内組成物は、など、皮膚へのニードルの有効浸透長さを制限するデバイス、例えば国際公開第99/34850号に記載のものおよびその機能的同等物に記載されているものにより投与され得る。
【0162】
いくつかの実施態様において、例えば、提供される組成物の効果を延長するために、提供される組成物の皮膚への吸収を遅くすることが望ましい場合がある。いくつかの実施態様において、これは、水溶性が低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液を用いることによって達成され得る。その後、提供される組成物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、次に、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。いくつかの実施態様において、提供される組成物対ポリマーの比率および使用される特定のポリマーの性質に応じて、提供される組成物の放出速度は、制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。
【0163】
エマルション
本開示は、エマルション技術が、本明細書に記載の大型薬物を含み、特にボツリヌス毒素および/または抗体薬を含む、目的の薬物に安定化の利益を提供できるという認識を包含する。
【0164】
さらに、本開示は、特定の液体ナノエマルション技術が、ボツリヌス菌および/または抗体薬などの極めて巨大な分子に対してさえ、優れた経皮送達特性を提供することが示されていることを理解している。例えば、米国特許出願公開第2012/0328701号、米国特許出願公開第2012/0328702号、第8,318,181号、および米国特許第8,658,391号参照、これらの開示は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。これらの液体ナノエマルションは、固体ナノ粒子薬物送達、特に経皮薬物送達よりもはるかに優れており、Gomaaが述べているように、固体ナノ粒子は皮膚に浸透できず、毛包に蓄積するだけである。これらの液体ナノエマルションは、少なくとも34か月間安定であり、これらは、この観点からも商業的に実施可能である。
【0165】
1.マクロエマルション
いくつかの実施態様において、本開示は、経皮製品が適用されたか、適用されているか、または適用されるだろう皮膚を「コンディショニングする」ためにマイクロニードリングを用いる戦略を提供する。小分子(具体的には、分子量が400~1000Daの範囲である短い親水性のペプチド)の経皮送達を分析する研究が、「ペプチドの皮膚浸透はその分子量に依存し、分子量が増加すると浸透は減少する」ことを見出したため、このような戦略は、小さい分子量の薬物にのみ有用である可能性が高いという先の報告にもかかわらず、本開示は、このようなマイクロニードルコンディショニングは、驚くべきことに、大型薬物(例えば約100kDa以上の分子量を有する)の経皮送達を向上させるのに顕著な利益を提供できるという知見を提供する。Zhang, S., et al., "Enhanced delivery of hydrophilic peptides in vitro by transdermal microneedle pretreatment." Acta Pharmaceutica Sinica B. 4(1):100-104 (2014)。
【0166】
本開示は、このような液体マクロエマルション組成物による巨大分子の効果的かつ急速な(すなわち、数分にわたる投与)経皮送達は、驚くべきことに、本明細書に記載のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)(例えば、相対的に低いマイクロニードルの密度および/または相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズを用いる)とマクロエマルション投与を組み合わせることにより改善できるという知見を提供する。
【0167】
本開示は特に、マイクロニードリング技術(例えば皮膚のマイクロニードルコンディショニング)が、特にマクロエマルション技術と併用して利用したときに、大型薬物(例えばボツリヌスおよび/または抗体薬)の経皮送達を著しく向上させることができることを示す。特定の目的マクロエマルション組成物は、直径が約300nm超~約5,000μmの範囲の液滴サイズ、約0.01:1~約20:1の範囲の水性分散媒体対油の比;約0.1~約40の範囲の油対界面活性剤の比および/または約-80mV~約+80mVの範囲のゼータ電位により特徴付けられるマクロエマルション油中水型および水中油型を含む。組成物の界面活性剤部分は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。
【表2】
【0168】
マクロエマルション製剤は、大型薬物、例えばボツリヌス菌および/または抗体薬を安定化するように作用し得る。マクロエマルション製剤は、それ自体が大型薬物の経皮送達を達成することを必ずしも期待されないが、それにもかかわらず、本開示は、マクロエマルション組成物への組み込みによって提供され得る安定化の改善が、本明細書に記載のマイクロニードル技術と組み合わされたときに、経皮送達の相乗的向上を達成し得るという知見を包含する。
【0169】
本開示は、MSCは小さい化合物の経皮送達を促進するのにのみ役立つという予想にもかかわらず、ナノエマルション組成物による大型薬物の経皮送達は、マイクロニードル技術との組合せによって、可能になり得ることを教示する。また、固形ナノ粒子中への小分子薬物の封入と組み合わせたマイクロニードルコンディショニングは、Gomaaが説明しているように、投与6時間後にのみ少量の浸透を提供し、材料の浸透は、投与後12時間まで観察されたことを考慮すると、本開示は特に驚くべきものである。
【0170】
いくつかの実施態様において、大型薬物を含むマクロエマルション製剤は、中実マイクロニードルでのマイクロニードルコンディショニングと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、部位のMSCは、該部位への大型薬物を含むマクロエマルション製剤の適用前(例えば、その特定の適用の前および/またはその各適用の前)に、実施される。いくつかの実施態様において、部位のMSCは、該部位への大型薬物を含むマクロエマルション製剤の適用後に、実施される。いくつかの実施態様において、部位のMSCと、該部位への大型薬物を含むマクロエマルション製剤の適用は、実質的に同時に生じる。いくつかの実施態様において、大型薬物を含むマクロエマルション製剤は、1つ以上のマイクロニードルにより注射されない。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルのアレイの一部である。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約4,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約2,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約400μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約800μm~約1500μmの長さであり得る。
【0171】
本明細書で提示される発見は、本明細書で利用されるマクロエマルション組成物中の液滴のものより極めて小さいサイズ(例えば105±2.92nm)の固形ナノ粒子の経皮送達が、小分子薬物でさえ皮膚を横切って経皮的に効果的に送達する(または送達を向上させる)という報告を考慮すると特に驚くべきものである。例えば、Gomaaらは、PLGAナノ粒子に封入されたローダミン色素(分子量479Da)の溶液を、マイクロニードルによりプレコンディショニングされた皮膚に適用し、皮膚浸透を評価した研究を記載した。Gomaa, Y., et al, "Effect of microneedle treatment on the skin permeation of a nanoencapsulated dye." J Pharm Pharmacol. 2012 November ; 64(11): 1592-1602参照。データは、6時間の連続塗布後に極めて少量の色素が皮膚に浸透し始めたことを示し;皮膚が24時間継続的に処置されるまで、浸透の有意な増加は観察されなかった。研究者らは、「NP[ナノ粒子]は、毛包に十分沈着し得るが、通常は角質層に浸透できないという新たなコンセンサスがある」と説明した。したがって、本開示の前に、当業者は、105nmより著しく大きいビヒクルでのマイクロニードリング技術の使用は、小分子薬物(例えばローダミン色素)さえも経皮的に効果的に送達できないと予想するであろう;確かに、大型薬物の送達は不可能と考えられていただろう。しかしながら、本開示は、マイクロニードリングが、特にマクロエマルション技術と併用したときに、大型薬物の経皮送達を著しく向上させることができることを示す。
【0172】
とりわけ、本開示は、マイクロニードリング技術は、他の破壊剤(すなわち、化学浸透促進剤および皮膚構造を破壊または穿刺する他の技術)を利用しないときに、(例えば大型薬物の、特にマクロエマルション組成物からの)経皮送達を向上させることができることを開示する。マイクロニードルを用いたボツリヌス毒素と同じ大きさの薬剤(すなわち約150kDa)の経皮送達の以前の研究は、皮膚を破壊するために更なる処置が適用されない限り、送達は失敗すると報告している。例えば、米国特許出願公開第2010/0196445号は、ボツリヌス毒素は、皮膚構造がマイクロニードルの部位で破壊されるように、皮膚消化酵素も適用されない限り、予めコーティングされたマイクロニードルから効果的に送達されないと報告している。
【0173】
本開示はとりわけ、マイクロニードルのコーティングまたは負荷が利用されないとき、および/またはマイクロニードルが皮膚内に残されるように設計されていないとき、マイクロニードリング技術は、(例えば大型薬物の、特にマクロエマルションおよびナノエマルション組成物からの)経皮送達を達成できることを示す。とりわけ、すでに述べたように、本開示は、このようなマイクロニードルのコーティングまたは負荷は、少なくともボツリヌスのコーティングまたは負荷材料が不安定であるため、商業的に実施可能でないかもしれないことを理解している。例えば、Johnson, E.らによると「ボツリヌス毒素は、表面の変性、熱およびアルカリ性条件のために変性の影響を極めて受けやすい。ボツリヌス毒素の凍結乾燥は、安定で、臨床医によって容易に用いられる形態の製品を流通させる最も経済的に健全で実用的な方法である。」米国特許第5,512,547号。また、本明細書を読む当業者に理解されるように、本明細書に記載の技術は、組織内に残されるかまたはそれと結合するマイクロニードルが必要でないことを含む特定の利点を有する。例えば、当業者は、皮膚内にマイクロニードルが残ることは、皮膚の刺激、炎症、アレルギー反応、および/または美容上望ましくない瘢痕のリスクを冒すことを理解する。本発明とは対照的に、米国特許出願公開第2017/0209553号に記載されるような技術は、ボツリヌスと共にニードルに負荷され、マイクロニードルが皮膚内に侵入するように設計されたマイクロニードルアレイを利用する(米国特許第2017/0209553号および第2016/0263362号)。
【0174】
本開示は、驚くべきことに、大型薬物(例えばボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達のための効果的な技術を提供する。特に、本開示は、このような薬物の経皮送達を、他の破壊戦略なしに、マイクロニードリング技術の使用によって著しく向上させることができることを教示する。したがって、提供する技術は、皮膚破壊剤の使用にしばしば伴う炎症、刺激、および/またはアレルギー反応なしに、効果的な送達を達成することができる。本明細書を読む当業者に理解されるように、本開示は、マイクロニードル内に負荷されない、その上にコーティングされないおよび/またはその一部として製造されないときでさえ、このような大型薬物の経皮送達を、マイクロニードリング技術の使用によって著しく向上させることができることを教示する。同様に、本明細書を読む当業者に理解されるように、本開示は、マイクロニードルを皮膚に(例えば、それらを破壊すること、および/またはその他の方法でインサイチュで維持および/または分解させることにより)残すことなく、本明細書に記載の大型薬物の送達を、マイクロニードリング技術の使用(特にMSCの使用)によって著しく向上させることができることを教示する。例えば、当業者は、提供する技術は、商業的に実現可能な製品に必要な大型薬物の長期安定性についての課題を回避することができ、皮膚内に残される皮膚破壊剤および/またはマイクロニードルにより生じ得る炎症、刺激、および/またはアレルギー反応なしに、効果的な送達を達成することができることを理解する。実際、実施例および他の場所において、本開示は、ボツリヌス毒素を含有しないマイクロニードルで実施されるMSCは、局所(例えばクリーム剤、軟膏剤)組成物から、特にマクロ-またはナノ-エマルションを含む組成物からのボツリヌス毒素の経皮送達を促進することを明確に教示する。
【0175】
いくつかの実施態様において、本開示は、マイクロニードリング技術をマクロエマルション組成物と組み合わせたときに特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施態様において、マイクロニードリング技術は、ローション、クリームまたは液体組成物と組み合わされ、これは、今度は、マクロエマルション組成物であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、提供する技術は、皮膚破壊技術、例えば化学浸透促進剤は利用しない。
【0176】
いくつかの実施態様において、本発明は、例えば治療目的のために、医療状況で特に効果的および/または有用である大型薬物を含む、マクロエマルション組成物を利用する。いくつかの実施態様において、特定のマクロエマルション組成物は、それを必要とする対象体への薬物の局所投与に特に効果的および/または有用である。いくつかの実施態様において、マクロエマルション組成物は、1つ以上の大型薬物を含み得る。
【0177】
いくつかの実施態様において、マクロエマルションは、皮膚上の局所投与に適した組成物に製剤化され得る。いくつかの実施態様において、局所投与に適した組成物は、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤であり得る。
【0178】
いくつかの実施態様において、マクロエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、スパン65、ポリソルベート80、メチルパラベン、およびプロピルパラベンを含む。いくつかの実施態様において、マクロエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、スパン65、およびポリソルベート80を含む。
【0179】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、提供されるマクロエマルション組成物および1つ以上の医薬的に許容される添加剤の混合物を含む。いくつかの実施態様において、クリームおよび/またはローション製剤は、提供されるマクロエマルション組成物および/または生理食塩水溶液の混合物を含む。
【0180】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、1つ以上の大型薬物を含むマクロエマルション組成物を含む。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、クリームおよび/またはローション製剤である。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、マクロエマルション組成物を含む。いくつかの実施態様において、組成物は、提供されるマクロエマルション組成物を含むが、クリームおよび/またはローション製剤ではない。いくつかの実施態様において、適切な組成物は、クリームおよび/またはローションに製剤化されるが、マクロエマルション組成物を含まない。
【0181】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、提供されるマクロエマルション組成物、および例えば局所および/または経皮(例えば、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与のための、1つ以上の医薬的に許容される添加剤の混合物を含む。
【0182】
2.ナノエマルション
いくつかの実施態様において、本開示は、経皮製品が適用されたか、適用されているか、または適用されるだろう皮膚を「コンディショニングする」ためにマイクロニードリングを用いる戦略を提供する。小分子(具体的には、分子量が400~1000Daの範囲である短い親水性のペプチド)の経皮送達を分析する研究が、「ペプチドの皮膚浸透はその分子量に依存し、分子量が増加すると浸透は減少する」ことを見出したため、このような戦略は、小さい分子量の薬物にのみ有用である可能性が高いという先の報告にもかかわらず、本開示は、このようなマイクロニードルコンディショニングは、驚くべきことに、大型薬物(例えば約100kDa以上の分子量を有する)の経皮送達を向上させるのに顕著な利益を提供できるという知見を提供する。Zhang, S., et al., "Enhanced delivery of hydrophilic peptides in vitro by transdermal microneedle pretreatment." Acta Pharmaceutica Sinica B. 4(1):100-104 (2014)。
【0183】
本開示は、このような液体ナノエマルション組成物による巨大分子の効果的かつ急速な(すなわち、数分にわたる投与)経皮送達は、本明細書に記載のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)とナノエマルション投与を組み合わせることにより改善できるという知見を提供する。
【0184】
本開示は特に、マイクロニードリング技術(例えば皮膚のマイクロニードルコンディショニング)が、特にナノエマルション技術と併用して利用したときに、大型薬物(例えばボツリヌスおよび/または抗体薬)の経皮送達を著しく向上させることができることを示す。特定の目的ナノエマルション組成物は、直径が約1nm~約300nmの範囲の液滴サイズ、約0.01:1~約20:1の範囲の水性分散媒体対油の比;約0.1~約40の範囲の油対界面活性剤の比および/または約-80mV~約+80mVの範囲のゼータ電位により特徴付けられる油中水型および水中油型のナノエマルションを含む。
【0185】
いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、約0.1:1~約2:1の範囲の比で油および界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、約0.1:1~約1:1の比で油および界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、約0.5:1~約1:1の比で油および界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、約0.5:1~約1:1.5の比で油および界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、約0.1:1、約0.15:1、約0.2:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、約0.4:1、約0.45:1、約0.5:1、約0.5:1、約0.55:1、約0.6:1、約0.65:1、約0.7:1、約0.75:1、約0.8:1、約0.85:1、約0.9:1、約0.95:1または約1:1の比で油および界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、約0.67:1の比で油および界面活性剤を含む。
【0186】
いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)および界面活性剤は、0.01~20の範囲の比で利用される。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)および界面活性剤は、0.1~20の範囲の比で利用される。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)および界面活性剤は、0.5~10の範囲の比で利用される。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)および界面活性剤は、0.5~1の範囲の比で利用される。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)対界面活性剤の比は、約0.01:1、約0.02:1、約0.03:1、約0.04:1、約0.05:1、約0.06:1、約0.07:1、約0.08:1、約0.0:1、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。いくつかの実施態様において、界面活性剤対水の比は、約0.5:1、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1または約20:1である。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)および界面活性剤は、0.5~2の範囲の比で利用される。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)対界面活性剤の比は、約0.5:1、約1:1または約2:1である。いくつかの実施態様において、界面活性剤対水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)の比は、約0.5:1、約1:1または約2:1である。いくつかの実施態様において、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)対界面活性剤の比は、約1:1である。いくつかの実施態様において、組成物は、水性分散媒(例えば水、緩衝液、塩溶液など)対界面活性剤のこのような比を利用する組成物は、油中水型エマルションを含む。
【0187】
いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物内の液滴は、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、約10nm~約130nm、約10nm~約120nm、約10nm~約115nm、約10nm~約110nm、約10nm~約100nmまたは約10nm~約90nmの範囲内の直径(例えば、平均直径および/または直径中央値)を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物内の液滴は、1nm~300nm、1nm~200nm、1nm~150nm、1nm~120nm、1nm~100nm、1nm~75nm、1nm~50nmまたは1nm~25nmの範囲内の直径(例えば、平均直径および/または直径中央値)を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物内の液滴は、1nm~15nm、15nm~200nm、25nm~200nm、50nm~200nmまたは75nm~200nmの直径(例えば、平均直径および/または直径中央値)を有する。
【0188】
いくつかの実施態様において、全液滴分布は、液滴直径サイズの特定された範囲内に包含される。いくつかの実施態様において、全液滴分布の50%、25%、10%、5%または1%未満は、液滴直径サイズの特定された範囲外である。いくつかの実施態様において、全液滴分布の1%未満は、液滴直径サイズの特定された範囲外である。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物は、300nm、250nm、200nm、150nm、120nm、100nm、75nm、50nmまたは25nmより大きい直径を有する液滴を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、全液滴分布の50%、25%、10%、5%または1%未満は、300nm、250nm、200nm、150nm、120nm、100nm、75nm、50nmまたは25nmより大きい直径を有する。
【0189】
いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物内の液滴は、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約130nm、約120nm、約115nm、約110nm、約100nm、約90nmまたは約50nm未満の平均液滴サイズを有する。いくつかの実施態様において、平均液滴サイズは、約10nmおよび約300nm、約50nmおよび約250、約60nmおよび約200nm、約65nmおよび約150nmまたは約70nmおよび約130nmの範囲内である。いくつかの実施態様において、平均液滴サイズは、約80nmおよび約110nmである。いくつかの実施態様において、平均液滴サイズは、約90nmおよび約100nmである。
【0190】
いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、-80mV~+80mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、-50mV~+50mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、-25mV~+25mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、-10mV~+10mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、約-80mV、約-70mV、約-60mV、約-50mV、約-40mV、約-30mV、約-25mV、約-20mV、約-15mV、約-10mV、または約-5mVのゼータ電位を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、約+50mV、約+40mV、約+30mV、約+25mV、約+20mV、約+15mV、約+10mV、または約+5mVのゼータ電位を有する。いくつかの実施態様において、ナノエマルション液滴は、約0mVのゼータ電位を有する。
【0191】
本開示は、驚くべきことに、大型薬物(例えばボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達のための効果的な技術を提供する。特に、本開示は、このような薬物の経皮送達を、他の破壊戦略なしに、マイクロニードリング技術の使用によって著しく向上させることができることを教示する。したがって、提供する技術は、皮膚破壊剤の使用にしばしば伴う炎症、刺激、および/またはアレルギー反応なしに、効果的な送達を達成することができる。本明細書を読む当業者に理解されるように、本開示は、マイクロニードル内に負荷されない、その上にコーティングされないおよび/またはその一部として製造されないときでさえ、このような大型薬物の経皮送達を、マイクロニードリング技術の使用によって著しく向上させることができることを教示する。同様に、本明細書を読む当業者に理解されるように、本開示は、マイクロニードルを皮膚に(例えば、それらを破壊すること、および/またはその他の方法でインサイチュで維持および/または分解させることにより)残すことなく、本明細書に記載の大型薬物の送達を、マイクロニードリング技術の使用(特にMSCの使用)によって著しく向上させることができることを教示する。例えば、当業者は、提供する技術は、商業的に実現可能な製品に必要な大型薬物の長期安定性についての課題を回避することができ、皮膚内に残される皮膚破壊剤および/またはマイクロニードルにより生じ得る炎症、刺激、および/またはアレルギー反応なしに、効果的な送達を達成することができることを理解する。実際、実施例および他の場所において、本開示は、ボツリヌス毒素を含有しないマイクロニードルで実施されるMSCは、局所(例えばクリーム剤、軟膏剤)組成物から、特にマクロ-およびナノ-エマルションを含む組成物からのボツリヌス毒素の経皮送達を促進することを明確に教示する。
【0192】
いくつかの実施態様において、本開示は、マイクロニードリング技術をナノエマルション組成物と組み合わせたときに特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施態様において、マイクロニードリング技術は、ローション、クリームまたは液体組成物と組み合わされ、これは、今度は、ナノエマルション組成物であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、提供する技術は、皮膚破壊技術、例えば化学浸透促進剤は利用しない。
【0193】
本明細書で提示される発見は、本明細書で利用されるナノエマルション組成物中の液滴のものと同等なサイズ(例えば105±2.92nm)の固形ナノ粒子の経皮送達が、小分子薬物でさえ皮膚を横切って経皮的に効果的に送達する(または送達を向上させる)という報告を考慮すると特に驚くべきものである。例えば、Gomaaらは、PLGAナノ粒子に封入されたローダミン色素(分子量479Da)の溶液を、マイクロニードリングによりプレコンディショニングされた皮膚に適用し、皮膚浸透を評価した研究を記載した。Gomaa, Y., et al, "Effect of microneedle treatment on the skin permeation of a nanoencapsulated dye." J Pharm Pharmacol. 2012 November ; 64(11): 1592-1602参照。データは、6時間の連続塗布後に極めて少量の色素が皮膚に浸透し始めたことを示し;皮膚が24時間継続的に処置されるまで、浸透の有意な増加は観察されなかった。研究者らは、「NP[ナノ粒子]は、毛包に十分沈着し得るが、通常は角質層に浸透できないという新たなコンセンサスがある」と説明した。したがって、本開示の前に、当業者は、ナノサイズのビヒクルでのマイクロニードリング技術の使用は、小分子薬物(例えばローダミン色素)さえも経皮的に効果的に送達できないと予想するであろう;確かに、大型薬物の送達は不可能と考えられていただろう。しかしながら、本開示は、マイクロニードリングが、特にナノエマルション技術と併用して利用したときに、大型薬物の経皮送達を著しく向上させることができることを示す。
【0194】
とりわけ、本開示は、マイクロニードリング技術は、他の破壊剤(すなわち、化学浸透促進剤および皮膚構造を破壊または穿刺する他の技術)を利用しないときに、(例えば大型薬物の、特にナノエマルション組成物からの)経皮送達を向上させることができることを開示する。マイクロニードルを用いたボツリヌス毒素と同じ大きさの薬剤(すなわち約150kDa)の経皮送達の以前の研究は、皮膚を破壊するために更なる処置が適用されない限り、送達は失敗すると報告している。例えば、米国特許出願公開第2010/0196445号は、ボツリヌス毒素は、皮膚構造がマイクロニードリングの部位で破壊されるように、皮膚消化酵素も適用されない限り、予めコーティングされたマイクロニードルから効果的に送達されないと報告している。
【0195】
本開示はとりわけ、マイクロニードルのコーティングまたは負荷が利用されないとき、および/またはマイクロニードルが皮膚内に残されるように設計されていないとき、マイクロニードリング技術は、(例えば大型薬物の、特にマクロエマルションおよびナノエマルション組成物からの)経皮送達を達成できることを示す。とりわけ、すでに述べたように、本開示は、このようなマイクロニードルのコーティングまたは負荷は、少なくともボツリヌスのコーティングまたは負荷材料が不安定であるため、商業的に実施可能でないかもしれないことを理解している。例えば、Johnson, E.らによると「ボツリヌス毒素は、表面の変性、熱およびアルカリ性条件のために変性の影響を極めて受けやすい。ボツリヌス毒素の凍結乾燥は、安定で、臨床医によって容易に用いられる形態の製品を流通させる最も経済的に健全で実用的な方法である。」米国特許第5,512,547号。また、本明細書を読む当業者に理解されるように、本明細書に記載の技術は、組織内に残されるかまたはそれと結合するマイクロニードルが必要でないことを含む特定の利点を有する。例えば、当業者は、皮膚内にマイクロニードルが残ることは、皮膚の刺激、炎症、アレルギー反応、および/または美容上望ましくない瘢痕のリスクを冒すことを理解する。本発明とは対照的に、米国特許出願公開第2017/0209553号に記載されるような技術は、ボツリヌスと共にニードルに負荷され、マイクロニードルが皮膚内に侵入するように設計されたマイクロニードルアレイを利用する(米国特許第2017/0209553号および第2016/0263362号)。
【0196】
本開示は、MSCは小さい化合物の経皮送達を促進するのにのみ役立つという予想にもかかわらず、ナノエマルション組成物による大型薬物のすでに極めて効率的な経皮送達は、マイクロニードル技術との組合せによって、劇的に向上し得ることを教示する。また、固形ナノ粒子中への小分子薬物の封入と組み合わせたマイクロニードルコンディショニングは、Gomaaが説明しているように、投与6時間後にのみ少量の浸透を提供し、材料の浸透は、投与後12時間まで観察されたことを考慮すると、本開示は特に驚くべきものである。
【0197】
いくつかの実施態様において、大型薬物を含むナノエマルション製剤は、中実マイクロニードルでのマイクロニードルコンディショニングと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、部位のMSCは、該部位への大型薬物を含むナノエマルション製剤の適用前(例えば、その特定の適用の前および/またはその各適用の前)に、実施される。いくつかの実施態様において、部位のMSCは、該部位への大型薬物を含むナノエマルション製剤の適用後に、実施される。いくつかの実施態様において、部位のMSCと、該部位への大型薬物を含むナノエマルション製剤の適用は、実質的に同時に生じる。いくつかの実施態様において、大型薬物を含むマクロエマルション製剤は、1つ以上のマイクロニードルにより注射されない。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、マイクロニードルのアレイの一部である。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約4,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約1μm~約2,000μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約50μm~約400μmの長さであり得る。いくつかの実施態様において、マイクロニードルは、約800μm~約1500μmの長さであり得る。
【0198】
いくつかの実施態様において、本発明は、例えば治療目的のために、医療状況で特に効果的および/または有用である大型薬物を含む、ナノエマルション組成物を利用する。いくつかの実施態様において、特定のナノエマルション組成物は、それを必要とする対象体への薬物の局所投与に特に効果的および/または有用である。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物は、1つ以上の大型薬物を含み得る。例示的なナノエマルション組成物および製造方法は、例えば国際公開第2012/103035号に記載されており、この開示は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0199】
いくつかの実施態様において、ナノエマルションは、局所投与に適した組成物に製剤化され得る。いくつかの実施態様において、局所投与に適した組成物は、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤であり得る。
【0200】
いくつかの実施態様において、ナノエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、ポリソルベート80、メチルパラベン、およびプロピルパラベンを含む。いくつかの実施態様において、ナノエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、およびポリソルベート80を含む。限定すること意味しない例示的なプレミックスを、表2に提供する。
【表3】
【0201】
これらの組成物は、局所および/または経皮(例えばローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与によって、それを必要とする対象体に薬物を送達するために使用できるという点で特に有用である。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、局所および/または経皮(例えば、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与によって、それを必要とする対象体に投与され得る。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、クリームおよび/またはローション製剤に製剤化され得る。いくつかの実施態様において、ナノエマルション組成物を含む、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、対象体への局所投与に有用および/または効果的であり得る。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、クリーム製剤(例えば、提供されるクリーム製剤)中の1つ以上のクリーム成分および/または医薬組成物の製造のための生理食塩水溶液と混合され得る。
【0202】
本発明は、エマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物およびナノエマルション組成物)が、対象体への投与のために、クリームおよび/またはローション製剤に製剤化され得るという認識を包含し得る。本発明は、提供されるクリームおよび/またはローション製剤が、対象体への投与のために、エマルション、例えば本明細書に記載のものを製剤化するのに特に有用であり得るという認識を包含し得る。限定すること意味しない例示的なナノエマルション製剤を、表3に提供する。
【表4】
【0203】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、提供されるナノエマルション組成物および1つ以上の医薬的に許容される添加剤の混合物を含む。いくつかの実施態様において、クリームおよび/またはローション製剤は、提供されるナノエマルション組成物および/または生理食塩水溶液の混合物を含む。
【0204】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、提供されるナノエマルション組成物を含む。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、クリームおよび/またはローション製剤である。いくつかの実施態様において、提供されるクリームおよび/またはローション製剤は、ナノエマルション組成物を含む。いくつかの実施態様において、組成物は、提供されるナノエマルション組成物を含むが、クリームおよび/またはローション製剤ではない。いくつかの実施態様において、適切な組成物は、クリームおよび/またはローションに製剤化されるが、ナノエマルション組成物を含む。
【0205】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、提供されるナノエマルション組成物、および例えば局所および/または経皮(例えば、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与のための、1つ以上の医薬的に許容される添加剤の混合物を含む。
【0206】
いくつかの実施態様において、公知の治療薬および/または独立して活性な生物学的活性物質を含むナノエマルション組成物について、このようなナノエマルション組成物は、状態または障害を治療するのに十分な量の治療薬が所望の標的部位(例えば表皮および/または真皮構造)に送達されるように、MSCと組み合わせて配置および構成および投与される。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、皮膚への投与時に所望の治療効果を達成するように、(例えば、薬物の選択および/または組合せ、組成物の構造などにより)配置および構成される。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、所望の作用部位(例えば皮膚の表面、真皮など)の内側および/または外側に望ましくない臨床効果を誘発しないように、配置および構成される。いくつかの実施態様において、提供されるナノエマルション組成物は、全身効果を有するように、MSCと組み合わせて配置および構築および投与される。
【0207】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、全身送達が達成されるように、MSCと組み合わせて製剤化および送達され得て;いくつかの実施態様において、提供される組成物は、局所的であるが全身的ではない送達が達成されるように製剤化および/または送達され得る。
【0208】
本開示は、MSCと組み合わせて提供される組成物を用いた、真皮への治療薬(特に、大型生物学的薬物、例えばボツリヌス毒素または抗体薬)の効果的かつ効率的な送達を具体的に示す。例えば、いくつかの実施態様において、本発明は、臨床的に重大な副作用なしに、本明細書に記載の組成物の投与を含む方法を提供する。一例を挙げると、局所送達が企図される場合、臨床的に重大な副作用は、望ましくない全身性副作用、真皮の下にある神経組織への損傷(例えば神経麻痺)、筋肉への望ましくない作用(例えば筋肉麻痺)、および/または治療薬の望ましくない血中濃度などを含むがこれらに限定されない。限定すること意味しないボツリヌスナノエマルションプレミックスの例示的な製剤を、表4に提供する。
【表5】
【0209】
疾患、障害および状態
本発明は、様々な全身性または皮膚の疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、汗および/または皮脂腺の活動に関連する疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、感染に関連する疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、炎症に関連する疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、炎症に関連する疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、癌に関連する疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、全身性である疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、自己免疫性である疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、上皮および/または皮膚の真皮レベルに関連する疾患、障害または状態を処置および/または予防するための技術を提供する。
【0210】
いくつかの実施態様において、本発明は、ざ瘡、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、乾癬、光線性角化症、湿疹性皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎など)、過剰な皮脂産生障害(例えば脂漏症、脂漏性皮膚炎など)、火傷、レイノー現象、紅斑性狼瘡、色素沈着過剰障害(例えば、メラスマなど)、色素沈着減少障害(例えば斑症など)、皮膚癌(例えば扁平上皮細胞皮膚癌腫、基底細胞皮膚癌腫など)、皮膚感染症(例えば細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染など)、顔のしわ(例えば額、眉間、しわ(rhytid)および/または眼窩周囲領域を含むしわ)、頭痛、見苦しい表情(例えば下にある顔の筋肉組織の過活動による)、首のしわ、機能過多の顔のしわ、運動過多性の顔のしわ、広頚筋バンド、神経筋疾患および筋肉の痙攣および/または拘縮を伴う状態(顔面麻痺、脳性麻痺、眼瞼けいれん、顔面拘縮の様々な形態を含む)、ジストニア、前立腺肥大症、頭痛、斜視、片側顔面痙攣、振戦、痙縮、例えば多発性硬化症により生じるもの、眼窩後筋、様々な眼科および泌尿器学的状態(例えば陰茎および/または膀胱障害)、および/またはそれらの組合せの1つ以上を処置および/または予防するための技術を提供する。
【0211】
いくつかの実施態様において、本発明は、リウマチ性関節炎を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、乾癬性関節炎を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、骨関節症を処置および/または予防するための技術を提供する。
【0212】
いくつかの実施態様において、本発明は、紅斑性狼瘡を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、紅斑性狼瘡は、全身性、円板状、薬剤誘発性または新生児性である。
【0213】
いくつかの実施態様において、本発明は、クローン病を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、炎症性腸疾患を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、潰瘍性大腸炎を処置および/または予防するための技術を提供する。
【0214】
いくつかの実施態様において、本発明は、肺障害を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、肺障害は、喘息または慢性閉塞性肺障害であり得る。
【0215】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイド症を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、アミロイド症は、全身性または皮膚性である。
【0216】
いくつかの実施態様において、本発明は、癌を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、癌は、皮膚、血液、乳房、結腸または肺のものである。
【0217】
いくつかの実施態様において、本発明は、異脂肪血症を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、異脂肪血症は、高コレステロール血症である。
【0218】
いくつかの実施態様において、本発明は、感染を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、感染は、C.ディフィシルまたは黄色ブドウ球菌であるか、またはそれにより引き起こされる。
【0219】
いくつかの実施態様において、本発明は、疼痛を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、疼痛は、関節炎に関連する。いくつかの実施態様において、関節炎は、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎または骨関節症である。
【0220】
いくつかの実施態様において、本発明は、神経学的状態を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、神経学的状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病または卒中である。
【0221】
いくつかの実施態様において、本発明は、少なくとも約20%の関連皮膚状態の程度および/または罹患率の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って、MSCと組み合わせて投与される少なくとも1つの提供される組成物の投与を含み;;いくつかの実施態様において、少なくとも約25%の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って;いくつかの実施態様において、少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って;いくつかの実施態様において、少なくとも約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%またはそれ以上の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って、投与される。
【0222】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物が投与された患者集団の特定の割合において少なくとも約20%の関連皮膚状態の程度および/または罹患率の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って、MSCと組み合わせて投与される少なくとも1つの提供される組成物の投与を含み;いくつかの実施態様において、組成物が投与された患者集団の特定の割合において少なくとも約25%の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って;いくつかの実施態様において、組成物が投与された患者集団の特定の割合において少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って;いくつかの実施態様において、組成物が投与された患者集団の特定の割合において少なくとも約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%またはそれ以上の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従って、投与される。いくつかの実施態様において、組成物が投与された患者集団の特定の割合は、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%である。いくつかの例を挙げると、いくつかの実施態様において、本発明は、組成物が投与された患者集団の少なくとも約20%の関連皮膚状態の程度および/または罹患率の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従った、少なくとも1つの提供される組成物の投与を含む。いくつかの実施態様において、本発明は、組成物が投与された患者集団の少なくとも約30%の関連皮膚状態の程度および/または罹患率の低下を達成するのに十分な投与レジメンに従った、少なくとも1つの提供される組成物の投与を含む。
【0223】
本発明は、皮膚疾患に罹患している、それに罹患しやすい、および/またはその症状を示す対象体に、MSCと組み合わせて組成物を投与することを含む、皮膚疾患を処置および/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の皮膚疾患の処置のための提供される組成物は、本明細書に記載されるあらゆる投与経路のために製剤化される。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、局所投与のために製剤化される。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、処置される状態に応じて、クリーム剤、リニメント剤、ローション剤、ゲル剤、シャンプー、コンディショナー、日焼け止め、デオドラントおよび/または制汗剤(例えば、ロールオン、固形スティック剤、ゲル剤、クリーム剤、エアロゾル剤などとして)などに製剤化される
【0224】
いくつかの実施態様において、このような提供される組成物は、MSCと組み合わせて、患部(処置される特定の状態に応じて、例えば、腋窩、手、足、頭皮、毛包、顔、首、背中、腕、胸、脚、鼠径部、股間など)に局所的に投与される。いくつかの実施態様において、局所投与は、MSCと組み合わせた局所投与によって達成される。
【0225】
組成物および製剤
本明細書に記載のように、本発明は、MSCと組み合わせて投与するための1つ以上の大型薬物を含む組成物を提供および/または利用する。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、局所および/または経皮送達(例えば、ローション剤、クリーム剤、リニメント剤、軟膏剤、散剤、ゲル剤、点眼剤などとして)のために製剤化され得る。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、ナノエマルションであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、マクロエマルションであり得るか、またはそれを含み得る。
【0226】
提供される組成物の製剤は、例えば薬理学の技術分野で知られているかまたは今後開発される、あらゆる適切な方法によって、製造され得る。一般的に、このような製造方法は、提供される組成物を1つ以上の添加剤と混合させる工程、その後必要に応じておよび/または所望の場合、投与に適切な形態、例えば単回または複数回の用量単位に成形および/または包装する工程を含む。
【0227】
いくつかの実施態様において、組成物は、1つの単一単位用量および/または複数の単一単位用量として、大量に製造、包装および/または販売され得る。本明細書で用いる、「単位用量」は、所定量の提供される組成物を含む個別量の医薬組成物である。提供される組成物の量は、一般的に、対象体に投与される提供される組成物の投与量、および/またはこのような投与量の都合のよい部分、例えばそのような投与量の半分または3分の1に等しい。
【0228】
いくつかの実施態様において、組成物(例えば、医薬的におよび/または美容的に許容される組成物)で用いるのに適切な添加剤は、所望の特定の投与形態に適するように、例えば1つ以上の添加剤、例えば溶媒、分散媒体、造粒媒体、希釈液または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤および/または乳化剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固形結合剤、滑沢剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤などを含み得る。いくつかの実施態様において、添加剤、例えばカカオバターおよび/または坐剤ロウ、着色剤、コーティング剤、甘味料、香料および/または芳香剤が利用され得る。Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2005;出典明示により本明細書の一部とする)は、医薬組成物の製剤化およびその製造のための既知の技術で用いられる様々な添加剤を開示する。
【0229】
いくつかの実施態様において、適切な添加剤(例えば医薬的におよび/または美容的に許容される添加剤)は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の純度である。いくつかの実施態様において、添加剤は、米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施態様において、添加剤は医薬品グレードである。いくつかの実施態様において、添加剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または他の国際薬局方の基準を満たす。
【0230】
いくつかの実施態様において、提供される組成物は、クリーム剤、リニメント剤、軟膏剤、オイル剤、フォーム剤、スプレー剤、ローション剤、液剤、散剤、増粘ローション剤またはゲル剤として製剤化される(例えば、本明細書に記載の経皮送達のために製剤化される)。特定の例示的なそのような製剤は、例えば、美容的製剤製品、例えば皮膚軟化剤、栄養ローションタイプのエマルション、クレンジングローション、クレンジングクリーム、スキンミルク、エモリエントローション、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、メイクアップベース、フェイシャルパックまたはフェイシャルゲル、クリーナー製剤、例えばシャンプー、リンス、ボディクレンザー、ヘアトニックまたは石鹸、または皮膚組成物、例えばローション剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、リニメント剤、パッチ剤、デオラントまたはスプレーとして製造され得る。いくつかの実施態様において、局所投与のための組成物は、粘膜への投与のために製剤化されていない(例えば、粘膜への適用には不適切であり、および/または粘膜にまたは粘膜を横切って適切な量の大型薬物を送達するように製剤化されていない)。
【0231】
処置部位
本発明の技術は、ヒトおよび獣医学の両方の使用に適する。活性物質の局所適用から利益を得る任意の障害に罹患している対象体は、経皮薬物送達のための開示された技術で処置され得る。
【0232】
MSCに適したあらゆる部位が、適切な投与部位である。いくつかの実施態様において、投与部位は、対象体の筋肉または筋肉群を覆う皮膚である。いくつかの実施態様において、部位は無毛である。いくつかの実施態様において、部位は胴体にある。いくつかの実施態様において、部位は背中にある。いくつかの実施態様において、部位は胸部にある。いくつかの実施態様において、部位は臀部にある。いくつかの実施態様において、部位は股間にある。いくつかの実施態様において、部位は鼠径部にある。いくつかの実施態様において、部位は頭部にある。いくつかの実施態様において、部位は頭皮にある。いくつかの実施態様において、部位は顔面にある。いくつかの実施態様において、部位は首にある。いくつかの実施態様において、部位はデコルテにある。いくつかの実施態様において、部位は脇の下にある。いくつかの実施態様において、部位は腋窩にある。いくつかの実施態様において、部位は手にある。いくつかの実施態様において、部位は足にある。いくつかの実施態様において、部位は腕にある。いくつかの実施態様において、部位は脚にある。いくつかの実施態様において、部位は粘膜ではない。
【0233】
いくつかの実施態様において、部位は皮膚疾患によって影響を受ける。いくつかの実施態様において、部位は、神経筋状態によって影響を受ける筋肉または筋肉群を覆う皮膚である。いくつかの実施態様において、MSCで用いられるマイクロニードルの長さは、処置部位の皮膚の厚さに基づいて調整される。
【0234】
投与
本発明は、例えば、化粧品、栄養補助食品および医療用途を含む様々な用途のためのエマルション組成物(例えば、ボツリヌスエマルション組成物または抗体薬エマルション組成物)を送達するための技術を提供する。このようなエマルション組成物は、1つ以上の生物学的活性物質を含み得る。いくつかの実施態様において、エマルション組成物は、ボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施態様において、エマルション組成物は、抗体薬を含む。いくつかの実施態様において、エマルション組成物は、ナノエマルション組成物および/またはマクロエマルション組成物である。
【0235】
本発明は、本明細書に記載の提供される組成物(例えば、提供されるエマルション組成物;クリームおよび/またはローション製剤;提供されるエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の組合せなど)のいずれかをMSCと組み合わせて用いて状態または障害を処置するための技術を提供する。
【0236】
いくつかの実施態様において、このような方法は、提供される組成物を、MSCと組み合わせて、疾患、状態または障害に罹患しているおよび/または罹患しやすい患者に投与することを含む。いくつかの実施態様において、このような方法は、提供されるナノエマルション組成物を、本明細書に記載のMSC(例えば、相対的に低いマイクロニードルの密度および/または相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを用いる)と組み合わせて、皮膚の真皮層に関連する疾患、状態または障害に罹患しているおよび/または罹患しやすい患者に投与することを含む。いくつかの実施態様において、このような方法は、少なくとも1つの公知の治療薬および/または独立して活性な生物学的活性物質を含むエマルション組成物を、MSCと組み合わせて、疾患、状態または障害に罹患しているおよび/または罹患しやすい患者に投与することを含む。いくつかの実施態様において、このような方法は、提供されるクリームおよび/またはローション製剤と製剤化された、エマルション組成物および/または少なくとも1つの公知の治療薬および/または独立して活性な生物学的活性物質を、MSCと組み合わせて、疾患、状態または障害に罹患しているおよび/または罹患しやすい患者に投与することを含む。いくつかの実施態様において、このような方法は、組成物を、局所および/または経皮(例えば、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤、点眼剤などによる)投与によって、MSCと組み合わせて投与することを含む。いくつかの実施態様は、浸透促進剤の投与をさらに含む。いくつかの実施態様は、非刺激性浸透促進剤の投与をさらに含む。
【0237】
いくつかの実施態様において、本発明は、任意の状態または障害を処置するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載のMSCと組み合わせた本明細書に記載の特定の組成物は、生物学的に関連する標的部位(例えば、特定の組織、皮膚内の位置、細胞など)への効率的かつ特異的な活性物質の制御および/または改善された送達を達成できることを示す。いくつかの実施態様において、本発明は、他の領域への送達に関連する重大な副作用なしに、特定の生物学的に関連する標的部位における治療効果の制御された送達および/または達成を示す。
【0238】
いくつかの実施態様において、本発明は、上皮および/または真皮の構造(例えば、汗腺、皮脂腺、毛包など)に関連する状態または障害を処置するための改善された技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載のMSC(例えば、相対的に低いマイクロニードルの密度および/または相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを用いる)と組み合わせた、本明細書に記載の提供される組成物(例えば、提供されるナナノエマルション組成物;クリームおよび/またはローション製剤;提供されるナノエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の組合せなど)は、真皮への効率的で特異的な活性物質の送達および/またはバイオアベイラビリティを改善できること、および本明細書に記載の提供される組成物は、対象体の皮膚への投与の際に治療効果を有することができることを示す。いくつかの実施態様において、本発明は、他の領域(例えば、真皮下または真皮外の構造および/または真皮以外の組織)への送達に関連する重大な副作用なしの、真皮を通った送達および/またはバイオアベイラビリティの改善および/または治療効果の達成を示す。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のMSCと組み合わせた、本明細書に記載の提供される組成物(例えば、提供されるエマルション組成物;クリームおよび/またはローション製剤;提供されるエマルション組成物とクリームおよび/またはローション製剤の組合せなど)は、活性物質、例えば治療薬(例えばボツリヌス毒素、抗体薬など)の経皮送達および/またはバイオアベイラビリティを改善できる。
【0239】
本発明は、本明細書に記載の提供される組成物(例えば、提供されるエマルション組成物;クリームおよび/またはローション製剤;提供されるエマルション組成物およびクリームおよび/またはローション製剤の組合せなど)を、本明細書に記載のMSCと(例えば、相対的に低いマイクロニードルの密度および/または相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルを用いる)組み合わせて、患者に投与することにより状態または障害を処置するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、提供されるエマルション組成物を含む組成物を、本明細書に記載のMSCと組み合わせて、患者に局所投与することにより状態または障害を処置するための技術を提供する。
【0240】
いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約60分の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約12分の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約15分の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約15~約30分の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1時間の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約2時間の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約3時間の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約4時間の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5時間の投与内で皮膚に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約6時間の投与内で皮膚に浸透する。
【0241】
いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約60分の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約12分の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約15分の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約15~約30分の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1時間の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約2時間の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約3時間の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約4時間の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5時間の投与内で皮膚の層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約6時間の投与内で皮膚の層に浸透する。
【0242】
いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約60分の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約12分の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約15分の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約15~約30分の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1時間の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約2時間の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約3時間の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約4時間の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5時間の投与内で皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約6時間の投与内で皮膚の最上層に浸透する。
【0243】
いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約60分の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約12分の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5~約15分の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約15~約30分の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約1時間の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約2時間の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約3時間の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約4時間の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約5時間の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、約6時間の投与内で角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透する。
【0244】
キット
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明による1つ以上のエマルション組成物および1つ以上のマイクロニードルデバイスを含む医薬パッケージまたはキットを提供する。いくつかの実施態様において、医薬パッケージまたはキットは、所望により医薬組成物の1つ以上の更なる成分で満たされた1つ以上の容器中に提供される組成物を含む製剤または医薬組成物を含む。いくつかの実施態様において、医薬パッケージまたはキットは、併用療法で用いるために更なる承認された治療薬(例えば、ざ瘡の処置のための過酸化ベンゾイル;多汗症の処置のためのアルミニウム化合物など)を含む。いくつかの実施態様において、このような容器に所望により関連付けられるのは、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知であり得て、この通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売の機関による承認を反映する。
【0245】
いくつかの実施態様において、治療試薬を含むキットが提供される。1つの非限定的な例として、提供される組成物は、局所製剤として提供され得て、マイクロニードリングデバイスの使用と組み合わせた治療として投与され得る。医薬用量またはそのための自己投与のための説明書は、例えば、皮膚の真皮レベルに関連するものなどの状態または障害に罹患しているかまたはそのリスクがある個体に投与するためのキットで提供され得る。
【0246】
いくつかの実施態様において、キットは、(i)提供される組成物;および(ii)少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤;および(iii)皮膚のマイクロニードリングのための少なくとも1つのデバイス;および(iv)使用説明書を含み得る。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのデバイスは、相対的に低いマイクロニードルの密度(例えば、約2マイクロニードル/cm2~約50マイクロニードル/cm2の範囲)を有するマイクロニードルを含み得る。いくつかの実施態様において、例えば、少なくとも1つのデバイスは、相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードル(例えば、マイクロニードル当たりの穿刺サイズが約100μm2/マイクロニードル~約30,000μm2/マイクロニードルの範囲、マイクロニードル当たりの穿刺サイズが約100μm2/マイクロニードル~約60,000μm2/マイクロニードルの範囲)を含み得る。
【0247】
本発明は、とりわけ、その後本明細書に記載のMSCと組み合わせて投与される1つ以上のエマルション組成物へ1つ以上の大型薬物を組み込むことにより、大型薬物、例えばボツリヌス毒素または抗体薬を投与する、経皮送達を改善する、および/またはこのような大型薬物のバイオアベイラビリティを改善するための、技術を提供する。本発明者らは、驚くべきことに、ナノエマルション組成物に組み込まれたボツリヌス毒素または抗体薬の経皮浸透およびバイオアベイラビリティは、相対的に低いマイクロニードルの密度または相対的に小さいマイクロニードルの穿刺サイズ(例えば、マイクロニードル当たりの穿刺サイズ、各マイクロニードルの断面積)を有するマイクロニードルまたはマイクロニードルアレイをMSCと組み合わせて用いたとき、劇的に改善されることを見出した。本発明の利点は、皮膚への刺激または損傷を最小限に抑えながら、このような大型薬物を皮内投与する能力である。エマルション組成物およびMSCを用いた他の薬物または工程の使用は、本発明のすべての実施態様において必ずしも排除されるわけではなく、また必要とされない。
【0248】
したがって、本発明は、MSCと組み合わせた、優れたエマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物および/またはナノエマルション組成物)の局所適用によって大型薬物を投与するための技術を提供する。いくつかの実施態様において、大型薬物は、ボツリヌス毒素である。いくつかの実施態様において、ボツリヌスエマルション組成物は、MSCの前に、直接皮膚におよび上皮層を通った吸収のために適用される。いくつかの実施態様において、ボツリヌスエマルション組成物は、MSCの後に、直接皮膚におよび上皮層を通った吸収のために適用される。いくつかの実施態様において、ボツリヌスエマルション組成物は、MSCと実質的に同時に、直接皮膚におよび上皮層を通った吸収のために適用される。
【0249】
いくつかの実施態様において、MSCと組み合わせたボツリヌスエマルション組成物は、浸透促進剤を用いることなく、角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透し得る。いくつかの実施態様において、MSCと組み合わせたボツリヌスエマルション組成物は、分解剤、刺激剤および/または摩耗剤を用いることなく、角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透し得る。
【0250】
いくつかの実施態様において、MSCと組み合わせた抗体薬エマルション組成物は、浸透促進剤を用いることなく、角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層、に浸透し得る。いくつかの実施態様において、大型薬物は、抗体薬である。いくつかの実施態様において、抗体薬エマルション組成物は、MSCの前に、直接皮膚におよび上皮層を通った吸収のために適用される。いくつかの実施態様において、抗体薬エマルション組成物は、MSCの後に、直接皮膚におよび上皮層を通った吸収のために適用される。いくつかの実施態様において、抗体薬エマルション組成物は、MSCと実質的に同時に、直接皮膚におよび上皮層を通った吸収のために適用される。いくつかの実施態様において、抗体薬エマルション組成物は、直接皮膚におよび全身的な吸収のために適用される。
【0251】
いくつかの実施態様において、抗体薬エマルション組成物は、分解剤、刺激剤および/または摩耗剤を用いることなく、角質層、皮膚小孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透し得る。
【0252】
局所投与のための本発明の組成物は、美容的製剤製品、例えば皮膚軟化剤、栄養ローションタイプのエマルション、クレンジングローション、クレンジングクリーム、スキンミルク、エモリエントローション、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、メイクアップベース、フェイシャルパックまたはフェイシャルゲル、クリーナー製剤、例えばシャンプー、リンス、ボディクレンザー、ヘアトニックまたは石鹸、または皮膚組成物、例えばローション剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、パッチ剤またはスプレーを有し得ることを当業者によって理解される。いくつかの実施態様において、局所投与のための組成物は、粘膜への投与のために製剤化されていない(例えば、粘膜への適用には不適切であり、および/または粘膜にまたは粘膜を横切って適切な量の大型薬物を送達するように製剤化されていない)。
【0253】
当業者は、本明細書の単位が、ボツリヌス毒素の商業的製造業者によって定義された単位と生物学的に同等または生物活性的に同等である単位に関連することを理解する。
【0254】
いくつかの実施態様において、本発明に従って投与されたボツリヌス毒素の治療効果は、注射された溶液の効果が持続する限り持続し得る。いくつかの実施態様において、注射された溶液の効果は、最大約6~7か月持続し得る。いくつかの実施態様において、本発明に従って投与されたボツリヌス毒素の治療効果は、最大6~7か月持続し得る。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素を保持してゆっくりと放出することができる合成ポリマー担体の使用は、効果を最大5年間延長し得る(米国特許第6,312,708号)。
【0255】
いくつかの実施態様において、本発明は、全身毒性またはボツリヌス中毒を含むがこれらに限定されない潜在的な合併症を回避するボツリヌス毒素の局所製剤を提供する。いくつかの実施態様において、ボツリヌス毒素(A、B、C、D、E、FまたはG型、またはボツリヌス毒素血清型Aよりも持続時間が長くまたは短く作用するように遺伝子操作または化学修飾されたボツリヌスを含む)の投与量は、有害な副作用のリスクを最小限に抑えながら、最低約1単位から最高約50,000単位までの範囲であり得る。特定の投与量は、処置される状態および利用される治療レジメンに応じて変化し得る。例えば、皮下の過活動性筋肉の処置は、高い経皮投与量(例えば、1000単位~20,000単位)のボツリヌス毒素を必要とし得る。比較すると、神経性炎症または過活動性汗腺の処置は、相対的に少ない経皮投与量(例えば約1単位~約1,000単位)のボツリヌス毒素を必要とし得る。
【0256】
本発明のいくつかの実施態様は、ヒト患者への経皮送達のための安定化されたボツリヌス毒素を含む医薬組成物を企図する。ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素A、B、C1、D、E、F、およびG型、単離および/または精製された(すなわち約150kDa)ボツリヌス毒素、ならびに天然または組換えにより作られたボツリヌス毒素より選択され得る。いくつかの実施態様において、組成物は、約1単位~約50,000単位のボツリヌス毒素を含み得て、組成物は、1か月から5年間持続する治療効果を達成するのに十分な量のボツリヌス毒素を含み得る。
【0257】
いくつかの実施態様において、本発明は、ボツリヌス毒素がかなりの量で血管を透過することなく対象体の皮膚を透過することができる、ボツリヌス毒素(例えば、ボツリヌスエマルション組成物)の局所製剤を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施態様において、医薬組成物中に存在するボツリヌス毒素の約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満は、本発明の局所および/または経皮製剤の適用の際に血管に浸透する。
【0258】
いくつかの実施態様において、本発明は、抗体薬がかなりの量で血管を透過することなく対象体の皮膚を透過することができる、抗体薬(例えば、抗体薬エマルション組成物)の局所製剤を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施態様において、医薬組成物中に存在する抗体薬の約25%未満または約5%未満は、本発明の局所および/または経皮製剤の適用の際に血管に浸透する。
【0259】
いくつかの実施態様において、本発明は、抗体薬が対象体の皮膚を透過し、かなりの量で血管を透過することができる、抗体薬(例えば、抗体薬エマルション組成物)の局所製剤を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、抗体薬が対象体の皮膚を透過し、治療有効量で血管を透過することができる、抗体薬(例えば、抗体薬エマルション組成物)の局所製剤を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施態様において、医薬組成物中に存在する抗体薬の約25%、50%、75%、90%または95%超は、本発明の局所および/または経皮製剤の適用の際に血管に浸透する。いくつかの実施態様において、本発明は、抗体薬が対象体に対して全身的効果を有することができる、抗体薬(例えば、抗体薬エマルション組成物)の局所製剤を提供する。
【0260】
当業者は、ボツリヌス毒素または抗体薬の経皮投与を達成する本発明の組成物は、デバイス、例えばパッチ、ローラー、ペン、スタンプなどに組み込まれ得ることを理解する。
【実施例0261】
実施例1:ボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)前処置の効果
ボツリヌスナノエマルションの局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施した。局所処置の適用前に、アレイを皮膚に押し付けることにより、マイクロニードルアレイで皮膚をコンディショニングした。その後、ボツリヌス処置の適用前にアレイを取り除いた。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスのバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルアレイのニードルの密度およびマイクロニードルの穿刺サイズ(例えばマイクロニードル当たりの穿刺面積)の変化の影響を試験した。
【0262】
各8匹のラットからなる4つ試験群が試験には含まれた。各群を、上記のマイクロニードル皮膚コンディショニングをした。対照群を除き、各群を、大腿二頭筋、腓腹筋および右後肢の前脛骨筋を覆う皮膚に一定容量および濃度のボツリヌスナノエマルションで1回局所処置した。手袋をはめた指でナノエマルションを適用した。皮膚への局所製剤の投与は、約10分かかり、その時点で、局所製剤は皮膚に完全に吸収された。十分な濃度で投与されたボツリヌスの用量が動物の死亡を誘発し得ることも公知であるため、このような処置の効果を死亡率により測定した。したがって、4つの処置群の死亡率を比較した。具体的には、処置後3日における死亡率を、ボツリヌス毒素の相対的バイオアベイラビリティとして用い、ここで、死亡率の増加は、毒素のバイオアベイラビリティの増大を表わしている。
【0263】
表5は、ニードルの密度、ニードルの長さ、および各ニードルが処置前に皮膚に作る穿刺サイズ(本明細書に記載のマイクロニードルの穿刺サイズ)を含む、各処置で用いた各タイプのマイクロニードルの特性を説明する。表5はまた、各群の死亡率の詳細を示す。
【0264】
見てわかるように、意味のあるバイオアベイラビリティを、各マイクロニードリングアプローチで(すなわち、群A、BおよびCの各々において)達成した。
【0265】
さらに、群Cを群AおよびBのいずれかと比較することにより、驚くべきことに、より少なくかつより小さい穿刺孔が、より多くかつより大きい穿刺孔より高いバイオアベイラビリティをもたらすことが観察された。つまり、マイクロニードルの密度を減少させると、マイクロニードルの穿刺サイズを減少させるのと同様に、バイオアベイラビリティが増加した。群Aと群Bを互いに比較することにより、驚くべきことに、マイクロニードルの長さを増加させても、バイオアベイラビリティが改善されないことが観察された。
【0266】
すなわち、試験の結果は、マイクロニードルの密度およびマイクロニードルの穿刺サイズが、このようなボツリヌスがナノエマルションに含まれ、本明細書に記載のマイクロニードル皮膚コンディショニング後に皮膚に適用される場合、ボツリヌスのバイオアベイラビリティを著しく向上させることができることを決定した。具体的には、エマルション組成物中の巨大分子の局所投与の前に皮膚をコンディショニングするためにマイクロニードルアレイを用いる場合、マイクロニードルアレイのニードルの密度を31ニードル/cm2未満に減少させると、巨大分子のバイオアベイラビリティが増加した。また、エマルション組成物中の巨大分子の局所投与の前に皮膚をコンディショニングするためにマイクロニードルアレイを用いる場合、マイクロニードルアレイのニードル穿刺サイズ(マイクロニードル当たりの)をマイクロニードル当たり36,000μm2未満に減少させると、巨大分子のバイオアベイラビリティが増加した。
【表6】
【0267】
実施例2:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSCプレコンディショニングの効果:汗の減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚の汗の減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0268】
1名の対象体が試験には含まれる。各々腹部にあり、各々面積が約2cm2であり、各々5cm互いに離れている、3つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。第1のスポットは、マイクロニードルアレイでのプレコンディショニングがなく、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの3回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#1である。第3のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの3回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#2である。
【0269】
そのような処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位での発汗の減少である。処置部位の発汗量は、2つの方法で測定される:1)蒸発計試験、皮膚からの水分蒸発速度を測定するために用いられる機器を用いて、その発汗速度を検出する(発汗の増加に伴い、より多くの蒸発が検出される);または2)ヨウ素デンプン試験、対象体の処置部位にポビドンヨードを塗布し、それを乾燥させ、トウモロコシデンプンを処置部位にまき、対象体が白色のトウモロコシデンプンに発汗すると紫色に変わり、対象体が発汗しないと白色のままであり、これはヨウ素デンプン試験と呼ばれる。いずれの汗の検出方法についても、発汗を誘発するために、対象体は加熱ランプ下に入り、その後、汗の検出方法を用いる。
【0270】
汗の検出方法を、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって検出された汗の平均量が、対照部位と介入部位でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって対照部位で検出された汗の平均量は、これらの処置後の週にて介入部位で検出されたものより多い。試験では、処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって介入部位#2で検出された汗の平均量が、これらの処置後の週にて介入部位#1で検出されたものより多いことも分かった。
【0271】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0272】
実施例3:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの密度を変化させたMSCプレコンディショニングの効果:汗の減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚の汗の減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの著しい向上に対するマイクロニードルアレイのニードルの密度の変化の影響を試験した。
【0273】
12名の対象体が試験には含まれる。各々背中にあり、各々面積が約2cm2であり、各々5cm互いに離れている、3つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。第1のスポットは、マイクロニードルアレイでのプレコンディショニングがなく、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#1である。第3のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#2である。
【0274】
そのような処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位での発汗の減少である。処置部位の発汗量は、2つの方法で測定される:1)蒸発計試験、皮膚からの水分蒸発速度を測定するために用いられる機器を用いて、その発汗速度を検出する(発汗の増加に伴い、より多くの蒸発が検出される);または2)ヨウ素デンプン試験、対象体の処置部位にポビドンヨードを塗布し、それを乾燥させ、トウモロコシデンプンを処置部位にまき、対象体が白色のトウモロコシデンプンに発汗すると紫色に変わり、対象体が発汗しないと白色のままであり、これはヨウ素デンプン試験と呼ばれる。いずれの汗の検出方法についても、発汗を誘発するために、対象体はサウナに入り、その後、汗の検出方法を用いる。
【0275】
汗の検出方法を、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって検出された汗の平均量が、対照部位と介入部位でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって対照部位で検出された汗の平均量は、これらの処置後の週にて介入部位で検出されたものより多い。試験では、処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって介入部位#2で検出された汗の平均量が、これらの処置後の週にて介入部位#1で検出されたものより多いことも分かった。
【0276】
この試験は、相対的により低いマイクロニードリングの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0277】
実施例4:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの穿刺サイズを変化させたMSCプレコンディショニングの効果:汗の減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚の汗の減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの著しい向上に対するマイクロニードルの穿刺サイズ(例えばマイクロニードル当たりの穿刺面積)の変化の影響を試験した。
【0278】
12名の対象体が試験には含まれる。各々背中にあり、各々面積が約2cm2であり、各々5cm互いに離れている、3つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。第1のスポットは、マイクロニードルアレイでのプレコンディショニングがなく、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に約11,000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズのマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#1である。第3のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に約60,000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズのマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#2である。
【0279】
そのような処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位での発汗の減少である。処置部位の発汗量は、2つの方法で測定される:1)蒸発計試験、皮膚からの水分蒸発速度を測定するために用いられる機器を用いて、その発汗速度を検出する(発汗の増加に伴い、より多くの蒸発が検出される);または2)ヨウ素デンプン試験、対象体の処置部位にポビドンヨードを塗布し、それを乾燥させ、トウモロコシデンプンを処置部位にまき、対象体が白色のトウモロコシデンプンに発汗すると紫色に変わり、対象体が発汗しないと白色のままであり、これはヨウ素デンプン試験と呼ばれる。いずれの汗の検出方法についても、発汗を誘発するために、対象体はサウナに入り、その後、汗の検出方法を用いる。
【0280】
汗の検出方法を、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって検出された汗の平均量が、対照部位と介入部位でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって対照部位で検出された汗の平均量は、これらの処置後の週にて介入部位で検出されたものより多い。試験では、処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって介入部位#2で検出された汗の平均量が、これらの処置後の週にて介入部位#1で検出されたものより多いことも分かった。
【0281】
この試験は、相対的により小さいマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0282】
実施例5:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSCの効果:汗およびしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚の汗の減少およびしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0283】
重度の額(または横)のしわを額に有する1名の対象体が試験には含まれる。各々対象体の額にあり、各々面積が約2cm2であり、各々5cm互いに離れている、3つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。第1のスポットは、マイクロニードルアレイでのプレコンディショニングがなく、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#1である。第3のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、介入部位#2である。
【0284】
そのような処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位での発汗の減少である。処置部位の発汗量は、2つの方法で測定される:1)蒸発計試験、皮膚からの水分蒸発速度を測定するために用いられる機器を用いて、その発汗速度を検出する(発汗の増加に伴い、より多くの蒸発が検出される);または2)ヨウ素デンプン試験、対象体の処置部位にポビドンヨードを塗布し、それを乾燥させ、トウモロコシデンプンを処置部位にまき、対象体が白色のトウモロコシデンプンに発汗すると紫色に変わり、対象体が発汗しないと白色のままであり、これはヨウ素デンプン試験と呼ばれる。いずれの汗の検出方法についても、発汗を誘発するために、対象体はサウナに入り、その後、方法を用いる。
【0285】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置部位における額のしわの減少である。しわの重症度を、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定する。
【0286】
汗の検出方法を、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって検出された汗の平均量が、対照部位と介入部位でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって対照部位で検出された汗の平均量は、これらの処置後の週にて介入部位で検出されたものより多い。試験では、処置後2週間と4週間にて、蒸発計試験またはヨウ素デンプン試験のいずれかによって介入部位#2で検出された汗の平均量が、これらの処置後の週にて介入部位#1で検出されたものより多いことも分かった。試験では、ベースラインにて、しわスケールによって測定された額のしわの平均重症度が、対照部位と介入部位でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、しわスケールによって対照部位で測定された額のしわの平均重症度は、これらの処置後の週にて介入部位で検出されたものより大きい。試験では、処置後2週間と4週間にて、しわスケールによって介入部位#2で測定された額のしわの平均重症度が、これらの処置後の週にて介入部位#1で検出されたものより大きいことも分かった。
【0287】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0288】
実施例6:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの密度を変化させたMSCの効果:多汗症対象体における汗の減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚の汗の減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0289】
試験には、脇の下の過剰な発汗により特徴付けられる腋窩多汗症を有する、各々12名の対象体からなる3つの処置群が含まれる:群1は、対照群であり、ボツリヌスナノエマルションを各対象体の脇の下に適用する;群2は、介入群#1であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前の脇の下の皮膚の各部に9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる;群3は、介入群#1であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前の脇の下の皮膚の各部に85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる。群1、2および3の各対象体を、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。
【0290】
このような処置の予測される効果は、脇の下であるボツリヌスナノエマルション処置の部位での発汗の減少である。処置部位での発汗量は、重量法による発汗の測定(GS試験)で測定する:対象体の脇の下をペーパータオルで乾燥させ;ろ紙の重さを量り;ろ紙を脇の下に5分間当ててから、再度計量する。紙を再計量した後の余分な重量は、対象体が5分間に生成した汗の重量である。対象体の多汗症状態の重症度は、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のスケールが対象体によって評価される多汗症汗重症度尺度(HDSS)を用いて対象体によって測定される。
【0291】
GS試験およびHDSSを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、GS試験によって検出された汗の平均量またはHDSSによって測定された疾患重症度が、群1~3でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、群1における検出された汗の平均量または疾患重症度は、これらの処置後の週にて群2または3で検出されたものより大きい。試験では、処置後2週間と4週間にて、群3における検出された汗の平均量または疾患重症度が、これらの処置後の週にて群2で検出されたものより大きいことが分かった。
【0292】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0293】
実施例7:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの穿刺サイズを変化させたMSCの効果:多汗症対象体における汗の減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚の汗の減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルの穿刺サイズの変化の影響を試験した。
【0294】
試験には、脇の下の過剰な発汗により特徴付けられる腋窩多汗症を有する、各々12名の対象体からなる3つの処置群が含まれる:群1は、対照群であり、ボツリヌスナノエマルションを各対象体の脇の下に適用する;群2は、介入群#1であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前の脇の下の皮膚の各部への約11,000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズのマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ;群3は、介入群#1であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前の脇の下の皮膚の各部への約60,000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズのマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる。群1、2および3の各対象体を、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。
【0295】
このような処置の予測される効果は、脇の下であるボツリヌスナノエマルション処置の部位での発汗の減少である。処置部位での発汗量は、重量法による発汗の測定(GS試験)で測定する:対象体の脇の下をペーパータオルで乾燥させ;ろ紙の重さを量り;ろ紙を脇の下に5分間当ててから、再度計量する。紙を再計量した後の余分な重量は、対象体が5分間に生成した汗の重量である。対象体の多汗症状態の重症度は、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のスケールが対象体によって評価される多汗症汗重症度尺度(HDSS)を用いて対象体によって測定される。
【0296】
GS試験およびHDSSを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、GS試験によって検出された汗の平均量またはHDSSによって測定された疾患重症度が、群1~3でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、群1における検出された汗の平均量または疾患重症度は、これらの処置後の週にて群2または3で検出されたものより大きい。試験では、処置後2週間と4週間にて、群3における検出された汗の平均量または疾患重症度が、これらの処置後の週にて群2で検出されたものより大きいことが分かった。
【0297】
この試験は、相対的により小さいマイクロニードルの穿刺サイズを用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0298】
実施例8:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSCの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施した。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0299】
眼の脇に重度の目尻のしわを有する1名の対象体が試験には含まれた。ボツリヌスナノエマルションを対象体の目尻のしわに適用した。皮膚へ適用されたボツリヌスの用量は、ボツリヌスナノエマルションがマイクロニードル皮膚プレコンディショニング無しで適用されたときに効果的な用量の約15%であった。効果的な用量を、対象体が5点のしわ評価スケールにより測定される目尻のしわを生じる筋肉を収縮させたときに、しわの外見に少なくとも2点の改善を生じる用量と定義した。対象体は、目尻のしわが顔のサイド#1へのボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされ、そして、目尻のしわが顔の反対側(サイド#2)へのボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされた。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収された。
【0300】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度は、0=無し、1=最小限、2=軽度、3=中等度、4=重度の5点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定された。
【0301】
しわスケールを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いた。試験では、ベースラインにて、対象体は、5点のしわスケールのスコアが4点である、しわスケールで評価される重度のしわを有することが分かった。処置後2週間にて、しわの平均重症度がしわスケールで1点減少し、スコアが顔のサイド#2で3(中等度)となった。処置後4週間にて、しわの平均重症度がしわスケールで2点減少し、スコアが顔のサイド#2で2(軽度)となった。試験では、処置後2週間にて、しわの平均重症度がしわスケールで2点減少し、スコアが顔のサイド#1で2(軽度)となったことも分かった。処置後4週間にて、しわの平均重症度がしわスケールで3点減少し、スコアが顔のサイド#1で1(最小限)となった。
【0302】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0303】
実施例9:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの密度を変化させたMSCの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0304】
眼の脇に重度の目尻のしわを有する各12名の対象体からなる3つの処置群が試験には含まれる:群1は、対照群であり、ボツリヌスナノエマルションを各対象体の目尻のしわに適用する;群2は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる;群3は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる。群1、2および3の各対象体を、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。
【0305】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度を、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定する。
【0306】
しわスケールを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、しわスケールによって検出されるしわの平均重症度が、群1~3でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、群1でのしわの平均重症度は、これらの処置後の週にて群2および3で検出されたものより大きい。試験では、処置後2週間と4週間にて、群3でのしわの平均重症度が、これらの処置後の週にて群2で検出されたものより大きい。
【0307】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0308】
実施例10:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの穿刺サイズを変化させたMSCの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルの穿刺サイズの変化の影響を試験した。
【0309】
眼の脇に重度の目尻のしわを有する各12名の対象体からなる3つの処置群が試験には含まれる:群1は、対照群であり、ボツリヌスナノエマルションを各対象体の目尻のしわに適用する;群2は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への約11,000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズのマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる;群3は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への約60,000μm2/マイクロニードルのマイクロニードルの穿刺サイズのマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる。群1、2および3の各対象体を、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。
【0310】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度を、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定する。
【0311】
しわスケールを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、しわスケールによって検出されるしわの平均重症度が、群1~3でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、群1でのしわの平均重症度は、これらの処置後の週にて群2および3で検出されたものより大きい。試験では、処置後2週間と4週間にて、群3でのしわの平均重症度が、これらの処置後の週にて群2で検出されたものより大きい。
【0312】
この試験は、相対的により小さいマイクロニードルの穿刺サイズを有するマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0313】
実施例11:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSCの効果:目尻のしわの減少に対する投与変化の効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0314】
重度の目尻のしわを有する各12名の対象体からなる3つの処置群が試験には含まれる:群1は、対照群であり、ボツリヌスナノエマルションを各対象体の目尻のしわに適用する;群2は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる;群3は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる。各対象体を、群1の処置が群2および群3の処置の2倍のボツリヌス濃度であることを除いて、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。
【0315】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度を、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定する。
【0316】
しわスケールを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、しわスケールによって検出されるしわの平均重症度が、群1~3でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、ベースラインと比較した群1および3でのしわの平均重症度は、群1が群3の濃度の2倍で処置されているにもかかわらず、ほぼ同じ量減少する。試験では、群2および群3が同じ濃度のボツリヌスで処置されているにもかかわらず、処置後2週間と4週間にて、ベースラインと比較した群3でのしわの平均重症度より、ベースラインと比較した群2でのしわの平均重症度が著しく大きく減少することも分かった。
【0317】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させ、その結果、より低い用量のボツリヌスを用いて、マイクロニードル皮膚プレコンディショニングを受けていない患者または相対的により高いマイクロニードルの密度を用いたMSCを受けた患者と比較して等価な治療効果を得ることができることを証明した。
【0318】
実施例12:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSCの効果:目尻のしわの減少に対する投与変化の効果
ヒトにおける局所ボツリヌスマクロエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施する。試験は、様々なマイクロニードルシステムを用いて達成された%バイオアベイラビリティを評価するのみだけではなく、比較もできるように設計されており、その結果、ボツリヌスマクロエマルション製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイのニードル密度の変化の影響を試験した。
【0319】
重度の目尻のしわを有する各12名の対象体からなる3つの処置群が試験には含まれる:群1は、対照群であり、ボツリヌスマクロエマルションを各対象体の目尻のしわに適用する;群2は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスマクロエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への9マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる;群3は、介入群#1であり、目尻のしわがボツリヌスマクロエマルション製剤の適用前に位置する皮膚の各部への85マイクロニードル/cm2のマイクロニードルの密度のマイクロニードルアレイの5回の押付けでプレコンディショニングされる。各対象体を、一定濃度のボツリヌスである一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回局所処置する。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。
【0320】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度を、0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度の4点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定する。
【0321】
しわスケールを、ボツリヌスナノエマルション処置の前のベースライン、処置後2週間および処置後4週間で用いる。試験では、ベースラインにて、しわスケールによって検出されるしわの平均重症度が、群1~3でほぼ等しいことが分かった。処置後2週間と4週間にて、群1でのしわの平均重症度は、群2および3でのしわの平均重症度より大きい。試験では、処置後2週間と4週間にて、群3でのしわの平均重症度が、群2のしわの平均重症度より大きいことが分かった。
【0322】
この試験は、相対的により低いマイクロニードルの密度を用いるマイクロニードルプレコンディショニングが、マイクロニードル皮膚プレコンディショニングを受けていない患者または相対的により高いマイクロニードルの密度を用いたMSCを受けた患者と比較して、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物マクロエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明する。
【0323】
実施例13:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードル押付け回数を変化させたMSCプレコンディショニングの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施した。試験は、マイクロニードルアレイでの皮膚コンディショニング後のボツリヌスナノエマルション製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルアレイの押付けの回数の変化の影響を試験した。
【0324】
中等度から重度の目尻のしわを有する対象体を含む、群Aおよび群Bの2つの群が試験には含まれた。各対象体の目尻の領域を、ほぼ近い一定用量のボツリヌスであるボツリヌスエマルション(例えばナノエマルション)製剤で1回局所処置した。皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。群A(N=8)の対象体を、ボツリヌス製剤の適用前にマイクロニードルアレイの14回のマイクロニードル押付け(または4マイクロニードル押付け/cm2)でプレコンディショニングした。群B(N=17)の対象体を、ボツリヌス製剤の適用前にマイクロニードルアレイの8回のマイクロニードル押付け(または2マイクロニードル押付け/cm2)でプレコンディショニングした。群AおよびBで用いたマイクロニードルアレイにおけるマイクロニードルの長さは、同一であった。
【0325】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度は、調査員および対象体の各々によって、0=無し、1=最小限、2=軽度、3=中等度、4=重度の5点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定される。この試験におけるレスポンダーは、調査員と対象体の両方によって評価されるように、ベースラインと比較すると、1点以上のしわ重症度の減少を有する対象体であった。
【0326】
試験では、ベースラインにて、しわスケールによって測定された目尻のしわの平均重症度が、群AおよびBでほぼ等しいことが分かった。処置後8週間にて、群Aのレスポンダー率は25%であり、群Bのレスポンダー率は50%であった。
【0327】
この試験は、相対的により少ない(単位面積当たりまたは絶対数で)マイクロニードル押付けを用いたマイクロニードルプレコンディショニングが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0328】
実施例14:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するマイクロニードルの長さを変化させたMSCプレコンディショニングの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおけるボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施した。試験は、マイクロニードルアレイでの皮膚コンディショニング後のこの製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対するマイクロニードルの長さの変化の影響を試験した。
【0329】
中等度から重度の目尻のしわを有する対象体を含む、群A、群Bおよび群Cの3つの群が試験には含まれた。各対象体の目尻の領域を、エマルション製剤、特にナノエマルションである局所ボツリヌス製剤で1回局所処置した。群A(N=9)の対象体は、500μmのニードルの長さを用いた皮膚プレコンディショニングを受け、群B(N=9)の対象体は、800μmのニードルの長さを用いた皮膚プレコンディショニングを受け、そして群C(N=9)の対象体は、1400μmのニードルの長さを用いた皮膚プレコンディショニングを受けた。
【0330】
この特定の実施例における皮膚への局所製剤の投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収された。すべての対象体を、ボツリヌス製剤の適用前にマイクロニードルアレイの同じ回数のマイクロニードル押付けでプレコンディショニングした。群A、B、Cで用いたボツリヌスの用量は、対象体間で同一に合わせた。
【0331】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位における目尻のしわの減少であり;このような減少を、本実施例で適用された様々な処置について評価した。しわの重症度は、調査員および対象体の各々によって、0=無し、1=最小限、2=軽度、3=中等度、4=重度の5点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定される。この試験におけるレスポンダーは、調査員と対象体の両方によって評価されるように、ベースラインと比較すると、2点以上のしわ重症度の減少を有する対象体であった。
【0332】
この試験では、ベースラインにて、しわスケールによって測定された目尻のしわの平均重症度が、群A、BおよびCでほぼ等しいことが分かった。処置後12週間にて、群Aのレスポンダー率は36%であり、群Bのレスポンダー率は14%であり、群Cのレスポンダー率は13%であった。
【0333】
この試験は、マイクロニードル皮膚プレコンディショニングのときにより短いマイクロニードルを用いることが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0334】
実施例15:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する局所適用された製剤の容量を変化させたMSCプレコンディショニングの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおけるボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施した。試験は、マイクロニードルアレイでの皮膚コンディショニング後のこの製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対する局所適用されたボツリヌスナノエマルション製剤の容量の変化の影響を試験した。
【0335】
中等度から重度の目尻のしわを有する対象体を含む、群A、群Bおよび群Cの3つの群が試験には含まれた。各対象体の目尻の領域を、局所ボツリヌス製剤(例えば、ボツリヌスエマルション、例えばボツリヌスナノエマルションを含む)で1回局所処置した。群A(N=9)の対象体は、0.15mlの容量でX単位のボツリヌスを投与され、群B(N=9)の対象体は、0.15mlの容量で1.8*X単位のボツリヌスを投与され、そして群C(N=9)の対象体は、0.210mlの容量で2.5*X単位のボツリヌスを投与された。皮膚への局所製剤の投与(例えば、塗布により、所望により続いて皮膚への擦り込みにより)は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。すべての対象体を、ボツリヌス製剤の適用前にマイクロニードルアレイの8回のマイクロニードル押付けでプレコンディショニングした。群A、B、Cで用いたマイクロニードルアレイにおけるマイクロニードルの長さは、対象体間で同一に合わせた。
【0336】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度は、調査員および対象体の各々によって、0=無し、1=最小限、2=軽度、3=中等度、4=重度の5点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定される。この試験におけるレスポンダーは、調査員によって評価されるように、ベースラインと比較すると、2点以上のしわ重症度の減少を有する対象体であった。
【0337】
試験では、ベースラインにて、しわスケールによって測定された目尻のしわの平均重症度が、群AおよびBでほぼ等しいことが分かった。処置後12週間にて、群Aのレスポンダー率は13%であり、群Bのレスポンダー率は33%であり、群Cのレスポンダー率は、群AおよびB各々の対象体に提供されたものより高い用量であるにもかかわらず、0%であった。
【0338】
この試験は、マイクロニードル皮膚プレコンディショニング後に局所適用された製品容量をより少ない量で用いることが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0339】
実施例16:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する局所適用された製剤の容量を変化させたMSCプレコンディショニングの効果:目尻のしわの減少に対する効果
ヒトにおけるボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回投与局所試験を実施した。この試験は、マイクロニードルアレイでの皮膚コンディショニング後のこの製剤での局所処置後の皮膚のしわの減少を測定することによって、ヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティの向上に対する局所適用されたボツリヌスナノエマルション製剤の容量の変化の影響を試験した。
【0340】
中等度から重度の目尻のしわを有する対象体を含む、群A、群Bおよび群Cの3つの群が試験には含まれた。各対象体の目尻の領域を、局所ボツリヌス製剤(例えば、ボツリヌスエマルション、例えばボツリヌスナノエマルションを含む)で1回局所処置した。群A(N=3)の対象体は、0.15mlの容量でY単位のボツリヌスを投与され、群B(N=2)の対象体は、0.15mlの容量で1.8*X単位のボツリヌスを投与され、そして群C(N=17)の対象体は、0.24mlの容量で3.4*X単位のボツリヌスを投与された。皮膚への局所製剤の投与(例えば、塗布により、所望により続いて皮膚への擦り込みにより)は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚に完全に吸収される。すべての対象体を、ボツリヌス製剤の適用前にマイクロニードルアレイの同じ回数のマイクロニードル押付けでプレコンディショニングした。群A、B、Cで用いたマイクロニードルアレイにおけるマイクロニードルの長さは、対象体間で同一に合わせた。
【0341】
ボツリヌスナノエマルション処置の予測される効果は、ボツリヌスナノエマルション処置の部位における目尻のしわの減少である。しわの重症度は、調査員および対象体の各々によって、0=無し、1=最小限、2=軽度、3=中等度、4=重度の5点のしわスケール(しわスケール)を用いて測定される。この試験におけるレスポンダーは、調査員によって評価されるように、ベースラインと比較すると、2点以上のしわ重症度の減少を有する対象体であった。
【0342】
試験では、ベースラインにて、しわスケールによって測定された目尻のしわの平均重症度が、群A、BおよびCでほぼ等しいことが分かった。処置後12週間にて、群Aのレスポンダー率は33%であり、群Bのレスポンダー率は50%であり、群Cのレスポンダー率は、群AおよびBの対象体に提供されたものより高い用量であるにもかかわらず、20%であった。
【0343】
この試験は、マイクロニードル皮膚プレコンディショニング後に局所適用された製品容量をより少ない量で用いることが、ボツリヌス毒素を含む局所の大型薬物ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外にも増加させることを証明した。
【0344】
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【0345】
(均等物)
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施態様の多くの均等物を認識するか、または単なるに次状的な実験を用いて確認することができる。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図せず、以下の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
図1
図2
【配列表】
2024170568000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0345
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0345】
(均等物)
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施態様の多くの均等物を認識するか、または単なるに次状的な実験を用いて確認することができる。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図せず、以下の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
本発明はまた、以下の態様および実施態様を含む。
[1] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
[2] マイクロニードルの密度が、約2~約10マイクロニードル/cm2の範囲内である、[1]に記載の方法。
[3] マイクロニードルの密度が、約2~約35マイクロニードル/cm2の範囲内である、[1]に記載の方法。
[4] 大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むナノエマルションを含む、[1]に記載の方法。
[5] 大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むマクロエマルションを含む、[1]に記載の方法。
[6] 非刺激性浸透促進剤の投与をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 非刺激性浸透促進剤が、担体ペプチドおよびコペプチドより選択される、[6]に記載の方法。
[8] 非刺激性浸透促進剤が、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有するカチオン性ペプチドおよび正に帯電した担体より選択される、[6]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用前に実施する、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用後に実施する、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[11] 部位のMSCおよび大型薬物を含む組成物の部位への適用が、実質的に同時に生じる、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[12] 大型薬物が、ボツリヌス毒素である、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 生物学的活性物質と共にボツリヌス毒素を送達することをさらに含む、[12]に記載の方法。
[14] 生物学的活性物質が、ステロイド類、レチノイド類、麻酔剤、充填剤、シリコーンおよび/またはコラーゲンより選択される、[13]に記載の方法。
[15] 生物学的活性物質が、ヒドロコルチゾン、レチンAおよび/またはリドカインより選択される、[14]に記載の方法。
[16] 大型薬物が、抗体薬である、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[17] 抗体薬が、抗TNFα抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、抗IL-12抗体、抗IL-17抗体、抗IL-22抗体および抗IL-23抗体より選択される、[16]に記載の方法。
[18] 抗体薬が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、セルトリズマブペゴール、シプリズマブ、ザノリムマブ、ブリアキヌマブ、セクキヌマブ、ブロダルマブ、フェザキヌマブ、ウステキヌマブおよび/またはグセルクマブの1つ以上でみられるエピトープ結合要素を有する抗体より選択される、[16]~[17]のいずれかに記載の方法。
[19] 生物学的活性物質と共に抗体薬を送達することをさらに含む、[16]~[17]のいずれかに記載の方法。
[20] 非刺激性浸透促進剤と共に抗体薬を送達することをさらに含む、[16]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21] 非刺激性浸透促進剤が、コペプチドおよび担体ペプチドより選択される、[20]に記載の方法。
[22] 部位のMSCが、複数のニードルを含むデバイスを用いて達成される、[1]~[21]のいずれかに記載の方法。
[23] デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、[22]に記載の方法。
[24] 部位が、対象体の筋肉または筋肉群を覆う皮膚表面体である、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25] 部位が、汗腺を含む皮膚表面である、[1]~[24]のいずれかに記載の方法。
[26] 部位が、皮脂腺を含む皮膚表面である、[1]~[25]のいずれかに記載の方法。
[27] 部位が、毛包を含む皮膚表面である、[1]~[26]のいずれかに記載の方法。
[28] ニードルが、皮膚の角質層を通って突き出るのに十分な長さを有する、[22]~[27]のいずれかに記載の方法。
[29] ニードルが、皮膚の真皮中の神経に到達するには不十分な長さを有する、[22]~[28]のいずれかに記載の方法。
[30] ニードルの長さが、約10μm~約4000μmである、[22]~[29]のいずれかに記載の方法。
[31] ニードルの長さが、約10μm~約800μmである、[22]~[30]のいずれかに記載の方法。
[32] ニードルの長さが、約10μm~約500μmである、[22]~[31]のいずれかに記載の方法。
[33] ニードルの長さが、約200μm以上である、[22]~[30]のいずれかに記載の方法。
[34] ニードルの長さが、約300μm以上である、[22]~[33]のいずれかに記載の方法。
[35] ニードルの長さが、約500μm以上である、[22]~[34]のいずれかに記載の方法。
[36] ニードルの長さが、約200μm、約300μm、約500μm、約800μm、約1000μm、約1100μm、約1200μm、約1300μm、約1400μm、約1500μm、約1600μm、約1700μm、約1800μm、約1900μm、約2000μm、約2100μm、約2200μm、約2300μm、約2400μm、約2500μm、約2600μm、約2700μm、約2800μm、約2900μm、約3000μm、約3100μm、約3200μm、約3300μm、約3400μm、約3500μm、約3600μm、約3700μm、約3800μmまたは約3900μmと等しいかまたはそれより長い、[22]~[30]のいずれかに記載の方法。
[37] ニードルが、生体適合性材料から構成される、[22]~[36]のいずれかに記載の方法。
[38] ニードルが、金属から構成される、[22]~[36]のいずれかに記載の方法。
[39] MSCが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回のMNまたはMNアレイの押付けの投与を含み、各押付けが、MNを皮膚に連続的に適用する回数である、[1]~[38]のいずれかに記載の方法。
[40] MNアレイが、1回以上の押付け間に回転される、[39]に記載の方法。
[41] MNアレイが、1回以上の押付け間に回転されない、[39]に記載の方法。
[42] 押付けが、ほぼ同じ部位に行われる、[39]~[41]のいずれかに記載の方法。
[43] 押付けが、重複部位に行われる、[39]~[41]のいずれかに記載の方法。
[44] 押付けが、異なる部位に行われる、[39]~[41]のいずれかに記載の方法。
[45] MNアレイが、スタンプまたはローラーの形態である、[39]~[44]のいずれかに記載の方法。
[46] 押付けが、スタンプするまたはローリングすることにより行われる、[45]に記載の方法。
[47] 大型薬物が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚に浸透する、[1]~[46]のいずれかに記載の方法。
[48] 大型薬物が、約5~約60分、約5~約12分、約5~約15分または約15~約30分の投与内で皮膚に浸透する、[1]~[46]のいずれかに記載の方法。
[49] 大型薬物が、約1、2、3、4、5または6時間の投与内で皮膚に浸透する、[1]~[46]のいずれかに記載の方法。
[50] ニードルが、少なくとも1つの溶解性ポリマーから構成される、[22]~[37]のいずれかに記載の方法。
[51] 投与が、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[1]~[50]のいずれかに記載の方法。
[52] 大型薬物を含む組成物を2用量以上経時的に投与することを含む、[1]~[51]のいずれかに記載の方法。
[53] 投与が、同等の処置効果を生じさせるために、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、固定処置用量にわたってより少ない用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[52]に記載の方法。
[54] 各用量の大型薬物を含む組成物が、特定の時間で離されている、[52]または[53]に記載の方法。
[55] 特定の時間が、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンを投与するための特定の時間と比較して長い、[54]に記載の方法。
[56] 参照処置レジメンが、50マイクロニードル/cm2を超えるマイクロニードルの密度を有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、[51]~[55]のいずれかに記載の方法。
[57] [1]~[56]のいずれかに記載の方法を含む、皮膚障害を処置する方法。
[58] 皮膚障害が、ざ瘡、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、レイノー症候群、乾癬、光線性角化症、湿疹性皮膚炎、過剰な皮脂産生障害、火傷、紅斑性狼瘡、色素沈着過剰障害、色素沈着減少障害、皮膚癌、皮膚感染症、顔のしわ、見苦しい表情、首のしわ、機能過多の顔のしわ、運動過多性の顔のしわ、広頚筋バンド、および/またはそれらの組合せより選択される、[57]に記載の方法。
[59] [1]~[57]のいずれかに記載の方法を含む、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、脱毛、レイノー現象、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、骨関節症、紅斑性狼瘡、全身性狼瘡、円板状狼瘡、薬剤誘発性狼瘡、新生児狼瘡、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺障害、喘息、慢性閉塞性肺障害、アミロイド症、全身性アミロイド症、皮膚アミロイド症、癌、皮膚癌、血液癌、肺癌、結腸癌、肺癌、前立腺肥大症、異脂肪血症、高コレステロール血症、感染症、C.ディフィシル感染症、スタフィロコッカス感染症、ジストニア、頭痛、疼痛、関節炎関連疼痛、リウマチ性関節炎関連疼痛、乾癬性関節炎関連疼痛、変形性関節症関連疼痛、特定の眼科的状態、特定の泌尿器学的状態、神経筋疾患、筋肉の痙攣および/または拘縮を伴う状態、斜視、片側顔面痙攣、振戦、痙縮、例えば多発性硬化症により生じるもの、眼窩後筋、神経学的状態、片頭痛または他の頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、または卒中より選択される、障害を処置または予防する方法。
[60] 大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、[1]~[59]のいずれかに記載の方法。
[61] 大型薬物を含む組成物と、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有する複数のマイクロニードルを含むパッチ。
[62] 大型薬物を含む組成物が、ナノエマルションを含む、[61]に記載のパッチ。
[63] 大型薬物を含む組成物が、マクロエマルションを含む、[61]に記載のパッチ。
[64] ニードルが、皮膚の角質層を通って突き出るのに十分な長さを有する、[61]~[63]のいずれかに記載のパッチ。
[65] ニードルが、皮膚の真皮中の神経に到達するには不十分な長さを有する、[62]~[64]のいずれかに記載のパッチ。
[66] ニードルの長さが、約10μm~約4000μmである、[62]~[65]のいずれかに記載のパッチ。
[67] ニードルの長さが、約200μm以上である、[62]~[66]のいずれかに記載のパッチ。
[68] ニードルの長さが、約300μm以上である、[62]~[67]のいずれかに記載のパッチ。
[69] ニードルの長さが、約500μm以上である、[62]~[68]のいずれかに記載のパッチ。
[70] ニードルが、生体適合性材料から構成される、[62]~[69]のいずれかに記載のパッチ。
[71] ニードルが、金属から構成される、[62]~[70]のいずれかに記載のパッチ。
[72] ニードルが、溶解性ポリマーから構成される、[62]~[70]のいずれかに記載のパッチ。
[73] 大型薬物が、100KDa以上の分子量を有する、[62]~[72]のいずれかに記載のパッチ。
[74] 大型薬物が、ボツリヌス毒素である、[62]~[73]のいずれかに記載のパッチ。
[75] 大型薬物が、抗体薬である、[62]~[73]のいずれかに記載のパッチ。
[76] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲内のマイクロニードルの穿刺孔サイズを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
[77] 投与が、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[76]に記載の方法。
[78] 大型薬物を含む組成物を2用量以上経時的に投与することを含む、[76]~[77]のいずれかに記載の方法。
[79] 投与が、同等の処置効果を生じさせるために、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、固定処置用量にわたってより少ない用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[78]に記載の方法。
[80] 各用量の大型薬物を含む組成物が、特定の時間で離されている、[78]または[79]に記載の方法。
[81] 特定の時間が、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンを投与するための特定の時間と比較して長い、[80]に記載の方法。
[82] 参照処置レジメンが、約35,000μm2/マイクロニードルを超えるマイクロニードルの穿刺孔サイズを有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、[77]~[81]のいずれかに記載の方法。
[83] 大型薬物を含む組成物と、ある部位のマイクロニードルコンディショニングのためのデバイスを含むキットであって、デバイスが、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイである、キット。
[84] 大型薬物を含む組成物が、ナノエマルションを含む、[83]に記載のキット。
[85] 大型薬物を含む組成物が、マクロエマルションを含む、[83]または[84]に記載のキット。
[86] デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、[83]~[85]のいずれかに記載のキット。
[87] [56]~[68]のいずれかに記載のパッチを含む、[83]~[86]のいずれかに記載のキット。
[88] 大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、[83]に記載のキット。
[89] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を適用する工程を含む方法であって、該部位が、約2~約50マイクロニードル/cm2の範囲内のマイクロニードルの密度を有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)でコンディショニングされている、方法。
[90] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を適用する工程を含む方法であって、該部位が、約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲内のマイクロニードルの穿刺孔サイズを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)でコンディショニングされている、方法。
[91] 大型薬物を含む組成物と、ある部位のマイクロニードルコンディショニングのためのデバイスを含むキットであって、デバイスが、約100~約35,000μm2/マイクロニードルの範囲内のマイクロニードルの穿刺孔サイズを有するマイクロニードルアレイである、キット。
[92] 大型薬物を含む組成物が、ナノエマルションを含む、[91]に記載のキット。
[93] 大型薬物を含む組成物が、マクロエマルションを含む、[91]または[92]に記載のキット。
[94] デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、[91]~[93]のいずれかに記載のキット。
[95] [56]~[68]のいずれかに記載のパッチを含む、[91]~[94]のいずれかに記載のキット。
[96] 大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、[91]に記載のキット。
[97] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、マイクロニードルアレイの約1回~約13回の押付けが該部位に行われるマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
[98] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、マイクロニードルアレイの約1回~約4回の押付けが該部位の1cm2当たりに行われるマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて、適用する工程を含む方法。
[99] マイクロニードルアレイの約1~約3回の押付けが、部位の1cm2当たりに行われる、[98]に記載の方法。
[100] マイクロニードルアレイの約1~約2回の押付けが、部位の1cm2当たりに行われる、[98]に記載の方法。
[101] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約1μm~約700μmの範囲内のマイクロニードルの長さを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて、適用する工程を含む方法。
[102] ある部位に100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含むエマルション組成物を、約1μm~約500μmの範囲内のマイクロニードルの長さを有するマイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて、適用する工程を含む方法。
[103] ある部位に、100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含む1滴/cm2~約2滴/cm2の約1/100の製品容量のエマルション組成物を、マイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
[104] ある部位に、100,000Da以上の分子量を有する大型薬物を含む約0.0001mls/cm2~約0.065mls/cm2の製品容量のエマルション組成物を、マイクロニードルアレイを用いた該部位のマイクロニードル皮膚コンディショニング(MSC)と組み合わせて適用する工程を含む方法。
[105] 製品容量が、約0.0001mls/cm2~約0.05mls/cm2の範囲内である、[104]に記載の方法。
[106] 大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むナノエマルションを含む、[101]~[104]のいずれかに記載の方法。
[107] 大型薬物を含む組成物が、大型薬物を含むマクロエマルションを含む、[101]~[104]のいずれかに記載の方法。
[108] 非刺激性浸透促進剤の投与をさらに含む、[101]~[107]のいずれかに記載の方法。
[109] 非刺激性浸透促進剤が、担体ペプチドおよびコペプチドより選択される、[108]に記載の方法。
[110] 非刺激性浸透促進剤が、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有するカチオン性ペプチドおよび正に帯電した担体より選択される、[108]~[109]のいずれかに記載の方法。
[111] 部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用前に実施する、[101]~[110]のいずれかに記載の方法。
[112] 部位のMSCを、大型薬物を含む組成物の部位への適用後に実施する、[101]~[110]のいずれかに記載の方法。
[113] 部位のMSCおよび大型薬物を含む組成物の部位への適用が、実質的に同時に生じる、[101]~[110]のいずれかに記載の方法。
[114] 大型薬物が、ボツリヌス毒素である、[101]~[113]のいずれかに記載の方法。
[115] 生物学的活性物質と共にボツリヌス毒素を送達することをさらに含む、[114]に記載の方法。
[116] 生物学的活性物質が、ステロイド類、レチノイド類、麻酔剤、充填剤、シリコーンおよび/またはコラーゲンより選択される、[115]に記載の方法。
[117] 生物学的活性物質が、ヒドロコルチゾン、レチンA、および/またはリドカインより選択される、[116]に記載の方法。
[118] 大型薬物が、抗体薬である、[101]~[113]のいずれかに記載の方法。
[119] 抗体薬が、抗TNFα抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、抗IL-12抗体、抗IL-17抗体、抗IL-22抗体および抗IL-23抗体より選択される、[118]に記載の方法。
[120] 抗体薬が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、セルトリズマブペゴール、シプリズマブ、ザノリムマブ、ブリアキヌマブ、セクキヌマブ、ブロダルマブ、フェザキヌマブ、ウステキヌマブおよび/またはグセルクマブの1つ以上でみられるエピトープ結合要素を有する抗体より選択される、[118]~[119]のいずれかに記載の方法。
[121] 生物学的活性物質と共に抗体薬を送達することをさらに含む、[118]~[120]のいずれかに記載の方法。
[122] 非刺激性浸透促進剤と共に抗体薬を送達することをさらに含む、[118]~[121]のいずれかに記載の方法。
[123] 非刺激性浸透促進剤が、コペプチドおよび担体ペプチドより選択される、[122]に記載の方法。
[124] 部位のMSCが、複数のニードルを含むデバイスを用いて達成される、[101]~[123]のいずれかに記載の方法。
[125] デバイスが、パッチ、ローラー、スタンプまたはペンである、[124]に記載の方法。
[126] 部位が、対象体の筋肉または筋肉群を覆う皮膚表面体である、[101]~[125]のいずれかに記載の方法。
[127] 部位が、汗腺を含む皮膚表面である、[101]~[126]のいずれかに記載の方法。
[128] 部位が、皮脂腺を含む皮膚表面である、[101]~[127]のいずれかに記載の方法。
[129] 部位が、毛包を含む皮膚表面である、[101]~[128]のいずれかに記載の方法。
[130] ニードルが、皮膚の角質層を通って突き出るのに十分な長さを有する、[124]~[129]のいずれかに記載の方法。
[131] ニードルが、皮膚の真皮中の神経に到達するには不十分な長さを有する、[124]~[130]のいずれかに記載の方法。
[132] ニードルが、生体適合性材料から構成される、[124]~[131]のいずれかに記載の方法。
[133] ニードルが、金属から構成される、[124]~[131]のいずれかに記載の方法。
[134] MNアレイが、1回以上の押付け間に回転される、[101]~[133]のいずれかに記載の方法。
[135] MNアレイが、1回以上の押付け間に回転されない、[101]~[133]のいずれかに記載の方法。
[136] 押付けが、ほぼ同じ部位に行われる、[134]~[135]のいずれかに記載の方法。
[137] 押付けが、重複部位に行われる、[134]~[135]のいずれかに記載の方法。
[138] 押付けが、異なる部位に行われる、[134]~[135]のいずれかに記載の方法。
[139] MNアレイが、スタンプまたはローラーの形態である、[134]~[138]のいずれかに記載の方法。
[140] 押付けが、スタンプするまたはローリングすることにより行われる、[139]に記載の方法。
[141] 大型薬物が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分の投与内で皮膚に浸透する、[101]~[140]のいずれかに記載の方法。
[142] 大型薬物が、約5~約60分、約5~約12分、約5~約15分または約15~約30分の投与内で皮膚に浸透する、[101]~[140]のいずれかに記載の方法。
[143] 大型薬物が、約1、2、3、4、5または6時間の投与内で皮膚に浸透する、[101]~[140]のいずれかに記載の方法。
[144] ニードルが、少なくとも1つの溶解性ポリマーから構成される、[124]~[132]のいずれかに記載の方法。
[145] 投与が、約700μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[101]、[106]~[144]のいずれかに記載の方法。
[146] 投与が、約500μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、より低い用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[102]、[106]~[144]のいずれかに記載の方法。
[147] 大型薬物を含む組成物を2用量以上経時的に投与することを含む、[101]~[146]のいずれかに記載の方法。
[148] 投与が、参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンと比較して、固定処置用量にわたってより少ない用量の大型薬物を含む組成物の投与を含む、[147]に記載の方法。
[149] 各用量の大型薬物を含む組成物が、特定の時間で離されている、[147]または[148]に記載の方法。
[150] 特定の時間が、参照マイクロニードルアレイを用いた部位のMSCでの参照処置レジメンを投与するための特定の時間と比較して長い、[149]に記載の方法。
[151] 参照処置レジメンが、約700μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、[145]、[147]~[150]のいずれかに記載の方法。
[152] 参照処置レジメンが、約500μmを超えるマイクロニードルの長さを有する参照マイクロニードルアレイを用いた大型薬物を含む組成物の投与を含む、[147]~[150]のいずれかに記載の方法。
[153] [101]~[152]のいずれかに記載の方法を含む、皮膚障害を処置する方法。
[154] 皮膚障害が、ざ瘡、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、レイノー症候群、乾癬、光線性角化症、湿疹性皮膚炎、過剰な皮脂産生障害、火傷、紅斑性狼瘡、色素沈着過剰障害、色素沈着減少障害、皮膚癌、皮膚感染症、顔のしわ、見苦しい表情、首のしわ、機能過多の顔のしわ、運動過多性の顔のしわ、広頚筋バンド、および/またはそれらの組合せより選択される、[153]に記載の方法。
[155] [101]~[153]のいずれかに記載の方法を含む、望ましくない発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、脱毛、レイノー現象、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、骨関節症、紅斑性狼瘡、全身性狼瘡、円板状狼瘡、薬剤誘発性狼瘡、新生児狼瘡、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺障害、喘息、慢性閉塞性肺障害、アミロイド症、全身性アミロイド症、皮膚アミロイド症、癌、皮膚癌、血液癌、肺癌、結腸癌、肺癌、前立腺肥大症、異脂肪血症、高コレステロール血症、感染症、C.ディフィシル感染症、スタフィロコッカス感染症、ジストニア、頭痛、疼痛、関節炎関連疼痛、リウマチ性関節炎関連疼痛、乾癬性関節炎関連疼痛、変形性関節症関連疼痛、特定の眼科的状態、特定の泌尿器学的状態、神経筋疾患、筋肉の痙攣および/または拘縮を伴う状態、斜視、片側顔面痙攣、振戦、痙縮、例えば多発性硬化症により生じるもの、眼窩後筋、神経学的状態、片頭痛または他の頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、または卒中より選択される、障害を処置または予防する方法。
[156] 大型薬物を含む組成物が、ローション剤、クリーム剤、散剤、軟膏剤、リニメント剤、ゲル剤または点眼剤として製剤化される、[101]~[155]のいずれかに記載の方法。

【外国語明細書】