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特開2024-170571少なくとも1つのグリシン又はその誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD+前駆体と、を使用する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170571
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】少なくとも1つのグリシン又はその誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD+前駆体と、を使用する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20241203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20241203BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K31/706
A61P43/00 121
A61P3/00
A61P21/00
A61K31/198
A61K31/405
A61K9/14
A61K9/08
A61P3/10
A61P3/04
A61P3/06
A61P1/16
A61P9/12
A61P39/06
A61P9/10
A61P27/16
A61P19/10
A61P9/00
A61P13/12
A61P29/00
A61P35/00
A61P31/18
A23L33/175
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024154026
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2021512874の分割
【原出願日】2019-09-26
(31)【優先権主張番号】62/737,189
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ガット, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブルム‐スペリセン, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】リッツォ, ジュリア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、及びグルタチオン濃度の低下に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態を処置又は予防することができる組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを含有する。組成物は、例えば、食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低用量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、又は食事代替飲料のうちの1つ以上として、経口投与することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタボリックシンドローム、代謝調節の年齢に関連する低下、及び筋の症状からなる群から選択される少なくとも1つの状態の、治療、発生率の低減、又は重症度の低減の方法であって、
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、投与を必要とする又はそのリスクがある個体に投与すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体が、L-グリシン、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組み合わせが、経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組み合わせが、食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組み合わせが、前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との少なくとも一部分を提供するジペプチドを含む、組成物として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とが、同じ組成物として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とのうちの1つ以上が、前記組み合わせの残部とは異なる組成物として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記NAD前駆体が、トリプトファン、ニコチン酸、ニコチンアミド、還元型ニコチンアミドリボシド(NRH)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、トリゴネリン、ニコチン酸モノヌクレオチド、ニコチン酸リボシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物であって、
メタボリックシンドローム、代謝調節の年齢に関連する低下、及び筋の症状からなる群から選択される少なくとも1つの状態の、治療、発生率の低減、又は重症度の低減に有効な量の前記組み合わせを含む、組成物。
【請求項10】
食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、及びグルタチオン濃度の低下に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態を治療又は予防する方法であって、
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、投与を必要とする個体に投与すること、を含む、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの身体的状態が、老化の悪影響、筋肉量減少、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病からの合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロール濃度の上昇、トリグリセリド濃度の上昇、脂肪酸濃度の上昇、脂肪肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能障害、ミオパチー例えばスタチン誘発性ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、癌、及びHIV感染からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体が、L-グリシン、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記組み合わせが、経口投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記組み合わせが、食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物として投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記組み合わせが、前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との少なくとも一部分を提供するジペプチドを含む、組成物として投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とが、同じ組成物として投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とのうちの1つ以上が、前記組み合わせの残部とは異なる組成物として投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
健康な中高年者において、代謝低下の最初を遅らせる、筋肉量を維持する、酸化ストレスを減少させる、免疫機能を維持する、及び/又は認知機能を維持する方法であって、
前記健康な中高年者に、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを投与すること、を含む、方法。
【請求項20】
前記健康な中高年者が、高齢者である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
肥満、前糖尿病、又は糖尿病のうちの少なくとも1つを有する個体において、活性酸素種の代謝を強化する、グルコースの調節を改善する、及び/又は筋機能を改善する方法であって、
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを前記個体に投与すること、を含む、方法。
【請求項22】
サルコペニアを有する個体においてミトコンドリア機能を改善する方法であって、
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを前記個体に投与すること、を含む、方法。
【請求項23】
前記サルコペニアを有する個体が、サルコペニアを有すること以外は健康である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
肥満、前糖尿病、及び/又は糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存、又は外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上を改善する方法であって、
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む、方法。
【請求項25】
前記個体が、認知機能障害又は認知障害のうちの少なくとも1つを有し、前記組成物が、認知を改善するのに有効な量の前記組み合わせを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記個体が、認知機能障害も認知障害も有しておらず、前記組成物が、認知を改善するのに有効な量の前記組み合わせを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
筋パフォーマンス又は運動後の筋回復のうちの少なくとも1つを改善する方法であって、
運動を行う個体に、前記運動前、前記運動中、及び前記運動後からなる群から選択される少なくとも1つの期間、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを投与すること、を含む、方法。
【請求項28】
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物であって、
(i)酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、グルタチオン濃度の低下に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態の治療又は予防、又は(ii)肥満、前糖尿病、及び/又は糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存、又は外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上の改善、のうちの少なくとも1つに有効な量の前記組み合わせを含む、組成物。
【請求項29】
前記組み合わせの前記量が、老化の悪影響、筋肉量減少、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病からの合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロール濃度の上昇、トリグリセリド濃度の上昇、脂肪酸濃度の上昇、脂肪肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能障害、ミオパチー例えばスタチン誘発性ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、癌、及びHIV感染からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態の治療又は予防に有効である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
(i)老化の影響の重症度及び/又は発生率の低減、(ii)細胞機能及び/又は総合的な健康の維持又は改善、(iii)正常なミトコンドリア機能、細胞保護、又はエネルギー代謝のうちの少なくとも1つの支援、(iv)1日のエネルギーレベルの増加、(v)疲労の低減、(vi)身体エネルギー及び/又は認知能力の維持又は改善、(vii)健康又は正常な細胞機能を促進することによる健康な老化の促進、(viii)健康な皮膚の支援、(ix)心不全の治療、及び/又は心不全の重症度若しくは発生率の低減、(x)集中治療室(ICU)入室を含む期間中生じる、酸化ストレス及び/又はグルタチオン(GSH)の低下の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xi)酸化ストレス及び/又はGSHの低下に関連する別の状態の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xii)損傷、病気、又は手術からのリハビリテーションの促進、(xiii)癌を有する、又は癌が寛解した患者におけるNAD濃度の調節、(xiv)肥満手術に由来する症状の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xv)非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xvi)ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、及び(xvii)これらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの結果を得る方法であって、
個体に、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを投与すること、を含む、方法。
【請求項32】
少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物であって、
(i)老化の影響の重症度及び/又は発生率の低減、(ii)細胞機能及び/又は総合的な健康の維持又は改善、(iii)正常なミトコンドリア機能、細胞保護、又はエネルギー代謝のうちの少なくとも1つの支援、(iv)1日のエネルギーレベルの増加、(v)疲労の低減、(vi)身体エネルギー及び/又は認知能力の維持又は改善、(vii)健康又は正常な細胞機能を促進することによる健康な老化の促進、(viii)健康な皮膚の支援、(ix)心不全の治療、及び/又は心不全の重症度若しくは発生率の低減、(x)集中治療室(ICU)入室を含む期間中に生じる、酸化ストレス及び/又はグルタチオン(GSH)の低下の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xi)酸化ストレス及び/又はGSHの低下に関連する別の状態の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xii)損傷、病気、又は手術からのリハビリテーションの促進、(xiii)癌を有する、又は癌が寛解した患者におけるNAD濃度の調節、(xiv)肥満手術に由来する症状の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xv)非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、又は(xvi)ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減のうちの少なくとも1つに有効な量の前記組み合わせを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、概して、酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、又はグルタチオン濃度の低下に関連する状態を治療又は予防することができる組成物及び方法に関する。あるいは、又はそれに加えて、組成物及び方法は、運動能力及び身体機能を改善させることができる。
【0002】
[0002]人口の高齢化は人口動態の面で特筆すべき事象である。寿命が延長されていることに起因して、中高年者人口の増加が集団全体の増加よりも大きくなっていることから、中高年者人口のその他の人口に対する割合は大幅に増加している。例えば、1950年代には60歳以上の高齢者は12人に1人であったのが、2000年代の終わりには60歳以上の高齢者は10人に1人となった。2050年代の終わりまでには、世界的に5人に1人が60歳以上の高齢者になると予測されている。
【0003】
[0003]中高年では、年齢とともに進行する認知機能の低下を含むある程度の認知障害になることが多く、脳形態及び脳血管機能の年齢性の変化が一般に観察される。認知機能の低下は、処理速度、注意、エピソード記憶、空間能力及び遂行機能などを含む広範な認知領域の老化と併せて報告されている。脳の画像解析により、これらの通常の年齢性の認知機能低下は、脳の灰白質及び白質の両方の容積の減少と関連しており、老化に伴って最も重く損傷を受けるのは前頭線条体系であることが判明している。このような皮質容積の減少は、例えば、酸化的損傷をもたらすフリーラジカルによる長期にわたる損傷の蓄積、慢性的な軽度の炎症、ホモシステインの蓄積(これが増加した場合は、認知障害及び認知症のリスク因子となる)、及びミトコンドリア機能の低下などの、通常の老化に関与する多くの有害な細胞プロセスに起因する可能性がある。直接的な細胞の損傷に加え、脳は、微小血管構造の傷害からも間接的な損傷を受ける。老化、更には認知症の病理が、互いに関連し合うこれらの因子間の複雑な相互作用を内包することは明らかである。例えば、ミトコンドリアの機能不全は結果として酸化ストレスを増加させ、酸化ストレスは炎症及び血管損傷のトリガーとなり得る。
【0004】
[0004]更に、認知機能の低下は、アルツハイマー病の早期予測因子であり、認知症の発症前に始まる。この場合、認知機能についての総合得点が、認知症より前に起こる認知機能の低下を評価するにあたって信頼性の高い手段となる。多くのエビデンスから、脳の健康を維持し、年齢による認知機能の低下を予防することで、アルツハイマー病及び他の年齢性の神経病理による認知症の進行を予防すること又は遅らせることができることが示唆されている。
【0005】
[0005]生物学及び心理学において、用語「ストレス」は、実際のものであるのか又は想像上のものであるのかにかかわらず、生理学的、感情的、又は身体的脅威に、ヒト又は他の動物が適切に応答できずに生じる結果を指す。精神生物学的には、ストレスの特徴は、酸化ストレスの発現として、すなわち、活性酸素種の産生及び発現と、生体システムが活性中間体を速やかに解毒する能力又はもたらされた損傷を速やかに修復する能力との釣り合いが取れなくなっている状態として現れる場合がある。組織の正常なレドックス状態が乱れると、タンパク質、脂質、及びDNAなどといった細胞のあらゆる成分を損傷させる、過酸化物及びフリーラジカルの産生により、毒性作用が引き起こされることがある。いくつかの活性酸化種は、「レドックスシグナル」と呼ばれる現象によりメッセンジャーとしても作用することがある。
【0006】
[0006]ヒトでは、酸化ストレスは多くの疾患に関与する。例としては、アテローム性動脈硬化症、パーキンソン病、心不全、心筋梗塞、アルツハイマー病、統合失調症、双極性障害、脆弱X症候群、及び慢性疲労症候群が挙げられる。
【0007】
[0007]ヒトにおける通常の条件下での活性酸素源の1つには、酸化的リン酸化中の、ミトコンドリアからの活性酸素の漏出がある。スーパーオキシド(O2-)を産生し得る他の酵素には、キサンチンオキシダーゼ、NADPHオキシダーゼ、及びシトクロムP450がある。別の強力な酸化剤である過酸化水素は、いくつかのオキシダーゼを含む多様な酵素によって産生される。活性酸素種は、レドックスシグナルと呼ばれる、細胞のシグナル伝達プロセスにおいて重要な役割を果たす。したがって、適切な細胞恒常性を維持するために、活性酸素の産生と消費との間で均衡をはかる必要がある。
【0008】
[0008]酸化ストレスは、紫外線照射及び酸素過剰後の組織障害の一因となる。この障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及びハンチントン病を含む神経変性疾患において重要ではないかと疑われている。
【0009】
[0009]血管内皮における低密度リポタンパク質(LDL)の酸化はプラーク形成の前兆であることから、酸化ストレスは特定の心血管疾患にも関連していると考えられている。酸化ストレスはまた、低酸素状態後の酸素の再潅流による障害に起因する虚血のカスケードでも働く。このカスケードには、脳卒中及び心臓発作の両方を含む。酸化ストレスはまた、慢性疲労症候群にも関わっている。
【0010】
[0010]更に、老化に関するフリーラジカル理論は、老化の生物学的プロセスは高齢者における酸化ストレスの増大により生じると示唆している。酸化ストレスにより生じ得る損傷に細胞が抵抗する能力は、生体における、酸化体フリーラジカルの生成と、当該細胞が利用することのできる数々の防御的な抗酸化物質とのバランスによって決まる。複数の抗酸化防御系の中でも、グルタチオン(GSH)は、総合的な抗酸化防御に関係し最も豊富な細胞内成分である。GSHというトリペプチドは、前駆体となるアミノ酸の、グルタミン酸、システイン、及びグリシンが、グルタメートシステインリガーゼ(GCL、γ-グルタミルシステインシンセターゼ、EC6.3.2.2とも呼ばれる)及びγ-L-グルタミル-L-システイン:グリシンリガーゼ(グルタチオンシンセターゼ、EC6.3.2.3とも呼ばれる)により2段階での触媒作用を受けることで合成される。GSHの合成は、細胞においてデノボ(de novo)で生じる。
【0011】
[0011]ニコチンアミドリボシドは、細胞及び組織におけるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の細胞内濃度の増加を促進して、細胞及び組織の健康の維持を向上させることができる。更に、グリシンとN-アセチルシステイン(NAC)との組み合わせは、哺乳動物において、治療及び/又は予防を必要としているかの指標として利用することができる。例えば、グリシンとN-アセチルシステイン(NAC)との組み合わせは、哺乳動物におけるグルタチオン代謝の障害並びに/又は酸化ストレス及び/若しくは酸化体による損傷の増大、例えば、老化又は糖尿病におけるグルタチオン代謝の障害並びに/又は酸化ストレス及び/若しくは酸化体による損傷の増大に関して有益な効果をもたらすことができ、またニコチンアミドリボシドと組み合わせることができる。
【0012】
[0012]更に、本明細書の開示を使用して(例えば、グリシンとNACとの組み合わせによって)細胞内で増加させることができるNADに関して、全ての生細胞はNADが関与する経路を利用しており、NADはNADの酸化形態である。代謝において、NADはレドックス反応に関与し、1つの反応から別の反応へと電子を輸送する。NADは他の分子から電子を受容し、還元されてNADHを形成する。そしてこのNADHは電子を供与する還元剤として用いられる。これらの電子移動反応がNADの主機能であるが、NADは他の細胞プロセスにも使用されており、中でも注目すべきことに、翻訳後修飾においてタンパク質への化学基の付加又は除去を行う酵素の基質としても使用される。
【0013】
[発明の概要]
[0013]本明細書に開示される化合物の様々な組み合わせは、酸化ストレスを低減し、ミトコンドリア機能を改善するものである(これらの両方は機序的に関係している)。ミトコンドリア機能不全は、部分的には活性酸素種(ROS)及び代謝異常(栄養素の代謝が不能となることによる)により細胞損傷に関係し、ひいては代謝疾患及び変性疾患をもたらす。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、本明細書に開示される化合物の様々な組み合わせは、少なくとも相互に強化し又は相乗作用をもたらし得る併用効果により、酸化ストレスを低減し、及びミトコンドリア機能を改善して、代謝疾患及び変性疾患を治療すること、発生率を低減すること、又は重症度を低減することができると考えている。
【0014】
[0014]したがって、全般的な実施形態では、本開示は、酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、及びグルタチオン濃度の低下に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態を治療又は予防する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、投与を必要としている個体に投与すること、を含む。
【0015】
[0015]一実施形態では、方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、投与を必要としている個体に投与すること、を含む。
【0016】
[0016]一実施形態では、方法は、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、投与を必要としている個体に投与すること、を含む。
【0017】
[0017]一実施形態では、少なくとも1つの身体的状態は、老化の悪影響、筋肉量減少、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病からの合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロール濃度の上昇、トリグリセリド濃度の上昇、脂肪酸濃度の上昇、脂肪肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能障害、ミオパチー例えばスタチン誘発性ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、癌、及びHIV感染からなる群から選択される。
【0018】
[0018]一実施形態では、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体は、L-グリシン、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
[0019]一実施形態では、組み合わせは、経口投与される。
【0020】
[0020]一実施形態では、組み合わせは、食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物として投与される。
【0021】
[0021]一実施形態では、組み合わせは、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との少なくとも一部分を提供するジペプチドを含む、組成物として投与される。
【0022】
[0022]一実施形態では、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とは、同じ組成物として投与される。
【0023】
[0023]一実施形態では、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とのうちの1つ以上は、組み合わせの残部とは異なる組成物として投与される。
【0024】
[0024]別の実施形態では、本開示は、健康な中高年者において、代謝低下の最初を遅らせる、筋肉量を維持する、酸化ストレスを減少させる、免疫機能を維持する、及び/又は認知機能を維持する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、健康な中高年者に投与すること、を含む。健康な中高年者は高齢者(elderly)であってもよい。
【0025】
[0025]別の実施形態では、本開示は、肥満、前糖尿病、又は糖尿病のうちの少なくとも1つを有する個体において、活性酸素種の代謝を強化する、グルコースの調節を改善する、及び/又は筋機能を改善する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、個体に投与すること、を含む。
【0026】
[0026]別の実施形態では、本開示は、サルコペニアを有する個体においてミトコンドリア機能を改善する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、個体に投与すること、を含む。サルコペニアを有する個体は、サルコペニアを有する点以外は健康であり得る。
【0027】
[0027]別の実施形態では、本開示は、肥満、前糖尿病、及び/又は糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存、又は外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上を改善する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む。個体は、認知機能障害又は認知障害のうちの少なくとも1つを有してもよく、組成物は、認知を改善するのに有効な量の前記組み合わせを含むことができる。個体は、認知機能障害又は認知障害を有していなくてもよく、組成物は、認知を改善するのに有効な量の前記組み合わせを含むことができる。
【0028】
[0028]別の実施形態では、本開示は、筋パフォーマンス又は運動後の筋回復のうちの少なくとも1つを改善する方法を提供する。方法は、運動を行う個体に、運動前、運動中、及び運動後からなる群から選択される少なくとも1つの期間、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを投与すること、を含む。
【0029】
[0029]別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物を提供する。組成物はまた、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含んでもよい。組成物はまた、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含んでもよい。
【0030】
[0030]組成物は、(i)酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、グルタチオン濃度の低下に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態の治療又は予防、又は(ii)肥満、前糖尿病、及び/又は糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存、又は外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上の改善、のうちの少なくとも1つに有効な量の組み合わせを含む。
【0031】
[0031]一実施形態では、組み合わせの量は、老化の悪影響、筋肉量減少、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病からの合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロール濃度の上昇、トリグリセリド濃度の上昇、脂肪酸濃度の上昇、脂肪肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能障害、ミオパチー例えばスタチン誘発性ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、癌、及びHIV感染からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態の治療又は予防に有効である。
【0032】
[0032]一実施形態では、組成物は、食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
[0033]別の実施形態では、本開示は、(i)老化の影響の重症度及び/又は発生率の低減、(ii)細胞機能及び/又は総合的な健康の維持又は改善、(iii)正常なミトコンドリア機能、細胞保護、又はエネルギー代謝のうちの少なくとも1つの支援、(iv)1日のエネルギーレベルの増加、(v)疲労の低減、(vi)身体エネルギー及び/又は認知能力の維持又は改善、(vii)健康又は正常な細胞機能を促進することによる健康な老化の促進、(viii)健康な皮膚の支援、(ix)心不全の治療、及び/又は心不全の重症度若しくは発生率の低減、(x)集中治療室(ICU)入室を含む期間中に生じる、酸化ストレス及び/又はグルタチオン(GSH)の低下の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xi)酸化ストレス及び/又はGSHの低下に関連する別の状態の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xii)損傷、病気、又は手術からのリハビリテーションの促進、(xiii)癌を有する、又は癌が寛解した患者におけるNAD濃度の調節、(xiv)肥満手術に由来する症状の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xv)非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xvi)ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、及び(xvii)これらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの結果を得る方法であって、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む、方法を提供する。
【0034】
[0034]別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物であって、(i)老化の影響の重症度及び/又は発生率の低減、(ii)細胞機能及び/又は総合的な健康の維持又は改善、(iii)正常なミトコンドリア機能、細胞保護、又はエネルギー代謝のうちの少なくとも1つの支援、(iv)1日のエネルギーレベルの増加、(v)疲労の低減、(vi)身体エネルギー及び/又は認知能力の維持又は改善、(vii)健康又は正常な細胞機能を促進することによる健康な老化の促進、(viii)健康な皮膚の支援、(ix)心不全の治療、及び/又は心不全の重症度若しくは発生率の低減、(x)集中治療室(ICU)入室を含む期間中に生じる、酸化ストレス及び/又はグルタチオン(GSH)の低下の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xi)酸化ストレス及び/又はGSHの低下に関連する別の状態の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xii)損傷、病気、又は手術からのリハビリテーションの促進、(xiii)癌を有する、又は癌が寛解した患者におけるNAD濃度の調節、(xiv)肥満手術に由来する症状の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xv)非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、又は(xvi)ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減のうちの少なくとも1つに有効な量の組み合わせを含む、組成物を提供する。
【0035】
[0035]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、酸化的代謝に関する効果を増強すること、及びDNA損傷を防ぐことである。
【0036】
[0036]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、年齢とともに減少するNADプールを補充することである。
【0037】
[0037]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、老化に伴う代謝の減速を補うのを助けることである。
【0038】
[0038]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、脂肪酸代謝を高めるのを助けることである。
【0039】
[0039]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、心臓の健康を維持すること、心不全を治療すること、及び/又は心不全の重症度若しくは発生率を低減するのを助けることである。
【0040】
[0040]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、血液中の健康なLDLコレステロール濃度及び脂肪酸濃度を保つのを助けることである。
【0041】
[0041]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、老化の間に細胞において十分な量を利用しにくくなる重要なアミノ酸を補うことである。
【0042】
[0042]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、細胞機能にとって重要なグルタチオン産生の前駆体となるアミノ酸を提供することである。
【0043】
[0043]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、細胞内のグルタチオン濃度の増加を助けることである。
【0044】
[0044]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、年齢とともに低下するグルタチオン濃度を改善することである。
【0045】
[0045]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、健康な筋肉量を維持するのを助けることである。
【0046】
[0046]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、体に対する酸化ストレスの低減を助けることである。
【0047】
[0047]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、グルタチオン調節によって正常な免疫系を保つことである。
【0048】
[0048]更なる特徴及び利益が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本明細書において開示される実験例のデータのグラフである。 [0050]図1.ミトコンドリア呼吸に対するNACとグリシンとNRの組み合わせの効果。成体のゼブラフィッシュの筋肉から単離されたミトコンドリアの高分解能呼吸測定(N=5~6/条件)。急性酸化ストレスは、メナジオン(Men)で2時間処理することにより誘発させた。低用量のNAC+グリシン(glyNAC;NAC100μM、グリシン100μM)と低用量のNR(50μM)とで2時間処理することにより呼吸の回復を評価した。呼吸測定のデータを1Aに示す。理論上の相加効果(ΔglyNAC+ΔNR)を、glyNAC及びNRの平均値の合計として計算し、相乗効果(ΔglyNAC+NR)と比較した(1B)。Men=メナジオン対照;NAC=N-アセチルシステイン;gly=グリシン、NR=ニコチンアミドリボシド。p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001
【発明を実施するための形態】
【0050】
[0051]定義
[0052]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0051】
[0053]本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項を支持すると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲を支持するものと解釈されたい。
【0052】
[0054]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」、すなわち「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「1つの構成成分(a component)」又は「その構成成分(the component)」についての言及は、2つ以上の構成成分を含む。
【0053】
[0055]用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」は、排他的にではなく包含的に解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは包括的なものであると解釈される。しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、本明細書において具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成成分「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態、及び「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。「から本質的になる」組成物とは、参照された構成成分を少なくとも50重量%、好ましくは参照された構成成分を少なくとも75重量%、より好ましくは参照された構成成分を少なくとも85重量%、最も好ましくは参照された構成成分を少なくとも95重量%含むことをいう。
【0054】
[0056]「X及び/又はY」という文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」と解釈するものとする。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」と解釈するものとする。例えば、「少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体」は、「グリシン」若しくは「グリシンの機能性誘導体」又は「グリシンとグリシンの機能性誘導体との両方」と解釈するものとする。
【0055】
[0057]本明細書において使用する場合、用語「例」及び「例えば~など」は、その後に用語の列挙が続くときは特に、単に例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は網羅的なものとみなされるべきではない。本明細書で使用される場合、別の状態「に関連する」又は「と関連付けられる」状態は、これらの状態が同時に起こることを意味し、好ましくは、これらの状態が同じ基礎的な状態によって引き起こされることを意味し、最も好ましくは、特定されている状態のうちの一方が他方の特定されている状態によって引き起こされることを意味する。
【0056】
[0058]用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」は、ヒトなどの個体による摂取が意図され、かかる個体に対して少なくとも1種の栄養素を提供する、製品又は組成物を意味する。食品製品は、典型的には、タンパク質、脂質、炭水化物のうちの少なくとも1つを含み、任意に1種以上のビタミン及びミネラルを含む。本明細書に記載されている多くの実施形態を含む本開示の組成物は、本明細書に開示されている要素、並びに本明細書に記載されている又は記載されていなくとも食生活において有用である任意の追加の又は場合により存在する成分、構成成分又は要素を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になることができる。
【0057】
[0059]本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、単離されていない場合に、例えば自然界において、その化合物と一緒に見られ得る、1種以上の別の化合物又は構成成分から取り出されていることを意味する。好ましくは、例えば「単離された」は、特定されている化合物が、自然界で典型的に一緒に見られる細胞材料の少なくとも一部から分離されることを意味する。一実施形態では、単離された化合物は純粋なものであり、すなわち、他の化合物を含まない。
【0058】
[0060]「予防」は、病気又は疾患のリスク及び/又は重症度を低減させることを含む。「処置/治療(treatment)」、「処置する/治療する(treat)」及び「緩和すること(to alleviate)」という用語は、(標的とする病態又は障害の発症を予防する及び/又は遅らせる)予防用の(prophylactic)処置又は予防的な(preventive)処置と、診断された病態又は疾患を治癒させる、遅らせる、その症状を減弱する、かつ/又はその進行を止める治療的手段を含む、治癒的、治療的又は疾患修飾処置との両方;並びに疾患にかかるリスクを有する、又は疾患にかかったと推測される患者の処置に加えて、病気である、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の処置を含む。この用語は、必ずしも完治するまで対象が処置/治療されることを意味するものではない。「処置/治療」及び「処置/治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を発症しやすい可能性のある個体の健康を維持及び/又は促進することも指す。「処置/治療」、「処置/治療する」及び「緩和すること」という用語はまた、1つ以上の主たる予防的又は治療的手段の相乗作用、又は別の増強作用を含むことも意図している。「処置/治療」、「処置/治療する」及び「緩和すること」という用語は更に、疾患若しくは状態の、食事による管理(dietary management)、又は疾患若しくは状態の予防(prophylaxis若しくはprevention)のための、食事による管理を含むことも意図している。治療/処置は患者に関連するものであってもよく、又は医師に関連するものであってもよい。
【0059】
[0061]本明細書で使用される場合、「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び動物対象のための投与量単位として好適な物理的に小分けされた単位を指し、各単位は、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又はビヒクルとともに、所望の効果をもたらすのに十分な量の、所定量の本明細書に開示される組成物を含有する。単位剤形の仕様は、使用される具体的な化合物、達成しようとする効果、及びホスト体内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。
【0060】
[0062]「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。ヒトの文脈での「高齢(elderly)」という用語は、60歳以上、好ましくは63歳より上、より好ましくは65歳より上、最も好ましくは70歳より上の出生後年齢を意味する。ヒトの文脈での「中高年者(older adult)」という用語は、45歳以上、好ましくは50歳より上、より好ましくは55歳より上の出生後年齢を意味し、高齢の個体を含む。
【0061】
[0063]本明細書で使用される場合、「有効量」とは、欠乏を予防する、個体の疾患若しくは医学的状態を治療する、又はより一般的には、症状を軽減させる、疾患の進行を管理する、又は個体に対して栄養学的、生理学的若しくは医学的利益をもたらす、量である。相対用語「改善された」、「増加した」、「強化された」などは、本明細書に開示される組成物、すなわち、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とを含む組成物を、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体、及び少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とを含んでいないこと以外は同一である組成物と比較した効果を指す。本明細書で使用される場合、「促進すること」とは、本明細書に開示される組成物の投与前のレベルと比較して増強又は誘導することを指す。
【0062】
[0064]サルコペニアは、年齢に伴う筋肉量及び筋機能(筋力及び歩行速度を含む)の低下として定義される。本明細書で使用するとき、「フレイル」は、老化に伴い複数の生理学的システムにわたって予備能及び機能が低下することに起因して、脆弱性が高まった結果、日常的又は急性のストレッサーに対処する能力が損なわれる、臨床的に認識可能な状態として定義される。確立された定量的標準がない場合、フレイルは、エネルギー特性が損なわれたことを示す以下の5つの表現型基準のうち3つを満たすと、Friedらにより機能的に定義されている:(1)筋力低下(ベースラインでの握力が母集団の下位20%以内、性別及び体格指数について補正)、(2)持久力不足及びエネルギー不足(最大VOに関連する自己申告による疲労)、(3)動作緩慢(15フィートの歩行時間に基づいてベースラインが母集団の下位20%、性別及び身長について補正)、(4)身体活動低下(ベースラインでの1週間当たりに消費されたキロカロリーの重み付けスコア、各性別について特定された身体活動の第1五分位(lowest quintile);例えば、男性については383kcal/週未満、女性については270kcal/週未満)、及び/又は意図しない体重減少(過去1年間で10ポンド)。Fried LP,Tangen CM,Walston J,et al.,「Frailty in older adults:evidence for a phenotype.」J.Gerontol.A.Biol.Sci.Med.Sci.56(3):M146-M156(2001)。これらの基準のうちの1つ又は2つが存在するプレフレイル段階は、フレイルに進行するリスクが高いものとして特定される。
【0063】
[0065]「悪液質」は、著しい体重減少、食欲不振、無力及び貧血を特徴とする重度の身体衰弱状態である。悪液質は、癌、敗血症、慢性心不全、関節リウマチ、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)などの多くの病気によく見られる特徴である。
【0064】
[0066]「過体重」は、ヒトに関して、体格指数(BMI)が25~30kg/mであるものと定義される。「肥満」は、ヒトに関して、BMIが少なくとも30kg/m、例えば30~39.9kg/mであるものと定義される。「減量/体重減少」は、総体重の減少である。減量は、例えば、健康、フィットネス、又は外観のうちの1つ以上を改善するための総体重の減少を指し得る。
【0065】
[0067]「糖尿病」は、この疾患のI型及びII型の両方を包含する。糖尿病の危険因子の非限定的な例としては、男性で40インチ超若しくは女性で35インチ超の胴回り、130/85mmHg以上の血圧、150mg/dL超のトリグリセリド、100mg/dL超の空腹時血糖、又は男性で40mg/dL未満若しくは女性で50mg/dL未満の高密度リポタンパク質が挙げられる。
【0066】
[0068]本明細書で使用される場合、「メタボリックシンドローム」という用語は、併せて発生する場合に心血管疾患及び糖尿病を発症するリスクを増加させる内科的異常の組み合わせを指す。メタボリックシンドロームは、米国において5人に1人が罹患しており、有病率は年齢とともに増加する。米国における有病率は人口の25%であるとする推定を示す研究もある。国際糖尿病連合(International Diabetes Foundation)の世界共通定義(consensus worldwide definition、2006)に従って、メタボリックシンドロームは、中心性肥満に、以下のうちのいずれか2つを併せ持っているものである:
[0069]トリグリセリドの上昇:150mg/dL(1.7mmol/L)超、又はこの脂質異常を対象とする治療;
[0070]HDLコレステロールの低下:男性で40mg/dL(1.03mmol/L)未満、女性で50mg/dL(1.29mmol/L)未満、又はこの脂質異常を対象とする治療;
[0071]血圧の上昇:収縮期BPが130超若しくは拡張期BPが85mmHg超、又は以前に診断された高血圧の治療;及び
[0072]空腹時血漿グルコースの上昇:(FPG)が100mg/dL(5.6mmol/L)超、又は以前に2型糖尿病であると診断されている。
【0067】
[0073]本明細書で使用される場合、「神経変性疾患」又は「神経変性障害」は、中枢神経系において機能性ニューロンが徐々に減少する任意の状態を指す。一実施形態では、神経変性疾患は、年齢性の細胞死に関連する。神経変性疾患の非限定的な例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS及びルーゲーリック病としても知られる)、AIDS認知症、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパース病、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、レヴィ小体型認知症、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ケネディー病、クラッベ病、ライム病、マシャド・ジョセフ病、多発性硬化症、多系統萎縮症、神経有棘赤血球症、ニーマン・ピック病、ピック病、原発性側索硬化症、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、びまん性髄鞘破壊性硬化症、脊髄小脳失調症、亜急性連合性脊髄変性症、脊髄癆(せきずいろう)、テイ・サックス病、中毒性脳症、伝染性海綿状脳症、及びハリネズミふらつき症候群が挙げられる。
【0068】
[0074]本明細書で使用するとき、「認知能力」は、対象が1つ以上の認知機能を良好に発揮する程度を指す。本明細書で使用するとき、「認知機能」は、人が、考えを認識するようになる、知覚する、又は理解する、任意の精神的プロセスを指す。この機能には、知覚、思考、推理、及び物覚えの全ての態様を包含し、例えば、知覚、記憶、注意、言語理解、言語表出、読解力、心象想起、学習、及び推理を含む。通常、認知機能は、少なくとも記憶を指す。
【0069】
[0075]認知機能を測定するための方法は周知であり、例えば、認知機能の任意の特徴に関する個別テスト又はバッテリーテストを含むことができる。そのような試験の1つには、Margallo-LanaらによるPrudhoe認知機能検査(Prudhoe Cognitive Function Test)がある(2003)J.Intellect.Disability Res.47:488-492。別のそのような試験には、ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Exam)(MMSE)があり、これは、時間及び場所に対する見当識、記銘、注意及び計算、再生、言語使用及び理解、復唱、並びに複雑な命令を評価するように設計されている。Folsteinら(1975)J.Psych.Res.12:189-198。認知機能を測定するのに有用な他の試験としては、アルツハイマー病評価スケール-認知(ADAS-Cog)(Rosen et al.(1984)AM.J.Psychinatry.141(11):1356-64)、及びCANTAB(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)(Robbins et al.(1994) Dementia.5(5):266-81)が挙げられる。このような試験を使用して、認知機能を客観的に評価することができ、その結果、例えば、本明細書に開示されている方法による処置に応じた、認知機能の変化を測定及び比較することができる。
【0070】
[0076]本明細書で使用される場合、「認知障害」は、認知機能を低下させる任意の状態を指す。認知障害の非限定的な例としては、せん妄、認知症、学習障害、注意欠陥障害(ADD)、及び注意欠陥多動障害(ADHD)が挙げられる。
【0071】
[0077]実施形態
[0078]本開示は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「ニコチンアミドリボシド」は、ニコチンアミドリボシドのL-バリン及びL-フェニルアラニンエステルを含む。好適なNAD前駆体の非限定的な例としては、トリプトファン、ニコチン酸、ニコチンアミド、還元型ニコチンアミドリボシド(NRH)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、トリゴネリン、ニコチン酸モノヌクレオチド、ニコチン酸リボシド、及びこれらの混合物が挙げられる。本開示は、NAD前駆体の特定の実施形態に限定されず、NAD前駆体は、NADを刺激する任意の化合物であってもよい。
【0072】
[0079]それぞれの化合物を、他の化合物と同時に投与することができ(すなわち、単一の単位とする)、又は間隔をおいて別個に投与することもできる(すなわち、別個の単位とする)。本開示は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とを、例えば別個の収容器に2つ以上の溶液又は乾燥粉末として含む、混合して本明細書に開示される組成物のうちの1つ以上を形成するための、及び/又は本明細書に開示される方法のうちの1つ以上に使用するための、キットを更に提供する。いくつかの実施形態では、これらの化合物のうちの1つ以上は、単離された化合物であり得る。
【0073】
[0080]少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との組み合わせは、米国特許第8,362,080号、同第8,802,730号、及び同第9,084,760号、それぞれ発明の名称「療法のためのグルタチオンレベルの増加」、並びに国際公開第2016/191468号、発明の名称「グルタチオン濃度を改善するためのN-アセチルシステインとグリシンとによる栄養補助の効果」で開示されている組成物のいずれかによって提供することができ、それぞれの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
[0081]ニコチンアミドリボシドは、米国特許第8,383,086号及び同第8,197,807号、それぞれの発明の名称「ニコチンアミドリボシドキナーゼ組成物及びその使用方法」、並びに米国特許第8,106,184号、発明の名称「ニコチノイルリボシド組成物及び使用方法」に開示されている組成物のいずれかによって提供することができ、それぞれの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
[0082]したがって、本開示の一態様は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とを含む、組成物であって、老化の悪影響、筋肉量減少(例えば、少なくともサルコペニア、HIV感染、老化、悪液質、無重力の有害な影響を含む、任意の理由の場合)、前糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病(I型又はII型)、糖尿病からの合併症(例えば、糖尿病性脂質異常症及び/又は糖尿病性微小血管合併症、例えば、腎障害、網膜症、及び/又は神経障害)、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロール濃度の上昇、トリグリセリド濃度の上昇、脂肪酸濃度の上昇、脂肪肝疾患(例えば、炎症を伴う又は伴わない非アルコール性脂肪肝疾患)、腎疾患、心血管疾患(例えば、心不全及び/又は心血管機能の障害、例えば心不全の治療及び/又は心不全の重症度若しくは発生率の低減によるもの)、神経変性疾患(例えば、老化からのもの)、認知機能障害、ミオパチー例えばスタチン誘発性ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧症、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷(例えば、火傷又は外傷からのもの)、外傷性脳損傷(脳震盪を含む)、嚢胞性線維症、炎症、癌、及びHIV感染からなる群から選択される少なくとも状態の治療又は予防に有効な量の、組成物である。更に老化に関して、NAD及びグルタチオンの低減は、老化に付随することがあることが注目される。更に心血管疾患(CVD)に関して、ホモシステインの増加は、CVDについて検証されたリスク因子であることが注目される。
【0076】
[0083]本開示の別の態様は、これらの状態のうちの少なくとも1つを治療する方法であって、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との治療有効量の組み合わせを含む組成物を個体に投与すること、を含む、方法である。本開示の別の態様は、これらの状態のうちの少なくとも1つを予防する方法であって、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との予防有効量の組み合わせを含む、組成物を、少なくとも1つの状態についてリスクがある個体に投与すること、を含む、方法である。
【0077】
[0084]組成物は、サルコペニア、サルコペニア肥満、又は悪液質、例えば、慢性疾患、HIV、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び/又は老化などの基礎的な医学的状態による悪液質などを、これらの疾患以外の点では健康な個体において、処置又は予防することができる。この点に関して、老化は、NADとグルタチオン(GSH)との低減を伴うことがある。
【0078】
[0085]組成物は、グルタチオンが高濃度で存在することが知られている水晶体内で低濃度であることなどといった、低GSH濃度により直接的又は間接的に生じる目の状態を、処置又は予防することができる。このような状態の非限定的な例としては、白内障及び/又は緑内障、老視(拡大鏡を必要とする、老化に伴う近見視力の低下)、及び老人性難聴(補聴器を必要とする、老化に伴う聴力低下)が挙げられる。
【0079】
[0086]一実施形態では、組成物は、筋パフォーマンス、又は運動に関連する筋緊張を含む筋緊張などからの筋回復のうちの少なくとも1つを改善する。運動は、例えば、有酸素(「有酸素性(cardio)」)運動及び/又はウェイトトレーニングを含む任意の種類のものであってよい。組成物は、運動前(例えば、運動前1時間未満内)、運動中、及び運動後(例えば、運動後1時間未満内)からなる群から選択される少なくとも1つの期間中に投与することができる。
【0080】
[0087]本開示の更に別の態様は、健康な中高年者において、代謝低下の最初を遅らせる、筋肉量を維持する、酸化ストレスを減少させる、免疫機能を維持する、及び/又は認知機能を維持する方法である。方法は、健康な中高年者に、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを投与すること、を含む。
【0081】
[0088]本開示の別の態様は、サルコペニアを有する個体においてミトコンドリア機能を改善する方法である。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む。
【0082】
[0089]本開示の更に別の態様は、肥満、前糖尿病、又は糖尿病のうちの少なくとも1つを有する個体において、活性酸素種の代謝を強化する、グルコースの調節を改善する、及び/又は筋機能を改善する方法である。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む。
【0083】
[0090]本開示の別の態様は、サルコペニアを有する個体においてミトコンドリア機能を改善する(好ましくは代謝又は筋力のうちの少なくとも1つに有益なものとする)方法である。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む。
【0084】
[0091]別の態様では、本開示は、認知機能を改善する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む。認知機能は、知覚、記憶、注意、言語理解、言語表出、読解力、イメージ想起、学習、推理、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一実施形態では、個体は認知障害を有さず、あるいは、個体は認知障害を有する。個体は高齢者であってもよく、及び/又は老化に関連する認知機能の低下を有していてもよい。
【0085】
[0092]本開示の更に別の態様は、肥満、前糖尿病、及び/又は糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存(例えば手術後、敗血症後、又は事故若しくは身体的暴力による穿通性損傷後)、又は外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上を改善する方法を提供する。方法は、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む。
【0086】
[0093]別の態様では、本開示は、(i)老化の影響の重症度及び/又は発生率の低減、(ii)細胞機能及び/又は総合的な健康の維持又は改善、(iii)正常なミトコンドリア機能、細胞保護、又はエネルギー代謝のうちの少なくとも1つの支援、(iv)1日のエネルギーレベルの増加、(v)疲労の低減、(vi)身体エネルギー及び/又は認知能力の維持又は改善、(vii)健康又は正常な細胞機能を促進することによる健康な老化の促進、(viii)健康な皮膚の支援、(ix)心不全の治療、及び/又は心不全の重症度若しくは発生率の低減、(x)集中治療室(ICU)入室を含む期間中に生じる、酸化ストレス及び/又はグルタチオン(GSH)の低下の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xi)酸化ストレス及び/又はGSHの低下に関連する別の状態の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xii)損傷、病気、又は手術からのリハビリテーション、例えば外傷性脳損傷又は脳卒中などの神経学的状態に特化したリハビリテーションの促進、(xiii)癌を有する、又は癌が寛解した患者におけるNAD濃度の調節、(xiv)肥満手術に由来する症状の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xv)非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、(xvi)ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)の治療、発生率の低減、又は重症度の低減、及び(xvii)これらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの結果を得る方法であって、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを個体に投与すること、を含む、方法を提供する。
【0087】
[0094]特に好ましい実施形態は、メタボリックシンドローム、代謝調節の年齢に関連する低下、及び筋の症状からなる群から選択される少なくとも1つの状態の、治療、発生率の低減、又は重症度の低減の方法であって、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との有効量の組み合わせを、投与を必要とする又はそのリスクがある個体に投与すること、を含む、方法である。
【0088】
[0095]本明細書に開示される組成物及び方法それぞれにおいて、組成物は、好ましくは、食品添加物、食品成分、機能性食品、栄養補給剤、医療用食品、栄養補助食品、又はサプリメントを含む、食品製品である。例えば、組成物は、食品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤(すなわち、約50mL以下、例えば約30mL以下)、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0089】
[0096]本明細書で使用するとき、グリシンの「機能性誘導体」は、N-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との併用により個体において細胞内GSH濃度を増加させるのに有効である、グリシンの機能性誘導体である。N-アセチルシステインの「機能性誘導体」は、そのものが、又はグリシン(又はその機能性誘導体)との併用により個体において細胞内GSH濃度を増加させるのに有効である、N-アセチルシステインの機能性誘導体である。
【0090】
[0097]グリシンは、好ましくは、L-グリシン及び/又はL-グリシンエチルエステルである。好適なグリシン機能性誘導体の非限定的な例としては、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、グリシンとN-アセチルシステインとのいずれをも、ジペプチド、例えばN-アセチルシステイニルグリシン又はシステイニルグリシンとして提供することができる。
【0091】
[0098]組成物は、1週間に少なくとも1日、好ましくは1週間に少なくとも2日、より好ましくは1週間に少なくとも3日若しくは4日(例えば、1日おき)、最も好ましくは1週間に少なくとも5日、1週間に6日、又は1週間に7日、投与してよい。投与期間は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1カ月、より好ましくは少なくとも2カ月、最も好ましくは少なくとも3カ月、例えば、少なくとも4カ月であり得る。一実施形態では、投与は少なくとも毎日であり、例えば、対象は1日に1回以上投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は、個体の残りの寿命にわたって継続する。別の実施形態では、投与は、医学的状態について検出可能な症状がなくなるまで行われる。特定の実施形態において、投与は、少なくとも1つの症状の検出可能な改善が見られるまで行われ、更なる場合においては、寛解を維持するために継続される。
【0092】
[0099]グリシンとN-アセチルシステインとは、特定の比で配合することができる。いくつかの実施形態では、配合物は、これらの成分を、以下の例示的な比、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、1:150、1:200、1:300、1:400、1:500、1:600、1:750、1:1000、及び1:10,000で含んでもよい。特定の実施形態では、配合物は、これらの成分を、以下の重量百分率(グリシンとN-アセチルシステインとのいずれもについて量百分率は同じである、又はそれぞれについて重量百分率は異なる)、例えば、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、12重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97重量%、又は99重量%で含んでもよい。
【0093】
[0100]N-アセチルシステイン又はその機能性誘導体は、対象の体重1キログラム(kg)当たり約0.1~100ミリグラム(mg)のN-アセチルシステイン(NAC)又はその機能性誘導体の量で投与することができる。グリシン(GLY)又はその機能性誘導体は、対象の体重1キログラム(kg)当たり約0.1~100ミリグラム(mg)のグリシン又はその機能性誘導体の量で投与することができる。いくつかの実施形態では、これらの量は、N-アセチルシステイン又はその機能性誘導体とグリシン又はその機能性誘導体との両方を含むジペプチドによって少なくとも部分的に提供される。
【0094】
[0101]特定の非限定的な例では、60kgの対象の1日用量は、以下のとおりであってもよい。
NAC又はその誘導体:6~6,000mg/日
GLY又はその誘導体:6~6,000mg/日
ニコチンアミドリボシド:0.001~1,000mg/日
【0095】
[0102]ニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体は、約0.001mg/日~約2000mg/日、好ましくは約0.001mg/日~約1000mg/日、より好ましくは約0.001mg/日~約750mg/日、更により好ましくは約0.001mg/日~約500mg/日、最も好ましくは約0.001mg/日~約250mg/日、例えば、約0.001mg/日~約100mg/日、約0.001mg/日~約75mg/日、約0.001mg/日~約50mg/日、約0.001mg/日~約25mg/日、約0.001mg/日~約10mg/日、又は約0.001mg/日~約1mg/日の量で投与することができる。当然のことながら、1日用量は、1日の様々な時間で小分けして投与することができる。しかし、いずれの場合であっても、投与される化合物の量は、活性成分の溶解度、使用される配合物、対象の状態(例えば体重)、及び/又は投与経路のような因子に応じて変わる。例えば、上記開示のニコチンアミドリボシドの1日用量は非限定的なものであり、いくつかの実施形態では、異なっていてもよく、特に、本明細書に開示される組成物は、救急処置の特別な医療目的のための食品(FSMP)として利用することができ、最大約2.0mg/日のニコチンアミドリボシドを含有する。
【0096】
[0103]本明細書に開示される組成物は、経口又は非経口的に対象に投与することができる。非経口投与の非限定的な例としては、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、関節内、滑液嚢内、眼内、髄腔内、局所、及び吸入によるものが挙げられる。したがって、組成物の形態の非限定的な例としては、自然食品、加工食品、天然果汁、濃縮物及び抽出物、注射液、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、硬膏、吸入形態、点鼻スプレー、点鼻液、点眼液、舌下錠、及び持続放出性製剤が挙げられる。
【0097】
[0104]本明細書に開示される組成物は、治療的投与のための様々な製剤のいずれかを使用することができる。より詳細には、医薬組成物は、適切な薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むことができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアゾール剤などの固体、半固体、液体又は気体形態の製剤として処方され得る。したがって、組成物の投与は、経口、頬側、直腸内、非経口、腹腔内、皮内、経皮、及び気管内投与を含む様々な方法で達成することができる。活性薬剤は、投与後に全身性のものであってもよく、又は局所投与の使用、壁内投与の使用、若しくは埋め込み部位において有効用量を保持するように作用する埋入物の使用によって局在化させてもよい。
【0098】
[0105]医薬剤形では、化合物は、薬学的に許容可能な塩として投与されてもよい。これらはまた、別の薬学的に活性な化合物と適切に関連させて使用してもよい。以下の方法及び賦形剤は、単なる例示であり、決して限定ではない。
【0099】
[0106]経口製剤では、化合物は、単独で使用することができ、又は、錠剤、散剤、顆粒剤若しくはカプセル剤を製造するための適切な添加剤と組み合わせて、例えば、乳糖、マンニトール、トウモロコシデンプン、若しくはバレイショデンプンなどの従来の添加剤と;結晶セルロース、セルロース機能性誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン又はゼラチンなどの結合剤と;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤と;タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と;及び所望であれば、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤及び香味物質と組み合わせて、使用することができる。
【0100】
[0107]化合物は、水性又は非水性溶剤中に、例えば、植物油若しくは他の類似の油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪族酸のエステル又はプロピレングリコールなどに、また所望であれば、可溶化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、及び保存剤などの従来の添加剤と一緒に、溶解、懸濁又は乳化することによって、注射用の製剤として処方することができる。
【0101】
[0108]化合物は、吸入により投与されるエアゾール製剤において利用することができる。例えば、化合物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、及び窒素などの加圧された許容可能な噴射剤中に配合することができる。
【0102】
[0109]更に、化合物は、乳化基剤又は水溶性基剤などの様々な基剤と混合することによって坐剤として製造することができる。化合物は、坐剤によって直腸内に投与することができる。坐剤は、ココアバター、カーボワックス、及びポリエチレングリコールなどの、体温では融解するが室温では凝固するビヒクルを含むことができる。
【0103】
[0110]シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁剤などの経口又は直腸内投与用の単位剤形が提供されてもよく、各投与量単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤又は坐剤は、規定量の組成物を含有する。同様に、注射又は静脈内投与用の単位剤形は、滅菌水、生理食塩水又は別の薬学的に許容可能な担体による溶液としての組成物中に化合物を含んでもよく、各投与量単位、例えばmL又はLは、化合物のうちの1つ以上を含有する組成物を規定量含有する。
【実施例0104】
[0112]以下の非限定的な仮想例では、本明細書に開示される化合物、組成物、及び方法を更にサポートするために調査している実験データについて、並びに/又は調査する実験データについて論じている。
[0113]慢性酸化ストレスは、細胞の呼吸速度の変化を誘発する。
[0114]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したHepG2細胞における、メナジオン誘発性酸化ストレス、Seahorse測定(呼吸速度)
[0115]酸化ストレス及び酸化ストレス由来の影響の相乗的低減、グリシンとNACとNRと
[0116]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したHepG2細胞におけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、細胞増殖(タンパク質濃度)
[0117]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したHepG2細胞におけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、GSH産生
[0118]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したHepG2細胞におけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、代謝プロファイリング
[0119]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したHepG2細胞におけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、Seahorse測定(呼吸速度)
[0120]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したHepG2細胞におけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、NAPD-NADレドックス状態
[0121]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したゼブラフィッシュにおけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、酸化ストレス測定
[0122]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したゼブラフィッシュにおけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、GSH産生
[0123]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したゼブラフィッシュにおけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、代謝プロファイリング
[0124]BSO(GSH合成阻害剤)により処理したゼブラフィッシュにおけるメナジオン誘発性酸化ストレス、NAC+/-グリシン+/-NR、ミトコンドリア機能(Oroborosによる呼吸速度、複合体活性など)
【0105】
実施例:低用量のGly/NAC-NRの組み合わせは、急性酸化ストレス後のミトコンドリア呼吸の回復を誘導する。
【0106】
[0125]材料及び方法
[0126]ゼブラフィッシュ
[0127]成体のABゼブラフィッシュを、標準的飼育条件下、28℃で飼育した。4ヶ月齢の魚を、3μMのメナンジオン(Sigma-Aldrich)を添加した水に28℃で2時間曝露し、急性の酸化ストレス状態にした。次いでこの酸化ストレス対照を、きれいな水の中で、28℃で2時間インキュベートした。この処理に曝露した魚を、目的の化合物を含有させた水の中で、28℃で2時間インキュベートした。化合物には、N-アセチルシステイン(NAC)(Sigma-Aldrich)、グリシン(Sigma-Aldrich)、及びニコチンアミドリボシド(NR)(Chromadex)を使用した。
【0107】
[0128]ミトコンドリアの単離及び高分解能呼吸測定
[0129]既報の手法をわずかに変更し(Frezza et al.2007)、魚の体幹筋からミトコンドリアの粗抽出物を調製した。BCAによるタンパク質濃度の定量後、150μgの粗抽出物を高分解能呼吸測定による定量に使用した。呼吸の測定にはOxygraph-2k(O2k、OROBOROS Instruments))を使用した。最大2つのO2k装置(4つのチャンバ)を同時に使用した。実験は、改変MiR05(110mMのスクロース、0.5mMのEGTA、3mMのMgCl、20mMのタウリン、10mMのKHPO、20mMのHEPES、及び0.1%のBSA、本質的に脂肪酸不含)で28℃で行った。基質-脱共役剤-阻害剤滴定(SUIT)プロトコル(Pesta and Gnaiger、2012)を改変して使用して、単離したミトコンドリアの呼吸を測定した。ピルビン酸、グルタミン酸、及びマレイン酸(それぞれ5mM、10mM、2mM)を基質として使用して、ADP(1mM)の存在下で複合体I(CI)での呼吸を誘発した。ADPの存在下でスクシネート(10mM)を添加して、複合体II(CII)での呼吸を誘発した。CIの呼吸は、総呼吸(CI+CII)とCI阻害剤ロテノン(0.5μM)の添加時との差として計算した。CIIの呼吸は、阻害されたCI呼吸とCII阻害剤マロン酸(5mM)の添加時との差として計算した。総呼吸(CI+CII、Tot呼吸)を、全ての基質の存在下での呼吸とCI及びCIIの阻害時の合計との差として評価した。
【0108】
[0130]統計:
[0131]全ての数値データを中間値±SEMとして表し、ヒストグラムとして報告する。統計解析には、テューキーの事後検定と併せて二元配置分散分析を使用し、p<0.05の場合、差を統計的に有意なものとみなした。
【0109】
[0132]結果
[0133]図1は、高分解能呼吸測定に対するGlyNACとNRとの組み合わせの効果を示している。魚(N=5~6/条件)を、低用量のNAC(100μM)とグリシン(100μM)とNR(50μM)とで2時間処理し、GlyNAC及びNRの単剤処理を3つの化合物を組み合わせた処理と比較した。単独で使用した場合、選択した濃度ではいかなる有意な効果も示していない。したがって、図1Aでは、低用量での組み合わせにより、メナジオン対照及び単一化合物と比較してCI呼吸及び総呼吸が有意に改善することが示されている。図1Bでは、相乗効果を、各条件とメナジオン対照の平均値との間の差として計算した。理論的な相加効果(ΔGlyNAC+ΔNR)を、ΔGlyNAC条件及びΔNR条件の平均値の合計として計算した。併用処理(ΔGlyNAC+NR)の効果は、単一化合物(ΔGlyNAC及びΔNR)と比較したときに有意に高く、一方で相加効果(ΔGlyNAC+ΔNR)と比較したときにはある程度の傾向が存在するが有意なものではない。
【0110】
[0134]本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び改変が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。かかる変更及び改変は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオン濃度の低下、及びグルタチオン濃度の低下に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体的状態を治療又は予防する方法に使用するための組成物であって
前記方法が、前記組成物を、投与を必要とする個体に投与することを含み、
前記組成物が、少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体との組み合わせを含む、組成物
【請求項2】
前記少なくとも1つの身体的状態が、老化の悪影響、筋肉量減少、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病からの合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロール濃度の上昇、トリグリセリド濃度の上昇、脂肪酸濃度の上昇、脂肪肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能障害、ミオパチー例えばスタチン誘発性ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、癌、及びHIV感染からなる群から選択される、請求項に記載の組成物
【請求項3】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体が、L-グリシン、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載の組成物
【請求項4】
口投与される、請求項に記載の組成物
【請求項5】
品製品、特別な医療目的のための食品(FSMP)、栄養補助食品、レディートゥドリンク調乳、乳系飲料、低容量液体栄養補給剤、液体で再構成する粉末剤、食事代替飲料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載の組成物
【請求項6】
前記組み合わせが、前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との少なくとも一部分を提供するジペプチドを含む、組成物として投与される、請求項に記載の組成物
【請求項7】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とが、同じ組成物として投与される、請求項に記載の組成物
【請求項8】
前記少なくとも1つのグリシン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、前記少なくとも1つのニコチンアミドリボシド又はNAD前駆体とのうちの1つ以上が、前記組み合わせの残部とは異なる組成物として投与される、請求項に記載の組成物
【外国語明細書】