(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170573
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】印刷ロボットのためのインクジェット印刷モジュール、これらのモジュールのためのマガジン、およびこのロボットを使用するインクジェット印刷方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20241203BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241203BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20241203BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B12/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154179
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2021516475の分割
【原出願日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】1801014
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】521112866
【氏名又は名称】ウェストレイク コンパウンズ ホールディング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】エララグ,ホッサム
(72)【発明者】
【氏名】アリアガ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】エル フザリ,ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】アムルー,ニコラス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の軸を有するロボットアームによって容易に操作できるインクジェット印刷システムを提供する。
【解決手段】ロボットのアーム111によって取り上げられ得るインクジェット印刷モジュール1であって、印刷ヘッド2と、印刷ヘッドにインクを供給することができるインク溜め部3と、印刷ヘッドに圧縮ガスを供給することができる圧縮ガス供給手段4と、ロボットアームの相補的機械的インターフェース107と取り外し可能に係合することができる機械的インターフェース7と、モジュールとロボットとの間でデータを転送するために、ロボットアームの電子インターフェース106と取り外し可能に係合することができる電子インターフェース6と、圧縮ガス供給手段またはインク溜め部と流体連通するように配置された少なくとも1つの流体インターフェース5と、を含むことを特徴とする、インクジェット印刷モジュール。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックカップリング機械的インターフェースを介してロボット(101)のアーム(111)によって取り上げられ得るインクジェット印刷モジュール(1)であって、前記モジュールが、
- 印刷ヘッド(2)と、
- 前記印刷ヘッド(2)にインクを供給可能なインク溜め部(3)と、
- 前記印刷ヘッド(2)に圧縮ガスを供給可能な圧縮ガス供給手段(4)と、
- ロボットアームのクイックカップリング相補的機械的インターフェース(107)と取り外し可能に係合可能なクイックカップリング機械的インターフェース(7)と、
- 前記モジュールと前記ロボットとの間でデータを転送するために、前記ロボットアームの電子インターフェース(106)と取り外し可能に係合可能な電子インターフェース(6)と、
- 前記圧縮ガス供給手段および/または前記インク溜め部と流体連通するように配置された少なくとも1つの流体インターフェース(5)と、
を含むことを特徴とする、モジュール。
【請求項2】
前記圧縮ガス供給手段が、前記モジュール(1)に統合された圧縮ガス溜め部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記インク溜め部(3)が、前記圧縮ガス溜め部を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2のどちらかに記載のモジュール。
【請求項4】
前記流体インターフェース(5)および/または前記インク溜め部(3)および前記圧縮ガス供給手段それぞれの間に延在する1つまたは2つの接続パイプを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項5】
ロボットアーム(111)を含むインクジェット印刷用ロボット(100)であって、前記ロボットアームが、
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュールのクイックカップリング機械的インターフェース(7)と係合可能なクイックカップリング相補的機械的インターフェース(107)と、
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュールの電子インターフェース(6)と係合可能な相補的電子インターフェース(106)と、
を含むことを特徴とする、ロボット。
【請求項6】
中央処理ユニット(161)と、前記中央処理ユニットと前記相補的電子インターフェースとを接続する少なくとも1つの制御ライン(161)とを含むことを特徴とする、請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
5軸ロボットまたは6軸ロボットであることを特徴とする、請求項5または請求項6のどちらかに記載のロボット。
【請求項8】
インクジェット印刷方法であって、
(i) 複数の前記モジュールを収容することができるマガジンのドッキングステーションに位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュールを取り上げる工程であって、前記取り上げる工程が、前記ロボットのクイックカップリング相補的機械的インターフェースと前記モジュールのクイックカップリング機械的インターフェースとの間の係合手段によって行われる工程と、
(ii) 前記ロボットの相補的電子インターフェースを前記モジュールの電子インターフェースに接続する工程と、
(iii) 前記ロボットアームを印刷面に移動させる工程と、
(iv) 1つ以上のパスで前記ロボットアームを移動させることによって前記表面上にインクを印刷する工程であって、前記モジュールが、前記電子インターフェースおよび前記相補的電子インターフェースを介して前記モジュールに送信されるデータによって制御される工程と、
(v) この印刷シーケンスの最後に、前記ロボットアームをドッキングステーションに移動させる工程と、
(vi) 前記印刷ヘッドを前記ドッキングステーションに置いて、前記電子インターフェースおよび前記クイックカップリング機械的インターフェースを分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
(vii) 前記ロボットアームを別のドッキングステーションに移動させる工程と、
(viii) このドッキングステーションに位置する別のインクジェット印刷ヘッドを使用して、(i)~(vi)の工程を実行する工程と、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ロボットが、請求項5~7のいずれか一項に記載のロボットであることを特徴とする、請求項8または請求項9のどちらかに記載の方法。
【請求項11】
前記モジュールの流体インターフェースと前記ステーションの相補的流体インターフェースとを接続することによって、前記モジュールのインク溜め部にインクを補充することをさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記インクを印刷する工程が、少なくとも1つの他のモジュールが補充されている間に、第1のモジュールを使用して行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
異なるタイプのインクを使用して、異なるモジュールが補充される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、少なくとも1つの主方向に湾曲した表面上に印刷するために使用される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記湾曲した表面が、自動車の車室の被覆部の可視表面であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業部品の表面、特に平坦でない表面上にインクまたはニスを堆積させるためのインクジェット印刷技術の分野に関する。一般的に、この印刷の目的は、工業部品の装飾、保護または機能化のためである。より具体的には、本発明は、多軸ロボットを使用して、デシメートルサイズまたはメートルサイズの工業部品の表面上にインクジェット印刷をするためのデバイスおよび方法に関する。
【0002】
従来技術
可視表面をスタイリッシュに装飾することは、多くの分野でその重要性が増している。特に自動車分野ではその傾向が強い。今日において、消費者は、技術的にも美的にも幅広い選択肢の中から選択して、自分の車をより個性的にデザインすることができる。これは、特に、車室内部の可視表面の装飾に関係する。
【0003】
このようなカスタマイズの流行に対応するため、特に自動車の車室向けの成形PVCで作製されたダッシュボード、ドアパネル、および他の部品の特に装飾に、湾曲した表面、成形品、または部品に印刷できる特殊なビニールインクやロボット型デジタルプリンターが開発されてきた。この位置決め印刷技術により、そのカスタマイズのためにあらゆるタイプの基板に正確にかつカラーで印刷することが可能になった。
【0004】
インクジェット印刷ヘッドが設けられた可動機能ブロックは既に公知である。これらのブロックは、特にDE10/2017/202195(Heidelberger Druck-maschinen)、EP3290166(Boeing)、およびEP2887011(Hexagon Technology Center)の教示に従って、ロボットアームに取り付けられ得る。これらの構成では、インクジェット印刷ヘッドは、可撓性ホースによって直接送給される。同様に、EP2644392(Heidelberger Druckmaschinen)は、湾曲した表面上に印刷することができ、データ接続およびインク供給ホースによって送給されるインクジェット印刷ヘッドブロックについて記載している。
【0005】
しかしながら、これらの公知の解決策には疑う余地のない欠点がある。
【0006】
ロボットと印刷ヘッドを接続するために、多くの供給手段を使用する必要がある。これらの供給手段、特に流体供給ホースおよび電源ケーブルは、ロボットの動きを妨げる可能性がある。加えて、印刷ヘッドへのデータ送信は、データラインを必要とし得る。いずれにしても、これらの供給手段および電子的接続手段の存在は、印刷ヘッドを交換する際の追加の組み立ておよびメンテナンス時間を伴う。WO2013/158310(Kateeva Inc.)は、平面テーブル上で2つの主な直交方向にヘッドを移動させるガントリー上に搭載された複数のインクジェット印刷ヘッドを含むユニットについて記載している。このシステムは、平面上での印刷に適し得るが、非常に複雑である。
【0007】
上記を鑑み、本発明は、上述した従来技術の欠点の少なくとも一部を是正することを目的とする。特に、複数の軸を有するロボットアームによって容易に操作できるインクジェット印刷システムを提供し、1メートルを超え得る寸法を有する工業部品の湾曲した表面上での正確な印刷を可能にし、複数のインクを使用した装飾を可能にすることを目的とする。
【0008】
本発明の対象
本発明によれば、上記の目的のうちの少なくとも1つは、クイックカップリング機械的インターフェースを介してロボットのアームによって取り上げられ得るインクジェット印刷モジュールによって達成され、前述のモジュールが、
- 印刷ヘッドと、
- 前述の印刷ヘッドにインクを供給することができるインク溜め部と、
- 前述の印刷ヘッドに圧縮ガスを供給することができる圧縮ガス供給手段と、
- ロボットアームの相補的機械的インターフェースと取り外し可能に係合可能な機械的インターフェースと、
- 前述のモジュールとロボットとの間でデータを転送するために、前述のロボットアームの電子インターフェースと取り外し可能に係合可能な電子インターフェースと、
- インク溜め部および/または圧縮ガス供給手段と流体連通するように配置された少なくとも1つの流体インターフェースと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明は、まず、このモジュールに関する。
【0010】
前述の圧縮ガス供給手段は、前述の印刷モジュールに統合された内部圧縮ガス溜め部を含んでもよく、または内部圧縮ガス溜め部であってもよく、または印刷ヘッドと流体インターフェースとの間の接続パイプによって表されてもよく、前述の流体インターフェースは、印刷モジュールが印刷構成にあるときに、外部圧縮ガス供給源に接続される。
【0011】
本発明による印刷モジュールは、電子インターフェースと、印刷ヘッドとインク溜め部それぞれの間に延在する制御ラインを含み得る。別の任意選択的な制御ラインは、流体インターフェースと圧縮ガス供給手段との間に延在し得る。
【0012】
本発明による印刷モジュールは、流体インターフェースおよび/またはインク溜め部および圧縮ガス供給手段それぞれの間に延在する1つまたは2つの接続パイプを含み得る。
【0013】
前述のモジュール上に機械的インターフェースが存在することは、モジュールの機械的インターフェースと係合することができるロボットの相補的機械的インターフェースとのその迅速な接続を容易にする。インク溜め部の存在は、特定の期間においてインクジェット印刷モジュールを自己完結型にする。
【0014】
本発明はまた、ロボットアームを含むインクジェット印刷用ロボットに関するものであり、前述のロボットアームは、
- 本発明によるインクジェット印刷モジュールのクイックカップリング機械的インターフェースと係合可能な相補的クイックカップリング機械的インターフェースと、
- 本発明によるインクジェット印刷モジュールの電子インターフェースと係合可能な相補的電子インターフェースと、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明によるロボットは、特に、5軸または6軸ロボットであり得る。それは、中央処理ユニットと、この中央処理ユニットと相補的電子インターフェースとを接続する少なくとも1つの制御ラインとを含み得る。
【0016】
本発明はまた、上にドッキングされた本発明による複数のインクジェット印刷モジュールを収容可能であるインクジェット印刷モジュールのためのマガジンに関するものであり、前述のマガジンが、
- インクジェット印刷モジュールのための複数のドッキングステーションであって、各ドッキングステーションが、ヘッドとドッキングステーションとの間でインクを転送し、および/またはヘッドに圧縮ガスを供給するために、本発明によるインクジェット印刷モジュールの流体インターフェースと係合可能な少なくとも1つの相補的流体インターフェースを含む、複数のドッキングステーションと、
- 本発明によるインクジェット印刷モジュールの機械的インターフェースと係合可能な少なくとも1つの相補的機械的インターフェースと、を含む。
【0017】
このマガジンは、圧縮ガスタンクであり得る、少なくとも1つの圧縮ガス供給源を含み得る。
【0018】
それは、少なくとも1つのインクタンクを含み得る。
【0019】
このマガジンは、インクジェット印刷モジュールにインクと圧縮空気を補充することができる。それにより、同じ部品や同じ部品のセットを装飾するために、性質やインクの色が異なる複数のモジュールの使用が容易となる。
【0020】
本発明によるマガジンは、
- 各ドッキングステーションには、特定のインクタンクが設けられている、
- 前述のインクタンクには、様々なタイプのインクまたはニスが充填されている、
- 各ステーションが、本発明によるインクジェット印刷モジュールの電子インターフェースと係合可能な少なくとも1つの相補的電子インターフェースと、をさらに含む、
- 各ステーションが、特に、圧縮ガス溜め部または外部圧縮ガス供給源に接続されたホースであり得る圧縮ガス供給源を含む、
- 各ステーションが、前述の少なくとも1つのインクタンクおよび/または前述の少なくとも1つの圧縮ガスタンクを収容するフレームを含む、
- マガジンが前述の相補的機械的インターフェース、必要に応じて、前述の相補的流体インターフェース、および/または前述の相補的電子インターフェースが設けられた、可動アセンブリを含む、
- 前述の可動アセンブリが、フレームに対して、第1の方向、特に水平方向に移動可能なキャリッジと、キャリッジに対して、第2の方向、特に垂直方向に移動可能な接続ブロックとを含み、前述の接続ブロックに、前述の相補的機械的インターフェースが設けられ、必要に応じて、前述の相補的流体インターフェースおよび/または前述の相補的電子インターフェースが設けられている、ならびに
- 各ステーションがフレーム(310)から延在する固定化フランジをさらに含み、前述のフランジおよびフレームがモジュールを受容するための容積を画定し、前述のフランジおよび/またはフレームに前述のモジュールを固定化するための手段が設けられている、という特徴が技術的に適合する限り、これらの特徴の全部または一部を含み得る。
【0021】
本発明はまた、本発明の実施形態のいずれかによるロボット、本発明の実施形態のいずれかによるマガジン、および本発明の実施形態のいずれかによる少なくとも1つのモジュールを含む、インクジェット印刷アセンブリに関する。有利には、機械的インターフェースおよび相補的機械的インターフェースが、特に直角掛け型の、取り外し可能なクイックカップリングを画定する。
【0022】
最後に、本発明はインクジェット印刷方法であって、以下の工程、
(i) 複数のモジュールを収容することができるマガジンのドッキングステーションに位置する、前述のインクジェット印刷モジュールを取り上げることであって、前述の取り上げることが、ロボットの前述の相補的機械的インターフェースと前述のモジュールの前述の機械的インターフェースとの間の係合手段によって行われる、取り上げることと、
(ii) 前述のロボットの相補的電子インターフェースを前述のモジュールの電子インターフェースに接続することと、
(iii) ロボットアームを印刷面に移動させることと、
(iv) 1つ以上のパスでロボットアームを移動させることによって前述の表面上にインクを印刷することであって、前述のモジュールは、前述の電子インターフェースおよび前述の相補的電子インターフェースを介して前述のモジュールに送信されるデータによって制御される、印刷することと、
(v) この印刷シーケンスの最後に、ロボットアームをドッキングステーションに移動させることと、
(vi) 印刷ヘッドを前述のドッキングステーションに置いて、前述の電子インターフェースおよび機械的インターフェースを分離することと、を含む。
【0023】
前述の方法は、
(vii) ロボットアームを別のドッキングステーションに移動させる工程と、
(viii) このドッキングステーションに位置する別のインクジェット印刷ヘッドを使用して、(i)~(vi)の工程を実行する工程と、を含み得る。
【0024】
前述のマガジンは、本発明によるマガジンであり得る。前述のロボットは、本発明によるロボットであり得る。
【0025】
本明細書における用語「インク」は、ニス、例えば、透明ニス、半透明ニス、着色ニス、保護ニス(傷防止、耐摩耗、耐紫外線など)を包含する。
【0026】
本発明による方法は、
- モジュールの前述のインク溜め部が、前述のモジュールの流体インターフェースと前述のステーションの相補的流体インターフェースとを接続することによって、インクで補充される、
- インク印刷工程(iv)が、少なくとも1つの他のモジュールが補充されている間に、第1のモジュールを使用して行われる、および
- 異なるモジュールは、異なるタイプのインクまたはニスを使用して補充される、という技術的特徴が、他の工程と技術的に適合する限り、これらの技術的特徴のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0027】
最後に、本発明は、少なくとも1つの主方向に湾曲した表面上に印刷するための本発明による方法の使用に関する。前述の湾曲した表面は、自動車の車室のトリム部分の可視表面であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の他の利点は、添付図面を参照しながら、純粋に例示として、かつ限定するものとしてではなく以下に提供される本発明の2つの実施形態の記載を読むことで明らかになる。
【0029】
【
図1】インクジェット印刷アセンブリに属する、本発明によるインクジェット印刷モジュールを示す2つの概略図を含む。
図1(b)は、圧縮ガス溜め部がない点のみが異なる、
図1(a)の代替的な実施形態を示す。
【
図2】
図1のモジュールと係合することができ、
図1の印刷アセンブリにも属するロボットをより具体的に示す概略図である。
【
図3】
図1のモジュールと係合可能なステーションを示す斜視図であり、このステーションは、複数の同様のモジュールと係合可能なマガジンに属する。
【
図4】前の図に示された印刷アセンブリの使用の異なる段階を示す概略図である。
【
図5】前の図に示された印刷アセンブリの使用の異なる段階を示す概略図である。
【
図6】前の図に示された印刷アセンブリの使用の異なる段階を示す概略図である。
【
図7】前の図に示された印刷アセンブリの使用の異なる段階を示す概略図である。
【
図8】モジュールの流体インターフェース、機械的インターフェースおよび電子インターフェースと、
図3のステーションとの間の係合をより正確に示す概略図である。
【
図9】
図3のモジュールの異なるインターフェースをより具体的に示す上面図である。
【
図10】
図3のステーションの異なるインターフェースをより具体的に示す側面図である。
【
図11】本発明による、5軸ロボットに搭載されたインクジェットモジュールを含むインクジェット印刷アセンブリの概略図である。
【
図12】
図12(a)は、本発明による印刷方法によって装飾された、自動車の車室のトリム部分を示す写真である。
図12(b)は、
図12(a)に示す領域の拡大図を示す。
【0030】
【発明を実施するための形態】
【0031】
用語「インク」は、本明細書において、特に当業者に知られているインクジェット印刷技術に関連して、最も広義に解釈され、また、あらゆる種類のニスを含み、それは、着色されていても着色されていなくてもよく、透明でも不透明でもよく、保護ニスをも含む。
【0032】
図1~
図4に示されるように、本発明によるインクジェット印刷アセンブリは、本質的に
- 少なくとも1つの印刷モジュールを含む。示された例では、参照符号1A~1Fで表される6つの印刷モジュールが設けられているが、
- 全体として参照符号101で表されるロボット、および
- 全体として参照符号201で表されるマガジンであって、特に、上述のモジュールを固定化するため、ならびに、前述のモジュールを空にして流体を補充するためのマガジンは、これらの印刷モジュールとは異なる数で提供され得ることが理解されよう。
【0033】
まず、印刷モジュール1Aの1つの構造について記載するが、他のモジュールは同一の構造を有することが理解されよう。
図1(a)を参照すると、このモジュールは、任意の好適な材料、例えば、鋼材またはプラスチック材料から作製されたハウジング10を含む。このハウジングは、例えば、平行六面体の形状をしており、モジュールの様々な機能要素を収容している。
【0034】
まず、全体として参照符号2で表された印刷ヘッドがある。この印刷ヘッドは、それ自体が公知のタイプであり、特に、作業表面上にインクを噴霧するためのスプレーノズル(図面には示されていない)が設けられている。本発明によれば、ヘッド2は、まず、チャネル31を介して、インク溜め部3と連通して配置される。これはまた、特定のチャネル41を介して、圧縮ガス供給源と連通して配置される。前述の圧縮ガス供給源は、
図1(a)のように、圧縮空気溜め部4であり得る。これらの2つの容器3および容器4はまた、流体インターフェース5と連通して配置され、その機能は、以下でより詳細に記載される。51および52は、このインターフェースおよびこれらの容器を流体的に接続するそれぞれのチャネルを表す。
【0035】
あるいは、
図1(b)に示されるように、圧縮ガス溜め部が省略され、流体インターフェース5は、以下で説明されるように、外部圧縮ガス供給源によって送給される。この場合、ダクト52は、制御要素(図示せず)を介して、場合によっては印刷ヘッド2と直接連通する。
【0036】
本発明による印刷モジュールには、以下にその機能をより詳細に記載する電子インターフェース6がさらに設けられている。制御ライン60、61、および62は、このインターフェース60をそれぞれ印刷ヘッド2、ならびに容器3および容器4に接続する。最後に、このモジュールには機械的インターフェース7が設けられており、その機能は、以下でより詳細に論じられる。
【0037】
代替実施形態(図面には示されない)では、インク溜め部3は取り外し可能であり、インク溜め部が空になった時に交換することができ、この場合、インク溜め部のインク供給手段、具体的には、インク溜め部と流体インターフェース5とを接続するチャネル51は省略されてもよい。さらに別の代替実施形態(図面には示されない)では、インク溜め部および印刷ヘッドは、取り外し可能であり、かつインク溜め部が空になったときに交換可能な一体物を形成し、前の代替実施形態と同様に、容器のインク供給手段はその場合省略され得る。
【0038】
ここで、
図2を参照して、ロボット101の構造をより詳細に記載する。前述のロボットは、任意の好適なタイプの基部を形成する本体110とグリッパーアーム111とを含む。本体110は、複数の空間方向においてグリッパーアームが移動可能となるように、任意選択で、少なくとも1つの追加のアームを備える。典型的には、ロボット101は、6軸タイプのものであり、これらのロボットはそのようなものとして公知である。
【0039】
アーム111には、その自由端の近くに、相補的機械的インターフェース107と呼ばれる機械的インターフェースが設けられている。前述のインターフェースは、モジュール1に設けられた機械的インターフェース7と係合可能である。これらの2つの機械的インターフェースは、それ自体が公知のタイプであり、特にモジュールとロボットとの間の取り外し可能な固定を可能にする。非限定的な例として、これらの2つのインターフェースは、特にクイックカップリングを画定し、典型的には直角掛け型である。これらのクイックカップリング機械的インターフェース、または機械的カップリングは、当業者においては周知であり、例えば、ISO11593規格に記載されている。本発明の文脈においては、このようなインターフェースの存在は不可欠であるが、その構造は重要ではない。例えば、Staubli社が販売するMPSシリーズのロボットツール交換システムを使用することができる。
【0040】
アーム111にはまた、その自由端の近くに、モジュール1の流体インターフェース5と係合可能な相補的流体インターフェース108が設けられている。前述の相補的流体インターフェース108は、外部圧縮ガス供給源に接続され、これは、典型的には、ロボット101のアーム111に沿って延在する可撓性チューブ140である。この相補的流体インターフェース108は、モジュール1が圧縮ガス溜め部を有さず、外部圧縮ガス供給源を必要とする場合にのみ必要である。これらのクイックカップリング流体インターフェース、または流体カップリングは、当業者においては周知であり、それらの構造は重要ではない。
【0041】
また、ロボットには、概略的に示され、概して参照符号161で表される中央処理ユニットも設けられている。この中央処理ユニットは、制御ライン160を介して、モジュール1の電子インターフェース6と係合可能な相補的電子インターフェース106と呼ばれる電子インターフェースに接続されている。これらの2つの電子インターフェース(またはカップリング)は、それ自体が公知のタイプであり、ユニット161から印刷ヘッド2にデータを転送することを可能にし、これらのデータは、アナログ信号および/またはデジタル信号によって表すことができる。
【0042】
したがって、モジュール1の機械的インターフェース7は、ロボット101のアーム111の相補的機械的インターフェース107と係合可能なように設計された結合、好ましくはクイックカップリング結合であり、モジュール1の流体インターフェース5は、ロボット101のアーム111の相補的流体インターフェース108と係合可能なように設計された結合、好ましくはクイックカップリング結合であることが容易に理解される。同様に、モジュール1の電子インターフェース6は、ロボット101のアーム111の相補的電子インターフェース106と係合可能なように設計された結合である。2つの流体インターフェース5、108が結合されるとき、それらは流体の通過を可能にする。対照的に、これらの2つのインターフェースが分離されるとき、前述のインターフェースの各々は外気に対して特定の流体を密閉する。
【0043】
図4は、2つの電気的インターフェース106と6との間、2つの機械的インターフェース107と7との間のこの結合を概略的に示しており、この例では、モジュール1は、圧縮ガスタンク4を有し、流体インターフェース5を、ロボットのアーム111の相補的インターフェースに接続する必要はない。これらの異なるインターフェースの構造の一例を
図9と関連させて以下に示す。
【0044】
ここで、
図3を参照して、マガジン201の構造についてより詳細に記載する。
この
図3に示されるように、このマガジンは、上述したモジュール1と係合するための特定の数のステーション301を備える。好ましくは、モジュール1の数と同じ数のステーション301が存在し、すなわち、言い換えれば、各ステーションは特定のモジュールに専用である。しかしながら、代替の実施形態では、異なる数のステーションおよびモジュールが設けられ得る。この文脈において、所与のモジュールは、複数のステーションと係合可能であり、および/または所与のステーションは、複数のモジュールと係合可能である。この
図3では、単一のステーション301が詳細に示される一方、ステーション301のすぐ両側に位置するステーション301’および301’’は、二点鎖線できわめて概略的にのみ示されている。
【0045】
ここで、ステーションのうちの1つの構造について記載するが、他のステーションが通常同一の構造を有することが理解されよう。
図3を参照すると、このステーション301は、まず、実質的に平行六面体の形状のフレーム310を含み、これは、以下に記載する様々な機能要素を収容している。特定のモジュールを固定するためのプラットフォームまたはフランジ309は、先に記載したフレームの側面のうちの一方から前方に突出している。
図3に示されるように、フレームの隣接壁およびフランジの隣接壁は、特定のモジュール1を受容するための、V1によって表される容積を画定する。
【0046】
このフランジには、前述のモジュールが固定される際に、モジュールを所定の位置に保持するための機械的手段が設けられている。より正確には、このフランジ309には、例えば、モジュールがその受容容積V1に入るときにモジュールをセンタリングするための上縁370および下縁371がそれぞれ設けられている。さらに、上縁370には、フランジに対してモジュールを固定するためのピン372が設けられている。この目的を達成するために、このモジュールには、例えば弾性スナップフィットによって、先に記載したピンと係合するための開口部(図示せず)が設けられている。
【0047】
図8に示すように、異なる流体を受容するための複数のタンクがフレームに収納される。それぞれ、インクタンク303、圧縮空気タンク304、および使用済みインクを受容するためのパージタンク308と呼ばれるタンクが存在する。このインクタンク303およびパージタンク308は、空になったときに交換されるインク溜め部をモジュール1が使用する場合には省略されてもよい。最後に、ステーション301には、特にステーションの様々なインターフェースの作動を制御可能な中央処理ユニット360が設けられており、このインターフェースについては以下で記載される。
【0048】
さらに、ステーション301には、全体として参照符号320で表される可動接続アセンブリが設けられている。このアセンブリ320は、まず、フレーム310に対してYY方向に移動可能なキャリッジ321を含む。この目的を達成するために、フレームの上壁には、例えば、キャリッジに設けられた滑動チャネル(図示せず)と係合するレール322が設けられている。
キャリッジは、任意の適切なタイプのモーター手段(図示せず)によってこれらのレールに沿って移動される。
【0049】
キャリッジ321は、このキャリッジに対して相対的に固定され、かつ前述のキャリッジの前、具体的には、モジュールの格納容積に面するように位置付けられた柱324を支持している。次に、この柱は、この柱に対してZZ方向に移動可能な接続ブロック326を支持している。この目的を達成するために、例えば、ジャッキ328が設けられ、その本体は、柱に剛性的に接続され、そのロッドはブロックに剛性的に接続されている。
【0050】
接続ブロック326には、複数のインターフェースが設けられている。まず、モジュール1の流体インターフェース5と、係合することができるように設計された流体インターフェース305がある。これらの2つの流体インターフェースは、それ自体が公知のタイプであり、モジュール1とステーション301との間にクイックカップリング着脱可能接続が確立されることを可能にする。これらの2つのインターフェースが結合されると、前述の接続により、このモジュールとこのステーションとの間の流体の通過が可能となる。対照的に、これらの2つのインターフェースが分離されると、前述のインターフェースの各々は外気に対して特定の流体を密閉する。
【0051】
インターフェース305は、それぞれのチャネル331および341(
図8を参照)によって容器303(存在する場合)および304に接続される。さらに、印刷ヘッド2とパージタンク308とを接続する追加の接続チャネル381が設けられ得る。この印刷ヘッドに取り外し可能に結合され得るこのチャネル381は、真空源(図示せず)と関連付けられる。
【0052】
また、接続ブロック326には、それぞれ電子インターフェース306および機械的インターフェース307の2つの追加のインターフェースが設けられている。これらのインターフェース306およびインターフェース307は、ロボットのアーム111上に設けられている上述のインターフェース106およびインターフェース107と同様である。電子インターフェース306は、制御ライン361を介して、中央処理ユニット360に接続される(
図8を参照)。
【0053】
図9および
図10は、例として、モジュールおよびステーションにそれぞれ設けられた、様々なインターフェースの1つの可能な実施形態を示す。
【0054】
図9に示すように、モジュールの流体インターフェース5は、圧縮ガスおよびインクそれぞれの循環のための2つのメス型結合要素5’および5’’によって形成される。さらに、
図10に示されるように、ステーションの流体インターフェース305は、結合要素5’および5’’と係合するための2つのオス型結合要素305’および305’’によって形成される。
【0055】
加えて、
図9に示されるように、モジュールの電子インターフェース6は、メス型コネクタ要素によって形成される。さらに、
図10に示されるように、ステーションの電子インターフェース306は、メスコネクタ6と係合するためのオス型コネクタ要素によって形成される。
【0056】
最後に、
図9に示されるように、モジュールの機械的インターフェース7は、メス型クイックカップリングによって形成される。さらに、
図10に示されるように、ステーションの機械的インターフェース307は、メスクイックカップリング7と係合するためのオス型コネクタ要素によって形成される。
【0057】
ロボット上に設けられた電子インターフェース106および機械的インターフェース107の構造は、より詳細には記載されていないことに留意されたい。通常、これらのインターフェースは、
図9を参照して説明されるように、ステーション上に設けられたインターフェース306とインターフェース307とに類似する。
【0058】
ここで、
図4~
図8を参照して、上述した印刷アセンブリの使用について記載する。
【0059】
まず、
図4を参照して、容器3および容器4が、それぞれインクおよび圧縮空気で充填されていると仮定する。それぞれ、2つのインターフェース対である、6と106、および7と107が係合されている。その結果、ロボットとモジュールが電子的に接続され、具体的には中央処理ユニット161は、矢印fで示される線160、60、61、および62を介してモジュールの様々な構成要素を制御することができる。さらに、このロボットとこのモジュールは、インターフェース7およびインターフェース107によって、互いに機械的に剛性的に接続されている。
【0060】
したがって、ロボットは、矢印pによって示されるように、ターゲット表面にインクを噴霧するように、印刷ヘッド2を制御する。この噴霧の過程で、矢印Fによって示されるように、容器3および容器4から追加のインクおよび空気がヘッド2内に投入される。この印刷動作中、ステーション301はモジュール1と係合しない。つまり、
図3に示すように、格納容積V1は空である。
【0061】
この印刷動作の終了時には、容器3および容器4は空になっている。
図5から
図8に示されるように、この時点で、前述の容器を補充する必要がある。アーム111は、まず、フランジ309上にこのモジュールをドッキングさせるように、モジュール1を格納容積に誘導する。モジュールは、このフランジに対して、特にピン372によって固定される。次いで、アームを引き出すことができるように、インターフェース7および107が分離される。
【0062】
図5に見られるように、モジュールをフランジにドッキングするとき、可動アセンブリは、動作停止位置と呼ばれる位置にあり、すなわち、接続ブロックはモジュールと係合することができない。次いで、この可動アセンブリは、2つの連続した段階に移動される。第1の工程は、キャリッジを格納エリアに向かって、矢印F321の方向に水平に移動させることである。
図6に示すように、この時点で、接続ブロック326は、モジュールから離間されながら、モジュールの真上に位置する。
【0063】
次いで、このブロックは、接続ブロックとモジュールとを係合させるために、矢印F326の方向に垂直下向きに移動される。
図7に示される可動アセンブリのこの動作位置において、機械的インターフェース7と機械的インターフェース307との間、流体インターフェース5と流体インターフェース305との間、ならびに電子インターフェース6と電子インターフェース306との間に相互の係合がある。
【0064】
フレーム310、ブロック326、およびモジュール1のみを示す
図8に示すように、中央処理ユニット360は、このようにして、矢印Gで示されるそれぞれのタンク303およびタンク304からの容器3および容器4の充填を制御する。加えて、パージライン381は、印刷ヘッド2に結合される。洗浄溶媒は、溶媒溜め部(図示せず)からヘッドの内側容積に注入される。当初このヘッドに存在した使用済みインクは、矢印gの方向で容器308に排出されるように、このヘッドから吸い出される。このパージ動作により、印刷ヘッド1がその動作停止期間中に乾燥インクで目詰まりを起こすことを防止する。
【0065】
モジュール1は、上述した方法と同様の方法で行われる追加の印刷動作の準備ができた状態で再び動作する。モジュール1を補充する間、ロボット101は、別の印刷動作を実施するために別のモジュールを取り上げることができることを留意されたい。したがって、本発明による印刷アセンブリは、ある動作を別の動作と同時並行的に実行することができる。
【0066】
有利には、異なるステーションに属するタンク303は、異なるタイプのインクで充填されている。この場合、各タンクは、ターゲット表面に特定のインクを噴霧するために、専用の印刷ヘッドに送給することを意図している。本発明の意味において、異なるタイプのインクとは、インクが異なる色および/または異なる物理化学的特性(粘度もしくは密度など)および/または異なる外観(光沢など)を有することを意味し得る。
【0067】
記載され、図示された例においては、各ステーションに圧縮ガスタンクが設けられている。しかしながら、代替の実施形態では、マガジン全体に、より大きな容積を有する単一の圧縮ガスタンクを設けることができる。この場合、この単一のタンクは、特定のパイプを介して各ステーションの流体インターフェースに接続される。また、ステーションもマガジンも空気タンクを含まず、圧縮ガス供給源はマガジンに接続された外部ラインからのものであることも可能である。
【0068】
本発明は、多くの利点を有する。インク(および場合によっては圧縮ガス)印刷モジュール1の自己完結性により、本発明によるロボット101の移動は、可撓性チューブおよびケーブルの存在によって妨げられず、これにより、ロボットの設計、プログラミング、および使用が簡素化される。
【0069】
本発明によるロボット101は、3次元部品の表面上に保護インクおよび/またはニスをインクジェットで堆積させるために使用することができる。これらの表面は、デシメートルまたはメートルの寸法を有し得、したがって、それらの最大寸法は、例えば、約2dm~約2mであり得る。これらの表面は湾曲している可能性があり、また、例えば、ミリメートルスケールの表面構造を含む可能性がある。
【0070】
例として、このロボットは、自動車の車室のトリム部分を装飾するために使用することができる。これらのトリム部分は、例えば、ダッシュボードまたはドアのトリム部分であり得、それらの最大寸法は、典型的には、3dm~1.5mであり得る。これらの部品は、例えば、装飾表面外観を有するPVCコーティングを基板(コア)上に形成することによってのような公知の方法に従って製造することができ、そのような方法は、WO98/00277(Elf Atochem S.A.)に記載されている。これらの部品は、疑似の縫い目を有していてもよく、その表面は通常約0.1mm~約20mmサイズの細部を提示する。本発明によるロボットは、これらの細部をインクジェットによって装飾することを可能にする。
【0071】
図11は、5軸ロボット101に搭載されたインクジェット印刷モジュール1を含む、本発明によるインクジェット印刷アセンブリを概略的に示し、軸は、参照符号A1~A5によって表される。印刷モジュール1は、装飾予定部分400の装飾される表面の上に移動させられるが、この場合、この表面は湾曲しており、装飾は、直線であっても直線でなくてもよく、連続していても連続していなくてもよく、湾曲した表面の隆起上にあってもなくてもよい線401を含む。
図12に示すように、この線は、隆起していてもよく、および/または隆起した装飾を含んでいてもよい。
【0072】
図12は、装飾予定部分400の表面の一部の写真を示し、この場合、自動車の車室のトリム部分を示す。この表面は「人工皮革」のシボを含む。これは、隆起した装飾要素402を含む2本の線401a、401bに沿って配置された人工の縫い目を備える。本発明による方法は、特に、周囲の領域を除いて、これらの隆起した装飾要素上に所望の色のインクを堆積することを可能にし、言い換えれば、インクはこれらの隆起した装飾要素のみを被覆する。これらの隆起した装飾要素上のインクの位置決め精度は、直径約80μmのインク滴を用いて0.10mmまで可能である。
【0073】
インクは、1つ以上のパスにおいて堆積され得る。インクジェットによる装飾は、これもインクジェット方式で透明なニスを堆積させることによって完了され得る。本発明によるインクジェット印刷モジュール用のマガジンは、各々異なるインクを備える複数のインクジェット印刷モジュールを備え得るため、所望の色のインクの噴射による装飾の後、透明なニスを堆積することが容易であり、これは、インクを備えたモジュールと、ニスを備えた別のモジュールとを交換することによって行われ得る。同様に、次の装飾予定部分に別のインクを使用することも容易である。このように、本発明は、装飾部品の製造業者に高度な柔軟性を与え、物体をカスタマイズしたいという顧客の要求に応える。