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特開2024-170579道路交通システム、車両共用システム及びロボットカー教習システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170579
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】道路交通システム、車両共用システム及びロボットカー教習システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241203BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241203BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241203BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20241203BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241203BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/00 D
G08G1/09 H
B60W50/00
G16Y10/40
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154378
(22)【出願日】2024-09-07
(62)【分割の表示】P 2017543533の分割
【原出願日】2016-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2015196298
(32)【優先日】2015-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015196299
(32)【優先日】2015-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015205132
(32)【優先日】2015-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506249347
【氏名又は名称】株式会社発明屋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙治
(57)【要約】      (修正有)
【課題】他車両の経験を利用してロボットカーの自動運転性能を向上させ得る道路交通システムを提供する。
【解決手段】コンピューティングシステム200は、非ロボットカー100Bから運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能210aと、運転行動情報を生成する最適化情報生成機能210cと、運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能210dと、最適化された運転行動情報をロボットカー100Aに送信する運転行動情報送信機能210bと、を有する。ロボットカー100Aは、走行状況認知部100Aaと、最適化された運転行動情報をコンピューティングシステム200から受信する運転行動情報受信部100Abと、運転行動情報受信部100Abにより受信した運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況認知部100Aaにより認知された走行状況に応じた自動運転制御を行う自動運転制御部100Acと、を有する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、
コンピューティングシステムを有し、
前記コンピューティングシステムは、
1又は複数の車両から運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、
前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信部と、
1又は複数の車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、
前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成機能と、
前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能と、
前記最適化された運転行動情報を1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、
前記車両には、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボットカーが含まれ、
前記ロボットカーは、
自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と、
前記走行状況認知部により認知した時々刻々と変化する自車両の走行状況をリアルタイムで解析しつつ、その解析の結果と前記受取部により受信した運転行動情報とに基づいて自車両の自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、
前記自動運転制御部は、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を学習データセットとして用い、当該運転行動情報に含まれるそれぞれの走行状況において、前記送信元の車両と同じ運転操作を自車両が行うことを目標として学習処理を行う、道路交通システム。
【請求項2】
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、
コンピューティングシステムを有し、
前記コンピューティングシステムは、
ロボットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、
前記運転行動情報を非ロボットカーに送信する運転行動情報送信部と、
1又は複数の車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、
前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成機能と、
前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能と、
前記最適化された運転行動情報を1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、
前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、
前記ロボットカーは、
時々刻々と変化する自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
前記走行状況認知部により認知された各時点の走行状況と、それぞれの走行状況において実行された自車両の運転操作と、を対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と、を有し、
前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する車両であって、
前記非ロボットカーは、
自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と、
前記走行状況認知部により認知した時々刻々と変化する自車両の走行状況をリアルタイムで解析しつつ、その解析の結果と前記運転行動情報受信部により受信した前記運転行動情報とに基づいて自車両の運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有し、
前記運転支援制御部は、前記運転行動情報取得部により取得した前記運転行動情報を学習データセットとして用い、当該運転行動情報に含まれるそれぞれの走行状況において、前記ロボットカーと同じ運転操作を自車両が行うことを目標にして学習処理を行う、道路交通システム。
【請求項3】
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、
コンピューティングシステムを有し、
前記コンピューティングシステムは、
非ロボットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、
前記運転行動情報をロボットカーに送信する運転行動情報送信部と、
1又は複数の車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、
前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成機能と、
前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能と、
前記最適化された運転行動情報を1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、
前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両であって、
前記非ロボットカーは、
時々刻々と変化する自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検出部と、
前記走行状況認知部により認知された各時点の走行状況と、それぞれの走行状況において前記運転操作検出部により検出された運転操作と、を対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と、を有し、
前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、
前記ロボットカーは、
自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と、
前記走行状況認知部により認知した時々刻々と変化する自車両の走行状況をリアルタイ
ムで解析しつつ、その解析の結果と前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報とに基づいて自車両の自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、
前記自動運転制御部は、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を学習データセットとして用い、当該運転行動情報に含まれるそれぞれの走行状況において、前記非ロボットカーと同じ運転操作を自車両が行うことを目標として学習処理を行う、道路交通システム。
【請求項4】
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボットカーが道路を走行する道路交通システムであって、
コンピューティングシステムを備え、
前記のコンピューティングシステムは、
1又は複数のロボットカーの運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、
前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成部と、
前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新部と、
前記最適化された運転行動情報を1又は複数のロボットカーに送信する運転行動情報送信部と、を有し、
前記ロボットカーは、
時々刻々と変化する自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
前記運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、
前記走行状況認知部により認知した時々刻々と変化する自車両の走行状況をリアルタイムで解析しつつ、その解析の結果と前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報とに基づいて自車両の自動運転制御を行う自動運転制御部と、
前記走行状況認知部により認知された各時点の走行状況と、それぞれの走行状況において実行された自車両の運転操作と、を対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と、を有し、
前記自動運転制御部は、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を学習データセットとして用い、当該運転行動情報に含まれるそれぞれの走行状況において、前記非ロボットカーと同じ運転操作を自車両が行うことを目標として学習処理を行う、道路交通システム。
【請求項5】
前記最適化された運転行動情報は、前記運転行動情報の提供を受ける車両の車両属性に応じて最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受ける車両が障害物と接触する可能性が最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受ける車両の消費エネルギが最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受ける車両の回生エネルギが最大になるように最適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における加速回数或いは加速時間が最少になるように最適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における制動回数又は制動時間が最少又は最大になるように最適化された運転行動情報、出発地点から到着地点までの走行距離が最少になるように最適化された運転行動情報、又は、出発地点から到着地点までの走行時間が最少になるように最適化された運転行動情報である、請求項1から4のいずれかに記載の道路交通システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の道路交通システムを1又は複数のコンピュータを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の道路交通システムにおいて、
車両を複数の利用者によって共用する、車両共用システム。
【請求項8】
請求項7に記載の車両共用システムを1又は複数のコンピュータを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
ロボットカーと、当該ロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカーとを有するロボットカー教習システムであって、
コンピューティングシステムを有し、
前記コンピューティングシステムは、
前記非ロボットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、
前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報に基づいて、最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成部と、
前記最適化情報生成部により生成された最新の運転行動情報を前記ロボットカーに送信する運転行動情報送信部と、を有し、
前記非ロボットカーは、
ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両であって、
時々刻々と変化する自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検出部と、
前記走行状況認知部により認知された各時点の走行状況と、それぞれの走行状況において前記運転操作検出部により検出された運転操作と、を対応付けた運転行動情報を出力する運転行動情報出力部と、を有し、
前記運転行動情報出力部は、前記非ロボットカーの運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部であり、
前記ロボットカーは、
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、
時々刻々と変化する自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、
前記非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、
自車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、
前記運転行動情報取得部は、前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部であり、
前記自動運転制御部は、
前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を学習データセットとして用い、当該運転行動情報に含まれるそれぞれの走行状況において、前記非ロボットカーと同じ運転操作を自車両が行うことを目標として学習処理を行う、ロボットカー教習システム。
【請求項10】
前記最適化情報生成部は、
前記運転行動情報の提供を受ける車両の車両属性に基づいて、当該車両が障害物と接触する可能性が最も小さくなるように、前記運転行動情報を修正する機能を含む、請求項のロボットカー教習システム。
【請求項11】
請求項10のロボットカー教習システムを1又は複数のコンピュータを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカー、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボットカー、及び非ロボットカーやロボットカーが道路を走行する道路交通システムに関するものである。
本発明は、車両を複数の利用者によって共用する車両共用システムに関するものである。
本発明は、ロボットカーの自動運転性能を向上させるためのロボットカー教習システム及びロボットカー教習方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の自動運転制御技術は数多く提案されている(特許文献1-13、非特許文献1-4)。
車両共用システムに関する技術は数多く提案されている(特許文献14-26、非特許文献1-4)。これらの技術には、レンタカーサービス、カーシェアリングサービス、タクシーサービス、等に関する技術が含まれる。
車両共用システムにおいて使用される車両には、運転支援システムを搭載した車両や自動運転機能を有する車両が含まれる(特許文献1-13)。
これらの技術の中には、運転操作の機械学習に関するものがある(特許文献27-44)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-087928
【特許文献2】特開2014-153317
【特許文献3】特開2014-123232
【特許文献4】特開2014-102802
【特許文献5】特開2014-066521
【特許文献6】特開2012-146251
【特許文献7】特開2012-118951
【特許文献8】特開2012-076627
【特許文献9】特開2011-195026
【特許文献10】特開2011-073565
【特許文献11】特開2007-323598
【特許文献12】特開2007-30568
【特許文献13】特開平11-282530
【特許文献14】特開2015-18464
【特許文献15】特開2015-101306
【特許文献16】特開2015-69584
【特許文献17】特開2014-211778
【特許文献18】特開2014-41475
【特許文献19】特開2013-242818
【特許文献20】特開2012-128019
【特許文献21】特開2012-48308
【特許文献22】特開2012-43167
【特許文献23】特開2012-076627
【特許文献24】特開2011-180827
【特許文献25】特開2008-293253
【特許文献26】特開平11-313410
【特許文献27】特開2015-157569
【特許文献28】特開2015-110403
【特許文献29】特開2015-89801
【特許文献30】特開2015-67154
【特許文献31】特開2015-54580
【特許文献32】特開2014-65392
【特許文献33】特開2013-249002
【特許文献34】特開2012-108653
【特許文献35】特開2011-073565
【特許文献36】特開2010-134865
【特許文献37】特開2008-298475
【特許文献38】特開2008-018872
【特許文献39】特開2006-113836
【特許文献40】特開2001-005979
【特許文献41】特開平10-338057
【特許文献42】再表2012/077204
【特許文献43】WO2013/034338
【特許文献44】WO2012/073359
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ロボットタクシー株式会社ホームページ http://robottaxi.com/
【非特許文献2】Google 自動運転車計画 http://www.google.com/selfdrivingcar/
【非特許文献3】Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない(角川EPUB選書) KADOKAWA/中経出版(2014/12/10)
【非特許文献4】Uberホームページ http://uber.com/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動車における機械学習は、自車両のヒューマンドライバ(人間)の運転行動を学習し、その学習結果を自車両の自動運転制御に反映させることにより自動運転性能を向上させるものである。
このため、従来の自動車における機械学習は、ロボットカーすなわち、ヒューマンドライバによる運転操作なしで自律走行する車両には適用することができない。また、自車両が未経験(すなわち未学習)の状況下では、当該車両は初期値の運転性能しか発揮し得ない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、次の通りである。
(1)自車両の経験のみならず他車両の経験も活用して運転支援性能を向上させ得る非ロボットカーを提供する。
(2)自車両の経験のみならず他車両の経験も活用して自動運転性能を向上させ得るロボットカーを提供する。
(3)非ロボットカーの運転支援性能やロボットカーの自動運転性能を向上させ得る道路交通システムを提供する。
(4)各車両が自車両の経験のみならず他車両の経験も活用して運転性能を向上させ得る車両共用システムを提供する。
(5)ロボットカーにヒューマンドライバの運転行動を学習させることによりロボットカーの自動運転性能を向上させることができるロボットカー教習システム及びロボットカー教習方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1.道路交通システムの構成とその作用]
本発明の道路交通システムには、以下の構成のシステムが含まれる。
[構成1.1]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両にはヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーが含まれ、前記非ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、非ロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照しつつ自車両の走行状況に基づいて運転支援制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報に基づいて運転支援制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.2]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両にはヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーが含まれ、前記非ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて、実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有し、前記運転支援制御部は、前記実行すべき運転操作を決定する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転知識部に記憶されている知識情報を更新する学習処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、非ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照して走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御を行うことができるので、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.3]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両にはヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーが含まれ、
前記非ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有し、前記運転支援制御部は、前記走行状況認知部により認知された走行状況に応じた運転操作を計算により決定する運転操作決定部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部において使用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、非ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御を行うことができるので、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.4]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両にはヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボットカーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、ロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照しつつ自車両の走行状況に基づいて自動運転制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報に基づいて自動運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.5]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両にはヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボットカーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて、実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、前記自動運転制御部は、前記実行すべき運転操作を決定する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転知識部に記憶されている知識情報を適宜更新する学習処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴とする道路交通システ
ム。
この道路交通システムにおいては、ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて
知識情報(実行すべき運転操作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行い
つつ、当該知識情報を参照して走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行
されるように自動運転制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を
行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.6]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両にはヒューマンドラ
イバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボットカーが
含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の
運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走
行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運
転制御を行う自動運転制御部と、を有し、前記自動運転制御部は、前記走行状況認知部に
より認知された走行状況に応じた運転行動を計算により決定する運転操作決定部と、前記
運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部におい
て使用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、
を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて
運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作
を運転操作決定関数により決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う

したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を
行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.7]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両から運転行動情報を受信
する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる
1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記車両には、ヒューマ
ンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーが含まれ、前
記非ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記コンピューテ
ィングシステムから他車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、前記運転行
動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知部により認知
された走行状況に基づいて運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有することを特徴と
する道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、1又は複数の車両
の運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元と
は異なる1又は複数の車両に送信する。コンピューティングシステムから運転行動情報を
受信した非ロボットカーは、当該運転行動情報を参照しつつ、自車両の走行状況に基づい
て運転支援制御を行う。
したがって、道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状況に
おいても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照しつつ運転支援制
御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.8]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両から運転行動情報を受信
する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる
1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記車両には、ヒューマ
ンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーが含まれ、前
記非ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記コンピューテ
ィングシステムから他車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、前記走行状
況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操
作が実行されるように運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有し、前記運転支援制御
部は、前記運転行動を決定する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部と、前記運転
行動情報受信部により受信した運転行動情報に基づいて、前記運転知識部に記憶されてい
る知識情報を更新する学習処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴とする道路
交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、1又は複数の車両
の運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元と
は異なる1又は複数の車両に送信する。コンピューティングシステムから運転行動情報を
受信した非ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転
操作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照
して走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御
を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状
況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御
を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.9]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両から運転行動情報を受信
する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる
1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記車両には、ヒューマ
ンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーが含まれ、前
記非ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報
を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と、前記走行状況認
知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が
実行されるように運転支援制御を行う運転支援制御部と、を有し、前記運転支援制御部は
、前記走行状況認知部により認知された走行状況に応じた運転行動を計算により決定する
運転操作決定部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前
記運転操作決定部において使用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理部
(パラメタ調整部)と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、非ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づい
て運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操
作を運転操作決定関数により決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行
う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状
況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御
を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.10]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両から運転行動情報を受信
する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる
1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記車両には、ヒューマ
ンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボット
カーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前
記運転行動情報から前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と
、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知
部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有する
ことを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、1又は複数の車両
の運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元と
は異なる1又は複数の車両に送信する。コンピューティングシステムから運転行動情報を
受信したロボットカーは、当該運転行動情報を参照しつつ、自車両の走行状況に基づいて
自動運転制御を行う。
したがって、道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況にお
いても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照しつつ自動運転制御
を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.11]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両から運転行動情報を受信
する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる
1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記車両には、ヒューマ
ンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボット
カーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前
記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と、
前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、
当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、前記自
動運転制御部は、前記運転行動を決定する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部と
、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報に基づいて、前記運転知識部に記
憶されている知識情報を更新する学習処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴
とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、1又は複数の車両
の運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元と
は異なる1又は複数の車両に送信する。コンピューティングシステムから運転行動情報を
受信したロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操
作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照し
て走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を
行う。
したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を
行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.12]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両から運転行動情報を受信
する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる
1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記車両には、ヒューマ
ンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロボット
カーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前
記コンピューティングシステムから他車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信部
と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定
し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、前
記自動運転制御部は、前記走行状況認知部により認知された走行状況に応じた運転行動を
計算により決定する運転操作決定部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動
情報に基づいて、前記運転操作決定部において使用される運転操作決定関数のパラメタを
調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、を有することを特徴とする道路交通システム

この道路交通システムにおいては、ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて
運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作
を運転操作決定関数により決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う

したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を
行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.13]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報を受信する
運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を非ロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに
自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の運転行動情報を前記コ
ンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部を有し、前記非ロボットカーは
、ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する車両であって、自
車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を前記コンピューティン
グシステムから受信する運転行動情報受信部と、前記運転行動情報受信部により受信した
運転行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて運
転支援制御を行う運転支援制御部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、ロボットカーから
運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を非ロボットカーに送信する。コ
ンピューティングシステムから運転行動情報を受信した非ロボットカーは、当該運転行動
情報を参照しつつ、自車両の走行状況に基づいて運転支援制御を行う。
したがって、道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状況に
おいても、当該状況を経験したことのあるロボットカーの運転行動情報を参照しつつ運転
支援制御を行うことにより、当該ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処
できる。
そして、この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する
状況下で、ロボットカーの運転テクニックを非ロボットカーに学習させて、非ロボットカ
ーの運転支援性能を高効率に向上させることができる。非ロボットカーの運転支援性能が
向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、等が図られ
る。
[構成1.14]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報を受信する
運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を非ロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに
自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の運転行動情報を前記コ
ンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部を有し、前記非ロボットカーは
、ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する車両であって、自
車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を前記コンピューティン
グシステムから受信する運転行動情報受信部と、前記走行状況認知部により認知された走
行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支
援制御を行う運転支援制御部と、を有し、前記運転支援制御部は、前記運転行動を決定す
る際に参照する知識情報(判断基準等)を記憶した運転知識部と、前記運転行動情報受信
部により受信した運転行動情報に基づいて、前記運転知識部に記憶されている知識情報を
更新する学習処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴とする道路交通システム

この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、ロボットカーから
運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を非ロボットカーに送信する。コ
ンピューティングシステムから運転行動情報を受信した非ロボットカーは、ロボットカー
の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操作を決定する際の判断基準など)
を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照して走行状況に応じた運転操作を決
定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状
況においても、当該状況を経験したことのあるロボットカーの運転行動を学習して運転支
援制御を行うことにより、当該ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処で
きる。
そして、この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する
状況下で、ロボットカーの運転テクニックを非ロボットカーに学習させて、非ロボットカ
ーの運転支援性能を高効率に向上させることができる。非ロボットカーの運転支援性能が
向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、等が図られ
る。
[構成1.15]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報を受信する
運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を非ロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに
自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の運転行動情報を前記コ
ンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部を有し、前記非ロボットカーは
、ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する車両であって、自
車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を前記コンピューティン
グシステムから受信する運転行動情報受信部と、前記走行状況認知部により認知された走
行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支
援制御を行う運転支援制御部と、を有し、前記運転支援制御部は、前記走行状況認知部に
より認知された走行状況に応じた運転行動を計算により決定する運転操作決定部と、前記
運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部におい
て使用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、
を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、非ロボットカーは、ロボットカーの運転行動情報に
基づいて運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行いつつ、自車両の走行状況
に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し、当該運転操作が実行されるように運
転支援制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、非ロボットカーは、自車両が未経験の状
況においても、当該状況を経験したことのあるロボットカーの運転行動を学習して運転支
援制御を行うことにより、当該ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処で
きる。
そして、この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する
状況下で、ロボットカーの運転テクニックを非ロボットカーに学習させて、非ロボットカ
ーの運転支援性能を高効率に向上させることができる。非ロボットカーの運転支援性能が
向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、等が図られ
る。
[構成1.16]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報を受信す
る運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報をロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされ
る車両であって、自車両の運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運
転行動情報送信部と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作
の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、
自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を前記コンピューテ
ィングシステムから受信する運転行動情報受信部と、前記運転行動情報受信部により受信
した運転行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づい
て自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、非ロボットカーか
ら運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報をロボットカーに送信する。コ
ンピューティングシステムから運転行動情報を受信したロボットカーは、当該運転行動情
報を参照しつつ、自車両の走行状況に基づいて自動運転制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある非ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ
自動運転制御を行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況
に対処できる。
そして、この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する
状況下で、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転テクニックをロボットカ
ーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を高効率に向上させることができる。ロボ
ットカーの自動運転性能が向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、
安全性の向上、等が図られる。
[構成1.17]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報を受信す
る運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報をロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされ
る車両であって、自車両の運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運
転行動情報送信部と、を有し、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状
況認知部と、前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動
情報受信部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転
操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部と、
を有し、前記自動運転制御部は、前記運転行動を決定する際に参照する知識情報を記憶し
た運転知識部と、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報に基づいて、前記
運転知識部に記憶されている知識情報を更新する学習処理部と、を有することを特徴とす
る道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、非ロボットカーか
ら運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報をロボットカーに送信する。コ
ンピューティングシステムから運転行動情報を受信したロボットカーは、非ロボットカー
の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操作を決定する際の判断基準など)
を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照して走行状況に応じた運転操作を決
定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある非ロボットカーの運転行動を学習して運転支
援制御を行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処
できる。
そして、この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する
状況下で、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転テクニックをロボットカ
ーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を高効率に向上させることができる。ロボ
ットカーの自動運転性能が向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、
安全性の向上、等が図られる。
[構成1.18]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報を受信す
る運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報をロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされ
る車両であって、自車両の運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運
転行動情報送信部と、を有し、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状
況認知部と、前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動
情報受信部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき運転
操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部と、
を有し、前記自動運転制御部は、前記走行状況認知部により認知された走行状況に応じた
運転行動を計算により決定する運転操作決定部と、前記運転行動情報取得部により取得し
た運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部において使用される運転操作決定関数の
パラメタを調整する学習処理部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、ロボットカーは、非ロボットカーの運転行動情報に
基づいて運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行いつつ、自車両の走行状況
に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し、当該運転操作が実行されるように自
動運転制御を行う。
したがって、この道路交通システムによれば、ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある非ロボットカーの運転行動を学習して運転支
援制御を行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処
できる。
そして、この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する
状況下で、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転テクニックをロボットカ
ーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を高効率に向上させることができる。ロボ
ットカーの自動運転性能が向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、
安全性の向上、等が図られる。
[構成1.19]
前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操
作とを対応付けた運転行動情報である、構成1.1乃至1.6のいずれか1の道路交通シ
ステム。
[構成1.20]
前記非ロボットカーは、自車両の運転行動情報を外部に出力する運転行動情報出力部を
有し、前記自車両の運転行動情報は、自車両の走行状況と当該自車両においてなされた運
転操作とを対応付けた運転行動情報である、構成1.1乃至1.3のいずれか1の道路交
通システム。
[構成1.21]
前記ロボットカーは、自車両の運転行動情報を外部に出力する運転行動情報出力部を有
し、前記自車両の運転行動情報は、自車両の走行状況と当該自車両においてなされた運転
操作とを対応付けた運転行動情報である、構成1.4乃至1.6のいずれか1の道路交通
システム。
[構成1.22]
前記非ロボットカーは、自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操
作検出部と、
前記走行状況認知部により認知された走行状況と前記運転操作検出部により検出された運
転操作とを対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行
動情報送信部と、を有する構成1.16乃至1.18のいずれか1の道路交通システム。
[構成1.23]
前記コンピューティングシステムは、1又は複数の車両の運転行動情報を受信する運転
行動情報受信機能と、前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する
最適化情報生成機能と、前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する
最適化情報更新機能と、前記最適化された運転行動情報を1又は複数の車両に送信する運
転行動情報送信機能と、を有する構成1.7乃至1.12のいずれか1の道路交通システ
ム。
[構成1.24]
前記コンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報を受信する運転行
動情報受信機能と、前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最
適化情報生成機能と、前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最
適化情報更新機能と、前記最適化された運転行動情報を非ロボットカーに送信する運転行
動情報送信機能と、を有する、構成1.13乃至1.15のいずれか1の道路交通システ
ム。
[構成1.25]
前記コンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報を受信する運転
行動情報受信機能と、前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する
最適化情報生成機能と、前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する
最適化情報更新機能と、前記最適化された運転行動情報をロボットカーに送信する運転行
動情報送信機能と、を有する、構成1.16乃至1.18のいずれか1の道路交通システ
ム。
[構成1.26]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーが道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステ
ムを備え、前記コンピューティングシステムは、1又は複数のロボットカーの運転行動情
報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報を当該運転行動情報の送信元と
は異なる1又は複数のロボットカーに送信する運転行動情報送信機能と、を有し、
前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情
報を受信する運転行動情報受信部と、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情
報を参照しつつ、自車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて自動
運転制御を行う自動運転制御部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況と自動
運転制御による運転操作とを対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステム
に送信する運転行動情報送信部と、を有し、前記運転行動情報は、前記ロボットカーの走
行状況と運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、ロボットカーから
運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは
異なるロボットカーに送信する。このコンピューティングシステムから運転行動情報を受
信したロボットカーは、他ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況に
基づいて自動運転制御を行う。したがって、当該ロボットカーは、自車両が未経験の状況
においても、当該状況を経験したことのある他ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ
自車両の走行状況に応じた自動運転制御を行うことにより、当該他ロボットカーと同等レ
ベルの運転性能で当該状況に対処できる。
この道路交通システムによれば、ロボットカー同士が運転行動情報を利用し合うことに
より、道路交通システム内のロボットカーの学習効率を高めて、自動運転性能を急速に向
上させることができる。道路交通システム内の全てのロボットカーの自動運転性能を急速
に向上させることができるため、道路交通システム全体の運用効率、安全性、等が急速に
向上する。
[構成1.27]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーが道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステ
ムを備え、前記のコンピューティングシステムは、1又は複数のロボットカーの運転行動
情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報に基づいて最適化された運転
行動情報を生成する最適化情報生成機能と、前記最適化された運転行動情報を最新の情報
に更新して管理する最適化情報更新機能と、前記最適化された運転行動情報を1又は複数
のロボットカーに送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記ロボットカーは、自車
両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を受信する運転行動情報受
信部と、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ、自車両の前
記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御
部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況と自動運転制御による運転操作とを
対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信
部と、を有し、前記運転行動情報は、前記ロボットカーの走行状況と運転操作とを対応付
けた情報である、ことを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、コンピューティングシステムは、ロボットカーから
運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報に基づいて最適化された運転行動
情報を生成し、当該最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理し、当該運転
行動情報をロボットカーに送信する。このコンピューティングシステムから運転行動情報
を受信したロボットカーは、他ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状
況に基づいて自動運転制御を行う。したがって、当該ロボットカーは、自車両が未経験の
状況においても、当該状況を経験したことのある他ロボットカーの運転行動情報に基づい
て最適化された運転行動情報を参照して自動運転制御を行うことにより、当該他ロボット
カーと同等レベルかそれ以上の運転性能で当該状況に対処できる。
この道路交通システムによれば、ロボットカー同士が運転行動情報を利用し合うことに
より、道路交通システム内のロボットカーの学習効率を高めて、自動運転性能を急速に向
上させることができる。道路交通システム内の全てのロボットカーの自動運転性能を急速
に向上させることができるため、道路交通システム全体の運用効率、安全性、等が急速に
向上する。
[構成1.28]
前記最適化された運転行動情報は、前記運転行動情報の提供を受ける車両の車両属性に
応じて最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受ける車両が障害物と接触
する可能性が最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受
ける車両の消費エネルギが最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行動情
報の提供を受ける車両の回生エネルギが最大になるように最適化された運転行動情報、所
定走行距離若しくは所定走行時間における加速回数或いは加速時間が最少になるように最
適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における制動回数又は制動
時間が最少又は最大になるように最適化された運転行動情報、出発地点から到着地点まで
の走行距離が最少になるように最適化された運転行動情報、又は、出発地点から到着地点
までの走行時間が最少になるように最適化された運転行動情報である、構成1.23、1
.24、1.25、1.27のいずれか1の道路交通システム。
[構成1.29]
前記最適化情報生成機能は、前記運転行動情報の提供を受ける車両の走行状況と当該車
両の車両属性とに基づいて、当該車両が障害物と接触する可能性が最も小さくなるように
、前記運転行動情報を修正する機能を含む、構成1.23、1.24、1.25、1.2
7のいずれか1の道路交通システム。
この道路交通システムにおいては、運転行動情報の提供元の車両(提供元車両)の車両
属性と当該運転行動情報の提供を受ける車両(提供先車両)の車両属性が相違する場合、
当該提供先車両が障害物と接触する可能性が最も小さくなるように修正された運転行動情
報が当該提供先車両に提供される。
この道路交通システムによれば、運転行動情報の提供元車両と提供先車両の車両属性が
相違する場合でも、車両同士が運転行動情報を参照して運転支援制御又は自動運転制御を
行うことができる。
[構成1.30]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両は、自車両の運転行
動情報を他車両に提供する機能と、他車両の運転行動情報の提供を受ける機能と、他車両
の運転行動情報に基づいて自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記自車両の運転行
動情報は、自車両の走行状況と当該自車両においてなされた運転操作とを対応付けた運転
行動情報であり、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両において
なされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムの車両同士は、車両間で互いに運転行動情報(経験情報)を提供
し合うことができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。
したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状
況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当
該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.31]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両は、自車両と他車両
との間の通信により当該他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報
を参照して自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車
両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを
特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムの車両は、車車間通信により他車両の運転行動情報(経験情報)
を受け取ることができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用でき
る。したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況においても、当
該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより
、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.32]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両は、自車両と地上静
止物との間の通信により他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報
を参照して自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車
両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを
特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムの車両は、地上静止物との通信により他車両の運転行動情報(経
験情報)を受け取ることができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に
利用できる。したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況におい
ても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うこ
とにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.33]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両は、自車両と道路と
の間の通信により他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報を参照
して自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走
行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴と
する道路交通システム。
この道路交通システムの車両は、路車間通信により他車両の運転行動情報(経験情報)
を受け取ることができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用でき
る。したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況においても、当
該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより
、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.34]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両は、自車両と携帯端
末との間の通信により他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報を
参照して自車両の運転を制御する機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両
の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特
徴とする道路交通システム。
この道路交通システムの車両は、携帯端末との通信により他車両の運転行動情報(経験
情報)を受け取ることができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利
用できる。したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況において
も、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うこと
により、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.35]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記車両は、自車両の運転行
動情報をネットワーク上のコンピューティングシステムにアップロードする機能と、他車
両の運転行動情報をネットワーク上のコンピューティングシステムからダウンロードする
機能と、ネットワーク上のコンピューティングシステムからダウンロードした運転行動情
報に基づいて自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記自車両の運転行動情報は、自
車両の走行状況と当該自車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報であり、前記
他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを
対応付けた情報である、ことを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムの車両は、ネットワークを介して多数の自動車との間で運転行動
情報(経験情報)を提供し合うことができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の
運転制御に利用できる。したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の
状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参照して運転制
御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.36]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、自車両の運転行動情報をネッ
トワーク上のコンピューティングシステムにアップロードする機能と、自車両の運転行動
情報と他車両の運転行動情報とに基づいて生成された運転行動情報をネットワーク上のコ
ンピューティングシステムからダウンロードする機能と、ネットワーク上のコンピューテ
ィングシステムからダウンロードした運転行動情報を参照して自車両の運転を制御する機
能と、を有し、前記自車両の運転行動情報は、自車両の走行状況と当該自車両においてな
された運転操作とを対応付けた情報であり、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行
状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴とす
る道路交通システム。
この道路交通システムの車両は、自車両の運転行動情報(経験情報)をネットワーク上
のコンピューティングシステムにアップロードし、自車両の運転行動情報と他車両の運転
行動情報(経験情報)とに基づいて生成された運転行動情報をネットワーク上のコンピュ
ーティングシステムからダウンロードすることができる。そして、自車両の運転行動情報
と他車両の運転行動情報とに基づいて生成された運転行動情報を自車両の運転制御に利用
できる。したがって、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況においても
、自車両の運転行動情報と当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報とに基づ
いて生成された運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レ
ベルかそれ以上の運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.37]
複数の複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記複数の車両にはヒ
ューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロ
ボットカーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部
と、自車両の周辺物体及び運転操作について学習する学習処理部と、他車両の運転行動情
報を取得する運転行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情
報を参照しつつ自車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況及び前記学習処理
部による学習結果に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、前記他車両
の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付
けた操作履歴情報を含む、ことを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムのロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照し
つつ自車両の走行状況及び自車両の学習結果に基づいて自動運転制御を行う。したがって
、この道路交通システムの車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験し
たことのある他車両の運転行動情報を参照して自動運転制御を行うことにより、当該他車
両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.38]
複数の複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、前記複数の車両にはヒ
ューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされるロ
ボットカーが含まれ、前記ロボットカーは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部
と、自車両の周辺物体及び運転操作について学習する学習処理部と、他車両の運転行動情
報を取得する運転行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情
報を参照しつつ自車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況及び前記学習処理
部による学習結果に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、自車両の運転行動情
報を外部に出力する運転行動情報出力部と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車
両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報であり、前記自
車両の運転行動情報は、自車両の走行状況と自車両の自動運転制御によりなされた運転操
作とを対応付けた情報である、道路交通システム。
この道路交通システムのロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照し
つつ自車両の走行状況及び自車両の学習結果に基づいて自動運転制御を行う。したがって
、この道路交通システムのロボットカーは、未経験の状況においても、当該状況を経験し
たことのある他車両の運転行動情報を参照して自動運転制御を行うことにより、当該他車
両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。また、この道路交通システムのロボ
ットカーは、自車両の運転行動情報(経験情報)を外部に出力するので、ロボットカーか
ら出力された運転行動情報を他車両が参照して運転支援制御又は自動運転制御を行うこと
もできる。当該他車両は、未経験の状況においても、当該状況を経験したことのあるロボ
ットカーの運転行動情報を参照して運転支援制御又は自動運転制御を行うことにより、当
該ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成1.39]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報を受信す
る運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報をロボットカーに送信する運転行動情報送
信機能と、を有し、前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされ
る車両であって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両のヒューマンド
ライバによる運転操作を検出する運転操作検出部と、前記走行状況認知部により認知され
た走行状況と前記運転操作検出部により検出された運転操作とを対応付けた操作履歴情報
を含む運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と
、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転
制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知する走行状況認
知部と、自車両の周辺物体及び運転操作について学習する機械学習部と、前記運転行動情
報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と、前記運転行動
情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ自車両の前記走行状況認知部により
認知された走行状況及び前記機械学習部による学習結果に基づいて自動運転制御を行う自
動運転制御部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムのコンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動
情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報をロボットカーに送信する。このコンピュ
ーティングシステムから運転行動情報を受信したロボットカーは、非ロボットカーの運転
行動情報を参照しつつ自車両の走行状況及び自車両の学習結果に基づいて自動運転制御を
行う。したがって、この道路交通システムのロボットカーは、自車両が未経験の状況にお
いても、当該状況を経験したことのある非ロボットカーの運転行動情報を参照して自動運
転制御を行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処
できる。
この道路交通システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する状況下で
、非ロボットカーを運転するドライバの運転テクニックをロボットカーに学習させて、ロ
ボットカーの自動運転性能を高効率に向上させることができる。ロボットカーの自動運転
性能が向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、等が
図られる。
[構成1.40]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムであって、コンピューティングシステム
を有し、前記コンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報を受信す
る運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生
成する最適化情報生成機能と、前記最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管
理する最適化情報更新機能と、前記最適化された運転行動情報をロボットカーに送信する
運転行動情報送信機能と、を有し、前記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運
転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両
のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検出部と、前記走行状況認知部
により認知された走行状況と前記運転操作検出部により検出された運転操作とを対応付け
た操作履歴情報を含む運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行
動情報送信部と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代
わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知
する走行状況認知部と、自車両の周辺物体及び運転操作について学習する機械学習部と、
前記運転行動情報を前記コンピューティングシステムから受信する運転行動情報受信部と
、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ自車両の前記走行状
況認知部により認知された走行状況及び前記機械学習部による学習結果に基づいて自動運
転制御を行う自動運転制御部と、を有することを特徴とする道路交通システム。
この道路交通システムのコンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動
情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生
成し、当該最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理し、当該運転行動情報
をロボットカーに送信する。このコンピューティングシステムから運転行動情報を受信し
たロボットカーは、非ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況及び自
車両の学習結果に基づいて自動運転制御を行う。したがって、この道路交通システムのロ
ボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある非ロボ
ットカーの運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を参照して自動運転制御を
行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルかそれ以上の運転性能で当該状況に対
処できる。
【0008】
[2.道路交通システムにおける車両の構成とその作用]
本発明の車両には、以下の構成の車両が含まれる。
[構成2.1]
ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーで
あって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得す
る運転行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を参照し
つつ、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて運転支援制御を行う運転
支援制御部と、を有することを特徴とする非ロボットカー。
この非ロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照しつつ自車両の走行
状況に基づいて運転支援制御を行う。
したがって、この非ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経
験したことのある他車両の運転行動情報に基づいて運転支援制御を行うことにより、当該
他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.2]
ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーで
あって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得す
る運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行
すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う運転支援
制御部と、を有し、前記運転支援制御部は、前記運転行動を決定する際に参照する知識情
報(判断基準)を記憶した運転知識部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行
動情報に基づいて、前記運転知識部に記憶されている知識情報を更新する学習処理部(知
識更新処理部)と、を有することを特徴とする非ロボットカー。
この非ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操
作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照し
て走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を
行う。
したがって、この非ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経
験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御を行うことにより、当該他車
両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.3]
ヒューマンドライバによる運転を支援する運転支援制御機能を有する非ロボットカーで
あって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転行動情報を取得す
る運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行
すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う運転支援
制御部と、を有し、前記運転支援制御部は、前記走行状況認知部により認知された走行状
況に応じた運転行動を計算により決定する運転操作決定部と、前記運転行動情報取得部に
より取得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部において使用される運転操作
決定関数のパラメタを調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、を有することを特徴と
する非ロボットカー。
この非ロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて運転操作決定関数のパラメタ
を調整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決
定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う。
したがって、この非ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経
験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御を行うことにより、当該他車
両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.4]
前記運転行動情報取得部は、自車両と他車両との間の通信により当該他車両の運転行動
情報を受信する運転行動情報受信部である、構成2.1乃至2.3のいずれか1の非ロボ
ットカー。
[構成2.5]
前記運転行動情報取得部は、自車両と地上静止物との間の通信により他車両の運転行動
情報を受信する運転行動情報受信部である、構成2.1乃至2.3のいずれか1の非ロボ
ットカー。
[構成2.6]
前記運転行動情報取得部は、自車両と道路との間の通信により他車両の運転行動情報を
受信する運転行動情報受信部である、構成2.1乃至2.3のいずれか1の非ロボットカ
ー。
[構成2.7]
前記運転行動情報取得部は、自車両と携帯端末との間の通信により他車両の運転行動情
報を受信する運転行動情報受信部である、構成2.1乃至2.3のいずれか1の非ロボッ
トカー。
[構成2.8]
前記運転行動情報取得部は、他車両の運転行動情報をネットワーク上のコンピューティ
ングシステムから受信する運転行動情報受信部である、構成2.1乃至2.3のいずれか
1の非ロボットカー。
[構成2.9]
自車両の運転行動情報を外部に出力する運転行動情報出力部を有し、前記自車両の運転
行動情報は、自車両の走行状況と当該自車両においてなされた運転操作とを対応付けた運
転行動情報である、構成2.1乃至2.3のいずれか1の非ロボットカー。
[構成2.10]
自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検出部と、前記走行状
況認知部により認知された走行状況と前記運転操作検出部により検出された運転操作とを
対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信
部と、を有する構成2.1乃至2.3のいずれか1の非ロボットカー。
[構成2.11]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーであって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転
行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転
行動情報を参照しつつ、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて自動運
転制御を行う自動運転制御部と、を有することを特徴とするロボットカー。
このロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照しつつ自車両の走行状
況に基づいて自動運転制御を行う。
したがって、このロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験
したことのある他車両の運転行動情報に基づいて自動運転制御を行うことにより、当該他
車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.12]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーであって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転
行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状
況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制
御を行う自動運転制御部と、を有し、前記自動運転制御部は、前記運転行動決定部が運転
行動を決定する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部と、前記運転行動情報取得部
により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転知識部に記憶されている知識情報を適
宜更新する学習処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴とするロボットカー。
このロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操作
を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照して
走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行
う。
したがって、このロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験
したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を行うことにより、当該他車両
と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.13]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーであって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、他車両の運転
行動情報を取得する運転行動情報取得部と、前記走行状況認知部により認知された走行状
況に基づいて実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制
御を行う自動運転制御部と、を有し、前記自動運転制御部は、前記走行状況認知部により
認知された走行状況に応じた運転行動を計算により決定する運転操作決定部と、前記運転
行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部において使
用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、を有
することを特徴とするロボットカー。
このロボットカーは、他車両の運転行動情報に基づいて運転操作決定関数のパラメタを
調整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定
し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う。
したがって、このロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験
したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を行うことにより、当該他車両
と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.14]
前記運転行動情報取得部は、自車両と他車両との間の通信により当該他車両の運転行動
情報を受信する運転行動情報受信部である、構成2.11乃至2.13のいずれか1のロ
ボットカー。
[構成2.15]
前記運転行動情報取得部は、自車両と地上静止物との間の通信により他車両の運転行動
情報を受信する運転行動情報受信部である、構成2.11乃至2.13のいずれか1のロ
ボットカー。
[構成2.16]
前記運転行動情報取得部は、自車両と道路との間の通信により他車両の運転行動情報を
受信する運転行動情報受信部である、構成2.11乃至2.13のいずれか1のロボット
カー。
[構成2.17]
前記運転行動情報取得部は、自車両と携帯端末との間の通信により他車両の運転行動情
報を受信する運転行動情報受信部である、構成2.11乃至2.13のいずれか1の非ロ
ボットカー。
[構成2.18]
前記運転行動情報取得部は、他車両の運転行動情報をネットワーク上のコンピューティ
ングシステムから受信する運転行動情報受信部である、構成2.11乃至2.13のいず
れか1のロボットカー。
[構成2.19]
前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操
作とを対応付けた情報である、構成2.11乃至2.13のいずれか1のロボットカー。
[構成2.20]
前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操
作とを対応付けた情報である、構成2.11乃至2.13のいずれか1のロボットカー。
[構成2.21]
自車両の運転行動情報を外部に出力する運転行動情報出力部を有し、前記自車両の運転
行動情報は、自車両の走行状況と当該自車両においてなされた運転操作とを対応付けた情
報である、構成2.11乃至2.13のいずれか1のロボットカー。
[構成2.22]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、前記車両は、他車両の
運転行動情報を参照して自車両の運転制御を行う機能を有し、前記他車両の運転行動情報
は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である
、ことを特徴とする車両。
この車両は、他車両の運転行動情報を参照して自車両の運転制御を行う。したがって、
この車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の
運転行動情報に基づいて運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能
で当該状況に対処できる。
[構成2.23]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両の運転行動情報
を他車両に提供する機能と、他車両の運転行動情報の提供を受ける機能と、他車両の運転
行動情報に基づいて自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記自車両の運転行動情報
は、自車両の走行状況と当該自車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報であり
、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操
作とを対応付けた情報である、ことを特徴とする車両。
この車両は、自車両と他車両との間で互いに運転行動情報(経験情報)を提供し合うこ
とができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。したがっ
て、この車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車
両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転
性能で当該状況に対処できる。
[構成2.24]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両と他車両との間
の通信により当該他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報を参照
して自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走
行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴と
する車両。
この車両は、車車間通信により他車両の運転行動情報(経験情報)を受け取ることがで
きる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。したがって、こ
の車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運
転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で
当該状況に対処できる。
[構成2.25]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両と地上静止物と
の間の通信により他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報を参照
して自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走
行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴と
する車両。
この車両は、地上静止物との通信により他車両の運転行動情報(経験情報)を受け取る
ことができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。したが
って、この車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他
車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運
転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.26]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両と道路との間の
通信により他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報を参照して自
車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況
と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴とする車
両。
この車両は、路車間通信により他車両の運転行動情報(経験情報)を受け取ることがで
きる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。したがって、こ
の車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運
転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で
当該状況に対処できる。
[構成2.27]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両と携帯端末との
間の通信により他車両の運転行動情報を受け取る機能と、他車両の運転行動情報を参照し
て自車両の運転を制御する機能と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行
状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴とす
る車両。
この車両は、携帯端末との通信により他車両の運転行動情報(経験情報)を受け取るこ
とができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。したがっ
て、この車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車
両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転
性能で当該状況に対処できる。
[構成2.28]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両の運転行動情報
をネットワーク上のコンピューティングシステムにアップロードする機能と、他車両の運
転行動情報をネットワーク上のコンピューティングシステムからダウンロードする機能と
、ネットワーク上のコンピューティングシステムからダウンロードした運転行動情報に基
づいて自車両の運転制御を行う機能と、を有し、前記自車両の運転行動情報は、自車両の
走行状況と当該自車両においてなされた運転操作とを対応付けた操作履歴情報を含む運転
行動情報であり、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当該他車両において
なされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特徴とする車両。
この車両は、ネットワークを介して多数の自動車との間で運転行動情報(経験情報)を
提供し合うことができる。そして、他車両の運転行動情報を自車両の運転制御に利用でき
る。したがって、この車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したこ
とのある他車両の運転行動情報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等
レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.29]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムの車両であって、自車両の運転行動情報
をネットワーク上のコンピューティングシステムにアップロードする機能と、自車両の運
転行動情報と他車両の運転行動情報とに基づいて生成された運転行動情報をネットワーク
上のコンピューティングシステムからダウンロードする機能と、ネットワーク上のコンピ
ューティングシステムからダウンロードした運転行動情報を参照して自車両の運転を制御
する機能と、を有し、前記自車両の運転行動情報は、自車両の走行状況と当該自車両にお
いてなされた運転操作とを対応付けた情報であり、前記他車両の運転行動情報は、他車両
の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、ことを特
徴とする車両。
この車両は、自車両の運転行動情報(経験情報)をネットワーク上のコンピューティン
グシステムにアップロードし、自車両の運転行動情報と他車両の運転行動情報とに基づい
て生成された運転行動情報をネットワーク上のコンピューティングシステムからダウンロ
ードすることができる。そして、自車両の運転行動情報と他車両の運転行動情報とに基づ
いて生成された運転行動情報を自車両の運転制御に利用できる。したがって、この車両は
、自車両が未経験の状況においても、自車両の運転行動情報と当該状況を経験したことの
ある他車両の運転行動情報とに基づいて生成された運転行動情報を参照して運転制御を行
うことにより、当該他車両と同等レベルかそれ以上の運転性能で当該状況に対処できる。
[構成2.30]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーであって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両の周辺
物体及び運転操作について学習する学習処理部と、他車両の運転行動情報を取得する運転
行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を参照しつつ自
車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況及び前記学習処理部による学習結果
に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有し、前記他車両の運転行動情報は
、他車両の走行状況と当該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報である、
ことを特徴とするロボットカー。
このロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照しつつ自車両の走行状
況及び自車両の学習結果に基づいて自動運転制御を行う。したがって、このロボットカー
は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動
情報を参照して自動運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当
該状況に対処できる。
[構成2.31]
ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされ
るロボットカーであって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両の周辺
物体及び運転操作について学習する学習処理部と、他車両の運転行動情報を取得する運転
行動情報取得部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を参照しつつ自
車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況及び前記学習処理部による学習結果
に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、自車両の運転行動情報を外部に出力す
る運転行動情報出力部と、を有し、前記他車両の運転行動情報は、他車両の走行状況と当
該他車両においてなされた運転操作とを対応付けた情報であり、
前記自車両の運転行動情報は、自車両の走行状況と自車両の前記自動運転制御によりな
された運転操作とを対応付けた情報である、ロボットカー。
このロボットカーは、他車両の運転行動情報(経験情報)を参照しつつ自車両の走行状
況及び自車両の学習結果に基づいて自動運転制御を行う。したがって、このロボットカー
は、未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報を参
照して自動運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に
対処できる。また、このロボットカーは、自車両の運転行動情報(経験情報)を外部に出
力するので、ロボットカーから出力された運転行動情報を他車両が参照して運転支援制御
又は自動運転制御を行うこともできる。当該他車両は、未経験の状況においても、当該状
況を経験したことのあるロボットカーの運転行動情報を参照して運転支援制御又は自動運
転制御を行うことにより、当該ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対処で
きる。
【0009】
[3.コンピューティングシステムの構成とその作用]
本発明のコンピューティングシステムには、以下の構成のコンピューティングシステム
が含まれる。
[構成3.1]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムのコンピューティングシステムであって
、1又は複数の車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情
報を当該運転行動情報の送信元とは異なる1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信
機能と、を有するコンピューティングシステム。
このコンピューティングシステムは、1又は複数の車両の運転行動情報(経験情報)を
受信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる1又は複数の車両に送
信する。このコンピューティングシステムから運転行動情報を受信した車両は、当該運転
行動情報を自車両の運転制御に利用できる。すなわち、当該車両は、自車両が未経験の状
況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報に基づいて運転制御
を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
[構成3.2]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムのコンピューティングシステムであって
、1又は複数の車両の運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情
報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成機能と、前記最適化さ
れた運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能と、前記最適化さ
れた運転行動情報を1又は複数の車両に送信する運転行動情報送信機能と、を有するコン
ピューティングシステム。
このコンピューティングシステムは、1又は複数の車両の運転行動情報(経験情報)を
受信し、当該運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成し、当該最適化さ
れた運転行動情報を最新の情報に更新して管理し、1又は複数の車両に送信する。このコ
ンピューティングシステムから運転行動情報を受信した車両は、当該運転行動情報を自車
両の運転制御に利用できる。すなわち、当該車両は、自車両が未経験の状況においても、
当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情
報を参照して運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルかそれ以上の運転性能
で当該状況に対処できる。
[構成3.3]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムのコンピューティングシステムであって
、ロボットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情報
を非ロボットカーに送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記ロボットカーは、ヒ
ューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車
両であって、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記走行状況認知部により
認知された走行状況と自動運転制御による運転操作とを対応付けた運転行動情報を前記コ
ンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と、を有し、前記非ロボットカ
ーは、ヒューマンドライバにより運転を支援する運転支援機能を有する車両であって、自
車両の走行状況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を受信する運転行動情報
受信部と、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ、自車両の
前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて運転支援制御を行う運転支援制
御部と、を有することを特徴とするコンピューティングシステム。
このコンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報(経験情報)を受
信し、当該運転行動情報を非ロボットカーに送信する。コンピューティングシステムから
運転行動情報を受信したロボットカーは、当該運転行動情報を参照しつつ、自車両の走行
状況に基づいて運転支援制御を行う。したがって、非ロボットカーは、自車両が未経験の
状況においても、当該状況を経験したことのあるロボットカーの運転行動情報を参照しつ
つ運転支援制御を行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状
況に対処できる。
そして、このコンピューティングシステムによれば、ロボットカーと非ロボットカーと
が共存する状況下で、ロボットカーの運転テクニックを非ロボットカーに学習させて、非
ロボットカーの運転支援性能を高効率に向上させることができる。非ロボットカーの運転
支援性能が向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、
等が図られる。
[構成3.4]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムのコンピューティングシステムであって
、非ロボットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運転行動情
報をロボットカーに送信する運転行動情報送信機能と、を有し、前記非ロボットカーは、
ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知す
る走行状況認知部と、自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検
出部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況と前記運転操作検出部により検出
された運転操作とを対応付けた運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信す
る運転行動情報送信部と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転
操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状
況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、前
記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ、自車両の前記走行状況
認知部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、を有
することを特徴とするコンピューティングシステム。
このコンピューティングシステムは、非ロボットカーから運転行動情報(経験情報)を
受信し、当該運転行動情報をロボットカーに送信する。コンピューティングシステムから
運転行動情報を受信したロボットカーは、当該運転行動情報を参照しつつ、自車両の走行
状況に基づいて自動運転制御を行う。したがって、ロボットカーは、自車両が未経験の状
況においても、当該状況を経験したことのある非ロボットカーの運転行動情報を参照しつ
つ自動運転制御を行うことにより、当該非ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状
況に対処できる。
そして、このコンピューティングシステムによれば、ロボットカーと非ロボットカーと
が共存する状況下で、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転テクニックを
ロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を高効率に向上させることがで
きる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、道路交通システム全体の運用効
率の向上、安全性の向上、等が図られる。
[構成3.5]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムのコンピューティングシステムであって
、1又は複数のロボットカーの運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運
転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なる1又は複数のロボットカーに送信する
運転行動情報送信機能と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転
操作の代わりに自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状
況を認知する走行状況認知部と、前記運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、前
記運転行動情報受信部により受信した運転行動情報を参照しつつ、自車両の前記走行状況
認知部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、前記
走行状況認知部により認知された走行状況と自動運転制御による運転操作とを対応付けた
運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と、を有
し、前記運転行動情報は、前記ロボットカーの走行状況と運転操作とを対応付けた情報で
ある、コンピューティングシステム。
このコンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報(経験情報)を受
信し、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは異なるロボットカーに送信する
。このコンピューティングシステムから運転行動情報を受信したロボットカーは、他ロボ
ットカーの運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況に基づいて自動運転制御を行う。
したがって、当該ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験し
たことのある他ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況に応じた自動
運転制御を行うことにより、当該他ロボットカーと同等レベルの運転性能で当該状況に対
処できる。
このコンピューティングシステムによれば、道路交通システム内のロボットカー同士が
運転行動情報を利用し合うことにより、道路交通システム内のロボットカーの学習効率を
高めて、自動運転性能を急速に向上させることができる。道路交通システム内の全てのロ
ボットカーの自動運転性能を急速に向上させることができるため、道路交通システム全体
の運用効率、安全性、等が急速に向上する。
[構成3.6]
複数の車両が道路を走行する道路交通システムのコンピューティングシステムであって
、1又は複数のロボットカーの運転行動情報を受信する運転行動情報受信機能と、前記運
転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成機能と、前記
最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能と、前記
最適化された運転行動情報を1又は複数のロボットカーに送信する運転行動情報送信機能
と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運
転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知する走行状況
認知部と、前記運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、前記運転行動情報受信部
により受信した運転行動情報を参照しつつ、自車両の前記走行状況認知部により認知され
た走行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御部と、前記走行状況認知部により
認知された走行状況と自動運転制御による運転操作とを対応付けた運転行動情報を前記コ
ンピューティングシステムに送信する運転行動情報送信部と、を有し、前記運転行動情報
は、前記ロボットカーの走行状況と運転操作とを対応付けた情報である、コンピューティ
ングシステム。
このコンピューティングシステムは、ロボットカーから運転行動情報(経験情報)を受
信し、当該運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成し、当該最適化され
た運転行動情報を最新の情報に更新して管理し、当該運転行動情報をロボットカーに送信
する。このコンピューティングシステムから運転行動情報を受信したロボットカーは、他
ロボットカーの運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況に基づいて自動運転制御を行
う。したがって、当該ロボットカーは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経
験したことのある他ロボットカーの運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を
参照して自動運転制御を行うことにより、当該他ロボットカーと同等レベルかそれ以上の
運転性能で当該状況に対処できる。
このコンピューティングシステムによれば、道路交通システム内のロボットカー同士が
運転行動情報を利用し合うことにより、道路交通システム内のロボットカーの学習効率を
高めて、自動運転性能を急速に向上させることができる。道路交通システム内の全てのロ
ボットカーの自動運転性能を急速に向上させることができるため、道路交通システム全体
の運用効率、安全性、等が急速に向上する。
[構成3.7]
前記最適化された運転行動情報は、前記運転行動情報の提供を受ける車両の車両属性に
応じて最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受ける車両が障害物と接触
する可能性が最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受
ける車両の消費エネルギが最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行動情
報の提供を受ける車両の回生エネルギが最大になるように最適化された運転行動情報、所
定走行距離若しくは所定走行時間における加速回数或いは加速時間が最少になるように最
適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における制動回数又は制動
時間が最少又は最大になるように最適化された運転行動情報、出発地点から到着地点まで
の走行距離が最少になるように最適化された運転行動情報、又は、出発地点から到着地点
までの走行時間が最少になるように最適化された運転行動情報である、構成3.2又は3
.6のコンピューティングシステム。
[構成3.8]
前記最適化情報生成機能は、前記運転行動情報の提供を受ける車両の車両属性に基づい
て、当該車両が障害物と接触する可能性が最も小さくなるように、前記運転行動情報を修
正する機能を含む、構成3.2、3.6のいずれか1のコンピューティングシステム。
このコンピューティングシステムは、運転行動情報の提供元の車両(提供元車両)の車
両属性と当該運転行動情報の提供を受ける車両(提供先車両)の車両属性が相違する場合
、当該提供先車両が障害物と接触する可能性が最も小さくなるように修正された運転行動
情報が当該提供先車両に提供する。
このコンピューティングシステムによれば、運転行動情報の提供元車両と提供先車両の
車両属性が相違する場合でも、車両同士が運転行動情報を参照して運転支援制御又は自動
運転制御を行うことができる。
【0010】
[4.コンピュータプログラム]
本発明のコンピュータプログラムには、以下の構成のプログラムが含まれる。
[構成4.1]
構成1.1乃至1.39のいずれかに記載の道路交通システムを1又は複数のコンピュ
ータを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムを道路交通システムを構成する1又は複数のコンピュータ
により実行することにより、構成1.1乃至1.39のいずれか1の道路交通システムが
実現される。
[構成4.2]
構成2.1乃至2.10のいずれかに記載の非ロボットカーを1又は複数のコンピュー
タを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムを非ロボットカーを構成する1又は複数のコンピュータに
より実行することにより、構成2.1乃至2.10のいずれかに記載の非ロボットカーが
実現される。
[構成4.3]
構成2.11乃至2.22、構成2.30、構成2.31のいずれかに記載のロボット
カーを1又は複数のコンピュータを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムをロボットカーを構成する1又は複数のコンピュータによ
り実行することにより、構成2.11乃至2.22、構成2.30、構成2.31のいず
れかに記載の非ロボットカーが実現される。
[構成4.1]
構成3.1乃至3.8のいずれか1のコンピューティングシステムを1又は複数のコン
ピュータにより実現するためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムを1又は複数のコンピュータにより実行することにより、
構成3.1乃至3.8のいずれか1のコンピューティングシステムが実現される。
【0011】
[5.車両共用システムの構成とその作用]
構成1.1乃至1.40のいずれか1の道路交通システムにおいて、車両を複数の利用
者によって共用することを特徴とする車両共用システム。
本発明によれば、本発明の道路交通システムを利用して、車両共用システムを構築でき
る。
本発明の車両共用システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する状況
下で、ロボットカーの運転テクニックを非ロボットカーに学習させて、非ロボットカーの
運転支援性能を高効率に向上させることができる。非ロボットカーの運転支援性能が向上
するにつれて、車両共用システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、顧客満足度の向
上、等が図られる。
本発明の車両共用システムによれば、ロボットカーと非ロボットカーとが共存する状況
下で、ロボットカーの運転テクニックを非ロボットカーに学習させて、非ロボットカーの
運転支援性能を高効率に向上させることができる。非ロボットカーの運転支援性能が向上
するにつれて、車両共用システム全体の運用効率の向上、安全性の向上、顧客満足度の向
上、等が図られる。
本発明の車両共用システムによれば、車両共用システム内のロボットカー同士が運転行
動情報を利用し合うことにより、車両共用システム内のロボットカーの学習効率を高めて
、自動運転性能を急速に向上させることができる。車両共用システム内の全てのロボット
カーの自動運転性能を急速に向上させることができるため、車両共用システム全体の運用
効率、安全性、顧客満足度、等が急速に向上する。
【0012】
[6.コンピュータプログラム]
本発明の車両共用システムを1又は複数のコンピュータを用いて実現するためのコンピ
ュータプログラム。
このコンピュータプログラムを1又は複数のコンピュータにより実行することにより、
本発明の道路交通システムを利用して、車両共用システムを構築できる。
[7.ロボットカー教習システムの構成とその作用]
本発明のロボットカー教習システムには、以下の構成のシステムが含まれる。
[構成7.1]
ロボットカーと、当該ロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカーとを有し、前
記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両であって、自車
両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両のヒューマンドライバによる運転操作
を検出する運転操作検出部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況と前記運転
操作検出部により検出された運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力する運転行動情
報出力部と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わり
に自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知する
走行状況認知部と、前記非ロボットカーの運転行動情報を取得する運転行動情報取得部と
、自車両の前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて自動運転制御を行う
とともに、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報に基づいて前記非ロボッ
トカーの運転行動を学習する学習処理を行う自動運転制御部と、を有することを特徴とす
るロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムにおいては、非ロボットカーは、自車両の走行状況と自
車両のヒューマンドライバによりなされた運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力す
る。ロボットカーは、非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する。そして、
ロボットカーは、自車両の走行状況に基づいて自動運転制御を行うとともに、取得した運
転行動情報に基づいて非ロボットカーの運転行動を学習する。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライ
バの運転行動をロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させるこ
とができる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・
信頼性が向上し、ひいてはロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム
全体の安全性・信頼性が向上する。
[構成7.2]
前記自動運転制御部は、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を学習デ
ータセット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該運転行
動情報に含まれる個々の走行状況において前記非ロボットカーと同じ運転操作(正解の操
作)が自車両においてなされるように学習処理(教師あり学習による学習処理)を行う、
構成7.1のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーの運転行動情報を学習データ
セットとする教師あり学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転
行動をロボットカーに学習させることができる。
[構成7.3]
前記自動運転制御部は、前記非ロボットカーの運転行動情報から把握される非ロボット
カーの運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボ
ットカーの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え
、最も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように学習処理(強化学習による学習処
理)を行う、構成7.1のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーの運転行動情報に基づく強化
学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに
学習させることができる。
[構成7.4]
ロボットカーと、当該ロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカーとを有し、前
記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両であって、自車
両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両のヒューマンドライバによる運転操作
を検出する運転操作検出部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況と前記運転
操作検出部により検出された運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力する運転行動情
報出力部と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わり
に自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知する
走行状況認知部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき
運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部
と、前記非ロボットカーから出力された前記運転行動情報を取得する運転行動情報取得部
と、を有し、前記自動運転制御部は、前記運転操作を決定する際に参照する知識情報(判
断基準等)を記憶した運転知識部と、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情
報に基づいて、前記運転知識部に記憶されている知識情報を更新する学習処理を行う学習
処理部(知識更新処理部)と、を有することを特徴とするロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムにおいては、非ロボットカーは、自車両の走行状況と自
車両のヒューマンドライバによりなされた運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力す
る。ロボットカーは、非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する。そして、
ロボットカーは、知識情報を参照して走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作
が実行されるように自動運転制御を行うとともに、取得した運転行動情報に基づいて知識
情報(実行すべき運転操作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行う。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライ
バの運転行動をロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させるこ
とができる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・
信頼性が向上し、ひいてはロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム
全体の安全性・信頼性が向上する。
[構成7.5]
前記学習処理部は、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を学習データ
セット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該運転行動情
報に含まれる個々の走行状況において前記非ロボットカーと同じ運転操作(正解の操作)
が自車両においてなされるように、前記運転知識部に記憶された知識情報を更新する学習
処理(教師あり学習による学習処理)を行う、構成7.4のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーの運転行動情報を学習データ
セットとする教師あり学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転
行動をロボットカーに学習させることができる。
[構成7.6]
前記学習処理部は、前記非ロボットカーの運転行動情報から把握される非ロボットカー
の運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボット
カーの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、最
も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように前記運転知識部に記憶された知識情報
を更新する学習処理(強化学習による学習処理)を行う、構成1.4のロボットカー教習
システム。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーの運転行動情報に基づく強化
学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに
学習させることができる。
[構成7.7]
ロボットカーと、当該ロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカーとを有し、前
記非ロボットカーは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両であって、自車
両の走行状況を認知する走行状況認知部と、自車両のヒューマンドライバによる運転操作
を検出する運転操作検出部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況と前記運転
操作検出部により検出された運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力する運転行動情
報出力部と、を有し、前記ロボットカーは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わり
に自動運転制御によって運転操作がなされる車両であって、自車両の走行状況を認知する
走行状況認知部と、前記走行状況認知部により認知された走行状況に基づいて実行すべき
運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御部
と、前記非ロボットカーから出力された前記運転行動情報を取得する運転行動情報取得部
と、を有し、前記自動運転制御部は、前記走行状況認知部により認知された走行状況に応
じた運転行動を計算により決定する運転操作決定部と、前記運転行動情報取得部により取
得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定部において使用される運転操作決定関
数のパラメタを調整する学習処理部(パラメタ調整部)と、を有することを特徴とするロ
ボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムにおいては、非ロボットカーは、自車両の走行状況と自
車両のヒューマンドライバによりなされた運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力す
る。ロボットカーは、非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する。そして、
ロボットカーは、自車両の走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し、
当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行うとともに、取得した運転行動情報に
基づいて運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行う。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライ
バの運転行動をロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させるこ
とができる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・
信頼性が向上し、ひいてはロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム
全体の安全性・信頼性が向上する。
[構成7.8]
前記学習処理部は、前記運転行動情報取得部により取得した運転行動情報を学習データ
セット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該運転行動情
報に含まれる個々の走行状況において前記非ロボットカーと同じ運転操作(正解の操作)
が自車両においてなされるように、前記運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理
(教師あり学習による学習処理)を行う、構成9.7のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーの運転行動情報を学習データ
セットとする教師あり学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転
行動をロボットカーに学習させることができる。
[構成7.9]
前記学習処理部は、前記非ロボットカーの運転行動情報から把握される非ロボットカー
の運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボット
カーの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、最
も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように前記運転操作決定関数のパラメタを調
整する学習処理(強化学習による学習処理)を行う、構成9.7のロボットカー教習シス
テム。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーの運転行動情報に基づく強化
学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに
学習させることができる。
[構成7.10]
前記非ロボットカーが前記経路を前記ロボットカーよりも先に走行することを特徴とす
る、構成9.1乃至9.9のいずれか1のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムでは、同じ経路を先に走行した非ロボットカーの運転行
動情報に基づいて、当該非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボ
ットカーに学習させる。
このロボットカー教習システムによれば、ロボットカーに新たな状況を経験させつつ、
当該状況を既に経験した非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボ
ットカーに学習(事前情報に基づく学習)させることができる。
[構成7.11]
前記非ロボットカーが前記経路を前記ロボットカーよりも後に走行することを特徴とす
る、構成7.1乃至7.9のいずれか1のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムでは、同じ経路を後に走行した非ロボットカーの運転行
動情報に基づいて、当該非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボ
ットカーに学習させる。
このロボットカー教習システムによれば、ロボットカーに新たな状況を経験させた後で
、当該状況を経験した非ロボットカーのヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに
学習(事後情報に基づく学習)させることができる。
[構成7.12]
コンピューティングシステムを有し、前記コンピューティングシステムは、前記非ロボ
ットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信部と、前記運転行動情報を前記ロ
ボットカーに送信する運転行動情報送信部と、を有し、前記運転行動情報出力部は、前記
非ロボットカーの運転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信する運転行動情
報送信部であり、前記運転行動情報取得部は、前記運転行動情報を前記コンピューティン
グシステムから受信する運転行動情報受信部である、構成7.1乃至7.11のいずれか
1のロボットカー教習システム。

このロボットカー教習システムにおいては、コンピューティングシステムが、非ロボッ
トカーから運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報をロボットカーに送信
する。
このロボットカー教習システムによれば、ロボットカーは、コンピューティングシステム
を介して非ロボットカーの運転行動情報を取得し、その運転行動情報に基づいて、非ロボ
ットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習することができる。
[構成7.13]
前記コンピューティングシステムは、前記運転行動情報受信部により受信した運転行動
情報に基づいて、最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成部と、
前記最適化情報生成部により生成された最新の運転行動情報を前記ロボットカーに送信
する運転行動情報送信部と、を有する構成7.12のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムにおいては、コンピューティングシステムは、非ロボッ
トカーから運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報に基づいて最適化され
た運転行動情報を生成し、当該最適化された運転行動情報をロボットカーに送信する。コ
ンピューティングシステムから最適化された運転行動情報を受信したロボットカーは、当
該最適化された運転行動情報に基づいて、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバ
の運転行動を学習することができる。
[構成7.14]
前記最適化された運転行動情報は、前記運転行動情報の提供を受けるロボットカーの車
両属性に応じて最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受けるロボットカ
ーが障害物と接触する可能性が最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行
動情報の提供を受けるロボットカーの消費エネルギが最少になるように最適化された運転
行動情報、前記運転行動情報の提供を受けるロボットカーの回生エネルギが最大になるよ
うに最適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における加速回数或
いは加速時間が最少になるように最適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定
走行時間における制動回数又は制動時間が最少又は最大になるように最適化された運転行
動情報、出発地点から到着地点までの走行距離が最少になるように最適化された運転行動
情報、又は、出発地点から到着地点までの走行時間が最少になるように最適化された運転
行動情報である、構成7.13のロボットカー教習システム。
[構成7.15]
前記自動運転制御部は、多層ニューラルネット・プログラムがインストールされており
、当該多層ニューラルネット・プログラムにより前記学習処理を行う、構成7.1乃至7
.9のいずれかのロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、多層ニューラルネット・プログラムにより実
現される深層学習機能をロボットカーに持たせ、非ロボットカーを運転するヒューマンド
ライバの運転行動(認識、判断・計画、操作)の特徴をロボットカーに自ら抽出させて学
習を行わせることができる。
[構成7.16]
前記自動運転制御部は、ニューロモーフィック・チップを備え、当該ニューロモーフィ
ック・チップにより前記学習処理を行う、構成7.1乃至7.9のいずれかのロボットカ
ー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、ニューロモーフィック・チップにより実現さ
れる深層学習機能をロボットカーに持たせ、非ロボットカーを運転するヒューマンドライ
バの運転行動(認識、判断・計画、操作)の特徴をロボットカーに自ら抽出させて学習を
行わせることができる。
[構成7.17]
前記ニューロモーフィック・チップには、スパイキング・ニューラルネットが実装され
ている、構成7.16のロボットカー教習システム。
このロボットカー教習システムによれば、スパイキング・ニューラルネットにより実現
される本物の脳を模した学習機能をロボットカーに持たせ、非ロボットカーを運転するヒ
ューマンドライバの運転行動(認識、判断・計画、操作)の特徴をロボットカーに自ら抽
出させて学習を行わせることができる。
【0013】
[9.ロボットカー教習方法の構成とその作用]
本発明のロボットカー教習方法には、以下の構成のロボットカー教習方法が含まれる。
[構成8.1]
非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習させる
ことにより当該ロボットカーの運転教習を行うロボットカー教習方法であって、非ロボッ
トカーがロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカー走行ステップと、前記経路を
走行中に非ロボットカーが自車両の走行状況を認知する非ロボットカー走行状況認知ステ
ップと、前記経路を走行中に非ロボットカーが自車両のヒューマンドライバによる運転操
作を検出する運転操作検出ステップと、前記走行状況と前記運転操作とを対応付けた運転
行動情報を非ロボットカーが出力する運転行動情報出力ステップと、ロボットカーが前記
経路を走行するロボットカー走行ステップと、前記経路を走行中にロボットカーが自車両
の走行状況を認知するロボットカー走行状況認知ステップと、ロボットカーが非ロボット
カーの運転行動情報を取得する運転行動情報取得ステップと、ロボットカーが自車両の走
行状況に基づいて自動運転制御を行う自動運転制御ステップと、前記運転行動情報に基づ
いてロボットカーが非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習する
学習ステップと、を有することを特徴とするロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法においては、非ロボットカーは、自車両の走行状況と自車両
のヒューマンドライバによりなされた運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力する。
ロボットカーは、非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する。そして、ロボ
ットカーは、自車両の走行状況に基づいて自動運転制御を行うとともに、取得した運転行
動情報に基づいて非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習する。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの
運転行動をロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させることが
できる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・信頼
性が向上し、ひいてはロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム全体
の安全性・信頼性が向上する。
[構成8.2]
前記学習ステップは、前記運転行動情報取得ステップにより取得した運転行動情報を学
習データセット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該運
転行動情報に含まれる個々の走行状況において前記非ロボットカーと同じ運転操作(正解
の操作)が自車両においてなされるように学習処理(教師あり学習による学習処理)を行
うステップである、構成8.1のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーの運転行動情報を学習データセッ
トとする教師あり学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動
をロボットカーに学習させることができる。
[構成8.3]
前記学習ステップは、前記非ロボットカーの運転行動情報から把握される非ロボットカ
ーの運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボッ
トカーの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、
最も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように学習処理(強化学習による学習処理
)を行うステップである、構成8.1のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーの運転行動情報に基づく強化学習
により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習
させることができる。
[構成8.4]
非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習させる
ことにより当該ロボットカーの運転教習を行うロボットカー教習方法であって、非ロボッ
トカーがロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカー走行ステップと、前記経路を
走行中に非ロボットカーが自車両の走行状況を認知する非ロボットカー走行状況認知ステ
ップと、前記経路を走行中に非ロボットカーが自車両のヒューマンドライバによる運転操
作を検出する運転操作検出ステップと、前記走行状況と前記運転操作とを対応付けた運転
行動情報を非ロボットカーが出力する運転行動情報出力ステップと、ロボットカーが前記
経路を走行するロボットカー走行ステップと、前記経路を走行中にロボットカーが自車両
の走行状況を認知するロボットカー走行状況認知ステップと、前記ロボットカーが非ロボ
ットカーの運転行動情報を取得する運転行動情報取得ステップと、ロボットカーが自車両
の走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定する運転操作決定ステップと、前記運転
操作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御ステップと、前記運転操作を決
定する際に参照する知識情報(判断基準等)を記憶する運転知識記憶ステップと、前記運
転行動情報取得ステップにより取得した運転行動情報に基づいて、前記知識情報を更新す
る学習処理を行う学習ステップと、を有することを特徴とするロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法においては、非ロボットカーは、自車両の走行状況と自車両
のヒューマンドライバによりなされた運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力する。
ロボットカーは、非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する。そして、ロボ
ットカーは、知識情報を参照して走行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実
行されるように自動運転制御を行うとともに、取得した運転行動情報に基づいて知識情報
(実行すべき運転操作を決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行う。
このロボットカー教習システムによれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライ
バの運転行動をロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させるこ
とができる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・
信頼性が向上し、ひいてはロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム
全体の安全性・信頼性が向上する。
[構成8.5]
前記学習ステップは、前記運転行動情報取得ステップにより取得した運転行動情報を学
習データセット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該運
転行動情報に含まれる個々の走行状況において前記非ロボットカーと同じ運転操作(正解
の操作)が自車両においてなされるように、前記運転知識記憶ステップにより記憶された
知識情報を更新する学習処理(教師あり学習による学習処理)を行うステップである、構
成8.4のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーの運転行動情報を学習データセッ
トとする教師あり学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動
をロボットカーに学習させることができる。
[構成8.6]
前記学習ステップは、前記非ロボットカーの運転行動情報から把握される非ロボットカ
ーの運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボッ
トカーの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、
最も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように前記運転知識記憶ステップにより記
憶された知識情報を更新する学習処理(強化学習による学習処理)を行うステップである
、構成8.4のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーの運転行動情報に基づく強化学習
により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習
させることができる。
[構成8.7]
非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習させる
ことにより当該ロボットカーの運転教習を行うロボットカー教習方法であって、非ロボッ
トカーがロボットカーと同じ経路を走行する非ロボットカー走行ステップと、前記経路を
走行中に非ロボットカーが自車両の走行状況を認知する非ロボットカー走行状況認知ステ
ップと、前記経路を走行中に非ロボットカーが自車両のヒューマンドライバによる運転操
作を検出する運転操作検出ステップと、前記走行状況と前記運転操作とを対応付けた運転
行動情報を非ロボットカーが出力する運転行動情報出力ステップと、ロボットカーが前記
経路を走行するロボットカー走行ステップと、前記経路を走行中にロボットカーが自車両
の走行状況を認知するロボットカー走行状況認知ステップと、前記ロボットカーが非ロボ
ットカーの運転行動情報を取得する運転行動情報取得ステップと、ロボットカーが自車両
の走行状況に応じた運転行動を計算により決定する運転操作決定ステップと、前記運転操
作が実行されるように自動運転制御を行う自動運転制御ステップと、前記運転行動情報取
得ステップにより取得した運転行動情報に基づいて、前記運転操作決定ステップにおいて
使用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行う学習ステップと、を有
することを特徴とするロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法においては、非ロボットカーは、自車両の走行状況と自車両
のヒューマンドライバによりなされた運転操作とを対応付けた運転行動情報を出力する。
ロボットカーは、非ロボットカーから出力された運転行動情報を取得する。そして、ロボ
ットカーは、自車両の走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し、当該
運転操作が実行されるように自動運転制御を行うとともに、取得した運転行動情報に基づ
いて運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理を行う。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの
運転行動をロボットカーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させることが
できる。ロボットカーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・信頼
性が向上し、ひいてはロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム全体
の安全性・信頼性が向上する。
[構成8.8]
前記学習ステップは、前記運転行動情報取得ステップにより取得した運転行動情報を学
習データセット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該運
転行動情報に含まれる個々の走行状況において前記非ロボットカーと同じ運転操作(正解
の操作)が自車両においてなされるように、前記運転操作決定関数のパラメタを調整する
学習処理(教師あり学習による学習処理)を行うステップである、構成8.7のロボット
カー教習方法。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーの運転行動情報を学習データセッ
トとする教師あり学習により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動
をロボットカーに学習させることができる。
[構成8.9]
前記学習ステップは、前記非ロボットカーの運転行動情報から把握される非ロボットカ
ーの運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボッ
トカーの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、
最も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように前記運転操作決定関数のパラメタを
調整する学習処理(強化学習による学習処理)を行うステップである、構成8.7のロボ
ットカー教習方法。
このロボットカー教習方法によれば、非ロボットカーの運転行動情報に基づく強化学習
により、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習
させることができる。
[構成8.10]
前記非ロボットカーが前記経路を前記ロボットカーよりも先に走行することを特徴とす
る、構成8.1乃至8.9のいずれか1のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法では、同じ経路を先に走行した非ロボットカーの運転行動情
報に基づいて、当該非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボット
カーに学習させる。
このロボットカー教習方法によれば、ロボットカーに新たな状況を経験させつつ、当該
状況を既に経験した非ロボットカーのヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学
習(事前情報に基づく学習)させることができる。
[構成8.11]
前記非ロボットカーが前記経路を前記ロボットカーよりも後に走行することを特徴とす
る、構成8.1乃至8.9のいずれか1のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法では、同じ経路を後に走行した非ロボットカーの運転行動情
報に基づいて、当該非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボット
カーに学習させる。
このロボットカー教習方法によれば、ロボットカーに新たな状況を経験させた後で、当
該状況を経験した非ロボットカーのヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習
(事後情報に基づく学習)させることができる。
[構成8.12]
コンピューティングシステムを使用し、前記コンピューティングシステムが前記非ロボ
ットカーから運転行動情報を受信する運転行動情報受信ステップと、前記コンピューティ
ングシステムが前記運転行動情報を前記ロボットカーに送信する運転行動情報送信ステッ
プと、を有し、前記運転行動情報出力ステップは、前記非ロボットカーが自車両の前記運
転行動情報を前記コンピューティングシステムに送信するステップであり、前記運転行動
情報取得ステップは、前記ロボットカーが前記運転行動情報を前記コンピューティングシ
ステムから受信するステップである、構成8.1乃至8.9のいずれか1のロボットカー
教習方法。
このロボットカー教習方法においては、コンピューティングシステムが、非ロボットカ
ーから運転行動情報(経験情報)を受信し、当該運転行動情報をロボットカーに送信する

このロボットカー教習方法によれば、ロボットカーは、コンピューティングシステムを
介して非ロボットカーの運転行動情報を取得し、その運転行動情報に基づいて、非ロボッ
トカーを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習することができる。
[構成8.13]
前記コンピューティングシステムが前記運転行動情報受信ステップにより受信した運転
行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成ステップと、前
記コンピューティングシステムが前記最適化情報生成ステップにより生成された最新の運
転行動情報を前記ロボットカーに送信する運転行動情報送信ステップと、を有する構成8
.12のロボットカー教習方法。
このロボットカー教習方法においては、コンピューティングシステムは、非ロボットカ
ーから受信した運転行動情報(経験情報)に基づいて最適化された運転行動情報を生成し
、当該最適化された運転行動情報をロボットカーに送信する。コンピューティングシステ
ムから最適化された運転行動情報を受信したロボットカーは、当該最適化された運転行動
情報に基づいて、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習するこ
とができる。
[構成8.14]
前記最適化された運転行動情報は、前記運転行動情報の提供を受けるロボットカーの車
両属性に応じて最適化された運転行動情報、前記運転行動情報の提供を受けるロボットカ
ーが障害物と接触する可能性が最少になるように最適化された運転行動情報、前記運転行
動情報の提供を受けるロボットカーの消費エネルギが最少になるように最適化された運転
行動情報、前記運転行動情報の提供を受けるロボットカーの回生エネルギが最大になるよ
うに最適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における加速回数或
いは加速時間が最少になるように最適化された運転行動情報、所定走行距離若しくは所定
走行時間における制動回数又は制動時間が最少又は最大になるように最適化された運転行
動情報、出発地点から到着地点までの走行距離が最少になるように最適化された運転行動
情報、又は、出発地点から到着地点までの走行時間が最少になるように最適化された運転
行動情報である、構成8.13のロボットカー教習方法。
【0014】
[9.コンピュータプログラム]
本発明のコンピュータプログラムには、以下の構成のプログラムが含まれる。
[構成9.1]
構成7.1乃至7.17のいずれかに記載のロボットカー教習システムを1又は複数の
コンピュータを用いて実現するためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムを1又は複数のコンピュータにより実行することにより、
構成7.1乃至7.17のいずれか1のロボットカー教習システムが実現される。
[構成9.2]
構成8.1乃至8.15のいずれかに記載のロボットカー教習方法を1又は複数のコン
ピュータを用いて実施するためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムを1又は複数のコンピュータにより実行することにより、
構成8.1乃至8.15のいずれかに記載のロボットカー教習方法が実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の車両が道路を走行する道路交通システムにおいて、各車両は、
自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情報
に基づいて運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当該状況に
対処できる。
本発明によれば、車両を複数の利用者によって共用する車両共用システムにおいて、各
車両は、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転
行動情報に基づいて運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルの運転性能で当
該状況に対処できる。
本発明によれば、非ロボットカーを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボット
カーに学習させて、ロボットカーの自動運転性能を向上させることができる。ロボットカ
ーの自動運転性能が向上するにつれて、ロボットカーの安全性・信頼性が向上し、ひいて
はロボットカーと非ロボットカーとが共存する道路交通システム全体の安全性・信頼性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の道路交通システムの構成例を示す概念図
図2】本発明の道路交通システムにおける車両(自動車)のシステム構成の一例を 示す機能ブロック図
図3】本発明の道路交通システムの実施形態についての説明図
図4】運転行動情報のデータ構造を例示する概念図
図5】(A):データIDについての説明図 (B):経路IDについての説明図
図6】走行経路についての説明図
図7】他車両から自車両への運転操作情報の受け渡しの方法の一例を示す説明図
図8】他車両から自車両への運転操作情報の受け渡しの方法の一例を示す説明図
図9】他車両から自車両への運転操作情報の受け渡しの方法の一例を示す説明図
図10】他車両から自車両への運転操作情報の受け渡しの方法の一例を示す説明図
図11】他車両から自車両への運転操作情報の受け渡しの方法の一例を示す説明図
図12】本発明の道路交通システムにおける車両(自動車)の別の実施形態につい ての説明図
図13図12に続く説明図
図14図12及び図13を前提とする実施形態の説明図
図15】本発明の道路交通システムにおけるコンピューティングシステムの実施形 態の一例を示す概念図
図16】本発明の道路交通システムにおけるコンピューティングシステムの別の実 施形態の一例を示す概念図
図17】本発明の道路交通システムの別の構成例を示す概念図
図18】本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図
図19】本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図
図20】本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図
図21】本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図
図22】(A):図17乃至図21中のロボットカーの自動運転制御部の構成例を 示す機能ブロック図 (B):図19中の非ロボットカーの運転支援制御部の構成例 を示す機能ブロック図
図23】(A):図17乃至図21中のロボットカーの自動運転制御部の別の構成 例を示す機能ブロック図 (B):図19中の非ロボットカーの運転支援制御部の別 の構成例を示す機能ブロック図
図24】本発明のロボットカー教習システムの構成例を示す概念図
図25】本発明のロボットカー教習システムにおけるロボットカーのシステム構成 の一例を示す機能ブロック図
図26】本発明のロボットカー教習システムにおける非ロボットカーのシステム構 成の一例を示す機能ブロック図
図27図24のロボットカー教習システムの動作内容を例示するフロー図
図28図7中の学習ステップの内容を例示するフロー図
図29】(A):非ロボットカーがロボットカーに先行して走行する態様の説明図 (B):ロボットカーが非ロボットカーに先行して走行する態様の説明図
図30図22(A)の構成例において実行される学習ステップの内容を例示する フロー図
図31図23(A)の構成例において実行される学習ステップの内容を例示する フロー図
図32】本発明のロボットカー教習システムの別の構成例を示す概念図
図33図32のロボットカー教習システムの動作内容を例示するフロー図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[用語の説明等]
ロボットカーとは、人間の運転なしで自動で走行できる自動車である。日本では「自動
運転車」とも呼ばれている。英語では「autonomous car」と表記される。その他「UGV (u
nmanned ground vehicle)」「ドライバーレスカー (driverless car)」「self-driving c
ar」などとも呼ばれている。(ウィキペディアより引用)
非ロボットカーとは、ロボットカー以外の自動車である。非ロボットカーは、ヒューマ
ンドライバにより運転操作がなされる。
人間の運転なしで自動で走行できる機能(自動運転機能)を持っていない自動車は、非
ロボットカーである。非ロボットカーには、手動運転機能と運転支援機能とを持ち自動運
転機能を持たない自動車が含まれる。手動運転機能と運転支援機能と自動運転機能とを兼
ね備えた自動車は、手動運転モード又は運転支援モードでの走行時には非ロボットカーと
して機能し、自動運転モードでの走行時にはロボットカーとして機能する。
走行状況(運転状況)には、自己状況と非自己状況(外界環境)とが含まれる。
自己状況には、当該車両の地球上における位置(緯度、経度)、当該車両の運動状況(
内界環境)、周辺物体との相対状況、等が含まれる。
当該車両の運動状況は、重心位置(x,y,z)、ヨー(ψ)、ロール(φ)、ピッチ
(θ)、)、速度(重心位置の一階時間微分)、加速度(重心位置の二階時間微分)、角
速度(ヨーレート)、等により表現される。
周辺物体は、車両の周辺に存在する物体である。
周辺物体には、車両、歩行者、地上静止物、等が含まれる。
周辺物体との相対状況には、当該車両と周辺の物体との位置関係、当該車両と周辺の物
体との距離、等が含まれる。
地上静止物には、交通信号、道路標識、横断歩道、路肩、ガードレール、電柱、塀、車
庫、家屋、等が含まれる。
非自己状況(外界環境)の例として、走行経路、走行車線、走行車線の幅、車線数、道
路形状、道路勾配、路面の種類、路面状態、周囲の明るさ、天候、信号機の表示内容、周
辺車両数、前方車両速度、前方車両加速度、周辺障害物、走行車線の種類、等を挙げるこ
とができる。
運転操作は、操作の内容と当該操作の操作量とを含む概念である。
操作の内容の例として、当該車両の推進力を調整するための操作(アクセル操作)、当
該車両の制動力を調整するための操作(ブレーキ操作)、当該車両の操舵角または操舵角
速度を調整するための操作(ステアリング操作)、当該車両のトランスミッションの歯車
の組み合わせを変える操作(シフト操作)、等を挙げることができる。
運転行動情報は、車両の走行状況と当該車両においてなされた運転操作とを対応付けた
情報であり、経路上位置-運転操作対応情報、入出車経路位置-運転操作対応情報、等が
含まれる。
経路上位置-運転操作対応情報の例として、経路上の各地点(要所要所)においてなさ
れたブレーキ操作の情報(経路上位置-ブレーキ操作対応テーブル)、経路上の各地点に
おいてなされたブレーキ操作及びステアリング操作の情報(経路上位置-ステアリング操
作対応テーブル)、経路上の各地点においてなされたブレーキ操作及びアクセル操作の情
報(経路上位置-ブレーキ操作・アクセル操作対応テーブル)、経路上の各地点において
なされたアクセル操作及びステアリング操作の情報(経路上位置-アクセル操作・ステア
リング操作対応テーブル)、経路上の各地点においてなされたブレーキ操作及びシフト操
作の情報(経路上位置-ブレーキ操作・シフト操作対応テーブル)、経路上の各地点にお
いてなされたステアリング操作及びシフト操作の情報(経路上位置-ステアリング操作・
シフト操作対応テーブル)、経路上の各地点においてなされたアクセル操作及びシフト操
作の情報(経路上位置-アクセル操作・シフト操作対応テーブル)、経路上の各地点にお
いてなされたブレーキ操作、アクセル操作、ステアリング操作及びシフト操作の情報(経
路上位置-ブレーキ操作・アクセル操作・ステアリング操作・シフト操作対応テーブル)
、経路と運転操作及び消費エネルギとを関連付けた情報(経路-運転操作・消費エネルギ
対応テーブル)、経路と運転操作及び回生エネルギ吸収率とを関連付けた情報(経路-運
転操作・回生エネルギ吸収率対応テーブル)、等を挙げることができる。
入出車経路位置-運転操作対応情報の例として、駐車スペースに入車(駐車)するため
の移動経路上の各地点においてなされた駐車操作(運転操作)の情報(入車経路上位置-
運転操作対応テーブル)、駐車スペースから出車するための移動経路上の各地点において
なされた出車操作(運転操作)の情報(出車経路上位置-運転操作対応テーブル)、等を
挙げることができる。
学習には、手動運転走行時に得られた各種データに基づく学習と、運転支援走行時に得
られた各種データに基づく学習と、自動運転走行時に得られた各種データに基づく学習と
が含まれる。
学習には、行動計画の学習、操作傾向についての学習、周辺物体についての学習、等が
含まれる。
行動計画の学習には、実行すべき運転操作を決定するための知識(データ)の学習、実
行すべき運転操作を決定するための計算式(プログラム)の学習、等が含まれる。
知識の学習の例として、他車両の運転行動情報を学習データセットとして、実行すべき
運転操作を決定するための判断基準(運転知識)を学習していく所謂教師あり学習を挙げ
ることができる。この場合、ある走行状況に対して、他車両においてなされたのと同じ運
転操作(正解の操作)が自車両においてなされるように知識の更新がなされる。
知識の学習の別の例として、他車両の運転行動情報から把握される他車両の運転行動に
より近い運転行動をとったときにプラスの報酬を与え、当該他車両の運転行動からより遠
い運転行動をとったときにマイナスの報酬(罰)を与えて、どのように行動するとどれくら
いの報酬が得られそうかを学習させていき、最も多くの報酬が得られそうな行動がなされ
るように知識を更新する所謂強化学習を挙げることができる。この場合、最も多くの報酬
が得られそうな行動がなされるように知識が更新されることで、結果的に最適な運転行動
がなされるようになる。
計算式(プログラム)の学習の例として、他車両の運転行動情報に基づいて実行すべき
運転操作を決定(推定)する運転操作決定関数(計算式)を学習する所謂パラメタ学習を
挙げることができる。この場合、例えば、他車両の運転行動情報と運転操作決定関数の与
える運転操作との誤差が最小となるように、運転操作決定関数のパラメタの調整がなされ
る。この場合のパラメタ学習には、他車両の運転行動情報を学習データセットとして、当
該運転行動情報に含まれる個々の走行状況において当該他車両と同じ運転操作(正解の操
作)が自車両においてなされるように、運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理
(教師あり学習による学習処理)が含まれる。
計算式(プログラム)の学習の別の例として、他車両の運転行動情報から把握される他
車両の運転行動により近い運転行動をとったときにプラスの報酬を与え、当該他車両の運
転行動からより遠い運転行動をとったときにマイナスの報酬(罰)を与えて、どのように行
動するとどれくらいの報酬が得られそうかを学習させていき、最も多くの報酬が得られそ
うな行動をとるように運転操作決定関数のパラメタを調整する所謂強化学習を挙げること
ができる。この場合、最も多くの報酬が得られそうな行動をとるように運転操作決定関数
のパラメタが調整されることで、結果的に最適な運転行動がなされるようになる。
操作傾向についての学習の例として、各地点の通過回数と各地点においてなされた運転
操作の回数・操作量に基づく学習を挙げることができる。例えば、各地点の通過回数と当
該地点においてなされた特定の運転操作の回数の割合を計算し、当該割合が所定値以上で
あれば当該地点を要操作地点に設定し、当該割合が所定値未満であれば当該地点を操作不
要地点に設定する。学習の結果、要操作地点に設定された地点では、運転支援制御又は自
動運転制御が実行される。
特定の運転操作の例として、操作量が所定値以上のブレーキ操作、操作量が所定値以上
のアクセル操作、操作量が所定値以上のステアリング操作、操作量(ギヤ比の変化量)が
所定値以上のシフト操作、等を挙げることができる。
周辺の物体についての学習の例として、各地点の通過回数と各地点における周辺の物体
の検出回数に基づく学習を挙げることができる。例えば、各地点の通過回数と当該地点に
おいて検出された特定の周辺物体の検出回数の割合を計算し、当該割合が所定値以上であ
れば当該地点を要注意地点に設定し、当該割合が所定値未満であれば当該地点を標準注意
地点に設定する。学習の結果、要注意地点に設定された地点では、標準注意地点における
検出精度よりも高精度で周辺の物体の検出処理が実行され、その検出結果に基づいて、よ
り安全性を考慮した運転支援制御又は自動運転制御が実行される。
より安全性を考慮した運転支援制御の例として、特定の周辺物体に自車両が接触する可
能性をより小さくする運転支援制御(接触回避支援制御)、特定の周辺物体に自車両が接
触したときの衝撃をより小さくする運転支援制御(制動支援制御)、等を挙げることがで
きる。
より安全性を考慮した自動運転制御の例として、特定の周辺物体に自車両が接触する可
能性をより小さくする自動運転制御(接触回避運転制御)、特定の周辺物体に自車両が接
触したときの衝撃をより小さくする自動運転制御(制動運転制御)、等を挙げることがで
きる。
周辺の物体についての学習には、周辺の物体についての時間帯毎の学習が含まれる。周
辺の物体についての時間帯毎の学習の場合、前記割合が一日の時間帯毎に計算され、前記
要注意地点が時間帯毎に設定される。
運転操作についての学習及び周辺の物体についての学習には、車両属性を考慮した学習
が含まれる。
特定の周辺の物体の例として、車両前方の横断歩道上の歩行者や自転車、車両前方の道
路を横切る歩行者や自転車、対向車、追い越し車、路上の障害物、等を挙げることができ
る。
路上の障害物の例として、路側に駐・停車中の車両、路側や曲がり角の電柱、路上に置
かれたゴミ箱や看板、道路上に張り出した看板や樹木、等を挙げることができる。
【0018】
車両属性には、車種、車両寸法、内外輪差、車両重量、車両の使用形態、車両種別の区
分、車体番号、ドア開放幅、エンジン形式、等が含まれる。
車両の使用形態の例として、自家用車、営業車、貨物輸送車、旅客輸送車(タクシー)
、旅客輸送車(バス)、等を挙げることができる。車両種別の区分には、大型車、小型車
、二輪車、等がある。
車両属性を考慮した運転操作についての学習の場合、例えば、車両属性上控えるべき運
転操作についての前記割合が計算され、当該割合が所定値以上の地点が要注意地点に設定
される。
車両属性を考慮した周辺の物体についての学習の場合、例えば、車両属性上所定距離以
内に接近する可能性が高い周辺の物体についての前記割合が計算され、当該割合が所定値
以上の地点が要注意地点に設定される。
車両属性上控えるべき運転操作の例として、重心位置が高い車両(車高の高い車両、積
み荷の多い車両、等)の曲線路などにおける高速走行や急激なステアリング操作、バスや
タクシーの急なアクセル操作や急なブレーキ操作、等を挙げることができる。
車両属性上所定距離以内に接近する可能性が高い周辺の物体の例として、車両がバスや
タクシーの場合の乗降客、大型車両の場合の電柱や路上に張り出した看板、等を挙げるこ
とができる。
【0019】
自車両のドライバによる手動運転時の運転行動(「認識」「判断・計画」「操作」)を
機械学習し、その学習結果を参照して自車両の運転支援制御を行う機能を有する運転制御
方式は公知である。本発明のロボットカー教習システムの非ロボットカーにおいても、こ
の種の機械学習による運転制御方式を利用可能である。
周辺車両や歩行者など任意の対象物の検出が可能な汎用画像認識システムは公知である
。本発明のロボットカー教習システムの車両においても、公知の汎用画像認識システムを
利用可能である。歩行者や他車両を検出するための手法として、HOG(Histogr
ams of Orientied Gradients)特徴量抽出、機械学習の手法の
一つであるSVM(Support Vector Machine)によるしきい値学習、
等が知られている。
【0020】
本発明の道路交通システム、車両共用システム及びロボットカー教習システムにおける
コンピューティングシステムには、クラウドコンピューティングシステム(Cloud
Computing System)が含まれる。
クラウドコンピューティングとは、インターネットを利用した分散コンピューティング
の一つである。
クラウドとは、クラウドコンピューティングを実現するためのデータセンタや、その中
で運用されているサーバコンピュータ群などのことをいう。
クラウド技術により、インターネット上にあるデータの所在をユーザに意識させずに大
容量のデータを処理することができる。
クラウド技術を利用することにより、本発明の道路交通システム、車両共用システム及
びロボットカー教習システム内のビッグデータすなわち、地球上を走行する多数の車両か
ら送信される膨大な数のデータ(走行状況に関するデータ、運転操作に関するデータ、等
)を処理することができる。
【0021】
本発明の道路交通システム、車両共用システム及びロボットカー教習システムは、特許
文献1-44、非特許文献1-4、等に記載されている類いのシステムに応用し得る。
【0022】
[道路交通システム]
図1は本発明の道路交通システムの構成例を示す概念図である。
図1に例示される道路交通システム1は、自動車100とコンピューティングシステム
200とを有する。
コンピューティングシステム200は、サーバコンピュータ210とデータベース22
0とを備える。サーバコンピュータ210は、自動車100を含む多数の車両の運転行動
情報をインターネット300経由で受信する。サーバコンピュータ210は、受信した運
転行動情報をデータベース220に蓄積する。サーバコンピュータ210は、データベー
ス220から抽出した運転行動情報を、自動車100を含む多数の車両にインターネット
300経由で送信する。サーバコンピュータ210は単体でも複数でもよい。データベー
ス220は一つのサーバコンピュータに配置されていても、複数のサーバコンピュータに
分散配置されていてもよい。
自動車100は、車載ゲートウェイ110を備える。
車載ゲートウェイ110は、図示しないCPU(Central Processin
g Unit )、ROM(Read Only Memory )、RAM(Random
Access Memory)等を中心に構成される、無線通信機能を備えた情報処理装
置である。車載ゲートウェイ110は、ROMに記憶されている制御プログラムをCPU
が実行することにより、各種処理を実行する。車載ゲートウェイ110は、各種のデータ
をインターネット300経由でコンピューティングシステム200にアップロード(サー
バコンピュータ210に送信)し、また各種のデータをコンピューティングシステム20
0からインターネット300経由でダウンロード(サーバコンピュータ210から受信)
する。自動車100とコンピューティングシステム200との間で送受信されるデータに
は、自車両の運転行動情報のデータ及び他車両の運転行動情報のデータが含まれる。
【0023】
図2は本発明の道路交通システムにおける車両(自動車)のシステム構成の一例を示す
機能ブロック図である。
自動車100は、車載ゲートウェイ110と走行制御システム120とを有する。
車載ゲートウェイ110は、走行制御システム120の制御下で、コンピューティング
システム200と通信する。車載ゲートウェイ110は、コンピューティングシステム2
00から受信したデータを走行制御システム120に入力する。車載ゲートウェイ110
は、走行制御システム120から入力されたデータをコンピューティングシステム200
に送信する。
走行制御システム120は、検知部121、車両情報入力部122、測位部123、地
図情報入力部124、操作部125、通信部126、表示部127、記憶部129、制御
部129、等を備える。
検知部121は、周辺の物体(他車両、歩行者、地上静止物、等)の存在や、周辺の物
体の位置、大きさ、相対速度、等を検知するためのセンサ類で構成されている。検知部1
21は、例えば、ソナー121aやレーダ121b、カメラ121c、3次元レンジセン
サ、等で具現化される。
ソナー121aは、自車両の前後左右方向に向けられた各アンテナから超音波を所定領
域に送信し、その反射波を受信する。そして、受信した反射波に基づき、自車両の前後左
右方向に存在する物体について、自車両との位置関係、距離等を出力する。レーダ121
bは、自車両の前後左右方向に向けられたアンテナからレーザ光又はミリ波を照射して所
定の検知領域を走査し、その反射波を受信する。そして、受信した反射波に基づき、車両
の前後左右方向に存在する物体について、自車両との位置関係、距離、相対速度等を出力
する。カメラ121cは、自車両の前後左右方向の所定位置に設けられており、自車両の
前後左右方向に存在する周辺車両が写った撮像データを出力する。なお、これらのソナー
やレーダ、カメラ121c、3次元レンジセンサ、等のセンサ類は、複数のものを複合的
に用いてもよいし、単独で用いてもよい。
車両情報入力部122は、自車両の運動状況(重心位置、ヨー、ロール、ピッチ、速度
、加速度、角速度、等)及び運転操作(アクセル操作、ブレーキ操作、ステアリング操作
、シフト操作)に関する情報を制御部128に入力する。
測位部123は、地球上における自車両の位置(緯度、経度)を測位し、制御部128
に入力する。測位部123は、例えば、高精度GPS(Global Positioning System)に
対応した高精度測位受信機等で具現化される。
地図情報入力部124は、道路地図情報を記憶する記憶媒体から、自車両が現在走行し
ている道路に関する情報を取得し、制御部128に入力する。地図情報入力部128によ
って入力される道路の情報の例として、車線数、車線幅、曲り、勾配、合流、規制等の情
報等を挙げることができる。
操作部125は、走行制御のオン・オフや制御モードの切り換え、表示部127におけ
る各種表示の切り換え等の操作指示を入力するための入力装置であり、例えば、車両のス
テアリングホイールのスポーク部分に設けられるスイッチ等により具現化される。
通信部126は、地上静止物に設けられた通信機や、周辺車両に搭載された通信機との
間で、通信を行うための通信装置である。地上静止物には、車庫や道路が含まれる。
表示部127は、インストルメントパネル中央部に設けられるセンタディスプレイ、及
び、メータパネル内に設けられるインジケータで構成される表示装置である。表示部12
7には、自車両の状態を示す情報とともに、走行制御のオン・オフや制御モードが表示さ
れる。制御モードには、手動運転モードと、運転支援モードと、自動運転モードとがある

記憶部128は、自車両の運転行動情報及び他車両の運転行動情報を記憶する記憶装置
である。
制御部129は、図示しないCPU、ROM、RAM等を中心に構成される情報処理装
置であり、走行制御システム120の各部を統括制御する。制御部129は、ROMに記
憶されている制御プログラムをCPUが実行することにより、各種処理を実行する。
制御部129は、測位部123から入力された自車両の位置(緯度、経度)と地図情報
入力部124から入力された道路地図情報とに基づいて、電柱や信号器などの道路構造物
の情報を含む詳細道路データを算出するとともに、検知部121の3次元レンジセンサに
より周囲の物体の3次元距離を検出する。そして、3次元距離データと道路地図とをリア
ルタイムで合成し、3次元レンジセンサにより検出された物体が、道路構造物なのか、道
路上の物体(車両、歩行者、等)なのかを正確に識別する。
自車両の位置の高精度把握は、モンテカルロ・ローカリゼーションといった既知の手法
により実現され、GPSに位置情報は二次的情報として利用される。周辺物体との相対状
況は、カルマンフィルタといった既知の手法により実現される。
制御部129は、検知部121、車両情報入力部122、測位部123、及び、地図情
報入力部124から入力された各種情報に基づく自車両の運転行動情報を記憶部19に蓄
積する。自車両の運転行動情報には、検知部121、車両情報入力部122、測位部12
3、及び、地図情報入力部124により得られた操作履歴情報(走行経路上位置-運転操
作対応テーブル、入出車経路位置-運転操作対応テーブル、等)が含まれる。
制御部129は、車載ゲートウェイ110を介してコンピューティングシステム200
と通信する。
制御部129は、記憶部128に蓄積された自車両の運転行動情報を、車載ゲートウェ
イ110を介してコンピューティングシステム200に送信する。
制御部129は、車載ゲートウェイ110を介して受信した他車両の運転行動情報を、
記憶部128に蓄積する。他車両の運転行動情報には、他車両の検知部121、車両情報
入力部122、測位部123、及び、地図情報入力部124により得られた操作履歴情報
(走行経路上位置-運転操作対応テーブル、入出車経路位置-運転操作対応テーブル、等
)が含まれる。
制御部129は、通信部126を介して周辺の地上静止物や周辺の車両と通信する。
制御部129は、記憶部128に蓄積された自車両の運転行動情報を、通信部126を
介して地上静止物や周辺の車両に送信する。
制御部129は、通信部126を介して受信した他車両の運転行動情報を、記憶部12
8に蓄積する。
制御部129には、運転制御の対象となる車両制御部130が接続されている。
車両制御部130は、エンジンECU(Electronic Control Unit)130a、ブレー
キECU130b、舵角ECU130c、スタビリティECU130d、等の各種電子制
御装置からなる。エンジンECU130aは、アクセルペダルの操作量やエンジンの状態
に応じた制御指令を出して、エンジンの出力を制御する。ブレーキECU130bは、ブ
レーキペダルの操作量に応じてブレーキの制動力を制御する。舵角ECU130cは、ス
テアリングの舵角を制御する。スタビリティECU130dは、車両の走行安定性を制御
する。
制御部129は、運転操作量(アクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング操作量
、等)に応じて、車両制御部130内の各ECUに指令を与えることで、車両の走行を制
御する。
制御部129は、運転支援モードにおいては、時々刻々と変化する自車両の走行状況を
リアルタイムで解析しつつ、当該解析結果と自車両の運転行動情報及び/又は他車両の運
転行動情報とに基づいて運転支援情報を生成し、当該運転支援情報を、表示部127など
を使用してドライバに報知する。
制御部129は、自動運転モードにおいては、時々刻々と変化する自車両の走行状況を
リアルタイムで解析しつつ、当該解析結果と自車両の運転行動情報及び/又は他車両の運
転行動情報とに基づいて運転操作量を決定し、車両制御部130内の各ECUに指令を与
える。
上記の例では、車載ゲートウェイ110と走行制御システム120とが各々別個に存在
しているが、車載ゲートウェイ110は走行制御システム120と統合できる。
【0024】
上記のように構成された自動車100は、自車両の走行状況と自車両の運転行動情報又
は他車両の運転行動情報とに基づいて運転支援や自動運転を行う。自動車100は、手動
運転モード又は運転支援モードでの走行時には非ロボットカーとして機能し、自動運転モ
ードでの走行時にはロボットカーとして機能する。
【0025】
図3は本発明の車両(自動車)の実施形態についての説明図である。
自動車V1(100)は、走行経路Rを走行した経験がない。
自動車V2(100)は、走行経路Rを走行した経験がある。
自動車V2は、走行経路Rを走行した時に運転に関する各種データを取得し、当該各種
データを自車両の記憶部128に記憶している。自動車V2は、当該記憶部128に記憶
した当該各種データを含む運転行動情報を自動車V1に提供する。この場合の運転行動情
報には、走行経路Rと当該経路R上の各地点において自動車V1によりなされた運転操作
とを対応付けた情報が含まれる。
自動車(自車両)V1は、自動車(他車両)V2の運転行動情報を自車両V1の運転支
援制御及び自動運転制御に利用できる。自動車V1は、走行経路Rを走行した経験がない
が、走行経路Rを走行した経験がある自動車(他車両)V2の運転行動情報に基づいて運
転支援制御及び自動運転制御を行うことにより、自動車(他車両)V2と同等レベルの運
転支援性能及び自動運転性能を発揮し得る。
【0026】
たとえば、走行経路Rが、幅の狭い曲がりくねった道路や、電柱などの障害物が多く存
在する幅の狭い道路である場合、運転に不慣れなドライバやカーシェアリングサービスな
どで運転の度に異なる車両に搭乗するドライバにとっては、走行経路Rをスムーズに走行
することは簡単ではない。この種の道路をスムーズに走行することはロボットカー(自動
運転車)も苦手である。
しかし、自動車V2が走行経路Rを日常スムーズに走行する車両であるならば、自動車
V2の運転行動情報を参照して自動車V1が運転支援制御を行うことにより、自動車V1
のドライバが運転に不慣れである場合や自動車V1がカーシェアリングサービスなどの車
両である場合でも、自動車V1は自動車V2と同等レベルの運転性能で走行経路Rをスム
ーズに走行することができる。自動車V1がロボットカーである場合でも、自動車V2の
運転行動情報を参照して自動車V1が自動運転制御を行うことにより、自動車V1は自動
車V2と同等レベルの運転性能で走行経路Rをスムーズに走行することが可能となる。
【0027】
図4は運転行動情報に含まれる走行経路上位置-運転操作対応テーブルを例示する概念
図である。運転行動情報は、データID:Data ID)により管理されている。データID
は、膨大な量の運転行動情報の中から1の運転行動情報のデータを特定し得る固有の値で
ある。データIDにより、車両ID(Car ID)と経路ID(Root ID)との一意の組み合
わせが特定される(図5(A)参照)。車両IDは、多数の車両の中から1の車両を特定
し得る固有の値である。車両IDにより、当該車両の車両属性も特定される。経路IDは
、膨大な数の経路の中から1の経路を特定し得る固有の値である。経路IDにより、出発
点(Starting Point)、到着点(Destination Point)及び経由点(Pass Point)の組み
合わせが特定される(図5(B)参照)。
図4に例示する運転行動情報は、図6に例示する地図上の経路Rを自動車V2が走行し
た際に得られたものである。経路Rの出発点(Starting Point)はS1、到着点(Destin
ation Point)はD1、経由点(Pass Point)はPP1,PP2,PP3である。図4に例示する運
転行動情報は、経路R上の各地点(P1,P2,・・・,Pn)において自動車V1によりなされ
た運転操作との対応関係を示している。例えば、地点P1では加速操作(発進操作)が、地
点P2では加速操作が、地点P3では減速操作(制動操作)が、地点P4では左転蛇操作(ハン
ドルを左に回す操作)が、地点P5では右転蛇操作(ハンドルを戻す操作)が、地点P6では
加速操作が、地点Pn-3では減速操作(制動操作)が、地点Pn-2では右転蛇操作(ハンドル
を右に回す操作)が、地点Pn-1では左転蛇操作(ハンドルを戻す操作)が、地点Pnでは減
速操作(制動操作)が、それぞれなされたことが示されている。図中の「xxx」は各操
作における操作量である。
【0028】
自動車V2から自動車V1へ運転行動情報を受け渡す方法は任意である。その方法の例
として、自車両V1と他車両V2との間の通信(図7参照)、自車両V1と地上静止物4
10との間の通信(図8参照)、自車両V1と道路420との間の通信(図9参照)、自
車両V1と携帯端末500との間の通信(図10参照)、コンピューティングシステム(
クラウドシステム)200を介しての情報の受け渡し(図11参照)、等を挙げることが
できる。
図8には、地上静止物410として道路の信号機が例示されている。自動車V1、V2
は、信号機410をアクセスポイント(AP)に利用して運転行動情報を送受信する。図
8の例では、自動車V2から送信された自動車V2の運転行動情報が信号機410を媒介
として自動車V1に受信されている。なお、運転行動情報を受信する信号機410とその
運転行動情報を送信する信号機410は、同一の信号機であってもよいし、異なる信号機
であってもよい。
図9の例では、道路に沿って所定間隔ごとにアクセスポイント(AP)が配置されてい
る。アクセスポイント(AP)は、路面に埋設されてもよいし、道路の側方に設けられて
もよい。
図10の例では、自動車(他車両)V2の運転行動情報が自動車(自車両)V1のドラ
イバの携帯端末500に記憶されている。当該運転行動情報はコンピューティングシステ
ム200から携帯端末430にダウンロードされたものである。そして、自動車V1の車
内における近距離無線通信により、自動車(他車両)V2の運転行動情報が携帯端末43
0から自動車V1に送信される。
図11の構成は、自動車V1、V2がインターネット300経由でコンピューティング
システム200と通信を行うためのアクセスポイントとして、例えば図8に示す地上静止
物410や図9に示す道路420に設けられたアクセスポイント(AP)を使用すること
により実現可能である。
【0029】
図12は本発明の自動車の別の実施形態についての説明図である。
車庫Gは、自動車V2(100)が日常使用している車庫である。
車庫Gは、細い道路STに面しているため、運転に不慣れなドライバやカーシェアリン
グサービスなどで運転の度に異なる車両に搭乗するドライバにとっては入庫操作が難しい

車庫Gの左側斜め前方には、道路STから分岐した形状の凹部Dがある。
自動車V2を車庫Gに入れるためには、先ず、図13(A)に示すように、自動車V2
の右先端が凹部Dの中に入るまで、自動車V2を右斜め方向に前進させなければならない
。その後、図13(B)に示すように、軌道が弧を描くように蛇角を注意深く調整しなが
ら自動車V2を進行させなければならない。
自動車V2は、車庫Gに入庫した時に運転に関する各種データを取得し、当該各種デー
タを自車両の記憶部128に記憶している。自動車V2は、当該記憶部128に記憶した
当該各種データを含む運転行動情報を自動車V1(100)に提供する。この場合の運転
行動情報には、車庫Gに入庫するための移動経路と当該経路上の各地点において自動車V
2によりなされた運転操作とを対応付けた情報(入出車経路位置-運転操作対応テーブル
)が含まれる。自動車V2がその運転行動情報を自動車V1に提供する方法は任意である
【0030】
図14には、自動車V1、V2と車庫Gとの間の通信により運転行動情報の受け渡しが
行なわれる場合が例示されている。図14の例では、車庫Gの入り口近傍に、車庫入れ経
験提供装置440が設けられている。車庫入れ経験報提供装置440は、自動車V2から
その運転行動情報(経験情報)を受信し(運転行動情報受信機能)、その運転行動情報を
記憶部に記憶している(運転行動情報記憶機能)。そして、車庫入れ経験提供装置440
は、自動車V1が車庫Gに近づいたら、その記憶部に記憶されている運転行動情報を自動
車V1に送信する。
自動車V1は、自動車V2の運転行動情報を自車両の運転支援制御及び自動運転制御に
利用する。自動車V1は、車庫Gに入庫した経験はないが、車庫Gを日常的に使用してい
る自動車V2の運転行動情報に基づいて運転支援制御及び自動運転制御を行うことにより
、自動車V2と同等レベルの運転支援性能及び自動運転性能で車庫Gに入庫することがで
きる。出庫の場合も同様である。
【0031】
図15は本発明の道路交通システムにおけるコンピューティングシステムの構成例を示
す概念図である。
コンピューティングシステム200内のサーバコンピュータ210は、1又は複数の自
動車V1、V2、V3・・・の運転行動情報(経験情報)をインターネット経由で受信し
(運転行動情報受信機能210a)、当該運転行動情報を当該運転行動情報の送信元とは
異なる1又は複数の自動車V1、V2、V3・・・にインターネット300経由で送信す
る(運転行動情報送信機能210b)。サーバコンピュータ210から運転行動情報を受
信した車両は、当該運転行動情報を自車両の運転支援制御及び自動運転制御に利用できる
。自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行動情
報に基づいて運転支援制御及び自動運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベル
の運転支援性能及び自動運転性能で当該状況に対処できる。
このシステムによれば、多数の自動車V1、V2、V3、・・・、Vnが運転行動情報
を互いに利用し合うことにより、各車両の運転支援性能及び自動運転性能を効率良く向上
させることができる。これにより、多数の自動車V1、V2、V3、・・・、Vnが自車
両の経験のみならず他車両の経験も活用して各車両の運転支援性能及び自動運転性能を向
上させ得る道路交通システムを実現することができる。
【0032】
図16は本発明の道路交通システムにおけるコンピューティングシステムの別の構成例
を示す概念図である。
コンピューティングシステム200内のサーバコンピュータ210は、1又は複数の車
両の運転行動情報(経験情報)をインターネット300経由で受信し(運転行動情報受信
機能210a)、当該運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成し(最適
化情報生成機能210c)、当該最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理
し(最適化情報更新機能210d)、1又は複数の車両にインターネット経由で送信する
(運転行動情報送信機能210b)。
サーバコンピュータ210から運転行動情報を受信した車両は、当該運転行動情報を自
車両の運転制御に利用できる。自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したこ
とのある他車両の運転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報に基づいて運転支援
制御及び自動運転制御を行うことにより、当該他車両と同等レベルかそれ以上の運転支援
性能及び自動運転性能で当該状況に対処できる。
このシステムによれば、多数の自動車V1、V2、V3、・・・、Vnが運転行動情報
を互いに利用し合うことにより、各車両の運転支援性能及び自動運転性能を効率良く最適
化することができる。これにより、多数の自動車V1、V2、V3、・・・、Vnが自車
両の経験のみならず他車両の経験も活用して各車両の運転支援性能及び自動運転性能を効
率良く最適化し得る道路交通システムシステムを実現することができる。最適化の対象に
は、消費エネルギ、回生エネルギ、事故発生率、等が含まれる。
サーバコンピュータ210は、運転行動情報の提供元車両と提供先車両の車両属性(車
種、車両寸法、内外輪差、等)が異なる場合、提供先車両の車両属性に応じて、提供する
運転行動情報を最適値に修正する。したがって、提供元車両と提供先車両の車両属性がが
異なる場合でも、提供先車両には、その自動車のために最適化された運転行動情報が提供
される。最適化された運転行動情報の例として、その時々の走行状況に応じて、提供先車
両が障害物と接触する可能性が最も小さくなるように修正された運転行動情報を挙げるこ
とができる。この構成により、たとえば、提供元車両と提供先車両が全く同じ経路を走行
する場合でも、両車両の車両寸法や内外輪差が相違する場合には、両車両のステアリング
操作量やブレーキ操作のタイミングを修正した運転行動情報が提供先車両に提供される。
提供元車両と提供先車両との対応関係は、多対1の関係であることもある。多対1の関係
の場合、複数の提供元車両の運転行動情報の平均値を修正した運転行動情報を提供先車両
に提供することが望ましい。
【0033】
図17は本発明の道路交通システムの別の構成例を示す概念図である。
この道路交通システム1を構成する車両100は、ロボットカー(自動運転車)100
Aと非ロボットカー(手動運転車又は運転支援機能付き自動車)100Bとに大別される
図17には、ロボットカー100Aと非ロボットカー100Bが各一台ずつしか示され
ていないが、実際のシステムでは、ロボットカー100Aは複数台あり、非ロボットカー
100Bは一台又は複数台ある。
コンピューティングシステム200内のサーバコンピュータ210は、非ロボットカー
100Bから運転行動情報(経験情報)を受信する運転行動情報受信機能210aと、運
転行動情報をロボットカー100Aに送信する運転行動情報送信機能210bと、を有す
る。
ロボットカー100Aは、ヒューマンドライバによる運転操作の代わりに自動運転制御
によって運転操作がなされる車両である。ロボットカー100Aは、自車両の走行状況を
認知する走行状況認知部100Aaと、非ロボットカー100Bの運転行動情報をコンピ
ューティングシステム200から受信する運転行動情報受信部100Abと、運転行動情
報受信部100Abにより受信した運転行動情報を参照しつつ自車両の走行状況認知部1
00Aaにより認知された走行状況に応じた自動運転制御を行う自動運転制御部100A
cと、を有する。
ロボットカー100Aは、自動運転走行時に得られた各種データに基づいて運転操作を
学習しつつ自動運転制御を行う。ロボットカー100Aには、緊急時にヒューマンドライ
バが回避操作し得る所謂ドライバ支援型自動運転車が含まれる。
非ロボットカー100Bは、ヒューマンドライバにより運転操作がなされる車両である
。非ロボットカー100Bは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部100Baと
、自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検出部100Bbと、
走行状況認知部100Baにより認知された走行状況と運転操作検出部100Bbにより
検出された運転操作とを対応付けた運転行動情報をコンピューティングシステム200に
送信する運転行動情報送信部100Bcと、を有する。非ロボットカー100Bは、自車
両のドライバによる運転操作を学習しつつ運転支援制御を実行する。
【0034】
走行状況認知部100Aa、100Baは、検知部121、車両情報入力部122、測
位部123、地図情報入力部124、操作部125、通信部126、等と制御部129と
により実現される。
運転操作検出部100Bbは、車両情報入力部122の運転操作検出機能により実現さ
れる。
運転行動情報受信部100Ab及び運転行動情報送信部100Bcは、車載ゲートウェ
イ110により実現される。
自動運転制御部100Acは、制御部129により実現される。
【0035】
非ロボットカー100Bは、自車両の運転行動情報をコンピューティングシステム20
0に送信する。コンピューティングシステム200内のサーバコンピュータ210は、非
ロボットカー100Bの運転行動情報をインターネット経由で受信し、当該運転行動情報
をロボットカー100Aにインターネット300経由で送信する。サーバコンピュータ2
10から非ロボットカー100Bの運転行動情報を受信したロボットカー100Aは、当
該運転行動情報を自車両の自動運転制御に利用する。すなわち、ロボットカー100Aは
、サーバコンピュータ210から受信した非ロボットカー100Bの運転行動情報を参照
しつつ自車両の走行状況に応じた自動運転制御を行う。ロボットカー100Aがコンピュ
ーティングシステム200から受け取る運転行動情報は、非ロボットカー100Bのドラ
イバによる運転操作の学習結果が反映された運転行動情報である。
したがって、このシステムによれば、ロボットカー100Aは、自車両が未経験(未学
習)の状況においても、非ロボットカー100Bが当該状況を経験したことのある車両で
ある場合、非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づいて自動運転制御を行うことに
より、非ロボットカー100Bと同等レベルの運転性能で当該状況に対処できる。
【0036】
図18は本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図である。図17と共
通の構成要素については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
コンピューティングシステム200内のサーバコンピュータ210は、非ロボットカー
100Bから運転行動情報(経験情報)を受信する運転行動情報受信機能210aと、運
転行動情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する最適化情報生成機能210c
と、最適化された運転行動情報を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新機能21
0dと、最適化された運転行動情報をロボットカー100Aに送信する運転行動情報送信
機能210bと、を有する。
非ロボットカー100Bは、自車両の運転行動情報をコンピューティングシステム20
0に送信する。コンピューティングシステム200内のサーバコンピュータ210は、非
ロボットカー100Bの運転行動情報をインターネット経由で受信し、当該運転行動情報
を最適化し、常に最新の最適化された運転行動情報をロボットカー100Aにインターネ
ット300経由で送信する。サーバコンピュータ210から非ロボットカー100Bの運
転行動情報を受信したロボットカー100Aは、当該運転行動情報を自車両の自動運転制
御に利用し得る。
このシステムによれば、ロボットカー100Aは、自車両が未経験の状況においても、
非ロボットカー100Bが当該状況を経験したことのある車両である場合、非ロボットカ
ー100Bの運転行動情報に基づいて最適化された最新の運転行動情報に基づいて自動運
転制御を行うことにより、当該非ロボットカー100Bと同等レベルかそれ以上の運転性
能で当該状況に対処できる。
【0037】
図17及び図18のシステムによれば、非ロボットカー100Bがドライバの運転操作
を日々学習して運転支援性能を日々向上させていくことにより、ロボットカー100Aの
自動運転性能も日々向上させていくことができる。すなわち、ロボットカー100Aと非
ロボットカー100Bとが共存する状況下で、非ロボットカー100Bを運転するドライ
バの運転テクニックをロボットカー100Aに学習させて、ロボットカー100Aの自動
運転性能を高効率に向上させることができる。ロボットカー100Aの自動運転性能が向
上するにつれて、道路交通システム1全体の運用効率の向上、安全性の向上、顧客満足度
の向上、等が図られる。
図17及び図18のシステムによれば、タクシードライバやバスドライバ等、プロフェ
ッショナルドライバが非ロボットカー100Bを運転した際に得られた運転行動情報を、
道路交通システム1全体の運用効率の向上、安全性の向上、等のために利用することがで
きる。ロボットカー100Aの自動運転性能の向上に役立つ運転行動情報を提供したプロ
フェッショナルドライバが対価を得ることができるシステムとすることにより、非ロボッ
トカー100Bを運転した際の運転行動情報を提供することへのインセンティブをプロフ
ェッショナルドライバ達に与えて、彼らの持つ高度な運転テクニックによる運転行動情報
の提供を促すことができる。このシステムは、ロボットカー100Aと非ロボットカー1
00Bとが共存する環境(全ての車両がロボットカーになるまでの過渡的環境)において
、ロボットカー100Aの自動運転性能を向上させたい企業等とタクシードライバやバス
ドライバ等の双方にとって都合の良いシステムである。
【0038】
ところで、交通法規を完全に遵守するロボットカーと交通法規を遵守するとは限らない
非ロボットカーとが共存する状況においては、両者の運転行動特性(特に「判断・計画」
)の相違による事故が発生するという問題が想定され得る。
例えば、進行方向の信号器の点灯色が黄色(注意)からもうすぐ赤(停止)に切り替わ
るというタイミングで車両が交差点に近づいた場合、当該車両がロボットカーであれば必
ず交差点の手前で停止するが、非ロボットカーは交差点の手前で停止するとは限らない。
その結果、ロボットカーの後続車両が非ロボットカーである場合、交差点の手前で停止し
たロボットカーに非ロボットカーが後方から追突するという事故(もらい事故)が多発す
る可能性がある。
また、道路を走行する全ての車両がロボットカーであれば、車車間通信や路車間通信に
よるネットワークを構築することで、ロボットカー集団として安全で効率的な走行環境を
作り上げることが可能になるが、この集団の中に人間が運転する非ロボットカー(手動運
転車)が1台でも入り込むと、この協調体制が一気に崩壊してしまうという問題も想定さ
れ得る。
これらの問題点は、図17及び図18のシステムによれば、非ロボットカー100Bを
運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100Aに学習させて、ロボット
カー100Aの運転行動を可能な限り非ロボットカー100Bの運転行動に近づけること
により解消し得る。例えば、非ロボットカー100Bによるもらい事故の危険が発生する
可能性の高い状況下では、ロボットカー100Aに非ロボットカー100Bと同じような
運転行動(交通法規を遵守しない運転行動)を敢えて選択させることにより、そのような
危険を回避し得る。また、正確に一定の車間距離(交通法規を遵守した車間距離又は空気
抵抗を可及的に低減し得る車間距離)を保ちながら協調体制で走行しているロボットカー
100Aの集団に前記一定の車間距離とは異なる車間距離で走行する非ロボットカー10
0Bが割り込んだ場合、非ロボットカー100Bの前後それぞれ数台のロボットカー10
0Aに非ロボットカー100Bと同じような運転行動(前記一定の車間距離とは異なる車
間距離で走行する運転行動)を敢えて選択させることにより、ロボットカー100Aの集
団の協調体制を可能な限り保持した安全且つ効率的な走行環境を実現し得る。
【0039】
図17及び図18では、ロボットカー100Aが非ロボットカー100Aの運転行動情
報をインターネット経由で受信する運転行動情報受信部(運転行動情報取得部)Abを有
しているが、ロボットカー100Aが運転行動情報を取得する機能はこれ以外の方式によ
っても実現可能である。たとえば、車車間通信(図7参照)、自車両と地上静止物との間
の通信(図8参照)、路車間通信(図9参照)、自車両と携帯端末との間の通信(図10
参照)、等によっても実現可能である。
【0040】
図19は本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図である。
図17及び図18のシステム構成では、非ロボットカー100Bの運転行動情報(経験
情報)をロボットカー100Aが利用し得るのみであるが、ロボットカー100Aと非ロ
ボットカー100Bとが運転行動情報を互いに利用し合うシステム構成とすることも可能
である。この場合のロボットカー100Aは、図19(A)に例示するように、自車両の
運転行動情報を他車両に提供するための運転行動情報出力部(運転行動情報送信部、等)
100Adを有する。また、非ロボットカー100Bは、運転支援機能付き自動車であり
図19(B)に例示するように、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部100B
aと、ロボットカー100Aの運転行動情報を取得する運転行動情報取得部(運転行動情
報受信部、等)100Bdと、ロボットカー100Aから取得した運転行動情報を参照し
つつ自車両の走行状況認知部100Baにより認知された走行状況に応じた運転支援制御
を行う運転支援制御部100Beと、を有する。運転支援制御部100Beは、制御部1
29(図2参照)により実現される。
このシステム構成によれば、非ロボットカー100Bがヒューマンドライバの運転操作
を日々学習して運転支援性能を日々向上させていくことにより、ロボットカー100Aの
自動運転性能も日々向上させていくことができると同時に、ロボットカー100Aが運転
操作を日々学習して自動運転性能を日々向上させていくことにより、非ロボットカー10
0Bの運転支援性能も日々向上させていくことができる。すなわち、ロボットカー100
Aと非ロボットカー100Bとが共存する状況下で、非ロボットカー100Bを運転する
ヒューマンドライバの運転テクニックをロボットカー100Aに学習させて、ロボットカ
ー100Aの自動運転性能を高効率に向上させることができると同時に、ロボットカー1
00Aの運転操作を非ロボットカー100Bに学習させて、非ロボットカー100Bの運
転支援性能を高効率に向上させることができる。ロボットカー100A及び非ロボットカ
ー100Bの運転性能が向上するにつれて、道路交通システム1全体の運用効率の向上、
安全性の向上、等が図られる。
【0041】
ロボットカー100Aの運転行動情報を非ロボットカー100Bが利用し得るシステム
構成は、ロボットカー100Aの自動運転性能がヒューマンドライバの運転テクニックを
凌駕した時点以後の時代の道路交通システム1に特に好適である。このような、ロボット
カー100Aがヒューマンドライバよりも運転が上手になった時代においては、もはやロ
ボットカー100Aがヒューマンドライバの運転操作を学習することは無意味であると考
えられるからである。
【0042】
図20及び図21は本発明の道路交通システムの更に別の構成例を示す概念図である。
図17及び図18のシステム構成では、ロボットカー100Aと非ロボットカー100B
とが混在しているが、道路交通システム1を構成する車両100がロボットカー100A
のみであるシステム構成とし、道路交通システム1内のロボットカー100A同士が運転
行動情報を利用し合えるようにすることも可能である。この場合のロボットカー100A
は、図19(A)の例と同様に、自車両の運転行動情報を他車両に提供するための運転行
動情報出力部(運転行動情報送信部、等)100Adを有する。
このシステム構成によれば、道路交通システム1内のロボットカー100A同士が運転
行動情報を利用し合うことにより、道路交通システム1内のロボットカー100Aの学習
効率を高めて、自動運転性能を急速に向上させることができる。道路交通システム1内の
全てのロボットカー100Aの自動運転性能を急速に向上させることができるため、道路
交通システム1全体の運用効率、安全性、顧客満足度、等が急速に向上する。
【0043】
図22(A)は、図17乃至図21中のロボットカー100Aの自動運転制御部100
Acの構成例を示す機能ブロック図である。図22(B)は、図19中の非ロボットカー
100Bの運転支援制御部100Beの構成例を示す機能ブロック図である。
自動運転制御部100Acは、走行状況認知部100Aaにより認知された走行状況に
基づいて、実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御
を行う機能ブロックである。
運転支援制御部100Beは、走行状況認知部100Aaにより認知された走行状況に
基づいて、実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御
を行う機能ブロックである。
【0044】
図22(A)に示すように、自動運転制御部100Acは、実行すべき運転操作を決定
する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部101aと、運転行動情報取得部(運転
行動情報受信部、等)100Abにより取得した運転行動情報に基づいて、運転知識部1
01aに記憶されている知識情報を更新する学習処理部(知識更新処理部)102aとを
有している。
この構成によれば、ロボットカー100Aは、他車両(他ロボットカー100A又は非
ロボットカー100B)の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操作を決定
する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照して走行状
況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う。し
たがって、ロボットカー100Aは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験
したことのある他車両の運転行動を学習して自動運転制御を行うことができる。
【0045】
また、図22(B)に示すように、運転支援制御部100Beは、実行すべき運転操作
を決定する際に参照する知識情報を記憶した運転知識部101bと、運転行動情報取得部
(運転行動情報受信部、等)100Bdにより取得した運転行動情報に基づいて、運転知
識部101bに記憶されている知識情報を更新する学習処理部(知識更新処理部)102
bとを有している。
この構成によれば、非ロボットカー100Bは、他車両(ロボットカー100A又は他
の非ロボットカー100B)の運転行動情報に基づいて知識情報(実行すべき運転操作を
決定する際の判断基準など)を更新する学習処理を行いつつ、当該知識情報を参照して走
行状況に応じた運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う
。したがって、非ロボットカー100Bは、自車両が未経験の状況においても、当該状況
を経験したことのある他車両の運転行動を学習して運転支援制御を行うことができる。
【0046】
図23(A)は、図17乃至図21中のロボットカー100Aの自動運転制御部100
Acの別の構成例を示す機能ブロック図である。図23(B)は、図19中の非ロボット
カー100Bの運転支援制御部100Beの別の構成例を示す機能ブロック図である。
自動運転制御部100Acは、走行状況認知部100Aaにより認知された走行状況に
基づいて、実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように自動運転制御
を行う機能ブロックである。
運転支援制御部100Beは、走行状況認知部100Aaにより認知された走行状況に
基づいて、実行すべき運転操作を決定し、当該運転操作が実行されるように運転支援制御
を行う機能ブロックである。
【0047】
図23(A)に示すように、自動運転制御部100Acは、走行状況認知部100Aa
により認知された走行状況に応じた運転操作を計算により決定する運転操作決定部103
aと、運転行動情報取得部(運転行動情報受信部、等)100Abにより取得した運転行
動情報に基づいて、運転操作決定部103aにおいて使用される運転操作決定関数のパラ
メタを調整する学習処理部104aとを有する。
この構成によれば、ロボットカー100Aは、他車両(他のロボットカー100A又は
非ロボットカー100B)の運転行動情報に基づいて運転操作決定関数のパラメタを調整
する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し、
当該運転操作が実行されるように自動運転制御を行う。したがって、ロボットカー100
Aは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運転行
動を学習して自動運転制御を行うことができる。
自動運転制御部100Acの学習処理部104aをディープ・ニューラルネットで構成
することにより、将来的には人間と同じく汎用の運転知識・運転能力(強いAI)を持っ
たロボットカー100Aが実現され得る。
【0048】
また、図23(B)に示すように、運転支援制御部100Beは、走行状況認知部10
0Baにより認知された走行状況に応じた運転操作を計算により決定する運転操作決定部
103bと、運転行動情報取得部(運転行動情報受信部、等)100Bdにより取得した
運転行動情報に基づいて、運転操作決定部103bにおいて使用される運転操作決定関数
のパラメタを調整する学習処理部104bとを有する。
この構成によれば、非ロボットカー100Bは、他車両(ロボットカー100A又は他
の非ロボットカー100B)の運転行動情報に基づいて運転操作決定関数のパラメタを調
整する学習処理を行いつつ、走行状況に応じた運転操作を運転操作決定関数により決定し
、当該運転操作が実行されるように運転支援制御を行う。したがって、非ロボットカー1
00Bは、自車両が未経験の状況においても、当該状況を経験したことのある他車両の運
転行動を学習して運転支援制御を行うことができる。
運転支援制御部100Beの学習処理部104bをディープ・ニューラルネットで構成
することにより、将来的には人間と同じく汎用の運転知識・運転能力(強いAI)を持っ
た非ロボットカー100Bが実現され得る。
【0049】
以上の実施形態において、自動車100は、経験情報の提供元である他車両と提供先で
ある自車両の車両属性(車種や車体の各部の寸法など)が異なる場合、提供された運転行
動情報を自車両の車両属性などに応じて最適値に修正し、当該修正した運転行動情報を参
照して運転支援制御又は自動運転制御を行う機能を有することが望ましい。
【0050】
[車両共用システム]
図1乃至図23に示した本発明の道路交通システムの実施形態は、本発明の車両共用シ
ステムの実施形態でもある。すなわち、道路交通システムの実施形態の説明は、その文中
の「道路交通システム」を「車両共用システム」と読み替えることにより、車両共用シス
テムの実施形態の説明とすることができる。車両共用システムの例として、レンタカーサ
ービス、カーシェアリングサービス、ロボットタクシーサービス、ロボットバスサービス
などを提供しうるシステムを挙げることができる。
なお、車両共用システムにおいては、多くの場合、ロボットカー100Aは、複数の利
用者によって共用される車両である。また、多くの場合、非ロボットカー100Bは、複
数の利用者によって共用される車両以外の車両である。
【0051】
[ロボットカー教習システム]
図24は本発明のロボットカー教習システムの構成例を示す概念図である。
図24に例示されるロボットカー教習システム1は、ロボットカー100Aと非ロボッ
トカー100Bとコンピューティングシステム200とを有する。
コンピューティングシステム200は、サーバコンピュータ210とデータベース22
0とを備える。
サーバコンピュータ210は、非ロボットカー100Bの運転行動情報をインターネッ
ト300経由で受信する運転行動情報受信部210aと、運転行動情報受信部210aに
より受信した運転行動情報をインターネット300経由でロボットカー100Aに送信す
る運転行動情報送信部210bと、を有する。
データベース220は、サーバコンピュータ210により受信された運転行動情報を蓄
積し管理している。
サーバコンピュータ210は単体でも複数でもよい。データベース(図示省略)は1つ
のサーバコンピュータに配置されていても、複数のサーバコンピュータに分散配置されて
いてもよい。
【0052】
ロボットカー100Aは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部100Aaと、
非ロボットカー100Bの運転行動情報を受信する運転行動情報受信部(運転行動情報取
得部)100Abと、自車両の走行状況認知部100Aにより認知された走行状況に基づ
いて自動運転制御を行うとともに、運転行動情報受信部100Abにより受信した運転行
動情報に基づいて非ロボットカー100Bの運転行動を学習する学習処理を行う自動運転
制御部100Acと、を有する。
【0053】
非ロボットカー100Bは、自車両の走行状況を認知する走行状況認知部100Baと
、自車両のヒューマンドライバによる運転操作を検出する運転操作検出部100Bbと、
走行状況認知部100Baにより認知された走行状況と運転操作検出部100Bbにより
検出された運転操作とを対応付けた運転行動情報を送信する運転行動情報送信部(運転行
動情報出力部)100Bcと、を有する。
【0054】
図25はロボットカー100Aのシステム構成の一例を示す機能ブロック図である。図
26は非ロボットカー100Aのシステム構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0055】
図25に示されるように、ロボットカー100Aは、車載ゲートウェイ110Aと走行
制御システム120Aとを有する。
車載ゲートウェイ110Aは、走行制御システム120Aの制御下で、コンピューティ
ングシステム200と通信する。車載ゲートウェイ110Aは、コンピューティングシス
テム200から受信したデータを走行制御システム120Aに入力する。車載ゲートウェ
イ110Aは、走行制御システム120Aから入力されたデータをコンピューティングシ
ステム200に送信する。
走行制御システム120Aは、検知部121A、車両情報入力部122A、測位部12
3A、地図情報入力部124A、操作部125A、通信部126A、表示部127A、記
憶部129A、制御部129A、等を備える。図1における走行状況認知部100Aaは
、検知部121A、車両情報入力部122A、測位部123A、地図情報入力部124A
、通信部126、等と制御部129とにより実現される。また、運転行動情報受信部10
0Abは、車載ゲートウェイ110Aにより実現される。そして、自動運転制御部100
Acは、制御部129Aにより実現される。
検知部121Aは、周辺の物体(他車両、歩行者、地上静止物、等)の存在や、周辺の
物体の位置、大きさ、相対速度、等を検知するためのセンサ類で構成されている。検知部
121Aは、例えば、ソナー121aやレーダ121b、カメラ121c、3次元レンジ
センサ、等で具現化される。
ソナー121aは、自車両の前後左右方向に向けられた各アンテナから超音波を所定領
域に送信し、その反射波を受信する。そして、受信した反射波に基づき、自車両の前後左
右方向に存在する物体について、自車両との位置関係、距離等を出力する。レーダ121
bは、自車両の前後左右方向に向けられたアンテナからレーザ光又はミリ波を照射して所
定の検知領域を走査し、その反射波を受信する。そして、受信した反射波に基づき、車両
の前後左右方向に存在する物体について、自車両との位置関係、距離、相対速度等を出力
する。カメラ121cは、自車両の前後左右方向の所定位置に設けられており、自車両の
前後左右方向に存在する周辺車両が写った撮像データを出力する。なお、これらのソナー
やレーダ、カメラ121c、3次元レンジセンサ、等のセンサ類は、複数のものを複合的
に用いてもよいし、単独で用いてもよい。
車両情報入力部122Aは、自車両の運動状況(重心位置、ヨー、ロール、ピッチ、速
度、加速度、角速度、等)及び運転操作(アクセル操作、ブレーキ操作、ステアリング操
作、シフト操作)に関する情報を制御部128に入力する。
測位部123Aは、地球上における自車両の位置(緯度、経度)を測位し、制御部12
8Aに入力する。測位部123Aは、例えば、高精度GPS(Global Positioning Syste
m)に対応した高精度測位受信機等で具現化される。
地図情報入力部124Aは、道路地図情報を記憶する記憶媒体から、自車両が現在走行
している道路に関する情報を取得し、制御部128Aに入力する。地図情報入力部128
Aによって入力される道路の情報の例として、車線数、車線幅、曲り、勾配、合流、規制
等の情報等を挙げることができる。
操作部125Aは、表示部127Aにおける各種表示の切り換え等の操作指示を入力す
るための入力装置である。
通信部126Aは、地上静止物に設けられた通信機や、周辺車両に搭載された通信機と
の間で、通信を行うための通信装置である。地上静止物には、車庫や道路が含まれる。
表示部127Aは、インストルメントパネル中央部に設けられるセンタディスプレイ、
及び、メータパネル内に設けられるインジケータで構成される表示装置である。表示部1
27Aには、自車両の状態を示す情報が表示される。
記憶部128Aは、自車両の認識関連情報、自車両の運転行動情報及び他車両の運転行
動情報を記憶する記憶装置である。
制御部129Aは、図示しないCPU、ROM、RAM等を中心に構成される情報処理
装置であり、走行制御システム120Aの各部を統括制御する。制御部129Aは、RO
Mに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することにより、各種処理を実行する

制御部129Aは、測位部123Aから入力された自車両の位置(緯度、経度)と地図
情報入力部124Aから入力された道路地図情報とに基づいて、電柱や信号器などの道路
構造物の情報を含む詳細道路データを算出するとともに、検知部121Aの3次元レンジ
センサにより周囲の物体の3次元距離を検出する。そして、3次元距離データと道路地図
とをリアルタイムで合成し、3次元レンジセンサにより検出された物体が、道路構造物な
のか、道路上の物体(車両、歩行者、等)なのかを正確に識別する。
自車両の位置の高精度把握は、モンテカルロ・ローカリゼーションといった既知の手法
により実現され、GPSの位置情報は二次的情報として利用される。周辺物体との相対状
況は、カルマンフィルタといった既知の手法により実現される。
制御部129Aは、自車両の認識関連情報を記憶部19Aに蓄積する。認識関連情報に
は、周辺物体などの認識結果とその認識処理に使用された各種データとが含まれる。
制御部129Aは、検知部121A、車両情報入力部122A、測位部123A、及び
、地図情報入力部124Aから入力された各種情報に基づく自車両の運転行動情報を記憶
部19Aに蓄積する。自車両の運転行動情報には、検知部121A、車両情報入力部12
2A、測位部123A、及び、地図情報入力部124Aにより得られた経路上位置-運転
操作対応情報(経路上位置-運転操作対応テーブルなど)、入出車経路位置-運転操作対
応情報(入出車経路位置-運転操作対応テーブルなど)が含まれる。
制御部129Aは、車載ゲートウェイ110Aを介してコンピューティングシステム2
00と通信する。
制御部129Aは、車載ゲートウェイ110を介して受信した非ロボットカー100B
の運転行動情報を、記憶部128Aに蓄積する。非ロボットカー100Bの運転行動情報
には、非ロボットカー100Bの検知部121B、車両情報入力部122B、測位部12
3B、及び、地図情報入力部124Bにより得られた経路上位置-運転操作対応情報(経
路上位置-運転操作対応テーブルなど)、入出車経路位置-運転操作対応情報(入出車経
路位置-運転操作対応テーブルなど)が含まれる。
制御部129Aは、通信部126Aを介して周辺の地上静止物や周辺の車両と通信する

制御部129Aは、通信部126Aを介して受信した非ロボットカー100Bの運転行
動情報を、記憶部128Aに蓄積する。
制御部129Aには、運転制御の対象となる車両制御部130Aが接続されている。
車両制御部130Aは、エンジンECU(Electronic Control Unit)130a、ブレ
ーキECU130b、舵角ECU130c、スタビリティECU130d、等の各種電子
制御装置からなる。エンジンECU130aは、アクセルペダルの操作量やエンジンの状
態に応じた制御指令を出して、エンジンの出力を制御する。ブレーキECU130bは、
ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキの制動力を制御する。舵角ECU130cは、
ステアリングの舵角を制御する。スタビリティECU130dは、車両の走行安定性を制
御する。
制御部129Aは、運転操作量(アクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング操作
量、等)に応じて、車両制御部130A内の各ECUに指令を与えることで、車両の走行
を制御する。
制御部129Aは、検知部121Aなどにより検知された時々刻々と変化する自車両の
走行状況をリアルタイムで解析しつつ、当該解析結果と自車両の運転行動情報及び/又は
非ロボットカー100Bの運転行動情報とに基づいて運転操作量を決定し、車両制御部1
30内の各ECUに指令を与える。
制御部129Aは、車載ゲートウェイ110Aや通信部126Aにより受信した運転行
動情報に基づいて非ロボットカー100Bの運転行動を学習する学習処理を行う。
上記の例では、車載ゲートウェイ110Aと走行制御システム120Aとが各々別個に
存在しているが、車載ゲートウェイ110Aは走行制御システム120Aと統合できる。
【0056】
上記のように構成されたロボットカー100Aは、自車両の走行状況と自車両の運転行
動情報又は非ロボットカー100Bの運転行動情報とに基づいて自動運転制御を行いつつ
、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習する。
【0057】
図26に示されるように、非ロボットカー100Bは、車載ゲートウェイ110Bと走
行制御システム120Bとを有する。
車載ゲートウェイ110Bは、走行制御システム120Bの制御下で、コンピューティ
ングシステム200と通信する。車載ゲートウェイ110Bは、コンピューティングシス
テム200から受信したデータを走行制御システム120Bに入力する。車載ゲートウェ
イ110Bは、走行制御システム120Bから入力されたデータをコンピューティングシ
ステム200に送信する。
走行制御システム120Bは、検知部121B、車両情報入力部122B、測位部12
3B、地図情報入力部124B、操作部125B、通信部126B、表示部127B、記
憶部129B、制御部129B、等を備える。図24における走行状況認知部100Ba
は、検知部121B、車両情報入力部122B、測位部123B、地図情報入力部124
B、操作部125B、通信部126B、等と制御部129Bとにより実現される。運転操
作検出部100Bbは、車両情報入力部122Bの運転操作検出機能により実現される。
また、運転行動情報送信部100Bcは、車載ゲートウェイ110Bにより実現される。
検知部121B、車両情報入力部122B、測位部123B、地図情報入力部124B
、通信部126B及び車両制御部130Bの構成及び機能は、ロボットカー100Aの検
知部121A、車両情報入力部122A、測位部123A、地図情報入力部124A、通
信部126A及び車両制御部130Aの構成及び機能と同様である。
操作部125Bは、走行制御のオン・オフや制御モードの切り換え、表示部127Bに
おける各種表示の切り換え等の操作指示を入力するための入力装置である。操作部125
Bは、例えば、車両のステアリングホイールのスポーク部分に設けられるスイッチ等によ
り具現化される。
表示部127Bは、インストルメントパネル中央部に設けられるセンタディスプレイ、
及び、メータパネル内に設けられるインジケータで構成される表示装置である。表示部1
27Bには、自車両の状態を示す情報が表示されるとともに、走行制御のオン・オフや制
御モードが表示される。制御モードには、手動運転モードと、運転支援モードとがある。
記憶部128Bは、自車両の運転行動情報及び認識関連情報を記憶する記憶装置である

制御部129Bは、図示しないCPU、ROM、RAM等を中心に構成される情報処理
装置であり、走行制御システム120Bの各部を統括制御する。制御部129Bは、RO
Mに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することにより、各種処理を実行する

制御部129Bは、測位部123Bから入力された自車両の位置(緯度、経度)と地図
情報入力部124Bから入力された道路地図情報とに基づいて、電柱や信号器などの道路
構造物の情報を含む詳細道路データを算出するとともに、検知部121Bの3次元レンジ
センサにより周囲の物体の3次元距離を検出する。そして、3次元距離データと道路地図
とをリアルタイムで合成し、3次元レンジセンサにより検出された物体が、道路構造物な
のか、道路上の物体(車両、歩行者、等)なのかを正確に識別する。
制御部129Bは、検知部121B、車両情報入力部122B、測位部123B及び地
図情報入力部124Bから入力された各種情報に基づく自車両の運転行動情報を記憶部1
9Bに蓄積する。自車両の運転行動情報には、検知部121B、車両情報入力部122B
、測位部123B及び地図情報入力部124Bにより得られた経路上位置-運転操作対応
情報(経路上位置-運転操作対応テーブルなど)、入出車経路位置-運転操作対応情報(
入出車経路位置-運転操作対応テーブルなど)が含まれる。
制御部129Bには、運転制御の対象となる車両制御部130Bが接続されている。
制御部129Bは、運転操作量(アクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング操作
量、等)に応じて、車両制御部130B内の各ECUに指令を与えることで、車両の走行
を制御する。
制御部129Bは、手動運転モードにおいては、時々刻々と変化する自車両の走行状況
をリアルタイムで解析しつつ、当該解析結果と自車両の運転行動情報に基づいて、自車両
を運転するヒューマンドライバの運転行動を学習する学習処理を行う。
制御部129Bは、運転支援モードにおいては、時々刻々と変化する自車両の走行状況
をリアルタイムで解析しつつ、当該解析結果と自車両の運転行動情報に基づいて運転支援
情報を生成し、当該運転支援情報を、表示部127Aなどを使用してドライバに報知する
。制御部129Bは、運転支援モードにおいても、自車両を運転するヒューマンドライバ
の運転行動を学習する学習処理を行う。
制御部129Bは、自車両の運転行動情報を記憶部128Bに記憶させる。記憶部12
8Bには、自車両を運転するヒューマンドライバの運転行動の学習結果が反映された運転
行動情報が記憶される。
制御部129Bは、車載ゲートウェイ110Bを介してコンピューティングシステム2
00と通信する。
制御部129Bは、記憶部128Bに蓄積された自車両の運転行動情報を、車載ゲート
ウェイ110Bを介してコンピューティングシステム200に送信する。
制御部129Bは、通信部126Bを介して周辺の地上静止物や周辺の車両と通信する

制御部129Bは、記憶部128Bに蓄積された自車両の運転行動情報を、通信部12
6Bを介して地上静止物や周辺の車両に送信する。
【0058】
上記のように構成された非ロボットカー100Bは、自車両のヒューマンドライバによ
る運転操作に応じた運転制御を行いつつ、自車両を運転するヒューマンドライバの運転行
動の学習処理、自車両の運転行動情報の送信処理、等、各種処理を行う。
【0059】
図27図24のロボットカー教習システムの動作内容を例示するフロー図である。こ
のフロー図は、図24のロボットカー教習システムにより実現されるロボットカー教習方
法の内容を例示するフロー図でもある。
このロボットカー教習システム1及び方法では、ロボットカー100Aと非ロボットカ
ー100Bとを同じ経路R(図29参照)を走行させて、非ロボットカー100Bを運転
するヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100Aに学習させることによりロボ
ットカー100Aの運転教習が行なわれる。ロボットカー100Aと非ロボットカー10
0Bとが同じ経路Rを走行する態様には、非ロボットカー100Bがロボットカー100
Aに先行して走行する態様(図29(A))と、ロボットカー100Aが非ロボットカー
100Bに先行して走行する態様(図29(B))とがある。いずれの態様においても、
以下の動作がなされる。
【0060】
非ロボットカー100Bは、ロボットカー100Aと同じ経路Rを走行する(S1:非
ロボットカー走行ステップ)。
非ロボットカー100Bは、経路Rを走行中に、自車両の走行状況を認知する(S2:
非ロボットカー走行状況認知ステップ)。
非ロボットカー100Bは、経路Rを走行中に、自車両のヒューマンドライバによる運
転操作を検出する(S3:運転操作検出ステップ)。
非ロボットカー100Bは、自車両の走行状況と運転操作とを対応付けた運転行動情報
をサーバ210に送信する(S4:運転行動情報送信ステップ、運転行動情報出力ステッ
プ)。
非ロボットカー100Bは、自車両が走行中であるか否か判別し(S5)、走行中であ
れば(S5でYes)、ステップS2、S3、S4を繰り返し実行する。
【0061】
コンピューティングシステム200は、非ロボットカー100Bから運転行動情報を受
信する(S11:運転行動情報受信ステップ)。
コンピューティングシステム200は、非ロボットカー100Bから受信した運転行動
情報をロボットカー100Aに送信する(S12:運転行動情報送信ステップ)。
【0062】
ロボットカー100Aは、非ロボットカー100Bと同じ経路Rを走行する(S21:
ロボットカー走行ステップ)。
ロボットカー100Aは、経路Rを走行中に、自車両の走行状況を認知する(S22:
ロボットカー走行状況認知ステップ)。
ロボットカー100Aは、自車両の走行状況に基づいて実行すべき運転操作を決定する
(S23:運転操作決定ステップ)。
ロボットカー100Aは、決定した運転操作が実行されるように自動運転制御を行う(
S24:自動運転制御ステップ)。
ロボットカー100Aは、非ロボットカー100Bの運転行動情報をサーバ210から
受信する(S25:運転行動情報受信ステップ、運転行動情報取得ステップ)。
ロボットカー100Aは、サーバ210から受信した運転行動情報に基づいて非ロボッ
トカー100Bを運転するヒューマンドライバの運転行動を学習する(S26:学習ステ
ップ)。
【0063】
図28図27の学習ステップS26の内容を例示するフロー図である。
学習ステップS26において、ロボットカー100Aは、まず、自動運転制御(S24
)によりなされた自車両の運転行動情報を生成する(S26a1:運転行動情報生成ステ
ップ)。
そして、運転行動情報受信ステップS25で受信した非ロボットカー100Bの運転行
動情報(学習データセット)と自車両の運転行動情報との違いから、非ロボットカー10
0Bの運転行動情報に含まれる個々の走行状況において、非ロボットカーと同じ運転操作
(正解の操作)が自車両においてなされるように学習処理を行う(S26a2:教師あり
学習ステップ)。
【0064】
このロボットカー教習システム1及び方法によれば、非ロボットカー100Bを運転す
るヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100Aに学習させて、ロボットカー1
00Aの自動運転性能を向上させることができる。ロボットカー100Aの自動運転性能
が向上するにつれて、ロボットカー100Aの安全性・信頼性が向上し、ひいてはロボッ
トカー100Aと非ロボットカー100Bとが共存する道路交通システム全体の安全性・
信頼性が向上する。
【0065】
このロボットカー教習システム1及び方法は、非ロボットカー100Bがロボットカー
100Aに先行して走行する態様(図29(A))、又は、ロボットカー100Aが非ロ
ボットカー100Bに先行して走行する態様(図29(B))で、ロボットカー100A
の運転教習を実施することができる。
図29(A)の態様での運転教習によれば、同じ経路Rを先に走行した非ロボットカー
100Bの運転行動情報に基づいて、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドラ
イバの運転行動をロボットカー100Aに学習させることができる。すなわち、ロボット
カー100Aに新たな状況を経験させつつ、当該状況を既に経験した非ロボットカー10
0Bを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100Aに学習させること
ができる。ロボットカー100Aが受け取る非ロボットカー100Bの運転行動情報は、
非ロボットカー100Bによるヒューマンドライバの運転行動の学習結果が反映された運
転行動情報である。したがって、ロボットカー100Aが非ロボットカー100Bの運転
行動情報に基づいて学習を行うことにより、非ロボットカー100Bを運転するヒューマ
ンドライバの運転行動を効率良く学習することができる。
図29(B)の態様での運転教習によれば、同じ経路を後に走行した非ロボットカー1
00Bの運転行動情報に基づいて、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドライ
バの運転行動をロボットカー100Aに学習させることができる。すなわち、ロボットカ
ー100Aに新たな状況を経験させた後で、当該状況を経験した非ロボットカー100B
のヒューマンドライバの運転行動をロボットカーに学習(強化学習:事後情報に基づく学
習)させることができる。この態様においても、ロボットカー100Aは、非ロボットカ
ー100Bを運転するヒューマンドライバの運転行動を効率良く学習することができる。
【0066】
また、図29(A)の態様によれば、ロボットカー100Aは、同じ経路Rを先に走行
した非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づいて自動運転制御を行うことにより、
非ロボットカー100Bと同等レベルの高い運転性能で経路Rを走行することができる。
たとえば、経路Rが、幅の狭い曲がりくねった道路や、電柱などの障害物が多く存在す
る幅の狭い道路である場合、運転に不慣れなドライバやカーシェアリングサービスなどで
運転の度に異なる車両に搭乗するドライバにとっては、経路Rをスムーズに走行すること
は簡単ではない。この種の道路をスムーズに走行することはロボットカー100Aも苦手
である。
しかし、非ロボットカー100Bが経路Rを日常スムーズに走行する車両であるならば
、非ロボットカー100Bの運転行動情報を参照してロボットカー100Aが自動運転制
御を行うことにより、ロボットカー100Aは非ロボットカー100Bと同等レベルの運
転性能で経路Rをスムーズに走行することが可能となる。
【0067】
再び図4乃至図6を参照して説明する。
ロボットカー100Aの教習は、最も好ましくは、ロボットカー100Aと非ロボット
カー100Bとが全く同一の経路Rを全く同一の走行状況で走行することにより行われる
。全く同一の走行状況を実現するために、ロボットカー教習のための偽物の街が使用され
る。この偽物の街には、幅の狭い曲がりくねった道路、電柱などの障害物が多く存在する
幅の狭い道路、でこぼこ道、見通しの悪い交差点、市街地ハイウェイ、不慣れな人には入
出車しにくい車庫、等がまるで本物の様に再現されている。この偽物の街には、他車両、
歩行者、家畜、等を自在に配置できる。この偽物の街では、道路に急に歩行者(人形)を
飛び出させたり、野球のボールや風船を投入したり、木の葉を降り散らしたりすることも
自在になし得る。
【0068】
ロボットカー100Aは、経路R上の各地点(P1,P2,・・・,Pn)においてなされた非
ロボットカー100Bの運転操作と自車両の運転操作とを比較し、各地点(P1,P2,・・・
,Pn)において、非ロボットカー100Bにおいてなされたのと同じ運転操作(正解の操
作)が自車両においてなされるように学習処理を行う。例えば、地点P3においてなされた
自車両の減速操作(制動操作)の操作量yyyが非ロボットカー100Bの減速操作(制
動操作)の操作量xxxよりも大きい(あるいは小さい)場合、地点P3における自車両の
減速操作(制動操作)の操作量yyyがxxxと一致する(限りなく近くなる)ように学
習処理を行う。
この学習処理は、運転行動の要素のうち特に、走行状況についての「認識」及び認識さ
れた走行状況に対する「判断・計画」についてなされる。ロボットカー100Aは、走行
状況についての「認識」の誤りを発見する処理を行う。「認識」の誤りが発見されたなら
ば、その誤りを修正する学習処理を行う。「認識」の誤りが発見されなければ、認識され
た走行状況に対する「判断・計画」の誤りを発見する処理を行う。「判断・計画」の誤り
が発見されたならば、その誤りを修正する学習処理を行う。「判断・計画」の誤りが発見
されなければ、別の認識対象についての「認識」の誤りを発見する処理に戻るか又はこの
学習処理については終了する。
例えば、地点PP3において、非ロボットカー100Bは減速操作(制動操作)を行わな
かったのに対しロボットカー100Aは減速操作(制動操作)を行った場合、ロボットカ
ー100Aは、地点PP3において認識された対象及び認識に至った過程について再確認す
る。この再確認は、記憶部128Aに蓄積された自車両の運転行動情報及び認識情報を読
み出すことにより行うことができる。その結果、例えば、自車両の前方に落下する石(こ
ぶし大の石)が「認識」されていた場合、ロボットカー100Aは、走行状況認知部10
0Aa(検知部121A)により認知(検知)された物体を石と認識するに至った「認識
」の処理内容(プログラム・パラメータ及び/又はデータ)を修正する学習処理を行う。
地点PP3において非ロボットカー100Bが減速操作(制動操作)を行わなかったという
ことは、自車両の前方に落下する石のような危険度の大きい物体は存在しなかった可能性
が高いからである。この例の場合、ロボットカー100Aは、自車両の前方に落下する木
の葉など(危険度が小さい物体)を石(危険度の大きい物体)であると誤って認識した可
能性が大きい。
また、例えば、地点Pn-2において、非ロボットカー100Bは右転舵しつつ走行するの
みで減速操作(制動操作)は行わなかったのに対し、ロボットカー100Aは減速操作(
制動操作)を行った場合、ロボットカー100Aは、地点Pn-2において認識された対象及
び認識に至った過程について再確認する。その結果、例えば、右折を許す表示状態から右
折を許さない表示状態に切り替わった交差点の信号器、及び、自車両の間近に後方から接
近する他車両が認識されていた場合、ロボットカー100Aは、自車両の走行状況の「認
識」は正しくなされたと判断し、減速操作(制動操作)を行うに至った「判断・計画」の
処理内容(プログラム・パラメータ及び/又はデータ)を修正する学習処理を行う。地点P
-2において、信号器が右折を許さない表示状態に切り替わったにもかかわらず、非ロボッ
トカー100Bが減速操作(制動操作)を行わなかったということは、後方から接近する
他車両による追突事故を回避するためであった可能性が高いからである。
【0069】
図24の例では、非ロボットカー100Bからロボットカー100Aへコンピューティ
ングシステム200を介して運転行動情報が受け渡されるが、非ロボットカー100Bか
らロボットカー100Aへ運転行動情報を受け渡す方法は任意である。その他の方法の例
として、ロボットカー100Aと非ロボットカー100Bとの直接通信(車車間通信、図
7参照)、地上静止物410を介しての受け渡し(図8参照)、道路420を介しての受
け渡し(車路間通信、図9参照)、携帯端末500を介しての受け渡し(図10参照)、
等を挙げることができる。
【0070】
図22(A)は図24のロボットカー教習システム1におけるロボットカー100Aの
自動運転制御部Acの構成例を示すブロック図でもある。
この構成例の自動運転制御部100Acは、自車両の運転操作を決定する際に参照する
知識情報(判断基準等)を記憶した運転知識部101aと、運転行動情報受信部100A
bにより受信(取得)した運転行動情報に基づいて、運転知識部101aに記憶されてい
る知識情報を更新する学習処理を行う学習処理部(知識更新処理部)102aと、を有す
る。
【0071】
図30はこの構成例における学習ステップS26の内容を例示するフロー図である。
学習ステップS26において、ロボットカー100Aは、まず、自動運転制御(S24
)によりなされた自車両の運転行動情報を生成する(S26b1:運転行動情報生成ステ
ップ)。
運転行動情報受信ステップS25で受信した非ロボットカー100Bの運転行動情報を
学習データセット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該
運転行動情報に含まれる個々の走行状況において非ロボットカー100Bと同じ運転操作
(正解の操作)が自車両においてなされるように、運転知識部101aに記憶された知識
情報を更新する学習処理(教師あり学習による学習処理)を行う(S26b2:教師あり
学習ステップ)。
この実施形態のロボットカー教習システム1及び方法によれば、非ロボットカー100
Bの運転行動情報を学習データセットとする教師あり学習により、非ロボットカー100
Bを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100Aに学習させることが
できる。
【0072】
図23(A)は図24のロボットカー教習システム1におけるロボットカー100Aの
自動運転制御部Acの別の構成例を示すブロック図でもある。
この別の構成例の自動運転制御部100Acは、
走行状況認知部100Aaにより認知された走行状況に応じた運転行動を計算により決
定する運転操作決定部103aと、
運転行動情報受信部100Abにより受信(取得)した運転行動情報に基づいて、運転
操作決定部103aにおいて使用される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理
部(パラメタ調整部)104aと、を有する。
【0073】
図31はこの別の構成例における学習ステップS26の内容を例示するフロー図である

学習ステップS26において、ロボットカー100Aは、まず、自動運転制御(S24
)によりなされた自車両の運転行動情報を生成する(S26c1:運転行動情報生成ステ
ップ)。
運転行動情報受信ステップS25で受信した非ロボットカー100Bの運転行動情報を
学習データセット(走行状況と当該状況においてなされた運転操作との組)として、当該
運転行動情報に含まれる個々の走行状況において非ロボットカー100Bと同じ運転操作
(正解の操作)が自車両においてなされるように、運転操作決定部103aにおいて使用
される運転操作決定関数のパラメタを調整する学習処理(教師あり学習による学習処理)
を行う(S26c2:教師あり学習ステップ)。
この実施形態のロボットカー教習システム1及び方法によれば、非ロボットカー100B
の運転行動情報を学習データセットとする教師あり学習により、非ロボットカー100B
を運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100Aに学習させることがで
きる。
【0074】
図32は本発明のロボットカー教習システムの別の構成例を示す概念図である。図24
のシステムとはサーバ210の構成が相違する。
このロボットカー教習システム1におけるコンピューティングシステム200のサーバ
210は、運転行動情報受信部210aにより受信した運転行動情報に基づいて、最適化
された運転行動情報を生成する最適化情報生成部210cと、最適化された運転行動情報
を最新の情報に更新して管理する最適化情報更新部210dと、最新の運転行動情報をロ
ボットカー100Aに送信する運転行動情報送信部210bと、を有する。
【0075】
図33図32のロボットカー教習システムの動作内容を例示するフロー図である。こ
のフロー図は、図32のロボットカー教習システムにより実現されるロボットカー教習方
法の内容を例示するフロー図でもある。図27のフロー図とはコンピューティングシステ
ム200の動作が相違する。
コンピューティングシステム200は、非ロボットカー100Bから運転行動情報を受
信する(S11:運転行動情報受信ステップ)。
コンピューティングシステム200は、非ロボットカー100Bから受信した運転行動
情報に基づいて最適化された運転行動情報を生成する(S13:最適化情報生成ステップ
)。
コンピューティングシステム200は、最適化された運転行動情報を最新の情報に更新
して管理する(S14:最適化情報更新ステップ)。
コンピューティングシステム200は、最適化された最新の運転行動情報をロボットカ
ーに送信する(S12:運転行動情報送信ステップ)。
この実施形態のロボットカー教習システム1及び方法によれば、コンピューティングシ
ステム200から最適化された運転行動情報を受信したロボットカー100Aは、当該最
適化された運転行動情報に基づいて、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドラ
イバの運転行動を学習することができる。
【0076】
この実施形態における最適化された運転行動情報には、運転行動情報の提供を受けるロ
ボットカー100Aの車両属性に応じて最適化された運転行動情報、運転行動情報の提供
を受けるロボットカー100Aが障害物と接触する可能性が最少になるように最適化され
た運転行動情報、運転行動情報の提供を受けるロボットカー100Aの消費エネルギが最
少になるように最適化された運転行動情報、運転行動情報の提供を受けるロボットカー1
00Aの回生エネルギが最大になるように最適化された運転行動情報、所定走行距離若し
くは所定走行時間における加速回数或いは加速時間が最少になるように最適化された運転
行動情報、所定走行距離若しくは所定走行時間における制動回数又は制動時間が最少又は
最大になるように最適化された運転行動情報、出発地点から到着地点までの走行距離が最
少になるように最適化された運転行動情報、出発地点から到着地点までの走行時間が最少
になるように最適化された運転行動情報、等が含まれる。
【0077】
図22(A)及び図23(A)図16に例示される自動運転制御部Acの構成は図32
システムにおけるロボットカー100Aの自動運転制御部Acにも適用可能である。この
場合の学習ステップS26の内容は、図30及び図31と同様である。
[その他の実施形態等]
【0078】
本発明のロボットカー教習システムは、本発明の道路交通システムに含まれる。したが
って、図24乃至図33を参照してなされた本発明のロボットカー教習システムの実施形
態の説明は、本発明の道路交通システムの実施形態の説明でもある。
また、図12乃至図14は、本発明のロボットカー教習システムの実施形態についての
説明図でもある。そして、図12乃至図14を参照してなされた本発明の道路交通システ
ムの実施形態の説明は、本発明のロボットカー教習システムの実施形態の説明でもある。
【0079】
以上の実施形態のロボットカー教習システム及び方法によれば、非ロボットカー100
Bが自車両のヒューマンドライバの運転行動を日々学習して運転支援性能を日々向上させ
ていくことにより、ロボットカー100Aの自動運転性能も日々向上させていくことがで
きる。すなわち、ロボットカー100Aと非ロボットカー100Bとが共存する状況下で
、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドライバの運転テクニックをロボットカ
ー100Aに学習させて、ロボットカー100Aの自動運転性能を高効率に向上させるこ
とができる。ロボットカー100Aの自動運転性能が向上するにつれて、道路交通システ
ム全体の安全性・信頼性の向上が図られる。
【0080】
以上の実施形態のロボットカー教習システム及び方法によれば、タクシードライバやバ
スドライバ等、プロフェッショナルドライバが非ロボットカー100Bを運転した際に得
られた運転行動情報を、ロボットカー100Aの教習のために利用することができる。ロ
ボットカー100Aの自動運転性能の向上に役立つ運転行動情報を提供したプロフェッシ
ョナルドライバが対価を得ることができるシステムとすることにより、非ロボットカー1
00Bを運転した際の運転行動情報を提供することへのインセンティブをプロフェッショ
ナルドライバ達に与えて、彼らの持つ高度な運転テクニックによる運転行動情報の提供を
促すことができる。このシステムは、ロボットカー100Aと非ロボットカー100Bと
が共存する環境(全ての車両がロボットカーになるまでの過渡的環境)において、ロボッ
トカー教習システム側とタクシードライバやバスドライバ等、運転行動情報を提供する側
の双方にとって都合の良いシステムである。
【0081】
以上の実施形態において、ロボットカー100Aの教習は、ロボットカー100Aと非
ロボットカー100Bとが同一の経路Rを走行することにより行われるが、必ずしも同一
の走行状況で行われなくてもよい。ロボットカー100Aの教習は、本物の街で行うこと
もできる。ロボットカー100Aと非ロボットカー100Bとが混在する道路交通システ
ムにおいて、ロボットカー100Aの教習を行うことが可能な環境が実現されたならば、
地球上に形成された巨大な道路交通システムがロボットカー教習システムとなる。
【0082】
以上の実施形態のロボットカー教習システムにおいて、自動運転制御部100Acの学
習処理部104aは、非ロボットカー100Bの運転行動情報から把握される当該非ロボ
ットカー100Bの運転行動により近い運転行動をとったときによりプラスの報酬を与え
、当該非ロボットカー100Bの運転行動からより遠い運転行動をとったときによりマイ
ナスの報酬(罰)を与えて、最も多くの報酬が得られそうな運転行動をとるように学習処理
(強化学習による学習処理)を行うことが望ましい。
この構成によれば、非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習により、
非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドライバの運転行動をロボットカー100
Aに学習させることができる。
【0083】
非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習には、非ロボットカー100
Bの運転行動情報から把握される非ロボットカー100Bの運転行動により近い運転行動
をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボットカー100Bの運転行動からよ
り遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、最も多くの報酬が得られ
そうな運転行動をとるように知識部101aに記憶された知識情報を更新する学習が含ま
れる。
【0084】
非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習には、非ロボットカー100
Bの運転行動情報から把握される非ロボットカー100Bの運転行動により近い運転行動
をとったときによりプラスの報酬を与え、当該非ロボットカー100Bの運転行動からよ
り遠い運転行動をとったときによりマイナスの報酬(罰)を与え、最も多くの報酬が得られ
そうな運転行動をとるように運転操作決定部103aにおいて使用される運転操作決定関
数のパラメタを調整する学習が含まれる。
【0085】
非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習(模倣学習)によれば、単に
試行錯誤(あるタイミングでブレーキをかけなかったら周辺物体に衝突した、経路の曲が
りに比べて舵角が小さすぎたら周辺物体に衝突した、といったこと)を繰り返す従来の強
化学習と比較して格段と高い効率でロボットカー100Aの自動運転性能を向上させるこ
とができる。すなわち、従来の強化学習は、決められた経路に沿ってより速い速度で走行
しだときにプラスの報酬を与え、ガードレールや他車両など周辺物体に衝突したり決めら
れた経路を外れたりしたりしたときにマイナスの報酬(罰)を与えて、どのような行動をす
るとどれくらいの報酬が得られそうかを学習していくのみ、すなわちヒューマンドライバ
の運転行動とは無関係に自車両の運転行動の正否に基づいて学習するのみであるため、ロ
ボットカー100Aの自動運転性能をヒューマンドライバの運転テクニックのレベルまで
高めるには長期間にわたる非常に膨大な回数の試行錯誤を要する。これに対し、非ロボッ
トカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習(模倣学習)は、ヒューマンドライバの
運転テクニックを目標とし、その目標を達成するために、非ロボットカー100Bを運転
するヒューマンドライバの運転行動(お手本)に自車両の運転行動を近づけていく試行錯
誤を繰り返すため(この点では「教師あり学習」ともいえる)、ロボットカーの自動運転
性能をヒューマンドライバの運転テクニックのレベルまで短期間で到達させることができ
る。
【0086】
以上の実施形態のロボットカー教習システムにおいて、ロボットカー100Aは、ヒュ
ーマンドライバの運転行動とは無関係に自車両の運転行動の正否のみに基づいて学習する
従来同様の強化学習(或いは教師なし学習)を行うとともに、非ロボットカー100Bの
運転行動情報に基づく強化学習(模倣学習)を行うことが望ましい。
この構成によれば、非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習(模倣学
習)による学習がなされていない運転行動を、従来同様の強化学習(或いは教師なし学習
)による学習の結果なされる運転行動により補うことができる。また反対に、従来同様の
強化学習(或いは教師なし学習)による学習がなされていない、あるいは学習が進んでい
ない運転行動を、非ロボットカー100Bの運転行動情報に基づく強化学習(模倣学習)
による学習の結果なされる運転行動により補うことができる。
【0087】
以上の実施形態のロボットカー教習システムにおいて、自動運転制御部100Acの学
習処理部104aを多層ニューラルネット(ディープ・ニューラルネット)で構成するこ
とが望ましい。この構成は、自動運転制御部100Acに多層ニューラルネット・プログ
ラムをインストールし、当該多層ニューラルネット・プログラムにより学習処理を実行す
ることにより実現される。
この構成によれば、多層ニューラルネット・プログラムにより実現される深層学習機能
をロボットカー100Aに持たせ、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドライ
バの運転行動(認識、判断・計画、操作)の特徴をロボットカー100Aに自ら抽出させ
て学習を行わせることができる。この構成により、将来的には人間と同じく汎用の運転知
識・運転能力(強いAI)を持ったロボットカー100Aが実現され得る。
【0088】
以上の実施形態のロボットカー教習システムにおいて、自動運転制御部100Acの学
習処理部104aをニューロモーフィック・チップで構成することが望ましい。
この構成によれば、ニューロモーフィック・チップにより実現される深層学習機能をロ
ボットカー100Aに持たせ、非ロボットカー100Bを運転するヒューマンドライバの
運転行動(認識、判断・計画、操作)の特徴をロボットカー100Aに自ら抽出させて学
習(自己組織化)を行わせることができる。この構成により、将来的には人間と同じく汎
用の運転知識・運転能力(強いAI)を持ったロボットカー100Aが実現され得る。
【0089】
上記ニューロモーフィック・チップには、スパイキング・ニューラルネットが実装され
ていることが望ましい。
この構成によれば、スパイキング・ニューラルネットにより実現される本物の脳を模し
た学習機能をロボットカー100Aに持たせ、非ロボットカー100Bを運転するヒュー
マンドライバの運転行動(認識、判断・計画、操作)の特徴をロボットカー100Aに人
間のように自ら抽出させて学習(自己組織化)を行わせることができる。
【0090】
以上の実施形態において、ロボットカー100Aは、非ロボットカー100Bから提供
された運転行動情報を自車両の車両属性に応じて最適値に修正し、当該修正した運転行動
情報に基づいて学習処理及び自動運転制御を行う機能を有することが望ましい。たとえば
、車両寸法や内外輪差が非ロボットカー100Bと相違する場合、ロボットカー100A
は、非ロボットカー100Bから提供された運転行動情報に含まれるステアリング操作量
やブレーキ操作のタイミングを修正し、当該修正したステアリング操作量やブレーキ操作
のタイミングを含む運転行動情報に基づいて学習処理及び自動運転制御を行う。
【符号の説明】
【0091】
1 道路交通システム,車両共用システム,ロボットカー教習システム
100 車両
100A ロボットカー(車両)
100Aa 走行状況認知部
100Ab 運転行動情報受信部(運転行動情報取得部)
100Ac 自動運転制御部
100Ad 運転行動情報出力部
100B 非ロボットカー(車両)
100Ba 走行状況認知部
100Bb 運転操作検出部
100Bc 運転行動情報送信部(運転行動情報出力部)
100Bd 運転行動情報取得部
100Be 運転支援制御部
101a 運転知識部
102a 学習処理部
103a 運転操作決定部
104a 学習処理部
101b 運転知識部
102b 学習処理部
103b 運転操作決定部
104b 学習処理部
110 車載ゲートウェイ
120 走行制御システム
200 コンピューティングシステム
210a 運転行動情報受信部(運転行動情報受信機能)
210b 運転行動情報送信部(運転行動情報受信機能)
210c 最適化情報生成部(最適化情報生成機能)
210d 最適化情報更新部(最適化情報更新機能)
210 サーバコンピュータ
220 データベース
300 インターネット(ネットワーク)
410 信号器(地上静止物)
420 道路(地上静止物)
440 車庫入れ経験提供装置
500 携帯端末
G 車庫(地上静止物)
V1 自車両
V2 他車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33