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特開2024-170584ブロー成形容器およびそれを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170584
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ブロー成形容器およびそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241203BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20241203BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B65D1/02 110
B65D81/26 H
B29C49/22
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024154562
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2020558451の分割
【原出願日】2019-04-24
(31)【優先権主張番号】62/661,697
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501014005
【氏名又は名称】シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド
【住所又は居所原語表記】960 West Veterans Boulevard, Auburn, Alabama 36832 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,ジョナサン アール.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブロー成形容器およびそれを作製する方法に関する。
【解決手段】容器、例えば、ボトルは、ブロー成形工程によって形成される。容器は、底部と、底部から延在する側壁と、を含む。底部および側壁は、少なくとも1つの製品を収容するように構成されている内部を画定する。側壁および底部のうちの少なくとも1つは、バリア層およびバリア層に付着した乾燥剤層を有する。バリア層および乾燥剤層は各々、一緒にブロー成形される。バリア層は、乾燥剤層に対して外側に位置し、プラスチック材料から作製される。乾燥剤層は、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物を含むモノリシック組成物から作製される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形工程によって形成された容器、任意選択でボトルであって、前記容器が、
底部と、
前記底部から延在する側壁であって、前記底部および前記側壁が、少なくとも1つの製品を収容するように構成されている内部を画定する、側壁と、を備え、
前記側壁および前記底部のうちの少なくとも1つが、バリア層および前記バリア層に付着した乾燥剤層を有し、前記バリア層および前記乾燥剤層が各々、一緒にブロー成形され、前記バリア層が、前記乾燥剤層に対して外側に配置され、かつプラスチック材料から作製され、前記乾燥剤層が、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物を含むモノリシック組成物から作製され、前記容器が、重力下でその成形された形状を保持している、容器。
【請求項2】
前記バリア層および前記乾燥剤層の各々が、少なくとも20ミル、任意選択で20~40ミル、任意選択で25~35ミルの厚さを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記乾燥剤層が、30%~80%のモレキュラーシーブ、任意選択で30%~60%のモレキュラーシーブ、任意選択で35%~55%のモレキュラーシーブを含む、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記チャネリング剤が、前記モノリシック組成物の2重量%~15重量%、任意選択で5重量%~10重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記乾燥剤層が、前記チャネリング剤によって形成された相互連結チャネルを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記バリア層が、非多孔質構造を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記乾燥剤が、モレキュラーシーブである、請求項1~6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記乾燥剤層中の前記ベースポリマーに対する前記乾燥剤の比率が、1重量部の前記ベースポリマーに対して約2重量部の前記乾燥剤である、請求項1~7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記側壁および前記底部のうちの前記少なくとも1つが、前記乾燥剤層に付着したスキン層をさらに有し、前記バリア層、前記乾燥剤層、および前記スキン層が各々、一緒にブロー成形され、前記バリア層および前記乾燥剤層が各々、前記スキン層に対して外側に配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記スキン層が、プラスチック材料から作製される、請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記スキン層が、低密度ポリエチレンから作製される、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記側壁および前記底部のうちの前記少なくとも1つが、前記バリア層と前記乾燥剤層との間に配置された中間層をさらに有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
前記中間層が、プラスチック材料と、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物とを含むモノリシック組成物から作製される、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記チャネリング剤が、EVAである、請求項1~13のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
容器を製造する方法であって、前記容器が、底部と、前記底部から延在する側壁と、を備え、前記底部および前記側壁が、少なくとも1つの製品を収容するように構成されている内部を画定し、前記方法が、
ストック構成要素を提供すること、
装置を前記ストック構成要素の開口部に挿入すること、
前記容器を形成するために、空気を前記ストック構成要素の前記開口部に通過させることであって、前記側壁および前記底部のうちの少なくとも1つが、バリア層および前記バリア層に付着した乾燥剤層を有し、前記バリア層および前記乾燥剤層が各々、一緒にブロー成形され、前記バリア層が、前記乾燥剤層に対して外側に配置され、かつプラスチック材料から作製され、前記乾燥剤層が、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物を含むモノリシック組成物から作製されること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本発明は、ブロー成形容器およびそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
制御および/または規制されなければならない環境で保管、出荷、および/または利用されることが好ましい品物が多くある。例えば、水分制御分野では、その中に閉じ込められた過剰な水分を吸収する能力を有する容器および/またはパッケージが望ましいと認識されている。水分、酸素、エチレン、および他の気体物質の制御は、医療、診断、工業化学、研究室、電子機器、および食品包装の用途において望ましい場合がある。
【0003】
従来、乾燥剤、酸素吸収剤、および他の活性剤は、例えば、包装内の小袋またはキャニスタに収容されたばらばらの粒子として未加工形態で使用して、パッケージの内部環境を制御してきた。多くの用途では、このような疎らに保管された活性物質を有することは望ましくない。この問題に対処するために、本出願の譲受人は、活性剤を含む活性同伴ポリマーを開発し、このようなポリマーは、所望の形態、例えば、容器ライナー、プラグ、フィルムシート、ペレット、および他のそのような構造に押し出しおよび/または成形することができる。任意選択で、このような活性同伴ポリマーは、同伴ポリマーの表面とその内部との間にチャネルを形成して、選択された材料(例えば、水分)を同伴活性剤(例えば、水分を吸収するための乾燥剤)に透過させる、ポリエチレングリコール(PEG)等のチャネリング剤を含み得る。
【0004】
同伴ポリマーは、二相配合物(すなわち、チャネリング剤を含まずにベースポリマーおよび活性剤を含む)または三相配合物(すなわち、ベースポリマー、活性剤、およびチャネリング剤を含む)であり得る。三相同伴ポリマーおよびそれを作製するための方法は、例えば、米国特許第5,911,937号、同第6,080,350号、同第6,124,006号、同第6,130,263号、同第6,194,079号、同第6,214,255号、同第6,486,231号、同第7,005,459号、および米国特許公開第2016/0039955号に記載されており、これらの各々は、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。これらの同伴ポリマーは、従来、例えば容器内のインサートまたはライナーとして、射出成形構成要素として作製されてきた。
【0005】
いくつかの用途では、中に保持された内容物を分配するための開口部につながる比較的狭いネックを特徴とする容器であるボトルに、内容物を保管することが望ましい。ボトルは、バイアルまたは他の容器とは異なり、典型的には、標準的な射出成形を使用して作製されない。むしろ、ボトルは、典型的には、ブロー成形工程で製作される。ブロー成形は、金型キャビティ内で高温中空熱可塑性パリソンを膨張させることを伴う。膨張した熱可塑性材料は、金型キャビティの形状に適合し、冷却/硬化させて、金型キャビティの形状に対応する物品(例えば、ボトル)を形成する。ブロー成形の種類には、例えば、押出ブロー成形、射出ブロー成形、および射出延伸ブロー成形が含まれる。
【0006】
射出成形容器とは異なり、ブロー成形ボトルは、同伴乾燥剤ポリマーのインサートとともに容易に製作することはできない。むしろ、ブロー成形ボトル内の乾燥剤同伴ポリマー層(複数可)は、例えば、パリソンの形成に使用される押出複合体における層として、ブロー成形パリソンの構成要素でなければならない。典型的には鉱物構成要素(例えば、モレキュラーシーブまたはシリカゲル)である乾燥剤材料を含むことによって、同伴ポリマーの流動特性が影響を受け、その結果、ブロー成形工程では技術的に困難が生じる。加えて、乾燥剤層を有する従来のブロー成形容器は、非常に低い(ゼロに近い)相対湿度を必要とする内容物を保管するのに必要とされる必要な水分取り込みおよび容量を提供しない。
【0007】
ゆえに、吸水および容量の観点から利点を提供する、改良された容器、具体的にはブロー成形ボトルを提供することが望ましい。改良された容器は、一体型乾燥剤層を含むことにより、理想的には、別個の乾燥剤構成要素(例えば、キャニスタまたは小袋)を必要としないだろう。
【発明の概要】
【0008】
したがって、一態様では、ブロー成形工程によって形成された容器が提供される。容器は、底部と、底部から延在する側壁とを含む。底部および側壁は、少なくとも1つの製品を収容するように構成されている内部を画定する。側壁および底部のうちの少なくとも1つは、バリア層およびバリア層に付着した乾燥剤層を有する。バリア層および乾燥剤層は各々、一緒にブロー成形され、好ましくは共押出複合体として成形される。バリア層は、乾燥剤層に対して外側に位置し、プラスチック材料から作製される。乾燥剤層は、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物を含むモノリシック組成物から作製される。
【0009】
好ましくは、容器は、ボトルの形態である。ボトルは、水分感受性製品を保持するための内部容積を画定する。ボトルは、ネックおよび側壁を備え、ネックは、第1の断面積を有し、側壁は、第2の断面積を有し、第1の断面積は、第2の断面積よりも小さい。換言すると、ネックは、少なくとも1つの寸法では、ボトルの残余部よりも狭く、任意の寸法では、ボトルの残余部よりも狭くない。
【0010】
任意の実施形態では、容器は、重力下でその成形形状を保持する。
【0011】
任意選択の実施形態では、容器は、水分感受性製品を保持するための内部容積を画定する。容器は、ネックおよび側壁を含み、ネックは、第1の断面積を画定し、側壁は、第2の断面積を画定する。第1の断面積は、第2の断面積より小さい。容器は、少なくとも内側乾燥剤層および外側バリア層をさらに含む。内層および外層は各々、少なくとも20ミルの厚さを有し、好ましくは共押出ブロー成形、共射出ブロー成形、および共射出延伸ブロー成形からなる群から選択されるブロー成形工程によって形成される。内層は、ポリマー材料と、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%の乾燥剤材料(任意選択でモレキュラーシーブ)とを含み、外層は、ポリマー水分バリア材料を含み、容器は重力下でその成形形状を保持する。任意選択で、容器は、作製された後にリサイクルのために確保しておいた他の容器からの内壁および外壁からの材料の「リグラインド」を含む中間層をさらに含む。
【0012】
任意選択で、任意の実施形態では、外層は、高密度ポリエチレン(HDPE)を含むか、本質的に高密度ポリエチレン(HDPE)からなるか、または高密度ポリエチレン(HDPE)からなる。
【0013】
任意選択で、任意の実施形態では、外層は、低密度ポリエチレン(LDPE)を含むか、本質的に、低密度ポリエチレン(LDPE)からなるか、または、低密度ポリエチレン(LDPE)からなる。
【0014】
任意選択で、任意の実施形態では、内層のベースポリマー材料は、LDPEを含むか、本質的にLDPEからなるか、またはLDPEからなる。
【0015】
任意選択の実施形態では、容器を作製するための方法が提供される。本方法は、乾燥剤(任意選択でモレキュラーシーブ)、ポリマー、およびチャネリング剤を一緒に添加して混合物を形成するステップと、ネックおよび側壁を備える容器を形成するステップと、を含み、ネックは第1の断面積を画定し、側壁は第2の断面積を画定し、第1の断面積は第2の断面積よりも小さい。容器は、好ましくは共押出ブロー成形、共射出ブロー成形、および共射出延伸ブロー成形からなる群から選択されるブロー成形工程を使用して、各々が少なくとも20ミルの厚さを有する内層および外層をさらに備える。内層は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%の乾燥剤とポリマー材料との混合物を含み、外層は、ポリマーから作製されたバリア材料を含み、容器は、重力下でその成形形状を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
同様の参照番号が同様の要素を示す以下の図面と併せて、本発明について説明する。
【0017】
図1】本発明の任意選択の実施形態による、同伴ポリマーから形成されたプラグの概略斜視図である。
【0018】
図2図1の線2-2に沿った断面である。
【0019】
図3】本発明の任意選択の実施形態による、同伴ポリマーの別の実施形態から形成されたプラグを示す、図2の断面と同様の断面である。
【0020】
図4】本発明の任意選択の実施形態による、同伴ポリマーの概略図であり、活性剤は、吸収材料、例えば、乾燥剤である。
【0021】
図5】開示される概念の1つの非限定的な実施形態に従う、ブロー成形工程によって形成された容器(ボトル)の簡略化された断面図である。
【0022】
図6A】各々が、容器が実装され得る代替施形態に対応する、図5の容器の側壁の異なる拡大断面図である。
図6B】各々が、容器が実装され得る代替施形態に対応する、図5の容器の側壁の異なる拡大断面図である。
図6C】各々が、容器が実装され得る代替施形態に対応する、図5の容器の側壁の異なる拡大断面図である。
【0023】
図7】開示された概念に従う、容器における時間に対する図6Aの乾燥剤層の相対湿度制御を示すグラフである。
【0024】
図8】従来技術の容器の時間に対する様々な乾燥剤による相対湿度制御を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
本明細書で使用される場合、「活性」という用語は、本発明に従い、選択された材料(例えば、水分または酸素)に作用、相互作用、または反応することができるものとして定義される。このような作用または相互作用の例として、選択された材料の吸収、吸着、または放出が挙げられ得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「活性剤」という用語は、(1)ベースポリマーと不混和性であり、ベースポリマーおよびチャネリング剤と混合されて加熱されるときに、溶解しない、すなわち、ベースポリマーまたはチャネリング剤のいずれかの融点よりも高い融点を有し、かつ(2)選択された材料に作用、相互作用、または反応する材料として定義される。「活性剤」という用語は、選択された材料(複数可)を吸収、吸着、または放出する材料を含み得るが、これらに限定されない。本発明による活性剤は、粒子、好ましくは鉱物の形態であり得るが、本発明は、一般的に、粒子状活性剤のみに限定されると見なされるべきではない(但し、それぞれの特許請求の範囲に別途記載される場合は除く)。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ベースポリマー」という用語は、任意選択でチャネリング剤の気体透過率より実質的に低い、低い、または実質的に同等の、選択された材料の気体透過率を有するポリマーである。例として、このよう透過率は、選択された材料が水分であり、かつ活性剤が吸水乾燥剤である実施形態では、水蒸気透過率である。ベースポリマーの主な機能は、同伴ポリマーのための構造を提供することである。好適なベースポリマーとして、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ無水物、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸、ポリウレタン、およびポリアセタール、またはそれらのコポリマーもしくは混合物が挙げられる。
【0028】
ベースポリマーおよびチャネリング剤の水蒸気透過率のこのような比較を参照すると、一実施形態では、チャネリング剤は、ベースポリマーの少なくとも2倍の水蒸気透過率を有する。別の実施形態では、チャネリング剤は、ベースポリマーの少なくとも5倍の水蒸気透過率を有する。別の実施形態では、チャネリング剤は、ベースポリマーの少なくとも10倍の水蒸気透過率を有する。また別の実施形態では、チャネリング剤は、ベースポリマーの少なくとも20倍の水蒸気透過率を有する。また別の実施形態では、チャネリング剤は、ベースポリマーの少なくとも50倍の水蒸気透過率を有する。また別の実施形態では、チャネリング剤は、ベースポリマーの少なくとも100倍の水蒸気透過率を有する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「チャネリング剤」または「チャネリング剤(複数)」という用語は、ベースポリマーと不混和性であり、かつベースポリマーよりも速い速度で気相物質を輸送する親和性を有する材料として定義される。任意選択で、チャネリング剤は、同伴ポリマーがチャネリング剤をベースポリマーと混合することによって形成されるとき、同伴ポリマーを通してチャネルを形成することができる。任意選択で、このようなチャネルは、ベースポリマーのみよりも速い速度で、同伴ポリマーを通して、選択された材料を透過させることができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「チャネル」または「相互連結チャネル」という用語は、ベースポリマーを貫通し、かつ互いに相互連結され得る、チャネリング剤から形成される通路として定義される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「同伴ポリマー」という用語は、活性剤と、任意選択で、全体に同伴または分配されたチャネリング剤とを有する少なくともベースポリマーから形成されたモノリシック材料として定義される。したがって、同伴ポリマーは、二相ポリマーおよび三相ポリマーを含む。「鉱物充填ポリマー」は、活性剤が鉱物、例えば、モレキュラーシーブまたはシリカゲル等の鉱物粒子の形態である、一種の同伴ポリマーである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「モノリシック」、「モノリシック構造」、または「モノリシック組成物」という用語は、2つ以上の別個の巨視的な層または部分から成らない組成物または材料として定義される。したがって、「モノリシック組成物」は、多層複合体を含まない(但し、多層複合体の一部であり得る)。
【0033】
本明細書で使用される場合、「相」という用語は、全体に均一に分配されて構造または組成物にそのモノリシックな特性を与えるモノリシック構造または組成物の部分または構成要素として定義される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「選択された材料」という用語は、活性剤に作用するか、または活性剤と相互作用もしくは反応し、同伴ポリマーのチャネルを通して透過することができる材料として定義される。例えば、乾燥剤が活性剤として使用される実施形態では、選択された材料は、乾燥剤によって吸収され得る水分または気体であり得る。放出材料が活性剤として使用される実施形態では、選択された材料は、水分、芳香、または抗菌剤等の放出材料によって放出される剤であり得る。吸着材料が活性剤として使用される実施形態では、選択された材料は、特定の揮発性有機化合物であり得、吸着材料は、活性炭であり得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「三相」という用語は、3つ以上の相を含むモノリシック組成物または構造として定義される。本発明による三相組成物の例は、ベースポリマー、活性剤、およびチャネリング剤から形成された同伴ポリマーであり得る。任意選択で、三相組成物または構造は、追加の相、例えば着色剤を含んでもよい(したがって、「三相」は、ベースポリマー、活性剤、およびチャネリング剤を含む少なくとも3つの相を示す)。
【0036】
例示的な同伴ポリマー
図1~4は、本発明による、例示的な同伴ポリマー10および同伴ポリマーから形成された様々なパッケージアセンブリを示す。同伴ポリマー10は各々、ベースポリマー25、チャネリング剤35、および活性剤30を含む。図示するように、チャネリング剤35は、同伴ポリマー10を通して相互連結チャネル45を形成する。活性剤30の少なくともいくつかは、チャネル45が活性剤30と同伴ポリマー10の外側との間を、同伴ポリマー25の外面に形成されたチャネル開口部48を介して連通するように、これらのチャネル45内に含有される。活性剤30は、例えば、以下にさらに詳細に記載される、様々な吸収、吸着、または放出材料のうちのいずれか1つであり得る。
【0037】
好適なチャネリング剤には、ポリエチレングリコール(PEG)等のポリグリコール、エチレン-ビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、グリセリンポリアミン、ポリウレタン、およびポリアクリル酸またはポリメタクリル酸を含むポリカルボン酸が含まれ得る。代替として、チャネリング剤35は、例えば、CLARIANTによって生産されたPolyglykol B01/240等のプロピレンオキシド重合体-モノブチルエーテル等の水溶性ポリマーであり得る。他の実施形態では、チャネリング剤は、CLARIANTによって生産されたPolyglykol B01/20等のプロピレンオキシド重合体モノブチルエーテル、CLARIANTによって生産されたPolyglykol D01/240等のプロピレンオキシド重合体、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ナイロン6、ナイロン66、または前述の任意の組み合わせであり得る。
【0038】
本発明による好適な活性剤には、乾燥化合物等の吸収材料が含まれる。図4は、活性剤30が吸収または吸着材料である、本発明による同伴ポリマー10のある実施形態を示す。矢印は、同伴ポリマー10の外側から、チャネル45を通って、選択された材料を吸収または吸着する活性剤30の粒子までの、選択された材料、例えば、水分または気体の経路を示す。
【0039】
活性剤が乾燥剤である場合、所定の用途に好適な任意の乾燥剤を使用してもよい。典型的には、物理的吸収乾燥剤が、多くの用途に好ましい。これらには、モレキュラーシーブ、シリカゲル、粘土、およびデンプンが含まれ得る。代替として、乾燥剤は、水を含有する結晶を形成する化学化合物、または水と反応して新しい化合物を形成する化合物であってもよい。
【0040】
任意選択で、任意の実施形態では、活性剤は、脱酸素剤であり得る。
【0041】
好適な吸収材料には、任意選択の実施形態では、(1)限定されないが、ニッケル、銅、アルミニウム、シリコン、はんだ、銀、金等の金属および合金、(2)銀めっき銅、銀めっきニッケル、銀めっきガラス微小球等の金属めっき粒子、(3)BaTiO、SrTiO、SiO、Al、ZnO、TiO、MnO、CuO、Sb、WC、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、非晶質溶融シリカ、ソル-ゲルシリカ、ソル-ゲルチタン酸塩、混合チタン酸塩、イオン交換樹脂、リチウム含有セラミック、中空ガラス微小球等の無機物、(4)炭素、活性炭、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ダイヤモンド粉末等の炭素系材料、(5)ポリブタジエン、ポリシロキサン、および半金属、セラミック等のエラストマー、ならびに(6)他の充填剤および顔料も含まれ得る。
【0042】
別の例では、吸収材料は、酸化カルシウム等の脱二酸化炭素剤であり得る。水分および二酸化炭素の存在下で、酸化カルシウムは、炭酸カルシウムに変換される。したがって、酸化カルシウムは、二酸化炭素の吸収が必要とされる用途において、吸収材料として使用され得る。このような用途には、二酸化炭素を発する新鮮な食品(例えば、果物および野菜)の保存が含まれる。
【0043】
本発明による他の好適な活性剤は、放出材料を含む。このような材料は、選択された材料を放出材料から放出する任意の好適な材料を含み得る。放出材料から放出された選択された材料は、固体、ゲル、液体、または気体の形態であり得る。これらの物質は、芳香、風味、または香料源としての役割を果たすこと、殺虫剤、害虫忌避剤、抗菌剤、餌料、香気薬等の生物学的活性成分を供給すること、加湿または乾燥物質を提供すること、腐食抑制剤等の空気中活性化学物質を送達すること、熟成剤および臭気生成剤を含む、様々な機能を実行し得る。
【0044】
本発明の同伴ポリマー中で放出材料として使用するのに好適な殺生物剤には、殺虫剤、除草剤、抗線虫薬、殺菌剤、殺鼠剤、および/またはそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。殺生物剤に加えて、本発明の被覆は、栄養素、植物成長調節剤、フェロモン、枯葉剤、および/またはそれらの混合物も放出し得る。
【0045】
第4級アンモニウム化合物も、本発明による放出材料として使用することができる。このような化合物は、界面活性剤として機能するだけでなく、同伴ポリマーの表面に無菌性を付与するか、またはその一部が病原性であり得る微生物の数を減少させるための条件を確立する。塩化ベンザルコニウムおよびヘキサクロロフェンのような関連する種類の化合物等の多数の他の抗菌剤も、本発明による放出剤として使用してもよい。二酸化塩素放出剤等の他の抗菌剤を使用してもよい。
【0046】
他の潜在的な放出材料には、天然、精油、および合成香料、ならびにそれらのブレンドを含む芳香が含まれる。活性成分の一部または場合により全体を形成し得る典型的な香料材料には、レモン油、マンダリン油、クローブ葉油、プチグレン油、セダーウッド油、パチョリ油、ラバンジン油、ネロリ油、イラン油、純ローズ油、または純ジャスミン油等の天然精油と、ラブダナム樹脂またはオリバナム樹脂等の天然樹脂と、例えば、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール、テトラヒドロゲラニオール、ベータフェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、メントール、またはセドロール等のアルコールとして、天然源から単離され得るか、または合成的に製造され得る単一の香料化学物質と、シトラール、シトロネラル、ヒドロキシシトロネラル、ラウリンアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、桂皮アルデヒド、アミル桂皮アルデヒド、バニリン、またはヘリオトロピン等のこのようなアルコール-アルデヒト由来のアセテートおよび他のエステルと、このようなアルデヒト由来のアセタールと、メチルヘキシルケトン、イオノン、およびメチルイオノン等のケトンと、オイゲノールおよびイソオイゲノール等のフェノール化合物と、麝香キシレン、麝香ケトン、およびエチレンブラシレート等の合成麝香と、が含まれる。
【0047】
混合物中の活性剤濃度が高いほど、最終組成物の吸収、吸着、または放出容量(場合に応じる)が大きくなると考えられる。しかしながら、活性剤濃度が高過ぎると、同伴ポリマーがより脆くなり得、活性剤、ベースポリマー、およびチャネリング剤の溶融混合物が、熱形成、押出成形、または射出成形のいずれかについてより困難になり得る。一実施形態では、活性剤充填レベルは、同伴ポリマーの総重量に対して、10%~80%、好ましくは35%~70%、より好ましくは40%~60%、およびさらにより好ましくは45%~55%の範囲であり得る。任意選択で、チャネリング剤は、2重量%~15重量%、任意選択で2~12重量%、任意選択で5~12重量%、任意選択で約10重量%、任意選択で約9重量%、任意選択で約8重量%、任意選択で約7重量%、任意選択で約6重量%、任意選択で約5重量%、任意選択で約4重量%、任意選択で約3重量%、任意選択で約2重量%の範囲で提供され得る。任意選択で、ベースポリマーは、組成物全体の10重量%~60重量%、任意選択で20重量%~45重量%、任意選択で25重量%~35重量%の範囲であり得る。任意選択で、着色剤は、例えば、組成物全体の約0.5~2重量%または約1重量%で添加される。ベースポリマー、活性剤、チャネリング剤、および着色剤に対する上記の範囲のいずれかの組み合わせが企図される。
【0048】
図1を参照すると、本発明で使用可能な同伴ポリマーから構築されたインサート20が示される。インサート20は、図示するように、容器内に堆積され得るプラグ55の形態である。このプラグ形態は、ブロー成形ボトルで使用するために企図される形態ではないが、ボトルの内層に使用可能な三相同伴ポリマー材料の組成物を概略的に示すために、本図面に提供される。
【0049】
図2を参照すると、活性剤30および親水剤またはチャネリング剤35と均一にブレンドされたベースポリマー25を含む同伴ポリマー10から構築されたプラグ55の断面図が示される。図2の図では、同伴ポリマーは、相互連結チャネル45が同伴ポリマー10全体に形成され、固化したプラグ55全体に通路を確立するように固化されている。図1および2の両方から理解され得るように、通路は、プラグ55の外面のチャネル開口部48で終端となる。
【0050】
図3は、図2のプラグ55と同様の構造および構成のプラグ55の実施形態を示し、相互連結チャネル45は、図2のものと比較すると非常に細かい。これは、チャネリング剤35と共に二量体剤(すなわち、可塑剤)を使用することに起因し得る。二量体剤は、ベースポリマー25とチャネリング剤35との間の適合性を強化し得る。この強化された適合性は、ブレンドの粘度の低下によって容易になり、これにより、ベースポリマー25およびチャネリング剤35のより徹底的なブレンドが促進され得、通常条件下では、均一な溶液内への組み合わせに抵抗し得る。そこに二量体剤が添加された同伴ポリマー10を固化すると、同伴ポリマー10を通して形成される相互連結チャネル45の分散が大きく、かつ多孔性が小さくなり、それによってプラグ55全体により大きな密度の相互連結チャネルが確立される。
【0051】
本明細書に開示されるもの等の相互連結チャネル45によって、水分、気体、または臭気等の所望の材料の、一般的にこれらの材料の浸透に抵抗して材料に対するバリアとして作用するベースポリマー25を介する透過が容易になる。このため、ベースポリマー25自体は、活性剤30がその中に同伴され得るバリア物質として作用する。チャネリング剤35から形成された相互連結チャネル45は、所望の材料が同伴ポリマー10を通って移動するための経路を提供する。これらの相互連結チャネル45がなければ、比較的少量の所望の材料が、ベースポリマー25を通って活性剤30に送られるか、または活性剤30から送られると考えられる。所望の材料が活性剤30に送られる場合、例えば、活性剤30が乾燥剤または酸素吸収剤等の活性剤である実施形態では、所望の材料は、活性剤30によって吸収され得る。所望の材料が活性剤30から送られる場合、例えば、活性剤30が芳香または気体放出材料等の放出材料である実施形態では、所望の材料は、活性剤30から放出され得る。
【0052】
図5は、開示される概念の1つの非限定的な実施形態に従い、ブロー成形工程によって形成された容器100、例えばボトルの簡略化された断面図である。図示する容器100は、底部102と、底部102から延在する側壁104とを含む。底部102および側壁104は、少なくとも1つの製品(例えば、限定されないが、ピル、粉末等)を収容するように構成されている内部106を画定する。容器100は、任意選択で、製品を内部106内に包囲するために、側壁104の開放頂部112またはネックに結合されるように構成されている蓋110も含んでもよい。開示される概念に従い、以下に考察されるように、容器100は、ブロー成形工程によって形成され、底部102および/または側壁104は、チャネリング剤を利用しない既存の従来技術のブロー成形容器のものとは異なる層で構成される。その結果、容器100は、従来技術のブロー成形容器と比較して、水分制御、吸水性物質への曝露、および/または製造工程に関する効率の観点から有意な利点を提供する。
【0053】
図6Aは、図5の容器が実装され得る第1の任意選択の実施形態に対応する拡大図を示す。図示するように、側壁104は、一般的に、バリア層120と、バリア層120に付着した乾燥剤層122とを有する。バリア層120および乾燥剤層122は各々、一緒にブロー成形され、バリア層120は乾燥剤層122に対して外側に位置する。バリア層120は、任意の好適なプラスチック材料から作製される。開示される概念に従い、乾燥剤層122は、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物を含むモノリシック組成物から作製され得る。図7および8を参照して以下でより明らかになるように、チャネリング剤を利用しない従来技術の容器の吸水材料および/または層とは異なる乾燥剤層122は、内部106内の吸水の観点から有意な予期せぬ結果をもたらす。
【0054】
1つの任意の実施形態では、乾燥剤層122は、25~35ミルの厚さを有し、好ましくは、約0.8ミリメートルである。1つの任意の実施形態では、乾燥剤層122は、30%~80%のモレキュラーシーブを含む。1つの任意の実施形態では、乾燥剤層122のチャネリング剤は、モノリシック組成物の5重量%~10重量%である。1つの任意の実施形態では、乾燥剤層122は、多孔質構造を有する。1つの任意の実施形態では、バリア層120は、非多孔質構造を有する。1つの任意の実施形態では、乾燥剤層122の乾燥剤は、酸化カルシウムである。1つの任意の実施形態では、ベースポリマーに対する乾燥剤の比率は、20重量部のベースポリマーに対して約75重量部の乾燥剤である。図6Aの第1の実施形態について、側壁104(ネック112を含む)と関連して説明してきたが、底部102も、開示された概念に従い、バリア層および乾燥剤層120、122それぞれと実質的に同一のバリア層および乾燥剤層を有し得ることが理解されるであろう。すなわち、底部102のバリア層および乾燥剤層は、側壁104のバリア層120および乾燥剤層122と連続的であり得る。
【0055】
図6Bは、図5の容器が実装され得る第2の任意選択の実施形態に対応する拡大図を示す。図示するように、バリア層120’および乾燥剤層122’に加えて、側壁104’は、乾燥剤層122’に付着した比較的薄いスキン層124’をさらに含む。バリア層120’、乾燥剤層122’、およびスキン層124’は各々、好ましくは一緒にブロー成形され(例えば、共押出複合材料から)、図示するように、乾燥剤層122’およびバリア層120’は各々、スキン層124’に対して外側にそれぞれ位置する。1つの例示的な実施形態では、スキン層124’は、プラスチック材料、任意選択で、低密度ポリエチレン材料から作製される。スキン層124’が、乾燥剤層122’からの乾燥剤粒子が容器100(図5)の内部106(図5)に入る可能性を最小限に抑えるように有利に機能することが理解されるであろう。さらに、スキン層124’は、乾燥剤層122’の吸水能力を有意に損なわずに、この機能を達成することができる。すなわち、スキン層124’が容器100(図5)の乾燥剤層122’と内部106(図5)との間にあるにもかかわらず、乾燥剤層122’は依然として水分を十分に吸収することができる。1つの任意の実施形態では、スキン層124’は、0.005mm~0.1mm、任意選択で、0.005mm~0.05mm、任意選択で、約0.01mmの厚さを有する。
【0056】
図6Cは、図5の容器が実装され得る第3の任意選択の実施形態に対応する拡大図を示し、同様の参照番号は、同様の構成要素を示す。図示するように、バリア層120’’、乾燥剤層122’’、およびスキン層124’’に加えて、側壁104’’は、バリア層120’’と乾燥剤層122’’との間に位置する中間層126’’をさらに有する。1つの任意の実施形態では、中間層126’’は、プラスチック材料と、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤の混合物とを含むモノリシック組成物から作製される。別の言い方をすると、中間層126’’は、例えば、図6Aに示す第1の実施形態の側壁104のリサイクル部分を含むモノリシック組成物であり得る。したがって、リグラインドされた側壁104の材料が、別の容器、例えば、側壁104’’を含有する容器で再使用することができることが理解されるだろう。これは、無駄の削減の観点から利点を提供する。すなわち、従来技術の容器と、容器(例えば、限定されないが、製造中に歪んでいた可能性のある容器)を随時廃棄する従来技術の容器を作製する方法と比較して、側壁104’’を含む容器100は、このような材料を有利にリサイクルしながら、依然として吸水の観点から有意な改善を提供する。
【0057】
容器100(図5)を製造する方法が、容器100を形成するために、ストック構成要素を提供するステップと、装置をストック構成要素の開口部に挿入するステップと、空気をストック構成要素の開口部に通過させるステップとを含むことが理解されるであろう。
【0058】
任意選択で、任意の実施形態では、容器100は、10~80ミル、任意選択で20~60ミル、任意選択で20~40ミルの全壁厚を有し得る。容器100は、いくつかの用途では、80ミルよりもさらに厚くなり得る。1つの任意の実施形態では、容器100は、20~40ミル厚の壁および/または20~40ミル厚の乾燥剤層を含む。別の任意選択の実施形態では、容器100は、20ミルのバリア層および20ミルの乾燥剤同伴ポリマー層を含む。バリア層材料は、特に限定されない。例えば、HDPE、LDPE、PE、または任意の非透湿性材料を使用してもよい。
【0059】
図7は、開示される概念の任意選択の態様に従う、容器100における時間に対する図6Aの乾燥剤層122の相対湿度制御(グラフのY軸上に相対湿度パーセントで示される)を示すグラフを示す。本実施形態で使用する乾燥剤は、モレキュラーシーブであり、チャネリング剤も乾燥剤層で使用した(すなわち、三相組成物であった)。図示するように、初期閉鎖の約0.2日後、容器100における相対湿度は、60%超から約0に低下してそのままであった-印象的な結果。このデータに関する追加情報を以下の実施例1に示す。
【0060】
図8は、乾燥剤同伴ポリマー層を有する従来技術のブロー成形容器(米国特許第8,110,260号に記載)の時間に対する乾燥剤層の相対湿度制御を示すグラフを示す。従来技術の容器の乾燥剤層は、モレキュラーシーブを含み、チャネリング剤が欠如し、代わりに発泡剤を使用していた。図8に示すように、初期閉鎖の約0.2日後、従来技術の容器(モレキュラーシーブ乾燥剤層を有する)における相対湿度は、約13%~約15%であった。
【0061】
したがって、開示される概念に従う新規のブロー成形容器100が、有意な予期せぬ結果を達成したことが理解され得る。具体的には、チャネリング剤が欠如する従来技術の方法とは対照的に、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤を含む乾燥剤層122と共に容器100をブロー成形することによって、図7および8を参照して理解されるように、有意な吸水利点が提供される。
【0062】
押出成形およびブロー成形中に適切な溶融流を達成することは、粒状乾燥剤(例えば、モレキュラーシーブ)が流れを有意に遅らせる可能性があるため、困難であり得る。任意選択で、本明細書に開示される任意の実施形態を作製する工程において、工程条件は、0.5~2、任意選択で1~2の溶融流指数(ISO1133-1)となるべきである。
【0063】
開示される概念を、図6A~6Cの3つの例と関連して説明したが、本明細書において好適な代替案が企図されることが理解されるだろう。すなわち、開示された概念に従う容器の側壁および/または底部は、開示された概念の範囲から逸脱することなく、1つ以上のバリア層、乾燥剤層、スキン層、中間層、および/または代替層を有してもよい。
【0064】
開示される概念のさらに別の代替実施形態では、乾燥剤同伴ポリマーの単層または粉砕再生材料の単層(例えば、50%の乾燥剤同伴ポリマーおよび50%のバージンポリプロピレンまたはHDPE)を含むか、または本質的にそれらからなる、ブロー成形ボトルが提供される。このような実施形態は、水分に対するバリアを提供する二次包装、例えば、箔パウチに(少なくとも消費者が使用する前に)保管する必要があるだろう。本実施形態における乾燥剤同伴ポリマーは、ベースポリマー、乾燥剤、およびチャネリング剤(すなわち、三相組成物を含む)を含むであろう。
【0065】
本発明の様々な態様について、以下の実施例を参照してより詳細に示すが、本発明がそれに限定されると見なされないことを理解されたい。
【実施例0066】
図5および6Aに従うブロー成形ボトル100(150mL)を、乾燥剤層122(20~40ミル)として以下の表1の配合物と、バリア層120としてのHDPE(20~40ミル)とを使用して調製した。
【表1】
【0067】
ボトル内の相対湿度の変化を測定した。試料2のデータを図7にグラフ化する。試料2を30℃で80%の相対湿度に曝露し、平衡に到達させた。次いで、ボトルを密封し、内部の湿度レベルを約26時間かけて監視した。
【0068】
開示された概念について、その具体的な実施例を参照して詳細に説明してきたが、その趣旨および範囲から逸脱することなく、その中で様々な変更および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルを製造する方法であって、前記ボトルが、底部と、前記底部から延在する側壁と、前記側壁から延在するネックとを備え、前記ネックは分配開口部につながっており、
前記底部および前記側壁が、少なくとも1つの製品を収容するように構成された内部を画定し、前記ネックが第1の断面積を有しており、前記側壁が第2の断面積を有しており、前記第1の断面積が前記第2の断面積よりも小さくなっており、当該方法は、
バリア層および乾燥剤層を有する共押出複合体を含んでなるストック構成要素を提供する工程と、
装置を前記ストック構成要素の開口部に挿入する工程と、
前記ストック構成要素から前記ボトルを形成するために、前記ストック構成要素の前記開口部に空気を通過させる工程と、
を含み、
前記側壁、ネックおよび底部が、バリア層、及び、当該バリア層と共に共押出しされることによって当該バリア層に付着された乾燥剤層を有し、前記バリア層および前記乾燥剤層が各々、一緒にブロー成形され、側壁、ネックおよび底部に沿って互いに連続しており、前記バリア層が、前記乾燥剤層に対して外側に配置され、且つプラスチック材料で作られており、
前記乾燥剤層がモノリシック組成物で作られており、前記モノリシック組成物は、
ベースポリマーと、
当該モノリシック組成物の総重量の35~70重量%を占める乾燥剤と、
ポリグリコール、エチレン-ビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、グリセリンポリアミン、ポリウレタン、ポリカルボン酸、プロピレンオキシド重合体-モノブチルエーテル、プロピレンオキシド重合物、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ナイロン6、ナイロン66、またはこれらの任意の組み合わせから選択される高分子のチャネリング剤との混合物を含み、
前記チャネリング剤は、前記ベースポリマーよりも大きい水蒸気透過率を有し、
前記モノリシック組成物は、前記チャネリング剤から形成された相互連結チャネルを含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記バリア層および前記乾燥剤層の各々が、20ミル(0.508mm)~40ミル(1.016mm)の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥剤層がモレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高分子のチャネリング剤がエチレン酢酸ビニル(EVA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥剤層は、前記モノリシック組成物の総重量の2~15重量%の量のチャネリング剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記バリア層および前記乾燥剤層の各々が、20ミル(0.508mm)~40ミル(1.016mm)の厚さを有し、
前記乾燥剤層が乾燥剤としてモレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ボトルが10ミル(0.254mm)~80ミル(2.032mm)の全壁厚を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ボトルを製造する方法であって、前記ボトルが、底部と、前記底部から延在する側壁と、前記側壁から延在するネックとを備え、前記ネックは分配開口部につながっており、
前記底部および前記側壁が、少なくとも1つの製品を収容するように構成された内部を画定し、前記ネックが第1の断面積を有しており、前記側壁が第2の断面積を有しており、前記第1の断面積が前記第2の断面積よりも小さくなっており、当該方法は、
バリア層および乾燥剤層を有する共押出複合体を含んでなるストック構成要素を提供する工程と、
装置を前記ストック構成要素の開口部に挿入する工程と、
前記ストック構成要素から前記ボトルを形成するために、前記ストック構成要素の前記開口部に空気を通過させる工程と、
を含み、
前記側壁、ネックおよび底部が、バリア層、及び、当該バリア層と共に共押出しされることによって当該バリア層に付着された乾燥剤層を有し、前記バリア層および前記乾燥剤層が各々、一緒にブロー成形され、側壁、ネックおよび底部に沿って互いに連続しており、前記バリア層が、前記乾燥剤層に対して外側に配置され、且つプラスチック材料で作られており、
前記乾燥剤層がモノリシック組成物で作られており、前記モノリシック組成物は、当該モノリシック組成物の総重量の29~44重量%を占める低密度ポリエチレン(LDPE)のベースポリマーと、当該モノリシック組成物の総重量の50~60重量%を占めるモレキュラーシーブの乾燥剤と、当該モノリシック組成物の総重量の5~10重量%を占めるエチレン酢酸ビニル(EVA)のチャネリング剤との混合物を含み、
前記チャネリング剤は、前記ベースポリマーよりも大きい水蒸気透過率を有し、
前記モノリシック組成物は、前記チャネリング剤から形成された相互連結チャネルを含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記バリア層および前記乾燥剤層の各々が、20ミル(0.508mm)~40ミル(1.016mm)の厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ボトルが10ミル(0.254mm)~80ミル(2.032mm)の全壁厚を有する、請求項8に記載の方法。
【外国語明細書】