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特開2024-170605エアロゾル送達装置および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170605
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】エアロゾル送達装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241203BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241203BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20241203BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241203BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/42
A24F40/44
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024155494
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2023004870の分割
【原出願日】2018-03-21
(31)【優先権主張番号】15/468,883
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エム・スパークリン
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー・エイ・ハバード
(72)【発明者】
【氏名】カレン・ブイ・タラスキー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアロゾル前駆体組成物と直接接触することもなくエアロゾル前駆体組成物の熱劣化を伴うこともなく行われるエアロゾル送達装置を提供する。
【解決手段】エアロゾル送達装置100は、エアロゾル前駆体組成物108が内部に入れられた加熱チャンバ106を含む。マイクロ波放射エネルギー放出装置110は、加熱チャンバに動作可能に係合され、且つ、マイクロ波放射エネルギーによってその中のエアロゾル前駆体組成物を加熱してエアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成される。出口ポート118は、エアロゾル送達装置のハウジングに形成され、加熱チャンバに流体連通している。加熱チャンバは、出口ポートに加えられた吸引力に応答して、エアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
エアロゾル前駆体組成物が内部に入れられた加熱チャンバと、
加熱チャンバに動作可能に係合された、且つ、マイクロ波放射エネルギーによってその中のエアロゾル前駆体組成物を加熱してエアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成された、マイクロ波放射エネルギー放出装置と、
出口ポートを有し、加熱チャンバに流体連通するハウジングと、
を含み、
加熱チャンバが、出口ポートに加えられた吸引力に応答して、エアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにするエアロゾル送達装置。
【請求項2】
加熱チャンバに動作可能に係合された、且つ、エアロゾル前駆体組成物を内部に収容するように構成されてエアロゾル前駆体送達構成に流体連通するリザーバから加熱チャンバにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成された、エアロゾル前駆体送達構成をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
マイクロ波放射エネルギー放出装置が、加熱チャンバの周りに延び、マイクロ波放射エネルギーを放出するように構成されたマグネトロンを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
マグネトロンが、加熱チャンバを実質的に取り囲むように構成されたエンクロージャ内に配置される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
2つ以上のリザーバを含み、各リザーバが別個のエアロゾル前駆体組成物を内部に収容するように構成され、2つ以上のリザーバのそれぞれが、エアロゾル前駆体送達構成に流体連通し、エアロゾル前駆体送達構成が2つ以上のリザーバのそれぞれ1つから加熱チャンバに別個のエアロゾル前駆体組成物のいずれかを導くようにエアロゾル前駆体送達構成と協働可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ハウジングまたはエンクロージャ内に画定され、加熱チャンバと、ハウジングまたはエンクロージャの外部の外気との間の空気流を可能にするように構成された空気流路を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
出口ポートまたは空気流路が、エンクロージャと協働してエンクロージャ内にマイクロ波放射エネルギーを閉じ込めるように構成された空気流遮蔽要素を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
出口ポートに係合される係合近位端と、マウスピース要素に係合される反対側の遠位端とを有するホース部材を含み、マウスピース要素およびホース部材が、出口ポートを介して加熱チャンバに流体連通して、マウスピース要素に加えられた吸引力に応答してそこからエアロゾルを受容する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
マイクロ波放射エネルギー放出装置と、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物に連絡する感知要素との間で通信するコントローラ要素を含み、感知要素が、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物の温度を感知するように構成され、コントローラ要素が、感知された温度に応答して、マイクロ波放射エネルギー放出装置によるマイクロ波放射出力を調整して、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物を最高所望温度まで加熱する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
エアロゾル前駆体組成物が、液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
エアロゾル前駆体組成物の1つの成分が、エアロゾル前駆体組成物の過熱を防ぐように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
加熱チャンバに係合されるウィックを含み、ウィックがエアロゾル前駆体組成物に連通し、マイクロ波放射エネルギー放出装置が、ウィックによって形成されるエアロゾルの量が、ウィックによって吸い上げられるエアロゾル前駆体組成物の量に比例するように、ウィックを加熱するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
加熱チャンバが、第1の加熱サブチャンバおよび第2の加熱サブチャンバを含み、第1および第2の加熱サブチャンバの一方が、エアロゾル前駆体組成物に関して他方よりも大きい容量を有し、第1および第2の加熱サブチャンバが、セレクタ要素を介して出口ポートに流体連通し、セレクタ要素が、出口ポートを通して加えられる吸引力に応答して、第1および第2の加熱サブチャンバのうちの選択された1つから出口ポートにエアロゾルを導き、エアロゾルの量が吸引力の大きさに相当する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
加熱チャンバに流体連通してエアロゾル前駆体組成物を予熱温度まで予熱するように構成された、エアロゾル前駆体処理ユニットを含み、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物と相互作用するように構成された加熱要素またはエアロゾル形成要素を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
加熱チャンバに連通しており、且つ、それに関連したエアロゾル前駆体組成物を伴う基材材料を予熱温度まで予熱するように構成された、エアロゾル前駆体処理ユニットを含み、予熱された基材材料が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
加熱チャンバに連通しており、且つ、エアロゾル前駆体組成物から構成される膜を予熱温度まで予熱するように構成された、エアロゾル前駆体処理ユニットを含み、予熱された膜が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
エアロゾル送達装置の製造方法であって、
マイクロ波放射エネルギー放出装置を、エアロゾル前駆体組成物を内部に受容するように構成された加熱チャンバに動作可能に係合させることであって、マイクロ波放射エネルギー放出装置は、それにより放出されたマイクロ波放射エネルギーによってエアロゾル前駆体組成物を加熱して、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成される、動作可能に係合させることと、
加熱チャンバを、出口ポートを有するハウジングに係合させることであって、それにより、出口ポートが加熱チャンバに流体連通するようにし、かつ加熱チャンバが出口ポートに加えられた吸引力に応答してエアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする、係合させることと、
を含む、製造方法。
【請求項19】
加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体送達構成を係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体送達構成が、内部にエアロゾル前駆体組成物を有するリザーバから加熱チャンバにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
マイクロ波放射エネルギー放出装置を動作可能に係合させることが、マグネトロンを加熱チャンバに動作可能に係合させることを含み、マグネトロンが加熱チャンバの周りに延び、マイクロ波放射エネルギーを放出するように構成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
加熱チャンバを実質的に取り囲むように構成されたエンクロージャ内にマグネトロンを配置することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ハウジング内に2つ以上のリザーバを形成することをさらに含み、各リザーバが別個のエアロゾル前駆体組成物を内部に含み、2つ以上のリザーバのそれぞれが、エアロゾル前駆体送達構成に流体連通し、エアロゾル前駆体送達構成が2つ以上のリザーバのそれぞれ1つから加熱チャンバに別個のエアロゾル前駆体組成物のいずれかを導くようにエアロゾル前駆体送達構成と協働可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ハウジングまたはエンクロージャ内に空気流路を画定することをさらに含み、空気流路が、加熱チャンバと、ハウジングまたはエンクロージャの外部の外気との間の空気流を可能にするように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
出口ポートまたは空気流路に空気流遮蔽要素を配置することをさらに含み、空気流遮蔽要素が、エンクロージャと協働してエンクロージャ内にマイクロ波放射エネルギーを閉じ込めるように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ホース部材の近位端を出口ポートに係合させることと、ホース部材の反対側の遠位端をマウスピース要素に係合させることとをさらに含み、マウスピース要素およびホース部材が、出口ポートを介して加熱チャンバに流体連通して、マウスピース要素に加えられた吸引力に応答してそこからエアロゾルを受容する、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
マイクロ波放射エネルギー放出装置と、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物に連絡する感知要素との間に、コントローラ要素を動作可能に係合させることをさらに含み、感知要素が、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物の温度を感知するように構成され、コントローラ要素が、感知された温度に応答して、マイクロ波放射エネルギー放出装置によるマイクロ波放射出力を調整して、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物を最高所望温度まで加熱するように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群からエアロゾル前駆体組成物を選択することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
エアロゾル前駆体組成物を選択することが、エアロゾル前駆体組成物の1つの成分がエアロゾル前駆体組成物の過熱を防ぐように構成されるようにエアロゾル前駆体組成物を選択することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ウィックがエアロゾル前駆体組成物に連通するようにウィックを加熱チャンバに係合させることをさらに含み、マイクロ波放射エネルギー放出装置が、ウィックによって形成されるエアロゾルの量が、ウィックによって吸い上げられるエアロゾル前駆体組成物の量に比例するように、ウィックを加熱するように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
加熱チャンバ内に、第1の加熱サブチャンバおよび第2の加熱サブチャンバを画定することをさらに含み、第1および第2の加熱サブチャンバの一方が、エアロゾル前駆体組成物に関して他方よりも大きい容量を有し、第1および第2の加熱サブチャンバが、セレクタ要素を介して出口ポートに選択的に流体連通するように構成され、セレクタ要素が、出口ポートを通して加えられる吸引力に応答して、出口ポートに選択的に連通する加熱サブチャンバから出口ポートにエアロゾルを導き、エアロゾルの量が吸引力の大きさに相当する、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
エアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることが、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前にエアロゾル前駆体組成物と相互作用するように、加熱要素またはエアロゾル形成要素を配置することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体処理ユニットが、それに関連したエアロゾル前駆体組成物を伴う基材材料を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱された基材材料が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物から構成される膜を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱された膜が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル送達装置に関し、さらに具体的には、タバコから製造されたか、タバコに由来するか、そうでなければタバコ関連材料を組み込んだエアロゾル前駆体組成物を加熱して、人間が摂取するための吸入可能な物質を形成するように構成されたマイクロ波放射加熱要素に関する。
【背景技術】
【0002】
使用のためにタバコを燃焼することを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、喫煙装置が長年にわたって提案されてきた。これらの装置の多くは、紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙に関連する感覚を提供するように設計されているが、タバコの燃焼に起因する相当量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達することはないと言われている。
【0003】
この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、タバコを著しく燃焼することなく紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙感覚を提供しようとする喫煙製品、香味発生器および薬用吸入器が提案されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれるCollettらの米国特許第8,881,737号明細書およびRobinsonらの米国特許第7,726,320号明細書、Griffith, Jr.らの米国特許出願公開第2013/0255702号明細書、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号明細書およびSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に記載の背景技術に記載されている様々な代替喫煙品、エアロゾル送達装置および発熱源を参照されたい。
【0004】
電気エネルギーを使用して煙またはエアロゾルを形成するための熱を生成するこれらの喫煙製品、香味発生器および薬用吸入器のうち、電池などの電源と組み合わせてウィックおよびコイルの構成が利用されることが多い。さらに具体的には、この構成では、コイルはウィックと直接接触し、加熱要素として機能する。コイルは、電池からの電流を伝導し、ウィックに吸収された制限された量のエアロゾル前駆体組成物を直接接触により加熱するように構成される。しかし、直接加熱するとエアロゾル前駆体組成物の加熱が不均一になる可能性があるため、ウィックおよびコイルの構成がエアロゾル前駆体組成物の熱劣化を引き起こす可能性がある。
【0005】
したがって、装置の耐用年数を延長し、均一性が向上したエアロゾルを送達するために、外部エネルギー源によって生成された熱を使用してエアロゾル前駆体組成物を加熱して、紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙感覚を提供し、これが好ましくは、エアロゾル前駆体組成物と直接接触することもなくエアロゾル前駆体組成物の熱劣化を伴うこともなく行われるエアロゾル送達装置を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,881,737号明細書
【特許文献2】米国特許第7,726,320号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0000638号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、人間が摂取するためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル送達装置に関する。一態様では、エアロゾル送達装置は、
エアロゾル前駆体組成物が内部に入れられた加熱チャンバと、
加熱チャンバに動作可能に係合された、且つ、マイクロ波放射エネルギーによってその中のエアロゾル前駆体組成物を加熱してエアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成された、マイクロ波放射エネルギー放出装置と、
出口ポートを有し、加熱チャンバに流体連通するハウジングと、
を含み、
加熱チャンバは、出口ポートに加えられた吸引力に応答して、エアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする。
【0008】
別の態様では、エアロゾル送達装置の製造方法は、
マイクロ波放射エネルギー放出装置を、エアロゾル前駆体組成物を内部に受容するように構成された加熱チャンバに動作可能に係合させることであって、マイクロ波放射エネルギー放出装置は、それにより放出されたマイクロ波放射エネルギーによってエアロゾル前駆体組成物を加熱して、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成される、動作可能に係合させることと、
加熱チャンバを、出口ポートを有するハウジングに係合させることであって、それにより、出口ポートが加熱チャンバに流体連通するようにし、かつ加熱チャンバが出口ポートに加えられた吸引力に応答してエアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする、係合させることと、
を含む。
【0009】
したがって、本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0010】
実施形態1:エアロゾル送達装置であって、
エアロゾル前駆体組成物が内部に入れられた加熱チャンバと、
加熱チャンバに動作可能に係合された、且つ、マイクロ波放射エネルギーによって内部のエアロゾル前駆体組成物を加熱してエアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成された、マイクロ波放射エネルギー放出装置と、
出口ポートを有し、加熱チャンバに流体連通するハウジングと、
を含み、
加熱チャンバが、出口ポートに加えられた吸引力に応答して、エアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする、エアロゾル送達装置。
【0011】
実施形態2:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置にして、加熱チャンバに動作可能に係合された、且つ、エアロゾル前駆体組成物を内部に収容するように構成されてエアロゾル前駆体送達構成に流体連通するリザーバから加熱チャンバにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成された、エアロゾル前駆体送達構成をさらに含む、エアロゾル送達装置。
【0012】
実施形態3:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、マイクロ波放射エネルギー放出装置が、加熱チャンバの周りに延び、マイクロ波放射エネルギーを放出するように構成されたマグネトロンを含むエアロゾル送達装置。
【0013】
実施形態4:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、マグネトロンが、加熱チャンバを実質的に取り囲むように構成されたエンクロージャ内に配置される、エアロゾル送達装置。
【0014】
実施形態5:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、2つ以上のリザーバを含み、各リザーバが別個のエアロゾル前駆体組成物を内部に収容するように構成され、2つ以上のリザーバのそれぞれが、エアロゾル前駆体送達構成に流体連通し、エアロゾル前駆体送達構成が2つ以上のリザーバのそれぞれ1つから加熱チャンバに別個のエアロゾル前駆体組成物のいずれかを導くようにエアロゾル前駆体送達構成と協働可能である、エアロゾル送達装置。
【0015】
実施形態6:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、ハウジングまたはエンクロージャ内に画定され、加熱チャンバと、ハウジングまたはエンクロージャの外部の外気との間の空気流を可能にするように構成された空気流路を含む、エアロゾル送達装置。
【0016】
実施形態7:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、出口ポートまたは空気流路が、エンクロージャと協働してエンクロージャ内にマイクロ波放射エネルギーを閉じ込めるように構成された空気流遮蔽要素を含む、エアロゾル送達装置。
【0017】
実施形態8:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、出口ポートに係合された係合近位端と、マウスピース要素に係合された反対側の遠位端とを有するホース部材を含み、マウスピース要素およびホース部材が、出口ポートを介して加熱チャンバに流体連通して、マウスピース要素に加えられた吸引力に応答してそこからエアロゾルを受容する、エアロゾル送達装置。
【0018】
実施形態9:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、マイクロ波放射エネルギー放出装置と、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物に連絡する感知要素との間で通信するコントローラ要素を含み、感知要素が、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物の温度を感知するように構成され、コントローラ要素が、感知された温度に応答して、マイクロ波放射エネルギー放出装置によるマイクロ波放射出力を調整して、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物を最高所望温度まで加熱する、エアロゾル送達装置。
【0019】
実施形態10:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル前駆体組成物が、液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群から選択される、エアロゾル送達装置。
【0020】
実施形態11:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル前駆体組成物の1つの成分が、エアロゾル前駆体組成物の過熱を防ぐように構成される、エアロゾル送達装置。
【0021】
実施形態12:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、加熱チャンバに係合されたウィックを含み、ウィックがエアロゾル前駆体組成物に連通し、マイクロ波放射エネルギー放出装置が、ウィックによって形成されるエアロゾルの量が、ウィックによって吸い上げられるエアロゾル前駆体組成物の量に比例するように、ウィックを加熱するように構成される、エアロゾル送達装置。
【0022】
実施形態13:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、加熱チャンバが、第1の加熱サブチャンバおよび第2の加熱サブチャンバを含み、第1および第2の加熱サブチャンバの一方が、エアロゾル前駆体組成物に関して他方よりも大きい容量を有し、第1および第2の加熱サブチャンバが、セレクタ要素を介して出口ポートに流体連通し、セレクタ要素が、出口ポートを通して加えられる吸引力に応答して、第1および第2の加熱サブチャンバのうちの選択された1つから出口ポートにエアロゾルを導き、エアロゾルの量が吸引力の大きさに相当する、
エアロゾル送達装置。
【0023】
実施形態14:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、加熱チャンバに流体連通してエアロゾル前駆体組成物を予熱温度まで予熱するように構成された、エアロゾル前駆体処理ユニットを含み、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、エアロゾル送達装置。
【0024】
実施形態15:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物と相互作用するように構成された加熱要素またはエアロゾル形成要素を含む、エアロゾル送達装置。
【0025】
実施形態16:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、加熱チャンバに連通しており、且つ、それに関連したエアロゾル前駆体組成物を伴う基材材料を予熱温度まで予熱するように構成された、エアロゾル前駆体処理ユニットを含み、予熱された基材材料が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、エアロゾル送達装置。
【0026】
実施形態17:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、加熱チャンバに連通しており、且つ、エアロゾル前駆体組成物から構成される膜を予熱温度まで予熱するように構成された、エアロゾル前駆体処理ユニットを含み、予熱された膜が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、エアロゾル送達装置。
【0027】
実施形態18:エアロゾル送達装置の製造方法であって、
マイクロ波放射エネルギー放出装置を、エアロゾル前駆体組成物を内部に受容するように構成された加熱チャンバに動作可能に係合させることであって、マイクロ波放射エネルギー放出装置は、それにより放出されたマイクロ波放射エネルギーによってエアロゾル前駆体組成物を加熱して、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成される、動作可能に係合させることと、
加熱チャンバを、出口ポートを有するハウジングに係合させることであって、それにより、出口ポートが加熱チャンバに流体連通するようにし、かつ加熱チャンバが出口ポートに加えられた吸引力に応答してエアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする、係合させることと、
を含む、製造方法。
【0028】
実施形態19:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体送達構成を係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体送達構成が、内部にエアロゾル前駆体組成物を有するリザーバから加熱チャンバにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成される製造方法。
【0029】
実施形態20:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、マイクロ波放射エネルギー放出装置を動作可能に係合させることが、マグネトロンを加熱チャンバに動作可能に係合させることを含み、マグネトロンが加熱チャンバの周りに延び、マイクロ波放射エネルギーを放出するように構成される製造方法。
【0030】
実施形態21:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、加熱チャンバを実質的に取り囲むように構成されたエンクロージャ内にマグネトロンを配置することをさらに含む、製造方法。
【0031】
実施形態22:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、ハウジング内に2つ以上のリザーバを形成することをさらに含み、各リザーバが別個のエアロゾル前駆体組成物を内部に含み、2つ以上のリザーバのそれぞれが、エアロゾル前駆体送達構成に流体連通し、エアロゾル前駆体送達構成が2つ以上のリザーバのそれぞれ1つから加熱チャンバに別個のエアロゾル前駆体組成物のいずれかを導くようにエアロゾル前駆体送達構成と協働可能である、製造方法。
【0032】
実施形態23:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、ハウジングまたはエンクロージャ内に空気流路を画定することをさらに含み、空気流路が、加熱チャンバと、ハウジングまたはエンクロージャの外部の外気との間の空気流を可能にするように構成される、製造方法。
【0033】
実施形態24:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、出口ポートまたは空気流路に空気流遮蔽要素を配置することをさらに含み、気流遮蔽要素が、エンクロージャと協働してエンクロージャ内にマイクロ波放射エネルギーを閉じ込めるように構成される、製造方法。
【0034】
実施形態25:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、ホース部材の近位端を出口ポートに係合させることと、ホース部材の反対側の遠位端をマウスピース要素に係合させることとをさらに含み、マウスピース要素およびホース部材が、出口ポートを介して加熱チャンバに流体連通して、マウスピース要素に加えられた吸引力に応答してそこからエアロゾルを受容する、製造方法。
【0035】
実施形態26:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、マイクロ波放射エネルギー放出装置と、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物に連絡する感知要素との間にコントローラ要素を動作可能に係合させることをさらに含み、感知要素が、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物の温度を感知するように構成され、コントローラ要素が、感知された温度に応答して、マイクロ波放射エネルギー放出装置によるマイクロ波放射出力を調整して、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物を最高所望温度まで加熱するように構成される製造方法。
【0036】
実施形態27:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群からエアロゾル前駆体組成物を選択することをさらに含む、製造方法。
【0037】
実施形態28:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、エアロゾル前駆体組成物を選択することが、エアロゾル前駆体組成物の1つの成分がエアロゾル前駆体組成物の過熱を防ぐように構成されるようにエアロゾル前駆体組成物を選択することをさらに含む製造方法。
【0038】
実施形態29:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、ウィックがエアロゾル前駆体組成物に連通するようにウィックを加熱チャンバに係合させることをさらに含み、マイクロ波放射エネルギー放出装置が、ウィックによって形成されるエアロゾルの量が、ウィックによって吸い上げられるエアロゾル前駆体組成物の量に比例するように、ウィックを加熱するように構成される、製造方法。
【0039】
実施形態30:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、加熱チャンバ内に、第1の加熱サブチャンバおよび第2の加熱サブチャンバを画定することをさらに含み、第1および第2の加熱サブチャンバの一方が、エアロゾル前駆体組成物に関して他方よりも大きい容量を有し、第1および第2の加熱サブチャンバが、セレクタ要素を介して出口ポートに選択的に流体連通するように構成され、セレクタ要素が、出口ポートを通して加えられる吸引力に応答して、出口ポートと選択的に連通する加熱サブチャンバから出口ポートにエアロゾルを導き、エアロゾルの量が吸引力の大きさに相当する、製造方法。
【0040】
実施形態31:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い、製造方法。
【0041】
実施形態32:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、エアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることが、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前にエアロゾル前駆体組成物と相互作用するように、加熱要素またはエアロゾル形成要素を配置することを含む、製造方法。
【0042】
実施形態33:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体処理ユニットが、それに関連したエアロゾル前駆体組成物を伴う基材材料を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱された基材材料が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い製造方法。
【0043】
実施形態34:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置の製造方法であって、加熱チャンバに流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合させることをさらに含み、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物から構成される膜を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱された膜が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも、予熱温度が低い製造方法。
【0044】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面とともに、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本開示は、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明または特許請求の範囲において明示的に組み合わされているか、そうでなければ列挙されているかどうかにかかわらず、本開示に記載されているか、請求項のうちいずれか1つ以上に列挙されている2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の前後関係が明らかに他のことを指示しない限り、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が、組合せ可能であるように意図された通りに見えるように全体的に読み取られることを意図している。
【0045】
本開示は上述の一般的な用語で記載しており、添付の図面をこれから参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本開示の例示的な実施形態による、マイクロ波放射エネルギー放出装置を含むエアロゾル送達装置の側面図を示す。
図2A】本開示の例示的な実施形態による、マイクロ波放射エネルギー放出装置によって生成されたマイクロ波放射エネルギーによって、エアロゾル送達装置の加熱チャンバ内で生成されるエアロゾルの断面図を示す。
図2B】本開示の例示的な実施形態による、マイクロ波放射エネルギー放出装置によって生成されたマイクロ波放射エネルギーによって、エアロゾル送達装置の2つの加熱チャンバ内で生成されるエアロゾルの断面図を示す。
図3】本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル送達装置の2つの異なるリザーバ内のエアロゾル前駆体組成物の断面図を示す。
図4A】本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル前駆体処理装置を示す。
図4B】本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル前駆体処理装置を示す。
図4C】本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル前駆体処理装置を示す。
図5】本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル送達装置の製造方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示は、以下、その例示的な実施形態を参照して、さらに詳細に記載される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0048】
本開示は、マイクロ波放射エネルギーを使用して材料を加熱して(好ましくは、材料を著しく燃焼させることなく)、吸入可能な物質を形成するエアロゾル送達装置に関する。いくつかの態様では、エアロゾル送達装置は、大きさ、形状などが従来の水ギセルのものと同様に構成された「卓上」装置と見なされる。ただし、他の態様では、エアロゾル送達装置は「手持ち式」装置と見なされ、消費者の手に容易に保持されるような大きさ、形状などである。
【0049】
特定の好ましい実施形態では、エアロゾル送達装置は喫煙品として特徴付けられる。本明細書で使用される用語「喫煙品」は、その物品または装置のいかなる構成要素も実質的に燃焼させることなく、紙巻タバコ、葉巻またはパイプを喫煙するという感覚の一部または全部(例えば、吸入および呼気の形式、味または香味の種類、感覚刺激効果、物理的感触、使用形式、目に見えるエアロゾルによってもたらされるような視覚的刺激など)を提供する物品または装置を意味することを意図する。本明細書で使用される用語「喫煙品」は、動作中に、物品または装置が、タバコの燃焼または熱分解の副産物から生じるエアロゾルの意味での煙を生成することを必ずしも意味せず、むしろ、物品または装置が、物品または装置の特定の構成要素の揮発または気化に起因する(例えば、煙状として記述されるように見なされ得る目に見えるエアロゾルと見なされ得るエアロゾル内の蒸気を含む)蒸気を生成することを意味する。いくつかの好ましい実施形態では、喫煙品として特徴付けられる物品または装置は、タバコおよび/またはタバコ由来成分を組み込む。
【0050】
様々な態様では、本開示の物品または装置はまた、蒸気生成物品、エアロゾル送達物品または薬剤送達物品であることを特徴とする。したがって、そのような物品または装置は、吸入可能な形態または状態で、1つ以上の物質(例えば、香味および/または薬学的活性成分)を提供するように構成される。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点よりも低い温度で気相にある物質)である。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、気体中の微細固体粒子または液滴の浮遊物)である。分かりやすくするために、本明細書で使用される用語「エアロゾル」は、目に見えるかどうか、また煙状であると見なされ得る形態であるかどうかに関わりなく、人間の吸入に適した形態または種類の蒸気、気体およびエアロゾルを含むことを意味する。
【0051】
本開示の喫煙品は、使用時に、従来の種類の喫煙品(例えば、タバコを点火し、吸入することによって使用される紙巻タバコ、葉巻またはパイプ)を使用する際に個人によって使用される多くの物理的作用を受ける。例えば、本開示の喫煙品のユーザは、従来の種類の喫煙品のようにその物品を操作し、その物品によって生成されたエアロゾルを吸入するためにその物品の1つのマウスピース要素を吸引し、選択された時間間隔で吸煙する等を行う。
【0052】
熱源(すなわち、マイクロ波放射エネルギー放出要素)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、熱源から喫煙品の他の構成要素に放出されるマイクロ波放射エネルギーを制御することなどによって、発熱を制御するための熱源への電力を作動、制御、調整および/または停止するための構成)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、「スモークジュース(smoke juice)」、「e-リキッド(e-liquid)」および「e-ジュース(e-juice)」と一般に呼ばれる成分など、一般に、十分な熱を加えるとエアロゾルを生じることができる液体)、およびエアロゾル吸入のために喫煙品(別名では、本明細書でエアロゾル送達装置とも呼ばれる)を吸引することを可能にするマウスピース要素(例えば、生成されたエアロゾルが吸引によりそこから引き出され得るように、喫煙品を通る画定された空気流路)の何らかの組合せを、本開示の喫煙品は含む。
【0053】
エアロゾル送達装置100の1つの例示的な実施形態を図1に提供する。そこに示されている側面図に見られるように、エアロゾル送達装置100は、機能的関係で恒久的にまたは取り外し可能に接続されたハウジング102およびエンクロージャ104を含む。エンクロージャ104は、ハウジング102の第1の部分の周りに嵌合し、その中にハウジング102の第1の部分を実質的に囲むように大きさおよび/または形状が構成される。いくつかの例では、第1の部分は、ハウジング102の下部または基部である。例えば、エンクロージャ104は、ハウジング102の第1の部分の外部輪郭に対応するように成形され、開閉するようにヒンジ連結される。このように、ハウジング102の第1の部分は、エンクロージャがヒンジ式に開かれた際にエンクロージャ104の成形された形状に嵌合し、エンクロージャがヒンジ式に閉じられた際に内部に固定保持される。ハウジング102とエンクロージャ104との間の他の種類の係合または接続も考えられる。
【0054】
一実施形態では、エアロゾル前駆体組成物108を内部に受容するように構成された加熱チャンバ106は、ハウジング102の第1の部分を画定する。いくつかの態様では、エンクロージャ104は、加熱チャンバ106を実質的に取り囲むか囲む。加熱チャンバ106は、単一の加熱チャンバであるか、いくつかの実施形態では、サブチャンバにさらに分割される。例えば、図1に示され、図2Aにさらに詳細に示される一実施形態では、単一の加熱チャンバ106が提供される。別の例では、図2Bに示される別の実施形態として、第1の加熱サブチャンバ106Aおよび第2の加熱サブチャンバ106Bが提供される。そのような例では、第1および第2の加熱サブチャンバ106A~Bのうちの一方は、エアロゾル前駆体組成物108に対して他方のサブチャンバよりも大きい容量を有するように構成される。図2Bに示される例では、第2の加熱サブチャンバ106Bは、エアロゾル前駆体組成物108に対して第1の加熱サブチャンバ106Aよりも大きい容量を有する。他のそのような例では、第1および第2の加熱サブチャンバ106A~Bは、エアロゾル前駆体組成物108に対して実質的に同様の容量を有するように構成される。
【0055】
いずれの例でも、加熱チャンバ106は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110などの熱源に動作可能に係合されている。マイクロ波放射エネルギー放出装置110は、いくつかの態様では、マイクロ波放射エネルギー112を生成するマグネトロンを含む。いくつかの態様では、マグネトロンは、望ましい喫煙体験を損なうことなく装置が容易に操作されるように、エアロゾル送達装置100の所望の形状、大きさなどに適合する大きさであることが好ましい。他の態様では、マイクロ波放射エネルギー放出装置110は、マイクロ波放射エネルギー112を生成するように構成されたアンテナ、コイルなどを含む。そのような場合、加熱対象の材料が、マイクロ波源に対して異なる構成/方向に存在してもよい。例えば、コイルの場合、材料はコイルの内部(中心)に存在してもよい。
【0056】
したがって、マイクロ波放射エネルギー放出装置110によって放出されるマイクロ波放射エネルギー112は、加熱チャンバ106を貫通し、その中に入れられたエアロゾル前駆体組成物108を加熱して、そこからエアロゾル114を形成するように構成される。さらに具体的には、いくつかの態様では、マイクロ波放射エネルギー112は、エアロゾル前駆体組成物108の極性分子を回転させて熱エネルギーを生成させる。その結果、エアロゾル前駆体組成物中の分子は、エアロゾル114の形成時にエアロゾル前駆体組成物108の熱劣化が最小であるように(すなわち、過熱された粒子は存在しない)、マイクロ波放射エネルギー112によって均一に励起および加熱され、結果として生じるエアロゾル114は、電気加熱要素(例えば、抵抗加熱コイル)などの他の種類の熱源によって生成されるものよりも一定した蒸気の化学的性質を有する。
【0057】
いくつかの態様では、マイクロ波放射エネルギー放出装置110、ならびにエアロゾル送達装置100自体の他の態様は、電源によって電力を供給される。電源は、エアロゾル送達装置100の様々な機能、例えば、マイクロ波放射エネルギー放出装置110を介したエアロゾル前駆体組成物の加熱、制御構成要素またはシステムの給電、インジケータの給電などを提供するのに十分な電力、エネルギーまたは電流を提供するように構成される。好ましくは、電源は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110にそれぞれ十分な電力を供給して加熱チャンバ106に受容されたエアロゾル前駆体組成物108を急速に加熱し、そこからエアロゾルを形成し、所望の持続時間にわたる使用を通してエアロゾル送達装置100の他の構成要素に電力を供給することができる様々な実施形態を取ることができる。例えば、いくつかの例では、マイクロ波放射エネルギー放出装置110を含むエアロゾル送達装置100は、標準的な家庭用コンセント(例えば120ACボルト)を介して電力を供給される。別の例では、エアロゾル送達装置100は、十分なエネルギー密度の電池によって電力を供給される。したがって、エアロゾル送達装置100が電源に接続されると、マイクロ波放射エネルギー放出装置110は、加熱チャンバ106に入れられたエアロゾル前駆体組成物108を加熱するように電力を供給され、制御可能である。
【0058】
ハウジング102、エンクロージャ104および/または加熱チャンバ106は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110によって放出されたマイクロ波放射エネルギー112をその中に閉じ込めるように構成される。例えば、ハウジング102、エンクロージャ104および/または加熱チャンバ106は、マイクロ波放射エネルギーが漏出するのを防ぐために、ファラデーケージと材料および設計が類似している。ハウジング102、エンクロージャ104および/または加熱チャンバ106の表面を貫通し、ハウジング102またはエンクロージャ104の外部に流体連通する出口ポートまたはオリフィスは、エアロゾル送達装置100内にマイクロ波放射エネルギー112を閉じ込めるための遮蔽要素116を含む。これらの態様では、エアロゾル送達装置100のハウジング102は、出口ポート118を画定し、出口ポート118は、加熱チャンバ106に流体連通している。したがって、遮蔽要素116は、出口ポート118に係合する。ハウジング102および/またはエンクロージャ104内に画定された空気流路120も、遮蔽要素116を含む。遮蔽要素116は、導電性材料(例えば、アルミニウムメッシュ)の少なくとも1つの層を含むが、遮蔽要素116の他の材料、種類および/または構成が考えられる。
【0059】
出口ポート118は、マウスピース要素122で(すなわち、消費者から)吸引力を受けるように構成され、その結果、吸引力に応答して、エアロゾル114が出口ポート118を通ってハウジング102から外側に引き出される。ホース部材124は、出口ポート118に係合可能である。図1に示すように、例えば、ホース部材122の近位端は、出口ポート118に係合し、反対側の遠位端は、マウスピース要素122に係合される。このように、マウスピース要素122およびホース部材124は、出口ポート118を介して加熱チャンバ106に流体連通して、マウスピース要素122に加えられる吸引力に応答してそこからエアロゾル114を受容する。いくつかの態様では、複数の出口ポート118が存在する。例えば、図1に示すように、少なくとも2つの出口ポート118が存在する。そのような例では、マウスピース要素122を有するホース部材124は、複数の消費者がエアロゾル送達装置100を一度に使用することができるように、ハウジング102の利用可能な各出口ポート118に係合される。そうでなければ、未使用の出口ポートはキャップされるか封鎖されて、エアロゾルがハウジング102から漏出すること、またはその他の方法でハウジング102内に入ってエアロゾルを希釈することを防ぐように構成される。
【0060】
いくつかの態様では、1つ以上の加熱サブチャンバ106A~Bは、それぞれの出口ポート118に選択的に流体連通するように構成される。例えば、1つ以上の加熱サブチャンバ106A~B内に配置されたセレクタ要素(例えば、弁、フランジ)は、出口ポート118を通して加えられる吸引力に自動的に応答して、それぞれの加熱サブチャンバ106A~Bから出口ポート118を通してエアロゾル114を導くように構成される。図2Aは、そのような例を示しており、ここでセレクタ要素は、それぞれの出口ポートを通して加えられる吸引力に応答して、第2の加熱サブチャンバ106Bに応答するか、それを開く。図2Aでは、例えば、それを通して吸引力が加えられる出口ポートが、第1の加熱サブチャンバ106Aに係合されていないため、セレクタ要素は応答していないか閉じており、エアロゾル114はそこから導かれない。
【0061】
他の例では、セレクタ要素は、ユーザの選択に手動で応答するように構成される。これらの例では、スイッチ、ボタン、レバーまたは他の機構を使用して、どの加熱サブチャンバ106A~Bからエアロゾル114が導かれるかを選択的に制御することができる。
【0062】
空気流路120は、加熱チャンバ106と、ハウジング102および/またはエンクロージャ104の外部の外気との間の空気流を可能にするように構成される。例えば、図1に示され、図2Aにさらに詳細に示されるように、単一の加熱チャンバ106は、加熱チャンバ106の内部から、エンクロージャ104の内部を通って、ハウジング102の外部へ延びる空気流路120を有する。別の例では、図2Bに示すように、2つの加熱チャンバ106A~Bはそれぞれ、そこからハウジング102の外部へ延びる個別の空気流路120A~Bを有する。しかし、他の例(図示せず)では、空気流路120A~Bは、それぞれの加熱チャンバ106A~Bから延び、エンクロージャ104内で1つの流路にまとまり、1つの流路がハウジング102の外部へ延びるように構成される。複数の空気流路120が存在する例では、各流路に関連付けられた遮蔽要素116A~Bが存在する。
【0063】
再び図1を参照すると、エアロゾル前駆体送達構成126は、加熱チャンバ106に動作可能に係合しており、リザーバ128から加熱チャンバ106にエアロゾル前駆体組成物108を送達するように構成されている。エアロゾル前駆体送達構成126は、様々な態様では、内部流管、通路または他の機構である。例えば、図1に示すように、エアロゾル前駆体送達構成126は、ハウジング102の内部に画定された空気流通路であり、重力によって、リザーバ128からハウジング102を通して加熱チャンバ106に分配されるエアロゾル前駆体組成物108を導くように構成される。
【0064】
他の態様では、エアロゾル前駆体送達構成126はまた、エアロゾル送達構成であり、それにより、エアロゾル前駆体組成物108の気化と加熱チャンバ106内の外気との組合せによって形成されたエアロゾルが、加熱チャンバ106にエアロゾル前駆体組成物108を輸送するのと同じ機構を介して消費者に送達される。これらの態様では、空気流通路126は、生成されたエアロゾルがその中で膨張および/または熟成するためのヘッドスペースを提供するために、加熱チャンバ106の内部容積よりも大きい内部容積を有するように構成される。図示されていない他の態様では、空気流通路126は、リザーバ128から加熱チャンバ106にエアロゾル前駆体組成物108を輸送するとともに、生成されたエアロゾルがその中で膨張するためのヘッドスペースを提供するために、リザーバ128と加熱チャンバ106との間に係合される流管として構成される。エアロゾル前駆体組成物108および/または生成されたエアロゾルを送達するための他の同様の機構も考えられる。
【0065】
リザーバ128は、その中にエアロゾル前駆体組成物108を収容するように構成され、エアロゾル前駆体送達構成126に流体連通するように構成される。図1は、第1のエアロゾル前駆体組成物108を収容するように構成されたリザーバ128を示している。ただし、図3に示すいくつかの態様では、2つ以上のリザーバ128A~Bが存在し、各リザーバ128A~Bは、その中に別個のエアロゾル前駆体組成物108A~Bを収容するように構成され、2つ以上のリザーバ128A~Bのそれぞれは、エアロゾル前駆体送達構成126に流体連通しており、それと協働可能である。
【0066】
いくつかの態様では、例えば、2つ以上のリザーバ128A~Bのそれぞれは、その中に異なるエアロゾル前駆体組成物108A~Bを収容する。そのような例では、リザーバ128A~Bのうちの1つ以上とエアロゾル前駆体送達構成126との間の流体連通を選択的に作動させるために、手動または自動作動機構(図示せず)を設けることができる。
【0067】
他の態様では、例えば、2つ以上のリザーバ128A~Bのそれぞれは、同じまたは実質的に同様のエアロゾル前駆体組成物108A~Bを収容し、2つ以上のリザーバのうちの第1のリザーバ128Aは一次リザーバであり、2つ以上のリザーバのうちの第2のリザーバ128Bは二次リザーバである。この例では、第1または一次リザーバ128Aは、エアロゾル前駆体送達構成126に流体連通するように構成され、第2または二次リザーバ128Bは、第1のリザーバ128A内に収容されたエアロゾル前駆体組成物108Aの枯渇時にのみエアロゾル前駆体送達構成126に流体連通するように構成される。これらの例では、第1のリザーバ128A内に収容されたエアロゾル前駆体組成物108Aの枯渇を感知し、エアロゾル前駆体組成物108Bを収容する第2のリザーバ128Bとエアロゾル前駆体送達構成126との間の流体連通を作動させるために、手動または自動作動機構(図示せず)を設けることができる。
【0068】
それにより、エアロゾル前駆体送達構成126は、2つ以上のリザーバ128A~Bのそれぞれ1つから加熱チャンバ106に、別個のエアロゾル前駆体組成物108A~Bのいずれかを個別にまたは組み合わせて送達するように構成される。例えば、それぞれのリザーバ128A~B内に収容された2つの異なるエアロゾル前駆体組成物108A~Bが、同時に、しかし独立して、それぞれの加熱サブチャンバ106A~Bに送達される。そのような例では、各リザーバ128A~Bは、個別のエアロゾル前駆体送達構成、加熱チャンバおよび出口ポートに流体連通している。そのような構成の結果として、複数の消費者が同時にエアロゾル送達装置100を使用する際に、エアロゾル送達装置100は各消費者のためにカスタマイズ可能であるように構成され、その結果、各消費者は、個別化された経験のために自分自身のエアロゾル前駆体組成物108(例えば、メントール、クレマなど)を選択することができる。
【0069】
他のそのような態様では、例えば、それぞれのリザーバ128A~B内に収容された2つの異なるエアロゾル前駆体組成物108A~Bが同じ加熱チャンバ106に同時に送達され、その結果、エアロゾル化の前、最中および/または後に、加熱チャンバ106内で2つの異なるエアロゾル前駆体組成物108A~Bを組み合わせることができる。そのような構成の結果として、エアロゾル送達装置100は、単一の消費者または複数の消費者のためにカスタマイズ可能であるように構成され、その結果、様々なエアロゾル前駆体組成物108A~Bの組合せが独特の体験をもたらす。
【0070】
リザーバ128は、再利用可能なリザーバ、または取り外し可能かつ使い捨て可能なリザーバのいずれかとして構成される。一例では、リザーバ128は再利用可能であり、必要な時に追加量のエアロゾル前駆体組成物108がリザーバ128に追加される。他の例では、その中に収容されたエアロゾル前駆体組成物108が残らず使用されると、リザーバ128が取り外される。次いで、追加量のエアロゾル前駆体組成物を収容する新しいリザーバ128がハウジング102に係合され、ここでリザーバ128は、使い捨て可能なリザーバ、または再充填可能かつ再利用可能なリザーバである。いずれにしても、リザーバ128は、ねじ係合、圧入係合、磁気係合などを介してハウジング102と係合可能である。そうでない場合、ハウジング102からリザーバ128が取り外せないように(すなわち、再充填可能または再利用可能なリザーバの場合)、リザーバ128は、ハウジング102にしっかりと係合される。いずれにしても、リザーバ128は、エアロゾル前駆体送達構成126に流体連通して、エアロゾル前駆体組成物108がそこから加熱チャンバ106に送達されるようにする。
【0071】
加熱チャンバ106に送達されるエアロゾル前駆体組成物108の量を計量するために、リザーバ128の一実施形態は、エアロゾル前駆体組成物108の全部が一度に加熱チャンバ106に送達されるのを防ぐのに十分に細かいが、組成物粒子が制限された速度で流れることを可能にするのに十分に大きいグリッド構造を有するスクリーン130を含む。例えば、図1に示すように、スクリーン130は、ハウジング102の内径の実質的に全体または全体に及ぶように構成され、リザーバ128に隣接して配置される。別の例では、図3に示すように、スクリーン130は両リザーバ128A~Bに隣接して配置される。ただし、各リザーバ128A~B用のスクリーンも考えられる。
【0072】
いくつかの態様では、蒸気前駆体組成物とも呼ばれる得るエアロゾル前駆体組成物108は、1つ以上の異なる成分を含む。エアロゾル前駆体組成物108の異なる成分は、多孔質マトリックスまたは個別のパケット(例えば基材)に分散した液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの非限定的な例では、エアロゾル前駆体組成物108の成分の1つは、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物)を含む。代表的な種類の追加のエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,793,365号明細書、Jakobらの米国特許第5,101,839号明細書、BiggsらのPCT国際公開第98/57556号パンフレットおよびR.J.Reynolds Tobacco Company MonographによるChemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco(1988)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
エアロゾル前駆体組成物108の成分は、各成分が消費者の全体的な経験に役立つ特定の効果に基づいて組み合わされる。いくつかの態様では、エアロゾル送達装置100が紙巻タバコ、葉巻またはパイプを喫煙するという感覚の一部または全部(例えば、吸入および呼気の形式、味または香味の種類、感覚刺激効果、物理的感触、使用形式、目に見えるエアロゾルによってもたらされるような視覚的刺激など)を提供することを可能にする構成要素が選択される。他の態様では、エアロゾル送達装置100が、エアロゾル前駆体組成物108から均一に加熱されたエアロゾル114を生成することを可能にする構成要素も選択される。例えば、エアロゾル前駆体組成物130には、エアロゾル前駆体組成物108の過熱を防ぐ成分、例えば、不活性、不揮発性顆粒(例えば、沸騰石)、または過剰のマイクロ波放射エネルギー112を吸収することができる他の核形成表面を選択することができる。あるいは、コントローラ要素132は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110を選択的に制御して、エアロゾル前駆体組成物108の1つ以上の成分に特有の周波数でマイクロ波放射エネルギー112を放出するように構成される。
【0074】
エアロゾル送達装置100のいくつかの実施形態は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110と、加熱チャンバ106内のエアロゾル前駆体組成物108と連絡する感知要素134との間で通信するコントローラ要素132を含む。コントローラ要素132は、いくつかの態様では、マイクロコントローラを含む。感知要素134は、いくつかの態様では、光ファイバープローブを含む。図1に示され、図2Aにさらに詳細に示されるように、コントローラ要素132はエンクロージャ104内に配置され、感知要素134は加熱チャンバ106内に配置される。別の例では、図2Bに示すように、単一のコントローラ要素132が、マイクロ波放射エネルギー放出装置110と、それぞれの加熱チャンバ106A~Bに配置された両感知要素134Aおよび134Bとの間で通信する。
【0075】
いくつかの実施形態では、感知要素134は、加熱チャンバ106内のエアロゾル前駆体組成物108の温度、空気流速度、圧力、エアロゾル前駆体組成物要素またはそれらの任意の組合せを感知するように構成される。例えば、感知要素134が、温度を感知するように構成されている場合、コントローラ要素132は、感知された温度に応答してマイクロ波放射エネルギー112を調整して、エアロゾル前駆体組成物108を最高所望温度のみに加熱する。このように、感知要素134と連動するコントローラ要素132は、エアロゾル前駆体組成物108の過熱、加熱不足などを防ぐように構成される。
【0076】
他の実施形態では、感知要素134はまた、加熱チャンバ106に収容されたエアロゾル前駆体組成物108の量の容積を感知するように構成される。例えば、2つの加熱チャンバ106A~Bが存在する場合、感知要素134A~Bはそれぞれ、それぞれの加熱チャンバ106A~B内のエアロゾル前駆体組成物108の容量を感知するように構成される。コントローラ要素132は、加熱チャンバ106A~Bの一方または両方が最大容量にある場合、感知された容量に応答して、エアロゾル前駆体送達構成126が加熱チャンバ106A~Bの一方または両方にエアロゾル前駆体組成物108をそれ以上導くのを防ぐ。したがって、例えば、コントローラ要素132と通信する弁機構が、加熱チャンバ106A~Bの一方または両方に送達されるエアロゾル前駆体組成物108の量を制限するように構成される。あるいは、加熱チャンバ106A~Bの一方が最大容量にある場合、コントローラ132は、そのチャンバの感知された最大容量に応答して、最大容量にはない他方の加熱チャンバ106A~Bにエアロゾル前駆体組成物108を導く。
【0077】
さらに、様々な実施形態では、エアロゾル前駆体組成物輸送要素が、エアロゾル前駆体組成物108に連通している加熱チャンバ106に配置される。例えば、図2A図2Bに示すように、エアロゾル前駆体組成物輸送要素の一実施形態は、エアロゾル前駆体組成物108を輸送(すなわち吸収および吸い上げ)するように構成された様々な材料(例えば綿および/またはガラス繊維)から形成されるウィック136を含む。ウィックの材料設計により、ウィック136は、加熱チャンバ106に送達される制限された量(すなわち、吸煙サイズ分)のエアロゾル前駆体組成物108を吸収するように構成される。次いで、液体を吸収したウィックは、マイクロ波放射エネルギー放出装置110によって加熱されて、エアロゾル114を生成する。加えて、例えば、吸煙サイズ分のエアロゾル前駆体組成物108が、加熱チャンバ106およびウィック136にポンプで送られるか、滴下されるか、その他の方法で送達され得る。しかし、ウィック136の実装は任意である。
【0078】
したがって、使用中に、消費者がエアロゾル送達装置100のマウスピース要素122を吸引すると、エアロゾル前駆体送達構成126によって、リザーバ128から加熱チャンバ106に一定量のエアロゾル前駆体組成物108が導かれる。あるいは、エアロゾル前駆体組成物108は、吸引前に加熱チャンバ106内にすでに入れられている。次いで、マイクロ波放射エネルギー放出装置110が作動し(例えば、吸煙センサまたは感知要素134などを介して)、エアロゾル前駆体組成物108の成分が加熱チャンバ106内で気化またはエアロゾル化される。いくつかの態様では、コントローラ要素132は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110と通信可能に接続されて、そこから放出されるマイクロ波放射エネルギー112を制御する。例えば、感知要素134が、(例えば、エアロゾル前駆体組成物の温度、容積、圧力などのため)エアロゾル化するためにマイクロ波放射エネルギー112の増加を必要とする加熱チャンバ106内のエアロゾル前駆体組成物108を感知した場合、コントローラ要素132は、マイクロ波放射エネルギー放出装置110を制御して、エアロゾル前駆体組成物108をエアロゾル化するのに十分なマイクロ波放射エネルギー112を放出することができる。
【0079】
また、エアロゾル送達装置100のマウスピース要素122を吸引すると、外気が空気流路120に入り、加熱チャンバ106を通過する。吸引された外気は、加熱チャンバ106および/またはエアロゾル送達構成126内で形成された蒸気/エアロゾルと混合して、エアロゾル114を輸送する。形成されたエアロゾル114は、加熱チャンバ106から引き出され、エアロゾル送達構成126を通過し、出口ポート118から出て、ホース部材124を通って、装置100のマウスピース要素122から出て行く。いくつかの態様では、出口ポート118を通して引き込まれないエアロゾル114が、エアロゾル送達構成126内に存在するか、その中に留まり、そこで熟成される。
【0080】
吸煙作動能力を提供する例示的な機構には、イリノイ州フリーポートのHoneywell,Inc.のMicroSwitch部門によって製造されたモデル163PC01D36シリコンセンサが挙げられる。本開示のエアロゾル送達装置100では、さらに別の構成要素が任意選択により利用される。例えば、Sprinkel,Jr.の米国特許第5,261,424号明細書は、吸煙に関連するユーザの唇の動作およびトリガー加熱を検出する装置のマウスエンドに関連し得る圧電センサを開示しており、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書は、マウスピースを通る圧力の降下に応答して加熱負荷アレイへのエネルギー流を制御するための吸煙センサを開示しており、Harrisらの米国特許第5,967,148号明細書は、挿入された構成要素の赤外線透過性の不均一性を検出する識別器と、構成要素がレセプタクルに挿入された際に検出ルーチンを実行するコントローラと、を含む喫煙装置内のレセプタクルを開示しており、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書は、複数の異なるフェイズを有する規定済みの実行可能な電力サイクルを記載しており、Watkinsらの米国特許第5,934,289号明細書は、フォトニックオプトロニック(photonic-optronic)構成要素を開示しており、Countsらの米国特許第5,954,979号明細書は、喫煙装置を通る吸込み抵抗を変化させるための手段を開示しており、Blakeらの米国特許第6,803,545号明細書は、喫煙装置に使用するための特定の電池構成を開示しており、Griffenらの米国特許第7,293,565号明細書は、喫煙装置とともに使用するための様々な充電システムを開示しており、Fernandoらの米国特許第8,402,976号明細書は、充電を容易にし、装置のコンピュータ制御を可能にするための喫煙装置用のコンピュータインタフェース手段を開示しており、Fernandoらの米国特許第8,689,804号明細書は、喫煙装置用の識別システムを開示しており、Flickの国際公開第2010/003480号パンフレットは、エアロゾル生成システムを用いた吸煙を示す流体流感知システムを開示しており、前述の開示はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0081】
本喫煙品に有用であり得るマイクロコントローラを含む他の制御構成要素の追加の説明は、いずれもBrooksらの米国特許第4,922,901号明細書、米国特許第4,947,874号明細書および米国特許第4,947,875号明細書、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書ならびにNguyenらの米国特許第7,040,314号明細書に提供されており、これらのいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0082】
図4A図4Cは、例示的なエアロゾル前駆体処理ユニットの概略図を示している。エアロゾル前駆体処理ユニットは、装置100によるエアロゾル前駆体組成物108のエアロゾル化の前にエアロゾル前駆体組成物108を予熱するように構成される。あるいは、エアロゾル前駆体処理ユニットは、装置100によるエアロゾル前駆体組成物108の予熱後にエアロゾル前駆体組成物108を処理するように構成される。
【0083】
図4Aを参照すると、エアロゾル前駆体処理ユニット400Aが示されている。エアロゾル前駆体処理ユニット400Aは、加熱チャンバ106に流体連通するように構成される。さらに具体的には、エアロゾル前駆体処理ユニット400Aは、加熱チャンバ106に連通する出口(図示せず)を介して、空気流路(例えば、120、図2A図2B)を通して、またはエアロゾル前駆体送達構成(例えば、126、図1)を通して、処理されたエアロゾル前駆体組成物を加熱チャンバに送達するように構成される。エアロゾル前駆体処理ユニット400Aは、エアロゾル前駆体組成物108を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱温度は、処理された(すなわち、予熱された)エアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバ106に送達される前に、エアロゾル前駆体組成物108からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも低い。あるいは、エアロゾル前駆体組成物108は、エアロゾル送達装置100の加熱チャンバ106で予熱され、エアロゾル前駆体組成物108の気化/エアロゾル化の前に加熱チャンバ106から取り出される。この時点で、予熱されたエアロゾル前駆体組成物108は、(例えば、エアロゾル前駆体送達構成126を介して)エアロゾル前駆体処理ユニット400Aに送達され、気化される。エアロゾル前駆体処理ユニット400Aの入口(図示せず)を介して供給される外気は、気化/エアロゾル化されたエアロゾル前駆体組成物と混合し、ユーザによって摂取されるエアロゾルを輸送する。
【0084】
いくつかの態様では、エアロゾル前駆体処理ユニット400Aは、そこに供給されるエアロゾル前駆体組成物と相互作用するように構成された加熱要素またはエアロゾル形成要素を含む。一例では、加熱要素は熱板を含む。別の例では、加熱要素はコイルヒータ402を含む。コイルヒータ402は、電流が印加されると熱を発生する抵抗加熱要素として構成される。加熱要素402を形成する材料の例には、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二珪化モリブデン(MoSi)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al))およびセラミック(例えば、正温度係数セラミック)が挙げられる。熱を生成するために、加熱要素402は、加熱要素402に電流を流し、また適切な配線または回路(図示せず)に取り付けられて加熱要素402と電池または他の電源との電気接続を形成するように構成された導電性ヒータ端子(例えば、正極端子および負極端子)を含む。他の非限定的な例では、加熱要素402は非電気的であり、伝導、対流および/または放射を介してエアロゾル前駆体組成物108を気化させるための熱を生成する。
【0085】
他の態様では、エアロゾル前駆体処理ユニット400Aは、そこに供給されるエアロゾル前駆体組成物と相互作用し、放出されたマイクロ波放射エネルギーを使用してエアロゾル前駆体組成物を予熱するように構成されるマイクロ波放射エネルギー放出装置を含む。
【0086】
エアロゾル前駆体処理ユニット400A内に設けられた感知要素404は、エアロゾル前駆体組成物108が加熱要素402によって予熱温度まで加熱された時を感知するように構成される。感知要素404が予熱温度に到達したことを感知した後、加熱要素402との電気接続は解除される。加えて、エアロゾル前駆体組成物が装置100の加熱チャンバ106で予熱される場合、感知要素404は、最高温度に到達した時を感知するように構成され、その後、加熱要素402が解除される。
【0087】
ここで図4Bを参照すると、エアロゾル前駆体処理ユニット400Bが示されている。エアロゾル前駆体処理ユニット400Bは、加熱チャンバ106に流体連通するように構成される。さらに具体的には、エアロゾル前駆体処理ユニット400Bは、加熱チャンバ106に連通する出口(図示せず)を介して、空気流路(例えば、120、図2A図2B)を通して、またはエアロゾル前駆体送達構成(例えば、126、図1)を通して、処理されたエアロゾル前駆体組成物を加熱チャンバ106に送達するように構成される。エアロゾル前駆体処理ユニット400Bは、エアロゾル前駆体組成物108を伴う基材材料406を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱温度は、予熱された基材材料406が加熱チャンバ106に送達される前に、エアロゾル前駆体組成物108からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも低い。
【0088】
いくつかの態様では、エアロゾル前駆体処理ユニット400Bは、従来の電子レンジを含む。したがって、エアロゾル前駆体処理ユニット400Bは、従来の電子レンジに設けられた制御および/または感知構成要素を使用して、基材406を予熱温度まで予熱する。次いで、予熱された基材406は、その後のマイクロ波放射エネルギーによるエアロゾル化のために加熱チャンバ106に送達される。あるいは、基材406はリザーバ128に送達され、エアロゾル前駆体送達構成126はその制限された量を加熱チャンバ106に送達する。
【0089】
図4Cは、エアロゾル前駆体処理ユニット400Cを示している。エアロゾル前駆体処理ユニット400Cは、加熱チャンバ106に流体連通するように構成される。さらに具体的には、エアロゾル前駆体処理ユニット400Cは、加熱チャンバ106に連通する出口(図示せず)を介して、空気流路(例えば、120、図2A図2B)を通して、またはエアロゾル前駆体送達構成(例えば、126、図1)を通して、処理されたエアロゾル前駆体組成物を加熱チャンバ106に送達するように構成される。エアロゾル前駆体処理ユニット400Cは、エアロゾル前駆体組成物108を含む膜408を予熱温度まで予熱するように構成され、予熱温度は、予熱された膜408が加熱チャンバ106に送達される前に、エアロゾル前駆体組成物108からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも低い。
【0090】
いくつかの態様では、エアロゾル前駆体処理ユニット400Cは従来の電子レンジを含み、膜408は使い捨てまたは複数回使用の膜を含む。一例では、エアロゾル前駆体組成物108は膜408に供給される。膜408は密封され、次いでエアロゾル前駆体処理ユニット400Cに供給される。したがって、エアロゾル前駆体処理ユニット400Cは、従来の電子レンジに設けられた制御および/または感知構成要素を使用して、膜408を予熱温度まで予熱する。膜408は、収縮状態でエアロゾル前駆体処理ユニット400Cに供給されるが、内部のエアロゾル前駆体組成物108が気化/エアロゾル化されると膨張状態に移行する。次いで、予熱され、膨張した膜408は、マウスピース取付具を介して吸煙されるか、その他の方法でエアロゾル送達装置100に取り付けられ得、制御された方法で消費者にエアロゾルを送達することが可能になる。エアロゾルの送達後、膜408は処分される(すなわち、使い捨て)か、密閉されず、追加量のエアロゾル前駆体組成物108が内部に入れられる(すなわち、複数回使用)。
【0091】
図示されていないさらなる実施形態では、エアロゾル送達装置100は、別の機構によって生成されたエアロゾルをさらに蒸発させるために利用される。さらに具体的には、マイクロ波放射エネルギー放出装置110は、他の機構によって生成されたエアロゾル粒子の大きさを縮小して、吸入のために粒子を十分に小さくする(例えば、直径2ミクロン)ように構成される。エアロゾルを生成するためのいくつかのそのような機構には、インクジェット噴霧装置が挙げられ、これは、様々な実施形態では、エアロゾル送達装置100の加熱チャンバ106の内部にエアロゾル粒子を噴霧するように構成される。例えば、サーマルプリンタまたはバブルジェット(登録商標)プリンタは直径約4~40ミクロンのエアロゾル粒子を噴霧することができ、圧電プリンタは直径約1~2ミクロンのエアロゾル粒子を噴霧することができる。2ミクロンよりも大きい粒子から構成されるエアロゾルは一般に都合よく吸入することはできないため、噴霧されたエアロゾルは、マイクロ波放射エネルギー放出装置110によってさらに蒸発させられて、粒子の大きさを吸入可能な直径、例えば2ミクロン以下に縮小させる。
【0092】
あるいは、ウィックおよび/またはコイル構成が加熱チャンバ106の内部に設けられて、約200~500ナノメートルの個々の直径を有する粒子から構成されるエアロゾルを生成する。この直径の粒子を含むエアロゾルは吸入可能であるが、いくつかの実施形態では、マイクロ波放射エネルギー放出装置110は、エアロゾル114をさらに気化/エアロゾル化するように構成される。
【0093】
ここで図5を参照すると、エアロゾル送達装置の製造方法が示されている。全体に500と称される方法は、上述のような前駆体組成物のマイクロ波放射エネルギーによりエアロゾルを生成するエアロゾル送達装置を製造するために利用される。
【0094】
工程502では、マイクロ波放射エネルギー放出装置(例えば、110、図1)は、エアロゾル前駆体組成物(例えば、108、図1)を内部に受容するように構成された加熱チャンバ(例えば、106、図1)に動作可能に係合される。いくつかの実施形態では、マイクロ波放射エネルギー放出装置は、それにより放出されたマイクロ波放射エネルギーによってエアロゾル前駆体組成物を加熱して、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成される。エアロゾル前駆体組成物は加熱チャンバに入れられる。
【0095】
工程504では、加熱チャンバは、出口ポート(例えば、118、図1)を有するハウジング(例えば、102、図1)に係合され、出口ポートが加熱チャンバに流体連通するようにし、かつ加熱チャンバが出口ポートに加えられた吸引力に応答してエアロゾルが出口ポートを通ってハウジングから外側に引き出されるようにする。
【0096】
上記の説明および関連する図面に示された教示の利益を有する、本開示が関連する当業者には、本開示の多くの変更および他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では、特定の用語を使用しているが、それらは、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のために使用されない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
エアロゾル前駆体組成物が内部に配置された加熱チャンバと、
エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するために、加熱チャンバの周りに部分的に延び、動作可能に係合され、マイクロ波放射を発してマイクロ波放射でその中のエアロゾル前駆体組成物を加熱するように構成されたマイクロ波放射発出装置と、
出口ポートを有し、加熱チャンバと流体連通するハウジングと
を備え、加熱チャンバが、出口ポートに加えられた吸引に応答して、エアロゾルがハウジングから外向きに出口ポートを通って引き出され、
出口ポートが、マイクロ波放射を加熱チャンバ内に収めるように配置構成される、エアロゾル送達装置。
【請求項2】
加熱チャンバと動作可能に係合されたエアロゾル前駆体送達構成であって、エアロゾル前駆体組成物を内部に収めるように構成され、エアロゾル前駆体送達構成と流体連通するリザーバから加熱チャンバにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成されたエアロゾル前駆体送達構成をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
マイクロ波放射発出装置が、加熱チャンバを実質的に取り囲むように構成されたエンクロージャ内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
2つ以上のリザーバをさらに備え、各リザーバが、別個のエアロゾル前駆体組成物を内部に収めるように構成され、2つ以上のリザーバの各々が、エアロゾル前駆体送達構成と流体連通し、エアロゾル前駆体送達構成が2つ以上のリザーバのそれぞれ1つから加熱チャンバに別個のエアロゾル前駆体組成物のいずれかを導くようにそれと協働可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ハウジングまたはエンクロージャ内に画定され、加熱チャンバとハウジングまたはエンクロージャの外部の周囲空気との間の空気流を可能にするように構成された空気流路をさらに備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
空気流路が、エンクロージャと協働してマイクロ波放射をエンクロージャ内に収めるように構成された空気流遮蔽要素を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
出口ポートと係合される係合近位端と、マウスピース要素と係合される反対側の遠位端とを有するホース部材を備え、マウスピース要素に加えられた吸引に応答してそこからエアロゾルを受容するようにマウスピース要素およびホース部材が出口ポートを介して加熱チャンバと流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
マイクロ波放射発出装置と、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物と連通する感知要素との間で通信するコントローラ要素を含み、感知要素が、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物の温度を感知するように構成され、コントローラ要素が、感知された温度に応答して、マイクロ波放射発出装置によるマイクロ波放射出力を調整して、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物を最高所望温度に加熱する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
エアロゾル前駆体組成物が、液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
エアロゾル前駆体組成物の1つの成分が、エアロゾル前駆体組成物の過熱を防ぐように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
加熱チャンバと係合されるウィックを備え、ウィックがエアロゾル前駆体組成物と連通し、マイクロ波放射発出装置が、ウィックを加熱するように構成され、それによって形成されるエアロゾルの量が、ウィックによって吸い上げられるエアロゾル前駆体組成物の量に比例するようにする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
加熱チャンバが、第1の加熱サブチャンバおよび第2の加熱サブチャンバを備え、第1および第2の加熱サブチャンバの一方が、他方よりもエアロゾル前駆体組成物のより大きい容量を有し、第1および第2の加熱サブチャンバが、セレクタ要素を介して出口ポートと流体連通し、セレクタ要素が出口ポートを通して加えられる吸引に応答して、第1および第2の加熱サブチャンバの選択された1つから出口ポートにエアロゾルを導き、エアロゾルの量が吸引の大きさに対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
加熱チャンバと流体連通し、エアロゾル前駆体組成物を予熱温度に予熱するように構成されたエアロゾル前駆体処理ユニットを備え、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも予熱温度が低い、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物と相互作用するように構成された加熱要素またはエアロゾル形成要素を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
加熱チャンバと連通しており、それと関連したエアロゾル前駆体組成物を有する基材材料を予熱温度に予熱するように構成されたエアロゾル前駆体処理ユニットを備え、予熱された基材材料が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも予熱温度が低い、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
加熱チャンバと連通しており、エアロゾル前駆体組成物から構成される膜を予熱温度に予熱するように構成されたエアロゾル前駆体処理ユニットを備え、予熱された膜が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも予熱温度が低い、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
エアロゾル送達装置を作る方法であって、
マイクロ波放射発出装置を、エアロゾル前駆体組成物を内部に受容するように構成された加熱チャンバと動作可能に係合することであって、マイクロ波放射発出装置が加熱チャンバの周りに少なくとも部分的に延び、それにより発せられたマイクロ波放射でエアロゾル前駆体組成物を加熱して、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するように構成される、ことと、
出口ポートが加熱チャンバと流体連通するように、加熱チャンバが出口ポートに加えられた吸引に応答してエアロゾルがハウジングから外向きに出口ポートを通って引き出されるように、加熱チャンバを、出口ポートを有するハウジングと係合することと
を備え、
出口ポートが、マイクロ波放射を加熱チャンバ内に収めるように配置構成される、方法。
【請求項18】
加熱チャンバと流体連通するエアロゾル前駆体送達構成を係合することをさらに備え、エアロゾル前駆体送達構成が、内部にエアロゾル前駆体組成物を有するリザーバから加熱チャンバにエアロゾル前駆体組成物を導くように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
マイクロ波放射発出装置を、加熱チャンバを実質的に取り囲むように構成されたエンクロージャ内に配置することをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ハウジング内に2つ以上のリザーバを形成することをさらに備え、各リザーバが、別個のエアロゾル前駆体組成物を内部に含み、2つ以上のリザーバの各々が、エアロゾル前駆体送達構成と流体連通し、エアロゾル前駆体送達構成が2つ以上のリザーバのそれぞれ1つから加熱チャンバに別個のエアロゾル前駆体組成物のいずれかを導くようにそれと協働可能である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ハウジングまたはエンクロージャ内に空気流路を画定することをさらに備え、空気流路が加熱チャンバとハウジングまたはエンクロージャの外部の周囲空気との間の空気流を可能にするように構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
空気流路に空気流遮蔽要素を配置することをさらに備え、空気流遮蔽要素がエンクロージャと協働してエンクロージャ内にマイクロ波放射を収めるように構成される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ホース部材の近位端を出口ポートと係合することと、ホース部材の反対側の遠位端をマウスピース要素と係合することとをさらに備え、マウスピース要素に加えられた吸引に応答してそこからエアロゾルを受容するようにマウスピース要素およびホース部材が出口ポートを介して加熱チャンバと流体連通している、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
マイクロ波放射発出装置と加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物と連通する感知要素との間に、コントローラ要素を動作可能に係合することをさらに備え、感知要素が、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物の温度を感知するように構成され、コントローラ要素が、感知された温度に応答して、マイクロ波放射発出装置によるマイクロ波放射出力を調整して、加熱チャンバ内のエアロゾル前駆体組成物を最高所望温度に加熱するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
液体、ゲル、固体、カプセル、コロイド、懸濁液、植物由来物およびそれらの組合せからなる群からエアロゾル前駆体組成物を選択することをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
エアロゾル前駆体組成物を選択することが、その1つの成分がエアロゾル前駆体組成物の過熱を防ぐように構成されるようにエアロゾル前駆体組成物を選択することをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ウィックがエアロゾル前駆体組成物と連通するようにウィックを加熱チャンバと係合することをさらに備え、マイクロ波放射発出装置が、ウィックを加熱するように構成され、それによって形成されるエアロゾルの量が、ウィックによって吸い上げられるエアロゾル前駆体組成物の量に比例するようにする、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
加熱チャンバにおいて、第1の加熱サブチャンバおよび第2の加熱サブチャンバを画定することをさらに備え、第1および第2の加熱サブチャンバの一方が、他方よりもエアロゾル前駆体組成物のより大きい容量を有し、第1および第2の加熱サブチャンバが、セレクタ要素を介して出口ポートと選択的に流体連通するように構成され、セレクタ要素が、出口ポートを通して加えられる吸引に応答して、出口ポートと選択的に連通する加熱サブチャンバから出口ポートにエアロゾルを導き、エアロゾルの量が吸引の大きさに対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
加熱チャンバと流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合することをさらに備え、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物を予熱温度に予熱するように構成され、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも予熱温度が低い、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
エアロゾル前駆体処理ユニットを係合することが、予熱されたエアロゾル前駆体組成物が加熱チャンバに導かれる前にエアロゾル前駆体組成物と相互作用するように、加熱要素またはエアロゾル形成要素を配置構成することを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
加熱チャンバと流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合することをさらに備え、エアロゾル前駆体処理ユニットが、それと関連したエアロゾル前駆体組成物を有する基材材料を予熱温度に予熱するように構成され、予熱された基材材料が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも予熱温度が低い、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
加熱チャンバと流体連通するエアロゾル前駆体処理ユニットを係合することをさらに備え、エアロゾル前駆体処理ユニットが、エアロゾル前駆体組成物を備える膜を予熱温度に予熱するように構成され、予熱された膜が加熱チャンバに導かれる前に、エアロゾル前駆体組成物からエアロゾルを形成するための最高所望温度よりも予熱温度が低い、請求項17に記載の方法。