(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170615
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/427 20060101AFI20241203BHJP
B60R 21/207 20060101ALI20241203BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B60N2/427
B60R21/207
B60N2/56
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024156825
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2022028368の分割
【原出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】63/212,380
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】山口 貢載
(72)【発明者】
【氏名】山内 直人
(57)【要約】
【課題】着座面から着座者に対して空気を吹き付けることによって着座者の快適性を高めるとともに、着座者に適度な刺激を与えることによって血流を促進し、これにより着座者の疲労を軽減することができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】通風路31が形成されたパッド11と、パッド11を被覆する表皮材16と、パッド11と表示材16との間に配設されて、着座面から突出する可動体50を備えた乗物用シート1であって、可動体50は、着座面から見て通風路31と重ならない位置に配設されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座面から送出される空気の通風路が形成されたパッドと、該パッドを被覆する表皮材と、前記パッドと前記表皮材との間に配設されて、前記着座面から突出する可動体を備えた乗物用シートであって、
前記可動体は、前記着座面から見て前記通風路と重ならない位置に配設されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記乗物用シートは、複数の前記可動体を備え、
前記通風路を介して送出される空気の吹出口が、前記着座面から見て前記複数の前記可動体の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記乗物用シートは、着座状態を検知する着座センサを備え、
前記可動体が、着座面から見て前記着座センサと重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記可動体は、流体によって膨張及び収縮する複数の流体袋であって、
該複数の流体袋は、前記パッドと前記表皮材の間に積層されており、
前記パッド側に位置する前記流体袋は、前記表皮材側に位置する前記流体袋よりも高い剛性を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記パッド側に位置する前記流体袋は、前記表皮材側に位置する前記流体袋よりも大きい寸法を有していることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記積層された前記複数の流体袋は、互いに溶着されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記乗物用シートは、前記可動体の突出動作を制御する制御装置を備え、
前記可動体は、前記乗物用シートのシートクッションの前方側の位置に配設された第一可動体と、前記シートクッションの後方側の位置に配設された第二可動体と、を有し、
前記制御装置は、乗物の衝突を予測する衝突予測信号を取得し、該衝突予測信号に基づいて、前記シートクッションの前方側が後方側よりも高くなるように前記第一可動体及び前記第二可動体の突出動作を制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記乗物用シートは、前記乗物が衝突した際に作動するクッションエアバッグを備え、
前記制御装置は、前記クッションエアバッグが作動する前に、前記衝突予測信号に基づいて前記シートクッションの前方側が後方側よりも高くなるように前記第一可動体及び前記第二可動体の突出動作を制御することを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記可動体は、前記乗物用シートのシートバックに配設された第三可動体を有し、
前記制御装置は、前記衝突予測信号に基づいて、前記第三可動体が突出するように制御することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに係り、特に、流体によって膨張及び収縮する流体袋を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートに送風機及び通風路を備え、送風機が送出した風を着座面へ案内して着座者に対して吹き付けることができる車両用シートが知られている。例えば、下記の特許文献1には、シート内部のパッド内に通風路が形成された車両用シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、予め適切な温度に調和された空気を着座者に対して吹き付けることによって、着座者の快適性を高めることができる。しかしながら、長時間にわたって乗物用シートに着座する着座者の快適性を高めるために、更なる改善が望まれていた。すなわち、着座面から着座者に対して空気を吹き付けることによって快適性を高めるとともに、着座者に適度な刺激を与えることによって血流を促進し、着座者の疲労を効果的に軽減することができる車両用シートが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着座面から着座者に対して空気を吹き付けることによって快適性を高めるとともに、着座者に適度な刺激を与えることによって血流を促進し、これにより着座者の疲労を軽減することができる乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、着座面から送出される空気の通風路が形成されたパッドと、該パッドを被覆する表皮材と、前記パッドと前記表皮材との間に配設されて、前記着座面から突出する可動体を備えた乗物用シートであって、前記可動体は、前記着座面から見て前記通風路と重ならない位置に配設されていることにより解決される。
【0007】
上記構成によれば、着座者に対して空気を送出することによって着座者の快適性を高めることができるとともに、可動体を着座面から突出させることによって着座者に刺激を与えることができる。可動体は、着座面から見て通風路と重ならない位置に配設されている。これにより、パッド内に形成された通風路に可動体が沈み込んでしまうことが抑制される。そのため、可動体によって着座者に対して適度な刺激を与えることができ、血流を促進することによって着座者の疲労を軽減することができる。また、可動体によって通風路が閉塞されてしまうことを抑制することができる。そのため、着座者に対して適切な量の空気を吹き付けることが可能となる。
【0008】
また、前記乗物用シートは、複数の前記可動体を備え、前記通風路を介して送出される空気の吹出口が、前記着座面から見て前記複数の前記可動体の間に配置されていると好適である。
上記構成によれば、可動体の動作に伴う影響を受けることなく、適切な量の空気を吹出口から着座者に対して吹き付けることが可能となる。
【0009】
また、前記乗物用シートは、着座状態を検知する着座センサを備え、前記可動体が、着座面から見て前記着座センサと重なる位置に配置されていると好適である。
上記構成によれば、可動体の動作に伴う着座センサの検知漏れを抑制することが可能となる。
【0010】
また、前記可動体は、流体によって膨張及び収縮する複数の流体袋であって、該複数の流体袋は、前記パッドと前記表皮材の間に積層されており、前記パッド側に位置する前記流体袋は、前記表皮材側に位置する前記流体袋よりも高い剛性を有していると好適である。
上記構成によれば、高い剛性を有するパッド側の流体袋が表皮材側の流体袋を支持することによって、表皮材側の流体袋が、パッド内に沈みこんでしまうことを抑制することができる。このため、流体袋によって着座者に適度な刺激を与えることができ、血流を促進することによって着座者の疲労を軽減することができる。
【0011】
また、前記パッド側に位置する前記流体袋は、前記表皮材側に位置する前記流体袋よりも大きい寸法を有していると好適である。
上記構成によれば、大きな寸法を有するパッド側の流体袋が表皮材側の流体袋を支持することによって、表皮材側の流体袋が、パッド内に沈み込んでしまうことが抑制される。このため、流体袋によって着座者に適度な刺激を与えることができ、血流を促進することによって着座者の疲労を軽減することができる。
【0012】
また、前記積層された前記流体袋は、互いに溶着されていると好適である。
上記構成によれば、表皮材側の流体袋がパッド側の流体袋に対して強固に固定されるため、表皮材側の流体袋が、パッド内に沈み込んでしまうことが抑制される。このため、流体袋によって着座者に適度な刺激を与えることができ、血流を促進することによって着座者の疲労を軽減することができる。
【0013】
また、前記乗物用シートは、前記可動体の突出動作を制御する制御装置を備え、前記可動体は、前記乗物用シートのシートクッションの前方側の位置に配設された第一可動体と、前記シートクッションの後方側の位置に配設された第二可動体と、を有し、前記制御装置は、乗物の衝突を予測する衝突予測信号を取得し、該衝突予測信号に基づいて、前記シートクッションの前方側が後方側よりも高くなるように前記第一可動体及び前記第二可動体の突出動作を制御すると好適である。
上記構成によれば、乗物の前面衝突が予測された際に、シートクッションの前方側が後方側よりも高くなるように第一可動体及び第二可動体が制御されるため、着座者の腰部の前方への動き(サブマリン現象)を抑制することが可能となる。そのため、着座者の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0014】
また、前記乗物用シートは、前記乗物が衝突した際に作動するクッションエアバッグを備え、前記制御装置は、前記クッションエアバッグが作動する前に、前記衝突予測信号に基づいて前記シートクッションの前方側が後方側よりも高くなるように前記第一可動体及び前記第二可動体の突出動作を制御すると好適である。
上記構成によれば、クッションエアバッグが作動する前であって、乗物の衝突が予測された段階でサブマリン現象を抑制することが可能となる。そのため、着座者の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、前記可動体は、前記乗物用シートのシートバックに配設された第三可動体を有し、前記制御装置は、前記衝突予測信号に基づいて、前記第三可動体が突出するように制御すると好適である。
上記構成によれば、後面衝突時の発生に先立ってシートバックに配設された第三可動体が膨張するため、後面衝突時の衝撃に対する安全性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、着座面から着座者に対して適切な温度の空気を吹き付けることによって快適性を高めるとともに、着座者に適度な刺激を与えることによって着座者の疲労を軽減することができる可能となる。
また、可動体の動作に伴う影響を受けることなく、適切な量の空気を着座者に対して吹き付けることが可能となる。
また、可動体の動作に伴う着座センサの検知漏れを抑制することが可能となる。
また、前面衝突時に着座者の腰部の前方への動き(サブマリン現象)を抑制することができるため、着座者の安全性の向上を図ることが可能となる。
また、後面衝突時の衝撃に対する安全性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの基本構成の説明図である。
【
図2】シートクッションの送風装置及び通風路の説明図である。
【
図3】シートクッションのパッド本体、第一カバー部材、及び第二カバー部材の斜視図である。
【
図4】流体袋が収縮した状態と膨張した状態を説明する図である。
【
図5】第2実施形態に係る車両用シートを側方から見た部分断面図である。
【
図6】車両用シートの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】エアバッグが収縮した状態を示す図であって、シートクッションの要部を拡大した部分断面図である。
【
図8】エアバッグの前方が膨張した状態を示す図であって、シートクッションの要部を拡大した部分断面図である。
【
図9】制御部によって実行される処理の流れを示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る車両用シートの基本構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1乃至
図4を参照しながら、本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係る乗物用シートについて説明する。
本実施形態は、着座面から送出される空気の通風路が形成されたパッドと、パッドを被覆する表皮材と、パッドと表示材との間に配設されて、着座面から突出する可動体を備えた乗物用シートであって、可動体は、着座面から見て通風路と重ならない位置に配設されていることを主な特徴とする乗物用シートの発明に関するものである。以下の実施形態では、本発明に係る乗物用シートを車両用シートに適用した場合を例として説明する。
【0019】
以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートの着座者から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向を意味し、車両用シートの着座者から見たときの左右方向と一致する。また、以下において「左」とは着座者から見たときの左を指し、同様に「右」とは着座者から見たときの右を指す。また、「高さ方向」とは、車両用シートの高さ方向を意味し、車両用シートを正面から見たときの上下方向と一致する。
【0020】
<車両用シートSの主要構成>
図1は、車両用シートSの基本構成を示す斜視図である。
図1に示すように、車両用シートSは、シートクッションS1、シートバックS2、及びヘッドレストS3を、主な構成として有している。
【0021】
シートクッションS1は、該シートクッションS1の骨格を構成するシートクッションフレーム10(
図2参照)と、該シートクッションフレーム10を被覆するシートクッションパッド11及び表皮材16によって主に構成されている。
シートバックS2は、該シートバックS2の骨格を構成するシートバックフレーム(不図示)と、該シートバックフレームを被覆するパッド(不図示)及び表皮材(不図示)によって主に構成されている。
【0022】
シートクッションS1のシートクッションパッド11は、送風装置40(
図2参照)が送出する空気が通過する通風路31を有している。通風路31には、送風装置40が送出する空気が流入する流入口32と、空気を下方から着座者に対して吹き出す複数の吹出口33が形成されている。シートクッションS1の流入口32は、シート幅方向の中央であって、後方側に形成されている。シートクッションS1の吹出口33は、流入口32よりも前方側において、左右に4つずつ形成されている。シートクッションS1の通風路31は、着座面に対して略平行に、流入口32から吹出口33まで延びている。
【0023】
そして、シートクッションS1と同様に、シートバックS2にも、通風路31、流入口32及び吹出口33が形成されている。
通風路31、流入口32、及び吹出口33の配置は、
図1に図示した配置に限定されない。送風装置40が送出する空気を着座者に対して送風することによって着座者の快適性を高めることができればよい。
【0024】
シートクッションS1のシートクッションパッド11と表皮材16の間には、着座状態を検知する着座センサ34が内蔵されている。換言すると、着座センサ34は、着座者が車両用シートSに着座したことを検知することができる。着座センサ34は、着座者が着座した際に車両用シートSに加わる荷重を検知可能なセンサであって、例えば重量センサである。
また、シートクッションS1には、車両用シートSに配設された電装部品(各種センサ、及びアクチュエータ)の制御を司る制御回路35が配設されている。着座センサ34と制御回路35は、ハーネス36によって電気的に接続されている。換言すると、着座センサ34の検出信号は、ハーネス36を介して制御回路35に出力される。
【0025】
そして、シートクッションパッド11と表皮材16の間には、圧縮空気を注入することによって膨張し、圧縮空気を排出することによって収縮する複数の流体袋50が配設されている。流体袋50は、シートクッションS1に配設された第一流体袋50a及び第二流体袋50bと、シートバックS2に配設された第三流体袋50c及び第四流体袋50dと、から主に構成されている。
流体袋50は、可動体に相当し、第一流体袋50a、第二流体袋50b、第三流体袋50cは、それぞれ第一可動体、第二可動体、及び第三可動体に相当する。
【0026】
第一流体袋50aは、シートクッションS1の前方側の位置に配設されている。第一流体袋50aは、主に着座者の大腿部を支持する。第一流体袋50aは、膨張することによって着座面から突出し、着座者の大腿部に適度な刺激を与える。
第二流体袋50bは、シートクッションS1の後方側の位置に配設されている。第二流体袋50bは、主に着座者の臀部を支持する。第二流体袋50bは、膨張することによって着座面から突出し、着座者の臀部に適度な刺激を与える。
なお、
図1に示すように、第一流体袋50aと第二流体袋50bの間に1以上の流体袋50を追加的に配設してもよいことは勿論である。
【0027】
第三流体袋50cは、シートバックS2のシート幅方向の中央部に配設されている。第三流体袋50cは、主に着座者の腰部を支持する。第三流体袋50cは、膨張することによって前方に突出し、着座者の腰部に適度な刺激を与える。
第四流体袋50dは、シートバックS2のシート幅方向の両側部に配設されている。第四流体袋50dは、主に着座者の胴体を側方から支持する。
【0028】
図1に示すように、流体袋50は、着座面から見て通風路31と重ならない位置に配設されている。これにより、流体袋50が膨張した際に、通風路31を通過する空気の流れが阻害されることを抑制することができる。また、流体袋50が膨張する際に、下方に沈下することなく上方に突出し、効果的に着座者に対して刺激を与えることが可能となる。換言すると、流体袋50を通風路31の直上位置に配設すると、流体袋50は、膨張時に着座面から突出することなく通風路31に埋没することとなり、着座者に対して適度な刺激を与えることができなかった。そこで、流体袋50を着座面から見て通風路31と重ならない位置に配設することによって、膨張時に着座面から突出するように動作し、着座者に対して適度な刺激を与えることが可能となる。
【0029】
そして流体袋50は、着座面から見て着座センサ34と重なる位置に配設されている。これにより、着座センサ34は、流体袋50の収縮時においては着座者の体圧を検知して検知信号を出力するとともに、流体袋50の膨張時においては着座者の体圧に加えて流体袋50が膨出圧を検知する。換言すると、流体袋50を、着座面から見て着座センサ34と重なる位置に配設することによって、着座者の検知漏れが発生することを抑制することが可能となる。
【0030】
また流体袋50は、着座面から見て着座センサ34及び制御回路35を電気的に接続するハーネス36と重ならない位置に配設されている。これにより、着座者が着座した際に受ける体圧荷重と流体袋50が膨張した際に発生する膨出圧によってハーネス36が損傷することを抑制することが可能となる。
【0031】
図2に示すように、シートクッションS1の下方には、送風装置40とダクト43が配設されている。
図2に矢印で示すように、送風装置40から送出された空気は、ダクト43と、シートクッションパッド11に形成された通風路31を通って、シートクッションパッド11の上面から着座者に向けて吹き出される。なお、表皮材16は、通気性を有する素材から形成されたものであってもよいし、吹出口33に対応する位置に空気を排出可能なメッシュ状の繊維部材が配設されていてもよい。
【0032】
送風装置40は、一例として、シロッコファンであり、筐体41と、羽根車42と、羽根車42を回転させるための図示しないモータを備えている。筐体41は、羽根車42やモータが収容される筐体本体41aと、筐体本体41aから後方に向けて延びる筒状の吹出部41bとを有している。そして、筐体本体41aの上面には、空気を吸い込むための吸込口40aが形成されている。送風装置40は、ブラケット47を介してシートクッションフレーム10に取り付けられている。また、送風装置40は、ダクト43などを介してシートクッションパッド11に形成された通風路31に接続されている。
【0033】
ダクト43は、管状の部材であり、前後に延びる第一管部44と、第一管部44の後端から屈曲して上方に向けて延びる第二管部45とを有している。また、第二管部45は、可撓性を有するとともに伸縮可能な蛇腹部46を有している。ダクト43は、第一管部44の前端部が送風装置40の吹出部41bに接続され、第二管部45の上端部が管状の接続部材を介してシートクッションパッド11に形成された流入口32に接続されている。
【0034】
図3は、シートクッションS1のシートクッションパッド11の分解斜視図を示している。
図3に示すように、シートクッションパッド11は、パッド本体12と、第一カバー部材13と、第二カバー部材14と、を主な構成として有している。パッド本体12、第一カバー部材13及び第二カバー部材14は、ウレタンフォームによって形成されている。シートクッションパッド11は、パッド本体12の上に第一カバー部材13及び第二カバー部材14を載置し、重ね合わせた状態で用いられる。
【0035】
パッド本体12は、中央部12aを有し、中央部12aの左右両側に側部12bが一体に形成されている。中央部12aには、第一カバー部材13及び第二カバー部材14が載置されるカバー取付部12cと、空気が流入する流入口32が形成されている。
【0036】
カバー取付部12cの左右の側面には、後述する第一カバー部材13に形成された被係合部13aと係合する第一係合部12dが形成されている。また、カバー取付部12cの前方には、後述する第二カバー部材14に形成された被係合部14aと係合する第二係合部12eが形成されている。
【0037】
第一カバー部材13及び第二カバー部材14は、パッド本体12のカバー取付部12cの上面に載置されることでパッド本体12との間に通風路31を形成する部材である。
【0038】
第一カバー部材13は、板状の部材である。第一カバー部材13には、通風孔13bが形成されている。通風孔13bは、パッド本体12の上面と第二カバー部材14の下面の間に通風路31を形成する。詳細に説明すると、パッド本体12に形成された流入口32から流入した空気は、通風孔32bを通過し、後述する第二カバー部材14に形成された吹出口33から吹き出される。
第一カバー部材13の左右の側面には、パッド本体12の第一係合部12dと係合する被係合部20aが形成されている。
【0039】
上述したように、通風路31(通風孔13b)は、着座面に対して略平行に、流入口32から吹出口33まで延びている。そして通風路31は、着座面から見て流体袋50と重ならない位置に形成されている。これにより、流体袋50が膨張した場合であっても、通風路31の閉塞を抑制することができるため、送風装置40が送出する空気を着座者に対して吹き付けることが可能となる。また、流体袋50は、通風路31の存在によって下方に降下することなく上方に向けて突出する。これにより、着座者の大腿部、又は臀部に対して適切な刺激を与えることが可能となる。
【0040】
第二カバー部材14は、板状の部材である。第二カバー部材14には、左右に4つずつ吹出口33が形成されている。吹出口33は、着座面から見て流体袋50と重ならない位置に形成されている。詳細に説明すると、
図1に示すように、吹出口33は、複数の流体袋50の間に位置するように形成されている。また吹出口33は、流体袋50よりも前方に位置するように形成されている。これにより、シートクッションパッド11の上に配設される流体袋50によって吹出口33から吹き出される空気の流れが阻害されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0041】
第二カバー部材14には、着座センサ34を取り付けるための着座センサ取付部14bが形成されている。着座センサ取付部14bは、着座面から見て流体袋50と重なる位置に形成されている。これにより、着座者が着座した際に加わる荷重を確実に着座センサ34で検知することが可能となる。
第二カバー部材14の前方には、パッド本体12の第二係合部12eと係合する被係合部14aが形成されている。
【0042】
このように構成されたシートクッションパッド11を組み立てるときには、まず、パッド本体12の上面であって、カバー取付部12cの上面に接着剤が塗布される。そして、パッド本体12の第一係合部12dと第一カバー部材13の被係合部13aを係合させながら、第一カバー部材13がカバー取付部12cに対して重ねられる。第一カバー部材13は、接着剤によってパッド本体12に対して固着される。
【0043】
続いて、第一カバー部材13の上面に接着剤が塗布される。そして、パッド本体12の第二係合部12eと第二カバー部材14の被係合部14aを係合させながら、第二カバー部材14が第一カバー部材13に対して重ねられる。第二カバー部材14は、接着剤によって第一カバー部材13及びパッド本体12に対して固着される。
【0044】
以上により、シートクッションパッド11の組み立てが完成する。そして、シートクッションパッド11の内部に空気を通過させるための通風管を内蔵させることなく、送風装置40が送出する空気を着座面に案内することが可能となる。そのため、着座者が着座した際に、通風管の存在によって違和感を覚えることなく、快適に着座することが可能となる。
【0045】
以上、シートクッションS1のシートクッションパッド11について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えばシートバックS2のパッドに本発明を適用してもよい。この場合、第一カバー部材13及び第二カバー部材14は、パッド本体12の前面に(着座者側の面)に重ねて配置される。
【0046】
<流体袋の積層構造>
次に、流体袋50の積層構造について説明する。
図4は、シートバックS2の部分断面図を示している。
図4に示すように、シートバックパッド21と表皮材22の間に位置する流体袋50は、積層されている。換言すると、流体袋50は、シートバックパッド21側に配設された大径流体袋52と、表皮材22側に配設された小径流体袋51と、を有している。
【0047】
大径流体袋52及び小径流体袋51は、流体を注入することによって膨張し、流体を排出することによって収縮する。本実施形態において、流体は圧縮空気であるが、これに限定されない。流体は、液体であってもよい。換言すると、大径流体袋52及び小径流体袋51は、圧縮空気によって膨縮する圧縮空気袋、及び液体によって膨縮する液体袋のいずれか一方であってもよいし、圧縮空気袋と液体袋の組合わせであってもよい。圧縮空気袋と、圧縮空気よりも弾性が低い液体袋を組合わせることによって、流体袋250の弾性、又は剛性を適切に調整することが可能となる。
【0048】
大径流体袋52は、小径流体袋51よりも大きな寸法形状と容量を有している。大径流体袋52がシートバックパッド21と当接する面積は、小径流体袋51が表皮材22と当接する面積よりも広い。そして、大径流体袋52は、小径流体袋51よりも、高い剛性を有している。以上により、大径流体袋52及び小径流体袋51が膨張した際に、大径流体袋52は、小径流体袋51を支持する基材として機能し、小径流体袋51がシートバックパッド21側に変位することを抑制する。したがって、小径流体袋51が前方(着座者側)に突出することで流体袋50が突出し、着座者に対して適度な刺激を与えることが可能となる。
【0049】
大径流体袋52と小径流体袋51は、互いに溶着することによって積層した状態で固着してもよい。これにより、大径流体袋52は、より強固に小径流体袋51を支持することが可能となる。なお、大径流体袋52と小径流体袋51を、接着剤を用いて接着することによって固着してもよい。
【0050】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る車両用シートS100について
図5から
図10を参照して説明する。
上述した実施形態において、通風路31が形成されており、着座者に対して空気を送出することによって着座者の快適性を高めることができる車両用シートSについて説明した。これに対して、第2実施形態に係る車両用シートS100は、流体袋150とエアバッグ装置160を内蔵している。そして、衝突予測部142a及び衝突判定部142bの判定結果に基づいて流体袋150の突出動作を制御するとともにエアバッグ装置160を作動させることによって着座者の安全性を向上することができる。
【0051】
<<制御部の機能構成>>
図5は、車両用シートS100の機能構成を示すブロック図である。車両用シートS100の制御全体を司る制御回路140は、車内ネットワークを通じて通信することで、各種センサの検出値を取得する。各種センサには、上述した着座センサ134に加えて、外界センサ137及び衝突センサ138が含まれる。
【0052】
外界センサ137は、車両の周辺情報である外界の状況を検出するセンサである。詳細には、外界センサ137は、車両の全方位の照射光に対する散乱光を測定して車両から周辺の障害物の距離を測定するライダによって構成することができる。また外界センサ137は、電磁波を照射し反射波を検出することで車両の周辺の他車両や障害物等を検出するレーダによって構成することができる。外界センサ137はさらに、車両の周辺の映像を撮像する光学式センサによって構成することができる。
衝突センサ138は、車両の衝突を検出するセンサである。詳細には、衝突センサ138は、車両の前方、後方及び側方に取り付けられた加速度センサである。
【0053】
制御回路140は、車両用シートS100に搭載されたECU(Electronic Control Unit)からなる。そして制御回路140は、後述する取得部141、判定部142、及び駆動部143として機能する。制御回路140は、制御装置に相当する。
取得部141は、上述したように各種センサの検出値を取得する。取得部141は、ADC(アナログディジタル変換器)を有し、各種センサが出力するアナログ信号をディジタル信号に変換することができる。また取得部141は、ノイズ除去フィルタを有し、ノイズ成分からなる周波数帯域の信号を除去することにより、信号電力対雑音電力比(S/N比)を向上させることができる。
【0054】
判定部142は、衝突予測部142a及び衝突判定部142bを有している。衝突予測部142aは、外界センサ137の検出値に基づいて車両の周囲の物体を検出する。そして衝突予測部142aは、検出した物体の特徴からその物体の種類(例えば、歩行者や他車両)を判別する。続いて衝突予測部142aは、検出した物体と車両との衝突確率を算出する。衝突確率の算出は、舞台の車両への接近速度を考慮して行う。衝突予測部142aは、車両と物体との衝突形態(前面衝突、後面衝突、側面衝突)を判定して、特定の衝突(例えば前面衝突)の場合の衝突確率を算出してもよい。
【0055】
衝突予測部142aは、算出された衝突確率を予め定められた所定の閾値と比較することによって衝突予測結果を駆動部143に出力する。衝突予測結果は、衝突形態を特定可能な情報を含んでいる。衝突予測結果は、衝突予測信号に相当する。
【0056】
衝突判定部142bは、車両の前方、後方及び側方に取り付けられた衝突センサ138の検出値である加速度信号を取得する。衝突判定部142bは、加速度信号を予め定められた所定の閾値と比較することによって衝突判定結果を駆動部143に出力する。衝突判定結果は、衝突形態を特定可能な情報を含んでいる。
【0057】
駆動部143は、衝突予測部142aから衝突予測結果が入力されると、圧縮空気の供給源であるアクチュエータ153及び圧縮空気の流量を調節する電磁弁154を制御する。圧縮空気の供給によって、流体袋150は膨張する。
駆動部143は、衝突判定部142bから衝突判定結果が入力されると、エアバッグ装置160を作動させる。
【0058】
ここで、乗物の衝突が予測された際の流体袋150の動作について説明する。
図6は、車両用シートS100の部分断面図である。
図6に示すように、シートクッションS101のシートクッションパッド111と表皮材116の間には、シートクッションS101の前方側の位置に第一流体袋150aが配設され、後方側の位置に第二流体袋150bが配設されている。
【0059】
駆動部143は、衝突予測部142aから前面衝突を示す衝突予測結果が入力されると、
図7に示すように、シートクッションS101に内蔵された第一流体袋150aを膨張させるとともに、第二流体袋150bを収縮させる。これにより、シートクッションS101は、前方が上方に突出し、後方よりも相対的に高くなる。そのため、前面衝突の際に着座者がシートクッションS101から浮き上がった状態で前方へ移動する現象(サブマリン現象)を抑制することが可能となる。
【0060】
なお、駆動部1053は、第一流体袋150aを膨張させるとともに第二流体袋150bを収縮させることとして説明したが、これに限定されない。すなわち、第一流体袋150aを膨張、突出させる制御と、第二流体袋150bを収縮させる制御のいずれか一方のみが行われることとしてもよい。
【0061】
駆動部143は、衝突予測部142aから後面衝突を示す衝突予測結果が入力されると、シートバックS102に内蔵された第三流体袋150cを膨張させる。このように、後面衝突の発生に先立って第三流体袋150cが膨張するため、後面衝突時の衝撃に対する安全性を高めることが可能となる。
【0062】
駆動部143は、衝突予測部142aから側面衝突を示す衝突予測結果が入力されると、シートバックS102に内蔵された第四流体袋150dを膨張させない。これにより、第四流体袋150dによる干渉を受けることなく、着座者の側方に配設されたエアバッグ装置(不図示)によって、着座者を衝撃から保護することが可能となる。
【0063】
次に、乗物の衝突が判定された際の流体袋150及びエアバッグ装置160の動作について説明する。
図6に戻って、シートクッションS101は、エアバッグ装置160を内蔵している。エアバッグ装置160は、車両が前面衝突等に。より前方から衝撃を受けた際に着座者を保護するために膨張する。エアバッグ装置160は、エアバッグ本体161と、エアバッグ本体161に収容されたインナバッグ162と、インナバッグ162に収容されて、膨張用ガスを供給するガス発生装置163を有している。エアバッグ装置160は、クッションエアバッグに相当する。
【0064】
駆動部143は、衝突判定部142bから前面衝突を示す衝突判定結果が入力されると、
図8に示すように、シートクッションS101に内蔵されたエアバッグ装置160を作動させる。
車両が前面衝突し、駆動部143がエアバッグ装置160を作動させると、ガス発生装置163が膨張用の高圧ガスを発生する。そのため、ガス発生装置163を収容するインナバッグ162が膨張する。インナバッグ162には、高圧ガスを排出可能な排出孔162aが形成されている。このため、インナバッグ162の排出孔162aから排出された高圧ガスによってエアバッグ本体161の前方部161aが膨張する。一方、エアバッグ本体161の後方部161bは、着座者の荷重によって収縮した状態が維持される。排出孔162aは、着座者の大腿部の前方から膝裏の周辺に位置している。そのため、車両の前面衝突の際に、着座者がシートクッションS101から浮き上がった状態で前方へ移動する現象(サブマリン現象)の発生を抑制することが可能となる。
【0065】
<<制御回路140の処理フロー>>
次に、制御回路140の動作について説明する。
図9は、予め記憶されたプログラムに従って制御回路140によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定の時間間隔で定期的に繰り返される。
最初に、制御回路140は、車両に設置された各種センサの出力信号を取得する(ステップS10)。
【0066】
次に制御回路140は、衝突センサ138が検出した加速度信号が、予め定められた所定の閾値TH1より大きいか否かを判定する(ステップS11)。ここでは、制御回路140は、取得した加速度信号を、前面衝突の閾値TH1と比較することして説明するが、後面衝突、及び側面衝突の場合も同様である。
【0067】
加速度信号が閾値TH1より大きくないと判定された場合(ステップS11:No)、制御回路140は、外界センサ137が検出した外界信号に基づいて、衝突確率を算出する(ステップS12)。制御回路140は、取得した外界信号に基づいて、前面衝突の衝突確率を算出する。
続いて制御回路140は、衝突確率が予め定められた所定の閾値TH2より大きいか否かを判定する(ステップS13)。制御回路140は、前面衝突の閾値TH2と比較する。
【0068】
衝突確率が閾値TH2より大きいと判定された場合(ステップS13:Yes)、制御回路140は、第一流体袋150aが膨張するように制御する(ステップS14)。このとき、第二流体袋150bが収縮するように制御してもよい。これにより、シートクッションS101は、前方が上方に突出し、後方よりも相対的に高くなる。
一方、衝突確率が閾値TH2より大きいと判定されなかった場合(ステップS13:No)、制御回路140は、第一流体袋150aが収縮するように制御して(ステップS15)、処理を終了する。
【0069】
また、加速度信号が閾値TH1より大きいと判定された場合(ステップS11:Yes)、制御回路140は、シートクッションS101に内蔵されたエアバッグ装置160を作動させて(ステップS16)、処理を終了する。
【0070】
このように、制御回路140は、実際に車両が衝突する以前に、衝突が予測されたタイミングで、第一流体袋150aを膨張させて、シートクッションS101の前方を上方に突出させるように制御する。これにより、より効果的にサブマリン現象の発生を抑制することが可能となる。
【0071】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態に係る車両用シートS200について
図10を参照して説明する。
従来から、車両用シートの意匠性を向上させる目的で、車両用シートの表皮材にキルティング加工を施すことが行われていた。
しかしながら、キルティング加工が施された車両用シートに関して、更なる改善が望まれていた。詳細には、流体を供給することで膨縮可能な流体袋を表皮材とパッドの間に配設することによって、キルティング加工によって形成された凹凸形状を際立たせ、更なる意匠性の向上が可能な車両用シートが望まれていた。
【0072】
<<車両用シートの基本構成>>
図10は、車両用シートS200の基本構成を示す斜視図である。
図10に示すように、車両用シートS200は、シートクッションS201、シートバックS202、及びヘッドレストS203を、主な構成として有している。
【0073】
シートクッションS201は、該シートクッションS201の骨格を構成するシートクッションフレーム(不図示)と、該シートクッションフレームを被覆するパッド(不図示)及び表皮材222よって主に構成されている。
シートバックS202は、該シートバックS202の骨格を構成するシートバックフレーム(不図示)と、該シートバックフレームを被覆するパッド(不図示)及び表皮材222によって主に構成されている。
【0074】
シートクッションS201及びシートバックS202の表皮材222には、キルティングパターン223が形成されている。キルティングパターン223は、凸部224及び凹部225を有している。凸部224及び凹部225は格子状に規則的に配列されている。キルティングパターン223は、積層体からなる表皮材222を縫合する工程を含む公知のキルティング加工によって形成することができる。表皮材222に対してキルティング加工を施すことによって、車両用シートS200のクッション性及び装飾性を高めることができる。
【0075】
パッドと表皮材222の間には、流体を注入することによって膨張し、流体を排出することによって収縮する複数の流体袋250が配設されている。本実施形態において、流体は圧縮空気であるが、これに限定されない。流体は、液体であってもよい。換言すると、複数の流体袋250は、圧縮空気によって膨張する圧縮空気袋、及び液体によって膨張する液体袋のいずれか一方であってもよいし、圧縮空気袋と液体袋の組合わせであってもよい。圧縮空気袋と、圧縮空気よりも弾性が低い液体袋を組合わせることによって、流体袋250の弾性、又は剛性を適切に調整することが可能となる。
【0076】
図10に示すように、流体袋250は、着座面から見てキルティングパターン223の凹部225と重ならない位置に配設されている。換言すると、流体袋250は、キルティングパターン223の凸部224と重なる位置に配設されている。これにより、流体袋250が膨張することによって表皮材222が変形し、キルティングパターン223が有する規則的な凹凸形状に歪が生じることが抑制される。そして、流体袋250が膨張した際に、キルティングパターン223が有する凹凸形状の規則性を維持しつつ、キルティングパターン223の凸部224を際立たせることができる。そのため、流体袋250が膨縮することによってキルティングパターン223が有する装飾性が低下することを抑制することが可能となる。
【0077】
上述した実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0078】
10 シートクッションフレーム
11 シートクッションパッド
12 パッド本体
12a 中央部
12b 側部
12c カバー取付部
12d 第一係合部
12e 第二係合部
13 第一カバー部材
13a 被係合部
13b 通風孔
14 第二カバー部材
14a 被係合部
14b 着座センサ取付部
16 表皮材
21 シートバックパッド
22 表皮材
31 通風路
32 流入口
33 吹出口
34 着座センサ
35 制御回路
36 ハーネス
40 送風装置
40a 吸込口
41 筐体
41a 筐体本体
41b 吹出部
42 羽根車
43 ダクト
44 第一管部
45 第二管部
46 蛇腹部
47 ブラケット
50 流体袋
50a 第一流体袋
50b 第二流体袋
50c 第三流体袋
50d 第四流体袋
51 小径流体袋
52 大径流体袋
S 車両用シート(乗物用シート)
S1 シートクッション
S2 シートバック
S3 ヘッドレスト
111 シートクッションパッド
116 表皮材
134 着座センサ
137 外界センサ
138 衝突センサ
140 制御回路(制御装置)
141 取得部
142 判定部
142a 衝突予測部
142b 衝突判定部
150 流体袋
150a 第一流体袋
150b 第二流体袋
150c 第三流体袋
150d 第四流体袋
160 エアバッグ装置
161 エアバッグ本体
161a 前方部
161b 後方部
162 インナバッグ
162a 排出孔
163 ガス発生装置
S100 車両用シート(乗物用シート)
S101 シートクッション
S102 シートバック
222 表皮材
223 キルティングパターン
224 凸部
225 凹部
250 流体袋
S200 車両用シート(乗物用シート)
S201 シートクッション
S202 シートバック
S203 ヘッドレスト
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションを備えた乗物用シートであって、
前記シートクッションは、
パッド材と、
該パッド材に接して配設され、着座面を突出させるエアセルと、
乗物が衝突した際に作動するエアバッグ装置と、を有し、
前記エアセルは、前記エアバッグ装置の前端部より後方に配置されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記シートクッションは、一以上の前記エアセルを有し、
前記エアバッグ装置は、エアバッグ本体と、該エアバッグ本体に収容されたインナバッグと、前記インナバッグに収容されて膨張用ガスを供給するガス発生装置と、を有し、
一以上の前記エアセルの少なくとも一部の前記エアセルは、前記インナバッグの後端より後方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記シートクッションは、一以上の前記エアセルを有し、
前記エアバッグ装置は、エアバッグ本体と、該エアバッグ本体に収容されたインナバッグと、前記インナバッグに収容されて膨張用ガスを供給するガス発生装置と、を有し、
一以上の前記エアセルの少なくとも一部の前記エアセルは、前記エアバッグ本体の後端より後方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
一以上の前記エアセルの少なくとも一部の前記エアセルは、膨張した前記エアバッグ本体の後端より後方に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記エアセルは、前記エアバッグ装置の膨張によって前記パッド材が最も上方に移動する最大移動位置を前後方向に避けた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートクッションを備えた乗物用シートであって、前記シートクッションは、パッド材と、該パッド材に接して配設され、着座面を突出させるエアセルと、乗物が衝突した際に作動するエアバッグ装置と、を備え、前記エアセルは、前記エアバッグ装置の前端部より後方に配置されていることにより解決される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、前記シートクッションは、一以上の前記エアセルを有し、前記エアバッグ装置は、エアバッグ本体と、該エアバッグ本体に収容されたインナバッグと、前記インナバッグに収容されて膨張用ガスを供給するガス発生装置と、を有し、一以上の前記エアセルの少なくとも一部の前記エアセルは、前記インナバッグの後端より後方に配置されていると好適である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、前記シートクッションは、一以上の前記エアセルを有し、前記エアバッグ装置は、エアバッグ本体と、該エアバッグ本体に収容されたインナバッグと、前記インナバッグに収容されて膨張用ガスを供給するガス発生装置と、を有し、一以上の前記エアセルの少なくとも一部の前記エアセルは、前記エアバッグ本体の後端より後方に配置されていると好適である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、一以上の前記エアセルの少なくとも一部の前記エアセルは、膨張した前記エアバッグ本体の後端より後方に配置されていると好適である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、前記エアセルは、前記エアバッグ装置の膨張によって前記パッド材が最も上方に移動する最大移動位置を前後方向に避けた位置に配置されていると好適である。