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特開2024-170618NK細胞の活性化及び増幅のために遺伝的に操作された細胞株、及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170618
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】NK細胞の活性化及び増幅のために遺伝的に操作された細胞株、及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20241203BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20241203BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20241203BHJP
   C12N 15/24 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N5/10
C07K14/54
C12N15/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024156954
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2022570170の分割
【原出願日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0069854
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0046106
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514326683
【氏名又は名称】サムスン ライフ パブリック ウェルフェア ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG LIFE PUBLIC WELFARE FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ドク
(72)【発明者】
【氏名】ド、ジュンサン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ティ ミン-チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジンホ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】NK細胞の活性化及び増幅のために遺伝的に操作された細胞株、及びその用途を提供する。
【解決手段】膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作された、NK細胞の培養のための培養補助細胞を提供する。一態様による、NK細胞の活性化のために遺伝的に操作された細胞によれば、試料からNK細胞の増殖及び活性化を相乗的に誘導することができ、NK細胞を増殖する方法、それによって増殖されたNK細胞、NK細胞活性度を測定する方法、またはNK細胞活性関連疾患を診断する方法に有用に使用されうるという効果がある。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作された、NK細胞の培養のための培養補助細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年6月9日に出願された大韓民国特許出願第10-2020-0069854号、及び2021年4月8日に出願された大韓民国特許出願第10-2021-0046106号を優先権として主張し、前述の明細書全体は、本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は、NK細胞の活性化及び増幅のために遺伝的に操作された細胞株、及びその用途に係り、具体的には、該細胞株を利用したNK細胞を増殖する方法、または該細胞株を利用したNK細胞の活性度を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
NK細胞(natural killer cell)とは、先天的免疫に重要な細胞毒性リンパ球の一種類である。該NK細胞は、ウイルス感染された細胞や癌細胞に反応するが、それら反応は、NK細胞のさまざまな活性受容体(activating receptor)と抑制受容体(inhibitory receptor)とが、対象細胞が有するそれぞれのリガンドと反応して出すシグナル(signal)によって左右される。一般的に、活性シグナルが抑制シグナルより強ければ、該NK細胞は、対象細胞を攻撃することができるが、抑制シグナルがさらに強ければ、攻撃することはない。従って、正常細胞は、該NK細胞の抑制受容体リガンド(MHC:major histocompatibility complex)が存在し、抑制シグナルを出すので、該NK細胞に攻撃されない。
【0004】
癌細胞のうち一部は、細胞表面に、MHCの異常が生じ、それが減少してしまう。そのような場合には、NK細胞の抑制シグナルがなく、該NK細胞が対象細胞を攻撃することになる。パーフォリン(perforin)を分泌し、感染細胞や癌細胞の細胞膜に孔を作り、そこにグランザイム(granzyme)を出し、その細胞を死滅させる細胞毒性を有する。B細胞リンパ腫患者、及び多くの癌患者の場合、NK細胞の数や、抗癌活性に欠陥が発見されており、NK細胞の機能異常は、そのような癌の発生と密接な関連を有していることが知られている。
【0005】
従って、そのようなNK細胞の抗癌力を活用した癌患者の治療法が勢いをつけてきているが、その性能の多くのNK細胞を確保するための増幅法の開発が重要である。また、該NK細胞の機能低下や、異常のある者は、癌や各種疾患と関連性が知られており、NK細胞の活性度測定法開発が求められている。
【0006】
従来に報告されたNK細胞の増殖方法は、高価の多様なサイトカインを、高濃度で利用するか、あるいは末梢血液単核球や癌細胞株を共に使用する方法である。ところで、それは、そのコストが必要となるだけではなく、増幅率もあまり高くない実情である。また、多数の研究においては、NK細胞以外にも、T細胞のような他のリンパ球の増幅が伴って示され、該NK細胞基盤の免疫細胞治療に不適であるという面を示したりする。従って、NK細胞のみを選択的に増幅するための効率的な方法の開発が主な課題の対象になっており、それに係わる研究がなされているが(韓国登録特許10-1525199)、まだ不備な実情である。
【0007】
一方、NK細胞の活性度検査法において、細胞毒性能(cytotoxicity)検査は、標的癌細胞(K562細胞株)を直接殺害する機能を調べる検査法であり、現在臨床検査室で使用されているいる。最近、複雑な細胞分離過程が必要な末梢血液単核球の代わりに、細胞分離過程が不必要な全血を使用した細胞毒性能検査が紹介されている。ただし、全血を使用する場合には、さまざまな種類のサイトカインが必要であるが、検査コストが増大する問題点が大きくなっており、克服が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一態様は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18:membrane bound interleukin-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21:membrane bound interleukin-21)を発現するように遺伝的に操作された細胞株、または培養補助細胞(feeder cell)を提供するものである。
【0009】
他の態様は、混合されたNK細胞の集団(mixed immune cells)を含む血液試料を得る段階と、前記NK細胞の集団の少なくとも一部分を、NK細胞を活性化させるために、遺伝的に操作された細胞と接触させる段階であり、前記遺伝的に操作された細胞は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作されたものである段階と、を含む、NK細胞を増殖させる方法を提供するものである。
【0010】
さらに他の態様は、混合されたNK細胞の集団を含む血液試料を得る段階と、前記混合されたNK細胞の集団の少なくとも一部分を、NK細胞を活性化させるために、遺伝的に操作された細胞と接触させてNK細胞を活性化させる段階であり、前記遺伝的に操作された細胞は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作されたものである段階と、前記活性化されたNK細胞の活性化の程度を分析する段階と、を含む、NK細胞の活性度を検査する方法を提供するものである。
【0011】
さらに他の態様は、混合されたNK細胞の集団を含む血液試料を得る段階と、前記混合されたNK細胞の集団の少なくとも一部分を、NK細胞を活性化させるために、遺伝的に操作された細胞と接触させてNK細胞を活性化させる段階であり、前記遺伝的に操作された細胞は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作されたものである段階と、前記活性化されたNK細胞の活性化の程度を分析する段階と、を含む、NK細胞関連疾患を診断する方法、または診断に係わる情報を提供する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作された細胞株を提供する。
【0013】
前記細胞株は、NK細胞のみを選択的に増幅させる培養補助細胞としても使用される。一般的に、NK細胞増殖に使用される代表的な栄養補助細胞であるK562細胞株は、NK細胞の増殖のために使用されるだけであるので、該K562細胞株自体が増殖することがあってはならない。従って、NK細胞と培養する前、前記K562細胞株に強力な放射線(例えば、50~100Gy)の照射を介する前処理を行い、前記K562細胞株自体は全く増殖せず、該NK細胞の増殖のみの一助となるようにする。一方、該NK細胞の効率的な増殖のためには、IL-2、IL-15のようなほとんどのサイトカインが、NK細胞に持続的に露出されなければならない。従って、癌細胞株基盤栄養補助細胞に、IL-2及び/またはIL-15のようなサイトカインを発現するように遺伝的に操作する場合、放射線の照射などによって前処理した癌細胞株自体が、培養過程において、長期間生存することができないが、NK細胞の選択的増殖効率が下がるという問題点がある。一実施例においては、K562の存在下において、NK細胞を、IL-18またはIL-21に短期間露出させた場合、21日目までは、細胞増幅効果が示されなかったが、IL-18及びIL-21で同時に露出させた場合、28日以後、細胞増幅効果が示されることを確認した。従って、IL-18及びIL-21の場合、培養開始日に、ただ1回の露出、及び短期間露出にもかかわらず、NK細胞の増殖に効果があるということが分かる。すなわち、一態様による、mbIL-18及びmbIL-21を発現するように遺伝的に操作された培養補助細胞株は、IL-18及びIL-21の短期間発現にもかかわらず、NK細胞増殖効率が低下しないが、NK細胞のみを選択的に増幅させることができる。
【0014】
本明細書で使用される用語「培養補助細胞(feeder cells)(支持細胞とも言う)」とは、放射線の照射により、分裂増殖する能力はないが、代謝活性があるために、さまざまな代謝物質を生産し、目的NK細胞の増殖の一助となる細胞を意味しうる。本明細書において使用されうる培養補助細胞としては、遺伝子が導入された動物細胞株であり、ヒト慢性骨髄白血病細胞株(例えば、K562細胞)、RPMI 8866、EBV_LCL、721.221、HFWT、NK-92などでもある。
【0015】
本明細書において、用語「遺伝的操作(genetic engineering)」または「遺伝的に操作された(genetically engineered)」とは、細胞につき、1以上の遺伝的変形(genetic modification)を導入する行為、またはそれによって作られた細胞を意味する。
【0016】
詳細には、前記遺伝的に操作された細胞は、前述の遺伝子をコーディングする外因性遺伝子(exogenousgene)を含むものでもありえる。用語「外因性」とは、言及された分子(referenced molecule)、または言及された活性(referenced activity)が、宿主細胞に導入されたことを意味する。分子は、例えば、宿主染色体内への挿入によるようなコーディング核酸(encoding nucleic acid)の宿主遺伝物質内への導入、またはプラスミドのような非染色体遺伝物質としても導入されえる。該コーディング核酸の発現と係わり、前記用語「外因性」とは、前記コーディング核酸が個体内への発現可能な形態で導入されたことを示す。生合成活性と係わり、前記用語「外因性」とは、宿主母細胞に導入された活性を示す。その起源(source)は、例えば、宿主母細胞に導入された後、言及された活性を発現する同質性(homologous)または異質性(heterologous)のコーディング核酸でもありえる。その故、用語「内因性(endogenous)」とは、前記宿主細胞に存在する言及された分子または活性を示す。類似して、コーディング核酸の発現と係わり、前記用語「内因性」とは、個体内に含まれたコーディング核酸の発現を示す。用語「異質性」とは、言及された種以外の他の起源からの分子または活性を示し、用語「同質性」とは、宿主母細胞からの分子または活性を示す。従って、コーディング核酸の外因性発現は、異質性または同質性のコーディング核酸のうちいずれか、一つまたは両方をも利用することができる。
【0017】
従って、前記細胞は、mbIL-18及びmbIL-21を暗号化する核酸を含むものでもありえる。さらに詳細には、前記細胞は、mbIL-18及びmbIL-21を暗号化する核酸を含むベクターで形質転換されたものでもありえる。
【0018】
本明細書で使用される用語「ベクター」とは、適切な宿主細胞において、目的タンパク質を発現することができるベクターであり、遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された調節要素を含む遺伝子作製物を称する。一実施例によるベクターは、プローモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及び/またはエンハンサーのような発現調節要素を含むものでもあり、該ベクターのプローモーターは、構成的または誘導的でもありえる。また、前記ベクターは、宿主細胞内において、安定して前記融合タンパク質を発現させることができる発現用ベクターでもある。前記発現用ベクターは、当業界において、植物、動物または微生物において、外来のタンパク質を発現するのに使用される一般のものを使用することができる。前記組み換えベクターは、当業界に公知された多様な方法を介しても構築される。例えば、前記ベクターは、ベクターを含む宿主細胞を選択するための選択性マーカーを含み、複製可能なベクターである場合、複製起源を含むものでもありえる。また、該ベクターは自家複製するか、宿あるいは主DNAに導入され、前記ベクターは、プラスミド、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスシンプレックスウイルス及びワシニアウイルスからなる群のうちからも選択される。
【0019】
また、前記ベクターにおいて、前述の融合タンパク質を暗号化するポリヌクレオチド配列は、プローモーターに作動可能に連結されていてもよい。本明細書において使用された用語「作動可能に連結された」とは、核酸発現調節配列(例:プローモーター、シグナル配列、または転写調節因子結合位置のアレイ)と異なる核酸配列間の機能的な結合を意味し、それにより、前記調節配列は、前述の他の核酸配列の転写及び/または翻訳を調節することになる。
【0020】
本明細書において「膜結合性インターロイキン」(membrane bound interleukin)とは、細胞膜に結合されたインターロイキンを意味するものであり、細胞外にインターロイキンが分泌するものとは区分される意味でもありえる。mbIL-18は、配列番号1の核酸配列またはそのアミノ酸配列と、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約92%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上または約99%以上の配列相同性を有するものでもありえる。mbIL-21は、配列番号2の核酸配列またはそのアミノ酸配列と、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約92%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上または約99%以上の配列相同性を有するものでもありえる。
【0021】
他の態様は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作された細胞を含むNK細胞培養用組成物を提供する。
【0022】
前記遺伝的に操作された細胞の具体的な内容は、前述の通りである。
【0023】
一実施形態によるmbIL-18及びmbIL-21を発現するように遺伝的に操作された細胞を含むNK細胞培養用組成物は、NK細胞(例えば、自然殺害細胞)の増幅及び/または活性化を誘導することができ、NK細胞の培養、分離または増殖などに有用に使用されうる。
【0024】
さらに他の態様は、混合されたNK細胞の集団を含む血液試料を得る段階と、前記混合されたNK細胞の集団の少なくとも一部分を、NK細胞を活性化させるために、遺伝的に操作された細胞と接触させる段階であり、前記遺伝的に操作された細胞は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作されたものである段階と、を含む、NK細胞を増殖させる方法を提供する。
【0025】
一実施形態において、前記接触させる段階は、前記遺伝的に操作された細胞と混合されたNK細胞の集団とを共培養し、前記NK細胞のサブ集団(subpopulation)を刺激、活性化または増幅(expanding)させる段階を含むものでもありえる。
【0026】
本明細書において用語「NK細胞の刺激」とは、試験管内または生体内において、自然殺害細胞の活性、例えば、細胞毒性活性を増大させるか、あるいは活性化された自然殺害細胞が生成、増加、増幅または増殖されることを意味しうる。
【0027】
一実施形態において、前記NK細胞の非制限的例には、大食細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、肥満細胞、単核球、樹枝状細胞、好酸球、自然殺害細胞、好塩基球、好中球が含まれる。従って、特定実施形態において、前記NK細胞は、大食細胞、Bリンパ球、Tリンパ球(CD8+CTL)、肥満細胞、単核球、樹枝状細胞、好酸球、自然殺害細胞、好塩基球または好中球からなる群のうちから選択されたいずれか一つでもある。特定実施形態において、NK細胞は、自然殺害細胞またはTリンパ球でもある。前記混合されたNK細胞は、大食細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、肥満細胞、単核球、樹枝状細胞、好酸球、自然殺害細胞、好塩基球及び好中球からなる群のうちから選択された1以上を含むものでもありえる。
【0028】
本明細書において、用語「自然殺害細胞」または「NK細胞」とは、先天性免疫系の主要成分を構成する細胞毒性リンパ球であり、大型顆粒リンパ球(LGL:large granular lymphocyte)と定義され、リンパ系前駆細胞(CLP:common lymphoid progenitor)生成のBリンパ球及びTリンパ球から分化された第3の細胞を構成する。前述の「自然殺害細胞」または「NK細胞」とは、任意の組織供給源(source)に由来するさらなる変形がない自然殺害細胞を含み、成熟した自然殺害細胞だけではなく、自然殺害前駆細胞を含むものでもありえる。前記自然殺害細胞は、インターフェロンまたは大食細胞由来サイトカインに対する反応によって活性化され、該自然殺害細胞は、「活性化受容体」及び「抑制性受容体」とも標識される、細胞の細胞毒性活性を制御する2種類の表面受容体を含む。該自然殺害細胞は、任意の供給源、例えば、胎盤組織、胎盤灌流液、臍帯血、胎盤血、末梢血、脾臓、肝臓などからの造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆体からも生成される。
【0029】
一実施形態において、前記自然殺害細胞は、活性化された自然殺害細胞でもある。前記活性化された自然殺害細胞は、母細胞、例えば、造血細胞または自然殺害前駆細胞に比べ、細胞毒性、または自然殺害細胞の本然の免疫調節能が活性化された細胞を意味しうる。
【0030】
一実施形態において、活性化された自然殺害細胞、または活性化された自然殺害細胞が豊かな(enriched)集団は、1種以上の機能的に関連するマーカー、例えば、CD16、CD57、CD69、CD94、CD161、CD158a、CD158b、NKp30、NKp44、NKp46、DNAM-1、2B4、NKp46、CD94、KIR(例えば、KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR3DL1)、及び活性化受容体のNKG2ファミリー(例えば、NKG2A、NKG2C、NKG2D)を検出することによっても評価されえる。
【0031】
一実施形態において、前記共培養は、サイトカインの存在下において行われえる。
【0032】
本明細書において使用される用語「サイトカイン」とは、細胞信号伝逹の役割を行うタンパク質(5~20kDa)を意味しうる。該サイトカインは、細胞によって放出され、該サイトカインを放出する細胞、及び/または他の細胞の挙動に影響を与える。該サイトカインの非制限的例には、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォカイン、腫瘍懐死因子、モノカイン及びコロニー刺激因子が含まれる。該サイトカインは、免疫細胞、例えば、大食細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、肥満細胞及び単核球、内皮細胞、線維母細胞及び間質細胞を始めとする(しかしながら、それらに制限されるものではない)広範囲な細胞によっても生成される。該サイトカインは、1以上の類型の細胞によっても生成されえる。該サイトカインは、受容体を介して作用し、免疫系において、特に重要であり、体液性免疫反応と細胞系免疫反応との均衡を調節し、細胞集団の成熟、成長及び反応性(responsiveness)を調節する。本明細書のサイトカインは、自然発生サイトカインでもあるか、あるいは自然発生サイトカインの突然変異バージョンでもある。本出願で使用される「自然発生」とは、また野生型とも称され、対立遺伝子変種を含む。該自然発生サイトカインの突然変異されたバージョン、または「突然変異」とは、該サイトカインの機能、活性及び/または特異性を変化させるために、自然発生配列についてなされた特定突然変異を称する。一実施形態において、該突然変異は、サイトカインの機能、活性及び/または特異性を向上させることができる。他の実施形態において、該突然変異は、サイトカインの機能、活性及び/または特異性を低減させうる。該突然変異は、サイトカインの1以上のアミノ酸残基の欠失または付加を含むものでもありえる。
【0033】
前記サイトカインは、BMP(Bone Morphogenetic Protein)ファミリー、CCL(chemokine ligands)ファミリー、CMTM(CKLF-like MARVEL transmembrane domain containing member)ファミリー、CXCL(C-X-C motif ligand)ファミリー、GDF(Growth/Differentiation Factor)ファミリー、成長ホルモン、IFN(interferon)ファミリー、IL(interleukin)ファミリー、TNF(Tumor Necrosis Factors)ファミリー、GPI(glycophosphatidylinositol)、SLUPR-1(secreted Ly-6/uPAR-related protein1)、SLUPR-2(secreted Ly-6/uPAR-related protein 2)、及びそれらの組み合わせによって構成された群れから選択されるいずれか一つでもありえる。
【0034】
一実施形態において、前記サイトカインは、インターロイキン、またはその突然変異である。多数のインターロイキンは、補助CD4Tリンパ球だけではなく、単核球、大食細胞及び内皮細胞によって合成される。該インターロイキンは、Tリンパ球及びBリンパ球、並びに造血細胞の発達及び分化を促進させることができる。該インターロイキンの非制限的例には、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8(CXCL8)、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL18、IL19、IL20、IL21、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28、IL29、IL30、IL31、IL32、IL33、IL35またはIL36が含まれる。それにより、特定実施形態において、前記サイトカインは、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8(CXCL8)、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL18、IL19、IL20、IL21、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28、IL29、IL30、IL31、IL32、IL33、IL35またはIL36の野生型及び突然変異形態を始めとする(しかしながら、それらに制限されるのではない)インターロイキン、またはその突然変異である。
【0035】
他の実施形態において、前記共培養に添加されるサイトカインは、IL-18及びIL-21でもある。さらに詳細には、前記共培養は、IL-2及びIL-15の存在下で培養しながら、IL-18及びIL-21を培養培地に添加することを含むものでもありえる。前記IL-21は、1ないし20ng/ml、1ないし15ng/ml、1ないし10ng/ml、または2ないし8ng/mlの濃度でもっても使用される。前記IL-18は、10ないし200ng/ml、10ないし180ng/ml、20ないし160ng/ml、20ないし120ng/ml、20ないし40ng/ml、20ないし80ng/ml、40ないし160ng/ml、40ないし120ng/ml、40ないし80ng/ml、80ないし160ng/ml、または80ないし120ng/mlの濃度でもっても使用される。一実施形態において、共培養時、前記IL-18及び前記IL-21に細胞を露出させることにより、NK細胞の増殖をさらに相乗的に増大させることができる。
【0036】
一実施形態において、前記共培養は、2日間ないし30日間行われるものでもありえる。
【0037】
一実施形態において、前記遺伝的に操作された細胞は、50Gyないし300Gyの放射線処理されたものでもありえる。
【0038】
一実施形態において、前記試料は、個体、例えば、ヒトを含む哺乳類などに由来する生物学的試料でもある。また、前記生物学的試料は、個体から分離されたものでもあり、血液、全血、血清、血漿、リンパ、尿、糞便、組織、細胞、器官、骨髄、唾液、喀痰、脳脊髄液、またはそれらの組み合わせでもある。また、前記生物学的試料は、PBMC、精製されたNK細胞、または一次性休止期細胞(primary resting cell)(すなわち、血液から分離されたばかりのもの)を含むものでもありえる。
【0039】
さらに他の態様は、混合されたNK細胞の集団を含む血液試料を得る段階と、前記混合されたNK細胞の集団の少なくとも一部分を、NK細胞を活性化させるために、遺伝的に操作された細胞と接触させてNK細胞を活性化させる段階であり、前記遺伝的に操作された細胞は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作されたものである段階と、前記活性化されたNK細胞の活性化の程度を分析する段階と、を含む、NK細胞の活性度を検査する方法を提供する。
【0040】
さらに他の態様は、混合されたNK細胞の集団を含む血液試料を得る段階と、前記混合されたNK細胞の集団の少なくとも一部分を、NK細胞を活性化させるために、遺伝的に操作された細胞と接触させてNK細胞を活性化させる段階であり、前記遺伝的に操作された細胞は、膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現するように遺伝的に操作されたものである段階と、前記活性化されたNK細胞の活性化の程度を分析する段階と、を含む、NK細胞関連疾患を診断する方法、または該診断に係わる情報を提供する方法を提供する。
【0041】
本発明のNK細胞の活性度を検査する方法において、正常NK細胞対比で、前記NK細胞の活性化を比較する段階は、具体的には、正常なNK細胞を対照群とし、実験群と同等な条件でもって、前述の遺伝的に操作された細胞で刺激したとき、正常なNK細胞で示される活性化現象が、実験群において、顕著に高いか、示されないか、あるいはその程度が顕著に低い場合、異常であると判断することを含む。前記段階により、異常なNK細胞と係わる疾患の病理学的兆候、ウイルス感染、癌細胞の存在、及び特定癌を判断し、前記疾病に対して予後を予測することができる。前記「正常NK細胞」とは、疾病を有していない個体が有する化、あるいはそのような個体に由来するNK細胞を言い、前記疾病を有さない個体は、少なくともNK細胞活性に影響を及ぼすと知られている身体的、遺伝的または外来的な条件を有さない。
【0042】
一実施形態において、前記方法は、前記試料内において、必要とするNK細胞を分離する段階をさらに含むものでもありえる。必要により、他の血球またはリンパ球と共に存在する間、刺激後、前記段階がなされ、リンパ球として、NK細胞のみを含む試料にするために、前記段階がなされた後、前記刺激する段階がなされもする。分離されたNK細胞の精製度、及びその試料の構成は、実験に必要なほどに多様でもある。該NK細胞は、必要により、試料で精製されたそのままを使用することができ、実験に適する条件または細胞量を確保するために、増殖させた後、使用することができる。
【0043】
しかしながら、特定因子の組み合わせの場合、NK細胞に特異的であるので、本発明の方法において、前記NK細胞に特異的な因子の組み合わせを利用する場合、前記NK細胞を分離する段階は、必ず必須なものではない。
【0044】
一実施形態において、前記活性化の程度を測定する段階は、脱顆粒化(degranulation)活性、細胞毒性(cytotoxicity)活性及びNK細胞刺激によって分泌されたサイトカインの測定のうちから選択された1以上を含むものでもありえる。
【0045】
前記脱顆粒化活性は、例えば、パーフォリン分泌またはグランザイム分泌により、標的細胞の溶解を誘導することを意味しうるし、それを、FACSを利用して分析することができる。具体的には、全血試料から分離されたPBMC、あるいは純粋分離されたNK細胞を刺激した後、脱顆粒化と比例するCD107a発現を、フルオロクロム接合された抗体を利用して測定する方法を利用することができる。
【0046】
前記細胞毒性活性は、例えば、ユロピウム(europium)蛍光染料で標識されたNK細胞を活性化させることができる標的細胞を含む培養物と培養した後、標的細胞溶解を介して排出された蛍光染料の量を、マイクロプレートリーダ(microplate reader)を利用して測定することができる。
【0047】
一実施形態において、前記サイトカインは、IFN-γ、TNF-α、TNF-β、MIP-1α、MIP-1βPANTES、IL-8及びIL-10のうちから選択されるものでもありえる。前述のようなNK細胞の免疫活性因子発現分析は、FACS、細胞内シトキン染色またはELISAなどを利用してもなされる。具体的には、フルオロクロム接合された特定抗体を利用し、NK細胞表面を染色した後、細胞を透過性化(permeabilization)させ、フルオロクロム接合された他の特定免疫活性因子(例えば、IFN-γ抗体)で前記サイトカインなどを染色し、NK細胞内の免疫活性因子の発現を測定する方法を利用することができる。
【0048】
一実施形態において、前記NK細胞の活性と係わる疾患は、異常なNK細胞の活性度を示すものであり、例えば、過敏性免疫疾患、自家免疫疾患、免疫拒否反応、免疫欠乏疾患、組織球症、癌、2型糖尿病、寄生虫感染疾患及びウイルス疾患でもある。前記過敏性免疫疾患は、喘息及び蓄膿症のうちから選択された1以上の者であるか、あるいは前記自家免疫疾患は、ループス、多発性硬化症(multiple sclerosis)、1型糖尿病及びリュウマチ関節炎のうちから選択された1以上のものであるか、あるいは前記組織球症は、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、XLP1及びXLP2のうちから選択されたいずれか1以上のものでもありえる。該血球貪食性リンパ組織球症(HLH)は、第2群ランゲルハンス細胞組織球症、赤血球貪食性リンパ組織球増殖症(家族性、散発性)、感染関連性血球貪食症侯群、ウイルス関連性血球貪食症侯群、巨大なリンパ節腫脹を伴う組織球症、または網状組織球症の意味を含むものでもありえる。前記「癌」とは、腫瘍、血液癌または固形癌を含む意味であり、個体のNK細胞のシナジー活性を損傷させるか、あるいは特定条件において、標的細胞として、NK細胞のシナジー活性を起こさないものを含む。一実施形態において、前記癌は、肺癌、肝臓癌、食道癌、胃癌、大腸癌、小腸癌、膵臓癌、黒色腫、乳癌、口腔癌、脳腫瘍、甲状腺癌、副甲状線癌、腎臓癌、子宮頸部癌、肉腫、前立腺癌、尿道癌、膀胱癌、睾丸癌、血液癌、リンパ腫、皮膚癌、乾癬及び線維腺腫からなる群のうちから選択されたものでもありえる。一実施形態において、前記癌は、膵臓癌またはB細胞リンパ腫(B cell lymphoma)でもある。一実施形態において、前記ウイルス疾患は、B型肝炎でもある。一実施形態において、前記免疫欠乏疾患は、ディジョージ症候群(DiGeorge syndrome)またはチェディアック・東症候群(Chediak-Higashi syndrome)でもある。
【0049】
前記NK細胞活性関連疾患に係わる情報は、正常NK細胞対比で、実験群NK細胞の活性化が検出されていない場合、異常なNK細胞と判断することができ、あるいは特定受容体に対して活性を喪失したNK細胞が標的細胞に対し、異常に活性を起こしたり、活性を起こさなかったりする場合、前記標的細胞が特定の疾病と関連があると判断することができる。
【0050】
さらに他の態様は、前記NK細胞の増殖方法によって製造されたNK細胞を提供する。
【0051】
さらに他の態様は、前記免疫細胞またはその細胞集団を有効成分として含む細胞治療剤を提供する。
【0052】
さらに他の態様は、前記免疫細胞またはその細胞集団を有効成分として、癌または感染性疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0053】
さらに他の態様は、前記免疫細胞またはその細胞集団を医薬の製造に使用するための用途を提供する。
【0054】
さらに他の態様は、前記免疫細胞またはその細胞集団を、個体に投与する段階を含む疾患治療方法を提供する。
【0055】
本明細書において用語「疾患」とは、1つの病理的状態、特に、癌、感染性疾患、炎症性疾患、代謝性疾患、自家免疫性障害、退行性疾患、細胞死滅関連疾患、及び移植片拒否を意味しうる。
【0056】
本明細書において用語「治療」とは、疾患、障害または病態、またはその1以上の症状の軽減、進行抑制または予防を称するか、あるいはそれを含み、「有効成分」または「薬剤学的有効量」とは、疾患、障害または病態、またはその1以上の症状の軽減、進行抑制または予防に十分な、本願で提供される発明を実施する過程において利用される組成物の任意の量を意味しうる。
【0057】
本明細書において、用語「投与する」、「導入する」及び「移植する」とは、相互交換的に使用され、一実施形態による組成物の所望する部位への少なくとも部分的局所化をもたらす方法または経路による個体内への、一実施形態による組成物の配置を意味しうる。一実施形態による組成物の細胞または細胞成分の少なくとも一部を、生存する個体内において所望する位置に伝達する任意の適切な経路によっても投与される。個体投与後、細胞の生存期間は、短ければ、数時間、例えば、24時間ないし数日、あるいは長ければ、数年でもある。
【0058】
本明細書において、用語「分離された細胞」、例えば、「分離された免疫細胞」とは、細胞が起源となる組織、例えば、造血細胞から実質的に分離された細胞を意味する。
【0059】
一実施形態による、薬学的組成物の投与方法は、特別に制限されるのではないが、目的とする方法により、静脈内、皮下、腹腔内、吸入または局所適用のように、非経口投与するか、あるいは経口投与することができる。投与量は、患者の体重・年齢・、性別・健康状態・食餌、投与時間、投与方法、排泄率、及び疾患の重症度などにより、その範囲が多様である。一日投与量は、治療を必要とする個体に投与されることによって軽減された疾病状態に対する治療に十分な、一態様による治療用物質の量を意味する。治療用物質の効果的な量は、特定化合物、疾病状態及びその深刻度、治療を必要とする個体によって異なり、それは、当業者により、一般的に決定されうる。非制限的な例として、一態様による組成物の人体に対する投与量は、患者の年齢・体重・性別・健康状態、投与形態、及び疾患程度によっても異なる。体重が70kgである成人患者を基準にするとき、例えば、約1,000~10,000細胞/回、1,000~100,000細胞/回、1,000~1,000,000細胞/回、1,000~10,000,000、1,000~100,000,000細胞/回、1,000~1,000,000,000細胞/回、1,000~10,000,000,000細胞/回であり、一定時間間隔で、1日1回、あるいは1日数回に分割投与することもでき、一定時間間隔で何回か投与することができる。
【0060】
「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、さらに具体的には、ヒト、または非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、犬、猫、馬及び牛のような哺乳類を意味する。
【0061】
一実施形態による薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体及び/または添加物を含むものでもありえる。例えば、滅菌水、生理食塩水、慣用の緩衝剤(リン酸、クエン酸、それ以外の有機酸など)、安定剤、塩、酸化防止剤(アスコルビン酸など)、界面活性剤、懸濁液剤、等張化剤または保存剤などを含むものでもありえる。局所投与のために、生体高分子(biopolymer)のような有機物、ヒドロキシアパタイトのような無機物、具体的には、コラーゲンマトリックス、ポリ乳酸の重合体または共重合体、ポリエチレングリコールの重合体または共重合体、及びその化学的誘導体などと組み合わされるものを含むものでもありえる。一実施形態による薬学的組成物が、注射に適切な剤形に調剤される場合には、免疫細胞、またはその活性を増大させる物質は、薬学的に許容可能な担体内に溶解されているか、あるいは溶解されている溶液状態に凍結されたものでもありえる。
【0062】
一実施形態による薬学的組成物は、その投与方法や剤形により、必要な場合、懸濁液剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、保存剤、吸着防止剤、界面活性化剤、希釈剤、賦形剤、pH調整剤、無痛化剤、緩衝剤、還元剤、酸化防止剤などを適切に含むものでもありえる。前述のところに例示されたものを含め、本発明に適する、薬学的に許容される担体及び製剤は、文献[Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th ed., 1995]に詳細に記載されている。一実施形態による薬学的組成物は、当該発明が属する技術分野において当業者であるならば、容易に実施することができる方法により、薬学的に許容される担体及び/または賦形制を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、あるいは多容量容器内に内入されても製造される。そのとき、該剤形は、油性媒質中または水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であるか、あるいは粉末、顆粒、錠剤またはカプセル型でもありえる。
【発明の効果】
【0063】
一態様による、遺伝的に操作された細胞によれば、遺伝的に操作されていない細胞に比べ、NK細胞の増殖及び活性に、少なくとも2倍ないし数倍ほど増大させることができるが、NK細胞を増殖させ、細胞治療剤としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1A】一態様による培養補助細胞を製造するために、mbIL-18及びmbIL-21を生産するレンチウイルスの遺伝子を示した模式図である。
図1B】一態様による培養補助細胞において、mbIL-18及びmbIL-21の発現特性を確認したグラフである。
図2A】一態様による培養補助細胞、及びNK細胞を、完全RPMI 1640培地で培養したとき、NK細胞の増幅倍数(左)及び純度(右)を示したグラフである。
図2B】一態様による培養補助細胞、及びNK細胞をDS培地で培養したとき、NK細胞の増幅倍数(左)及び純度(右)を示したグラフである。
図2C】一態様による培養補助細胞、及びNK細胞を、完全RPMI 1640培地及びDS培地で培養したとき、NK細胞の増幅倍数(左)及び純度(右)を比較したグラフである。
図3A】RPMI 1640培地及びDS培地において、一態様による培養補助細胞(青色)、及びK562培養補助細胞(赤色)を利用してNK細胞を増幅させた後、前記増幅されたNK細胞で発現するマーカーを比較したグラフである。
図3B】RPMI 1640培地及びDS培地において、一態様による培養補助細胞(青色)、及びK562培養補助細胞(赤色)を利用してNK細胞を増幅させた後、前記増幅されたNK細胞で発現するマーカーを比較したグラフである。
図4A】一態様による培養補助細胞を利用して増幅された健常人供与者(HD)からのNK細胞の細胞毒性を確認したグラフである。
図4B】一態様による培養補助細胞を利用して増幅された健常人供与者(HD)からのNK細胞のADCC細胞毒性を確認したグラフである。
図5A】一態様による培養補助細胞によって刺激されたNK細胞のCD107a発現を測定したグラフである。
図5B】一態様による培養補助細胞によって刺激されたNK細胞のCD107a発現を測定したグラフである。
図5C】一態様による培養補助細胞によって刺激されたNK細胞の標的細胞溶解率を測定したグラフである。
図5D】一態様による培養補助細胞によって刺激されたNK細胞の標的細胞溶解率を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明の理解の一助とするために、望ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をさらに容易に理解するために提供されるのみ、下記実施例により、本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例0066】
実施例1.遺伝的に操作された培養補助細胞の製造
膜結合性インターロイキン-18(mbIL-18)及び膜結合性インターロイキン-21(mbIL-21)を発現する培養補助細胞を製造した。
【0067】
具体的には、ヒト由来mbIL18遺伝子(配列番号1)及びmbIL21遺伝子(配列番号2)を、レンチウイルスベクターであるpCDH-CMV-RFPにクローニングし、組み換えレンチウイルス生産用ベクターを作製した(図1A)。その後、ウイルス生産のために、前記作製された組み換え遺伝子(pCDH-CMV-RFP-mbIL-1821)を、293FT細胞に、パッケージングベクターと共に、lipofectamin3000(Invitrogen)を利用して形質注入させた。一定時間の後、新たな培地に交換し、48時間細胞を培養した後、ウイルスが含有された培地を回収した。回収された培地は、500×gで10分間遠心分離し、0.45μmフィルタを利用し、ウイルスが含有された純粋な培地だけを分離し、mbIL18-mbIL21発現レンチウイルスを生産した。その後、K562細胞を含む培地9mlに、mbIL18-mbIL21発現レンチウイルス1mlを溶かし、ポリブレン(8μg/ml)と共に添加し、48時間細胞培養を進めた。次に、感染された細胞だけ選別するために、超高速流細胞自動分離器を利用し、赤色蛍光を発現する細胞だけ選別し、mbIL18-mbIL21の発現いかんを、流細胞分析器(FACS)を介して分析し、mbIL18-mbIL21が発現されたK562細胞株(以下、「K562-mbIL18-mbIL21」)を生産した。
【0068】
[実験例]
実験例1.遺伝的に操作された培養補助細胞の細胞特性
一態様による、遺伝的に操作された培養補助細胞のmbIL-18発現特性及びmbIL-21発現特性を認めるために、mRNA及び表面タンパク質の発現レベルを確認した。
【0069】
具体的には、前記実施例1で製造したK562-mbIL18-mbIL21細胞株及びK562培養補助細胞株の総RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen、フェンロー(Venlo)、オランダ)を使用して分離し、IMPLEN Nanophotometer P330(IMPLEN、ミュンヘン、ドイツ)を使用して定量化した。その後、分離されたRNAを、QuantiTect Reverse Transcription Kit(Qiagen)を使用し、cDNAに転換させた後、QuantiTect SYBR Green PCR Kit(Qiagen)及びRotor-GeneQ(Qiagen)を使用し、標準20μl反応体積でPCRを遂行した。そのとき、プライマーは、下記表1を使用し、全ての実験を3回反復実施した。
【0070】
【表1】
【0071】
図1Bは、一態様による培養補助細胞において、mbIL-18及びmbIL-21の発現特性を確認したグラフである。
【0072】
その結果、図1Bに示されているように、実施例1の培養補助細胞においては、mbIL-18mRNA及びmbIL-21mRNAが検出されたが、K562培養補助細胞においては、mbIL-18mRNA及びmbIL-21mRNAが検出されなかった。すなわち、一実施形態により、遺伝的に操作された培養補助細胞は、mbIL-18及びmbIL-21の発現特性を有するということが分かる。
【0073】
実験例2.K562-mbIL18-mbIL21細胞によるNK細胞の活性化及び増幅
一態様による、遺伝的に操作された培養補助細胞の培地によるNK細胞活性化及び増幅を確認した。
【0074】
2-1.完全RPMI 1640培地
具体的には、前記実施例1で製造されたK562-mbIL18-mbIL21細胞株を、5% CO2が供給された培養器において、37℃の25mlの完全RPMI 1640培地が入っているT-75フラスコで培養させた。その後、400×g条件下において、3分間遠心分離を進め、5mlの完全RPMI 1640培地において、細胞ペレットを再浮遊させ、培養補助細胞を収穫した。その後、前記培養補助細胞の過度な成長を防止するために、前記培養補助細胞に、Gammacell 3000 Elan放射器を利用し、100Gyでガンマ線を照射し、その後の実験に使用した。
【0075】
末梢血液単核球(PBMCs)分離のために、健常人供与者の全血:PBSを、1:2比率(10ml全血:20ml PBS)に希釈し、15ml Lymphoprep上でオーバレイした。次に、常温において、25分間1,200×g条件において、ブレーキなしに遠心分離を進め(加速1、減速0)、バフィーコート層(buffy coat layer)から細胞を収穫し、7分間400×gでPBSで3回洗浄した。前記分離された末梢血液単核球3×10個、及び100Gy照射のK562-mbIL18-mbIL21 0.5×10個を、1ml NK細胞培地が含まれた24ウェルプレート上に接種した後、20U/mlIL-2が含有された1mlNK細胞培地を追加し、総培地体積は、2ml/ウェル、IL-2の最終濃度は、10U/mlにした後、ソフトにピペッティングして混合させた後、37℃の5% CO培養器で培養した。培養7日目、培地に100U/mlのIL-2、及び5ng/mlのIL-15を培地に添加したし、新たな培地に、2,3日ごとに交換させながら、14日間培養した。対照群としては、K562細胞を使用した。
【0076】
NK細胞の増幅は、FITC(fluorescein isothiocyanate)接合マウス抗ヒトCD3モノクローナル抗体及びPE-Cy5-接合マウス抗ヒトCD56モノクローナル抗体を使用して確認し、K562細胞とIL-2/IL-15とで処理したときのNK細胞の純度を基線にし、それぞれの増幅倍数を確認した。
【0077】
図2Aは、一態様による培養補助細胞、及びNK細胞を、完全RPMI 1640培地で培養したとき、NK細胞の増幅倍数(左)及び純度(右)を示したグラフである。
【0078】
その結果、図2Aに示されているように、K562培養補助細胞の場合、NK細胞が、培養後35日目まで増加したが、その後、それ以上の増幅が起こらないことを認めることができた。なお、実施例1の培養補助細胞の場合、NK細胞の増幅倍数が、42日目まで増大する様相を示すということを認めることができた。また、K562培養補助細胞を利用して培養したNK細胞と比較し、実施例1の培養補助細胞を利用して培養したNK細胞の純度が、有意的に高いことを認めることができた。すなわち、一態様による培養補助細胞は、NK細胞の活性を顕著に増大させるだけでなく、NK細胞の長期培養が可能であるので、NK細胞を大量増殖し、細胞治療剤として使用することができる。
【0079】
2-2.DS(DMEM+supplements)培地
DMEM培養培地に、グルコース4.5g/L、グルタミン584mg/Lが補充された、Miller groupで発表されたDS media((JOURNAL OF HEMATOTHERAPY 4: 149-158 (1995))を使用したという点を除いては、前記実験例2-1と同一方法で遂行した。
【0080】
図2Bは、一態様による培養補助細胞、及びNK細胞をDS培地で培養したとき、NK細胞の増幅倍数(左)及び純度(右)を示したグラフである。
【0081】
その結果、図2Bに示されているように、実施例1の培養補助細胞、及び比較例1の細胞のいずれも、42日目まで、NK細胞の増幅倍数が増大することを認めることができた。しかしながら、比較例1の細胞に比べ、実施例1の培養補助細胞において、NK細胞の増幅倍数が、およそ2倍ないし6倍以上顕著に増大することを認めることができた。また、K562培養補助細胞を利用して培養したNK細胞と比較し、実施例1の培養補助細胞を利用して培養したNK細胞の純度が、有意的に高いということを認めることができた。
【0082】
前述の結果を基に、RPMI 1640培地及びDS培地におけるNK増幅効率を比較した。
【0083】
図2Cは、一態様による培養補助細胞、及びNK細胞を、完全RPMI 1640培地及びDS培地で培養したとき、NK細胞の増幅倍数(左)及び純度(右)を比較したグラフである。
【0084】
その結果、図2Cに示されているように、培地種類に係わりなく、実施例1の細胞は、K562培養補助細胞に比べ、NK細胞の増幅倍数及び純度が上昇したことを認めることができた。しかしながら、異なる培地で培養した同一細胞を比較したとき、実施例1の細胞は、完全RPMI 1640培地に比べ、DS培地において、NK細胞の増幅倍数が顕著に高いということを認めることができた。すなわち、一態様による培養補助細胞は、培地種類により、NK細胞を選択的に増幅させることができるが、培地選択的特徴を有することができる。
【0085】
実験例3.K562-mbIL18-mbIL21細胞によって増幅されたNK細胞の表現型特性
RPMI 1640培地及びDS培地において、K562-mbIL18-mbIL2細胞によって増幅されたNK細胞の表現型特性を認めた。
【0086】
具体的には、末梢血液単核球(PBMCs)の分離のために、健常人供与者の全血:PBSを1:2比率(10ml全血:20mlPBS)に希釈し、15ml Lymphoprep上でオーバレイした。次に、常温において、25分間1,200×g条件で、ブレーキなしに遠心分離を進め(加速1、減速0)、バッフィーコート層から細胞を収穫し、7分間400×gで、PBSで3回洗浄した。その後、増幅された健常人供与者由来NK細胞2×10個をmFACSバッファ(FBS 1%含むPBS)で洗浄した後、APC-Cyanine7-接合マウス抗ヒトCD3メンブレン抗体及びPE-Cyanine7-接合抗ヒトCD56メンブレン抗体で15分間処理した。その後、細胞を得て、それぞれ異なる蛍光接合された抗ヒトCD16,CD67,CD69,NK2G2A,NK2G2C,NKG2D,DNAM-1,NKp30,NKp46,KIR2DL1,KIR2DL2/3及びKIR3DL1メンブレン抗体で30分間追加染色した。その後、前記細胞をFACSバッファで洗浄した後、FACSキャリバーを利用してデータを獲得し、Kazukaで分析した。
【0087】
図3A及び図3Bは、RPMI 1640培地及びDS培地において、一態様による培養補助細胞(青色)、及びK562培養補助細胞(赤色)を利用してNK細胞を増幅させた後、前記増幅されたNK細胞で発現するマーカーを比較したグラフである。
【0088】
その結果、図3A及び図3Bに示されているように、一態様による培養補助細胞を利用して増幅されたNK細胞において、CD16、CD67、CD69、NK2G2A、NK2G2C、NKG2D、DNAM-1、NKp30、NKp46、KIR2DL1、KIR2DL2/3及びKIR3DL1のような表面マーカーが発現されることを認めることができた。
【0089】
すなわち、一態様による培養補助細胞によって増幅されたNK細胞は、NK細胞の完全な機能的特性を有するということが分かる。
【0090】
実験例4.K562-mbIL18-mbIL21細胞によって増幅されたNK細胞の細胞毒性の確認
一態様による培養補助細胞によって増幅されたNK細胞の抗体治療剤としての効能を認めるために、標的細胞に対するNK細胞の14日目細胞毒性を、CFSE基盤分析によって4時間をかけて、測定した。
【0091】
具体的には、標的細胞をFACSバッファに添加した後、37℃で10分間、0.5μM CFSEで染色し、完全培地(RPMIまたはDS)で2回洗浄した。その後、標的細胞5×10個を、96ウェル丸底プレートに三重に配し、前記実験例3の健常人供与者(HD)由来NK細胞と、E:T(effector-to-target)比が0.5:1、1:1及び2:1になるように混合した。該プレートを、1,500rpmで3分間遠心分離した後、37℃、5% CO培養器で4時間培養した。その後、混合された細胞をFACSチューブに移し、それぞれのチューブに 1μlの1mg/mLヨウ化プロピジウム (PI)(SigmaAldrich、セントルイス、MO、米国)を添加した。その後、FACSキャリバーで細胞を獲得し、Kaluzaソフトウェアを使用して分析した。死んだ標的細胞の百分率(CFSF陽性及びPI陽性)は、自発的に死んだ標的細胞の百分率を差し引いた後で計算した。
【0092】
図4Aは、一態様による培養補助細胞を利用して増幅された健常人供与者(HD)からのNK細胞の細胞毒性を確認したグラフである。
【0093】
図4Bは一態様による培養補助細胞を利用して増幅された健常人供与者(HD)からのNK細胞のADCC細胞毒性を確認したグラフである。
【0094】
その結果、図4Aに示されているように、実施例1の培養補助細胞を利用して増幅されたNK細胞は、K562培養補助細胞を利用して増幅されたNK細胞と同一細胞毒性を示すということを認めることができた。また、DS培地で培養されたNK細胞の細胞毒性は、RPMI培地で培養されたNK細胞と同一細胞毒性を示すということを認めることができた。また、図4Bに示されているように、実施例1の培養補助細胞を利用して増幅されたNK細胞は、K562培養補助細胞を利用して増幅されたNK細胞と、リツキシマブ(rituximab)に結合されたRaji細胞途において、類似したADCC活性を示すということを認めることができた。また、DS培地で培養されたNK細胞のADCCは、RPMI培地で培養されたNK細胞と類似したADCC活性を示すということを認めることができた。すなわち、一態様による培養補助細胞によって増幅されたNK細胞は、細胞毒性を示す抗体治療剤として活用可能である。
【0095】
実験例5.K562-mbIL18-mbIL21細胞によって刺激されたNK細胞の活性度の確認
5-1.CD107a発現による脱顆粒活性の確認
一態様による、遺伝的に操作された培養補助細胞によって刺激されたNK細胞の全血における細胞活性度を認めるために、脱顆粒化と比例するNK細胞表面におけるCD107a発現の程度を測定した。具体的には、前記実験例3の健常人供与者(HD)全血100μl、K562培養組補細胞、または実施例1で製造したK562-mbIL18-mbIL21培養補助細胞株2×10個、及びPE接合された抗ヒトCD107aをFACSチューブで培養した。1時間後、Monensin及びbrefeldin A(BD Biosciences)を追加し、4時間さらに培養した。その後、NK細胞を、抗ヒトCD3抗体及びヒトCD56抗体で染色して得て、CD107a発現を測定した。
図5A及び図5Bは、一態様による培養補助細胞によって刺激されたNK細胞のCD107a発現を測定したグラフである。
その結果、図5Aに示されているように、実施例1の培養補助細胞によって刺激されたNK細胞は、IL-2の濃度依存的に、CD107a発現が増大することを認めることができた。具体的には、図5Bに示されているように、実施例1の培養補助細胞によって刺激されたNK細胞は、K562培養補助細胞によって刺激されたNK細胞と比較し、同一IL-2の濃度において、CD107a発現が有意的に高いということを認めることができた。
すなわち、一態様による培養補助細胞を利用したNK細胞活性化は、K562培養補助細胞を使用するより、NK細胞活性度診断方法としてさらに有用に使用されうる。
5-2.細胞溶解(cell lysis)による細胞毒性の確認
一態様による、遺伝的に操作された培養補助細胞によって刺激されたNK細胞の全血における細胞活性度を認めるために、標的細胞の細胞毒性を、CFSE基盤分析によって16~20時間測定した。具体的には、標的細胞(K562培養補助細胞または実施例1の培養補助細胞)をFACSバッファに添加した後、37℃で10分間、0.5μM CFSEで染色し、完全培地(RPMIまたはDS)で2回洗浄した。その後、標的細胞5×10個を、FACSチューブに三重に配し、IL-2が添加された完全培地と、前記健常人供与者(HD)全血とを、体積比200μl,100μl,50μlになるように混合した。FACSチューブを、37℃、5% CO培養器において、16~20時間培養した。その後、混合された細胞をFACSチューブに移し、それぞれのチューブに、1μlの1mg/mLヨウ化プロピジウム(PI)(SigmaAldrich、セントルイス、MO、米国)を添加した。その後、FACSキャリバーで細胞を獲得し、Kaluzaソフトウェアを使用して分析した。死んだ標的細胞の百分率(CFSF陽性及びPI陽性)は、自発的に死んだ標的細胞の百分率を差し引いた後で計算した。
図5C及び図5Dは、一態様による培養補助細胞によって刺激されたNK細胞の標的細胞溶解率を測定したグラフである。
その結果、図5Cに示されているように、実施例1の培養補助細胞によって刺激されたNK細胞は、IL-2の濃度依存的に、標的細胞溶解率が上昇することを認めることができた。具体的には、図5Dに示されているように、実施例1の培養補助細胞によって刺激されたNK細胞は、K562培養補助細胞によって刺激されたNK細胞と比較し、同一IL-2の濃度において、標的細胞溶解率が有意的に高いということを認めることができた。
すなわち、一態様による培養補助細胞を利用したNK細胞活性化は、K562培養補助細胞を使用するより、NK細胞活性度診断方法として、さらに有用に使用されうる。
前述の本発明の説明は、例示のためのものであるのみ、本発明が属する技術分野の当業者であるならば、本発明の技術的思想や、必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述された実施例は、全ての面において例示的な物であり、限定的ではないと理解されなければならない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
【手続補正書】
【提出日】2024-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
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