(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017062
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119451
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新宮 剣太
(72)【発明者】
【氏名】太野 大介
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134HB11
2H134HD01
2H134HD05
2H134HD06
2H134KA29
2H134KD08
2H134KG07
2H134KG08
2H134KH01
2H134KH04
2H134KH15
2H134KJ02
2H134MA02
2H134MA05
2H134QA03
2H134QA04
(57)【要約】
【課題】潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードを提供する。
【解決手段】被クリーニング部材と接触する接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、クリーニングブレード。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被クリーニング部材と接触する接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、クリーニングブレード。
【請求項2】
前記先端角は、65度以上75度以下である、請求項1に記載のクリーニングブレード。
【請求項3】
前記ヤング率は、18MPa以上24MPa以下である、請求項2に記載のクリーニングブレード。
【請求項4】
前記接触部は、ポリウレタンゴム部材で構成されている、請求項1に記載のクリーニングブレード。
【請求項5】
前記ポリウレタンゴム部材は、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、
前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下である、請求項4に記載のクリーニングブレード。
【請求項6】
前記接触部は、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有する、請求項4に記載のクリーニングブレード。
【請求項7】
被クリーニング部材と接触する接触部が、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリウレタンゴム部材で構成され、
前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下であり、
前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、
クリーニングブレード。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
【請求項9】
像保持体と、
前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする請求項8に記載のクリーニング装置と、
を備え、
画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
【請求項10】
交流電圧の印加により前記像保持体の表面を帯電する帯電装置をさらに備える、請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記像保持体の表面における、サファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である、請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
前記像保持体の表面と前記クリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上1.2以下である、請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項13】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする請求項8に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項14】
前記帯電装置は、交流電圧の印加により前記像保持体の表面を帯電する帯電装置である、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記像保持体の表面における、サファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記像保持体の表面と前記クリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上1.2以下である、請求項13に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー像を担持する回転可能な像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部と、前記潤滑剤塗布部の位置より前記像担持体の回転方向上流側に設けられ、先端部を前記像担持体に当接させて前記像担持体に残った転写残トナーを除去する清掃用ゴムブレードと、前記潤滑剤塗布部の位置より前記像担持体の回転方向下流側に設けられ、先端部を前記像担持体に当接させて前記潤滑剤を均す均し用ゴムブレードと、該均し用ゴムブレードの温度またはその近傍の温度を計測する温度計測部と、前記均し用ゴムブレードを加熱する加熱部と、前記温度計測部による計測温度が予め設定された設定温度より低い場合に、前記計測温度が前記設定温度に達するように前記加熱部を制御して加熱する温度制御部とを備えたことを特徴とするクリーニング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1>
被クリーニング部材と接触する接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、クリーニングブレード。
<2>
前記先端角は、65度以上75度以下である、<1>に記載のクリーニングブレード。
<3>
前記ヤング率は、18MPa以上24MPa以下である、<1>又は<2>に記載のクリーニングブレード。
<4>
前記接触部は、ポリウレタンゴム部材で構成されている、<1>~<3>のいずれか1つに記載のクリーニングブレード。
<5>
前記ポリウレタンゴム部材は、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、
前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下である、<4>に記載のクリーニングブレード。
<6>
前記接触部は、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有する、<4>又は<5>に記載のクリーニングブレード。
【0006】
<7>
被クリーニング部材と接触する接触部が、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリウレタンゴム部材で構成され、
前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下であり、
前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、
クリーニングブレード。
<8>
前記先端角は、65度以上75度以下である、<7>に記載のクリーニングブレード。
<9>
前記接触部は、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有する、<7>又は<8>に記載のクリーニングブレード。
【0007】
<10>
<1>~<9>のいずれか1つに記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
<11>
像保持体と、
前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする<10>に記載のクリーニング装置と、
を備え、
画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
<12>
交流電圧の印加により前記像保持体の表面を帯電する帯電装置をさらに備える、<11>に記載のプロセスカートリッジ。
<13>
前記像保持体の表面における、サファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である、<11>又は<12>に記載のプロセスカートリッジ。
<14>
前記像保持体の表面と前記クリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上1.2以下である、<11>~<13>のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
<15>
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする<10>に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
<16>
前記帯電装置は、交流電圧の印加により前記像保持体の表面を帯電する帯電装置である、<15>に記載の画像形成装置。
<17>
前記像保持体の表面における、サファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である、<15>又は<16>に記載の画像形成装置。
<18>
前記像保持体の表面と前記クリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上1.2以下である、<15>~<17>のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
<1>によれば、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、又は接触部の先端角が55度未満若しくは80度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
<2>によれば、接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、接触部の先端角が65度未満又は75度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
<3>によれば、接触部の先端角が55度以上80度以下であり、かつ、接触部のヤング率が18MPa未満又は24MPa超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
<4>によれば、接触部がフッ素ゴム部材で構成されている場合に比べ、接触部における耐摩耗性及び柔軟性に優れるクリーニングブレードが提供される。
<5>によれば、ハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満又は28%超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
<6>又は<9>によれば、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有さない場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
【0009】
<7>によれば、被クリーニング部材と接触する接触部が、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリウレタンゴム部材で構成されたクリーニングブレードにおいて、接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、ハードセグメントの凝集体の面積率が、画像全体に対し18%未満若しくは28%超えである場合、又は接触部の先端角が55度未満若しくは80度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
<8>によれば、ハードセグメントの凝集体の面積率が18%以上28%以下であり、かつ、接触部の先端角が65度未満又は75度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
【0010】
<10>によれば、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニング装置が提供される。
<11>又は<15>によれば、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
<12>又は<16>によれば、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置を適用した場合であっても、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
<13>又は<17>によれば、表面におけるサファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である像保持体を適用した場合であっても、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
<14>又は<18>によれば、像保持体の表面とクリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上であっても、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るクリーニングブレードの一例を示す概略断面図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略模式図である。
【
図3】本実施形態に係るクリーニング装置の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0013】
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0014】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別で
きない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0015】
本開示において実施形態を、図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0016】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0017】
[クリーニングブレード]
<第一実施形態>
第一実施形態に係るクリーニングブレードは、被クリーニング部材と接触する接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、前記接触部の先端角が55度以上80度以下である。
【0018】
ここで、クリーニングブレードにおける接触部の先端角は、クリーニングブレードの接触部を構成する2つの面の角度を意味する。
図1に、本実施形態におけるクリーニングブレードの一例における概略断面図を示す。
図1に示すクリーニングブレード10では、一方の端部が被クリーニング部材と接触する接触部10Cであり、他方の端部が保持部材12に保持されている。保持部材12としては、剛性板状支持材等が挙げられ、さらに具体的には金属板等が挙げられる。
クリーニングブレード10では、接触部10Cが被クリーニング部材に接触することで、被クリーニング部材がクリーニングされる。
接触部10Cは、クリーニングブレード10の先端面10Aと側面10Bとの交線により構成され、先端面10Aと側面10Bとがなす角θを上記「接触部の先端角」とする。なお、
図1は、先端面10Aと側面10Bとの交線に垂直な断面図である。
【0019】
接触部の先端角は、クリーニングブレードの接触部、つまりクリーニングブレードの接触部を構成する2つの面の交線に垂直な面で切断し、断面における前記2つの面の角度をレーザー顕微鏡により測定する。
また、接触部のヤング率は、ナノインデンテーション法を用いて測定される。具体的には、(株)フィッシャー・インストルメンツ製、PICODENTOR HM500、及び、Berkovich型ダイヤモンド圧子を用い、押込み深さ-荷重曲線を測定し、負荷を最大押込み深さ1000nmで与え、続いて除荷をした場合の除荷曲線の傾きをヤング率として求める。
【0020】
第一実施形態では、クリーニングブレードの接触部におけるヤング率が前記範囲であり、かつ、先端角が前記範囲であることにより、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
【0021】
近年、被クリーニング部材に対して、潤滑剤を付与せず、クリーニングブレードによりクリーニングすることが求められている。潤滑剤を付与せずに被クリーニング部材をクリーニングブレードによりクリーニングすると、潤滑剤を付与した場合に比べ、クリーニングブレードにかかる摩擦力が高くなる。特に、被クリーニング部材を交流電圧の印加により帯電する場合、放電負荷により生成した放電生成物が被クリーニング部材の表面に付着することで、被クリーニング部材をクリーニングするクリーニングブレードにかかる摩擦力がさらに高くなりやすい。
【0022】
摩擦力が低いクリーニングに適した従来のクリーニングブレードを用い、潤滑剤を付与せずに被クリーニング部材をクリーニングすると、高い摩擦力によりクリーニングブレードの接触部が振動することで、クリーニング対象物がすり抜けることがある。具体的には、接触部の振動により、クリーニングブレードと被クリーニング部材との間に一時的に隙間が生じることで、生じた隙間からクリーニング対象物がすり抜ける。そして、クリーニング対象物がトナー粒子である場合、トナー粒子が前記隙間からすり抜けることで、画像に色筋が発生することがある。したがって、高い摩擦力がかかった状態においてもクリーニング不良が抑制されるクリーニングブレードが求められている。
これに対して、第一実施形態のクリーニングブレードでは、接触部のヤング率が従来のクリーニングブレードよりも高いことにより、接触部における振動が抑制され、高い摩擦力がかかってもクリーニング対象物のすり抜けが起こりにくくなると考えられる。
【0023】
また、接触部におけるヤング率が前記範囲であっても、先端角が前記範囲よりも小さい場合、接触部に高い摩擦力がかかると、接触部が摩耗しやすく、被クリーニング部材又はクリーニング対象物に衝突した衝撃により、接触部に欠けが生じることがある。接触部に欠けが生じると、欠けにより生じた隙間からクリーニング対象物がすり抜けやすくなる。
一方、接触部におけるヤング率が前記範囲であっても、先端角が前記範囲よりも大きい場合、接触部に高い摩擦力がかかると、被クリーニング部材の移動方向の下流側に巻き込まれて捲り返るタックという状態から、腹当たりという状態になりやすくなる。接触部が被クリーニング部材に腹当たりすると、面接触になることで面圧が低くなり、クリーニング対象物のすり抜けが起こりやすくなる。
さらに、接触部におけるヤング率が前記範囲よりも高い場合は、接触部の先端角が前記範囲であっても、上記接触部の欠け又は上記被クリーニング部材への腹当たりが起こりやすくなる。
これに対して、第一実施形態のクリーニングブレードでは、接触部のヤング率が前記範囲であるとともに、接触部の先端角が前記範囲である。そのため、接触部の欠けに起因するクリーニング不良及び接触部の腹当たりに起因するクリーニング不良のいずれも抑制されると推測される。
【0024】
以上の理由により、第一実施形態では、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されると推測される。
【0025】
第一実施形態では、クリーニングブレードの接触部における先端角が55度以上80度以下であり、クリーニング不良抑制の観点から、65度以上75度以下が好ましく、68度以上73度以下がより好ましい。
また、クリーニングブレードの接触部におけるヤング率は、14MPa以上25MPa以下であり、クリーニング不良抑制の観点から、18MPa以上24MPa以下であることが好ましく、19MPa以上22MPa以下であることがより好ましい。
【0026】
クリーニングブレードの接触部のヤング率を上記範囲にする方法は、特に限定されるものではなく、例えば後述するように、接触部を、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、ハードセグメントの凝集体の面積率が18%以上28%以下であるポリウレタンゴム部材で構成する方法が挙げられる。
以下、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、ハードセグメントの凝集体の面積率が18%以上28%以下であるポリウレタンゴム部材を、「特定ポリウレタンゴム部材」ともいう。
【0027】
ただし、第一実施形態では、接触部のヤング率及び先端角が前記範囲であればよく、接触部が特定ポリウレタンゴム部材で構成されたクリーニングブレードに限定されるものではない。クリーニングブレードの接触部は、特定ポリウレタンゴム部材以外のポリウレタンゴム部材で構成されてもよく、ポリイミドゴム部材、シリコーンゴム部材、フッ素ゴム部材、プロピレンゴム部材、ブタジエンゴム部材等の他のゴム弾性体を主成分とする部材で構成されてもよい。ここで、主成分とは、部材全体の50質量%以上を占める成分をいう。
【0028】
また、
図1に示すクリーニングブレード10は、単層構成であり、単一の材質からなるものであるが、第一実施形態では、接触部のヤング率及び先端角が前記範囲であればこれに限られるものではない。第一実施形態では、クリーニングブレードが、単層構成であってもよく、接触部を構成する層と、接触部とは異なる材質の層と、を組み合わせた多層構成であってもよい。
【0029】
<第二実施形態>
第二実施形態に係るクリーニングブレードは、被クリーニング部材と接触する接触部が、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリウレタンゴム部材で構成され、前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下であり、前記接触部の先端角が55度以上80度以下である。
つまり、第二実施形態に係るクリーニングブレードでは、接触部が、特定ポリウレタンゴム部材で構成されている。
以下、表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像における、ハードセグメントの凝集体の面積率を、単に「凝集体の面積率」ともいう。
【0030】
接触部の先端角の詳細及び測定方法は、前述の通りである。
接触部における凝集体の面積率の測定方法は、次の通り測定される。原子間力顕微鏡(AFM)(株式会社日立ハイテク製、AFM100)を用い、50μm四方の画角にて測定してAFM位相像である画像を得る。そして、大津の二値化により画像処理を施して画像を2値化し、周波数の早い成分を含む領域をハードセグメントと定義し、観測領域全体の面積で割ることで、凝集体の面積率(%)を算出する。
【0031】
第二実施形態では、クリーニングブレードの接触部における凝集体の面積率が前記範囲であり、かつ、先端角が前記範囲であることにより、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
【0032】
前記の通り、潤滑剤を付与せずに被クリーニング部材をクリーニングブレードによりクリーニングすると、クリーニングブレードにかかる摩擦力が高くなり、従来のクリーニングブレードを用いると接触部の振動によりクリーニング対象物がすり抜けやすくなる。そのため、高い摩擦力がかかった状態においてもクリーニング不良が抑制されるクリーニングブレードが求められている。
一方、第二実施形態のクリーニングブレードでは、接触部における凝集体の面積率が前記範囲であることにより、前記範囲よりも低い場合に比べて接触部が硬い。そのため、接触部における振動が抑制され、高い摩擦力がかかってもクリーニング対象物のすり抜けが起こりにくくなると考えられる。
【0033】
また、接触部における凝集体の面積率が前記範囲であっても、先端角が前記範囲よりも小さい場合は接触部の欠けが生じやすく、先端角が前記範囲よりも大きい場合は被クリーニング部材への腹当たりが起こりやすくなる。
さらに、接触部における凝集体の面積率が前記範囲よりも高い場合は、接触部の先端角が前記範囲であっても、上記接触部の欠け又は上記被クリーニング部材への腹当たりが起こりやすくなる。
これに対して、第二実施形態のクリーニングブレードでは、接触部における凝集体の面積率が前記範囲であるとともに、接触部の先端角が前記範囲である。そのため、接触部の欠けに起因するクリーニング不良及び接触部の腹当たりに起因するクリーニング不良のいずれも抑制されると推測される。
【0034】
以上の理由により、第二実施形態では、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されると推測される。
【0035】
第二実施形態では、クリーニングブレードの接触部における先端角が55度以上80度以下であり、クリーニング不良抑制の観点から、65度以上75度以下が好ましく、68度以上73度以下がより好ましい。
また、クリーニングブレードの接触部における凝集体の面積率は、18%以上28%以下であり、クリーニング不良抑制の観点から、20%以上25%以下であることが好ましく、21%以上24%以下であることがより好ましい。
クリーニングブレードの接触部における凝集体の面積率を上記範囲にする方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタンゴム部材の製造に用いるモノマーの種類及び量を調整する方法、接触部の表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を形成する方法等が挙げられる。
【0036】
なお、第二実施形態においても、クリーニングブレードが、単層構成であってもよく、接触部を構成する層と、接触部とは異なる材質の層と、を組み合わせた多層構成であってもよい。
【0037】
以下、第一実施形態及び第二実施形態のいずれにも該当する形態を本実施形態と称して説明する。ただし、本開示のクリーニングブレードの一例は、第一実施形態に係るクリーニングブレード及び第二実施形態に係るクリーニングブレードの少なくとも一方に該当するクリーニングブレードであればよい。
以下、本実施形態のクリーニングブレードの一例として、特定ポリウレタンゴム部材で構成された単層構成のクリーニングブレードについて説明する。
【0038】
<特定ポリウレタンゴム部材>
特定ポリウレタンゴム部材は、ポリウレタンゴムを主成分とする部材である。特定ポリウレタンゴム部材全体に対するポリウレタンゴムの含有率は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
【0039】
ポリウレタンゴムは、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、を少なくとも重合したポリウレタンゴムである。ポリウレタンゴムは、必要に応じて、ポリオール成分以外にポリイソシアネートのイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂を重合したポリウレタンゴムであってもよい。
【0040】
特定ポリウレタンゴム部材に含まれるポリウレタンゴムは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有している。「ハードセグメント」及び「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
なお、ハードセグメントを構成する材料(ハードセグメント材料)としては、ポリオール成分のうち低分子ポリオール成分、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂等が挙げられる。一方、ソフトセグメントを構成する材料(ソフトセグメント材料)としては、ポリオール成分のうち高分子ポリオール成分が挙げられる。
【0041】
・ポリオール成分
ポリオール成分は、高分子ポリオールと低分子ポリオールとが含まれる。
【0042】
高分子ポリオール成分は、数平均分子量が500以上(好ましくは500以上5000以下)のポリオールである。高分子ポリオール成分としては、低分子ポリオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、低分子ポリオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等の周知のポリオールが挙げられる。なお、高分子ポリオールの市販品としては、例えば、株式会社ダイセル製のプラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
【0043】
ここで、数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法で測定された値である。以下、同様である。
【0044】
これら高分子ポリオールは、単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0045】
高分子ポリオール成分の重合比は、ポリウレタンゴムの全重合成分に対して、30モル%以上50モル%以下がよく、好ましくは40モル%以上50モル%以下である。
【0046】
低分子ポリオール成分は、分子量(数平均分子量)500未満のポリオールである。低分子ポリオールは、鎖長延長剤、及び架橋剤として機能する材料である。
【0047】
低分子ポリオール成分としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールが挙げられる。その中でも、低分子ポリオール成分として1,4-ブタンジオールが好ましく適用される。
【0048】
低分子ポリオール成分として、鎖長延長剤及び架橋剤として周知なジオール(2官能)、トリオール(3官能)、又はテトラオール(4官能)等も挙げられる。
これらのポリオールは、単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0049】
低分子ポリオール成分の重合比は、ポリウレタンゴムの全重合成分に対して、50モル%を超え75モル%以下がよく、好ましくは52モル%以上75モル%、より好ましくは55モル%以上75モル%以下、さらに好ましくは55モル%以上60モル%以下である。
【0050】
・ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6-ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、及び3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
【0051】
ポリイソシアネート成分としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
【0052】
これらポリイソシアネート成分は、単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0053】
ポリイソシアネート成分の重合比は、ポリウレタンゴムの全重合成分に対して、5モル%以上25モル%以下がよく、好ましくは10モル%以上20モル%以下である。
【0054】
・イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂
イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂(以下「官能基含有樹脂」と称する)は、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。官能基含有樹脂の具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0055】
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂の市販品としては、例えば、綜研化学社製のアクトフロー(グレード:UMB-2005B、UMB-2005P、UMB-2005、UME-2005等)が挙げられる。
【0056】
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産株式会社製、R-45HT等が挙げられる。
【0057】
2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、従来の一般的なエポキシ樹脂のごとく硬くて脆い性質を有するものではなく、従来のエポキシ樹脂よりも柔軟強靭性であるものが望ましい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、分子構造の面では、その主鎖構造中に、主鎖の可動性を高くし得る構造(柔軟性骨格)を有するものが好適であり、柔軟性骨格としては、アルキレン骨格や、シクロアルカン骨格、ポリオキシアルキレン骨格等が挙げられ、特にポリオキシアルキレン骨格が好適である。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA-4850-150等が挙げられる。
【0058】
官能基含有樹脂の重合比は、クリーニングブレードの特性を損なわない範囲とすることがよい。
【0059】
・ポリウレタンゴムの製造方法
ポリウレタンゴムの製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は耐摩耗性及び欠け性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
なお、クリーニングブレードの成形は、上記方法により調製されたクリーニングブレード形成用の組成物を、例えば、遠心成形や押し出し成形等を利用して、シート状に形成し、切断加工等を施すことにより作製される。
【0060】
ここで、ポリウレタンゴムの製造に使用する触媒としては、第三級アミン等のアミン系化合物、第四級アンモニウム塩、有機錫化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。
上記第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール、エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体、N-メチルモルホリン、N-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体、N,N’-ジエチル-2-メチルピペラジン、N,N’-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等が挙げられる。
【0061】
第四級アンモニウム塩としては、例えば、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・オクチル酸塩、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)・オクチル酸塩、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)-オクチル酸塩、DBU-オレイン酸塩、DBU-p-トルエンスルホン酸塩、DBU-蟻酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・蟻酸塩等が挙げられる。
【0062】
有機錫化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキソエート)等のジアルキル錫化合物や、2-エチルカプロン酸第1錫、オレイン酸第1錫等が挙げられる。
【0063】
これら触媒の中でも、耐加水分解性の点では第三級アンモニウム塩のトリエチレンジアミン(TEDA)が用いられ、加工性の点で第四級アンモニウム塩が好適に用いられる。第四級アンモニウム塩の中でも、高反応活性である1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)・オクチル酸塩、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)-オクチル酸塩、DBU-蟻酸塩が好適に用いられる。
【0064】
触媒の含有量は、接触部材を構成するポリウレタンゴム全体の0.0005質量%以上0.03質量%以下の範囲が好ましく、特に好ましくは0.001質量%以上0.01質量%以下である。
これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。
【0065】
(接触部の改質)
接触部を構成する特定ポリウレタンゴム部材の表層に、イソシアネート化合物の含浸硬化層を有することが好ましい。
【0066】
含浸硬化層を有することにより、接触部の硬度が高くなり、接触部におけるヤング率を前記範囲内に調整しやすくなる。
ここで、接触部を構成する特定ポリウレタンゴム部材の表層とは、接触部表面から200μmまでの領域を示す。
【0067】
含浸硬化層は、イソシアネート化合物と有機溶剤とを含む表面処理液を弾性層の表層に含浸させ、表面処理液(つまりイソシアネート化合物)を硬化させた層である。
含浸硬化層は、表面から内部に向かって漸次疎になるように接触部の表層と一体的に形成される。
【0068】
イソシアネート化合物としては、2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート(TODI)、並びにそれらの多量体およびそれらの変性体等が挙げられる。
【0069】
なお、接触部を構成する特定ポリウレタンゴム部材の表層に、ダイヤモンドライクカーボンが含浸した層を有してもよい。接触部を構成する特定ポリウレタンゴム部材の表面に、ダイヤモンドライクカーボン層を有していてもよい。
【0070】
<被クリーニング部材>
本実施形態に係るクリーニングブレードによるクリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されない。例えば、画像形成装置に用いられる場合であれば、像保持体(例えば電子写真感光体)、中間転写体、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール等が挙げられる。また、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシから更にトナーを除去するデトーニングロール等も挙げられる。本実施形態においては、被クリーニング部材が像保持体であることが特に好ましい。
以下、本実施形態の一例として、被クリーニング部材が像保持体である形態について説明する。
【0071】
<クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置>
次に、本実施形態に係るクリーニングブレードを用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態のクリーニングブレードを備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端(つまり接触面)が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の除去物を除去物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
【0072】
一方、本実施形態のプロセスカートリッジは、被クリーニング部材である像保持体表面に接触し、像保持体表面をクリーニングするクリーニング装置として、本実施形態のクリーニング装置を備えたものであれば特に限定されない。
本実施形態のプロセスカートリッジとしては、例えば、像保持体と、前記像保持体の表面に前述のクリーニングブレードを接触させてクリーニングする本実施形態のクリーニング装置と、を備え、画像形成装置に対して脱着自在な態様等が挙げられる。例えば、各色のトナーに対応した像保持体を有するいわゆるタンデム機であれば、各々の像保持体毎に本実施形態のクリーニング装置を設けてもよい。加えて、本実施形態のクリーニング装置の他に、クリーニングブラシ等を併用してもよい。
【0073】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、被クリーニング部材である像保持体の表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与装置をさらに備えてもよく、潤滑剤付与装置を備えていなくてもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、潤滑剤を像保持体表面に付与せずクリーニングしても、クリーニング不良が起こりにくい。プロセスカートリッジが潤滑剤付与装置を備えていないことにより、コストが抑制され、かつ、潤滑剤の塗布の均一性等の制御すべき項目が少なくなるという利点がある。
【0074】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置をさらに備えてもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、交流電圧の放電負荷により生成した放電生成物が像保持体の表面に付着し、クリーニングブレードにかかる摩擦力が高くなっても、クリーニング不良が起こりにくい。なお、プロセスカートリッジが交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置を備えることで、直流電圧のみを印加する場合に比べ、帯電均一性が向上することで高画質化を実現できるという利点がある。
【0075】
帯電装置としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ロール、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のロール帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。ここで、導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm未満であることを意味し、半導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1010Ωcm以下であることを意味する。また、上記体積抵抗率は、TREK製体積抵抗計MODEL152-1などによって測定される値である。
【0076】
本実施形態に係るプロセスカートリッジが交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置を備える場合、印加交流電圧の実効値としては、例えば1000V以上4000V以下の範囲が挙げられ、1200V以上3000V以下であってもよく、1500V以上2000V以下であってもよい。
本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、印加交流電圧の実効値が上記範囲であっても、クリーニング不良が起こりにくい。
交流電圧の周波数としては、例えば50Hz以上20000Hz以下が挙げられ、100Hz以上5000Hz以下であってもよい。
なお、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加するものであってもよい。
【0077】
本実施形態に係るプロセスカートリッジにおける被クリーニング部材である像保持体においては、表面における上であってもよい。
以下、サファイア針に対する動摩擦係数を「針摩擦係数」ともいう。
本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、像保持体表面の針摩擦係数が0.7以上であっても、クリーニング不良が起こりにくい。
像保持体表面の針摩擦係数は、0.7以上であってもよく、0.8以上であってもよく、1.0以上であってもよい。像保持体表面の針摩擦係数は、クリーニング不良抑制の観点から、1.2以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。なお、像保持体表面の針摩擦係数は、0.2以上0.9以下であってもよい。
【0078】
像保持体表面の針摩擦係数は、以下のようにして測定する。
像保持体の表面に対して、下記測定条件のHEIDON抵抗力測定法にて30回連続で摩擦係数を測定し、10回目から20回目の測定値の平均を算出する。なお、摩擦係数は針の動的摩擦係数を測定する。摩擦係数の測定は、東科学株式会社製TRIBOGEAR(過重変動型摩擦摩耗試験システム)、TYPEHHS2000(標準解析ソフト使用)を使用する。
・測定条件
針の材質:ダイヤモンド、針の先端形状:R=0.2mm、過重:20g、針の接触角度:90°(像保持体表面に対して垂直方向)、針の移動距離:片道10mmで往復、往復回数:30回
【0079】
表面の針摩擦係数が0.7以上の像保持体としては、例えば、導電性基体と、導電性基体上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体が挙げられる。
感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層が積層された積層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
導電性基体と感光層との間に下引層が設けられていてもよい。下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
像保持体表面の針摩擦係数を0.7以上に制御する方法としては、例えば帯電ロールでの放電により放電生成物を付着させる方法が挙げられる。
【0080】
本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、像保持体の表面とクリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が、0.9以上1.2以下であってもよい。
以下、像保持体の表面とクリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数を「相対摩擦係数」ともいう。
本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、相対摩擦係数が0.9以上であっても、クリーニング不良が起こりにくい。
相対摩擦係数は、1.0以上であってもよく、1.2以上であってもよい。相対摩擦係数は、クリーニング不良抑制の観点から、1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。なお、相対摩擦係数は、0.2以上0.9以下であってもよい。
相対摩擦係数を0.9以上に制御する方法としては、例えば放電により放電生成物を付着させる方法が挙げられる。
【0081】
相対摩擦係数は、以下のようにして測定する。
像保持体の外周面にクリーニングブレードを、像保持体の軸方向に平行、且つ、像保持体の接平面と角度30度を成して接触させる。像保持体とクリーニングブレードとの接触部に荷重3.5gf/mm(像保持体の軸方向1mmあたり3.5gf)を印加する。像保持体を、クリーニングブレードの下に入り込む方向に、速度100mm/sで、像保持体の一端近傍から他端近傍まで動かす。摩擦力測定装置の台上での像保持体の移動方向は、画像形成装置内での像保持体の回転方向に一致する。像保持体を移動させてクリーニングブレードとの間の動摩擦力を測定し、動摩擦係数μを求める。温度22℃且つ相対湿度55%下で測定する。
【0082】
本実施形態に係る画像形成装置は、被クリーニング部材である像保持体表面に接触し、像保持体表面をクリーニングするクリーニング装置として、本実施形態のクリーニング装置を備えたものであれば特に限定されない。
本実施形態の画像形成装置としては、例えば、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前述のクリーニングブレードを接触させてクリーニングする本実施形態のクリーニング装置と、を備える態様等が挙げられる。例えば、各色のトナーに対応した像保持体を有するいわゆるタンデム機であれば、各々の像保持体毎に本実施形態のクリーニング装置を設けてもよい。加えて、本実施形態のクリーニング装置の他に、クリーニングブラシ等を併用してもよい。
【0083】
本実施形態に係る画像形成装置は、被クリーニング部材である像保持体の表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与装置をさらに備えてもよく、潤滑剤付与装置を備えていなくてもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、潤滑剤を像保持体表面に付与せずにクリーニングしても、クリーニング不良が起こりにくい。画像形成装置が潤滑剤付与装置を備えていないことにより、コストが抑制され、かつ、潤滑剤の塗布の均一性等の制御すべき項目が少なくなるという利点がある。
【0084】
本実施形態に係る画像形成装置における帯電装置は、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置であってもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、交流電圧の放電負荷により生成した放電生成物が像保持体の表面に付着し、クリーニングブレードにかかる摩擦力が高くなっても、クリーニング不良が起こりにくい。帯電装置の詳細及び帯電装置による印加電圧の詳細は、前述の通りである。
【0085】
本実施形態に係る画像形成装置における被クリーニング部材である像保持体表面の針摩擦係数は、0.7以上であってもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、像保持体表面の針摩擦係数が0.7以上であっても、クリーニング不良が起こりにくい。像保持体の詳細は、前述の通りである。
【0086】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面とクリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数である相対摩擦係数が、0.9以上1.2以下であってもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、相対摩擦係数が0.9以上であっても、クリーニング不良が起こりにくい。相対摩擦係数の詳細は、前述の通りである。
【0087】
次に、本実施形態のクリーニングブレードを用いた画像形成装置及びクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図2中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は被クリーニング部材としての感光体ドラム(像保持体の一例)、33は各現像ユニット(現像装置の一例)、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット(静電潜像形成装置の一例)、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
【0088】
図2に示すタンデム型画像形成装置は、本体ハウジング21内に四つの色(本実施形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、及びブラック)の作像ユニット22(具体的には22a乃至22d)を配列し、その上方には各作像ユニット22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト230が含まれるベルトモジュール23を配設する一方、本体ハウジング21の下方には用紙等の記録媒体(図示せず)が収容される記録媒体供給カセット24を配設すると共に、この記録媒体供給カセット24からの記録媒体の搬送路となる記録媒体搬送路25を垂直方向に配置したものである。
【0089】
本実施形態において、各作像ユニット22(22a乃至22d)は、中間転写ベルト230の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、各感光体ユニット30と、各現像ユニット33と、共通する一つの露光ユニット40とを備えている。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電ロール32(帯電装置の一例)と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
【0090】
また、現像ユニット33は、帯電された感光体ドラム31上に露光ユニット40にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(例えば負極性)で現像するものであり、例えば感光体ユニット30からなるサブカートリッジと一体化されてプロセスカートリッジ(所謂Customer Replaceable Unit)を構成している。
なお、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、
図2中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
【0091】
一方、露光ユニット40は、ユニットケース41内に例えば四つの半導体レーザ(図示せず)、一つのポリゴンミラー42、結像レンズ(図示せず)及び各感光体ユニット30に対応するそれぞれミラー(図示せず)を格納し、各色成分毎の半導体レーザからの光をポリゴンミラー42で偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体ドラム31上の露光ポイントに光像を導くよう配置したものである。
【0092】
また、本実施形態において、ベルトモジュール23は、例えば一対の支持ロール(一方が駆動ロール)231,232間に中間転写ベルト230を掛け渡したものであり、各感光体ユニット30の感光体ドラム31に対応した中間転写ベルト230の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)51が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体ドラム31上のトナー像を中間転写ベルト230側に静電的に転写する。更に、中間転写ベルト230の最下流作像ユニット22dの下流側の支持ロール232に対応した部位には二次転写装置52が配設されており、中間転写ベルト230上の一次転写像を記録媒体に二次転写(一括転写)する。
【0093】
本実施形態では、二次転写装置52は、中間転写ベルト230のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール521と、中間転写ベルト230の裏面側に配置されて二次転写ロール521の対向電極をなす背面ロール(本例では支持ロール232を兼用)とを備えている。そして、例えば二次転写ロール521が接地されており、また、背面ロール(支持ロール232)にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加されている。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
【0094】
また、記録媒体供給カセット24には記録媒体を送り出す送出しロール61が設けられ、この送出しロール61の直後には記録媒体を送出する搬送ロール62が配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録媒体搬送路25には記録媒体を定められたタイミングで二次転写部位へ供給する位置合わせロール63が配設されている。一方、二次転写部位の下流側に位置する記録媒体搬送路25には定着装置66が設けられ、この定着装置66の下流側には記録媒体排出用の排出ロール67が設けられており、本体ハウジング21の上部に形成された排紙部68に排出記録媒体が収容される。
【0095】
更に、本実施形態では、本体ハウジング21の側方には手差し供給装置(MSI)71が設けられており、この手差し供給装置71上の記録媒体は送出しロール72及び搬送ロール62にて記録媒体搬送路25に向かって送出される。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
【0096】
次に、
図2に示すタンデム型画像形成装置内に配置されたクリーニング装置34について詳述する。
図3は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、
図2中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図3中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
【0097】
クリーニング装置34は、残留トナーが収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するクリーニングケース341を有し、このクリーニングケース341の開口下縁には感光体ドラム31に接触配置されるクリーニングブレード342を図示外のブラケットを介して取り付ける一方、クリーニングケース341の開口上縁には感光体ドラム31との間が気密に保たれるフィルムシール344を取り付けたものである。なお、符号345はクリーニングケース341内に収容された廃トナーを側方の廃トナー容器に導く搬送部材である。
【0098】
なお、本実施形態では、各作像ユニット22(22a乃至22d)の全てのクリーニング装置34において、クリーニングブレード342として本実施形態のクリーニングブレードが用いられているほか、ベルトクリーニング装置53で用いられるクリーニングブレード531も本実施形態のクリーニングブレードが用いられてもよい。
【0099】
また、本実施形態で用いられる現像ユニット(現像装置)33は、例えば
図3に示すごとく、現像剤が収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するユニットケース331を有している。ここで、このユニットケース331の開口に面した箇所に現像ロール332が配設されると共に、ユニットケース331内には現像剤攪拌搬送のためのトナー搬送部材333が配設されている。更に、現像ロール332とトナー搬送部材333との間には搬送パドル334を配設してもよい。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えばトリミング部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
【0100】
本実施形態では、現像ユニット33としては、例えばトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用しても、トナーのみからなる一成分現像剤を使用してもよい。
【0101】
本実施形態で用いられるトナーとしては、トナー粒子に対し、外添剤が外添されたトナーが好ましく用いられる。上記外添剤は潤滑剤を含んでもよく、含まなくてもよい。本実施形態では、前述のクリーニングブレードを用いて像保持体表面のクリーニングを行うため、外添剤が潤滑剤を含んでいなくても、クリーニング不良が起こりにくい。
【0102】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vと定義する。
【0103】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の作動を説明する。先ず、各作像ユニット22(22a乃至22d)が各色に対応した単色トナー像を形成すると、各色の単色トナー像は中間転写ベルト230表面に、元の原稿情報と一致するよう順次重ね合わせて一次転写される。続いて、中間転写ベルト230表面に転写されたカラートナー像は、二次転写装置52にて記録媒体表面に転写され、カラートナー像が転写された記録媒体は定着装置66による定着処理を経た後、排紙部68へと排出される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34(又はベルトクリーニング装置53)によって清掃される。
【0104】
なお、クリーニングブレード342は、
図3に示されるごとくクリーニング装置34内のフレーム部材に直接固定するのではなく、バネ材を介して固定されてもよい。
【実施例0105】
以下、実施例を例示することで本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態は
以下の実施例に限定されるものではない。合成、処理、製造などは、特に断りのない限り、室温(25℃±3℃)で行った。以下において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0106】
<クリーニングブレードの作製>
(クリーニングブレード(1))
ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル205)およびポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル240)をポリオール成分のハードセグメント材料として用いた。また、2つ以上のヒドロキシ基を含むアクリル樹脂(綜研化学(株)製、アクトフローUMB-2005B)をソフトセグメント材料として用い、上記ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料を6:4(質量比)の割合で混合した。
次に、このハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物100部に対して、イソシアネート化合物として4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)を加えて、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させた。続いて、上記イソシアネート化合物を更に加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマーに対して、1,4-ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物を加え、3分間気泡が入らないように混合し、クリーニングブレード形成用組成物を調製した。次いで、調整した遠心成形機に上記クリーニングブレード形成用組成物を流し込み、硬化反応させた。
次いで、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)浴にクリーニングブレードを80℃で5分浸漬させたのち、浴から引き上げ、熟成加熱し、その後室温(25℃)にて乾燥し、長さ15mm、厚さ2mmであり、接触部の先端角が70度になるように切断した。
以上の操作により、クリーニングブレード(1)を得た。
得られたクリーニングブレードにおける接触部のヤング率、及び接触部における凝集体の面積率(表中の「面積率」)を前述の方法により測定した結果を表1に示す。
【0107】
(クリーニングブレード(2)~(10)、(C2)~(C4)、(C6)~(C8))
ポリオール成分のハードセグメント材料とソフトセグメント材料との割合およびイソシアネート化合物の種類を変えることで、接触部のヤング率及び接触部における凝集体の面積率が表1に示す値となるようにし、かつ、接触部の先端角が表1に示す値になるように切断した以外は、クリーニングブレード(1)と同様にして、それぞれクリーニングブレード(2)~(10)、(C2)~(C4)、及び(C6)~(C8)を得た。
得られたクリーニングブレードにおける接触部のヤング率、及び接触部における凝集体の面積率(表中の「面積率」)を前述の方法により測定した結果を表1に示す。
【0108】
(クリーニングブレード(11))
ポリオール成分のハードセグメント材料とソフトセグメント材料との割合およびイソシアネート化合物の種類を変え、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)浴にクリーニングブレードを80℃で5分浸漬させる工程を未実施とすることで、接触部のヤング率及び接触部における凝集体の面積率が表1に示す値となるようにし、かつ、接触部の先端角が表1に示す値になるように切断した以外は、クリーニングブレード(1)と同様にして、クリーニングブレード(11)を得た。
得られたクリーニングブレードにおける接触部のヤング率、及び接触部における凝集体の面積率(表中の「面積率」)を前述の方法により測定した結果を表1に示す。
【0109】
(クリーニングブレード(C1)、(C5))
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)浴にクリーニングブレードを80℃で5分浸漬させる工程を未実施であり、かつ、接触部の先端角が表1に示す値になるように切断した以外は、クリーニングブレード(1)と同様にして、それぞれクリーニングブレード(C1)及び(C5)を得た。
得られたクリーニングブレードにおける接触部のヤング率、及び接触部における凝集体の面積率(表中の「面積率」)を前述の方法により測定した結果を表1に示す。
【0110】
<クリーニング性(色筋)評価>
画像形成装置「富士フイルムビジネスイノベーション(株)ApeosPort-VI C7771」に、表1に示すクリーニングブレードを、像保持体用クリーニングブレードとして装着した。像保持体として、導電性基体と積層型感光層とを有し、表面の針摩擦係数が0.7以上である電子写真感光体を用いた。用いた電子写真感光体の表面と装着したクリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数である相対摩擦係数を表1に示す。帯電装置として、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電ロールを用い、印加交流電圧の実効値(表中の「電圧」)を表1に示す値とした。
【0111】
A4用紙を用い、温度28℃、湿度80%RHの環境にて、40%濃度の画像の形成を1万枚行い、1万枚目の画像を以下の基準で評価した。結果を表1(表中の「色筋」)に示す。
G1:クリーニング不良に起因する色筋が確認されない
G2:目視では色筋が確認されず、顕微鏡等で軽度の色筋が確認される
G3:目視で軽微な色筋が確認される
G4:目視で明確な色筋が確認される
【0112】
<摩耗及び欠け評価>
画像形成装置「富士フイルムビジネスイノベーション(株)ApeosPort-VI C7771」に、表1に示すクリーニングブレードを、像保持体用クリーニングブレードとして装着した。像保持体として、導電性基体と積層型感光層とを有し、高さが5μmであり像保持体軸方向の幅が20μmである突起を表面に有する電子写真感光体を用いた。帯電装置として、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電ロールを用い、印加交流電圧の実効値を表1に示す値とした。
【0113】
A4用紙を用い、温度10℃、湿度20%RHの環境にて、40%濃度の画像の形成を100枚行った後、クリーニングブレードの接触部における摩耗及び欠けの深さをキーエンス社のレーザ顕微鏡(VK-x200)により測定し、以下の基準で評価した。結果を表1(表中の「欠け」)に示す。
G1:摩耗が確認されない又は深さが1μm未満の摩耗が確認される
G2:欠けは確認されず、深さが1μm以上5μm未満の摩耗が確認される
G3:深さが5μm以上10μm未満の欠けが確認される
G4:深さが10μm以上の欠けが確認される。
【0114】
【0115】
表1に示すように、本実施例では、比較例に比べて、クリーニング不良に起因する色筋の発生が抑制されていることがわかる。
【0116】
本開示には、下記の態様が含まれる。
【0117】
(((1)))
被クリーニング部材と接触する接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、クリーニングブレード。
(((2)))
前記先端角は、65度以上75度以下である、(((1)))に記載のクリーニングブレード。
(((3)))
前記ヤング率は、18MPa以上24MPa以下である、(((1)))又は(((2)))に記載のクリーニングブレード。
(((4)))
前記接触部は、ポリウレタンゴム部材で構成されている、(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載のクリーニングブレード。
(((5)))
前記ポリウレタンゴム部材は、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、
前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下である、(((4)))に記載のクリーニングブレード。
(((6)))
前記接触部は、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有する、(((4)))又は(((5)))に記載のクリーニングブレード。
【0118】
(((7)))
被クリーニング部材と接触する接触部が、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリウレタンゴム部材で構成され、
前記接触部の表面を原子間力顕微鏡により観察して得られるAFM位相像である画像において、前記ハードセグメントの凝集体の面積率が、前記画像全体に対し18%以上28%以下であり、
前記接触部の先端角が55度以上80度以下である、
クリーニングブレード。
(((8)))
前記先端角は、65度以上75度以下である、(((7)))に記載のクリーニングブレード。
(((9)))
前記接触部は、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有する、(((7)))又は(((8)))に記載のクリーニングブレード。
【0119】
(((10)))
(((1)))~(((9)))のいずれか1つに記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
(((11)))
像保持体と、
前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする(((10)))に記載のクリーニング装置と、
を備え、
画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
(((12)))
交流電圧の印加により前記像保持体の表面を帯電する帯電装置をさらに備える、(((11)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((13)))
前記像保持体の表面における、サファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である、(((11)))又は(((12)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((14)))
前記像保持体の表面と前記クリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上1.2以下である、(((11)))~(((13)))のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
(((15)))
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする(((10)))に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
(((16)))
前記帯電装置は、交流電圧の印加により前記像保持体の表面を帯電する帯電装置である、(((15)))に記載の画像形成装置。
(((17)))
前記像保持体の表面における、サファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である、(((15)))又は(((16)))に記載の画像形成装置。
(((18)))
前記像保持体の表面と前記クリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上1.2以下である、(((15)))~(((17)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0120】
(((1)))によれば、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、又は接触部の先端角が55度未満若しくは80度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
(((2)))によれば、接触部のヤング率が14MPa以上25MPa以下であり、かつ、接触部の先端角が65度未満又は75度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
(((3)))によれば、接触部の先端角が55度以上80度以下であり、かつ、接触部のヤング率が18MPa未満又は24MPa超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
(((4)))によれば、接触部がフッ素ゴム部材で構成されている場合に比べ、接触部における耐摩耗性及び柔軟性に優れるクリーニングブレードが提供される。
(((5)))によれば、ハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満又は28%超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
(((6)))又は(((9)))によれば、表層にイソシアネート化合物の含浸硬化層を有さない場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
【0121】
(((7)))によれば、被クリーニング部材と接触する接触部が、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリウレタンゴム部材で構成されたクリーニングブレードにおいて、接触部の表面をAFM位相像により観察して得られる画像において、ハードセグメントの凝集体の面積率が、画像全体に対し18%未満若しくは28%超えである場合、又は接触部の先端角が55度未満若しくは80度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
(((8)))によれば、ハードセグメントの凝集体の面積率が18%以上28%以下であり、かつ、接触部の先端角が65度未満又は75度超えである場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置に適用しても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニングブレードが提供される。
【0122】
(((10)))によれば、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるクリーニング装置が提供される。
(((11)))又は(((15)))によれば、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
(((12)))又は(((16)))によれば、交流電圧の印加により像保持体の表面を帯電する帯電装置を適用した場合であっても、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
(((13)))又は(((17)))によれば、表面におけるサファイア針に対する動摩擦係数が0.7以上である像保持体を適用した場合であっても、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
(((14)))又は(((18)))によれば、像保持体の表面とクリーニングブレードの接触部との間の動摩擦係数が0.9以上であっても、接触部のヤング率が14MPa未満若しくは25MPa超え、接触部の先端角が55度未満若しくは80度超え、又はハードセグメントの凝集体の面積率が18%未満若しくは28%超えであるクリーニングブレードを用いたクリーニング装置を適用した場合に比べ、潤滑剤を用いずに像保持体の表面をクリーニングしても、クリーニング不良に起因する色筋が抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
10 クリーニングブレード、10A 先端面、10B 側面、10C 接触部、12 保持部材、21 本体ハウジング、22、22a乃至22d 作像ユニット、23 ベルトモジュール、24 記録媒体供給カセット、25 記録媒体搬送路、30 感光体ユニット、31 被クリーニング部材(像保持体/感光体ドラム)、32 帯電ロール、33 現像ユニット、34 クリーニング装置、35、35a乃至35d トナーカートリッジ、40 露光ユニット、41 ユニットケース、42 ポリゴンミラー、51 一次転写装置、52 二次転写装置、53 ベルトクリーニング装置、61 送出しロール、62 搬送ロール、63 位置合わせロール、66 定着装置、67 排出ロール、68 排紙部、71 手差し供給装置、72 送出しロール、73 両面記録用ユニット、74 案内ロール、76 搬送路、77 搬送ロール、230 中間転写ベルト、231、232 支持ロール、331 ユニットケース、332 現像ロール、333 トナー搬送部材、334 搬送パドル、335 トリミング部材、341 クリーニングケース、342 クリーニングブレード、344 フィルムシール、345 搬送部材、521 二次転写ロール、531 クリーニングブレード