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特開2024-170641TVCMの効果を可視化するための装置、方法及びそのためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170641
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】TVCMの効果を可視化するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20241203BHJP
【FI】
G06Q30/0242
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159763
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2020111023の分割
【原出願日】2020-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】522166220
【氏名又は名称】ノバセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【弁護士】
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】古谷 文弥
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象地域で放映されたTVCMがコンピュータ・ネットワーク上の行動に対して生み出す効果を効果的に可視化する装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】方法は、まず、装置210が、IPネットワーク上の行動を表す行動履歴データを取得する(S301)。次に、取得した行動履歴データに基づいて、効果測定地域における時系列の第1の効果スコア110及び対比対象となる対比地域における時系列の第2の効果スコアを生成する(S302)。そして、TVCMの放映前の期間141における第2の効果スコアの和S2と第1の効果スコア110の和S1との対比によって係数を算出する(S303)。さらに、第2の効果スコア120に対して当該係数を乗じて第3の効果スコア130を生成し(S304)、第1の効果スコア110と同時に表示するためのHTMLファイル等の表示情報を端末230に送信する(S305)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴者に対してインターネット上の行動を引き起こすことが可能な広告の効果を可視化するための方法であって、
コンピュータが、前記行動の回数を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記広告を提供した対象地域に対応する効果測定地域における時系列の第1の効果スコア及び対比対象となる対比地域における時系列の第2の効果スコアを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアの和に応じた値と前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアの和に応じた値とに基づいて、係数を算出するステップと、
前記コンピュータが、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、前記係数を第2の効果スコアに乗じることで得られる第3の効果スコアと前記第1の効果スコアとを表示するための表示情報を生成するステップと
を含み、
前記表示情報は、それを用いて、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、グラフ上に、前記第1の効果スコアと、前記第1の効果スコアと対比可能に前記第3の効果スコアが表示されるものであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
視聴者に対してインターネット上の行動を引き起こすことが可能な広告の効果を可視化するための方法であって、
コンピュータが、前記行動の回数を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記広告を提供した対象地域に対応する効果測定地域における時系列の第1の効果スコア及び対比対象となる複数の対比地域における時系列の第2の効果スコアを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアの和に応じた値と前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアの和に応じた値とに基づいて、係数を算出するステップと、
前記コンピュータが、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、前記係数を第2の効果スコアに乗じることで得られる第3の効果スコアと前記第1の効果スコアとを表示するための表示情報を生成するステップと
を含み、
前記表示情報は、それを用いて、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、グラフ上に、前記第1の効果スコアと、前記第1の効果スコアと対比可能に前記第3の効果スコアが表示されるものであり、
前記行動履歴データは、前記広告に関連づけられたウェブサイトに対するアクセス数、前記ウェブサイトにおける会員登録数又は前記ウェブサイトにおける注文数のいずれかであることを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記行動履歴データは、前記広告に関連づけられたアプリの利用開始数であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表示情報は、それを用いて、前記第1の効果スコア及び前記第3の効果スコアの少なくとも一方が折れ線グラフで表示されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コンピュータに、視聴者に対してインターネット上の行動を引き起こすことが可能な広告の効果を可視化するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記コンピュータが、前記行動の回数を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記広告を提供した対象地域に対応する効果測定地域における時系列の第1の効果スコア及び対比対象となる対比地域における時系列の第2の効果スコアを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアの和に応じた値と前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアの和に応じた値とに基づいて、係数を算出するステップと、
前記コンピュータが、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、前記係数を第2の効果スコアに乗じることで得られる第3の効果スコアと前記第1の効果スコアとを表示するための表示情報を生成するステップと
を含み、
前記表示情報は、それを用いて、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、グラフ上に、前記第1の効果スコアと、前記第1の効果スコアと対比可能に前記第3の効果スコアが表示されるものであることを特徴とする、プログラム。
【請求項6】
視聴者に対してインターネット上の行動を引き起こすことが可能な広告の効果を可視化するための装置であって、
前記行動の回数を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記広告を提供した対象地域に対応する効果測定地域における時系列の第1の効果スコア及び対比対象となる対比地域における時系列の第2の効果スコアを取得し、
前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアの和に応じた値と前記広告が提供される前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアの和に応じた値とに基づいて、係数を算出し、
前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、前記係数を第2の効果スコアに乗じることで得られる第3の効果スコアと前記第1の効果スコアとを表示するための表示情報を生成し、
前記表示情報は、それを用いて、前記広告が提供された期間及びその後の期間の少なくとも一部において、グラフ上に、前記第1の効果スコアと、前記第1の効果スコアと対比可能に前記第3の効果スコアが表示されるものであることを特徴とする、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TVCMの効果を可視化するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット広告の市場規模(日本)がテレビで放映されるCM(以下「TVCM」と呼ぶ。)の市場規模である2兆円弱を超えて大きく成長しつつも、テレビは、依然として最大の影響力をもつメディアである。音声と映像により反復してメッセージを伝達することで、強い印象を視聴者に与えることができる。
【0003】
TVCMは、媒体社であるテレビ局が広告スペースとして提供する媒体枠を購入して放映され、北海道、宮城県、広島県のように都道府県別にCMを販売する地方放送局から購入する場合には、当該地方放送局の放送地域でTVCMが放映される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TVCMの効果として、検索を行いウェブサイトにアクセスする、スマートフォンからアプリケーション(以下「アプリ」と呼ぶ。)をダウンロードするなどのコンピュータ・ネットワーク上の行動を引き起こすことが期待される。こうした効果を測定しようとした場合、一地域でのみTVCMが放映されているとその効果を適切に測定することが必ずしも容易ではない。このことは、対象地域が厳密に一地域である場合に限らず、複数の地域を含む場合においても同様である。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象地域で放映されたTVCMがコンピュータ・ネットワーク上の行動に対して生み出す効果を効果的に可視化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、TVCMの効果を可視化するための方法であって、インターネット上の行動を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記TVCMを放映した対象地域に対応する効果測定地域における第1の効果スコア及び対比対象となる対比地域における第2の効果スコアを取得するステップと、前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアと前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアとの対比により係数を算出するステップと、前記第2の効果スコアを前記係数により調整して第3の効果スコアを生成するステップと、前記TVCMの放映期間の少なくとも一部において前記第3の効果スコアを前記第1の効果スコアと同時に表示するための表示情報を生成するステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記行動履歴データは、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトに対するアクセス数、前記ウェブサイトにおける会員登録数又は前記ウェブサイトにおける注文数のいずれかであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記行動履歴データは、前記TVCMに関連づけられたアプリの利用開始数であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記効果測定地域内の位置において取られた行動の量を時系列に表し、前記第2の効果スコアは、全国から効果測定地域を除いた地域内の位置において取られた行動の量を時系列に表すことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、第1の態様において、前記係数は、前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアの和又はこれに応じた値と前記放映前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアの和又はこれに応じた値との比であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、第1の態様において、前記第3の効果スコアは、前記第2の効果スコアに前記係数を乗じて生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、第1の態様において、前記第3の効果スコアは、前記第2の効果スコアの縦軸を前記係数によって変換して生成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第1の態様において、前記表示情報は、前記第1の効果スコア及び前記第3の効果スコアの少なくとも一方を折れ線グラフで表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、コンピュータに、TVCMの効果を可視化するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、インターネット上の行動を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記TVCMを放映した対象地域に対応する効果測定地域における第1の効果スコア及び対比対象となる対比地域における第2の効果スコアを取得するステップと、前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアと前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアとの対比により係数を算出するステップと、前記第2の効果スコアを前記係数により調整して第3の効果スコアを生成するステップと、前記TVCMの放映期間の少なくとも一部において前記第3の効果スコアを前記第1の効果スコアと同時に表示するための表示情報を生成するステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、TVCMの効果を可視化するための装置であって、インターネット上の行動を表す行動履歴データに基づいて生成された、前記TVCMを放映した対象地域に対応する効果測定地域における第1の効果スコア及び対比対象となる対比地域における第2の効果スコアを取得し、前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第2の効果スコアと前記TVCMの放映前の期間の少なくとも一部における前記第1の効果スコアとの対比により係数を算出して、前記第2の効果スコアを前記係数により調整して第3の効果スコアを生成し、前記TVCMの放映期間の少なくとも一部において前記第3の効果スコアを前記第1の効果スコアと同時に表示するための表示情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、放映前の期間141の少なくとも一部における第1の効果スコア110と放映前の期間141の少なくとも一部における第2の効果スコアとの対比により、放映期間142及びその後の期間143における第2の効果スコアを調整し、TVCMが放映されなかったという仮定の下での効果を表す第3の効果スコア130を第1の効果スコア110と同時に表示して、TVCMの効果を視覚的に判然と伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態にかかるTVCMの効果表示画面の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態にかかるTVCMの効果を可視化する装置を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態にかかるTVCMの効果を可視化する方法の流れを示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態にかかるTVCMの効果表示画面の別の例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態にかかるTVCMの効果表示画面をさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果表示画面を示す。効果表示画面100には、TVCMを放映した対象地域に対応する効果測定地域における第1の効果スコア110と、当該効果測定地域と対比する対比地域における第3の効果スコア130とが表示される。横軸は日単位、縦軸はTVCMに関連づけられたウェブサイトに対するセッション数で表しているが、横軸は日単位以外の単位も可能であり、縦軸についても後述するようにさまざまな効果スコアの単位が考えられる。
【0020】
第1の効果スコア110及び第3の効果スコア130は、TVCMの放映前の期間141、放映期間142、及び放映後の期間143に区分することができ、第3の効果スコア130は、放映前の期間141における対比地域における第2の効果スコア(図示せず)と第1の効果スコア110との対比によって係数を算出し、当該係数を第2の効果スコアに乗じて調整することで得られる。係数は、第2の効果スコアに対する第1の効果スコア110の比S1/S2としたり、逆に第1の効果スコア110に対する第2の効果スコアの比S2/S1としたりすることが考えられる。また、これらに定数を乗じて係数とすることも考えられる。
【0021】
ここでより正確には、S1は放映前の期間141の少なくとも一部における第1の効果スコア110に基づいて定まる値を表し、S2は放映前の期間141の少なくとも一部における第2の効果スコアに基づいて定まる値を表す。S1の具体例としては、放映前の期間141の少なくとも一部における第1の効果スコア110の和又はこれに定数を加算したり係数を乗じたりして得られる当該和に応じた値が挙げられ、S2についても同様である。ここで、S1の値を定めるために用いる放映前の期間141の少なくとも一部とS2の値を定めるために用いる放映前の期間141の少なくとも一部は一致する場合と一致しない場合があり、一致しない場合には適宜値を乗じて調整した上で係数を求めることができる。S1及びS2を曜日ごとに分けて計算し、それにより曜日ごとに係数を算出してもよい。また、平日及び休日で分けるといったように曜日の属性ごとに係数を算出してもよい。
【0022】
放映期間142及び放映後の期間143における第3の効果スコア130は、TVCMが放映されなかった場合の効果測定地域における行動を推測したものと評価できる。したがって、第1の効果スコア110と同時に第3の効果スコア130を描画することによって、TVCMの効果を視覚的に判然と伝達することができる。以下、より詳細に説明する。
【0023】
図2に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を可視化する装置を示す。装置210は、インターネットなどのIPネットワーク上の行動を表す行動履歴データをTVCMに関連づけられたサーバ220から受信し、第1の効果スコア110及び第3の効果スコア130を生成する。そして、それらを表示画面に表示するための表示情報を端末230に送信する。ここで、サーバ220の例として、TVCMに関連づけられたウェブサイトを提供するサーバ、TVCMに関連づけられたアプリをダウンロード可能に管理するサーバ等が挙げられる。
【0024】
図2では、装置210がサーバ220からインターネット等のコンピュータ・ネットワークを介して受信することで行動履歴データを取得する例を示したが、ウェブサイトへのアクセス数、アプリの利用回数等の生成された行動履歴データを手動で装置210に入力することも考えられ、さまざまな方式が可能である。ウェブサイトへのアクセスは、TVCMの視聴者がコンピュータ・ネットワークを介して当該ウェブサイトを提供するサーバに当該ウェブサイトを閲覧するための要求を行うことによって可能になるという意味において、コンピュータ・ネットワーク上の行動であり、アプリのダウンロードは、TVCMの視聴者がスマートフォン、タブレット等の携帯端末からコンピュータ・ネットワークを介してアプリをダウンロード可能に管理するサーバに当該アプリのダウンロードの要求を行うことによって可能になるという意味において、コンピュータ・ネットワーク上の行動である。
【0025】
装置210は、通信インターフェースなどの通信部211と、プロセッサ、CPU等の処理部212と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部213とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができ、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また当該プログラムは1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部213又は装置210からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部212において実行することができる。
【0026】
図3に、本発明の第1の実施形態にかかるTVCMの効果を可視化する方法の流れを示す。まず、装置210が、IPネットワーク上の行動を表す行動履歴データを取得する(S301)。行動履歴データとしては、TVCMに関連づけられたウェブサイトに対するアクセス数、TVCMに関連づけられたウェブサイトにおける会員登録数又は注文数、及びTVCMに関連づけられたアプリの利用開始数が例として挙げられる。
【0027】
ここで「アクセス数」とは、ウェブサイトに対してなされたアクセスの数を意味し、閲覧されたページ数をカウントするページビュー、複数のページが閲覧されても同一の端末による閲覧であれば1とカウントするセッション数等、さまざまなカウントの方式が可能である。また、「利用開始数」とは、スマートフォン、タブレット等の携帯端末においてアプリが利用開始された数を意味し、アプリのダウンロード数、ダウンロード後の初回起動数、ダウンロード後の会員登録数、注文数等、さまざまなカウントの方式が可能である。
【0028】
記憶部213又は装置210からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に、TVCMの識別子とウェブサイト又はアプリとの対応づけを記憶しておき、装置210は、効果を可視化したいTVCMの識別子を受信したことに応じて、行動履歴データの取得又は後述の第1の効果スコア120及び第2の効果スコアの取得を行うようにしてもよい。
【0029】
いずれの種類の行動履歴データにおいても、行動を取ったTVCMの視聴者が用いる各端末の行動時の位置を含み、当該位置に応じて、TVCMを放映した対象地域に対応する効果測定地域内の行動とそれ以外の地域における行動とを区別することができる。したがって、装置210は次に、取得した行動履歴データに基づいて、効果測定地域における時系列の第1の効果スコア110及び対比対象となる対比地域における時系列の第2の効果スコアを生成する(S302)。ここでは、装置210において第1の効果スコア110及び第2の効果スコアの生成を行うものとして記述するが、これは、別の装置において予め行われ、第1の効果スコア110及び第2の効果スコアを装置210が取得することも考えられる。
【0030】
行動履歴データがアクセス数である場合、これをそのまま効果スコアとしてもよいし、なんらかの演算を行った値を効果スコアとしてもよい。より一般的には、第1の効果スコア110は、効果測定地域内の位置において取られた行動の量を時系列に表し、第2の効果スコア120は、対比地域内の位置において取られた行動の量を時系列に表す。
【0031】
各端末の行動時の位置は、たとえば経緯度又は住所により表される。また、効果測定地域は、住所により表したり、TVCMが放映される対象地域の住所を経緯度で表したりすることによって特定することができる。対象地域と効果測定地域とが同一の表現である場合は必要ないが、異なる表現によって表される場合には、両者を変換するための対象地域と効果測定地域との対応づけを記憶部213又は装置210からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておく。対比対象となる地域としては、たとえば全国、全国から効果測定地域を除いた地域、特定の1又は複数の地域等が挙げられる。全国から効果測定地域を除いた地域を対比対象とすることが一例として好ましい。
【0032】
そして、TVCMの放映前の期間141における第2の効果スコアの和S2と第1の効果スコア110の和S1との対比によって係数を算出する(S303)。たとえば、図1の例では、放映前の期間141における第2の効果スコア120の和S2は576076であり、第1の効果スコア110の和S1は17874であり、第2の効果スコア120の和S2に対する第1の効果スコア110の和S1の比S1/S2として、係数3.10271%が算出される。
【0033】
第1の効果スコア110の和S1を計算する期間は、文字通りTVCMの放映前の期間141であれば、さまざまな期間とすることができ、昨年の放映期間142と同期間としたり、放映前の期間141における所定の期間の平日のみとしたりすることが考えられる。また、上述したように曜日ごとに和を計算して、曜日ごとに係数を算出することも考えられる。第2の効果スコア120の和S2についても同様である。
【0034】
次いで、装置210は、第2の効果スコア120に対して当該係数を乗じて第3の効果スコア130を生成し(S304)、第1の効果スコア110と同時に表示するためのHTMLファイル等の表示情報を端末230に送信する(S305)。端末230では、表示情報によって図1に示すような効果表示画面が表示される。図1では、放映前の期間141、放映期間142及び放映後の期間143が表示されているが、放映期間142の少なくとも一部について表示することでもよいことがある。
【0035】
ここでは、第2の効果スコア120に係数を乗じて第3の効果スコア130を生成したが、第2の効果スコア120の縦軸を係数によって変換して、第3の効果スコア130を生成してもよい。この場合、第1の効果スコア110の縦軸とは別個の縦軸を用いて第3の効果スコア130が描画される。ここで、効果スコアは横軸と縦軸の単位を含む概念とみることができる。
【0036】
このように、放映前の期間141の少なくとも一部における第1の効果スコア110と放映前の期間141の少なくとも一部における第2の効果スコアとの対比により、放映期間142及びその後の期間143における第2の効果スコアを調整し、TVCMが放映されなかったという仮定の下での効果を表す第3の効果スコア130を第1の効果スコア110と同時に表示して、TVCMの効果を視覚的に判然と伝達することができる。
【0037】
図4に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果表示画面の別の例を示す。これは、図1に示した第1の効果スコア110及び第3の効果スコア130の6日間移動平均である。このように移動平均によって表示することで、TVCMの効果の傾向を可視化することができる。
【0038】
図5に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果表示画面のさらに別の例を示す。これは、図1に示した第1の効果スコア110及び第3の効果スコア130を棒グラフで表現したものである。図5のように第1の効果スコア110及び第3の効果スコア130の両方を棒グラフとすることの他に、一方を棒グラフ、他方を折れ線グラフとしてもよい。図5では、第3の効果スコア130が第1の効果スコア110を上回る場合、黒色で表している。図5で示した例の他に、面グラフ、階段グラフ、積み上げグラフ等のさまざまな方式を採用することができ、いずれにしても、第3の効果スコア130を第1の効果スコア110と同時に対比的に表示することができればよい。
【0039】
図1、4及び5で示したグラフでは、放映期間142の開始日と終了日を縦軸に平行な点線によって表したが、放映期間142に対応する領域を着色することによって表してもよい。また、図1及び4において、折れ線グラフの下方領域をそれぞれ着色し、両者が重なる領域においては縦軸の値が小さい方のグラフの色を優先して表示してもよい。このように適宜着色を施すことによって、第1の効果スコア110と第3の効果スコア130との対比を一層明瞭にすることができる。
【0040】
なお、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0041】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【0042】
また、図3において示される「開始」及び「終了」は、一例を示すものに過ぎず、本実施形態にかかる方法がS301によって必ず開始され、S305によって必ず終了することを意味するものではない。
【0043】
また、本実施形態においては、行動履歴データはIPネットワーク等のコンピュータ・ネットワーク上の行動を表すデータとして考えてきたが、TVCMを放映した対象地域に対応する効果測定地域内の行動とそれ以外の地域における行動とを区別することができれば、実店舗における売上高、受電数、注文数、訪問数等の実店舗における行動を表すデータを対象としても、本発明の精神は適用可能な場合があることを付言する。
【0044】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、第3の効果スコア130の生成を放映前の期間141における対象地域における第1の効果スコア110と同期間における比較地域に第2の効果スコアとの対比によって算出された係数を用いて行ったが、本実施形態では、比較地域との対比によることなく、第3の効果スコア130を生成する。
【0045】
具体的には、放映前の期間141の少なくとも一部において曜日ごと又は曜日の属性ごとに算出した第1の効果スコア110の平均値等の値を放映期間142における第3の効果スコア130の推定値として用いることが挙げられる。比較地域における第2の効果スコアを調整して第3の効果スコア130を生成する場合には、時期的・季節的な変動、又は一時的な出来事の影響を差し引いてTVCMの効果を可視化することができ、より好ましいが、地域間の対比が難しい場合にはこのように放映前の期間141の少なくとも一部における第1の効果スコア110の値に基づいて放映期間142における第3の効果スコア130の値を生成することも可能である。
【0046】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、装置210が第3の効果スコア130を第1の効果スコア110と同時に表示するためのHTMLファイル等の表示情報をコンピュータ・ネットワークを介して端末230に送信することを前提としていたが、装置210において、第3の効果スコア130を第1の効果スコア110と同時に表示する画像を表示情報として生成するようにしてもよい。当該画像は、必要に応じてその後端末230に送信可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 効果表示画面
110 第1の効果スコア
130 第3の効果スコア
141 TVCMの放映前の期間
142 放映期間
143 放映後の期間
210 装置
211 通信部
212 処理部
213 記憶部
220 サーバ
230 端末

図1
図2
図3
図4
図5