(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170642
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】注射可能な医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/365 20060101AFI20241203BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20241203BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20241203BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20241203BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20241203BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241203BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241203BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241203BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241203BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241203BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241203BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K31/365
A61K31/42
A61K31/422
A61P33/00
A61P33/00 171
A61P33/10
A61P43/00 121
A61K9/10
A61K47/14
A61K47/38
A61K47/44
A61K47/32
A61K47/10
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024159833
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2021564774の分割
【原出願日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】62/842,709
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッレ・コロン,ブレンダ・エル
(72)【発明者】
【氏名】フリーホーフ,キース
(72)【発明者】
【氏名】グエリーノ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】クルツァー,クリストファー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】カリーロ,ブライアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンを長期間放出するための注射可能な獣医学用組成物を提供する。
【解決手段】約50重量%~約99重量%の脂肪、ロウ又はそれらの混合物及び0.01重量%~10重量%の酸化防止剤を含むモキシデクチンミクロスフェア;及び、式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物の粒子;を含み、ここで、モキシデクチンミクロスフェア及びイソオキサゾリン化合物粒子は、1以上の懸濁化剤、1以上の湿潤剤及び/又は1以上の防腐剤並びに水を含む水性担体の中に懸濁している、注射可能な獣医学用組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射可能な獣医学用組成物であって、
(a) 約50重量%~約99重量%の脂肪、ロウ又はそれらの混合物及び0.01重量
%~10重量%の酸化防止剤を含むモキシデクチンミクロスフェア;及び、
(b) 式(I)
【化1】
〔式中、
R
1=ハロゲン、CF
3、OCF
3、CN;
n=0~3の整数、好ましくは、1、2又は3;
R
2=C
1-C
3-ハロアルキル、好ましくは、CF
3又はCF
2Cl;
T=1以上のラジカルYで置換されていてもよい5~12員の単環式又は二環式の環系
;
Y=メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2-C=S、又は、2つの隣
接するラジカルYが一緒に鎖(特に、3員又は4員の鎖)を形成し;
Q=X-NR
3R
4、又は、1以上のラジカルで置換されていてもよい5員のN-ヘテ
ロアリール環;
X=CH
2、CH(CH
3)、CH(CN)、CO、CS;
R
3=水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メト
キシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメ
チル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチ
ル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチ
ルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、
メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロ
ピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミ
ノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、
【化2】
[ここで、Z
A=水素、ハロゲン、シアノ、ハロメチル(CF
3)];
R
4=水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエ
トキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカル
ボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、
アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジ
メトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチ
ル、シアノメチルアミノカルボニルメチル又はハロエチルアミノカルボニルエチル;
又は、
R
3とR
4は、一緒に、
【化3】
からなる群から選択される置換基を形成する〕
で表されるイソオキサゾリン化合物の粒子;
を含み、ここで、モキシデクチンミクロスフェア及びイソオキサゾリン化合物粒子は、1
以上の懸濁化剤、1以上の湿潤剤及び/又は1以上の防腐剤並びに水を含む水性担体の中
に懸濁している、前記注射可能な獣医学用組成物。
【請求項2】
前記脂肪、ロウ又はそれらの混合物が、約40℃を超える融点を有する、請求項1に記
載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項3】
前記モキシデクチンミクロスフェアが、約75重量%~約95重量%の前記脂肪、ロウ
又はそれらの混合物を含む、請求項1又は2に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項4】
前記脂肪、ロウ又はそれらの混合物が、脂肪酸エステルを含む、請求項1~3のいずれ
か1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸エステルが、脂肪酸のトリグリセリルエステルであり、その脂肪酸はそれぞ
れ12~22個の炭素原子を含む、請求項4に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸エステルが、グリセリルトリステアレートである、請求項5に記載の注射可
能な獣医学用組成物。
【請求項7】
前記モキシデクチンミクロスフェアが、約9~12重量%の量のモキシデクチン及び8
7~92重量%の量のグリセリルトリステアレートを含む、請求項1~6のいずれか1項
に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項8】
前記モキシデクチンミクロスフェア及び/又はイソオキサゾリン化合物粒子が、静的光
散乱装置で測定される約25μm~約250μmの体積加重粒子サイズ分布D50を有す
る、請求項1~7のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項9】
前記モキシデクチンミクロスフェア及び/又はイソオキサゾリン化合物の粒子サイズ分
布D50が、約75μm~約150μmである、請求項8に記載の注射可能な獣医学用組
成物。
【請求項10】
前記イソオキサゾリン化合物粒子が、走査電子顕微鏡によって測定して、10μmより
大きく100μm未満(好ましくは、20μmより大きく90μm未満)の厚さを有する
、請求項1~9のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項11】
前記イソオキサゾリン化合物粒子が、30μmより大きく80μm未満の厚さを有する
、請求項10に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項12】
静的光散乱装置によって測定された、モキシデクチンミクロスフェア及び/又はイソオ
キサゾリン化合物粒子の体積加重粒子サイズのD10が約20~35μmであり、粒子サ
イズのD50が約90~105μmであり、そして、粒子サイズのD90が、155~1
75μmである、請求項1~11のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項13】
前記懸濁化剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン及び
メチルセルロースから選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の注射可能な獣
医学用組成物。
【請求項14】
前記組成物が、組成物の約0.5重量%~約15重量%の懸濁化剤を含む、請求項1~
13のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項15】
前記湿潤剤がポロキサマーである、請求項1~14のいずれか1項に記載の注射可能な
獣医学用組成物。
【請求項16】
前記組成物が、組成物の約0.01重量%~約1.0重量%の湿潤剤を含む、請求項1
~15のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項17】
前記イソオキサゾリン化合物が、フルララネル、アフォキソラネル、サロラネル又はロ
チラネルから選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組
成物。
【請求項18】
式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物がフルララネルである、請求項1~17の
いずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
【請求項19】
キットであって、ここで、該キットは、
(a) 請求項1、8、9、10、11、12、17及び18に記載の式(I)で表され
るイソオキサゾリン化合物の粒子と請求項1~12に記載のモキシデクチンミクロスフェ
アの固体混合物を含む第1の容器;
(b) 1以上の懸濁化剤、湿潤剤及び/又は防腐剤並びに水を含む水性担体を含む第2
の容器;及び、
(c) 動物への皮下注射又は筋肉内注射の前に、モキシデクチンミクロスフェア及びイ
ソオキサゾリン化合物粒子を前記水性担体を用いて再構成させるための使用説明書;
を含む、前記キット。
【請求項20】
前記第1の容器が、動物の寄生生物侵襲を治療又は予防するのに充分な有効量の、モキ
シデクチン、及び、請求項1、17又は18に記載されている式(I)で表されるイソオ
キサゾリン化合物を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記キットが、さらに、第1及び第2の容器からの組成物の混合物を再構成させて動物
に非経口投与するための装置を含む、請求項19又は20に記載のキット。
【請求項22】
前記装置が、注射器を含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記第1の容器において、式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物及び/又はモキ
シデクチンミクロスフェアが、静的光散乱装置によって測定される場合、約25ミクロン
~約250ミクロンの体積加重粒子サイズ分布D50を有する、請求項19~22のいず
れか1項に記載のキット。
【請求項24】
前記第1の容器において、イソオキサゾリン化合物の粒子サイズのD10が約20~3
5μmであり、粒子サイズのD50が約90~105μmであり、そして、粒子サイズの
D90が約155~175μmである、請求項19~23のいずれか1項に記載のキット
。
【請求項25】
動物における寄生生物侵襲を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防
を必要とする動物に請求項1~18の注射可能な獣医学用組成物を投与することを含む、
前記方法。
【請求項26】
請求項1~18のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物を製造する方法であ
って、
(a) イソオキサゾリン粒子を調製する段階;
(b) 脂肪、ロウ又はそれらの混合物を溶融させ、そして、モキシデクチンと場合によ
り酸化防止剤を添加し、そして、回転ディスク噴霧によってミクロスフェアを調製し、そ
して、篩い分けすることによって、モキシデクチンミクロスフェアを調製する段階;
(c) 段階(b)で得られたモキシデクチンミクロスフェアを段階(a)で得られたイ
ソオキサゾリン粒子と一緒に第1の容器の中に入れる段階;
(d) 懸濁化剤、湿潤剤及び/又は防腐剤を含む賦形剤を水に溶解させ、第2の容器の
中に入れることによって水性担体を調製する段階;
(e) 前記水性担体を第2の容器(d)から第1の容器(c)に移し、振盪して即時使
用可能な懸濁液を形成させることによって前記固体を再構成させる段階;
を含む、前記方法。
【請求項27】
請求項26に記載のプロセスによって得られた再構成された懸濁液を動物に皮下注射又
は筋肉内注射によって投与することを含む、動物における寄生生物侵襲を治療又は予防す
るために請求項19~24のいずれか1項に記載のキットを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イソオキサゾリン化合物は、当技術分野において知られており、そして、これらの化合
物及び抗寄生生物薬としてのそれらの使用は、例えば、米国特許出願US2007/00
66617、並びに、国際特許出願WO2005/085216、WO2007/079
162、WO2009/002809、WO2009/024541、WO2009/0
03075、WO2010/070068及びWO2010/079077に記載されて
いる(これらの開示及びこれらの中で引用されている参考文献は参照により組み込まれる
)。このクラスの化合物は、外部寄生性節足動物に対して優れた活性を有することが知ら
れている。
【0002】
WO2015/048371には、スピロ環式イソオキサゾリン化合物、1つの生体高
分子及び少なくとも1つの担体、溶媒又は賦形剤を含む、長時間作用する注射可能組成物
が開示されている。
【0003】
WO2016/138339には、少なくとも1つのイソオキサゾリン活性薬、ポロキ
サマー及び共溶媒を含むための長時間作用する注射可能製剤が開示されている。
【0004】
WO2016/164487には、寄生生物に対して使用するための、少なくとも1つ
のイソオキサゾリン活性薬、薬学的に許容されるポリマー及び溶媒を含む、徐放性の注射
可能な獣医学用製剤が開示されている。
【0005】
米国特許第9,609,869号には、農業、園芸、畜産及び伴侶動物に関連する害虫
の防除において使用するための、イソオキサゾリン誘導体に基づく殺虫性化合物が開示さ
れている。
【0006】
米国特許出願公開第2017/0239218号には、少なくとも1つのイソオキサゾ
リン活性薬、液体PEG及び/又は中性油を含む、寄生生物と闘うための長時間作用する
注射可能組成物が開示されている。
【0007】
最近、別の外部寄生性化合物が記載された: 2-クロロ-N-(1-シアノシクロプ
ロピル)-5-[1’-メチル-3’-(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル)
-4’-(トリフルオロメチル)[1,5’-ビ-1H-ピラゾール]-4-イル]ベン
ズアミド; WO2019/012377において開示されたチゴラネル(Tigola
ner)(CAS RN 1621436-41-6)。
【0008】
モキシデクチンは、特に動物に対して非経口投与された場合、蠕虫、線虫、ダニ並びに
内部寄生性及び外部寄生性の節足動物によって引き起こされる感染及び侵襲の予防及び治
療にとって有用な活性成分である。
【0009】
モキシデクチンは、米国特許第4,916,154号に開示されている。EP0525
307及びEP1197207には、モキシデクチンミクロスフェア及び注射可能な組成
物並びにそれらの調製及び使用が開示されている。
【0010】
獣医学的適用のための有利な注射可能な医薬組成物は、治療された動物の血漿中で両方
の活性化合物(モキシデクチン及びイソオキサゾリン化合物)の有効な濃度レベルを1回
の注射で長期間にわたって提供することを可能にするものである。
【0011】
そのような組成物に関する放出の持続期間に加えて、注射可能な獣医学用製剤の技術的
特徴、例えば、施用の容易さ(注射可能性及び再懸濁性)、並びに、副作用(投与後の局
所注射部位反応及び全身性副作用)がないこと及び製剤の滅菌可能性は、重要な特徴であ
る。
【0012】
従って、組み合わせ製剤中の上記イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンの有効量
を長期間にわたって効果的に且つ安全に放出することを可能にする、技術的に実現可能な
注射可能製剤が利用可能であることは望ましいであろう。このことは、別々の注射及び反
復投与が望ましくない条件下において、これらの最新の化合物の使用を可能にするであろ
う。組成物は、さらにまた、賦形剤がモキシデクチンミクロスフェアに干渉せず、安定し
たモキシデクチン含有量を提供することを確実にすべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US2007/0066617
【特許文献2】WO2005/085216
【特許文献3】WO2007/079162
【特許文献4】WO2009/002809
【特許文献5】WO2009/024541
【特許文献6】WO2009/003075
【特許文献7】WO2010/070068
【特許文献8】WO2010/079077
【特許文献9】WO2015/048371
【特許文献10】WO2016/138339
【特許文献11】WO2016/164487
【特許文献12】米国特許第9,609,869号
【特許文献13】米国特許出願公開第2017/0239218号
【特許文献14】WO2019/012377
【特許文献15】米国特許第4,916,154号
【特許文献16】EP0525307
【特許文献17】EP1197207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、従来技術の1以上の制限を克服する、イソオキサゾリン化合物及びモキシデク
チンを長期間放出するための注射可能な医薬組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、寄生生物に対する長期間の有効性、安全性、物理的及び化学的安定
性を有し、そして注射部位刺激のリスクが低減されている、イソオキサゾリン化合物及び
モキシデクチンミクロスフェアを含む注射可能な組成物を提供する。
【0016】
本発明の一実施形態は、以下のものを含む注射可能な獣医学用組成物である:
(a) 約50重量%~約99重量%の脂肪、ロウ又はそれらの混合物及び0.01重量
%~10重量%の酸化防止剤を含むモキシデクチンミクロスフェア;及び、
(b) 式(I)
【化1】
【0017】
〔式中、
R
1=ハロゲン、CF
3、OCF
3、CN;
n=0~3の整数、好ましくは、1、2又は3;
R
2=C
1-C
3-ハロアルキル、好ましくは、CF
3又はCF
2Cl;
T=1以上のラジカルYで置換されていてもよい5~12員の単環式又は二環式の環系
;
Y=メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2-C=S、又は、2つの隣
接するラジカルYは一緒に鎖(特に、3員又は4員の鎖)を形成し;
Q=X-NR
3R
4、又は、1以上のラジカルで置換されていてもよい5員のN-ヘテ
ロアリール環;
X=CH
2、CH(CH
3)、CH(CN)、CO、CS;
R
3=水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メト
キシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメ
チル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチ
ル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチ
ルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、
メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロ
ピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミ
ノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、
【化2】
【0018】
[ここで、Z
A=水素、ハロゲン、シアノ、ハロメチル(CF
3)];
R
4=水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエ
トキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカル
ボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、
アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジ
メトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチ
ル、シアノメチルアミノカルボニルメチル又はハロエチルアミノカルボニルエチル;
又は、
R
3とR
4は、一緒に、
【化3】
【0019】
からなる群から選択される置換基を形成する〕
で表されるイソオキサゾリン化合物又はその塩若しくは溶媒和物の粒子;
ここで、モキシデクチンミクロスフェア及びイソオキサゾリン化合物粒子は、1以上の懸
濁化剤、1以上の湿潤剤及び/又は1以上の防腐剤並びに水を含む水性担体の中に懸濁し
ている。
【0020】
さらなる実施形態は、動物における寄生生物侵襲を治療又は予防する方法であり、ここ
で、該方法は、そのような治療又は予防を必要とする動物に上記注射可能な獣医学用組成
物を投与することを含む。
【0021】
さらなる実施形態は、上記注射可能な獣医学用組成物を製造する方法であり、ここで、
該方法は、以下の段階を含む:
(a) イソオキサゾリン粒子を、(好ましくは、結晶化によって)調製する段階;
(b) 脂肪、ロウ又はそれらの混合物を溶融させ、そして、モキシデクチンと場合によ
り酸化防止剤を添加し、そして、ミクロスフェアを(好ましくは、回転ディスク噴霧によ
って)調製し、そして、場合により篩い分けすることによって、モキシデクチンミクロス
フェアを調製する段階;
(c) 段階(b)で得られたモキシデクチンミクロスフェアを段階(a)で得られたイ
ソオキサゾリン粒子と一緒に第1の容器の中に入れる段階;
(d) 懸濁化剤、湿潤剤及び/又は防腐剤を含む賦形剤を水に溶解させ、第2の容器の
中に入れることによって、水性担体を調製する段階;
(e) 前記水性担体を第2の容器(d)から第1の容器(c)に移し、振盪して即時使
用可能な(ready-to-use)懸濁液を形成させることによって、前記固体を再
構成させる段階。
【0022】
さらなる実施形態は、キットであり、ここで、該キットは、
(a) 上記式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物の粒子と上記モキシデクチンミ
クロスフェアの固体混合物を含む第1の容器;
(b) 1以上の懸濁化剤、湿潤剤及び/又は防腐剤並びに水を含む水性担体を含む第2
の容器;及び、
(c) 動物への皮下注射又は筋肉内注射の前に、モキシデクチンミクロスフェア及びイ
ソオキサゾリン化合物粒子を前記水性担体を用いて再構成させるための使用説明書;
を含む。
【0023】
さらなる実施形態は、動物における寄生生物侵襲を治療又は予防するためにそのような
キットを使用する方法であって、ここで、該方法は、前記再構成された懸濁液を動物に皮
下注射又は筋肉内注射によって投与することによる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、グリセリルトリステアレートミクロスフェア(GTS)中の10%モキシデクチンの走査電子顕微鏡写真である。
【
図2】
図2及び
図3は、イヌに皮下投与した後のモキシデクチン(2)及びフルララネル(3)の血漿レベルである。
【
図3】
図2及び
図3は、イヌに皮下投与した後のモキシデクチン(2)及びフルララネル(3)の血漿レベルである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、寄生生物に対する長期間の有効性、安全性、物理的及び化学的安定性を有し
並びに注射部位刺激のリスクが低減されている、イソオキサゾリン化合物及びモキシデク
チンミクロスフェアを含む注射可能な組成物を提供する。
【0026】
注射可能な懸濁液の物理的安定性は、1つの一般的な製剤の中に正確な量のイソオキサ
ゾリン化合物とモキシデクチンの両方を含む均一な懸濁液を注射することによって正確な
投薬を可能にするために特に重要である。本発明者らは、2種類の異なる固体成分である
イソオキサゾリン(結晶性)粒子とモキシデクチンミクロスフェアの密度が異なる(この
ことは、均一な懸濁液を提供することを困難にする)という問題を克服しなければならな
かった。製剤中の化学的安定性は、モキシデクチンにとって特に困難である。
【0027】
投与の精度に影響を与えると考えられる懸濁粒子の沈降又は浮遊又は泡立ちを引き起こ
すことなく、穏やかに振盪することによって水性担体を用いて容易に再懸濁させることが
可能な安定した懸濁液が形成されるべきである。
【0028】
さらに、注入される最終組成物は、再懸濁/再構成に付された後の全使用期間にわたっ
て、物理的(及び化学的)に安定な状態のままであることが重要である。
【0029】
さらに、当該注射が、注射後の動物にとって安全であり、そして、副作用、特に、許容
できない注射部位の刺激を引き起こさないことが有利である。
【0030】
組成物は注射によって投与されるので、組成物が一般に認められている既知手順によっ
て滅菌され得ることがさらに重要である。
【0031】
本発明は、そのような有利な組成物を提供する。
【0032】
イソオキサゾリン化合物は、当技術分野において知られており、そして、このクラスの
化合物は、マダニやノミなどの寄生生物の侵襲に対して優れた活性を有することが知られ
ている。本発明において使用するためのさまざまなイソオキサゾリン化合物の実施形態に
ついて以下に記載する。
【0033】
注射部位の刺激は、動物が医薬組成物の注射を受けたときに注射部位及び周囲の組織で
生じる損傷である。そのような損傷は、腫れ、皮膚の変色及び組織の壊死であり得る。一
部の動物では注射部位の刺激が避けられない場合もあるが、獣医及び動物の飼い主は、2
~3日を超えて続く2×2cmを超える注射部位の腫れは容認できないと一般に考えてい
る。最小の注射部位刺激は、2×2cm未満で、2~3日未満しか持続しない注射部位刺
激を意味する。この基準は、狂犬病ワクチンなどの注射を受ける動物に関連して、獣医と
そのクライアントによって一般的に受け入れられている。
【0034】
本明細書中で使用されている場合、報告される粒子サイズデータは、静的光散乱(レー
ザー回折としても知られている)、画像分析又は篩い分けなどの当技術分野でよく知られ
ている慣習的な粒子技術によって測定される体積加重である。粒子サイズ測定に関するさ
らなる解説について、以下に記載する。
【0035】
注射可能とは、懸濁液をアンプル/バイアル/容器から針を用いて注射器の中に容易に
引き出すことが可能で、次いで、その懸濁液をそのような注射器から針を通して筋肉内(
im)又は皮下(sc)に注射することが可能であることを意味する(例えば、18ゲー
ジ)。
【0036】
懸濁液中の活性成分の粒子サイズは、再懸濁性及び注射可能性に影響を与える可能性が
あり、即ち、その粒子サイズは、圧縮又は固化を防ぎ、再懸濁を容易にするのに充分なほ
ど、小さくなくてはならない。
【0037】
製薬上許容される賦形剤は、医薬品のビヒクル又は媒体を形成する不活性物質である。
【0038】
寄生生物「侵襲」は、ヒト又は動物にリスクをもたらす数の寄生生物の存在を示してい
る。存在は、環境中における存在、例えば、動物の寝具内、動物の皮膚上又は毛皮上にお
ける存在などであり得る。言及されている侵襲が、動物体内、例えば、血液内又は別の内
部組織内における侵襲である場合、用語「侵襲」は、用語「感染」と同義であることも意
図されており、ここで、用語「感染」は、別途示されていない限り、当技術分野で一般的
に理解されているとおりである。
【0039】
水性懸濁液は、水又は水混和性液体を含む水性液体と混合されるが、水性液体中に溶解
はされていない粒子を含む組成物を意味する。
【0040】
液体水性ビヒクルは、活性薬剤がその中に含まれて製剤及び/又は投与される溶媒(又
は、希釈剤)として使用される水性担体又は不活性媒体である。
【0041】
再構成可能(又は、再懸濁可能)製剤は、液体ビヒクルが1つの容器内にあり、1以上
の固体活性成分が別の容器内にあり、そして、動物への投与前のある時点でその2つの容
器の内容物が組み合わされて、溶液又は懸濁液の最終配合物を形成する製剤である。
【0042】
再構成は、乾燥している成分に液体/希釈剤を加えて、溶液又は懸濁液を生成させるプ
ロセスである。
【0043】
水性液体ビヒクルは、製剤のためのいくつかの賦形剤、例えば、1以上の水性希釈剤、
懸濁化剤、1以上の湿潤剤、1以上の防腐剤などを含む。
【0044】
本発明の医薬組成物は、外部寄生生物の防除において、即ち、ヒト並びに家畜動物及び
伴侶動物に対して有害である節足動物又はヒト並びに家畜動物及び伴侶動物における疾患
のベクターとして蔓延又は作用する節足動物の防除において、特に価値がある。
【0045】
重要な節足動物の寄生生物-外部寄生生物(昆虫及びダニの害虫)について、以下でさ
らに詳細に記載する。
【0046】
刺咬性昆虫としては、例えば、ウシにおけるウシバエ属種(Hypoderma sp
.)、ウマにおけるガストロフィルス(Gastrophilus)及び齧歯類における
ウサギヒフバエ属種(Cuterebra sp.)などの移動性の双翅目(diper
ous)幼虫、並びに、全てのタイプの刺咬性ハエ及び蚊の種などがある。例えば、吸血
性の成虫ハエとしては、例えば、ノサシバエ(horn fly)又はハエマトビア・イ
リタンス(Haematobia irritans)、ウシアブ(horse fly
)又はアブ属種(Tabanus spp.)、サシバエ(stable fly)又は
ストモキシス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans)、ブユ(b
lack fly)又はブユ属種(Simulium spp.)、メクラアブ(dee
r fly)又はメクラアブ属種(Chrysops spp.)、シラミバエ(lou
se fly)又はメロファグス・オビヌス(Melophagus ovinus)、
ツェツェバエ(tsetse fly)又はツェツェバエ属種(Glossina sp
p.)などがある。寄生性のハエ蛆としては、例えば、ウマバエ(bot fly)(オ
エストルス・オビス(Oestrus ovis)及びウサギヒフバエ属種(Cuter
ebra spp.))、クロバエ(blow fly)又はファエニシア属種(Pha
enicia spp.)、ラセンウジバエ(screwworm)又はコクリオミイア
・ホミニボラキス(Cochliomyia hominivorax)、ウシバエ(c
attle grub)又はウシバエ属種(Hypoderma spp.)及びフリー
スワーム(fleeceworm)などがある。蚊としては、例えば、イエカ属種(Cu
lex spp.)、ハマダラカ属種(Anopheles spp.)及びヤブカ属種
(Aedes spp.)などがある。
【0047】
ダニ類(mite)としては、以下のものなどがある: ワクモ(chicken m
ite)、デルマニスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae);
ヒゼンダニ(itch mite 又は scab mite)又はキュウセンヒゼンダ
ニ(mange mite)(コナダニ亜目(Astigmata))、例えば、ヒゼン
ダニ科の種(Sarcoptidae spp.)、例えば、サルコプテス・スカビエイ
(Sarcoptes scabiei); キュウセンヒゼンダニ(mange mi
te)、例えば、キュウセンダニ科の種(Psoroptidae spp.)、例えば
、コリオプテス・ボビス(Chorioptes bovis)、プソロプテス・オビス
(Psoroptes ovis)及びデモデキス・カニス(Demodex cani
s); 耳ダニ(ear mite) オトデクテス・シノチス(Otodectes
cynotis); ツツガムシ(chigger)、例えば、ツツガムシ科の種(Tr
ombiculidae spp.)、例えば、アメリカツツガムシ(North Am
erican chigger) トロムビクラ・アルフレヅゲシ(Trombicul
a alfreddugesi)。
【0048】
マダニ類としては、以下のものなどがある:例えば、ヒメダニ(soft-bodie
d tick)、例えば、ヒメダニ科の種(Argasidae spp.)、例えば、
ナガヒメダニ属種(Argas spp.)及びヒメダニ属種(Ornithodoro
s spp.); マダニ(hard-bodied tick)、例えば、マダニ科の
種(Ixodidae spp.)、例えば、イキソデス・リシヌス(Ixodes r
icinus)、イキソデス・スカプラリス(Ixodes scapularis)、
リピセファルス・サングイネウス(Rhipicephalus sanguineus
)、チマダニ属種(Haemaphysalis spp)、デルマセントル・レチクラ
ツス(Dermacentor reticulatus)、デルマセントル・バリアビ
リス(Dermacentor variabilis)、アムブリオマ・アメリカヌム
(Amblyomma americanum)及びウシマダニ属種(Boophilu
s spp.)。
【0049】
シラミ類としては、以下のものなどがある:例えば、吸血性のシラミ、例えば、メノポ
ン属種(Menopon spp.)及びボビコラ属種(Bovicola spp.)
;刺咬性のシラミ、例えば、ハエマトピヌス属種(Haematopinus spp.
)、リノグナツス属種(Linognathus spp.)及びソレノポテス属種(S
olenopotes spp.)。
【0050】
ノミ類としては、以下のものなどがある:例えば、イヌノミ属種(Ctenoceph
alides spp.)、例えば、イヌノミ(dog flea)(クテノセファリデ
ス・カニス(Ctenocephalides canis))及びネコノミ(cat
flea)(クテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides fel
is));ネズミノミ属種(Xenopsylla spp.)、例えば、ケオプスネズ
ミノミ(oriental rat flea)(キセノプシラ・ケオピス(Xenop
sylla cheopis));並びに、ヒトノミ属種(Pulex spp.)、例
えば、ヒトノミ(human flea)(プレキス・イリタンス(Pulex irr
itans))。
【0051】
ナンキンムシ類としては、以下のものなどがある:例えば、トコジラミ科(Cimic
idae)、又は、例えば、一般的なトコジラミ(bed bug)(シメキス・レクツ
ラリウス(Cimex lectularius)); オオサシガメ亜科の種(Tri
atominae spp.)、例えば、オオサシガメ(kissing bug)とし
ても知られているオオサシガメ(triatomid bug);例えば、ロドニウス・
プロリクスス(Rhodnius prolixus)及びサシガメ属種(Triato
ma spp.)。
【0052】
本発明の組成物は、卵段階、若虫(nymph)段階及び幼虫(larvae)段階、
幼虫(juvenile)段階並びに成虫段階を包含する寄生生物のさまざまなライフサ
イクル段階の処置及び防除に関して価値を有する。
【0053】
誤解を避けるために、本明細書中での「処置(treatment)」への言及は、本
明細書中で使用されている場合、治癒的及び緩和的な処置への言及を包含し、「外部寄生
生物の防除」への言及は、動物上及び動物の環境中において有害生物を殺すること、撃退
すること、駆逐すること、無能力にすること、阻止すること、排除すること、軽減するこ
と、最小化すること、根絶することを包含する。
【0054】
予防は、新たな又は次の侵襲又は感染が確立されることを止めることである。
【0055】
「外部寄生生物侵襲の防除」は、侵襲を防止すること、又は、動物体内及び/若しくは
動物上の寄生生物の数を軽減若しくは低減させること、並びに/又は、動物体内若しくは
動物上での寄生生物侵襲の発生を全体的に若しくは部分的に阻害すること、を意味する。
【0056】
「内部寄生生物侵襲の防除」は、動物体内及び/若しくは動物上の内部寄生生物(例え
ば、線虫及び条虫)の寄生生物数を軽減若しくは低減させること、並びに/又は、動物体
内若しくは動物上での寄生生物侵襲の発生を全体的に若しくは部分的に阻害すること、を
意味する。
【0057】
内部寄生生物に対する有効性は、宿主動物の検死の直後に内部寄生生物(特に、蠕虫)
を数えることによって評価することができる。
【0058】
寄生生物数(特に、消化管蠕虫寄生生物)の減少は、代替え的に、糞便の卵又は特質的
な幼虫の数によって間接的に測定することもできる。この場合、当該組成物の有効量は、
処置の前後における処置された動物の糞便中の排泄された蠕虫の卵又は幼虫の数の低減に
よって確認される。
【0059】
本発明の組成物は、注射を介して非経口的に投与される。組成物中の活性成分の濃度は
、治療される動物に応じて、注射可能な投与に関して許容される量で、所望の治療的又は
予防的に有効な量を提供するのに充分である必要がある。
【0060】
本発明による組成物は、蠕虫感染症を治療するために、例えば、以下のものからなる群
から選択される1以上の蠕虫によって引き起こされる感染症を治療するために使用される
:
アンシロストマ属種(Ancylostoma spp.);アネカトル属種(Anec
ator spp.);アスカリジア属種(Ascaridia spp.);アスカリ
ス属種(Ascaris spp.);ブルギア属種(Brugia spp.);ブノ
ストムム属種(Bunostomum spp.);カピラリア属種(Capillar
ia spp.);カベルチア属種(Chabertia spp.);コオペリア属種
(Cooperia spp.);シアトストムム属種(Cyathostomum s
pp.);シリコシクルス属種(Cylicocyclus spp.);シリコドント
ホルス属種(Cylicodontophorus spp.);シリコステファヌス属
種(Cylicostephanus spp.);クラテロストムム属種(Crate
rostomum spp.);ジクチオカウルス属種(Dictyocaulus s
pp.);ジペタロネマ属種(Dipetalonema spp);ジロフィラリア属
種(Dirofilaria spp.);ドラクンクルス属種(Dracunculu
s spp.);エンテロビウス属種(Enterobius spp.);フィラロイ
デス属種(Filaroides spp.);ハブロネマ属種(Habronema
spp.);ハエモンクス属種(Haemonchus spp.);ヘテラキス属種(
Heterakis spp.);ヒオストロンギルス属種(Hyostrongylu
s spp.);メタストロンギルス属種(Metastrongylus spp.)
;メウレリウス属種(Meullerius spp.);ネカトル属種(Necato
r spp.);ネマトジルス属種(Nematodirus spp.);ニッポスト
ロンギルス属種(Nippostrongylus spp.);オエソファゴストムム
属種(Oesophagostomum spp.);オンコセルカ属種(Onchoc
erca spp.);オステルタギア属種(Ostertagia spp.);オキ
シウリス属種(Oxyuris spp.);パラスカリス属種(Parascaris
spp.);ステファヌルス属種(Stephanurus spp.);ストロンギ
ルス属種(Strongylus spp.);シンガムス属種(Syngamus s
pp.);トキソカラ属種(Toxocara spp.);ストロンギロイデス属種(
Strongyloides spp.);テラドルサギア属種(Teladorsag
ia spp.);トキサスカリス属種(Toxascaris spp.);トリキネ
ラ属種(Trichinella spp.);トリクリス属種(Trichuris
spp.);トリコストロンギルス属種(Trichostrongylus spp.
);トリオドントホロウス属種(Triodontophorous spp.);ウン
シナリア属種(Uncinaria spp.)、及び/又は、ウケレリア(Wuche
reria spp.)。
【0061】
動物に深刻な害を及ぼす別の内部寄生生物は、犬糸状虫(Heartworm)として
も知られているジロフィラリア・イミチス(Dirofilaria immitis)
である。最も一般的な宿主は、イヌ及びネコであるが、フェレット及びアライグマのよう
な他の動物も感染し得る。寄生性蠕虫は、犬糸状虫の幼虫を運ぶ蚊が刺すことによって伝
染する。成体蠕虫は肺の主要な血管内に生息し、血管の炎症を引き起こし、そして、心臓
の損傷及び早期死亡を引き起こす可能性がある。進行した感染症では、蠕虫は、心臓にも
侵入する。
【0062】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ジロフィラリア・イミチス(
Dirofilaria immitis)による感染を治療又は予防するために使用さ
れる。別の実施形態では、本発明の化合物及び組成物は、ジロフィラリア・レペンス(D
irofilaria repens)による感染を治療又は予防するために使用される
。
【0063】
防除又は化合物の「効力」は、最初の投与の後で、寄生生物の数が、5%~約100%
の範囲の量に低減されることを意味する。節足動物(例えば、昆虫類、ダニ類)の防除は
、殺虫性及び/又は殺ダニ性であり得る。本発明の化合物の効果は、例えば、殺卵性、殺
幼虫性(larvicidal)、殺若虫性(nymphicidal)及び/若しくは
殺成虫性又はそれらの組み合わせであり得る。
【0064】
その効果は、直接的に現れ得る(即ち、寄生生物を直ちに殺すか若しくはいくらかの時
間が経過した後に(例えば、脱皮が起こるときに)殺すか若しくはそれらの卵を破壊する
ことにより殺す)、又は、間接的に現れ得る(例えば、産卵数及び/若しくは孵化率を低
減させる)。
【0065】
本発明による化合物のインビボ投与に関して、有効量は、「薬学的に有効な量」と同義
であり、これは、処置された動物による寄生生物の感染若しくは侵襲の症候及び/若しく
は徴候を治療するか若しくは改善させる用量若しくは量であるか、あるいは、動物体内及
び/若しくは動物上の寄生生物の数を低減させる及び/又は動物体内若しくは動物上での
寄生生物侵襲の発生を全体的に若しくは部分的に阻害する用量若しくは量である。この後
者の量も、例えば、処置された動物の臨床症状又は挙動における変化を観察又は検出する
ことによって、及び、そのような処置に付された後の寄生生物の数における相対的変化を
観察又は検出することによって、当業者が容易に確認することができる。
【0066】
薬物の全身投与は、血流を介して標的(器官又は寄生生物)に到達することを意味する
。
【0067】
動物は、伴侶動物を包含する哺乳動物を意味する。伴侶動物(又は、ペット)は、イヌ
、ネコ又はウマを意味し、特に、イヌ又はネコを意味する。
【0068】
一実施形態では、本発明において使用するためのイソオキサゾリン化合物は、その薬学
的に許容される塩、エステル及び/又はN-オキシドも包含する。加えて、イソオキサゾ
リン化合物への言及は、その多形形態又は立体異性体のいずれにも等しく言及する。
【0069】
一実施形態では、本発明による医薬組成物は、本発明において使用するためのイソオキ
サゾリンのラセミ混合物も使用することができ、上記イソオキサゾリン化合物の等量のエ
ナンチオマーを含む。
【0070】
あるいは、医薬組成物は、本明細書中で定義されているイソオキサゾリンのエナンチオ
マーのうちの1つが上記ラセミ混合物と比較して富化された立体異性体を含有するイソオ
キサゾリン化合物を使用することができる。
【0071】
さらにまた、医薬組成物は、そのようなイソオキサゾリン化合物の本質的に純粋な立体
異性体も使用することができる。本発明において使用するためのイソオキサゾリンのその
ような富化された又は精製された立体異性体調製物は、当該技術分野で知られている方法
で調製することができる。
【0072】
例は、触媒的不斉合成を利用する化学プロセス又はジアステレオマー塩の分離を利用す
る化学プロセスである(例えば、それぞれ、WO2009/063910及びJP201
1/051977を参照されたい)。
【0073】
特に好ましいのは、S-エナンチオマーである。
【0074】
本発明において使用するためのイソオキサゾリンの一実施形態では、Tは、
【化4】
【0075】
から選択され、ここで、T-1、T-3及びT-4において、ラジカルY=水素、ハロゲ
ン、メチル、ハロメチル、エチル又はハロエチルである。
【0076】
本発明において使用するためのイソオキサゾリンの一実施形態では、Qは、
【化5】
【0077】
から選択され、ここで、R
3、R
4、X及びZ
Aは、上記で定義されているとおりであり
、そして、
Z
B=
【化6】
【0078】
【0079】
一実施形態では、本発明において使用するためのイソオキサゾリンは、表1中に示され
ているとおりである。
【表1】
【表2】
【0080】
一実施形態では、本発明において使用するためのイソオキサゾリンは、表2中に示され
ているとおりである。
【表3】
【0081】
一実施形態では、本発明において使用するためのイソオキサゾリンは、化合物:
【化8】
【0082】
〔式中、R1a、R1b、R1cは、互いに独立して、水素、Cl又はCF3である〕
である。
【0083】
好ましくは、R
1a及びR
1cは、Cl又はCF
3であり、そして、R
1bは水素であ
り、
Tは、
【化9】
【0084】
【0085】
であり、ここで、Yは、メチル、臭素、Cl、F、CN又はC(S)NH2であり;n=
1又は2であり;及び、Qは、上記で記載されているとおりである。
【0086】
本明細書中において定義されているイソオキサゾリンの一実施形態では、R3はHであ
り、そして、R4は、-CH2-C(O)-NH-CH2-CF3、-CH2-C(O)
-NH-CH2-CH3、-CH2-CH2-CF3又は-CH2-CF3である。
【0087】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、フルララネル、アフ
ォキソラネル、ロチラネル又はサロラネルからなる群から選択される1以上である。本発
明による医薬組成物の別の実施形態では、イソオキサゾリン化合物は、フルララネル、ア
フォキソラネル、チゴラネル、ロチラネル又はサロラネルからなる群から選択される1以
上である。
【0088】
一実施形態では、式(I)で表される化合物は、4-[5-(3,5-ジクロロフェニ
ル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-
メチル-N-[(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-ベンズ
アミド(CAS RN 864731-61-3、USAN フルララネル)である。
【0089】
別の実施形態では、式(I)で表される化合物は、WO2007/079162におい
て開示された4-[5-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5
-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-オキソ
-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-1-ナフタレンカルボ
キサミド(CAS RN 1093861-60-9、USAN-アフォキソラネル)で
ある。
【0090】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、ロチラネル(CAS
RN:1369852-71-0;3-メチル-N-[2-オキソ-2-(2,2,2
-トリフルオロエチルアミノ)エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロ
ロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-1,2-オキサゾール-3-イル]
チオフェン-2-カルボキサミド)である。
【0091】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、サロラネル(CAS
RN:1398609-39-6; 1-(5’-((5S)-5-(3,5-ジクロ
ロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキ
サゾール-3-イル)-3’-H-スピロ(アゼチジン-3,1’-(2)ベンゾフラン
)-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノン)である。
【0092】
別の実施形態では、式(I)で表される化合物は、(Z)-4-[5-(3,5-ジク
ロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イ
ル]-N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN 9
28789-76-8)である。
【0093】
別の実施形態では、式(I)で表される化合物は、WO2009/0080250にお
いて開示された4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)
-4H-イソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-(チエタン-3-イル)ベン
ズアミド(CAS RN 1164267-94-0)である。
【0094】
別の実施形態では、式(I)で表される化合物は、WO2007/079162におい
て開示された4-[5-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5
-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-オキソ
-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-1-ナフタレンカルボ
キサミド(CAS RN 1093861-60-9、USAN-アフォキソラネル)で
ある。
【0095】
別の実施形態では、式(I)で表される化合物は、WO2010/070068におい
て開示された5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリ
フルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(
2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド(
CAS RN 1231754-09-8)である。
【0096】
代替的な実施形態では、イソオキサゾリン化合物は、2-クロロ-N-(1-シアノシ
クロプロピル)-5-[1’-メチル-3’-(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエ
チル)-4’-(トリフルオロメチル)[1,5’-ビ-1H-ピラゾール]-4-イル
]ベンズアミド; WO2019/012377において開示されたチゴラネル(CAS
RN 1621436-41-6)である。
【化10】
【0097】
イソオキサゾリン化合物は、さまざまな異性体の形態で存在し得る。本発明において使
用するための化合物への言及は、常に、そのような化合物の可能な全ての異性体形態を包
含する。
【0098】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物のラセミ形態が本発明による組成物の中に存
在している。別の実施形態では、S-エナンチオマーが存在している。
【0099】
特定の好ましい実施形態では、フルララネルのS-エナンチオマーが存在している。
【0100】
別の好ましい実施形態では、式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物は、アフォキ
ソラネルの(S)-エナンチオマーである(エサフォキソラネルとも称される)。
【0101】
本発明の1つの重要な態様は、イソオキサゾリン化合物粒子と、約40℃を超える(好
ましくは、約50℃を超える)融点を有する脂肪、ロウ又はそれらの混合物に溶解したモ
キシデクチンを含む安定なミクロスフェアとの、水性懸濁液中の組み合わせである。
【0102】
これらのモキシデクチンミクロスフェアは、著しく劣化することなくガンマ線又は電子
ビームで滅菌することができる。
【0103】
ミクロスフェアは、高分子のロウ状又は別の保護的な材料で構成された、直径1~10
00μmの小さな球状粒子である。
本発明による注射可能な製剤において使用するための好ましい安定なモキシデクチンミ
クロスフェアは、重量基準で、約75重量%~95重量%の脂肪、ロウ又はそれらの混合
物を含む。好ましくは、ミクロスフェアは、約1~25%のモキシデクチン及び約0.0
1~1%の酸化防止剤を含む。
【0104】
代替え的な1つの実施形態では、組成物は、異なる大環状ラクトン化合物(例えば,限
定するものではないが、アベルメクチン類又はミルベマイシン類)の本明細書中に記載さ
れているミクロスフェアを含む。一部の実施形態では、そのようなアベルメクチン又はミ
ルベマイシンは、エプリノメクチン、アバメクチン、イベルメクチン、セラメクチン、ミ
ルベメクチン、ミルベマイシンD又はミルベマイシンオキシムである。
【0105】
一実施形態では、組成物は、フルララネルとエプリノメクチンの組合せ、又は、フルラ
ラネルとミルベマイシンオキシム、セラメクチン若しくはモキシデクチンの組み合わせを
含む。
【0106】
一実施形態では、組成物は、アフォキソラネルとエプリノメクチンの組合せ、又は、ア
フォキソラネルとミルベマイシンオキシム、セラメクチン若しくはモキシデクチンの組み
合わせを含む。
【0107】
一実施形態では、組成物は、サロラネルとエプリノメクチンの組合せ、又は、サロラネ
ルとミルベマイシンオキシム、セラメクチン若しくはモキシデクチンの組み合わせを含む
。
【0108】
一実施形態では、組成物は、ロチラネルとエプリノメクチンの組合せ、又は、ロチラネ
ルとミルベマイシンオキシム、セラメクチン又はミルベマイシンオキシム、セラメクチン
若しくはモキシデクチンの組み合わせを含む。
【0109】
注射可能な組成物は、一般に、動物に投与する前に滅菌することが必要である。ガンマ
線又は電子ビームの照射は、微生物汚染物質を除去するための効果的な滅菌プロセスであ
る。
【0110】
しかしながら、モキシデクチンは、照射された場合に容易に分解し、その生物学的活性
の多くを失う。照射に対するこの破壊的且つ分解的な応答は、特定のモキシデクチン含有
組成物を滅菌する手段としてのガンマ線又は電子ビームの使用を妨げる。
【0111】
モキシデクチンミクロスフェアは、実施例2に示されているように、活性成分の安定性
に悪影響を与えることなく注射のために照射滅菌することが可能である。モキシデクチン
ミクロスフェアは、重量基準で、約50重量%~99重量%の約40℃を超える融点を有
する脂肪、ロウ又はそれらの混合物、約1%~50%のモキシデクチン及び約0.01~
10%の酸化防止剤を含む、又は、本質的にそれらのものからなる。
【0112】
注射可能な医薬組成物は、モキシデクチン及びイソオキサゾリン化合物の効果的な持続
放出効果を達成する。
【0113】
本発明は、さらに、モキシデクチン及びイソオキサゾリン化合物(特に、モキシデクチ
ン及びフルララネル)を動物体内に導入する方法並びに動物体内のそれらの血中レベルを
長期間にわたって維持する方法も提供し;並びに、動物における蠕虫類、線虫類、ダニ類
並びに内部寄生性及び外部寄生性の節足動物に起因する感染及び侵襲を予防又は治療する
方法も提供する。
【0114】
一実施形態では、モキシデクチンは、注射可能な獣医学用組成物の中に、約0.01重
量%~約1.0重量%の量で存在している。
【0115】
特定の実施形態では、本発明の注射可能な組成物は、15%のフルララネル及び0.1
7%のモキシデクチンを含む。
【0116】
本発明の組成物中において適しているロウ及び脂肪は、一般に、40℃より高い、好ま
しくは、50℃より高い融点を有する。
【0117】
本明細書中で使用されている用語「ロウ」は、「Hawley’s The Cond
ensed Chemical Dictionary, Eleventh Edit
ion」に記載されているように、高分子量の低融点有機混合物又は化合物として定義さ
れ、室温で固体であり、そして、グリセリド類を含まないことを除いて組成が概して脂肪
と類似している。
【0118】
一部は炭化水素であり;他は脂肪酸とアルコールのエステルである。これらの化合物に
は、飽和又は不飽和の長鎖C10-C24脂肪付加物、アルコール、エステル、塩、エー
テル又はそれらの混合物が包含される。それらは、脂質に分類される。ロウは、熱可塑性
であるが、高分子化合物ではないため、プラスチックのファミリーに含まれるとは考えら
れない。
【0119】
これらのロウの一般的な特性には、以下のものが包含される:撥水性;滑らかな感触;
無毒性;並びに、不快な臭い及び色が存在しない。それらは可燃性であり、優れた誘電特
性を有する。それらは、ほとんどの有機溶媒に可溶性であり、そして、水に不溶性である
。主なタイプは、以下のとおりである:
A.天然
1.動物(蜜ロウ、ラノリン、セラックロウ、支那ロウ)
2.植物(カマウバ、カンデリラ、ヤマモモ、サトウキビ)
B.鉱物
1.化石又は地ロウ(オゾケライト、セレシン、モンタン)
2.石油ロウ(パラフィン、微結晶)(粗ロウ又は発汗ロウ)
D.合成
1.エチレン性ポリマー及びポリオールエーテルエステル類(「Carbowax」)
2.塩素化ナフタレン類(「Halowax」)。
【0120】
本明細書中で使用されている用語「脂肪」は、ステアリン酸及びパルミチン酸のような
高級脂肪酸のグリセリルエステルとして定義される。そのようなエステル及びそれらの混
合物は、室温で固体であり、結晶構造を示す。ラードと獣脂は、その例である。
【0121】
用語「脂肪」は、通常、特にトリグリセリド類を示しているが、「脂質」は、全てを含
む。
【0122】
脂肪は、好ましくは、長鎖C12-C22脂肪酸のトリグリセリルエステル(例えば、
ステアレート、パルミテート、ラウレート、ミリステート、アラキデート及びベヘネート
)及びそれらの混合物で構成され;融点が50℃を超えるものが最も好ましい。
【0123】
グリセリルトリステアレートは、本発明の実施において最も好ましい脂肪である。
【0124】
本発明の実施において適している酸化防止剤には、モキシデクチン化合物を安定化する
のに適していると当技術分野で知られている全ての酸化防止剤が包含される。
【0125】
本発明の酸化防止剤は、それぞれ、酸化、劣化、酸敗及びガム形成を遅らせるために、
ゴム、天然の脂肪及び油、食品、ガソリン及び潤滑油に添加される有機化合物として定義
することができる。ゴム酸化防止剤は、一般に、ジ-,8-ナフチル-p-フェニレンジ
アミン及びフェニル-,8-ナフチルアミンのような芳香族アミンタイプのものである。
【0126】
多くの酸化防止剤は、置換されたフェノール化合物(ブチル化ヒドロキシアニソール、
ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、及び、没食子酸プロピル)である。食品酸化防
止剤は、極めて低い濃度で効果的であり、酸敗を遅らせるだけでなく、ビタミン及び必須
脂肪酸の分解を最小限に抑えることで栄養価を保護する。
【0127】
本発明のモキシデクチンミクロスフェアは、ガンマ線又は電子ビームを用いて滅菌する
ことが可能であり、生物学的活性を著しく失うことなく貯蔵寿命を維持することができる
。モキシデクチンは、特に照射された場合、一般に、容易に分解し、その生物学的活性の
多くを失う。
【0128】
本発明のミクロスフェア組成物において使用するのに適している酸化防止剤としては、
トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスクロビル、フマル酸、リンゴ酸、ア
スコルビン酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、没食子酸n-プロピル、BHA(ブチ
ル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)モノチオグリセロ
ール、tert-ブチルヒドロキシキノン、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,
4-トリメチルキノリンなどがあり、ブチル化ヒドロキシトルエンが好ましい酸化防止剤
である。
【0129】
特定の実施形態では、酸化防止剤は、製剤の総重量に基づいて、一般に、約0.01~
約2.0%の量で製剤に添加され、約0.05~約1.0%が特に好ましい。
【0130】
本発明のミクロスフェア組成物は、ガンマ線又は電子ビームを用いて滅菌することがで
き、生物学的活性を著しく失うことなく貯蔵寿命を維持することができる。
【0131】
本発明の組成物において使用するためのミクロスフェアは、モキシデクチン、酸化防止
剤及び場合により他の賦形剤を溶融した脂肪、ロウ又はそれらの混合物と混合させ、次い
で、得られた混合物を乳化又は噴霧させることのようなさまざまな技術により、又は、成
分と溶融した脂肪、ロウ若しくはそれらの混合物を機械的に処理し、及び、例えば遠心デ
ィスクを用いて冷却することにより、その得られた混合物のミクロスフェアを形成させる
ことによって調製することができる。
【0132】
あるいは、活性成分、酸化防止剤、賦形剤及び脂肪、ロウ及びそれらの混合物と油の混
合物を、冷却して固体を生成させ、それを、次いで、粉砕、摩砕などのような手順によっ
て処理することができる。
【0133】
本発明の安定なミクロスフェアは、薬学的及び薬理学的に許容される水溶液の中に分散
させて、非経口投与のための徐放性組成物を得ることができる。
【0134】
界面活性剤、塩類、緩衝液又はそれらの混合物のような賦形剤は、本発明のビヒクルの
中に含ませることができる。
【0135】
本発明における使用に適した賦形剤の量は、重量基準で、約0.1%~20%の範囲で
ある。
【0136】
好ましくは、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)は、当該ビヒ
クルの約1~5重量%を含み、そして、無機塩(例えば、NaCl)は、当該ビヒクルの
約0.1~2重量%を含む。
【0137】
活性化合物の維持された血中レベルは、蠕虫類、線虫類、ダニ類並びに内部寄生性及び
外部寄生性の節足動物による感染及び侵襲に対する温血動物の保護又は治療に関連してい
る。
【0138】
血中レベルを維持することは、活性成分の放出が遅いことを示している。
【0139】
本発明は、モキシデクチン及びイソオキサゾリン化合物(特に、フルララネル)を動物
の血流中に導入し血流中のレベルを維持するために、本明細書中の組成物を使用すること
を包含する。
【0140】
定められた粒子サイズを有するイソオキサゾリン化合物粒子及びモキシデクチンミクロ
スフェアを含む本発明の注射可能な組成物は、注射部位における刺激を最小限に抑えなが
ら、望ましい生物学的利用能及び効力の持続時間を示すことが見出された。
【0141】
組成物は、さらに、温血動物及び鳥類動物のレシピエントに対して望ましい安全性プロ
フィールも提供する。
【0142】
さらに、そのような組成物の単回投与は、一般に、1以上の寄生生物(例えば、外部寄
生生物、例えば、ノミ類、マダニ類又はダニ類)に対して強力な活性を提供しながら、活
性の早期発現、活性の長い持続時間及び/又は望ましい安全性プロフィールを提供する傾
向があることも見いだされた。
【0143】
本発明は、さらに、動物における寄生生物の感染及び侵襲を治療又は予防する方法も提
供し、ここで、該方法は、定められた粒子サイズを有する抗寄生生物有効量の少なくとも
1つのイソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロスフェアを薬学的に許容される
添加剤と一緒に含む注射可能な組成物の有効量を投与することを含む。
【0144】
驚くべきことに、本明細書中に記載されている本発明の組成物は、当該技術分野で知ら
れている他の注射可能な組成物と比較して、有害な寄生生物(例えば、外部寄生生物、例
えば、ノミ類及びマダニ類)に対する優れた広いスペクトルの効力をより迅速に、長い持
続時間にわたって示しながら、同時に、注射部位において最小限の刺激しか示さないこと
が見出された。
【0145】
本発明の医薬組成物は、皮下注射又は筋肉内注射によって投与することができる。
【0146】
本発明の長期間作用する注射可能な組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0147】
薬学的に許容される賦形剤としては、限定するものではないが、界面活性剤、酸化防止
剤、防腐剤、pH安定化剤(例えば、緩衝液)及び別の非活性賦形剤を含む。
【0148】
別の実施形態では、本発明の組成物は、約0.01%~約20%(w/v)の薬学的に
許容される賦形剤を含むことができる。
【0149】
別の実施形態では、組成物は、約0.01%~約5%(w/v)、約0.1%~約10
%(w/v)又は約0.1%~約5%(w/v)の薬学的に許容される賦形剤を含むこと
ができる。別の実施形態では、組成物は、約5%~約15%(w/v)又は約5%~約1
0%(w/v)の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0150】
さらに別の実施形態では、組成物は、約7%~約10%の薬学的に許容される賦形剤を
含むことができる。
【0151】
界面活性剤は、本発明の組成物の中に、約0.1%~約10%(w/w)、約1%~約
10%(w/w)又は約5%~約10%(w/w)の濃度で存在し得る。より典型的には
、界面活性剤は、約0.1%~約5%(w/w)又は約1%~約5%(w/w)の濃度で
存在し得る。
【0152】
組成物の中で用いることができる界面活性剤の例としては、限定するものではないが、
以下のものを挙げることができる:グリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート(Sp
an(登録商標)20)、ポリビニルアルコール、ポリソルベート、例えば、ポリソルベ
ート20及びポリソルベート80、d-a-トコフェロールポリエチレングリコール10
00スクシネート(TPGS)、ラウリル硫酸ナトリウム、エチレンオキシドとプロピレ
ンオキシドのコポリマー(例えば、ポロキサマー、例えば、LUTROL(登録商標)F
87など)、ポリエチレングリコールヒマシ油誘導体、例えば、ポリオキシル35ヒマシ
油(Cremophor(登録商標)EL)、ポリオキシル40水素添加ヒマシ油(Cr
emophor(登録商標)RH40)、ポリオキシル60水素添加ヒマシ油(Crem
ophor(登録商標)RH60);プロピレングリコールモノラウレート(LAURO
GLYCOL(登録商標));グリセリドエステル、例えば、グリセロールカプリレート
/カプレート(CAPMUL(登録商標)MCM)、ポリグリコール化グリセリド)(G
ELUCIRE(登録商標)、PEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Sof
tigen(登録商標)767)、PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド(L
abrasol(登録商標))、PEG300オレイン酸グリセリド(Labrafil
(登録商標)M-1944CS)、PEG300リノール酸グリセリド(Labrafi
l(登録商標)M-2125CS);ポリエチレングリコールステアレート及びポリエチ
レングリコールヒドロキシステアレート、例えば、ポリオキシル8ステアレート(PEG
400モノステアレート)、ポリオキシル40ステアレート(PEG1750モノステア
レートなど)。
【0153】
ポリエチレングリコールステアレート(同義語としては、マクロゴールステアレート、
ポリオキシルステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、エトキシ化ステアレート
を包含する;CAS No.9004-99-3、9005-08-7)は、混合ポリオ
キシエチレンポリマーのモノステアリン酸エステル及びジステアリン酸エステルの混合物
である。ポリエチレングリコールヒドロキシステアレートは、ヒドロキシステアリン酸と
ポリエチレングリコールのモノエステル及びジエステルの混合物である。組成物の中で用
いることができる1つのポリエチレングリコールヒドロキシステアレートは、ポリエチレ
ングリコール12-ヒドロキシステアレートである。別の実施形態では、本発明の組成物
は、界面活性剤ポリエチレングリコール15 12-ヒドロキシステアレート(BASF
製Kolliphor(登録商標)HS15)、12-ヒドロキシステアリン酸と15モ
ルのエチレンオキシドのモノエステル及びジエステルの混合物を含むことができる。
【0154】
さらにまた、これらの化合物及びそれらの量は、当該技術分野でよく知られている。
【0155】
本発明の別の実施形態では、本発明の組成物は、界面活性剤として、ポリオキシル35
ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)EL)を含むことができる。別の実施形態で
は、本発明の組成物は、界面活性剤として、ポリオキシル40水素添加ヒマシ油(Kol
liphor(登録商標)RH40)又はポリオキシル60水素添加ヒマシ油を含むこと
ができる。本発明の組成物は、さらに、界面活性剤の組み合わせを含むこともできる。
【0156】
本発明の組成物は、別の不活性成分、例えば、酸化防止剤、防腐剤又はpH安定化剤を
含むことができる。これらの化合物は、当該組成物の技術分野においてよく知られている
。
【0157】
酸化防止剤、例えば、ビタミンE、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミ
チン酸アスコルビル、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸ナトリウム、メタ
重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸n-プロピル、BHA(ブチル化
ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA及びクエン酸
、モノチオグリセロール、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ベンジルアルコ
ールなどを本発明の組成物に添加することができる。
【0158】
酸化防止剤は、一般に、本発明の組成物の中に、その組成物の総重量(w/w)に基づ
いて、約0.01%~約3%又は約0.01%~約2%(w/v)の量で含まれている。
別の実施形態では、組成物は、約0.05%~約1.0%(w/w)の酸化防止剤のうち
の1つ又は混合物を含む。
【0159】
ベンジルアルコールのような防腐剤は、組成物の中で、適切には、約0.01%~約1
0.0%の範囲内の量で用いられ、約0.05%~約5.0%が特に好ましい。別の防腐
剤としては、パラベン類(メチルパラベン及び/又はプロピルパラベン)、塩化ベンザル
コニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチル
パラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレ
ゾール、エチルパラベン、イミド尿素、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノ
ール、フェニルエチルアルコール、フェニル水銀アセテート、フェニル水銀ボレート、フ
ェニル水銀ニトレート、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリ
ウム、ソルビン酸、チメロサールなどがある。
【0160】
これらの化合物の好ましい範囲には、約0.01%~約5%が包含される。
【0161】
好ましいのは、ベンジルアルコールである。
【0162】
組成物のpHを安定化させる化合物も存在させることができる。さらにまた、そのよう
な化合物及びこれらの化合物の使用方法は、当業者にはよく知られている。緩衝系として
は、例えば、酢酸/酢酸塩、リンゴ酸/リンゴ酸塩、クエン酸/クエン酸塩、酒石酸/酒
石酸塩、乳酸/乳酸塩、リン酸/リン酸塩、グリシン/グリシメート(glycimat
e)、トリス、グルタミン酸/グルタミン酸塩及び炭酸ナトリウムからなる群から選択さ
れる系を含み、特に、リン酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウムである。
【0163】
水性懸濁液は、本明細書中に記載されているイソオキサゾリン化合物粒子及びモキシデ
クチンミクロスフェアを水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された状態で含むことが
できる。
【0164】
そのような賦形剤としては、以下のものを含む:懸濁化剤、例えば、カルボキシメチル
セルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ア
ルギン酸ナトリウム、ポルビニルピロリドン(polvinylpyrrolidone
)、トラガカントガム及びアカシアガム;分散剤又は湿潤剤、例えば、天然ホスファチド
、例えば、レシチン、又は、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物、例えば、ポリオキシ
エチレンステアレート、又は、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例え
ば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシ
トールに由来する部分エステルの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノ
オレエート、又は、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エ
ステルの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート。
【0165】
水性懸濁液は、さらに、1以上の防腐剤、例えば、安息香酸エチル又は安息香酸n-プ
ロピル、p-ヒドロキシ安息香酸も含有し得る。
【0166】
水を添加することによって水性懸濁液を調製するのに適した分散性の粉末及び顆粒は、
イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロスフェアを、分散剤又は湿潤剤、懸濁
化剤及び1以上の防腐剤と混合物された状態で提供することができる。適切な分散剤又は
湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上記で挙げられたものによって例示される。
【0167】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物は、液体担体(希釈剤)が水である水性懸濁
液中に懸濁させる。
【0168】
別の実施形態では、水性懸濁液の液体担体(希釈剤)は、水及び共溶媒を含む。
【0169】
イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロスフェアを含む本発明の注射可能な
組成物中で用いることができる共溶媒は、単一の共溶媒又は共溶媒のブレンドであること
ができる。
【0170】
一実施形態では、本発明の注射可能な水性組成物の中で用いられる共溶媒は、水に混和
性である極性溶媒を包含する。
【0171】
これらの共溶媒の非限定的な例としては、以下のものを挙げることができる:エタノー
ル、イソプロパノール、ベンジルアルコール、グリコールエーテル(例えば、限定するも
のではないが、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME、Transcut
ol(登録商標)、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテルなど)、液状ポリエチレングリコール(PEG)
(例えば、PEG400)、プロピレングリコール、カルボネート(例えば、プロピレン
カルボネート)、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、ジメチルイソソルビド(DM
I)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、グリセロールホルマール、又は、
これらの溶媒のうちの少なくとも2種類の混合物。
【0172】
一実施形態では、本発明の組成物は、極性プロトン性溶媒(これは、限定するものでは
ないが、アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール又はグリコール若しくはグ
リコールエーテルを包含する)を含む。別の実施形態では、本発明の長期間作用する注射
可能な組成物は、極性非プロトン性溶媒、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルイソ
ソルビド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド又はプロピレンカルボネートを
含む。
【0173】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物は、さまざまな異性体形態で存在し得る。イ
ソオキサゾリン化合物への言及は、常に、そのような化合物の全ての可能な異性体形態を
包含する。
【0174】
別途示されていない限り、特定の立体配座が示されていない化合物構造は、その化合物
の可能な全ての配座異性体の組成物を包含すること、並びに、可能な全ての配座異性体よ
りもより少なく含む組成物を包含することが意図されている。一部の実施形態では、化合
物はキラル化合物である。
【0175】
特に好ましいのは、(S)エナンチオマーである。一部の実施形態では、化合物は、非
キラル化合物である。
【0176】
一実施形態では、式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物は、例えば、特許出願U
S2007/0066617、WO2007/079162、WO2009/00280
9、WO2009/080250、WO2010/070068、WO2010/079
077、2011/075591及びWO2011/124998の中に記載されている
プロセスのうちのいずれかに従って、又は、化学合成の専門家である当業者の能力の範囲
内に入る任意の他のプロセスに従って調製することができる。
【0177】
本発明の生成物の化学的調製のために、当業者は、とりわけ「Chemical Ab
stracts」及びその中で引用されている文献の全内容を自由に使用することができ
るものと考えられる。
【0178】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物は、組成物中で懸濁状態にある。一実施形態
では、懸濁液は水性である。代替的な実施形態では、懸濁液は非水性である。
【0179】
一実施形態では、医薬組成物は、有機溶媒を実質的に含んでいない。
【0180】
一実施形態では、医薬組成物は、界面活性剤/湿潤剤を含む。別の実施形態では、界面
活性剤/湿潤剤は、ポロキサマーである。
【0181】
ポロキサマーの代替は、他の水溶性/水混和性の非イオン性界面活性剤であり、ソルビ
タン脂肪酸エステル(Span)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリ
ソルベート/Tween)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(Cremaphor)
、ポリオキシエチレンステアレート、レシチン及びTPGS(d-α-トコフェリルポリ
エチレングリコール1000スクシネート)を含む。
【0182】
界面活性剤/湿潤剤は、組成物中に、約0.01%w/v~約0.5%w/vの量で、
又は、約0.05%w/v~約0.1%w/vの量で存在する。
【0183】
ポロキサマーは、2つのポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の親水性鎖
に挟まれた中央のポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の疎水性鎖で構
成される非イオン性トリブロックコポリマーである(米国特許第3,740,421号を
参照されたい)。
【0184】
ポロキサマー124は、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレング
リコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)(CAS番号9003-11-6)
である。Lutrol L44又はKollisolv P124としても知られている
。
【0185】
Lutrol F68は、別のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピ
レングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)であり、ポロキサマー188
又はKolliphor P188としても知られている。
【0186】
一実施形態では、医薬組成物は、懸濁化剤を含む。一実施形態では、懸濁化剤は、カル
ボキシメチルセルロースであり、特に、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaC
MC)である。
【0187】
代替的な実施形態では、懸濁化剤は、メチルセルロース又はポリビニルピロリドンであ
る。
【0188】
一実施形態では、医薬組成物は、防腐剤を含む。一実施形態では、防腐剤は、ベンジル
アルコールである。
【0189】
代替的な実施形態では、防腐剤は、m-クレゾール、塩化ベンザルコニウム、メチルパ
ラベン又はプロピルパラベンである。
【0190】
注射可能な医薬組成物は、固体成分を合して混合させ、次いで、その固体混合物を希釈
剤中に懸濁させることによって製造することができる。
【0191】
注射可能な医薬組成物を調製する方法は、イソオキサゾリン粒子をモキシデクチンミク
ロスフェアと合して固体混合物を形成させることを含み、ここで、その固体混合物は、後
の段階において、水性液体担体を用いて再構成させて、注射可能な状態にある水性懸濁液
を形成させる。
【0192】
一実施形態では、水性液体担体は、水である。
【0193】
代替的な実施形態では、希釈剤は、イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロ
スフェア成分に対する溶解性が殆どないか又は全くない、油又は溶媒である。
【0194】
医薬組成物は、さらに、界面活性剤/湿潤剤を含む。
【0195】
具体的な界面活性剤/湿潤剤及び界面活性剤/湿潤剤の代替物は、本明細書中において
及び実施例の中で論じられている。
【0196】
医薬組成物は、さらに、懸濁化剤又は防腐剤のような付加的な賦形剤も含む。
【0197】
適切な賦形剤及び代替剤の具体的な例は、以下の本明細書中において及び実施例の中で
、論じられている。
【0198】
イソオキサゾリン化合物粒子及びモキシデクチンミクロスフェアの粒子サイズ及び測定
定められた粒子サイズを有するイソオキサゾリン化合物の粒子を含む本発明の注射可能
な組成物は、特に有益な特性を有することが見いだされた。
【0199】
一実施形態では、モキシデクチンミクロスフェア及びイソオキサゾリン化合物粒子は、
同じ粒子サイズを有する。
【0200】
従って、本明細書においては、「イソオキサゾリン化合物の粒子サイズ」への言及は、
モキシデクチンミクロスフェアが同じ粒子サイズを有し、同じ方法で測定される組成物へ
の言及を包含する。
【0201】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物及び/又はモキシデクチンミクロスフェアは
、静的光散乱装置によって測定される約25ミクロン~約250ミクロンのD50粒子サ
イズ分布を有し、約11ミクロン~約250ミクロンの粒子サイズ、約50ミクロン~約
150ミクロンの粒子サイズ、約75ミクロン~約130ミクロンの粒子サイズ、約90
ミクロン~約110ミクロンの粒子サイズ、約30ミクロン~約100ミクロンの粒子サ
イズを有する。
【0202】
粒子サイズ分布は、サイズに応じて存在する粒子の相対量を示している。
【0203】
D10は、粒子の10%がそれよりも小さいサイズを表す粒子サイズ分布である。
【0204】
D50は、粒子の50%がそれよりも小さいサイズを表す粒子サイズ測定分布である。
【0205】
D90は、粒子の90%がそれよりも小さいサイズを表す粒子サイズ測定分布である。
【0206】
別の実施形態では、粒子サイズは異なっている。
【0207】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロスフェアの粒子サ
イズは、同じ範囲内にある。
【0208】
別の実施形態では、粒子サイズは、同じ範囲内にない。
【0209】
特定の実施形態では、イソオキサゾリン化合物の粒子サイズのD10は10μmより大
きく、粒子サイズのD50は80~120μmであり、そして、粒子サイズのD90は2
10μm未満である。
【0210】
特定の実施形態では、モキシデクチンミクロスフェアの場合、粒子サイズのD10は5
0μmより大きく、粒子サイズのD50は100~150μmであり、そして、粒子サイ
ズのD90は200μm未満である。
【0211】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は、約10μm、約20μm、約30μm、
約40μm、約50μm、約60μm又は約80μmである。
【0212】
特定の実施形態では、モキシデクチンミクロスフェアの粒子サイズのD10は、約80
μmである。
【0213】
特定の実施形態では、粒子サイズのD50は、約50μm、約75μm、約80μm、
約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm
又は約150μmである。
【0214】
特定の実施形態では、モキシデクチンミクロスフェアの粒子サイズのD50は、約11
0μmである。
【0215】
特定の実施形態では、粒子サイズのD90は、約100μm、約130μm、約150
μm、約175μm、約200μm又は約250μmである。
【0216】
特定の実施形態では、イソオキサゾリン化合物の粒子サイズのD10は約20~35μ
mであり、粒子サイズのD50は約90~105μmであり、そして、粒子サイズのD9
0は約155~175μmである。
【0217】
特定の実施形態では、モキシデクチンミクロスフェアの場合、粒子サイズのD10は約
60~85μmであり、粒子サイズのD50は約90~115μmであり、そして、粒子
サイズのD90は約145~165μmである。
【0218】
特定の実施形態では、モキシデクチンミクロスフェアの場合、粒子サイズのD10は約
80μmであり、粒子サイズのD50は約110μmであり、そして、粒子サイズのD9
0は約150μmである。
【0219】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約25~30μmであり、粒子サイズのD
50は約95~100μmであり、そして、粒子サイズのD90は約160~170μm
である。
【0220】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約10~20μmであり、粒子サイズのD
50は約85~110μmであり、そして、粒子サイズのD90は約170~185μm
である。
【0221】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約10~15μmであり、粒子サイズのD
50は約95~105μmであり、そして、粒子サイズのD90は約175~180μm
である。
【0222】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約10~25μmであり、粒子サイズのD
50は約40~60μmであり、そして、粒子サイズのD90は約95~100μmであ
る。
【0223】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約15~20μmであり、粒子サイズのD
50は約45~55μmであり、そして、粒子サイズのD90は約90~95μmである
。
【0224】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約30~50μmであり、そして、粒子サ
イズのD50は約70~130μmである。
【0225】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約35~45μmであり、そして、粒子サ
イズのD50は約90~110μmである。
【0226】
特定の実施形態では、粒子サイズのD10は約40μmであり、そして、粒子サイズの
D50は約100μmである。
【0227】
体積加重粒子サイズは、篩い分け、顕微鏡検査又はレーザー回折(Malvern又は
Sympatec)によって測定することができる。
【0228】
体積加重粒子サイズの測定は、Hydro 2000G測定セルを備えたMalver
n Mastersizer 2000を用いて、又は、Horiba LA-910レ
ーザー散乱粒子サイズ分布アナライザーを用いて、実施することができる。体積加重粒子
サイズは、Sympatec Helos機器を用いて測定することができる。
【0229】
本発明において使用するために、イソオキサゾリン化合物は、本発明による最終医薬組
成物の約0.1~約50%w/vの量で、本発明による医薬組成物の中に存在している。
【0230】
イソオキサゾリンは、本発明による医薬組成物の中に、約10~約45%w/vの量で
;約20~約45%w/vの量で;約15~35%w/v、又は、約25%w/v~約3
5%w/v、又は、約1%w/v~約12%w/v、又は、約3%w/v~約9%w/v
の量で存在している。
【0231】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a1)生理学的
に活性な大環状ラクトンとしてエプリノメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表され
るイソオキサゾリン化合物としてフルララネル、好ましくは、(S)-フルララネルを含
む。
【0232】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてミルベマイシンオキシムを含み、及び、(b)式(I)で表
されるイソオキサゾリン化合物としてフルララネル、好ましくは、(S)-フルララネル
を含む。
【0233】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてセラメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソ
オキサゾリン化合物としてフルララネル、好ましくは、(S)-フルララネルを含む。
【0234】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてモキシデクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイ
ソオキサゾリン化合物としてアフォキソラネル、好ましくは、(S)-フルララネルを含
む。
【0235】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてエプリノメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表される
イソオキサゾリン化合物としてアフォキソラネル、好ましくは、(S)-アフォキソラネ
ルを含む。
【0236】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてミルベマイシンオキシムを含み、及び、(b)式(I)で表
されるイソオキサゾリン化合物としてアフォキソラネル、好ましくは、(S)-アフォキ
ソラネルを含む。
【0237】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてセラメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソ
オキサゾリン化合物としてアフォキソラネル、好ましくは、(S)-アフォキソラネルを
含む。
【0238】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてモキシデクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるの
イソオキサゾリン化合物としてアフォキソラネル、好ましくは、(S)-アフォキソラネ
ルを含む。
【0239】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、(a)生理学的に
活性な大環状ラクトンとしてエプリノメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表される
イソオキサゾリン化合物としてサロラネルを含む。
【0240】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてミルベマイシンオキシムを含み、及び、(b)式(I)で表される
イソオキサゾリン化合物としてサロラネルを含む。
【0241】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてセラメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソオキサ
ゾリン化合物としてサロラネルを含む。
【0242】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてモキシデクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソオキ
サゾリン化合物としてサロラネルを含む。
【0243】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてエプリノメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソオ
キサゾリン化合物としてロチラネルを含む。
【0244】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてミルベマイシンオキシムを含み、及び、(b)式(I)で表される
イソオキサゾリン化合物としてロチラネルを含む。
【0245】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてセラメクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソオキサ
ゾリン化合物としてロチラネルを含む。
【0246】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、組成物は、生理学的に活性な
大環状ラクトンとしてモキシデクチンを含み、及び、(b)式(I)で表されるイソオキ
サゾリン化合物としてロチラネルを含む。
【0247】
注射可能な組成物は、一般に、動物に投与する前に滅菌することが必要である。本発明
の好ましい一実施形態及び/又は本発明の好ましい実施形態類では、ミクロスフェアは、
例えば、ガンマ線又は電子ビームの照射で滅菌される。
【0248】
生理学的に活性な大環状ラクトンは照射されると分解して生物学的活性の多くを失うと
報告されているが、ミクロスフェア(a)は、活性成分の安定性に悪影響を与えることな
く、照射によって注射用に滅菌することができる。
【0249】
一実施形態では、本発明による医薬組成物の中のイソオキサゾリン化合物の量は、本発
明による医薬組成物の約30%w/vである。
【0250】
一実施形態では、本発明による医薬組成物の中のイソオキサゾリン化合物の量は、本発
明による医薬組成物の約7.5%w/vである。
【0251】
一実施形態では、医薬組成物は、注射の前に再構成させなければならない。例えば、医
薬組成物は、注射の前に水性液体担体中で再構成させる。
【0252】
別の実施形態では、医薬組成物は、注射の準備ができた即時使用可能な組成物である。
【0253】
一実施形態では、医薬組成物は、追加の治療薬と組み合わせて投与される。
【0254】
追加の治療薬の投与は、同じ組成物内であっても又は別個の組成物内であってもよい。
【0255】
追加の治療薬は、殺寄生生物薬又はワクチンであることができる。
【0256】
別の実施形態では、追加の治療薬は、別の殺寄生生物薬である。別の活性成分は、以下
のものからなる群から選択される:イソオキサゾリン化合物、大環状ラクトン類、アベル
メクチン類(例えば、イベルメクチン、セラメクチン、ドラメクチン、アバメクチン及び
エプリノメクチン);ミルベマイシン類(ミルベマイシンオキシム);プロ-ベンゾイミ
ダゾール類(例えば、フェバンテル、ネトビミン及びチオファネート);ベンゾイミダゾ
ール誘導体、例えば、チアゾールベンゾイミダゾール誘導体(例えば、チアベンダゾール
及びカンベンダゾール)、カルバメートベンゾイミダゾール誘導体(例えば、フェンベン
ダゾール、アルベンダゾール(オキシド)、メベンダゾール、オクスフェンダゾール、パ
ルベンダゾール、オキシベンダゾール、フルベンダゾール及びトリクラベンダゾール);
イミダゾチアゾール類(例えば、レバミソール及びテトラミソール);テトラヒドロピリ
ミジン(モランテル及びピランテル)、サリチルアニリド類(例えば、クロサンテル、オ
キシクロザニド、ラフォキサニド及びニクロサミド);ニトロフェノール化合物(例えば
、ニトロキシニル及びニトロスカネート(nitroscanate));ベンゼンジス
ルホンアミド類(例えば、クロルスロン);ピラジノイソキノリン類(例えば、プラジク
アンテル及びエプシプランテル);ヘテロ環化合物(例えば、ピペラジン、ジエチルカル
バマジン及びフェノチアジン);ジクロロフェン、ヒ素剤(例えば、チアセタルサミド、
メロルサミン(melorsamine)及びアルセナミド);シクロオクタデプシペプ
チド類(例えば、エモデプシド);パラヘルクアミド類(例えば、デルクアンテル);及
び、アミノ-アセトニトリル化合物(例えば、モネパンテル、AAD1566);アミジ
ン化合物(例えば、アミダンテル及びトリベンジミジン)〔これらは、全ての薬学的に許
容される形態、例えば、塩、溶媒和物又はN-オキシドなどを包含する〕。
【0257】
本発明の一実施形態は、動物における寄生生物の侵襲を治療又は予防する方法であり、
ここで、該方法は、そのような治療又は予防を必要とする動物に有効量の上記で記載した
注射可能な医薬組成物を投与することを含む。
【0258】
一実施形態では、動物は、最小限の注射部位刺激を経験する。
【0259】
上記で記載したように、最小限の注射部位刺激は、2~3日よりも短い期間続く2×2
cmより小さい注射部位刺激を意味する。
【0260】
一実施形態では、動物は、伴侶動物である。一実施形態では、伴侶動物は、イヌ又はネ
コである。
【0261】
最良の結果のために使用すべき最適な有効量は、もちろん、使用される特定のイソオキ
サゾリン化合物、治療対象の動物種並びに寄生生物の感染又は侵襲のタイプ及び重症度に
依存する。
【0262】
一般に、良好な結果は、式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物を動物の体重1k
gあたり約0.01~200mg(一実施形態では、動物の体重1kgあたり0.1~1
00mg、又は、動物の体重1kgあたり0.5~50mg、又は、動物の体重1kgあ
たり1~30mg)で投与したときに得られ、そのような総投与量は、1回で又は分割さ
れた投与量で投与される。
【0263】
一般に、良好な結果は、モキシデクチンを動物の体重1kgあたり約0.01~10m
g(一実施形態では、動物の体重1kgあたり0.1~5mg)で投与したときに得られ
、そのような総投与量は、1回で又は分割された投与量で投与される。
【0264】
注射可能な医薬組成物は、毎日、1週間に1回、1ヶ月に1回、半年に1回又は1年に
1回、投与することができる。
【0265】
注射可能な医薬組成物は、毎月、2ヶ月ごと、3ヶ月ごと、4ヶ月ごと、5ヶ月ごと、
6ヶ月ごと、7ヶ月ごと、8ヶ月ごと、9ヶ月ごと、10ヶ月ごと、11ヶ月ごと、12
ヶ月ごと、13ヶ月ごと、14ヶ月ごと、15ヶ月ごと、16ヶ月ごと、17ヶ月ごと又
は18ヶ月ごとに投与することができる。
【0266】
特に好ましいのは、6ヶ月ごとの投与である。
【0267】
さらにまた、12ヶ月ごとの投与も好ましい。これによって、動物は、外部寄生生物(
特に、ノミ及びマダニ)及び内部寄生生物(特に、フィラリア及び/又は胃腸蠕虫)の両
方から長期間保護される。特に好ましいのは、フィラリアの侵襲に対する長期的な保護で
ある。
【0268】
有益なのは、本発明の注射可能な組成物を、感染性疾患(例えば、ジステンパー、イン
フルエンザ、狂犬病)に対する年1回のワクチン及び従来の抗原を用いた別のワクチンと
一緒に適用する可能性である。
【0269】
注射可能な医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリン化合物及び/又はモキシデ
クチンミクロスフェアの粒子サイズのD50は、約75ミクロン~約130ミクロンであ
り、そして、粒子サイズのD10は、約30ミクロン~約100ミクロンである。
【0270】
本発明の一実施形態は、動物における寄生生物侵襲を治療又は予防するためのキットで
あり、ここで、該キットは、2つ以上の容器を含む:
(a) 固体結晶性イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロスフェア;
(b) (a)の化合物と一緒に懸濁液を形成することが可能な薬学的に許容される賦形
剤を含むビヒクル;及び、
(c) 注射に先だって固体結晶性イソオキサゾリン化合物とモキシデクチンミクロスフ
ェアを水性液体ビヒクルと合するための使用説明書;
ここで、固体結晶性イソオキサゾリン化合物及びモキシデクチンミクロスフェアの場合、
粒子サイズのD50は約75ミクロン~約130ミクロンであり、そして、粒子サイズの
D10は約30ミクロン~約50ミクロンである。
【0271】
別の実施形態では、イソオキサゾリン化合物は、フルララネルである。
【0272】
本発明の一実施形態はキットであり、ここで、該キットは、以下のものを含む:
(a) 請求項1、8、9、10、11、12、17及び18に記載の式(I)で表され
るイソオキサゾリン化合物の粒子と請求項1~12に記載のモキシデクチンミクロスフェ
アの固体混合物を含む第1の容器;
(b) 1以上の懸濁化剤、湿潤剤及び/又は防腐剤並びに水を含む水性担体を含む第2
の容器;及び、
(c) 動物に皮下注射又は筋肉内注射する前にモキシデクチンミクロスフェアとイソオ
キサゾリン化合物粒子を水性担体を用いて再構成させるための使用説明書。
【0273】
一実施形態では、第1の容器は、動物の寄生生物侵襲を治療及び/又は予防するのに充
分な有効量の、モキシデクチン及び上記で記載した式(I)で表されるイソオキサゾリン
化合物を含む。
【0274】
一実施形態では、キットは、さらに、第1及び第2の容器からの組成物の混合物を再構
成させ、そして、動物に非経口的に(注射によって)投与するための装置(特に、注射器
(例えば、18ゲージ)を使用)を含む。
【0275】
第1の容器における一実施形態では、式(I)で表されるイソオキサゾリン化合物及び
モキシデクチンミクロスフェアは、静的光散乱装置によって測定される場合、約25ミク
ロン~約250ミクロンの体積加重粒子サイズ分布D50を有する。
【0276】
第1の容器における別の実施形態では、イソオキサゾリン化合物の粒子サイズのD10
は約20~35μmであり、粒子サイズのD50は約90~105μmであり、そして、
粒子サイズのD90は約155~175μmである。
【0277】
本発明の別の態様は、動物における寄生生物侵襲を治療又は予防する方法であり、ここ
で、該方法は、そのような治療又は予防を必要とする動物に注射可能な獣医学用組成物を
投与することを含む。
【0278】
本発明の別の態様は、本発明による注射可能な獣医学用組成物を製造する方法であり、
ここで、該方法は、以下の段階を含む:
(a) 結晶化によってイソオキサゾリン化合物粒子の調製する段階;
(b) 脂肪、ロウ又はそれらの混合物を溶融させ、そして、モキシデクチンと場合によ
り酸化防止剤を添加し、そして、回転ディスク噴霧によってミクロスフェアを調製し、そ
して、篩い分けすることによってモキシデクチンミクロスフェアを調製する段階;
(c) 段階(b)で得られたモキシデクチンミクロスフェアを段階(a)で得られたイ
ソオキサゾリン粒子と一緒に第1の容器の中に入れる段階;
(d) 懸濁化剤、湿潤剤及び/又は防腐剤を含む賦形剤を水に溶解させ、第2の容器の
中に入れることによって、水性担体を調製する段階;
(e) 前記水性担体を第2の容器(d)から第1の容器(c)に移し、振盪してaを形
成させることによって、前記固体を再構成させる段階。
【0279】
回転ディスクは、溶融温度、流量及びディスク速度などの重要なプロセスパラメータを
制御することにより、粒子サイズ分布スパンが小さい均一な球状粒子を生成させるための
製造技術として認識されている。
【0280】
回転ディスク噴霧は、機械的エネルギーを使用して、液膜を加圧するか又は液滴の形態
で崩壊するのを可能にするために運動エネルギーを増加させる、カプセル化技術である。
【0281】
あるいは、モキシデクチンを脂肪、ロウ又はそれらの混合物の中に均一に組み込ませる
ために、ホットメルト押出し、ホットメルト造粒、薄膜蒸発などのような他の方法を使用
することができる。得られた混合物は、粉砕又は噴霧して所望の粒子サイズに到達させる
ことができる。
【0282】
必要に応じて、定められた粒子サイズを有するバッチを調製するために、材料を篩にか
けることができる。
【0283】
換言すれば、ミクロスフェア(a)は、生理学的に活性な大環状ラクトンを組み込ませ
、次いで、得られた混合物のミクロスフェアを上記で示された技術のようなさまざまな技
術で形成させることによって調製されたミクロスフェアと見なすことができる。
【0284】
あるいは、生理学的に活性な大環状ラクトンと場合により別の賦形剤の混合物を冷却し
て固体を得ることができ、次いで、その固体を、粉砕、摩砕のような手順によって処理す
ることができる。
【0285】
一般に、溶媒蒸発、回転ディスク噴霧、噴霧乾燥及び篩い分けは、当業者に知られてい
る方法である。
【0286】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、第1の容器の中の前記混合物
は、動物の寄生生物侵襲を治療又は予防するのに充分な、有効量の請求項1~14のいず
れか一項に記載のミクロスフェア並びに請求項1~14いずれか1項に記載の式(I)で
表されるイソオキサゾリン化合物及び/又は請求項1~14のいずれか一項に記載の式(
II)で表される化合物の粒子、を含む。
【0287】
本発明の一実施形態及び/又は本発明の実施形態類では、キットは、さらに、第1及び
第2の容器からの組成物の混合物を再構成させ、そして、動物に非経口投与するための装
置(特に、注射器)を含む。
【0288】
別の実施形態は、動物における寄生生物侵襲を6ヶ月又は12ヶ月の長期間にわたって
治療及び/又は予防する方法であり、ここで、該方法は、そのような治療及び/又は予防
を必要とする動物に、上記で記載したキットを使用するときに調製される再構成された液
体を指示に従って注射によって投与することを含む。
【0289】
寄生生物は、先に記載したように、外部寄生生物及び内部寄生生物である。
【0290】
好ましい標的動物は、伴侶動物、例えば、ネコ又はイヌであり、特に、イヌである。
【0291】
最良の結果のために使用する最適な有効量は、もちろん、使用される特定のイソオキサ
ゾリン化合物及び生理学的に活性な大環状ラクトン、治療対象の動物種並びに寄生生物の
感染又は侵襲のタイプ及び重症度に依存する。
【0292】
本発明の好ましい一実施形態及び/又は本発明の好ましい実施形態類では、式(I)で
表されるイソオキサゾリン化合物(好ましくは、フルララネル)は、動物の体重1kgあ
たり約0.01~約200mg、好ましくは、動物の体重1kgあたり約0.1~約10
0mg、さらに好ましくは、動物の体重1kgあたり約0.5~約50mg、特に、動物
の体重1kgあたり約1~約30mgで投与される。そのような総投与量は、1回で又は
分割された投与量で投与することができる。
【0293】
本発明の好ましい一実施形態及び/又は本発明の好ましい実施形態類では、生理学的に
活性な大環状ラクトン(好ましくは、モキシデクチン)は、動物の体重1kgあたり約0
.01~約10mg、好ましくは、動物の体重1kgあたり約0.1~約5mgで投与さ
れる。そのような総投与量は、1回で又は分割された投与量で投与することができる。
【0294】
本発明の注射可能な獣医学用組成物が動物における寄生生物侵襲の治療及び/又は予防
において使用される場合、その治療された動物は、最小限の注射部位刺激を経験すること
が分かった。
【0295】
上記で記載したように、最小限の注射部位刺激は、2~3日よりも短い期間続く2×2
cmより小さい注射部位刺激を意味する。
【0296】
本発明の別の態様は、動物における寄生生物侵襲を治療及び/又は予防する方法であり
、ここで、該方法は、そのような治療及び/又は予防を必要とする対象動物に、治療有効
量の本発明による注射可能な獣医学用組成物又は本発明によるキットを投与することを含
む。
【0297】
この場合も、注射可能な獣医学用組成物及びキットに関する限り、上記で記載したこと
と同じことが当てはまる。同じことは、寄生生物及び寄生生物侵襲にも当てはまる。
【0298】
本発明の特徴は、本出願の実施形態に記載されている;しかしながら、簡潔にするため
に、それら特徴の全ての組み合わせが文字通り説明されているわけではない。
【0299】
しかしながら、上記で記載されている特徴の組み合わせは、本発明の一部であると明確
に見なされる。
【実施例0300】
実施例
実施例1: 10%モキシデクチンミクロスフェアの調製
グリセリルトリステアレート(GTS)ミクロスフェア中の10%モキシデクチンを、
以下の処方で回転ディスクによって製造した。
【表4】
【0301】
簡潔に述べれば、180gのグリセリルトリステアレートを容器内で溶融させ、撹拌し
ながら180℃の温度まで加熱した。20gのモキシデクチン及び0.06gのブチル化
ヒドロキシトルエンを加え、溶解するまで撹拌した。得られた溶融溶液を約80℃に冷却
し、約90℃に加熱された3000RPMの4インチディスク上にポンプで送り込んだ。
得られたミクロスフェアを篩にかけ、そして、さらなる特性評価及び試験のために150
μm未満の材料を収集した。
【0302】
実施例2
GTSミクロスフェア中の10%モキシデクチンの滅菌 - ミクロスフェアの照射に
対する安定性
以下に記載されているミクロスフェア組成物を20mL容の複数の血清バイアルの中に
入れ、そのうちの2つに乾燥窒素ガスを流して酸素を除去する。次いで、そのバイアルを
エラストマー製セプタム及び圧着アルミニウムキャップで閉じる。次いで、滅菌するため
に、そのミクロスフェアにガンマ線照射と電子ビームの両方を15、20及び25kGy
で照射する。そのミクロスフェアをアセトニトリル/水(1:1)の中に抽出し、23-
(O-メチルオキシム)-F28249aについて高性能液体クロマトグラフィーで分析
する。この実験の結果は、以下の表2において要約されている。GTSミクロスフェアは
、低温又は室温の何れにおいても、窒素オーバーレイの有無にかかわらず、滅菌された。
【0303】
サンプルは、アッセイ中の変化について評価した。%アッセイは、非照射アッセイの%
として報告されている。
【表5】
【0304】
実施例3: 液体水性ビヒクルの調製
注射用蒸留水の約50%を容器に装入し、約70~80℃に加熱し、懸濁化剤NaCM
C、ヒプロメロースE50又はPVPを加え、溶解するまで均質化した。残りの成分をゆ
っくりと加え、撹拌しながら混合して分散させた。熱を取り除き、注射用の冷蒸留水を加
えて容量を10リットルにした。実施例3B及び実施例3Dでは、HClを加えることに
より、pHを4.5-5.5に調節した。
【0305】
各ビヒクルは、オートクレーブによって滅菌し、そして、そのビヒクル溶液は、無菌容
器内で保存した。
【0306】
製品の用量均一性 - 即時使用可能な注射用懸濁液
モキシデクチンミクロスフェアとフルララネル粒子は同様の粒子サイズを示すが、それ
らの密度は異なっている。従って、均一な再懸濁及び投薬に適したビヒクルを見いだすた
めに、多くの異なるビヒクルについて試験した。
【0307】
15%のフルララネルと1.7%のモキシデクチンGTSミクロスフェアを含むサンプ
ルを、各ビヒクル内で視覚的に分散するまで約30秒間手で振盪した。
【0308】
以下のビヒクルについて調べた。
【0309】
再構成/再懸濁のための粘性水性ビヒクルの配合例:
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0310】
次いで、6つの1mLサンプルを採取し、モキシデクチン及びフルララネルアッセイに
ついて試験した。結果は以下の表4に示されている。
【表11】
【0311】
実施例4: 最終的な製剤の製造及び使用
使用に際して、実施例3で製造したビヒクルを、実施例1で製造したモキシデクチンミ
クロスフェア及び結晶性フルララネル粒子に添加し、そして、その容器を振盪してミクロ
スフェア及びフルララネル粒子を液体ビヒクル内に分散させた。次いで、その製剤を治療
対象のイヌの体重に対して指定された投与量で注射器内に引き出し、皮下注射した。
【0312】
実施例5
GTSモキシデクチンミクロスフェアとフルララネル粒子を含む注射用製剤の薬物動態
評価
製剤:
A. 15%フルララネル+0.17%モキシデクチンミクロスフェア(篩い分けなし
、GTS、25kGy);
B. 15%フルララネル+0.17%モキシデクチンミクロスフェア(篩い分けなし
、GTS、15kGy);
C. 15%フルララネル+0.17%モキシデクチンミクロスフェア(D50=75
μm、GTS、25kGy);
D. 15%フルララネル+0.17%モキシデクチンミクロスフェア(D50=15
0μm、GTS、25kGy)。
【0313】
製剤は、以下のようにして調製した:
A. ビヒクル
1. 注射用蒸留水の総体積の約80%を装入した;
2. 懸濁化剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC))を添加し、
オーバーヘッドミキサーで約5分間混合させた;
3. 凝集物がなくなるまで、混合物をホモジナイザーでさらに混合させた;
4. 湿潤剤(ポロキサマー124)を加え、均一になるまでオーバーヘッドミキサー
で混合させた;
5. 防腐剤(ベンジルアルコール(BA))を加え、均一になるまでオーバーヘッド
ミキサーで混合させた;
6. リン酸ナトリウムを加え、均一になるまでオーバーヘッドミキサーで混合させた
;
7. 消泡剤(シメチコン)を均一になるまでオーバーヘッドミキサーで穏やかに混合
させた(5分間);
8. HClを添加して混合物のpHをpH7.0-7.4に調節し、均一になるまで
オーバーヘッドミキサーで穏やかに混合させた(5分間);
9. 注射のための最終重量になるまで充分量の水を加え、次いで、均一になるまでオ
ーバーヘッドミキサーで穏やかに混合させた(5分間);
10. 得られた製剤を注射可能なバイアル内に入れ、ストッパーで密封した;
11. そのバイアルを121℃で15分間のサイクルでオートクレーブ処理した。
【0314】
B. 活性成分
1. 固体フルララネル及びモキシデクチンGTSミクロスフェア(上記のように調製
したもの)をバイアルに加え、密封した;
2. そのバイアルをガンマ線によって最終的に滅菌した。
【0315】
C. 再構成された注射可能な製剤の形成
1. AのバイアルのビヒクルをBの活性成分バイアルに加え、振盪した;
2. 得られた懸濁液は、注射の準備ができていた。
【0316】
類似の手順を使用して、実施例5B-Hの製剤を製造した。バッチサイズは、50mL
~1000mLの範囲内であった。
【表12】
【0317】
製剤A、製剤B、製剤C又は製剤Dのサンプルを、それぞれ8匹のビーグル犬からなる
異なるグループに、0.1mL/kgBW(即ち、15mgフルララネル/kgBW、0
.17mgモキシデクチン/kgBW)で、1回で皮下投与した。
【0318】
上記製剤の局所耐性は、投与後少なくとも21日間評価した。
【0319】
モキシデクチン及び総フルララネル血漿濃度を測定するための血液サンプルは、治療前
、治療後8時間、並びに、治療後1日、3日、5日、7日、10日、14日、21日、2
8日、35日、42日、49日、56日、70日、84日、98日、112日、126日
、140日、154日、168日及び182日に採取した。
【0320】
皮下投与後のイヌにおいてモキシデクチン及びフルララネルの長期血漿レベルを示す好
ましい薬物動態プロフィールが、全ての試験製剤について得られた。
【0321】
実施例5の製剤の評価中に、著しい注射反応はなかった。
前記イソオキサゾリン化合物粒子が、走査電子顕微鏡によって測定して、10μmより大きく100μm未満の厚さを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
モキシデクチンミクロスフェア及び/又はイソオキサゾリン化合物粒子の体積加重粒子サイズのD10が約20~35μmであり、粒子サイズのD50が約90~105μmであり、そして、粒子サイズのD90が、155~175μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。
前記懸濁化剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロースから選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射可能な獣医学用組成物。