(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170643
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159841
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2020198316の分割
【原出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】藤内 裕史
(57)【要約】
【課題】通常時に基板を保持することができつつ、簡易な構成で回転台の軽量化を図ることができる。
【解決手段】切り換え機構は、通常時に、駆動マグネットの磁界を回転マグネット47cへ付与せず、基板Wの受渡時にのみ、駆動マグネットの磁界を回転マグネット47cへ付与して、各可動ピン29を受渡位置に回動させる。したがって、通常時には、固定マグネット57からの磁力により、各可動ピン29が保持位置に回動される。基板Wの受渡時にのみ、切り換え機構の磁力により、各可動ピン29が受渡位置に回動される。バネやカム板や昇降板などが不要となるので、簡易な構成で回転台の軽量化を図ることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して所定の処理を行う基板処理装置において、
鉛直軸周りに回転可能に構成された回転台と、
前記回転台を水平面内で回転駆動する回転駆動手段と、
前記回転台の上面から基板を離間した状態で水平姿勢に保持する保持機構と、
を備え、
前記保持機構は、
前記回転台の外周側における上面にて鉛直軸周りに回動自在に設けられ、基板の周縁に当接して、基板の水平方向への移動を規制する保持位置と、基板の周縁から離間し、基板の移動を許容する受渡位置とにわたって回動する複数個の支持ピンと、
周囲の磁極の切り換えにより、前記保持位置と前記受渡位置とに前記各支持ピンを回動させる第1の磁力部と、
前記第1の磁力部に対して常に磁界を付与して、前記各支持ピンを前記保持位置に回動させる第2の磁力部と、
を備え、
前記第2の磁力部の磁力よりも大きな磁力を有する第3の磁力部を備え、通常時は、前記第3の磁力部の磁界を前記第1の磁力部へ付与せず、基板の受渡時にのみ、前記第3の磁力部の磁界を前記第1の磁力部へ付与して、前記各支持ピンを前記受渡位置に回動させる切り換え機構と、
を備え、
前記回転台の下方にて前記回転駆動手段を覆って配置され、前記基板に供給される処理液に耐性を備えたカバーをさらに備え、
前記第3の磁力部は、前記カバー内に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示器や有機EL(Electroluminescence)表示装置用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板(以下、単に基板と称する)を回転台に支持した状態で回転させつつ、基板に対して所定の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、回転台と、モータと、処理液供給ノズルと、複数個の支持ピンと、第1の昇降板と、バネと、カム板と、軸と、第2の昇降板と、エアシリンダとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
基板処理装置は、回転台の上面において複数個の支持ピンにより基板を支持する。基板の下面は、回転台の上面と離間している。基板処理装置は、モータにより回転台とともに基板を回転させながら、処理液供給ノズルから処理液を基板に供給する。これにより、基板に対して所定の処理を行う。
【0004】
複数個の支持ピンは、鉛直軸周りに回転可能に回転台の外周側に取り付けられている。各支持ピンは、基板の周縁を当接支持する保持位置と、基板を受け渡すための受渡位置とにわたって回動可能である。各保持ピンは、胴部に水平方向に突出して軸が取り付けられている。軸は、カム板の孔部に挿通されている。カム板は、第1の昇降板に連結されている。第1の昇降板は、その上面が回転台の下面にバネで連結されている。バネは、圧縮コイルバネであり、通常時に第1の昇降版を回転台の下面から離間するように下方へ付勢している。したがって、第1の昇降板は、通常時に下方へ付勢されている。そのため、カム板が下方へ移動され、通常時に支持ピンが保持位置に回動されている。
【0005】
第1の昇降板は、下面に磁石が取り付けられている。第2の昇降板は、第1の昇降板の下方に離間して配置されている。第2の昇降板は、上面に磁石が取り付けられている。第1の昇降板と第2の昇降板の磁石は、互いに反発する極同士が対向して配置されている。第2の昇降板は、エアシリンダにより第1の昇降板に近い位置と、離れた位置とにわたり移動される。エアシリンダは、通常時、作動軸が収縮し、第1の昇降板に遠い位置に第2の昇降板を位置させている。基板を受け渡す際には、エアシリンダにより第2の昇降板が第1の昇降板に近い位置に移動される。これにより、第1の昇降板が磁力で反発してバネが圧縮され、カム板が上昇する。各支持ピンは、これに伴って受渡位置に回動する。
【0006】
このような構成の基板処理装置は、通常時に各支持ピンが保持位置に維持される。したがって、エアシリンダが故障したり、停電等が生じたりして、エアシリンダの作動軸が収縮した場合であっても、回転台における基板の保持が維持される。その結果、基板が回転台から外れることがないので、基板の破損を防止できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-146747号公報(
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、通常時に基板を保持することができるものの、バネの弾性力により基板を保持し、磁力により弾性力による保持を解除して基板の保持を解除する。そのため、バネやカム板や昇降板などの構成が必要であるので、回転台の構造が複雑化し、重量が重くなるという問題がある。また、定期的に交換が必要となる複数個の支持ピンを交換するメンテナンスの際には、回転台を取り外す必要がある。回転台の重量が重いので、メンテナンス時における作業者の負担も大きくなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、通常時に基板を保持することができつつ、簡易な構成で回転台の軽量化を図ることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、磁力だけによる回動で基板を保持・開放することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、基板に対して所定の処理を行う基板処理装置において、鉛直軸周りに回転可能に構成された回転台と、前記回転台を水平面内で回転駆動する回転駆動手段と、前記回転台の上面から基板を離間した状態で水平姿勢に保持する保持機構と、を備え、前記保持機構は、前記回転台の外周側における上面にて鉛直軸周りに回動自在に設けられ、基板の周縁に当接して、基板の水平方向への移動を規制する保持位置と、基板の周縁から離間し、基板の移動を許容する受渡位置とにわたって回動する複数個の支持ピンと、周囲の磁極の切り換えにより、前記保持位置と前記受渡位置とに前記各支持ピンを回動させる第1の磁力部と、前記第1の磁力部に対して常に磁界を付与して、前記各支持ピンを前記保持位置に回動させる第2の磁力部と、を備え、前記第2の磁力部の磁力よりも大きな磁力を有する第3の磁力部を備え、通常時は、前記第3の磁力部の磁界を前記第1の磁力部へ付与せず、基板の受渡時にのみ、前記第3の磁力部の磁界を前記第1の磁力部へ付与して、前記各支持ピンを前記受渡位置に回動させる切り換え機構と、を備え、前記回転台の下方にて前記回転駆動手段を覆って配置され、前記基板に供給される処理液に耐性を備えたカバーをさらに備え、前記第3の磁力部は、前記カバー内に配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]本発明によれば、切り換え機構は、通常時に、第3の磁力部の磁界を第1の磁力部へ付与せず、基板の受渡時にのみ、第3の磁力部の磁界を第1の磁力部へ付与して、各支持ピンを受渡位置に回動させる。したがって、通常時には、第2の磁力部からの磁力により、各支持ピンが保持位置に回動される。一方、基板の受渡時にのみ、切り換え機構の第3の磁力部の磁力により、各支持ピンが受渡位置に回動される。その結果、バネやカム板や昇降板などが不要となるので、簡易な構成で回転台の軽量化を図ることができる。また、回転台の軽量化に伴い、定期的に交換が必要となる複数個の支持ピンを交換するメンテナンスの際に回転台を容易に取り外すことができる。したがって、メンテナンス時における作業者の負担も軽減できる。
【0013】
カバー内に第3の磁力部を配置しているので、第3の磁力部に対して耐薬品性を施す必要ない。したがって、コストを抑制できる。
【0014】
なお、本明細書は、次のような基板処理装置に係る発明も開示している。
【0015】
上述の基板処理装置において、前記第1の磁力部及び前記第2の磁力部は、平面視にて前記回転台の回転中心を中心とした同一円周上に配置されていることが好ましい。
【0016】
第1の磁力部及び第2の磁力部がともに外周側から視認できる位置に配置されている。したがって、メンテナンス時に作業が容易に行える。
【0017】
また、上述の基板処理装置において、前記第1の磁力部は、前記回転台の下面に突出した前記支持ピンの下端部に連結され、前記第2の磁力部は、前記回転台の下面における前記第1の磁力部の側方に配置されていることが好ましい。
【0018】
第1の磁力部に対して側方から第2の磁力部の磁力を付与する。したがって、支持ピンが保持位置となる際の回動の度合いを第2の磁力部の位置により調整しやすくできる。
【0019】
また、上述の基板処理装置において、前記切り換え機構は、前記第3の磁力部を昇降する昇降機構を備え、前記昇降機構は、上昇動作により、前記第3の磁力部を前記第1の磁力部に近づけて前記支持ピンを前記受渡位置に回動させ、下降動作により、前記第3の磁力部を前記第1の磁力部から遠ざけて前記支持ピンを前記保持位置に回動させ、通常時は、前記下降動作であることが好ましい。
【0020】
切り換え機構の昇降機構による第3の磁力部の上昇動作により各支持ピンが受渡位置に回動され、下降動作により、各支持ピンが保持位置に回動される。通常時は、下降動作であるので、停電時などにより昇降機構が動作を停止して、下降動作となった場合であっても、各支持ピンが保持位置に維持される。したがって、基板が回転台から外れることがないので、基板の破損を防止できる。
【0021】
また、上述の基板処理装置において、前記第3の磁力部は、平面視において、前記第1の磁力部及び前記第2の磁力部よりも前記回転台の回転中心側に配置されていることが好ましい。
【0022】
第3の磁力部を回転台の回転中心側に寄せて配置できる。したがって、切り換え機構の小型化を図ることができる。
【0023】
また、上述の基板処理装置において、前記回転台は、上面から下面に貫通した複数個の貫通口を備え、前記各支持ピンは、前記貫通口に挿通され、前記回転台は、前記貫通口の周囲だけが上面よりも低く形成され、前記回転台の外周面に向けて切り欠かれた切り欠き部を備えていることが好ましい。
【0024】
切り欠き部から処理液を側方に排出しやすくできるので、回転台の上面から側方に流れる処理液が支持ピンの取り付けられた箇所で滞留することを抑制できる。したがって、滞留した処理液に起因してパーティクルが発生することを防止できる。
【0025】
また、上述の基板処理装置において、前記回転台は、前記支持ピンの配置位置の下面に前記支持ピンを支持する支持プレートを備え、前記支持プレートは、前記回転台の円弧に沿った一端部と、前記一端部とは前記回転台の円弧における反対側の他端部と、前記一端部側に形成された前記支持ピンの取付部と、前記他端部側に形成され、前記回転台へネジ止め固定するための丸ネジ穴部と、前記一端部側に形成され、前記回転台へネジ止めするための、前記回転台の径方向に長軸を有する長ネジ穴部とを備え、前記長ネジ穴部のネジを緩めた状態で、前記一端部を前記回転台の径方向に移動して、前記回転台の径方向における前記支持ピンの位置を調整することが好ましい。
【0026】
支持プレートの長ネジ穴部のネジを緩めた状態で、一端部を回転台の径方向に移動して、回転台の径方向における支持ピンの位置を調整できる。したがって、径方向における基板の支持が適切となるように容易に調整できる。換言すると、いわゆる芯ブレがなくなるように容易に調整できる。その結果、処理の面内均一性を向上できる。
【0027】
また、上述の基板処理装置において、前記支持ピンは、円柱状の軸部と、前記軸部の上部に形成され、前記基板の外周側の下面及び外周縁に当接して基板を支持する支持片と、を備え、前記支持片は、平面視で楕円形状を呈し、前記支持ピンが前記保持位置に回動した際に、前記支持片の長軸が前記回転台の外周縁に沿う姿勢となることが好ましい。
【0028】
支持ピンが保持位置に回動することにより、支持片の長軸が回転台の外周縁に沿う姿勢となる。したがって、回転台の回転時において支持片における空気抵抗を低減でき、支持ピンの周囲における気流の乱れを抑制できる。その結果、支持ピンの近くにおける基板の周縁部における処理ムラを抑制できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る基板処理装置によれば、切り換え機構は、通常時に、第3の磁力部の磁界を第1の磁力部へ付与せず、基板の受渡時にのみ、第3の磁力部の磁界を第1の磁力部へ付与して、各支持ピンを受渡位置に回動させる。したがって、通常時には、第2の磁力部からの磁力により、各支持ピンが保持位置に回動される。一方、基板の受渡時にのみ、切り換え機構の第3の磁力部の磁力により、各支持ピンが受渡位置に回動される。その結果、バネやカム板や昇降板などが不要となるので、簡易な構成で回転台の軽量化を図ることができる。また、回転台の軽量化に伴い、定期的に交換が必要となる複数個の支持ピンを交換するメンテナンスの際に回転台を容易に取り外すことができる。したがって、メンテナンス時における作業者の負担も軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
【
図2】(a)は回転台の全体を示す平面図であり、(b)はその一部拡大図である。
【
図3】(a)は回転台の全体を示す底面図であり、(b)はその一部拡大図である。
【
図5】
図4及び
図6における101-101矢視断面図である。
【
図9】可動ピンの保持位置における磁石の位置関係を示す図である。
【
図10】可動ピンの受渡位置における磁石の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0032】
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
図2は、(a)は回転台の全体を示す平面図であり、(b)はその一部拡大図である。
図3は、(a)は回転台の全体を示す底面図であり、(b)はその一部拡大図である。
【0033】
実施例に係る基板処理装置は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。この基板処理装置は、ベースユニット1と、チャックユニット3と、飛散防止カップ5と、供給ノズル7と、制御部9とを備えている。
【0034】
ベースユニット1は、チャックユニット3を回転させるとともに、チャックユニット3による基板Wの保持を開放させる。チャックユニット3は、基板Wを水平姿勢で保持して回転される。飛散防止カップ5は、供給ノズル7から基板Wに供給された処理液が周囲に飛散するのを防止する。飛散防止カップ5は、処理高さ(
図1中の実線)と、処理高さより下方に相当する受け渡し高さ(
図1中の二点鎖線)とにわたって昇降される。
【0035】
ベースユニット1は、電動モータ11と、切り換え機構13とを備えている。電動モータ11と切り換え機構13とは、耐薬品性を備えたカバー15内に配置されている。換言すると、カバー15は、電動モータ11と切り換え機構13とを覆っている。カバー15内に電動モータ11と切り換え機構13を配置しているので、これらに対して処理液に対する耐性を備えた処理を施したり、処理液に耐性を備えた材料で構成したりする必要がない。そのため、ベースユニット1のコストを抑制できる。
【0036】
電動モータ11は、鉛直方向に回転軸17を備えている。回転軸17は、鉛直方向の軸芯P1周りに回転される。回転軸17は、導電性を有する金属材料で構成されている。回転軸17は、図示しない接地線に導通するように電気的に接続されている。電動モータ11は、回転軸17の回転位置をエンコーダ19から出力する。回転軸17は、ベアリング21で回転可能に支持されてカバー15から上方へ延出されている。回転軸17の上部には、チャックユニット3が取り付けられている。
【0037】
上述したチャックユニット3が本発明における「保持機構」に相当し、電動モータ11が本発明における「回転駆動手段」に相当する。
【0038】
チャックユニット3は、回転台23と、保持機構25とを備えている。回転台23は、
図2(a)に示すように、平面視で円形状を呈する。回転台23は、例えば、供給ノズル7から供給される処理液に対する耐性を有する材料で構成されている。具体的には、例えば、フッ素樹脂が挙げられる。より具体的には、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が挙げられる。
【0039】
保持機構25は、例えば、2本の固定ピン27と、2本の可動ピン29とを備えている。回転台23は、2本の固定ピン27と、2本の可動ピン29に対応する位置に、貫通口31を備えている。各貫通口31は、回転台23の上面から下面に貫通している。2本の固定ピン27と2本の可動ピン29は、それぞれ貫通口31に挿通されている。回転台23は、貫通口31の周囲に切り欠き部33が形成されている。切り欠き部33は、回転台23の上面よりも、低く形成されている。切り欠き部33は、平面視でUの字状を呈する。
【0040】
切り欠き部33は、処理液を側方に排出しやすくできる。したがって、回転台23の上面から側方に流れる処理液が固定ピン27及び可動ピン29が取り付けられた箇所で滞留することを抑制できる。したがって、滞留した処理液に起因してパーティクルが発生することを防止できる。
【0041】
なお、上述した固定ピン27と可動ピン29とが本発明における「支持ピン」に相当する。
【0042】
ここで、
図4を参照する。
図4は、固定ピンの縦断面図である。
【0043】
固定ピン27は、下部ピン部35と、上部ピン部37とを備えている。下部ピン部35は、回転台23の下部に設けられている。下部ピン部35は、貫通口31を介して上部ピン部37と連結されている。下部ピン部35は、ピン支持部35aと、固定用ネジ35bと、バランスウエイト35cと、蓋部材35dと、固定シール35eとを有する。ピン支持部35aは、上部ピン部37をピン支持部35aに固定するための固定用ネジ35bが上部にねじ込まれている。固定用ネジ35bの下部には、バランスウエイト35cが取り付けられている。バランスウエイト35cは、可動ピン29との重量バランスをとるためのものである。バランスウエイト35cの下部には、蓋部材35dが取り付けられている。蓋部材35dは、バランスウエイト35cをピン支持部35aに固定する。蓋部材35dは、固定シール35eによってピン支持部35aに固定されている。ピン支持部35aは、固定シール35fを介して上部に上部ピン部37が取り付けられている。固定シール35fは、処理液が内部に浸入して固定用ネジ35b等を腐食させることを防止する。
【0044】
上部ピン部37は、軸部37aと、支持片37bとを備えている。支持片37bは、突起37cを備えている。軸部37aは、固定シール35fに載置された状態で、固定用ネジ35bによってピン支持部35aに固定されている。支持片37bは、平面視で楕円形状を呈する。支持片37bは、基板Wの外周側の下面及び外周縁に当接して、基板Wを支持する。支持片37bは、軸芯P1側に傾斜面37dが形成されている。傾斜面37dは、軸芯P1から回転台23の外周側に向かって緩やかに高くなる傾斜を有する。傾斜面37dは、基板Wの下面に当接する。支持片37bは、平面視で固定用ネジ35bよりも外周側に突起37cを形成されている。突起37cは、基板Wの外周縁に当接し、基板Wが外方へ移動することを規制する。固定ピン27は、支持片37bの楕円形状の長軸が回転台23の外周縁に沿う姿勢となるように取り付けられている。
【0045】
固定ピン27は、上部ピン部37とピン支持部35aの上面との接触部分に、シム39を挿入可能である。シム39は、ステンレス鋼板の薄板である。シム39を厚さが異なるものに変えたり、シム39の枚数を増減したりすることにより、回転台23の上面からの固定ピン27における上部ピン部37の高さを調整できる。これにより、基板Wの支持高さを調整でき、基板Wが水平となるように調整できる。固定シール35e,35fは、耐薬品性を有する弾性部材である。具体的には、固定シール35e,35fは、例えば、フッ素ゴム(フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等が好ましい。
【0046】
固定ピン27は、
図3(a)に示すように、下部ピン部35がピンカバー41を介して回転台23の下面にネジ止めされている。なお、
図4においては、図示の関係上、ピンカバー41の図示を省略している。上述した固定ピン27を構成する部品のうち、ピン支持部35aと、支持片37bとは、耐薬品性を有する導電性の材料で構成されていることが好ましい。より好ましくは、カーボンナノチューブを配合した導電性PEEK素材である。これにより、導電性を確保できる。
【0047】
回転台23の下面には、グラウンド線43が設けられている。具体的には、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、2本の固定ピン27と2本の可動ピン29に導通をとるように、4本のグラウンド線43が配置されている。グラウンド線43は、導電性を有する。好ましくは、カーボンナノチューブを配合した導電性PEEK素材である。グラウンド線43の外周側の端部は、ピン支持部35aに対して導通するように取り付けられている。グラウンド線43の軸芯P1側の端部は、回転軸17に対して導通するように取り付けられている。回転軸17は、電動モータ11を介して接地線に接続されている。
【0048】
ここで、
図5を参照する。
図5は、
図4及び
図6における101-101矢視断面図である。
【0049】
回転台23は、平面視で十字形状となるように下面に溝45が形成されている。溝45は、縦断面形状が逆台形状となっている。溝45には、上述したグラウンド線43が嵌め付けられている。グラウンド線43は、その縦断面形状が溝45にほぼ一致する形状である。グラウンド線43は、外形が溝45より若干小さく形成されている。したがって、回転台23の面に沿って、半径方向にグラウンド線43を溝45に通すことで、グラウンド線43を溝45に取り付けることができる。これにより、グラウンド線43は、溝45に緩く通されることになる。そのため、樹脂材料において生じる恐れがある、荷重をかけると時間とともに変形していく現象(クリープ現象と呼ばれる)を防止できる。これにより、グラウンド線43が変形して導通がとりづらくなる不具合を防止できる。
【0050】
回転台23がPEEKなどの非導電性の材料で構成されている場合には、付着したパーティクルが帯電により離脱しづらくなることがある。これが原因となって、基板Wがパーティクルで汚染されることがある。本実施例では、グラウンド線43を配置することにより、上述した固定ピン27と、以下に説明する可動ピン29を接地している。したがって、帯電を防止できるので、上記の不具合を防止できる。その上、カーボンナノチューブを配合した導電性PEEK素材は非常に高価であるが、本実施例では、回転台23の全体ではなく、平面視で十字形状となる一部のみを導電性PEEK素材で構成している。したがって、コストを抑制しつつ上記の不具合を防止できる。
【0051】
次に、
図6を参照する。
図6は、可動ピンの縦断面図である。
【0052】
可動ピン29は、下部ピン部47と、上部ピン部49とを備えている。下部ピン部47は、回転台23の下部に設けられている。下部ピン部47は、貫通口31を介して上部ピン部49と連結されている。下部ピン部47は、ピン支持47aと、回転マグネット47c、蓋部材47dと、固定シール47eと、ベアリング47fと、固定シール47gと、筒状部材47hとを備えている。
【0053】
ピン支持部47aは、上部ピン部49をピン支持部47aに固定するための固定用ネジ47bが上部にねじ込まれている。固定用ネジ47bの下部には、回転マグネット47cが取り付けられている。回転マグネット47cは、可動ピン29の下端部に連結されている。この回転マグネット47cは、後述するように、周囲の磁極の切り換えにより可動ピン29を回動させるものである。回転マグネット47cの下部には、蓋部材47dが取り付けられている。蓋部材47dは、回転マグネット47cをピン支持部47aに固定する。蓋部材47dは、固定シール47eによってピン支持部47aに固定されている。ピン支持部47aは、ベアリング47f及び筒状部材47fを介して固定シール47gによって貫通口31に取り付けられている。ピン支持部47aは、ベアリング47fの内輪にのみ固定されており、ベアリング47fの外輪には固定されていない。ベアリング47fは、外輪が貫通口31に固定されている。筒状部材47は、下面がピン支持部47aの上面から離間した状態でピン支持部47aの上部に取り付けられている。
【0054】
筒状部材47hは、ベアリング47fの外輪と、回転台23の下面にのみ固定されている。筒状部材47hは、その下面がピン支持部47aから離間して配置されている。ベアリング47fは、内輪と外輪との間にシール部材を備えていない。そのため、ベアリング47fは、内輪と外輪との間を通って流体が通過できる。ベアリング47fは、処理液に耐性を備えている材料で構成されている。例えば、ベアリング47fは、内輪と外輪とが導電性樹脂で構成されていることが好ましい。ベアリング47fは、例えば、カーボンナノチューブを配合した導電性PEEK素材で構成されていることが好ましい。また、ベアリング47fの転動体は、耐摩耗性や導電性の確保という面から、SiC(シリコンカーバイド)で構成されていることが好ましい。ベアリング47fを流下した流体は、筒状部材47hの下面とピン支持部47aとの隙間の流路47iを通って周囲に排出される。したがって、切り欠き部33の効果と相まって、回転台23における可動ピン29の根元において処理液が滞留することをより効果的に防止できる。
【0055】
上部ピン部49は、軸部49aと、支持片49bとを備えている。支持片49bは、突起49cを備えている。軸部49aは、固定シール47gに載置された状態で固定用ネジ47bによってピン支持部47aに固定されている。支持片47bは、平面視で楕円形状を呈する。支持片47bは、基板Wの外周側の下面及び外周縁に当接して、基板Wを支持する。支持片47bは、軸芯P1側に傾斜面49dが形成されている。傾斜面49dは、軸芯P1から回転台23の外周側に向かって緩やかに高くなる傾斜を形成されている。傾斜面49dは、基板Wの下面に当接する。支持片49bは、平面視で固定用ネジ47bよりも外周側に突起49cが形成されている。突起49cは、基板Wの外周縁に当接し、基板Wが外方へ移動することを規制する。なお、可動ピン29は、固定ピン27と同様に、上部ピン部49とピン支持部47aの上面との接触部分に、シム51を挿入可能である。シム51を厚さが異なるものみ変えたり、シム51の枚数を増減したりすることにより、回転台23の上面からの可動ピン29における上部ピン部49の高さを調整できる。これにより、基板Wの面高さを調整することができる。これは、面ブレ調整とも呼ばれる。なお、固定シール47e,47gの材質は、上述した固定シール35e,35fと同様のものが好ましい。可動ピン29は、ベアリング47fによって、軸芯P2周りに回動可能に構成されている。
【0056】
可動ピン29は、
図3(a)、(b)に示すように、下部ピン部47が支持プレート53で回転台23の下面にネジ止め固定されている。なお、
図6においては、図示の関係上、支持プレート53の図示を省略している。上述した可動ピン29を構成する部品のうち、下部ピン部47と上部ピン部37とは、耐薬品性を有する導電性の材料で構成されていることが好ましい。より好ましくは、カーボンナノチューブを配合した導電性PEEK素材である。これにより、導電性を確保できる。
【0057】
可動ピン29は、保持位置に回動された際に、固定ピン27と同様に、支持片49bの楕円形状の長軸が回転台23の外周縁に沿う姿勢となるように取り付けられている。したがって、可動ピン29が保持位置に回動することにより、支持片37b,49bの長軸が回転台23の外周縁に沿う姿勢となる。したがって、回転台23の回転時において支持片37b,49bにおける空気抵抗を低減でき、固定ピン27及び可動ピン29の周囲における気流の乱れを抑制できる。その結果、固定ピン27及び可動ピン29の近くにおける基板Wの周縁部における処理ムラを抑制できる。
【0058】
図2(a)及び
図3(a)に示すグラウンド線43は、その外周側の端部が下部ピン部47に対して導通するように取り付けられている。グラウンド線43の軸芯P1側の端部は、回転軸17に対して導通するように取り付けられている。
【0059】
図3及び
図7を参照する。なお、
図7は、可動ピンを下方から見た斜視図である。
【0060】
支持プレート53は、一端部53aと、他端部53bと、取付部53cと、丸ネジ穴部53dと、長ネジ穴部53eとを備えている。支持プレート53は、処理液に対する耐性を備えた材料で構成されている。その材料は、フッ素樹脂が好ましい。より好ましくは、PEEKである。
【0061】
一端部53aは、回転台23の外周縁に相当する円弧に沿った支持プレート53の一部位である。他端部53bは、一端部53aに対して、回転台23の外周縁に相当する円弧における反対側の一部位である。取付部53cは、一端部53a側に形成された可動ピン29の取り付けられる部位である。丸ネジ穴部53dは、他端部53b側に形成され、回転台23へネジ止め固定するための取り付け穴である。長ネジ穴部53eは、一端部53a側に形成され、回転台23へネジ止めするための取り付け穴である。その穴は、回転台23の径方向に長軸を有する長穴となっている。
【0062】
支持プレート53は、上述したように長ネジ穴部53eを備えている。そのため、長ネジ穴部53eのネジを緩めた状態で、一端部53aを回転台23の径方向に移動して、回転台23の径方向における可動ピン29の位置を調整することができる。これにより、回転台23の径方向における基板Wの支持が適切となるように容易に調整できる。換言すると、回転台23の回転中心と基板Wの中心とが一致するように、いわゆる「芯ブレ」がなくなるように容易に調整できる。その結果、基板Wにおける処理の面内均一性を向上できる。
【0063】
支持プレート53は、取付部53cに隣接する位置に収容部55が形成されている。収容部55は、回転台23の下面に位置し、回転マグネット47cの側方に形成されている。収容部55は、固定マグネット57を収容している。固定マグネット57は、回転マグネット47cに対して常に磁界を付与する。固定マグネット57により磁界を付与された回転マグネット47cは、固定マグネット57に磁力で吸引されて回転し、安定した状態で静止する。したがって、可動ピン29が軸芯P2周りに回動して静止する。この位置が保持位置となる。保持位置は、
図2(b)に実線で示すように、基板Wの端縁に突起49cが当接する位置である。一方、受渡位置は、
図2(b)中に二点鎖線で示すように、軸芯P2周りに可動ピン29が回動し、基板Wの端縁から突起49cが離間し、基板Wの下面周縁が傾斜面49dに当接して支持された状態である。したがって、可動ピン29が受渡位置にある場合には、図示しない搬送アームにより、基板Wの受渡が可能となる。回転マグネット47cの側方に固定マグネット57を配置しているので、可動ピン29が保持位置となる際の回動の度合いを固定マグネット57の位置により調整しやすくできる。
【0064】
上述した固定マグネット57と回転マグネット47cは、
図3(a)、(b)に示すように、平面視にて回転台23の回転中心P1を中心とした同一円周上に配置されている。このような配置としているので、固定マグネット57と回転マグネット47cとは、
図7に示すように、ともに外周側から視認できる。したがって、メンテナンス時に作業を容易に行うことができる。
【0065】
図1及び
図8~
図10を参照する。なお、
図8は、切り換え機構の平面図である。
図9は、可動ピンの保持位置における磁石の位置関係を示す図である。
図10は、可動ピンの受渡位置における磁石の位置関係を示す図である。
【0066】
切り換え機構13は、エアシリンダ59と、支持アーム61と、駆動マグネット63とを備えている。エアシリンダ59は、鉛直方向に伸縮する作動軸65を備えている。支持アーム61は、作動軸65に取り付けられている。支持アーム61は、二本の可動ピン29にわたる長さを有する。支持アーム61の両端には、駆動マグネット63が取り付けられている。駆動マグネット63は、平面視において、回転マグネット47cよりも回転台23の内周側に位置する。換言すると、駆動マグネット63は、回転マグネット47c及び固定マグネット57よりも回転台23の軸芯P1側に配置されている。駆動マグネット63は、固定マグネット57よりも強い磁力を発生する。
【0067】
切り換え機構13は、基板Wを保持する保持位置では、
図1中に実線で示す下降位置に駆動マグネット63が位置するようにエアシリンダ59の作動軸65を収縮させる。この状態は、通常状態における位置であり、例えば、停電や電源トラブルなどにより電源が遮断された場合には、この状態となる。なお、平面視では、
図9に示すような位置関係になる。つまり、可動ピン29の回転マグネット47cに固定マグネット57だけによる磁力が付与され、回転マグネット47cと固定マグネット57とが磁力で吸引し合い、可動ピン29が保持位置に回動される。
【0068】
一方、切り換え機構13は、基板Wを開放する受渡位置では、
図1中に二点鎖線で示す上昇位置に駆動マグネット63が位置するようにエアシリンダ59の作動軸65を伸長させる。なお、平面視では、
図10に示すような位置関係となる。つまり、可動ピン29の回転マグネット47cに付与されている固定マグネット57よりも大きな磁力が駆動マグネット63から回転マグネット47cに付与される。すると、回転マグネット47cが駆動マグネット63に吸引され、可動ピン29が受渡位置に回動される。
【0069】
上述した回転マグネット47cと、固定マグネット57と、駆動マグネット63とは、ネオジムマグネットであることが好ましい。ネオジムマグネットは、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石(レアアース磁石)である。ネオジムマグネットは、強力な磁界を発生する。
【0070】
切り換え機構13は、平面視において、回転マグネット47c及び固定マグネット57よりも回転台23の軸芯P1側に配置されている。したがって、駆動マグネット63を回転台23の軸芯P1側に寄せて配置できる。したがって、切り換え機構13の小型化を図ることができる。
【0071】
なお、上述した回転マグネット47cが本発明における「第1の磁力部」に相当し、固定マグネット57が本発明における「第2の磁力部」に相当し、駆動マグネット63が本発明における「第3の磁力部」に相当する。
【0072】
制御部9は、CPUやメモリなどから構成されている。制御部9は、供給ノズル7からの処理液の供給や、供給ノズル7の待機位置と供給位置との揺動を制御する。待機位置は、供給ノズル7の吐出口が
図1に示すように軸芯P1の上方に相当する位置である。待機位置は、供給ノズル7の吐出口が飛散防止カップ5から側方に外れた位置である。制御部9は、飛散防止カップ5の処理高さと受け渡し高さとにわたった昇降を制御する。制御部9は、電動モータ11の回転を制御する。例えば、制御部9は、処理速度に向けて所定の加速度で回転数を上げ、処理速度に到達した時点で、処理時間にわたって処理速度を維持する。制御部9は、処理時間が経過したら、所定の負の加速度で回転数を下げ、停止させる。制御部9は、エンコーダ19からの信号を入力される。制御部9は、電動モータ11を停止させる際には、エンコーダ19からの出力を参照する。制御部9は、
図8に示す位置関係となるように電動モータ11を停止させる。具体的には、2本の可動ピン29の回転マグネット47cと、切り換え機構13の駆動マグネット63とが回転台23の径方向にて対向するように電動モータ11の回転を制御する。制御部9は、切り換え機構13による駆動マグネット63の昇降を制御する。
【0073】
上述した構成の基板処理装置は、例えば、次のようにして基板Wに対して処理を行う。なお、通常時においては、制御部9は、切り換え機構13を操作していない。つまり、
図1に実線で示す下降位置に駆動マグネット63が位置している。この通常時は、
図9に示すように回転マグネット47cが固定マグネット57の磁力で吸引されて回動される。そのため、可動ピン29は、
図2(b)に実線で示す保持位置となっている。
【0074】
制御部9は、飛散防止カップを受け渡し高さに移動させるとともに、切り換え機構13を操作して、駆動マグネット63を上昇位置に移動させる。上昇位置は、
図1における二点鎖線で示す位置である。すると、
図10に示すように、回転マグネット47cが駆動マグネット63により吸引される。そのため、可動ピン29は、
図2(b)に二点鎖線で示す受渡位置とされる。
【0075】
制御部9は、処理対象である基板Wを保持した搬送アーム(不図示)を回転台23の上方に移動させ、搬送アームを下降させて基板Wを固定ピン27の傾斜面37dと、可動ピン29の傾斜面49dとに載置する。
【0076】
上記の動作が本発明における「受け渡す過程」に相当する。
【0077】
搬送アームが外方に退出した後、制御部9は、飛散防止カップを処理高さに上昇させる。制御部9は、切り換え機構13を操作して、
図1に実線で示す下降位置に駆動マグネット63を下降させる。すると、
図9に示すように、回転マグネット47cが駆動メグネット63による吸引から解放される。したがって、回転マグネット47cは、固定マグネット57による磁力で吸引されて回動される。これにより、可動ピン29は、
図2(b)に実線で示す保持位置とされる。
【0078】
上記の動作が本発明における「保持する過程」に相当する。
【0079】
制御部9は、供給ノズル7を操作して、供給ノズル7を待機位置から処理位置に揺動する。そして、電動モータ11を処理速度に回転させた状態で供給ノズル7から処理液を供給させて処理時間だけ基板Wに処理液を供給しつつ処理を行う。
【0080】
上記の動作が本発明における「処理過程」に相当する。
【0081】
所定時間が経過したら、上記一連の動作の逆の動作により基板Wを搬出する。
【0082】
本実施例によると、切り換え機構13は、通常時に、駆動マグネット63の磁界を回転マグネット47cへ付与せず、基板Wの受渡時にのみ、駆動マグネット63の磁界を回転マグネット47cへ付与して、各可動ピン29を受渡位置に回動させる。したがって、通常時には、固定マグネット57からの磁力により、各可動ピン29が保持位置に回動される。一方、基板Wの受渡時にのみ、切り換え機構13の駆動マグネット63の磁力により、各可動ピン29が受渡位置に回動される。その結果、バネやカム板や昇降板などが不要となるので、簡易な構成で回転台の軽量化を図ることができる。また、回転台23の軽量化に伴い、定期的に交換が必要となる2個の固定ピン27及び2個の可動ピン29を交換するメンテナンスの際に回転台23を容易に取り外すことができる。したがって、メンテナンス時における作業者の負担も軽減できる。
【0083】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0084】
(1)上述した実施例では、回転マグネット47cと固定マグネット57とが軸芯P1を中心とした同一円周上に配置されている。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、回転マグネット47cと固定マグネット57とが回転台23の径方向に配置されていてもよい。
【0085】
(2)上述した実施例では、固定マグネット57が回転マグネット47cの側方に配置されている。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではない。つまり、固定マグネット57は、回転マグネット47cに磁界を付与することにより、可動ピン29を保持位置に回動させることができればよく、その配置位置は限定されない。
【0086】
(3)上述した実施例では、切り換え機構13がエアシリンダ59で構成されているが本発明はこのような構成に限定されない。つまり、駆動マグネット63を回転マグネット47cに近い位置と、回転マグネット47cから離れた位置とにわたって移動できる構成であればどのような構成であってもよい。
【0087】
(4)上述した実施例では、回転台23が切り欠き部33を備えているが、本発明はこのような構成を必須とするものではない。
【0088】
(5)上述した実施例では、支持プレート53により可動ピン29が、回転台23の径方向における位置を調整できる構成とした。しかしながら、本発明はこの構成を必須とするものではない。いわゆる芯ブレが処理に大きく影響しないのであれば、この構成を省略してコストを抑制するようにしてもよい。
【0089】
(6)上述した実施例では、固定ピン27と可動ピン29の支持片37b,49bとが平面視で楕円形状を呈する。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、支持片37b,49bとは、平面視で円形状であってもよい。
【0090】
(7)上述した実施例では、2本の固定ピン27と2本の可動ピン29とがチャックユニット3に備えられている。しかしながら、本発明はこのような本数に限定されない。
【0091】
(8)上述した実施例では、供給ノズル7により処理液を供給して処理を行う基板処理装置を例示した。しかしながら、本発明は、基板Wを回転させつつ所定の処理を施す基板処理装置であれば、どのような装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明は、基板を回転台に支持しつつ、基板に対して所定の処理を行う基板処理装置及び基板処理方法に適している。
【符号の説明】
【0093】
W … 基板
1 … ベースユニット
3 … チャックユニット
5 … 飛散防止カップ
7 … 供給ノズル
9 … 制御部
11 … 電動モータ
13 … 切り換え機構
15 … カバー
17 … 回転軸
23 … 回転台
25 … 保持機構
27 … 固定ピン
29 … 可動ピン
31 … 貫通口
33 … 切り欠き部
35 … 下部ピン部
37 … 上部ピン部
37a … 軸部
37b … 支持片
37d … 傾斜面
41 … ピンカバー
43 … グラウンド線
47 … 下部ピン部
47c … 回転マグネット
49 … 上部ピン部
49a … 軸部
49b … 支持片
49d … 傾斜面
53 … 支持プレート
57 … 固定マグネット
59 … エアシリンダ
63 … 駆動マグネット