(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170660
(43)【公開日】2024-12-10
(54)【発明の名称】栄養補助組成物の製造方法、栄養補助組成物の不快臭の抑制方法、及び栄養補助組成物の不快臭抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/15 20160101AFI20241203BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20241203BHJP
A23L 33/21 20160101ALN20241203BHJP
【FI】
A23L33/15
A23L33/175
A23L33/21
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161388
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2020086568の分割
【原出願日】2020-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】715011078
【氏名又は名称】アサヒグループ食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 良貴
(72)【発明者】
【氏名】長岡 雅典
(72)【発明者】
【氏名】湊 明義
(57)【要約】
【課題】ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物を保管、特に高温・多湿環境下に保管した場合に生じる不快臭を抑制することができる栄養補助組成物及びその製造方法、栄養補助組成物の不快臭の抑制方法、並びに栄養補助組成物の不快臭抑制用組成物の提供。
【解決手段】(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを含有する栄養補助組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する混合工程を含むことを特徴とする栄養補助組成物の製造方法。
【請求項2】
前記混合工程が、前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、前記(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する第1の混合処理と、
前記第1の混合処理で得られた混合物と、前記(B)アミノ酸又はその塩とを混合する第2の混合処理とを含む請求項1に記載の栄養補助組成物の製造方法。
【請求項3】
(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の不快臭の抑制方法であって、
前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、前記(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する混合工程を含むことを特徴とする不快臭の抑制方法。
【請求項4】
前記混合工程が、前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、前記(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する第1の混合処理と、
前記第1の混合処理で得られた混合物と、前記(B)アミノ酸又はその塩とを混合する第2の混合処理とを含む請求項3に記載の不快臭の抑制方法。
【請求項5】
ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の不快臭を抑制するために用いられ、
サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維を含有することを特徴とする不快臭抑制用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養補助組成物及びその製造方法、栄養補助組成物の不快臭の抑制方法、並びに栄養補助組成物の不快臭抑制用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不規則な食生活や美容への意識の高まりなどに伴い、必要な栄養素を効率的に補給するため、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等の栄養素を含有する栄養補助食品やサプリメントといった栄養補助組成物の需要が高まっている。
【0003】
前記栄養補助組成物には、様々な成分(以下、「原料」と称することもある。)が含まれており、前記原料の中には、原料自体が好ましくない臭いを呈するものがあることが知られている。このような臭いは、栄養補助組成物の製品価値を低下させてしまうという問題がある。
【0004】
前記原料自体の臭いが問題となる成分として、例えば、ビタミンB1が知られている。
前記ビタミンB1の臭いを低減する技術としては、例えば、コンドロイチン硫酸塩を配合する技術(例えば、特許文献1参照)、発酵セルロースを配合する技術(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0005】
また、食品等の用途に使用することができる消臭物質として、例えば、甘藷汁、および甘藷由来の製糖蜜、から選ばれた原料を、固定担体として合成吸着剤を充填されたカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノールおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって得られる画分である消臭物質が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
上述したように、栄養補助組成物などの製品価値の低下を抑制することができる技術の様々な検討が行われているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-231051号公報
【特許文献2】特開2011-250716号公報
【特許文献3】特開平10-151182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物が、保管中、特に高温・多湿環境下で保管すると、原料自体の臭いとは異なる、ヒトが不快と感じる不快臭が生じることを見出した。前記高温・多湿環境は、例えば、夏場の環境が該当する。
【0009】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物を保管、特に高温・多湿環境下に保管した場合に生じる不快臭を抑制することができる栄養補助組成物及びその製造方法、栄養補助組成物の不快臭の抑制方法、並びに栄養補助組成物の不快臭抑制用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物に、サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維を含有させるという簡易な手段により、高温・多湿環境下に保存した場合であっても、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とが共存することにより生じる不快臭を低減することができることを知見した。
【0011】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、
(B)アミノ酸又はその塩と、
(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを含有することを特徴とする栄養補助組成物である。
<2> 前記(C)成分が、サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、及び小麦由来の食物繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<1>に記載の栄養補助組成物である。
<3> 前記(C)成分が、サトウキビ由来の食物繊維を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の栄養補助組成物である。
<4> 前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物が、ビタミンB1及びビタミンB6を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の栄養補助組成物である。
<5> 前記(A)成分のビタミンB1及びビタミンB6の合計量と、前記(B)成分のアミノ酸又はその塩との質量比[{(ビタミンB1)+(ビタミンB6)}/(アミノ酸又はその塩)]が、0.1超である前記<4>に記載の栄養補助組成物である。
<6> 前記(A)成分のビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物の合計量と、前記(B)成分のアミノ酸又はその塩との質量比{(ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物の合計量)/(アミノ酸又はその塩)}が、0.1超である前記<1>から<5>のいずれかに記載の栄養補助組成物である。
<7> (A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する混合工程を含むことを特徴とする栄養補助組成物の製造方法である。
<8> 前記混合工程が、前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、前記(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する第1の混合処理と、
前記第1の混合処理で得られた混合物と、前記(B)アミノ酸又はその塩とを混合する第2の混合処理とを含む前記<7>に記載の栄養補助組成物の製造方法である。
<9> (A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の不快臭の抑制方法であって、
前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、前記(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する混合工程を含むことを特徴とする不快臭の抑制方法である。
<10> 前記混合工程が、前記(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、前記(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する第1の混合処理と、
前記第1の混合処理で得られた混合物と、前記(B)アミノ酸又はその塩とを混合する第2の混合処理とを含む前記<9>に記載の不快臭の抑制方法である。
<11> ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の不快臭を抑制するために用いられ、
サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維を含有することを特徴とする不快臭抑制用組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物を保管、特に高温・多湿環境下に保管した場合に生じる不快臭を抑制することができる栄養補助組成物及びその製造方法、栄養補助組成物の不快臭の抑制方法、並びに栄養補助組成物の不快臭抑制用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(栄養補助組成物)
本発明の栄養補助組成物は、(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「(A)成分」と称することがある。)と、(B)アミノ酸又はその塩(以下、「(B)成分」と称することがある。)と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維(以下、「(C)成分」、「特定の食物繊維」と称することがある。)とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0014】
<(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物>
本発明において、前記ビタミンB群の化合物とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、及びビタミンB12のことをいう。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビタミンB群の化合物は、市販品を適宜使用することができる。
【0015】
前記栄養補助組成物は、前記ビタミンB群の化合物の中でも、ビタミンB1及びビタミンB6を含むことが好ましい。
【0016】
前記ビタミンB1には、チアミン及びその誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、チアミン二リン酸などが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸塩などが挙げられる。
前記ビタミンB1は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記ビタミンB2には、リボフラビン及びその誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドなどが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記ビタミンB2は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記ビタミンB3には、ニコチン酸、ニコチン酸アミド及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イノシトールヘキサニコチネート、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸、へプロニカートなどが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ビタミンB3は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記ビタミンB5には、パントテン酸及びその誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パンテノール、パンテチン、パンテテイン、補酵素Aなどが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
前記ビタミンB5は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ビタミンB6には、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸ピリドキサールなどが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、塩酸塩等の無機酸塩などが挙げられる。
前記ビタミンB6は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記ビタミンB7には、ビオチン及びその塩が含まれる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記ビタミンB7は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記ビタミンB9には、葉酸及びその誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸などが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ビタミンB9は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記ビタミンB12には、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩が含まれる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メコバラミン、デオキシアデノシルコバラミンなどが挙げられる。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。
前記ビタミンB12は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記(A)成分の前記栄養補助組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記栄養補助組成物100質量部に対して、前記(A)成分の合計量として、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、成分補給目的での摂取量を満たせる点で、有利である。
【0025】
前記栄養補助組成物に前記ビタミンB群の化合物が複数種類含まれる場合の前記ビタミンB群の各化合物の含有割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
<(B)アミノ酸又はその塩>
前記アミノ酸又はその塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アミノ酸の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の無機酸又は有機酸との塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩基との塩などが挙げられる。
前記アミノ酸又はその塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ酸又はその塩は、市販品を適宜使用することができる。
【0027】
前記アミノ酸又はその塩の中でも、アミノ酸が、ロイシン、スレオニン、プロリン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、アラニン、システイン(シスチンの態様を含む。以下同様。)、チロシン、グルタミン、シトルリンであることが好ましく、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、アラニン、システイン、チロシン、グルタミン、シトルリンであるものがより好ましく、ロイシンであるものが特に好ましい。前記好ましいアミノ酸又はその塩を含む前記栄養補助組成物は、前記不快臭が発生しやすいが、本発明によれば、前記不快臭を抑制することができる。
【0028】
前記(B)成分の前記栄養補助組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記栄養補助組成物100質量部に対して、前記(B)成分の合計量として、0.1質量部~70質量部が好ましく、1質量部~60質量部がより好ましく、2質量部~50質量部が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、成分補給目的での摂取量を満たせる点で、有利である。
【0029】
前記栄養補助組成物に前記アミノ酸又はその塩が複数種類含まれる場合の前記アミノ酸又はその塩の各化合物の含有割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記(A)成分と、前記(B)成分との質量比(A)/(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記(A)成分が、ビタミンB1及びビタミンB6を含む場合、前記ビタミンB1及びビタミンB6の合計量と、前記(B)成分の合計量との質量比[{(ビタミンB1)+(ビタミンB6)}/(B成分)]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1超であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。また、前記(A)成分の合計量と、前記(B)成分の合計量との質量比{((A)成分の合計量)/((B)成分の合計量)}としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1超であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。前記好ましい範囲である前記栄養補助組成物は前記不快臭が発生しやすいが、本発明によれば、前記不快臭を抑制することができる。
【0031】
前記(A)成分及び前記(B)成分の前記栄養補助組成物における合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記栄養補助組成物100質量部に対して、4.9質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が特に好ましい。前記好ましい範囲内である前記栄養補助組成物は前記不快臭が発生しやすいが、本発明によれば、前記不快臭を抑制することができる。
【0032】
<(C)特定の食物繊維>
前記(C)成分は、サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維である。
前記(C)成分は、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とが共存することにより生じる不快臭を抑制するために配合される。
前記食物繊維とは、人の消化酵素で消化されない、食物に含まれている難消化性成分のことをいう。
【0033】
前記(C)成分の中でも、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とが共存することにより生じる不快臭の抑制効果が優れる点で、サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、及び小麦由来の食物繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む態様が好ましく、サトウキビ由来の食物繊維を含む態様がより好ましい。
【0034】
前記サトウキビ由来の食物繊維、前記シトラス由来の食物繊維、前記オート麦由来の食物繊維、及び前記小麦由来の食物繊維は、各植物由来の食物繊維を含有していればよく、各植物から分離、精製された食物繊維のみからなる態様であってもよいし、食物繊維を含有する各植物の処理物の態様であってもよい。前記処理物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕処理物などが挙げられる。
前記サトウキビ由来の食物繊維、前記シトラス由来の食物繊維、前記オート麦由来の食物繊維、及び前記小麦由来の食物繊維は、水不溶性食物繊維であることが好ましい。
前記水不溶性食物繊維とは、植物の細胞壁の構造物質が中心で水に溶けず、保水性のあるもののことをいう。
【0035】
前記(C)成分は、市販品を使用してもよいし、植物原料から公知の方法で調製したものを使用してもよい。
【0036】
前記(C)成分の前記栄養補助組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記栄養補助組成物100質量部に対して、前記(C)成分の合計量として、0.1質量部以上が好ましく、1質量部~85質量部がより好ましく、3質量部~50質量部が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、前記不快臭の抑制効果がより優れる点で、有利である。
【0037】
前記栄養補助組成物に前記(C)成分が複数種類含まれる場合の前記(C)成分の各成分の含有割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0038】
前記(C)成分と、前記(A)成分との質量比{(C)/(A)}としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001~100が好ましく、0.01~50が好ましく、0.1~10が特に好ましい。前記質量比が好ましい範囲内であると、前記不快臭の抑制効果がより優れる点で、有利である。
【0039】
<その他の成分>
前記栄養補助組成物におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ヘスペリジン、イノシトール等のビタミンB群以外のビタミン類;カゼイン分解物等の乳由来ペプチドを含有するペプチド含有物、鶏軟骨由来エキス等の動物由来ペプチドを含有するペプチド含有物、マカエキス、ゴマエキス等の植物由来ペプチドを含有するペプチド含有物、わかめエキス、こんぶエキス等の海藻由来ペプチドを含有するペプチド含有物、サメ軟骨抽出エキス、サケ鼻軟骨抽出エキス、マグロ抽出エキス等の魚類由来ペプチドを含有するペプチド含有物等のペプチド含有物;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、銅、セレン、クロム、モリブデン等のミネラル;コエンザイムQ10、α-リポ酸、L-カルニチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ウコン、グルコサミン、コンドロイチン等の機能性成分;各種ポリフェノール類;ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、植物油脂、硬化油等の滑沢剤;部分α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等の崩壊剤;乳糖、ビール酵母等の賦形剤;プルラン、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸等の天然多糖類;粉末セルロース;結晶セルロース;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー;還元麦芽糖水あめ、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール;トレハロース、パラチノース、等の二糖類;大豆多糖類;とうもろこしタンパク等の結合剤;固着剤;酸化チタン、酸化鉄等の着色剤;フィチン酸、クエン酸、コハク酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-リンゴ酸、リン酸、リン酸二ナトリウム等のpH調整剤又は緩衝剤;酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、市販品を適宜使用することができる。
前記栄養補助組成物におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記栄養補助組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分とを含む混合物の態様、(ii)前記(A)成分と前記(C)成分とを含む混合物としたものと、前記(B)成分とを含む混合物の態様、(iii)前記(B)成分と前記(C)成分とを含む混合物としたものと、前記(A)成分とを含む混合物の態様、(iv)前記(A)成分の少なくとも1種の化合物と前記(C)成分とを含む混合物としたものと、前記混合物に含まれる(A)成分を除く前記(A)成分の少なくとも1種の化合物と、前記(B)成分とを含む混合物の態様などが挙げられる。
これらの中でも、前記不快臭の抑制効果がより優れる点で、(ii)前記(A)成分と前記(C)成分とを含む混合物としたものと、前記(B)成分とを含む混合物の態様、(iv)前記(A)成分の少なくとも1種の化合物と前記(C)成分とを含む混合物としたものと、前記混合物に含まれる(A)成分を除く前記(A)成分の少なくとも1種の化合物と、前記(B)成分とを含む混合物の態様が好ましい。
前記態様における、「前記(A)成分と前記(C)成分とを含む混合物としたもの」、及び「前記(A)成分の少なくとも1種の化合物と前記(C)成分とを含む混合物としたもの」における前記(A)成分又は前記(A)成分の少なくとも1種の化合物は、ビタミンB1及びビタミンB6の少なくともいずれかであることが好ましく、ビタミンB1であることがより好ましい。
前記混合物は、顆粒であってもよいし、粉末であってもよい。
【0041】
前記栄養補助組成物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末、顆粒、錠剤などが挙げられる。
前記粉末、顆粒、及び錠剤の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
前記栄養補助組成物は、栄養補助食品やサプリメントとして用いてもよいし、顆粒や錠剤の製造用原料として用いてもよい。
【0043】
本発明によれば、前記栄養補助組成物に含まれる栄養素の生理活性機能を害することなく、保管中、特に、夏場のような高温・多湿の環境下での保管中に生じる不快臭を低減することができる。
また、本発明の栄養補助組成物は、後述する本発明の栄養補助組成物の製造方法により好適に製造することができ、製造コスト面でも優れる。
【0044】
(栄養補助組成物の製造方法)
本発明の栄養補助組成物の製造方法は、混合工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0045】
<混合工程>
前記混合工程は、(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する工程である。
前記混合工程では、必要に応じて更にその他の成分を混合してもよい。
【0046】
前記混合工程における、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記その他の成分は、上記した本発明の(栄養補助組成物)の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0047】
前記混合工程は、前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分と、必要に応じて前記その他の成分とを1回でまとめて混合してもよいし、複数回に分けて混合してもよい。
【0048】
前記混合工程は、前記(A)成分と、前記(C)成分とを混合する第1の混合処理と、前記第1の混合処理で得られた混合物と、前記(B)成分とを混合する第2の混合処理とを含む態様が好ましい。前記好ましい態様であると、(A)成分と、(B)成分とが共存することにより生じる不快臭をより抑制することができる点で、有利である。
前記各混合処理では、上記した以外の成分を必要に応じて混合してもよい。また、前記第2の混合処理では、前記(A)成分を更に加えてもよい。前記第2の混合処理で加える(A)成分は、第1の混合処理における(A)成分と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
前記混合工程における前記混合物は、粉末であってもよいし、造粒した顆粒であってもよい。
前記混合工程により、粉末又は顆粒の形状の栄養補助組成物とすることができる。
【0050】
前記混合は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、コンテナタンブラー、V型混合機、ボーレ コンテナミキサーなどが挙げられる。
前記混合の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
前記造粒の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、流動層造粒法、攪拌造粒法、乾式造粒法などが挙げられる。
前記造粒の方法の具体例としては、前記各成分を練合、捏和、及び/又は攪拌し、適宜選択した結合剤を噴霧する方法が挙げられる。
【0052】
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、プルラン、グアーガム等の増粘多糖類、イソマルトース、キシリトール、マルチトール、ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結合剤は、市販品を適宜使用することができる。
【0053】
前記結合剤は、噴霧するために、溶解液乃至分散液(以下、「噴霧液」と称することがある。)とすることが好ましい。
前記結合剤を溶解乃至分散するために用いる溶媒としては、特に制限はなく、使用する結合剤の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、これらの混合溶媒などが挙げられる。
【0054】
前記噴霧液の粘度、噴霧液中の結合剤の濃度(固形分濃度)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記噴霧液を噴霧する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、使用する造粒装置に設けられた噴霧手段、例えば、スプレーガン、噴霧ノズル等から噴霧する方法などが挙げられる。
前記噴霧の条件(噴霧量、噴霧する霧粒子(ミスト)の大きさ、噴霧時間、噴霧間隔等)としては、特に制限はなく、公知の条件を適宜選択することができる。
【0055】
前記造粒は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、噴霧造粒装置、流動層造粒装置、撹拌造粒装置などが挙げられる。
前記造粒の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0056】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、打錠工程などが挙げられる。
【0057】
前記打錠工程は、前記混合工程で得られた粉末又は顆粒と、必要に応じて前記その他の成分とを混合した打錠末を打錠する工程であり、これにより、錠剤の形状の栄養補助組成物とすることができる。
【0058】
前記打錠は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、打錠機(例えば、HT-APSS型、HT-AP-MS型、HT-X-SS型、HT-X-MS型(以上、株式会社畑鉄工所製);VEL5、VIRGO、AQUARIUS、LIBRA(以上、株式会社菊水製作所製))などが挙げられる。
【0059】
前記打錠における打錠圧等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
本発明の栄養補助組成物の製造方法によれば、保管中、特に、夏場のような高温・多湿の環境下で保管中に生じる不快臭を低減することができる栄養補助組成物を効率良く製造することができる。
【0061】
(不快臭の抑制方法)
本発明の不快臭の抑制方法は、(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の不快臭の抑制方法であって、混合工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0062】
<混合工程>
前記混合工程は、(A)ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、(B)アミノ酸又はその塩と、(C)サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維とを混合する工程であり、上記した本発明の(栄養補助組成物の製造方法)の<混合工程>の項目に記載したものと同様にして行うことができ、好ましい態様も同様とすることができる。
【0063】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(栄養補助組成物の製造方法)の<その他の工程>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
【0064】
本発明の不快臭の抑制方法によれば、栄養補助組成物の保管中、特に、夏場のような高温・多湿の環境下で保管中に生じる不快臭を低減することができる。
【0065】
(不快臭抑制用組成物)
本発明の不快臭抑制用組成物は、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の不快臭を抑制するために用いられ、サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0066】
<サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維>
前記サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維は、上記した本発明の(栄養補助組成物)の<(C)特定の食物繊維>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0067】
前記サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維の前記不快臭抑制用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記不快臭抑制用組成物は、前記サトウキビ由来の食物繊維、シトラス由来の食物繊維、オート麦由来の食物繊維、小麦由来の食物繊維、イヌリン、イソマルト、デキストリン、及びコーンスターチからなる群から選択される少なくとも1種の食物繊維のみからなるものであってもよい。
【0068】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(栄養補助組成物)の<その他の成分>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
【0069】
前記不快臭抑制用組成物によれば、ビタミンB群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸又はその塩とを含有する栄養補助組成物の保管中、特に、夏場のような高温・多湿の環境下で保管中に生じる不快臭を低減することができる。
【実施例0070】
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0071】
(試験例1)
<試験例1-1>
ポリエチレン袋中で、下記表1-1に記載した量の各種ビタミンと、ロイシンとを混合した後、水を1g添加して混合し、混合物を得た。
前記混合物を含むポリエチレン袋を密封し、60℃の恒温槽に1日間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。なお、前記不快臭は、原料自体の臭いではなく、前記静置後に発生した臭いのことをいう(以下同様)。評価は3名で行い、その平均値を下記表1-1に示した。
-官能評価-
3点 : 不快な臭いが強い。
2点 : 不快な臭いがする。
1点 : 不快な臭いがややする。
0点 : 不快な臭いはしない。
なお、使用したビタミン及びロイシンの詳細は、以下の通りである。
・ ビタミンA(ドライビタミンAアセテート32.6万IU/g、BASFジャパン株式会社製、以下同様)
・ ビタミンB1(ビタミンB1硝酸塩、BASFジャパン株式会社製、以下同様)
・ ビタミンB2(リボフラビンFP、BASFジャパン株式会社製、以下同様)
・ ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩、BASFジャパン株式会社製、以下同様)
・ ビタミンC(アスコルビン酸100M、BASFジャパン株式会社製、以下同様)
・ ビタミンD(ドライビタミンD3、三菱ケミカルフーズ株式会社製、以下同様)
・ ビタミンE(理研ドライEミックスF-20S、理研ビタミン株式会社製、以下同様)
・ ロイシン(L-ロイシン、味の素ヘルシーサプライ株式会社製、以下同様)
【0072】
【0073】
表1-1の結果から、ビタミンB群の化合物と、ロイシンとが共存する場合に、不快臭が生じることが確認された。
【0074】
<試験例1-2>
ポリエチレン袋中で、下記表1-2に記載した量のビタミンB群の化合物と、ロイシンとを混合した後、下記表1-2に記載した量の水を添加して混合し、混合物を得た。
前記混合物を含むポリエチレン袋を密封し、60℃の恒温槽に1日間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。
[官能評価]
試験例1-2-1の不快臭を10点(コントロール)とし、不快臭の強さに応じて0点(不快臭がしない)~10点(不快臭が強い)の11段階で評価した。評価は3名で行い、その平均値を下記表1-2に示した。
【0075】
【0076】
表1-2の結果から、ビタミンB群の化合物((A)成分)と、ロイシン((B)成分)との質量比を変えた場合でも、不快臭が生じることが確認され、特に前記質量比{(A)成分/(B)成分}が0.1超の場合に顕著に強くなることが確認された。
【0077】
<試験例1-3>
ポリエチレン袋中で、3.0gのビタミンB1と、3.0gのビタミンB6と、2.0gの下記表1-3に記載の各種アミノ酸又はその塩とを混合した後、1.0gの水を添加して混合し、混合物を得た。
前記混合物を含むポリエチレン袋を密封し、60℃の恒温槽に1日間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。
[官能評価]
試験例1-3-1の不快臭を10点(コントロール)とし、不快臭の強さに応じて0点(不快臭がしない)~10点(不快臭が強い)の11段階で評価した。評価は6名で行い、その平均値を下記表1-3に示した。
【0078】
【0079】
表1-3の結果から、ロイシン以外のアミノ酸又はその塩と、ビタミンB群の化合物とを共存させた場合でも同様に、不快臭が生じることが確認された。
【0080】
(試験例2)
<試験例2-1>
-顆粒の調製-
撹拌混合造粒装置(VGmm、株式会社パウレック製)にて、下記表2-1~2-3に記載した量のビタミンB1と、下記の添加成分とを混合した後、下記表2-1~2-3に記載した量の水を滴下して顆粒状になるまで造粒し、造粒物を得た。
前記造粒物を乾燥させ(棚乾燥、60℃)、16メッシュ篩にて篩過し、各顆粒サンプルとした。
[添加成分]
・ 食物繊維(サトウキビファイバー(サトウキビファイバー、レッテンマイヤージャパン株式会社製、以下同様)
・ 食物繊維(サトウキビパウダー(ウージパウダー、オキナワパウダーフーズ株式会社製、以下同様)
・ サトウキビ抽出物(サトウキビ抽出物、三井製糖株式会社製、以下同様)
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
-混合物の調製・評価-
ポリエチレン袋中で、下記表2-4~2-6に記載した量の、前記各顆粒サンプル又はビタミンB1と、ロイシンと、ビタミンB6とを混合した後、下記表2-4~2-6に記載した量の水を滴下しながら混合し、混合物を得た。
前記混合物を含むポリエチレン袋を密封し、60℃の恒温槽に4日間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。
[官能評価]
試験例2-1-1の不快臭を10点(コントロール)とし、不快臭の強さに応じて0点(不快臭がしない)~10点(不快臭が強い)の11段階で評価した。評価は6名で行い、その平均値を下記表2-4~2-6に示した。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
<試験例2-2>
-顆粒の調製-
撹拌混合造粒装置(VGmm、株式会社パウレック製)にて、下記表2-7に記載した量のビタミンB1と、食物繊維(サトウキビファイバー)とを混合した後、下記表2-7に記載した量の水を滴下して顆粒状になるまで造粒し、造粒物を得た。
前記造粒物を乾燥させ(棚乾燥、60℃)、16メッシュ篩にて篩過し、各顆粒サンプルとした。
【0089】
【0090】
-混合物の調製・評価-
ポリエチレン袋中で、下記表2-8に記載した量の、前記各顆粒サンプル又はビタミンB1と、ロイシンと、ビタミンB6とを混合した後、下記表2-8に記載した量の水を滴下しながら混合し、混合物を得た。
前記混合物を含むポリエチレン袋を密封し、60℃の恒温槽に4日間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。
[官能評価]
試験例2-2-1の不快臭を10点(コントロール)とし、不快臭の強さに応じて0点(不快臭がしない)~10点(不快臭が強い)の11段階で評価した。評価は6名で行い、その平均値を下記表2-8に示した。
【0091】
【0092】
試験例2の結果から、サトウキビ由来の食物繊維を用いることで、ビタミンB群の化合物と、アミノ酸とが共存する場合に生じる不快臭を抑制できることが確認された。また、サトウキビ由来の食物繊維と、ビタミンB群の化合物との質量比率を変えた場合でも、ビタミンB群の化合物とアミノ酸とが共存する場合に生じる不快臭を抑制できることが確認された。
【0093】
(試験例3)
-顆粒の調製-
撹拌混合造粒装置(VGmm、株式会社パウレック製)にて、下記表3-1~3-3に記載した量のビタミンB1と、下記の各種食物繊維とを混合した後、下記表3-1~3-3に記載した量の水を滴下して顆粒状になるまで造粒し、造粒物を得た。
前記造粒物を乾燥させ(棚乾燥、60℃)、16メッシュ篩にて篩過し、各顆粒サンプルとした。
[食物繊維]
・ シトラスファイバー(ヘルバセル、ヘルバフード株式会社製、以下同様)
・ オート麦ファイバー(オート麦ファイバー、レッテンマイヤージャパン株式会社製、以下同様)
・ 小麦ファイバー(小麦ファイバー、レッテンマイヤージャパン株式会社製、以下同様)
・ イヌリン(イヌリン、フジ日本精糖株式会社製、以下同様)
・ イソマルト(還元パラチノース、三井製糖株式会社製、以下同様)
・ デキストリン(パインデックス#100、松谷化学工業株式会社製、以下同様)
・ マルトデキストリン(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社製、以下同様)
・ 難消化性デキストリン(ファイバーソル2、松谷化学工業株式会社製、以下同様)
・ コーンスターチ(コーンスターチ、日本食品化工株式会社製、以下同様)
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
-混合物の調製・評価-
ポリエチレン袋中で、下記表3-4~3-6に記載した量の、前記各顆粒サンプル又はビタミンB1と、ロイシンと、ビタミンB6とを混合した後、下記表3-4~3-6に記載した量の水を滴下しながら混合し、混合物を得た。
前記混合物を含むポリエチレン袋を密封し、60℃の恒温槽に4日間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。
[官能評価]
試験例3-1の不快臭を10点(コントロール)とし、不快臭の強さに応じて0点(不快臭がしない)~10点(不快臭が強い)の11段階で評価した。評価は6名で行い、その平均値を下記表3-4~3-6に示した。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
試験例3の結果から、サトウキビファイバー以外の特定の食物繊維を用いた場合にも、ビタミンB群の化合物と、アミノ酸とが共存する場合に生じる不快臭を抑制できることが確認された。
【0102】
(試験例4)
-顆粒の調製-
撹拌混合造粒装置(VGmm、株式会社パウレック製)にて、下記表4-1に記載した量の各成分を混合した後、水を適量滴下して顆粒状になるまで造粒し、造粒物を得た。
前記造粒物を乾燥させ(棚乾燥、60℃)、16メッシュ篩にて篩過し、各顆粒とした。
【0103】
【0104】
-打錠末の調製-
下記表4-2に記載した成分のうち、ステアリン酸カルシウム以外の各成分を下記表4-2に記載した量で混合し、混合末を得た。前記混合末を造粒し顆粒とした後、下記表4-2に記載した量のステアリン酸カルシウムを添加、混合し、各打錠末とした。
なお、使用した各成分の詳細は、以下の通りである。
・ ニコチン酸アミド(ニコチン酸アミドNT、Vertellus Stecialtes Inc製)
・ パントテン酸カルシウム(パントテン酸カルシウム、DSMニュートリションジャパン株式会社製)
・ イノシトール(イノシトール、築野ライスファインケミカルズ株式会社製)
・ ビタミンB12(VB12・1000倍散、オルガノフードテック株式会社製)
・ 葉酸(葉酸、DSMニュートリションジャパン株式会社製)
・ ビオチン(食添用ビオチン1%、DSMニュートリションジャパン株式会社製)
・ 結晶セルロース(セオラス UF-F711、旭化成株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(ステアリン酸カルシウム、堺化学工業株式会社製)
【0105】
【0106】
-打錠・評価-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記表4-2に記載の組成の打錠末を15kNの圧力で充填加圧して打錠加工し、直径10mm、曲率半径(R)8.5mm、440mg/錠の錠剤を得た。
また、前記錠剤をアルミパウチに入れ、30℃、相対湿度80%の恒温恒湿層に開放状態で3時間静置した後、発生する不快臭に対する官能評価を以下のようにして実施した。
[官能評価]
試験例4-1の不快臭を10点(コントロール)とし、不快臭の強さに応じて0点(不快臭がしない)~10点(不快臭が強い)の11段階で評価した。評価は6名で行い、その平均値を下記表4-3に示した。
【0107】
【0108】
試験例4の結果から、錠剤の場合でも、ビタミンB群の化合物と、アミノ酸又はその塩とが共存する場合に不快臭が生じることが確認された。また、本発明の食物繊維を用いることで、錠剤の場合でも前記不快臭を抑制できることも確認された。