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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017067
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】インバータ回路および制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/538 20070101AFI20240201BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240201BHJP
【FI】
H02M7/538 A
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119458
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】長坂 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 伸也
(72)【発明者】
【氏名】夏木 亮
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770DA01
5H770DA44
5H770DA46
5H770GA07
5H770JA11X
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Hiサイドスイッチング素子をオフさせる動作を少なくするインバータ回路および制御回路を提供する。
【解決手段】インバータ回路1は、インバータ部10、第1電源21、第2電源22、第1コンデンサ41および第2コンデンサ42を備える。第1電源21は、第1電圧V1を、インバータ部10に供給する。第2電源22は、第2電圧V2を、切り換えスイッチ50に供給するとともに、切り換えスイッチ50を介して第2コンデンサ42に供給して第2コンデンサ42の放電を行う。第1コンデンサ41は、インバータ部10に放電による電圧(V2-Vf91)を供給すうr。第2コンデンサ42は、第1コンデンサ41に第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)を供給し、切り換えスイッチ50は、第2コンデンサ42の充放電を切り換える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ部、第1電源、第2電源、第1コンデンサ、第2コンデンサ、および切り換えスイッチを備え、
前記インバータ部は、Hiサイドスイッチング素子とLowサイドスイッチング素子とを有し、
前記第1電源は、第1電圧を、前記インバータ部に供給し、
前記第2電源は、第2電圧を、前記切り換えスイッチに供給し、
前記第1コンデンサは、前記Hiサイドスイッチング素子を駆動する駆動電圧を供給し、
前記第2コンデンサは、前記第1コンデンサに電圧を供給し、
前記切り換えスイッチは、オンオフを行うことにより前記第2コンデンサの充放電を切り換えることを特徴とするインバータ回路。
【請求項2】
前記第2コンデンサは、放電および充電を交互に繰り返し行いながら、前記放電により前記第1コンデンサに電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載のインバータ回路。
【請求項3】
前記第2コンデンサの前記充電は、前記Hiサイドスイッチング素子がオンの時間中に、前記第1電圧に基づいて行なわれることを特徴とする請求項2に記載のインバータ回路。
【請求項4】
前記第2コンデンサの前記放電は、前記切り換えスイッチがオンの時間中に、前記第2電圧に基づいて行われることを特徴とする請求項2に記載のインバータ回路。
【請求項5】
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも相対的に低いことを特徴とする請求項1に記載のインバータ回路。
【請求項6】
前記切り換えスイッチは、前記第1電源とは直接接続されていないことを特徴とする請求項5に記載のインバータ回路。
【請求項7】
前記切り換えスイッチと前記第1電源とは、少なくとも前記第2コンデンサを介して接続することを特徴とする請求項6に記載のインバータ回路。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の前記切り換えスイッチを少なくとも備えたことを特徴とする制御回路。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載の前記切り換えスイッチを少なくとも備えたことを特徴とする制御回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ回路および制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ブートストラップ回路を備えたインバータ回路は、例えば特許文献1に開示された技術を参照することができる。特許文献1に開示されたインバータ回路は、補助直流電源を備えて補助直流電源から供給される電圧に基づいてブートコンデンサが充放電しHiサイドスイッチング素子を昇圧する構成となっている。同インバータ回路には、補助直流電源とHiサイドスイッチング素子およびLowサイドスイッチング素子との導通を切り換えるための切り換えスイッチが設けられている。切り換えスイッチは一の端子側が補助直流電源に接続されるとともに、他の端子側が高圧の電源側に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-41397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブートストラップ回路を備えたインバータ回路により、低周波数のモータの駆動を行おうとすると、Hiサイドスイッチング素子をオンにする時間が長くなり、ブートストラップコンデンサが過度に放電されて不具合が生じることがある。このため、一般的には、ブートストラップコンデンサの放電電圧の低下検出を行い、ブートストラップコンデンサを充電するために、Hiハイサイドスイッチング素子をオフ、Lowサイドスイッチング素子をオンにする制御を行う等一旦Hiサイドスイッチング素子をオフさせる動作が必要になる。しかしながら、このようなHiサイドスイッチング素子をオフさせる動作を行うことによって、モータの駆動がスムーズにならず、挙動や異音の発生の問題が生じる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、Hiサイドスイッチング素子をオフさせる動作を少なくすることができるインバータ回路および制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るインバータ回路は、インバータ部、第1電源、第2電源、第1コンデンサ、第2コンデンサ、および切り換えスイッチを備え、インバータ部は、Hiサイドスイッチング素子とLowサイドスイッチング素子とを有し、第1電源は、第1電圧を、インバータ部に供給し、第2電源は、第2電圧を、切り換えスイッチに供給し、第1コンデンサは、インバータ部を駆動する駆動電圧を供給し、第2コンデンサは、第1コンデンサに電圧を供給し、切り換えスイッチは、オンオフを行うことにより第2コンデンサの充放電を切り換えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、インバータ部は、Hiサイドスイッチング素子とLowサイドスイッチング素子とを有し、第1電源は、第1電圧を、インバータ部に供給し、第2電源は、第2電圧を、切り換えスイッチに供給し、第1コンデンサは、インバータ部を駆動する駆動電圧を供給し、第2コンデンサは、第1コンデンサに電圧を供給し、切り換えスイッチは、オンオフを行うことにより第2コンデンサの充放電を切り換えることにより、第2コンデンサが、第1コンデンサを継ぎ足すように充電することが可能となり、Hiサイドスイッチング素子をオフさせる動作を少なくすることができる。
【0008】
第2コンデンサは、放電および充電を交互に繰り返し行いながら、放電により第1コンデンサに電圧を供給することにより、第1コンデンサが、インバータ部に放電による電圧を供給しているときに、第2コンデンサが、放電による電圧を確保しながら第1コンデンサを継ぎ足すように充電することができる。
【0009】
第2コンデンサの充電は、Hiサイドスイッチング素子がオンの時間中に、第1電圧に基づいて行なわれることにより、第1電圧に基づいて充放電される第1コンデンサと充放電の連携が可能となる。
【0010】
第2コンデンサの放電は、切り換えスイッチがオンの時間中に、第2電圧に基づいて行われることにより、第1電源からの電圧の供給がなくとも第2コンデンサが、放電による電圧を確保しながら第1コンデンサに継ぎ足すように充電することができる。
【0011】
第2電圧は、第1電圧よりも相対的に低いことにより、第2コンデンサの充放電を切り換える切り換えスイッチに相対的に低い電圧を供給して、切り換えスイッチの高耐圧化を防止し、スイッチングノイズも低減することができる。
【0012】
すなわち、切り換えスイッチは、高周波で動作することが多くノイズが大きくなることがあるが、例えばEV(電動自動車)モータ用等の高圧化が要求されるインバータ回路では、切り換えスイッチが高耐圧化するとともに、切り換えスイッチの周波数が更に高周波となり、スイッチングノイズも更に大きくなるという問題を従来から抱えていた。
切り換えスイッチは、第1電源とは直接接続されていないことにより、切り換えスイッチに相対的に低い電圧を供給でき、切り換えスイッチの高耐圧化を防止し、スイッチングノイズも低減することができる。
【0013】
すなわち、切り換えスイッチと第1電源とは、少なくとも第2コンデンサを介して接続することにより、切り換えスイッチは、相対的に高い第1電源の第1電圧を第2コンデンサによる充電後に供給することができる等、切り換えスイッチに相対的に低い電圧を供給でき、切り換えスイッチの高耐圧化を防止し、スイッチングノイズも低減することができるとともに、第1コンデンサと第2コンデンサとの充放電連携が可能となる。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る制御回路は、上記の切り換えスイッチを少なくとも備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、Hiサイドスイッチング素子をオフさせる動作を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のインバータ回路の構成を示す回路図である。
図2】同インバータ回路における切り換えスイッチの構成の詳細を示す回路図である。
図3】同インバータ回路の動作を説明するためのタイミングチャートおよびコンデンサの電圧を示す図であり、(a)はHiサイドスイッチング素子の動作を説明するためのタイミングチャート、(b)はLowサイドスイッチング素子の動作を説明するためのタイミングチャート、(c)は切り換えスイッチの動作を説明するためのタイミングチャート、(d)はCLKの動作を説明するためのタイミングチャート、(e)は第1コンデンサの両端電圧を示す図、(f)は第2コンデンサの両端電圧を示す図、(g)は第2コンデンサの上端電圧を示す図である。
図4】同インバータ回路においてHiサイドスイッチング素子がオン、Lowサイドスイッチング素子がオフ、切り換えスイッチがオフの状態を示す回路図である。
図5図4における切り換えスイッチの状態の詳細を示す回路図である。
図6】同インバータ回路においてHiサイドスイッチング素子がオン、Lowサイドスイッチング素子がオフ、切り換えスイッチがオンの状態を示す回路図である。
図7図6における切り換えスイッチの状態の詳細を示す回路図である。
図8】同インバータ回路においてHiサイドスイッチング素子がオフ、Lowサイドスイッチング素子がオン、切り換えスイッチがオンの状態を示す回路図である。
図9】本発明の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明のインバータ回路の構成を示す回路図、図2は、同インバータ回路における切り換えスイッチの構成の詳細を示す回路図、図3は、同インバータ回路の動作を説明するためのタイミングチャートおよびコンデンサの電圧を示す図、図4は、同インバータ回路においてHiサイドスイッチング素子がオン、Lowサイドスイッチング素子がオフ、切り換えスイッチがオフの状態を示す回路図、図5は、図4における切り換えスイッチの状態の詳細を示す回路図、図6は、同インバータ回路においてHiサイドスイッチング素がオン、Lowサイドスイッチング素子がオフ、切り換えスイッチがオンの状態を示す回路図、図7は、図6における切り換えスイッチの状態の詳細を示す回路図、図8は、同インバータ回路においてHiサイドスイッチング素がオフ、Lowサイドスイッチング素子がオン、切り換えスイッチがオンの状態を示す回路図である。
【0018】
図1を参照して本発明のインバータ回路1の構成の概要を説明すると、インバータ回路1は、インバータ部10、第1電源21、第2電源22、第1コンデンサ41、第2コンデンサ42、および切り換えスイッチ50を備え、第1電源21は、第1電圧V1を、インバータ部10に供給し、第2電源22は、第2電圧V2を、切り換えスイッチ50に供給するとともに、切り換えスイッチ50を介して第2電圧V2を第2コンデンサ42に供給して第2コンデンサ42の放電を行い、第1コンデンサ41は、インバータ部10を駆動する駆動電圧として放電による電圧(V2-Vf91)を供給し、第2コンデンサ42は、第1コンデンサ41に第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)を供給し、第1コンデンサ41は、第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)により、充電しながら放電し、切り換えスイッチ50は、オンオフを行うことにより第2コンデンサ42の充放電を切り換え、第2電源22からの第2電圧V2は、第1電源21からの第1電圧V1よりも相対的に低い電圧とする構成となっている。本実施形態においては、インバータ部10、第2電源22、および第1コンデンサ41によりブートストラップ回路を構成し、第1電源21、第2コンデンサ42、および切り換えスイッチ50によりチャージポンプを構成している。
【0019】
インバータ部10は、Hiサイドスイッチング素子11とLowサイドスイッチング素子12とを有している。インバータ部10は、駆動回路30を有しており、駆動回路30は、Hiサイドスイッチング素子11を駆動するHiサイド駆動回路31とLowサイドスイッチング素子12を駆動するLowサイド駆動回路32を有している。Hiサイド駆動回路31およびLowサイド駆動回路32は、Hiサイドスイッチング素子11およびLowサイドスイッチング素子12をオンするための駆動電圧を出力することができる。
【0020】
インバータ回路1は、パルス発生器70を有しており、パルス発生器70は、Hiサイド駆動回路31、Lowサイド駆動回路32、および切り換えスイッチ50にパルス状の制御信号70A,70B,70Cを出力することができる(パルス発生器70は、例えばマイコンで構成することができ、0V-5Vのパルス状の制御信号70A,70B,70Cを出力することができる)。また、インバータ回路1は、インバータ部10から出力される電流をインダンクタンス80を介して負荷60に供給する構成となっている。
【0021】
インバータ回路1は、Hiサイドスイッチング素子11、Lowサイドスイッチング素子12、第1電源21、第2電源22、Hiサイド駆動回路31、Lowサイド駆動回路32、第1コンデンサ41、第2コンデンサ42、切り換えスイッチ50、パルス発生器70、およびインダクタンス80を接続ラインL1乃至L21により電気的に接続して構成されている。インバータ回路1は、制御回路1Aを有しており、制御回路1Aは、Hiサイド駆動回路31、Lowサイド駆動回路32、切り換えスイッチ50、パルス発生器70、レベルシフト回路71、フリップフロップ72、および電圧検出器73を備えている。
【0022】
すなわち、接続ラインL1は、第1電源21と、Hiサイドスイッチング素子11と、を接続している。Hiサイドスイッチング素子11は、Nチャネル型MOSFETで構成されれており、接続ラインL1は、第1電源21と、Hiサイドスイッチング素子11のドレイン電極11dと、を接続している。
【0023】
接続ラインL2は、Hiサイドスイッチング素子11と、Lowサイドスイッチング素子12と、を直列接続している。Lowサイドスイッチング素子12は、Nチャネル型MOSFETで構成されており、接続ラインL2は、Hiサイドスイッチング素子11のソース電極11sと、Lowサイドスイッチング素子12のドレイン電極12dと、を接続している。
【0024】
接続ラインL3は、Lowサイドスイッチング素子12のソース電極12sと、グランドG1と、を接続している。
【0025】
接続ラインL4は、接続ラインL2におけるHiサイドスイッチング素子11のソース電極11sとLowサイドスイッチング素子12のドレイン電極12dとの中間点L2Aと、インダクタンス80と、を接続している。
【0026】
接続ラインL5は、接続ラインL4における中間点L4Aつまり接続ラインL2における中間点L2Aとインダクタンス80との中間点L4Aと、第1コンデンサ41の一端41aと、を接続している。
【0027】
接続ラインL6は、第1コンデンサ41の他端41bと、第2電源22と、を接続している。接続ラインL6には、第1ダイオード91が設けられており、第1ダイオード91は、接続ラインL1,L2(Hiサイドスイッチング素子11から中間点L2Aに至る接続ラインL2),L4(中間点L2Aから中間点L4Aに至る接続ラインL4),L5、第1コンデンサ41を介して第1電源21の第1電圧V1に基づく電流が第2電源22に逆流することを阻止することができる(第1ダイオード91の電圧降下をVf91とする)。
【0028】
接続ラインL7は、接続ラインL6における第1コンデンサ41の他端41bと第2電源22との中間点L6Aと、Hiサイド駆動回路31と、を接続している。
【0029】
接続ラインL8は、Hiサイド駆動回路31と、Hiサイドスイッチング素子11のゲート電極11gと、を接続している。
【0030】
接続ラインL9は、Hiサイド駆動回路31と、接続ラインL2における中間点L2Aと、を接続している。
【0031】
接続ラインL10は、第2電源22と、Lowサイド駆動回路32と、を接続している。
【0032】
接続ラインL11は、Lowサイド駆動回路32と、Lowサイドスイッチング素子12のゲート電極12gと、を接続している。
【0033】
接続ラインL12は、Lowサイド駆動回路32と、接続ラインL3におけるLowサイドスイッチング素子12のソース電極12sとグランドG1との中間点L3Aと、を接続している。
【0034】
接続ラインL13は、接続ラインL6における第2電源22と中間点L6Aとの中間点L6Bと、切り換えスイッチ50と、を接続している。切り換えスイッチ50は、図2に示すように、ハーフブリッジのインバータ回路(CMOS)で構成されており、Hiサイドスイッチング素子としてのPチャネル型MOSFET51とLowサイドスイッチング素子としてのNチャネル型MOSFET52が直列接続されている。つまり、切り換えスイッチ50は、入力側がHiのときは出力側がLowとなり、入力側がLowのときは出力側がHiとなる。接続ラインL13は、中間点L6Bと、切り換えスイッチ50におけるPチャネルMOSFET51のソース電極51sと、を接続している。
【0035】
接続ラインL14は、切り換えスイッチ50においてPチャネル型MOSFET51のドレイン電極51dと、Nチャネル型MOSFET52のドレイン電極52dと、を直列接続している。
【0036】
接続ラインL15は、切り換えスイッチ50においてNチャネル型MOSFET52のソース電極52sと、グランドG2と、を接続している。
【0037】
接続ライン16は、接続ラインL14におけるPチャネル型MOSFET51のドレイン電極51dとNチャネル型MOSFET52のドレイン電極52dの中間点L14Aと、第2コンデンサ42の一端42aと、を接続している。
【0038】
接続ラインL17は、第2コンデンサ42の他端42bと、接続ラインL6における中間点L6Aと中間点L6Bとの中間点L6Cと、を接続している。接続ラインL17には、第2ダイオード92(第2ダイオード92の電圧降下をVf92とする)が設けられており、第2ダイオード92は、第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)に基づく電流が第1コンデンサ41に流れるように、第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)に基づく電流を整流する機能を有している(第2ダイオード92は、第1コンデンサ41の放電による電圧(V2-Vf91)に基づく電流が第2コンデンサ42に逆流することも阻止することができる)。
【0039】
接続ラインL18は、接続ラインL17における第2コンデンサ42の他端42bと中間点L6Cとの中間点L17Aと、接続ラインL4における中間点L4Aとインダクタンス80との中間点L4Bと、を接続している。接続ラインL18には、第3ダイオード93(第3ダイオード93の電圧降下をVf93とする)が設けられており、第3ダイオード93は、第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)に基づく電流が接続ラインL4に逆流することを阻止することができる。
【0040】
接続ラインL19は、レベルシフト回路71、フリップフロップ72、電圧検出器73を介してパルス発生器70と、Hiサイド駆動回路31と、を接続している。
【0041】
接続ラインL20は、パルス発生器70と、Lowサイド駆動回路32と、を接続している。
【0042】
接続ラインL21は、パルス発生器70と、切り換えスイッチ50と、を接続している。より詳しくは、接続ラインL21は、パルス発生器70と、切り換えスイッチ50におけるPチャネル型MOSFET51のゲート電極51gおよびNチャネル型MOSFET52のゲート電圧52gと、を接続している。
【0043】
このように構成された本発明のインバータ回路1は、図3乃至図8に示すように動作させることができる。図4乃至図8においては、電流の流れを点線の矢印で示しており、図4は、図3の時間T2に対応する回路図、図6は、図3の時間T1に対応する回路図、図8は、図3の時間T3に対応する回路図となっている。
【0044】
図3(a),(b),(c)に示すように、まず始めに、パルス発生器70が、パルス状の制御信号70A,70B,70Cを生成する。
【0045】
すなわち、図4に示すように、制御信号70Aは、接続ラインL19を介してHiサイド駆動回路31に出力され、制御信号70Bは、接続ラインL20を介してLowサイド駆動回路32に出力され、制御信号70Cは、接続ラインL21を介して切り換えスイッチ50に出力される。
【0046】
つまり、Hiサイド駆動回路31が、接続ラインL19を介して制御信号70Aを入力する。更に、Hiサイド駆動回路31が、接続ラインL6(第1コンデンサ41の他端41bから中間点L6Aに至る接続ラインL6),L7を介して第1コンデンサ41の放電による電圧(V2-Vf91)を駆動電圧として入力する。これにより、Hiサイド駆動回路31から接続ラインL8を介してHiサイドスイッチング素子11のゲート電極11gにゲート電圧(V1+V2―Vf91)が出力される。
【0047】
このゲート電圧(V1+V2―Vf91)の出力により、Hiサイドスイッチング素子11がオンとなり、ソース電極11sとドレイン電極11dとの間に第1電源21の第1電圧V1に基づく電流が流れる。
【0048】
Hiサイド駆動回路31が、制御信号70Aを入力しているときは、Lowサイドスイッチング素子32はオフとなっている。これにより、ソース電極11sとドレイン電極11dとの間に流れる電流を、接続ラインL2(Hiサイドスイッチング素子11のソース電極11sから中間点L2Aに至る接続ラインL2)、接続ラインL4、およびインダクタンス80を介して負荷60に供給することができる。
【0049】
また、Hiサイド駆動回路31が、制御信号70Aを入力しているときは、制御信号70Cが、接続ラインL21を介して切り換えスイッチ50に間欠的に出力され、切り換えスイッチ50はオンオフを交互に繰り返し行う。
【0050】
これにより、第2コンデンサ42は、第1コンデンサ41が、インバータ部10に駆動電圧として放電による電圧(V2-Vf91)を供給しているときに放電および充電を交互に繰り返し行いながら、放電により第1コンデンサ41に第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)を供給することができる。
【0051】
より詳しくは、第1コンデンサ41が、インバータ部10のHiサイド駆動回路11に駆動電圧として放電による電圧(V2-Vf91)を供給しHiサイドスイッチング素子11をオンさせているときであって、切り換えスイッチ50が、制御信号70Cを入力していないとき(切り換えスイッチの入力側がLowのとき)は、図3のt2の状態であり、図5に示すように、切り換えスイッチ50のPチャネル型MOSFET51がオン、Nチャネル型MOSFET52がオフとなり、切り換えスイッチ50の出力側がHiとなる。これにより、図4に示すように、第2電源22、接続ラインL6(第2電源22から中間点L6Bの至る接続ラインL6)、接続ラインL13、切り換えスイッチ50、接続ラインL16、第2コンデンサ42、接続ラインL17、接続ラインL6(中間点L6Cから第1コンデンサ41の他端41bに至る接続ラインL6)に至る電路が形成され、図3(d),(e),(f),(g)に示すように、第2コンデンサ42の放電は、Hiサイドスイッチング素子11がオンの時間中かつ切り換えスイッチ50がオンの時間中に、第2電圧(V1-Vf93+V2)に基づいて行われ、第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)が第1コンデンサ41に供給される(この状態では、第3ダイオード93が作用して第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)に基づく電流の接続ラインL4への逆流は阻止されている)。これにより、第1コンデンサ41は、充電しながら放電することができる(切り換えスイッチ50がオンとは、切り換えスイッチ50の入力側がLow、出力側がHiの状態)。
【0052】
一方、第1コンデンサ41が、インバータ部10のHiサイド駆動回路11に駆動電圧として放電による電圧(V2-Vf91)を供給しHiサイドスイッチング素子11をオンさせているときであって、切り換えスイッチ50が、制御信号70Cを入力しているとき(切り換えスイッチの入力側がHiのとき)は、図3のt1の状態であり、図6および図7に示す状態となる。
【0053】
すなわち、図7に示すように、切り換えスイッチ50のPチャネル型MOSFET51がオフ、Nチャネル型MOSFET52がオンとなり、切り換えスイッチ50の出力側がLowとなる。これにより、図6に示すように、第1電源21、接続ラインL1、Hiサイドスイッチング素子11、接続ラインL2(Hiサイドスイッチング素子11から中間点L2Aに至る接続ラインL2)、接続ラインL4、接続ラインL18、接続ラインL17(中間点L17Aから第2コンデンサ42に至る接続ラインL17)、第2コンデンサ42、接続ラインL16、切り換えスイッチ50、接続ラインL15、グランドG2に至る電路が形成され、図3(d),(e),(f),(g)に示すように、第2コンデンサ42の充電が行われる。つまり、この第2コンデンサ42の充電は、Hiサイドスイッチング素子11がオンの時間中かつ切り換えスイッチ50がオフの時間中に、第1電源21からの第1電圧V1に基づいて行なわれる構成となっている(切り換えスイッチ50がオフとは、切り換えスイッチ50の入力側がHi、出力側がLowの状態)。切り換えスイッチ50は、第1電源21とは直接接続されていない。より詳しくは、切り換えスイッチ50と第1電源21とは、第2コンデンサ42を介して第1電源21と接続し、第1電源21からの第1電圧V1に基づく第2コンデンサ42による充電後の電圧を切り換えスイッチ50に供給する構成となっている。
【0054】
なお、パルス発生器70からの制御信号70AのHiサイド駆動回路31の入力は、レベルシフト回路71、フリップフロップ72、電圧検出器73を介して行われる。すなわち、電圧検出器73により第1コンデンサ41の放電による電圧(V2-Vf91)が所定値以上であることが検出されたときは、放電による電圧41VがHiサイドスイッチング素子11のゲート電極11gのチャージをするに十分であり、パルス発生器70からの制御信号70Aは、フリップフロップ72によりセットされてHiサイド駆動回路31に送られる。一方、電圧検出器73により第1コンデンサ41の放電による電圧(V2-Vf91)が所定値以下であることが検出されたときは、放電による電圧(V2-Vf91)がHiサイドスイッチング素子11のゲート電極11gのチャージをするに不十分であり、パルス発生器70からの制御信号70Aは、フリップフロップ72によりリセットされてHiサイド駆動回路31には未送信となる。
【0055】
また、Lowサイド駆動回路32が、接続ラインL20を介して制御信号70Bを入力する。更に、Lowサイド駆動回路32が、接続ラインL10を介して第2電源22の第2電圧V2を入力する。これにより、Lowサイド駆動回路32から接続ラインL11を介してLowサイドスイッチング素子12のゲート電極12gにゲート電圧(V2)が出力される。このゲート電圧(V2)の出力により、Lowサイドスイッチング素子12がオンとなり、ドレイン電極12dとソース電極12sとが導通可能な状態となる。
【0056】
Lowサイド駆動回路32が、制御信号70Bを入力しているときは、Hiサイドスイッチング素子31はオフとなっている(図3のt3の状態)。これにより、図8に示すように、第2電源22、接続ラインL6、第1コンデンサ41、接続ラインL5、接続ラインL4(中間点L4Aから中間点L2Aに至る接続ラインL4)、接続ラインL2(中間点L2AからLowサイドスイッチング素子12に至る接続ラインL2)、接続ラインL3、グランドG1に至る電路が形成され、図3(e)に示すように、第1コンデンサ41の充電が行われる。
【0057】
なお、Lowサイド駆動回路32が、制御信号70Bを入力しているときは、切り換えスイッチ50は、継続して制御信号70Cを入力して入力側がHi、出力側がLowの状態となっており、Pチャネル型MOSFET51がオフ、Nチャネル型MOSFETがオンとなっている。この状態では、Hiサイドスイッチング素子11がオフのため、第2コンデンサ42の充電は行われない(第3ダイオードが作用して第2コンデンサ42の放電による電圧(V1-Vf93+V2)に基づく電流の接続ラインL4への逆流も阻止される)。
【0058】
以上説明したように、本発明のインバータ回路1によれば、第1電源21は、第1電圧V1を、インバータ部10に供給し、第2電源22は、第2電圧V2を、切り換えスイッチ50に供給し、第1コンデンサ41は、インバータ部10を駆動する駆動電圧を供給し、第2コンデンサ42は、第1コンデンサ41に電圧(V1-Vf93+V2)を供給し、切り換えスイッチ50は、オンオフを行うことにより第2コンデンサ42の充放電を切り換えることにより、第2コンデンサ42が、第1コンデンサ41を継ぎ足すように充電することが可能となり、Hiサイドスイッチング素子11をオフさせる動作を少なくすることができる。
【0059】
また、第2コンデンサ42は、放電および充電を交互に繰り返し行いながら、放電により第1コンデンサ41に電圧(V1-Vf93+V2)を供給することにより、第1コンデンサ41が、インバータ部10に放電による電圧(V2-Vf91)を供給しているときに、第2コンデンサ42が、放電による電圧(V1-Vf93+V2)を確保しながら第1コンデンサ41に継ぎ足すように充電することができる。
【0060】
更に、第2コンデンサ42の充電は、Hiサイドスイッチング素子11がオンの時間中に、第1電圧V1に基づいて行なわれることにより、第1電圧V1に基づいて充放電される第1コンデンサ41と充放電の連携が可能となる。
【0061】
更にまた、第2コンデンサ42の放電は、切り換えスイッチ50がオンの時間中に、第2電圧V2に基づいて行われることにより、第1電源21からの電圧V1の供給がなくとも第2コンデンサ42が、放電による電圧(V1-Vf93+V2)を確保しながら第1コンデンサ41に継ぎ足すように充電することができる。この継ぎ足し充電の能力は、切り換えスイッチ50のスイッチング速度(スイッチング周波数)等の性能・能力を変えることで調整することができる。
また更に、第2電圧V2は、第1電圧V1よりも相対的に低いことにより、第2コンデンサ42の充放電を切り換える切り換えスイッチ50に相対的に低い電圧を供給して、切り換えスイッチ50の高耐圧化を防止し、スイッチングノイズも低減することができる。
すなわち、切り換えスイッチ50は、高周波で動作することが多くノイズが大きくなることがあるが、例えばEV(電動自動車)モータ用等の高圧化が要求されるインバータ回路1では、切り換えスイッチ50が高耐圧化するとともに、切り換えスイッチ50の周波数が更に高周波となり、スイッチングノイズも更に大きくなるという問題を従来から抱えていた。
【0062】
また、切り換えスイッチ50は、第1電源21とは直接接続されていないことにより、切り換えスイッチ50に相対的に低い電圧を供給でき、切り換えスイッチ50の高耐圧化を防止し、スイッチングノイズも低減することができる。
【0063】
すなわち、切り換えスイッチ50と第1電源21とは、少なくとも第2コンデンサ42を介して接続することにより、切り換えスイッチ50は、相対的に高い第1電源21の第1電圧V1を第2コンデンサ42による充電後に供給することができる等、切り換えスイッチ50に相対的に低い電圧を供給でき、切り換えスイッチ50の高耐圧化を防止し、スイッチングノイズも低減することができるとともに、第1コンデンサ41と第2コンデンサ42との充放電連携が可能となる(切り換えスイッチ50と第1電源21とは、第2コンデンサ42、第3ダイオード93、Hiサイドスイッチ11を介して接続しているが、少なくとも第2コンデンサ42を介することとすれば、上記の効果を奏することができる)。
【0064】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0065】
例えば、上述した実施形態にあっては、インバータ部10は、Hiサイドスイッチング素子11およびLowサイドスイッチング素子12を備え、第1コンデンサ41の放電による電圧(V2-Vf91)をHiサイドスイッチング素子11のHiサイド駆動回路31に供給することとしているが、例えば、インバータ部10を他のスイッチング素子により構成し、第1コンデンサ41の放電による電圧(V2-Vf91)をインバータ部10に供給することとしてもよい。すなわち、第1コンデンサ41は、単にインバータ部10に駆動電圧として放電による電圧(V2-Vf91)を供給する構成であれば、インバータ部10に関する各種の変形例、応用例を含むことができる。
【0066】
また、切り換えスイッチ50は、Pチャネル型MOSFET51およびNチャネル型MOSFET52を有するハーフブリッジのインバータ回路とすることとしているがこのような構成に限定されず、オンオフを行うことにより第2コンデンサ42の充放電を切り換えるものであれば各種のスイッチを含むことができる。
【0067】
更に、図9に示すように、中間点L17Aと第2コンデンサ42との間に抵抗95を設けることとしてもよい。これにより、第2コンデンサ41の電流値を調整することできる。
【0068】
また更に、上述した実施形態においては、制御回路1Aは、Hiサイド駆動回路31、Lowサイド駆動回路32、切り換えスイッチ50、パルス発生器70、レベルシフト回路71、フリップフロップ72、および電圧検出器73を備えることとしているが、切り換えスイッチ50のみを備えることとして、Hiサイド駆動回路31、Lowサイド駆動回路32、パルス発生器70、レベルシフト回路71、フリップフロップ72、および電圧検出器73をインバータ回路1の本体側に設けることとしてもよい。すなわち、制御回路1Aは、切り換えスイッチ50を少なくとも備えることとすれば所要の効果を奏することができる。
また、上述した実施形態にあっては、第2電源22の第2電圧V2は、第1電源21の第1電圧V1よりも相対的に低いこととしているが、第1電源21の第1電圧V1が、第2電源22の第2電圧V2よりも相対的に低いこととしても本発明の趣旨を逸脱しない。
【符号の説明】
【0069】
G1,G2:グランド
L1乃至L21:接続ライン
L2A,L3A,L4A,L4B,L6A,L6B,L6C,L14A,L17A:中間点
T1,T2,T3:時間
t1~t19:時刻
V1:第1電源の電圧
V2:第2電源の電圧
Vf91:第1ダイオードの電圧降下
Vf92:第2ダイオードの電圧降下
Vf93:第3ダイオードの電圧降下
1:インバータ回路
1A:制御回路
10:インバータ部
11:Hiサイドスイッチング素子
11g:ゲート電極
11s:ソース電極
11d:ドレイン電極
12:Lowサイドスイッチング素子
12g:ゲート電極
12s:ソース電極
12d:ドレイン電極
21:第1電源
22:第2電源
30:駆動回路
31::Hiサイド駆動回路
32:Lowサイド駆動回路
41:第1コンデンサ
41a:一端
41b:他端
42:第2コンデンサ
42a:一端
42b:他端
50:切り換えスイッチ
51:Pチャネル型MOSFET
51g:ゲート電極
51s:ソース電極
51d:ドレイン電極
52:Nチャネル型MOSFET
52g:ゲート電極
52d:ドレイン電極
52s:ソース電極
60:負荷
70:パルス発生器
70A,70B,70C:制御信号
71:レベルシフト回路
72:フリップフロップ
73:電圧検出器
80:インダクタンス
91:第1ダイオード
92:第2ダイオード
93:第3ダイオード
95:抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9