(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017068
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】錐体分光感度推定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/06 20060101AFI20240201BHJP
G01J 3/52 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B3/06
G01J3/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119459
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】日比野 進
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 潤哉
(72)【発明者】
【氏名】篠田 博之
【テーマコード(参考)】
2G020
4C316
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA02
2G020DA03
2G020DA04
2G020DA05
2G020DA12
2G020DA32
2G020DA34
2G020DA35
2G020DA66
4C316AA19
4C316FA01
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】被験者個人の錐体の分光感度を正確に推定することを目的とする。
【解決手段】錐体分光感度推定装置4は、表示装置2の画面の一領域21に表示されたテスト色と、画面の他領域22に設置された色フィルタ23によって補正された参照色とが同じ色になるよう、被験者Pにテスト色を調整させる条件等色実験の実験データとして、被験者Pによって調整されたテスト色のRGB値と画面の他領域22に表示された参照色のRGB値とを取得する実験データ取得部63と、実験データに基づいて被験者Pの錐体の分光感度を示す錐体分光感度関数を推定する推定部64と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の画面の一領域に表示されたテスト色と、前記画面の他領域に設置された色フィルタによって補正された参照色とが同じ色になるよう、被験者に前記テスト色を調整させる条件等色実験の実験データとして、前記被験者によって調整された前記テスト色のRGB値と前記他領域に表示された前記参照色のRGB値とを取得する実験データ取得部と、
前記実験データに基づいて、前記被験者の錐体の分光感度を示す錐体分光感度関数を推定する推定部と、を備える
ことを特徴とする錐体分光感度推定装置。
【請求項2】
前記錐体分光感度関数は、前記被験者の視覚特性に関するパラメータを用いて表され、
前記参照色の刺激に対する前記錐体の応答値は、前記参照色の前記刺激の分光放射輝度と前記錐体分光感度関数とを用いて表され、
前記テスト色の刺激に対する前記錐体の応答値は、前記テスト色の前記刺激の分光放射輝度と前記錐体分光感度関数とを用いて表され、
前記推定部は、前記参照色の前記刺激に対する前記錐体の前記応答値と前記テスト色の前記刺激に対する前記錐体の前記応答値との相対誤差の平均二乗誤差を最小化するような前記パラメータを探索することによって、前記錐体分光感度関数を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の錐体分光感度推定装置。
【請求項3】
前記テスト色は、前記一領域内において隣接するピクセル群に異なる色を表示させた併置加法混色によって表現されている
ことを特徴とする請求項1に記載の錐体分光感度推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、差分進化法を用いて前記パラメータを探索する
ことを特徴とする請求項2に記載の錐体分光感度推定装置。
【請求項5】
前記実験データ取得部は、互いに分光透過率が異なる複数の前記色フィルタを設置して複数回の前記条件等色実験を行って得られた複数の前記実験データを取得し、
前記推定部は、複数の前記実験データに基づいて、前記錐体分光感度関数を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の錐体分光感度推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錐体分光感度推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の視覚特性には個人差があることが分かっている。視覚特性は、光の波長毎の錐体の感度を示す曲線である分光感度関数(等色関数)によって表される。人が知覚する色は、分光感度関数と、観察対象の分光放射輝度とによって求められる。
【0003】
特許文献1には、表示装置に表示された複数の異なる色のうちから、光を反射する媒体上に形成された基準色に最も近い色を、ユーザに選択させる選択手段と、前記ユーザに選択された色に基づき、次回、前記表示装置に表示させる色を決定する決定手段と、前記決定手段による色の決定及び前記ユーザによる選択を複数回繰り返した結果に基づき、前記ユーザの視覚特性を算出する算出手段と、を有し、前記ユーザにより2以上の色の組み合わせのうちから一定回数以上繰り返し選択された場合、前記算出手段は、前記組み合わせに含まれる色に基づき前記ユーザの視覚特性を算出する演算処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された演算処理装置は、等色実験において、被験者に基準色票と近い色をディスプレイから選択させる。この際、特許文献1に開示された演算処理装置は、印刷された基準色に対して、光源色となる測定色票を自発光のディスプレイに表示する。これにより、特許文献1に開示された演算処理装置では、基準色と測定色票との間に色域又は明るさの違いが発生し、正しく等色実験を行うことが難しい。したがって、特許文献1に開示された演算処理装置では、等色実験の結果から、被験者の錐体の分光感度関数を正確に推定することは難しい。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被験者個人の錐体の分光感度を正確に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の、錐体分光感度推定装置は、表示装置の画面の一領域に表示されたテスト色と、前記画面の他領域に設置された色フィルタによって補正された参照色とが同じ色になるよう、被験者に前記テスト色を調整させる条件等色実験の実験データとして、前記被験者によって調整された前記テスト色のRGB値と前記他領域に表示された前記参照色のRGB値とを取得する実験データ取得部と、前記実験データに基づいて、前記被験者の錐体の分光感度を示す錐体分光感度関数を推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の条件等色実験は、表示装置の画面の他領域に色フィルタを設置するという簡易な手法にて行うことができ、且つ、参照色とテスト色との間に色域又は明るさの違いが発生しない実験条件にて行うことができる。そして、本発明の錐体分光感度推定装置は、このような簡易且つ正確に行われた条件等色実験にて得られた実験データに基づいて、被験者の錐体分光感度関数を推定することができる。よって、本発明の錐体分光感度推定装置は、被験者個人の錐体分光感度を簡易且つ正確に推定することができる。
【0009】
更に好ましい態様として、前記錐体分光感度関数は、前記被験者の視覚特性に関するパラメータを用いて表され、前記参照色の刺激に対する前記錐体の応答値は、前記参照色の前記刺激の分光放射輝度と前記錐体分光感度関数とを用いて表され、前記テスト色の刺激に対する前記錐体の応答値は、前記テスト色の前記刺激の分光放射輝度と前記錐体分光感度関数とを用いて表され、前記推定部は、前記参照色の前記刺激に対する前記錐体の前記応答値と前記テスト色の前記刺激に対する前記錐体の前記応答値との相対誤差の平均二乗誤差を最小化するような前記パラメータを探索することによって、前記錐体分光感度関数を推定する。
【0010】
この態様により、本発明の錐体分光感度推定装置は、上記の平均二乗誤差を最小化する最適化計算において、錐体分光感度関数がゼロに収束する事態を回避できると共に、錐体分光感度関数の推定確度に与える参照刺激の影響を最小限にすることができる。したがって、本発明の錐体分光感度推定装置は、錐体分光感度関数を更に正確に推定することができる。よって、本発明の錐体分光感度推定装置は、被験者個人の錐体分光感度を更に正確に推定することができる。
【0011】
更に好ましい態様として、前記テスト色は、前記一領域内において隣接するピクセル群に異なる色を表示させた併置加法混色によって表現されている。
【0012】
この態様により、高階調表示が可能である特別な表示装置を使用して条件等色実験を行わなくても、テスト色の高階調化を簡単に図ることができる。よって、本発明の錐体分光感度推定装置は、被験者が微妙な色味の違いを知覚できる錐体を有していても、当該被験者の錐体分光感度関数を正確に推定することができる。よって、本発明の錐体分光感度推定装置は、被験者個人の錐体分光感度を更に簡易且つ正確に推定することができる。
【0013】
更に好ましい態様として、前記推定部は、差分進化法を用いて前記パラメータを探索する。
【0014】
この態様により、本発明の推定部は、比較的簡易なアルゴリズムを用いてパラメータを探索することができるので、錐体分光感度関数を簡易に推定することができる。よって、本発明の錐体分光感度推定装置は、被験者個人の錐体分光感度を更に簡易に推定することができる。
【0015】
更に好ましい態様として、前記実験データ取得部は、互いに分光透過率が異なる複数の前記色フィルタを設置して複数回の前記条件等色実験を行って得られた複数の前記実験データを取得し、前記推定部は、複数の前記実験データに基づいて、前記錐体分光感度関数を推定する。
【0016】
この態様により、本発明の錐体分光感度推定装置は、様々な波長域を有する色刺激に対する被験者の錐体応答値を用いて錐体分光感度関数を推定することができるので、被験者の錐体分光感度関数を更に正確に推定することができる。更に、本発明の錐体分光感度推定装置は、条件等色実験の実験データにばらつきが存在していても、錐体分光感度関数の推定誤差を抑制することができる。よって、本発明の錐体分光感度推定装置は、被験者個人の錐体分光感度を更に正確に推定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被験者個人の錐体の分光感度を正確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の錐体分光感度推定装置を備えた錐体分光感度推定システムの構成を示す図。
【
図3】
図3(a)は条件等色実験を説明する図、
図3(b)は各色フィルタの分光透過率を示す図。
【
図5】錐体分光感度推定装置によって行われる錐体分光感度関数の推定処理の流れを示すフローチャート。
【
図6】
図6(a)は錐体分光感度推定装置によって被験者の錐体分光感度関数を推定した結果の一例を示す図、
図6(b)は実験データのばらつきによって錐体分光感度関数の推定誤差が生じた例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0020】
[錐体分光感度推定システムの構成]
図1を用いて、本実施形態の錐体分光感度推定システム1の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の錐体分光感度推定装置4を備えた錐体分光感度推定システム1の構成を示す図である。
【0022】
錐体分光感度推定システム1は、被験者Pの視覚特性として被験者Pの錐体の分光感度を推定するシステムである。特に、錐体分光感度推定システム1は、被験者Pに対する条件等色実験の実験結果である実験データに基づいて、被験者Pの錐体の分光感度を示す錐体分光感度関数を推定するシステムである。錐体分光感度推定システム1は、表示装置2と、入力装置3と、錐体分光感度推定装置4と、を備える。
【0023】
表示装置2は、条件等色実験を行うために様々な色を被験者Pに表示するディスプレイによって構成される。入力装置3は、条件等色実験の際に被験者Pの操作によって情報を入力するマウス又はキーボード等の汎用入力デバイスによって構成される。入力装置3は、条件等色実験の際に被験者Pの操作に供されるスライダ等の専用入力デバイスによって構成されてもよい。
【0024】
錐体分光感度推定装置4は、被験者Pの錐体の分光感度を推定するコンピュータシステムによって構成される。錐体分光感度推定装置4は、記憶装置5と、演算処理装置6と、を備える。記憶装置5は、SSD又はHDD等によって構成される。記憶装置5は、演算処理装置6の処理に用いられる各種データ等を記憶する。演算処理装置6は、CPU、ROM及びRAM等によって構成される。演算処理装置6は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、錐体分光感度推定装置4の各種機能を実現する。
【0025】
演算処理装置6は、条件等色実験において表示装置2の表示を制御する表示制御部61を備える。更に、演算処理装置6は、条件等色実験の実験条件を示す実験情報を取得する実験情報取得部62と、条件等色実験の実験データを取得する実験データ取得部63と、を備える。更に、演算処理装置6は、実験データ取得部63により取得された実験データに基づいて、被験者Pの錐体の分光感度を示す錐体分光感度関数を推定する推定部64を備える。
【0026】
[条件等色実験]
図2~
図4を用いて、本実施形態の条件等色実験について説明する。
【0027】
図2は、条件等色実験の流れを示すフローチャートである。
図3(a)は、条件等色実験を説明する図である。
図3(b)は、各色フィルタ23の分光透過率を示す図である。
図4は、テスト色の高階調化を説明する図である。
【0028】
本実施形態の条件等色実験では、表示装置2の画面の一領域21(
図3(a)では画面の右側)に表示されたテスト色と、表示装置2の画面の他領域22(
図3(a)では画面の左側)に設置された色フィルタ23によって補正された参照色とが同じ色となるように被験者Pにテスト色を調整させることによって、参照色とテスト色との色合わせを行う。
【0029】
具体的には、まず、本実施形態の条件等色実験では、実験管理者又は被験者Pが、表示装置2の画面の他領域22に色フィルタ23に設置する(
図2のステップS1)。色フィルタ23は、互いに分光透過率の異なる複数の色フィルタ23によって構成される。例えば、色フィルタ23は、
図3(b)に示すように、無彩色光のフィルタ透過後の色(補正された色)が、薄い色味の青、緑、桃、黄緑、赤又は紫となる色フィルタである。すなわち、無彩色光が色フィルタ23を透過することによって補正された参照色は、青、緑、桃、黄緑、赤又は紫となる。
【0030】
続いて、本実施形態の条件等色実験では、錐体分光感度推定装置4の表示制御部61が、表示装置2の画面の一領域21及び他領域22の初期表示制御を実行する(
図2のステップS2)。画面の一領域21には、光源色となるテスト色が表示される。テスト色として初期表示される色は、予め定められた無彩色又は有彩色であってもよい。画面の他領域22には、色フィルタ23による補正前の参照色が表示される。画面の他領域22に表示される参照色は、色フィルタ23が交換されるまで変更されない。
【0031】
ここで、テスト色は、画面の一領域21内において隣接するピクセル群に異なる色を表示させた併置加法混色によって表現されている。すなわち、表示制御部61は、
図3(a)に示すように、2以上の色をチェッカー状に分けてテスト色を表示させる。例えば、画面の一領域21が、
図4に示すように、6×6ピクセルで構成されているとする。
図4の各ピクセル内の「0」又は「1」は、各ピクセルの発光が「OFF」又は「ON」であることを示している。各ピクセルは、発光強度を0~255の範囲で設定可能である。表示制御部61は、6×6ピクセルの全体を9分割して2×2ピクセルのピクセル群を作成する。表示制御部61は、作成されたピクセル群毎に、2
8=256階調の色を設定する。この場合、画面の一領域21には、255×9+1=2296通りの色が表示可能である。実際には、ピクセル群毎に異なる色が表示されているが、表示装置2から適度に離れて観察する被験者Pには、ピクセル群毎に表示された異なる色が混色されて、均一の色に見える。このようにして、テスト色は、併置加法混色によって表現される。なお、
図4では、画面の一領域21は、3×3ピクセルで構成されていてもよし、12×12ピクセルで構成されていてもよく、特に限定されない。各ピクセル群に表示される色についても、被験者Pが色の不連続感を感じない範囲において設定されればよく、特に限定されない。
【0032】
続いて、本実施形態の条件等色実験では、錐体分光感度推定装置4の表示制御部61が、被験者Pに色合わせを実行するよう促すメッセージを表示装置2に表示させる表示制御を実行する。被験者Pは、画面の一領域21に表示されたテスト色と、画面の他領域22に設置された色フィルタ23によって補正された参照色とが同じ色になるよう、テスト色を調整する(
図2のステップS3)。被験者Pは、入力装置3を操作することによってテスト色を任意に調整することができる。被験者Pは、キーボードによって構成された入力装置3を用いてテスト色のRGB値を入力することによって、テスト色を調整することができる。或いは、被験者Pは、スライダ等によって構成された入力装置3を移動させることによってテスト色を調整することができる。入力装置3は、被験者Pによって調整されたテスト色のRGB値を表示制御部61に通知する。表示制御部61は、入力装置3から通知されたRGB値に応じて、画面の一領域21の各ピクセルのRGB値を制御する。これにより、被験者Pによって調整されたテスト色が、画面の一領域21に表示される。被験者Pによる調整後、表示制御部61は、被験者Pによって調整されたテスト色のRGB値を、入力値(R
t,G
t,B
t)として記憶装置5に記憶する。表示制御部61は、画面の他領域22に表示された参照色(色フィルタ23による補正前の参照色)のRGB値を、入力値(R
r,G
r,B
r)として記憶装置5に記憶する。
【0033】
続いて、本実施形態の条件等色実験では、実験管理者又は被験者Pが、全ての色フィルタ23にて実験済であるか否かを判定する(
図2のステップS4)。全ての色フィルタ23にて実験済みでない場合、色フィルタ23を実験済でないものに交換して(ステップS1)、再び条件等色実験を行う。全ての色フィルタ23にて実験済である場合、条件等色実験を終了する。なお、全ての色フィルタ23にて実験済であるか否かの判定は、表示制御部61が記憶装置5に記憶されたテスト色及び参照色のRGB値を確認することよって表示制御部61が行ってもよい。そして、表示制御部61は、条件等色実験が終了した旨のメッセージ、又は、実験管理者又は被験者Pに色フィルタ23の交換を促すメッセージを、表示装置2に表示させる表示制御を実行してもよい。
【0034】
[錐体分光感度関数の推定処理]
図5を用いて、本実施形態の錐体分光感度推定装置4によって行われる錐体分光感度関数の推定処理について説明する。
【0035】
図5は、錐体分光感度推定装置4によって行われる錐体分光感度関数の推定処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
まず、錐体分光感度推定装置4の実験情報取得部62が、実験情報を取得する(
図5のステップS11)。実験情報は、条件等色実験の被験者Pの年齢a[歳]を含む。
【0037】
続いて、錐体分光感度推定装置4の実験データ取得部63が、条件等色実験の実験データを取得する(
図5のステップS12)。具体的には、実験データ取得部63は、条件等色実験毎に、被験者Pにより調整されたテスト色のRGB値である入力値(Rt,Gt,Bt)と、画面の他領域22に表示された参照色のRGB値である入力値(Rr,Gr,Br)とを、記憶装置5から取得する。互いに分光透過率が異なる複数の色フィルタ23を設置して条件等色実験が複数回行われた場合、実験データ取得部63は、複数の実験データを取得する。
【0038】
続いて、錐体分光感度推定装置4の推定部64は、取得された実験情報及び実験データに基づいて、被験者Pの錐体分光感度関数を推定する。具体的には、推定部64は、
図5のステップS13~ステップS16に示す処理を行う。複数回の条件等色実験が行われた場合、推定部64は、複数の実験データに基づいて、被験者Pの錐体分光感度関数を推定する。
【0039】
まず、推定部64は、被験者Pの視覚特性に関するパラメータを特定する(
図5のステップS13)。具体的には、推定部64は、被験者Pの年齢a[歳]、刺激サイズν[deg]、眼球光学媒体光学濃度の偏差d
lens[%]、黄斑光学濃度の偏差d
macula[%]、各錐体の最大光学濃度の偏差d
L[%],d
M[%],d
S[%]、及び、分光吸光度の波長方向の偏移s
L[nm],s
M[nm],s
S[nm]の10個のパラメータを特定する。なお、以下に示す錐体分光感度関数は、被験者Pの視覚特性に関するパラメータを用いて表される。
【0040】
刺激サイズνは、条件等色実験において被験者Pから見た色刺激の大きさである。刺激サイズνは、視角[deg]によって表される。刺激サイズνは、実験条件として設定される色刺激の大きさを明示的に入力されるのではなく、被験者Pの視覚特性に関するパラメータとして設定される。
【0041】
眼球光学媒体光学濃度の偏差dlensは、標準的な錐体分光感度を定義する際に用いられる標準観測者の眼球光学媒体光学濃度からの、被験者Pの眼球光学媒体光学濃度の偏差である。この標準観測者は、CIE(国際照明委員会)によって定められた標準観測者であってもよい。
【0042】
黄斑光学濃度の偏差dmaculaは、標準観測者の黄斑光学濃度からの、被験者Pの黄斑光学濃度の偏差である。
【0043】
各錐体の最大光学濃度の偏差dL,dM,dSは、標準観測者の各錐体の最大光学濃度からの、被験者Pの各錐体の最大光学濃度の偏差である。
【0044】
分光吸光度の波長方向の偏移sL,sM,sSは、標準観測者の各錐体内の視物質の分光吸光度からの、被験者Pの各錐体内の視物質の分光吸光度の波長方向の偏差である。L,M,Sの3つの錐体の各分光感度は、光の波長の関数であり、その波形は略山形の形状となり得る。分光吸光度の波長方向の偏移sL,sM,sSは、3つの錐体の各分光感度の最大値の波長に対して直接影響を与え得る。したがって、推定部64は、上記の10個のパラメータのうちで錐体分光感度関数の推定に最も大きな影響を与え得る、分光吸光度の波長方向の偏移sL,sM,sSを少なくとも特定する。
【0045】
続いて、推定部64は、特定されたパラメータを用いて、被験者Pの錐体分光感度関数を表す視覚モデルを作成する(
図5のステップS14)。具体的には、推定部64は、被験者Pの錐体分光感度関数を表す視覚モデルとして、数式1を作成する。λは波長を表す。分光感度関数l
q(λ),m
q(λ),s
q(λ)は、数式1のように、分光吸光度α
j(λ)(j=L,M,S)、黄斑光学濃度D
macula(λ)、眼球光学媒体光学濃度D
lens(λ)によって表される。
【0046】
【0047】
被験者Pの年齢aが60歳以下である場合、数式2によって、平均的な眼球光学媒体光学濃度Dlens,ave(λ)を定義する。被験者Pの年齢aが60歳を超える場合、数式3によって、平均的な眼球光学媒体光学濃度Dlens,ave(λ)を定義する。また、数式4に示すように、眼球光学媒体光学濃度の偏差dlensを導入して、個人差を表現する。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
黄斑光学濃度Dmacula(λ)は、数式5及び数式6に示すように、平均的な黄斑光学濃度Dmacula,ave(λ)と刺激サイズνの影響に、黄斑光学濃度の偏差dmaculaを導入して、個人差を表現する。
【0052】
【0053】
【0054】
波長方向の偏移sjを反映した低光学濃度における各錐体の分光吸光度Ashift,j(λ)は、数式8によって表される。刺激サイズνと、各錐体の最大光学濃度の偏差dL,dM,dSとを用いて個人差を反映した各錐体の光学濃度の最大値Dmax,jは、数式9によって表される。各錐体の分光吸光度αj(λ)は、低光学濃度における各錐体の分光吸光度Ashift,j(λ)と、各錐体の光学濃度の最大値Dmax,jとを用いて、数式7によって表される。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
以上により、被験者Pの錐体分光感度関数を表す視覚モデルは、被験者Pの年齢a[歳]、刺激サイズν[deg]、眼球光学媒体光学濃度の偏差dlens[%]、黄斑光学濃度の偏差dmacula[%]、各錐体の最大光学濃度の偏差dL[%],dM[%],dS[%]、及び、分光吸光度の波長方向の偏移sL[nm],sM[nm],sS[nm]の計10個のパラメータを用いて、錐体分光感度の個人差を表現することができる。
【0059】
次に、推定部64は、参照色の刺激(「参照刺激」とも称する)及びテスト色の刺激(「テスト刺激」とも称する)に対する各錐体応答値を計算する(
図5のステップS15)。参照刺激及びテスト刺激に対する各錐体応答値は、参照刺激及びテスト刺激の各分光放射輝度P
r(λ),P
t(λ)と、数式1に示す錐体分光感度関数l(λ),m(λ),s(λ)とを用いて表される。
【0060】
表示装置2のRGBチャネルへの入力値を最大にした際の分光放射輝度r(λ),g(λ),b(λ)とし、色フィルタ23の分光透過率をτ(λ)とする。参照刺激及びテスト刺激における入力値(Rr,Gr,Br),(Rt,Gt,Bt)を0~1とする。表示装置2のガンマ特性を線形(γ=1)とする。この場合、参照刺激の分光放射輝度Pr(λ)は、数式10によって表される。テスト刺激の分光放射輝度Pt(λ)は、数式11によって表される。参照刺激及びテスト刺激における入力値(Rr,Gr,Br),(Rt,Gt,Bt)は、上記のように、表示制御部61から記憶装置5に記憶された値である。
【0061】
【0062】
【0063】
参照刺激及びテスト刺激に対する各錐体応答値L,M,Sは、数式12によって表される。条件等色実験においては、数式13の等式が成立するはずである。しかし、数式13の等式は、その形から線形代数の手法で解析的に解くことができない。したがって、推定部64は、数式13の等式を数値解析的に解くことによって、錐体分光感度関数を推定する必要がある。この際、推定部64は、複数回の条件等色実験を行って得られた複数の実験データを用いて、数式13の等式を数値解析的に解く。
【0064】
【0065】
【0066】
次に、推定部64は、参照刺激に対する錐体応答値とテスト刺激に対する錐体応答値との相対誤差の平均二乗誤差が最小となるよう、被験者Pの視覚特性に関するパラメータを探索する(
図5のステップS16)。具体的には、被験者Pによって行われたn回目の条件等色実験における参照刺激及びテスト刺激に対する錐体応答値を(L
r,n,M
r,n,S
r,n),(L
t,n,M
t,n,S
t,n)とする。参照刺激に対する錐体応答値とテスト刺激に対する錐体応答値との誤差(残差)をΔL
n=L
r,n-L
t,n,ΔM
n=M
r,n-M
t,n,ΔS
n=S
r,n-S
t,nとする。この場合、当該誤差が最小になるような錐体分光感度関数を求めると、求められた錐体分光感度関数が被験者Pの個人の錐体分光感度関数となる。
【0067】
本実施形態では、推定部64は、参照刺激に対する錐体応答値とテスト刺激に対する錐体応答値との相対誤差の平均二乗誤差が最小となるよう、上記の10個のパラメータを探索することによって、被験者Pの錐体分光感度関数を推定する。参照刺激に対する錐体応答値とテスト刺激に対する錐体応答値との相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSは、数式14によって表される。数式14において、ΔLn/Lr,n,ΔMn/Mr,n,ΔSn/Sr,n,は、参照刺激に対する錐体応答値とテスト刺激に対する錐体応答値との相対誤差を表している。
【0068】
【0069】
誤差ΔLn,ΔMn,ΔSnではなく、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用する1つの理由は、評価関数値を最小化する最適化計算において錐体分光感度関数がゼロに収束する事態を回避するためである。すなわち、参照刺激に対する錐体応答値(Lr,n,Mr,n,Sr,n)とテスト刺激に対する錐体応答値(Lt,n,Mt,n,St,n)は、それぞれの分光放射輝度に同一の錐体分光感度関数(推定対象)を乗じた上で、可視光波長域で積分(計算上は波長幅を乗じた上での総和)することによって計算される。したがって、単に誤差ΔLn,ΔMn,ΔSnの平均二乗誤差を評価関数値として採用する場合、錐体分光感度関数を全波長に亘ってゼロに近付けると平均二乗誤差(評価関数値)もゼロに近付くので、最適化計算が有効に機能しない可能性が高い。発明者は、実際に評価関数値を誤差の平均二乗誤差として最適化計算を行い、常に全ての値をゼロとする錐体分光感度関数が得られたことを確認している。一方、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用する場合、錐体分光感度関数をゼロに近付けても、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMS(評価関数値)の分子だけでなく分母もゼロに近付くので、評価関数値を最小にする錐体分光感度関数として全ての波長域がゼロとなる関数に収束することは起こり得ない。このような理由から、推定部64は、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用している。
【0070】
更に、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用する他の1つの理由は、推定確度に与える参照刺激の影響を最小限にするためである。すなわち、参照刺激の色によって3種類の錐体(L錐体,M錐体,S錐体)の応答値のバランスが変化する。例えば、赤い参照刺激では、L錐体の応答値がM錐体の応答値又はS錐体の応答値と比べて相対的に大きな値となる。したがって、単に誤差ΔLn,ΔMn,ΔSnの平均二乗誤差を評価関数値として採用する場合、仮に条件等色実験に用いた参照刺激が赤色系統に偏っていた場合は、平均二乗誤差におけるL錐体の応答値の誤差が相対的に大きな重みを持ってしまうことから、M錐体又はS錐体の錐体分光感度関数が適正に推定できない可能性が生じる。仮に参照刺激が緑色系統又は青色系統に偏っていた場合も同様である。一方、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用する場合、参照刺激の色の偏りの影響を受けることなく、3種類の錐体の錐体分光感度関数がバランスよく推定できると考えられる。すなわち、LMS錐体間の各応答値を平準化し、応答値の大きな錐体の分光感度関数が誤差平方和を支配する可能性を排除することができる。しかも、条件等色実験における参照刺激に対する錐体応答値とテスト刺激に対する錐体応答値との誤差は、色弁別閾(色の違いを見分ける最小の色差)の大きさに比例する。この弁別閾値は、刺激強度に比例するウェーバー則(Weber's law)に従うことが分かっている。したがって、最適化計算に用いられる実験データの特性という観点からも、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用することが適切である。このような理由から、推定部64は、相対誤差の平均二乗誤差RMSELMSを評価関数値として採用している。
【0071】
数式14によって表される平均二乗誤差RMSELMSを最小化するようなパラメータを探索するためには、何らかの非線形的な最適化手法を適用する必要がある。数式14によって表される平均二乗誤差RMSELMSは、モデルが複雑であり、錐体分光感度関数の導関数を計算することができない。したがって、数式14によって表される平均二乗誤差RMSELMSを最小化するようなパラメータを探索するためには、最急降下法又はニュートン法等の勾配法を適用することができない。また、局所的な極小値に収束するパラメータの探索となる可能性もあることから、適用する最適化手法としては大域的な最適化手法が望ましい。
【0072】
そこで、本実施形態では、推定部64は、アルゴリズムが比較的単純な進化計算アルゴリズムの1つである差分進化法を最適化手法として適用し、上記のパラメータを探索する。差分進化法による多変量関数の最小化では、変数を成分にもつベクトル(個体)を多数発生させ、突然変異(mutation)と交叉(crossover)とで次世代の個体を作りながら、より小さな関数値となる個体を淘汰的に進化させて最終的に関数の最小値を得る。この手法により、上記のパラメータを簡易に求めることができ、被験者Pの錐体分光感度関数を導出することができる。
【0073】
ここでの目的は多変量関数の最小化ではなく、平均二乗誤差RMSELMSを最小化するようなパラメータを探索することである。したがって、個数Dのパラメータを成分にもつベクトルを個体として扱う。世代Gにおける総数NPの集団内のi番目(i=1,2,・・・,NP)のベクトル(個体)を、xi,G=(x1i,G,x2i,G,・・・,xDi,G)とする。世代G+1における突然変異ベクトルvi,G+1は、世代Gの集団からランダムに選ばれたベクトルxr1,G,xr2,G,xr3,G(但しr1,r2,r3∈{i=1,2,・・・,NP})と、スケール係数F∈[0,2]とを用いて、数式15により生成される。
【0074】
【0075】
世代G+1のトライアルベクトルui,G+1のj番目のパラメータuji,G+1(j=1,2,・・・,D)を、元のベクトルのパラメータxji,Gと突然変異ベクトルのパラメータvji,G+1とから、数式16に示す交叉と呼ばれる操作によって生成する。このとき1つの整数乱数jr∈{1,2,・・・,D}と、パラメータ毎にj個の乱数randji∈[0,1]を発生させる。乱数randjiが事前に設定された交叉率CR∈[0,1]以下になるパラメータ、又は、jrに合致したj番目のパラメータを、突然変異ベクトルのパラメータvji,G+1に置き換える。それ以外は、元のベクトルのパラメータxji,Gを保存する。
【0076】
【0077】
生成されたトライアルベクトルui,G+1と元のベクトルxi,Gとを用いて評価値を計算し、数式17に示すように、評価値が低い方のベクトルを次世代ベクトルxi,G+1として残す。これを繰り返して最小評価値を与えるパラメータに進化させていく。推定部64は、数式14によって表される平均二乗誤差RMSELMSを最小化するような、D=10個のパラメータ(a,ν,dlens,dmacula,dL,dM,dS,sL,sM,sS)を探索する。
【0078】
【0079】
次に、推定部64は、探索されたパラメータから、被験者Pの錐体分光感度関数を導出する(
図5のステップS17)。具体的には、推定部64は、探索された10個のパラメータ(a,ν,d
lens,d
macula,d
L,d
M,d
S,s
L,s
M,s
S)を、数式1~数式9に代入する。これにより、推定部64は、被験者Pの錐体分光感度関数を導出することができる。
【0080】
[錐体分光感度関数の推定結果]
図6(a)、
図6(b)及び表1を用いて、本実施形態の錐体分光感度推定装置4による錐体分光感度関数の推定結果について説明する。
【0081】
図6(a)は、錐体分光感度推定装置4によって被験者Pの錐体分光感度関数を推定した結果の一例を示す図である。
図6(b)は、実験データのばらつきによって錐体分光感度関数の推定誤差が生じた例を示す図である。表1は、錐体分光感度推定装置4によって被験者Pの視覚特性に関するパラメータを探索した結果の一例を示す表である。
【0082】
【0083】
図6(a)及び
図6(b)の縦軸のCFF(Cone Fundamental Function)は、錐体分光感度関数の値を示す。
図6(a)及び
図6(b)の横軸は波長を示す。
図6(a)及び
図6(b)の実線は、錐体分光感度推定装置4によって推定された錐体分光感度関数を示す。
図6(a)及び
図6(b)の*の破線は、シミュレーションにおいて予め計算された錐体分光感度関数を示しており、条件等色実験の実験データにばらつき等が実質無い理想的な錐体分光感度関数を示している。
【0084】
錐体分光感度推定装置4による錐体分光感度関数の推定結果は、
図6(a)に示すように、理想的な錐体分光感度関数を示すシミュレーション結果とほぼ一致している。すなわち、錐体分光感度推定装置4は、被験者Pの錐体分光感度関数を正確に推定することができる。言い換えると、錐体分光感度推定装置4は、被験者個人の錐体の分光感度を正確に推定することができる。
【0085】
条件等色実験では、人が参照色及びテスト色を観察しながら色合わせを行う。条件等色実験の実験データには、少なからず誤差やばらつきが生じる。これらの誤差やばらつきによって錐体分光感度関数の推定誤差が生じ得る。この錐体分光感度関数の推定誤差を抑制するには、同一条件にて複数回の条件等色実験を行うことが有効である。
【0086】
図6(a)は、実験データのばらつきが0.5%と小さく、条件等色実験の試行回数が12回である場合における錐体分光感度関数の推定結果を示している。
図6(b)は、実験データのばらつきが2%と大きく、条件等色実験の試行回数が3回である場合における錐体分光感度関数の推定結果を示している。
図6(a)の場合、錐体分光感度関数の推定誤差は極めて小さい。
図6(b)の場合、L錐体の分光感度関数l(λ)について推定誤差が大きい。発明者は、様々な検討を重ねた結果、実験データのばらつきが1.5%存在しても、条件等色実験の試行回数が12回であれば、錐体分光感度関数の推定誤差は極めて小さくなることを確認している。また、発明者は、錐体分光感度関数の形状が数式1に示す関数の形状から多少ずれている被験者Pに対しても、条件等色実験を複数回行うことによって、錐体分光感度関数の推定誤差を利用可能なレベルに抑制できることを確認している。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0088】
2…表示装置、21…一領域、22…他領域、23…色フィルタ、4…錐体分光感度推定装置、63…実験データ取得部、64…推定部、P…被験者