(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170686
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】新規医薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7068 20060101AFI20241204BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20241204BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241204BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61K31/7048
A61P43/00 121
A61P31/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171116
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 浩一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 睦男
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA03
4C086EA11
4C086EA14
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】COVID-19の治療薬としての新規な医薬を提供する。
【解決手段】イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなる医薬、イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなるSARS-CoV-2感染症の予防及び/又は治療薬、イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなるCOVID-19の予防及び/又は治療薬に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなる医薬。
【請求項2】
イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなるSARS-CoV-2感染症の予防及び/又は治療薬。
【請求項3】
イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなるCOVID-19の予防及び/又は治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SARS-CoV-2感染に基づく疾患の予防及び/又は治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
COVID-19(日本名:新型コロナウイルス感染症)は、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって発症する感染症である。COVID-19は、2019年11月に中華人民共和国の武漢で発生が確認され、同年12月にWHOに報告された感染症であり、これ以降世界的に感染が拡大している。その症状は、発熱、空咳、疲労、喀痰、息切れ、咽頭痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、嗅覚異常、味覚異常などから始まり、重症例では肺炎が重症化して呼吸不全に陥り、死亡の転帰をとるものである。
その感染力、罹患した際の重症化率等未だ不明な点があることに加え、新型であることから有効な治療法も未だ模索中であり、世界中の人々を不安に陥らせている。
【0003】
これまでに、多数の既存薬物のスクリーニングがなされ、イベルメクチンがSARS-CoV-2感染に基づく疾患、COVID-19の治療薬として期待されている(非特許文献1)。
また、モルヌピラビル(Molnupiravir)は、ウイルスのRNA複製時に複製エラーを生じさせることで抗ウイルス作用を示すことが知られており、SARS-CoV-2感染に基づく疾患、COVID-19の治療薬として期待されている(非特許文献2)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166354220302011
【非特許文献2】Translational Research 218: 16-28. (April 2020).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、SARS-CoV-2感染に基づく疾患、COVID-19の予防及び/又は治療のための新たな医薬を提供することにある。特に、軽症や中等症のCOVID-19の予防及び/又は治療のための医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
イベルメクチンは、すでに本邦において、腸管糞線虫症及び疥癬の治療薬として錠剤が用いられているが、抗ウイルス活性を有することから、SARS-CoV-2感染に基づく疾患、COVID-19の予防及び/又は治療としても、経口投与可能な薬物として期待されている。
また、モルヌピラビル(Molnupiravir)は、抗ウイルス作用を示すことから、SARS-CoV-2感染に基づく疾患、COVID-19の経口投与可能な治療薬として期待されている
そこで、本発明者らは、SARS-CoV-2の感染抑制又はCOVID-19の予防及び/又は治療のために、イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせることに着目し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[3]を提供するものである。
[1]イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなる医薬。
[2]イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなるSARS-CoV-2感染症の予防及び/又は治療薬。
[3]イベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなるCOVID-19の予防及び/又は治療薬。
【発明の効果】
【0008】
本発明のイベルメクチン及びモルヌピラビルの組み合わせてなる医薬によれば、SARS-CoV-2の感染抑制又はCOVID-19の予防及び/又は治療に効果を発揮、すなわち、COVID-19の症状(発熱、咳、息切れ、筋肉痛、鼻汁、咽頭痛、頭痛、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、臭覚異常、味覚異常)を改善又は消失する。また、イベルメクチン及びモルヌピラビルはいずれも経口投与により効果を発揮する薬物であり、従前知られるレムデシベル、カシリビマブ、イムデビマブ、ソトロビマブ等の注射剤とは異なり、投薬が簡便であることから、病院でなく、通常のクリニックでも処方や投薬が可能である。また、イベルメクチンの抗ウイルス作用の機序と、モルヌピラビルの抗ウイルス作用の機序とが異なるので、これらの併用によって抗ウイルス作用が増強されることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のイベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなる医薬は、SARS-CoV-2の感染抑制又はCOVID-19の予防及び/又は治療に効果を発揮するものである。
【0010】
本発明で用いるイベルメクチンは、イベルメクチンとして、少なくともイベルメクチンB1a又はイベルメクチンB1bのいずれかを含めばよく、イベルメクチンB1aとイベルメクチンB1bのいずれも含む混合物が好ましく、イベルメクチンB1aを90%以上、イベルメクチンB1bを10%未満含有する混合物がより好ましい。
【0011】
本発明において、イベルメクチンは公知の化学物質であるところ、市販品を購入することやアベルメクチンを選択的触媒水素化し、次いで触媒を除去する方法等により製造することにより入手することができる。
【0012】
本発明のイベルメクチンを含む医薬の投与経路は特に限定されることなく、経口投与であっても、非経口投与であってもよい。
イベルメクチンを含む医薬を経口投与する場合、その投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状などによって異なるが、通常は成人に対して、イベルメクチンとして1日当たり0.1~1mg/kg体重とすればよく、0.15~0.5mg/kg体重とするのが好ましく、0.2~0.4mg/kg体重とするのがより好ましいものと挙げられる。成人体重を60kgとすれば、通常、1日投与量として、6~60mgとすればよく、12~24mgとするのが好ましい。1日投与量は、1~4回程度に分割して投与することができる。
【0013】
経口投与製剤としては、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、トローチ剤等を挙げることができ、これらイベルメクチンを含有する経口投与製剤は公知の方法により製造することができる。経口投与製剤の剤形としては、固形製剤が好ましく、中でもカプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤が好ましい。
これら経口投与製剤の投与単位当たりのイベルメクチン含有量としては、投与数量を考慮して、3mg及び6mgとすることが好ましい。
なお、本邦においては、イベルメクチンを3mg含有する錠剤が発売されており、イベルメクチンがSARS-CoV-2の感染抑制又はCOVID-19の予防及び/又は治療に関する承認を取得した場合、これを使用することも可能となりうる。
【0014】
本発明において、モルヌピラビルは、IUPAC名を((2R,3S,4R,5R)-3,4-dihydroxy-5-(4-(hydroxyimino)-2-oxo-3,4-dihydropyrimidin-1(2H)-yl)tetrahydrofuran-2-yl)methyl isobutyrateとする、公知の化学物質であるところ、市販品を購入することや公知の方法等により製造することにより入手することができる。
【0015】
本発明のモルヌピラビルを含む医薬の投与経路は特に限定されることなく、経口投与であっても、非経口投与であってもよい。
モルヌピラビルを含む医薬を経口投与する場合、その投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状などによって異なるが、通常は成人に対して、モルヌピラビルの1日投与量として、10~5000mgとすればよく、100~3200mgとするのが好ましく、200~1600mgとするのがより好ましい。1日投与量は、1~4回程度に分割して投与することができる。
【0016】
経口投与製剤としては、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、トローチ剤等を挙げることができ、これらモルヌピラビルを含有する経口投与製剤は公知の方法により製造することができる。経口投与製剤の剤形としては、固形製剤が好ましく、中でもカプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤が好ましい。
これら経口投与製剤の投与単位当たりのモルヌピラビル含有量としては、投与数量を考慮して、100mg及び200mgとすることが好ましい。
【0017】
本発明で用いるイベルメクチン及びモルヌピラビルは、それぞれ抗ウイルス作用を有することから、SARS-CoV-2が感染する部位として、下気道に直接適用できる吸入剤といった剤形は、注射剤等とは異なり、投与が簡便なことから、非経口投与の中でも、好ましい剤形として挙げることができる。
イベルメクチン及びモルヌピラビルを下気道(気管、気管支、肺臓)にて適用するには、イベルメクチン及びモルヌピラビルの下気道への到達性の観点から、その粒子径を0.5~10μmとするのが好ましく、0.5~8μmとするのがより好ましく、0.5~6μmとするのが更に好ましい。具体的には、イベルメクチン及びモルヌピラビルの空気動力学的質量中位径をそれぞれ0.5~10μmとするのが好ましく、0.5~8μmとするのがより好ましく、0.5~6μmとするのが更に好ましい。ここで、イベルメクチン及びモルヌピラビルの粒子径は、粉末の場合はイベルメクチン含有粉末又はモルヌピラビル含有粉末の粒子径であり、液剤の場合はイベルメクチン含有噴霧液滴又は及びモルヌピラビル含有噴霧液滴の粒子径である。この粒子径は、粉末の場合は粉末製造時の粉砕、篩過などによって調整することができる。噴霧液滴の場合は、液剤を吸入する際に用いるネブライザの形態(ジェット式、超音波式、メッシュ式等)に応じて、適宜調整すればよい。
【0018】
吸入剤の形態としては、吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。イベルメクチン又はモルヌピラビルの吸入剤を使用するに際しては、吸入投与のために適切な器具又は装置を使用するか、吸入用の器具を兼ね備えた容器に充填すればよい。
【0019】
吸入粉末剤は、吸入量が一定となるように調製したイベルメクチン含有粉末又はモルヌピラビル含有粉末のエアゾールとして吸入する製剤であり、イベルメクチン含有粉末又はモルヌピラビル含有粉末は、それぞれ、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは0.5~8μm、更に好ましくは0.5~6μmの粒子径を有する粉末として調製すればよく、具体的には、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは0.5~8μm、更に好ましくは0.5~6μmの空気動力学的質量中位径を有する粉末として調製すればよい。
【0020】
イベルメクチン含有粉末又はモルヌピラビル含有粉末には、糖や糖アルコールを添加剤として用いることもできる。ここで、糖としては、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖等を挙げることができ、糖アルコールとしては、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等を挙げることができる。また、イベルメクチン含有粉末としては、特開2019-69906号公報に記載のイベルメクチンと乳酸・グリコール酸共重合体を含む凍結乾燥物も挙げることができる。
【0021】
吸入粉末剤の具体例としては、ドライパウダー吸入器(Dry Powder Inhaler;以下、DPIと略する)を挙げることができる。本発明の吸入粉末剤に用いるデバイスはDPIとして通常用いられるものを使用することができる。例えばカプセルを用いるデバイスとして、モノヘラー、ハンディヘラー、ブリーズヘラー、フローキャプス等が挙げられる。またアルミニウムのブリスターを用いるディスクヘラー、ディスカス、エリプタ等が挙げられる。
粉末を容器に充填したリザーバ型のデバイスとして、タービュヘイラー、クリックヘラー、スイングヘラー、ツイストヘラーなどが挙げられる。
【0022】
吸入液剤は、ネブライザ等により吸入する液状の吸入製剤である。イベルメクチン又はモルヌピラビルを適当な溶剤を用いて、溶解又は懸濁し、溶液又は懸濁液として調製すればよい。調製時、等張化剤やpH調節剤等を添加することができる。
吸入液剤の液滴は、ネブライザの形態(ジェット式、超音波式、メッシュ式等)に応じて、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは0.5~8μm、更に好ましくは0.5~6μmの液滴に調整すればよく、具体的には空気動力学的質量中位径を好ましくは0.5~10μm、より好ましくは0.5~8μm、更に好ましくは0.5~6μmの液滴に調整すればよい。
本発明の吸入液剤に用いるデバイスはネブライザとして通常用いられるものを使用することができる。例えば圧縮空気で薬液を霧状にするタイプ(ジェット式)、超音波振動子の振動を利用して薬液を霧状にするタイプ(ジェット式)、振動などによって薬液をメッシュの穴から押し出して霧状にするタイプ(メッシュ式)などが挙げられる。
【0023】
吸入エアゾール剤は、容器に充填した噴射剤と共に、一定量のイベルメクチン又はモルヌピラビルを噴霧し得る定量噴霧式吸入剤である。
吸入エアゾール剤により噴霧される噴霧液滴は、イベルメクチン(イベルメクチンと乳酸・グリコール酸共重合体を含む凍結乾燥物を含む)又はモルヌピラビルの溶液又は懸濁液の組成、充填する噴射剤や容器の部材であるノズル形状等の調整によって、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは0.5~8μm、更に好ましくは0.5~6μmの噴霧液滴に調整すればよく、具体的には空気動力学的質量中位径を好ましくは0.5~10μm、より好ましくは0.5~8μm、更に好ましくは0.5~6μmの液滴に調整すればよい。
吸入エアゾール剤は、イベルメクチン(イベルメクチンと乳酸・グリコール酸共重合体を含む凍結乾燥物)又はモルヌピラビルを適当な溶剤を用いて、溶解又は懸濁し、溶液又は懸濁液を調製し、液状の噴射剤と共に耐圧性の容器に充填し、定量バルブを装着することにより製することができる。溶液又は懸濁液を調製するに際し、分散剤や安定化剤等を添加することができる。
吸入エアゾール剤の具体例としては、加圧噴霧式定量吸入器(Metered Dose Inhaler)を挙げることができる。
【0024】
本発明のイベルメクチン及びモルヌピラビルを組み合わせてなる医薬は、イベルメクチン及びモルヌピラビルを同時に又は時期をずらして投薬することができ、同時に投薬する際は、イベルメクチン及びモルヌピラビルをそれぞれ別々な剤形に製剤化したものを用いることもできるし、また、同じ剤形に製剤化したものを用いることもできる。また、イベルメクチン及びモルヌピラビルを一緒に製剤化した所謂合剤・配合剤とすることもできる。
イベルメクチン及びモルヌピラビルを同じ剤形に製剤化する場合、またイベルメクチン及びモルヌピラビルを含む配合剤とする場合も、前記のような経口投与製剤や吸入剤などとするのが好ましい。そして、これらの同じ剤形の製剤及び配合剤においても、前述のような投与量とするのが好ましい。
【0025】
本発明の医薬は、イベルメクチン及びモルヌピラビルがいずれも抗ウイルス作用、ウイルスの増殖を抑制する作用を有するものであるが、その増殖抑制作用機序は互いに相違する。従って、これらの併用によって抗ウイルス作用が増強することが期待できる。
また、本発明の医薬は、その作用がウイルスの増殖抑制作用であるから、SARS-CoV-2感染が確認されてから早期に投与されるのが望ましい。
【実施例0026】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0027】
参考例1
イベルメクチンをジェットミルで粉砕し、粉砕物を得た。得られた粉砕物の平均粒子径D50は2.0μmであった。粉砕物と乳糖水和物をイベルメクチンの濃度が10%となるように乳糖水和物と混合し、吸入粉末剤を得た。処方を表1に示した。また、得られた粉末0.03gをカプセルに充填し、吸入粉末剤充填カプセルを製造した。
【0028】
対照例1
未粉砕のイベルメクチンと乳糖水和物をイベルメクチンの濃度が10%となるように乳糖水和物と混合し、吸入粉末剤を得た。処方を表1に示した。また、得られた粉末0.03gをカプセルに充填し、吸入粉末剤充填カプセルを製造した。
【0029】
試験例1
参考例1、対照例1で得た吸入粉末剤について、吸入用器具であるデバイスを用いた空気動力学的性質の評価をするため、微粒子量(FPF)(%)及び空気動力学的質量中位径を測定した。微粒子量(FPF)(%)及び空気動力学的質量中位径は、日本薬局方 第十七改正第一追補の吸入剤の空気動力学的粒度測定法に準拠して、装置1のマルチステージリキッドインピンジャーを用いて評価した。
その結果、粉砕したイベルメクチンを用いた参考例1の吸入粉末剤は、微粒子量(FPF)(%)が29.9%であり、また空気動力学的質量中位径は2.8μmであったことから肺深部までイベルメクチンを到達させることが可能と考えられた。未粉砕のイベルメクチンを用いた対照例1の吸入粉末剤は、微粒子量(FPF)(%)が3.5%であり、また空気動力学的質量中位径は10μmより大きかったことから肺深部までイベルメクチンを到達させることは困難と考えられた
【0030】
【0031】
参考例2
イベルメクチンをエチルアルコールで溶解し、リン酸緩衝液及び水を加え、イベルメクチンの最終的な濃度が0.5%となるように調製して吸入液剤を製造した。
【0032】
試験例2
参考例2で得られた吸入液剤について、デバイスとしてネブライザを用いて、目視にて薬剤が霧状に噴霧されるかを確認した。さらに霧状とした薬剤を採取し、顕微鏡で粒子径を確認した。参考例2の液剤は霧状に噴霧され、粒子径は2~6μmであることが確認できた。
したがって、参考例2の薬液は吸入液剤として適切なものであると判断した。
【0033】
実施例1
SARS-CoV-2感染に感染し、軽症COVID-19を発症した患者にイベルメクチンを含有する錠剤を投与し、またモルヌピラビルを含有するカプセル剤を投与するといった組み合わせた治療を試みると、COVID-19の症状(発熱、咳、息切れ、筋肉痛、鼻汁、咽頭痛、頭痛、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、臭覚異常や味覚異常)が改善ないし消失効果を示す。