(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170692
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】キャップおよびキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B65D47/12 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087359
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 さやか
(72)【発明者】
【氏名】森 啓晃
(72)【発明者】
【氏名】前田 達大
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084EA02
3E084EB02
3E084FC12
3E084GA08
3E084GB12
3E084HA03
3E084HB02
3E084HD04
3E084JA20
3E084KA20
3E084LA07
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合であっても、冷却水を十分にシールすることができるキャップを提供する。
【解決手段】蓋13が打栓されることにより中栓11に取付けられるキャップ10であって、蓋13は外周壁22と内筒23と第1ねじ24とを有し、中栓11は、注出部41と、打栓方向において内筒23の先端に対向する第1シール面44と、蓋13の内周面32に対向する外周面45と、第2ねじ46とを有し、内筒23の先端が軸心方向52において第1シール面44に当接離間自在であり、蓋13の内周面32にシール部66が設けられ、内筒23の先端と第1シール面44との間に隙間が発生する第1の打栓状態と、内筒23の先端が第1シール面44に接する正規の打栓状態とにわたって、シール部66が中栓11の外周面45に接する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられる中栓と、軸心周りに回転させることにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、
蓋が打栓されることによって中栓に取り付けられるキャップであって、
蓋は、打栓方向において開口する筒状の部材であり、外周壁と、外周壁の内側に設けられた内筒と、第1ねじとを有し、
中栓は、注出部と、打栓方向において内筒の先端に対向する第1シール面と、蓋の外周壁の内周面に対向する外周面と、第2ねじとを有し、
第1ねじと第2ねじとが螺合し、
注出部が内筒の内部に挿入され、
内筒の先端が軸心方向において第1シール面に当接離間自在であり、
蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか一方の面に、シール部が設けられ、
内筒の先端と第1シール面との間に隙間が発生する第1の打栓状態と、内筒の先端が第1シール面に接する正規の打栓状態とにわたって、シール部が蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか他方の面に接することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
内筒の内周に第1のねじが形成され、
注出部の外周に第2のねじが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
シール部は、蓋の外周壁の内周面に設けられて、外周壁の内周面から径方向における内側へ突出しており、中栓の外周面に接することを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
中栓の外周面はキャップの軸心に対して平行な第2シール面を有し、
シール部が第2シール面に接することを特徴とする請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
上記請求項1に記載のキャップを容器に装着したキャップ付き容器であって、
容器の口部に、外周面から径方向における外側へ突出する複数の突片が設けられ、
キャップの中栓に取付溝が形成され、
容器の口部が突片と共に取付溝に嵌め込まれ、
シール部は、取付溝内の突片から打栓方向とは逆方向へ離れた位置において、他方の面に接することを特徴とするキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ式の蓋を有するキャップ、および、キャップを装着した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば、下記特許文献1に示されるように、容器の口部に取り付けられる中栓と、回転させることにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、蓋が打栓されることによって中栓に取り付けられるものがある。
【0003】
中栓は、円筒状の注出し口と、嵌合外筒と、嵌合内筒と、嵌合頂壁とを有している。嵌合頂壁は嵌合外筒の上端と嵌合内筒の上端との間に形成されている。これにより、嵌合外筒と嵌合内筒と嵌合頂壁とで囲まれて下方が開放された溝が、中栓に形成されている。
容器の口部が下方から溝に嵌め込まれることにより、中栓が容器に取り付けられる。また、注出し口の外周面には雄ねじが形成されている。
【0004】
蓋は外筒と内筒とを有している。内筒の内周面には雌ねじが形成されている。注出し口の雄ねじと内筒の雌ねじとが螺合することにより、注出し口が内筒の内部に挿入されて、蓋が中栓に取り付けられる。
【0005】
図15の実線に示すように、蓋101の外筒102の下端内周には、第1のテーパー面103が全周にわたって形成されている。第1のテーパー面103に対向する第2のテーパー面104が中栓106の嵌合頂壁107の外周に全周にわたって形成されている。第1のテーパー面103には、第2のテーパー面104に接触するシール突条108が全周にわたって形成されている。
【0006】
これによると、蓋101を打栓して中栓106に取り付け、キャップを組み立てた際、
図15の実線に示すようにシール突条108が第2のテーパー面104に接触するとともに、
図16の実線に示すように蓋101の内筒110の下端が中栓106の嵌合頂壁107の上面に接する。
【0007】
その後、容器内に加熱殺菌された内容液を充填し、キャップを容器の口部に取り付ける。そして、冷却水でキャップ付きの容器を外側から冷却する際、冷却の進行とともにキャップの内部の圧力が大気圧よりも低下して負圧状態になることがある。
【0008】
このような負圧状態において、
図15の実線に示すように、冷却水が閉栓されたキャップの蓋101と中栓106との隙間から吸い込まれても、シール突条108が第2のテーパー面104に接触しているため、冷却水はシール突条108によってシールされる。また、万一、シール突条108が過剰に変形してシール性能が低下し、冷却水がシール突条108を越えて侵入しても、
図16の実線に示すように、蓋101の内筒110の下端が中栓106の嵌合頂壁107の上面に接しているため、冷却水は内筒110によってシールされる。
冷却後、蓋を開方向へ回すことにより、蓋を中栓から取り外すことができる。
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら上記の従来形式では、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合、
図16の仮想線で示すように、蓋101の内筒110の下端が中栓106の嵌合頂壁107の上面から上方へ離間するとともに、
図15の仮想線で示すように、シール突条108が第2のテーパー面104から上方へ離間し、冷却水を十分にシールすることができない虞がある。
【0011】
本発明は、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合であっても、冷却水を十分にシールすることができるキャップおよびキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器に取り付けられる中栓と、軸心周りに回転させることにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、
蓋が打栓されることによって中栓に取り付けられるキャップであって、
蓋は、打栓方向において開口する筒状の部材であり、外周壁と、外周壁の内側に設けられた内筒と、第1ねじとを有し、
中栓は、注出部と、打栓方向において内筒の先端に対向する第1シール面と、蓋の外周壁の内周面に対向する外周面と、第2ねじとを有し、
第1ねじと第2ねじとが螺合し、
注出部が内筒の内部に挿入され、
内筒の先端が軸心方向において第1シール面に当接離間自在であり、
蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか一方の面に、シール部が設けられ、
内筒の先端と第1シール面との間に隙間が発生する第1の打栓状態と、内筒の先端が第1シール面に接する正規の打栓状態とにわたって、シール部が蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか他方の面に接するものである。
【0013】
これによると、蓋が中栓に対して正規の打栓位置にセットされた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合、正規の打栓状態となり、内筒の先端が第1シール面に接するとともに、シール部が蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか他方の面に接する。
【0014】
これにより、冷却水は、シール部と他方の面とによるシール箇所および内筒の先端と第1シール面とによるシール箇所の2箇所でシールされる。このため、冷却水が蓋の内部に侵入するのを防止することができる。
【0015】
また、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合、第1の打栓状態となり、内筒の先端と第1シール面との間に隙間が発生する。しかしながら、この場合でも、シール部は蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか他方の面に接するため、冷却水はシール部と他方の面とによるシール箇所でシールされる。これにより、冷却水が蓋の内部に侵入するのを防止することができる。
【0016】
本第2発明におけるキャップは、内筒の内周に第1のねじが形成され、
注出部の外周に第2のねじが形成されているものである。
【0017】
本第3発明におけるキャップは、シール部は、蓋の外周壁の内周面に設けられて、外周壁の内周面から径方向における内側へ突出しており、中栓の外周面に接するものである。
【0018】
これによると、正規の打栓状態の場合、内筒の先端が第1シール面に接するとともに、シール部が中栓の外周面に接する。このため、冷却水は、シール部と中栓の外周面とによるシール箇所および内筒の先端と第1シール面とによるシール箇所の2箇所でシールされる。
【0019】
また、第1の打栓状態の場合、内筒の先端と第1シール面との間に隙間が発生するが、シール部が中栓の外周面に接するため、冷却水はシール部と中栓の外周面とによるシール箇所でシールされる。
【0020】
本第4発明におけるキャップは、中栓の外周面はキャップの軸心に対して平行な第2シール面を有し、
シール部が第2シール面に接するものである。
【0021】
これによると、正規の打栓状態の場合、内筒の先端が第1シール面に接するとともに、シール部が第2シール面に接する。このため、冷却水は、シール部と第2シール面とによるシール箇所および内筒の先端と第1シール面とによるシール箇所の2箇所でシールされる。
【0022】
また、第1の打栓状態の場合、内筒の先端と第1シール面との間に隙間が発生するが、シール部が第2シール面に接するため、冷却水はシール部と第2シール面とによるシール箇所でシールされる。
【0023】
本第5発明は、上記第1発明に記載のキャップを容器に装着したキャップ付き容器であって、
容器の口部に、外周面から径方向における外側へ突出する複数の突片が設けられ、
キャップの中栓に取付溝が形成され、
容器の口部が突片と共に取付溝に嵌め込まれ、
シール部は、取付溝内の突片から打栓方向とは逆方向へ離れた位置において、他方の面に接するものである。
【0024】
これによると、蓋を打栓して中栓に取り付けた後、容器の口部を突片と共に取付溝に嵌め込むことによって、中栓が容器の口部に取り付けられる。この際、口部の突片が取付溝に食い込むことにより、中栓は、容器の口部に対し、周方向において回り止めされる。これにより、蓋を開閉方向へ回した際、中栓が蓋と一体に回ってしまう(共回りしてしまう)のを確実に防止することができる。
【0025】
また、口部の突片が取付溝に食い込むため、中栓の外周面は、取付溝内の突片の位置において、径方向に僅かに変形する虞がある。これに対して、中栓の外周面は、取付溝内の突片から打栓方向とは逆方向へ離れた位置ほど、径方向の変形が減少する。従って、シール部は、取付溝内の突片から打栓方向とは逆方向へ離れた位置において、他方の面に接するため、中栓の外周面の変形の影響を受け難い。これにより、シール部が他方の面に全周にわたり確実に接するため、シール性能が向上する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によると、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合、第1の打栓状態となり、内筒の先端と第1シール面との間に隙間が発生する。しかしながら、この場合、シール部は蓋の外周壁の内周面と中栓の外周面とのいずれか他方の面に接するため、冷却水はシール部と他方の面とによるシール箇所でシールされる。これにより、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた状態で、蓋を中栓に打栓して取り付けた場合であっても、冷却水が蓋の内部に侵入するのを防止して、冷却水を十分にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップ付き容器の一部拡大図である。
【
図2】同、キャップと容器の口部との断面図である。
【
図6】同、キャップの蓋を中栓に打栓する際、蓋が中栓に対して正規の打栓位置にセットされたときの平面図である。
【
図7】同、キャップの蓋が中栓に対して正規の打栓位置にセットされて打栓されたときのキャップの一部拡大断面図である。
【
図8】同、キャップの蓋を中栓に打栓する際、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた位置にセットされたときの平面図である。
【
図9】同、キャップの蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた位置にセットされて打栓されたときのキャップの一部拡大断面図である。
【
図10】同、キャップの蓋を中栓に打栓する際、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から閉方向へずれた位置にセットされたときの平面図である。
【
図11】同、キャップの蓋が中栓に対して正規の打栓位置から閉方向へずれた位置にセットされて打栓されたときのキャップの一部拡大断面図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態におけるキャップの一部拡大断面図であり、蓋が中栓に対して正規の打栓位置にセットされて打栓されたときの状態を示す。
【
図13】同、キャップの一部拡大断面図であり、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から開方向へずれた位置にセットされたときの状態を示す。
【
図14】同、キャップの一部拡大断面図であり、蓋が中栓に対して正規の打栓位置から閉方向へずれた位置にセットされたときの状態を示す。
【
図15】従来のキャップの蓋の外筒の下端と中栓の嵌合頂壁との間のシール構造を示す拡大断面図である。
【
図16】同、キャップの蓋の内筒の下端と中栓の嵌合頂壁の上面とのシール構造を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0029】
第1の実施の形態では、
図1,
図2に示すように、1は容器2にキャップ10を装着したキャップ付き容器である。容器2は、上部に、円筒状に開口する口部3を有している。口部3の先端部には、外周面から径方向における外側へ突出する複数の突片4が設けられている。これら突片4は、口部3の周方向において、所定角度おきに配置されている。
【0030】
キャップ10は、容器2の口部3に取り付けられる中栓11と、上下方向の軸心12の周りに回転させることにより中栓11に着脱自在なねじ式の蓋13とを有している。蓋13を打栓して中栓11に取り付けることにより、キャップ10が組み立てられる。
【0031】
図3,
図4に示すように、蓋13は、打栓方向15(下方向)において開口する円筒状の部材であり、円形の頂板部21と、頂板部21の外周縁から垂下された円筒状の外周壁22と、外周壁22の内側に設けられた円筒状の内筒23と、内筒23の内周に形成された雌ねじ24(第1ねじの一例)と、内筒23の内側に設けられた円筒状のシール筒26と、シール筒26の内側に設けられた円筒状の第1保持筒27と、第1保持筒27の内側に設けられた円筒状の第2保持筒28とを有している。
【0032】
第1保持筒27の内周には、径方向における内側へ突出する複数の第1係合突部30が形成されている。第2保持筒28の外周には、径方向における外側へ突出する複数の第2係合突部31が形成されている。
図6に示すように、蓋13の頂板部21には、蓋13を打栓して中栓11に取り付ける際に使用される位置決め用の第1目印34が設けられている。
【0033】
図3,
図5に示すように、中栓11は、取付部40と、取付部40に設けられた注出部41と、注出部41を閉塞するとともに注出部41から離脱可能な離脱部42と、打栓方向15において蓋13の内筒23の先端に対向する第1シール面44と、蓋13の外周壁22の内周面32に対向する外周面45と、雄ねじ46(第2ねじの一例)とを有している。
【0034】
取付部40は、外筒部48と、内筒部49と、外筒部48の上端と内筒部49の上端とを繋ぐように形成された頂壁部50と、これら外筒部48と内筒部49と頂壁部50とで囲まれた取付溝51とを有している。取付溝51は、下方が開放されており、取付部40の全周にわたって形成されている。
図2に示すように、容器2の口部3が突片4と共に取付溝51に嵌め込まれることによって、中栓11が容器2に取り付けられる。
【0035】
図2,
図3および
図5に示すように、注出部41は、頂壁部50から立設された円筒状の支持筒53と、支持筒53に支持される円筒状の注出筒54とを有しており、蓋13の内筒23の内部に下方から挿入されている。雄ねじ46は支持筒53の外周に形成されている。雄ねじ46と雌ねじ24とが螺合する。第1シール面44は頂壁部50の上面に形成されている。蓋13の内筒23の先端は軸心方向52(上下方向)において第1シール面44に当接離間自在である。
【0036】
離脱部42は、上方が開放された円筒部材57と、円筒部材57の底に設けられた底蓋58とを有している。離脱部42は、周囲が破断可能な薄肉の弱化部59で囲まれており、弱化部59を介して離脱可能に注出筒54の内側に設けられている。弱化部59が破断して離脱部42が中栓11から離脱することにより、注出筒54の内側底部が開孔し、注出筒54の内側底部に注出口(図示省略)が形成される。
【0037】
円筒部材57の外周には、径方向における外側へ突出する複数の第3係合突部60が形成されている。円筒部材57の内周には、径方向における内側へ突出する複数の第4係合突部61が形成されている。
図2に示すように、蓋13を打栓して中栓11に取り付けた状態では、円筒部材57は下方から蓋13の第1保持筒27と第2保持筒28との間に挿入される。
【0038】
第1保持筒27の第1係合突部30は、蓋13の回転方向において、円筒部材57の第3係合突部60に係合可能である。第2保持筒28の第2係合突部31は、蓋13の回転方向において、円筒部材57の第4係合突部61に係合可能である。
【0039】
図2,
図3および
図7に示すように、中栓11の取付部40の外周面45はキャップ10の軸心12に対して平行な第2シール面65を全周にわたって有している。第2シール面65は、軸心方向52において、所定の高さHを有している。
【0040】
蓋13の外周壁22の内周面下部には、シール部66が全周にわたり形成されている。シール部66は、外周壁22の内周面32から径方向における内側へ円弧状に突出しており、全周にわたって第2シール面65に接する。さらに、
図7,
図9,
図11に示すように、シール部66は、取付溝51に嵌め込まれた口部3の突片4から打栓方向15とは逆方向16(上方向)へ離れた位置において、第2シール面65に接する。
【0041】
尚、蓋13を中栓11に打栓する際、蓋13の回転方向におけるずれに応じて、蓋13と共にシール部66の位置が中栓11に対して軸心方向52に変動する。第2シール面65の所定の高さHは、軸心方向52におけるシール部66の位置の許容変動量よりも、大きく設定されている。シール部66の許容変動量とは、蓋13が中栓11に対し正規の打栓位置P(
図6参照)から回転方向(
図8に示す開方向O又は
図10に示す閉方向S)にずれた場合、許容される最大のずれ量(例えば正規の打栓位置Pから開方向Oに15°又は閉方向Sに15°)に対応する変動量である。
【0042】
図1~
図3および
図5に示すように、中栓11の取付部40の外周には、第2シール面65よりも径方向外側へ張り出した鍔部67が設けられている。鍔部67は、第2シール面65の下方に形成されており、薄肉部68を介して外筒部48の下端に繋がっている。鍔部67は薄肉の摘み部69を有している。
【0043】
キャップ付き容器1の内容液を消費して空になった後、キャップ付き容器1を廃棄する場合、
図5の仮想線で示すように、指先で摘み部69を摘んで外方に引っ張りながら周方向へ引き回すことにより、薄肉部68が周方向に切り裂かれて、鍔部67が外筒部48から切断される。これにより、中栓11を容易に容器2の口部3から取り外すことができる。
また、
図5に示すように、中栓11には、蓋13を打栓して中栓11に取り付ける際に使用される位置決め用の第2目印71が設けられている。
以下に、キャップ付き容器1の組立方法を説明する。
【0044】
先ず、中栓11と蓋13とを個別に製作した後、
図3に示すように、注出筒54を上向きにした姿勢で、治具(図示省略)等を用いて中栓11を保持し、蓋13を中栓11の上方から下向きに打栓する。これにより、
図2に示すように、中栓11の円筒部材57が下方から蓋13の第1保持筒27と第2保持筒28との間に挿入されて保持されるとともに、シール筒26が注出筒54の先端部内周に全周にわたり接し、雌ねじ24が雄ねじ46を乗り越えて、蓋13が中栓11に取り付けられ、キャップ10が組み立てられる。
【0045】
この際、
図6に示すように、蓋13の第1目印34の位置を中栓11の第2目印71の位置に合わせることにより、蓋13が中栓11に対して正規の打栓位置Pにセットされる。この状態で、蓋13を中栓11に打栓して取り付けた場合、正規の打栓状態となり、
図7に示すように、内筒23の先端が全周にわたって第1シール面44に接するとともに、シール部66が全周にわたって第2シール面65に接する。尚、正規の打栓状態では、内筒23の先端が第1シール面44に所定の力で押し付けられる。
【0046】
その後、加熱殺菌された内容液を容器2内に充填し、
図2に示すように、キャップ10を容器2の口部3に打栓する。これにより、
図7に示すように、口部3が下方から取付溝51に嵌め込まれ、キャップ10が容器2に取り付けられ、
図1に示すようにキャップ付き容器1が組み立てられる。
【0047】
そして、冷却水でキャップ付き容器1を外側から冷却する。この際、
図7に示すように、冷却水は、シール部66と第2シール面65とによるシール箇所Aおよび内筒23の先端と第1シール面44とによるシール箇所Bの2箇所においてシールされる。このため、冷却水が蓋13の内部に侵入するのを確実に防止することができる。
【0048】
また、
図8に示すように、蓋13の第1目印34の位置が中栓11の第2目印71の位置に対して開方向Oへ許容範囲内でずれた場合、蓋13が中栓11に対して正規の打栓位置Pから開方向Oへずれた状態でセットされる。この状態で、蓋13を中栓11に打栓して取り付けた場合、蓋13の位置が中栓11に対して上方へ変動した第1の打栓状態となり、
図9に示すように、内筒23の先端が第1シール面44の上方へ離間するため、内筒23の先端と第1シール面44との間に隙間75が発生する。
【0049】
しかしながら、この場合、シール部66は、上記隙間75の大きさ分だけ上方に変動するが、許容変動量の範囲内であれば、第2シール面65に接する状態が維持される。これにより、冷却水はシール部66と第2シール面65とによるシール箇所Aでシールされ、冷却水が蓋13の内部に侵入するのを防止することができる。
【0050】
また、
図10に示すように、蓋13の第1目印34の位置が中栓11の第2目印71の位置に対して閉方向Sへ許容範囲内でずれた場合、蓋13が中栓11に対して正規の打栓位置Pから閉方向Sへずれた状態でセットされる。この状態で、蓋13を中栓11に打栓して取り付けた場合、蓋13の位置が中栓11に対して下方へ変動した第2の打栓状態となり、
図11に示すように内筒23の先端が、上記所定の力よりも大きな過大な力で、第1シール面44に押し付けられる。この場合、シール部66は、蓋13と一体に下方へ変動するが、許容変動量の範囲内であれば、第2シール面65に接する状態が維持される。これにより、冷却水は、シール部66と第2シール面65とによるシール箇所Aおよび内筒23と第1シール面44とによるシール箇所Bの2箇所においてシールされる。このため、冷却水が蓋13の内部に侵入するのを確実に防止することができる。
【0051】
また、
図1に示すように、キャップ10を容器2に取り付けた状態では、
図7に示すように、容器2の口部3が中栓11の取付溝51に嵌め込まれているとともに突片4が取付溝51に食い込むため、中栓11は、口部3に対し、周方向において回り止めされる。これにより、蓋13を開方向O又は閉方向Sへ回した際、中栓11が蓋13と一体に回ってしまう(共回りしてしまう)のを確実に防止することができる。
【0052】
また、上記のように口部3の突片4が取付溝51に食い込むため、中栓11の第2シール面65は、取付溝51内の突片4の位置において、径方向に僅かに変形する虞がある。これに対して、第2シール面65は、取付溝51内の突片4から打栓方向15とは逆方向16(上方向)へ離れた位置ほど、径方向の変形が減少する。従って、
図7,
図9,
図11に示すように、シール部66は、取付溝51内の突片4から打栓方向15とは逆方向16へ離れた位置において、第2シール面65に接するため、第2シール面65の変形の影響を受け難い。これにより、シール部66が第2シール面65に全周にわたり確実に接するため、シール箇所Aにおけるシール性能が向上する。
【0053】
また、冷却水でキャップ付き容器1を外側から冷却した後、ユーザー等が蓋13を開方向Oに回すことにより、蓋13の第1係合突部30が中栓11の第3係合突部60に係合し、蓋13の第2係合突部31が中栓11の第4係合突部61に係合し、蓋13の回転トルクが第1~第4係合突部30,31,60,61を介して中栓11の離脱部42に伝えられるため、弱化部59が破断する。これにより、離脱部42が蓋13と共に中栓11から離脱し、注出筒54の内側底部に注出口が形成される。ユーザー等がキャップ付き容器1を傾けることにより、容器2内の内容液が注出口を通って外部へ注出される。
(第2の実施の形態)
【0054】
第1の実施の形態では、
図7,
図9および
図11に示すように、シール部66を蓋13の外周壁22の内周面32に設けたが、以下に説明する第2の実施の形態では、
図12~
図14に示すように、シール部66を中栓11の外周面45に設けている。
【0055】
この場合、シール部66は、
図12に示した正規の打栓状態と
図13に示した第1の打栓状態と
図14に示した第2の打栓状態とにわたって、蓋13の外周壁22の内周面32に全周にわたり接する。
これによると、先述した第1の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0056】
上記各実施の形態では、
図2に示すように、キャップ10の軸心方向52を上下方向にしているが、上下方向のみに限定されるものではない。
上記各実施の形態では、
図3に示すように、第1ねじの一例として雌ねじ24を挙げるとともに、第2ねじの一例として雄ねじ46を挙げているが、雄ねじを第1ねじの一例とし、雌ねじを第2ねじの一例としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 キャップ付き容器
2 容器
3 口部
4 突片
10 キャップ
11 中栓
12 軸心
13 蓋
15 打栓方向
16 逆方向
22 外周壁
23 内筒
24 雌ねじ(第1ねじ)
32 内周面
41 注出部
44 第1シール面
45 外周面
46 雄ねじ(第2ねじ)
51 取付溝
52 軸心方向
65 第2シール面
66 シール部
75 隙間