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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170710
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
H01R13/11 301A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087380
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 慧
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 知弘
(72)【発明者】
【氏名】岩部 真明
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑制することができる接続端子を提供する。
【解決手段】接続端子1は、円柱状に形成された雄側接点部20を有する雄型端子2と、円筒状に形成され、かつ軸線方向Xに沿って直線状のスリット13が形成された雌側接点部10を有する雌型端子3とを備える。雌型端子3は、雌側接点部10の内側に形成され雄側接点部20が挿入される挿入空間14と、挿入空間14を挟んでスリット13と対向する位置にある基部15とを有する。接続端子1は、雄側接点部20が挿入空間14に挿入された挿入状態で、基部15を撓み起点として、雌側接点部10が軸線方向Xと交差する径方向の外側に撓んで雄側接点部20に対して接触荷重を付加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状に形成された雄側接点部を有する雄型端子と、
円筒状に形成され、かつ軸線方向に沿って直線状のスリットが形成された雌側接点部を有する雌型端子と、を備え、
前記雌型端子は、
前記雌側接点部の内側に形成され前記雄側接点部が挿入される挿入空間と、
前記挿入空間を挟んで前記スリットと対向する位置にある基部と、を有し、
前記雄側接点部が前記挿入空間に挿入された挿入状態で、前記基部を撓み起点として、前記雌側接点部が前記軸線方向と交差する径方向の外側に撓んで前記雄側接点部に対して接触荷重を付加する
ことを特徴とする接続端子。
【請求項2】
前記雌側接点部及び前記雄側接点部は、
前記雌側接点部の内径<前記雄側接点部の外径、となるように形成される
請求項1に記載の接続端子。
【請求項3】
前記雌側接点部は、
前記スリットを挟んで周方向の両側の端部から前記径方向の内側に向けて突出する一対のインデント部を有し、
前記インデント部、前記雄側接点部、及び前記雌側接点部は、
前記インデント部の内側径<前記雄側接点部の外径<前記雌側接点部の内径、となるように形成される
請求項1に記載の接続端子。
【請求項4】
前記雌側接点部は、
前記基部に形成され、当該雌側接点部の内周面から径方向外側に向けて凹状に形成された溝状部を有する
請求項3に記載の接続端子。
【請求項5】
前記雌型端子は、
前記雌側接点部の内周面から径方向内側に突出する凸部を有し、
前記雄型端子は、
前記雄側接点部の外周面から径方向内側に凹み、前記挿入状態で前記凸部が挿入される凹部を有し、
前記凹部は、
前記凸部を挟んで周方向に対向する一対の対向面を有する
請求項1に記載の接続端子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接続端子は、例えば、いわゆるピン端子と呼ばれる雄型端子と雌型端子の接点間の接触面積を安定的に得るために、雌型端子が、挿入されたピン端子の周面に弾性力をもって接触する複数本のばね片が隙間をあけて平行に配設されて端子本体内で筒状をなすように保持されるバネ接点部材を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-187170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の接続端子では、雌型端子が複数の部品が構成されることから、部品代や部品の組付け工数が増加したり、また、部品間の位置精度が得にくい点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、部品点数を抑制することができる接続端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る接続端子は、円柱状に形成された雄側接点部を有する雄型端子と、円筒状に形成され、かつ軸線方向に沿って直線状のスリットが形成された雌側接点部を有する雌型端子と、を備え、前記雌型端子は、前記雌側接点部の内側に形成され前記雄側接点部が挿入される挿入空間と、前記挿入空間を挟んで前記スリットと対向する位置にある基部と、を有し、前記雄側接点部が前記挿入空間に挿入された挿入状態で、前記基部を撓み起点として、前記雌側接点部が前記軸線方向と交差する径方向の外側に撓んで前記雄側接点部に対して接触荷重を付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る接続端子によれば、部品点数を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る接続端子の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1の雌型端子を第2軸線方向側から視た図である。
図3図3は、第2実施形態に係る接続端子の概略構成を示す斜視図である。
図4図4は、図3の雌型端子を第2軸線方向側から視た図である。
図5図5は、図3の雌型端子を第2軸線方向側から視た他の図である。
図6図6は、第2実施形態に係る接続端子の概略構成を示す断面図である。
図7図7は、第3実施形態に係る接続端子の概略構成を示す斜視図である。
図8図8は、図7の雌型端子を第2軸線方向側から視た図である。
図9図9は、第3実施形態の変形例に係る接続端子の概略構成を示す斜視図である。
図10図10は、図9の雌型端子を第2軸線方向側から視た図である。
図11図11は、第3実施形態の変形例に係る接続端子の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。すなわち、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0010】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る接続端子1について図1図2を参照して説明する。図1に示す接続端子1は、雄型端子2と、雌型端子3とを含むものであり、雄型端子2が雌型端子3に嵌合することで、雄型端子2と雌型端子3を電気的に接続するものである。
【0011】
なお、以下の説明において、便宜上、図示のX方向、Y方向、及び、Z方向のうち、X方向を「軸線方向X」といい、Y方向を「幅方向Y」といい、Z方向を「高さ方向Z」という。軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸線方向Xは、中心軸線Oに沿う方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸線方向Xと直交する方向に含まれる。また、軸線方向Xは、雌型端子3に対する雄型端子2の挿抜方向とし、挿入方向を「第1軸線方向X1」、抜去方向を「第2軸線方向X2」とする。
【0012】
接続端子1は、例えば、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネスに組み込まれるコネクタや電気接続箱、電子部品等に適用される。ここでワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線を各装置に接続するようにしたものである。
【0013】
雄型端子2は、雄側接点部20と、コネクタ接続部21と、連結部22と、キャップ23とで構成される。雄型端子2は、キャップ23を除く、雄側接点部20、コネクタ接続部21、及び連結部22が一体で導電性を有する金属材料、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等によって成型されている。キャップ23は、雄側接点部20、コネクタ接続部21、及び連結部22とは別体に形成され、絶縁性を有する樹脂材料等によって成型されている。雄型端子2は、軸線方向Xに沿って第1軸線方向X1から第2軸線方向X2に向かって、キャップ23、雄側接点部20、連結部22、コネクタ接続部21の順に並んで相互に連結される。
【0014】
雄側接点部20は、雄型端子2が雌型端子3に嵌合した嵌合状態において、当該雄側接点部20の外周面20aが相手側端子である雌型端子3と接触して電気的に接続される部分である。雄側接点部20は、中心軸線Oが軸線方向Xに沿う円柱状に形成されている。雄側接点部20は、第1軸線方向X1側にキャップ23が装着され、第2軸線方向X2側に連結部22を介してコネクタ接続部21が連結される。
【0015】
コネクタ接続部21は、例えば、コネクタや電気接続箱に収容された電線、電子部品等に接続され、これらと電気的に接続される部分である。
【0016】
連結部22は、雄側接点部20とコネクタ接続部21との間に介在し、当該雄側接点部20と当該コネクタ接続部21とを連結する部分である。連結部22は、その外径が雄側接点部20の外径より相対的に大きくなっており、雄型端子2が雌型端子3に嵌合した嵌合状態において、雌型端子3の第2軸線方向X2側の端部に当接し、当該雄型端子2の第1軸線方向X1側への移動を規制する。
【0017】
キャップ23は、感電防止のために、雄型端子2の先端側であって雄側接点部20の第1軸線方向X1側に取付けられている帽子状の保護部材である。キャップ23は、雄側接点部20の外径と同一の外径、または、雄側接点部20の外径より相対的に小さい外径を有する。
【0018】
雌型端子3は、雌側接点部10と、電線接続部11と、連結部12とで構成される。雌型端子3は、雌側接点部10、電線接続部11、及び連結部12が一体で導電性を有する金属材料、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等によって成型されている。雌型端子3は、雌側接点部10、電線接続部11、連結部12の各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス及び折り曲げ成形することにより各部が立体的に一体で形成される。雌型端子3は、軸線方向Xに沿って第2軸線方向X2から第1軸線方向X1に向かって、雌側接点部10、連結部12、電線接続部11の順で並んで相互に連結される。
【0019】
雌側接点部10は、雄型端子2が雌型端子3に嵌合した嵌合状態において、当該雌側接点部10の内周面10aが相手側端子である雄型端子2と接触して電気的に接続される部分である。雌側接点部10は、中心軸線Oが軸線方向Xに沿う円筒状に形成される。本実施形態の雌側接点部10は、スリット13と、挿入空間14と、基部15とを有する。
【0020】
スリット13は、雌側接点部10の第2軸線方向X2の端部から第1軸線方向X1の端部まで貫通し、軸線方向Xに沿って直線状に形成されている隙間である。スリット13は、図2に示すように、雌側接点部10を軸線方向Xから視た場合、軸線方向X及び幅方向Yと直交する高さ方向Zの一方に開口し、外部と挿入空間14とを連通する。スリット13の間隔は、雌側接点部10の内径R1/2より相対的に小さい。
【0021】
挿入空間14は、雌側接点部10において、内側に雄型端子2の一部が挿入される部分である。雌側接点部10は、挿入空間14に雄型端子2の一部が挿入されることで、雄型端子2と電気的に接続される。雌側接点部10は、第2軸線方向X2側が開口して挿入空間14と外部とを連通する雄型端子2の挿入口を形成し、第1軸線方向X1側に連結部12を介して電線接続部11が連結される。
【0022】
基部15は、雌側接点部10において、挿入空間14を挟んでスリット13と対向する位置にある部分である。雌側接点部10は、後述する雄型端子2の雄側接点部20が挿入空間14に挿入された際に、基部15を撓み起点として、径方向外側(図2に示す矢印方向)に弾性変形して撓むにように形成される。
【0023】
ここで、本実施形態の雌側接点部10及び雄側接点部20は、雌側接点部10の内径R1<雄側接点部の外径R2、となるように形成される。内径R1は、図2に示すように、雌側接点部10の内周面10aの内径である。外径R2は、雄側接点部20の外周面20aの外径である。
【0024】
電線接続部11は、電線(不図示)の芯線等が圧着され、電線と電気的に接続される部分である。電線接続部11は、例えば、一対のバレル片等により構成される。
【0025】
連結部12は、雌側接点部10と電線接続部11との間に介在し、当該雌側接点部10と当該電線接続部11とを連結する部分である。
【0026】
以上説明したように、第1実施形態に係る接続端子1は、円柱状に形成された雄側接点部20を有する雄型端子2と、円筒状に形成され、かつ軸線方向Xに沿って直線状のスリット13が形成された雌側接点部10を有する雌型端子3とを備える。雌型端子3は、雄側接点部20が挿入される挿入空間14と、挿入空間14を挟んでスリット13と対向する位置にある基部15とを有する。雌側接点部10は、雄側接点部20が挿入空間14に挿入された挿入状態で、基部15を撓み起点として、径方向の外側に撓んで雄側接点部20に対して接触荷重を付加する。
【0027】
上記構成により、接続端子1は、雄側接点部20に対する雌側接点部10の接触荷重において、大電流の通電に対応する高い接触荷重を確保することができる。この結果、接続端子1は、従来の雌型端子に設けられた別体のバネ接点部材を設けることなく、部品点数を抑制することができる。また、接続端子1は、従来の2部品構造の接続端子と比べて、部品の組立工数を削減することができる。また、接続端子1は、従来の2部品構造の接続端子と比べて、部品間の接触抵抗がなく、材料の導体抵抗が低いので、端子抵抗を下げることが可能となる。また、接続端子1は、従来の2部品構造の接続端子と比べて、雌型端子3の小型化を図ることができる。
【0028】
また、第1実施形態に係る接続端子1は、雌側接点部10及び雄側接点部20が、雌側接点部10の内径R1<雄側接点部の外径R2、となるように形成される。これにより、接続端子1は、雄型端子2が雌型端子3に嵌合した嵌合状態において、雌側接点部10が基部15を撓み起点として、径方向外側に撓んで雄側接点部20に対して接触荷重を付加することができる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る接続端子1Aについて図3図6を参照して説明する。第2実施形態に係る接続端子1Aは、上記第1実施形態の接続端子1に対して、雌型端子3Aが一対のインデント部16a,16a、一対のインデント部16b,16bを有する点で異なる。なお、第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0030】
雌型端子3Aは、図示のように、スリット13を挟んで周方向の両側の端部から径方向の内側に向けて突出する一対のインデント部16a,16aと、一対のインデント部16b,16bを有する。
【0031】
一対のインデント部16a,16aは、雌側接点部10Aの第2軸線方向X2側に設けられている。一対のインデント部16b,16bは、雌側接点部10Aの第1軸線方向X1側に設けられている。4つのインデント部16a,16a,16b,16bは、同一形状である。各インデント部16a,16a,16b,16bは、軸線方向Xに延在し、当該軸線方向Xの両端にそれぞれ当該軸線方向Xに沿って径方向内側から外側に向けて傾斜する傾斜面Pを有する。各インデント部16a,16a,16b,16bは、いずれも基部15から高さ方向Zに離間した位置に設けられている。
【0032】
雌型端子3Aは、雄型端子2が当該雌型端子3Aに嵌合した嵌合状態で、各インデント部16a,16a,16b,16bの径方向内側の先端が、雄側接点部20の外周面20aに対して高さ方向Zの一方側から当接し、かつ、基部15側の内周面10aが、外周面20aに対して高さ方向Zの他方側から当接する。また、雄型端子2が雌型端子3Aに嵌合した嵌合状態において、図5に示すように、嵌合部分を軸線方向Xから視た場合、雌型端子3Aは、雌側接点部10Aが雄側接点部20を点aに示す3点で支持する。また、雄型端子2が雌型端子3に嵌合した嵌合状態において、図6に示すように、嵌合部分の断面を幅方向Yから視た場合、雌型端子3は、雌側接点部10Aが雄側接点部20を点aに示す3点で支持する。
【0033】
一対のインデント部16a,16a、一対のインデント部16b,16b、雄側接点部20、及び雌側接点部10Aは、図4に示すように、各インデント部16a,16bの内側径L1<雄側接点部20の外径L2<雌側接点部の内径L3、となるように形成される。
【0034】
以上説明したように、第2実施形態に係る接続端子1Aは、雌側接点部10Aが、スリット13を挟んで周方向の両側の端部から径方向の内側に向けて突出する一対のインデント部16a,16aと、一対のインデント部16b,16bを有する。これにより、接続端子1Aは、基部15から離れた位置にインデント部16a,16bを設けることで、モーメント効果により雌型端子3が雄型端子2を保持するこができる。また、接続端子1Aは、雌側接点部10Aが、一対のインデント部16a,16aと一対のインデント部16b,16bとを軸線方向Xに離間して設けることで、嵌合状態における雄型端子2の軸線方向Xの傾きを抑制することができ、雌側接点部10Aと雄側接点部20間の線接触を得やすくすることができる。この結果、接続端子1Aは、雌側接点部10Aと雄側接点部20間の接触面積を大きくすることができ、接触抵抗が低い状態でも安定した接続を実現することができる。また、各インデント部16a,16a,16b,16bが、軸線方向Xの両端にそれぞれ傾斜面Pを有するので、雌型端子3に対する雄型端子2の組付け性を改善することができる。
【0035】
また、接続端子1Aは、インデント部16a,16b、雄側接点部20、及び雌側接点部10Aは、インデント部16a,16bの内側径L1<雄側接点部20の外径L2<雌側接点部の内径L3、となるように形成される。これにより、接続端子1は、雄型端子2が雌型端子3に挿入可能となり、雄型端子2が雌型端子3に嵌合した嵌合状態において、雌側接点部10が基部15を撓み起点として、径方向外側に撓んで雄側接点部20に対して接触荷重を付加することができる。
【0036】
なお、第2実施形態では、インデント部16aとインデント部16bとは軸線方向Xに沿って分かれているが、当該軸線方向Xに延在して一体に形成されていてもよい。
【0037】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る接続端子1Bについて図7図8を参照して説明する。第3実施形態に係る接続端子1Bは、上記第2実施形態の接続端子1Aに対して、雌型端子3Bが溝状部18を有する点で異なる。なお、第3実施形態では、上記第1実施形態、第2実施形態と同一の構成要素には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0038】
雌側接点部10Bは、基部15に形成され、当該雌側接点部10Bの内周面10aから径方向外側に向けて凹状に形成された溝状部18を有する。溝状部18は、軸線方向Xに直線状に延在して形成され、スリット13に対して高さ方向Zに対向する位置に設けられている。溝状部18は、軸線方向Xから視た断面形状が略矩形状に形成される。溝状部18は、例えば、基部15を径方向内側から減肉して形成される。
【0039】
雌型端子3Bは、雄型端子2が当該雌型端子3Bに嵌合した嵌合状態で、各インデント部16a,16a,16b,16bの径方向内側の先端が、雄側接点部20の外周面20aに対して高さ方向Zの一方側から当接し、かつ、溝状部18の周方向両端の角部18aが、外周面20aに対して高さ方向Zの他方側から当接する。また、雄型端子2が雌型端子3Bに嵌合した嵌合状態において、図8に示すように、嵌合部分を軸線方向Xから視た場合、雌型端子3Bは、雌側接点部10Bが雄側接点部20を点aに示す4点で支持する。
【0040】
以上説明したように、第3実施形態に係る接続端子1Bは、基部15を減肉して形成され、雌側接点部10Bの内周面10aから径方向外側に向けて凹状に形成された溝状部18を有する。これにより、接続端子1Bは、雌側接点部10Bの径方向の厚みが相対的に厚く、雌側接点部10Bが嵌合状態で弾性変形しにくい場合であっても、基部15が溝状部18の形成により減肉される。この結果、接続端子1Bは、雌側接点部10Bが基部15を撓み起点として撓みやすくすることができ、溝状部18の深さ(減肉量)を調整することで、雄側接点部20に対する雌側接点部10Bの接触荷重と、雌型端子3Bに対する雄型端子2の挿入力を調整することができる。
【0041】
また、接続端子1Bは、雄型端子2の第1軸線方向X1側の先端が雌型端子3Bの挿入空間14に挿入される際に、当該先端の一部が溝状部18の一対の角部18aに摺動しながら第1軸線方向X1側に案内される。これにより、接続端子1Bは、雌型端子3Bに対する雄型端子2の挿入作業を容易にする。また、接続端子1Bは、一対のインデント部16a,16aと一対のインデント部16b,16bとを軸線方向Xに離間して設けることで、溝状部18の2つの角部18aと雄側接点部20の外周面20a間の軸線方向Xにおける線接触を得やすくし、安定した電気的接触が得られる。
【0042】
[第3実施形態の変形例]
次に、第3実施形態の変形例に係る接続端子1Cについて図9図11を参照して説明する。第3実施形態の変化例に係る接続端子1Cは、上記第3実施形態の接続端子1Bに対して、雌型端子3Cが凸部19を有し、雄型端子2Aが凸部19に対応する凹部25を有する点で異なる。
【0043】
凸部19は、雌側接点部10Cの内周面10aから径方向内側に突出する部分である。凸部19は、スリット13を挟んで周方向の一方の端部から挿入空間14側に向けて突出して形成される。図示の凸部19は、スリット13を挟んで周方向の一方の端部が当該周方向に折り返して形成されたものであるが、これに限定されるものではない。凸部19は、雌側接点部10Cの内周面10aにおいて、第2軸線方向X2側に設けられたインデント部16aと、第1軸線方向X1側に設けられたインデント部16bとの間の領域に配置される。
【0044】
凹部25は、雄側接点部20Aの外周面20aから径方向内側に向けて凹むように形成される。凹部25は、雄側接点部20Aの第1軸線方向X1側の端部から第2軸線方向X2側に向けて延在している。凹部25は、第1軸線方向X1側が開口しているが、雄側接点部20Aにキャップ23が装着されることで、当該開口が閉塞される。凹部25は、軸線方向Xから視た断面形状が略矩形状に形成される。凹部25は、径方向内側に位置する底面25aと、底面25aを挟んで周方向に対向する一対の対向面25bとを有する。凹部25は、雄型端子2Aが雌型端子3Cに嵌合した嵌合状態で、凸部19が挿入される。
【0045】
接続端子1Cは、雄型端子2Aが雌型端子3Cに嵌合した嵌合状態で、凸部19が凹部25に挿入される。この場合において、接続端子1Cは、雌型端子3Cに対して雄型端子2Aが周方向の一方に回動しようとすると、凸部19が対向面25bの一方に当接して、当該雄型端子2Aの回動を規制する。一方、接続端子1Cは、雌型端子3Cに対して雄型端子2Aが周方向の他方に回動しようとすると、凸部19が対向面25bの他方に当接して、当該雄型端子2Aの回動を規制する。これにより、接続端子1Cは、嵌合状態において、雄型端子2Aの周方向への回動を規制し、雌型端子3Cの雄型端子2Aの保持力を向上させると共に、雄型端子2Aと雌型端子3Cの電気的接触を安定させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 接続端子
2 雄型端子
3 雌型端子
10 雌側接点部
10a 内周面
11 電線接続部
12 連結部
13 スリット
14 挿入空間
15 基部
20 雄側接点部
20a 外周面
21 コネクタ接続部
22 連結部
23 キャップ
25 凹部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11