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特開2024-170737測定装置、測定システム及び測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170737
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】測定装置、測定システム及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241204BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20241204BHJP
   A61B 5/021 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
A61B5/0245 100B
A61B5/021
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087420
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松田 京子
(72)【発明者】
【氏名】足立 佳久
(72)【発明者】
【氏名】奥村 哲也
【テーマコード(参考)】
4C017
4C117
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB03
4C017AC28
4C017BC12
4C017DD14
4C017EE01
4C017FF05
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB13
4C117XD17
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE35
4C117XE36
4C117XE37
4C117XJ13
4C117XJ16
(57)【要約】
【課題】皮膚表面の状態の変化を容易に検知できる測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、生体を透過又は前記生体で反射した光の強度を示す信号値を取得する信号取得部と、前記信号値を色情報に変換する色情報取得部と、前記色情報が判定条件を満たすか否かを判定する色情報判定部と、前記判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値を採用する信号補正部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体を透過又は前記生体で反射した光の強度を示す信号値を取得する信号取得部と、
前記信号値を色情報に変換する色情報取得部と、
前記色情報が判定条件を満たすか否かを判定する色情報判定部と、
前記判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値を採用する信号補正部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記信号補正部は、前記判定条件を満たす色情報に変換可能であることが区間閾値以上である期間連続する信号値を採用する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記色情報取得部は、前記色情報から判定指標を算出し、
前記判定条件は、前記判定指標が色域閾値未満であることである
請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記色情報は、複数の色要素における値を示し、
前記色情報取得部は、前記色情報によって示される値と基準値との差分から前記判定指標を算出する
請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記信号値の時間変化を示す時系列信号から周期を構成するパルス信号を抽出するサイクル抽出部
をさらに備え、
前記色情報取得部は、前記パルス信号を構成する複数の信号値それぞれを前記色情報に変換する
請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記信号補正部は、前記判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値から構成されるパルス信号を採用する
請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の測定装置と、
前記信号補正部によって採用された信号値の時間変化から生体情報を算出する情報処理装置と、
を含む測定システム。
【請求項8】
前記色情報取得部は、前記色情報から判定指標の値を算出し、
前記判定条件は、前記判定指標の値が色域閾値未満であることであり、
前記色域閾値は、前記生体情報の種類に応じて決定される
請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
前記信号補正部は、前記判定条件を満たす色情報に変換可能であることが区間閾値以上である期間連続する信号値を採用し、
前記区間閾値は、前記生体情報の種類に応じて決定される
請求項7に記載の測定システム。
【請求項10】
前記色情報は、複数の色要素における値を示し、
前記色情報取得部は、前記色情報によって示される値と基準値との差分から前記判定指標の値を算出し、
前記複数の色要素と、前記基準値とは、前記生体情報の種類に応じて決定される
請求項7に記載の測定装置。
【請求項11】
生体を透過又は前記生体で反射した光の強度を示す信号値を取得する工程と、
前記信号値を色情報に変換する工程と、
前記色情報が判定条件を満たすか否かを判定する工程と、
前記判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値を採用する工程と、
を含む測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定システム及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、入力光学系への偏光レンズの組み込みにより光沢を除去した状態で皮膚を撮像し、撮像された静止画像を二値化し、乾燥落屑性変化の起こっている領域の全体領域に占める面積の割合を肌荒れ率として定量化し、肌荒れの定量化の結果を出力する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-161935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光を生体に照射して透過又は反射した光を測定することで皮膚内部の状態、例えば、血圧、心拍、血中酸素飽和度等の生体情報の測定が可能である。しかし、皮膚表面が荒れている場合、皮膚表面からの拡散反射光及び正反射光が、皮膚表面が荒れていない場合より強くなることで、測定精度が低下する場合がある。特許文献1に開示された技術では、拡散反射光及び正反射光を抑制するために、偏光レンズを使用して光沢を除去する。しかし、特許文献1に開示された技術では、偏光レンズのピント、偏光方向に合わせた光学系の設計が複雑になる。そこで、本開示の一態様は、皮膚表面の状態の変化を容易に検知できる測定装置、測定システム及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係る測定装置は、生体を透過又は前記生体で反射した光の強度を示す信号値を取得する信号取得部と、前記信号値を色情報に変換する色情報取得部と、前記色情報が判定条件を満たすか否かを判定する色情報判定部と、前記判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値を採用する信号補正部と、を備える。
【0006】
本開示の一形態に係る測定システムは、前記測定装置と、前記信号補正部によって採用された信号値の時間変化から生体情報を算出する情報処理装置と、を含む。
【0007】
本開示の一形態に係る測定方法は、生体を透過又は前記生体で反射した光の強度を示す信号値を取得する工程と、前記信号値を色情報に変換する工程と、前記色情報が判定条件を満たすか否かを判定する工程と、前記判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値を採用する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】測定システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】第一実施形態に係る測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】色域閾値と、判定指標の時間変化の一例を示すグラフとを示す図である。
図4】第一実施形態に係る変形例に係る測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第二実施形態に係る測定システムの構成の一例を示すブロック図である。
図6】第二実施形態に係る測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】判定指標の時間変化の一例を示すグラフと、信号値の時間変化を示す時系列信号の一例を示すグラフとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
図1図3を参照して、第一実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る測定システム1の構成の一例を示すブロック図である。測定システム1は、測定装置100と情報処理装置120とを含む。
【0011】
測定装置100は、光を出射し、生体110を透過又は生体110で反射した光を測定する。そして、情報処理装置120は、測定装置100の測定結果に基づいて、生体110の皮膚内部の血管の状態等を示す生体情報を算出する。具体的には、情報処理装置120は、測定装置100によって取得されて採用された信号値の時間変化から生体情報を算出する。例えば、情報処理装置120は、PC(Personal Computer)、タブレット端末、生体情報算出専用端末等である。生体情報は、血圧、脈拍、血中酸素飽和度等である。
【0012】
測定装置100は、発光部101と、受光部102と、制御部103と、出力部104と、記憶部105とを備える。
【0013】
発光部101は、生体110の皮膚が露出した箇所に光を照射する。生体110の皮膚が露出した箇所は、例えば、生体110の指である。例えば、発光部101は、少なくともR(Red)、G(Green)、B(Blue)の三色を備えるLED(Light Emitting Diode)により構成される。発光部101は、単一のLEDが三波長の光を発光する単一のLEDにより構成してもよいし、三波長それぞれの光を発光する三つのLEDにより構成されてもよい。
【0014】
受光部102は、生体110を透過した光又は生体110で反射した光の強度を測定し、受光部102は、カラーフィルタを備えるフォトダイオードにより構成される。例えば、受光部102は、RGBベイヤー配置のカラーフィルタを備えるフォトダイオードにより構成される。または、受光部102は、RGBCy、RGBIR等のカラーフィルタを備えるフォトダイオードにより構成されてもよい。
【0015】
発光部101と受光部102とは、生体110の皮膚が露出した箇所を測定可能な位置に設置される。
【0016】
制御部103は、測定装置100の全体を制御し、記憶部105に記憶されるプログラム及びデータに従って、各種処理を実行する。制御部103は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)等のプロセッサにより構成される。制御部103は、信号取得部111と、色情報取得部112と、色情報判定部113と、信号補正部114とを備える。
【0017】
信号取得部111は、生体110を透過又は生体で反射した光の強度を示す信号値121を取得する。
【0018】
色情報取得部112は、信号値121を色情報に変換する。色情報は、複数の色要素における値を示す。具体的には、色要素は、色空間及び表色系の少なくとも一方を構成する要素である。そして、色情報取得部112は、色情報から判定指標122を算出する。具体的には、色情報取得部112は、色情報によって示される値と基準値との差分から判定指標122を算出する。
【0019】
色情報判定部113は、色情報が判定条件を満たすか否かを判定する。判定条件は、判定指標122が色域閾値以下であることである。
【0020】
信号補正部114は、判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値121を採用する。
【0021】
出力部104は、信号補正部114によって採用された信号値121を出力する。または、出力部104は、信号補正部114によって採用された信号値121から構成される時系列の信号を出力する。または、出力部104は、色情報判定部113の判定結果を出力する。
【0022】
記憶部105は、各種データ、プログラム等を記録可能な記録媒体であり、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等により構成される。記憶部105は、測定情報記憶部115と、色情報記憶部116とを含む。
【0023】
測定情報記憶部115には、条件内データ、判定OKデータ、予め記憶されるプログラム、使用者により登録される情報等が記憶される。例えば、使用者は、生体110、又は測定装置100の管理者である。条件内データは、判定条件を満たす時点を示す情報、及び判定条件を満たす時点に取得された信号値121の少なくとも一方を示す。判定条件を満たす時点を示す情報は、判定条件を満たす時刻、または判定条件を満たす時点に紐づけられた識別情報を示す。判定OKデータは、信号補正部114によって採用された信号値121が取得された時点を示す情報、及び信号補正部114によって採用された信号値121の少なくとも一方を示す。
【0024】
さらに、測定情報記憶部115には、測定目的である生体情報を測定するために必要である、所定必要データ数又は所定必要時間が記憶される。所定必要データ数又は所定必要時間は、測定目的である生体情報に応じて決定されてもよい。
【0025】
色情報記憶部116には、色域閾値、基準値、色情報に関する算出式、判定指標に関する算出式、判定条件等が記憶される。なお、色情報記憶部116に記憶される色域閾値、基準値等は、使用者により変更可能である。
【0026】
さらに、測定情報記憶部115及び色情報記憶部116の少なくとも一方には、生体110に関連する情報等が記憶される。生体110に関連する情報は、信号値121のログ等が記憶される。
【0027】
図2は、本実施形態に係る測定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS201において測定装置100は、測定処理を開始する。具体的には、測定装置100は、測定処理を開始した場合、発光部101が光を発光し、生体110の皮膚が露出した箇所に光が照射される。そして、受光部102は、生体110を透過した光又は生体110で反射した光を受光し、受光した光の強度を測定する。つまり、測定装置100は、LED、カラーフィルタを備えるフォトダイオード等から構成される簡易且つ小型である発光素子及び受光素子により、生体110を透過した光又は生体110で反射した光を受光し、受光した光の強度を測定できる。
【0029】
ステップS202において信号取得部111は、受光部102によって測定された光の強度を示す信号値121を取得する。具体的には、信号値121は、生体110を透過又は生体で反射した光の強度を示す信号値121を取得する。発光部101が、R、G、Bの三波長の光を発光するLEDにより構成される場合、信号値121は、R、G、Bに対応する輝度値を示す。
【0030】
また、信号取得部111は、信号値121の時間変化を示す時系列信号を取得してもよい。例えば、信号取得部111は、所定時間における信号値121の時間変化を示す時系列信号を取得する。または、信号取得部111は、所定範囲の値を有する信号値121の時間変化を示す時系列信号を取得する。
【0031】
また、例えば、信号取得部111は、信号値121を所定の数式に代入することで算出された値の時間変化から、脈波又は吸光度を示す信号を算出してもよい。脈波は、R、G、Bそれぞれの輝度値の時間変化から算出される、血管の容積変化を示す。吸光度は、血管の光学密度であり、当該血管による光の吸収の程度を示す指標である。例えば、信号取得部111は、ランベルト・ベールの法則により吸光度を算出してもよい。または、信号取得部111は、独立成分分析法、色素成分分離法等を用いて、信号値121の時間変化から、生体情報を示す値の時系列信号を取得してもよい。
【0032】
ステップS203において色情報取得部112は、信号値121を色情報に変換して判定指標122を算出する。色情報は、複数の色要素における値を示す。色要素は、色空間及び表色系の少なくとも一方を構成する要素である。ここで、色情報における色空間及び表色系は、RGB色空間よりも周囲の明るさに影響を受けない色空間及び表色系であることが好ましい。例えば、信号値121が変換される色情報における色空間は、HSL色空間、HSV色空間等である。または、信号値121が変換される色情報における表色系は、L*C*h表色系、L*a*b表色系等である。
【0033】
HSL色空間は、色相H(Hue)、彩度S(Saturation)、及び輝度L(Lightness)を示す。つまり、色情報取得部112が、RGB色空間からHSL色空間への変換式を用いて、信号値121を色情報に変換する場合、色情報は、発光部101から出射された光が照射される生体110の皮膚が露出した箇所についての色相H、彩度S及び輝度Lの組を示す。輝度L及び彩度Sによって、光の明るさ及び白っぽさを表現できる。
【0034】
HSV色空間は、色相H、彩度S、及び明度V(Value)を示す。色情報取得部112が、RGB色空間からHSV色空間への変換式を用いて、信号値121を色情報に変換する場合、信号値121が変換される色情報は、発光部101によって光が照射される生体110の皮膚が露出した箇所についての色相H、彩度S、明度Vの組を示す。明度V及び彩度Sによって、光の明るさ及び白っぽさを表現できる。
【0035】
L*C*h表色系は、明度L(Lightness)、彩度C*(Chroma)、及び色相h(hue)を示す。つまり、色情報取得部112が、RGB色空間からL*c*h表色系への変換式を用いて、信号値121を色情報に変換する場合、信号値121が変換される色情報は、発光部101によって光が照射される生体110の皮膚が露出した箇所についての明度L、彩度C*及び色相hの組を示す。明度L、彩度C*、色相hによって光の明るさ及び白っぽさを表現できる。
【0036】
L*a*b表色系は、明度L(Lightness)、色度a*及び色度b*を示す。色度a*及び色度b*は、色相と彩度とを示す。つまり、色情報取得部112が、RGB色空間からL*a*b表色系への変換式を用いて、信号値121を色情報に変換する場合、信号値121が変換される色情報は、発光部101によって光が照射される生体110の皮膚が露出した箇所についての明度L、色度a*及び色度b*の組を示す。明度L、色度a*及び色度b*によって光の明るさ及び白っぽさを表現できる。
【0037】
HSL色空間、HSV色空間、L*C*h表色系、又はL*a*b表色系において表現される光の明るさ及び白っぽさは、皮膚表面からの拡散反射光及び正反射光の増加により、受光部102によって受光される光が、著しく明るいことに起因する。そのため、皮膚表面の荒れにより皮膚表面から拡散反射光及び正反射光が増加することで、受光される光が著しく明るいことは、生体110の血管の状態に起因せず、皮膚表面の荒れに起因する。そこで、測定装置100は、光の明るさ及び白っぽさを解析することで、皮膚表面の変化を検出できる。
【0038】
HSL色空間、HSV色空間、L*C*h表色系、又はL*a*b表色系によって光の明るさ及び白っぽさを表現できるため、色情報は、発光部101から出射される光が照射される生体110の皮膚が露出した箇所の明るさ及び白っぽさを表現できる。
【0039】
そこで、色情報取得部112は、色情報によって示される値と基準値との差分から判定指標122を算出する。基準値は、予め測定された信号値121から変換された色情報に基づいて決定される。例えば、基準値は、生体110である測定対象者が初回に測定装置100を使用するときに、信号取得部111が測定した信号値121から変換された色情報を示す。または、基準値は、生体110である測定対象者の体調が良いときに、信号取得部111が測定した信号値121から変換された色情報を示してもよい。つまり、色情報取得部112には、個人ごとの皮膚について基準となる状態を示す基準値が記憶される。または、基準値は、測定環境が安定しているときに、信号取得部111が測定した信号値121から変換された色情報を示してもよい。
【0040】
例えば、色情報取得部112が、RGB色空間からHSV色空間への変換式を用いて、信号値121によって示されるR、G、Bに対応する輝度値を、輝度L´を示す色情報に変換するとする。さらに、色情報記憶部116には、輝度Lについての基準値L0が記憶されているとする。その場合、色情報取得部112は、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)を、判定指標122として算出する。
【0041】
例えば、測定装置100が遮光カバーを備え、測定装置100の周囲の照明による影響を排除できる測定環境である場合、輝度Lについて、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)を、判定指標122として算出する。
【0042】
また、例えば、色情報記憶部116に、輝度Lについての基準値L0と、彩度Sについての基準値S0とが記憶されているとする。その場合、色情報取得部112は、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)、及び彩度S´と基準値S0との差分(=S´-S0)を、判定指標122として算出する。
【0043】
また、色情報取得部112は、所定時間内における信号値121の変化量が閾値を超えた場合、照明環境が変化したと判定してもよい。そして、色情報取得部112は、照明環境が変化したと判定した場合、判定指標122の算出式を変更してもよい。例えば、色情報取得部112は、照明環境が変化していないと判定した場合、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)を、判定指標122として算出する。一方、色情報取得部112は、照明環境が変化したと判定した場合、色情報取得部112は、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)、及び彩度S´と基準値S0との差分(=S´-S0)を、判定指標122として算出してもよい。
【0044】
例えば、色情報取得部112は、ステップS202で信号値121が取得された時点毎に、判定指標122を算出する。または、色情報取得部112は、所定の回数、信号値121が取得されるごとに、判定指標122を算出してもよい。または、色情報取得部112は、所定回数の信号値の平均値を色情報に変換して判定指標122を算出してもよい。例えば、所定回数は、三回である。なお、色情報取得部112が、ステップS202で信号値121が取得された時点毎に、判定指標122を算出することで、受光部102によって受光される光の強度の時間変化を、詳細に精度よく得ることができ、好ましい。
【0045】
ステップS204において色情報判定部113は、判定指標122が判定条件を満たすか否かを判定する。判定条件は、判定指標122が色域閾値未満であることである。例えば、色域閾値は、生体情報の種類に応じて決定される。例えば、測定目的である生体情報の種類が脈拍である場合における色域閾値は、測定目的である生体情報の種類が血圧である場合における色域閾値とは異なってもよい。
【0046】
例えば、ステップS203において色情報取得部112は、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)を、判定指標122として算出したとする。さらに、色情報記憶部116に、輝度Lについての色域閾値Lthが記憶されているとする。そして、判定条件は、L´-L0<Lthであることであるとする。その場合、色情報判定部113は、色情報判定部113は、L´-L0<Lthであるか否かを判定する。判定条件を満たさないこと、すなわちL´-L0<Lthであることは、色情報が基準値よりも色域閾値以上に大きいことを示す。色情報が基準値よりも色域閾値以上に大きいことは、皮膚の表面が荒れたことにより拡散反射光及び正反射光の増加によって、受光部102によって受光される光が明るくなっている現象、又は白っぽくなっている現象と相関があると考えられる。
【0047】
判定条件は、複数の色空間、及び複数の表色系の少なくとも一方に関連してもよい。例えば、判定条件は、判定指標122がRGB色空間についての色域閾値RGth未満であり、且つ判定指標122が輝度Lについての色域閾値Lth未満であることであってもよい。その場合、色情報記憶部116に、輝度Lについての色域閾値Lthと、RGB色区間についての色域閾値RGthが記憶されているとする。さらに、その場合、判定指標122は、RGB色空間についての値と、HSL色空間についての値とを示す。
【0048】
例えば、色情報取得部112は、輝度L´と基準値L0との差分(=L´-L0)を判定指標122として算出するとともに、Rに対応する輝度値R´と、Gに対応する輝度値G´との差分(=R´-G´)を判定指標122して算出する。Rに対応する輝度値R´は、信号値121によって示されるRに対応する輝度値であり、Gに対応する輝度値G´は、信号値121によって示されるGに対応する輝度値である。その場合、判定条件は、L´-L0<Lthであり、且つR´-G´<RGthであることであるとする。
【0049】
色情報判定部113が、判定指標122が、複数の色空間についての判定条件を満たすか否かを判定することで、一つの色空間についての判定条件を満たすか否かを判定する場合よりも、詳細な判定を行うことができる。
【0050】
なお、発光部101の性能、受光部102の性能、測定装置100の周囲の照明、及び生体110の皮膚の状態に応じて、生体情報を適切に測定可能となる信号値121は異なり得る。そのため、発光部101の性能、受光部102の性能、測定装置100の周囲の照明、及び生体110の皮膚の状態に応じて、色域閾値が設定されることが好ましい。
【0051】
色情報によって示される値に対応する複数の色要素と、基準値とは、測定目的である生体情報の種類に応じて決定される。つまり、色情報を算出するために使用される色空間と、色情報を算出するために使用される表色系と、基準値とは、測定目的である生体情報の種類に応じて決定されてもよい。
【0052】
図3を参照し、判定指標122の時間変化について説明する。
【0053】
図3は、色域閾値と、判定指標122の時間変化の一例を示すグラフとを示す図である。図3においては、横軸に時間がとられ、縦軸に判定指標がとられている。図3に例示する各点は、互いに異なる時点に取得された信号値121に基づいて算出された判定指標の値を示す。
【0054】
例えば、時点t312~時点t313、及び時点t316以降における判定指標122は色域閾値以上の値を有する。これは、時点t312~t313、及び時点t316以降において、皮膚表面の荒れに起因して、皮膚表面からの拡散反射光及び正反射光の増加により、受光部102によって受光される光が、著しく明るくなること、又は、白っぽくなることに起因する。そのため、測定装置100は、判定指標122が色域閾値未満であるか否かを判定することで、皮膚表面の荒れに起因して皮膚表面からの拡散反射光及び正反射光が増加した時点を特定できる。
【0055】
さらに、生体110の皮膚を透過、又は生体110の皮膚で反射し、受光部102によって受光される光の強度は、個人の皮膚の状態に依存するとともに、個人毎に異なる。しかし、色情報記憶部116には、生体110個人毎の基準値が記憶されるため、測定装置100は、生体110個人毎に設定された基準値を利用して、生体110個人毎に皮膚表面の荒れに起因して皮膚表面からの拡散反射光及び正反射光が増加した時点を特定できる。
【0056】
再び図2を参照し、測定装置100の動作について引き続き説明する。
【0057】
ステップS204において判定指標122が判定条件を満たさない場合、制御部103は、処理をステップS206に移行する。
【0058】
一方、ステップS204において判定指標122が判定条件を満たす場合、ステップS205において色情報判定部113は、判定指標122が判定条件を満たす時点を示す情報を、条件内データとして測定情報記憶部115に記憶させる。または、色情報判定部113は、判定指標122が判定条件を満たす時点に取得された信号値121を、条件内データとして測定情報記憶部115に記憶させる。そして、制御部103は、処理をステップS206に移行する。
【0059】
ステップS206において色情報判定部113は、条件内データが区間閾値以上である期間連続するか否かを判定する。つまり、色情報判定部113は、信号取得部111によって取得される時系列の信号値121のうち、判定条件を満たす色情報に変換可能であることが区間閾値以上である期間連続するか否かを判定する。
【0060】
例えば、区間閾値は、判定指標122の個数である。なお、所定の個数の判定指標122が連続して算出されることは、連続する判定指標122を取得するために要する時間が所定時間であることと同義である。そのため、区間閾値は、所定時間であってもよい。例えば、区間閾値は、生体情報の種類に応じて決定される。
【0061】
ステップS206において条件内データが区間閾値以上である期間連続しない場合、制御部103は、処理をステップS202に戻す。なお、条件内データが区間閾値以上である期間連続しないことが、所定回数以上を繰り返される場合、色情報判定部113は、生体110に注意喚起するメッセージを、出力部104によって出力させる。例えば、出力部104は、測定装置100が接続するディスプレイ(不図示)に、生体110に注意喚起するメッセージを示す文字を表示させてもよい。または、出力部104は、測定装置100が接続するスピーカ(不図示)に、生体110に注意喚起するメッセージを示す音声を出力させてもよい。
【0062】
例えば、生体110が、測定装置100に生体110自身の指を置き、発光部101から出射される光が生体110の指に照射されるとする。その場合、出力部104は、指を置きなおすことを指示することを示すメッセージを出力する。または、出力部104によって出力されるメッセージは、異なる指を測定装置100に置くことを指示することを示すメッセージを出力してもよい。
【0063】
一方、ステップS206において条件内データが、区間閾値以上である期間連続する場合、ステップS207において信号補正部114は、区間閾値以上である期間連続する条件内データを、判定OKデータとして測定情報記憶部115に記憶させる。つまり、信号補正部114は、判定条件を満たす色情報に変換可能であることが区間閾値以上である期間連続する信号値121を採用する。
【0064】
再び図3を参照して、判定OKデータについて説明する。以下の説明では、区間閾値は、判定指標122の個数が4つであることとする。
【0065】
図3に例示する時点t314~時点t315において、判定指標122が色域閾値以下であるため、時点t314~時点t315において、判定指標122は判定条件を満たす。その場合、時点t314~時点t315において判定指標122の個数が3つであるため、時点t314~時点t315において判定指標122の個数は、区間閾値未満である。そのため、測定情報記憶部115には、時点t314~時点t315について判定OKデータは記憶されない。
【0066】
一方、時点t310~時点t311において、判定指標122が色域閾値以下であり、且つ時点t310~時点t311において判定指標122の個数が5つである。そのため、時点t310~時点t311において、判定指標122が判定条件を満たし、且つ判定指標122の個数は、区間閾値以上である。そのため、測定情報記憶部115には、時点t310~時点t11について判定OKデータが記憶される。
【0067】
時系列の信号値121から構成される波形には、生体110の血管の拍動を示す時間変化が反映される。つまり、時系列の信号値121から構成される波形には、生体110の生体情報が反映される。しかし、生体110を透過又は生体110で反射した光の強度は、体動により時間的に変動するため、正反射光又は拡散反射光に起因して変化する場合がある。そこで、ステップS207の処理において信号補正部114は、区間閾値以上である期間連続しない条件内データを判定OKデータとして判定OKデータとして測定情報記憶部115に記憶させない。つまり、測定装置100は、区間閾値以上である期間連続しない信号値121を除外する。
【0068】
ステップS208において信号補正部114は、必要な判定OKデータを取得したか否かを判定する。具体的には、信号補正部114は、測定情報記憶部115に記憶される所定必要データ数又は所定必要時間の判定OKデータを取得したか否かを判定する。
【0069】
ステップS208において必要な判定OKデータが取得されていない場合、制御部103は、処理をS202に戻す。一方、ステップS208において必要な判定OKデータが取得されている場合、ステップS209において信号補正部114は、測定情報記憶部115に記憶された判定OKデータの時点に対応するデータを採用する。例えば、信号取得部111が時系列の信号値121から構成される信号を取得した場合、信号補正部114は、取得された信号から、判定OKデータの時点に対応するデータを抽出する。または、判定OKデータの時点に対応するデータにより信号が生成される場合、信号補正部114は、生成される信号を採用してもよい。
【0070】
ステップS210において出力部104は、採用されたデータを出力する。さらに、出力部104は、測定目的である生体情報を算出するために必要な情報を出力してもよい。そして、情報処理装置120は、信号補正部114によって採用された信号値121の時間変化から生体情報を算出する。
【0071】
つまり、ステップS207の処理において信号補正部114は、区間閾値以上である期間連続する条件内データを判定OKデータとして測定情報記憶部115に記憶させる。そして、ステップS210において出力部104は、測定情報記憶部115に記憶された判定OKデータの時点に対応するデータを出力する。これにより、情報処理装置120は、生体情報を算出するために適し、且つ区間閾値以上である期間連続する信号値121の時間変化から生体情報を算出する。
【0072】
以上より、本実施形態に係る測定装置100は、生体110の皮膚表面の状態の変化による著しい光の変化を示す信号値121を、生体情報を算出するために使用される信号値121から除外する。つまり、本実施形態に係る測定装置100は、生体110の皮膚表面が荒れている箇所に光を照射して取得された信号値121を採用しない。そして、本実施形態に係る測定装置100は、生体情報を測定するために適した、皮膚表面が荒れていない箇所に光を照射して取得された信号値121を採用する。これにより、情報処理装置120は、皮膚表面が荒れていない箇所に光を照射して取得された信号値121から生体情報を精度よく算出できる。
【0073】
(第一実施形態の変形例)
図4を参照して、第一実施形態の変形例について説明する。なお、図面については、同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0074】
本変形例に係る測定装置100と、第一実施形態に係る測定装置100との相違点は、本変形例に係る測定装置100においては、区間閾値を使用せず、判定条件を満たすデータを採用する点にある。つまり、本変形例に係る信号補正部114は、信号取得部111によって取得される時系列の信号値のうち、判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値121を採用する。
【0075】
図4は、本変形例に係る測定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS401~ステップS405の処理は、図2に例示するステップS201~ステップS205の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
ステップS406において信号補正部114は、必要な条件内データを取得したか否かを判定する。具体的には、信号補正部114は、測定情報記憶部115に記憶される所定必要データ数又は所定必要時間の条件内データを取得したか否かを判定する。
【0077】
ステップS406において必要な条件内データが取得されていない場合、制御部103は、処理をS402に戻す。一方、ステップS406において必要な条件内データが取得されている場合、ステップS407において信号補正部114は、測定情報記憶部115に記憶された条件内データに対応する時点のデータを採用する。これにより、本変形例に係る測定装置100は、第一実施形態に係る測定装置100よりも多くのデータを採用できる。さらに、本変形例に係る測定装置100は、条件内データが区間閾値以上である期間連続する必要がないため、第一実施形態に係る測定装置100よりも測定に要する時間を短縮できる。
【0078】
(第二実施形態)
図5図7を参照して、第二実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0079】
図5は、本実施形態に係る測定システム1の構成の一例を示すブロック図である。図5に例示する測定システム1と、図1に例示する測定システム1との相違点は、図5に例示する測定システム1に含まれる測定装置100は、サイクル抽出部501を備える点にある。
【0080】
サイクル抽出部501は、信号値121の時間変化を示す時系列信号から周期を構成するパルス信号511を抽出する。
【0081】
本実施形態に係る色情報取得部112は、パルス信号511を構成する複数の信号値121それぞれを色情報に変換する。
【0082】
本実施形態に係る信号補正部114は、判定条件を満たす色情報に変換可能である信号値121から構成されるパルス信号511を採用する。
【0083】
本実施形態に係る出力部104は、信号補正部114によって採用されたパルス信号511を構成する信号値121を出力する。又は、出力部104は、信号補正部114によって採用されたパルス信号から構成される時系列の信号を出力する。
【0084】
本実施形態に係る測定情報記憶部115には、条件外データ、条件内パルスがさらに記憶される。条件外データは、判定条件を満たさない時点を示す情報、及び判定条件を満たさない時点に取得された信号値121の少なくとも一方を示す。判定条件を満たさない時点を示す情報は、時刻、及び時点に紐づけられた識別情報の少なくとも一方を示す。条件内パルスは、条件内データの時点のみから構成されるパルス信号511を示す。
【0085】
さらに、本実施形態に係る測定情報記憶部115には、測定目的である生体情報を測定するために必要である、所定必要パルス数又は所定必要時間が記憶される。所定必要パルス数又は所定必要時間は、測定目的である生体情報の種類に応じて決定されてもよい。
【0086】
図6は、本実施形態に係る測定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS601の処理は、図2に例示するステップS201の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0087】
ステップS602において信号取得部111は、受光部102によって測定された光の強度を示す信号値121を取得する。信号取得部111は、信号値121によって示されるR、G、Bそれぞれの輝度値に所定の係数をかけた値の和又は積を算出してもよい。そして、信号取得部111は、信号値121の時間変化を示す時系列信号を取得する。
【0088】
または、信号取得部111は、信号値121を所定の数式に代入することで算出された値の時間変化から、吸光度信号、脈波信号を算出してもよい。または、信号取得部111は、独立成分分析法、色素成分分離法等を用いて、信号値121の時間変化から、生体情報を示す値の時系列信号を取得してもよい。
【0089】
例えば、生体110の心臓は、収縮と拡張を繰り返すために、血管が拍動する。信号値121が、血管の拍動を示す場合、拍動の周期に従って、信号値121は増加と減少を繰り返す。同様に、生体110が行う呼吸は、周期性を有するため、信号値121が呼吸運動を示す場合、信号値121は増加と減少を繰り返す。つまり、生命活動は周期性を有し、当該周期性によって示されるサイクルは、生体110の健康状態が反映されている。そのため、周期性を有する生体情報を測定するときには、時系列信号を周期毎に区切って抽出された各パルスを解析することで、生体110の健康状態を精度よく解析できる。そこで、本実施形態に係る測定装置100においては、使用するデータの区間を所定のサイクル毎に区切る。
【0090】
そこで、ステップS603においてサイクル抽出部501は、ステップS602で取得された時系列信号から、パルス信号511を抽出する。具体的には、サイクル抽出部501は、時系列信号から、パルス切り出し条件を満たす区間を、サイクル毎のパルス信号511として切り出す。なお、サイクルを示す区間は、測定目的である生体情報に応じて設定される。
【0091】
例えば、時系列信号が脈波信号を示し、測定目的である生体情報の種類が、心拍又は血圧であるとする。その場合、信号の収縮と拡張に伴う脈波信号の立ち上がりから立下りまでの区間が、一サイクルとして設定される。そして、サイクル抽出部501は、パルス信号511を構成する信号値121が取得された時点を示す情報、及びパルス信号511を構成する信号値121の少なくとも一方を、測定情報記憶部115に記憶させる。
【0092】
ステップS604において色情報取得部112は、パルス信号511を構成する複数の信号値121を色情報に変換して複数の判定指標122を算出する。ステップS604において信号値121を色情報に変換して判定指標122を算出する処理は、図2に例示するステップS203の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
ステップS605において色情報判定部113は、ステップS604で算出された複数の判定指標122のうち、少なくとも一の判定指標122が判定条件を満たすか否かを判定する。具体的には、色情報判定部113は、複数の判定指標122のそれぞれについて、判定条件を満たすか否かを判定する。ステップS605において、各判定指標122が判定条件を満たすか否かを判定する処理は、図2に例示するステップS204の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0094】
ステップS605において全ての判定指標122が判定条件を満たさない場合、制御部103は、処理をステップS608に移行する。一方、ステップS605において複数の判定指標122のうち、少なくとも一の判定指標122が判定条件を満たす場合、ステップS606において色情報判定部113は、判定指標122が判定条件を満たさない時点を示す情報を、条件外データとして測定情報記憶部115に記憶させ、判定指標122が判定条件を満たす時点を示す情報を、条件外データとして測定情報記憶部115に記憶させる。
【0095】
ステップS607において色情報判定部113は、条件内データの時点のみを含むパルス信号511を、条件内パルスとして測定情報記憶部115に記憶させる。つまり、色情報判定部113は、条件外データを含むパルス信号511については、条件内パルスとして測定情報記憶部115に記憶させない。
【0096】
ステップS608において信号補正部114は、必要な条件内パルスを取得したか否かを判定する。具体的には、信号補正部114は、測定情報記憶部115に記憶される所定必要パルス数又は所定必要時間のパルス信号511を取得したか否かを判定する。
【0097】
ステップS608において必要な条件内パルスが取得されていない場合、制御部103は、処理をステップS602に戻す。一方、ステップS609において必要な条件内パルスが取得されている場合、ステップS606において信号補正部114は、測定情報記憶部115に記憶された条件内パルスの時点に対応するデータを採用する。つまり、信号補正部114は、条件外データを含むパルス信号511については採用せず、一サイクルのデータが完全に揃った品質の良いパルスのみを採用する。
【0098】
また、信号補正部114は、条件内パルスが所定回数以上である期間連続するか否かを判定してもよい。つまり、信号補正部114は、条件内データの時点のみを含むパルス信号511が、所定回数以上である期間連続するか否かを判定する。測定装置100が時間的に連続したパルス信号511を採用することで、情報処理装置120は時間的に連続したパルス信号511から生体情報を算出できる。
【0099】
ステップS610において出力部104は、採用されたデータを出力する。さらに、出力部104は、測定目的である生体情報を算出するために必要な情報を出力してもよい。
【0100】
図7を参照して、パルス信号511を抽出する処理について詳細に説明する。
【0101】
図7は、判定指標122の時間変化の一例を示すグラフと、信号値121の時間変化を示す時系列信号の一例を示すグラフとを示す図である。
【0102】
図7の上図は、色域閾値と、判定指標122の時間変化の一例を示すグラフとを示す図である。図7の上図においては、横軸に時間がとられ、縦軸に判定指標がとられている。図7の上図において、グラフに示す各点は、互いに異なる時点に取得された判定指標122の値を示す。また、図7の下図は、信号値121の時間変化を示す時系列信号の一例を示すグラフである。図7の下図においては、横軸に時間がとられ、縦軸に時系列信号の値がとられている。例えば、図7に例示する時系列信号が脈波信号を示す場合、図7の縦軸は、脈波の強度を示す。
【0103】
また、図7の上図の横軸と下図の横軸とは、時間的に対応する。つまり、図7の上図の横軸と下図の横軸とにおいて、同じ値は、同じ時点を示す。なお、説明のために、図6の上図における判定指標122の取得間隔は、図6の下図の時系列信号の測定間隔よりも粗く示す。しかし、例えば、図6の下図に例示する時系列信号が脈波信号を示す場合、判定指標122の取得間隔は、図6の下図の時系列信号の測定間隔と同程度であることが好ましい。
【0104】
図6の下図において、区間tA~区間tEは、信号値121の増減のサイクルを示す。そのため、サイクル抽出部501は、ステップS602で取得された時系列信号を、区間tA~区間tEそれぞれに区切り、区間tA~区間tEそれぞれについてパルス信号511を抽出する。
【0105】
例えば、時点t610と時点t613において、判定指標122は色域閾値以上である。つまり、時点t610と時点t613において、判定指標122は判定条件を満たさない。そのため、色情報判定部113は、時点t610を含む区間tAと、時点t613を含む区間tEにおけるパルス信号511を、条件内パルスとして測定情報記憶部115に記憶させない。
【0106】
一方、時点t611~時点t612までの期間内において、全ての判定指標122は、色域閾値未満である。つまり、時点t611~時点t612までの期間内において、全ての判定指標122は、判定条件を満たす。そのため、色情報判定部113は、時点t611~時点t612に対応する区間である区間tB~区間tDにおけるパルス信号511を、条件内パルスとして測定情報記憶部115に記憶させる。これにより、色情報判定部113は、一サイクルのデータが完全に揃った品質の良いパルスのみを、条件内パルスとして測定情報記憶部115に記憶させることができる。
【0107】
上記実施形態で実行される各処理は、各実施形態で例示した処理態様に限定されない。上述した機能ブロックは、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)、又はCPUを用いたソフトウェアの何れを用いて実現してもよい。上記実施は、複数のコンピュータで実行されてもよい。例えば、測定装置100の制御部103の各機能ブロックで実行される処理は、他のコンピュータで一部の処理が実行されてもよいし、複数のコンピュータで全ての処理が分担して実行されてもよい。
【0108】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。本開示は、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 測定システム、100 測定装置、101 発光部、102 受光部、103 制御部、104 出力部、105 記憶部、110 生体、111 信号取得部、112 色情報取得部、113 色情報判定部、114 信号補正部、115 測定情報記憶部、116 色情報記憶部、120 情報処理装置、121 信号値、122 判定指標、501 サイクル抽出部、511 パルス信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7