(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170741
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ホームドア
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20241204BHJP
E05F 15/643 20150101ALI20241204BHJP
【FI】
B61B1/02
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087428
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】島田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】安達 次生
(72)【発明者】
【氏名】住吉 広昭
【テーマコード(参考)】
2E052
3D101
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA03
2E052DB03
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC03
2E052GA06
2E052GB06
2E052HA01
2E052KA27
3D101AA10
3D101AA17
3D101AA26
3D101AA37
3D101AB02
3D101AB15
3D101AB17
3D101AC10
(57)【要約】
【課題】風圧がかかりにくく、電線によって風の流れが妨げられにくいホームドアを提供する。
【解決手段】ホームドア1Aは、鉛直方向に延在し、プラットホーム100に設置される支柱14-16と、支柱14-16に支持された上部戸袋11と、上部戸袋11との間に風が通る空間を設けて上部戸袋11の下に配置され、支柱14-16に支持された下部戸袋12と、上部戸袋11から進退する上部バー21と、上部バー21と連結され、上部バー21の進退にあわせて下部戸袋から進退する下部バー22とを有する扉と、上部戸袋11と下部戸袋12のいずれか一方の戸袋に収容され、上部バー21と下部バー22のいずれか一方のバーを進退させる駆動装置50と、上部戸袋11と下部戸袋12のいずれか他方の戸袋に収容され、駆動装置50を制御する制御装置と、支柱14-16に沿って配線され、駆動装置50と制御装置との通信を可能にする通信線と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延在し、プラットホームに設置される支柱と、
前記支柱に支持された上部戸袋と、
前記上部戸袋との間に風が通る空間を設けて前記上部戸袋の下に配置され、前記支柱に支持された下部戸袋と、
前記上部戸袋から前記プラットホームの乗客通路へ、または前記乗客通路から前記上部戸袋へ進退する上部バーと、該上部バーと連結され、該上部バーの進退にあわせて前記下部戸袋から前記乗客通路へ、または前記乗客通路から前記下部戸袋へ進退する下部バーとを有する扉と、
前記上部戸袋と前記下部戸袋のいずれか一方の戸袋に収容され、前記一方の戸袋から進退する前記上部バーと前記下部バーのいずれか一方のバーを進退させる駆動装置と、
前記上部戸袋と前記下部戸袋のいずれか他方の戸袋に収容され、前記駆動装置を制御する制御装置と、
前記支柱に沿って配線され、前記駆動装置と前記制御装置との通信を可能にする通信線と、
を備える、
ホームドア。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記上部戸袋の内部に収容され、前記上部バーを進退させ、
前記制御装置は、前記下部戸袋の内部に収容され、前記駆動装置による前記上部バーの進退を制御する、
請求項1に記載のホームドア。
【請求項3】
前記支柱に沿って上下方向に延び、前記通信線を収容する保護部材をさらに備える、
請求項1または2に記載のホームドア。
【請求項4】
前記支柱は、角柱状の形状を有し、
前記通信線は、前記支柱の角柱の軌道側と反対側にあるコーナー部に沿って配線されている、
請求項1または2に記載のホームドア。
【請求項5】
前記下部戸袋に設けられ、前記扉の進退に支障を生じさせる支障物を検知する支障物センサをさらに備える、
請求項1または2に記載のホームドア。
【請求項6】
前記駆動装置は、
出力軸の回転により前記上部バーを進退させるモータと、
前記モータの出力軸に設けられ、前記上部戸袋と前記下部戸袋のいずれか一方の戸袋に設けられたローラーチェーンに噛み合うスプロケットと、
ネジの回転により前記モータの位置を調整することにより、前記スプロケットの位置を調整する位置調整機構と、
を有する、
請求項1または2に記載のホームドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はホームドアに関する。
【背景技術】
【0002】
ホームドアには、様々な形状の戸袋が採用されている。
【0003】
特許文献1には、板状のドアパネルを収容するため、矩形の厚い板の形状に形成された戸袋を有するホームドアが開示されている。
【0004】
一方、特許文献2には、上下方向に配列された複数のバーにより形成された扉を収容するため、バーそれぞれが進退する筒状の梁部材が複数個、上下方向に配列された戸袋を備えるホームドアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-207347号公報
【特許文献2】特開2021-94993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載のホームドアでは、風圧がかかりにくくするため、扉に複数のバーが用いられ、戸袋に筒状の梁部材が用いられている。一方で、特許文献1に記載のホームドアでは、ドアパネルを戸袋から進退させるための駆動装置が戸袋内の上部と中間部に設けられ、その駆動装置を制御する制御装置が戸袋内の下部に設けられている。駅のプラットホームでは、複数のホームドアを総合制御盤により制御することがあり、その場合に、総合制御盤とホームドア毎に備えられる制御装置との接続距離を短くすることが望まれている。そこで、特許文献1に記載のホームドアの、戸袋内の下部に設けられた制御装置の配置と駆動装置の配置を特許文献2に記載のホームドアに適用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、そのような場合、駆動装置と制御装置を接続する電線が、戸袋の筒状の梁部材同士の間にある空間を横切ってしまい、その空間を通過する風の流れを妨げるおそれがある。
【0008】
本開示は上記の課題を解決するためになされたもので、風圧がかかりにくく、電線によって風の流れが妨げられにくいホームドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本開示に係るホームドアは、支柱、上部戸袋、下部戸袋、扉、駆動装置、制御装置および通信線を備える。支柱は、鉛直方向に延在し、プラットホームに設置される。上部戸袋は、支柱に支持されている。下部戸袋は、上部戸袋との間に風が通る空間を設けて上部戸袋の下に配置され、支柱に支持されている。扉は、上部戸袋からプラットホームの乗客通路へ、または乗客通路から上部戸袋へ進退する上部バーと、上部バーと連結され、上部バーの進退にあわせて下部戸袋から乗客通路へ、または乗客通路から下部戸袋へ進退する下部バーとを有する。駆動装置は、上部戸袋と下部戸袋のいずれか一方の戸袋に収容され、一方の戸袋から進退する上部バーと下部バーのいずれか一方のバーを進退させる。制御装置は、上部戸袋と下部戸袋のいずれか他方の戸袋に収容され、駆動装置を制御する。そして、通信線は、支柱に沿って配線され、駆動装置と制御装置との通信を可能にする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の構成によれば、下部戸袋が、上部戸袋との間に風が通る空間を設けて上部戸袋の下に配置されているので、風圧がかかりにくい。そして、通信線が支柱に沿って配線され、駆動装置と制御装置との通信を可能にするので、通信線によって風の流れが妨げられにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態1に係るホームドアの正面図
【
図2】本開示の実施の形態1に係るホームドアの左側部分を拡大した斜視図
【
図3】本開示の実施の形態1に係るホームドアと総合制御盤の配線を示す概念図
【
図4】本開示の実施の形態1に係るホームドアが備える駆動装置の上面図
【
図5】本開示の実施の形態1に係るホームドアが備える駆動装置の背面図
【
図7】本開示の実施の形態2に係るホームドアが備える上部戸袋の正面壁部を外したときの駆動装置の正面図
【
図8】本開示の実施の形態2に係るホームドアが備える上部戸袋の正面壁部を外したときの駆動装置の斜視図
【
図9】本開示の実施の形態2に係るホームドアの変形例が備える上部戸袋の正面壁部を外したときの駆動装置の斜視図
【
図10】本開示の実施の形態2に係るホームドアのもう一つの変形例が備える上部戸袋の正面壁部を外したときの駆動装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態に係るホームドアについて図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。図に示す直交座標系XYZにおいて、ホームドアをプラットホームの、軌道と反対側の正面側から視たときの、左右方向をX方向、上下方向をZ方向、Z軸とX軸とに直交する方向がY軸である。以下、適宜、この座標系を引用して説明する。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1に係るホームドアでは、扉が複数のバーによって形成されると共に、戸袋が複数の筒によって形成されたホームドアである。このホームドアでは、扉を駆動して戸袋からプラットホームの乗客通路へ、またはその乗客通路から戸袋へ扉を進退させる駆動装置と、その駆動装置を制御する制御装置、すなわち制御盤とを接続する電線が、戸袋の支柱に沿って配線されている。まず、
図1および
図2を参照して、ホームドアの構成について説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1に係るホームドア1Aの正面図である。
図2は、ホームドア1Aの左側部分を拡大した斜視図である。
【0015】
なお、
図1は、理解を容易にするため、ホームドア1Aが備える左扉20L、右扉20Rが戸袋10から出た状態を示している。
図2は、左扉20Lが戸袋10から出た状態を示している。
【0016】
図1に示すように、ホームドア1Aは、鉄道のプラットホーム100に設置される戸袋10と、戸袋10から進退する左扉20L、右扉20Rと、を備える。
【0017】
戸袋10は、風を通りやすくするため、
図1および
図2に示すように、上下方向に離れた上部戸袋11および下部戸袋12と、上部戸袋11と下部戸袋12との間で互いに離れて配列された複数の中間戸袋13と、上部戸袋11、下部戸袋12および中間戸袋13を支持する支柱14-16とにより形成されている。
【0018】
上部戸袋11は、長手方向を左右方向に向け、かつ左端と右端とが三角形状に突出した直方体状の四角筒の形状に形成されている。そして、右端と左端には、図示しないが、左扉20L、右扉20Rの後述する上部バー21を差し込んで進退させるため、開口が設けられている。また、
図2に示すように、左右方向の中央部は、後述する駆動装置50がなく、主に上部バー21だけを収容するため、前後方向の厚みが薄くなっている。
【0019】
また、下部戸袋12も、
図1および
図2に示すように、長手方向を左右方向に向け、かつ左端と右端とが三角形状に突出した直方体状の四角筒の形状に形成されている。図示しないが、下部戸袋12の右端と左端も、左扉20L、右扉20Rの下部バー22と後述する複数の中間バー23の一部を差し込んで進退させるため、開口が設けられている。
【0020】
さらに、中間戸袋13それぞれは、延在方向を左右方向に向けた円筒の形状に形成されている。そして、右端と左端は、図示しないが、左扉20L、右扉20Rの中間バー23それぞれを差し込んで進退させるため、開口している。そして、複数の中間戸袋13は、風を通すため、互いの間に隙間を設けた状態で上下方向に配列されている。
【0021】
詳細には、
図1に示すように、一番上に配列された中間戸袋13は、上部戸袋11から距離Dだけ下に設けられている。また、一番下に配列された中間戸袋13は、下部戸袋12から距離Dだけ上に設けられている。さらに、中間戸袋13同士は、互いに上下方向へ一定の距離Dだけ離れて配列されている。中間戸袋13同士は、このような配列により、互いの間、または上部戸袋11、下部戸袋12との間に空間を設けて、その空間に空気が流れることを可能にしている。その結果、中間戸袋13は、前後方向から風が吹くときに、その風を前後方向に流している。これにより、中間戸袋13は、戸袋10全体に風圧がかかりにくくしている。一方、これら中間戸袋13は、上部戸袋11および下部戸袋12と共に、支柱14-16によって支えられている。
【0022】
支柱14-16は、板面を左右方向に向けた厚い板の形状に形成されている。そして、支柱14-16は、上下方向に延在している。一方、駅のプラットホーム100には、矩形状かつ板面を上下方向に向けた板の形状を有する脚部17-19が等間隔で左右方向に配列されている。詳細には、脚部17と19は、プラットホーム100の乗客通路110に隣り合って配置され、脚部18は、脚部17と19の間に配置されている。支柱14-16それぞれの下端は、それら脚部17-19それぞれに接合されている。これにより、支柱14-16は、プラットホーム100に設置されている。
【0023】
支柱14-16それぞれの上端部分は、上部戸袋11の下面部を貫通して上部戸袋11の上面部にまで通されている。そして、上部戸袋11に接合されている。これにより、支柱14-16は、上部戸袋11を支持している。また、支柱14-16それぞれの下端部分は、下部戸袋12を貫通し、さらに下部戸袋12に接合されている。これにより、支柱14-16は、下部戸袋12を支持している。なお、図示しないが、支柱14-16それぞれの上端部分と下端部分それぞれには、バー挿通穴が形成され、上部戸袋11と下部戸袋12を進退する左扉20L、右扉20Rの上部バー21と下部バー22が通されている。
【0024】
一方、図示しないが、支柱14-16それぞれの中間部分では、中間戸袋13それぞれが支柱14-16の板面を貫通している。支柱14-16それぞれの中間部分には、その状態で中間戸袋13それぞれが接合されている。これにより、支柱14-16は、中間戸袋13それぞれを支持している。
【0025】
このように、支柱14-16は、上部戸袋11、下部戸袋12および中間戸袋13それぞれを支持している。その結果、支柱14-16は、上部戸袋11、下部戸袋12および中間戸袋13それぞれを、プラットホーム100に固定している。一方、上部戸袋11、下部戸袋12および中間戸袋13それぞれでは、左扉20L、右扉20Rが進退する。
【0026】
左扉20L、右扉20Rのぞれぞれは、風圧がかかりにくくするため、
図1および
図2に示すように、左右方向に延びる上部バー21、下部バー22および複数の中間バー23と、これらを連結し、上下方向に延びる連結バー24とを有する。
【0027】
なお、左扉20Lと右扉20Rは、左右対称であることを除いて、その構成は同じである。このため、以下、左扉20Lの構成を説明して、右扉20Rの構成の説明を省略する。
【0028】
左扉20Lが備える上部バー21は、上部戸袋11の筒部分よりも一回り小さく、かつ上部戸袋11の筒部分に差し込み可能な直線状に延びる四角筒の形状に形成されている。そして、上部バー21の右端部分は、上部戸袋11の筒内に差し込まれている。上部戸袋11の筒部分は左右方向へ水平に延在する。その結果、上部バー21の左端部分は、左へ水平に延びている。
【0029】
また、下部バー22は、下部戸袋12の筒部分の上下方向の長さの半分以下の上下方向の長さを有し、筒軸が直線的に延びる四角筒の形状に形成されている。さらに、下部バー22は、下部戸袋12の筒部分に差し込み可能な径に形成されている。そして、下部バー22の右端部分は、その上に配列された複数の中間バー23の一部が有する右端部分と共に、下部戸袋12の筒内に差し込まれている。下部バー22の左端部分は、下部戸袋12の筒部分が左右方向へ水平に延在する結果、左へ水平に延びている。
【0030】
さらに、中間バー23それぞれは、中間戸袋13に差し込み可能な、直線的に延びる円筒の形状に形成されている。そして、複数の中間バー23のうち、上側に配列された一部の中間バー23では、それぞれの右端部分が中間戸袋13それぞれに差し込まれている。また、下側に配列された残りの中間バー23では、それぞれの右端部分が下部戸袋12の筒内に差し込まれている。中間バー23それぞれは、中間戸袋13と下部戸袋12の筒部分が左右方向へ水平に延在する結果、左へ水平に延びている。
【0031】
一方、連結バー24は、それら上部バー21、下部バー22および中間バー23を連結する。詳細には、左扉20Lが備える上部バー21、下部バー22および中間バー23は、左へ水平に延びている。これに対して、連結バー24は、板面を左右方向に向け、かつ上下方向に長手方向を向けた板の形状に形成されている。そして、連結バー24の右側の板面には、上部バー21、下部バー22および中間バー23の左端面が接合されている。その結果、連結バー24は、上部バー21、下部バー22および中間バー23を連結して一体化している。
【0032】
このように、左扉20Lでは、上部バー21、下部バー22および中間バー23は、連結バー24によって一体化されている。また、説明を省略したが、右扉20Rも、上部バー21、下部バー22および中間バー23が連結バー24によって一体化されている。このような左扉20Lと右扉20Rを特定の時期に戸袋10から進退させるため、ホームドア1Aは、駅に設けられた総合制御盤と接続されている。また、ホームドア1Aは、制御盤、支障物センサおよび駆動装置をさらに備えている。次に、
図1および
図2に加えて、
図3-
図5を参照して、総合制御盤、制御盤、支障物センサおよび駆動装置の構成について説明する。
【0033】
図3は、ホームドア1A、1Bと総合制御盤2の配線を示す概念図である。
図4は、ホームドア1Aが備える駆動装置50の上面図である。
図5は、駆動装置50の背面図である。
【0034】
なお、
図3は、複数のホームドア1Aと、左扉20Lの進退だけを制御する制御盤31を備えるホームドア1Bとが総合制御盤2に接続された形態を例示している。また、
図3は、理解を容易にするため、上部バー21、下部バー22、中間バー23および連結バー24等の左扉20L、右扉20Rの詳細な構成を省略している。また、上部戸袋11、下部戸袋12、中間戸袋13および支柱14-16の戸袋10の詳細な構成を省略している。さらに、
図4と
図5は、理解を容易にするため、駆動装置50の構成だけを示している。
【0035】
図3に示すように、ホームドア1Aは、他のホームドア1A、1Bと共に、総合制御盤2と接続されている。そして、ホームドア1Aは、制御盤30、中継盤35、支障物センサ40および駆動装置50を備える。
【0036】
総合制御盤2は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを有するコンピュータを備える。そして、総合制御盤2は、CPUがメモリに格納された総合プログラムを読み出して実行することにより、複数のホームドア1Aを制御する処理を行う。例えば、総合制御盤2は、図示しない電車の車両を検知する車両検知センサの出力に基づき、左扉20L、右扉20Rを進退させる進退指令をホームドア1Aそれぞれの制御盤30とホームドア1Bの制御盤31へ送信する。または、総合制御盤2は、電車の運転手、若しくは駅の駅員が開閉指示をするための図示しないボタンの出力に基づき、上記の進退指令をホームドア1Aそれぞれの制御盤30とホームドア1Bの制御盤31へ送信する。
【0037】
ここで、ホームドア1Aと1Bとでは、(1)ホームドア1Aに備えられる制御盤30が、ホームドア1Aの左扉20Lの進退を制御すると共に、中継盤35を介して、左に隣り合う別のホームドア1Aの右扉20Rの進退を制御するのに対して、ホームドア1Bに備えられる制御盤31が、ホームドア1Bそれ自体の左扉20Lの進退だけを制御すること、(2)制御盤30が左に隣り合う別のホームドア1Aの中継盤35に接続されているのに対して、制御盤31にそのような接続がないこと、を除いて、それらの構成は同じである。このため、以下、ホームドア1Bの構成の説明を省略して、ホームドア1Aの構成を説明するものとする。また、制御盤30と31は、制御対象と中継盤35への配線の有無を除いて、同じ構成である。このため、以下、制御盤31の構成の説明を省略して、制御盤30の構成を説明するものとする。
【0038】
制御盤30は、
図3に示すように、ホームドア1A毎に設けられている。詳細には、ホームドア1Aでは、左扉20Lまたは右扉20Rを駆動するため、左扉20Lと右扉20Rのそれぞれに対応する駆動装置50が設けられている。制御盤30は、電線60により、ホームドア1Aそれ自体が備える、左扉20Lを駆動するための駆動装置50と接続されている。一方、ホームドア1Aの左に隣り合う別のホームドア1Aまたは1Bでは、中継盤35が電線65によって右扉20Rを駆動するための駆動装置50と接続されている。制御盤30は、電線4により、その別のホームドア1Aまたは1Bの中継盤35と接続されている。その結果、制御盤30は、中継盤35を介して、その別のホームドア1Aまたは1Bの右扉20Rを駆動する駆動装置50と接続されている。
【0039】
一方、制御盤30は、図示しないCPUおよびメモリを有するコンピュータを備え、CPUがメモリに格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、上述した電線60により接続された駆動装置50と中継盤35を介して接続された駆動装置50のそれぞれを制御する。例えば、制御盤30は、上記の総合制御盤2の指令に基づいて、駆動装置50それぞれを制御する。これにより、制御盤30は、それ自体が設けられたホームドア1Aの左扉20Lと、左に隣り合う別のホームドア1Aまたは1Bの右扉20Rとを動作させて進退させる。
【0040】
一方、支障物センサ40は、左扉20Lと右扉20Rのそれぞれの進退を安全に行うため、左扉20Lと右扉20Rの扉毎に設けられている。そして、支障物センサ40それぞれは、戸袋10の左側または右側に、すなわち、左扉20Lまたは右扉20Rの進出先に、左扉20Lまたは右扉20Rの進出の支障となる人間、荷物等の物体、以下、その物体を支障物というが、その支障物の有無を検知する。或いは、支障物センサ40は、左扉20Lまたは右扉20Rの進出先かつプラットホーム100の軌道側に、上記支障物の有無を検知する。
【0041】
例えば、支障物センサ40は、2Dセンサまたは3Dセンサであり、検知先の2次元情報または3次元情報を取得して、支障物の有無を検知する。詳細には、支障物センサ40は、レーザー光を検知先に照射して、そのレーザー光の反射光、散乱光を検出することにより、支障物の有無を検知する。そして、支障物が存在する場合、その支障物までの距離と大きさの情報、すなわち、支障物情報を取得する。支障物センサ40は、支障物が存在する場合、その支障物情報を、直接制御盤30へ送信する。または、中継盤35を介して、その支障物情報を制御盤30へ送信する。制御盤30は、受信した支障物情報を総合制御盤2へ送信して、総合制御盤2に警告する。或いは、制御盤30は、その支障物情報に基づいて駆動装置50それぞれを停止したり動作を反転させたりする。その結果、制御盤30は、左扉20Lと右扉20Rの乗降口通路への進入を停止させたり、左扉20Lと右扉20Rを乗降口通路から退出させたりする。これにより、制御盤30は、ホームドア1Aのユーザーの安全を確保する。
【0042】
駆動装置50それぞれは、
図4および
図5に示すように、モータ51と、そのモータ51を戸袋10が有する上部戸袋11の内壁に固定するためのホルダー52と、モータ51の主力軸に設けられたスプロケット53とを有する。一方、図示しないが、左扉20Lまたは右扉20Rの上部バー21には、ローラーチェーンが張られている。そして、そのローラーチェーンが有するローラがスプロケット53の歯底に嵌められている。駆動装置50それぞれでは、モータ51が制御盤30の制御に応じた回転方向、回転数で出力軸を回転する。その結果、スプロケット53が回転して、ローラーチェーンが張られた左扉20Lまたは右扉20Rが制御盤30の制御に応じた速度、方向へ進退する。
【0043】
図1に戻って、上述した制御盤30、中継盤35および支障物センサ40は、下部戸袋12の内部に設けられている。これは、制御盤30、中継盤35および支障物センサ40は、比較的重量物であり、上部戸袋11の内部ではなく下部戸袋12の内部に設けることにより戸袋10の重量バランスが良好となるからである。また、制御盤30および中継盤35を上部戸袋11の内部ではなく下部戸袋12の内部に設けることにより、総合制御盤2から延ばされ、プラットホーム100の内部を配線された電線3を短くできるからである。或いは、制御盤30と中継盤35を接続する電線4を短くできるからである。
【0044】
一方、駆動装置50は、上部戸袋11の内部に設けられている。これは、駆動装置50が備えるスプロケット53が高い位置となる結果、スプロケット53とローラーチェーンに砂塵が付着しにくくなるからである。
【0045】
制御盤30、中継盤35、支障物センサ40および駆動装置50が、このような位置に設けられると、制御盤30と中継盤35が戸袋10の複数の中間戸袋13よりも下に位置し、駆動装置50がそれら中間戸袋13よりも上に位置してしまう。その結果、制御盤30と駆動装置50を接続することにより、或いは、中継盤35と駆動装置50を接続することにより、制御盤30と駆動装置50の通信を可能にする電線60、65が、中間戸袋13が配列する上下方向に延びてしまう。その結果、それら電線60、65が、中間戸袋13同士の間に設けた通風のための空間、または、中間戸袋13と上部戸袋11若しくは下部戸袋12との間に設けた通風のための空間を横切って通風性を低下させてしまうおそれがある。
【0046】
そこで、ホームドア1Aでは、電線60、65が支柱14、16に沿って配線されている。次に、
図1および
図2のほか、
図6を参照して、その電線60の配線について説明する。
【0047】
なお、電線60は、支柱14に沿い、電線65は、支柱16に沿っているが、電線60と65では、配線の仕方は同じである。そのため、以下の説明では、電線60の配線について説明し、電線65の配線の説明は省略する。
【0048】
図6は、
図2に示すVI-VI切断線の断面図である。
【0049】
図1に示すように、電線60は、支柱14の延在方向に沿って配線されている。詳細には、電線60は、
図2および
図6に示すように、支柱14の正面側かつ戸袋10内側にあるコーナー部に沿って、上下方向へ配線されている。一方、その支柱14には、四角筒の形状を有し、筒軸を上下方向に向けた状態で、上記のコーナー部に沿って配置された保護部材70が設けられている。電線60は、
図6に示すように、その保護部材70の筒内部に配置されることにより、上記のコーナー部に沿って配線されている。これにより、電線60は、中間戸袋13同士の間にある空間、または、中間戸袋13と上部戸袋11若しくは下部戸袋12との間にある空間を通る風の流れを妨げることを抑制している。その結果、ホームドア1Aでは、通風性が高いままであり、風圧がかかりにくい。
【0050】
なお、ホームドア1Bの構成の説明を省略すると述べたが、ホームドア1Bでも、制御盤31と駆動装置50を接続する電線60が、保護部材70の筒内部に配置され、支柱14に沿っている。また、中継盤35と駆動装置50を接続する電線65が、保護部材70の筒内部に配置され、支柱16に沿っている。このため、ホームドア1Bでも、通風性が高いままであり、風圧がかかりにくい。
【0051】
また、上述した制御盤30、31は、本明細書でいうところの制御装置の一例である。また、支柱14-16の四角柱の形状は、本明細書でいうところの支柱の角柱の形状の一例である。
【0052】
以上のように、実施の形態1に係るホームドア1A、1Bでは、中間戸袋13同士の間、中間戸袋13と上部戸袋11との間、および下部戸袋12との間のそれぞれに空間が設けられて、上部戸袋11、下部戸袋12および複数の中間戸袋13が配置されている。このため、それらの空間を風が通過することができる。その結果、風圧がかかりにくい。
【0053】
さらに、上部戸袋11に収容された駆動装置50と下部戸袋12に収容された制御盤30、31とを接続する電線60が、支柱14に沿って配線されている。このため、電線60は、上述した空間を通過する風を妨げにくい。また、上部戸袋11に収容された駆動装置50と下部戸袋12に収容された中継盤35とを接続する電線65が、支柱16に沿って配線されている。このため、電線65も、上述した空間を通過する風を妨げにくい。その結果、ホームドア1Aは、通風性が高い。
【0054】
特に、駆動装置50と制御盤30、31または中継盤35との間では、モータ51に設けられたレゾルバ、エンコーダ等の回転角センサからの出力信号、その出力信号に基づくモータ51を駆動するための駆動信号等が送信されるだけのため、電線60、65の配線容量が小さく、その結果、電線60、65も比較的細い。その結果、電線60、65は、風の通過をより妨げにくい。
【0055】
また、電線60、65は、筒状に形成され、支柱14または16に沿って延びる保護部材70の内部を通されている。このため、ホームドア1Aの通風性が電線60、65によって低下しにくい。また、電線60、65が破損にくい。
【0056】
ホームドア1A、1Bでは、制御盤30、31が上部戸袋11ではなく下部戸袋12に収容されているので、プラットホーム100に設けられる総合制御盤2との間の電線3を短くすることができる。一般に、総合制御盤2との間の電線3は、送信する信号量が多いことから、すなわち、配線容量が大きいことから、電線60と比較して太い。このような電線60を短くできるので、ホームドア1Aの設置をより容易にすることができる。
【0057】
なお、上述した保護部材70は、ネジ、ボルト等の締結部材により、支柱14、16に着脱可能であってもよい。これにより、メンテナンス性が高まるからである。また、保護部材70は、支柱14、16の正面側に設けられてもよい。書面側は、プラットホーム100となるため、メンテナンスが行いやすいからである。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態1に係るホームドア1A、1Bでは、駆動装置50が備えるモータ51がホルダー52に保持され、そのホルダー52が上部戸袋11の内壁に直接固定されている。しかし、駆動装置50は、これに限定されない。駆動装置50は、モータ51の位置を調整する位置調整機構を備えていてもよい。
【0059】
実施の形態2に係るホームドア1Cは、駆動装置50が、L字金具と、L字金具の位置を調整するジャッキボルトとを有する位置調整機構を備える。
【0060】
以下、
図7および
図8を参照して、実施の形態2に係るホームドア1Cについて説明する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0061】
図7は、実施の形態2に係るホームドア1Cが備える上部戸袋11の正面壁部を外したときの駆動装置50の正面図である。
図8は、上部戸袋11の正面壁部を外したときの駆動装置50の斜視図である。
【0062】
図7および
図8に示すように、モータ51は、L字状に折り曲げられた金属板のホルダー56によって支柱14に固定されている。
【0063】
詳細には、ホルダー56は、金属板がL字状に折り曲げられた結果、L字の折れ部分に対して一方の側に板状部561があり、もう一方の側に板状部562がある形状を有する。モータ51は、そのホルダー56の板状部561に取り付けられている。図示しないが、板状部561に貫通孔が形成されており、その貫通孔にモータ51の出力軸が通されている。一方、板状部562には、
図8に示すように、長手方向を、ホルダー56のL字の折れ部分と同方向へ向けた長孔563、564が形成されている。そして、板状部562は、長孔563、564の長手方向を上下方向に向けた状態で、長孔563、564のそれぞれに通されたボルトが支柱14に取り付けられることにより、支柱14に固定されている。
【0064】
一方、ホルダー56の上端には、板状部561が正面側へ90°折り曲げられることにより形成された折り曲げ部565が形成されている。また、支柱14の、ホルダー56の折り曲げ部565よりも上にある部分には、L字金具54がボルトにより固定されている。さらに、L字金具54が折り曲げ部565よりも上に配置されている。そして、折り曲げ部565とL字金具54が、ジャッキボルト55によって連結されている。
【0065】
ジャッキボルト55は、折り曲げ部565とL字金具54のそれぞれに形成された、図示しない貫通孔に通されている。そして、ジャッキボルト55は、折り曲げ部565とL字金具54の距離を調整する。詳細には、ジャッキボルト55は、軸部が回転されることにより、折り曲げ部565の、L字金具54に対する上下方向の位置を調整する。折り曲げ部565を備えるホルダー56には、長手方向を上下方向に向けた長孔563、564が形成されている。このため、それら長孔563、564それぞれに通されたボルトを緩めた状態で、ジャッキボルト55を用いて折り曲げ部565の、L字金具54に対する上下方向の位置が調整されると、ホルダー56の上下方向の位置が調整される。その結果、ホルダー56に保持されたモータ51の上下方向の位置が調整される。これにより、実施の形態1で説明したスプロケット53の上下方向の位置が調整され、スプロケット53の、図示しないローラーチェーンへの噛み合わせが調整できる。
【0066】
なお、上述したジャッキボルト55は本開示でいうところのネジの回転によりモータ51の位置を調整する位置調整機構の一例である。
【0067】
以上のように、実施の形態2に係るホームドア1Cは、軸部、すなわちネジ部の回転により、ホルダー56の位置を調整するジャッキボルト55を備えるので、ホルダー56に保持されたモータ51の位置を容易に調整することができる。その結果、ホームドア1Cでは、スプロケット53のローラーチェーンへの噛み合わせを容易に調整することができる。これにより、ホームドア1Cは、メンテナンス性が高い。
【0068】
(変形例1)
実施の形態2に係るホームドア1Cでは、ホルダー56の上端に折り曲げ部565が設けられ、その折り曲げ部565の、それ自体よりも上にあるL字金具54に対する位置がジャッキボルト55によって調整可能である。しかし、ジャッキボルト55によるホルダー56の位置調整はこれに限定されない。ジャッキボルト55は、ホルダー56の下端と上部戸袋11の内壁との距離を調整してもよい。
【0069】
図9は、実施の形態2に係るホームドア1Cの変形例が備える上部戸袋11の正面壁部を外したときの駆動装置50の斜視図である。
【0070】
図9に示すように、ホルダー56は、板状部561の下端に、板状部561が正面側へ90°折り曲げられることにより形成された、実施の形態2で説明した折り曲げ部565とは別の折り曲げ部566を有してもよい。その場合、折り曲げ部566は、上部戸袋11の内壁のうち、底面部分を形成する内壁111にジャッキボルト57によって固定されるとよい。そして、折り曲げ部566は、ジャッキボルト57によって、折り曲げ部566の内壁111に対する上下方向の位置が調整されるとよい。このような形態でも、ホルダー56の位置を調整することにより、モータ51の上下方向の位置を変更してスプロケット53のローラーチェーンへの噛み合わせを容易に調整することができるからである。
【0071】
(変形例2)
また、ホルダー56は、実施の形態2で説明した折り曲げ部565と、
図9を参照して説明した折り曲げ部566と、を有してもよい。
【0072】
図10は、実施の形態2に係るホームドア1Cのもう一つの変形例が備える上部戸袋11の正面壁部を外したときの駆動装置50の斜視図である。
【0073】
図10に示すように、ホルダー56は、板状部561の上端に折り曲げ部565を有すると共に、板状部561の下端に折り曲げ部566を有してもよい。この場合、ホルダー56の位置調整をより正確にするため、折り曲げ部565と折り曲げ部566は、左右方向、すなわちX方向の位置がずれているとよい。そして、折り曲げ部565は、実施の形態2で説明したように、支柱14の、の折り曲げ部565よりも上にある部分に固定されたL字金具54にジャッキボルト55によって固定されるとよい。また、折り曲げ部565は、ジャッキボルト55によって、L字金具54に対する上下方向の位置が調整されるとよい。一方、折り曲げ部566は、変形例1で説明したように、上部戸袋11の底面部分を形成する内壁111にジャッキボルト57によって固定されるとよい。折り曲げ部566は、ジャッキボルト57によって、折り曲げ部566の内壁111に対する上下方向の位置が調整されるとよい。
【0074】
以上、本開示の実施の形態1および2に係るホームドア1A-1Cについて説明したが、ホームドア1A-1Cはこれに限定されない。
【0075】
例えば、実施の形態1および2では、制御盤30、31が下部戸袋12の内部に設けられ、駆動装置50が上部戸袋11の内部に設けられている。しかし、ホームドア1A-1Cはこれに限定されない。ホームドア1A-1Cでは、駆動装置50は、上部戸袋11と下部戸袋12のいずれか一方の戸袋に収容され、一方の戸袋から進退する上部バー21と下部バー22のいずれか一方のバーを進退させるものであればよい。その場合、制御盤30、31、すなわち、制御装置は、上部戸袋11と下部戸袋12のいずれか他方の戸袋に収容され、駆動装置50を制御するものであればよい。従って、制御盤30、31が上部戸袋11の内部に設けられ、駆動装置50が下部戸袋12の内部に設けられてもよい。
【0076】
実施の形態1および2では、戸袋10が複数の中間戸袋13を有しているが、戸袋10は、複数の中間戸袋13を有していなくてもよい。ホームドア1A-1Cでは、戸袋10は、支柱14-16に支持された上部戸袋11と、上部戸袋11との間に風が通る空間を設けて上部戸袋11の下に配置され、支柱14-16に支持された下部戸袋12と、を有していればよい。このような戸袋10であれば、通風性が高く、風圧がかかりにくいからである。このため、戸袋10では、中間戸袋13の有無は任意である。
【0077】
また、実施の形態1および2では、戸袋10の上部戸袋11と下部戸袋12が四角筒の形状である。しかし、上部戸袋11と下部戸袋12の形状はこれに限定されない。上部戸袋11は、支柱14-16に支持されていればよい。また、下部戸袋12は、上部戸袋11との間に風が通る空間を設けて上部戸袋11の下に配置され、支柱14-16に支持されていればよい。上部戸袋11と下部戸袋12は、これらの条件を満たす限りにおいて、その形状は任意である。例えば、上部戸袋11と下部戸袋12は、円筒状であってもよい。
【0078】
実施の形態1および2では、制御盤30、31と駆動装置50が電線60で接続されている。しかし、制御盤30、31と駆動装置50との接続は、これに限定されない。ホームドア1A-1Cでは、制御盤30、31と駆動装置50との接続、すなわち、制御装置と駆動装置50との接続は、駆動装置50と制御装置とを接続して駆動装置50と制御装置との通信を可能にし、支柱14-16に沿って配線された通信線で実現されていればよい。従って、制御盤30、31と駆動装置50は、電線60のほか、光ファイバーケーブルによって配線されていてもよい。
【0079】
なお、中継盤35と駆動装置50も、同様に、電線65のほか、光ファイバーケーブルによって配線されていてもよい。
【0080】
実施の形態1および2では、電線60、65が保護部材70に覆われている。しかし、ホームドア1A-1Cはこれに限定されない。電線60、65は、駆動装置50と制御盤30、31、すなわち制御装置とを接続し、支柱14-16に沿って配線されていればよい。従って、保護部材70の有無は任意である。例えば、ホームドア1A-1Cには保護部材70が設けられず、電線60、65は、支柱14と16のいずれかの外面に沿って配線されていてもよい。このような形態であれば、保護部材70がないため、メンテナンスが行いやすい。
【0081】
また、電線60、65は、支柱14と16のいずれかの外面に沿って配線される場合、支柱14と16のいずれかの背面側の面、すなわち、軌道側の面に沿って配線されているとよい。または、軌道側と反対側の面に沿って配線されているとよい。また、角柱状の支柱14と16の軌道側と反対側にあるコーナー部に沿って配線されているとよい。これらの形態であれば、ホームドア1A-1Cの通風性を低下させることもないからである。
【0082】
さらに、支柱14-16が角筒、円筒等の筒の形状に形成され、電線60、65が支柱14-16のいずれかの内部空間を通される結果、支柱14-16の内壁に沿って配線されていてもよい。
【0083】
実施の形態1および2では、保護部材70が四角筒状であるが、保護部材70の形状はこれに限定されない。保護部材70は円筒状であってもよいし、横断面コの字状または円弧状の樋の形状であってもよい。
【0084】
実施の形態1および2では、上部バー21、下部バー22および中間バー23が四角筒または円筒の形状である。すなわち、上部バー21、下部バー22および中間バー23は、中空である。しかし、上部バー21、下部バー22および中間バー23は、これに限定されない。上部バー21、下部バー22および中間バー23は、戸袋10から進退するものであればよい。従って、上部バー21、下部バー22および中間バー23は、この条件を満たす限りにおいて、中空と中実のいずれであってもよい。
【0085】
以上のように、ホームドア1A-1Cは、上記の実施の形態に限定されず、様々な変形および置換を加えることができる。
以下に、本開示の様々な形態を付記として記載する。
【0086】
(付記1)
鉛直方向に延在し、プラットホームに設置される支柱と、
前記支柱に支持された上部戸袋と、
前記上部戸袋との間に風が通る空間を設けて前記上部戸袋の下に配置され、前記支柱に支持された下部戸袋と、
前記上部戸袋から前記プラットホームの乗客通路へ、または前記乗客通路から前記上部戸袋へ進退する上部バーと、該上部バーと連結され、該上部バーの進退にあわせて前記下部戸袋から前記乗客通路へ、または前記乗客通路から前記下部戸袋へ進退する下部バーとを有する扉と、
前記上部戸袋と前記下部戸袋のいずれか一方の戸袋に収容され、前記一方の戸袋から進退する前記上部バーと前記下部バーのいずれか一方のバーを進退させる駆動装置と、
前記上部戸袋と前記下部戸袋のいずれか他方の戸袋に収容され、前記駆動装置を制御する制御装置と、
前記支柱に沿って配線され、前記駆動装置と前記制御装置との通信を可能にする通信線と、
を備える、
ホームドア。
(付記2)
前記駆動装置は、前記上部戸袋の内部に収容され、前記上部バーを進退させ、
前記制御装置は、前記下部戸袋の内部に収容され、前記駆動装置による前記上部バーの進退を制御する、
付記1に記載のホームドア。
(付記3)
前記支柱に沿って上下方向に延び、前記通信線を収容する保護部材をさらに備える、
付記1または2に記載のホームドア。
(付記4)
前記支柱は、角柱状の形状を有し、
前記通信線は、前記支柱の角柱の軌道側と反対側にあるコーナー部に沿って配線されている、
付記1から3のいずれか1つに記載のホームドア。
(付記5)
前記下部戸袋に設けられ、前記扉の進退に支障を生じさせる支障物を検知する支障物センサをさらに備える、
付記1から4のいずれか1つに記載のホームドア。
(付記6)
前記駆動装置は、
出力軸の回転により前記上部バーを進退させるモータと、
前記モータの出力軸に設けられ、前記上部戸袋と前記下部戸袋のいずれか一方の戸袋に設けられたローラーチェーンに噛み合うスプロケットと、
ネジの回転により前記モータの位置を調整することにより、前記スプロケットの位置を調整する位置調整機構と、
を有する、
付記1から5のいずれか1つに記載のホームドア。
【符号の説明】
【0087】
1A-1C ホームドア、2 総合制御盤、3,4 電線、10 戸袋、11 上部戸袋、12 下部戸袋、13 中間戸袋、14-16 支柱、17-19 脚部、20L 左扉、20R 右扉、21 上部バー、22 下部バー、23 中間バー、24 連結バー、30,31 制御盤、35 中継盤、40 支障物センサ、50 駆動装置、51 モータ、52 ホルダー、53 スプロケット、54 L字金具、55 ジャッキボルト、56 ホルダー、57 ジャッキボルト、60,65 電線、70 保護部材、100 プラットホーム、110 乗客通路、111 内壁、561,562 板状部、563,564 長孔、565,566 折り曲げ部、D 距離。