(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170748
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】物品係止具
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A47G29/00 D
A47G29/00 C
A47G29/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087439
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 暁彦
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AB06
3K100AF05
3K100AH30
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】什器等に簡便に安定して取り付けることができ、物品を支持することができる、利便性の高い物品係止具を提供する。
【解決手段】物品係止具は、上下方向に延び、表面及び裏面を備える基体と、前記基体の前記表面から前記表面に対向して延び、物品を支持可能な第1上向き鉤部と、前記上下方向において前記第1上向き鉤部とは異なる位置にあり、前記基体の前記表面から前記表面に対向して延び、物品を支持可能な第2上向き鉤部と、前記基体の前記裏面から前記裏面に対向して延び、什器に取り付け可能な下向き鉤部と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延び、表面及び裏面を備える基体と、
前記基体の前記表面から前記表面に対向して延び、物品を支持可能な第1上向き鉤部と、
前記上下方向において前記第1上向き鉤部とは異なる位置にあり、前記基体の前記表面から前記表面に対向して延び、物品を支持可能な第2上向き鉤部と、
前記基体の前記裏面から前記裏面に対向して延び、什器に取り付け可能な下向き鉤部と、を備える、物品係止具。
【請求項2】
前記下向き鉤部は、前記基体の上端部から前記裏面に対向して延び、
前記第1上向き鉤部は、前記基体の下端部から前記表面に対向して延び、
前記第2上向き鉤部は、前記上端部と前記下端部の間で前記表面から前記表面に対向して延びている、請求項1に記載の物品係止具。
【請求項3】
前記下向き鉤部は、前記什器の横棒材に取り付けられ、
前記第1上向き鉤部及び前記第2上向き鉤部は、前記物品の横棒材を支持する、請求項1に記載の物品係止具。
【請求項4】
前記第1上向き鉤部は、第1間隙を隔てた左右一対の鉤部であり、
前記第2上向き鉤部は、第2間隙を隔てた左右一対の鉤部である、請求項1に記載の物品係止具。
【請求項5】
前記第1間隙と前記第2間隙は、上下方向に整列し、前記物品と係合可能な物品係合溝を形成している、請求項4に記載の物品係止具。
【請求項6】
前記物品係合溝は、前記物品の縦棒材と係合する、請求項5に記載の物品係止具。
【請求項7】
前記下向き鉤部は、第3間隙を隔てた左右一対の鉤部であり、
前記第3間隙には、前記什器が係合可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の物品係止具。
【請求項8】
前記基体の前記裏面には、前記第3間隙と上下方向に整列し、前記什器と係合可能な什器係合溝が形成されている、請求項7に記載の物品係止具。
【請求項9】
前記什器係合溝は、前記什器の縦棒材と係合する、請求項8に記載の物品係止具。
【請求項10】
前記下向き鉤部は、前記基体の前記裏面から前記裏面に向かって傾斜した第1傾斜部と、前記第1傾斜部から前記裏面から離れるように傾斜した第2傾斜部と、を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の物品係止具。
【請求項11】
前記第1上向き鉤部及び前記第2上向き鉤部は、前記基体の前記表面と対向する内面に、前記表面に向かって突出した突起部を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の物品係止具。
【請求項12】
前記物品は、収納部を備える籠状部材、又は板状部材である、請求項1~6のいずれか1項に記載の物品係止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器等に取り付けて物品を支持可能な物品係止具に関する。
【背景技術】
【0002】
什器等に取り付けて物品を支持可能な物品係止具が知られている。例えば、特許文献1は、裏面側に上下方向に離間して突設された係止フックと、表面側に設けられた物品係合部とを備え、支持構造体の仕様の異なる複数種の支持壁で使用することができる物品係止部材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
什器等に簡便に安定して取り付けられ、物品を支持することができる物品係止具のニーズがある。また、種々の物品を支持可能であるような、特定の用途に限らない多用途の物品係止具があれば便利である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、什器等に簡便に安定して取り付けることができ、物品を支持することができる、利便性の高い物品係止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)は、
上下方向に延び、表面及び裏面を備える基体と、
前記基体の前記表面から前記表面に対向して延び、物品を支持可能な第1上向き鉤部と、
前記上下方向において前記第1上向き鉤部とは異なる位置にあり、前記基体の前記表面に対向して延び、物品を支持可能な第2上向き鉤部と、
前記基体の前記裏面から前記裏面に対向して延び、什器に取り付け可能な下向き鉤部と、を備える、物品係止具である。
【0007】
本発明(2)は、前記下向き鉤部が、前記基体の上端部から前記裏面に対向して延び、前記第1上向き鉤部は、前記基体の下端部から前記表面に対向して延び、前記第2上向き鉤部は、前記上端部と前記下端部の間で前記表面から前記表面に対向して延びている、(1)に記載の物品係止具である。
【0008】
本発明(3)は、前記下向き鉤部が、前記什器の横棒材に取り付けられ、前記第1上向き鉤部及び前記第2上向き鉤部は、前記物品の横棒材を支持する、(1)又は(2)に記載の物品係止具である。
【0009】
本発明(4)は、前記第1上向き鉤部が、第1間隙を隔てた左右一対の鉤部であり、前記第2上向き鉤部が、第2間隙を隔てた左右一対の鉤部である、(1)~(3)のいずれか1に記載の物品係止具である。
【0010】
本発明(5)は、前記第1間隙と前記第2間隙が、上下方向に整列し、前記物品と係合可能な物品係合溝を形成している、(4)に記載の物品係止具である。
【0011】
本発明(6)は、前記物品係合溝が、前記縦棒材と係合する、(5)に記載の物品係止具である。
【0012】
本発明(7)は、前記下向き鉤部が、第3間隙を隔てた左右一対の鉤部であり、前記第3間隙には、前記什器が係合可能である、(1)~(6)のいずれか1に記載の物品係止具である。
【0013】
本発明(8)は、前記基体の前記裏面には、前記第3間隙と上下方向に整列し、前記什器と係合可能な什器係合溝が形成されている、(7)に記載の物品係止具である。
【0014】
本発明(9)は、前記什器係合溝が、前記什器の縦棒材と係合する、(8)に記載の物品係止具である。
【0015】
本発明(10)は、前記下向き鉤部が、前記基体の前記裏面から前記裏面に向かって傾斜した第1傾斜部と、前記第1傾斜部から前記裏面から離れるように傾斜した第2傾斜部と、を備える、(1)~(9)のいずれか1に記載の物品係止具である。
【0016】
本発明(11)は、前記第1上向き鉤部及び前記第2上向き鉤部が、前記基体の前記表面と対向する内面に、前記表面に向かって突出した突起部を備える、(1)~(10)のいずれか1に記載の物品係止具である。
【0017】
本発明(12)は、前記物品が、収納部を備える籠状部材、又は板状部材である、(1)~(11)のいずれか1に記載の物品係止具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、什器等に簡便に安定して取り付けることができ、物品を支持することができる、利便性の高い物品係止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、物品係止具の一例を示す正面斜視図である。
【
図2】
図2は、物品係止具の一例を示す背面斜視図である。
【
図3】
図3は、物品係止具の一例を示す正面図である。
【
図4】
図4は、物品係止具の一例を示す背面図である。
【
図5】
図5は、物品係止具の一例を示す右側面図である。
【
図6】
図6は、物品係止具の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、物品係止具の一例を示す底面図である。
【
図10】
図10は、物品係止具の使用形態の一例として、ネット什器に取り付けた物品係止具にワイヤーバスケットを取り付けた状態を示す図である。
【
図11】
図11は、物品係止具の使用形態の一例として、ネット什器に取り付けた物品係止具にネットシェルフを取り付けた状態を示す図である。
【
図16】
図16は、物品係止具の使用形態の一例として、ネット什器に取り付けた物品係止具にネットシェルフを取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る物品係止具について説明する。本実施形態に係る物品係止具は、一方の面にネット什器等の固定体に取り付けられる下向き鉤部を備え、他方の面に物品を支持する少なくとも上下2段の上向き鉤部を備える。物品係止具は、両面に引っ掛け部を備える多用途フックである。
【0021】
図1~
図9は、本発明の実施形態に係る物品係止具1の一例を示す図である。本実施形態に係る物品係止具1は、基体2を備える。基体2は、上端部3から下端部4まで上下方向(図面におけるZ方向)に延び、表面5及び裏面6を備える。基体2は、例えば樹脂製である。物品係止具1は、樹脂成形品であってよい。
【0022】
物品係止具1は、基体2の表面5から所定の間隔をあけて表面5に対向して延び、物品を支持可能な第1上向き鉤部7を備える。第1上向き鉤部7は、基体2の下端部4から表面5に対向して延びている。第1上向き鉤部7は、幅方向(図面におけるX方向)に第1間隙8を隔てた左右一対の鉤部(左鉤部9及び右鉤部11)である。第1間隙8は、基体2の幅方向の略中心部に位置しており、左右一対の鉤部9、11は左右対称であってよい。
【0023】
基体2は、下端側から上端側に向かって、裏面側が凹んだ第1肉厚部12と、平板状の第1肉薄部13と、裏面側が凹んだ第2肉厚部14と、平板状の第2肉薄部15とを備える。ここで、肉厚や肉薄との用語は、物品係止具1の前後方向(図面におけるY方向)の厚さを意味する。
【0024】
第1上向き鉤部7は、基体2の下端部4の第1肉厚部12の表面16から略垂直に立ち上がった前方延伸部17と、前方延伸部17から上向きに略垂直に延びた上方延伸部18とを備えており、略L字形の上向き形状である。第1上向き鉤部7は、前方延伸部17と上方延伸部18とにより表面16との間に形成された間隔により、基体2の表面5との間に種々の物品を配置したり引っ掛けたりすることが可能な第1保持部19を形成している。第1上向き鉤部7は、第1保持部19により、物品の例えば横棒材を保持可能である。
【0025】
第1上向き鉤部7は、第1保持部19において、基体2の第1肉厚部12の表面16と対向する内面21に、表面16に向かって突出した突起部22を備える。突起部22は、第1上向き鉤部7の全幅にわたって延びている。全幅にわたるものに限らず、1又は複数の突起部22が幅方向に点在していてもよい。
【0026】
第1上向き鉤部7の左右一対の鉤部9、11間の第1間隙8は、物品と係合可能な第1物品係合溝23を形成している。第1物品係合溝23は、左鉤部9の右側面24と、右鉤部11の左側面25と、第1間隙8の底面26(第1肉厚部12の表面16)とにより形成されている。
【0027】
基体2は、第1肉厚部12から第1肉薄部13にかけて緩やかに延びた第1段部27を備える。第1段部27は、緩やかな傾斜に限らず、急峻な段差であってもよい。
【0028】
第1肉薄部13は、幅方向の略中心部に、前方に突出して上下方向に延びた略半円筒状の第1半円筒部28を備える。第1半円筒部28の表面29は、第1肉厚部12の表面16よりも前方に突出していない。
【0029】
物品係止具1は、基体2の表面5から所定の間隔をあけて表面5に対向して延び、物品を支持可能な第2上向き鉤部31を備える。第2上向き鉤部31は、上下方向において第1上向き鉤部7とは異なる位置にある。第2上向き鉤部31は、基体2の上端部3と下端部4との間で表面5から表面5に対向して延びている。第2上向き鉤部31は、幅方向に第2間隙32を隔てた左右一対の鉤部(左鉤部33及び右鉤部34)である。第2間隙32は、基体2の幅方向の略中心部に位置しており、左右一対の鉤部33、34は左右対称であってよい。
【0030】
第2上向き鉤部31は、第2肉厚部14の表面35から略垂直に立ち上がった前方延伸部36と、前方延伸部36から上向きに略垂直に延びた上方延伸部37とを備えており、略L字型の上向き形状である。前方延伸部36は、第1肉薄部13と第2肉厚部14との間に、基体2の表面5から前方に向かって立ち上がっている。第2上向き鉤部31は、前方延伸部36と上方延伸部18とにより表面35との間に形成された間隔により、基体2の表面5との間に種々の物品を配置したり引っ掛けたりすることが可能な第2保持部38を形成している。第2上向き鉤部31は、第2保持部38により、物品の例えば横棒材を保持可能である。
【0031】
基体2は、第2肉厚部14から第2肉薄部15にかけて緩やかに延びた第2段部39を備える。第2段部39は、緩やかな傾斜に限らず、急峻な段差であってもよい。
【0032】
第2肉薄部15は、幅方向の略中心部に、前方に突出して上下方向に延びた略半円筒状の第2半円筒部41を備える。第2半円筒部41の表面42は、第2肉厚部14の表面35よりも前方に突出していない。第2半円筒部41は、上下方向において第1半円筒部28と整列しており、同軸となっている。第2半円筒部41は、基体2の上端部3よりも短くてよいが、基体2の上端部3付近まで延びていてもよい。
【0033】
第2上向き鉤部31は、第2保持部38において、基体2の第2肉厚部14の表面35と対向する内面43に、表面35に向かって突出した突起部44を備える。突起部44は、第2上向き鉤部31の全幅に延びている。全幅にわたるものに限らず、1又は複数の突起部44が幅方向に点在していてもよい。
【0034】
第2上向き鉤部31の左右一対の鉤部33、34間の第2間隙32は、物品と係合可能な第2物品係合溝45を形成している。第2物品係合溝45は、左鉤部33の右側面46と、右鉤部34の左側面47と、第2間隙32の底面48(第2肉厚部14の表面35)とにより形成されている。
【0035】
第1上向き鉤部7の左右一対の鉤部9、11間の第1間隙8と、第2上向き鉤部31の左右一対の鉤部33、34間の第2間隙32とは、上下方向に整列しており、それぞれ物品と係合可能な物品係合溝23、45を形成している。物品係合溝23、45は、物品の例えば縦棒材と係合可能である。
【0036】
物品係止具1は、基体2の裏面6から所定の間隔をあけて裏面6に対向して延び、ネット什器等の固定体に取り付け可能な下向き鉤部49を有する。下向き鉤部49は、基体2の上端部3の第2肉薄部15において、基体2の表面5から裏面6に向かって略逆U字形に湾曲し、裏面6に対向して延びている。下向き鉤部49は、幅方向に第3間隙51を隔てた左右一対の鉤部(左鉤部52及び右鉤部53)である。下向き鉤部49は、基体2の裏面6から裏面6に向かって傾斜した第1傾斜部54と、第1傾斜部54から裏面6から離れるように傾斜した第2傾斜部55とを備える。第1傾斜部54及び第2傾斜部55により、基体2の裏面6に対して略くの字形にくびれた下向き鉤部49が形成されている。下向き鉤部49により、基体2の裏面6との間に什器等の固定体に取付け可能な取付部56が形成されている。
【0037】
基体2の裏面6には、
図2及び
図4に示すように、第3間隙51と上下方向に整列し、什器と係合可能な什器係合溝57が形成されている。什器係合溝57は、什器の例えば縦棒材と係合可能である。什器係合溝57は、第1肉厚部12の裏面側の底部58に形成された略半円形状の孔59と、第1肉薄部13の第1半円筒部28における裏面側の第1半円筒溝61と、第2肉薄部15の第2半円筒部41における裏面側の第2半円筒溝62とにより構成されている。孔59と、第1半円筒溝61と、第2半円筒溝62とは、上下方向に整列している。
【0038】
図10~
図19を参照して、本実施形態の物品係止具1の種々の使用形態の一例について説明する。物品係止具1は、上向き鉤部7、31により、収納部を備える籠状部材、又は板状部材である物品を支持可能である。
【0039】
[使用形態1]
物品係止具1は、
図10に示すように、裏面側の下向き鉤部49によりネット什器101に取り付けられる。ネット什器101は、横棒材と縦棒材とを備える格子状体である。下向き鉤部49をネット什器101の横棒材102に対して上方から嵌め込むことで、取付部56(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)が横棒材102に取り付けられ、物品係止具1をネット什器101に簡便に取り付けることができる。下向き鉤部49は、第1傾斜部54及び第2傾斜部55(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)により基体2の裏面6に対して略くの字形にくびれているため、一旦嵌め込むと横棒材102から不意に外れにくい。
【0040】
図10の右側に示す物品係止具1aでは、裏面側に上下方向に延びた什器係合溝57(
図2及び
図4参照)にネット什器101の縦棒材103が嵌め込まれており、ネット什器101の縦棒材103を支持することができる。ネット什器101では、縦棒材が横棒材よりも前方に位置しているため、縦棒材103は什器係合溝57の孔59、第1半円筒溝61及び第2半円筒溝62(
図2及び
図4参照)に当接して支持される。
図10の左側に示す物品係止具1bのような、什器係合溝57にネット什器101の縦棒材103を嵌め込まない状態では、物品係止具1bは横棒材102に対し幅方向にスライドしうるが、
図10の右側に示す物品係止具1aのような、什器係合溝57にネット什器101の縦棒材103が嵌め込まれた状態では、物品係止具1aは横棒材102に対しても幅方向の移動が規制され、より確実にネット什器101に固定される。
【0041】
また、物品係止具1は、
図10に示すように、表面側の第1上向き鉤部7及び第2上向き鉤部31により、バスケット104を支持することができる。バスケット104は、収納部を備える籠状部材であり、横棒材と縦棒材とを備える格子状体である。例えば、第1上向き鉤部7及び第2上向き鉤部31には、それぞれ、バスケット104の横棒材105、106が上方から嵌め込まれ、バスケット104の横棒材105、106を支持することができる。また、表面側の物品係合溝23、45にバスケット104の縦棒材107、108がそれぞれ係合し、バスケット104の縦棒材107、108を支持することができる。これにより、バスケット104は、幅方向にも固定され、幅方向の移動も規制される。
【0042】
物品係止具1の第1上向き鉤部7及び第2上向き鉤部31にそれぞれバスケット104の横棒材105、106を嵌め込むとき、横棒材105、106はそれぞれ突起部22、44(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)を乗り越えて第1保持部19及び第2保持部38(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)に保持される。横棒材105、106は、それぞれ、突起部22、44に当接した状態で第1保持部19及び第2保持部38に安定して保持される。
【0043】
[使用形態2]
物品係止具1は、
図11~
図19に示すように、裏面側の下向き鉤部49によりネット什器109に取り付けることができる。下向き鉤部49をネット什器109の横棒材111に対して上方から嵌め込むことで、取付部56(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)が横棒材111に取り付けられ、物品係止具1をネット什器109に簡便に取り付けることができる。下向き鉤部49は、第1傾斜部54及び第2傾斜部55(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)により基体2の裏面6に対して略くの字形にくびれているため、一旦嵌め込むと横棒材111から不意に外れにくい。
【0044】
図11~
図19に示す物品係止具1では、下向き鉤部49の幅方向の第3間隙51にネット什器109の縦棒材112が挟持されており、ネット什器109の縦棒材112を支持することができる。ネット什器109では、横棒材が縦棒材よりも前方に位置しているため、下向き鉤部49をネット什器109の横棒材111に取り付けると縦棒材112は第3間隙51間に配置される。
図13、
図15、
図17及び
図19に示すように、下向き鉤部49の第1傾斜部54及び第2傾斜部55(
図1、
図2、
図5及び
図8参照)がネット什器109の縦棒材112に当接することで、幅方向の移動が規制され、より確実にネット什器109に固定される。
【0045】
物品係止具1は、
図11~
図15に示すように、表面側の第2上向き鉤部31によりネットシェルフ113を支持することができる。ネットシェルフ113は、板状部材であり、横棒材と縦棒材とを備える格子状体である。例えば、2つのネット什器109にそれぞれ物品係止具1を2つずつ取り付け、第2上向き鉤部31にネットシェルフ113の横棒材114、115をそれぞれ嵌め込むことにより、ネット什器109間にネットシェルフ113を配置することができる。同様に、物品係止具1は、
図16~
図19に示すように、表面側の第1上向き鉤部7によりネットシェルフ113を支持することができる。例えば、2つのネット什器109にそれぞれ物品係止具1を2つずつ取り付け、第1上向き鉤部7にネットシェルフ113の横棒材114、115をそれぞれ嵌め込むことにより、ネット什器109間にネットシェルフ113を配置することができる。
【0046】
物品係止具1の第2上向き鉤部31にネットシェルフ113の横棒材114、115を嵌め込むとき、横棒材114、115はそれぞれ突起部44を乗り越えて第2保持部38に保持される。
図13及び
図15に示すように、横棒材114、115は、それぞれ、突起部44に当接した状態で第2保持部38により第2上向き鉤部31に安定して保持される。
【0047】
物品係止具1の第1上向き鉤部7にネットシェルフ113の横棒材114、115を嵌め込むとき、横棒材114、115はそれぞれ突起部22を乗り越えて第1保持部19に保持される。
図17及び
図19に示すように、横棒材114、115は、それぞれ、突起部22に当接した状態で第1保持部19により第1上向き鉤部7に安定して保持される。
【0048】
以下、本発明の実施形態の効果について述べる。
本実施形態によれば、物品係止具は、上下方向に延び、表面及び裏面を備える基体と、基体の表面から表面に対向して延び、物品を支持可能な第1上向き鉤部と、上下方向において第1上向き鉤部とは異なる位置にあり、基体の表面から表面に対向して延び、物品を支持可能な第2上向き鉤部と、基体の裏面から裏面に対向して延び、什器に取り付け可能な下向き鉤部と、を備える。裏面側の下向き鉤部により、ネット什器等の固定体に取り付けることができ、さらに、表面側の第1上向き鉤部及び第2上向き鉤部により、種々の物品を支持することができ、利便性の高い物品係止具を提供することができる。
【0049】
下向き鉤部は、基体の上端部から裏面に対向して延びている。第1上向き鉤部は、基体の下端部から表面に対向して延びている。第2上向き鉤部は、上端部と下端部の間で表面から表面に対向して延びている。下向き鉤部が基体の上端部にあることで、扱いやすく、ネット什器等の固定体に取り付けやすい。また、下端部の第1上向き鉤部と上端部と下端部の間の第2上向き鉤部とにより、種々の物品を支持することができ、利便性の高い物品係止具を提供することができる。第1上向き鉤部のみで物品を支持したり、第2上向き鉤部のみで物品を支持したり、第1上向き鉤部と第2上向き鉤部で同一の物品を同時に支持したり、第1上向き鉤部と第2上向き鉤部でそれぞれ異なる物品を同時に支持したり、種々の用途が可能である。
【0050】
下向き鉤部は、什器の横棒材に取り付けられる。下向き鉤部により、什器の横棒材に対して簡便に着脱することができ、扱いやすい。また、第1上向き鉤部及び第2上向き鉤部は、物品の横棒材を支持する。上向き鉤部により、物品の横棒材に対して簡便に着脱することができ、扱いやすい。バスケットの横棒材やネットシェルフの横棒材など、種々の物品を保持することができる。
【0051】
第1上向き鉤部は、第1間隙を隔てた左右一対の鉤部であり、第2上向き鉤部は、第2間隙を隔てた左右一対の鉤部である。左右の鉤部を別個に使用することも可能であり、利便性が高い。
【0052】
第1上向き鉤部の第1間隙と第2上向き鉤部の第2間隙とは、上下方向に整列し、物品と係合可能な物品係合溝を形成している。物品係合溝は、物品の縦棒材と係合する。上下方向の物品係合溝が物品の縦棒材と係合することにより、上向き鉤部での物品の支持に加え、より確実に物品を保持することができる。幅方向の移動を規制でき、物品保持時の安定性に優れる。
【0053】
下向き鉤部は、第3間隙を隔てた左右一対の鉤部であり、第3間隙には、什器が係合可能である。また、基体の裏面には、第3間隙と上下方向に整列し、什器と係合可能な什器係合溝が形成されている。第3間隙又は什器係合溝は、什器の縦棒材と係合する。第3間隙又は上下方向の什器係合溝が什器の縦棒材と係合することにより、下向き鉤部での什器の横棒材への取付けに加え、縦棒材もより確実に什器に取り付けることができる。幅方向の移動を規制でき、什器への取付け時の安定性に優れる。
【0054】
下向き鉤部は、基体の裏面から裏面に向かって傾斜した第1傾斜部と、第1傾斜部から裏面から離れるように傾斜した第2傾斜部と、を備える。第1傾斜部と第2傾斜部により、基体の裏面に対して略くの字型にくびれた鉤部が形成されている。什器にしっかりと固定でき、不意に外れにくい物品係止具を提供することができる。
【0055】
第1上向き鉤部及び第2上向き鉤部は、基体の表面と対向する内面に、表面に向かって突出した突起部を備える。突起部があることにより、物品をより確実に保持可能な物品係止具を提供することができる。
【0056】
物品係止具により支持される物品は、収納部を備える籠状部材(バスケット)や板状部材(ネットシェルフ)であることができる。物品係止具は、上向き鉤部により、横棒材を備える籠状部材や板状部材を保持可能であり、また、上向き鉤部の左右一対の鉤部間の物品係合溝により、縦棒材を備える籠状部材を保持可能である。種々の物品の支持に用いることができる物品係止具を提供することができる。
【0057】
例えば、バスケットに専用のフックを溶接したような従来の製品では、バスケットの積み重ね時にフックが障害となり、梱包の際に圧縮しにくかったり、輸送する際にフックが壊れたりする問題が少なからずあった。本実施形態に係る物品係止具は、物品に対して着脱自在であるため、バスケットのような物品の梱包効率を低下させることはなく、結果として物品の輸送コストを下げることができる。輸送時の破損の問題も解消する。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形及び変更が可能である。上下2段の上向き鉤部について説明してきたが、上向き鉤部は2段以上であってもよい。上向き鉤部及び下向き鉤部の上下方向の位置も、上端部や下端部に限定されない。物品係止具の基体の裏面(第1肉厚部及び第2肉厚部の裏面)は凹んでいるとして説明したが、凹んでいなくても構わない。物品係止具の基体も、説明したものに限らず、全体的に略均一な厚さの平板状の基体であってもよい。物品係止具が取り付けられる固定体は、ネット什器に限らず、下向き鉤部により物品係止具が取り付け可能な什器等であればよい。物品係止具が支持する物品も、バスケットやネットシェルフに限らず、上向き鉤部により物品係止具が支持可能な物品であればよい。物品係止具が支持する物品は、縦棒材と横棒材を備えるものに限らず、例えば、上向き鉤部と係合可能な穴を備える金属製又は木製の板であってよい。
【符号の説明】
【0059】
1 物品係止具
2 基体
7 第1上向き鉤部
8 第1間隙
23 第1物品係合溝
31 第2上向き鉤部
32 第2間隙
45 第2物品係合溝
49 下向き鉤部
51 第3間隙
101 ネット什器
104 バスケット(籠状部材)
113 ネットシェルフ(板状部材)