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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017076
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119474
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】馬場 康輔
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA53
4B055CA21
4B055CC28
4B055CC70
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、粘性液体が噴きこぼれることをできるだけ防止することができる調理器を提供することである。
【解決手段】本発明に係る調理器100は、上方に開口する容器130と、前記容器の上側に配置されて前記容器の開口を覆い、底壁部141bと、前記底壁部に形成されると共に内部を前記容器の内部に連通させる流入口LP3aと、前記底壁部のうち前記流入口と異なる位置に形成されると共に内部を前記容器の内部に連通させる戻し口LP1aとを有する蓋体140と、可撓性を有し、前記戻し口を閉塞可能である弁体PLと、を備え、前記弁体は、上下方向に移動しない。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する容器と、
前記容器の上側に配置されて前記容器の開口を覆い、底壁部と、前記底壁部に形成されると共に内部を前記容器の内部に連通させる流入口と、前記底壁部のうち前記流入口と異なる位置に形成されると共に内部を前記容器の内部に連通させる戻し口とを有する蓋体と、
可撓性を有し、前記戻し口を閉塞可能である弁体と、を備え、
前記弁体は、上下方向に移動しない
調理器。
【請求項2】
前記弁体は、前記戻し口を下側から閉塞可能である
請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記底壁部のうち平面視において前記弁体と重なる位置に凹部が形成され、
前記凹部は、上側に凹んでおり、
前記凹部の内部は、前記戻し口と連通している
請求項2に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「上面に開口部を有する炊飯器本体に、内釜と、該内釜を加熱する加熱手段と、前記開口部を開閉自在に軸支する蓋体とを備え、該蓋体に一端が外気に他端が前記内釜に連通する連通穴及び該連通穴の外気側に位置し一端に前記連通穴に連通する連通口を有し、他端に蒸気排出口を有する蒸気口ユニットを備えた炊飯器であって、前記蒸気口ユニットの連通口から蒸気排出口に至る排気経路部に、らせん状に形成したガイド壁を設けたことを特徴とする炊飯器。」が提案されている(例えば、特開2004-187826号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-187826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような炊飯器などの調理器では、容器に入れられた消費材(例えば、米、水など)が調理されることで生じた粘性液体(例えば、おねばなど)は、容器内から流入口を通じて蓋体内に流入した後、蓋体内から戻し口を通じて容器内に戻される。また、上述のような調理器では、上下方向に移動可能に設けられた弁体が備えられる。このような弁体は、通常、重力により上下移動可能範囲の最下位置に位置して戻し口を開放しているが、容器内の圧力が高くなったり容器内で生じた流体(例えば、蒸気などの気体、おねばなどの粘性液体など)の勢いが増したりすると、上下移動可能範囲の最上位置まで移動して戻し口を塞ぐことになる。しかし、上述のような調理器では、弁体が上下方向に移動している隙に、粘性液体が戻し口も通じて蓋体内に流入するおそれが高くなる。このため、上述のような調理器では、蓋体内に流入する粘性液体の量が多くなり、粘性液体が噴きこぼれる(蓋体の外部に排出される)おそれがあった。
【0005】
本発明の課題は、粘性液体が噴きこぼれることをできるだけ防止することができる調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調理器は、
上方に開口する容器と、
前記容器の上側に配置されて前記容器の開口を覆い、底壁部と、前記底壁部に形成されると共に内部を前記容器の内部に連通させる流入口と、前記底壁部のうち前記流入口と異なる位置に形成されると共に内部を前記容器の内部に連通させる戻し口とを有する蓋体と、
可撓性を有し、前記戻し口を閉塞可能である弁体と、を備え、
前記弁体は、上下方向に移動しない。
【0007】
上記構成によれば、従来の調理器のように弁体が上下方向に移動している隙に粘性液体が戻し口を通じて蓋体内に流入するということが生じないようにすることができる。このため、この調理器では、粘性液体が噴きこぼれることをできるだけ防止することができる。なお、この調理器では、容器内から流入口を通じて蓋体内に流入した粘性液体は、弁体が粘性液体の重みなどにより撓ることで、蓋体内から戻し口を通じて容器内に戻される。
【0008】
本発明では、
前記弁体は、前記戻し口を下側から閉塞可能であると好適である。
【0009】
上記構成によれば、蓋体を開状態にすれば弁体が露出するため、弁体を容易に手入れすることができる。このため、この調理器では、弁体をできるだけ清潔に保つことができる。
【0010】
本発明では、
前記底壁部のうち平面視において前記弁体と重なる位置に凹部が形成され、
前記凹部は、上側に凹んでおり、
前記凹部の内部は、前記戻し口と連通していると好適である。
【0011】
上記構成によれば、戻し口が弁体によって塞がれている状態において、凹部の内部に蓋体内の粘性液体を流すことができ、凹部が形成されていない場合に比べて、粘性液体の重みにより弁体を撓らせる力を強くすることができる。このため、この調理器では、粘性液体が蓋体内にできるだけ留まらないようにすることができる。したがって、この調理器では、蓋体をできるだけ清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の斜視図である。なお、本図では、蓋体が閉じられた状態が示されている。
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器を左右方向の中心を通るように前後方向に沿って切断した縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る流路形成部の上ケース部の上方斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る流路形成部の上ケース部の下方斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る外装体の下側外装部材および流路形成部の上ケース部の平面図である。なお、本図では、外装体の下側外装部材の上面に補強部材が取り付けられていない状態が示されている。
図6図5のA-A断面図である。なお、本図では、外装体の下側外装部材の前部および後端部の描画が省略されている。
図7図5のB-B断面図である。
図8図5のC-C断面図である。
図9図5のD-D断面図である。
図10図5のE-E断面図である。なお、本図では、外装体の下側外装部材の前部および後端部の描画が省略されている。
図11】本発明の実施の形態に係る流路形成部における流体の流れを示す平面図である。なお、本図では、前後左右方向に広がると共に流路形成部の上ケース部の逆U字リブ、左右側リブ、後側リブそれぞれの上端および下端の間を通る面で流路形成部を切った状態が示されている。
図12図6の囲い部分Aの拡大図である。なお、本図では、戻し口パッキンが流路形成部の下ケース部の戻し口を塞いでいる状態が示されている。
図13図8の囲い部分Bの拡大図である。
図14図10の囲い部分Cの拡大図である。
図15】本発明の実施の形態に係る戻し口パッキンの上方斜視図である。
図16】本発明の実施形態に係る流路形成部の下ケース部の底面図である。なお、本図では、流路形成部の下ケース部の下側円筒部付近が拡大されて示されている。
図17】本発明の実施形態に係る流路形成部の下ケース部および戻し口パッキンの底面図である。なお、本図では、流路形成部の下ケース部の下側円筒部付近が拡大されて示されている。
図18図6の囲い部分Aの拡大図である。なお、本図では、戻し口パッキンが流路形成部の下ケース部の戻し口を開放している状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、図1および図2に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140、ヒンジ機構150およびヒンジカバー160等から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0014】
1.本体
本体110は、図1および図2に示されるように、主に、筐体111、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、保温ヒータHT、フェライトコア組立体(図示せず)、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、制御基板118、マイコン基板119、自動巻取式電源コードユニット120および被係止部(図示せず)等から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0015】
(1)筐体
筐体111は、図1および図2に示されるように、主に、胴体111a、肩部材111c、保護枠111d、フランジ部Db、マイコン基板支持部材111eおよび制御基板支持部材111f等から構成されている。以下、これらの構成要件について詳述する。なお、筐体111は、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、制御基板118、マイコン基板119および自動巻取式電源コードユニット120等を収容している。
【0016】
(1-1)胴体
胴体111aは、図1および図2に示されるように、側壁Aaおよび底壁Abから形成されている。側壁Aaは、平面視において略方形状を呈する囲い壁であって、図1および図2に示されるように本体110の側面を覆っている。また、側壁Aaの前側上端には爪部(図示せず)が形成されている。この爪部およびマイコン基板支持部材111eの爪受け部によって、マイコン基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている。なお、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、肩部材111cは胴体111aに対して係止されていない。底壁Abは、略方形状の板部材であって、図2に示されるように、側壁Aaの下端から内側に延びており、側壁Aaの下側の開口を覆っている。なお、制御基板支持部材111fおよび保護枠111dが底壁Abに締結されている。また、この底壁Abには、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Ab1(図2参照)、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、図2に示されるように、吸気口Ab1の直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Ab1を通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0017】
(1-2)肩部材
肩部材111cは、図1および図2に示されるように、胴体111aの上側に配置されており、蓋体140が閉じられた状態でも一部が外側から視認可能である。また、肩部材111cの前部の上側には操作パネル117が配置され(図1および図2参照)、肩部材111cの下面にはフランジ部Dbが取り付けられている(図2参照)。なお、肩部材111cには、内鍋130の挿入口となる開口が形成されている。
【0018】
(1-3)保護枠
保護枠111dは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である(図2参照)。図2に示されるように、保護枠111dの上側にフランジ部Dbが配置され、保護枠111dおよびフランジ部Dbが互いに連結される。また、上述の通り、保護枠111dは、胴体111aの底壁Abに締結される。また、図2に示されるように、保護枠111dの底壁の中央部には、サーミスタ114を通すための開口が形成されている。
【0019】
(1-4)フランジ部
フランジ部Dbは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のエンジニアリングプラスチック等から形成されている。また、フランジ部Dbは、肩部材111cの形状を保持する役目を担っており、上述の通り、肩部材111cの下面に取り付けられている。なお、エンジニアリングプラスチックは、汎用樹脂に比べてその剛性が高く、耐熱性に優れるため、汎用樹脂よりも熱変形しにくい性質を有する。なお、フランジ部Dbには、内鍋130の挿入口となる開口が形成されている。
【0020】
(1-5)マイコン基板支持部材
マイコン基板支持部材111eは、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されており、マイコン基板119を支持する役目を担っている。また、マイコン基板支持部材111eは、肩部材111cの内側且つ操作パネル117の下側に配置され(図2参照)、肩部材111cに固定されている。なお、マイコン基板支持部材111eには爪受け部が形成されており、上述の通り、この爪受け部および胴体111aの側壁Aaの爪部によって、マイコン基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている。
【0021】
(1-6)制御基板支持部材
制御基板支持部材111fは、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されており、制御基板118を支持する役目を担っている。また、制御基板支持部材111fは、胴体111aの内側(より詳細には、胴体111aおよび保護枠111dの間)に配置され(図2参照)、胴体111aの底壁Abに締結される。
【0022】
(2)断熱材
断熱材は、保護枠111dの側壁および保温ヒータHTの外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が保護枠111dの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0023】
(3)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、図2に示されるように保護枠111dの底壁および側壁下端部の外側に配設されている。
【0024】
(4)保温ヒータ
保温ヒータHTは、保温運転時に使用される円環状のヒータであって、図2に示されるように、保護枠111dの側壁の上下方向中間部の外側に配設されている。
【0025】
(5)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体は、誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコア組立体にはフェライトコアが収容され、このフェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。
【0026】
(6)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、図2に示されるように、保護枠111dの底壁の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。なお、このサーミスタ114は、コイルバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。すなわち、このサーミスタ114は、上下方向に沿って出没自在な状態とされている。ところで、このサーミスタ114は、略円盤状のカバー部材によって支持されている。このカバー部材は、保護枠111dの底壁に固定されている。
【0027】
(7)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁Abの吸気口Ab1の直上に、回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(図2参照)。すなわち、この送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Ab1から吸い込まれて筐体内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って制御基板118およびマイコン基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0028】
(8)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0029】
(9)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものであって、図1および図2に示されるように、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されている。操作パネル117は、上述の通り、肩部材111cの前部の上側に配設されている。
【0030】
(10)制御基板
制御基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。また、制御基板118は、図2に示されるように筐体111の前側空間に収容され、制御基板支持部材111fに支持されている。
【0031】
(11)マイコン基板
マイコン基板119は、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。また、マイコン基板119は、図2に示されるように肩部材111cの内側且つ操作パネル117の下側に配設され、マイコン基板支持部材111eに支持されている。また、マイコン基板119のマイクロコンピュータは、炊飯器100内に内鍋130が存在することによる誘導加熱コイル113のインダクタンスの変化を検知することで、炊飯器100内に内鍋130が存在するか否かを判断している。
【0032】
(12)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット120は、電源コードPC(図1参照)および自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、図2に示されるように筐体111の後側空間に収容されている。電源コードPCは、差込プラグおよび電気線から構成されている(図1参照)。差込プラグは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0033】
(13)被係止部
被係止部は、肩部材111cのうち開口(内鍋130の挿入口)の前側部分の上面に取り付けられる。蓋体140が閉じられている状態において、この被係止部に対して蓋体140のレバー部材146の爪部が係止される。
【0034】
2.内鍋
内鍋130は、図2に示されるように、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口およびフランジ部Dbの開口に挿通されると共に保護枠111dに所定の隙間をもって収容される。なお、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0035】
3.蓋体
蓋体140は、図1および図2に示されるように、主に、外装体141、操作レバー142、圧力調整機構143、補強部材(図示せず)、流路形成部144、環状パッキンPK、戻し口パッキンPL、内蓋145、レバー部材146およびレバーストッパー(図示せず)などから構成されており、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0036】
(1)外装体
外装体141は、図1および図2に示されるように、上側外装部材141aおよび下側外装部材141bから構成される略直方体状の部材であって、操作レバー142、補強部材、流路形成部144およびレバー部材146等を収容している。
【0037】
上側外装部材141aは、平面視において略方形状の板部材であって(図1参照)、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されている。上側外装部材141aは、図1および図2に示されるように、下側外装部材141bの上側を覆っている。また、図1および図2に示されるように、上側外装部材141aの前部には、操作レバー142の一部の上面を露出させるための開口が形成され、上側外装部材141aの後部には、流路形成部144の上ケース部UPの蒸気口形成部UP3を露出させるための開口BOが形成されている。
【0038】
下側外装部材141bは、平面視において略方形状の板部材であって、ポリプロピレン(PP)等の汎用脂等から形成されている。図2に示されるように、下側外装部材141bの下面には、内蓋145が着脱自在に配設される。また、下側外装部材141bの上面には、補強部材が取り付けられる。また、図2に示されるように、下側外装部材141bの後部(より詳細には、下側外装部材141bのうち圧力調整機構143より後側の部分)には、流路形成部144(後述)を構成する下ケース部LPが形成されている。この下ケース部LPの詳細については後述する。また、下側外装部材141bには、平面透視において流路形成部144の上ケース部UPのビス受け孔UP4aと重なる位置にビス受け孔が形成されている。
【0039】
(2)操作レバー
操作レバー142は、蓋体140を閉状態から開状態にするためのものであって、図2に示されるようにレバー部材146の上側に配設されている。なお、この操作レバー142は、外装体141の上側外装部材141aに固定される回動軸SF1(図2参照)を中心に回動可能であり、操作レバー側トーションバネ(図示せず)によって右側面視において回動軸SF1を中心とした時計回り方向に向かって付勢されている。
【0040】
(3)圧力調整機構
圧力調整機構143は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1気圧以上(例えば、1.03~1.3気圧など)に調整する。また、この圧力調整機構143は、圧力炊飯運転中、蓋体140が開状態とならないようにレバー部材146の回動を規制する。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0041】
(4)補強部材
補強部材は、下側外装部材141bの剛性を高めるためのものであって、例えば、溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)等の板金や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のエンジニアリングプラスチック等から形成されている。また、補強部材は、略角枠形状を呈する部材であって、外装体141の下側外装部材141bに取り付けられる。なお、補強部材の前端部には回動軸SF2(図2参照)を取り付けるための軸受け孔が形成され、補強部材の後端部にはヒンジ機構150の回動軸151(図2参照)を通すための軸受け孔が形成されている。また、補強部材には、平面透視において流路形成部144の上ケース部UPのビス受け孔UP5aと重なる位置にビス受け孔が形成されている。
【0042】
(5)流路形成部
流路形成部144は、図2に示されるように、外装体141の内部に配置されており、主に、下ケース部LPおよび上ケース部UPなどから構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0043】
(5-1)下ケース部LP
下ケース部LPは、上述の通り、外装体141の下側外装部材141bに形成されている。また、下ケース部LPは、図6図10に示されるように、主に、下壁部LP1、側壁部LP2、上側円筒部LP3および下側円筒部LP4などから形成されている。下壁部LP1は、図6図11に示されるように、下ケース部LPの下壁を構成している。下壁部LP1のうち上側円筒部LP3の外側部分且つ下側円筒部LP4の内側部分には、戻し口LP1a、挿通孔LP1bおよび凹部LP1cが形成されている(図12図14図16参照)。戻し口LP1aは、流路形成部144内の粘性液体を内鍋130内に戻すためのものであり、図16に示されるように円周上に4つ形成されている。なお、戻し口LP1aは、通常、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1によって下側から塞がれている(図14参照)。そして、下壁部LP1は、図6図10に示されるように、戻し口LP1aに向かうに従って下方に傾斜している。挿通孔LP1bには、戻し口パッキンPLの棒部PL2および落下防止部PL3が差し込まれる。凹部LP1cは、底面視(あるいは平面視)において戻し口パッキンPLの閉塞部PL1と重なっている(図16および図17参照)。また、凹部LP1cは、図12に示されるように上側に凹んでおり、図16に示されるように円周上において戻し口LP1aの間に4つ形成されている。そして、凹部LP1cの内部は、戻し口LP1aと連通している。仮に凹部LP1cが形成されていない場合、戻し口LP1aが戻し口パッキンPLの閉塞部PL1によって下側から塞がれている状態において、戻し口LP1aを形成する壁部と戻し口パッキンPLの閉塞部PL1の上面とによって形成される空間だけで流路形成部144内の粘性液体を戻し口パッキンPLの閉塞部PL1上に溜める必要がある。しかし、凹部LP1cが形成されることで、戻し口LP1aが戻し口パッキンPLの閉塞部PL1によって下側から塞がれている状態において、流路形成部144内の粘性液体を凹部LP1cの内部空間にも流して戻し口パッキンPLの閉塞部PL1上に溜めることができる。側壁部LP2は、図6図10に示されるように、下壁部LP1の外端から上方に延びている。また、側壁部LP2は、図6図10に示されるように、上ケース部UPの外側壁部UP2および上ケース部UPの内側壁部UP6の間に嵌め込まれ、上ケース部UPの上壁部UP1と共に環状パッキンPKを挟んでいる。上側円筒部LP3は、図6図8図10および図11に示されるように、下壁部LP1の前部から上方に延びており、略円筒形状を呈している。また、上側円筒部LP3は、図6図10および図11に示されるように、上ケース部UPの逆U字リブUP7の前側且つ上ケース部UPの半円筒部UP10の後側に位置している。なお、図6図8図10および図11に示されるように、上側円筒部LP3には流入口LP3aが形成されている。流入口LP3aは、内鍋130内に入れられた消費材(例えば、米、水など)が調理されることで生じた流体(例えば、蒸気などの気体、おねばなどの粘性液体など)を流路形成部144内に流入させるためのものである。下側円筒部LP4は、図12図14に示されるように、下壁部LP1の前部から下方に延びており、略円筒形状を呈している。また、下側円筒部LP4は、内鍋130内から流入口LP3aを通じて流路形成部144内に流入しようとする粘性液体の一部をトラップして内鍋130内に戻す役目を担っている。
【0044】
(5-2)上ケース部
上ケース部UPは、図5図10に示されるように、下ケース部LPを覆うように下ケース部LPの上側に配置される。上ケース部UPは、図3図11に示されるように、主に、上壁部UP1、外側壁部UP2、蒸気口形成部UP3、第一ビス受け部UP4、第二ビス受け部UP5、内側壁部UP6、逆U字リブUP7、左右側リブUP8、後側リブUP9および半円筒部UP10等から形成されている。上壁部UP1は、図3図10に示されるように、上ケース部UPの上壁を構成している。外側壁部UP2は、図3図4図6図10に示されるように、上壁部UP1の外端から下方に延びている。蒸気口形成部UP3は、図3図5図9に示されるように、上壁部UP1の左右方向中央部に形成されている。また、蒸気口形成部UP3は、上述の通り、外装体141の上側外装部材141aの開口BOによって露出している。本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、流路形成部144については蒸気口形成部UP3のみが、外側から視認可能である。また、図3図5図7図9に示されるように、蒸気口形成部UP3には蒸気口UP3aが形成されている。蒸気口UP3aは、内鍋130で生じた蒸気などの気体を外部に排出するためのものである。なお、蒸気口UP3aは、図6に示されるように、図5のA-A断面視において下側から上側に向かうに従って広くなるように設計されている。また、蒸気口UP3aは、逆U字リブUP7の後側に位置している。第一ビス受け部UP4は、図3図6に示されるように、外側壁部UP2の前端の中央部および左右部から前方に延びると共に外側壁部UP2の後端の左右部から後方に延びている。図3および図4に示されるように、第一ビス受け部UP4にはビス受け孔UP4aが形成されている。このビス受け孔UP4aおよび外装体141の下側外装部材141bのビス受け孔が連なった連通孔を形成している状態でビス(図示せず)がこの連通孔に螺入されることで、上ケース部UPが外装体141の下側外装部材141bに締結される。第二ビス受け部UP5は、図3図5図8に示されるように、外側壁部UP2の左右端から外方に延びている。図3および図4に示されるように、第二ビス受け部UP5にはビス受け孔UP5aが形成されている。このビス受け孔UP5aおよび補強部材のビス受け孔が連なった連通孔を形成している状態でビス(図示せず)がこの連通孔に螺入されることで、上ケース部UPが補強部材に締結される。内側壁部UP6は、図4図6図10に示されるように、上壁部UP1のうち外端より内側の部分から下方に延びる囲い壁である。図6図10に示されるように、外側壁部UP2および内側壁部UP6の間には環状パッキンPKが配置される。逆U字リブUP7は、上壁部UP1のうち平面視における内側壁部UP6より内側の部分から下ケース部LPの下壁部LP1に接触しないように下方に延びており、平面視において略逆U字状を呈している(図4および図11参照)。左右側リブUP8は、上壁部UP1のうち平面視における内側壁部UP6より内側の部分から下ケース部LPの下壁部LP1に接触しないように下方に延びると共に、逆U字リブUP7の左端部から左方に向かって内側壁部UP6まで延び、逆U字リブUP7の右端部から右方に向かって内側壁部UP6まで延びている(図4および図11参照)。後側リブUP9は、上壁部UP1のうち平面視における内側壁部UP6より内側の部分から下ケース部LPの下壁部LP1に接触しないように下方に延びると共に、逆U字リブUP7の後端の左右部から後方に向かって内側壁部UP6まで延びている(図4および図11参照)。なお、左右側リブUP8および後側リブUP9は、図11に示されるように、平面視において流体の流通方向と交差している。半円筒部UP10は、上壁部UP1のうち平面視における内側壁部UP6より内側の部分から下ケース部LPの下壁部LP1に接触しないように下方に延びる略半円筒形状の部位であって、逆U字リブUP7の前側に位置している(図4図6図10および図11参照)。
【0045】
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、逆U字リブUP7の下端は、図4図6図9および図10に示されるように、内側壁部UP6の下端、左右側リブUP8の下端、後側リブUP9の下端および半円筒部UP10の下端より下側に位置している。また、逆U字リブUP7の下端は、図6図9および図10に示されるように、下ケース部LPの下壁部LP1の上面と僅かな隙間(例えば、約1.5mmの隙間)をもって対向している。この隙間がない場合(すなわち、逆U字リブUP7の下端が下ケース部LPの下壁部LP1の上面と接している場合)、流路形成部144内の粘性液体が、下ケース部LPの戻し口LP1aを通じて内鍋130内に戻りづらくなってしまい、この隙間が大きい場合、粘性液体が第一流路R1(後述)を経由せずにこの隙間を通って平面視において蒸気口UP3a側に向かうおそれが生じてしまう。そして、内側壁部UP6の下端は、図4および図7に示されるように、左右側リブUP8の下端および後側リブUP9の下端より下側に位置している。
【0046】
(6)環状パッキン
環状パッキンPKは、上述の通り、外側壁部UP2および内側壁部UP6の間に配置され、上ケース部UPの上壁部UP1および下ケース部LPの側壁部LP2よって挟まれる。これにより、上ケース部UPおよび下ケース部LPが水密に保たれる。
【0047】
(7)戻し口パッキン
戻し口パッキンPLは、可撓性を有する材料から形成される部材であって、図12図15に示されるように、主に、閉塞部PL1、棒部PL2および落下防止部PL3などから形成されている。閉塞部PL1は、図15に示されるように、略円環形状を呈している。また、閉塞部PL1は、図12図14図17に示されるように、下ケース部LPの下壁部LP1のうち下側円筒部LP4の内側の部分に当接可能であり、通常、下ケース部LPの戻し口LP1aを下側から塞いでいる。閉塞部PL1が下ケース部LPの戻し口LP1aを塞がなくなるのは、閉塞部PL1上に粘性液体が溜まり、図18に示されるように粘性液体の重みによって閉塞部PL1の外端部が撓る場合である。なお、閉塞部PL1は、図12図14図17に示されるように、下ケース部LPの流入口LP3aを塞いでない。また、閉塞部PL1は、蓋体140が開状態であると共に内蓋145が取り外された状態において露出する。また、図12図14図17に示されるように、閉塞部PL1の外端および下ケース部LPの下側円筒部LP4の内面との間には隙間が形成されている。棒部PL2は、図15に示されるように、閉塞部PL1の左右端部から上方に延びている。落下防止部PL3は、図13および図15に示されるように、棒部PL2の上下方向中央部から外方に延びており、略切頭円錐形状を呈している。棒部PL2および落下防止部PL3は、下ケース部LPの挿通孔LP1bの下側から上側に向かって下ケース部LPの挿通孔LP1bに差し込まれる(図13参照)。ここで、平面視において、落下防止部PL3の直径は、下ケース部LPの挿通孔LP1bの直径より大きくなるように設計されている(図13参照)。しかし、落下防止部PL3は、可撓性により下ケース部LPの挿通孔LP1bを通る時に変形するため、下ケース部LPの挿通孔LP1bを通り抜けることができる。そして、落下防止部PL3が下ケース部LPの挿通孔LP1bを通り抜けた後では、戻し口パッキンPLが下ケース部LPから落下することが防止される(図13参照)。また、落下防止部PL3が下ケース部LPの挿通孔LP1bを通り抜けた後では、図12図14に示されるように、閉塞部PL1の上面および下ケース部LPの下壁部LP1の下面の間、および、落下防止部PL3の下面および下ケース部LPの下壁部LP1の上面の間に隙間がないため、戻し口パッキンPLは上下方向に移動しない(言い換えれば、戻し口パッキンPLが上下方向に移動することが規制される)。より詳細には、図14および図18に示されるように、閉塞部PL1の外端部が撓る前後において、閉塞部PL1の外端部の上下位置が変わることはあっても、閉塞部PL1の内端、棒部PL2または落下防止部PL3を基準とすると戻し口パッキンPLは上下方向に移動しない。
【0048】
(8)内蓋
内蓋145は、図2に示されるように内鍋130の上部を覆って内鍋130を密閉するための部材である。図示しないが、内蓋145には貫通口が形成されている。内鍋130内に入れられた消費材から生じた流体は、この貫通口を通った後、次に下ケース部LPの流入口LP3aを通って流路形成部144内に流入することになる。また、流路形成部144内の粘性液体は、下ケース部LPの戻し口LP1aを通った後、次にこの貫通口を通って内鍋130内に戻ることになる。
【0049】
(9)レバー部材
レバー部材146は、当接板部(図示せず)と、当接板部の前側から下方に延びる左右一対の延設板部(図示せず)と、各延設板部の下部から後方に向かって延びる爪部(図示せず)とから形成される金属板部材であって、補強部材に回動軸SF2(図2参照)によって軸支されていると共に、レバー部材側トーションバネ(図示せず)によって右側面視において回動軸SF2を中心とした反時計回り方向に向かって付勢されている。なお、ここで、使用者によって操作レバー142のうち回動軸SF1の前側の部位(図1において外装体141の上側外装部材141aに露出している部位)が下方に押圧されると、操作レバー142は、回動軸SF1を中心に回動し、レバー部材146の当接板部のうち回動軸SF2の後側の部位に当接する。
【0050】
そして、使用者が蓋体140を閉状態としようとするとき、使用者は操作レバー142を操作する必要がなく、そのまま蓋体140を本体110に向かって倒し込めばよい。このとき、レバー部材146の爪部が、本体110の被係止部に形成される傾斜面(図示せず)に接触しながら下方に移動していく。この間、レバー部材146は、レバー部材側トーションバネの付勢力に逆らって前方(より詳細には、右側面視において回動軸SF2を中心とした時計回り方向)に向かって回動する。そして、爪部が、本体110の被係止部の下側まで達すると、レバー部材側トーションバネの付勢力により爪部が本体110の被係止部に対して係止される。このようにして蓋体140が閉状態となる。一方、蓋体140を開状態とするとき、使用者は、操作レバー142のうち回動軸SF1の前側の部位を下方に押圧する。すると、操作レバー142は、レバー部材146の当接板部のうち回動軸SF2の後側の部位に当接し、レバー部材146がレバー部材側トーションバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。このとき、爪部が本体110の被係止部に係止されている状態が解除される。そして、ヒンジ機構150のヒンジ機構側トーションバネの付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。
【0051】
(10)レバーストッパー
レバーストッパーは、操作レバー142のうち回動軸SF1の前側の部位が下方に押圧された時の操作レバー142の回動限界位置を規定するものであって、操作レバー142の下側に配置される。
【0052】
4.ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けており、締結板金(図示せず)、回動軸151(図2参照)、ヒンジ機構側トーションバネ(図示せず)およびダンパー(図示せず)等から構成されている。締結板金は、ヒンジ機構150を本体110のフランジ部Dbに取り付けるための部材である。なお、締結板金には、回動軸151が挿通される軸受け孔が形成されている。回動軸151は、蓋体140を軸中心に回動させるためのものである。ヒンジ機構側トーションバネは、蓋体140を開方向に向かって付勢している。なお、ヒンジ機構側トーションバネの一端は締結板金に固定され、ヒンジ機構側トーションバネのもう一端は蓋体140の補強部材に固定される。ダンパーは、回動軸151に取り付けられ、蓋体140の開放速度を減衰させる役目を担う。
【0053】
5.ヒンジカバー
ヒンジカバー160は、図2に示されるように、ヒンジ機構150を後側から覆って隠すための部材である。なお、ヒンジカバー160は、ヒンジ機構150の締結板金の後面に取り付けられる。
【0054】
<本発明の実施の形態に係る流路形成部における流体の流れについて>
ここでは、流路形成部144内における流体の流れについて、図11および図18を参照して説明する。まず、内鍋130内から内蓋145の貫通口および流路形成部144の下ケース部LPの流入口LP3aを通じて流路形成部144内に流入した流体は、流路形成部144の上ケース部UPの逆U字リブUP7によって、平面視において流路形成部144の下ケース部LPの流入口LP3aの前側(言い換えれば、平面視において流入口LP3aの蒸気口UP3a側の反対側)に延びる第一流路R1を流れる。次に、流体は、流路形成部144の上ケース部UPの逆U字リブUP7によって、平面視において後側(言い換えれば、蒸気口UP3a側)に延びる第二流路R2を流れる。そして、流体が蒸気などの気体である場合、気体は、流路形成部144の上ケース部UPの蒸気口UP3aから蓋体140の外部に排出される。流体がおねばなどの粘性液体である場合、粘性液体は、第一流路R1または第二流路R2を流れている間に、流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1の傾斜によって流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aに向かう。図11の点線矢印はその一例であり、粘性液体は、流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1および流路形成部144の上ケース部UPの逆U字リブUP7の間の隙間を通ることができる。そして、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1が流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aを塞いでいる状態において、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1上に粘性液体が溜まっていく。そして、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1の外端部が粘性液体の重みで撓り、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1が流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aを塞いでいない状態にされると、粘性液体は、流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aおよび内蓋145の貫通口を通じて内鍋130内に戻される。なお、粘性液体は、第一流路R1または第二流路R2を流れている間に気体を含んで泡になることがある。この泡は、流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1および流路形成部144の上ケース部UPの左右側リブUP8の間、または、流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1および流路形成部144の上ケース部UPの後側リブUP9の間を通る時に、流路形成部144の上ケース部UPの左右側リブUP8または後側リブUP9に接触して割れる。
【0055】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1の上面および流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1の下面の間、および、戻し口パッキンPLの落下防止部PL3の下面および流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1の上面の間に隙間がないため、戻し口パッキンPLは上下方向に移動しない。このため、この炊飯器100では、戻し口パッキンPLが上下方向に移動している隙に粘性液体が戻し口LP1aを通じて流路形成部144内に流入するということが生じないようにすることができる。したがって、この炊飯器100では、粘性液体が噴きこぼれること(流路形成部144の上ケース部UPの蒸気口UP3aから蓋体140の外部に排出されること)をできるだけ防止することができる。
【0056】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1は、流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aを下側から塞いでいる。このため、この炊飯器100では、蓋体140を開状態にすると共に内蓋145を取り外した状態にすることで戻し口パッキンPLの閉塞部PL1を露出させ、戻し口パッキンPLを容易に手入れすることができる。したがって、この炊飯器100では、戻し口パッキンPLをできるだけ清潔に保つことができる。
【0057】
(3)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、流路形成部144の下ケース部LPの凹部LP1cは、底面視において戻し口パッキンPLの閉塞部PL1と重なっている。また、下ケース部LPの凹部LP1cは上側に凹んでおり、下ケース部LPの凹部LP1cの内部は下ケース部LPの戻し口LP1aと連通している。このため、この炊飯器100では、下ケース部LPの戻し口LP1aが戻し口パッキンPLの閉塞部PL1によって下側から塞がれている状態において、流路形成部144内の粘性液体を下ケース部LPの凹部LP1cの内部空間にも流すことができ、下ケース部LPに凹部LP1cが形成されていない場合に比べて、粘性液体の重みによる戻し口パッキンPLの閉塞部PL1の外端部を撓らせる力を強くすることができる。したがって、この炊飯器100では、粘性液体が蓋体140内にできるだけ留まらないようにすることができる。よって、この炊飯器100では、蓋体140をできるだけ清潔に保つことができる。
【0058】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1は、流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aを下側から塞いでいた。しかし、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1は、流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aを上側から塞いでもよい。
【0059】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、流路形成部144の下ケース部LPに凹部LP1cが形成されていた。しかし、流路形成部144の下ケース部LPに凹部LP1cが形成されなくてもよい。
【0060】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、流路形成部144の下ケース部LPに戻し口LP1aが4つ形成されていた。しかし、流路形成部144の下ケース部LPの戻し口LP1aの数は4つに限定されない。また、先の実施の形態に係る炊飯器100では、流路形成部144の下ケース部LPに凹部LP1cが4つ形成されていた。しかし、流路形成部144の下ケース部LPの凹部LP1cの数は4つに限定されない。
【0061】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、戻し口パッキンPLには棒部PL2および落下防止部PL3が形成され、流路形成部144の下ケース部LPに挿通孔LP1bが形成されていた。しかし、戻し口パッキンPLに棒部PL2および落下防止部PL3が形成されず、流路形成部144の下ケース部LPに挿通孔LP1bが形成されなくてもよい。かかる場合、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1の内端の上面を流路形成部144の下ケース部LPの下壁部LP1の下面に接着する等して、戻し口パッキンPLの閉塞部PL1の内端が上下方向に移動しないようにされるとよい。
【0062】
(E)
先の実施の形態では本発明が炊飯器100に適用されたが、本発明は例えば電気圧力調理鍋などの他の調理器に適用されてもよい。
【0063】
なお、上記変形例(A)~(E)は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 :炊飯器(調理器)
130 :内鍋(容器)
140 :蓋体
141b :下側外装部材(底壁部)
LP1a :戻し口
LP1c :凹部
LP3a :流入口
PL :戻し口パッキン(弁体)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18