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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170772
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】省エネルギー計画支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087481
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】黎国 伶勇
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC29
5L050CC29
(57)【要約】
【課題】省エネルギー計画の立案を支援する技術の提供。
【解決手段】省エネルギー計画支援システムにおいては、様々な建物における省エネ施策に関する事例情報がDBに蓄積され、検索時には、ユーザが画面上で指定した情報に基づいて生成される検索条件によりDBの検索がなされる。ヒット件数Fが表示希望件数N以上である場合には、ユーザが指定した並べ順によりデータが並べ替えられてから上位N件のデータが抽出され、抽出されたデータについて省エネ施策毎に指標値(省エネ率や省エネ量等)に関する統計処理(平均値等の算出)がなされ、そのグラフや詳細データが抽出結果画面にまとめて表示される。この画面に表示された情報から、ユーザは、自身が管理する建物と要件が類似する建物における省エネ施策の事例を容易に確認することができ、自身が管理する建物においてどのような省エネ施策が効果的であるかを容易に判断することが可能となる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な建物における省エネルギー施策に関する事例情報を蓄積するデータベースと、
前記データベースの検索に際し、少なくとも所定の建物に関する基本情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記基本情報に基づいて生成した抽出条件により、前記所定の建物と類似する他の建物における事例情報を前記データベースから抽出する検索手段と、
前記検索手段により抽出された複数の事例情報を統計化して提示可能な提示手段と
を備えた省エネルギー計画支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の省エネルギー計画支援システムにおいて、
前記基本情報は、
前記所定の建物の分類や属性に関する情報、又は、前記データベースに登録済みの前記所定の建物を特定可能な情報であることを特徴とする省エネルギー計画支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の省エネルギー計画支援システムにおいて、
前記提示手段は、
前記複数の事例情報について、前記省エネルギー施策毎に所定の指標値に関する統計値を算出して提示可能であることを特徴とする省エネルギー計画支援システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の省エネルギー計画支援システムにおいて、
前記受付手段は、
前記データベースの検索に際し、前記基本情報の入力に加えて検索モードの選択を受け付け、
前記検索手段は、
所定の検索モードが選択されており、かつ、前記データベースにおける前記抽出条件に該当する事例情報の件数が所定の件数に満たない場合に、前記抽出条件を緩和して前記他の建物における事例情報を前記データベースから抽出可能であることを特徴とする省エネルギー計画支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の省エネルギー計画支援システムにおいて、
新たな事例情報を前記データベースに登録する登録手段と、
前記データベースに登録された事例情報の修正又は削除を行う更新手段と
をさらに備え、
前記受付手段は、
事例情報の登録、修正又は削除に関する入力をさらに受け付け可能であることを特徴とする省エネルギー計画支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の運用において求められる省エネルギー計画の立案を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーの安定供給確保に加え、地球温暖化防止の観点からも、省エネルギーの必要性が一層高まっている。エネルギーの使用の合理化等に関する法律(以下、「省エネ法」と称する。)においては、全ての事業者に対し、省エネ取組の判断基準の遵守や目標達成への努力義務が課されており、さらに一定規模以上の事業者に対しては、エネルギーの使用状況等についての定期的な報告や計画の提出等が義務付けられている。
【0003】
また、省エネ法に関連して、建物の省エネルギー計画方法の一例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-41601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術によれば、建物に関する省エネルギー項目と設備に関する省エネルギー項目とを別の設計者が各々の経験に基づいて個別に設定していたことに起因して生じていた問題が解消され、建物と設備とに関連する複合的な省エネ効果を判断しながら省エネルギー計画を立案することは可能と考えられる。しかしながら、建物と設備とに関する省エネルギー項目を設定するにはそれなりの知識や経験が必要であり、また、この方法に沿って立案された計画が客観的にみて妥当か否かは別の話である。
【0006】
建物の運用においては、建物管理者が現場や現物を視察して、エネルギーの使用に無駄がある箇所を発見し、その使用を合理化できるよう、個々の箇所について省エネルギー施策を策定して建物全体の省エネルギー計画を立案し実行することが求められる。これらの作業は、熟練した建物管理者であれば自らの知識や経験に基づいて難なく行うことができるが、経験の浅い建物管理者は自力で遂行することが困難である。そこで、経験の多寡によらず省エネルギー計画の立案を可能とするために、その助けとなる何らかの仕組みが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、省エネルギー計画の立案を支援する技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の省エネルギー計画支援システムを採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
すなわち、本発明の省エネルギー計画支援システムは、様々な建物における省エネルギー施策に関する事例情報を蓄積するデータベースと、データベースの検索に際し、少なくとも所定の建物に関する基本情報の入力を受け付ける受付手段と、基本情報に基づいて生成した抽出条件により、所定の建物と類似する他の建物における事例情報をデータベースから抽出する検索手段と、検索手段により抽出された複数の事例情報を統計化して提示可能な提示手段とを備えている。基本情報とは、所定の建物(比較の基準とする建物)の分類や属性に関する情報(例えば、業種や地域、ユーザ数等)、又は、データベースに登録済みの所定の建物を特定可能な情報(例えば、事業者名及び工場名称等)である。
【0010】
省エネルギー計画支援システムにおいては、事前調査により社内外のデータソースから収集された、様々な建物における省エネルギー施策に関する事例情報がデータベースに蓄積されて一元管理されている。ユーザが検索に際して所定の建物に関する基本情報を入力すると、基本情報に基づいて生成される抽出条件により所定の建物と類似する他の建物における事例情報がデータベースから抽出され、抽出結果が統計化して提示される。
【0011】
したがって、省エネルギー計画支援システムによれば、建物管理者であるユーザが自身の管理する建物の省エネルギー計画を立案する際に、事例情報を社内外のデータソースから個別に探し出す必要がなく、少なくとも基本情報を入力するだけで、自身の管理する建物と類似する他の建物における事例情報を抽出することができるため、ユーザは求めている情報に容易にアクセスすることできる。また、抽出された事例情報が統計化して提示されるため、ユーザが経験の浅い建物管理者であっても、自身の管理する建物においてどのような省エネルギー施策が効果的であるかを容易に判断することが可能となる。
【0012】
好ましくは、上述した態様の省エネルギー計画支援システムにおいて、提示手段は、抽出された複数の事例情報について、省エネルギー施策毎に所定の指標値に関する統計値を算出して提示可能である。
【0013】
この態様の省エネルギー計画支援システムによれば、省エネルギー施策毎に所定の指標値に関する統計値が算出されて提示されるため、ユーザは提示された統計値を参考にしながら省エネルギー施策毎にどのような目標値を設定すべきかを検討することができる。
【0014】
より好ましくは、上述したいずれかの態様の省エネルギー計画支援システムにおいて、受付手段は、データベースの検索に際し、基本情報の入力に加えて検索モード(例えば、厳密検索モード又は流動的検索モード)の選択を受け付け、検索手段は、所定の検索モード(流動的検索モード)が選択されており、かつ、データベースにおける抽出条件に該当する事例情報の件数が所定の件数に満たない場合に、抽出条件を緩和して他の建物における事例情報をデータベースから抽出可能である。
【0015】
この態様の省エネルギー計画支援システムによれば、ユーザが所定の検索モードを選択していれば、ユーザが指定した情報に基づく抽出条件によりデータベースを検索して該当する事例情報の件数が所定の件数に満たない場合に、抽出条件がシステム側で自動的に緩和されうるため、ユーザが情報を改めて指定し直す必要がなく、事例情報の検索を効率よく行うことができる。
【0016】
さらに好ましくは、上述したいずれかの態様の省エネルギー計画支援システムにおいて、新たな事例情報をデータベースに登録する登録手段と、データベースに登録された事例情報の修正又は削除を行う更新手段とをさらに備え、受付手段は、事例情報の登録、修正又は削除に関する入力をさらに受け付け可能である。
【0017】
この態様の省エネルギー計画支援システムによれば、事例情報の検索に関する作業に加えて、新たな事例情報の登録に関する作業も、登録済みの事例情報の修正や削除に関する作業も、受付手段が生成する画面を介して行うことができるため、データベースを常に最新の状態に維持することができ、結果としてユーザがデータベースから最新の事例情報を引き出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、省エネルギー計画の立案を支援することができ、経験の多寡によらずどのような建物管理者であっても、提示された情報を参考にしながら自身が管理する建物の省エネルギー計画を立案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】省エネルギー計画支援システム1の構成例を示すブロック図である。
図2】データベースにおけるデータフィールドの一例を示す図である。
図3】事例の登録画面の一例を示す図(1/2)である。
図4】事例の登録画面の一例を示す図(2/2)である。
図5】事例の検索画面の一例を示す図(1/2)である。
図6】事例の検索画面の一例を示す図(2/2)である。
図7】検索時の処理の流れを示すフローチャート(1/3)である。
図8】検索時の処理の流れを示すフローチャート(2/3)である。
図9】検索時の処理の流れを示すフローチャート(3/3)である。
図10】用途マスタの構造及び用途の緩和の一例を示す図である。
図11】地域マスタの構造及び地域の緩和の一例を示す図である。
図12】検索画面における地域の選択の流れの一例を示す図である。
図13】類似事例の抽出結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は省エネルギー計画支援システムの好適な一例であり、本発明の実施の形態はこの例示に限定されない。
【0021】
〔省エネルギー計画支援システムの構成〕
図1は、省エネルギー計画支援システム1の構成例を示すブロック図である。
省エネルギー計画支援システム1は、様々な建物における省エネルギー施策(以下、「省エネ施策」と略称する場合がある。)に関する事例情報をデータベースに蓄積して一元管理し、要件が類似する建物における事例情報をデータベース(DB)から抽出して提示することで、建物の省エネルギー計画の立案を支援するシステムである。
【0022】
省エネルギー計画支援システム1は、大別すると、データベース10とアプリケーション20とで構成される。アプリケーション20は、例えば、ウェブアプリケーションとしてサーバ上に実装されており、ユーザは、一般的なコンピュータに搭載されているウェブブラウザを介して省エネルギー計画支援システム1を利用することができる。データベース10及びアプリケーション20は相互に通信が可能であればよく、両者を同一のサーバ上に実装してもよいし、それぞれを別のサーバ上に実装してもよい。
【0023】
データベース10には、例えば、建物情報テーブル11と、省エネ施策情報テーブル12と、用途マスタ13と、地域マスタ14と、省エネ施策名称マスタ15とが設けられており、様々な建物における省エネルギー施策に関する事例情報がこれらのテーブルに分散して格納されている。
【0024】
建物情報テーブル11は、建物に関する情報(例えば、名称、用途、所在地域、ユーザ数等)を格納している。省エネ施策情報テーブル12は、個々の建物において実施された省エネルギー施策に関する情報を格納している。用途マスタ13は、建物の用途に関するマスタテーブルであり、用途を複数の階層に分類して管理している。地域マスタ14は、建物の所在地域に関するマスタテーブルであり、日本国内を複数の地域に区分けする上で必要な情報を管理している。省エネ施策名称マスタ15は、省エネルギー施策の名称を管理するマスタテーブルである。建物情報テーブル11は、用途及び地域に関して、それぞれ用途マスタ13及び地域マスタ14との間でデータの整合性が取られている。また、省エネ施策情報テーブル12は、省エネルギー施策の名称に関して、省エネ施策名称マスタ15との間でデータの整合性が取られている。
【0025】
なお、上述したデータベース10のテーブル構成は、実施形態を説明する上で必要となる最小限の構成を一例として示したものであり、異なるテーブル構成により事例情報を管理してもよい。また、用途マスタ13及び地域マスタ14の内容に関しては、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
【0026】
アプリケーション20は、例えば、入力受付部21と、情報登録部22と、情報更新部23と、情報検索部24と、提示部25とを有している。
【0027】
入力受付部21は、データベース10への新たな事例情報の登録、データベース10に登録済みの事例情報の修正や削除、データベース10からの事例情報の検索等に関する画面を生成してユーザに提供し、ユーザによる情報の入力を受け付ける。情報登録部22は、ユーザによる新たな事例情報の登録に関する入力に応じて、新たな事例情報をデータベース10に登録する。情報更新部23は、ユーザによる登録済みの事例情報の修正や削除に関する入力に応じて、特定の事例情報の修正や削除を行う。情報検索部24は、ユーザによる事例情報の検索に関する入力に応じてデータベース10を検索し、要件が類似する建物における事例情報をデータベース10から抽出する。提示部25は、情報検索部24により抽出された事例情報について、統計処理(例えば、省エネルギー施策毎の省エネ率の平均値の算出等)を行い、その結果を抽出されたデータとともにユーザに提示する。
【0028】
なお、上述したアプリケーション20の構成はあくまで一例であり、さらなる機能部が設けられてもよい。
【0029】
〔データベースに蓄積される情報〕
図2は、データベース10におけるデータフィールドの一例を示す図である。
発明の理解を容易とするために、図2においては、様々なデータフィールドを1つの表にまとめて示しているが、データベース10においては、これらのデータフィールドが上述した複数のテーブルに分散して設けられている。また、表中の記号は、説明の便宜のために付したものであり、データベース上には存在しない。
【0030】
物件に関して、先ず、事業者に関する名称及びサブ名称のフィールド(B1,B2)が設けられており、製造系の事業者の場合には、名称に「○○株式会社」、サブ名称に「××工場」のような情報が格納され、非製造系の事業者の場合には、例えば大学であれば、名称に「学校法人○○大学」、サブ名称に「××キャンパス」のような情報が格納される。また、ユーザ数のフィールド(B3)には、製造系の場合には従業員数が格納され、非製造系の場合には利用者数や学生数等が格納される。
【0031】
物件の用途/業種のフィールド(M1)には、製造系の場合には選択された業種が格納され、非製造系の場合には選択された用途が格納されるが、このフィールドに格納される業種及び用途はいずれも、用途マスタ13において同じ階層で管理されているものである。詳しくは別の図面を用いてさらに後述する。物件の地域区分のフィールド(M2)には、事業者の拠点の所在地に対応する地域区分が格納される。その他、建物に関して省エネルギー施策を検討する上で必要となる物件の年間エネルギー消費量、物件の構造、対象の階の高さ、対象の面積の各フィールド(M3~M6)が設けられている。
【0032】
そして、個々の物件において登録された省エネルギー施策の数(M7)に応じて、名称、導入コスト、年間ランニングコスト、年間省エネ効果、年間エネルギー消費コスト削減量、省エネ率、施策分類(運用施策、投資施策のいずれか)、主要関連設備(例えば、空調、換気、照明、生産設備等)、関連キーワード、概要説明文の各フィールド(M8~M17)が設けられている。なお、省エネルギー施策に関するさらなる情報を格納するフィールドを設けてもよい。
【0033】
その他にさらに、物件の詳細な所在地情報(S1)等、物件に関するさらなる補足情報を格納するためのフィールドが設けられている。
【0034】
このように、データベース10においては、物件に関するフィールド、及び、物件において実施された省エネルギー施策に関するフィールドが、数多く設けられている。このような構造により、要件が類似する建物における事例情報を精度よく抽出することができ、抽出された情報を統計化してきめ細やかに分析することが可能となる。類似する建物における事例情報を分析する際には、記号の先頭が「M」のフィールドの情報に特に着目することとなる。
【0035】
〔事例の登録〕
図3及び図4は、事例の登録画面の一例を示す図である。
図3中(A):省エネルギー計画支援システム1のメニューの一例を示している。システムのメニュー画面21w1には、例えば、[事例の登録]、[事例の検索]、[事例の修正/削除]等の操作項目が設けられており、製造系の事業者に関する操作を行う場合と非製造系の事業者に関する操作を行う場合とで、入口が分けられている。
【0036】
図3中(B):システムメニュー画面21w1において、[事例の登録]に対する[製造系]ボタンが押下されると、製造系の事業者に関する事例の登録を受け付ける基本情報入力画面21w2に移動する。基本情報入力画面21w2には、例えば、[事業者]及び[工場名称]のテキストボックス、[業種]及び[地域]のリストボックス、[従業員数]のテキストボックスが設けられている。
【0037】
図3中(C):[業種]のリストボックスには、選択可能な業種の一覧が表示される。なお、製造系の入力画面においては、[業種]のリストボックス(左図)が設けられ、選択可能な業種の一覧が表示されるが、非製造系の入力画面においては、これに代えて[用途]のリストボックス(右図)が設けられ、選択可能な用途の一覧が表示される。これらのリストボックスに表示される業種や用途の情報は、用途マスタ13から取得される。
【0038】
図3中(D):[地域]のリストボックスには、選択可能な地域の一覧が表示される。リストボックスに表示される地域の情報は、地域マスタ14から取得される。
【0039】
基本情報入力画面21w2において、必要な情報を入力/選択し終えた後に、[次へ]ボタンが押下されると、次の画面(詳細情報入力画面)に移動する。
【0040】
図4中(A):詳細情報入力画面21w3の一例を示している。詳細情報入力画面21w3においては、先ず、直前の基本情報入力画面21w2で入力/選択された情報が表示され、これに続いて、その他の詳細な情報の入力フォームが設けられている。基本情報入力画面21w2で選択された地域(図示の例においては、「関東」)に対しては、[所在地の詳細入力]ボタンが設けられている。
【0041】
個々の事例において実施された省エネルギー施策の数は事例により異なるため、[省エネ施策]の入力フォームは初期状態では1つだけ設けられており、[省エネ施策を追加]ボタンの押下回数に応じて必要な個数の入力フォームを追加することができる。例えば、図示された状態で[省エネ施策を追加]ボタンが1回押下されると、[省エネ施策1]の入力フォームの下側に[省エネ施策2]の入力フォームが追加される。
【0042】
図4中(B):[所在地の詳細入力]ボタンが押下されると、所在地の詳細入力画面21w4が出現する。この画面には、[地域]、[都道府県]、[市区町村]、[町域]のリストボックスが設けられており、左側のリストボックスからいずれかの候補が選択されると、右側のリストボックスが動的に更新される。図示の例においては、初期状態では、選択された地域(「関東」)に対応して、[都道府県]のリストボックスには関東に該当する都県が表示されている。ここで「神奈川県」が選択されると、これに応じて[市区町村]のリストボックスが更新され、神奈川県に該当する市町村が表示される。このような態様により、所在地を詳細に指定していくことができる。
【0043】
所在地を指定し終えた後に[OK]ボタンが押下されると、所在地の詳細入力画面21w4が閉じられ、詳細情報入力画面21w3の上段部には、[地域]の欄の後方に、所在地から特定された地域区分(図示の例においては、「神奈川県小田原市」が該当する「6」)が追記されるとともに、次の行に、[所在地]の欄が追加され、指定された詳細な所在地情報が表示される。なお、[所在地の修正]ボタンの押下により、所在地ひいては地域区分の修正が可能である。
【0044】
詳細情報入力画面21w3において、必要な情報を入力/選択し終えた後に、[この内容で登録]ボタンが押下されると、ユーザにより入力/選択された内容に応じて、新たな事例がデータベース10に登録される。
【0045】
〔事例の検索〕
図5及び図6は、事例の検索画面の一例を示す図である。
図5中(A):省エネルギー計画支援システム1のメニュー画面(図3中(A))において、[事例の検索]に対する[製造系]ボタンが押下されると、製造系の事業者に関する事例の検索に必要な情報の入力を受け付ける検索条件入力画面21w5に移動する。
【0046】
検索条件入力画面21w5には、例えば、基本情報入力画面21w2(図3中(B))と同様に、[事業者]及び[工場名称]のテキストボックスと、[業種]及び[地域]のリストボックスと、[従業員数]のテキストボックスとが設けられている。検索においては、省エネルギー施策を検討する上で比較の基準とする所定の物件(建物)の要件を特定するために、これらの基本情報の入力が要求される。
【0047】
基本情報に関して、[事業者]及び[工場名称]のテキストボックスに入力がなされた場合には、先ず入力された情報に該当する物件がデータベース10から検索され、その物件に対して設定されている用途/業種、地域区分、ユーザ数(従業員数)等の情報が取得されて、取得された情報に基づいてデータの抽出条件が生成される。これに対し、[業種]や[地域]、[従業員数]の入力がなされた場合には、入力された情報に基づいてデータの抽出条件が生成される。
【0048】
なお、図5に例示した検索条件入力画面21w5においては、データベース10に登録済みの所定の物件を特定可能な情報(例えば、事業者及び工場名称等)も、所定の物件の分類や属性に関する情報(例えば、業種や地域、ユーザ数等)も、同じ画面で入力を受け付けているが、データベース10に登録済みの所定の物件を特定可能な情報の入力を受け付ける場合と、所定の物件の分類や属性に関する情報の入力を受け付ける場合とで、それぞれ別の検索条件入力画面を設けてもよい。
【0049】
検索条件入力画面21w5にはさらに、[検索モード]のラジオボタンが設けられている。検索モードには、指定された条件に厳密にマッチする事例情報のみを検索する「厳密検索モード」、指定された条件にマッチする事例情報の件数が所定数(後述する表示希望件数)に満たない場合に条件を緩和して再検索を実行可能な「流動的検索モード」が設けられており、ユーザはいずれかの検索モードを選択することができる。
【0050】
図5中(B):[検索モード]において「流動的検索モード」が選択されると、[第1優先指標]及び[第2優先指標]のリストボックスが表示される。ここで、「優先指標」とは、条件にマッチする事例情報の件数が所定数に満たない場合に条件の緩和対象とするデータ項目のことである。
【0051】
図6中(C):優先指標としては、例えば、「業種」(非製造系の場合には「用途」)、「地域」、「従業員数」が選択可能とされている。なお、さらなるデータ項目を優先指標として選択可能としてもよい。
図6中(D):例えば、[第1優先指標]のリストボックスから「業種」が選択されると、これに応じて[第2優先指標]のリストボックスが更新され、[第1優先指標]において選択された「業種」を除外した残りの選択肢が表示される。
【0052】
図5中(B):検索条件入力画面21w5には、所定の位置(図示の例においては、右上部)に[ユーザ設定]ボタンが設けられており、ユーザは、このボタンを押下して表示されるユーザ設定画面において、検索結果の表示希望件数Nや、流動的検索モードにおいて条件を緩和する回数の上限(以下、「緩和上限回数」と称する。)Mを、予め設定されている初期値から好みに応じて変更することができる。
【0053】
その他に、検索条件入力画面21w5には、例えば、[省エネ改善率]のテキストボックスや[並べ順]のリストボックスが設けられている。また、[検索条件を追加]ボタンの押下により、さらなる検索条件の指定が可能である。[検索条件を追加]ボタンが押下されると、例えば、[主要関連設備]を複数選択可能なチェックボックスや、[年間エネルギー消費量]を入力可能なテキストボックス等が表示される。
【0054】
図6中(E):並べ順としては、例えば、「省エネ改善率の降順」、「省エネ改善率の昇順」、「地域」、「従業員数の降順」、「従業員数の昇順」、「業種」(非製造系の場合には「用途」)、が選択可能とされている。なお、[並べ順]のリストボックスにさらなる選択肢を追加してもよい。また、並べ順にこだわらない場合には、[並べ順]を未選択のままとすることも可能である。[並べ順]が未選択の場合には、必要に応じて予め定められた所定の並べ順によりデータの並べ替えが行われる。
【0055】
検索条件入力画面21w5において、必要な情報を入力/選択し終えた後に、[検索]ボタンが押下されると、データベース10の検索が実行される。
【0056】
〔検索の流れ〕
図7図9は、省エネルギー計画支援システム1において検索時に実行される処理の流れを示すフローチャートである。以下、流れに沿って説明する。
【0057】
ステップS10:情報検索部24は、入力受付部21が受け付けた情報から、ユーザによりいずれの検索モードが選択されたかを確認する。流動的検索モードが選択されたことを確認した場合には(ステップS10:Yes)、情報検索部24は、連結記号Aを経てステップS50(図8)に進み、流動的検索モードで検索を実行する。一方、厳密検索モードが選択されたことを確認した場合には(ステップS10:No)、情報検索部24は、ステップS20に進み、厳密検索モードで検索を実行する。
【0058】
〔厳密検索モード〕
ステップS20:情報検索部24は、入力受付部21が受け付けた情報に基づいて、事例情報の検索条件(抽出条件)を生成し、データベース10からこの検索条件に該当するデータを検索する。
【0059】
ステップS22,S24:情報検索部24は、ステップS20での検索においてヒットしたデータの件数Fが検索結果の表示希望件数N以上であるか否かを確認する(ステップS22)。ヒット件数Fが表示希望件数N以上である場合には(ステップS22:Yes)、情報検索部24は、ユーザにより選択された並べ順によりデータを並べ替えて得られる上位N件のデータをデータベース10から抽出する(ステップS24)。一方、ヒット件数Fが表示希望件数Nに満たない場合には(ステップS22:No)、情報検索部24は、ステップS26を実行する。
【0060】
ステップS26,S28:情報検索部24は、ステップS20での検索においてヒットしたデータの件数Fが1以上であるか否かを確認する(ステップS26)。ヒット件数Fが1以上である場合には(ステップS26:Yes)、情報検索部24は、データベース10からヒットしたF件のデータを抽出する(ステップS28)。一方、ヒット件数Fが1に満たない場合、すなわちヒット件数Fが0である場合には(ステップS26:No)、情報検索部24は、ステップS34を実行する。
【0061】
ステップS30,S32:提示部25は、抽出データ統計処理を実行した上で(ステップS30)、表グラフ出力処理を実行する(ステップS32)。抽出データ統計処理では、提示部25は、データベース10から抽出されたデータについて、省エネルギー施策毎に、様々な指標値(例えば、省エネ率、省エネ量等)に関する各種の統計値(例えば、平均値、最大値、中央値、標準偏差等)を算出する。また、表グラフ出力処理では、提示部25は、直前のステップにおいて算出された統計値のうち代表的なもの(例えば、平均値)をグラフにして画面に表示するとともに、抽出されたデータの詳細を表にまとめて画面に表示する。また、これらの表やグラフをまとめた結果データをダウンロードするためのインタフェースを併せて提供する。なお、画面に表示されなかった統計値を含めた統計結果の詳細を結果データに含めてもよい。
【0062】
ステップS34:ステップS20での検索におけるデータのヒット件数Fが0である場合には(ステップS26:No)、提示部25は、メッセージ表示処理を実行する。メッセージ表示処理では、提示部25は、指定された検索条件に該当する事例が存在しない旨、及び、ユーザに検索条件の変更を促す旨のメッセージを画面に表示する。
【0063】
図8:流動的検索モード〕
ステップS50,S52:情報検索部24は、入力受付部21が受け付けた情報から、ユーザにより選択された優先指標を取得し(ステップS50)、取得された優先指標を踏まえてデータベース10から検索条件に該当するデータを検索する(ステップS52)。
【0064】
ステップS54,S56:情報検索部24は、ステップS52での検索においてヒットしたデータの件数Fが検索結果の表示希望件数N以上であるか否かを確認する(ステップS54)。ヒット件数Fが表示希望件数N以上である場合には(ステップS54:Yes)、情報検索部24は、ユーザにより選択された並べ順によりデータを並べ替えて得られる上位N件のデータをデータベース10から抽出する(ステップS56)。一方、ヒット件数Fが表示希望件数Nに満たない場合には(ステップS54:No)、情報検索部24は、ステップS58を実行する。
【0065】
ステップS58:情報検索部24は、検索の途中経過として提示した画面において、ユーザにより自動推薦モードへの遷移が選択されたか否かを確認する。自動推薦モードへの遷移が選択されたことを確認した場合には(ステップS58:Yes)、情報検索部24は、連結記号Bを経てステップS70(図9)に進み、自動推薦モードに遷移する。一方、自動推薦モードへの遷移が選択されたことを確認できなかった場合、すなわち自動推薦モードへの遷移が選択されなかった場合には(ステップS58:No)、情報検索部24は、ステップS60を実行する。なお、自動推薦モードへの遷移に関してユーザに提示する画面については、別の図面を用いてさらに後述する。
【0066】
ステップS60,S62:情報検索部24は、ステップS52での検索においてヒットしたデータの件数Fが1以上であるか否かを確認する(ステップS60)。ヒット件数Fが1以上である場合には(ステップS60:Yes)、情報検索部24は、データベース10からヒットしたF件のデータを抽出する(ステップS62)。一方、ヒット件数Fが1に満たない場合、すなわちヒット件数Fが0である場合には(ステップS60:No)、情報検索部24は、ステップS68を実行する。
【0067】
ステップS64,S66:提示部25は、抽出データ統計処理を実行した上で(ステップS64)、表グラフ出力処理を実行する(ステップS66)。なお、抽出データ統計処理及び表グラフ出力処理の内容は、上述したステップS30,S32と同様である。
【0068】
ステップS68:ステップS52での検索におけるデータのヒット件数Fが0である場合には(ステップS60:No)、提示部25は、メッセージ表示処理を実行する。なお、メッセージ表示処理の内容は、上述したステップS34と同様である。
【0069】
図9:自動推薦モード〕
自動推薦モードは、流動的検索モードの一部である。自動推薦モードにおいては、情報検索部24は、優先指標の条件に関して緩和上限回数Mを限度として徐々に緩和させた検索条件により再検索を実行する。再検索は、データのヒット件数Fが表示希望件数N以上となるか、又は、緩和回数が緩和上限回数Mを超えるまで、繰り返し実行される。
【0070】
ステップS70,S72:情報検索部24は、緩和回数カウンタcに「0」をセットするとともに(ステップS70)、ユーザにより設定された緩和上限回数Mを取得する(ステップS72)。
【0071】
ステップS74:情報検索部24は、いずれかの優先指標が緩和可能(緩和先が未だ残されている状態)であり、かつ、緩和回数カウンタcが緩和上限回数Mに達していない場合には(ステップS74:Yes)、ステップS76を実行する。一方、全ての優先指標が緩和不可能(緩和先が残されていない状態)であるか、又は、緩和回数カウンタcが緩和上限回数Mに達している場合には(ステップS74:No)、連結記号Dを経てステップS60(図8)に進み、それ以降の手順を実行する。
【0072】
ステップS76~S80:情報検索部24は、優先指標の検索条件を1段階緩和して(ステップS76)、緩和回数カウンタに「1」を加算し(ステップS78)、ステップS76で緩和された優先指標に応じた検索条件によりデータベース10からデータを検索する(ステップS80)。なお、業種や地域の緩和については、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
【0073】
ステップS82:情報検索部24は、ステップS80での検索においてヒットしたデータの件数Fが検索結果の表示希望件数N以上であるか否かを確認する。ヒット件数Fが表示希望件数N以上である場合には(ステップS82:Yes)、情報検索部24は、連結記号Cを経てステップS56(図8)に進み、それ以降の手順を実行する。一方、ヒット件数Fが表示希望件数Nに満たない場合には(ステップS82:No)、情報検索部24は、ステップS74に戻り、それ以降の手順を繰り返す。
【0074】
省エネルギー計画支援システム1においては、以上のような手順に沿って検索時の処理が実行される。なお、厳密検索モード及び流動的検索モードのいずれにおいても、上位N件のデータをデータベース10から抽出する際に(図7中のステップS24、図8中のステップS56)、情報検索部24は、ユーザにより並べ順が指定された場合には、指定された並べ順を最優先としつつ、さらに予め定められた所定の並べ順により並べ替えを行った上で、上位N件のデータを抽出する。一方、ユーザにより並べ順が指定されなかった場合には、予め定められた所定の並べ順により並べ替えを行った上で、上位N件のデータを抽出する。
【0075】
〔用途の緩和〕
図10は、用途マスタ13の構造及び用途の緩和の一例を示す図である。
図10中(A)に示されるように、用途マスタ13においては、建物の用途が大分類、中分類、小分類の3つの階層に分類して管理されている。個々の物件に対しては、小分類のいずれかの用途が登録されている。なお、中分類「工場等」は、製造系の事業者の建物に関して用いられるものであり、その小分類として工場の属する業種が管理されている。そして、図3中(C)に示されるように、製造系の事例に関する画面においては、「用途」に代えて「業種」と表示され、その選択肢として、中分類「工場等」に該当する小分類の情報が表示される。
【0076】
用途を緩和する際には、用途の範囲が1段階ずつ上位の階層に拡張される。
例えば、図10中(B)に示されるように、検索開始時における物件の用途が「レストラン」の場合には、用途の範囲は、1回目の緩和で「レストラン」の1段階上位に該当する中分類「飲食店等」に拡張され、2回目の緩和で「飲食店等」の1段階上位に該当する大分類「全用途」に拡張される。また、例えば、図10中(C)に示されるように、検索開始時における物件の業種が「機械」の場合には、用途(業種)の範囲は、1回目の緩和で「機械」の1段階上位に該当する中分類「工場等」に拡張され、2回目の緩和で「工場等」の1段階上位に該当する大分類「全用途」に拡張される。最上位の階層が「全用途」であるため、用途をこれ以上緩和することは不可能である。すなわち、用途については、最大で2回の緩和が可能である。
【0077】
例えば、検索条件入力画面21w5(図5)において、[第1優先指標]として「業種」が選択され、[第2優先指標]として「地域」が選択されており、ユーザにより設定された緩和上限回数Mが「3」である状況において、自動推薦モードに遷移した場合を想定してみる。
【0078】
この場合には、先ず1回目の緩和(図9中のステップS76の1回目の実行)がなされ、第1優先指標である「業種」について1段階緩和した上でデータベース10の再検索がなされる。ここで、再検索におけるデータのヒット件数Fが表示希望件数Nに満たない場合には、2回目の緩和(ステップS76の2回目の実行)がなされ、「業種」についてさらに1段階緩和した上でデータベース10の再検索がなされる。ここでも依然として、再検索におけるデータのヒット件数Fが表示希望件数Nに満たない場合には、3回目の緩和(ステップS76の3回目の実行)がなされるが、「業種」についてはこれ以上の緩和が不可能であるため、3回目の緩和は、第2優先指標である「地域」についてなされることになる。
【0079】
〔地域の緩和〕
図11は、地域マスタ14の構造及び地域の緩和の一例を示す図である。
地域マスタ14においては、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下、「建築物省エネ法」と称する。)の建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令において定められた日本国内を8つの地域に分けてなる地域区分を、都道府県名、市区町村名、町域名から特定する上で必要となる情報が管理されている。
【0080】
8つの各地域区分には、図11中(A)の表中に示されたおおよその都道府県や、おおよその地方が該当している。「おおよそ」と記載したのは、地域区分が地形や気候の違いを踏まえて決定されていることから、同一の都道府県や同一の市町村であってもその中の地域により異なる地域区分に該当するケースが存在するためである。
【0081】
地域区分「1」及び「2」には、それぞれ主に北海道の異なる地域が該当しており(上述したように例外のケースが存在し、例えば、青森県や岩手県の一部の地域も「2」に該当しており、また北海道の一部の地域は「3」に該当している。例外のケースの存在は、他の地域区分においても同様。)、相互に隣接している。これと同様に、地域区分「3」及び「4」も相互に隣接しており、地域区分「5」及び「6」、「6」及び「7」も相互に隣接している。
【0082】
地域を緩和する際には、地域区分の該当範囲が隣接している地域(複数の地域に隣接している場合には、より関連性の高い地域又はより広い地域)に対応する地域区分まで1段階ずつ拡張される。例えば、図11中(B)に示されるように、1回目の緩和では、検索開始時における地域区分が「1」の場合には「2」が追加され、「2」の場合には「1」が追加され、「3」の場合には「4」が追加され、「4」の場合には「3」が追加され、「5」の場合には「6」が追加され、「6」の場合には「5」が追加され、「7」の場合には「6」が追加される。これに対し、検索開始時における地域区分が「8」、すなわち沖縄県の場合には、他の地域から離れており、いずれの地域とも関連性が低いため、1回目の緩和で地域の範囲が「全地域」まで拡張される。
【0083】
また、検索開始時における地域区分が「1」から「4」のいずれかの場合には、2回目の緩和で地域の範囲が「全地域」まで拡張される。一方、検索開始時における地域区分が「5」から「7」のいずれかの場合には、2回目の緩和で関連性のある地域区分がさらに追加された上で、3回目の緩和で地域の範囲が「全地域」まで拡張される。
【0084】
なお、上述した地域の緩和態様は、あくまで一例として示したものであり、これに限定されない。例えば、検索開始時における地域区分が「1」から「4」のいずれかの場合に、2回目の緩和で地域の範囲を「全地域」まで拡張するのに代えて、隣接している地域に対応する地域区分をさらに追加してもよいし、或いは、検索開始時における地域区分が「8」の場合に、1回目の緩和で地域の範囲を「全地域」まで拡張するのに代えて、最も近い地域に対応する地域区分「7」を追加してもよい。
【0085】
〔地域区分の特定の補助〕
図12は、検索条件入力画面21w5(図5)における地域の選択の流れの一例を示す図である。上述したように、正しい地域区分をユーザが直接指定することは困難であるため、検索条件入力画面21w5においては、ユーザによる地域等の選択に応じて、地域区分を特定する上で必要となる補助がなされる。
【0086】
例えば、[地域]のリストボックスから「北陸」が選択されると、図12中(A)に示されるように、その右側にリストボックスが追加され、北陸に該当する県が表示される。ここで「石川県」が選択されると、図12中(B)に示されるように、さらにその右側にリストボックスが追加され、石川県に該当する市町村及び「分からない」との選択肢が表示される。
【0087】
ここで、図12中(C-1)に示されるように、「加賀市」が選択された場合には、加賀市はその全域が地域区分「5」に該当するため、これ以上リストボックスは追加されない。一方、図12中(C-2)に示されるように、「白山市」が選択された場合には、例えば、旧吉野谷村の領域は地域区分「4」に該当し、旧鶴来町の領域は地域区分「5」に該当し、旧松任市の領域は地域区分「6」に該当する、というように、白山市内が複数の地域区分に分けられているため、右側にさらにリストボックスが追加される。
【0088】
また、図12中(C-3)に示されるように、市町村のリストボックスで「わからない」が選択された場合には、地域区分の選択画面21w6が出現し、石川県内の市町村についての各地域区分に該当する割合と、それぞれに対応する[選択]ボタンが表示される。市町村名からの選択が困難な場合は、地域区分の選択画面21w6に表示される割合を参考にして地域区分を選択することが可能である。
【0089】
そして、図12中(C-1)の場合や、図12中(C-2)において最も右側のリストボックスから、例えば「旧鶴来町」が選択された場合や、図12中(C-3)において「地域区分5」に対する[選択]ボタンが押下された場合には、図12中(D)に示されるように、[地域]の欄の下側に、「地域区分:5」との表示がなされ、内部的には、検索開始時の地域区分として「5」がセットされる。
【0090】
〔類似事例の抽出結果画面〕
図13は、類似事例の抽出結果画面の一例を示す図である。
説明の便宜のため、ここでは、ユーザにより設定された検索結果の希望表示件数Nが「20」である場合の一例を説明する。
【0091】
図13中(A):件数通知画面25w1の一例を示している。流動的検索モードでデータベース10の検索を実行した結果、データのヒット件数Fが表示希望件数Nに満たなかった場合には、件数通知画面25w1に移動し、ヒット件数Fが少ない旨、及び、自動推薦モードに進めば優先指標の条件を緩和した場合の検索結果を提示できる旨の説明とともに、自動推薦モードに進むか否かの選択を求める表示がなされる。この画面で、[はい]ボタンが押下されると、自動推薦モードに遷移して、優先指標の条件を緩和した上で再検索が実行される。
【0092】
図13中(B):抽出結果画面25w2の一例を示している。データベース10の検索及び抽出されたデータの統計処理が完了すると、抽出結果画面25w2に移動し、省エネルギー施策(例えば、「照明の間引き」、「設定温度の適正化」、「吐出圧の低減」、「蒸気圧力の適正化」、「エア漏れ対策」等)毎に、指標値(例えば、物件当たりの省エネ率、物件当たりの省エネ量)に関して算出された平均値がグラフで表示される。なお、平均値以外の統計値のグラフを併せて表示してもよい。
【0093】
また、抽出された上位20件のデータ(=統計処理の対象となったデータ)の詳細が、表にまとめて一覧表示される。さらに、[結果をエクスポート]ボタンの押下により、これらのグラフや表をデータファイルとしてエクスポートすることができる。
【0094】
なお、図13においては、流動的検索モードでの検索におけるデータのヒット件数Fが表示希望件数Nに満たなかった場合に自動推薦モードに遷移し、優先指標の条件を緩和して再検索が実行された場合に表示される結果抽出画面の一例を説明しているが、厳密検索モードにおいて、或いは、流動的検索モードにおいて自動推薦モードに遷移することなく上位N件のデータ又はヒットしたF件のデータが抽出された場合にも、図13中(B)と同様に構成された抽出結果画面が表示される。
【0095】
このように、省エネルギー計画支援システム1においては、類似する物件(建物)における省エネルギー施策に関する事例情報を抽出結果画面でまとめて確認することができるため、建物管理者であるユーザは、自身が管理する建物においてどのような省エネルギー施策が効果的であるかを判断し易く、省エネルギー施策毎にどのような目標値を設定すべきかを提示された統計値を参考にしながら検討することができる。したがって、ユーザは、この画面に表示された情報を参考にしながら建物の省エネルギー計画を立案することが可能となる。
【0096】
上述した実施形態の省エネルギー計画支援システム1によれば、以下のような効果が得られる。
(1)様々な用途の建物における省エネルギー施策に関する事例情報がデータベース10に蓄積され一元管理されるため、建物管理者であるユーザが、自身の管理する建物において省エネルギー施策を策定し、その建物の省エネルギー計画を立案する際に、事例情報を自力で様々なデータソースを当たって個別に探し出す必要がなく、データベース10から必要な情報を抽出することができる。
【0097】
(2)検索条件入力画面において比較の基準とする所定の建物を特定するための基本情報を入力すると、それに基づいて生成される検索条件によりデータベース10の検索がなされ、類似する建物における省エネルギー施策に関する事例情報が抽出され、また、さらなる情報(例えば、省エネ改善率、主要関連設備、年間エネルギー消費量等)を入力すると、これらの情報により事例情報をさらに絞り込むことができるため、ユーザが求めている情報を容易に抽出して参照することができる。
【0098】
(3)抽出結果画面においては、単に抽出データが表示されるだけでなく、抽出データについて省エネルギー施策毎に指標値(例えば、省エネ率や省エネ量等)に関する統計処理(例えば、平均値等の算出)がなされ、統計値のグラフ表示等の多様なデータの見せ方が用意されている。したがって、ユーザは、抽出結果画面の情報から、自身が管理する建物と要件が類似する建物における省エネルギー施策の事例を容易に確認することができ、自身が管理する建物においてどのような省エネルギー施策が効果的であるかを容易に判断することが可能となる。
【0099】
(4)複数の検索モードが用意されており、流動的検索モードでの検索においてデータのヒット件数Fが表示希望件数Nに満たなかった場合に自動推薦モードに遷移すると、優先指標の条件が緩和された状態でデータベース10の再検索がなされるため、ユーザが検索条件入力画面で改めて条件を入力し直す必要がなく、事例情報の検索を効率よく行うことができる。
【0100】
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
【0101】
上述した実施形態においては、アプリケーション20がウェブアプリケーションとしてサーバ上に実装されているが、これに代えて、ユーザが使用するクライアントコンピュータ上にアプリケーションを実装し、そのようなアプリケーションとデータベース10とが相互に通信するように、省エネルギー計画支援システム1を構成してもよい。
【0102】
上述した実施形態においては、地域区分として、建築物省エネ法に関する省令において定められた8つの地域区分を用いているが、これに代えて、他の方法により日本国内を複数に区分けした地域区分を用いてもよい。
【0103】
図3及び図4に示した事例の登録に関する画面、図5及び図6に示した事例の検索に関する画面、並びに、図13に示した事例の抽出結果に関する画面は、あくまで一例と示したものであり、これらとは異なる画面構成としてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 省エネルギー計画支援システム
10 データベース
20 アプリケーション
21 入力受付部 (受付手段)
22 情報登録部 (登録手段)
23 情報更新部 (更新手段)
24 情報検索部 (検索手段)
25 提示部 (提示手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13