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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170779
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ヒューズユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/175 20060101AFI20241204BHJP
   H01H 85/165 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H01H85/175
H01H85/165
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087491
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】望月 達弥
(72)【発明者】
【氏名】田沼 賢一
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BA00
5G502BB00
5G502CC46
5G502FF08
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上することができるヒューズユニットを提供する。
【解決手段】バッテリ3のバッテリポスト7に電気的に接続されるバッテリ端子9と、バッテリ端子9が電気的に接続され、過電流によって溶断するヒューズを有するヒュージブルリンク11と、バッテリ3に取り付けられ、バッテリ端子9が組付けられたヒュージブルリンク11が配置される取付部材13とを備えたヒューズユニット1において、ヒュージブルリンク11を、取付部材13に対して、バッテリ3のバッテリポスト7が突出された平面と平行な平面方向に移動可能に配置した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子と、
前記バッテリ端子が電気的に接続され、過電流によって溶断するヒューズを有するヒュージブルリンクと、
前記バッテリに取り付けられ、前記バッテリ端子が組付けられた前記ヒュージブルリンクが配置される取付部材と、
を備え、
前記ヒュージブルリンクは、前記取付部材に対して、前記バッテリの前記バッテリポストが突出された平面と平行な平面方向に移動可能に配置されているヒューズユニット。
【請求項2】
前記取付部材には、前記ヒュージブルリンクが移動したときに、前記ヒュージブルリンクと当接可能な規制部が設けられている請求項1に記載のヒューズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズユニットとしては、バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子と、バッテリ端子が電気的に接続され、過電流によって溶断するヒューズを有するヒュージブルリンクとを備えている。また、バッテリに取り付けられ、バッテリ端子が組付けられたヒュージブルリンクが配置される取付部材としてのプロテクタを備えたものが知られている(特許文献1参照)。このヒューズユニットでは、プロテクタが、バッテリに取り付けられる。プロテクタには、バッテリ端子とヒュージブルリンクとが配置され、バッテリ端子とヒュージブルリンクとが電気的に接続される。バッテリ端子は、バッテリのバッテリポストに電気的に接続され、バッテリ端子を介してバッテリとヒュージブルリンクとが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6643889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のようなヒューズユニットでは、取付部材に対して、ヒュージブルリンクが移動することがないように固定されている。取付部材に固定されたヒュージブルリンクは、バッテリ端子をバッテリポストに電気的に接続することにより、バッテリに電気的に接続される。このため、バッテリポストの位置が異なる場合には、ヒューズユニットをバッテリに組付けることができず、新たにバッテリ端子と取付部材とを設計する必要があり、汎用性が低下していた。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、汎用性を向上することができるヒューズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るヒューズユニットは、バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子と、前記バッテリ端子が電気的に接続され、過電流によって溶断するヒューズを有するヒュージブルリンクと、前記バッテリに取り付けられ、前記バッテリ端子が組付けられた前記ヒュージブルリンクが配置される取付部材とを備え、前記ヒュージブルリンクは、前記取付部材に対して、前記バッテリの前記バッテリポストが突出された平面と平行な平面方向に移動可能に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、汎用性を向上することができるヒューズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るヒューズユニットの斜視図である。
図2】本実施形態に係るヒューズユニットの上面図である。
図3】本実施形態に係るヒューズユニットをバッテリに組付けるときの斜視図である。
図4】本実施形態に係るヒューズユニットをバッテリに組付けるときの側面図である。
図5】本実施形態に係るヒューズユニットをバッテリに組付けたときの側面図である。
図6】本実施形態に係るヒューズユニットの分解斜視図である。
図7】本実施形態に係るヒューズユニットのヒュージブルリンクの斜視図である。
図8】本実施形態に係るヒューズユニットのヒュージブルリンクの上面図である。
図9】本実施形態に係るヒューズユニットの取付部材の斜視図である。
図10】本実施形態に係るヒューズユニットの取付部材の上面図である。
図11】本実施形態に係るヒューズユニットのヒュージブルリンクが取付部材に対して平面方向の左上に移動したときの上面図である。
図12】本実施形態に係るヒューズユニットのヒュージブルリンクが取付部材に対して平面方向の右上に移動したときの上面図である。
図13】本実施形態に係るヒューズユニットのヒュージブルリンクが取付部材に対して平面方向の左下に移動したときの上面図である。
図14】本実施形態に係るヒューズユニットのヒュージブルリンクが取付部材に対して平面方向の右下に移動したときの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るヒューズユニットについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るヒューズユニット1は、例えば、車両に搭載されたバッテリ3に適用される。ヒューズユニット1は、バッテリ3と、車両に搭載された電気部品(不図示)との間に配置され、過電流が流れたときに、バッテリ3から電気部品への電力の供給を遮断し、電気部品を保護する。
【0011】
図1図5に示すように、バッテリ3は、直方体状に形成され、上面の隅部に上面から一段低くなるように切り欠かれて形成された凹所5が設けられている。バッテリ3の凹所5内には、底面から上方に向けて突出されたバッテリポスト7が設けられている。バッテリポスト7には、ヒューズユニット1が電気的に接続される。
【0012】
図1図10に示すように、ヒューズユニット1は、バッテリ端子9と、ヒュージブルリンク11と、取付部材13とを有する。
【0013】
図1図3図6に示すように、バッテリ端子9は、導電性材料からなり、リンク接続部15と、バッテリ接続部17とを備えている。
【0014】
リンク接続部15は、バッテリ端子9の一端側に上方に向けて突出されたスタッドボルトからなる。リンク接続部15は、ヒュージブルリンク11と電気的に接続され、バッテリ端子9をヒュージブルリンク11に電気的に接続させる。
【0015】
バッテリ接続部17は、バッテリポスト7を挿通可能な孔部を有し、端部に挿通されたボルトを締め付けることにより、孔部の径が縮径される。バッテリ接続部17は、孔部にバッテリポスト7を挿通した状態で、ボルトを締め付けることにより、バッテリポスト7に電気的に接続される。バッテリ接続部17をバッテリポスト7に電気的に接続することにより、ヒュージブルリンク11がバッテリ端子9を介してバッテリ3に電気的に接続される。
【0016】
図1図3図6図8に示すように、ヒュージブルリンク11は、過電流によって溶断するヒューズ(不図示)が設けられた導電性材料からなるヒューズエレメントが合成樹脂によってモールド成形され、長方形状に形成されている。ヒュージブルリンク11のヒューズが位置する部分は、ヒューズの状態を確認可能な開口が設けられ、開口がカバー19によって閉塞されている。ヒュージブルリンク11は、端子接続部21と、部品接続部23とを備えている。
【0017】
端子接続部21は、ヒュージブルリンク11の長手方向の一側に設けられている。端子接続部21は、合成樹脂から露出するヒューズエレメントを貫通する孔部からなる。端子接続部21には、バッテリ端子9のリンク接続部15が挿通され、リンク接続部15にナットを締結することにより、ヒュージブルリンク11とバッテリ端子9とを電気的に接続する。
【0018】
部品接続部23は、ヒュージブルリンク11の長手方向の中央部に複数(ここでは5つ)設けられると共に、ヒュージブルリンク11の長手方向の他側に複数(ここでは3つ)設けられている。複数の部品接続部23の間は、合成樹脂からなる区画壁によって、絶縁性が保持されている。部品接続部23は、合成樹脂から露出するヒューズエレメントの表面から上方に向けて突出されたスタッドボルトからなる。部品接続部23には、例えば、電気部品に電気的に接続された電線の端末部に設けられた端子が挿通され、ナットを締結することにより、電気部品と電気的に接続される。部品接続部23に電気部品を電気的に接続することにより、バッテリ3と電気部品とがヒュージブルリンク11を介して電気的に接続される。
【0019】
ヒュージブルリンク11は、バッテリ3の電力を、それぞれの電気部品に供給する。このとき、ヒューズエレメントに過電流が入力されると、ヒューズが溶断し、バッテリ3と電気部品との間の電力供給を遮断し、電気部品を保護する。バッテリ端子9が組付けられたヒュージブルリンク11は、取付部材13に配置される。
【0020】
図1図6図9図10に示すように、取付部材13は、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、ヒュージブルリンク11を収容可能な長方形の筐体状に形成されている。取付部材13の上面側は、バッテリ端子9及びヒュージブルリンク11を収容可能に開口されている。取付部材13の上面側の開口は、カバー(不図示)によって閉塞される。取付部材13には、カバーの組付状態を保持する複数のカバー係止部(不図示)が設けられている。取付部材13の下面側には、バッテリ3に設けられた被係止部27に係合される複数のバッテリ係止部29が設けられている。バッテリ係止部29を被係止部27に係合させることにより、取付部材13がバッテリ3に対して移動することがなく、バッテリ3に対する取付部材13の組付状態を保持することができる。取付部材13は、リンク配置部31と、端子配置部33と、規制部35とを備えている。
【0021】
リンク配置部31は、端子配置部33と隣接して配置され、端子配置部33より上方の位置に設けられている。リンク配置部31には、ヒュージブルリンク11の部品接続部23が配置される。リンク配置部31に配置されたヒュージブルリンク11の部品接続部23は、リンク配置部31において、バッテリ3のバッテリポスト7が突出された平面と平行な平面方向に移動可能となっている。
【0022】
端子配置部33は、リンク配置部31と隣接して配置され、リンク配置部31より下方の位置に設けられている。端子配置部33には、ヒュージブルリンク11の端子接続部21と、端子接続部21に組付けられたバッテリ端子9とが配置される。端子配置部33に配置されたヒュージブルリンク11の端子接続部21とバッテリ端子9とは、端子配置部33において、バッテリ3のバッテリポスト7が突出された平面と平行な平面方向に移動可能となっている。端子配置部33の底面には、バッテリ3のバッテリポスト7が挿通される孔部37が設けられている。孔部37の大きさは、バッテリポスト7の位置が異なっていても、バッテリポスト7を挿通可能なように、バッテリポスト7の外径より大きく設定されている。端子配置部33には、取付部材13がバッテリ3に取り付けられた状態で、孔部37を挿通してバッテリポスト7が配置される。端子配置部33に配置されたバッテリポスト7には、バッテリ端子9のバッテリ接続部17が電気的に接続される。
【0023】
規制部35は、取付部材13の外縁を区画する周壁に複数箇所(ここでは4箇所)設けられている。複数の規制部35は、長方形状のヒュージブルリンク11に対して、少なくとも4つの全ての側面と対向する位置に設けられている。規制部35は、取付部材13において、ヒュージブルリンク11が平面方向に移動したとき、ヒュージブルリンク11の側面と当接する。規制部35とヒュージブルリンク11との当接により、ヒュージブルリンク11が平面方向にそれ以上移動することがなく、ヒュージブルリンク11の移動を規制することができる。このため、バッテリポスト7に対して、バッテリ端子9が移動することを規制することができ、バッテリ3とバッテリ端子9との電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0024】
取付部材13に配置されたバッテリ端子9が組付けられたヒュージブルリンク11は、バッテリ3のバッテリポスト7が突出された平面と平行な平面方向に移動可能となっている。バッテリポスト7の位置が異なっている場合には、取付部材13に対して、ヒュージブルリンク11を移動させることにより、バッテリ端子9をバッテリポスト7に電気的に接続することができる。このため、新たにバッテリ端子9と取付部材13とを設計する必要がなく、バッテリポスト7の位置が異なる複数のバッテリ3に対して、同じヒューズユニット1を組付けることができ、汎用性を向上することができる。
【0025】
例えば、図11に示すように、バッテリ3に対するバッテリポスト7の位置が左上に位置している場合には、取付部材13に対して、ヒュージブルリンク11を平面方向の左上に位置するように移動させる。このとき、ヒュージブルリンク11の側面は、取付部材13の左側に位置する規制部35と、上側に位置する規制部35とに当接され、それ以上のヒュージブルリンク11の移動が規制される。
【0026】
図12に示すように、バッテリ3に対するバッテリポスト7の位置が右上に位置している場合には、取付部材13に対して、ヒュージブルリンク11を平面方向の右上に位置するように移動させる。このとき、ヒュージブルリンク11の側面は、取付部材13の右側に位置する規制部35と、上側に位置する規制部35とに当接され、それ以上のヒュージブルリンク11の移動が規制される。
【0027】
図13に示すように、バッテリ3に対するバッテリポスト7の位置が左下に位置している場合には、取付部材13に対して、ヒュージブルリンク11を平面方向の左下に位置するように移動させる。このとき、ヒュージブルリンク11の側面は、取付部材13の左側に位置する規制部35と、下側に位置する規制部35とに当接され、それ以上のヒュージブルリンク11の移動が規制される。
【0028】
図14に示すように、バッテリ3に対するバッテリポスト7の位置が右下に位置している場合には、取付部材13に対して、ヒュージブルリンク11を平面方向の右下に位置するように移動させる。このとき、ヒュージブルリンク11の側面は、取付部材13の右側に位置する規制部35と、下側に位置する規制部35とに当接され、それ以上のヒュージブルリンク11の移動が規制される。
【0029】
このようなヒューズユニット1では、バッテリ3のバッテリポスト7に電気的に接続されるバッテリ端子9と、バッテリ端子9が電気的に接続され、過電流によって溶断するヒューズを有するヒュージブルリンク11とを備えている。また、バッテリ3に取り付けられ、バッテリ端子9が組付けられたヒュージブルリンク11が配置される取付部材13を備えている。そして、ヒュージブルリンク11は、取付部材13に対して、バッテリ3のバッテリポスト7が突出された平面と平行な平面方向に移動可能に配置されている。
【0030】
バッテリポスト7の位置が異なっている場合には、取付部材13に対して、ヒュージブルリンク11を移動させることにより、バッテリ端子9をバッテリポスト7に電気的に接続することができる。このため、新たにバッテリ端子9と取付部材13とを設計する必要がなく、バッテリポスト7の位置が異なる複数のバッテリ3に対して、同じヒューズユニット1を組付けることができ、汎用性を向上することができる。
【0031】
従って、このようなヒューズユニット1では、汎用性を向上することができる。
【0032】
また、取付部材13には、ヒュージブルリンク11が移動したときに、ヒュージブルリンク11と当接可能な規制部35が設けられている。
【0033】
このため、バッテリポスト7に対して、バッテリ端子9が移動することを規制することができ、バッテリ3とバッテリ端子9との電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0034】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0035】
例えば、取付部材に、ヒュージブルリンクが、取付部材から浮き上がることを防止する係止部を設けてもよい。この係止部は、例えば、ヒュージブルリンクの上面に対向する突起を有し、突起の突出長さを、ヒュージブルリンクの移動範囲において、常に、ヒュージブルリンクの上面と対向するように設定すればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ヒューズユニット
3 バッテリ
7 バッテリポスト
9 バッテリ端子
11 ヒュージブルリンク
13 取付部材
35 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14