IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-便器装置 図1
  • 特開-便器装置 図2
  • 特開-便器装置 図3
  • 特開-便器装置 図4
  • 特開-便器装置 図5
  • 特開-便器装置 図6
  • 特開-便器装置 図7
  • 特開-便器装置 図8
  • 特開-便器装置 図9
  • 特開-便器装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170784
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087499
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆史
(72)【発明者】
【氏名】福田 遼
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】和田 晃輝
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AC01
2D039AC03
2D039AC04
2D039CA00
2D039FA01
(57)【要約】
【課題】壁体の強度に関わらず、便器本体を浮かせたような外観で設置可能でありながらも、施工性を向上し得る便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置1は、ボウル部11を有する便器本体10と、該便器本体の前方側底面12cと床2との間に空間が形成されるように、奥行寸法D2が前記便器本体の奥行寸法D1よりも小とされ、かつ上端側に載置されて固定される前記便器本体を支持し前記床に固定される土台20と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部を有する便器本体と、該便器本体の前方側底面と床との間に空間が形成されるように、奥行寸法が前記便器本体の奥行寸法よりも小とされ、かつ上端側に載置されて固定される前記便器本体を支持し前記床に固定される土台と、を備えていることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記土台の前方側面は、下方側に向かうに従い後方側となる傾斜面であることを特徴とする便器装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記土台は、前記便器本体の幅方向両側の底面と前記床との間に空間が形成されるように、幅寸法が前記便器本体の幅寸法よりも小であることを特徴とする便器装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記土台の幅方向両側面は、下方側に向かうに従い幅方向中央側となる傾斜面であることを特徴とする便器装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記便器本体の前方側には、前方側面を伝う液体の下方側への伝いを抑制する伝い抑制部が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記伝い抑制部は、前記土台の前方側上端縁に沿うように設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項7】
請求項1または2において、
前記便器本体の排水側と前記床側の排水管とを接続する排水ソケットが前記土台内に設置されることを特徴とする便器装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記土台は、前記排水管の幅方向両側に配される両側の側部フレーム部、前記排水管の前方側に配される前フレーム部及び前記排水管の後方側に配される後フレーム部を有し、前記床に固定されるフレームを備えており、
前記排水ソケットは、その一部が前記両側の側部フレーム部、前記前フレーム部及び前記後フレーム部のうちの少なくとも一つに重ねられて設置されることを特徴とする便器装置。
【請求項9】
請求項1または2において、
前記土台は、前記便器本体を支持し前記床に固定されるフレームと、このフレームを覆い当該土台の外側化粧面を構成するカバーと、該カバーを透過させて光を照射する光源と、を備えていることを特徴とする便器装置。
【請求項10】
請求項1または2において、
前記土台内に設けられた送風機からの空気を吹き出す吹出口が当該土台の外側面において開口するように設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項11】
請求項1または2において、
前記土台には、上端側に載置されて後方側に移動される前記便器本体の前後位置を位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする便器装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記便器本体の後端部には、壁側の排水管に接続される配管接合部が設けられ、この配管接合部は、前記土台の上端側に載置された前記便器本体が後方側に移動されて前記位置決め部に位置決めされた状態で前記壁側の排水管に接続されることを特徴とする便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、床から浮かせた状態で壁面に設置される壁掛式の便器が知られている。このような便器を設置するためには、建物のトイレ室を区画する壁体等の内部に便器を支持し固定するための下地等を設ける必要があった。
例えば、下記特許文献1には、床上に配置されるベース部と、このベース部から立ち上がるとともに便器が固定される便器受け部と、を有した支持フレームを備えた便器装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-54869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された便器装置では、壁部の前方に配置される支持フレームの便器受け部に便器を固定することができるので、壁部内に下地等を設ける必要はない。しかしながら、便器を保持しながら便器の後壁部を支持フレームの便器受け部に掛けた状態で固定する必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、壁体の強度に関わらず、便器本体を浮かせたような外観で設置可能でありながらも、施工性を向上し得る便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る便器装置は、ボウル部を有する便器本体と、該便器本体の前方側底面と床との間に空間が形成されるように、奥行寸法が前記便器本体の奥行寸法よりも小とされ、かつ上端側に載置されて固定される前記便器本体を支持し前記床に固定される土台と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る便器装置は、上述のような構成としたことで、壁体の強度に関わらず、便器本体を浮かせたような外観で設置可能でありながらも、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)、(b)は、本開示の一実施形態に係る便器装置の一例を模式的に示し、(a)は、概略斜視図、(b)は、概略正面図である。
図2】同便器装置の概略側面図である。
図3】(a)、(b)は、同便器装置の施工手順の一例を模式的に示し、(a)は、概略分解斜視図、(b)は、概略平面図である。
図4】同施工手順の一例を模式的に示す概略分解斜視図である。
図5】同施工手順の一例を模式的に示す一部破断概略分解側面図である。
図6】(a)~(d)は、同便器装置の変形例を模式的に示す一部破断概略斜視図である。
図7】(a)~(c)は、同便器装置の変形例を模式的に示し、(a)、(c)は、概略斜視図、(b)は、概略側面図である。
図8】同便器装置の変形例を模式的に示す一部破断概略側面図である。
図9】(a)は、同便器装置の概略斜視図、(b)は、同便器装置の施工手順の一例を模式的に示す一部省略概略斜視図である。
図10】同施工手順の一例を模式的に示す一部破断概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の実施形態では、本実施形態に係る便器装置の一例を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。また、設置された便器装置に対して立位使用状態で対面した使用者を基準として、手前側を前方、その逆側を後方(奥方)とし、また、便器の奥行方向(前後方向)及び上下方向に直交する方向を便器の幅方向として説明する。
【0010】
図1図10は、本実施形態に係る便器装置の一例及び変形例並びに便器装置の設置方法の施工手順の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る便器装置1は、図5に示すように、ボウル部11を有する便器本体10を備えている。便器装置1は、図2に示すように、上端側に載置されて固定される便器本体10を支持し床2に固定される土台20を備えている。土台20は、便器本体10の前方側底面12cと床2との間に空間が形成されるように、奥行寸法D2が便器本体10の奥行寸法D1よりも小とされている。このような構成とすれば、便器本体10の前方側底面12cと床2との間に空間が形成されるので、便器本体10を浮かせたような外観で、言わばフロート状に設置することができる。また、便器本体10を土台20に載置して固定することができるので、壁3の強度に関わらず、当該便器装置1を設置することができ、また、便器本体10を保持した状態で壁3側の受け部等に固定する必要がなく、施工性を向上させることができる。
【0011】
土台20は、図1(b)に示すように、本実施形態では、便器本体10の幅方向両側の底面(側部底面)12d,12dと床2との間に空間が形成されるように、幅寸法W2が便器本体10の幅寸法W1よりも小とされている。このような構成とすれば、真正面上方側からではなく幅方向一方側の斜め正面上方側から見た場合にも土台20を目立ち難くすることができ、よりフロート状の外観を呈することができる。
【0012】
具体的には、便器装置1は、図1(a)、(b)及び図2に示すように、腰掛式(いわゆる洋式)とされている。
便器本体10には、上方側に向けて開口するようにすり鉢状とされたボウル部11の開口を開閉する便蓋14が設けられている。また、便器本体10には、ボウル部11の上端周縁部に載置される適宜の便座が設けられている。便座及び便蓋14は、便器本体10の後端側に設けられたそれぞれの軸回りに起倒自在(回転自在)とされていてもよい。便器本体10には、便座を起倒させる便座駆動部や、便蓋14を開閉する便蓋駆動部等が設けられていてもよい。また、便器本体10には、ボウル部11内にオゾン水や次亜塩素酸水等の除菌水を供給する除菌水供給装置や、ボウル部11内を脱臭する脱臭装置、便座を温める加熱装置、局部を洗浄する局部洗浄装置等の各種機能装置や機構部材が設けられていてもよい。便器装置1に、人体検知センサーや着座センサー等の各種センサーを設けた構成としてもよく、上記した各種機能装置を操作する操作部としてのリモコン装置や、リモコン装置の各種信号の送受信を可能とする送受信装置等を設けた構成としてもよい。
【0013】
また、便器装置1には、水道管等の給水管に接続される給水機構や、床2側の排水管(床排水管)4に接続される排水機構等が設けられている。
給水機構は、給水管に接続された洗浄水供給管を介してボウル部11に洗浄水を供給する構成とされている。このような給水機構は、ボウル部11の上端周縁部に周方向に沿って延びるように、かつ下方側に溝部が形成されるように径方向内側に向けて突出するように設けられたリム部の溝部に沿わせるように洗浄水を給水し、ボウル部11を洗浄する構成とされていてもよい。洗浄水供給管には、当該洗浄水供給管を開閉し、洗浄水を供給または遮断する適宜の給水弁等が設けられていてもよい。図例では、便器装置1を、水洗タンク(ロータンク)を備えていない、いわゆるタンクレスタイプとした例を示しているが、水洗タンクを備えた構成としてもよい。
【0014】
排水機構は、本実施形態では、ボウル部11の底部に設けられた排水口に接続された筒状トラップ11a(図6(c)及び図8等参照)をトラップ駆動部によって回動させて排水及び封水する構成とされたいわゆる機械式排出機構とされている。便器本体10には、筒状トラップ11aを収容するトラップケース15が設けられている。このトラップケース15の下面側板部には、床排水管4側となる下方側に向けて排水する排水口16が設けられている。排水機構としては、このような構成に限られず、サイホン式やサイホンゼット式、サイホンボルテックス式、ネオボルテックス式、洗い落とし式等の他の排水機構を採用するようにしてもよい。
また、便器装置1には、給水機構を作動させて洗浄水をボウル部11に供給する洗浄操作部が設けられている。このような洗浄操作部としては、リモコン装置に設けられた操作ボタンやレバー等に限られず、人体検知センサーや着座センサー等の各種センサーを洗浄操作部として把握、つまり、検知有無を操作と把握するような態様としてもよい。この給水機構の洗浄操作がなされれば、ボウル部11のリム部に沿うように洗浄水が供給され、ボウル部11内面の洗浄がなされる。
【0015】
便器本体10には、図1(a)、(b)及び図2に示すように、当該便器本体10の外周面を構成するスカート部12がボウル部11の周囲を囲むように設けられている。このスカート部12は、図4に示すように、幅方向両側または幅方向一方側の後端側部分が便器本体10に対して着脱自在とされていてもよい。このスカート部12の後端側部分を便器本体10から取り外すことで便器本体10内の各種機構のメンテナンス等が可能とされていてもよい。
このスカート部12の前方側に向く前方側面が便器本体10の前方側面12aを構成し、幅方向外側に向く両側の側面が便器本体10の幅方向両側の幅方向側面12b,12bを構成する。
【0016】
前方側面12aは、平面視して幅方向外側に向かうに従い後方側となるように湾曲する突湾曲面状とされ、その幅方向両側が幅方向両側の幅方向側面12b,12bに連なるように形成されている。また、前方側面12aは、下方側に向かうに従い後方側となる傾斜面状に形成されている。図例では、前方側面12aは、側面視して突湾曲面状とされている。
幅方向側面12b,12bは、下方側に向かうに従い幅方向中央側となるように傾斜する傾斜面状に形成されている。
便器本体10の前方側底面12cは、下方側となる床2側に向くように形成されている。この前方側底面12cは、前方側面12aの下端側に連なるように設けられている。図例では、前方側底面12cの前方側部位を、突湾曲面状とし、後方側部位を、略真下方向に向く略水平面状とした例を示しているが、前方側底面12cを、全体に亘って略水平面状としたり、全体に亘って突湾曲面状としたりしてもよい。
【0017】
便器本体10の幅方向両側の側部底面12d,12dは、下方側となる床2側に向くように形成されている。これら側部底面12d,12dは、前方側底面12cの幅方向両側に連なるように形成されている。これら側部底面12d,12dと前方側底面12cとは、互いに略同高さとなるように形成されている。
また、これら側部底面12d,12dは、幅方向側面12b,12bの下端側に連なるように設けられている。図例では、これら側部底面12d,12dの幅方向外側部位を、突湾曲面状とし、幅方向中央側部位を、略真下方向に向く略水平面状とした例を示しているが、側部底面12d,12dを、全体に亘って略水平面状としたり、全体に亘って突湾曲面状としたりしてもよい。
この便器本体10は、略全体が陶器製でもよいが、本実施形態では、図5及び図9に示すように、有機ガラス等の合成樹脂製のボウル部11やスカート部12等を含み、各種機構部等を保持する金属製の本体フレーム17を備えている。なお、図9(b)では、便器本体10(10C)における本体フレーム17以外の各部の図示を省略している。
【0018】
土台20は、便器本体10を床2から浮かせるように便器本体10と床2との間に配設される。
本実施形態では、土台20の前方側面21aは、下方側に向かうに従い後方側となる傾斜面とされている。このような構成とすれば、便器本体10の底面側を支持する部位を前方側に大きくすることが可能でありながらも、土台20の前方側の下端側部位を目立ち難くすることができる。つまり、土台20の前方側面21aは、下方側に向かうに従い後退するように形成されている。
また、本実施形態では、土台20の幅方向両側面(幅方向側面)21b,21bは、下方側に向かうに従い幅方向中央側となる傾斜面とされている。このような構成とすれば、便器本体10の底面側を支持する部位を幅方向両側に大きくすることが可能でありながらも、土台20の幅方向両側の下端側部位を目立ち難くすることができる。つまり、土台20は、その上端側から下端側に向かうに従い幅寸法が小とされている。
【0019】
また、本実施形態では、土台20には、図4に示すように、上端側に載置されて後方側に移動される便器本体10の前後位置を位置決めする位置決め部26aが設けられている。このような構成とすれば、便器本体10を土台20に載せ置き、後方側に移動させることで便器本体10を適切な前後位置に位置決めすることができ、施工性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、土台20内には、図4及び図5に示すように、便器本体10の排水側と床排水管4とを接続する排水ソケット6が設置される。このような構成とすれば、排水ソケット6を目立ち難くすることができる。
また、本実施形態では、土台20は、便器本体10を支持し床2に固定されるフレーム(土台フレーム)23と、この土台フレーム23を覆い当該土台20の外側化粧面を構成するカバー21と、を備えている。このような構成とすれば、土台フレーム23を床2に固定するボルト等の固着具をカバー21によって覆うことができる。
【0020】
また、本実施形態では、土台フレーム23は、図3(a)、(b)に示すように、床排水管4の幅方向(便器装置1の幅方向と同方向)両側に配される両側の側部フレーム部24b,24b、床排水管4の前方側に配される前フレーム部24a及び床排水管4の後方側に配される後フレーム部24cを有している。排水ソケット6は、その一部が両側の側部フレーム部24b,24b、前フレーム部24a及び後フレーム部24cのうちの少なくとも一つに重ねられて設置される。このような構成とすれば、土台20(土台フレーム23)の幅寸法及び奥行寸法のうちの一方または両方を効果的に小さくすることができる。つまり、排水ソケット6の必要寸法を確保しながらも、その一部が両側の側部フレーム部24b,24b、前フレーム部24a及び後フレーム部24cのうちの少なくとも一つに重ねられて設置されるので、土台20(土台フレーム23)の幅寸法及び奥行寸法のうちの一方または両方を小さくすることができる。
【0021】
具体的には、排水ソケット6は、図3(a)に示すように、便器本体10のトラップケース15の排水口16(図6(c)等参照)に接続される上流側接続部6aと、床排水管4に接続される下流側接続部6bと、を備えている。上流側接続部6aは、排水ソケット6の上流側開口の周囲にフランジ状に設けられている。下流側接続部6bは、床排水管4内に差し込まれる筒状とされている。この下流側接続部6bの上方側部位には、全周に亘って径方向外側に向けて突出するようにフランジ部6cが形成されている。
図例では、排水ソケット6は、上流側開口よりも下流側開口が前方側に位置するように屈曲状に形成された例を示しているが、このような形状に限られない。
【0022】
土台フレーム23は、床2上に載置され、床2に固定される床側フレーム24を備えている。両側の側部フレーム部24b,24b、前フレーム部24a及び後フレーム部24cは、この床側フレーム24を構成する。これら側部フレーム部24b,24bは、前後方向に延びる長尺状とされている。これら側部フレーム部24b,24bは、厚さ方向が上下方向となるように配され、床2に沿うように配される床側片部と、各床側片部の幅方向外側縁部から立ち上がるように設けられた立上片部と、を備えている。図3(b)に示すように、これら側部フレーム部24b,24bの床側片部上に、上記した排水ソケット6のフランジ部6cの便器幅方向両側部位が重ねられて設置される。このような構成とすれば、土台20(土台フレーム23)の幅寸法を効果的に小さくすることができる。これら側部フレーム部24b,24bは、L字状(アングル状)の形材でもよい。これら側部フレーム部24b,24bは、前後方向に長さ調整可能な構成とされていてもよい。図例では、これら側部フレーム部24b,24bは、前後方向に分割された部分同士の重ね合わせ代を調整することで長さ調整可能とされている。
【0023】
前フレーム部24aは、両側の側部フレーム部24b,24bの前端部同士を接続するように、かつ便器幅方向に延びる長尺状とされている。後フレーム部24cは、両側の側部フレーム部24b,24bの後端部同士を接続するように、かつ便器幅方向に延びる長尺状とされている。つまり、床側フレーム24は、床排水管4の前後両側及び幅方向両側の四周を囲むように額縁状に形成されている。
前フレーム部24a及び後フレーム部24cは、側部フレーム部24b,24bと同様、厚さ方向が上下方向となるように配され、床2に沿うように配される床側片部と、各床側片部の前後方向外側縁部から立ち上がるように設けられた立上片部と、を備えている。図例では、前フレーム部24aの床側片部上に、上記した排水ソケット6のフランジ部6cの前端側部位が重ねられて設置される例を示している。このような構成とすれば、土台20(土台フレーム23)の奥行寸法を効果的に小さくすることができる。前フレーム部24a及び後フレーム部24cは、L字状(アングル状)の形材でもよい。
【0024】
前フレーム部24a及び後フレーム部24cは、便器幅方向に長さ調整可能な構成とされていてもよい。図例では、前フレーム部24a及び後フレーム部24cは、便器幅方向に分割された部分同士の重ね合わせ代を調整することで長さ調整可能とされている。
上記した床側フレーム24は、ボルト等の適宜の固着具によって床2に固定されてもよい。図例では、床側フレーム24を床2に固定する固着具を、前フレーム部24a及び後フレーム部24cの各床側片部を貫通させた例を示しているが、このような態様に代えて、または加えて、側部フレーム部24b,24bの各床側片部を貫通させた構成としてもよい。また、図例では、排水ソケット6のフランジ部6cの一部が前フレーム部24a及び両側の側部フレーム部24b,24bに重ねられて設置される例を示したが、このような例に限られず、後フレーム部24cにも重ねられて設置されてもよく、これらのうちの少なくとも一つに重ねられて設置されてもよい。更には、排水ソケット6の一部が床側フレーム24上に重ねられない構成でもよい。
【0025】
土台フレーム23は、床2に固定される床側フレーム24に加え、便器本体10を支持する支持フレーム(25,26)を備えている。図例では、支持フレーム(25,26)は、床側フレーム24の四隅からそれぞれ立ち上がるように設けられている。支持フレーム(25,26)は、床側フレーム24の前側の2つの隅部から立ち上がる前側支持フレーム25,25と、床側フレーム24の後側の2つの隅部から立ち上がる後側支持フレーム26,26と、を含む。図例では、前側支持フレーム25,25を、L字状(アングル状)の形材とし、後側支持フレーム26,26を、コ字状(チャンネル状)の形材とした例を示しているが、このような形状に限られない。また、図例では、後側支持フレーム26,26の上端部に、便器幅方向外側に向けて突出し、厚さ方向が上下方向となる支持片部が設けられた例を示している。
【0026】
位置決め部26aは、便器本体10側に設けられた被位置決め部19aを係合させることで、便器本体10の前後位置に加えて、幅方向の位置決めも可能とされている。この位置決め部26aは、土台フレーム23に設けられている。本実施形態では、両側の後側支持フレーム26,26のそれぞれに位置決め部26a,26aが設けられている。これら位置決め部26a,26aは、後側支持フレーム26,26の支持片部の便器幅方向外側端部から上方側に向けて突出するように設けられている。図例では、これら位置決め部26a,26aは、軸方向が上下方向となるように配される突起状とされている。これら位置決め部26a,26aは、雄ねじ部でもよい。
土台フレーム23としては、上記のような形状に限られず、その他、種々の形状とされていてもよい。また、土台フレーム23は、適宜の金属製でもよい。
【0027】
便器本体10には、図4に示すように、これら位置決め部26a,26aに係合する被位置決め部19a,19aが設けられている。便器本体10の被位置決め部19a,19aは、本体フレーム17に設けられている。
本体フレーム17は、上記した土台フレーム23に連結固定される。この本体フレーム17は、図5及び図9(a)、(b)に示すように、便器本体10の後部の内部において前後及び便器幅方向に離間して立ち上がるように配される4本の縦フレームと、これら4本の縦フレームの上端部同士を接続する横フレームと、を備えている。また、本体フレーム17は、互いに前後に離間する縦フレームの下端部同士を接続する横フレームと、前側の2本の縦フレームの下端部同士を接続し、前方側に向けて突出し、かつ平面視して略U字状とされた前側フレームと、を備えている。
【0028】
本体フレーム17の前側フレームには、土台フレーム23の前側支持フレーム25,25のそれぞれに支持される被支持部18,18が設けられている。図例では、被支持部18,18は、前側フレームにおける2本の縦フレームの下端部から前方側に向けて突出する部位から互いに向き合う方向に突出するように設けられ、厚さ方向が上下方向となるように配される板状とされている。
これら被支持部18,18は、土台フレーム23の前側支持フレーム25,25の上端に載置され、適宜の固定具27,27によって前側支持フレーム25,25に固定されてもよい。図例では、固定具27は、前側支持フレーム25の上端部の前面側に適宜の固着具によって固定される固定片部と、被支持部18の下面側に適宜の固着具によって固定される固定片部と、を備えたL字状金具とした例を示しているが、このような態様に限られない。被支持部18及び前側支持フレーム25のうちの一方に、他方に固定される固定部を一体的に設けた構成等としてもよい。
【0029】
本体フレーム17の被位置決め部19a,19aは、本体フレーム17の後側の2本の縦フレームの下端部に設けられ土台フレーム23の後側支持フレーム26,26のそれぞれに支持される被支持部19,19に設けられている。これら被支持部19,19は、後側の2本の縦フレームの下端部から便器幅方向外側に向けて突出するように設けられ、厚さ方向が上下方向となるように配される板状とされている。これら後側の被支持部19,19及び上記した前側の被支持部18,18の前後方向に沿う寸法は、後記するように土台フレーム23上に本固定位置よりも前方側位置において仮置きされる便器本体10の支持が可能なように適宜の寸法とされていてもよい。
被位置決め部19a,19aは、上記のように突起状とされた位置決め部26a,26aを受け入れる凹状とされている。これら被位置決め部19a,19aは、前後に長尺状とされていてもよい。図例では、被位置決め部19a,19aは、被支持部19,19に、これらを厚さ方向に貫通するように、かつ後方側に向けて開口するように切欠状に形成されている。位置決め部26a,26a及び被位置決め部19a,19aとしては、このような態様に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。また、本体フレーム17としては、上記のような形状に限られず、その他、種々の形状とされていてもよい。
【0030】
土台20のカバー21は、土台フレーム23の前方側及び幅方向両側を覆うように設けられている。このカバー21の前方側に向く前方側面が土台20の前方側面21aを構成し、幅方向外側に向く両側の側面が土台20の幅方向両側の幅方向側面21b,21bを構成する。前方側面21aは、平面視して幅方向外側に向かうに従い後方側となるように湾曲する突湾曲面状とされ、その幅方向両側が幅方向両側の幅方向側面21b,21bに連なるように形成されている。
このカバー21は、上下両側及び後方側に開口するように形成されている(図6(b)等も参照)。このカバー21は、図5に示すように、上記した本体フレーム17の前側フレームも覆うように設けられている(図8及び図10も参照)。
【0031】
このカバー21の土台フレーム23の前方側を覆う前方側部分は、本体フレーム17の前側フレームや被支持部18に固定される固定具27等と干渉しないように、上方側に向かうに従い前方側となるように傾斜する傾斜板状とされている。
このカバー21の土台フレーム23の幅方向両側を覆う幅方向両側部分は、土台フレーム23の後側支持フレーム26,26の支持片部と干渉しないように、上方側に向かうに従い幅方向外側となるように傾斜する傾斜板状とされている。
このカバー21は、土台フレーム23や便器本体10、床2等に対して着脱可能とされていてもよい。例えば、カバー21の内面側に、取付対象に設けられた取付部に取り付けられる被取付部が設けられていてもよい。このような取付部や被取付部としては、面ファスナーでもよく、互いに係合する係合部及び受部等でもよい。このカバー21は、図例のように一体的に形成された構成に限られず、複数に分割されていてもよい。このカバー21は、その表面が便器本体10の表面と同色状とされていてもよく、または、異なる色、例えば、一般的に薄い白色やベージュ等である便器本体10よりも濃色状とされていてもよい。
【0032】
土台20の高さ寸法Hや奥行寸法D2、幅寸法W2(図1(b)及び図2参照)は、土台20が目立ち難くなるように、また、便器本体10を安定的に支持する観点や、土台20の周囲の清掃性の観点等から適宜の寸法としてもよい。
土台20の高さ寸法(床2から便器本体10の前方側底面12c及び側部底面12d,12dまでの高さ寸法)Hは、例えば、50mm~200mm程度でもよく、好ましくは、80mm~150mm程度でもよい。
土台20の奥行寸法D2は、その上端側に載置される便器本体10の底面の奥行寸法D1よりも小さい寸法でもよい。土台20の奥行寸法D2は、土台20における奥行寸法が最大部分の寸法でもよい。本実施形態では、土台20の奥行寸法D2を、下方側に向かうに従い後方側となる傾斜面とされた前方側面21aの上端から土台20の後端までの奥行寸法としている。また、図例では、便器本体10の底面の奥行寸法D1を、便器本体10の底面後端から前方側底面12cの略水平面状とされた部位の前端までの寸法とした例を示しているが、前方側底面12cの突湾曲面状とされた部位の前端までの寸法としてもよい。この場合は、突湾曲面状とされた前方側底面12cに対する法線と床2との角度が45度以上(好ましくは60度以上)となる部分を前方側底面12cとして把握するようにしてもよい。
【0033】
この土台20の奥行寸法D2や前方側面21aの傾斜角度は、図2に示すように、便器装置1の前方側に立つ使用者7から土台20の前方側面21aが視認不能となるように適宜の寸法や角度としてもよい。例えば、便器装置1の前方側に立つ使用者7の視軸(目と視認対象とを結ぶ仮想線)8が便器本体10の前方側面12aに接線状に接する状態で、その視軸8よりも後方側に位置するように土台20が設けられていてもよい。この場合において、便器装置1の前方側に立つ使用者7の立ち位置は、一般的なトイレ個室の出入口の手前部分に相当する位置としてもよい。例えば、使用者7の立ち位置は、便器本体10の前端から600mm~1500mm程度の位置としてもよく、800mm~1200mm程度の位置としてもよい。また、視軸8の基準となる使用者7の目の高さは、床2から1300mm~1700mm程度の高さとしてもよく、床2から1400mm~1600mm程度の高さとしてもよい。
【0034】
土台20の幅寸法W2は、その上端側に載置される便器本体10の底面の幅寸法W1よりも小さい寸法でもよい。土台20の幅寸法W2は、土台20における幅寸法が最大部分の寸法でもよい。本実施形態では、土台20の幅寸法W2を、下方側に向かうに従い幅方向中央側となる傾斜面とされた両側の幅方向側面21b,21bの上端間の寸法としている。また、図例では、便器本体10の底面の幅寸法W1を、便器本体10の幅方向両側の側部底面12d,12dの略水平面状とされた部位の外側端間の寸法とした例を示しているが、上記同様、これらの突湾曲面状とされた部位を含んだ寸法としてもよい。この場合は、上記同様、突湾曲面状とされた側部底面12d,12dに対する法線と床2との角度が45度以上(好ましくは60度以上)となる部分を側部底面12d,12dとして把握するようにしてもよい。
土台20の幅寸法W2や幅方向側面21b,21bの傾斜角度は、便器装置1の前方側に立つ使用者7から土台20の幅方向側面21b,21bが視認不能となるように適宜の寸法や角度としてもよい。
【0035】
上記構成とされた便器装置1は、以下のように施工してもよい。
まず、図3(a)に示すように、床排水管4を囲むように土台フレーム23の床側フレーム24を床2に固定する。この際、床排水管4に対して床側フレーム24の取付位置を適宜の位置決め治具等を用いて位置決めし、床側フレーム24を床2に固定するようにしてもよい。そして、図3(b)に示すように、排水ソケット6を、その下流側接続部6bを床排水管4に接続し、そのフランジ部6cを床側フレーム24の前フレーム部24a及び両側の側部フレーム部24b,24bの床側片部上に重ね合わせるようにして設置する。
そして、図4に示すように、便器本体10を、その本体フレーム17を土台フレーム23に載置するようにして土台フレーム23上に仮置きする。この際、本体フレーム17の被位置決め部19a,19aに土台フレーム23の位置決め部26a,26aを受入可能で、本固定位置よりも僅かに前方側位置となるように便器本体10を土台フレーム23上に仮置きするようにしてもよい。
【0036】
上記のように便器本体10を土台フレーム23上に仮置きする前に、図5に示すように、本体フレーム17の被支持部18,18の下面側に予め固定具27,27を固定しておいてもよい。この場合、土台フレーム23の前側支持フレーム25,25の上端部を位置決め部として機能させ、被支持部18,18に固定された固定具27,27を被位置決め部として機能させてもよい。
また、上記のように便器本体10を土台フレーム23上に仮置きした後、便器本体10を後方側に移動させて位置決め部26a,26aによって前後位置を位置決めする。つまり、土台フレーム23の位置決め部26a,26aに便器本体10側の被位置決め部19a,19aを係合させ、前後位置及び幅方向位置を位置決めする。そして、位置決め部26a,26aにナット等の雌ねじ部材をねじ合わせて本体フレーム17の後端側を土台フレーム23の後端側に固定するようにしてもよい。また、固定具27,27を土台フレーム23の前側支持フレーム25,25に固定し、本体フレーム17の前端側を土台フレーム23の前端側に固定するようにしてもよい。このような固定作業は、図4に示すように、スカート部12の後端側部分を便器本体10から取り外した状態で行うようにしてもよい。
【0037】
そして、図5に示すように、カバー21を、土台フレーム23を覆うように、土台フレーム23、便器本体10及び床2のうちの少なくとも一つからなる取付対象に対して取り付けるようにしてもよい。
なお、上記した施工手順は、一例に過ぎず、適宜の変形が可能である。
【0038】
次に、便器装置の変形例について図6図10を参照して説明する。
以下の各変形例では、先に説明した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、その説明を省略または簡略に説明する。各変形例では、先に説明した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0039】
図6(a)、(b)は、第1変形例に係る便器装置を模式的に示している。
本変形例では、便器本体10Aのスカート部12Aの構成が上記した例とは主に異なる。
便器本体10Aの前方側には、前方側面12aを伝う液体の下方側への伝いを抑制する伝い抑制部13が設けられている。このような構成とすれば、便器本体10Aの前方側面12aを伝う液体が下方側へ伝い、更に土台20側に伝って便器本体10Aと土台20との隙間に入り込むようなことを抑制することができる。
この伝い抑制部13は、好ましくは、便器本体10Aの上下方向における下側半部に設けられていてもよく、また、前方側から幅方向両側に延びるように設けられていてもよい。本変形例では、伝い抑制部13は、便器本体10Aの前方側底面12cに、後方側への伝いを抑制するように設けられている。このような構成とすれば、伝い抑制部13を目立ち難くすることができる。より特定的には、本変形例では、伝い抑制部13は、土台20の前方側上端縁に沿うように設けられている。このような構成とすれば、伝い抑制部13が便器本体10Aの前方側底面12cと土台20の前方側上端縁との境界部に位置することとなり、例えば、伝い抑制部13を土台20よりも前方側に設けたような構成と比べて、伝い抑制部13をより目立ち難くすることができる。
【0040】
伝い抑制部13は、本変形例では、前方側底面12cの幅方向両側から幅方向両側の側部底面12d,12dに沿うように後方側に向けて延びるように設けられている。このような構成とすれば、便器本体10Aの幅方向側面12b,12bの前方側部位を伝う液体が土台20側に伝って便器本体10Aと土台20との隙間に入り込むようなことを抑制することができる。図例では、伝い抑制部13は、前方側底面12cに加えて、側部底面12d,12dの前方側の概ね半部に設けられている。
また、伝い抑制部13は、前方側底面12c(及び本変形例では、側部底面12d,12dの前方側部位)から下方側に向けて突出する突条とされている。このような構成とすれば、便器本体10Aの前方側底面12c(及び本変形例では、側部底面12d,12dの前方側部位)を伝う液体を、突条とされた伝い抑制部13によって堰き止めるようにして土台20側への伝いを抑制することができる。
【0041】
図6(c)、(d)は、第2変形例に係る便器装置を模式的に示している。
本変形例においても第1変形例と同様、便器本体10Bのスカート部12Bの前方側底面12cに伝い抑制部13Aが設けられている。本変形例においても、伝い抑制部13Aは、前方側底面12cに加えて、側部底面12d,12dの前方側の概ね半部に設けられている。
本変形例では、伝い抑制部13Aは、前方側底面12c(及び本変形例では、側部底面12d,12dの前方側部位)において下方側に向けて開口するように設けられた凹溝とされている。
伝い抑制部13,13Aとしては、上記のような構成に限られず、段部等でもよく、また、前方側面12aや前方側底面12cのみに設けられていてもよく、その他、種々の変形が可能である。
【0042】
図7(a)、(b)は、第3変形例に係る便器装置を模式的に示している。
本変形例では、土台20Aの構成が上記した各例とは主に異なる。
本変形例では、土台20Aは、カバー21Aを透過させて光を照射する光源28を備えている。このような構成とすれば、便器装置1の下端側部位から床2等を照らすことができる。
光源28は、夜間使用時にトイレ照明として利用されてもよく、また、間接照明的に空間演出用として利用されてもよい。図例では、土台20A内において、土台20Aの上端周縁部に沿うように光源28を設けた例を示している。
【0043】
光源28は、カバー21Aの前方側部位及び幅方向両側部位の裏面側に沿うように設けられていてもよく、土台フレーム23の前方側及び便器幅方向両側に設けられていてもよい。このような光源28としては、複数の発光素子としてのLED(発光ダイオード)から構成されていてもよく、発光素子からの光を側面から出射する導光体等でもよい。光源28を設ける位置や個数等は、図例に限られず、その他、種々の変形が可能である。
カバー21Aは、光透過性を有し、透明または半透明とされていてもよく、また、光が透過し易いように薄く形成されていてもよい。例えば、カバー21Aの厚さ寸法を、0.5mm~2.0mm程度としてもよい。
【0044】
図7(c)は、第4変形例に係る便器装置を模式的に示している。
本変形例では、土台20Bの構成が上記した各例とは主に異なる。
本変形例では、土台20B内に設けられた送風機29からの空気を吹き出す吹出口22が当該土台20Bの外側面において開口するように設けられている。このような構成とすれば、例えば、便器本体10の側面等に吹出口を設けた構成と比べて、吹出口22を目立ち難くすることができる。また、便器装置1の下端側部位から床2等に向けて送風することができ、埃等を便器装置1の下端部周囲に溜まり難くすることができる。
吹出口22は、図例では、土台20Bの外側面を構成するカバー21Bの上端周縁部及び下端周縁部に沿って間隔を空けて複数箇所に設けられている。図例では、下端側の吹出口22を、床2側に向けて開口する切欠状に設けた例を示している。吹出口22を設ける位置や個数、吹出口22の形状等は、図例に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0045】
土台20B内の送風機29は、除菌・消臭作用を有するイオンを放出するイオン発生部の送風機でもよい。このような構成とすれば、除菌・消臭作用を有するイオンを便器装置1の下端側部位からトイレ室内に放出させることができる。このようなイオン発生部としては、帯電微粒子水を放出する静電霧化装置でもよく、マイナスイオン発生器等でもよく、その他のイオン発生器でもよい。また、送風機29は、便器装置1の外部から空気を吸込可能なように設置されていてもよく、便器装置1の脱臭装置の送風機として設けられていてもよい。
【0046】
図8図10は、第5変形例に係る便器装置を模式的に示している。
本変形例では、便器本体10Cの構成及び排水が壁側である点が上記した各例とは主に異なる。
本変形例では、図8に示すように、便器本体10Cの後端部に、壁3側の排水管(壁排水管)5に接続される配管接合部16Aが設けられている。この配管接合部16Aは、図8図10に示すように、土台20の上端側に載置された便器本体10Cが後方側に移動されて位置決め部26aに位置決めされた状態で壁排水管5に接続される。このような構成とすれば、便器本体10Cの前後位置を容易に位置決め可能であり、かつ配管接続作業性も向上させることができる。
壁排水管5は、図9(b)に示すように、当該便器装置1の奥側の壁3から前方側に向けて突出するように設けられている。この壁排水管5の上流側端部となる配管接合部16Aとの接続部には、配管接合部16Aを受け入れる大径部が形成されている。
【0047】
便器本体10Cのトラップケース15Aには、上記した下面側板部に設けられた排水口16に代えて、図9(a)及び図10に示すように、配管接合部16Aが設けられている。配管接合部16Aは、トラップケース15Aの後方側板部に接合されるように、かつ後方側に向けて突出するように設けられている。この配管接合部16Aの外周部には、壁排水管5と接続された際に壁排水管5の内周面に密接する適宜のシール部材が設けられている。
このような構成とされた便器装置1も上記と概ね同様にして施工可能である。また、本変形例では、上記同様、便器本体10Cを土台フレーム23上に仮置きした後、便器本体10Cを後方側に移動させて位置決め部26a,26aによって前後位置を位置決めすれば、配管接合部16Aが壁排水管5に接続される。なお、土台フレーム23は、配管接合部16Aが壁排水管5に接続可能な位置となるように、上記と概ね同様、壁排水管5に対して適宜の取付位置となるように、適宜の位置決め治具等を用いて設置されてもよい。
【0048】
上記各例において説明した互いに異なる構成を、適宜、必要に応じて変形し、組み替えて適用したり、組み合わせて適用したりするようにしてもよい。
上記各例に係る便器装置1の各部材及び各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【0049】
<付記>
以上の実施の形態の記載により、以下の技術が開示される。
<技術1>
ボウル部を有する便器本体と、該便器本体の前方側底面と床との間に空間が形成されるように、奥行寸法が前記便器本体の奥行寸法よりも小とされ、かつ上端側に載置されて固定される前記便器本体を支持し前記床に固定される土台と、を備えている便器装置。
<技術2>
前記土台の前方側面は、下方側に向かうに従い後方側となる傾斜面である技術1に記載の便器装置。
<技術3>
前記土台は、前記便器本体の幅方向両側の底面と前記床との間に空間が形成されるように、幅寸法が前記便器本体の幅寸法よりも小である技術1または技術2に記載の便器装置。
<技術4>
前記土台の幅方向両側面は、下方側に向かうに従い幅方向中央側となる傾斜面である技術1~技術3のいずれか1項に記載の便器装置。
<技術5>
前記便器本体の前方側には、前方側面を伝う液体の下方側への伝いを抑制する伝い抑制部が設けられている技術1~技術4のいずれか1項に記載の便器装置。
<技術6>
前記伝い抑制部は、前記土台の前方側上端縁に沿うように設けられている技術5に記載の便器装置。
<技術7>
前記便器本体の排水側と前記床側の排水管とを接続する排水ソケットが前記土台内に設置される技術1~技術6のいずれか1項に記載の便器装置。
<技術8>
前記土台は、前記排水管の幅方向両側に配される両側の側部フレーム部、前記排水管の前方側に配される前フレーム部及び前記排水管の後方側に配される後フレーム部を有し、前記床に固定されるフレームを備えており、前記排水ソケットは、その一部が前記両側の側部フレーム部、前記前フレーム部及び前記後フレーム部のうちの少なくとも一つに重ねられて設置される技術7に記載の便器装置。
<技術9>
前記土台は、前記便器本体を支持し前記床に固定されるフレームと、このフレームを覆い当該土台の外側化粧面を構成するカバーと、を備えている技術1~技術8のいずれか1項に記載の便器装置。
<技術10>
前記土台は、前記カバーを透過させて光を照射する光源を備えている技術9に記載の便器装置。
<技術11>
前記土台内に設けられた送風機からの空気を吹き出す吹出口が当該土台の外側面において開口するように設けられている技術1~技術10のいずれか1項に記載の便器装置。
<技術12>
前記土台には、上端側に載置されて後方側に移動される前記便器本体の前後位置を位置決めする位置決め部が設けられている技術1~技術11のいずれか1項に記載の便器装置。
<技術13>
前記便器本体の後端部には、壁側の排水管に接続される配管接合部が設けられ、この配管接合部は、前記土台の上端側に載置された前記便器本体が後方側に移動されて前記位置決め部に位置決めされた状態で前記壁側の排水管に接続される技術12に記載の便器装置。
【符号の説明】
【0050】
1 便器装置
10,10A~10C 便器本体
11 ボウル部
12c 前方側底面
12d 側部底面(幅方向両側の底面)
13,13A 伝い抑制部
16A 配管接合部
20,20A,20B 土台
21A カバー
21a 前方側面
21b 幅方向側面
22 吹出口
23 土台フレーム(フレーム)
24a 前フレーム部
24b 側部フレーム部
24c 後フレーム部
26a 位置決め部
28 光源
29 送風機
2 床
3 壁
4 床排水管(床側の排水管)
5 壁排水管(壁側の排水管)
6 排水ソケット
D1 便器本体の奥行寸法
D2 土台の奥行寸法
W1 便器本体の幅寸法
W2 土台の幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10