(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170793
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】回転電機管理システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/34 20200101AFI20241204BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G01R31/34 D
H02K15/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087516
(22)【出願日】2023-05-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「2020年度~2022年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/石炭火力の負荷変動対応技術開発/タービン発電設備次世代保守技術開発」」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 友彰
(72)【発明者】
【氏名】原川 崇
(72)【発明者】
【氏名】高根沢 真
(72)【発明者】
【氏名】藤本 旺
(72)【発明者】
【氏名】依田 博行
(72)【発明者】
【氏名】安藤 耕治
【テーマコード(参考)】
2G116
5H615
【Fターム(参考)】
2G116BA01
2G116BB09
2G116BC02
2G116BD06
2G116BD11
5H615AA05
5H615PP01
5H615PP13
5H615SS57
(57)【要約】
【課題】回転電機の固定子を構成する絶縁部材の残存破壊電圧に関する情報の経年変化を容易かつ的確に把握可能な回転電機管理システムを提供する。
【解決手段】実施形態の回転電機管理システムは、過去の残存破壊電圧に関する過去残存破壊電圧関連情報と、現在の残存破壊電圧に関する現在残存破壊電圧関連情報と、将来の残存破壊電圧に関する将来残存破壊電圧関連情報とを前記残存破壊電圧関連情報として示す画像データを生成するように構成されている画像データ生成部を備える。過去残存破壊電圧関連情報は、過去の回転電機において運転時に回転電機から得た部分放電信号に基づいて求められる情報である。現在残存破壊電圧関連情報は、現在の回転電機において運転時に回転電機から得た部分放電信号に基づいて求められる情報である。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、固定子鉄心に形成された固定子スロットに固定子コイルが絶縁部材を介して収容されている固定子とを備える回転電機について、前記絶縁部材の残存破壊電圧に関する残存破壊電圧関連情報を管理する回転電機管理システムであって、
過去の前記残存破壊電圧に関する過去残存破壊電圧関連情報と、現在の前記残存破壊電圧に関する現在残存破壊電圧関連情報と、将来の前記残存破壊電圧に関する将来残存破壊電圧関連情報とを前記残存破壊電圧関連情報として示す画像データを生成するように構成されている画像データ生成部
を備え、
前記過去残存破壊電圧関連情報は、過去の前記回転電機において運転時に前記回転電機から得た部分放電信号に基づいて求められる情報であり、
前記現在残存破壊電圧関連情報は、現在の前記回転電機において運転時に前記回転電機から得た部分放電信号に基づいて求められる情報である、
回転電機管理システム。
【請求項2】
前記画像データ生成部は、前記過去残存破壊電圧関連情報と前記現在残存破壊電圧関連情報と前記将来残存破壊電圧関連情報とを、前記回転電機を使用する時間軸に沿って示すように、前記画像データを生成する、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項3】
前記将来残存破壊電圧関連情報は、前記過去残存破壊電圧関連情報に基づいて外挿補間を実行することで得られる情報である、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項4】
前記将来残存破壊電圧関連情報は、将来の前記回転電機において運転を行う運転計画に関する運転計画情報に基づいて求められる情報である、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項5】
前記運転計画情報は、ユーザインタフェイス画面を用いた操作によって入力される情報である、
請求項4に記載の回転電機管理システム。
【請求項6】
前記画像データ生成部は、前記運転計画情報が更新されるごとに、前記将来残存破壊電圧関連情報を示す前記画像データを更新する、
請求項5に記載の回転電機管理システム。
【請求項7】
前記画像データ生成部は、前記運転計画情報として第1運転計画情報が入力されたときに前記将来残存破壊電圧関連情報として求められる第1将来残存破壊電圧関連情報と、前記運転計画情報として前記第1運転計画情報と異なる第2運転計画情報が入力されたときに前記将来残存破壊電圧関連情報として求められる第2将来残存破壊電圧関連情報とを並べて示すように、前記画像データを生成する、
請求項4に記載の回転電機管理システム。
【請求項8】
前記画像データ生成部は、前記過去残存破壊電圧関連情報を所定時間おきに示すように、前記画像データを生成する、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項9】
前記画像データは、前記残存破壊電圧に関する特性について設定した下限値に関する残存破壊電圧下限値情報を示すように生成される、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項10】
前記画像データは、前記残存破壊電圧に関する特性が現在から前記下限値に達すると推定される時間に関する余寿命関連情報を示すように生成される、
請求項9に記載の回転電機管理システム。
【請求項11】
前記画像データ生成部は、前記残存破壊電圧に関する特性が現在から前記下限値に達すると推定される余寿命到達推定時点よりも前の時点を、前記回転電機の更新に用いる予備品を準備する準備期限情報として示すように、前記画像データを生成する、
請求項10に記載の回転電機管理システム。
【請求項12】
前記画像データは、過去の前記残存破壊電圧に関する特性から求められる近似曲線と、前記近似曲線の予測区間について上限側を示す上限側予測区間曲線と、前記近似曲線の予測区間について下限側を示す下限側予測区間曲線とを示すように生成される、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項13】
前記画像データ生成部は、前記現在残存破壊電圧関連情報に含まれる現在の残存破壊電圧に関する特性が前記予測区間以外であることを警告する警告情報を示すように、前記画像データを生成する、
請求項12に記載の回転電機管理システム。
【請求項14】
前記過去残存破壊電圧関連情報と前記現在残存破壊電圧関連情報と前記将来残存破壊電圧関連情報とを演算によって求めるように構成されている残存破壊電圧関連情報生成部
を有し、
前記残存破壊電圧関連情報生成部は、
前記絶縁部材の絶縁破壊強度と前記回転電機において計測される最大放電電荷量との間の関係を関係データとして予め記憶する関係データ記憶部と、
前記回転電機の運転時に前記回転電機から実際に得られる部分放電信号を分析することによって、前記最大放電電荷量を求めて最大放電電荷量データとして出力する最大放電電荷量演算部と、
前記関係データ記憶部が記憶する前記関係データに基づいて、前記最大放電電荷量演算部が出力する前記最大放電電荷量データに対応する前記絶縁破壊強度を求めて絶縁破壊強度データとして出力する絶縁破壊強度演算部と、
前記絶縁破壊強度演算部が出力する絶縁破壊強度データを、前記部分放電信号を取得した時点に関する取得時点データに関連付けて記憶する絶縁破壊強度記憶部と
前記絶縁破壊強度記憶部において前記取得時点データに関連付けて記憶された前記絶縁破壊強度データに基づいて、前記過去残存破壊電圧関連情報および前記現在残存破壊電圧関連情報を求める残存破壊電圧関連情報演算部と
を含む、
請求項1に記載の回転電機管理システム。
【請求項15】
前記残存破壊電圧関連情報演算部は、
前記回転電機の運転条件に関する運転条件情報に応じて前記残存破壊電圧が低下する割合を示す残存破壊電圧低下係数を残存破壊電圧低下係数データとして記憶する残存破壊電圧低下係数記憶部と、
前記残存破壊電圧低下係数記憶部が記憶する前記残存破壊電圧低下係数データに基づいて、将来の前記回転電機において運転を行う運転計画に関する運転計画情報で前記残存破壊電圧が低下する残存破壊電圧低下量を残存破壊電圧低下量データとして出力する残存破壊電圧低下量演算部と
を有し、
前記残存破壊電圧関連情報演算部は、残存破壊電圧低下量演算部が出力する前記残存破壊電圧低下量データに基づいて、前記将来残存破壊電圧関連情報を求める、
請求項14に記載の回転電機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、回転電機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電機などとして使用される回転電機は、固定子と回転子とを備え、運転時に回転子が回転するように構成されている。回転電機において、固定子は、例えば、固定子鉄心に形成された固定子スロットに固定子コイルが絶縁部材を介して収容されており、回転電機の運転によって絶縁部材等の劣化が進行する。
【0003】
具体的には、固定子の絶縁部材では、電気劣化、熱劣化、および、機械劣化が生ずる。電気劣化は、高電圧に起因する電気的ストレスに起因して生じ、熱劣化は、ジュール損に起因して生ずる。機械劣化は、電磁振動、および、負荷変動によるサーマルサイクルに起因して生ずる。絶縁部材は、電気劣化、熱劣化、および、機械劣化の進行に伴い、絶縁性が低下し、絶縁破壊の可能性が高まる。
【0004】
近年、二酸化炭素の排出量を削減するために、再生可能エネルギを利用した発電が推進されている。再生可能エネルギを利用した発電では、天候等に応じて発電量が大きく変動する。このため、再生可能エネルギを利用した発電による不安定な電力供給を補うために、火力発電などの発電設備では、定格負荷を中心とした運用から、負荷を調整する調整運用が実行される場合が多い。その結果、回転電機では、固定子を構成する絶縁部材の劣化が進行しやすくなってきている。
【0005】
このため、回転電機の固定子を構成する絶縁部材の残存破壊電圧を破壊試験または非破壊試験によって求めて、絶縁診断を実施する技術等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6147099号
【特許文献2】特許7157517号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来においては、回転電機の固定子を構成する絶縁部材の残存破壊電圧に関する情報の経年変化を的確に把握することが困難であった。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、回転電機の固定子を構成する絶縁部材の残存破壊電圧に関する情報の経年変化を容易かつ的確に把握可能な回転電機管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態は、回転子と、固定子鉄心に形成された固定子スロットに固定子コイルが絶縁部材を介して収容されている固定子とを備える回転電機について、絶縁部材の残存破壊電圧に関する残存破壊電圧関連情報を管理する回転電機管理システムである。回転電機管理システムは、過去の残存破壊電圧に関する過去残存破壊電圧関連情報と、現在の残存破壊電圧に関する現在残存破壊電圧関連情報と、将来の残存破壊電圧に関する将来残存破壊電圧関連情報とを前記残存破壊電圧関連情報として示す画像データを生成するように構成されている画像データ生成部を備える。過去残存破壊電圧関連情報は、過去の回転電機において運転時に回転電機から得た部分放電信号に基づいて求められる情報である。現在残存破壊電圧関連情報は、現在の回転電機において運転時に回転電機から得た部分放電信号に基づいて求められる情報である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態において、回転電機管理システムの管理対象である回転電機10の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態において、固定子40の断面を拡大して示している断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る回転電機管理システム700の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る回転電機管理システム700の機能の要部を示す機能ブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、第1実施形態に係る回転電機管理システム700の動作を示すフロー図である。
【
図5B】
図5Bは、第1実施形態に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る回転電機管理システム700の機能の要部を示す機能ブロック図である。
【
図8A】
図8Aは、第2実施形態に係る回転電機管理システム700の動作を示すフロー図である。
【
図8B】
図8Bは、第2実施形態に係る回転電機管理システム700において、運転計画情報D701の入力(ST110)を行う際に用いられる入力操作画像の一例を模式的に示す図である。
【
図8C】
図8Cは、第2実施形態に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の変形例に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
[A]回転電機10
本実施形態の回転電機管理システムについて説明する前に、回転電機管理システムの管理対象である回転電機10に関して説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態において、回転電機管理システムの管理対象である回転電機10の一例を模式的に示す図である。
【0013】
図1に示すように、回転電機10は、回転子20および固定子40が回転電機ケーシング60に収容されている。回転電機10は、例えば、インナーロータ型の発電機であって、回転子20が固定子40の内部で回転することによって発電を行うように構成されている。
【0014】
[A-1]回転子20
具体的には、回転子20は、回転軸AXに沿った軸方向が水平方向xに沿うように設置されている。ここでは、回転子20は、円筒形状の回転子鉄心200が回転シャフト201に対して同軸に設けられている。図示を省略しているが、回転子鉄心200は、回転子スロットが形成されており、その回転子スロットに回転子コイル等が収容されている。
【0015】
[A-2]固定子40
固定子40は、固定子鉄心41に固定子コイル42が設置されている。固定子鉄心41は、円筒形状であって、回転シャフト201に対して同軸に設けられている。固定子鉄心41は、円筒形状の隙間AGを介して、回転子鉄心200の周りを囲うように設置されている。
【0016】
図2は、第1実施形態において、固定子40の断面を拡大して示している断面図である。
図2においては、回転軸AXの軸方向に直交する面の一部を示している。
【0017】
固定子40において、固定子鉄心41は、固定子スロットKSが形成されている。固定子スロットKSは、回転軸AXの径方向に凹んだ溝であって、固定子鉄心41において内周側INに位置する部分に形成されている。ここでは、固定子スロットKSは、回転軸AXの軸方向に延在している。図示を省略しているが、固定子スロットKSは、複数が回転軸AXの周方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0018】
固定子鉄心41において、固定子スロットKSには、固定子コイル42が収容されている。固定子コイル42は、例えば、複数の素線(図示省略)を一体化させることによって構成されている。固定子スロットKSにおいて、固定子鉄心41と固定子コイル42との間には、絶縁部材421が介在している。絶縁部材421は、例えば、マイカテープなどの絶縁テープを固定子コイル42の周囲に巻くことで構成されている。
【0019】
そして、固定子コイル42の内周側INには、固定子ウェッジ43が設置されており、固定子ウェッジ43によって固定子コイル42が固定子スロットKSに固定されている。
【0020】
[B]回転電機管理システム700の構成
上記の回転電機10(
図1参照)を管理するために用いる回転電機管理システム700の構成に関して説明する。
【0021】
図3は、第1実施形態に係る回転電機管理システム700の構成を模式的に示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、実施形態の回転電機管理システム700は、例えば、コンピュータで構成されており、入力装置701と表示装置702と記憶装置703と演算装置704とを有する。詳細については後述するが、回転電機管理システム700は、回転電機10の固定子40を構成する絶縁部材421(
図2参照)の残存破壊電圧に関する残存破壊電圧関連情報を管理するように構成されている。
【0023】
[B-1]入力装置701
入力装置701は、例えば、キーボードおよびポインティングデバイス(マウス、トラックボール、タッチパネル)等の情報入力機器を含み、ユーザが各種情報を入力する操作を行うために設けられている。入力装置701は、ポインティングデバイス以外に、音声入力を行うためのマイクロフォン等を情報入力機器として更に備えていてもよい。
【0024】
[B-2]表示装置702
表示装置702は、例えば、ディスプレイを含む情報出力装置であって、画像を画面に表示するために設けられている。
【0025】
表示装置702は、例えば、入力装置701と共にユーザインタフェイスを構成している。ここでは、ユーザインタフェイスは、例えば、表示装置702の画面に入力装置701としてタッチパネルが設置されたグラフィカルユーザインタフェイスであってもよい。また、回転電機管理システム700は、ユーザインタフェイスを構成する機器として、表示装置702の他に、印刷表示出力を行うためのプリンタ等を情報出力装置として更に備えていてもよい。
【0026】
[B-3]記憶装置703
記憶装置703は、例えば、ハードディスクドライブおよびメモリを含み、各種情報を記憶するために設けられている。記憶装置703は、クラウドシステムを構成するクラウドストレージであってもよい。
【0027】
詳細については後述するが、記憶装置703は、入力装置701に入力された情報や演算装置704の演算結果に関する情報を記憶する。また、記憶装置703は、部分放電検知部600が出力した部分放電信号D600を記憶する。部分放電信号D600は、例えば、回転電機10の運転によって回転電機10で発電された電力が電力系統50(送変電機器など)へ出力される際に、部分放電検知部600によって検知される信号であって、例えば、アナログ信号からデジタル信号に変換された状態で回転電機管理システム700に出力され、記憶装置703において記憶される。
【0028】
なお、部分放電信号D600は、予め取得した電圧単位のデジタル信号と電荷量単位のデジタル信号の関係に基づいて、電圧単位で取得したデジタル信号から電荷量単位のデジタル信号に変換された信号であってもよい。また、部分放電信号D600は、ノイズ除去処理が施されたデジタル信号でもよい。
【0029】
[B-4]演算装置704
演算装置704は、例えば、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)を含む。
【0030】
詳細については後述するが、演算装置704は、記憶装置703が記憶するプログラムを用いて、各種の演算処理を実行する演算部として機能する。演算装置704は、クラウドシステムを構成する演算機器であってもよい。
【0031】
[C]回転電機管理システム700の機能
図4は、第1実施形態に係る回転電機管理システム700の機能の要部を示す機能ブロック図である。
【0032】
図4に示すように、回転電機管理システム700は、残存破壊電圧関連情報生成部800と画像データ生成部900とを備える。
【0033】
回転電機管理システム700において、残存破壊電圧関連情報生成部800は、
図4に示すように、関係データ記憶部801と最大放電電荷量演算部803と絶縁破壊強度演算部805と絶縁破壊強度記憶部807と残存破壊電圧関連情報演算部809とを含み、残存破壊電圧関連情報D809を演算によって求めるように構成されている。
【0034】
画像データ生成部900は、残存破壊電圧関連情報生成部800によって生成された残存破壊電圧関連情報D809を示す画像データD900を生成するように構成されている。
【0035】
回転電機管理システム700では、記憶装置703が、関係データ記憶部801および絶縁破壊強度記憶部807として機能し、演算装置704が、最大放電電荷量演算部803、絶縁破壊強度演算部805、残存破壊電圧関連情報演算部809、および、画像データ生成部900として機能するように構成されている。
【0036】
回転電機管理システム700を構成する各部について順次説明する。
【0037】
[C-1]関係データ記憶部801
関係データ記憶部801は、回転電機10の固定子40を構成する絶縁部材421(
図2参照)の絶縁破壊強度(BDE)と、回転電機10において計測される最大放電電荷量(Qmax)との間の関係を、関係データD801として予め記憶する。
【0038】
[C-2]最大放電電荷量演算部803
最大放電電荷量演算部803は、回転電機10の運転時に回転電機10から実際に得られる部分放電信号D600を分析することによって、最大放電電荷量を求めて、最大放電電荷量データD803として出力する。
【0039】
[C-3]絶縁破壊強度演算部805
絶縁破壊強度演算部805は、関係データ記憶部801が記憶する関係データD801に基づいて、最大放電電荷量演算部803が出力する最大放電電荷量データD803に対応する絶縁破壊強度(BDE)を求めて、絶縁破壊強度データD805として出力する。
【0040】
[C-4]絶縁破壊強度記憶部807
絶縁破壊強度記憶部807は、絶縁破壊強度演算部805が出力する絶縁破壊強度データD805を、部分放電信号D600を取得した時点に関する取得時点データT805に関連付けて記憶する。
【0041】
[C-5]残存破壊電圧関連情報演算部809
残存破壊電圧関連情報演算部809は、絶縁破壊強度記憶部807において取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805に基づいて、残存破壊電圧関連情報D809を求める。
【0042】
詳細については後述するが、残存破壊電圧関連情報D809として、過去の残存破壊電圧に関する過去残存破壊電圧関連情報D809aと、現在の残存破壊電圧に関する現在残存破壊電圧関連情報D809bと、将来の残存破壊電圧に関する将来残存破壊電圧関連情報D809cとを、残存破壊電圧関連情報演算部809が求める。
【0043】
[C-6]画像データ生成部900
画像データ生成部900は、残存破壊電圧関連情報演算部809によって生成された残存破壊電圧関連情報D809を示す画像データD900を生成するように構成されている。
【0044】
詳細については後述するが、残存破壊電圧関連情報D809として、過去残存破壊電圧関連情報D809a、現在残存破壊電圧関連情報D809b、および、将来残存破壊電圧関連情報D809cを示すように、画像データ生成部900が画像データD900を生成する。
【0045】
[D]回転電機管理システム700の動作
図5Aは、第1実施形態に係る回転電機管理システム700の動作を示すフロー図である。
【0046】
図5Aに示すように、本実施形態の回転電機管理システム700は、最大放電電荷量(=最大放電電荷量データD803)の算出(ST10)と、絶縁破壊強度(=絶縁破壊強度データD805)の算出(ST20)と、残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)と画像データD900の生成(ST40)と画像データD900の表示(ST50)とを順次実行する。本動作の開始は、例えば、入力装置701に入力された指令に応じて行われる。
【0047】
本実施形態の回転電機管理システム700の各動作に関して、
図5Aと共に、前述の
図4を参照して順次説明する。
【0048】
[D-1]最大放電電荷量の算出(ST10)
まず、
図5Aに示すように、最大放電電荷量の算出(ST10)が実行される。
【0049】
最大放電電荷量の算出(ST10)は、最大放電電荷量演算部803が実行する(
図4参照)。最大放電電荷量演算部803では、回転電機10の運転時に回転電機10から実際に得られる部分放電信号D600が入力される。そして、その部分放電信号D600について最大放電電荷量演算部803が分析することで、最大放電電荷量を求める。最大放電電荷量演算部803での分析で求められた最大放電電荷量は、最大放電電荷量データD803として最大放電電荷量演算部803から出力される。
【0050】
最大放電電荷量は、1秒間当たりに一定数(10pps,50pps,60ppsのうちの少なくとも1つ)以上発生している放電のうち最も大きい電荷量であり、「IEC60034-27-1 Annex B B.2」に基づいて求められる。
【0051】
[D-2]絶縁破壊強度の算出(ST20)
つぎに、
図5Aに示すように、絶縁破壊強度の算出(ST20)が実行される。
【0052】
絶縁破壊強度の算出(ST20)は、絶縁破壊強度演算部805(
図4参照)が実行する。絶縁破壊強度演算部805では、最大放電電荷量演算部803から最大放電電荷量データD803が入力されると共に、関係データ記憶部801から関係データD801が入力される。
【0053】
ここで、関係データD801は、例えば、事前ラボラトリー試験の実行によって得られるデータである。事前ラボラトリー試験は、例えば、回転電機10を模した試験体(図示省略)に、電源(図示省略)から電力を供給することで実行される。事前ラボラトリー試験の実行により、試験体(図示省略)について、絶縁破壊強度と最大放電電荷量との関係が求められる。そして、その試験体に関する絶縁破壊強度と最大放電電荷量との関係が、上記の関係データD801として、関係データ記憶部801に記憶される。関係データD801は、例えば、関数やルックアップテーブル等である。関係データD801は、事前ラボラトリー試験の他に、回転電機10の実機について上記の事前ラボラトリー試験と同様な実機試験を行うことで得られるデータであってもよい。
【0054】
そして、絶縁破壊強度演算部805では、絶縁破壊強度と最大放電電荷量との関係を示す関係データD801のうち、最大放電電荷量データD803に対応する絶縁破壊強度が、絶縁破壊強度データD805として求められ、出力される。なお、最大放電電荷量データD803に対応する絶縁破壊強度は、関係データD801の近似曲線の予測区間下限値によって求められる。予測区間を求めるにあたり、規定する有意水準は、使用状況を勘案し任意に決定しても良いが、回転電機に使用されている固定子コイルの本数の逆数に相当する範囲を規定できる値を用いることが望ましい。
【0055】
絶縁破壊強度演算部805が出力する絶縁破壊強度データD805は、部分放電信号D600を取得した時点に関する取得時点データT805に関連付けられて、絶縁破壊強度記憶部807に記憶される。
【0056】
[D-3]残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)
つぎに、
図5Aに示すように、残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)が実行される。
【0057】
残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)は、残存破壊電圧関連情報演算部809(
図4参照)が実行する。残存破壊電圧関連情報演算部809には、取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805が、絶縁破壊強度記憶部807から入力される。そして、その取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805から、残存破壊電圧関連情報演算部809が残存破壊電圧関連情報D809を求める。
【0058】
本実施形態では、例えば、下記(式1)および(式2)に示すように、絶縁破壊強度演算部805が求められた絶縁破壊強度BDE[V/m]に基づいて、残存破壊電圧変化率BDVr[%]を残存破壊電圧関連情報D809として求める。つまり、(式1)に示すように、絶縁破壊強度BDE[V/m]に、絶縁部材421の厚みTI(=公称絶縁厚さ)を積算することによって、残存破壊電圧値BDV[V]を算出する。そして、(式2)に示すように、絶縁部材421の初期耐圧値VR[V]に対する残存破壊電圧値BDV[V]の百分率を、残存破壊電圧変化率BDVr[%]として算出する。なお、初期耐圧値VR[V]は、例えば、測定値であるが、材料の特性から推定される推定値であってもよい。
【0059】
BDE*TI=BDV ・・・(式1)
(BDV/VR)*100=BDVr ・・・(式2)
【0060】
残存破壊電圧関連情報演算部809では、残存破壊電圧関連情報D809として、過去の残存破壊電圧に関する過去残存破壊電圧関連情報D809aと、現在の残存破壊電圧に関する現在残存破壊電圧関連情報D809bと、将来の残存破壊電圧に関する将来残存破壊電圧関連情報D809cとが生成される。
【0061】
過去残存破壊電圧関連情報D809aは、過去の回転電機10において運転時に回転電機10から得た部分放電信号D600に基づいて求められる。つまり、過去残存破壊電圧関連情報D809aは、絶縁破壊強度記憶部807において取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805のうち、過去の運転で回転電機10から得た部分放電信号D600によって得られた絶縁破壊強度データD805を用いて求められる。
【0062】
現在残存破壊電圧関連情報D809bは、現在の回転電機10において運転時に回転電機10から得た部分放電信号D600に基づいて求められる。つまり、現在残存破壊電圧関連情報D809bは、絶縁破壊強度記憶部807において取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805のうち、現在の運転で回転電機10から得た部分放電信号D600によって得られた絶縁破壊強度データD805を用いて求められる。
【0063】
将来残存破壊電圧関連情報D809cは、本実施形態では、過去残存破壊電圧関連情報D809aに基づいて外挿補間を実行することで求められる。
【0064】
[D-4]画像データD900の生成(ST40)
つぎに、
図5Aに示すように、画像データD900の生成(ST40)が実行される。
【0065】
画像データD900の生成(ST40)は、画像データ生成部900(
図4参照)が実行する。画像データ生成部900には、残存破壊電圧関連情報D809が残存破壊電圧関連情報演算部809から入力される。残存破壊電圧関連情報D809は、過去残存破壊電圧関連情報D809aと現在残存破壊電圧関連情報D809bと将来残存破壊電圧関連情報D809cとを含む。そして、その残存破壊電圧関連情報D809を示す画像データD900を画像データ生成部900が生成する。
【0066】
図5Bは、第1実施形態に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【0067】
図5Bに示すように、画像データD900は、過去残存破壊電圧関連情報D809aと現在残存破壊電圧関連情報D809bと将来残存破壊電圧関連情報D809cとを、回転電機10を使用する時間軸に沿って示すように生成される。
【0068】
具体的には、画像データD900は、横軸が時間(Time[y])(部分放電検知部600がアナログ信号を受信した時間)であって、縦軸が残存破壊電圧変化率BDVr[%](初期耐圧値VRに対する残存破壊電圧値BDVの割合)であるグラフを含む。
【0069】
画像データD900のグラフには、複数の白色円形マーカーDKが、過去残存破壊電圧関連情報D809aとしてプロットされていると供に、黒色円形マーカーDCが、現在残存破壊電圧関連情報D809bとしてプロットされている。複数の白色円形マーカーDKは、過去(Tcよりも前)における残存破壊電圧変化率BDVr[%]の値を、所定時間おきに示している。黒色円形マーカーDCは、現時点Tcにおける残存破壊電圧変化率BDVr[%]の値を示している。
【0070】
画像データD900のグラフでは、トレンドを示すために、過去残存破壊電圧関連情報D809a、および、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして、近似曲線KC(回帰曲線)と上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのそれぞれが、実線で示されている。近似曲線KCは、過去の残存破壊電圧変化率BDVr[%]の値を近似することによって作成される。上限側予測区間曲線UCは、近似曲線KCの予測区間について上限側を示すように作成される。下限側予測区間曲線LCは、近似曲線KCの予測区間について下限側を示すように作成される。近似曲線KCと上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのうち、過去(Tcよりも前)の部分は、過去残存破壊電圧関連情報D809aであり、将来(Tcよりも後)の部分は、将来残存破壊電圧関連情報D809cである。
【0071】
将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示される、近似曲線KCと上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのそれぞれは、過去残存破壊電圧関連情報D809aとして示される、近似曲線KCと上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのそれぞれについて外挿補間を実行することで求められる線に相当する。
【0072】
上記の近似は、例えば、最小二乗法などの線形近似で実行される。近似は、線形近似の他に、非線形近似で実行してもよい。非線形近似においては、ガウスニュートン法を用いて複数の未定係数の算出が可能である。また、予測区間の決定に用いられる有意水準は、ユーザが任意に決定してよい。
【0073】
画像データD900のグラフには、残存破壊電圧変化率BDVr[%]の下限値LPに関する残存破壊電圧下限値情報LLが、一点鎖線で示されている。残存破壊電圧変化率BDVr[%]の下限値LPは、例えば、規格として定められた値、または、入力装置701を用いて、ユーザが安定的な運転を考慮して入力した値である。
【0074】
画像データD900のグラフには、残存破壊電圧変化率BDVr[%]が現在から下限値LPに達すると推定される時間に関する余寿命関連情報LSが、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示されている。余寿命関連情報LSは、近似曲線KCと上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのそれぞれが、残存破壊電圧変化率BDVr[%]の下限値LPに交わる時点を求めることで生成される。ここでは、余寿命関連情報LSは、近似曲線KCから求められる余寿命期間RKと、上限側予測区間曲線UCから求められる余寿命期間RUと、下限側予測区間曲線LCから求められる余寿命期間RLとを含む。この他に、余寿命関連情報LSは、近似曲線KCから求められる余寿命到達推定時点TKと、上限側予測区間曲線UCから求められる余寿命到達推定時点TUと、下限側予測区間曲線LCから求められる余寿命到達推定時点TLとを含む。
【0075】
画像データD900のグラフの横軸には、回転電機10について定期点検を実行する定期点検時点Ttp1~Ttp4、Ttf1~Ttf4を示すように、複数の逆三角形状マーカーがプロットされている。
【0076】
そして、画像データD900のグラフには、回転電機10の更新に用いる予備品を準備する準備期限情報DPが、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示されている。準備期限情報DPは、残存破壊電圧変化率BDVr[%]が現在から下限値LPに達すると推定されるまでの余寿命到達推定時点TLよりも前の時点であって、例えば、複数の定期点検時点Ttp1~Ttp4、Ttf1~Ttf4のうち余寿命到達推定時点TLに最も近い定期点検時点Ttf2を準備期限として求めることで生成される。ここでは、準備期限情報DPは、準備期限である定期点検時点Ttf2の情報の他に、現時点Tcから準備期限である定期点検時点Ttf2までの準備期間PTの情報を含む。
【0077】
画像データD900は、
図5Bに示すように、グラフの他に、表を更に含み、上記の余寿命関連情報LSおよび上記の準備期限情報DPを表で示すように生成されている。
【0078】
[D-5]画像データD900の表示(ST50)
つぎに、
図5Aに示すように、画像データD900の表示(ST50)が実行される。
【0079】
画像データD900の表示(ST50)は、表示装置702(
図4参照)が実行する。表示装置702には、画像データD900が画像データ生成部900から入力される。表示装置702は、その画像データD900を上記のように画面に表示する(
図5B参照)。
【0080】
上記した各ステップは、例えば、所定の時間間隔で実行され、逐次、画像データD900が更新される。現在残存破壊電圧関連情報D809bは、例えば、現在から所定時間が経過した後に、過去残存破壊電圧関連情報D809aとして利用される。
【0081】
[F]まとめ
以上のように、本実施形態の回転電機管理システム700は、過去の残存破壊電圧に関する過去残存破壊電圧関連情報D809aと、現在の残存破壊電圧に関する現在残存破壊電圧関連情報D809bと、将来の残存破壊電圧に関する将来残存破壊電圧関連情報D809cとを示す画像データD900を、画像データ生成部900が生成する。過去残存破壊電圧関連情報D809aは、過去の回転電機10において運転時に回転電機10から得た部分放電信号D600に基づいて求められる情報である。現在残存破壊電圧関連情報D809bは、現在の回転電機10において運転時に回転電機10から得た部分放電信号D600に基づいて求められる情報である。将来残存破壊電圧関連情報D809cは、過去残存破壊電圧関連情報D809aに基づいて外挿補間を実行することで得られる情報である。ここでは、画像データ生成部900は、過去残存破壊電圧関連情報D809aと現在残存破壊電圧関連情報D809bと将来残存破壊電圧関連情報D809cとを、回転電機10を使用する時間軸に沿って示すように、画像データD900を生成する。したがって、本実施形態によれば、回転電機10の運転を停止させなくても、残存破壊電圧に関する情報の経年変化を的確に把握することを容易に実現可能である。
【0082】
本実施形態では、画像データD900は、近似曲線KCと上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとを含む。このため、本実施形態では、残存破壊電圧に関する情報のバラツキを考慮して、残存破壊電圧に関する情報の経年変化を的確に把握可能である。
【0083】
本実施形態では、画像データD900は、残存破壊電圧に関する特性について設定した下限値LPに関する残存破壊電圧下限値情報LLを含む。また、画像データD900は、残存破壊電圧に関する特性が現在から前記下限値LPに達すると推定される時間に関する余寿命関連情報LSを含む。したがって、本実施形態によれば、回転電機10の余寿命を的確に管理することが可能である。
【0084】
本実施形態では、画像データ生成部900は、残存破壊電圧に関する特性が現在から下限値LPに達すると推定される余寿命到達推定時点よりも前の時点を、回転電機10の更新に用いる予備品を準備する準備期限情報DPとして示すように、画像データD900を生成する。したがって、本実施形態によれば、回転電機10の更新に用いる予備品の準備を適切に実行可能である。
【0085】
本実施形態の回転電機管理システム700は、残存破壊電圧関連情報生成部800を有する。残存破壊電圧関連情報生成部800では、関係データ記憶部801が記憶する関係データD801に基づいて、最大放電電荷量演算部803が出力する最大放電電荷量データD803に対応する絶縁破壊強度を絶縁破壊強度演算部805が求めて絶縁破壊強度データD805として出力する。そして、取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805に基づいて、過去残存破壊電圧関連情報D809aおよび現在残存破壊電圧関連情報D809bを残存破壊電圧関連情報演算部809が求める。したがって、本実施形態によれば、残存破壊電圧関連情報を容易に得ることができる。
【0086】
[G]変形例
上記実施形態の変形例について説明する。
【0087】
図6は、第1実施形態の変形例に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【0088】
図6に示すように、本変形例では、上記実施形態の場合(
図5B参照)と異なり、画像データD900において、現在残存破壊電圧関連情報D809bとして含まれる現在の残存破壊電圧変化率BDVr[%](黒色円形マーカーDC)が、下限側予測区間曲線LCよりも小さい値であって、予測区間以外である場合を示している。
【0089】
この場合、本変形例では、現在の残存破壊電圧変化率BDVr[%](黒色円形マーカーDC)が予測区間以外であることを警告する警告情報ALを示すように、画像データ生成部900が画像データD900を生成し、その画像データD900を表示装置702が表示する。したがって、本変形例では、回転電機10の残存破壊電圧変化率BDVr[%]に異常が発生したことを容易に把握可能である。
【0090】
<第2実施形態>
[A]回転電機管理システム700の機能
図7は、第2実施形態に係る回転電機管理システム700の機能の要部を示す機能ブロック図である。
【0091】
図7に示すように、本実施形態の回転電機管理システム700は、残存破壊電圧関連情報生成部800の構成の一部が、第1実施形態の場合(
図4参照)と異なる。この点、および、関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態の説明では、上記実施形態の説明と重複する事項について、適宜、説明を省略する。
【0092】
本実施形態の残存破壊電圧関連情報生成部800は、
図7に示すように、第1実施形態の場合(
図4参照)と同様に、関係データ記憶部801、最大放電電荷量演算部803、絶縁破壊強度演算部805、絶縁破壊強度記憶部807、残存破壊電圧関連情報演算部809、および、画像データ生成部900を備える。
【0093】
この他に、本実施形態の残存破壊電圧関連情報生成部800は、
図7に示すように、第1実施形態の場合(
図4参照)と異なり、残存破壊電圧低下係数記憶部821と残存破壊電圧低下量演算部823とを更に備える。回転電機管理システム700では、記憶装置703が、残存破壊電圧低下係数記憶部821として機能し、演算装置704が、残存破壊電圧低下量演算部823として機能するように構成されている。
【0094】
[A-1]残存破壊電圧低下係数記憶部821
残存破壊電圧低下係数記憶部821は、回転電機10の運転条件に関する運転条件情報に応じて残存破壊電圧が低下する割合を示す残存破壊電圧低下係数を、残存破壊電圧低下係数データD821として記憶する。
【0095】
残存破壊電圧低下係数データD821は、関係データD801と同様に、例えば、事前ラボラトリー試験の実行によって得られるデータである。残存破壊電圧低下係数データD821は、事前ラボラトリー試験の他に、実機試験を行うことで得られるデータであってもよい。残存破壊電圧低下係数データD821は、例えば、ルックアップテーブルであって、残存破壊電圧低下係数データD821と運転条件情報とを関連付けて記憶される。
【0096】
[A-2]残存破壊電圧低下量演算部823
残存破壊電圧低下量演算部823は、残存破壊電圧低下係数記憶部821が記憶する残存破壊電圧低下係数データD821に基づいて、将来の回転電機10において運転を行う運転計画に関する運転計画情報D701で残存破壊電圧が低下する残存破壊電圧低下量を残存破壊電圧低下量データD823として出力する。
【0097】
詳細については後述するが、運転計画情報D701は、ユーザインタフェイス画面を用いた操作によって入力される情報であって、ユーザが表示装置702(
図3参照)の画面に表示された入力操作画像を参照し、入力装置701(
図3参照)にユーザが入力した情報である。
【0098】
[A-3]残存破壊電圧関連情報演算部809
本実施形態では、残存破壊電圧関連情報演算部809は、第1実施形態の場合と異なり、残存破壊電圧低下量演算部823が出力する残存破壊電圧低下量データD823に基づいて、将来残存破壊電圧関連情報D809cを求める。換言すると、本実施形態において、将来残存破壊電圧関連情報D809cは、運転計画情報D701とに基づいて求められる。
【0099】
[B]回転電機管理システム700の動作
図8Aは、第2実施形態に係る回転電機管理システム700の動作を示すフロー図である。
【0100】
本実施形態の回転電機管理システム700の各動作に関して、
図8Aと共に、前述の
図7を参照して順次説明する。
【0101】
[B-1]最大放電電荷量の算出(ST10),絶縁破壊強度の算出(ST20)
まず、
図8Aに示すように、最大放電電荷量の算出(ST10)と絶縁破壊強度の算出(ST20)とが、第1実施形態の場合(
図5A参照)と同様に、実行される。
【0102】
[B-2]運転計画情報D701の入力(ST110)
これと供に、本実施形態では、
図8Aに示すように、運転計画情報D701の入力(ST110)が実行される。
【0103】
運転計画情報D701の入力(ST110)は、表示装置702(
図3参照)の画面に表示された入力操作画像をユーザが参照して、ユーザが入力装置701を操作することで実行される。
【0104】
図8Bは、第2実施形態に係る回転電機管理システム700において、運転計画情報D701の入力(ST110)を行う際に用いられる入力操作画像の一例を模式的に示す図である。
【0105】
図8Bに示すように、入力操作画像は、「年間運転情報(Annual operational information)」欄と、「負荷変動パターンの年間割合(Annual percentage of load fluctuation pattern)」欄と、「データ更新(Data update)」欄とを含む。
【0106】
「年間運転情報」欄は、将来の回転電機10において行われる運転に関する情報を示す欄である。「年間運転情報」欄では、例えば、「年間運転率(Annual operating rate)」、「年間運転時間(Annual operating hours)」、「起動停止回数(Number of start/stop)」、「累積運転時間(Cumulative operation time)」、および、「累積起動停止回数(Cumulative start/stop count)」が示されている。「年間運転率」は、年間で回転電機10の運転を実行する割合[%/year]である。「年間運転時間」は、年間で回転電機10の運転を実行する時間[hour/year]である。「起動停止回数」は、年間で回転電機10の運転について起動と停止とを行う回数[N/year]である。「累積運転時間」は、回転電機10の運転を実行する時間の累積値[hour]である。「累積起動停止回数」は、回転電機10の運転について起動と停止とを行う回数の累積値[N]である。
【0107】
「負荷変動パターンの年間割合」欄は、将来の回転電機10において行われる運転の負荷変動パターンの割合に関する情報を示す欄である。負荷変動パターンは、例えば、1日(0:00から24:00)において、回転電機10が定格運転で電力を出力する定格出力値に対して、回転電機10が運転時に出力する電力値が推移するパターンである。「負荷変動パターンの年間割合」欄では、例えば、6つの負荷変動パターン(Pattern 1~6)について年間で実行する割合のそれぞれが示されている。そして、「負荷変動パターンの年間割合」欄では、更に、「年間運転率」が示されている。
【0108】
「データ更新」欄は、負荷変動パターンを更新するためのファイルに関する情報を示す欄である。本実施形態では、負荷変動パターン1~3は、予め格納された負荷変動パターンであり、負荷変動パターン4~6は、ユーザが作成したパターンであることを例示している。
【0109】
入力操作画像のうち、
図8Bにおいてアンダーラインが付加された項目は、運転計画情報D701としてユーザに入力される項目の一例である。ここでは、「年間運転情報」欄の「起動停止回数」がユーザによって入力される。また、「負荷変動パターンの年間割合」欄において、6つのパターン(Pattern 1~6)の運転を行う割合が、ユーザによって入力される。負荷変動パターンを更新する際には、「データ更新」欄に示されているように、更新する負荷変動パターンに関するファイルが、ユーザによって入力装置701にアップロードされる。
【0110】
入力操作画像のうち、
図8Bにおいてアンダーラインが付加されていない項目の情報は、運転計画情報D701として入力された情報に応じて、自動的に求まられ、表示される。例えば、「年間運転率」は、「負荷変動パターンの年間割合」欄において、各パターンの割合を合計した値に相当する。そして、「年間運転時間」は、「年間運転率」から換算される時間に相当する。「累積運転時間」は、「年間運転時間」を各年において順次加算した値に相当する。「累積起動停止回数」は、「起動停止回数」を各年において順次加算した値に相当する。
【0111】
運転計画情報D701の入力(ST110)は、例えば、入力操作画像中の「編集(Edit)」ボタンを押すことによって、実行される。そして、例えば、入力操作画像中の「取り消し(Cancel)」ボタンを押すことによって、運転計画情報D701の入力が取り消される。また、例えば、入力操作画像中の「保存(Save)」ボタンを押すことによって、入力された運転計画情報D701が保存され、その運転計画情報D701が入力装置701から残存破壊電圧低下量演算部823に出力される。
【0112】
[B-3]残存破壊電圧低下量の算出(ST120)
つぎに、本実施形態では、
図8Aに示すように、残存破壊電圧低下量の算出(ST120)が実行される。
【0113】
残存破壊電圧低下量の算出(ST120)は、残存破壊電圧低下量演算部823(
図7参照)が実行する。残存破壊電圧低下量演算部823には、上述したように、入力装置701から運転計画情報D701が入力される。この他に、残存破壊電圧低下量演算部823には、残存破壊電圧低下係数記憶部821から残存破壊電圧低下係数データD821が入力される。
【0114】
残存破壊電圧低下係数データD821は、運転計画情報D701に含まれる運転条件情報に応じて残存破壊電圧が低下する割合を示す残存破壊電圧低下係数に関するデータである。残存破壊電圧低下係数データD821は、例えば、運転計画情報D701に含まれる「年間運転時間」に応じて、残存破壊電圧が低下する割合を示す残存破壊電圧低下係数を含む。また、残存破壊電圧低下係数データD821は、例えば、運転計画情報D701に含まれる「負荷変動パターンの年間割合」から求められる「等価起動停止回数」に応じて、残存破壊電圧が低下する割合を示す残存破壊電圧低下係数を含む。
【0115】
「等価起動停止回数」は、負荷変動パターンによる回転電機10の出力の変動を起動停止回数と等価な値に換算することによって求められる。ここでは、「等価起動停止回数ES」は、負荷MW(発電出力)と時間tと定格負荷MWr(定格発電出力)とで示される下記の(式A)によって算出される。
【0116】
【0117】
そして、残存破壊電圧低下量演算部823が、運転計画情報D701と残存破壊電圧低下係数データD821とを用いて、残存破壊電圧低下量を算出する。ここでは、i年の「残存破壊電圧低下量Di」について、残存破壊電圧低下係数データD821に含まれるj因子の残存破壊電圧低下係数Cjと、運転計画情報D701に含まれるj因子のi年分の値Fijとで下記の(式B)によって算出される。
【0118】
【0119】
例えば、j因子が、運転時間T、等価起動回数N、および、負荷変動パターン割合Rであって、残存破壊電圧低下係数Cjが、運転時間Tの残存破壊電圧低下係数C0、等価起動回数Nの残存破壊電圧低下係数C1、および、負荷変動パターン割合Rの残存破壊電圧低下係数C2である場合には、i年の「残存破壊電圧低下量Di」は、下記の(式C)によって算出される。
【0120】
【0121】
そして、残存破壊電圧低下量演算部823は、その算出した残存破壊電圧低下量を残存破壊電圧低下量データD823として出力する。
【0122】
[B-4]残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)
つぎに、
図8Aに示すように、残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)が実行される。
【0123】
残存破壊電圧関連情報D809の生成(ST30)は、残存破壊電圧関連情報演算部809(
図7参照)が実行する。残存破壊電圧関連情報演算部809には、第1実施形態の場合(
図4参照)と同様に、取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805が、絶縁破壊強度記憶部807から入力される。そして、その取得時点データT805に関連付けて記憶された絶縁破壊強度データD805から、残存破壊電圧関連情報演算部809が残存破壊電圧関連情報D809として、過去残存破壊電圧関連情報D809aと現在残存破壊電圧関連情報D809bとを求める。
【0124】
この他に、本実施形態では、残存破壊電圧関連情報演算部809には、第1実施形態の場合(
図4参照)と異なり、残存破壊電圧低下量演算部823から残存破壊電圧低下量データD823が入力される。残存破壊電圧関連情報演算部809は、残存破壊電圧低下量演算部823が出力する残存破壊電圧低下量データD823に基づいて、将来残存破壊電圧関連情報D809cを求める。つまり、本実施形態では、将来残存破壊電圧関連情報D809cは、外挿補間によって求めずに、運転計画情報D701に応じて求められる残存破壊電圧低下量データD823を用いて求められる。例えば、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして、残存破壊電圧変化率BDVr[%]が、将来の年毎に求められる。
【0125】
[B-5]画像データD900の生成(ST40)
つぎに、
図8Aに示すように、画像データD900の生成(ST40)が実行される。
【0126】
画像データD900の生成(ST40)は、画像データ生成部900(
図7参照)が実行する。
【0127】
図8Cは、第2実施形態に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【0128】
図8Cに示すように、本実施形態の画像データD900は、過去残存破壊電圧関連情報D809aと現在残存破壊電圧関連情報D809bとを示す部分が、第1実施形態の場合(
図5B参照)と同様に、生成される。これに対して、本実施形態の画像データD900において、将来残存破壊電圧関連情報D809cを示す部分は、第1実施形態の場合(
図5B参照)と異なっている。
【0129】
本実施形態の画像データD900のグラフでは、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして、近似曲線KCと上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのそれぞれを、実線で示すように生成されている。
【0130】
具体的には、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示される近似曲線KCは、過去残存破壊電圧関連情報D809aの外挿補間によって生成されず、各年の運転計画情報D701に応じて、残存破壊電圧変化率BDVr[%]が、過去残存破壊電圧関連情報D809aの近似曲線KCから減少する推移を、実線で示すように生成されている。
【0131】
将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示される上限側予測区間曲線UCおよび下限側予測区間曲線LCのそれぞれも、同様に、各年の運転計画情報D701に応じて、残存破壊電圧変化率BDVr[%]が、過去残存破壊電圧関連情報D809aの上限側予測区間曲線UCと下限側予測区間曲線LCとのそれぞれから減少する推移を、実線で示すように生成されている。
【0132】
[B-6]画像データD900の表示(ST50)
つぎに、
図8Aに示すように、画像データD900の表示(ST50)が実行される。
【0133】
画像データD900の表示(ST50)は、第1実施形態の場合と同様に、表示装置702(
図7参照)が実行する。
【0134】
なお、運転計画情報D701が更新されるごとに、将来残存破壊電圧関連情報D809cを示す画像データD900を更新するように、回転電機管理システム700が上記のように動作する。
【0135】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の回転電機管理システム700において、将来残存破壊電圧関連情報D809cは、将来の回転電機10において運転を行う運転計画に関する運転計画情報D701に基づいて求められる情報である。このため、本実施形態では、将来の回転電機10において運転を行う運転計画に応じて、残存破壊電圧に関する情報の経年変化を的確に把握することができる。その結果、本実施形態では、回転電機10の運用を効率的に検討することができる。
【0136】
本実施形態の残存破壊電圧関連情報演算部809において、残存破壊電圧低下係数記憶部821は、回転電機10の運転条件に関する運転条件情報に応じて残存破壊電圧が低下する割合を示す残存破壊電圧低下係数を残存破壊電圧低下係数データD821として記憶する。残存破壊電圧低下量演算部823は、残存破壊電圧低下係数データD821に基づいて運転計画情報D701で残存破壊電圧が低下する残存破壊電圧低下量を残存破壊電圧低下量データD823として出力する。そして、残存破壊電圧関連情報演算部809は、残存破壊電圧低下量データD823に基づいて、将来残存破壊電圧関連情報D809cを求める。したがって、本実施形態によれば、運転計画情報D701に対応する将来残存破壊電圧関連情報D809cを容易に得ることができる。
【0137】
[G]変形例
上記実施形態の変形例について説明する。
【0138】
図9は、第2実施形態の変形例に係る回転電機管理システム700において、画像データD900の内容の一例を模式的に示す図である。
【0139】
本変形例では、
図9に示すように、画像データD900のグラフでは、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして、近似曲線KC1と上限側予測区間曲線UC1と下限側予測区間曲線LC1とのそれぞれが、実線で示されていると供に、近似曲線KC2と上限側予測区間曲線UC2と下限側予測区間曲線LC2とのそれぞれが、破線が示されている。
【0140】
近似曲線KC1と上限側予測区間曲線UC1と下限側予測区間曲線LC1とのそれぞれは、運転計画情報D701として入力された第1運転計画情報に応じて算出される残存破壊電圧変化率BDVr[%]が減少する推移を示している。
【0141】
近似曲線KC2と上限側予測区間曲線UC2と下限側予測区間曲線LC2とのそれぞれは、運転計画情報D701として入力された第2運転計画情報に応じて算出される残存破壊電圧変化率BDVr[%]が減少する推移を示している。ここでは、第1運転計画情報と第2運転計画情報との間は、運転条件が互いに異なっている。
【0142】
また、画像データD900のグラフには、
図9に示すように、余寿命関連情報LS1と余寿命関連情報LS2とが将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示されている。
【0143】
余寿命関連情報LS1は、運転計画情報D701として入力された第1運転計画情報に応じて算出される残存破壊電圧変化率BDVr[%]が現在から下限値LPに達すると推定される時間に関する情報であって、近似曲線KC1と上限側予測区間曲線UC1と下限側予測区間曲線LC1とのそれぞれが、残存破壊電圧変化率BDVr[%]の下限値LPに交わる時点を求めることで生成される。ここでは、余寿命関連情報LS1は、近似曲線KC1から求められる余寿命期間RK1と、上限側予測区間曲線UC1から求められる余寿命期間RU1と、下限側予測区間曲線LC1から求められる余寿命期間RL1とを含む。この他に、余寿命関連情報LS1は、近似曲線KC1から求められる余寿命到達推定時点TK1と、上限側予測区間曲線UC1から求められる余寿命到達推定時点TU1と、下限側予測区間曲線LC1から求められる余寿命到達推定時点TL1とを含む。
【0144】
これに対して、余寿命関連情報LS2は、第1運転計画情報と異なる第2運転計画情報に応じて算出される残存破壊電圧変化率BDVr[%]が現在から下限値LPに達すると推定される時間に関する情報であって、近似曲線KC2と上限側予測区間曲線UC2と下限側予測区間曲線LC2とのそれぞれが、残存破壊電圧変化率BDVr[%]の下限値LPに交わる時点を求めることで生成される。ここでは、余寿命関連情報LS2は、近似曲線KC2から求められる余寿命期間RK2と、上限側予測区間曲線UC2から求められる余寿命期間RU2と、下限側予測区間曲線LC2から求められる余寿命期間RL2とを含む。この他に、余寿命関連情報LS2は、近似曲線KC2から求められる余寿命到達推定時点TK2と、上限側予測区間曲線UC2から求められる余寿命到達推定時点TU2と、下限側予測区間曲線LC2から求められる余寿命到達推定時点TL2とを含む。
【0145】
この他に、画像データD900のグラフには、
図9に示すように、準備期限情報DP1と準備期限情報DP2とが、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして示されている。準備期限情報DP1は、余寿命到達推定時点TL1よりも前の時点であって、例えば、余寿命到達推定時点TL1に最も近い定期点検時点Ttf2を準備期限として求めることで生成される。準備期限情報DP2は、余寿命到達推定時点TL2よりも前の時点であって、例えば、余寿命到達推定時点TL2に最も近い定期点検時点Ttf2を準備期限として求めることで生成される。ここでは、準備期限情報DP1および準備期限情報DP2は、準備期限である定期点検時点Ttf2の情報の他に、現時点Tcから準備期限である定期点検時点Ttf2までの準備期間PTの情報を含む。
【0146】
画像データD900は、
図9に示すように、グラフの他に、表を更に含み、余寿命関連情報LS1と余寿命関連情報LS1と準備期限情報DP1と準備期限情報DP2とを表で示すように生成されている。
【0147】
上記のように、本変形例では、画像データ生成部900は、運転計画情報D701として第1運転計画情報が入力されたときに将来残存破壊電圧関連情報D809cとして求められる第1将来残存破壊電圧関連情報(近似曲線KC1、上限側予測区間曲線UC1、下限側予測区間曲線LC1、余寿命関連情報LS1、準備期限情報DP1)を示すように、画像データD900を生成する。これと供に、画像データ生成部900は、運転計画情報D701として第1運転計画情報D701と異なる第2運転計画情報D701が入力されたときに将来残存破壊電圧関連情報D809cとして求められる第2将来残存破壊電圧関連情報(近似曲線KC2、上限側予測区間曲線UC2、下限側予測区間曲線LC2、余寿命関連情報LS2、準備期限情報DP2)を示すように、画像データD900を生成する。ここでは、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして、第1将来残存破壊電圧関連情報と第2将来残存破壊電圧関連情報とを並べて示すように、画像データD900が生成される。
【0148】
したがって、本変形例では、複数の運転計画情報D701に応じて複数の将来残存破壊電圧関連情報D809cが示されるため、運転計画情報D701の内容によって将来残存破壊電圧関連情報D809cが変化する様子を的確に把握することができる。
【0149】
なお、本動作の開始は、例えば、入力装置701に入力された指令に応じて行われる。また、例えば、入力装置701に入力された指令に応じて、例えば、将来残存破壊電圧関連情報D809cとして第1将来残存破壊電圧関連情報(近似曲線KC1、上限側予測区間曲線UC1、下限側予測区間曲線LC1、余寿命関連情報LS1、準備期限情報DP1)と第2将来残存破壊電圧関連情報(近似曲線KC2、上限側予測区間曲線UC2、下限側予測区間曲線LC2、余寿命関連情報LS2、準備期限情報DP2)とを示す状態から、いずれか一方を示す状態に選択可能に構成されていてもよい。
【0150】
その他、本実施形態においても、第1実施形態の変形例と同様に、画像データD900が警告情報AL(
図6参照)を示すように生成されてもよい。
【0151】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0152】
10:回転電機、20:回転子、40:固定子、41:固定子鉄心、42:固定子コイル、43:固定子ウェッジ、50:電力系統、60:回転電機ケーシング、200:回転子鉄心、201:回転シャフト、421:絶縁部材、600:部分放電検知部、700:回転電機管理システム、701:入力装置、702:表示装置、703:記憶装置、704:演算装置、800:残存破壊電圧関連情報生成部、801:関係データ記憶部、803:最大放電電荷量演算部、805:絶縁破壊強度演算部、807:絶縁破壊強度記憶部、809:残存破壊電圧関連情報演算部、821:残存破壊電圧低下係数記憶部、823:残存破壊電圧低下量演算部、900:画像データ生成部、AG:隙間、AL:警告情報、AX:回転軸、D600:部分放電信号、D701:運転計画情報、D801:関係データ、D803:最大放電電荷量データ、D805:絶縁破壊強度データ、D809:残存破壊電圧関連情報、D809a:過去残存破壊電圧関連情報、D809b:現在残存破壊電圧関連情報、D809c:将来残存破壊電圧関連情報、D821:残存破壊電圧低下係数データ、D823:残存破壊電圧低下量データ、D900:画像データ、DP:準備期限情報、DP1:準備期限情報、DP2:準備期限情報、KC:近似曲線、KC1:近似曲線、KC2:近似曲線、KS:固定子スロット、LC:下限側予測区間曲線、LC1:下限側予測区間曲線、LC2:下限側予測区間曲線、LL:残存破壊電圧下限値情報、LS:余寿命関連情報、LS1:余寿命関連情報、LS2:余寿命関連情報、RK:余寿命期間、RK1:余寿命期間、RK2:余寿命期間、RL:余寿命期間、RL1:余寿命期間、RL2:余寿命期間、RU:余寿命期間、RU1:余寿命期間、RU2:余寿命期間、T805:取得時点データ、TK:余寿命到達推定時点、TK1:余寿命到達推定時点、TK2:余寿命到達推定時点、TL:余寿命到達推定時点、TL1:余寿命到達推定時点、TL2:余寿命到達推定時点、Ttp1~Ttp4:定期点検時点、TU:余寿命到達推定時点、TU1:余寿命到達推定時点、TU2:余寿命到達推定時点、UC:上限側予測区間曲線、UC1:上限側予測区間曲線、UC2:上限側予測区間曲線