(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170842
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/63 20230101AFI20241204BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241204BHJP
G03B 19/07 20210101ALI20241204BHJP
G03B 35/08 20210101ALI20241204BHJP
【FI】
H04N23/63 310
H04N23/55
G03B19/07
G03B35/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087581
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 茉里奈
(72)【発明者】
【氏名】水野 高志
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB05
2H059AA08
5C122FA04
5C122FA18
5C122FB08
5C122FK34
5C122FK35
5C122FK37
5C122FK41
5C122FL03
5C122GE11
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA75
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】撮像された画像における被写体の意図せぬ位置ズレを容易かつ十分に低減することができるようにする。
【解決手段】本発明の撮像装置は、撮像装置であって、前記撮像装置の傾きの情報を取得する第1取得手段と、前記撮像装置に特定のレンズが装着されている場合に、前記特定のレンズの傾きの情報を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きを通知するように制御し、前記第2取得手段によって取得された前記情報とに基づいて前記特定のレンズの傾きを通知するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
前記撮像装置の傾きの情報を取得する第1取得手段と、
前記撮像装置に特定のレンズが装着されている場合に、前記特定のレンズの傾きの情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きを通知するように制御し、前記第2取得手段によって取得された前記情報とに基づいて前記特定のレンズの傾きを通知するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置の傾きは、水平面に対する前記撮像装置の傾きであり、
前記特定のレンズの傾きは、前記水平面に対する前記特定のレンズの傾きである
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特定のレンズは2眼レンズである
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置は姿勢検知センサをさらに有し、
前記第1取得手段は、前記撮像装置の傾きの情報を、前記姿勢検知センサから取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2取得手段は、前記特定のレンズの傾きの情報を、前記特定のレンズから取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記撮像装置の傾きと前記特定のレンズの傾きとを誇張して通知するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記撮像装置の傾きよりも大きい傾きで傾いた第1のアイテムと、前記特定のレンズの傾きよりも大きい傾きで傾いた第2のアイテムとを表示するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、さらに、前記撮像装置の傾きと前記特定のレンズの傾きとを誇張していることを通知するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、さらに、前記撮像装置の傾きが第1の許容範囲内であるか否かと、前記特定のレンズの傾きが第2の許容範囲内であるか否かとを通知するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内であるか否かを判定し、前記第2取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内であるか否かを判定する判定手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きが前記第
1の許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内であるか否かの情報を前記特定のレンズから取得する第3取得手段と
をさらに有する
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記撮像装置の傾きの通知として第1のアイテムの表示を行うように制御し、前記特定のレンズの傾きの通知として第2のアイテムの表示を行うように制御し、
前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内である場合と、前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内でない場合とで、前記第1のアイテムの態様を異ならせ、
前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内である場合と、前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内でない場合とで、前記第2のアイテムの態様を異ならせる
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記撮像装置の傾きの通知として第1のアイテムの表示を行うように制御し、前記特定のレンズの傾きの通知として第2のアイテムの表示を行うように制御し、
前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内であり且つ前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内であるという条件が満たされる場合と、前記条件が満たされない場合とで、前記第1のアイテムおよび前記第2のアイテムの態様を異ならせる
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記制御手段は、さらに、前記撮像装置の傾きの許容範囲である第1の許容範囲と、前記特定のレンズユニットの傾きの許容範囲である第2の許容範囲とを通知するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記撮像装置の傾きの通知として第1のアイテムの表示を行うように制御し、前記特定のレンズの傾きの通知として第2のアイテムの表示を行うように制御し、
前記撮像装置も前記特定のレンズも傾いていないという条件が満たされる場合と、前記条件が満たされない場合とで、前記第1のアイテムおよび前記第2のアイテムの態様を異ならせる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の傾きの情報を取得する第1取得ステップと、
前記撮像装置に特定のレンズが装着されている場合に、前記特定のレンズの傾きの情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きを通知するように制御し、前記第2取得ステップで取得された前記情報とに基づいて前記特定のレンズの傾きを通知するように制御する制御ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1~15のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータを、請求項1~15のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの光学系を有するデジタルカメラが知られている。2つの光学系が同じ方向を撮像するように配置されていれば、2つの光学系を用いて、視差のある2つの画像を得ることができ、得られた2つの画像から、180度の範囲の画像(半天球の画像)を作成したり、立体視が可能な画像を作成したりすることができる。2つの光学系が正反対の方向を撮像するように配置されていれば、2つの光学系を用いて取得した2つの画像から、360度の範囲の画像(全天球の画像)を作成することができる。
【0003】
2つの光学系を有するデジタルカメラでは、2つの光学系を用いて取得される2つの画像において、被写体の意図せぬ位置ズレが生じることがある。例えば、立体視を行う場合に、そのような位置ズレは、目の疲れおよび斜視の原因となる。画像処理によって、位置ズレを低減することができるが、位置ズレが大きいほど画像処理の負荷が増してしまう。そのため、位置ズレは小さいことが好ましい。デジタルカメラ(左右2つの光学系)を水平にすれば、デジタルカメラが水平でない場合に比べて、位置ズレが小さい画像を得ることができる。
【0004】
特許文献1には、カメラ自体の水平方向を示す水平基準線と、カメラの傾きに応じた水平撮影補助線とを表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カメラを水平にするだけでは、撮像された画像における被写体の意図せぬ位置ズレを十分に低減できないことがある。特に、立体視が可能な画像を得る場合には、僅かな位置ズレも許容されず、カメラを水平にするだけでは位置ズレを十分に低減できないことがある。従来のカメラにおいて、位置ズレを十分に低減することは困難である。
【0007】
本発明は、撮像された画像における被写体の意図せぬ位置ズレを容易かつ十分に低減することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、撮像装置であって、前記撮像装置の傾きの情報を取得する第1取得手段と、前記撮像装置に特定のレンズが装着されている場合に、前記特定のレンズの傾きの情報を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きを通知するように制御し、前記第2取得手段によって取得された前記情報とに基づいて前記特定のレンズの傾きを通知するように制御する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像された画像における被写体の意図せぬ位置ズレを容易かつ十分に低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係るシステムの全体構成を示す模式図である。
【
図3】実施形態1に係るカメラの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係るレンズユニットの構成を示す模式図である。
【
図5】実施形態1に係るレンズ情報とカメラ情報を示す模式図である。
【
図6】実施形態1に係るカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<実施形態1>
実施形態1では、デジタルカメラ(撮像装置)に特定のレンズユニット(特定のレンズ)が装着されている場合に、デジタルカメラが、デジタルカメラの傾きとレンズユニットの傾きとをユーザに通知する例について説明する。特定のレンズユニットが、立体視が可能な画像を得るための2眼レンズユニット(2眼レンズ)である場合を説明するが、特定のレンズユニットは特に限定されない。例えば、特定のレンズユニットは、全天球画像を得るための2眼レンズユニットであってもよいし、3つ以上の光学系を有する複眼レンズユニット(複眼レンズ)であってもよいし、アナモフィックレンズユニット(アナモフィックレンズ)であってもよい。
【0013】
図1は、実施形態1に係るシステムの全体構成の一例を示す模式図である。実施形態1に係るシステムは、デジタルカメラ(カメラ)100と、カメラ100に装着されたレンズユニットとを含む。
図1では、カメラ100にレンズユニット300が装着(接続)されている。レンズユニット300の詳細は後述するが、レンズユニット300を装着することで、カメラ100は、所定の視差を有する2つの画像領域を含む1つの画像(静止画または動画)を撮像できるようになる。
【0014】
図2(A),2(B)は、カメラ100の外観の一例を示す外観図である。
図2(A)はカメラ100を前面側から見た斜視図であり、
図2(B)はカメラ100を背面側から見た斜視図である。
【0015】
カメラ100は、上面に、シャッターボタン101、電源スイッチ102、モード切替スイッチ103、メイン電子ダイヤル104、サブ電子ダイヤル105、動画ボタン106、ファインダ外表示部107を有する。シャッターボタン101は、撮影準備指示あるいは撮影指示を行うための操作部材である。電源スイッチ102は、カメラ100の電源のオンとオフとを切り替える操作部材である。モード切替スイッチ103は、各種モードを切り替えるための操作部材である。メイン電子ダイヤル104は、シャッター速度や絞りなどの設定値を変更するための回転式の操作部材である。サブ電子ダイヤル105は、選択枠(カーソル)の移動や画像送りなどを行うための回転式の操作部材である。動画ボタン106は、動画撮影(記録)の開始や停止の指示を行うための操作部材である。ファインダ外表示部107は、シャッター速度や絞りなどの様々な設定値を表示する。
【0016】
カメラ100は、背面に、表示部108、タッチパネル109、方向キー110、SETボタン111、AEロックボタン112、拡大ボタン113、再生ボタン114、メニューボタン115、接眼部116、接眼検知部118、タッチバー119を有する。表示部108は、画像や各種情報を表示する。タッチパネル109は、表示部108の表示面
(タッチ操作面)に対するタッチ操作を検出する操作部材である。方向キー110は、上下左右にそれぞれ押下可能なキー(4方向キー)から構成される操作部である。方向キー110の押下した位置に応じた処理が可能である。SETボタン111は、主に選択項目を決定するときに押下される操作部材である。AEロックボタン112は、撮影待機状態で露出状態を固定するときに押下される操作部材である。拡大ボタン113は、撮影モードのライブビュー表示(LV表示)において拡大モードのオンとオフとを切り替えるための操作部材である。拡大モードがオンである場合にはメイン電子ダイヤル104を操作することにより、ライブビュー画像(LV画像)が拡大または縮小する。また、拡大ボタン113は、再生モードにおいて再生画像を拡大したり、拡大率を大きくしたりするときに用いられる。再生ボタン114は、撮影モードと再生モードとを切り替えるための操作部材である。撮影モードの場合に再生ボタン114を押下することで再生モードに移行し、後述する記録媒体227に記録された画像のうち最新の画像を表示部108に表示することができる。
【0017】
メニューボタン115は、各種設定が可能なメニュー画面を表示部108に表示するために押下される操作部材である。ユーザは、表示部108に表示されたメニュー画面と、方向キー110やSETボタン111とを用いて、直感的に各種設定を行うことができる。接眼部116は、接眼ファインダ(覗き込み型のファインダ)117に対して接眼して覗き込む部位である。ユーザは接眼部116を介して、カメラ100内部の後述するEVF217(Electronic View Finder)に表示された映像を視認することができる。接眼検知部118は、接眼部116(接眼ファインダ117)にユーザが接眼しているか否かを検知するセンサである。
【0018】
タッチバー119は、タッチ操作を受け付けることが可能なライン状のタッチ操作部材(ラインタッチセンサ)である。タッチバー119は、右手の人差し指でシャッターボタン101を押下可能なようにグリップ部120を右手で握った状態(右手の小指、薬指、中指で握った状態)で、右手の親指でタッチ操作可能(タッチ可能)な位置に配置される。すなわち、タッチバー119は、接眼ファインダ117に接眼して接眼部116を覗き、いつでもシャッターボタン101を押下できるように構えた状態(撮影姿勢)で操作可能である。タッチバー119は、タッチバー119に対するタップ操作(タッチして所定期間以内にタッチ位置を移動せずに離す操作)、左右へのスライド操作(タッチした後、タッチしたままタッチ位置を移動する操作)などを受け付け可能である。タッチバー119は、タッチパネル109とは異なる操作部材であり、表示機能を備えていない。タッチバー119は、例えば各種機能を割当可能なマルチファンクションバー(M-Fnバー)として機能する。
【0019】
また、カメラ100は、グリップ部120、サムレスト部121、端子カバー122、蓋123、通信端子124などを有する。グリップ部120は、ユーザがカメラ100を構える際に右手で握りやすい形状に形成された保持部である。グリップ部120を右手の小指、薬指、中指で握ってカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン101とメイン電子ダイヤル104が配置される。また、同様な状態で、右手の親指で操作可能な位置にサブ電子ダイヤル105とタッチバー119が配置される。サムレスト部121(親指待機位置)は、カメラ100の背面側の、どの操作部材も操作しない状態でグリップ部120を握った右手の親指を置きやすい箇所に設けられたグリップ部である。サムレスト部121は、保持力(グリップ感)を高めるためのラバー部材などで構成される。端子カバー122は、カメラ100を外部機器(外部装置)に接続する接続ケーブルなどのコネクタを保護する。蓋123は、後述する記録媒体227を格納するためのスロットを閉塞することで記録媒体227およびスロットを保護する。通信端子124は、カメラ100に対して着脱可能なレンズユニット(後述するレンズユニット200や、レンズユニット300など)側と通信を行うための端子である。
【0020】
図3は、カメラ100の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図3において、
図2(A),2(B)と同一の構成要素には
図2(A),2(B)と同一の符号を付し、その構成要素の説明は適宜、省略する。
図3では、カメラ100にレンズユニット200が装着されている。
【0021】
まず、レンズユニット200について説明する。レンズユニット200は、カメラ100に対して着脱可能な交換レンズユニット(交換レンズ)の一種である。レンズユニット200は、1眼レンズユニット(1眼レンズ)であり、通常のレンズユニットの一例である。レンズユニット200は、絞り201、レンズ202、絞り駆動回路203、AF(オートフォーカス)駆動回路204、レンズシステム制御回路205、通信端子206などを有する。
【0022】
絞り201は、開口径が調整可能に構成される。レンズ202は、複数枚のレンズから構成される。絞り駆動回路203は、絞り201の開口径を制御することで光量を調整する。AF駆動回路204は、レンズ202を駆動して焦点を合わせる。レンズシステム制御回路205は、後述するシステム制御部50の指示に基づいて、絞り駆動回路203、AF駆動回路204などを制御する。レンズシステム制御回路205は、絞り駆動回路203を介して絞り201の制御を行い、AF駆動回路204を介してレンズ202の位置を変えることで焦点を合わせる。レンズシステム制御回路205は、カメラ100との間で通信可能である。具体的には、レンズユニット200の通信端子206と、カメラ100の通信端子124とを介して通信が行われる。通信端子206は、レンズユニット200がカメラ100側と通信を行うための端子である。
【0023】
次に、カメラ100について説明する。カメラ100は、シャッター210、撮像部211、A/D変換器212、メモリ制御部213、画像処理部214、メモリ215、D/A変換器216、EVF217、表示部108、システム制御部50を有する。
【0024】
シャッター210は、システム制御部50の指示に基づいて撮像部211の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。撮像部211は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子などで構成される撮像素子(イメージセンサ)である。撮像部211は、システム制御部50にデフォーカス量情報を出力する撮像面位相差センサを有していてもよい。A/D変換器212は、撮像部211から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。画像処理部214は、A/D変換器212からのデータまたはメモリ制御部213からのデータに対し所定の処理(画素補間、縮小などのリサイズ処理、色変換処理など)を行う。また、画像処理部214は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御や測距制御を行う。この処理により、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理などが行われる。更に、画像処理部214は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50がTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0025】
A/D変換器212からの画像データは、画像処理部214およびメモリ制御部213を介してメモリ215に書き込まれる。あるいは、A/D変換器212からの画像データは、画像処理部214を介さずにメモリ制御部213を介してメモリ215に書き込まれる。メモリ215は、撮像部211によって得られA/D変換器212によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部108やEVF217に表示するための画像データを格納する。メモリ215は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ215は画像表示用のメモリ(ビ
デオメモリ)を兼ねている。
【0026】
D/A変換器216は、メモリ215に格納されている表示用の画像データをアナログ信号に変換して表示部108やEVF217に供給する。したがって、メモリ215に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器216を介して表示部108やEVF217に表示される。表示部108やEVF217は、D/A変換器216からのアナログ信号に応じた表示を行う。表示部108やEVF217は、例えば、LCDや有機ELなどのディスプレイである。A/D変換器212によってA/D変換されメモリ215に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器216でアナログ信号に変換し、表示部108やEVF217に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示が行われる。
【0027】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの回路からなる制御部である。すなわち、システム制御部50は、プロセッサであってもよく、回路であってもよく、プロセッサと回路の組み合わせであってもよい。システム制御部50は、カメラ100全体を制御する。システム制御部50は、不揮発性メモリ219に記録されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの各処理を実現する。また、システム制御部50は、メモリ215、D/A変換器216、表示部108、EVF217などを制御することにより表示制御も行う。
【0028】
また、カメラ100は、システムメモリ218、不揮発性メモリ219、システムタイマ220、通信部221、姿勢検知部222、接眼検知部118を有する。
【0029】
システムメモリ218として、例えばRAMが用いられる。システムメモリ218には、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ219から読み出したプログラムなどが展開される。不揮発性メモリ219は電気的に消去・記録可能なメモリであり、不揮発性メモリ219として、例えばEEPROMが用いられる。不揮発性メモリ219には、システム制御部50の動作用の定数、プログラムなどが記録される。ここでのプログラムとは、後述するフローチャートを実行するためのプログラムである。システムタイマ220は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。通信部221は、無線または有線ケーブルによって接続された外部機器との間で、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部221は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部221は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部221は撮像部211で撮像した画像(ライブ画像を含む)や、記録媒体227に記録された画像を送信可能であり、外部機器から画像やその他の各種情報を受信することができる。姿勢検知部222は、重力方向に対するカメラ100の姿勢を検知する姿勢検知センサである。姿勢検知部222で検知された姿勢に基づいて、撮像部211で撮影された画像が、カメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部222で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部211で撮影された画像の画像ファイルに付加したり、検知された姿勢に応じて画像を回転したりすることが可能である。姿勢検知部222には、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。姿勢検知部222を用いて、カメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否かなど)を検知することも可能である。
【0030】
接眼検知部118は、接眼部116(接眼ファインダ117)に対する何らかの物体の接近を検知することができる。接眼検知部118には、例えば、赤外線近接センサを用いることができる。物体が接近した場合、接眼検知部118の投光部から投光した赤外線が物体で反射して赤外線近接センサの受光部で受光される。受光された赤外線の量によって接眼部116から物体までの距離を判別することができる。このように、接眼検知部11
8は、接眼部116に対する物体の近接距離を検知する接眼検知を行う。接眼検知部118は、接眼部116に対する眼(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する接眼検知センサである。非接眼状態(非接近状態)から、接眼部116に対して所定距離以内に近づく物体が検知された場合に、接眼されたと検知する。一方、接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検知する。接眼を検知する閾値と、離眼を検知する閾値とは例えばヒステリシスを設けることなどにより異なっていてもよい。また、接眼を検知した後は、離眼を検知するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検知した後は、接眼を検知するまでは非接眼状態であるものとする。システム制御部50は、接眼検知部118で検知された状態に応じて、表示部108とEVF217の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。具体的には、少なくとも撮影待機状態であって、かつ、表示先の切替設定が自動切替である場合、非接眼中は表示先を表示部108として表示をオンとし、EVF217は非表示とする。また、接眼中は表示先をEVF217として表示をオンとし、表示部108は非表示とする。なお、接眼検知部118は赤外線近接センサに限られず、接眼検知部118には、接眼とみなせる状態を検知できるものであれば他のセンサを用いてもよい。
【0031】
また、カメラ100は、ファインダ外表示部107、ファインダ外表示駆動回路223、電源制御部224、電源部225、記録媒体I/F226、操作部228などを有する。
【0032】
ファインダ外表示部107は、ファインダ外表示駆動回路223によって駆動され、シャッター速度や絞りなどのカメラ100の様々な設定値を表示する。電源制御部224は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路などにより構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出などを行う。また、電源制御部224は、その検出結果およびシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体227を含む各部へ供給する。電源部225は、アルカリ電池およびリチウム電池などの一次電池、NiCd電池、NiMH電池およびLi電池などの二次電池、ACアダプターなどである。記録媒体I/F226は、メモリカードやハードディスクなどの記録媒体227とのインターフェースである。記録媒体227は、撮影された画像を記録するためのメモリカードなどであり、半導体メモリや磁気ディスクなどから構成される。記録媒体227は、カメラ100に対して着脱可能であってもよいし、カメラ100に内蔵されていてもよい。
【0033】
操作部228は、ユーザからの操作(ユーザ操作)を受け付ける入力部であり、システム制御部50に各種の指示を入力するために用いられる。操作部228は、シャッターボタン101、電源スイッチ102、モード切替スイッチ103、タッチパネル109、他の操作部229などが含まれる。他の操作部229には、メイン電子ダイヤル104、サブ電子ダイヤル105、動画ボタン106、方向キー110、SETボタン111、AEロックボタン112、拡大ボタン113、再生ボタン114、メニューボタン115、タッチバー119などが含まれる。
【0034】
シャッターボタン101は、第1シャッタースイッチ230と第2シャッタースイッチ231を有する。第1シャッタースイッチ230は、シャッターボタン101の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり、第1シャッタースイッチ信号SW1を出力する。システム制御部50は、第1シャッタースイッチ信号SW1に応じて、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理などの撮影準備処理を開始する。第2シャッタースイッチ231は、シャッターボタン101の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を出力する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2に応じて、撮像部211からの信号読み出しから、撮影された画像を含む画像ファイルを生成して記録媒体227に書き込むまでの一連の撮影処理
を開始する。
【0035】
モード切替スイッチ103は、システム制御部50の動作モードを静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モードなどの何れかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードには、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモードなどがある。ユーザは、モード切替スイッチ103により、上述した撮影モードの何れかに直接、切り替えることができる。あるいは、ユーザは、モード切替スイッチ103により撮影モードの一覧画面に一旦切り替えた後に、表示された複数のモードの何れかに操作部228を用いて選択的に切り替えることができる。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0036】
タッチパネル109は、表示部108の表示面(タッチパネル109の操作面)への各種タッチ操作を検出するタッチセンサである。タッチパネル109と表示部108とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル109は、光の透過率が表示部108の表示を妨げないように、表示部108の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル109における入力座標と、表示部108の表示面上の表示座標とを対応付けることで、あたかもユーザが表示部108上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を構成できる。タッチパネル109には、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式などの様々な方式のうち何れかの方式を用いることができる。方式によって、タッチパネル109に対する接触があったことでタッチがあったと検知する方式や、タッチパネル109に対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検知する方式があるが、何れの方式であってもよい。
【0037】
システム制御部50は、タッチパネル109に対する以下の操作あるいは状態を検出できる。
・タッチパネル109にタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル109にタッチしたこと、すなわちタッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)という)。
・タッチパネル109を指やペンでタッチしている状態(以下、タッチオン(Touch-On)という)。
・タッチパネル109を指やペンがタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)という)。
・タッチパネル109へタッチしていた指やペンがタッチパネル109から離れた(リリースされた)こと、すなわちタッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)という)。
・タッチパネル109に何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)という)。
【0038】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出された場合も、タッチオンが検出され続ける。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0039】
これらの操作・状態や、タッチパネル109上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル109上にどのような操作(タッチ操作)が行われたかを判定
する。タッチムーブについてはタッチパネル109上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル109上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行われたと判定される。タッチパネル109上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックという。フリックは、言い換えればタッチパネル109上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行われたと判定される(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を共にタッチして(マルチタッチして)、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトという。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)という。
【0040】
図4は、レンズユニット300の構成の一例を示す模式図である。
図4では、レンズユニット300をカメラ100に装着した状態を示している。なお、
図4において、
図3で説明した構成要素と同一の構成要素には、
図3と同一の符号を付し、その構成要素の説明は適宜、省略する。
【0041】
レンズユニット300は、カメラ100に対して着脱可能な交換レンズユニットの一種である。レンズユニット300は、視差のある右画像および左画像を撮像可能な2眼レンズユニットである。レンズユニット300は2つの光学系を有し、2つの光学系それぞれで、略180度の広視野角の範囲を撮像できる。具体的に、レンズユニット300の2つの光学系それぞれで、左右方向(水平角度、方位角、ヨー角)180度、上下方向(垂直角度、仰俯角、ピッチ角)180度の視野分(画角分)の被写体を撮像できる。つまり、2つの光学系それぞれで、前方半球の範囲を撮像できる。
【0042】
レンズユニット300は、複数のレンズと反射ミラーなどを有する右眼光学系301R、複数のレンズと反射ミラーなどを有する左眼光学系301L、レンズシステム制御回路303を有する。右眼光学系301Rは被写体側に配置されるレンズ302Rを有し、左眼光学系301Lは被写体側に配置されるレンズ302Lを有する。レンズ302Rとレンズ302Lは同じ方向を向いており、それらの光軸は略平行である。
【0043】
レンズユニット300は、2眼立体視が可能なVR(Virtual Reality)画像のフォーマットの1つであるVR180の画像を得るための2眼レンズユニット(VR180レンズユニット)である。レンズユニット300は、右眼光学系301Rおよび左眼光学系301Lのそれぞれに、略180度の範囲を捉えることが可能な魚眼レンズを有する。なお、右眼光学系301Rおよび左眼光学系301Lのそれぞれが有するレンズで捉えることが可能な範囲は、180度の範囲よりも狭い160度程度であってもよい。レンズユニット300は、右眼光学系301Rを介して形成される右画像と、左眼光学系301Lを介して形成される左画像とを、レンズユニット300が装着されたカメラの1つまたは2つの撮像素子上に結像することができる。カメラ100では、右画像と左画像とが1つの撮像素子(イメージセンサ)上に結像され、右画像領域(右画像の領域)と左画像領域(左画像の領域)とが左右に並んだ1つの画像(2眼画像)が生成される。
【0044】
レンズユニット300は、レンズマウント部304と、カメラ100のカメラマウント部305とを介して、カメラ100に装着される。こうすることで、カメラ100の通信端子124と、レンズユニット300の通信端子306とを介して、カメラ100のシステム制御部50とレンズユニット300のレンズシステム制御回路303とが電気的に接続される。
【0045】
姿勢検知部307は、重力方向に対するレンズユニット300の姿勢を検知する姿勢検知センサである。姿勢検知部307には、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。姿勢検知部307を用いて、レンズユニット300の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否かなど)を検知することも可能である。
【0046】
図4では、右眼光学系301Rを介して形成される右画像と、左眼光学系301Lを介して形成される左画像とが、並んでカメラ100の撮像部211に結像される。すなわち、右眼光学系301Rおよび左眼光学系301Lにより、1つの撮像素子(撮像センサ)の2つの領域に2つの光学像(被写体像)がそれぞれ結像される。撮像部211は、結像された光学像(光信号)をアナログ電気信号に変換する。このようにレンズユニット300を用いることで、右眼光学系301Rと左眼光学系301Lとの2つの箇所(光学系)から、視差のある2つの画像領域を含む1つの画像を取得することができる。取得された画像を左眼用の画像と右眼用の画像とに分割してVR表示することで、ユーザは略180度の範囲の立体的なVR画像を視聴することができる。つまり、ユーザは、VR180の画像を立体視することができる。
【0047】
ここで、VR画像とは、後述するVR表示することができる画像である。VR画像には、全方位カメラ(全天球カメラ)で撮像した全方位画像(全天球画像)や、表示部で一度に表示できる表示範囲より広い映像範囲(有効映像範囲)を持つパノラマ画像などが含まれる。また、VR画像は、静止画に限られず、動画、ライブ画像(カメラからほぼリアルタイムで取得した画像)も含まれる。VR画像は、最大で、左右方向360度、上下方向360度の視野分の映像範囲(有効映像範囲)を持つ。また、VR画像には、左右方向360度未満、上下方向360度未満であっても、通常のカメラで撮像可能な画角よりも広範な画角、あるいは、表示部で一度に表示できる表示範囲より広い映像範囲を持つ画像も含まれる。上述したレンズユニット300を用いてカメラ100で撮像される画像は、VR画像の一種である。VR画像は、例えば、表示装置(VR画像を表示できる表示装置)の表示モードを「VRビュー」に設定することでVR表示することができる。360度の画角を有するVR画像の一部の範囲を表示して、ユーザが表示装置の姿勢を左右方向(水平回転方向)に変化させることで、表示される範囲を移動し、左右方向に継ぎ目のない全方位の映像を観賞することができる。
【0048】
VR表示(VRビュー)とは、VR画像のうち、表示装置の姿勢に応じた視野範囲の映像を表示する、表示範囲を変更可能な表示方法(表示モード)である。VR表示には、VR画像を仮想球体にマッピングする変形(歪曲補正)を行って1つの画像を表示する「1眼VR表示(1眼VRビュー)」がある。また、VR表示には、左眼用のVR画像と右眼用のVR画像とをそれぞれ仮想球体にマッピングする変形を行って左右の領域に並べて表示する「2眼VR表示(2眼VRビュー)」がある。互いに視差のある左眼用のVR画像と右眼用のVR画像を用いて「2眼VR表示」を行うことで、それらVR画像を立体視することが可能である。何れのVR表示であっても、例えば、ユーザがHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などの表示装置を装着した場合、ユーザの顔の向きに応じた視野範囲の映像が表示される。例えば、VR画像のうち、ある時点で左右方向に0度(特定の方位、例えば北)、上下方向に90度(天頂から90度、すなわち水平)を中心とした視野範囲の映像を表示しているとする。この状態から表示装置の姿勢を表裏反転させる(例えば、表示面を南向きから北向きに変更する)と、同じVR画像のうち、左右方向に180度(逆の方位、例えば南)、上下方向に90度を中心とした視野範囲の映像に、表示範囲が変更される。すなわち、ユーザがHMDを装着した状態で、顔を北から南に向く(すなわち後ろを向く)ことで、HMDに表示される映像も北の映像から南の映像に変更される。なお、レンズユニット300を用いて撮像したVR画像は、前方略180度の範囲を撮像した画像(180°画像)であり、後方略180度の範囲の映像は存在しない。このような画像をVR表示して、映像が存在しない側に表示装置の姿勢を変更した場合にはブラン
ク領域が表示される。
【0049】
このようにVR画像をVR表示することによって、ユーザは視覚的にあたかもVR画像内(VR空間内)にいるような感覚(没入感)を得ることができる。なお、VR画像の表示方法は表示装置の姿勢を変更する方法に限られない。例えば、タッチパネルや方向ボタンなどを介したユーザ操作に応じて、表示範囲を移動(スクロール)させてもよい。また、VR表示時(表示モード「VRビュー」時)において、姿勢変化による表示範囲の変更に加え、タッチパネルでのタッチムーブ、マウスなどでのドラッグ操作、方向ボタンの押下などに応じて表示範囲を変更してもよい。なお、VRゴーグル(ヘッドマウントアダプタ)に装着されたスマートフォンはHMDの一種である。
【0050】
図5(A)は、2眼レンズユニットから取得するレンズ情報の一例を示す模式図である。レンズ情報は、
1.レンズ設計値
2.レンズ個体値
3.レンズフラグ
4.レンズ焦点距離
5.レンズ温度
6.レンズマウント最大ガタ
7.レンズ内加速度計情報
などを含む。
【0051】
レンズ設計値は、収差補正を行うための設計値である。2眼レンズユニットの製造過程では、2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)それぞれで、レンズの偏芯や傾きなどの誤差が発生する。誤差を考慮せずに左右入れ替え(右画像領域と左画像領域の入れ替え)や正距円筒変換などを行うと、2眼VR表示の品位が低下し、良好な立体視が困難となる。レンズ個体値は、2眼レンズユニットの製造過程で検出した誤差(製造誤差)の測定結果などである。
【0052】
レンズフラグは、2眼レンズユニットであることを示すフラグであり、2眼レンズユニットが使用されたか否かを判定するために使用できる。レンズ焦点距離は、レンズの中心である「主点」から撮像素子(結像位置)までの距離である。レンズ焦点距離は、2眼レンズユニットの2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)で共通のパラメータであってもよいし、そうでなくてもよい。左右入れ替えや正距円筒変換などを高精度に行って高品位な2眼VR表示を行うためには、詳細(高精度)なレンズ焦点距離が必要となる。レンズ温度は、2眼レンズユニットの温度であり、撮影時の環境温度などを把握するために使用される。
【0053】
レンズマウント最大ガタは、2眼レンズユニットとカメラのマウント部(接続部)に生じる遊びの設計値である。2眼レンズユニットとカメラのマウント部に生じる遊びによって、イメージセンサに対する2眼レンズユニットの最大の傾きが決まる。なお、レンズマウント最大ガタは後述のカメラ情報に含まれていてもよい。レンズマウント最大ガタは、レンズ情報とカメラ情報の一方にのみに含まれていてもよいし、レンズ情報とカメラ情報の両方に含まれていてもよい。
【0054】
レンズ内加速度計情報は、2眼レンズユニット内の加速度センサ(水準器)を用いて得られた姿勢情報であり、ロール方向やピッチ方向などにおけるレンズの姿勢を表す。
【0055】
図5(B)は、カメラ内で生成されるカメラ情報の一例を示す模式図である。例えば、カメラ情報は、高品位なVR表示を行うために使用される。カメラ情報は、
1.カメラ記録領域情報
2.カメラ内加速度計情報
3.右露出補正情報
などを含む。
【0056】
カメラ記録領域情報は有効画像領域の情報である。カメラのセンサや記録モードに依って、表示可能な有効画像領域は異なる。カメラ内加速度計情報は、カメラ内の加速度センサ(水準器)を用いて得られた姿勢情報であり、ロール方向やピッチ方向などにおけるカメラの姿勢を表す。右露出補正情報は、右画像領域の露出を左画像領域の露出に近づける露出設定値である。
【0057】
図6は、カメラ100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、システム制御部50が不揮発性メモリ219に記録されたプログラムをシステムメモリ218に展開して実行することにより実現される。例えば、カメラ100が起動すると、
図6の動作が開始する。
図6の動作は、撮像部211で撮像したライブビュー画像(被写体をほぼリアルタイムで表す画像)をEVF217または表示部108に表示する動作である。
図6の動作は、カメラ100が撮影待機状態(撮影モード)である場合において実行される。
【0058】
ステップS601では、システム制御部50は、カメラ100が2眼レンズユニット(例えばレンズユニット300)に対応しているか否かを判定する。例えば、システム制御部50は、システム制御部50のファームウェアのバージョンが2眼レンズユニットに対応したバージョンであるか否かを判定する。2眼レンズユニットに対応していると判定した場合はステップS602へ進み、そうでない場合はステップS611へ進む。実施形態1では、2眼レンズユニットの場合は、通常の1眼レンズユニットの場合と異なり、後処理用に2眼レンズユニットの情報(レンズ情報;2眼レンズユニットの2つの光学系に関する情報)を取得して記録する必要がある。そのため、ステップS601の処理が必要となる。
【0059】
ステップS602では、システム制御部50は、2眼レンズユニットがカメラ100に装着されているか否かを判定する。2眼レンズユニットが装着されていると判定した場合はステップS603へ進み、そうでない場合はステップS611へ進む。なお、2眼レンズユニットが装着されていない状態から2眼レンズユニットが装着された場合も、ステップS603へ進む。2眼レンズユニットが装着されている状態から2眼レンズユニットが取り外され、1眼レンズユニットが装着された場合は、ステップS611へ進む。
【0060】
ステップS603では、システム制御部50は、装着(接続)されている2眼レンズユニットから、当該2眼レンズユニットの設計値を取得する。設計値は設計上のパラメータであり、左右入れ替えや正距円筒変換に利用される。
【0061】
ステップS604では、システム制御部50は、装着(接続)されている2眼レンズユニットから、当該2眼レンズユニットの個体値を取得する。個体値はレンズユニット固有のパラメータであり、例えば製造時の誤差(製造誤差)などである。個体値を利用することにより、設計値のみを利用する場合よりも画像処理を高精度に行うことができる。
【0062】
ステップS605では、システム制御部50は、右画像領域と左画像領域を含むライブビュー画像を撮像部211から取得する。
【0063】
ステップS606では、システム制御部50は、カメラ100の姿勢検知部222から、カメラ100の傾きの情報(カメラ傾き情報)を取得する。例えば、システム制御部5
0は、カメラ傾き情報として、地面(水平面、鉛直方向(重力方向)に垂直な面)に対するカメラ100の傾きの角度(傾斜角)を取得する。なお、カメラ傾き情報の取得方法は特に限定されない。例えば、ライブビュー画像から地平線を検出し、検出した地平線に平行な方向に対するライブビュー画像の水平方向(左右方向)の傾きの角度を、カメラ傾き情報として取得してもよい。カメラ100の傾きの基準面は地面に限られない。
【0064】
ステップS607では、システム制御部50は、装着(接続)されている2眼レンズユニット(例えば、レンズユニット300の姿勢検知部307)から、当該2眼レンズユニットの傾きの情報(レンズ傾き情報)を取得する。例えば、システム制御部50は、レンズ傾き情報として、地面に対する2眼レンズユニットの傾きの角度(傾斜角)を取得する。なお、レンズ傾き情報の取得方法は特に限定されない。例えば、ライブビュー画像から地平線、右画像領域、および左画像領域を検出し、右画像領域(イメージサークル)の中心と左画像領域(イメージサークル)の中心とを通る直線を検出してもよい。そして、検出した地平線に平行な方向に対する、検出した直線に平行な方向の傾きの角度を、レンズ傾き情報として取得してもよい。2眼レンズユニットの傾きの基準面は地面に限られない。
【0065】
ステップS608では、システム制御部50は、ステップS606で取得したカメラ傾き情報に基づいてカメラ100の傾きをユーザに通知し、ステップS607で取得したレンズ傾き情報に基づいて2眼レンズユニットの傾きをユーザに通知する。実施形態1では、システム制御部50は、これらの傾きを、EVF217または表示部108での表示によって通知する。なお、傾きの通知方法は特に限定されず、例えば音声出力によって通知が行われてもよい。
【0066】
ステップS609では、システム制御部50は、ステップS605で取得したライブビュー画像をEVF217または表示部108に表示する。
【0067】
ステップS610では、システム制御部50は、ライブビュー表示を終了するか否かを判定する。例えば、ユーザがカメラ100に対してライブビュー表示の終了や、撮影モード以外のモードへのモード変更を指示した場合に、ライブビュー表示を終了すると判定する。ライブビュー表示を終了すると判定した場合は
図6の動作を終了し、そうでない場合はステップS605へ進む。
【0068】
カメラ100に1眼レンズユニットが装着されている場合にはステップS611の処理が行われる。ステップS611では、システム制御部50は、1眼レンズユニットで撮像したライブビュー画像をEVF217または表示部108に表示する。ステップS611の処理は、1眼レンズユニットで撮像したライブビュー画像を表示する従来の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS611の処理が終了すると、
図6の動作が終了する。
【0069】
図7(A)~7(D)は、
図6のステップS618の処理後に、EVF217または表示部108に表示される画面の一例を示す。
図7(A)~7(D)の画面700には、直線701~703が表示されている。直線701は、ライブビュー画像の水平方向(イメージセンサの水平方向、カメラ100の左右方向)に平行なアイテム(基準線)である。直線702は、地面に対するカメラ100の傾き(傾きの方向と大きさ)を示すアイテムである。直線703は、地面に対する2眼レンズユニットの傾き(傾きの方向と大きさ)を示すアイテムである。システム制御部50は、カメラ傾き情報に基づいて直線702の傾きを制御し、レンズ傾き情報に基づいて直線703の傾きを制御する。例えば、システム制御部50は、直線701と直線702の間の角度が、地面に対するカメラ100の傾きの角度に一致するように、直線702の傾きを制御する。そして、システム制御部50
は、直線701と直線703の間の角度が、地面に対する2眼レンズユニットの傾きの角度に一致するように、直線703の傾きを制御する。
【0070】
図7(A)は、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いていない理想的な状態を示す。直線702,703は直線701に平行となっている。ユーザは、このような直線702,703を見ることで、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いていないということ容易に把握できる。
【0071】
図7(B)は、地面に対して2眼レンズユニットは傾いていないが、カメラ100が傾いている状態を示す。直線701に対して直線703は平行となっているが、直線702は傾いている。ユーザは、このような直線702,703を見ることで、地面に対して2眼レンズユニットは傾いていないが、カメラ100が傾いているということを容易に把握できる。
【0072】
図7(C)は、地面に対してカメラ100は傾いていないが、2眼レンズユニットが傾いている状態を示す。直線701に対して直線702は平行となっているが、直線703は傾いている。ユーザは、このような直線702,703を見ることで、地面に対してカメラ100は傾いていないが、2眼レンズユニットが傾いているということを容易に把握できる。
【0073】
図7(D)は、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いている状態を示す。直線701に対して直線702も直線703も傾いている。ユーザは、このような直線702,703を見ることで、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いているということ容易に把握できる。
【0074】
なお、直線701は表示されなくてもよい。直線701が表示されなくても、ユーザは、ライブビュー画像の水平方向(イメージセンサの水平方向、カメラ100の左右方向)を把握して、直線702,703の傾きを把握することができる。また、傾き(傾きの方向と大きさ)を示すアイテムは直線702,703に限られない。例えば、傾きを示すアイテムとして、傾き(傾きの方向と大きさ)を示すバー、傾きを解消する方向を示す矢印、または傾きの方向を示す矢印が表示されてもよい。傾きの大きさに依って矢印の大きさまたは長さが変化してもよい。
【0075】
カメラが傾くことだけでなく、レンズユニットが傾くことによっても、撮像された画像において、被写体の意図せぬ位置ズレが生じる。実施形態1によれば、カメラの傾きだけでなく、レンズユニットの傾きも、ユーザに通知される。こうすることによって、ユーザは、カメラの傾きとレンズユニットの傾きとを容易に把握して調整することができる。その結果、ユーザは、撮像された画像における被写体の意図せぬ位置ズレを容易かつ十分に低減することができる。
【0076】
<実施形態2>
実施形態1では、カメラとレンズユニットの傾きをユーザに通知する例を説明した。しかし、対象物(カメラまたはレンズユニット)の傾きが微小である場合に、傾きをそのまま通知しても、ユーザは対象物が傾いているのか否かを容易に把握することはできない。そこで、実施形態2では、傾きを誇張(強調)して通知する例を説明する。なお、以下では、実施形態1と同じ点(例えば、実施形態1と同じ構成および処理)についての説明は適宜省略する。
【0077】
図8(A)~8(D)は、EVF217または表示部108に表示される画面の一例を示す。
図8(A)~8(D)の画面800には、直線801~803が表示されている。
直線801は、ライブビュー画像の水平方向(イメージセンサの水平方向、カメラ100の左右方向)に平行なアイテム(基準線)である。直線802は、地面に対するカメラ100の傾き(傾きの方向と大きさ)を示す線である。直線803は、地面に対する2眼レンズユニットの傾き(傾きの方向と大きさ)を示す線である。
【0078】
図8(A)は、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いていない理想的な状態を示す。直線802,803は直線801に平行となっている。ユーザは、このような直線802,803を見ることで、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いていないということ容易に把握できる。
【0079】
図8(B)は、地面に対して2眼レンズユニットは傾いていないが、カメラ100が傾いている状態を示す。破線804は、カメラ100の実際の傾きを示す。破線804の傾きは微小であるため、破線804のようなアイテムを表示しても、ユーザはカメラ100が傾いているのか否かを容易に把握することはできない。
【0080】
そこで、
図8(B)では、直線802を、カメラ100の実際の傾きよりも大きく傾けている。例えば、直線802の傾き(直線801と直線802の間の角度)が破線804の傾き(直線801と破線804の間の角度)のN(N>1)倍となるように、直線802が表示される。倍率Nは、予め定められた固定値であってもよいし、ユーザが指定した値であってもよい。直線801に対して直線803は平行となっているが、直線802は傾いている。ユーザは、このような直線802,803を見ることで、地面に対して2眼レンズユニットは傾いていないが、カメラ100が傾いているということを容易に把握できる。
【0081】
さらに、
図8(B)では、メッセージ806の表示によって、カメラ100(および2眼レンズユニット)の傾きを誇張(強調)していることもユーザに通知される。メッセージ806は、傾きを誇張して表示していることを示す。
【0082】
図8(C)は、地面に対してカメラ100は傾いていないが、2眼レンズユニットが傾いている状態を示す。破線807は、2眼レンズユニットの実際の傾きを示す。破線807の傾きは微小であるため、破線807のようなアイテムを表示しても、ユーザはカメラ100が傾いているのか否かを容易に把握することはできない。
【0083】
そこで、
図8(C)では、直線803を、2眼レンズユニットの実際の傾きよりも大きく傾けている。例えば、直線803の傾き(直線801と直線803の間の角度)が破線807の傾き(直線801と破線807の間の角度)のM(M>1)倍となるように、直線803が表示される。倍率Mは、予め定められた固定値であってもよいし、ユーザが指定した値であってもよい。倍率Mは、倍率Nと同じであってもよいし、異なっていてもよい。直線801に対して直線802は平行となっているが、直線803は傾いている。ユーザは、このような直線802,803を見ることで、地面に対してカメラ100は傾いていないが、2眼レンズユニットが傾いているということを容易に把握できる。
【0084】
さらに、
図8(C)では、メッセージ806の表示によって、2眼レンズユニット(およびカメラ100)の傾きを誇張(強調)していることもユーザに通知される。上述したように、メッセージ806は、傾きを誇張して表示していることを示す。
【0085】
図8(D)は、地面に対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いている状態を示す。
図8(B)と同様に、傾きを誇張した直線802が表示されており、
図8(C)と同様に、傾きを誇張した直線803が表示されている。直線801に対して直線802も直線803も傾いている。ユーザは、このような直線802,803を見ることで、地面に
対してカメラ100も2眼レンズユニットも傾いているということ容易に把握できる。さらに、
図8(B),8(C)と同様に、メッセージ806が表示されている。メッセージ806の表示によって、カメラ100と2眼レンズユニットの傾きを誇張(強調)していることもユーザに通知される。上述したように、メッセージ806は、傾きを誇張して表示していることを示す。
【0086】
以上述べたように、実施形態2によれば、カメラの傾きとレンズユニットの傾きとが誇張されて通知される。こうすることによって、カメラの傾きが微小であっても、ユーザはカメラが傾いているのか否かを容易に把握することができる。レンズユニットの傾きが微小であっても、ユーザはレンズユニットが傾いているのか否かを容易に把握することができる。
【0087】
なお、システム制御部50は、
図8(E)~8(I)に示すような画面を表示してもよい。
【0088】
図8(E),8(F)の画面800には、直線810が表示されている。直線810は、カメラ100の傾きの許容範囲を示すアイテムである。直線810の傾きは、カメラ100の傾きの許容範囲の限界値である。直線810の傾きも、誇張された傾きである。ユーザは、直線802と直線810を見ることによって、カメラ100の傾きが許容範囲内であるか否かを容易に把握することができる。
図8(E)では、直線802の傾きが直線810の傾きよりも大きいため、ユーザは、カメラ100の傾きが許容範囲外であると容易に把握することができる。
図8(F)では、直線802の傾きが直線810の傾きよりも小さいため、ユーザは、カメラ100の傾きが許容範囲内であると容易に把握することができる。
【0089】
図8(G),8(H)の画面800には、直線811が表示されている。直線811は、2眼レンズユニットの傾きの許容範囲を示すアイテムである。直線811の傾きは、2眼レンズユニットの傾きの許容範囲の限界値である。直線811の傾きも、誇張された傾きである。ユーザは、直線803と直線811を見ることによって、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であるか否かを容易に把握することができる。
図8(G)では、直線803の傾きが直線811の傾きよりも大きいため、ユーザは、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲外であると容易に把握することができる。
図8(H)では、直線803の傾きが直線811の傾きよりも小さいため、ユーザは、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であると容易に把握することができる。
【0090】
図8(I)の画面800には、直線810と直線811の両方が表示されている。直線810と直線811の両方が表示されることによって、ユーザは、カメラ100の傾きが許容範囲内であるか否かと、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であるか否かとの両方を容易に把握することができる。なお、直線810は、カメラ100の傾きが許容範囲内である場合には表示されず、カメラ100の傾きが許容範囲内でない場合に表示されてもよい。直線810は、カメラ100が傾いていない場合には表示されず、カメラ100が傾いている場合に表示されてもい。同様に、直線811は、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内である場合には表示されず、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内でない場合に表示されてもよい。直線811は、2眼レンズユニットが傾いていない場合には表示されず、2眼レンズユニットが傾いている場合に表示されてもい。カメラ100の傾きの許容範囲と、2眼レンズユニットの傾きの許容範囲とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0091】
なお、傾きの許容範囲の限界値として、許容できる左への傾きの限界値(最大値)と、許容できる右への傾きの限界値(最大値)との2つの限界値が存在する。許容範囲を示す
アイテムとして、2つの限界値に対応する2本の直線を表示してもよいが、画面をシンプルにするために、限界値を示すアイテムとして、現在の傾きの方向に対応する限界値に対応する直線のみを表示してもよい。
図8(E),8(F),8(I)では、カメラ100が左に傾いているため、カメラ100の傾きの許容範囲を示すアイテムとして、許容できる左への傾きの限界値に対応する直線810のみが表示されている。同様に、
図8(E),8(F)では、2眼レンズユニットが左に傾いているため、許容できる左への傾きの限界値に対応する直線811のみが表示されている。
【0092】
また、システム制御部50は、カメラ傾き情報に基づいて、カメラ100の傾きが許容範囲内であるか否かを判定してもよい。そして、システム制御部50は、カメラ100の傾きが許容範囲内である場合と許容範囲内でない場合とで直線802の態様(例えば色、輝度、または線種)を異ならせることなどによって、カメラ100の傾きが許容範囲内であるか否かを通知してもよい。同様に、システム制御部50は、レンズ傾き情報に基づいて、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であるか否かを判定してもよい。そして、システム制御部50は、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内である場合と許容範囲内でない場合とで直線803の態様を異ならせることなどによって、2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であるか否かを通知してもよい。傾きの通知方法と同様に、許容範囲の通知方法も、傾きが許容範囲内であるか否かの通知方法も特に限定されない。傾きが許容範囲内であるか否かを通知する場合には、許容範囲自体は通知しなくてもよい。2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であるか否かの判定は2眼レンズユニットで行われてもよく、システム制御部50は、その判定結果を2眼レンズユニットから取得してもよい。
【0093】
また、システム制御部50は、カメラ100の傾きが許容範囲内であり且つ2眼レンズユニットの傾きが許容範囲内であるという条件が満たされる場合と、当該条件が満たされない場合とで、直線802,803の態様を異ならせてもよい。システム制御部50は、カメラ100も2眼レンズユニットも傾いていないという条件が満たされる場合と、当該条件が満たされない場合とで、直線802,803の態様を異ならせてもよい。こうすることによって、ユーザは、カメラ100の傾きと2眼レンズユニットの傾きとの両方が許容範囲内であることや、カメラ100と2眼レンズユニットの両方が傾いていないことを容易に把握することができる。
【0094】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0095】
また、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0096】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、レンズを着脱可能な撮像装置であれば適用可能である。例えば、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、プリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。また、本発明は、映像プレーヤー、表示装置(投影装置を含む)、タブレット端末、スマートフォン、AIスピーカー、家電装置や車載装置などに適用可能である。
【0097】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は
記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0098】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、プログラム、および媒体を含む。
(構成1)
撮像装置であって、
前記撮像装置の傾きの情報を取得する第1取得手段と、
前記撮像装置に特定のレンズが装着されている場合に、前記特定のレンズの傾きの情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きを通知するように制御し、前記第2取得手段によって取得された前記情報とに基づいて前記特定のレンズの傾きを通知するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
(構成2)
前記撮像装置の傾きは、水平面に対する前記撮像装置の傾きであり、
前記特定のレンズの傾きは、前記水平面に対する前記特定のレンズの傾きである
ことを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)
前記特定のレンズは2眼レンズである
ことを特徴とする構成1または2に記載の撮像装置。
(構成4)
前記撮像装置は姿勢検知センサをさらに有し、
前記第1取得手段は、前記撮像装置の傾きの情報を、前記姿勢検知センサから取得することを特徴とする構成1~3のいずれかに記載の撮像装置。
(構成5)
前記第2取得手段は、前記特定のレンズの傾きの情報を、前記特定のレンズから取得する
ことを特徴とする構成1~4のいずれかに記載の撮像装置。
(構成6)
前記制御手段は、前記撮像装置の傾きと前記特定のレンズの傾きとを誇張して通知するように制御する
ことを特徴とする構成1~5のいずれかに記載の撮像装置。
(構成7)
前記制御手段は、前記撮像装置の傾きよりも大きい傾きで傾いた第1のアイテムと、前記特定のレンズの傾きよりも大きい傾きで傾いた第2のアイテムとを表示するように制御する
ことを特徴とする構成6に記載の撮像装置。
(構成8)
前記制御手段は、さらに、前記撮像装置の傾きと前記特定のレンズの傾きとを誇張していることを通知するように制御する
ことを特徴とする構成6または7に記載の撮像装置。
(構成9)
前記制御手段は、さらに、前記撮像装置の傾きが第1の許容範囲内であるか否かと、前記特定のレンズの傾きが第2の許容範囲内であるか否かとを通知するように制御する
ことを特徴とする構成1~8のいずれかに記載の撮像装置。
(構成10)
前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内であるか否かを判定し、前記第2取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内であるか否かを判定する判定手
段をさらに有する
ことを特徴とする構成9に記載の撮像装置。
(構成11)
前記第1取得手段によって取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内であるか否かの情報を前記特定のレンズから取得する第3取得手段と
をさらに有する
ことを特徴とする構成9に記載の撮像装置。
(構成12)
前記制御手段は、
前記撮像装置の傾きの通知として第1のアイテムの表示を行うように制御し、前記特定のレンズの傾きの通知として第2のアイテムの表示を行うように制御し、
前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内である場合と、前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内でない場合とで、前記第1のアイテムの態様を異ならせ、
前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内である場合と、前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内でない場合とで、前記第2のアイテムの態様を異ならせる
ことを特徴とする構成9~11のいずれかに記載の撮像装置。
(構成13)
前記制御手段は、
前記撮像装置の傾きの通知として第1のアイテムの表示を行うように制御し、前記特定のレンズの傾きの通知として第2のアイテムの表示を行うように制御し、
前記撮像装置の傾きが前記第1の許容範囲内であり且つ前記特定のレンズの傾きが前記第2の許容範囲内であるという条件が満たされる場合と、前記条件が満たされない場合とで、前記第1のアイテムおよび前記第2のアイテムの態様を異ならせる
ことを特徴とする構成9~12のいずれかに記載の撮像装置。
(構成14)
前記制御手段は、さらに、前記撮像装置の傾きの許容範囲である第1の許容範囲と、前記特定のレンズユニットの傾きの許容範囲である第2の許容範囲とを通知するように制御する
ことを特徴とする構成1~13のいずれかに記載の撮像装置。
(構成15)
前記制御手段は、
前記撮像装置の傾きの通知として第1のアイテムの表示を行うように制御し、前記特定のレンズの傾きの通知として第2のアイテムの表示を行うように制御し、
前記撮像装置も前記特定のレンズも傾いていないという条件が満たされる場合と、前記条件が満たされない場合とで、前記第1のアイテムおよび前記第2のアイテムの態様を異ならせる
ことを特徴とする構成1~14のいずれかに記載の撮像装置。
(構成16)
撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の傾きの情報を取得する第1取得ステップと、
前記撮像装置に特定のレンズが装着されている場合に、前記特定のレンズの傾きの情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得された前記情報に基づいて前記撮像装置の傾きを通知するように制御し、前記第2取得ステップで取得された前記情報とに基づいて前記特定のレンズの傾きを通知するように制御する制御ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
(構成17)
コンピュータを、構成1~15のいずれかに記載の撮像装置の各手段として機能させる
ためのプログラム。
(構成18)
コンピュータを、構成1~15のいずれかに記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0099】
100:デジタルカメラ(カメラ) 50:システム制御部