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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170847
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】基盤材処理システム
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
E02D17/20 102F
E02D17/20 102G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087589
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石垣 幸整
(72)【発明者】
【氏名】池田 淳
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DA32
2D044DA33
2D044DA39
(57)【要約】
【課題】例えば、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を効率的に散布出来て、基盤材を用いた緑化工法の施工を効率的に行うことが出来る基盤材処理システムの提供。
【解決手段】本発明の基盤材処理システム(100)は、施工現場は急斜面を包含しており、基盤材(A)を吹付機(1)へ確実に供給するための供給機構(10)を有し、供給機構(10)は吹付機(1)に材料を投入するホッパー(2)と、ホッパー(2)の下方のフィードボウル(3)を有し、ホッパー(2)の内壁には円周方向に複数の圧縮エア噴射ノズル(4)が設けられ、圧縮エアによりホッパー出口(2A)に形成した基盤材(A)のブリッジを崩す機能を有している。また、斜面、緩斜面、平地の施工現場に応じ、前記供給機構(10)に加え、締固め機構(22)を有する散布装置(20)、基盤材量監視装置(40)を備えるタイヤショベル(30)を有することも出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は急斜面を包含しており、基盤材を吹付機へ確実に供給するための供給機構を有し、
吹付機はロータリー式吹付機であり、
前記供給機構は吹付機に材料を投入するホッパーと、ホッパーの下方に配置されたフィードボウルを有し、
前記ホッパーの内壁には円周方向について等間隔に配置された複数の圧縮エア噴射ノズルが設けられ、当該圧縮エア噴射ノズルは、ホッパーの下方に向かって圧縮エアが噴射して、ホッパー出口に基盤材がブリッジを形成した場合に当該ブリッジを圧縮エアにより崩す機能を有していることを特徴とする基盤材処理システム。
【請求項2】
前記複数の圧縮エア噴射ノズルは円環状のホース或いは配管に接続されており、当該円環状のホース或いは配管はエア流路を介してエア供給源に連通しており、エア流路には開閉弁が介装されており、当該開閉弁は制御装置により開閉制御され、ホッパー内の噴射ノズルが圧縮エアを噴射するタイミングは、ホッパーからフィードボウルへ材料を投下するタイミングと同期する請求項1の基盤材処理システム。
【請求項3】
前記複数の圧縮エア噴射ノズルは円環状のホース或いは配管に接続されており、当該円環状のホース或いは配管はエア流路を介してエア供給源に連通しており、エア流路には開閉弁が介装されており、当該開閉弁は制御装置により開閉制御され、ホッパー内の噴射ノズルが圧縮エアを噴射するタイミングは、ホッパーに材料を供給するベルトコンベアの駆動と同期する請求項1の基盤材処理システム。
【請求項4】
緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は緩斜面を含み、基盤材を散布する散布装置を備え、
散布装置は無限軌道帯を含み、無限軌道帯の進行方向後方に締固め機構を設けており、
基盤材を進行方向前方に散布する散布機構を有していることを特徴する基盤材処理システム。
【請求項5】
緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は平地を包含しており、基盤材を散布することが出来るタイヤショベルを備え、
タイヤショベルのバケットには、基盤材を散布するための散布機構と、バケット内の基盤材の量を計測するための基盤材量監視装置
が設けられていることを特徴とする基盤材処理システム。
【請求項6】
前記タイヤショベルのバケットに設けられた基盤材量監視装置は、レーザー光を照射する装置と、照射されたレーザー光の画像を撮影する撮像機構を有し、基盤材の量を決定する制御装置と接続されており、
前記制御装置は、
レーザー光によりバケット内の基盤材全体を画像として認識する機能と、
画像を解析して、画像の変動からバケット内の基盤材の量を演算する機能と、
バケット内の基盤材の量が所定値よりも少なくなったか否かをリアルタイムで判断する機能を有している請求項5の基盤材処理システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記散布により減少した基盤材の量を計測して、基盤材減少の速度を演算する機能を有する請求項6の基盤材処理システム。
【請求項8】
前記制御装置は、散布により減少した基盤材の量とタイヤショベルCの移動速度に基づいて、散布した基盤材の厚さ寸法を演算する機能を有する請求項6の基盤材処理システム。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項の基盤材処理システムで用いられる基盤材の製造方法において、調整含水比20%の砂質土系の配合或いは調整含水比液性限界近傍の粘性土系の配合に対して、 100リットル/1m3~300リットル/1m3 の水を加えることを特徴とする基盤材の製造方法。
【請求項10】
緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は斜面、緩斜面、平地を有し、
請求項1~3の何れか1項に記載の供給機構と、請求項4に記載の散布装置と、請求項5~8の何れか1項に記載のタイヤショベルを備えることを特徴とする基盤材処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造成工事の平坦地や緩勾配の盛土法面の緑化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
生態系保全や現場発生材の有効利用の観点から、造成工事の平坦地や緩勾配の盛土法面の緑化工法においては、例えば、国立公園、貴重種が存在する離島等で施工するに際しては、埋土種子を含む表土(すき取り土)(重機等で回収した表層から30cm~50cmの土)を活用することが望ましい。それに加えて、河川や海洋の水質保全の観点(例えば、濁水流入防止)から、造成箇所の早期緑化や耐侵食性の向上が求められる。
すき取り土の活用が求められる場合、従来技術の適用が困難な性状の材料(例えば、礫を多く含む材料や、粘性土が高い材料等)を使用しなければならないことがある。それに加えて、購入種子(例えば一般的に流通してる外国産種子)も使用することができないため、早期緑化や耐侵食性の向上も図ることが困難となり、従来技術以外での対応が求められる。
そして、すき取り土を活用して法面緑化工法を施工したとしても、1日あたりの施工量が既存の技術を採用した場合に比較して劣る場合が多く、そのため、造成工事のような比較的大規模な施工箇所には適さない。
そして埋土種子を含む表土(すき取り土)を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を用いた場合に、その施工効率を向上したいという要請が存在するが、係る要請に応えることが出来る技術は提案されていないのが実情であった。
【0003】
ここで、ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも一種類を包含する法面緑化基盤材用土質材料が提案されているが(特許文献1参照)、その施工効率を向上する旨は意図されていない。
また、廃棄泥水または産業廃棄物の汚泥を用いた法面吹き付け材料とそれを使用した吹き付け工法が提案されているが(特許文献2参照)、基盤材を散布することについては開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4255251号公報
【特許文献2】特許第3914007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、基盤材(例えば、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材)を効率的に散布することが出来て、係る基盤材を用いた緑化工法の施工を効率的に行うことが出来る基盤材処理システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基盤材処理システム(100)は、
(例えば、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を活用する)緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は急斜面を包含しており、基盤材(A)を吹付機(1)へ確実に供給するための供給機構(10)を有し、
吹付機(1)はロータリー式吹付機であり、
前記供給機構(10)は吹付機(1)に材料を投入するホッパー(2)と、ホッパー(2)の下方に配置されたフィードボウル(3)を有し、
前記ホッパー(2)の内壁には円周方向について等間隔に配置された複数の圧縮エア噴射ノズル(4)が設けられ、当該圧縮エア噴射ノズル(4)は、ホッパー(2)の下方に向かって圧縮エアが噴射して、ホッパー出口(2A)に基盤材(A)がブリッジを形成した場合に当該ブリッジを圧縮エアにより崩す(或いは解す)機能を有していることを特徴としている。
ここで、圧縮エア噴射ノズル(4)からの圧縮エア噴射方向は、真下であっても良いし、或いは、半径方向内方に向かう成分及び下方に向かう成分の双方を有していても良い。
前記複数の圧縮エア噴射ノズル(4)は円環状のホース或いは配管(5)に接続されており、当該円環状のホース或いは配管(5)はエア流路(6)を介してエア供給源(7)に連通しており、エア流路(6)には開閉弁(8)が介装されており、当該開閉弁(8)は制御装置(CU)により開閉制御され、ホッパー(2)内の噴射ノズル(4)から圧縮エアを噴射するタイミングは、ホッパー(2)からフィードボウル(3)へ材料を投下するタイミングと同期することが望ましい。
或いは、前記複数の圧縮エア噴射ノズル(4)は円環状のホース或いは配管(5)に接続されており、当該円環状のホース或いは配管(5)はエア流路(6)を介してエア供給源(7)に連通しており、エア流路(6)には開閉弁(8)が介装されており、当該開閉弁(8)は制御装置(CU)により開閉制御され、ホッパー内の噴射ノズル(4)から圧縮エアを噴射するタイミングは、ホッパー(2)に材料を供給するベルトコンベア(9)の駆動と同期させることが望ましい。
【0007】
また本発明の基盤材処理システム(100)は、
(例えば、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を活用する)緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は緩斜面を含み、基盤材(A)を散布する散布装置(20)を備え、
散布装置(20)は無限軌道帯(21)を含み、無限軌道帯(21)の進行方向(F)後方に締固め機構(22:基盤材敷き均し装置、ローラ或いはタイヤ)を設けており、
基盤材(A)を進行方向(F)前方に散布する散布機構(23)を有していることを特徴としている。
ここで、散布装置(20)は、締固め機構(22)を上下動する機構を有していることが好ましい。
【0008】
本発明の基盤材処理システム(100)は、
(例えば、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を活用する)緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は平地を包含しており、基盤材(A)を散布することが出来るタイヤショベル(30)を備え、
タイヤショベル(30)のバケット(31)には、基盤材(A)を散布するための散布機構(32:32A、32B、32C)と、バケット(31)内の基盤材(A)の量を計測するための基盤材量監視装置(40)が設けられていることを特徴としている。
【0009】
前記散布機構(32A)は、バケット(31)内に設けられた撹拌羽根(33A)或いはスクリュー(33B)と、バケット(31)底部に設けられた開閉機構(34A)を有しているのが好ましい。
或いは前記散布機構(32B)は、バケット(31)内に設けられた撹拌羽根或いはスクリュー(33B)と、当該撹拌羽根或いはスクリュー(33B)の下方に設けられた複数の回転円盤(35)と、バケット(31)における前方部であって回転円盤(35)により基盤材(A)がタイヤショベル(30)の前進方向に散布される位置に対応して形成された開口(31A)を有しているのが好ましい。
または、前記散布機構(32C)は、バケット(31)内に設けられた撹拌羽根或いはスクリュー(33C)と、当該撹拌羽根或いはスクリュー(33C)の下方に設けられてタイヤショベル(30)の前進方向に駆動するコンベヤ機構(36)と、バケット(31)における前方部であってコンベヤ機構(36)により基盤材(A)がタイヤショベル(30)の前進方向に散布される位置に対応して形成された開口(31A)を有しているのが好ましい。
【0010】
前記タイヤショベル(30)のバケット(31)に設けられた基盤材量監視装置(40)は、レーザー光を照射する装置と、照射されたレーザー光の画像を撮影する撮像機構を有し、基盤材(A)の量を決定する制御装置(CU)と接続されており、
前記制御装置(CU)は、
レーザー光によりバケット(31)内の基盤材全体を画像として認識する機能と、
画像を解析して、画像の変動からバケット(31)内の基盤材(A)の量を演算する機能と、
バケット(31)内の基盤材(A)の量が所定値よりも少なくなったか否かをリアルタイムで判断する機能を有しているのが好ましい。
そして、前記制御装置(CU)は、散布により減少した基盤材(A)の量を計測して、基盤材減少の速度を演算する機能を有することが好ましい。
さらに、前記制御装置(CU)は、散布により減少した基盤材(A)の量とタイヤショベル(30)の移動速度に基づいて、散布した基盤材(A)の厚さ寸法を演算する機能を有することが好ましい。
【0011】
本発明の基盤材処理システム(100)は、
(例えば、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を活用する)緑化工法で用いられる基盤材処理システムにおいて、
施工現場は斜面、緩斜面、平地を有し、
前記供給機構(10:請求項1~3の何れか1項に記載の供給機構)と、前記散布装置(20:請求項4に記載の散布装置)と、前記タイヤショベル(30:請求項5~8の何れか1項に記載のタイヤショベル)を備えることを特徴としている。
【0012】
本発明において、前記基盤材処理システムで用いられる基盤材(A)の製造方法において、
通常の配合(表1における「粘性土系」と「砂質土系」の双方の標準配合:調整含水比20%の砂質土系の配合或いは調整含水比液性限界近傍の粘性土系の配合)に対して
150リットル/1m3~500リットル/1m3 の水を加えることを特徴としている。
ここで、加える水の量は、例えば300リットル/1m3が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述の構成を具備する本発明によれば、基盤材(A)を吹付機(1)へ確実に供給するための供給機構(10)を有し、ホッパー(2)の内壁には複数の圧縮エア噴射ノズル(4)が設けられており、ホッパー出口(2A)に基盤材(A)がブリッジを形成した場合に当該ブリッジを圧縮エアにより崩す(或いは解す)機能を有しているので、ホッパー(2)内でブリッジを形成され、当該ブリッジにより基盤材(A)が吹付機(1)に供給されなくなる事態を防止することが出来る。
そのため、基盤材(A)として、埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を用いたとしても、緑化工法を円滑に進行して、作業効率を向上することが出来る。
【0014】
また本発明によれば、散布装置(20)は無限軌道帯(21)を含み、無限軌道帯(21)の進行方向(F)後方に締固め機構(22:基盤材敷き均し装置、ローラ或いはタイヤ)を設けており、基盤材を進行方向(F)前方に散布する散布機構(23)を有しているので、散布された基盤材(A)は締固め機構(22)により確実に締め固められる。そのため、散布された基盤材(A)が降雨等により流出してしまうことが防止される。
ここで、締固め機構(22)としてタイヤを用いたとしても、タイヤの回転軸方向に3つ以上のタイヤを配置し、及び/又は、基盤材(A)が散布された領域を複数回走行させることにより、締固め機構(22)がタイヤであっても、散布された基盤材(A)はタイヤによって確実に押し固め(締め固め)られ、降雨等による流出が防止される。
【0015】
さらに本発明によれば、タイヤショベル(30)のバケット(31)には、基盤材(A)を散布するための散布機構(32)が設けられているので、集積された基盤材(A)を一つのタイヤショベル(30:重機)のみで散布することが出来る。そのため、施工の効率が向上し、施工コストが低減する。
また、タイヤショベル(30)のバケット(31)には、バケット(31)内の基盤材(A)の量を計測するための基盤材量監視装置(40)が設けられているので、バケット(31)内の基盤材(A)の量を決定し、バケット(31)内の基盤材(A)の量が所定値よりも少なくなったか否かをリアルタイムで判断することが出来る。そして、バケット(31)内の基盤材(A)の量が少なくなった場合には、タイヤショベル(30)を基盤材(A)の集積場所に移動して、直ちに基盤材(A)を補充することが出来る。
そして、散布により減少した基盤材(A)の量を常に計測することが可能であり、基盤材減少の速度もチェックすることが出来る。これにより、基盤材減少の速度が速い場合には前記散布機構(32)を制御して基盤材(A)の散布量を減少し、基盤材減少の速度が遅い場合には散布量を増加して、常に基盤材(A)の散布量を適正な範囲に調整することが出来る。
さらに、散布により減少した基盤材(A)の量とタイヤショベル(30)の移動速度に基づいて、散布した基盤材(A)の厚さ寸法もリアルタイムで演算することが出来る。これにより、基盤材(A)の厚さ寸法が所定範囲よりも小さい場合には基盤材(A)の散布量を増加し、厚さ寸法が大きい場合には散布量を減少して、基盤材(A)の厚さ寸法を適正に制御することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
図2】実施形態における供給機構の説明図である。
図3】供給機構において、圧縮エア噴射ノズルへエアを供給するエア供給系統の説明図である。
図4】圧縮エア噴射ノズルからの圧縮エアを噴射する方向に関する説明図である。
図5】圧縮エア噴射ノズルから圧縮エアを噴射するタイミングの制御を示すフローチャートである。
図6】圧縮エア噴射ノズルから圧縮エアを噴射するタイミングの制御であって、図5とは異なる制御を示すフローチャートである。
図7】実施形態における散布装置の説明図である。
図8図7の散布装置における締固め機構の平面図である。
図9】実施形態におけるタイヤショベルの概要を示す斜視図である。
図10】タイヤショベルのバケット内の散布機構の一例を示す説明図である。
図11】タイヤショベルのバケット内の散布機構における図10とは異なる例を示す説明平面図である。
図12図11における断面A-Aを示す説明図である。
図13図11における断面B-Bを示す説明図である。
図14】タイヤショベルのバケット内の散布機構における図10図13とは異なる例を示す説明断面図である。
図15】タイヤショベルのバケットにおける基盤材量監視装置と、図10の散布機構を組み合わせた例を示す説明図である。
図16図15における基盤材量監視装置の機能ブロック図である。
図17図15における基盤材量監視装置による基盤材量を監視する制御のフローチャートである。
図18図15における基盤材量監視装置による基盤材量の減少速度(消費速度)に関する制御を示すフローチャートである。
図19図15における基盤材量監視装置による基盤材を散布した領域における基盤材の厚さに関する制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において全体を符号100で示す本発明の基盤材の処理システムは、例えば埋土種子を含む表土或いはすき取り土を凝集剤や吸水ポリマー等で改良した基盤材を活用する緑化工法を実施するためのシステムである。システム100は、施工現場が急斜面を包含する場合でも適用可能であり、基盤材Aを吹付機1へ確実に供給するための供給機構10を有している。
ここで基盤材処理システム100は、緩斜面を含む施工現場でも適用可能であり、基盤材Aを散布する散布装置20を有している。そして散布装置20は、無限軌道帯21と無限軌道帯21の進行方向F後方に締固め機構22(基盤材敷き均し装置、ローラ或いはタイヤ)を有している。
さらに、基盤材処理システム100は、平地を包含する施工現場でも適用され、バケット31に散布機構32(図9以降を参照)を備えている。そして散布機構32は、基盤材Aを散布することが出来るタイヤショベル30を有している。タイヤショベル30は、基盤材Aを材料貯蔵ホッパー11内に投入するのにも用いられるが、基盤材処理システム100及びそれにより実施される緑化工法においては、図9以降で説明する様に、平地において基盤材Aを散布するのにも適用される。
基盤材処理システム100は、例えば斜面、緩斜面、平地が混在する施工現場において適用可能であり、基盤材Aを吹付機1へ確実に供給するため供給機構10と、基盤材Aを散布し締固める散布装置20と、基盤材Aを散布することが出来るタイヤショベル30を有している。
【0018】
図1において、基盤材(現地発生土)Aは材料貯蔵ホッパー11内に貯蔵されている。基盤材Aは図示しない計量器、攪拌装置に移送され、攪拌装置で攪拌され液状化される。液状化した基盤材Aは材料貯蔵ホッパー12に一時的に貯えられ、施工法面Sへの吹付量に対応して当該材料貯蔵ホッパー12からベルトコンベア9より吹付機1(のホッパー2)に供給される。
吹付機1に供給された基盤材Aは、吹付機1から材料ホース13を介して作業員Wへ移送され、作業員Aが保持している吹付ノズル(明確には図示せず)から施工法面Sに吹き付けられる。
図1において、供給機構10は、ベルトコンベア9から搬送された基盤材Aを吹付機1へ供給するために設けられている。そして供給機構10は、ホッパー2とフィードボウル3を有している。供給機構10については図2図7を参照して後述する。
基盤材Aを散布し締固めるための散布装置20については図7図8を参照して後述する。そして、基盤材Aを散布する機能を有するタイヤショベル30とその制御については、図9図19を参照して後述する。
【0019】
図2図6を参照して、基盤材Aを吹付機1へ供給する供給機構10について説明する。
図示の実施形態では吹付機1はロータリー式吹付機である。図2において、供給機構10は、吹付機1に基盤材Aを投入するホッパー2と、ホッパー2の下方に配置されたフィードボウル3を有している。明示されていないが、フィードボウル3は円盤状の部材であり、その円周方向に複数区画が仕切られており、フィードボウル3が円周方向に回転することにより、仕切り内の所定量の基盤材Aが吹付機1(図1)内部に供給される。
図2において、ベルトコンベア9により搬送された基盤材Aはホッパー2に投入され、ホッパー2底部の開閉可能な開口部2A(ホッパー出口)を介して、フィードボウル3の個々の仕切り内に供給される。そして、フィードボウル3の各仕切り毎に所定量の基盤材Aが投入される。開口部2Aは、ブリッジCが発生し易い領域の直下に設けられている。
開口部2Aの断面積は、フィードボウル3の円周方向に仕切られた複数の区画の各々の大きさと対応しており、ロータリー式吹付機の機種により開口部2Aの断面積は異なる。
【0020】
ホッパー2底部の開口部2A(ホッパー出口)が狭い(断面積が小さい)と、図2の符号Cで示す様に、開口部2Aに基盤材Aのブリッジが発生し、吹付機1に十分な量の基盤材Aが供給されないという不都合が生じる。
これに対して図示の実施形態では、図3図4で示す様に、供給機構10において、ホッパー2の内壁面には、円周方向に等間隔に、圧縮エア噴射ノズル4を複数(例えば8個)設けている。図2では、円周方向に圧縮エア噴射ノズル4を設ける領域を、符号2Bで示している。
圧縮エア噴射ノズル4は、ホッパー2の下方に向けて(開口部2Aに向けて)圧縮エアを噴射して、基盤材Aを撹拌し(基盤材Aを解し)、ホッパー出口2Aにブリッジを形成されることを防止する機能を有している。そして、仮に開口部2Aにブリッジが形成されても、圧縮エア噴射ノズル4から噴射される圧縮エアにより、形成されたブリッジは崩される(ブリッジが解される)。図4において、圧縮エア噴射ノズル4から噴射される圧縮エアの噴射方向が、矢印A4で示されている。
吹付機1に供給される基盤材Aによっては、開口部2Aでブリッジが形成され難い材料も存在する。その様な場合でも、圧縮エアを噴射することにより基盤材Aの充填速度が上昇するため、基盤材Aの充填効率が向上する。
上述した様に、圧縮エア噴射ノズル4は、ホッパー2の内壁面の円周方向について等間隔に設けられており、図2図3では圧縮エア噴射ノズル4は円周方向等間隔に8個設けられているが、圧縮エア噴射ノズル4の個数は「8個」に限定される訳ではない。円周方向に等間隔にノズルを配置するのであれば、ノズルの個数は8個に限られない。ただし、最低2個は必要である。
【0021】
ここで、圧縮エア噴射ノズル4からの圧縮エアの噴射方向は、真下である必要は無い。図示の実施形態では、圧縮エアの噴射方向については、下方に向かう成分と、明確には図示されないが半径方向内方に向かう成分の双方を有している。下方に向かう成分と半径方向内方に向かう成分を有しているため、圧縮エアの噴射により、基盤材Aを解し且つフィードボウル3内に落下させることが出来て、充填速度が上昇する。
ただし、圧縮エアの噴射方向を、下方に向かう成分のみとすることも可能である。
図示の実施形態では、エア噴射ノズル4から圧縮エアを噴射することにより、ホッパー出口2Aに基盤材Aのブリッジが形成された場合でも、当該ブリッジを崩す(或いは解す)ことが出来る。そのため、ホッパー2内におけるブリッジの形成により、基盤材Aが吹付機1に供給されなくなる事態を防止することが出来て、作業効率が向上する。
【0022】
図3において、圧縮エア噴射ノズル4は円環状のホース或いは配管5に接続されており、円環状のホース5はエア流路6を介してエア供給源7に連通している。エア流路6には開閉弁8が介装されており、開閉弁8の開閉制御は制御装置CUから信号伝達ラインSL1を介して送信される制御信号により行われる。
開閉弁8の開閉制御すなわち圧縮エア噴射ノズル4から圧縮エアを噴射する制御について説明する。
【0023】
図2図4の実施形態では、ホッパー2内の圧縮エア噴射のタイミングは、ホッパー2からフィードボウル3へ基盤材A(材料)を投下するタイミングと同期している。
図2で示す様に、制御装置CUからホッパー2(開口部2A)に、フィードボウル3へ基盤材Aを投下する旨の制御信号を発信するための信号伝達ラインSL2が設けられている。ここで、ホッパー2からフィードボウル3への基盤材Aの投下は、ホッパー2底部の開口部2A(ホッパー出口)を開放することにより行われる。そして、ホッパー2からフィードボウル3へ基盤材Aを投下するのと同時に、開閉弁8の開放信号が発信されて、圧縮エア噴射ノズル4から圧縮エアが噴射する様に制御される。
【0024】
図5のフローチャートを参照して、制御装置CUによる係る制御について説明する。
図5において、ステップS1では、ホッパー2からフィードボウル3への基盤材A投下の制御信号が発信されたか否かを判断する。上述した様に、当該基盤材投下の制御信号により、ホッパー2底部の開口部2A(ホッパー出口)が開放される。
ステップS1の判断の結果、当該制御信号が発信された場合(ステップS1が「Yes」)はステップS2に進み、当該制御信号が発信されない場合(ステップS1が「No」)はステップS3に進む。
ステップS2(ホッパー2からフィードボウル3への基盤材A投下の制御信号が発信された場合)では、開閉弁8の開放信号を発信する。開閉弁8を開放することにより、エア供給源7からの圧縮エアはホッパー2に配置された8個のエア噴射ノズル4からホッパー2の下方に向け噴射される。そして、ステップS1に戻る。
一方、ステップS3(ホッパー2からフィードボウル3への基盤材A投下の制御信号が発信されない場合)では、開閉弁8は閉鎖のまま維持する。開閉弁8が既に開放している場合は閉鎖する。そして、ステップS1に戻る。
ステップS4では、制御を終了するか否かを判断する。
ステップS4の判断の結果、制御を終了する場合(ステップS4が「Yes」)は「エンド」に進み、制御を終了しない場合(ステップS4が「No」)はステップS1に戻る。
図5では、ステップS4はステップS2の直後に実行されるが、ステップS3の直後に実行しても良い。
【0025】
図2図4の実施形態において、ホッパー2内の圧縮エア噴射のタイミングを、ホッパー2に基盤材A(材料)を供給するベルトコンベア9の駆動と同期させることも出来る。
図2において、ベルトコンベア9の駆動を制御する制御信号は、信号伝達ラインSL3を介して制御装置CUからベルトコンベア9に伝達(送信)される。
この場合、ベルトコンベア9の駆動と同時に、開閉弁8の開放信号が信号伝達ラインSL1を介して発信されて、エア噴射ノズル4から圧縮エアが噴射する様に制御される。
【0026】
図6のフローチャートを参照して、圧縮エア噴射のタイミングをベルトコンベア9の駆動と同期させる制御について説明する。
図6において、ステップS11では、ベルトコンベア9駆動の制御信号が発信されたか否かを判断する。
ステップS11の判断の結果、当該制御信号が発信された場合(ステップS11が「Yes」)はステップS12に進み、当該制御信号が発信されない場合(ステップS11が「No」)はステップS13に進む。
ステップS12(ベルトコンベア9駆動の制御信号が発信された場合)では、開閉弁8の開放信号を発信する。そして開閉弁8を開放し、エア供給源7からの圧縮エアをエア噴射ノズル4からホッパー2の下方に向け噴射する。
一方、ステップS13(ベルトコンベア9駆動の制御信号が発信されない場合)では、開閉弁8は閉鎖のまま維持する。開閉弁8が開放している場合は直ちに閉鎖する。そして、ステップS11に戻る。
ステップS14では、図6の制御を終了するか否かを判断する。
ステップS14の判断の結果、制御を終了する場合(ステップS14が「Yes」)は「エンド」に進み、制御を終了しない場合(ステップS14が「No」)はステップS11に戻る。
図6では、ステップS14はステップS12の直後に実行されるが、ステップS13の直後に実行しても良い。
図2図6を参照して説明した供給機構10は、平地における基盤材Aの撒き出し(散布)に適用することも可能であり、法面に対する吹付についても適用可能である。
【0027】
次に、図7図8を参照して、基盤材Aを散布する散布装置20について説明する。
基盤材Aは既存の堆肥散布機を用いて散布することも可能である。しかし、既存の堆肥散布機により基盤材Aを散布すると、散布された基盤材Aが降雨等により流出する可能性が生じる。その様な基盤材Aの流出を防止するためには、散布された基盤材Aを締め固める必要がある。
しかし、基盤材Aを散布する機械と別の機械を用いて締め固める場合、2種類の機械を用いることにより各種コストが発生し、労力も増加してしまう。それに対して図示の実施形態に係る基盤材処理システム100では、図7で示す様に、締固め機構22(基盤材敷き均し装置)を有する散布装置20を備えている。
図7において、散布装置20は無限軌道帯21を備え、無限軌道帯21の進行方向(図7で矢印F方向)の後方側に締固め機構22を設けている。締固め機構22はローラ或いはタイヤ22Aを有しており、ローラ或いはタイヤ22Aにより散布された基盤材Aを締め固めている。
【0028】
締固め機構22を示す図8において、締固め機構22を構成するけん引架台22Bは、その前端部に設けた連結部22Cを介して散布装置20本体と接続されている。締固め機構22のローラ或いはタイヤ22Aは、けん引架台22Bの下側に取り付けられている。
図7では明確に図示されていないが、散布装置20は散布機構23を有しており、散布機構23は散布装置20の進行方向前方(矢印F方向)に基盤材Aを散布する機能を有している。
【0029】
図7図8において、散布装置20におけるローラやタイヤの様な機構(締め固め機構)は、基盤材Aを締め固めることが出来て、且つ、散布装置20の走行を阻害しない構造であれば、特に限定要件は無い。
ここでローラであれば、一回の走行で、図7の紙面に垂直な方向の全域について、散布された基盤材Aが全てローラの重量により締め固められる。
それに対してタイヤの場合には、図7の紙面に垂直な方向を断続的に締め固めるが、一回の走行では、紙面に垂直な方向の全域を締め固めることは出来ない。しかし、図7で示す散布装置20を、基盤材Aが散布された領域を複数回走行させることにより、無限軌道帯21及びタイヤで散布された基盤材Aを全て押し固める(締め固める)ことが出来る。或いは、一つの駆動軸に例えば3個以上のタイヤを配置してタイヤ間の領域を狭くすれば、散布した基盤材A上を散布装置20が走行する回数が少なくても、散布された(撒き出された)基盤材Aを(図7の紙面に垂直な方向について全域に亘って)タイヤで締め固めることが出来る。
【0030】
図7において、ローラ或いはタイヤ22Aは、無限軌道帯21の進行方向後方(矢印Fの反対方向)に設けられている。
上述した様に散布機構23は散布装置20の進行方向前方(矢印F方向)に基盤材Aを散布するので、ローラ或いはタイヤ22Aを散布装置20の前方に配置すると、ローラ或いはタイヤ22Aを配置した領域に基盤材Aが散布されることになり、ローラ或いはタイヤ22Aで基盤材Aを締め固めることが出来ない恐れがある。
そのため、ローラ或いはタイヤ22Aは、無限軌道帯21の前方ではなく、後方に設けられている。換言すれば、図7で示す様に、散布装置20の進行方向後方にローラ或いはタイヤ等の締固め機構22を配置したので、散布された基盤材Aを確実に締め固めることが出来る。
【0031】
ここで、散布装置20に締固め機構22(ローラ或いはタイヤ)を取り付ける構造自体は、公知の構造を適用可能である。例えば、車輌で他の物品をけん引する際に使用するけん引装置を適用することが出来る。
また、明確には図示されていないが、図示の実施形態の散布装置20は、締固め機構22を上下動する機構を有している。
基盤材Aが散布されておらず、基盤材Aを締め固める必要がない場合には、締固め機構22を上昇して路面と接触しないようにして、散布装置20の走行性能を向上させることが出来る。基盤材Aが散布されて締め固めるべき場合には、締固め機構22を路面に下ろして散布装置20を走行することにより、散布された基盤材A締め固めることが出来る。締固め機構22を上下動する機構(明確には図示せず)としては、既存の機構を適用することが出来る。
図7図8で示す散布装置20は、散布装置Bが走行できる範囲であれば、緩斜面を含む施工現場で採用することが出来る。
【0032】
次に図9図19を参照して、基盤材Aを散布することが出来るタイヤショベル30について説明する。
基盤材Aの平地散布に際して、従来技術では集積箇所からタイヤショベルで基盤材Aを収集してトラックやホッパーへ積み込み、ホッパーから散布装置に供給しているので、タイヤショベルと散布装置という二種類の重機を用いて基盤材Aを散布している。
それに対して図示の実施形態では、図9図19で示す様に、タイヤショベル30のバケット31が散布機能(まき出し機能)を有しており、集積された基盤材Aを一つの重機(すなわち、タイヤショベル30)のみで散布することが可能である。その結果、施工の効率が向上し、コスト低減を達成することが出来る。
【0033】
図9において、タイヤショベル30は、本体部30Aの前方にバケット31を備えている。バケット31には、基盤材Aを散布するための散布機構32と、バケット31内の基盤材Aの量を計測するための基盤材量監視装置40が設けられている。基盤材量監視装置40は図9では包括的に表示されており、その具体的な構成は図15図19で示されている。
タイヤショベル30のバケット31により、基盤材Aの集積箇所からの積み込みや移動が可能である。そして、バケット31内に収容した基盤材Aを散布するべき場合には、散布機構32を稼働する。
タイヤショベル30は平地を包含する施工現場に適用可能である。
図10を参照して、バケット31の散布機構32の一例を説明する。
【0034】
図9に示すタイヤショベル30のバケット31のみを示す図10において、バケット31内に散布機構32Aが設けられ、散布機構32Aは撹拌羽根33A及び開閉機構34Aを有し、開閉機構34Aはバケット31底部における攪拌羽根33Aに対応する位置に設けられている。
図10では明示されていないが、開閉機構34Aは、開口部と、当該開口部を開口或いは閉塞するシャッター部材により構成されている。図示の簡略化及び明確化のため、図10では、開閉機構34における攪拌羽根33Aにより死角になる部分も表示している。
撹拌羽根33Aと開閉機構34Aは、共に油圧で駆動するが、その他の流体圧機構や電動モータ等により駆動しても良い。図10において、符号37は攪拌羽根33Aの駆動装置である。
バケット31内に基盤材Aを充填して散布する場合には、開閉機構34Aの開口部を所定の面積だけ開放しつつ、タイヤショベル30を走行させる。その際に、必要に応じて、バケット31を上下、左右に揺動させる。
タイヤショベル30を走行させて基盤材Aを散布する際に、必要に応じて撹拌羽根33Aを回転させれば、仮に開閉機構34Aの開口部直上で基盤材Aがブリッジを形成しても、撹拌羽根33Aの回転によりブリッジが崩され(解され)、そのブリッジにより基盤材Aの散布が妨害されることはない。
【0035】
バケット31の散布機構32Aにより散布される基盤材Aの散布量(単位時間当たり散布される基盤材Aの量)は、攪拌羽根33Aと開閉機構34Aを制御することにより調整可能である。
すなわち、撹拌羽根33Aの回転数が多いと撒き出し量(散布量)が増加し、撹拌羽根33Aの回転数が少ないと撒き出し量(散布量)が減少する。
また、バケット31の底部の開閉機構34Aの開口部の水平断面積が大きいと撒き出し量(散布量)が増加し、小さいと撒き出し量(散布量)が減少する。これにより、散布量を調整する。
【0036】
図10と異なる散布機構32Bについて、図11図13を参照して説明する。
図11図13において、タイヤショベル30(図9参照)のバケット31内に設けられた散布機構32Bは、スクリュー33B(或いは撹拌羽根)と、スクリュー33Bの下方に設けられた複数の回転円盤35(図12)と、バケット31における前方部(タイヤショベル30の前進方向側:図12の矢印F側)に形成された基盤材散布用の開口31A(図12図13)を有している。
図11図12において、バケット31内には仕切り部材31Bが設けられ、スクリュー33Bは仕切り部材31Bの上方に配置されている。図12において、仕切り部材31Bにおけるスクリュー33Bの直下の位置には、基盤材Aが通過するための開口31Cが形成されている。
複数の回転円盤35は、図12において紙面に垂直な方向に2個以上配置されている。図12において、仕切り部材31B下方のバケット31底部に配置されている。回転円盤35の上部には羽根35Aが設けられており、回転円盤35が回転すると羽根35Aも回転して、図12の紙面に垂直な方向で看者側に基盤材Aを撒き出す。回転円盤35の回転方向は、基盤材Aを、後述する基盤材散布用の開口31A側(タイヤショベル30の前進方向F側)に移動させる方向に設定されている。
また、図13に示す基盤材散布用の開口31Aの位置は、バケット31における前方部であって、回転円盤35の回転により基盤材Aがバケット31(タイヤショベル30)の前進方向に散布される途中の位置である。
図12において、基盤材Aをすくってバケット31内に収納する際の接地面が符号FGで示される。その際、回転円盤35が配置される底部近傍が接地することを回避するため、バケット31の前方部(図12で左端部)には窪み部31Dが形成されている。
【0037】
図11図13に示す散布機構32Bは、スクリュー33B(撹拌羽根)と回転円盤35は、例えば共に油圧で駆動するが、その他の流体圧機構や電動モータ等により駆動しても良い。
バケット31内に基盤材Aを充填し、充填された基盤材Aを散布する場合には、スクリュー33B(撹拌羽根)を回転させ、回転円盤35を回転させ、タイヤショベル30を走行しつつ、必要に応じて、バケット31を上下、左右に揺動させればよい。
バケット31内に投入された基盤材Aは、スクリュー33Bを通過し、回転円盤35の回転により基盤材散布用の開口31A側に移動し、当該開口31Aから施工現場に散布される。その際、スクリュー33B(撹拌羽根)を回転させることにより、基盤材Aが開口31Cの直上でブリッジを形成することが防止される。
図11図13の散布機構32Bにおいて、散布される基盤材Aの散布量(単位時間当たりに散布される基盤材Aの量)は、スクリュー33B(撹拌羽根)の回転数及び/又は回転円盤35の回転速度を制御することにより調整可能である。
【0038】
図14は、さらに他の散布機構32Cを示している。
図14に示す散布機構32Cは、図11図13の散布機構32Bにおける回転円盤35に代えて、コンベア機構36を設けている。散布機構32Cのその他の構成については、図11図13の散布機構32Bと同様である。以下の散布機構32Cの説明に際しては、コンベア機構36(図14)を主として説明する。
図14において、散布機構32Cは、スクリュー33Cと、コンベア機構36と、開口31Aを有している。開口部31Aはバケット31の前方部(タイヤショベル30の進行方向F側)に形成されており、開口部31Aを介して基盤材Aが散布される。
スクリュー33Cは、図10図12におけるスクリュー33Bと同様な構成であり、同様な機能を奏する。
コンベア機構36は、スクリュー33Cの下方であってバケット31の底部に設けられている。コンベア機構36はタイヤシャベル30の前進方向F側に駆動し、コンベア機構36が駆動することにより、スクリュー33C側から投入された基盤材Aは基盤材散布用の開口31A側(タイヤショベル30の進行方向F側)に移動する。
基盤材散布用の開口31Aは基盤材Aが散布される位置に対応して形成されており、コンベア機構36が駆動して基盤材Aがバケット31内の前進方向F側に移動する領域に対応する位置に形成されている。
散布機構32Cにおいても、バケット31で基盤材Aをすくう際に、コンベヤ機構36が配置される底部近傍が接地することを回避するため、バケット31の前方部(図14で左端部)には窪み部31Dが形成されている。
【0039】
バケット31内に基盤材Aを充填し、充填された基盤材Aを散布する場合には、スクリュー33C(撹拌羽根)を回転させ、コンベア機構36を駆動させ、タイヤショベル30を走行しつつ、必要に応じて、バケット31を上下、左右に揺動させればよい。
バケット31内に投入された基盤材Aは、スクリュー33Cを通過し、コンベア機構36により開口31A側に移動し、開口31Aから散布される。基盤材Aを散布する際にスクリュー33C(撹拌羽根)を回転させることにより、基盤材Aがブリッジを形成することが防止される。
図14の散布機構32Cにおいても、散布される基盤材Aの散布量(単位時間当たりに散布される基盤材Aの量)は、スクリュー33C(撹拌羽根)の回転数及び/又はコンベア機構36の駆動速度を制御することにより調整可能である。
ここで、基盤材Aを広範囲に撒き出す(散布する)には、バケット31前方に基盤材Aを排出する(跳ばす、散布する)方が良い。
そして図11図14の散布機構32B、32Cによれば、広範囲に材料を散布して、タイヤショベル30の走行距離を短くすることが可能である。
【0040】
図15図19を参照して、図10の散布機構32Aを基盤材量監視装置40(図9)と組み合わせてタイヤショベル30のバケット31に適用した例について説明する。
図15において、タイヤショベル30(図15では図示しない)のバケット31には、図15で示す様に、散布機構32Aに加えて、基盤材量監視装置40が設けられている。
図15において、基盤材量監視装置40は、レーザー光Lをバケット31内の全域に亘って照射する装置と、照射されたレーザー光Lの画像を撮影する撮像機構を組み合わせた装置として構成されている。そして基盤材量監視装置40は、信号伝達ラインSL4を介して、基盤材Aの量を決定する制御装置CUと情報的に接続されている。なお、レーザー光Lを照射する装置とレーザー光Lの撮像機構の図示は省略する。
ここで、制御装置CUについては、図2における制御装置CUと同一の情報処理装置で構成することが可能であり、或いは、図2で示す制御装置CUとは別の制御装置であっても良い。
【0041】
図15において、制御装置CUは、基盤材量監視装置40から照射されたレーザー光により撮像機構(図示せず)で取得された画像データを取得し、バケット31内の基盤材全体をレーザー光Lによる画像として認識し、当該画像を解析して、画像の変動からバケット31内の基盤材Aの量を演算し、バケット31内の基盤材Aの量が所定値(しきい値)よりも少なくなったか否かをリアルタイムで判断する機能を有している。
それに加えて、散布により減少した基盤材Aの量を常に演算することが出来るため、基盤材減少の速度もリアルタイムで演算する機能を有している。
さらに、制御装置CUは、散布により減少した基盤材の量とタイヤショベルCの移動速度に基づいて、散布した基盤材の厚さ寸法もリアルタイムで演算する機能を有している。
【0042】
図16図19を参照して、係る制御について説明する。
最初に図16を参照して、上述した制御を行う制御装置CUの機能ブロックを説明する。
図16において、制御装置CUは、画像解析ブロックB1、基盤材量演算ブロックB2、基盤材減少量決定ブロックB3、基盤材減少速度決定ブロックB4、基盤材厚さ決定ブロックB5、基盤材量比較ブロックB6、基盤材厚さ判断ブロックB7、基盤材散布量判断ブロックB8を有している。
画像解析ブロックB1は、基盤材量監視装置40の撮像機構(図示せず)から、信号伝達ラインSL4を介して、バケット31内の基盤材全体の(レーザー光照射による)画像データを取得する機能を有している。そして、取得した画像データを解析する機能を有している。
画像解析ブロックB1による画像データの解析結果は、信号伝達ラインSL5を介して基盤材量演算ブロックB2に送信される。
【0043】
基盤材量演算ブロックB2は、画像解析ブロックB1から取得した画像解析結果に基づき、画像の変動からバケット31内の基盤材Aの量を演算し、決定する機能を有している。基盤材Aの量の演算に際して、例えば、画像と基盤材量の関係を対比したデータを予め用意し(図示しない記憶ブロックに記憶し)、当該対比データを参照して行うことが出来る。
基盤材量演算ブロックB2により演算・決定した基盤材量は、信号伝達ラインSL6を介して基盤材量比較ブロックB6に送信されると共に、信号伝達ラインSL7を介して基盤材減少量決定ブロックB3に送信される。
【0044】
基盤材量比較ブロックB6は、基盤材量演算ブロックB2から取得した基盤材量(バケット31内の基盤材量)を当該基盤材量のしきい値と比較する機能を有している。
当該基盤材量としきい値との比較結果は、基盤材量比較ブロックB6から信号伝達ラインSL11を介して管理者(作業者)側に伝達される。基盤材量のしきい値は予め図示しない記憶装置に記憶され、基盤材量比較ブロックB6により参照される。
基盤材量比較ブロックB6による比較の結果、例えば基盤材量がしきい値より少ない場合には、報知器を作動する。当該報知器の報知により、管理者(作業者は)バケット31内に基盤材を補充する等の対応を行うことが出来る。係る制御については、図17のフローチャートを参照して後述する。
【0045】
図16において、基盤材減少量決定ブロックB3は、基盤材量演算ブロックB2から取得した基盤材量(バケット31内の基盤材量)に基づき、基盤材減少量を演算、決定する機能を有している。演算された基盤材減少量は、所定の間隔(サイクル)における基盤材減少量(すなわち現時点の基盤材量と前サイクルの基盤材量の差)として決定される。
基盤材減少量決定ブロックB3で決定した基盤材減少量は、信号伝達ラインSL8を介して基盤材減少速度決定ブロックB4に送信されると共に、信号伝達ラインSL9を介して基盤材厚さ決定ブロックB5に送信される。
【0046】
基盤材減少速度決定ブロックB4は、基盤材減少量決定ブロックB3から取得した基盤材減少量(バケット31内の基盤材量の減少量)に基づき、基盤材減少速度(基盤材消費速度)を演算、決定する機能を有している。当該演算、決定は、前記基盤材減少量を所定の間隔における時間(サイクル間の時間、単位時間)で除することにより行われる。すなわち、 基盤材減少速度=基盤材減少量/単位時間 である。
基盤材減少速度決定ブロックB4により決定した基盤材減少速度は、信号伝達ラインSL12を介して基盤材散布量判断ブロックB8に送信される。
【0047】
基盤材厚さ決定ブロックB5は、基盤材減少量決定ブロックB3から取得した基盤材減少量と、タイヤショベル30(図9)の車速センサから信号伝達ラインSL15を介して取得したタイヤショベル30の移動速度に基づいて、単位時間当たりに施工現場に散布した基盤材の厚さ寸法を演算、決定する機能を有している。
ここで、基盤材の厚さは、基盤材減少量、タイヤショベル30の移動速度、施工面の幅方向(タイヤショベルの移動方向に対し垂直方向)長さをパラメータとする関数になる。基盤材厚さ決定ブロックB5は当該関数を用いて、基盤材の厚さを演算或いは決定する。
基盤材厚さ決定ブロックB5で決定した散布した基盤材の厚さは、信号伝達ラインSL10を介して基盤材厚さ判断ブロックB7に送信される。
【0048】
図16において、基盤材厚さ判断ブロックB7は、基盤材厚さ決定ブロックB5から取得した基盤材の厚さ(単位時間当たりに施工現場に散布した基盤材の厚さ)を基盤材の厚さのしきい値と比較し、基盤材の厚さが妥当であるか否かを判断する機能を有している。
基盤材の厚さの判断は、例えば予め図示しない記憶装置に記憶した基盤材の厚さの適正範囲(所定範囲)と、基盤材厚さ決定ブロックB5で演算された基盤材の厚さとを比較して、基盤材厚さ決定ブロックB5で演算された基盤材の厚さが前記適正範囲内か否かを判断して行われる。
当該基盤材の厚さとしきい値との比較結果に基づく基盤材の厚さが妥当であるか否かの判断(基盤材の厚さの妥当性判断)は、信号伝達ラインSL13を介して基盤材散布量判断ブロックB8に送信される。
【0049】
基盤材散布量判断ブロックB8は、基盤材減少速度決定ブロックB4から取得した基盤材の減少速度に基づき、以降の基盤材の散布量を判断する機能を有している。
基盤材の散布量の判断に際しては例えば予め図示しない記憶装置に記憶した基盤材の減少速度の適正な範囲(所定範囲)と、基盤材減少速度決定ブロックB4から取得した基盤材の減少速度を比較して、基盤材減少の速度が速い場合には散布量を減少し、基盤材減少の速度が遅い場合には散布量を増加して、常に基盤材の散布量を適正な範囲に調整する。基盤材減少速度が所定範囲内の場合は、現在の散布量を維持する。
そして、基盤材散布量判断ブロックB8は、前記散布量の判断結果に基づき、信号伝達ラインSL14を介して散布機構32A、撹拌羽根33A、開閉機構34Aに制御信号を送信する。係る制御については、図18のフローチャートを参照して後述する。
【0050】
また、基盤材散布量判断ブロックB8は、基盤材厚さ判断ブロックB7から取得した判断結果(基盤材の厚さの妥当性)に基づき、以降の基盤材の散布量を判断する機能を有している。
基盤材の散布量の判断に際しては、基盤材の厚さが適正な範囲(所定範囲)より小さい場合には散布量を増加し、基盤材の厚さが適正な範囲(所定範囲)より大きい場合には散布量を減少して、常に基盤材の厚さ寸法を適正に調整する。基盤材の厚さが所定範囲内の場合は、現在の散布量を維持する。
そして、基盤材散布量判断ブロックB8は、前記散布量の判断結果に基づき、信号伝達ラインSL14を介して散布機構32A、撹拌羽根33A、開閉機構34Aに制御信号を送信する。係る制御は図19のフローチャートを参照して後述する。
【0051】
図16の制御装置CUのブロック図には含まれていないが、制御装置CUに、基盤材減少速度決定ブロックB4で決定した基盤材減少速度が適正範囲(所定範囲)内であるか否かを判断する機能を有する速度基盤材減少速度判断ブロック(図示せず)を設けることが出来る。
その場合、基盤材減少速度決定ブロックB4で決定した基盤材減少速度を基盤材散布量判断ブロックB8に直接送信せずに、基盤材減少速度を基盤材減少速度決定ブロックB4から前記基盤材減少速度判断ブロック(図示せず)に送信して、基盤材減少速度が適正範囲(所定範囲)内であるか否かの判断結果(基盤材減少速度の妥当性判断)を基盤材散布量判断ブロックB8に送信することも出来る。
換言すれば、図16における基盤材散布量判断ブロックB8が行っている機能の一部を、図示しない基盤材減少速度判断ブロックが行う様に構成することが可能である。
また、前記基盤材減少速度判断ブロック(図示せず)を設けずに、基盤材減少速度が適正範囲(所定範囲)内であるか否かの判断(基盤材減少速度の妥当性判断)を行う機能を、基盤材減少速度決定ブロックB4が有する様に構成することも可能である。
【0052】
図17図19を参照して、基盤材量監視装置40及び制御装置CUによる制御について説明する。
最初に図17を参照して、バケット31内に充填された基盤材Aの量をチェックする制御を説明する。
図17において、ステップS21では、基盤材量監視装置40よりバケット31内の基盤材全体の画像データ(レーザー光照射による画像データ)を取得したか否かを判断する。当該判断は、制御装置CUの画像解析ブロックB1により実行される。
ステップS21の判断の結果、画像データを取得した場合(ステップS21が「Yes」)はステップS22に進み、画像データを取得しない場合(ステップS21が「No」)はステップS21に戻る(ステップS21が「No」のループ)。
ステップS22(画像データを取得した場合)では、ステップS21で取得した画像データを解析する。そして当該解析結果に基づいて、バケット31内の基盤材量を演算し、決定する。係る画像データの解析については、従来技術を適用することが出来る。当該解析、基盤材量の演算、決定は、それぞれ画像解析ブロックB1、基盤材量演算ブロックB2により実行される。そしてステップS23に進む。
【0053】
ステップS23では、ステップS22で決定したバケット31内の基盤材量が、しきい値(所定値)以上であるか否かを判断する。当該判断は、基盤材量比較ブロックB6により実行される。
ステップS23の判断の結果、バケット31内の基盤材量がしきい値以上の場合(ステップS23が「Yes」)はステップS21に戻り、ステップS21~S23を繰り返す(ステップS23が「Yes」のループ)。
一方、バケット31内の基盤材量がしきい値より少ない場合(ステップS23が「No」)はステップS24に進む。ステップS24では、基盤材の散布作業を終了するか否かを判断する。
ステップS24の判断の結果、基盤材の散布作業を終了する場合(ステップS24が「Yes」)、「エンド」に進み、制御を終了する。
一方、基盤材の散布作業を終了しない場合(ステップS24が「No」)、ステップS25に進む。
ステップS25に進んだ状態ではバケット31内の基盤材量がしきい値より少ないので、バケット31内に基盤材を充填(補充)する。必要であればタイヤショベル30を直ちに基盤材の集積所まで移動して、基盤材Aを補充する。
ステップS25の後、ステップS21に戻り、ステップS21~S25を繰り返す。
【0054】
次に、基盤材減少の速度に関する制御について、主として図18を参照して説明する。
図18において、ステップS31、ステップS32は、それぞれ図17で説明したステップS21、ステップS22と同様であるため、重複説明は省略する。
ステップS32から進むステップS33では、現時点の基盤材量を前サイクルの基盤材量と比較することにより、その制御サイクルにおける基盤材の減少量を演算し或いは決定する。
さらに、演算された基盤材の減少量を1制御サイクルの所要時間で除することにより、基盤材の減少速度を演算(決定)する。
当該基盤材の減少量、減少速度は、それぞれ基盤材減少量決定ブロックB3、基盤材減少速度決定ブロックB4により実行される。
ステップS34では、ステップS33で決定した基盤材の減少速度は適正な範囲内(所定範囲内)か否かを判断する。当該判断は、基盤材散布量判断ブロックB8により実行される。図18では示されていないが、当該判断を基盤材減少速度決定ブロックB4で実行することも出来る。さらに、図示しない基盤材減少速度判断ブロックを制御装置CUに設け、前記判断を実行することも出来る。
ステップS34の判断の結果、基盤材の減少速度が所定範囲内(適正な範囲内)の場合はステップS35に進み、当該減少速度が所定範囲より小さい(所定範囲よりも遅い)場合はステップS36に進み、当該減少速度が所定範囲より大きい(所定範囲よりも速い)場合はステップS37に進む。
【0055】
ステップS35(基盤材の減少速度が所定範囲内の場合)では、現在の(その時点の制御サイクルにおける)基盤材の散布量を維持する。すなわち、散布機構32A(撹拌羽根33A、開閉機構34A:図10)も当該制御サイクルの状態を維持する。具体的には、撹拌羽根33Aの回転速度、開閉機構34Aの開口面積の現在の状態を維持する。
ステップS36(基盤材の減少速度が所定範囲より遅い場合)では、基盤材の散布量を増加させる。すなわち、散布機構32Aにおいて、撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を増加させる。撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を増加させる制御に際して、制御装置CUの基盤材散布量判断ブロックB8から散布機構32Aの撹拌羽根33A及び/又は開閉機構34Aに制御信号が送信される。
ステップS37(基盤材の減少速度が所定範囲より速い場合)では、基盤材の散布量を減少させる。すなわち、散布機構32Aにおいて、撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を減少させる。そのため、制御装置CUの基盤材基盤材散布量判断ブロックB8から散布機構32Aに、撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を減少させる旨の制御信号が送信される。
ステップS35~S37の制御が行われたならば、ステップS38に進む。
【0056】
ステップS38では、基盤材の散布作業を終了するか否かを判断する。
ステップS38において基盤材の散布作業を終了する場合(ステップS38が「Yes」)、制御を終了する。
一方、基盤材の散布作業を終了しない場合(ステップS38が「No」)、ステップS31以降の制御を繰り返す。
【0057】
次に、散布された基盤材の厚さに関する制御について、主として図19を参照して説明する。
図19において、ステップS41、ステップ42は、それぞれ図17のステップS21、ステップS22及び図18のステップS31、ステップS32と同様であるため、重複説明を省略する。
図19のステップS43では、基盤材の減少量を、現時点の基盤材量を前サイクルの基盤材量と比較することにより演算(減算)し、決定する。さらに、基盤材の減少量とタイヤショベル30(図9)の移動速度に基づいて、単位時間に散布された基盤材の厚さ寸法を演算、決定する。上述した様に、基盤材の厚さ寸法は、基盤材減少量、タイヤショベル30の移動速度、施工面の幅方向(タイヤショベルの移動方向に対し垂直方向)長さをパラメータとする関数Fであり、当該関数Fにより、基盤材の厚さ寸法を演算(決定)する。基盤材の減少量、単位時間に散布された基盤材の厚さ寸法は、それぞれ基盤材減少量決定ブロックB3、基盤材厚さ決定ブロックB5により決定或いは演算される。
ステップS43で演算した後、ステップS44に進む。
ステップS44では、ステップS43で決定した単位時間(その時点の制御サイクル)で散布された基盤材の厚さ寸法と、基盤材の厚さ寸法の適正な範囲(所定範囲)とを比較して、ステップS43で求めた基盤材の厚さ寸法が適正範囲内であるか否かを判断する。当該判断は、基盤材厚さ判断ブロックB7により実行される。
ステップS44の判断の結果、単位時間(その時点の制御サイクル)で散布された基盤材の厚さ寸法が所定範囲内である場合はステップS45に進み、当該厚さ寸法が所定範囲より小さい(薄い)場合はステップS46に進み、当該厚さ寸法が所定範囲より大きい(厚い)場合はステップS47に進む。
【0058】
ステップS45(基盤材の厚さ寸法が所定範囲内である場合)では、その時点の制御サイクルにおける基盤材の散布量を維持する。すなわち、散布機構32A(撹拌羽根33A、開閉機構34A:図10)もその時点の制御サイクルにおける状態(現在の状態)を維持する。
ステップS46(基盤材の厚さ寸法が所定範囲より薄い場合)では、基盤材の散布量を増加させる。すなわち、散布機構32Aにおいて、撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を増加させる。撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を増加させる制御に際しては、制御装置CUの基盤材散布量判断ブロックB8から散布機構32A(撹拌羽根33A、開閉機構34A)に制御信号が送信される。
ステップS47(基盤材の厚さ寸法が所定範囲より厚い場合)では、現在の基盤材の散布量を減少させる。すなわち、散布機構32Aにおいて、撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を減少させる。撹拌羽根33Aの回転速度及び/又は開閉機構34Aの開口面積を減少させる制御のため、制御装置CUの基盤材散布量判断ブロックB8から散布機構32Aに制御信号が送信される。
ステップS45~S47の制御が行われたならば、ステップS48に進む。
【0059】
ステップS48では、基盤材の散布作業を終了するか否かを判断する。
ステップS48において、基盤材の散布作業を終了する場合(ステップS48が「Yes」)は制御を終了する。
一方、基盤材の散布作業を終了しない場合(ステップS48が「No」)はステップS41に戻り、ステップS41以降の制御を繰り返す。
【0060】
図17図19の基盤材量監視装置40及び制御装置CUによる制御は、散布機構として図10に示す散布機構32Aを採用しているが、図11図13に示す散布機構32B或いは図14に示す散布機構32Cを採用することも可能である。
図10の散布機構32Aを採用する場合、基盤材の散布量の増減は、撹拌羽根33Aの回転速度と開閉機構34Aの開口面積を制御することにより行うのに対して、図11図13の散布機構32Bを採用する場合、基盤材の散布量の増減は、スクリュー33B(撹拌羽根)の回転数と回転円盤35の回転速度を制御することにより行う。また、図14の散布機構32Cを採用する場合、基盤材の散布量の増減は、スクリュー33C(撹拌羽根)の回転数とコンベア機構36の駆動速度を制御することにより行う。
図9図19で説明したタイヤショベル30には、図7図8で説明した散布装置20の締固め機構22(ローラ、タイヤ)を取り付けることが可能である。
なお、図9図19で説明したタイヤショベル30による基盤材の散布は、平地の利用に限定される。
【0061】
ここで、基盤材は屋外に放置されているため、その含水比は日毎に異なり、一定では無い。
明確には図示されていないが、実施形態では、基盤材の性状改良のため、例えば、バーク堆肥・ココパウダーを省いて、現地発生材(例えば、チップ、砕石など)を混合し、均一な性状となり、撒き出しに適した改良土或いは基盤材とすることが出来る。
その様な基盤材では、石等の不純物も取り除かれるため、より撒き出しに適した性状となる。
以下の表1に、撒き出しに適した改良土の組成の一例を示す。
表1
【0062】
また、図示の実施形態で散布される基盤材において、表1で示す通常の配合(調整含水比20%の砂質土系の配合と調整含水比液性限界近傍の粘性土系の配合の双方)に対して水を加えると、流動性が向上し、締め固めることなく、散布が効率的に行われることが分かった。
発明者の実験によれば、加える水の量は
150リットル/1m3~ 500リットル/1m3
通常の配合に対して加える水の量が150リットル/1m3未満だと、流動性は向上せず、締固めが必要となる。
一方、通常の配合に対して加える水の量が500リットル/1m3を超えると、撒き出すべき材料の液性限界を超えてしまう。
通常の配合に対して加える水の量は、例えば300リットル/1m3が好ましい。
図示の実施形態においては、通常の配合に対して加える水の量を、
150リットル/1m3~500リットル/1m3
としている。
【0063】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0064】
1・・・吹付機
2・・・ホッパー
2A・・・ホッパー出口
3・・・フィードボウル
4・・・圧縮エア噴射ノズル
5・・・円環状のホース或いは配管
6・・・エア流路
7・・・エア供給源
8・・・開閉弁
9・・・ベルトコンベア
10・・・供給機構
20・・・散布装置
21・・・無限軌道帯
22・・・締固め機構(基盤材敷き均し装置、ローラ或いはタイヤ)
23・・・散布機構
30・・・タイヤショベル
31・・・バケット(タイヤショベルのバケット)
31A・・・開口
32A、32B、32C・・・散布機構
33A・・・撹拌羽根
33B、33C・・・撹拌羽根或いはスクリュー
34A・・・開閉機構
35・・・回転円盤
36・・・コンベヤ機構
40・・・基盤材量監視装置
100・・・基盤材処理システム
A・・・基盤材
CU・・・制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19