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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170848
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】シート回転装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20241204BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087591
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅弘
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA09
3B087BB02
3B087BB10
(57)【要約】
【課題】展開位置におけるシート本体の上下方向におけるガタつきを抑制することが可能なシート回転装置を提供すること。
【解決手段】シート回転装置10は、ベースプレート100と、回転プレート200と、連結ユニット300と、ベースプレートに固定されており、回転プレートが格納位置及び展開位置間を移動するときに回転プレートを支持する支持ローラ400と、回転プレートに固定されており、回転プレートが展開位置に位置するときに回転プレートとともに支持ローラを挟持する挟持部材500と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体が車両の前方を向く格納位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く展開位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
前記車両のフロアに固定されるベースプレートと、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、
前記ベースプレートに対して前記回転プレートが前記格納位置と前記展開位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、
前記ベースプレートに固定されており、前記回転プレートが前記格納位置及び前記展開位置間を移動するときに前記回転プレートを支持する支持ローラと、
前記回転プレートに固定されており、前記回転プレートが前記展開位置に位置するときに前記回転プレートとともに前記支持ローラを挟持する挟持部材と、を備える、シート回転装置。
【請求項2】
前記挟持部材は、前記格納位置から前記展開位置に向かう前記回転プレートの移動の終了時、及び、前記展開位置から前記格納位置に向かう前記回転プレートの移動の開始時に、前記回転プレートに抵抗を付与する、請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項3】
前記回転プレートは、前記展開位置において最も幅方向における外側に位置する最外部を有し、
前記ベースプレートは、前記展開位置における前記回転プレートの前記最外部から最も近くに位置する角部を有し、
前記支持ローラは、前記角部に設けられている、請求項1又は2に記載のシート回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を格納位置と展開位置との間で回転させることが可能なシート回転装置が知られている。例えば、特開2022-78502号公報には、ベースプレートと、回転プレートと、連結ユニットと、を備えるシート回転装置が開示されている。ベースプレートは、車両のフロアに固定されている。回転プレートは、シート本体の下面に固定されている。連結ユニットは、ベースプレートに対して回転プレートが着座位置と乗降位置との間で回転可能となるようにベースプレートと回転プレートとを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-78502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2022-78502号公報に記載されるシート回転装置では、展開位置(乗降位置)において、上下方向におけるシート本体のガタつきの抑制に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、展開位置におけるシート本体の上下方向におけるガタつきを抑制することが可能なシート回転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一局面に従ったシート回転装置は、シート本体が車両の前方を向く格納位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く展開位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、前記車両のフロアに固定されるベースプレートと、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、前記ベースプレートに対して前記回転プレートが前記格納位置と前記展開位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、前記ベースプレートに固定されており、前記回転プレートが前記格納位置及び前記展開位置間を移動するときに前記回転プレートを支持する支持ローラと、前記回転プレートに固定されており、前記回転プレートが前記展開位置に位置するときに前記回転プレートとともに前記支持ローラを挟持する挟持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、展開位置におけるシート本体の上下方向におけるガタつきを抑制することが可能なシート回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】格納位置における回転シートの斜視図である。
図2】展開位置における回転シートの斜視図である。
図3】格納位置における、本開示の一実施形態におけるシート回転装置の平面図である。
図4】展開位置におけるシート回転装置の平面図である。
図5】シート回転装置の分解斜視図である。
図6図3におけるVI-VI線での断面図である。
図7図4におけるVII-VII線での断面図である。
図8】支持ローラ及び挟持部材を下方から見た斜視図である。
図9】展開位置における支持ローラの近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、格納位置における回転シートの斜視図である。図2は、展開位置における回転シートの斜視図である。この回転シート1は、乗り物用シート、特に、車両用シートとして機能する。
【0011】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の回転シート1は、シート本体2と、シート回転装置10と、を備えている。
【0012】
シート本体2は、シートクッション2aと、シートバック2bと、を有している。シートクッション2aは、座部を構成する。シートバック2bは、シートクッション2aに着座した乗員の背部を支持する。シート本体2は、車両のフロアFL上に配置される。
【0013】
フロアFLには、シート本体2をフロアFLに対して車両の前後方向にスライドさせる一対のシートスライダ3が取り付けられている。一対のシートスライダ3は、車両の幅方向に間隔を置いて配置されている。各シートスライダ3は、ロアレール3a(図5を参照)と、アッパーレール3b(図5を参照)と、を有している。ロアレール3aは、車両の前後方向と平行となる姿勢でフロアFLに固定されている。アッパーレール3bは、ロアレール3aに対して車両の前後方向(ロアレール3aの長手方向)に相対変位可能である。
【0014】
シート回転装置10は、格納位置(図1に示される位置)と展開位置(図2に示される位置)との間でシート本体2を回転させることが可能である。格納位置は、シート本体2が車両の前方を向く位置である。展開位置は、シート本体2が車両のドアの開口部を向く位置である。シート回転装置10は、シート本体2の下面に固定されている。
【0015】
図3は、格納位置における、本開示の一実施形態におけるシート回転装置の平面図である。図4は、展開位置におけるシート回転装置の平面図である。図5は、シート回転装置の分解斜視図である。
【0016】
図3図5に示されるように、シート回転装置10は、ベースプレート100と、回転プレート200と、連結ユニット300と、支持ローラ400と、挟持部材500と、を有している。
【0017】
ベースプレート100は、車両のフロアFLに直接的に、又は、他の部材を介して間接的に、固定される。本実施形態では、ベースプレート100は、アッパーレール3bに固定されている。すなわち、ベースプレート100は、シートスライダ3を介してフロアFLに固定されている。ベースプレート100は、アッパーレール3bとともにロアレール3aに対して前後方向に移動可能である。ベースプレート100のうち幅方向における内側(本実施形態では左側)でかつ後方の部位には、シートベルトのアンカ(図示略)が固定されるブラケットBが設けられている。
【0018】
回転プレート200は、シート本体2に対して相対回転しないようにシート本体2の下面に固定されている。図3図5に示されるように、回転プレート200は、一対のサイドブラケット210L,210Rと、リア連結部231と、フロント連結部232と、中央連結板240と、を有している。
【0019】
一対のサイドブラケット210L,210Rは、幅方向に間隔を置いて配置されている。各サイドブラケット210L,210Rは、シートスライダ3の上方に配置されている。各サイドブラケット210L,210Rは、前後方向に延びる形状を有している。
【0020】
リア連結部231は、各サイドブラケット210L,210Rの後部同士を連結している。
【0021】
フロント連結部232は、各サイドブラケット210L,210Rの前部同士を連結している。
【0022】
中央連結板240は、リア連結部231とフロント連結部232とを連結している。
【0023】
連結ユニット300は、格納位置と展開位置との間でベースプレート100に対して回転プレート200が回転可能となるようにベースプレート100と回転プレート200とを連結している。
【0024】
図3図5に示されるように、連結ユニット300は、回転連結部310と、第1直線連結部320と、第2直線連結部330と、を有している。
【0025】
回転連結部310は、ベースプレート100と回転プレート200とを連結している。回転連結部310は、回転リンク312と、ローラ部314(図5を参照)と、を有している。回転リンク312は、固定端部312aと、回転端部312bと、を有している。
【0026】
固定端部312aは、回転リンク312の一端部で構成されている。固定端部312aは、ベースプレート100に対して相対回転可能となるようにベースプレート100に固定されている。
【0027】
回転端部312bは、回転リンク312の他端部で構成されている。回転端部312bは、固定端部312aを回転中心としてベースプレート100に対して回動可能であり、かつ、回転プレート200に対して相対回転可能となるように回転プレート200に固定されている。回転端部312bは、リア連結部231に固定されている。
【0028】
ローラ部314は、回転端部312bを支持している。ローラ部314は、ベースプレート100上を移動可能である。
【0029】
第1直線連結部320は、ロアレール321と、アッパースライダ322と、を有している。
【0030】
ロアレール321は、ベースプレート100に固定されている。具体的に、ロアレール321は、ベースプレート100の中央部に固定されている。ロアレール321は、直線状に延びる形状を有している。ロアレール321は、固定端部312a及び回転端部312b間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、固定端部312aを中心とする仮想円の直径に沿うように配置されている。図3及び図4に示されるように、ロアレール321は、車両の前後方向に対して交差する姿勢、より詳細には、車両の前方に向かうにしたがって次第にドアの開口部に近づくように前後方向に対して傾斜する姿勢でベースプレート100に固定されている。
【0031】
アッパースライダ322は、ロアレール321に沿って移動可能である。アッパースライダ322は、回転プレート200における中央連結板240に固定されている。
【0032】
第2直線連結部330は、ロアレール331と、アッパースライダ332と、を有している。
【0033】
ロアレール331は、ベースプレート100に固定されている。具体的に、ロアレール331は、ベースプレート100のうち、幅方向における内側に配置されたシートスライダ3と第1直線連結部320のロアレール321との間に位置する部位に固定されている。ロアレール331は、直線状に延びる形状を有している。ロアレール331は、固定端部312aから離間している。ロアレール331は、車両の前方に向かうにしたがって次第にドアの開口部に近づくように前後方向に対して傾斜している。
【0034】
アッパースライダ332は、ロアレール331に沿って移動可能である。アッパースライダ332は、回転プレート200におけるリア連結部231に固定されている。
【0035】
支持ローラ400は、回転プレート200が格納位置及び展開位置間を移動するときに回転プレート200に対して相対回転しながら回転プレート200を支持する。本実施形態では、支持ローラ400は、中央連結板240を支持している。図6図8に示されるように、中央連結板240は、支持ローラ400に支持される被支持面240Sを有している。なお、図6には、格納位置から展開位置に向かう回転プレート200の移動方向が矢印で示されている。
【0036】
図5に示されるように、支持ローラ400は、ベースプレート100に対して相対回転可能となるようにベースプレート100に固定されている。支持ローラ400は、展開位置における回転プレート200のうち最も幅方向における外側に位置する部位(以下、「最外部202」と表記する。)からなるべく近い位置に設けられることが好ましい。本実施形態では、支持ローラ400は、展開位置における回転プレート200の最外部202から最も近くに位置する角部102、すなわち、ベースプレート100のうちの右前の角部に固定されている。
【0037】
挟持部材500は、回転プレート200が展開位置に位置するときに回転プレート200とともに支持ローラ400を挟持する。挟持部材500は、回転プレート200に固定されている。具体的には、挟持部材500は、中央連結板240の下面に固定されており、中央連結板240とともに支持ローラ400を挟持する。図5図7および図8に示されるように、挟持部材500は、接続部510と、挟持部520と、を有している。
【0038】
接続部510は、リベットや溶接等によって中央連結板240に接続されている。具体的に、中央連結板240は、起立壁242を有しており、接続部510は、起立壁242に接続されている、図7に示されるように、起立壁242と被支持面240Sとのなす角θは、例えば45度~90度に設定されている。
【0039】
挟持部520は、回転プレート200とともに支持ローラ400を挟持する部位である。挟持部520は、接続部510から起立壁242から離間する向きに延びている。挟持部520は、被支持面240Sと対向している。
【0040】
挟持部520は、格納位置から展開位置に向かう回転プレート200の移動の終了時(展開位置に位置するとき)、及び、展開位置から格納位置に向かう回転プレート200の移動の開始時(展開位置を離脱するとき)に、回転プレート200に抵抗を付与する。この抵抗は、シート本体2に着座している乗員に節度感を与える。図7に示されるように、挟持部520は、保持部522と、抵抗付与部524と、を有している。
【0041】
保持部522は、展開位置における回転プレート200の中央連結板240とともに支持ローラ400を保持する。保持部522は、被支持面240Sから離間する向きに凸となるように湾曲している。保持部522は、支持ローラ400の外形に沿う円弧状に形成されていることが好ましい。
【0042】
抵抗付与部524は、保持部522につながっている。抵抗付与部524は、格納位置から展開位置に向かう方向における保持部522の先端部につながっている。抵抗付与部524は、格納位置から展開位置に向かう回転プレート200の移動の終了時、及び、展開位置から格納位置に向かう回転プレート200の移動の開始時に、支持ローラ400に干渉する。抵抗付与部524は、被支持面240Sに向かって突出する形状を有している。図7に示されるように、抵抗付与部524は、支持ローラ400が回転プレート200に対して相対移動するときに支持ローラ400の下端部が描く軌跡Lよりも被支持面240S側に突出している。
【0043】
以上に説明したシート回転装置10では、回転プレート200が展開位置に位置するときに、回転プレート200と挟持部材500とによって支持ローラ400が挟持されるため、展開位置におけるシート本体2の上下方向におけるガタつきが抑制される。
【0044】
なお、図9に示されるように、挟持部520は、回転プレート200が展開位置に位置するときに支持ローラ400を被支持面240Sに押し付ける平板部で構成されてもよい。
【0045】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0046】
(態様1)
シート本体が車両の前方を向く格納位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く展開位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
前記車両のフロアに固定されるベースプレートと、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、
前記ベースプレートに対して前記回転プレートが前記格納位置と前記展開位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、
前記ベースプレートに固定されており、前記回転プレートが前記格納位置及び前記展開位置間を移動するときに前記回転プレートを支持する支持ローラと、
前記回転プレートに固定されており、前記回転プレートが前記展開位置に位置するときに前記回転プレートとともに前記支持ローラを挟持する挟持部材と、を備える、シート回転装置。
【0047】
このシート回転装置では、回転プレートが展開位置に位置するときに、回転プレートと挟持部材とによって支持ローラが挟持されるため、展開位置におけるシート本体の上下方向におけるガタつきが抑制される。
【0048】
(態様2)
前記挟持部材は、前記格納位置から前記展開位置に向かう前記回転プレートの移動の終了時、及び、前記展開位置から前記格納位置に向かう前記回転プレートの移動の開始時に、前記回転プレートに抵抗を付与する、態様1に記載のシート回転装置。
【0049】
この態様では、回転プレートが展開位置に位置したこと、及び、展開位置から格納位置に移動したことをシート本体に着座している乗員が感じることができる。
【0050】
(態様3)
前記回転プレートは、前記展開位置において最も幅方向における外側に位置する最外部を有し、
前記ベースプレートは、前記展開位置における前記回転プレートの前記最外部から最も近くに位置する角部を有し、
前記支持ローラは、前記角部に設けられている、態様1又は2に記載のシート回転装置。
【0051】
この態様では、展開位置において、乗員から作用する荷重に起因して回転プレートが変形することが抑制される。
【0052】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 回転シート、2 シート本体、3 シートスライダ、10 シート回転装置、100 ベースプレート、102 角部、200 回転プレート、202 最外部、210L,210R サイドブラケット、231 リア連結部、232 フロント連結部、240 中央連結板、300 連結ユニット、310 回転連結部、320 第1直線連結部、330 第2直線連結部、400 支持ローラ、500 挟持部材、510 接続部、520 挟持部、522 保持部、524 抵抗付与部、FL フロア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9