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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017087
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】検出装置および検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240201BHJP
   B60B 3/16 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01L5/00 103F
B60B3/16 Z
B60B3/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119489
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB05
2F051AC07
(57)【要約】
【課題】ホイール等の回転体を締結する締結部材の取り付け状態を検出することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】センサ装置100(検出装置)は、磁気センサ21(センサ部)と、磁気センサ21の検出信号に基づいてナット240(締結部材)の締結状態を検出する信号処理部302(状態検出部)とを備える。磁気センサ21は、リンク部材10により接続されているナット240が回転したことに起因するリンク部材10の歪みを検知する。信号処理部302は、磁気センサ21により検知されたリンク部材10の歪みに基づいて、ナット240の締結状態を検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部材を被締結部材に締結する複数の締結部材のうち少なくとも2つの締結部材を接続するリンク部材の歪みを検出する検出装置であって、
前記少なくとも2つの締結部材のうち少なくとも1つの締結部材の回転による前記リンク部材の歪みを検出するセンサ部と、
前記センサ部により検出された前記リンク部材の歪みに基づいて、前記少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する状態検出部と、を備える、検出装置。
【請求項2】
前記センサ部は、前記リンク部材に取り付けられているとともに、前記リンク部材の歪みに起因する所定の情報を取得するように構成されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記リンク部材は、前記複数の締結部材のいずれかが嵌合される嵌合穴が設けられる複数の嵌合部と、前記複数の嵌合部同士を接続する接続部とを含み、
前記複数の嵌合部のうち少なくとも1つと前記接続部とのうちの一方に設けられる磁石をさらに備え、
前記センサ部は、前記複数の嵌合部のうち少なくとも1つと前記接続部とのうちの他方において前記磁石と対向するように設けられる磁気センサを含み、
前記状態検出部は、前記接続部が歪んだことに起因する前記磁石と前記磁気センサとの間の距離の変化によって変化する前記磁気センサの検知結果に基づいて、前記少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記センサ部は、前記少なくとも1つの締結部材が回転したことに起因して前記リンク部材において歪みが生じる部分に設けられる歪みゲージを含む、請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記状態検出部は、前記センサ部により検知された前記リンク部材の歪み量に基づく値が所定のしきい値以上である場合に、前記少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記センサ部は、前記リンク部材の歪み量に基づく値が前記所定のしきい値以上である状態が所定時間以上継続された場合に、前記少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する、請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
所定の部材を被締結部材に締結する複数の締結部材のうち少なくとも2つの締結部材を接続するリンク部材の歪みを検出する検出方法であって、
前記少なくとも2つの締結部材のうち少なくとも1つの締結部材の回転による前記リンク部材の歪みを検出する工程と、
検出された前記リンク部材の歪みに基づいて、前記少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する工程と、を備える、検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-329907号公報(特許文献1)には、タイヤあるいはホイールに取り付けられた検出器(Gセンサ)の検出値に基づいて、タイヤ(ホイールを締結するナット)の取り付け状態を検出する検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-329907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タイヤ(ホイールを締結する締結部材)の取り付け状態を検出する装置において、そのタイヤ(ホイールを締結する締結部材)の取り付け状態をより簡易に検出する技術が望まれている。
【0005】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、ホイール等の回転体を締結する締結部材の取り付け状態を検出することが可能な検出装置および検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面による検出装置は、所定の部材を被締結部材に締結する複数の締結部材のうち少なくとも2つの締結部材を接続するリンク部材の歪みを検出する検出装置であって、少なくとも2つの締結部材のうち少なくとも1つの締結部材の回転によるリンク部材の歪みを検出するセンサ部と、センサ部により検出されたリンク部材の歪みに基づいて、上記少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する状態検出部と、を備える。
【0007】
本開示の第1の局面による検出装置では、上記のように、センサ部により検知されたリンク部材の歪みに基づいて、複数の締結部材のうちの少なくとも1つの締結状態が検出される。ここで、リンク部材の歪みは、締結部材の回転量(緩み量)によって変化する一方で、被締結部材の種類や大きさ等によって変化することはない。したがって、リンク部材の歪みに基づいて、締結部材の締結状態(取り付け状態)を容易に検出することができる。
【0008】
本開示の第2の局面に従う検出方法は、所定の部材を被締結部材に締結する複数の締結部材のうち少なくとも2つの締結部材を接続するリンク部材の歪みを検出する検出方法であって、少なくとも2つの締結部材のうち少なくとも1つの締結部材の回転によるリンク部材の歪みを検出する工程と、検出されたリンク部材の歪みに基づいて、少なくとも1つの締結部材の締結状態を検出する工程と、を備える。
【0009】
本開示の第2の局面による検出方法では、上記のように、センサ部により検知されたリンク部材の歪みに基づいて、複数の締結部材のうちの少なくとも1つの締結状態が検出される。これにより、リンク部材の歪み基づいて、締結部材の締結状態(取り付け状態)を容易に検出することが可能な検出方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ホイール等の回転体を締結する締結部材の取り付け状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1および第2実施形態によるセンサ装置が設けられている車両を示す図である。
図2】第1および第2実施形態によるナットの断面図である。
図3】第1実施形態によるリンク部材およびセンサ装置を示す図である。
図4】第1実施形態によるセンサ装置の構成を示す図である。
図5】リンク部材が歪んだ状態におけるセンサ装置の近傍を示す部分拡大図である。
図6】第1実施形態によるセンサ装置の制御フローを示すフロー図である。
図7】第2実施形態によるリンク部材およびセンサ装置を示す図である。
図8】第2実施形態によるセンサ装置の構成を示す図である。
図9】第2実施形態によるセンサ装置の制御フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るセンサ装置100(図3参照)が搭載される車両200を示す図である。車両200は、複数の車輪210を備える。また、車両200は、後述の通信部23と通信可能でかつ図示しない表示部を備える通信端末201を備える。なお、センサ装置100は、本開示の「検出装置」の一例である。
【0014】
車輪210は、ホイール220と、ホイール220に取り付けられるタイヤ230とを含む。ホイール220は、複数(図1では6つ)のナット240によりホイールハブ250a(図2参照)に締結されている。ナット240は、締め付け方向(時計回り)および緩み方向(反時計回り)に回転する。なお、ナット240の個数は上記の例に限られない。なお、ホイール220およびホイールハブ250aは、それぞれ、本開示の「被締結部材」および「所定の部材」の一例である。また、ナット240は、本開示の「締結部材」の一例である。
【0015】
図2に示すように、ナット240は、ホイール220にボルト250を締結させる。具体的には、ホイール220には、ボルト250が挿入(貫通)される複数(6つ)のホイール穴221が設けられている。ナット240は、ホイール穴221に挿入された状態のボルト250をホイール220に締結する。なお、ボルト250は、ホイールハブ250aに固定されている。なお、ナット240とホイール220との間には、ワッシャ241が設けられていてもよい。
【0016】
図2は、ダブルタイヤの例を示しており、ホイール220は、内側ホイール222と外側ホイール223からなる。ナット240は、片面側が開放されている。
【0017】
また、図3に示すように、6つのナット240のうち互いに隣り合う2つのナット240同士は、リンク部材10により接続されている。リンク部材10は、弾性を有する樹脂により形成されている。
【0018】
リンク部材10は、ナット240が嵌合される嵌合穴11aが設けられる一対の嵌合部11を含む。また、リンク部材10は、一対の嵌合部11同士を接続する接続部12を含む。なお、接続部12は、2つの折れ曲がり部が設けられることによりZ字形状を有している。
【0019】
また、センサ装置100は、センサチップ20と、磁石30とを備える。センサチップ20は、リンク部材10の一方の嵌合部11の外表面11bに取り付けられている。磁石30は、接続部12に取り付けられている。磁石30は、接続部12のうち、センサチップ20と対向する表面12aに取り付けられている。なお、センサチップ20が、リンク部材10の2つの嵌合部11の各々の外表面11bに設けられていてもよい。
【0020】
図4に示すように、センサチップ20は、磁気センサ21と、信号処理部22と、通信部23と、電源部24とを含む。なお、磁気センサ21および信号処理部22は、それぞれ、本開示の「センサ部」および「状態検出部」の一例である。
【0021】
磁気センサ21は、磁石からの磁束の大きさ(磁束量)を検知する。信号処理部22は、磁気センサ21の検出信号に基づいて、ナット240の状態(締結状態)を検出する。
【0022】
通信部23は、信号処理部22の処理結果または処理結果に基づく情報を、無線通信により、車両200の通信端末201(図1参照)に送信する。電源部24は、磁気センサ21、信号処理部22、および、通信部23の各々に電力を供給する。
【0023】
ここで、磁気センサ21は、リンク部材10により接続されているナット240が回転したことに起因するリンク部材10の歪みを検知する。具体的には、図5に示すように、ナット240が回転することにより、リンク部材10に歪みが生じるとともに、センサチップ20と磁石30との間の距離Dが変化する。磁気センサ21は、距離Dの変化に基づきリンク部材10の歪みを検知する。図5に示す例では、センサチップ20が取り付けられている嵌合部11側のナット240が緩み方向(反時計回り)に回転することにより、センサチップ20と磁石30との間の距離Dが小さくなっている。
【0024】
これにより、磁石30がセンサチップ20(磁気センサ21)に近づくので、磁気センサ21を通過する磁石30からの磁束の本数が増加する。その結果、磁気センサ21が検知する磁束の大きさ(磁束量)が大きくなる。なお、上記の磁束の大きさの変化は、本開示の「所定の情報」の一例である。
【0025】
信号処理部22は、所定時間毎(たとえば20秒~120秒ごと)に、磁気センサ21の検出値を取得する。
【0026】
また、信号処理部22は、今回磁気センサ21により検出された磁束量と、前回までに磁気センサ21により検出された磁束量との差分に基づいて、ナット240の締結状態を検出する。信号処理部22は、上記差分が所定の許容範囲外であれば、ナット240が緩んでいる(固定されていない)と判断する。この場合、信号処理部22は、通信部23(図4参照)を通じて通信端末201(図1参照)にナット240が緩んでいることを通知する。これにより、通信端末201の図示しない表示部に警告が表示されてもよいし、通信端末201に警告音を発生させてもよい。一方、信号処理部22は、上記差分が所定の許容範囲内であれば、ナット240が固定されていると判断する。この場合、信号処理部22は、通信端末201への通知は行わない。また、上記の前回までに検出された磁束量とは、前回の磁束量であってもよいし、前回を含む過去数回分の磁束量の平均値であってもよい。
【0027】
また、信号処理部22は、磁気センサ21の検出値(磁束量)の初期値の情報を取得する。信号処理部22は、たとえば通信端末201の所定のボタン201a(図1参照)が押下されたことに基づいて、上記初期値を取得する。具体的には、信号処理部22は、上記ボタンが押下された時点での磁気センサ21の検出値(磁束量)を初期値とする。なお、ボタン201aは、たとえば、タイヤ230(ホイール220)をホイールハブ250aに取り付け、ナット240を所定の締め付けトルクで締結したときに押下されるのが好ましい。また、上記のボタン201aの機能を有するボタンがセンサ装置100に設けられていてもよい。また、センサ装置100の通信部23が車両200のECUとの間で双方向通信可能であってもよい。この場合、上記初期値の情報を信号処理部22に記憶させてもよい。
【0028】
また、信号処理部22は、現在の磁気センサ21の検出値(磁束量)と上記初期値との差分に基づいて、ナット240の締結状態を検出する。具体的には、信号処理部22は、上記差分が所定の許容範囲外となった場合に、ナット240が緩んでいる(固定されていない)と判断する。この場合、信号処理部22は、通信部23(図4参照)を通じてナット240が緩んでいることを通信端末201(図1参照)に通知する。これにより、通信端末201の図示しない表示部に警告が表示されてもよいし、通信端末201に警告音を発生させてもよい。
【0029】
また、信号処理部22は、磁気センサ21により検知された磁束の変化量(本開示の「リンク部材の歪み量に基づく値」に相当)が所定のしきい値以上である場合に、ナット240の締結状態を検出する。具体的には、信号処理部22は、磁気センサ21により検知された磁束の変化量が所定のしきい値以上である状態が所定時間以上(たとえば1分以上)継続された場合に、ナット240の締結状態を検出する。なお、所定のしきい値とは、たとえば、車両200の振動や急加速(急減速)等に起因してリンク部材10に(微少な)歪みが生じる場合に対応する磁束の変化量であり、図示しない記憶装置等に予め記憶されていてもよい。
【0030】
(センサ装置の制御フロー)
次に、図6を参照して、センサ装置100の制御フローの一例を説明する。まず、ステップS1において、磁石30からの磁束量が磁気センサ21により検出される。次に、ステップS2において、信号処理部22は、磁気センサ21から、検知された磁束量の情報を取得する。
【0031】
次に、ステップS3では、信号処理部22は、ステップS2において取得された磁束量の情報に基づいて、ナット240の締結状態を検出する。ナット240に緩みがあることが検出された場合(S3においてYes)、処理はステップS4に進む。また、ナット240に緩みがないことが検出された場合(S3においてNo)、処理はステップS1に戻る。磁束量に基づく締結状態の検出の説明は、上記のように、前回までの検出値または初期値との差分に基づいて行われる。
【0032】
そして、ステップS4において、信号処理部22は、通信部23を通じて、通信端末201にナット240に緩みがあることを通知する。
【0033】
以上のように、第1実施形態においては、磁気センサ21により検知されたリンク部材10の歪みに基づいて、ナット240の締結状態が検出される。これにより、ホイール220の大きさや種類だけでなく車両200の車速等に拘わらず、磁気センサ21の検出結果に基づいてナット240の締結状態を検知することができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、磁気センサ21が用いられる上記第1実施形態とは異なり、歪みゲージ301が用いられる。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すとともに繰り返しの説明を行わない。
【0035】
図7に示すように、センサ装置300は、リンク部材10の接続部12に取り付けられている。具体的には、センサ装置300は、リンク部材10の接続部12のうち、ナット240が緩み方向に回転することによって歪む(撓む)歪み部分12cに取り付けられている。歪み部分12cは、本開示の「歪みが生じる部分」の一例である。
【0036】
図8に示すように、センサ装置300は、歪みゲージ301と、信号処理部302と、通信部303と、電源部304とを含む。なお、歪みゲージ301および信号処理部302は、それぞれ、本開示の「センサ部」および「状態検出部」の一例である。
【0037】
歪みゲージ301は、歪み部分12cの電気的な抵抗値(以下、抵抗値と記載する)の変化を検出する。歪み部分12cの抵抗値は、歪み部分12cが歪むことによって歪み部分12cの断面積が変化することに起因して変化する。たとえば、図7に示すナット240が緩み方向に回転した場合、歪み部分12cが伸びるように変形される(すなわち長さが大きくなる)ことによって歪み部分12cの断面積は小さくなる。これにより、歪み部分12cの抵抗値が増加する。
【0038】
信号処理部302は、歪みゲージ301により検出されたリンク部材10の抵抗値の変化に基づいて、ナット240の状態(締結状態)を検出する。なお、リンク部材10の抵抗値の変化は、本開示の「所定の情報」の一例である。
【0039】
通信部303は、信号処理部302の処理結果または処理結果に基づく情報を、無線通信により、車両200の通信端末201(図1参照)に送信する。電源部304は、歪みゲージ301、信号処理部302、および、通信部303の各々に電力を供給する。
【0040】
また、信号処理部302は、歪みゲージ301により検知されたリンク部材10の抵抗値の変化量(本開示の「リンク部材の歪み量に基づく値」に相当)が所定のしきい値以上である場合に、ナット240の締結状態を検出する。具体的には、信号処理部302は、歪みゲージ301により検知されたリンク部材10の抵抗値の変化量が所定のしきい値以上である状態が所定時間以上(たとえば1分以上)継続された場合に、ナット240の締結状態を検出する。
【0041】
(センサ装置の制御フロー)
次に、図9を参照して、センサ装置300の制御フローを説明する。まず、ステップS11において、リンク部材10の抵抗値が歪みゲージ301により検知される。次に、ステップS12では、信号処理部302は、歪みゲージ301から、検知されたリンク部材10の抵抗値の情報を取得する。
【0042】
次に、ステップS13では、信号処理部302は、ステップS12において取得された抵抗値の情報に基づいて、ナット240の締結状態を検出する。ナット240に緩みがあることが検出された場合(S13においてYes)、処理はステップS4に進む。また、ナット240に緩みがないことが検出された場合(S13においてNo)、処理はステップS11に戻る。具体的には、今回歪みゲージ301により検出された抵抗値と、前回までに歪みゲージ301により検出された抵抗値との差分(または抵抗値の初期値との差分)が所定の許容範囲外であれば、ナット240が緩んでいる(固定されていない)と判断される。
【0043】
以上のように、第2実施形態においては、歪みゲージ301により検知されたリンク部材10の歪みに基づいて、ナット240の締結状態が検出される。これにより、リンク部材10の歪み量を歪みゲージ301により検知されるリンク部材10の抵抗値の変化量に基づいて容易に検出することができる。また、上記第1実施形態のように磁石等を用いなくても、リンク部材10の歪みを検出することができるので、部品点数を低減することができるとともにセンサ装置300の構成を簡略化することができる。
【0044】
なお、その他の構成および効果については、上記第1実施形態と同様であるので、繰り返し説明しない。
【0045】
なお、上記第1および第2実施形態では、車両200のホイール220に設けられるナット240の締結状態を検出する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、エレベータのプーリやベルトコンベアの滑車、遊園地等に備えられるコーヒーカップおよびメリーゴーランド、および、公園等に備えられる回転式遊具などに取り付けられるナット等の締結部材の締結状態を検出してもよい。
【0046】
また、上記第1および第2実施形態では、センサ装置100(300)に設けられる信号処理部22(302)によってナット240の緩みを検出する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、車両200に設けられるECU(Electronic Control Unit)に通信部23(303)を通じて磁気センサ21(歪みゲージ301)の検出値を送信し、ECUが上記検出値に基づいてナット240の緩みを検出してもよい。
【0047】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気センサ21および歪みゲージ301(センサ部)がリンク部材10に取り付けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。センサ部がリンク部材10に取り付けられていなくてもよい。たとえば、リンク部材10の嵌合部11と接続部12との間の距離を、リンク部材10とは離間した位置に設けられたカメラ等により検出してもよい。
【0048】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気センサ21(歪みゲージ301)の検出値の変化量に基づいて、ナット240の締結状態が検出される例を示したが、本開示はこれに限られない。磁気センサ21(歪みゲージ301)の検出値に基づいてリンク部材10の歪み量を算出するとともに、上記歪み量に基づいて算出されたナット240の回転角度の変化量に基づいて上記検出が行われてもよい。
【0049】
また、上記第1実施形態では、磁気センサ21が嵌合部11に設けられ、磁石30が接続部12に設けられる例を示したが、本開示はこれに限られない。磁気センサ21が接続部12に設けられ、磁石30が嵌合部11に設けられていてもよい。
【0050】
また、上記第1および第2実施形態では、ナット240のリンク部材10を取り付ける例を示したが、本開示はこれに限られない。ボルト(ホイールハブとは別個のボルト)にリンク部材10を取り付けてもよい。この場合のボルトは、本開示の「締結部材」の一例である。
【0051】
なお、上記実施形態において、1つのホイール220に対するセンサ装置100(300)の個数は、1以上であれば適宜変更してもよい。
【0052】
上述の実施の形態および上記変形例は、技術的に矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることもできる。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
10 リンク部材,11 嵌合部,11a 嵌合穴,12 接続部,12c 歪み部分(歪みが生じる部分),21 磁気センサ(センサ部),22、302 信号処理部(状態検出部),30 磁石,100、300 センサ装置(検出装置),220 ホイール(被締結部材),240 ナット(締結部材),250a ホイールハブ(所定の部材),301 歪みゲージ(センサ部),D 距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9