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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017088
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】締結部材
(51)【国際特許分類】
   F16B 31/02 20060101AFI20240201BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20240201BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20240201BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F16B31/02 Z
F16B37/00 Z
F16B41/00 A
F16B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119491
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
(57)【要約】
【課題】比較的体格の大きな検出装置を配設可能な締結部材を提供する。
【解決手段】六角ナットであるホイールナット20のナット本体部21の座面21bと反対側に形成された筒状部22は、筒状部22の外形が、ナット本体部21の二面幅以下とされている。筒状部22は、円筒とされており、内部空間Cに磁気センサ含む検出装置100が配設される。ナット本体部21の二面幅に適合するレンチによって、筒状部22にトルクが加わらないので、筒状部22の厚みを薄くでき、内部空間Cを大きくできる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
六角ナットの座面と反対側、あるいは、六角ボルトのネジ部と反対側に形成された筒状部を有し、
前記筒状部は、前記筒状部の外形の大きさが前記六角ナットあるいは前記六角ボルトの二面幅以下であり、かつ、前記二面幅に適合するレンチによって締め付けトルクが加わらない形状とされている、締結部材。
【請求項2】
前記筒状部の内部空間に、センサを含む検出装置が設けられる、請求項1に記載の締結部材。
【請求項3】
前記筒状部は、円筒である、請求項1または請求項2に記載の締結部材。
【請求項4】
前記検出装置は、通信部と電源部を含む、請求項2に記載の締結部材。
【請求項5】
前記検出装置は、封止用樹脂によって封止されている、請求項2に記載の締結部材。
【請求項6】
前記筒状部は、前記六角ナットあるいは前記六角ボルトと異なる部材で形成されており、前記筒状部は、前記六角ナットあるいは前記六角ボルトに固定される、請求項1または請求項2に記載の締結部材。
【請求項7】
前記筒状部は、樹脂から形成されている、請求項6に記載の締結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、締結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2017-529499号公報(特許文献1)には、ナット、特に車両用のホイールナットまたはアクスルナットであって、センサ素子が内部に配設される凹部を備えたナットが開示されている。この特許文献1に記載されたナットでは、ナット本体のレンチ面に凹部が形成され、その中にセンサ素子と、センサ素子の信号を無線で送信する送信ユニットが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-529499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナット本体のレンチ面の面積は限られ、また、レンチ面の強度を確保するため、レンチ面に形成する凹部を大きくすることは難しい。このため、レンチ面に形成した凹部内にセンサ素子等の検出装置を配設する場合、検出装置の体格を小さくする必要がある。このため、比較的体格の大きな検出装置をナット等の締結部材に配設可能な締結部材の構成が望まれている。
【0005】
本開示の目的は、比較的体格の大きな検出装置を配設可能な締結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る締結部材は、六角ナットの座面と反対側、あるいは、六角ボルトのネジ部と反対側に形成された筒状部を有する。筒状部は、筒状部の外形の大きさが六角ナットあるいは六角ボルトの二面幅以下であり、かつ、二面幅に適合するレンチによるトルクが加わらない形状とされている。好ましくは、締結部材の筒状部の内部空間に、センサを含む検出装置が設けられていてもよい。
【0007】
六角ナットの座面と反対側、あるいは、六角ボルトのネジ部と反対側に形成された筒状部は、筒状部の外形の大きさが六角ナットあるいは六角ボルトの二面幅以下とされており、かつ、二面幅に適合するレンチによるトルクが加わらない形状とされている。レンチを用いて締結部材を締め付ける際に(あるいは、緩める際に)、筒状部にトルクが加わらないので、筒状部の厚みを薄くすることができ、筒状部の内部空間を比較的大きくできる。したがって、検出装置の体格が比較的大きな体格であっても、この内部空間に検出装置を配設することが可能になる。なお、本開示において、「座面」とは、「六角ナットの締め付けのとき、直接力を受ける面の部分」であり、たとえば、六角ナットと被締結部材(被締結要素)が接触する面である。
【0008】
好ましくは、筒状部は円筒であってよい。
筒状部が円筒であれば、レンチによるトルクが筒状部に加わることを、より確実に抑制することができる。
【0009】
好ましくは、検出装置は、通信部と電源部を含んでもよい。
検出装置が、通信部と電源部を備え、その体格が比較的大きくなっても、筒状部の内部空間に検出装置を配設することができる。
【0010】
好ましくは、検出装置は、封止用樹脂によって封止されていてもよい。
この構成によれば、検出装置が樹脂によって封止されるので、検出装置を保護することができる。
【0011】
好ましくは、筒状部は、六角ナットあるいは六角ボルトと異なる部材で形成されており、筒状部は、六角ナットあるいは六角ボルトに固定されていてもよい。
【0012】
たとえば、筒状部を樹脂から形成することにより、検出装置が通信部を備えている場合、電波を伝え易くできる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、比較的体格の大きな検出装置を配設可能な締結部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る締結部材(ホイールナット)によって締結された車輪10を示す側面図である。
図2】ホイールの締結部の断面図である。
図3】ホイールナットの上面図である。
図4】検出装置の構成の一例を示す図である。
図5】変形例1のホイールナットを示す斜視図である。
図6】(A)および(B)は、変形例1のホイールナットの断面図である。
図7】変形例2におけるホイールナットの断面図である。
図8】変形例3におけるホイールナットの断面図である。
図9】変形例4におけるホイールナットの上面図である。
図10】変形例5におけるホイールナットの斜視図である。
図11】実施の形態2に係る締結部材(ホイールボルト)を用いた、ホイールの締結部の断面図である。
図12】ホイールボルトの上面図である。
図13】(A)および(B)は、ホイールボルトの断面図である。
図14】(A)および(B)は、変形例6に係るホイールボルトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態(実施の形態1)に係る締結部材(ホイールナット)20によって締結された車輪10を示す側面図である。車輪10は、ホイール11と、ホイール11に取り付けられるタイヤ12とを含む。ホイール11には、車両のハブ(車軸)40に設けたハブボルト25が挿通されるホイール孔11a(図2参照)が設けられており、複数(図1では5つ)のホイールナット20をハブボルト25に螺合することにより、ホイール11がハブに締結される。なお、ホイールナット20の個数は上記の例に限られず、たとえば、4個、6個、8個、あるいは10個であってもよい。
【0017】
ホイール11(車輪10)は、所定のピッチ円(図1の一点鎖線を参照)上において、ホイールナット20により、ハブ40に締結されている。なお、ピッチ円直径(PCD:Pitch Circle Diameter)の大きさは、任意であってよく、たとえば、114.3mmであってよく、275mmであってよい。
【0018】
図2は、ホイール11の締結部の断面図である。図2に示すようにハブボルト25は、ハブ(車軸)40に設けられている(ハブボルト25は、ハブ40に固定されている)。ハブボルト25の先端面には、磁石400が設けられている。磁石400はハブボルト25の先端面に接着等によって固定されておりハブボルト25の軸方向に直交する方向にN極とS極を備える。
【0019】
ホイールナット20は、六角ナットであり、ナット本体部21と筒状部22から形成されている。筒状部22は、ナット本体部21の座面21bと反対側に形成されている。座面21bは、ナット本体部21とホイール11との接触面である。本実施の形態において、筒状部22には、一体的に、天井部23が形成されており、所謂、袋ナットの形状をなしている。筒状部22の内面(内側面)22aと天井部23の内面(天井面)23aとに囲まれた空間(筒状部22の内部空間)Cに、検出装置100が配設されている。検出装置100は、天井部23の天井面23aに取り付けられて(接着されて)いる。本実施の形態において、ホイール11とナット本体部21の接触面は平面であり、座面21bが平面座である例を示している。しかし、ホイール11とナット本体部21の接触面の形状は任意であり、たとえば、座面21bの形状は、球面座であってもよく、テーパー座であってもよい。また、座面21b(ナット本体部21)とホイール11との間に座金(ワッシャ)が介在してもよい。
【0020】
図3は、ホイールナット20の上面図である。(図3は、図2の矢印Aから見た図である。)本実施の形態において、筒状部22は円筒である。筒状部22の外形の直径dは、ホイールナット20(ナット本体部21)の二面幅W以下とされている。また、筒状部22の内側面22aは、ナット本体部21に形成されたネジ部21aの径より大きな径を有し、筒状部22の(径方向の)厚みは、ナット本体部21の(径方向の)厚みより、小さくなっている。
【0021】
図4は、検出装置100の構成の一例を示す図である。検出装置100は、磁気センサ1と、処理装置2と、通信部3と、電源部4とを備える。
【0022】
磁気センサ1は、たとえば、磁気抵抗効果素子(MR(Magneto Resistive)センサ素子)を用いた磁気センサであってよい。磁気センサ1は、磁気(磁界)の検出方向と磁石400の磁界の方向との相対的な角度に応じた出力信号を出力する。処理装置2は、磁気センサ1の出力信号(磁気検出信号)に基づいて、ホイールナット20の締結状態を判定する。処理装置2は、たとえば、図示しないCPU(Central Processing Unit)とメモリを備えてよい。通信部3は、処理装置2の処理結果または処理結果に基づく情報を、無線通信により、外部機器(たとえば、車両に設けた制御装置)に送信する。電源部4は、磁気センサ1、処理装置2、および、通信部3の各々に電力を供給する。
【0023】
本実施の形態によれば、ホイールナット20は、ナット本体部21の座面21bと反対側に形成された筒状部22を有する。筒状部22は円筒であり、筒状部22の直径dは、ホイールナット20(ナット本体部21)の二面幅W以下とされている。筒状部22の外形の大きさがナット本体部21の二面幅W以下とされ、かつ、筒状部22が円筒であるため、ナット本体部21の二面幅に適合するレンチによるトルクが加わらない形状とされているので、レンチを用いてホイールナット20を締め付ける際に(あるいは、緩める際に)、筒状部22にレンチのトルクが加わらない。このため、筒状部22の厚みを薄くすることができ、内部空間Cを大きくすることが可能になり、検出装置100の体格が比較的大きくても、内部空間Cに検出装置100を配設することができる。
【0024】
(変形例1)
図5は、変形例1のホイールナット30を示す斜視図である。変形例1のホイールナット30は、ナット本体部31の座面と反対側に筒状部32が形成されている。筒状部32は円筒であり、その直径はナット本体部31の二面幅以下とされている。図6は、変形例1のホイールナット30の断面図である。図6(A)に示すように、ホイールナット30の筒状部32は、上方が開放された円筒から形成されている。筒状部32の内側面32aは、ナット本体部31に形成されたネジ部31aの径より大きな径を有し、筒状部32の(径方向の)厚みは、ナット本体部31の(径方向の)厚みより、小さくなっている。
【0025】
図6(B)は、ホイールナット30に検出装置100を取り付ける一例を示しており、内部空間Cに、検出装置100を樹脂モールドにて固定した例である。検出装置100を内部空間Cに配置し、たとえば、エポキシ樹脂(封止用樹脂)55を用いて封止するとともに、筒状部32に接着して固定する。なお、符号50は、蓋部材である。蓋部材50は、なくてもよい。
【0026】
変形例1では、上記実施の形態と同様な作用効果を奏するとともに、検出装置100を封止用樹脂を用いて封止しているので、検出装置100の保護を行うことができる。
【0027】
(変形例2)
図7は、変形例2におけるホイールナット60の断面図である。変形例2のホイールナット60は、ナット本体部61の座面と反対側に筒状部65が形成されている。筒状部65は円筒であり、その直径はナット本体部61の二面幅以下とされている。ホイールナット60の筒状部65は、上方が開放された円筒から形成されている。筒状部65の内側面65aは、ナット本体部61に形成されたネジ部61aの径より大きな径を有し、筒状部65(径方向の)厚みは、ナット本体部61の(径方向の)厚みより小さくなっている。
【0028】
この変形例2において、筒状部65の材質は、ナット本体部61の材質と異なる。たとえば、筒状部65の材質は樹脂であり、ナット本体部61の材質は鋼である。なお、樹脂としては、たとえば、ポリプロピレン(PP)であってよい。樹脂から形成した筒状部65をナット本体部61に固定(接着)することにより、ホイールナット60が形成される。筒状部65を樹脂から形成することにより、検出装置100の通信部3が用いる電波を伝え易くすることができる。なお、筒状部65は、ナット本体部61と異なる金属(たとえば、アルミニウム)から形成されてもよい。
【0029】
(変形例3)
図8は、変形例3におけるホイールナット70の断面図である。変形例3のホイールナット70は、ナット本体部71の座面と反対側に筒状部75が形成されている。筒状部75は円筒であり、その直径はナット本体部71の二面幅以下とされている。ホイールナット70の筒状部75は、天井面75bを有するキャップ状とされている。筒状部75の内側面75aは、ナット本体部71に形成されたネジ部71aの径より大きな径を有し、筒状部75(径方向の)厚みは、ナット本体部71の(径方向の)厚みより小さくなっている。
【0030】
この変形例3において、筒状部75の材質は、変形例2と同様に、樹脂である。筒状部75を樹脂から形成することにより、検出装置100の通信部3が用いる電波を伝え易くすることができる。
【0031】
(変形例4)
図9は、変形例4におけるホイールナット80の上面図である。変形例4のホイールナット80は、ナット本体部81の座面と反対側に筒状部82が形成されている。筒状部82は7角形の角筒であり、その外形の大きさはナット本体部61の二面幅W以下とされている。筒状部82には天井部83が形成されており、筒状部82の内側面82aは、ナット本体部81に形成されたネジ部81aの径より径方向に大きく、筒状部82の厚みは、ナット本体部81の厚みより小さくなっている。
【0032】
変形例4において、筒状部82の外形の大きさは、ナット本体部61の二面幅W以下とされており、かつ、筒状部82は7角形の角筒とされ、筒状部82の(7角形の)2個の面が、同時に、ナット本体部81のレンチ面と平行になることがなく、ナット本体部81の二面幅に適合するレンチによるトルクが加わらない形状とされている。したがって、レンチを用いてホイールナット80を締め付ける際に(あるいは、緩める際に)、筒状部82にレンチのトルクが加わらない。このため、筒状部82の厚みを薄くすることができ、内部空間を大きくすることが可能になり、検出装置100の体格が比較的大きくても、内部空間に検出装置100を配設することができる。なお、角筒である筒状部82の多角形の辺の数は、7でなくともよい。たとえば、5角形、8角形、11角形等、ナット本体部81の二面幅に適合するレンチによるトルクが加わらない、他の多角形であってよい。
【0033】
(変形例5)
図10は、変形例5におけるホイールナット90の斜視図である。変形例5のホイールナット90は、ナット本体部91の座面と反対側に筒状部92が形成されている。筒状部92は円筒であり、その直径はナット本体部91の二面幅以下とされている。ホイールナット90の筒状部92は、上方が開放された円筒から形成されている。筒状部92の内側面は、ナット本体部92に形成されたネジ部の径より大きな径を有し、筒状部65(径方向の)厚みは、ナット本体部61の(径方向の)厚みより小さくなっている。
【0034】
変形例5において、筒状部92には、切り欠き部95が形成されている。この切り欠き部95によって、筒状部92の軽量化を図れるとともに、検出装置100の通信部3で用いる電波を伝え易くすることができる。なお、切り欠き部95に代えて、あるいは、加えて、筒状部92に、孔を形成するようにしてもよい。
【0035】
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る締結部材(ホイールボルト)110を用いた、ホイール11の締結部の断面図である。実施の形態2は、ホイール11をホイールボルト110によってハブ40に締結する構造である。ハブ40には、ホイールボルト110が螺合するネジ穴41が形成されており、ネジ穴41にホイールボルト110のネジ部111aを螺合し、締め付けることにより、ホイール11がハブ40に締結される。
【0036】
ホイールボルト110は、六角ボルトであり、ボルト本体部111とネジ部111aと筒状部112から形成される。筒状部112は、ネジ部111aと反対側に形成されている。ホイールボルト110の筒状部112は、上方が開放された円筒から形成されており、筒状部112の内側面112aに囲まれた空間(内部空間)Cに、加速度センサを含む検出装置200が配設されている。検出装置200は、ボルト本体部111の頂面に取り付けられて(接着されて)いる。
【0037】
図12は、ホイールボルト110の上面図である。筒状部112は円筒であり、筒状部112の外形の直径dは、ホイールボルト110(ボルト本体部111)の二面幅W以下とされている。筒状部112の(径方向の)厚みは、内部空間Cを大きくできるよう、比較的小さい(薄い)ものとされている。
【0038】
図13は、ホイールボルト110の断面図である。図13(A)に示すように、ホイールボルト110の筒状部112は、上方が開放された円筒から形成されており、筒状部112の内側面112aで囲まれた空間に、内部空間Cを有している。図13(B)は、ホイールボルト110に検出装置200を取り付ける一例を示しており、内部空間Cに、検出装置200を樹脂モールドにて固定した例である。検出装置200を内部空間Cに配置し、たとえば、エポキシ樹脂(封止用樹脂)105を用いて封止するとともに、筒状部112およびボルト本体部111に接着して固定する。筒状部112の材質は、樹脂であってよく、金属であってもよい。
【0039】
検出装置200は、検出装置100とほぼ同様な構成であり、磁気センサと、処理装置と、通信部と、電源部とを備える(いずれも図示せず)。加速度センサは、ホイールボルト110に加わる加速度を検出し、処理装置は、加速度センサの出力信号に基づいて、ホイールボルト110の締結状態を判定する。通信部は、処理装置の処理結果または処理結果に基づく情報を、無線通信により、外部機器(たとえば、車両に設けた制御装置)に送信する。電源部は、磁気センサ、処理装置、および、通信部の各々に電力を供給する。
【0040】
実施の形態2によれば、ホイールボルト110は、ネジ部111aと反対側に形成された筒状部112を有する。筒状部112は円筒であり、筒状部112の直径dは、ホイールボルト110(ボルト本体部111)の二面幅W以下とされている。筒状部112の外形の大きさがナット本体部21の二面幅W以下とされ、かつ、筒状部112が円筒であるため、ボルト本体部111の二面幅に適合するレンチによるトルクが加わらない形状とされているので、レンチを用いてホイールボルト110を締め付ける際に(あるいは、緩める際に)、筒状部112にレンチのトルクが加わらない。このため、筒状部112の厚みを薄くすることができ、内部空間Cを大きくすることが可能になり、検出装置200の体格が比較的大きくても、内部空間Cに検出装置200を配設することができる。また、検出装置200を封止用樹脂を用いて封止しているので、検出装置200の保護を行うことができる。
【0041】
(変形例6)
図14は、変形例6に係るホイールボルト120の断面図である。変形例6のホイールボルト120は、ネジ部121aと反対側に筒状部122が形成される。図14(A)に示すように、ボルト本体部121と筒状部122は別体に形成されており、筒状部122は円筒であり、天井面122bを有するキャップ状とされている。円筒の筒状部122の直径は、ボルト本体部121の二面幅以下とされており、筒状部122の内面122aと天井面122bで囲まれた空間に内部空間Cが形成されている。天井面122bには、検出装置200が取り付けられて(接着されて)いる。
【0042】
図14(B)に示すように、筒状部122は、ボルト本体部121の二面幅の中に収まるように、ボルト本体部121に固定される。筒状部122の材質は、樹脂であり、たとえば、ポリプロピレン(PP)であってよい。筒状部122を樹脂から形成することにより、検出装置200の通信部が用いる電波を伝え易くできる。
【0043】
上記の各実施形態では、検出装置100、200に処理措置を設けているが、処理装置の機能を、車両に設けた制御装置で行ってもよい。この場合、磁気センサあるいは加速度センサの出力信号を、通信部を通じて車両の制御装置に送信する。また、検出装置に設けられるセンサは、磁気センサや加速度センサに限られない。たとえば、距離センサやリミットセンサ(リミットスイッチ)、歪みセンサ等であってもよい。
【0044】
上記実施の形態では、締結部材として、車両のホイール11を締結するホイールナットあるいはホイールボルトの例を示したが、本開示はこれに限られない。締結部材として、六角ナットあるいは六角ボルトを用いていれば、どのような構造物の締結部材であってもよい。
【0045】
上記実施の形態および上記変形例は、技術的に矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることもできる。たとえば、ホイールボルトの筒状部は、ボルト本体部と一体的に形成されたものであってよく、切り欠きや孔を備えてもよく、角筒であってもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 磁気センサ、2 処理装置、3 通信部、4 電源部、10 車輪、11 ホイール、11a ホイール孔、12 タイヤ、20,30,60,70,80,90 ホイールナット、21,31,61,71,81,91 ナット本体部、21b 座面、22,32,65,75,82,92,112,122 筒状部、25 ハブボルト、50 蓋部材、55,105 封止用樹脂、100,200 検出装置、110,120 ホイールボルト、111,121 ボルト本体部、111a,121a ネジ部、400 磁石、C 内部空間、W 二面幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14