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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170885
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】側方案内式の軌道系交通システム
(51)【国際特許分類】
   E01B 25/28 20060101AFI20241204BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20241204BHJP
   B61J 1/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
E01B25/28 B
B61B13/00 A
B61J1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087637
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】永道 康浩
(72)【発明者】
【氏名】片平 耕介
(72)【発明者】
【氏名】増川 正久
【テーマコード(参考)】
2D056
3D101
【Fターム(参考)】
2D056GB01
2D056GB05
3D101BA08
3D101BC02
3D101BC07
3D101BC18
(57)【要約】
【課題】車両をより簡易化した構造で分岐部を走行させる。
【解決手段】側方案内式の軌道系交通システムは、車両の進行先を切り換える分岐部を有する軌道と、を備える。分岐部は、分岐ガイドの一部を第一状態と第二状態との間で可動させる可動装置を有する。分岐ガイドは、第一状態とされることで、前記車両を前記第一走行路に案内可能とされ、前記第二状態とされることで、前記車両を前記第一走行路に案内不能とされる第一可動ガイドレール及び前記第一可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置された第一補助可動ガイドレールと、前記第二状態とされた際に、前記車両を前記第二走行路に案内可能とされ、前記第一状態とされることで、前記車両を前記第二走行路に案内不能とされる第二可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置された第二補助可動ガイドレールと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪及び案内輪を有する車両と、
前記走行輪が接触可能な走行路と、前記走行路の一部である本線走行路を進行する前記車両の進行先を切り換える分岐部と、を有する軌道と、を備え、
前記本線走行路は、前記車両の進行する走行方向を案内し、前記車両の幅方向において、前記走行輪に対して外側で、前記案内輪の内側に接触可能とされている一対のガイドレールを有し、
前記分岐部は、
前記本線走行路と繋がり、第一方向に延びる第一走行路と、
前記本線走行路と繋がり、前記第一方向と異なる第二方向に延びる第二走行路と、
前記車両を前記第一走行路又は前記第二走行路に案内し、一部が可動可能な分岐ガイドと、
前記分岐ガイドの一部を第一状態と第二状態との間で可動させる可動装置とを有し、
前記分岐ガイドは、
前記第一状態とされることで、前記案内輪に接触して前記車両を前記第一走行路に案内可能とされ、前記第二状態とされることで、前記車両を前記第一走行路に案内不能とされる第一可動ガイドレール及び前記第一可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置された第一補助可動ガイドレールと、
前記可動装置によって前記第二状態とされた際に、前記案内輪に接触して前記車両を前記第二走行路に案内可能とされ、前記第一状態とされることで、前記車両を前記第二走行路に案内不能とされる第二可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置された第二補助可動ガイドレールと、を有する側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項2】
前記第一可動ガイドレールは、前記第一状態とされた際に、前記幅方向において前記案内輪の内側に接触可能とされ、
前記第一補助可動ガイドレールは、前記第一状態とされた際に、前記幅方向において前記案内輪の外側に接触可能とされ、
前記第二可動ガイドレールは、前記第二状態とされた際に、前記幅方向において前記案内輪の内側に接触可能とされ、
前記第二補助可動ガイドレールは、前記第二状態とされた際に、前記幅方向において前記案内輪の外側に接触可能とされる請求項1に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項3】
前記第一可動ガイドレールは、前記第一状態とされた際に、一方の前記ガイドレールを延長させるように、一方の前記ガイドレールに対して前記幅方向で同じ位置に配置されて前記第一方向に延び、
前記第一補助可動ガイドレールは、前記第一状態とされた際に、前記第一可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置されて前記第一方向に延び、
前記第二可動ガイドレールは、前記第二状態とされた際に、他方の前記ガイドレールを延長させるように、他方の前記ガイドレールに対して前記幅方向で同じ位置に配置されて前記第二方向に延び、
前記第二補助可動ガイドレールは、前記第二状態とされた際に、前記第二可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置されて前記第二方向に延びる請求項2に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項4】
前記第一補助可動ガイドレール及び前記第二補助可動ガイドレールは、前記本線走行路に近い端部に、前記本線走行路に近づくにしたがって前記幅方向の外側に向かうように傾斜する入口傾斜部を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項5】
前記分岐ガイドは、
前記第一方向において、前記本線走行路よりも前記第一走行路に近い位置で前記第一方向に延びて移動不能に固定とされ、前記第一可動ガイドレールが回転可能に接続された第一固定ガイドレールと、
前記第一方向において、前記本線走行路よりも前記第一走行路に近い位置で前記第一方向に延びて移動不能に固定とされ、前記第一補助可動ガイドレールが回転可能に接続された第一補助固定ガイドレールと、
前記第二方向において、前記本線走行路よりも前記第二走行路に近い位置で前記第二方向に延びて移動不能に固定とされ、前記第二可動ガイドレールが回転可能に接続された第二固定ガイドレールと、
前記第二方向において、前記本線走行路よりも前記第二走行路に近い位置で前記第二方向に延びて移動不能に固定とされ、前記第二補助可動ガイドレールが回転可能に接続された第二補助固定ガイドレールと、をさらに有する請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項6】
前記第一補助固定ガイドレール及び前記第二補助固定ガイドレールは、前記第一走行路又は前記第二走行路に近い端部に、前記第一走行路又は前記第二走行路に近づくにしたがって前記幅方向の内側に向かうように傾斜する出口傾斜部を有し、
一対の前記ガイドレールは、
前記第二走行路において前記第一補助固定ガイドレールの一部と前記幅方向で対向する第一ガイドレールと、
前記第一走行路において前記第二補助固定ガイドレールの一部と前記幅方向で対向する第二ガイドレールとを有し、
前記第一ガイドレール及び第二ガイドレールは、前記出口傾斜部と対向する位置に前記幅方向の内側に向かうように傾斜する本線傾斜部を有し、
鉛直方向から見た際に、前記本線傾斜部の始点と、前記出口傾斜部の始点とは前記走行方向において同じ位置となっている請求項5に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項7】
前記走行路において、前記走行輪が接触する走行面は、路盤に対して鉛直方向の上方に位置し、
前記ガイドレールは、前記走行面に対して前記幅方向に隣接し、前記走行面に対して前記鉛直方向の上方に突出している請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項8】
前記第一可動ガイドレール、前記第一補助可動ガイドレール、前記第二可動ガイドレール、及び前記第二補助可動ガイドレールは、前記走行方向から見た際に、矩形板状に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項9】
前記分岐ガイドは、鉛直方向から見た際に、前記走行路と重ならない位置に配置されている請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項10】
前記可動装置は、前記第一可動ガイドレール、前記第一補助可動ガイドレール、前記第二可動ガイドレール、及び前記第二補助可動ガイドレールを同時に可動させる請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項11】
前記可動装置は、
前前記第一可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールを同時に可動させる第一駆動部と、
前記第一駆動部に対して独立して駆動可能とされ、前記第一補助可動ガイドレール及び前記第二補助可動ガイドレールを同時に可動させる第二駆動部とを有している請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【請求項12】
前記可動装置では、前記第一可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールの可動量に対し、前記第一補助可動ガイドレール及び前記第二補助可動ガイドレールの可動量は、前記第一可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールの前記幅方向の厚みよりも大きく、かつ、前記車両を案内不能な状態で前記第一可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールと重ならない大きさとなっている請求項1~3のいずれか一項に記載の側方案内式の軌道系交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、側方案内式の軌道系交通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バスや鉄道以外の新たな交通手段として、ゴムタイヤを装着した走行輪によって軌道を走行する軌道系交通システムが知られている。軌道系交通システムには、車両の側方に案内輪が配置された側方案内式の軌道系交通システムがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、車体の下側に配置されたゴムタイヤの走行輪に対して、外側に案内輪と分岐輪とが配置された側方案内式の軌道系交通システムの車両が記載されている。上述したような側方案内式の軌道系交通システムでは、本線である一般部を車体に対して幅方向の両外側で延びる主軌条に、案内輪が接触することで車両が案内される。一方で、分岐区間では、案内輪ではなく、分岐輪が主軌条とは別の副軌条に接触することで、車両が案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59-192101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、側方案内式の軌道系交通システムでは、車体に対して幅方向の外側に案内輪及び分岐輪が配置されている。そのため、車両や軌道が幅方向に大きくなってしまう。これに対し、幅方向の大きさを抑えるために、より簡易化した構造で本線だけでなく分岐部を走行可能な構造が求められている。
【0006】
本開示は、上記要求を解決するためになされたものであって、車両をより簡易化した構造で分岐部を走行可能とさせると共に軌道の幅をより狭くさせることが可能な側方案内式の軌道系交通システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る側方案内式の軌道系交通システムは、走行輪及び案内輪を有する車両と、前記走行輪が接触可能な走行路と、前記走行路の一部である本線走行路を進行する前記車両の進行先を切り換える分岐部と、を有する軌道と、を備え、前記本線走行路は、前記車両の進行する走行方向を案内し、前記車両の幅方向において、前記走行輪に対して外側で、前記案内輪の内側に接触可能とされている一対のガイドレールを有し、前記分岐部は、前記本線走行路と繋がり、第一方向に延びる第一走行路と、前記本線走行路と繋がり、前記第一方向と異なる第二方向に延びる第二走行路と、前記車両を前記第一走行路又は前記第二走行路に案内し、一部が可動可能な分岐ガイドと、前記分岐ガイドの一部を第一状態と第二状態との間で可動させる可動装置とを有し、前記分岐ガイドは、前記第一状態とされることで、前記案内輪に接触して前記車両を前記第一走行路に案内可能とされ、前記第二状態とされることで、前記車両を前記第一走行路に案内不能とされる第一可動ガイドレール及び前記第一可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置された第一補助可動ガイドレールと、前記可動装置によって前記第二状態とされた際に、前記案内輪に接触して前記車両を前記第二走行路に案内可能とされ、前記第一状態とされることで、前記車両を前記第二走行路に案内不能とされる第二可動ガイドレール及び前記第二可動ガイドレールに対して前記幅方向の外側に配置された第二補助可動ガイドレールと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の側方案内式の軌道系交通システムによれば、車両をより簡易化した構造で分岐部を走行可能させることができると共に軌道の幅をより狭く構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態に係る側方案内式の軌道系交通システムの構成を示す平面図である。
図2】第一実施形態に係る側方案内式の軌道系交通システムの車両の構成を示す模式断面図であって、図1におけるII-II視の模式断面図である。
図3】第一実施形態に係る分岐部を詳述する拡大図であって、第一状態の分岐ガイドによって、車両が第一方向に進行する様子を示す拡大図である。
図4】第一実施形態に係る分岐部を詳述する拡大図であって、第二状態の分岐ガイドによって、車両が第二方向に進行する様子を示す拡大図である。
図5】第二実施形態に係る側方案内式の軌道系交通システムの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、添付図面を参照して、本開示による側方案内式の軌道系交通システム1を実施するための形態の一つである第一実施形態を説明する。しかし、本開示はこの第一実施形態のみに限定されるものではない。
【0011】
(軌道系交通システムの構成)
本開示に係る実施形態の側方案内式(サイドガイド方式)の軌道系交通システム1は、軌道50に沿って側方案内式の車両10を走行させるシステムである。したがって、側方案内式の軌道系交通システム1は、車両10と軌道50とを備えている。
【0012】
(車両の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態における軌道50を走行する車両10は、側方案内軌条式の新交通システムの車両10である。車両10は、1両以上を1編成として運行される。複数両の車両10を1編成とする場合、車両10同士は、連結装置(図示無し)により互いに連結される。図1及び図2に示すように、各車両10は、車体11と、走行輪13と、案内装置16と、直進復元装置18と、を備えている。
【0013】
車体11は、走行方向Daに長い直方体形状に形成されている。車体11の内部には、乗客等が乗車可能な空間が形成されている。鉛直方向Dvにおける車体11の下部には、走行台車が配置されている。車体11では、集電装置(図示無し)が、後述する電車線53(図1参照)と接触することで、走行輪13を回転駆動させる電動機に電力が供給されている。
【0014】
ここで、以下では、軌道50が延在しており、車両10が走行する方向を走行方向Daと称する。走行方向Daと直交する車両10の幅方向Dwを単に幅方向Dwと称する。幅方向Dwの一方側(第一側)Dw1とは、走行方向Daの前方から見た際の右側(図2紙面右側)である。また、幅方向Dwの他方側(第二側)Dw2とは、走行方向Daの前方から見た際の左側(図2紙面左側)である。なお、本実施形態における幅方向Dwの外側とは、走行方向Daから見た際の車体11を基準として、幅方向Dwの一方側Dw1及び他方側Dw2のいずれであっても、幅方向Dwにおいて車体11からより離れた位置を称している。また、本実施形態における幅方向Dwの内側とは、走行方向Daから見た際の車体11を基準として、幅方向Dwの一方側Dw1及び他方側Dw2のいずれであっても、幅方向Dwにおいて車体11により近い位置を称している。また、図2に示すように、走行方向Da及び幅方向Dwと直交する方向を鉛直方向Dvと称する。なお、本実施形態において、鉛直方向Dvとは、正確な意味での鉛直方向Dvとは異なり、後述する走行面51aに対して垂直な方向である。
【0015】
走行輪13は、車体11の下部に複数配置されている。走行輪13は、ゴムタイヤからなり、電動機(図示無し)から推進軸により車軸に回転が伝えられ、それによって走行輪13が回転駆動される。車両10は、後述するガイドレール52や分岐ガイド80に沿って、軌道50の走行路51に対して走行輪13を操舵させながら走行する。本実施形態の走行輪13は、走行方向Daから見た際に、車体11に対して幅方向Dwの一方側Dw1に配置された第一走行輪13Aと、幅方向Dwの他方側Dw2に配置された第二走行輪13Bとを有している。第一走行輪13A及び第二走行輪13Bは、配置以外は同一の構造を有している。
【0016】
案内装置16は、車体11をガイドレール52や分岐ガイド80に沿って案内する。案内装置16は、案内枠161と、案内輪162とを備えている。案内枠161は、車体11を下で支える台車に取り付けられている。案内枠161は、例えば、幅方向Dwに延びる角パイプ状の部材である。幅方向Dwにおける案内枠161の両端は、走行輪13や車体11に対して幅方向Dwの外側に位置している。案内枠161の両端部には、案内輪162が一つずつ取り付けられている。
【0017】
案内輪162は、車体11の下部に複数配置されている。案内輪162は、その外周部分が例えばウレタンゴム等の弾性部材で形成されている。案内輪162は、案内枠161の端部に配置されている。案内輪162は、案内枠161に対して鉛直方向Dvの下方に配置されている。案内輪162は、鉛直方向Dvに延びる回転軸周りに案内枠161に対して回転可能に支持されている。本実施形態の案内輪162は、幅方向Dwに離れて一対配置されている。案内輪162は、幅方向Dwにおいて、一対の走行輪13に挟むように、一対の走行輪13に対して幅方向Dwの外側に配置されている。一対の案内輪162は、一つの車体11に対して前後に離れて二組か四組配置されている。案内輪162は、幅方向Dwの内側でガイドレール52に接触可能とされている。したがって、本実施形態の車両10は、側方案内式(サイドガイド方式)の車両10の中でも、案内輪162の幅方向Dwの内側の側面とガイドレール52の幅方向Dwの外側の面とが接触するインサイドガイド方式の車両10である。なお、本実施形態では、車両10を案内するレール状の部材に接触する車輪は、案内輪162のみが配置されている。つまり、本実施形態の車両10は、分岐輪を有しておらず、案内輪162に対して鉛直方向Dvの上方や下方に他の車輪は配置されていない。
【0018】
直進復元装置18は、走行輪13を車体11に対して平行に復元する機能を有している。直進復元装置18は、走行輪13を車体11の中心軸に対して常に平行に戻るように走行輪13の向きに復元力を与えている。具体的には、直進復元装置18は、バネ等によって、車体11に対して直進する方向に走行輪13に対して復元力を与え続けている。
【0019】
(軌道の構成)
図1に示すように、軌道50には、車両10が走行可能とされている。軌道50は、所定の路線に沿って延びている。軌道50には、車両10が走行する走行路51が形成されている。走行路51は、延伸方向Deに延びている。ここで、延伸方向Deとは、鉛直方向Dvと交差する(本実施形態では直交する)方向であり、軌道50の延びる方向である。また、延伸方向Deは、車両10の走行方向Daである。各走行路51上には、走行面51aが形成されている。走行面51aは、車両10が走行路51を走行する際に、走行輪13が転動しながら接触可能とされた平坦面である。したがって、走行面51aは、車両10の一対の走行輪13の位置に対応するように、延伸方向De及び鉛直方向Dvに対して交差する(本実施形態では直交する)幅方向Dwに間隔をあけて一対が形成されている。走行面51aは全面にわたって平坦面をなして車両10のゴムタイヤを装着した走行輪13が転動可能なように形成されている。走行面51a上を走行輪13が転動することで、車両10が走行路51を走行する。また、図2に示すように、本実施形態の走行面51aは、路盤Bから鉛直方向Dvの上方に突出した位置に配置されている。例えば、走行面51aは、路盤Bに対して、盛り土や、I型のコンクリート桁の設置や、I型鋼の設置を行うことで路盤Bから鉛直方向Dvの上方に突出した位置にされる。
【0020】
本実施形態の走行面51aは、実際に幅方向Dwに離れて形成されている箇所や、幅方向Dwに繋がって左右に渡って一体に走行路51の平坦な上面の一部として形成されている箇所もある。したがって、本実施形態における走行面51aとは、走行路51において鉛直方向Dvの上方を向く上面の中で、車両10が走行路51を走行する際に、走行輪13が接触と想定される領域である。また、走行面51aの表面には、平坦性を損なわない程度のグルービングや目粗し等が施されている箇所もある。これにより、走行面51aの表面は、降雨時等においてもタイヤ踏面との摩擦係数を確保して加減速時のスリップを防止する面となっている。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の軌道50は、電車線53と、本線部60と、分岐部70とをさらに備えている。
【0022】
(電車線の構成)
電車線53は、車両10の集電装置(図示無し)に接触することで、車両10に電力を供給する。電車線53は、延伸方向Deに延びている。電車線53は、走行面51aに対して幅方向Dwの外側に配置されている。電車線53は、後述するガイドレール52や分岐ガイド80よりも鉛直方向Dvの上方の高い位置で走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。なお、電源の種類により直流電源の場合は2本、交流電源の場合は3本の電車線53が鉛直方向Dvに配置されている。
【0023】
(本線部の構成)
本線部60は、車両10を一つの走行方向Daに走行させる。本線部60は、分岐部70を挟むように、分岐部70に対して、走行方向Daの両側に配置されている。本線部60は、走行路51の一部である本線走行路61と、車両10を案内するガイドレール52と、を有している。
【0024】
本線走行路61は、延伸方向Deに延びて車両10が走行可能とされている。本線走行路61は、車両10の走行輪13が転動しながら接触する走行面51aを有している。本線走行路61の上面は、幅方向Dwに繋がって形成され、左右に渡って一体に形成されている箇所や、左右に分かれて形成されている箇所もある。したがって、本線走行路61の上面の一部が走行面51aを形成している。
【0025】
ここで、延伸方向Deの中で、後述する第一走行路71の延びる方向を第一方向D1、後述する第二走行路72の延びる方向を第二方向D2と称する。第二方向D2は、走行面51aと平行な仮想面において第一方向D1と交差する方向である。また、幅方向Dwは、延伸方向Deに対して直交する方向であるため、第一走行路71と第二走行路72とでは異なる方向となっている。
【0026】
ガイドレール52は、本線走行路61を走行する車両10を案内する。ガイドレール52は、本線走行路61に対して幅方向Dwの外側に一対配置されている。ガイドレール52は、本線走行路61に沿って移動するように車両10の進行する走行方向Daを案内する。ガイドレール52は、軌道50の総延長にわたって延伸方向Deに延びている。ガイドレール52は、案内輪162が接触可能とされている。具体的には、図2に示すように、ガイドレール52は、幅方向Dwにおいて、走行輪13に対して外側で、案内輪162の内側に接触可能とされている。つまり、幅方向Dwにおいて、ガイドレール52の外側を向く面と、案内輪162の内側を向く側面とが接触可能とされている。また、一対のガイドレール52の中で、本線走行路61に対して幅方向Dwの一方側Dw1に配置された一方のガイドレール52を第一ガイドレール521と称する。つまり、第一ガイドレール521は、幅方向Dwにおいて、第一走行輪13Aに近い案内輪162と接触する。また、一対のガイドレール52の中で、本線走行路61に対して幅方向Dwの他方側Dw2に配置された他方のガイドレール52を第二ガイドレール522と称する。つまり、第二ガイドレール522は、幅方向Dwにおいて、第二走行輪13Bに近い案内輪162と接触する。
【0027】
また、図2に示すように、本実施形態の一対のガイドレール52は、路盤Bに固定されている。一対のガイドレール52は、本線走行路61の上面(走行面51aを含む面)に対して幅方向Dwの外側にそれぞれ配置されている。ガイドレール52は、走行面51aに対して幅方向Dwの外側に隣接して配置されている。ガイドレール52は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。ガイドレール52は、本線走行路61の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。つまり、ガイドレール52は、走行面51aに対して隣接した位置で鉛直方向Dvの上方に突出した状態で配置されている。ガイドレール52は、例えば、断面L字状のレール状の部材である。なお、ガイドレール52の形状は何ら限定されるものではなく、例えば、H型鋼やI型鋼で形成されたレール状の部材であってもよい。
【0028】
(分岐部の構成)
図1に示すように、分岐部70は、本線部60を走行する車両10の進行先を切り換え可能とされている。分岐部70は、本線部60に接続されている。分岐部70は、本線部60を走行する車両10を異なる方向へ進行させる分岐路である。したがって、分岐部70は、分岐した先で元の本線部60とは異なる他の本線部60と接続されている。また、本実施形態の分岐部70では、本線走行路61に対して分岐するように異なる方向に延びる走行路51は、第二走行路72の一つのみが接続されている。分岐部70は、第一走行路71と、第二走行路72と、分岐ガイド80と、可動装置90と、を有している。
【0029】
第一走行路71は、走行路51の一部である。第一走行路71は、本線走行路61と繋がっている。本実施形態の第一走行路71は、本線走行路61と同じ方向である第一方向D1に延びている。つまり、第一走行路71は、車両10の進行先を転換することなく、本線走行路61を延長するように繋がれている。
【0030】
第二走行路72は、走行路51の一部である。第二走行路72は、本線走行路61と繋がっている。本実施形態の第二走行路72は、本線走行路61から分岐するように、第一走行路71とは異なる第二方向D2へ延びている。第二走行路72は、湾曲しながら本線走行路61と繋がっている。つまり、分岐部70では、本線走行路61を走行してきた車両10は、進行先が転換されずに、第一走行路71へ進むか、進行先が転換されて第二走行路72へ進むかのどちらかの方向へ進むこととなる。
【0031】
ここで、本線走行路61や第一走行路71を通行する車両10の走行方向Daの後方(図1において車両10が配置されている側)を第一方向D1の第一側Da1と称する場合がある。また、本線走行路61や第一走行路71を通行する車両10の走行方向Daの前方(図1において車両10が配置されていない側)を第一方向D1の第二側Da2と称する場合がある。
【0032】
なお、本線部60は、分岐部70に対して第一方向D1の第一側Da1と、分岐部70に対して第一方向D1の第二側Da2と、分岐部70に対して第二方向D2の第二側Da2とに配置されている。しかしながら、本実施形態において、単に本線走行路61と称する場合は、複数の本線部60の本線走行路61の中で、分岐部70に対して第一方向D1の第一側Da1に配置された本線走行路61(分岐部70に車両10が進入する前に通過する本線走行路61)を指している。
【0033】
さらに、第二走行路72を通行する車両10の走行方向Daの後方(図1において第二走行路72に対して本線走行路61が配置されている側)を第二方向D2の第一側Da1と称する場合がある。第二走行路72を通行する車両10の走行方向Daの前方(図1において本線走行路61に対して第二走行路72が配置されている側)を第二方向D2の第二側Da2と称する場合がある。
【0034】
第一走行路71及び第二走行路72は、走行面51aを有している。第一走行路71及び第二走行路72の上面は、幅方向Dwに繋がって、左右に渡って一体に形成されている場合や左右別々に形成されている場合がある。したがって、第一走行路71及び第二走行路72の上面の一部が走行面51aを形成している。
【0035】
分岐ガイド80は、案内輪162と接触することで車両10を第一走行路71又は第二走行路72に沿って移動するように車両10の進行先を案内する。分岐ガイド80は、第一走行路71及び第二走行路72に対して、幅方向Dwの外側に配置されている。分岐ガイド80の一部は、第一状態と第二状態との間で可動可能とされている。ここで、本線走行路61を走行中の車両10を、第一走行路71に導くように切り替えられた分岐ガイド80の状態を第一状態と称する(図3参照)。また、本線走行路61を走行中の車両10を、第二走行路72に導くように切り替えられた分岐ガイド80の状態を第二状態と称する(図4参照)。本実施形態の分岐ガイド80は、第一可動ガイドレール81と、第一固定ガイドレール82と、第一補助可動ガイドレール83と、第一補助固定ガイドレール84と、第二可動ガイドレール85と、第二固定ガイドレール86と、第二補助可動ガイドレール87と、第二補助固定ガイドレール88とを有する。第一可動ガイドレール81と、第一補助可動ガイドレール83と、第二可動ガイドレール85と、第二補助可動ガイドレール87とが、分岐ガイド80における一部の可動可能な部材である。一方で、第一固定ガイドレール82と、第一補助固定ガイドレール84と、第二固定ガイドレール86と、第二補助固定ガイドレール88とが、分岐ガイド80における可動不能な部材である。
【0036】
第一可動ガイドレール81は、分岐部70において車両10を第一走行路71に案内する。第一可動ガイドレール81は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。第一可動ガイドレール81は、走行路51に対して幅方向Dwで第一ガイドレール521と同じ側に配置されている。第一可動ガイドレール81は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第一方向D1において、第一固定ガイドレール82に対して走行路51に近い位置に配置されている。第一可動ガイドレール81は、矩形板状に形成されたレール状の部材である。第一可動ガイドレール81は、幅方向Dwにおいて、ガイドレール52と同じ幅となるような断面形状で形成されている。第一可動ガイドレール81は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第一可動ガイドレール81は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。第一可動ガイドレール81は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。
【0037】
第一可動ガイドレール81は、第一状態では、案内輪162と接触して車両10を案内可能な位置に配置される。第一可動ガイドレール81は、第二状態では、案内輪162と接触せずに車両10を案内不能な位置に配置される。具体的には、第一可動ガイドレール81は、第一状態と第二状態とで、幅方向Dwに第一回転軸811を中心に回転可動可能となっている。第一可動ガイドレール81は、第一状態では、通行する車両10の案内輪162の幅方向Dwの内側の側面に対して接触可能な位置であって、車両10を第一走行路71に案内する位置に配置される。第一可動ガイドレール81は、第二状態では、通行する車両10の案内輪162と接触不能な位置であって、車両10を第一走行路71に案内できない位置に配置される。
【0038】
図3及び図4に示すように、第一可動ガイドレール81は、走行面51aに対して回転可能に支持されている。具体的には、本実施形態の第一可動ガイドレール81は、基端である一方の端部(第一端部)に配置された第一回転軸811を中心として回転可能とされている。第一可動ガイドレール81の基端は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第一固定ガイドレール82と接触する位置に配置されている。したがって、先端である他方の端部を移動させるように、第一回転軸811を回転中心として回転可能とされている。本実施形態では、第一可動ガイドレール81の先端は、第一状態から第二状態となる際に、走行路51から遠ざかるように時計回りに回転移動する。
【0039】
なお、第一可動ガイドレール81と、第一固定ガイドレール82と、第一補助可動ガイドレール83と、第一補助固定ガイドレール84と、第二可動ガイドレール85と、第二固定ガイドレール86と、第二補助可動ガイドレール87と、第二補助固定ガイドレール88とにおいて、一方の端部とは、第一方向D1又は第二方向D2における第二側Da2の端部である。また、これらにおける他方の端部とは、一方の端部と反対側の端部であり、第一方向D1又は第二方向D2における第一側Da1の端部である。
【0040】
図3に示すように、第一状態では、第一可動ガイドレール81の先端は、ガイドレール52の端部と接触している。その際、第一可動ガイドレール81の幅方向Dwの一方側Dw1を向く面と、第一ガイドレール521の幅方向Dwの一方側Dw1を向く面は、面一となるように、幅方向Dwにおいて同じ位置に配置される。これにより、第一状態では、第一可動ガイドレール81は、鉛直方向Dvから見た際に、第一ガイドレール521を延長させるように、第一ガイドレール521に対して幅方向Dwで同じ位置に配置された状態となる。加えて、第一状態では、第一可動ガイドレール81は、第一方向D1にまっすぐに延びた状態となる。これにより、第一状態では、第一可動ガイドレール81は、通行する車両10の案内輪162に対して、幅方向Dwの内側から接触可能となっている。
【0041】
また、図4に示すように、第一可動ガイドレール81の先端は、第二状態では、ガイドレール52の端部から離れている。本実施形態では、第一可動ガイドレール81の他方の端部は、第二状態で、第一ガイドレール521に対して幅方向Dwの一方側Dw1であって、案内輪162に接触不能な位置に配置される。これにより、第二状態では、第一可動ガイドレール81は、鉛直方向Dvから見た際に、ガイドレール52や第一固定ガイドレール82に対して傾いた状態で配置されている。その結果、第二状態では、第一可動ガイドレール81は、通行する車両10の案内輪162に対して、接触不能となっている。
【0042】
図1に示すように、第一固定ガイドレール82は、第一可動ガイドレール81と共に分岐部70において車両10を第一走行路71に案内する。第一固定ガイドレール82は、分岐部70において路盤B上に移動不能な状態で配置されている。具体的には、第一固定ガイドレール82は、走行方向Daの前方から見た際に、第一走行路71に対して幅方向Dwの一方側Dw1に固定されている。第一固定ガイドレール82は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。第一固定ガイドレール82は、第一方向D1に延びている。第一固定ガイドレール82は、第一可動ガイドレール81と同じ断面形状に形成されたレール状の部材である。第一固定ガイドレール82は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第一固定ガイドレール82は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。第一固定ガイドレール82は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第一固定ガイドレール82の他方の端部(第一端部)は、第一回転軸811と接触するように配置されている。つまり、第一固定ガイドレール82の他方の端部に対して、第一可動ガイドレール81の一方の端部は、回転可能な状態で繋がっている。また、第一固定ガイドレール82の一方の端部(第二端部)は、分岐部70に対して第一方向D1の第二側Da2に位置する別の本線部60の第一ガイドレール521と一体に接続されている。
【0043】
第一補助可動ガイドレール83は、第一可動ガイドレール81とともに、分岐部70において車両10を第一走行路71に案内する。第一補助可動ガイドレール83は、走行路51に対して幅方向Dwで第一ガイドレール521と同じ側に配置されている。第一補助可動ガイドレール83は、第一可動ガイドレール81に対して幅方向Dwの外側に配置されている。第一補助可動ガイドレール83は、第一可動ガイドレール81に対して、幅方向Dwで案内輪162を挟んで案内することが可能な距離だけ幅方向Dwの一方側Dw1に離れて配置されている。第一補助可動ガイドレール83は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第一方向D1において、第一補助固定ガイドレール84に対して本線走行路61に近い位置に配置されている。第一補助可動ガイドレール83は、矩形板状に形成されたレール状の部材である。なお、第一補助可動ガイドレール83の形状は、何ら限定されるものではなく、例えば、ガイドレール52と同じ断面形状であってもよい。また、第一補助可動ガイドレール83は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第一補助可動ガイドレール83は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。つまり、第一補助可動ガイドレール83は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。
【0044】
第一補助可動ガイドレール83は、第一状態では、案内輪162と接触して車両10を案内可能な位置に配置される。第一補助可動ガイドレール83は、第二状態では、案内輪162と接触せずに車両10を案内不能な位置に配置される。このように、第一補助可動ガイドレール83は、第一状態と第二状態とで、幅方向Dwに第一補助回転軸831を中心として回転可動可能となっている。第一補助可動ガイドレール83は、第一可動ガイドレール81と同時に、第一状態及び第二状態に可動可能とされている。第一補助可動ガイドレール83は、第一状態では、通行する車両10の案内輪162の幅方向Dwの外側に対して接触可能な位置であって、車両10を第一走行路71に案内する位置に配置される。第一補助可動ガイドレール83は、第二状態では、通行する車両10の案内輪162と接触不能な位置であって、車両10を第一走行路71に案内できない位置に配置される。
【0045】
また、図3及び図4に示すように、本実施形態の第一補助可動ガイドレール83は、第一補助可動ガイド本体832と、第一入口傾斜部(入口傾斜部)833とを有している。
【0046】
第一補助可動ガイド本体832は、第一状態で、第一方向D1に直線状に延びている。第一入口傾斜部833は、第一補助可動ガイドレール83において、本線走行路61に近い端部に配置されている。つまり、第一入口傾斜部833は、第一補助可動ガイド本体832に対して第一方向D1の第一側Da1で接続されている。第一入口傾斜部833は、第一方向D1において、本線走行路61に近づくにしたがって幅方向Dwの外側に向かうように傾斜している。第一入口傾斜部833は、第一補助可動ガイド本体832からまっすぐ直線状に幅方向Dwの一方側Dw1に向かって延びている。
【0047】
また、第一補助可動ガイドレール83は、走行面51aに対して回転可能に支持されている。具体的には、本実施形態の第一補助可動ガイドレール83は、一方の端部に配置された第一補助回転軸831を中心として回転可能となっている。なお、第一補助可動ガイドレール83の一方の端部とは、第一補助可動ガイド本体832の基端である。また、第一補助可動ガイドレール83の他方の端部(第二端部)とは、第一入口傾斜部833の先端である。第一補助可動ガイドレール83の一方の端部は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第一補助固定ガイドレール84と接触する位置に配置されている。したがって、第一補助可動ガイドレール83は、第一状態と第二状態との間で、第一入口傾斜部833を大きく移動させるように、第一補助可動ガイド本体832の基端に配置された第一補助回転軸831を回転中心として回転可能となっている。本実施形態では、第一入口傾斜部833の先端である第一補助可動ガイドレール83の端部は、第一状態から第二状態となる際に、走行路51から遠ざかるように時計回りに移動する。また、第一補助可動ガイドレール83は、第一状態と第二状態とでの第一入口傾斜部833の先端の幅方向Dwの移動距離(ストローク)が、第一可動ガイドレール81の先端の幅方向Dwの移動距離よりも小さい。第一入口傾斜部833の先端の幅方向Dwの移動距離は、第一可動ガイドレール81の先端の幅方向Dwの移動距離に対して、第一可動ガイドレール81と接触せずに移動可能な範囲で可能な限り小さくなっていることが好ましい。
【0048】
図3に示すように、第一状態では、第一補助可動ガイドレール83の先端は、幅方向Dwで、第一ガイドレール521と最も近づく位置に配置される。ただし、第一状態では、第一入口傾斜部833の先端は、案内輪162に接触不能な位置に配置されている。また、第一状態では、第一入口傾斜部833は、鉛直方向Dvから見た際に、ガイドレール52や第一補助固定ガイドレール84に対して傾いた状態で配置されている。一方で、第一状態では、第一入口傾斜部833と第一補助可動ガイド本体832との接続部分は、案内輪162に接触可能な位置に配置されている。具体的には、第一状態では、第一入口傾斜部833と第一補助可動ガイド本体832との接続部分は、第一補助可動ガイド本体832の基端と幅方向Dwで同じ位置に配置されている。これにより、第一状態では、第一補助可動ガイド本体832は、鉛直方向Dvから見た際に、第一可動ガイドレール81に対して幅方向Dwの外側で、第一可動ガイドレール81と平行に延びた状態で配置される。つまり、第一状態では、第一補助可動ガイド本体832は、第一方向D1にまっすぐに延びた状態となる。これにより、第一状態では、第一補助可動ガイドレール83は、通行する車両10の案内輪162に対して、幅方向Dwの外側から接触可能となっている。
【0049】
また、図4に示すように、第二状態では、第一補助可動ガイドレール83の先端は、幅方向Dwで、第一ガイドレール521と最も離れた位置に配置される。第二状態では、第一入口傾斜部833の先端だけでなく、第一入口傾斜部833と第一補助可動ガイド本体832との接続部分も、案内輪162に接触不能な位置に配置されている。これにより、第二状態では、第一補助可動ガイド本体832は、鉛直方向Dvから見た際に、ガイドレール52や第一補助固定ガイドレール84に対して傾いた状態となる。その結果、第二状態では、第一補助可動ガイドレール83は、通行する車両10の案内輪162に対して、接触不能となっている。
【0050】
図1に示すように、第一補助固定ガイドレール84は、第一固定ガイドレール82及び第一補助可動ガイドレール83と共に分岐部70において車両10を第一走行路71に案内する。第一補助固定ガイドレール84は、分岐部70において路盤B上に移動不能な状態で配置されている。具体的には、第一補助固定ガイドレール84は、走行方向Daの前方から見た際に、第一走行路71に対して幅方向Dwの一方側Dw1に固定されている。第一補助固定ガイドレール84は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。第一補助可動ガイドレール83は、第一固定ガイドレール82に対して、幅方向Dwの外側に配置されている。第一補助可動ガイドレール83は、第一固定ガイドレール82に対して、幅方向Dwで案内輪162を挟んで案内することが可能な距離だけ幅方向Dwの一方側Dw1に離れて配置されている。第一補助固定ガイドレール84は、第一補助可動ガイドレール83と同じ断面形状に形成されたレール状の部材である。第一補助固定ガイドレール84は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第一補助固定ガイドレール84は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。第一補助固定ガイドレール84は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第一補助固定ガイドレール84は、ガイドレール52とは接続されていない。第一補助固定ガイドレール84の一部は、第二走行路72において、第一ガイドレール521の一部に対して、第二走行路72を挟んで幅方向Dwで対向している。本実施形態の第一補助固定ガイドレール84は、第一補助固定ガイド本体841と、第一出口傾斜部(出口傾斜部)842とを有している。
【0051】
第一補助固定ガイド本体841は、第一方向D1に直線状に延びている。第一補助固定ガイド本体841は、第一固定ガイドレール82と平行に延びている。第一補助固定ガイド本体841の他方の端部(第一端部)は、第一補助回転軸831と重なるように配置されている。つまり、第一補助固定ガイド本体841の他方の端部に対して、第一補助可動ガイドレール83の一方の端部は、回転可能な状態で繋がっている。
【0052】
第一出口傾斜部842は、第一補助固定ガイドレール84において、進行先の別の本線走行路61に近い端部に配置されている。つまり、第一出口傾斜部842は、第一補助固定ガイド本体841に対して第一方向D1の第二側Da2で接続されている。第一出口傾斜部842は、第一方向D1において、第一走行路71から本線走行路61に近づくにしたがって幅方向Dwの外側に向かうように傾斜する。つまり、第一出口傾斜部842は、第一入口傾斜部833とは逆に傾斜している。第一出口傾斜部842は、第一補助可動ガイド本体832からまっすぐ直線状に幅方向Dwの一方側Dw1に向かって延びている。第一出口傾斜部842は、第二ガイドレール522の端部と幅方向Dwで対向している。
【0053】
第二ガイドレール522において、第一出口傾斜部842と対向する端部には第二本線傾斜部(本線傾斜部)5220が形成されている。第二本線傾斜部5220は、第一方向D1において、本線走行路61から第一走行路71に近づくにしたがって幅方向Dwの内側に向かうように傾斜する。つまり、第二本線傾斜部5220は、第一出口傾斜部842とは逆に、走行路51の中心に向かって傾斜している。第二本線傾斜部5220は、まっすぐ直線状に延びている。第二ガイドレール522の他の部分に対して、第二本線傾斜部5220が傾斜を開始する始点である屈曲点と、第一補助固定ガイド本体841に対して第一出口傾斜部842が傾斜を開始する始点である屈曲点とは、第一方向D1において同じ位置となっている。
【0054】
図1に示すように、第二可動ガイドレール85は、分岐部70において車両10を第二走行路72に案内する。第二可動ガイドレール85は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。第二可動ガイドレール85は、走行路51に対して幅方向Dwで第二ガイドレール522と同じ側に配置されている。つまり、第二可動ガイドレール85は、幅方向Dwにおいて、走行路51を挟んで第一可動ガイドレール81と反対側に配置されている。第二可動ガイドレール85は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第二方向D2において、第二固定ガイドレール86に対して走行路51に近い位置に配置されている。第二可動ガイドレール85は、矩形板状に形成されたレール状の部材である。つまり、第二可動ガイドレール85は、第一可動ガイドレール81と同じ断面形状を有している。第二可動ガイドレール85は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第二可動ガイドレール85は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。第二可動ガイドレール85は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。
【0055】
第二可動ガイドレール85は、第一状態では、案内輪162と接触せずに車両10を案内不能な位置に配置される。第二可動ガイドレール85は、第二状態では、案内輪162と接触して車両10を案内可能な位置に配置される。具体的には、第二可動ガイドレール85は、第一状態と第二状態とで第二回転軸851を中心に回転可動可能となっている。第二可動ガイドレール85は、第一状態では、通行する車両10の案内輪162と接触不能な位置であって、車両10を第二走行路72に案内できない位置に配置される。第二可動ガイドレール85は、第二状態では、通行する車両10の案内輪162の幅方向Dwの内側の側面に対して接触可能な位置であって、車両10を第二走行路72に案内する位置に配置される。つまり、第二可動ガイドレール85では、第一状態と第二状態とで、ガイドレール52に対する接続状態が、第一可動ガイドレール81と逆の状態となる。
【0056】
図3及び図4に示すように、第二可動ガイドレール85は、走行面51aに対して回転可能に支持されている。具体的には、本実施形態の第二可動ガイドレール85は、基端である一方の端部(第一端部)に配置された第二回転軸851を中心として回転可能とされている。第二可動ガイドレール85の基端は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第二固定ガイドレール86と接する位置に配置されている。したがって、第二可動ガイドレール85は、第一状態と第二状態との間で、先端である他方の端部を移動させるように、第二回転軸851を回転中心として回転可動可能となっている。本実施形態では、第二可動ガイドレール85の先端は、第一状態から第二状態となる際に、走行路51から近づくように時計回りに移動する。
【0057】
図3に示すように、第一状態では、第二可動ガイドレール85の先端は、ガイドレール52の端部から離れている。これにより、第一状態では、第二可動ガイドレール85は、第二ガイドレール522に対して幅方向Dwの他方側Dw2であって、案内輪162に接触不能な位置に配置される。これにより、第一状態では、第二可動ガイドレール85は、鉛直方向Dvから見た際に、ガイドレール52や第二固定ガイドレール86に対して傾いた状態で配置されている。その結果、第一状態では、第二可動ガイドレール85は、通行する車両10の案内輪162に対して、接触不能となっている。
【0058】
また、図4に示すように、第二状態では、第二可動ガイドレール85の先端は、ガイドレール52の端部と接触している。その際、第二可動ガイドレール85の幅方向Dwの他方側Dw2を向く面と、第二ガイドレール522の幅方向Dwの他方側Dw2を向く面は、面一となるように、幅方向Dwにおいて同じ位置に配置される。これにより、第二状態では、第二可動ガイドレール85は、鉛直方向Dvから見た際に、第二ガイドレール522を延長させるように、第二ガイドレール522に対して幅方向Dwで同じ位置に配置された状態となる。加えて、第二状態では、第二可動ガイドレール85は、第二方向D2にまっすぐに延びた状態となる。これにより、第二状態では、第二可動ガイドレール85は、通行する車両10の案内輪162に対して、幅方向Dwの内側から接触可能とされている。
【0059】
図1に示すように、第二固定ガイドレール86は、第二可動ガイドレール85と共に分岐部70において車両10を第二走行路72に案内する。第二固定ガイドレール86は、分岐部70において路盤B上に移動不能な状態で配置されている。具体的には、第二固定ガイドレール86は、走行方向Daの前方から見た際に、第二走行路72に対して幅方向Dwの他方側Dw2に固定されている。第二固定ガイドレール86は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。第二固定ガイドレール86は、第二方向D2に延びている。第二固定ガイドレール86は、第二可動ガイドレール85と同じ断面形状に形成されたレール状の部材である。第二固定ガイドレール86は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第二固定ガイドレール86は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。第二固定ガイドレール86は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第二固定ガイドレール86の他方の端部(第一端部)は、第二回転軸851と接するように配置されている。つまり、第二固定ガイドレール86の他方の端部に対して、第二可動ガイドレール85の一方の端部は、回転可能な状態で繋がっている。また、第二固定ガイドレール86の一方の端部(第二端部)は、分岐部70に対して第二方向D2の第二側Da2に位置する別の本線部60の第二ガイドレール522と一体に接続されている。
【0060】
第二補助可動ガイドレール87は、第二可動ガイドレール85とともに、分岐部70において車両10を第二走行路72に案内する。第二補助可動ガイドレール87は、走行路51に対して幅方向Dwで第二ガイドレール522と同じ側に配置されている。第二補助可動ガイドレール87は、第二可動ガイドレール85に対して幅方向Dwの外側に配置されている。第二補助可動ガイドレール87は、第二可動ガイドレール85に対して、幅方向Dwで案内輪162を挟んで案内することが可能な距離だけ幅方向Dwの他方側Dw2に離れて配置されている。第二補助可動ガイドレール87は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第二方向D2において、第二補助固定ガイドレール88に対して走行路51に近い位置に配置されている。第二補助可動ガイドレール87は、矩形板状に形成されたレール状の部材である。なお、第二補助可動ガイドレール87の形状は、何ら限定されるものではなく、例えば、ガイドレール52と同じ断面形状であってもよい。第二補助可動ガイドレール87は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第二補助可動ガイドレール87は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。つまり、第二補助可動ガイドレール87は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。
【0061】
第二補助可動ガイドレール87は、第一状態では、案内輪162と接触せずに車両10を案内不能な位置に配置される。第二補助可動ガイドレール87は、第二状態では、案内輪162と接触して車両10を案内可能な位置に配置される。このように、第二補助可動ガイドレール87は、第一状態と第二状態とで、幅方向Dwに第二補助回転軸871を中心に回転可動可能となっている。第二補助可動ガイドレール87は、第二可動ガイドレール85と同時に、第一状態及び第二状態に可動可能とされている。第二補助可動ガイドレール87は、第一状態では、通行する車両10の案内輪162と接触不能な位置であって、車両10を第二走行路72に案内できない位置に配置される。第二補助可動ガイドレール87は、第二状態では、通行する車両10の案内輪162の幅方向Dwの外側と接触可能な位置であって、車両10を第二走行路72に案内する位置に配置される。
【0062】
また、図3及び図4に示すように、本実施形態の第二補助可動ガイドレール87は、第二補助可動ガイド本体872と、第二入口傾斜部(入口傾斜部)873とを有している。
【0063】
第二補助可動ガイド本体872は、第二状態で、第二方向D2に湾曲して延びている。第二入口傾斜部873は、第二補助可動ガイドレール87において、本線走行路61に近い端部に配置されている。つまり、第二入口傾斜部873は、第二補助可動ガイド本体872に対して第二方向D2の第一側Da1で接続されている。第二入口傾斜部873は、第二方向D2において、本線走行路61に近づくにしたがって幅方向Dwの外側に向かうように傾斜している。第二入口傾斜部873は、第二補助可動ガイド本体872からまっすぐ直線状に幅方向Dwの他方側Dw2に向かって延びている。
【0064】
第二補助可動ガイドレール87は、走行面51aに対して回転可能に支持されている。具体的には、本実施形態の第二補助可動ガイドレール87は、一方の端部に配置された第二補助回転軸871を中心として回転可能とされている。なお、第二補助可動ガイドレール87の一方の端部とは、第二補助可動ガイド本体872の基端である。また、第二補助可動ガイドレール87の他方の端部(第二端部)とは、第二入口傾斜部873の先端である。第二補助可動ガイドレール87の一方の端部は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、第二補助固定ガイドレール88と接する位置に配置されている。したがって、第二補助可動ガイドレール87は、第一状態と第二状態との間で、第二入口傾斜部873を大きく移動させるように、第二補助可動ガイド本体872の基端を回転中心として回転可能とされている。本実施形態では、第二入口傾斜部873の先端である第二補助可動ガイドレール87の端部は、第一状態から第二状態となる際に、走行路51に近づくように時計回りに移動する。また、第二補助可動ガイドレール87は、第一状態と第二状態とでの第二入口傾斜部873の先端の幅方向Dwの移動距離(ストローク)が、第二可動ガイドレール85の一方の端部の幅方向Dwの移動距離よりも小さい。第二入口傾斜部873の先端の幅方向Dwの移動距離は、第二可動ガイドレール85の先端の幅方向Dwの移動距離に対して、第二可動ガイドレール85と接触せずに移動可能な範囲で可能な限り小さくなっていることが好ましい。
【0065】
図3に示すように、第一状態では、第二補助可動ガイドレール87の先端は、幅方向Dwで、第二ガイドレール522と最も離れた位置に配置される。第一状態では、第一入口傾斜部833の先端だけでなく、第一入口傾斜部833と第二補助可動ガイド本体872との接続部分も、案内輪162に接触不能な位置に配置されている。これにより、第一状態では、第二補助可動ガイド本体872は、鉛直方向Dvから見た際に、ガイドレール52や第二補助固定ガイドレール88に対して傾いた状態となる。その結果、第一状態では、第二補助可動ガイドレール87は、通行する車両10の案内輪162に対して、接触不能となっている。
【0066】
また、図4に示すように、第二状態では、第二補助可動ガイドレール87の先端は、幅方向Dwで、第二ガイドレール522と最も近づく位置に配置される。ただし、第二状態では、第二入口傾斜部873の先端は、案内輪162に接触不能な位置に配置されている。また、第二状態では、第二入口傾斜部873は、鉛直方向Dvから見た際に、ガイドレール52や第二補助固定ガイドレール88に対して傾いた状態で配置されている。一方で、第二状態では、第二入口傾斜部873と第二補助可動ガイド本体872との接続部分は、案内輪162に接触可能な位置に配置されている。具体的には、第二状態では、第二入口傾斜部873と第二補助可動ガイド本体872との接続部分は、第二補助可動ガイド本体872の基端と幅方向Dwで同じ位置に配置されている。これにより、第二状態では、第二補助可動ガイド本体872は、鉛直方向Dvから見た際に、第二可動ガイドレール85に対して幅方向Dwの外側で、第二可動ガイドレール85と平行に延びた状態で配置される。つまり、第二状態では、第二補助可動ガイド本体872は、第二方向D2にまっすぐに延びた状態となる。これにより、第二状態では、第二補助可動ガイドレール87は、通行する車両10の案内輪162に対して、幅方向Dwの外側から接触可能とされている。
【0067】
図1に示すように、第二補助固定ガイドレール88は、第二固定ガイドレール86及び第二補助可動ガイドレール87と共に分岐部70において車両10を第二走行路72に案内する。第二補助固定ガイドレール88は、分岐部70において路盤B上に移動不能な状態で配置されている。具体的には、第二補助固定ガイドレール88は、走行方向Daの前方から見た際に、第二走行路72に対して幅方向Dwの他方側Dw2に固定されている。第二補助固定ガイドレール88は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。第二補助可動ガイドレール87は、第二固定ガイドレール86に対して、幅方向Dwの外側に配置されている。第二補助可動ガイドレール87は、第二固定ガイドレール86に対して、幅方向Dwで案内輪162を挟んで案内することが可能な距離だけ幅方向Dwの他方側Dw2に離れて配置されている。第二補助固定ガイドレール88は、第二補助可動ガイドレール87と同じ断面形状に形成されたレール状の部材である。第二補助固定ガイドレール88は、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第二補助固定ガイドレール88は、走行路51の上面から同一の高さで延伸方向Deに延びている。第二補助固定ガイドレール88は、鉛直方向Dvにおいて、ガイドレール52と同等の高さで走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出している。第二補助固定ガイドレール88は、ガイドレール52とは接続されていない。第二補助固定ガイドレール88の一部は、第一走行路71において、第二ガイドレール522の一部に対して、第一走行路71を挟んで幅方向Dwで対向している。本実施形態の第二補助固定ガイドレール88は、第二補助固定ガイド本体881と、第二出口傾斜部(出口傾斜部)882とを有している。
【0068】
第二補助固定ガイド本体881は、第二方向D2に湾曲して延びている。第二補助固定ガイド本体881は、第二固定ガイドレール86と平行に延びている。第二補助固定ガイド本体881の他方の端部(第一端部)は、第二補助回転軸871と接するように配置されている。つまり、第二補助固定ガイド本体881の他方の端部に対して、第二補助可動ガイドレール87の一方の端部は、回転可能な状態で繋がっている。
【0069】
第二出口傾斜部882は、第二補助固定ガイドレール88において、車両10の進行先の別の本線走行路61に近い端部に配置されている。つまり、第二出口傾斜部882は、第二補助固定ガイド本体881に対して第二方向D2の第二側Da2で接続されている。第二出口傾斜部882は、第二方向D2において、第二走行路72から本線走行路61に近づくにしたがって幅方向Dwの外側に向かうように傾斜する。つまり、第二出口傾斜部882は、第二入口傾斜部873とは逆に傾斜している。第二出口傾斜部882は、第二補助可動ガイド本体872からまっすぐ直線状に幅方向Dwの他方側Dw2に向かって延びている。第二出口傾斜部882は、第一ガイドレール521の端部と幅方向Dwで対向している。
【0070】
第一ガイドレール521において、第二出口傾斜部882と対向する端部には第一本線傾斜部(本線傾斜部)5210が形成されている。第一本線傾斜部5210は、第二方向D2において、本線走行路61から第二走行路72に近づくにしたがって幅方向Dwの内側に向かうように傾斜する。つまり、第一本線傾斜部5210は、第二出口傾斜部882とは逆に、走行路51の中心に向かって傾斜している。第一本線傾斜部5210は、まっすぐ直線状に延びている。第一ガイドレール521の他の部分に対して、第一本線傾斜部5210が傾斜を開始する始点である屈曲点と、第二補助固定ガイド本体881に対して第二出口傾斜部882が傾斜を開始する始点である屈曲点とは、第二方向D2において同じ位置となっている。
【0071】
可動装置90は、分岐ガイド80の一部を第一状態と第二状態との間で可動させる。本実施形態の可動装置90は、第一可動ガイドレール81と、第一補助可動ガイドレール83と、第二可動ガイドレール85と、第二補助可動ガイドレール87とを第一状態と第二状態との間で移動させる。可動装置90は、第一状態と第二状態のそれぞれで、第一可動ガイドレール81と、第一補助可動ガイドレール83と、第二可動ガイドレール85と、第二補助可動ガイドレール87との位置を一時的に固定可能とされている。本実施形態の可動装置90は、第一可動ガイドレール81と、第一補助可動ガイドレール83と、第二可動ガイドレール85と、第二補助可動ガイドレール87とを同時に可動させる。可動装置90は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の可動量と、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の可動量とを変えている。第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の可動量に対し、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の可動量は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の幅方向Dwの厚みよりも大きく、かつ、第一状態及び第二状態の中で車両10を案内不能な状態となった場合に、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85と重ならない大きさとなっている。ここで、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の幅方向Dwの厚みとは、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85において、案内輪162と接触する面であるガイド面に対して直交する方向の厚みである。したがって、第二状態の第一可動ガイドレール81は、第一補助可動ガイドレール83に対して常に干渉しないで可動する。同様に、第一状態の第二可動ガイドレール85は、第二可動ガイドレール85に対して常に干渉しないで可動する。本実施形態の可動装置90は、駆動部91と、第一リンク部92と、第二リンク部93と、を有している。
【0072】
図3及び図4に示すように、駆動部91は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を幅方向Dwに押圧して移動させる。本実施形態の駆動部91は、第一状態と第二状態とで第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を第一回転軸811及び第二回転軸851を中心に回転させるように移動させる。駆動部91は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を同時に第一状態と第二状態とに切り替える。本実施形態の駆動部91は、転轍機911と、駆動バー912と、ロックバー913とを有している。
【0073】
転轍機911は、第一可動ガイドレール81と、第一補助可動ガイドレール83と、第二可動ガイドレール85と、第二補助可動ガイドレール87とを可動させるための駆動源である。転轍機911は、駆動バー912を幅方向Dwに移動させる。転轍機911は、幅方向Dwにおいて、第二補助可動ガイドレール87に対してさらに幅方向Dwの外側に配置されている。転轍機911は、油圧シリンダ、電磁シリンダ、又は電気モータ等を有している。本実施形態では、転轍機911は、分岐部70において一つのみが配置されている。
【0074】
駆動バー912は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85に接続されている。駆動バー912は、転轍機911によって幅方向Dwに移動されることで、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を回転させる。本実施形態の駆動バー912は、幅方向Dwに延びる棒状の部材である。駆動バー912は、走行面51aよりも下側に形成された穴内に挿通されるように配置されている(図2参照)。駆動バー912の先端は、第一可動ガイドレール81に回転可能な状態で接続されている。駆動バー912は、その先端と、転轍機911に接続されている基端との間で、第二可動ガイドレール85に回転可能な状態で接続されている。駆動バー912は、転轍機911によって、駆動バー912の先端が幅方向Dwにおいて最も転轍機911に寄った位置まで移動されることで、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を第一状態まで回転させる。また、駆動バー912は、転轍機911によって、駆動バー912の先端が幅方向Dwにおいて最も転轍機911から離れた位置まで移動されることで、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を第二状態まで回転させる。
【0075】
ロックバー913は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85に接続されている。本実施形態のロックバー913は、幅方向Dwに伸縮する部材である。ロックバー913は、駆動バー912と同様に、走行面51aよりも下側に形成された穴内に挿通されるように配置されている(図2参照)。ロックバー913は、第一可動ガイドレール81に回転可能な状態で接続されている。ロックバー913は、その先端と、転轍機911に接続されている基端との間で、第二可動ガイドレール85に回転可能な状態で接続されている。ロックバー913は、駆動バー912が第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を第一状態又は第二状態に回転した際に、転轍機911からの信号に基づいて伸縮できないようにロックされる。また、ロックバー913は、駆動バー912が移動する際に転轍機911からの信号に基づいて伸縮可能なようにロックが解除される。
【0076】
第一リンク部92は、第一可動ガイドレール81と第一補助可動ガイドレール83との動きを連動させる。つまり、第一リンク部92は、第一可動ガイドレール81と第一補助可動ガイドレール83とを同時に移動させる。第一リンク部92は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。本実施形態の第一リンク部92は、第一回転ロッド921と、第一主接続ロッド922と、第一副接続ロッド923とを有している。
【0077】
第一回転ロッド921は、一端を中心に回転することで第一主接続ロッド922及び第一副接続ロッド923を同時に移動させる。第一回転ロッド921は、第一方向D1に延びた棒状の部材である。本実施形態の第一回転ロッド921は、第一可動ガイドレール81に対して幅方向Dwの外側に配置されている。第一回転ロッド921は、第一可動ガイドレール81に対して平行に延びている。第一回転ロッド921は、走行路51から外れた路盤Bに、一端が回転可能に支持されている。したがって、第一回転ロッド921は、その一端を中心にして先端が移動するように支持されている。第一回転ロッド921の一端は、走行路51から外れた位置であって、第一可動ガイドレール81に対して幅方向Dwの一方側Dw1に配置されている。第一回転ロッド921の一端は、第一回転軸811及び第一補助回転軸831に対して第一方向D1の第一側Da1に配置されている。第一回転ロッド921の先端は、第一回転ロッド921の一端に対して、第一方向D1の第二側Da2に位置している。
【0078】
第一主接続ロッド922は、第一可動ガイドレール81と第一回転ロッド921とを接続している。具体的には、本実施形態の第一主接続ロッド922は、幅方向Dwに延びる棒状の部材である。図3に示すように、第一主接続ロッド922の一方の端部は、第一回転ロッド921の先端に回転可能な状態で接続されている。第一主接続ロッド922の他方の端部は、第一可動ガイドレール81の中間(第一方向D1における第一回転軸811と第一可動ガイドレール81の先端との間)付近に回転可能な状態で接続されている。第一主接続ロッド922は、第一補助可動ガイドレール83と接触しないように、第一補助可動ガイドレール83に対して鉛直方向Dvの下方に配置されている。これらにより、第一主接続ロッド922は、第一可動ガイドレール81の移動に追従させるように、第一回転ロッド921を移動させる。つまり、第一主接続ロッド922は、第一可動ガイドレール81の回転に伴って、第一回転ロッド921を同時に回転させる。
【0079】
第一副接続ロッド923は、第一補助可動ガイドレール83と第一回転ロッド921とを接続している。具体的には、本実施形態の第一副接続ロッド923は、幅方向Dwに延びる棒状の部材である。第一副接続ロッド923は、第一主接続ロッド922に対して第一方向D1の第一側Da1で、第一主接続ロッド922と平行に延びている。第一副接続ロッド923の一方の端部は、第一回転ロッド921の中間(先端と一端との間)付近に回転可能な状態で接続されている。第一副接続ロッド923の他方の端部は、第一補助可動ガイドレール83の中間(第一方向D1における第一補助回転軸831と第一補助可動ガイドレール83の先端との間)付近に回転可能な状態で接続されている。第一副接続ロッド923は、第一補助可動ガイドレール83に対して鉛直方向Dvの上方に配置されている。これらにより、第一副接続ロッド923は、第一回転ロッド921の移動に追従させるように、第一補助可動ガイドレール83を移動させる。つまり、第一副接続ロッド923は、第一回転ロッド921の回転に伴って、第一補助可動ガイドレール83を同時に回転させる。
【0080】
第二リンク部93は、第二可動ガイドレール85と第二補助可動ガイドレール87との動きを連動させる。つまり、第二リンク部93は、第二可動ガイドレール85と第二補助可動ガイドレール87とを同時に移動させる。第二リンク部93は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。本実施形態の第二リンク部93は、第二回転ロッド931と、第二主接続ロッド932と、第二副接続ロッド933とを有している。
【0081】
第二回転ロッド931は、一端を中心に回転することで第二主接続ロッド932及び第二副接続ロッド933を同時に移動させる。第二回転ロッド931は、第一回転ロッド921と同様に、第一方向D1に延びた棒状の部材である。本実施形態の第二回転ロッド931は、第二可動ガイドレール85に対して幅方向Dwの外側に配置されている。第二回転ロッド931は、第一回転ロッド921に対して平行に延びている。第二回転ロッド931は、走行路51から外れた路盤Bに、一端が回転可能に支持されている。したがって、第二回転ロッド931は、その一端を中心にして先端が移動するように支持されている。第二回転ロッド931の一端は、走行路51から外れた位置であって、第二可動ガイドレール85に対して幅方向Dwの他方側Dw2に配置されている。第二回転ロッド931の一端は、第二回転軸851及び第二補助回転軸871に対して第二方向D2の第一側Da1に配置されている。第二回転ロッド931の先端は、第二回転ロッド931の一端に対して、第一方向D1の第二側Da2に位置している。
【0082】
第二主接続ロッド932は、第二可動ガイドレール85と第二回転ロッド931とを接続している。具体的には、本実施形態の第二主接続ロッド932は、幅方向Dwに延びる棒状の部材である。第二主接続ロッド932の一方の端部は、第二回転ロッド931の先端に回転可能な状態で接続されている。第二主接続ロッド932の他方の端部は、第二可動ガイドレール85の中間(第一方向D1における第二回転軸851と第二可動ガイドレール85の先端との間)付近に回転可能な状態で接続されている。第二主接続ロッド932は、第二補助可動ガイドレール87と接触しないように、第二補助可動ガイドレール87に対して鉛直方向Dvの下方に配置されている。これらにより、第二主接続ロッド932は、第二可動ガイドレール85の移動に追従させるように、第二回転ロッド931を移動させる。つまり、第二主接続ロッド932は、第二可動ガイドレール85の回転に伴って、第二回転ロッド931を同時に回転させる。
【0083】
第二副接続ロッド933は、第二補助可動ガイドレール87と第二回転ロッド931とを接続している。具体的には、本実施形態の第二副接続ロッド933は、幅方向Dwに延びる棒状の部材である。第二副接続ロッド933は、第二主接続ロッド932に対して第一方向D1の第一側Da1で、第二主接続ロッド932と平行に延びている。第二副接続ロッド933の一方の端部は、第二回転ロッド931の中間(先端と一端との間)付近に回転可能な状態で接続されている。第二副接続ロッド933の他方の端部は、第二補助可動ガイドレール87の中間(第一方向D1における第二補助回転軸871と第二補助可動ガイドレール87の先端との間)付近に回転可能な状態で接続されている。第二副接続ロッド933は、第二補助可動ガイドレール87に対して鉛直方向Dvの上方に配置されている。これらにより、第二副接続ロッド933は、第二回転ロッド931の移動に追従させるように、第二補助可動ガイドレール87を移動させる。つまり、第二副接続ロッド933は、第二回転ロッド931の回転に伴って、第二補助可動ガイドレール87を同時に回転させる。
【0084】
次に、本実施形態に係る側方案内式の軌道系交通システム1で車両10に第一走行路71を走行させる場合について説明する。本実施形態では、本線走行路61から第一走行路71に向かって車両10が進行する場合、分岐ガイド80は第一状態に切り替えられる。具体的には、転轍機911によって、駆動バー912の先端が幅方向Dwにおいて最も転轍機911に寄った位置まで移動される。駆動バー912の移動に伴って、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85が転轍機911に引き寄せられるように幅方向Dwの他方側Dw2へ移動される。その結果、図3に示すように、第一可動ガイドレール81は第一回転軸811を中心に反時計回りに回転し、第二可動ガイドレール85は第二回転軸851を中心に反時計回りに回転する。そのため、第一可動ガイドレール81は第一ガイドレール521と繋がった状態となる。また、第二可動ガイドレール85は第二ガイドレール522から離れた状態となる。
【0085】
さらに、第一可動ガイドレール81の反時計回りの回転に伴って、第一主接続ロッド922が幅方向Dwの他方側Dw2に第一可動ガイドレール81によって引かれる。第一主接続ロッド922の幅方向Dwの他方側Dw2への移動に伴い、第一回転ロッド921が、その一端を中心に時計回りに回転する。この第一回転ロッド921の回転に伴って、第一副接続ロッド923が幅方向Dwの他方側Dw2に第一回転ロッド921によって押される。その結果、第一副接続ロッド923によって、第一補助可動ガイドレール83が幅方向Dwの他方側Dw2に押され、第一補助可動ガイドレール83は第一補助回転軸831を中心に反時計回りに回転する。これにより、第一可動ガイドレール81と第一補助可動ガイドレール83とは、第一状態の位置に移動される。つまり、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83は案内輪162に接触可能な位置に移動される。
【0086】
また、第二可動ガイドレール85の反時計回りの回転に伴って、第二主接続ロッド932が幅方向Dwの他方側Dw2に第二可動ガイドレール85によって押される。第二主接続ロッド932の幅方向Dwの他方側Dw2への移動に伴い、第二回転ロッド931が、その一端を中心に時計回りに回転する。この第二回転ロッド931の回転に伴って、第二副接続ロッド933が幅方向Dwの他方側Dw2に第二回転ロッド931によって引かれる。その結果、第二副接続ロッド933によって、第二補助可動ガイドレール87が幅方向Dwの他方側Dw2に引かれ、第二補助可動ガイドレール87は第二補助回転軸871を中心に反時計回りに回転する。これにより、第二可動ガイドレール85と第二補助可動ガイドレール87とは、第一状態の位置に移動される。つまり、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87は案内輪162に接触不能な位置に移動される。
【0087】
このように、分岐ガイド80が第一状態に切り替えられることで、本線部60から分岐部70に進入してきた車両10では、第一ガイドレール521の幅方向Dwの外側の面と接触していた案内輪162の幅方向Dwの内側の面は、第一可動ガイドレール81の幅方向Dwの外側の面と接触する。その際、案内輪162の幅方向Dwの外側の面は、第一補助可動ガイドレール83の幅方向Dwの内側の面と接触する。これにより、案内輪162が幅方向Dwにおいて第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83に挟まれた状態で、第一走行路71に案内される。
【0088】
なお、本線部60から分岐部70に進入してきた車両10では、第二ガイドレール522の幅方向Dwの外側の面と接触していた案内輪162の幅方向Dwの内側の面は、第二可動ガイドレール85や第二補助可動ガイドレール87とは接触することなく、第一走行路71に進入する。
【0089】
次に、本実施形態に係る側方案内式の軌道系交通システム1で車両10に第二走行路72を走行させる場合について説明する。本実施形態では、本線走行路61から第二走行路72に向かって車両10が進行する場合、分岐ガイド80は第二状態に切り替えられる。具体的には、転轍機911によって、駆動バー912の先端が幅方向Dwにおいて最も転轍機911から離れた位置まで移動される。駆動バー912の移動に伴って、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85が転轍機911から離れるように幅方向Dwの一方側Dw1へ移動される。その結果、図4に示すように、第一可動ガイドレール81は第一回転軸811を中心に時計回りに回転し、第二可動ガイドレール85は第二回転軸851を中心に時計回りに回転する。そのため、第一可動ガイドレール81は第一ガイドレール521から離れた状態となる。また、第二可動ガイドレール85は第二ガイドレール522と繋がった状態となる。
【0090】
さらに、第一可動ガイドレール81の時計回りの回転に伴って、第一主接続ロッド922が幅方向Dwの一方側Dw1に第一可動ガイドレール81によって引かれる。第一主接続ロッド922の幅方向Dwの一方側Dw1への移動に伴い、第一回転ロッド921が、その一端を中心に反時計回りに回転する。この第一回転ロッド921の回転に伴って、第一副接続ロッド923が幅方向Dwの一方側Dw1に第一回転ロッド921によって引かれる。その結果、第一副接続ロッド923によって、第一補助可動ガイドレール83が幅方向Dwの一方側Dw1に引かれ、第一補助可動ガイドレール83は第一補助回転軸831を中心に時計回りに回転する。これにより、第一可動ガイドレール81と第一補助可動ガイドレール83とは、第二状態の位置に移動される。つまり、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83は案内輪162に接触不能な位置に移動される。
【0091】
また、第二可動ガイドレール85の時計回りの回転に伴って、第二主接続ロッド932が幅方向Dwの一方側Dw1に第二可動ガイドレール85によって引かれる。第二主接続ロッド932の幅方向Dwの一方側Dw1への移動に伴い、第二回転ロッド931が、その一端を中心に反時計回りに回転する。この第二回転ロッド931の回転に伴って、第二副接続ロッド933が幅方向Dwの一方側Dw1に第二回転ロッド931によって押される。その結果、第二副接続ロッド933によって、第二補助可動ガイドレール87が幅方向Dwの一方側Dw1に押され、第二補助可動ガイドレール87は第二補助回転軸871を中心に時計回りに回転する。これにより、第二可動ガイドレール85と第二補助可動ガイドレール87とは、第二状態の位置に移動される。つまり、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87は案内輪162に接触可能な位置に移動される。
【0092】
このように、分岐ガイド80が第二状態に切り替えられることで、本線部60から分岐部70に進入してきた車両10では、第二ガイドレール522の幅方向Dwの外側の面と接触していた案内輪162の幅方向Dwの内側の面は、第二可動ガイドレール85の幅方向Dwの外側の面と接触する。その際、案内輪162の幅方向Dwの外側の面は、第二補助可動ガイドレール87の幅方向Dwの内側の面と接触する。これにより、案内輪162が幅方向Dwにおいて第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87に挟まれた状態で、第二走行路72に案内される。
【0093】
なお、本線部60から分岐部70に進入してきた車両10では、第一ガイドレール521の幅方向Dwの外側の面と接触していた案内輪162の幅方向Dwの内側の面は、第一可動ガイドレール81や第一補助可動ガイドレール83とは接触することなく、第二走行路72に進入する。
【0094】
(作用効果)
上記第一実施形態の側方案内式の軌道系交通システム1では、第一状態とされた際に案内輪162に接触する第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83と、第二状態とされた際に、案内輪162に接触する第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87とを有している。そのため、分岐部70において、車両10が第一走行路71に案内される際には、幅方向Dwの一方側Dw1の案内輪162の側面の内側が第一可動ガイドレール81に接触するとともに、その側面の外側が第一補助可動ガイドレール83との間に数mmの隙間を持った状態で通過する。つまり、第一走行路71に車両10を案内する際には、一対の案内輪162のうちで幅方向Dwの片方の案内輪162のみを、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間を通過させることで、車両10を第一走行路71に案内できる。また、分岐部70において、車両10が第二走行路72に案内される際には、幅方向Dwの他方側Dw2の案内輪162の側面の内側が第二可動ガイドレール85に接触するとともに、その側面の外側が第二補助可動ガイドレール87との間に数mmの隙間を持った状態で通過する。つまり、第二走行路72に車両10を案内する際には、一対の案内輪162のうちで、第一走行路71に車両10を案内する際には使用しなかった幅方向Dwの逆側の案内輪162のみを、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間を通過させることで、車両10を第二走行路72に案内できる。このように、分岐部70で車両10を異なる方向へ案内する際に、案内輪162のみによって、車両10を案内できる。これにより、車両10に分岐輪を設置する必要がなくなり、幅方向Dwにおける車両10の大きさを抑えることができる。また、車両10に分岐輪が不要となるため、車両10のコストや保守費を抑えることができる。このように、車両10をより簡易化した構造で本線部60だけでなく分岐部70を走行させることができる。
【0095】
また、本線走行路61では、一対のガイドレール52が、走行輪13に対して幅方向Dwの外側で、一対の案内輪162のそれぞれの幅方向Dwの内側に接触可能とされている。そのため、一対のガイドレール52が一対の案内輪162のそれぞれの幅方向Dwの外側に接触可能な側方案内式の構造に比べて、一対の案内輪162の位置を幅方向Dwの内側に寄せることができる。したがって、幅方向Dwにおける車両10や軌道50の大きさをより抑えることができる。その結果、軌道系交通システム全体としての設置コストの低減や設置工期の短縮を図ることができる。
【0096】
また、第一状態で、第一可動ガイドレール81は、第一ガイドレール521を延長させるように、第一ガイドレール521に対して幅方向Dwで同じ位置に配置されている。そのため、車両10が分岐部70に進入した際に、案内輪162が第一ガイドレール521から第一可動ガイドレール81へ接触していく過程でのガタツキを抑えることができる。加えて、この状態で、第一補助可動ガイドレール83は、第一可動ガイドレール81に対して幅方向Dwの外側に配置されている。したがって、ガタツキを抑えた状態で、案内輪162を第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間を通過させることができる。同様に、第二状態で、第二可動ガイドレール85は、第二ガイドレール522を延長させるように、第二ガイドレール522に対して幅方向Dwで同じ位置に配置されている。そのため、車両10が分岐部70に進入した際に、案内輪162が第二ガイドレール522から第二可動ガイドレール85へ接触していく過程でのガタツキを抑えることができる。加えて、この状態で、第二補助可動ガイドレール87は、第二可動ガイドレール85に対して幅方向Dwの外側に配置されている。したがって、ガタツキを抑えた状態で、案内輪162を第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間を通過させることができる。これにより、分岐部70での車両10の乗り心地を向上させることができる。
【0097】
また、第一補助可動ガイドレール83は、第一入口傾斜部833を有している。第二補助可動ガイドレール87は、第二入口傾斜部873を有している。そのため、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間や、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に、案内輪162が進入する際に、入口部分での幅方向Dwの間隔が第一入口傾斜部833や第二入口傾斜部873によって広げられた状態となっている。加えて、第一入口傾斜部833や第二入口傾斜部873が本線走行路61に近づくにしたがって幅方向Dwの外側に向かうように傾斜している。そのため、幅方向Dwの間隔は、入口部分が最も広く、第一補助可動ガイド本体832や第二補助可動ガイド本体872に近づくにしたがって徐々に狭くなっている。したがって、車両10が幅方向Dwに多少揺れた場合であっても、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間や、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に安定した状態で案内輪162を進入させることができる。これにより、分岐部70で車両10を安定して案内できる。
【0098】
また、分岐ガイド80は、第一固定ガイドレール82と、第一補助固定ガイドレール84と、第二固定ガイドレール86と、第二補助固定ガイドレール88とをさらに備えている。したがって、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間に進入した案内輪162は、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84の間を連続して通過する。そのため、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83と、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84とによって、案内輪162は長い距離にわたって第一方向D1に案内される。同様に、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に進入した案内輪162は、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88の間を連続して通過する。そのため、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87と、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88とによって、案内輪162は長い距離にわたって第二方向D2に案内される。したがって、分岐部70が第一方向D1や第二方向D2に長い場合であっても、車両10を安定して案内できる。
【0099】
また、第一補助固定ガイドレール84は、第二ガイドレール522の第二本線傾斜部5220と対向する第一出口傾斜部842を有している。第二補助固定ガイドレール88は、第一ガイドレール521の第一本線傾斜部5210と対向する第二出口傾斜部882を有している。そのため、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84の間や、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88の間から案内輪162が退出する際に、幅方向Dwにおいて車両10の反対側に位置する案内輪162は、第二ガイドレール522及び第一ガイドレール521に接触する状態となっている。その際に、第一補助固定ガイドレール84の屈曲点と第二ガイドレール522の屈曲点の位置が第一方向D1で重なっている。また、第二補助固定ガイドレール88の屈曲点と第一ガイドレール521の屈曲点の位置が第二方向D2で重なっている。このように、車両10に対して幅方向の両側で走行方向Daにおいて屈曲点が重なることで、第一出口傾斜部842及び第二出口傾斜部882が形成されている領域で、案内輪162とガイドレールとの隙間が広がること無い。その結果、車両10が幅方向Dwに大きく揺れることなく、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84の間や、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88の間から安定した状態で案内輪162を出させることができる。これにより、分岐部70から出る際に、車両10を安定して案内できる。
【0100】
また、逆方向からの車両10の進入に対し、第一入口傾斜部833及び第二入口傾斜部873と同様に、車両10が幅方向Dwに多少揺れた場合であっても、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間や、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に安定した状態で案内輪162を進入させることができる。これにより、分岐部70で車両10を安定して案内できる。
【0101】
また、一対のガイドレール52は、路盤Bから突出した位置に形成された走行面51aに対して幅方向Dwで隣接した位置で、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出するように配置されている。そのため、路盤Bに対して高い位置に形成された走行面51aから外れるように走行輪13が幅方向Dwにずれるような挙動があっても、走行輪13の側面がガイドレール52と接触する。その結果、走行輪13が走行面51aから外れて落ちてしまうことを防止することができる。したがって、案内装置16等の異常発生時において、走行輪13が走行面51aから外れて脱線することを防止する脱線防止ガードとしての機能もガイドレール52が果たし、安全性を向上させることができる。
【0102】
特に、ガイドレール52が断面L字状のレール状の部材とされることで、路盤Bに対してガイドレール52を設置するための他の部材を用意することがなく、ガイドレール52を路盤B上への設置性を確保できる。したがって、走行面51aに対して幅方向Dwで隣接した位置で、走行面51aに対して鉛直方向Dvの上方に突出させることが容易にできる。ガイドレール52を走行面51aから一定の高さに保持するための柱や金具等の他の部材を設置するスペースが不要となる。これにより、軌道50の幅方向Dwの大きさをより抑えることができ、軌道系交通システム全体としての設置コストの低減や設置工期の短縮をさらに図ることができる。
【0103】
また、分岐ガイド80は、走行方向Daから見た際に、矩形板状に形成されている。つまり、第一可動ガイドレール81、第一固定ガイドレール82、第一補助可動ガイドレール83、第一補助固定ガイドレール84、第二可動ガイドレール85、第二固定ガイドレール86、第二補助可動ガイドレール87、及び、第二補助固定ガイドレール88は、矩形板状に形成されている。これにより、H型鋼を使用した場合に比べて、分岐部70の必要幅を狭めることができる。
【0104】
また、駆動部91のロックバー913によって、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を第一状態又は第二状態で一時的に固定できる。つまり、ロックバー913によって、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、第二補助可動ガイドレール87を第一状態又は第二状態で固定できる。さらに、可動装置90,90Aにロック構造が設けられることとなり第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、第二補助可動ガイドレール87自体にロック構造を設ける必要が無い。これにより、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、第二補助可動ガイドレール87のそれぞれにロック構造を設けた場合に比べて分岐ガイド80の構造をシンプルにできる。したがって、分岐ガイド80の信頼性向上とコストの低減を図ることができる。
【0105】
また、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87は、走行面51a上から外れた位置に配置されている。つまり、分岐ガイド80は、走行路51と重ならない位置に配置されている。また、第一リンク部92及び第二リンク部93も走行面51a上から外れた位置に配置されている。さらに、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を移動させる駆動バー912及びロックバー913は、走行面51aよりも下側に形成された穴内に配置されている。したがって、分岐部70の走行面51a上にセンターガイド方式のように案内輪162を通過させるための溝や、駆動バー912及びロックバー913を挿通させるために走行面51aから窪む溝を設ける必要が無い。そのため、分岐部70で走行面51a上を走行輪13が通過する際に、走行輪13への溝の通過によるタイヤ構造への悪影響や溝の角からの損傷を低減し、走行輪13への負荷を軽減できる。これにより、走行輪13の寿命を延ばすことができ、安全性及び保守費用の低減を図ることができる。
【0106】
また、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87は、可動装置90,90Aによって同時に可動される。そのため、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87は、連動して動くこととなる。つまり、切り替え時のタイムラグが小さくなり、本線部60と分岐部70との間で、車両10の進行する軌道50を安定して切り替えることができる。
【0107】
また、転轍機911によって、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を第一状態又は第二状態に移動させるとともに、第一リンク部92で第一補助可動ガイドレール83を移動させ、第二リンク部93で第二補助可動ガイドレール87を移動させている。これにより、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の動きに連動して第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87を同時に可動できる。つまり、一つの転轍機911だけで、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を連動して動かすことができる。このように簡易な構造で、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を同時に動かすことができる。簡易な構造とすることで、分岐部70の信頼性向上とコストの低減を図ることができる。
【0108】
また、可動装置90では、第一リンク部92及び第二リンク部93により、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の可動量に対し、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の可動量が、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の板厚分以上に大きくされつつ、車両10が進入不能な状態の時に可動ガイドレールと補助可動ガイドレールとが干渉しない可動量となっている。そのため、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85において案内輪162と接触するガイド面での板厚を薄くすることなく、可動分岐ガイドの可動量を確保することで、分岐ガイド80において可動するレールの剛性を他のガイドレール52と同様に維持可能となる。これにより、分岐ガイド80の耐久性が得られ、保守性を向上させることができ、保守費用の低減を図ることができる。
【0109】
<第二実施形態>
次に、本開示に係る側方案内式の軌道系交通システムの第二実施形態について説明する。なお、以下に説明する第二実施形態の側方案内式の軌道系交通システム1Aにおいては、上記第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0110】
(可動装置の構成)
図5に示すように、第二実施形態の側方案内式の軌道系交通システム1Aでは、可動装置90Aの構造が第一実施形態と異なっている。第二実施形態の可動装置90Aは、第一駆動部95と、第二駆動部96とを有している。
【0111】
第一駆動部95は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を同時に可動させる。第一駆動部95は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を幅方向Dwに直接押圧して移動させる。本実施形態の第一駆動部95は、第一状態と第二状態とで第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を第一回転軸811及び第二回転軸851を中心に回転させるように移動させる。即ち、第一駆動部95は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85を同時に第一状態と第二状態とに切り替える。本実施形態の第一駆動部95は、転轍機911と、駆動バー912と、ロックバー913とを有している。
【0112】
第二駆動部96は、第一駆動部95に対して独立して駆動可能とされている。第二駆動部96は、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87を同時に可動させる。第二駆動部96は、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87を幅方向Dwに直接押圧して移動させる。本実施形態の第二駆動部96は、第一状態と第二状態とで第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87を第一補助回転軸831及び第二補助回転軸871を中心に回転させるように移動させる。即ち、第二駆動部96は、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87を同時に第一状態と第二状態とに切り替える。本実施形態の第二駆動部96は、第一駆動部95と同じ構成の転轍機911と、駆動バー912と、ロックバー913とを有している。
【0113】
転轍機911は、第一実施形態の転轍機911と同様の構造を有している。第一駆動部95の転轍機911と第二駆動部96の転轍機911とは、第一方向D1に並んで配置されている。第一駆動部95の転轍機911は、第二駆動部96の転轍機911に対して、第一方向D1の第一側Da1に離れて配置されている。第一駆動部95の転轍機911と第二駆動部96の転轍機911とは、幅方向Dwにおいて同じ側になるように、走行路51に対して幅方向Dwの他方側Dw2に配置されている。
【0114】
駆動バー912及びロックバー913は、接続先が異なる点以外は、第一実施形態の駆動バー912及びロックバー913と同様の構造を有している。第一駆動部95の駆動バー912及びロックバー913は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85に接続されている。第一駆動部95の駆動バー912及びロックバー913の先端は、第一可動ガイドレール81と回転可能な状態で接続されている。第一駆動部95の駆動バー912及びロックバー913は、その先端に対して転轍機911に近い位置で、第二可動ガイドレール85と回転可能な状態で接続されている。第二駆動部96の駆動バー912及びロックバー913は、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87に接続されている。第二駆動部96の駆動バー912及びロックバー913の先端は、第一補助可動ガイドレール83と回転可能な状態で接続されている。第二駆動部96の駆動バー912及びロックバー913は、その先端に対して転轍機911に近い位置で、第二補助可動ガイドレール87と回転可能な状態で接続されている。
【0115】
なお、第二実施形態の可動装置90Aにおいても、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の可動量に対し、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の可動量は、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の幅方向Dwの厚みよりも大きく、かつ、第一状態及び第二状態の中で車両10を案内不能な状態となった場合に、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85と重ならない大きさとなっている。
【0116】
次に、第二実施形態の可動装置90Aにおける第一状態及び第二状態の切り替えについて説明する。第二実施形態で分岐ガイド80は第一状態に切り替えられる場合、第一駆動部95及び第二駆動部96の転轍機911が同時に駆動される。第一駆動部95及び第二駆動部96の転轍機911によって、駆動バー912の先端が幅方向Dwにおいて最も転轍機911に寄った位置まで移動される。第一駆動部95の駆動バー912の移動に伴って、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85が転轍機911に引き寄せられるように幅方向Dwの他方側Dw2へ移動される。その結果、第一可動ガイドレール81は第一回転軸811を中心に反時計回りに回転し、第二可動ガイドレール85は第二回転軸851を中心に反時計回りに回転する。そのため、第一可動ガイドレール81は第一ガイドレール521と繋がった状態となる。また、第二可動ガイドレール85は第二ガイドレール522から離れた状態となる。また、第二駆動部96の駆動バー912の移動に伴って、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87が転轍機911に引き寄せられるように幅方向Dwの他方側Dw2へ移動される。その結果、第一補助可動ガイドレール83は第一補助回転軸831を中心に反時計回りに回転し、第二補助可動ガイドレール87は第二補助回転軸871を中心に反時計回りに回転する。そのため、第一補助可動ガイドレール83は案内輪162に接触可能な位置に移動される。また、第二補助可動ガイドレール87は案内輪162に接触不能な位置に移動される。これらにより、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87は、第一状態の位置に移動される。
【0117】
また、第二実施形態で分岐ガイド80は第二状態に切り替えられる場合も、第一駆動部95及び第二駆動部96の転轍機911が同時に駆動される。第一駆動部95及び第二駆動部96の転轍機911によって、駆動バー912の先端が幅方向Dwにおいて最も転轍機911から離れた位置まで移動される。第一駆動部95の駆動バー912の移動に伴って、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85が転轍機911から離れるように幅方向Dwの一方側Dw1へ移動される。その結果、第一可動ガイドレール81は第一回転軸811を中心に時計回りに回転し、第二可動ガイドレール85は第二回転軸851を中心に時計回りに回転する。そのため、第一可動ガイドレール81は第一ガイドレール521から離れた状態となる。また、第二可動ガイドレール85は第二ガイドレール522と繋がった状態となる。また、第二駆動部96の駆動バー912の移動に伴って、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87が転轍機911から離れるように幅方向Dwの一方側Dw1へ移動される。その結果、第一補助可動ガイドレール83は第一補助回転軸831を中心に時計回りに回転し、第二補助可動ガイドレール87は第二補助回転軸871を中心に時計回りに回転する。そのため、第一補助可動ガイドレール83は案内輪162に接触不能な位置に移動される。また、第二補助可動ガイドレール87は案内輪162に接触可能な位置に移動される。これらにより、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87は、第二状態の位置に移動される。
【0118】
(作用効果)
上記第二実施形態では、それぞれ転轍機911を有する第一駆動部95及び第二駆動部96によって、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の一組と、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の一組とがそれぞれ独立して動かされる。第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87の四つの可動するガイドを同時に動かす構造としないことで、部品数の少ない簡易な構造で、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を動かすことができる。部品数の少ない簡易な構造とすることで、保守性を向上させることができ、保守費用の低減を図ることができる。
【0119】
また、可動装置90では、第一駆動部95及び第二駆動部96により、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の可動量に対し、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の可動量が、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85の板厚分以上に大きくされつつ、車両10が進入不能な状態の時に可動ガイドレールと補助可動ガイドレールとが干渉しない可動量となっている。そのため、第一可動ガイドレール81及び第二可動ガイドレール85において案内輪162と接触するガイド面での板厚を薄くすることなく、可動分岐ガイドの可動量を確保することで、分岐ガイド80において可動するレールの剛性を他のガイドレール52と同様に維持可能となる。これにより、第二実施形態においても、分岐ガイド80の耐久性が得られ、保守性を向上させることができ、保守費用の低減を図ることができる。
【0120】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0121】
なお、上記実施形態では、分岐ガイド80は、第一固定ガイドレール82と、第一補助固定ガイドレール84と、第二固定ガイドレール86と、第二補助固定ガイドレール88とのように移動不能なガイドレール52を有していたが、このような構造に限定されるものではない。分岐部70の形状によっては、分岐ガイド80は、第一固定ガイドレール82、第一補助固定ガイドレール84、第二固定ガイドレール86、及び第二補助固定ガイドレール88を有していなくてもよい。また、分岐ガイド80は、第一固定ガイドレール82、第一補助固定ガイドレール84、第二固定ガイドレール86、及び第二補助固定ガイドレール88の一部のみを有していてもよい。
【0122】
また、一対のガイドレール52は、本実施形態のように、断面L字状のレール状の部材として、走行面51aに対して隣接した位置に配置される構造に限定されるものではない。一対のガイドレール52は、走行輪13に対して幅方向Dwの外側で、幅方向Dwにおける案内輪162の内側の側面に接触可能な構造であればよい。例えば、一対のガイドレール52は、走行面51aから一定の高さに保持するための柱や金具等の他の部材によって固定されたレール状の部材であってもよい。
【0123】
また、分岐ガイド80は、本実施形態のように、矩形板状に形成されたレール状の部材であることに限定されるものではない。分岐ガイド80は、走行輪13を幅方向Dwで挟み込んで案内できる構造であればよい。したがって、分岐ガイド80は、断面L字状や、断面H字状、断面I字状のレール状の部材であってもよい。
【0124】
また、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87は、第一入口傾斜部833や第二入口傾斜部873を有する構造に限定されるものではない。分岐部70の形状によっては、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87は、第一入口傾斜部833及び第二入口傾斜部873を有していなくてもよい。また、第一補助可動ガイドレール83及び第二補助可動ガイドレール87の一方のみが入口傾斜部を有していてもよい。
【0125】
また、第一補助固定ガイドレール84及び第二補助固定ガイドレール88は、第一出口傾斜部842や第二出口傾斜部882を有する構造に限定されるものではない。分岐部70の形状によっては、第一補助固定ガイドレール84及び第二補助固定ガイドレール88は、第一出口傾斜部842及び第二出口傾斜部882を有していなくてもよい。また、第一補助固定ガイドレール84及び第二補助固定ガイドレール88の一方のみが出口傾斜部を有していてもよい。
【0126】
また、可動装置90,90Aは、本実施形態のような構造に限定されるものではない。可動装置90,90Aは、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を可動させることができれば、どのような構造であってもよい。したがって、可動装置90,90Aは、本実施形態のように回転式の構造ではなく、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を幅方向Dwにスライド移動させる構造であってもよい。また、可動装置90,90Aは、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87をそれぞれ別々の転轍機911で可動させてもよい。また、可動装置90,90Aは、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83を一つの転轍機911で同時に可動させ、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87を独立した別の転轍機911で同時に可動させてもよい。
【0127】
<付記>
実施形態に記載の側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、例えば以下のように把握される。
【0128】
(1)第1の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、走行輪13及び案内輪162を有する車両10と、前記走行輪13が接触可能な走行路51と、前記走行路51の一部である本線走行路61を進行する前記車両10の進行先を切り換える分岐部70と、を有する軌道50と、を備え、前記本線走行路61は、前記車両10の進行する走行方向Daを案内し、前記車両10の幅方向Dwにおいて、前記走行輪13に対して外側で、前記案内輪162の内側に接触可能とされている一対のガイドレール52を有し、前記分岐部70は、前記本線走行路61と繋がり、第一方向D1に延びる第一走行路71と、前記本線走行路61と繋がり、前記第一方向D1と異なる第二方向D2に延びる第二走行路72と、前記車両10を前記第一走行路71又は前記第二走行路72に案内し、一部が可動可能な分岐ガイド80と、前記分岐ガイド80の一部を第一状態と第二状態との間で可動させる可動装置90,90Aとを有し、前記分岐ガイド80は、前記第一状態とされることで、前記案内輪162に接触して前記車両10を前記第一走行路71に案内可能とされ、前記第二状態とされることで、前記車両10を前記第一走行路71に案内不能とされる第一可動ガイドレール81及び前記第一可動ガイドレール81に対して前記幅方向Dwの外側に配置された第一補助可動ガイドレール83と、前記可動装置90,90Aによって前記第二状態とされた際に、前記案内輪162に接触して前記車両10を前記第二走行路72に案内可能とされ、前記第一状態とされることで、前記車両10を前記第二走行路72に案内不能とされる第二可動ガイドレール85及び前記第二可動ガイドレール85に対して前記幅方向Dwの外側に配置された第二補助可動ガイドレール87と、を有する。
【0129】
(2)第2の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)の側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記第一可動ガイドレール81は、前記第一状態とされた際に、前記幅方向Dwにおいて前記案内輪162の内側に接触可能とされ、前記第一補助可動ガイドレール83は、前記第一状態とされた際に、前記幅方向Dwにおいて前記案内輪162の外側に接触可能とされ、前記第二可動ガイドレール85は、前記第二状態とされた際に、前記幅方向Dwにおいて前記案内輪162の内側に接触可能とされ、前記第二補助可動ガイドレール87は、前記第二状態とされた際に、前記幅方向Dwにおいて前記案内輪162の外側に接触可能とされる。
【0130】
このような構造によれば、分岐部70において、車両10が第一走行路71に案内される際には、案内輪162の側面の内側が第一可動ガイドレール81に接触するとともに、その側面の外側が第一補助可動ガイドレール83に接触する。つまり、第一走行路71に車両10を案内する際には、一対の案内輪162のうちで幅方向Dwの片方の案内輪162のみを、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間を通過させることで、車両10を第一走行路71に案内できる。また、分岐部70において、車両10が第二走行路72に案内される際には、案内輪162の側面の内側が第二可動ガイドレール85に接触するとともに、その側面の外側が第二補助可動ガイドレール87に接触する。つまり、第二走行路72に車両10を案内する際には、一対の案内輪162のうちで、第一走行路71に車両10を案内する際には使用しなかった幅方向Dwの逆側の案内輪162のみを、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間を通過させることで、車両10を第二走行路72に案内できる。このように、分岐部70で車両10を異なる方向へ案内する際に、案内輪162のみによって、車両10を案内できる。これにより、車両10に分岐輪を設置する必要がなくなり、車両10のコストや保守費を抑えることができる。したがって、車両10をより簡易化した構造で本線部60だけでなく分岐部70を走行させることができる。
【0131】
(3)第3の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(2)の側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記第一可動ガイドレール81は、前記第一状態とされた際に、一方の前記ガイドレール52を延長させるように、一方の前記ガイドレール52に対して前記幅方向Dwで同じ位置に配置されて前記第一方向D1に延び、前記第一補助可動ガイドレール83は、前記第一状態とされた際に、前記第一可動ガイドレール81に対して前記幅方向Dwの外側に配置されて前記第一方向D1に延び、前記第二可動ガイドレール85は、前記第二状態とされた際に、他方の前記ガイドレール52を延長させるように、他方の前記ガイドレール52に対して前記幅方向Dwで同じ位置に配置されて前記第二方向D2に延び、前記第二補助可動ガイドレール87は、前記第二状態とされた際に、前記第二可動ガイドレール85に対して前記幅方向Dwの外側に配置されて前記第二方向D2に延びる。
【0132】
このような構造によれば、第一状態で、第一可動ガイドレール81は、第一ガイドレール521を延長させるように、第一ガイドレール521に対して幅方向Dwで同じ位置に配置されている。車両10が分岐部70に進入した際に、案内輪162が第一ガイドレール521から第一可動ガイドレール81へ接触していく過程でのガタツキを抑えることができる。加えて、この状態で、第一補助可動ガイドレール83は、第一可動ガイドレール81に対して幅方向Dwの外側に配置されている。したがって、ガタツキを抑えた状態で、案内輪162を第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間を通過させることができる。同様に、第二状態で、第二可動ガイドレール85は、第二ガイドレール522を延長させるように、第二ガイドレール522に対して幅方向Dwで同じ位置に配置されている。そのため、車両10が分岐部70に進入した際に、案内輪162が第二ガイドレール522から第二可動ガイドレール85へ接触していく過程でのガタツキを抑えることができる。加えて、この状態で、第二補助可動ガイドレール87は、第二可動ガイドレール85に対して幅方向Dwの外側に配置されている。したがって、ガタツキを抑えた状態で、案内輪162を第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間を通過させることができる。これにより、分岐部70での車両10の乗り心地を向上させることができる。
【0133】
(4)第4の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)から(3)のいずれか一つの側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記第一補助可動ガイドレール83及び前記第二補助可動ガイドレール87は、前記本線走行路61に近い端部に、前記本線走行路61に近づくにしたがって前記幅方向Dwの外側に向かうように傾斜する入口傾斜部を有する。
【0134】
このような構造によれば、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間や、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に、案内輪162が進入する際に、入口部分での幅方向Dwの間隔が入口傾斜部によって広げられた状態となっている。加えて、入口傾斜部が本線走行路61に近づくにしたがって幅方向Dwの外側に向かうように傾斜している。そのため、幅方向Dwの間隔は、入口部分が最も広くなっている。したがって、車両10が幅方向Dwに多少揺れた場合であっても、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間や、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に安定した状態で案内輪162を進入させることができる。これにより、分岐部70で車両10を安定して案内できる。
【0135】
(5)第5の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)から(4)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記分岐ガイド80は、前記第一方向D1において、前記本線走行路61よりも前記第一走行路71に近い位置で前記第一方向D1に延びて移動不能に固定とされ、前記第一可動ガイドレール81が回転可能に接続された第一固定ガイドレール82と、前記第一方向D1において、前記本線走行路61よりも前記第一走行路71に近い位置で前記第一方向D1に延びて移動不能に固定とされ、前記第一補助可動ガイドレール83が回転可能に接続された第一補助固定ガイドレール84と、前記第二方向D2において、前記本線走行路61よりも前記第二走行路72に近い位置で前記第二方向D2に延びて移動不能に固定とされ、前記第二可動ガイドレール85が回転可能に接続された第二固定ガイドレール86と、前記第二方向D2において、前記本線走行路61よりも前記第二走行路72に近い位置で前記第二方向D2に延びて移動不能に固定とされ、前記第二補助可動ガイドレール87が回転可能に接続された第二補助固定ガイドレール88と、をさらに有する。
【0136】
このような構造によれば、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間に進入した案内輪162は、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84の間を連続して通過する。そのため、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83と、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84とによって、案内輪162は長い距離にわたって第一方向D1に案内される。同様に、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に進入した案内輪162は、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88の間を連続して通過する。そのため、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87と、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88とによって、案内輪162は長い距離にわたって第二方向D2に案内される。したがって、分岐部70が第一方向D1や第二方向D2に長い場合であっても、車両10を安定して案内できる。
【0137】
(6)第6の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)から(5)のいずれか一つの側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記第一補助固定ガイドレール84及び前記第二補助固定ガイドレール88は、前記第一走行路71又は前記第二走行路72に近い端部に、前記第一走行路71又は前記第二走行路72に近づくにしたがって前記幅方向Dwの内側に向かうように傾斜する出口傾斜部を有し、一対の前記ガイドレール52は、前記第二走行路72において前記第一補助固定ガイドレール84の一部と前記幅方向Dwで対向する第一ガイドレール521と、前記第一走行路71において前記第二補助固定ガイドレール88の一部と前記幅方向Dwで対向する第二ガイドレール522とを有し、前記第一ガイドレール521及び第二ガイドレール522は、前記出口傾斜部と対向する位置に前記幅方向Dwの内側に向かうように傾斜する本線傾斜部を有し、鉛直方向Dvから見た際に、前記本線傾斜部の始点と、前記出口傾斜部の始点とは前記走行方向Daにおいて同じ位置となっている。
【0138】
このような構造によれば、第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84の間や、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88の間から案内輪162が退出する際に、車両10の反対側の案内輪162は第二ガイドレール522及び第一ガイドレール521に接触する状態にあり、左右の傾斜部の屈曲点が重なることで、傾斜部による案内輪162とガイドレールとの隙間が広がること無く、又車両10が幅方向に大きく揺れることなく第一固定ガイドレール82及び第一補助固定ガイドレール84の間や、第二固定ガイドレール86及び第二補助固定ガイドレール88の間から安定した状態で案内輪162を出させることができる。これにより、分岐部70から出る際に、車両10を安定して案内できる。また、逆方向からの車両の進入に対し、第3の態様と同様に車両10が幅方向Dwに多少揺れた場合であっても、第一可動ガイドレール81及び第一補助可動ガイドレール83の間や、第二可動ガイドレール85及び第二補助可動ガイドレール87の間に安定した状態で案内輪162を進入させることができる。これにより、分岐部70で車両10を安定して案内できる。
【0139】
(7)第7の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)から(6)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記走行路51において、前記走行輪13が接触する走行面51aは、路盤Bに対して鉛直方向Dvの上方に位置し、前記ガイドレール52は、前記走行面51aに対して前記幅方向Dwに隣接し、前記走行面51aに対して前記鉛直方向Dvの上方に突出している。
【0140】
このような構造によれば、路盤Bに対して高い位置に形成された走行面51aから外れるように走行輪13が幅方向Dwにずれるような挙動があっても、走行輪13の側面がガイドレール52と接触する。その結果、走行輪13が走行面51aから外れて落ちてしまうことを防止できる。したがって、案内装置16等の異常発生時において、走行輪13が走行面51aから外れて脱線することを防止する脱線防止ガードとしての機能もガイドレール52が果たし、安全性を向上させることができる。
【0141】
(8)第8の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)から(7)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記第一可動ガイドレール81、前記第一補助可動ガイドレール83、前記第二可動ガイドレール85、及び前記第二補助可動ガイドレール87は、前記走行方向Daから見た際に、矩形板状に形成されている。
【0142】
このような構造によれば、H型鋼を使用した場合に比べて、分岐部70の必要幅を狭めることができる。
【0143】
(9)第9の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1,1Aは、(1)から(8)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1,1Aであって、前記分岐ガイド80は、鉛直方向Dvから見た際に、前記走行路51と重ならない位置に配置されている。
【0144】
このような構造によれば、分岐部70の走行面51a上にセンターガイド方式のように案内輪162を通過させるための溝を設ける必要が無い。そのため、分岐部70で走行面51a上を走行輪13が通過する際に、走行輪13への溝の通過によるタイヤ構造への悪影響や溝の角からの損傷を低減し、走行輪13への負荷を軽減できる。これにより、走行輪13の寿命を延ばすことができ、安全性及び保守費用の低減を図ることができる。
【0145】
(10)第10の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1は、(1)から(9)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1であって、前記可動装置90,90Aは、前記第一可動ガイドレール81、前記第一補助可動ガイドレール83、前記第二可動ガイドレール85、及び前記第二補助可動ガイドレール87を同時に可動させる。
【0146】
このような構造によれば、切り替え時のタイムラグが小さくなり、本線部60と分岐部70との間で、車両10の進行する軌道50を安定して切り替えることができる。
【0147】
(11)第11の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1Aは、(1)から(9)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1Aであって、前記可動装置90,90Aは、前前記第一可動ガイドレール81及び前記第二可動ガイドレール85を同時に可動させる第一駆動部95と、前記第一駆動部95に対して独立して駆動可能とされ、前記第一補助可動ガイドレール83及び前記第二補助可動ガイドレール87を同時に可動させる第二駆動部96とを有している。
【0148】
このような構造によれば、四つの可動するガイドを同時に動かす構造としないことで、部品数の少ない簡易な構造で、第一可動ガイドレール81、第二可動ガイドレール85、第一補助可動ガイドレール83、及び第二補助可動ガイドレール87を動かすことができる。部品数の少ない簡易な構造とすることで、保守性を向上させることができ、保守費用の低減を図ることができる。
【0149】
(12)第12の態様に係る側方案内式の軌道系交通システム1Aは、(1)から(11)の何れか一つの側方案内式の軌道系交通システム1Aであって、前記可動装置90,90Aでは、前記第一可動ガイドレール81及び前記第二可動ガイドレール85の可動量に対し、前記第一補助可動ガイドレール83及び前記第二補助可動ガイドレール87の可動量は、前記第一可動ガイドレール81及び前記第二可動ガイドレール85の前記幅方向Dwの厚みよりも大きく、かつ、前記車両10を案内不能な状態で前記第一可動ガイドレール81及び前記第二可動ガイドレール85と重ならない大きさとなっている。
【0150】
このような構造によれば、可動ガイドレールのガイド面の板厚を薄くすることなく可動分岐ガイドの可動量を確保することで、可動分岐ガイドレールの剛性を他のガイドレールと同様に維持可能となるため、耐久性が得られ保守性を向上させることができ、保守費用の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0151】
1,1A…軌道系交通システム
10…車両
11…車体
13…走行輪
13A…第一走行輪
13B…第二走行輪
16…案内装置
161…案内枠
162…案内輪
18…直進復元装置
50…軌道
B…路盤
51…走行路
51a…走行面
52…ガイドレール
521…第一ガイドレール
5210…第一本線傾斜部(本線傾斜部)
522…第二ガイドレール
5220…第二本線傾斜部(本線傾斜部)
53…電車線
60…本線部
61…本線走行路
70…分岐部
71…第一走行路
72…第二走行路
80…分岐ガイド
81…第一可動ガイドレール
811…第一回転軸
82…第一固定ガイドレール
83…第一補助可動ガイドレール
831…第一補助回転軸
832…第一補助可動ガイド本体
833…第一入口傾斜部
84…第一補助固定ガイドレール
841…第一補助固定ガイド本体
842…第一出口傾斜部
85…第二可動ガイドレール
851…第二回転軸
86…第二固定ガイドレール
87…第二補助可動ガイドレール
871…第二補助回転軸
872…第二補助可動ガイド本体
873…第二入口傾斜部
88…第二補助固定ガイドレール
881…第二補助固定ガイド本体
882…第二出口傾斜部
90,90A…可動装置
91…駆動部
911…転轍機
912…駆動バー
913…ロックバー
92…第一リンク部
921…第一回転ロッド
922…第一主接続ロッド
923…第一副接続ロッド
93…第二リンク部
931…第二回転ロッド
932…第二主接続ロッド
933…第二副接続ロッド
95…第一駆動部
96…第二駆動部
De…延伸方向
D1…第一方向
D2…第二方向
Da…走行方向
Da1…第一側
Da2…第二側
Dw…幅方向
Dw1…一方側
Dw2…他方側
Dv…鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5