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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170889
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ブロー成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20241204BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20241204BHJP
   B29C 49/78 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/04
B29C49/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087642
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】711011386
【氏名又は名称】株式会社タハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】山元 崇史
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AJ08
4F208AP02
4F208AP10
4F208AR11
4F208LA01
4F208LA07
4F208LB01
4F208LD16
4F208LG04
4F208LG22
4F208LJ09
(57)【要約】
【課題】放出工程の時間短縮が図れるブロー成形機を提供する。
【解決手段】本発明に係るブロー成形機は、供給ラインLsの第1電磁弁SV1が開き、循環ラインLc及び放出ラインLrの第2,第3電磁弁SV2,SV3が閉じる吹込工程と、供給ラインLs及び循環ラインLcの第1、第2電磁弁SV1,SV2が開き、放出ラインLrの第3電磁弁SV3が閉じる第1循環工程と、供給ラインLs、循環ラインLc及び放出ラインLrの第1、第2、第3電磁弁SV1,SV2,SV3が開く第2循環工程と、供給ラインLsの第1電磁弁SV1が閉じ、循環ラインLc及び放出ラインLrの第2、第3電磁弁SV2,SV3が開く放出工程と、を実施する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヘッドから垂下し成形金型に収容されたパリソンに圧縮エアを供給するエアの供給ラインと、
前記パリソンの内部のエアを排出するエアの排出ラインと、
前記排出ラインから分岐して設けられ、エアの流量調整弁を有し、前記パリソンの内部のエアの循環に供するエアの循環ラインと、
前記排出ラインから分岐して設けられ、前記パリソンの内部のエアを放出させるエアの放出ラインと、
前記供給ライン、前記循環ライン及び前記放出ラインに設けられた各ライン開閉用の電磁弁と、
を備え、
前記パリソンを前記成形金型によって賦形するため、前記供給ラインの電磁弁が開き、前記循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が閉じる吹込工程と、
前記パリソンの内部のエアを入れ替えるため、前記供給ライン及び前記循環ラインの電磁弁が開き、前記放出ラインの電磁弁が閉じる第1循環工程と、
前記パリソンの内部の圧力を低下させるため、前記供給ライン、前記循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が開く第2循環工程と、
前記パリソンの内部のエアを放出するため、前記供給ラインの電磁弁が閉じ、前記循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が開く放出工程と、
を実施することを特徴とするブロー成形機。
【請求項2】
請求項1に記載のブロー成形機であって、
前記循環ラインは、それぞれ前記電磁弁を備えた複数の循環ラインである、第1循環ラインと、第2循環ラインと、を有し、
前記供給ラインの電磁弁が開き、前記第1循環ライン、前記第2循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が閉じる吹込工程と、
前記供給ライン及び前記第1循環ラインの電磁弁が開き、前記第2循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が閉じる第1循環工程と、
前記供給ライン、前記第1循環ライン及び前記第2循環ラインの電磁弁が開き、前記放出ラインの電磁弁が閉じる第2循環工程と、
前記供給ラインの電磁弁が閉じ、前記第1循環ライン、前記第2循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が開く放出工程と、
を実施することを特徴とするブロー成形機。
【請求項3】
請求項1に記載のブロー成形機であって、
前記電磁弁の開閉タイミングを入力可能な操作部を備え、
前記流量調整弁は、電気信号により開度を自由に調整可能であり、
前記流量調整弁の開度は、前記操作部への入力によって任意のタイミングに変更できる、
ことを特徴とするブロー成形機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のブロー成形機であって、
前記パリソンの内部のエア圧を検知可能な検知部を有する、
ことを特徴とするブロー成形機。
【請求項5】
請求項4に記載のブロー成形機であって、
前記第1循環工程において前記パリソンの内部のエア圧が下がり切って定常状態となる第1定常時間と、前記第2循環工程において前記パリソンの内部のエア圧が下がり切って定常状態となる第2定常時間を計測する工程と、
前記第1定常時間がゼロでない場合、前記第1循環工程を実施する第1循環工程実施時間を前記第1定常時間の分だけ減少させると共に、前記第2循環工程を実施する第2循環工程実施時間を前記第1定常時間の分だけ増加させる工程と、
前記第2定常時間がゼロでない場合、前記第1循環工程実施時間を前記第2定常時間の分だけ増加させると共に、前記第2循環工程実施時間を前記第2定常時間の分だけ減少させる工程と、
を実施することを特徴とするブロー成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブロー成型機の一例として、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
概略を説明すれば、このブロー成形機は、ブロー成形サイクルとして、吹込工程と、循環工程と、放出工程と、を含み、吹込工程、循環工程、放出工程と遷移する。なお、吹込工程では、金型によって挟み込まれたパリソンの内部にエアを吹き込む。循環工程では、成形品に対してエアを吹き込みつつ、当該吹き込まれたエアを排出することによって、成形品の内部にエアを循環させる。放出工程は、エアの吹き込みを停止し、成形品の内部のエアの排出のみを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-086319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のブロー成形機は、循環工程の後、直ちに放出工程へと移行する。このため、放出工程において、パリソンの内部の圧力が高いので、エアの排出によって前記パリソンの内部の圧力を大気圧近くまで下げるのに時間がかかってしまい、生産性が低下してしまうおそれがある点で、改善の余地が残されていた。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来のブロー成形機の技術的課題に鑑みて案出されたものであり、放出工程の時間の短縮を図ることができるブロー成形機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るブロー成形機は、その一態様として、ダイヘッドから垂下し成形金型に収容されたパリソンに圧縮エアを供給するエアの供給ラインと、前記パリソンの内部のエアを排出するエアの排出ラインと、前記排出ラインから分岐して設けられ、エアの流量調整弁を有し、前記パリソンの内部のエアの循環に供するエアの循環ラインと、前記排出ラインから分岐して設けられ、前記パリソンの内部のエアを放出させるエアの放出ラインと、前記供給ライン、前記循環ライン及び前記放出ラインに設けられた各ライン開閉用の電磁弁と、を備え、前記パリソンを前記成形金型によって賦形するため、前記供給ラインの電磁弁が開き、前記循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が閉じる吹込工程と、前記パリソンの内部のエアを入れ替えるため、前記供給ライン及び前記循環ラインの電磁弁が開き、前記放出ラインの電磁弁が閉じる第1循環工程と、前記パリソンの内部の圧力を低下させるため、前記供給ライン、前記循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が開く第2循環工程と、前記パリソンの内部のエアを放出するため、前記供給ラインの電磁弁が閉じ、前記循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が開く放出工程と、を実施することを特徴としている。
【0008】
このように、本発明によれば、供給ライン及び循環ラインの電磁弁を開き、放出ラインの電磁弁を閉じる第1循環工程と、供給ライン、循環ライン及び放出ラインの電磁弁を開く第2循環工程とが設けられている。すなわち、ブロー成形の初期段階では、第1循環工程として放出ラインを閉じることによってパリソンの内部を高圧に保つ一方、ブロー成形の終盤段階では、第2循環工程として放出ラインを開放してパリソンの内部を低圧にすることにより、成形金型の転写性を保ちつつ、パリソンの内部圧力の排出にかかる時間を短縮することができる。
【0009】
また、本願発明では、供給ライン、循環ライン及び放出ラインの構成自体は変更しないため、従来のブロー成形機の機械的な構成を変更する必要がなく、設備投資費用を抑制することができる。
【0010】
また、前記ブロー成形機の別の態様として、前記循環ラインは、それぞれ前記電磁弁を備えた複数の循環ラインである、第1循環ラインと、第2循環ラインと、を有し、前記供給ラインの電磁弁が開き、前記第1循環ライン、前記第2循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が閉じる吹込工程と、前記供給ライン及び前記第1循環ラインの電磁弁が開き、前記第2循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が閉じる第1循環工程と、前記供給ライン、前記第1循環ライン及び前記第2循環ラインの電磁弁が開き、前記放出ラインの電磁弁が閉じる第2循環工程と、前記供給ラインの電磁弁が閉じ、前記第1循環ライン、前記第2循環ライン及び前記放出ラインの電磁弁が開く放出工程と、を実施することが望ましい。
【0011】
このように、本発明によれば、循環ラインが複数設けられている。このため、複数の循環ラインの電磁弁を開閉制御することにより、第1循環工程及び第2循環工程におけるパリソンの内部圧力をより的確に設定することが可能となる。これにより、パリソンの内部圧力の排出にかかる時間をより効果的に短縮することができる。
【0012】
また、前記ブロー成形機のさらに別の態様として、前記電磁弁の開閉タイミングを入力可能な操作部を備え、前記流量調整弁は、電気信号により開度を自由に調整可能であり、前記流量調整弁の開度は、前記操作部への入力によって任意のタイミングに変更できることが望ましい。
【0013】
このように、本発明によれば、循環ラインにおける流量調整弁の開度が、操作部に対する事前の入力により成形サイクルの任意のタイミングで変更可能となっている。換言すれば、流量調整弁の開度を制御することにより、第1循環工程及び第2循環工程からなる複数の循環工程を実行することが可能となっている。これにより、電気的に流量調整弁の開度を調整するという比較的簡素な構成でもってパリソンの内部圧力を一層的確に設定可能となり、パリソンの内部圧力の排出にかかる時間を一層効果的に短縮することができる。
【0014】
また、前記ブロー成形機のさらに別の態様として、前記パリソンの内部のエア圧を検知可能な検知部を有することが望ましい。
【0015】
このように、本発明によれば、パリソンの内部圧力を検知可能な検知部が設けられている。これにより、ブロー成形機のオペレータは、検知部の結果に応じて流量調整弁の開度量や各工程の切替タイミングを正確に設定することが可能となり、パリソンの内部圧力の排出にかかる時間を最も効果的に短縮することができる。
【0016】
また、前記ブロー成形機のさらに別の態様として、前記第1循環工程において前記パリソンの内部のエア圧が下がり切って定常状態となる第1定常時間と、前記第2循環工程において前記パリソンの内部のエア圧が下がり切って定常状態となる第2定常時間を計測する工程と、前記第1定常時間がゼロでない場合、前記第1循環工程を実施する第1循環工程実施時間を前記第1定常時間の分だけ減少させると共に、前記第2循環工程を実施する第2循環工程実施時間を前記第1定常時間の分だけ増加させる工程と、前記第2定常時間がゼロでない場合、前記第1循環工程実施時間を前記第2定常時間の分だけ増加させると共に、前記第2循環工程実施時間を前記第2定常時間の分だけ減少させる工程と、を実施することが望ましい。
【0017】
このように、本発明によれば、第2定常時間がゼロでない場合に、この第2定常時間の分だけ第2循環工程実施時間を減少させると共に、この減少させた第2定常時間の分だけ第1循環工程実施時間を増加させる。すなわち、第2定常時間を計測して、第2循環工程実施時間から第2定常時間を削減することにより、第2循環工程実施時間が自動的に最適化され、作業者が第2循環工程実施時間を手動によって調整する必要がない。これにより、第2循環工程実施時間が効率的に調整され、第1循環工程実施時間と第2循環工程実施時間とを短時間で適切に分配することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブロー成形の初期段階では、第1循環工程として放出ラインを閉じて成形品の内部を高圧に保ち、ブロー成形の終盤段階では、第2循環工程として放出ラインを開放して成形品の内部を低圧にする。これにより、成形金型の転写性を保ちつつ、成形品内部のエアの排出にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るブロー成形機の正面図である。
図2】本発明に係るブロー成形機の側面図である。
図3】本発明に係るブロー成形機のブローピンの軸方向に沿って切断した断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るブロー成形機の空圧回路図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るブロー成形機の空圧回路のバルブ開閉制御に係るブロック図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るブロー成形機の制御フローチャートである。
図7】本発明に係るブロー成形機の成形サイクルにおけるパリソン内部のエア圧の状態を示すグラフである。
図8】本発明に係るブロー成形機の成形サイクルのタイムチャートを示し、(a)は従来のブロー成形機の成形サイクルのタイムチャート、(b)は本発明に係るブロー成形機の成形サイクルのタイムチャートである。
図9】本発明の第1実施形態に係るブロー成形機の制御方法の他例を示す制御フローチャートである。
図10】本発明の第2実施形態に係るブロー成形機の空圧回路のバルブ開閉制御に係るブロック図である。
図11】本発明の第2実施形態に係るブロー成形機の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るブロー成形機の実施形態について、図面に基づいて詳述する。
【0021】
[第1実施形態]
(ブロー成形機の構成)
図1は、本発明に係るブロー成形機の正面図を示している。図2は、本発明に係るブロー成形機の側面図を示している。
【0022】
例えば図1図2に示すように、本発明に係るブロー成形機は、合成樹脂を溶融して押し出す押出機1と、押出機1の先端部に設けられ、筒状のパリソンPを垂下させるダイヘッド2と、パリソンPを中空成形品に成形する成形金型3と、成形金型3を開閉及び型締する型締装置4と、垂下したパリソンPを所定の長さに切断するパリソン切断装置5と、成形金型3を所定の位置間で往復移送する金型移送装置6と、成形金型3に収容されたパリソンPの内部に圧縮エアを供給するエア吹込装置7と、成形された成形品Sを取り出す取出装置8と、を備えている。
【0023】
すなわち、ブロー成形機では、ダイヘッド2から押し出されて垂下したパリソンPが開放された成形金型3に収容され、当該型締装置4により型締された状態のまま、金型移送装置6によりエア吹込装置7の直下に移送される。エア吹込装置7は、図示外のブローピンを下降させて成形金型3内に挿入し、成形金型3内のパリソンPに圧縮エアを吹き込むことによって、膨張したパリソンPを成形金型3内に形成されたキャビティに圧接させて成形品Sを成形する。そして、成型金型3が開放された状態で原位置であるダイヘッド2の直下に移動する一方、ブローピンが成形品Sを吊り下げ、取出装置8がブローピンから成形品Sを取り出して外部へ搬出する。
【0024】
図3は、本発明に係るブロー成形機のブローピン70の軸方向に沿って切断した断面図を示している。
【0025】
図3に示すように、エア吹込装置7は、図示外の駆動装置によって昇降可能に設けられた中空状のブローピン70を備える。ブローピン70は、鉛直方向に沿って延びる円筒状を呈し、パリソンPの内部に圧縮エアを吹き込むための吹込管71と、パリソンPの内部に供給されたエアを排出する排出管72と、を有する。
【0026】
吹込管71は、上下に開口する円管状を呈し、ブローピン70の軸中心Zに沿って配置される。吹込管71の上端部には、例えばエアコンプレッサーなど図示外の空圧源に接続される供給ラインLsが接続される。また、吹込管71の下端部は、ブローピン70の下端部から露出し、成形金型3内に形成されるキャビティCの中心部に臨む。こうして、供給ラインLsを介して供給される圧縮エアが、吹込管71の内部に形成される供給通路710を通じて成形金型3のキャビティC内に収容されるパリソンPの内部に吹き込まれる。
【0027】
排出管72は、上下に開口する円管であり、吹込管71の外径よりも大きな内径を有していて、ブローピン70の軸中心Zに沿って配置され、吹込管71の外周側に重ねる二重管状に配置されることで、吹込管71との間に排出通路720を構成する。そして、排出管72は、下端部がブローピン70の下端部から成形金型3内に形成されるキャビティCに臨む一方、上端部が排出ラインLdに接続される。こうして、成形金型3のキャビティC内に収容されるパリソンPの内部に吹き込まれたエアが、排出通路720を通じて排出ラインLdへと導かれる。
【0028】
図4は、本発明の第1実施形態に係るブロー成形機のブロー成形に係る空圧回路図を示している。
【0029】
図4に示すように、本実施形態に係るブロー成形機は、エアコンプレッサーなどのエア供給源ASよりパリソンPの内部に圧縮エアを供給する供給ラインLsと、パリソンPの内部のエアを排出する排出ラインLdと、を備えている。また、排出ラインLdは、下流側が、流量調整弁CVが配置される循環ラインLcと、流量調整弁CVが配置されない放出ラインLrと、に分岐している。
【0030】
供給ラインLsは、エア供給源ASからの圧縮エアの圧力(エア圧)を調整するレギュレータRGと、レギュレータRGの下流側に設けられ、供給ラインLsを開閉制御する第1電磁弁SV1と、第1電磁弁SV1の下流側に接続され、エア圧を計測する圧力計PGと、を備えている。すなわち、供給ラインLsでは、エア供給源ASから供給されたエア圧が、レギュレータRGによって任意の圧力(例えば0.2~1.5MPa)に調整され、第1電磁弁SV1が開弁することによりパリソンPの内部に供給される。
【0031】
循環ラインLcは、循環ラインLcを開閉制御する第2電磁弁SV2と、第2電磁弁SV2の下流側に設けられ、圧縮エアの流量を計測する流量計FGと、流量計FGの下流側に設けられ、圧縮エアの流量を調整する流量調整弁CVと、流量調整弁CVの下流側であって循環ラインLcの末端に設けられたフィルタAFと、を備えている。すなわち、循環ラインLcでは、流量計FGの計測値に基づいて流量調整弁CVの開度が調整されることにより、パリソンPの内部を通過するエアの流量が制御される。
【0032】
なお、流量調整弁CVは、例えばボールバルブなど、手動で調整可能な弁を採用することもできるが、本実施形態のように、例えば比例制御弁など、自動で調整可能な弁を用いることが望ましい。すなわち、流量調整弁CVとして、例えば比例制御弁のような自動調整可能な弁を用いることで、よりきめ細かな流量制御を行うことができる。
【0033】
放出ラインLrは、放出ラインLrを開閉制御する第3電磁弁SV3と、第3電磁弁SV3の下流側であって放出ラインLrの末端に設けられたフィルタAFと、を備えている。
【0034】
図5は、本発明の第1実施形態に係るブロー成形機の空圧回路のバルブ開閉制御に係るブロック図を示している。
【0035】
図5に示すように、本実施形態に係るブロー成形機は、ブロー成形の工程の切替制御を司る制御部としてのプログラマブル・ロジック・コントローラPC(以下「コントローラPC」と略称する。)と、表示画面DMが一体に設けられ、コントローラPCの操作に供する操作部OPと、を備えている。
【0036】
コントローラPCは、供給ラインLs、循環ラインLc及び放出ラインLrに設けられた第1電磁弁SV1、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3と、供給ラインLsに設けられた圧力計PGと、循環ラインLcに配置された流量調整弁CVとに、電気的に接続されている。すなわち、コントローラPCは、操作部OPを介して入力された時間等に基づいて第1電磁弁SV1、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3の開閉制御を行うことによって、ブロー成形の各工程の切替制御を行う。また、コントローラPCは、操作部OPを介して入力された入力値に基づいて流量調整弁CVの開度を自動的に調整し、パリソンPの内部を通過するエアの流量を制御する。
【0037】
操作部OPは、例えばタッチパネル操作が可能な表示画面MDを一体に有していて、コントローラPCに対するブロー成形の各工程の実施時間や、流量調整弁CVの開度の入力に供する。すなわち、操作部OPを操作することにより、ブロー成形の各工程の実施時間や流量調整弁CVの開度を任意に変更可能となっている。
【0038】
(ブロー成形機の制御方法)
図6は、本実施形態のブロー成形機のブロー成形に係る制御フローチャートを示している。
【0039】
図6に示すように、本実施形態に係るブロー成形機によるブロー成形では、まず、吹込工程の開始指令が出力され(ステップS1)、第1電磁弁SV1が開弁制御されると共に、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3が閉弁制御される(ステップS2)。すなわち、この吹込工程では、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3が閉じられ、第1電磁弁SV1のみが開くことで、パリソンPの内部に圧縮エアが吹き込まれて、パリソンPを賦形すると共に、当該パリソンPの外面を成形金型3の内面に転写する。また、この際、パリソンPは、冷却水により冷却された成形金型3の内面に圧接することで、パリソンPの外面が冷却される。
【0040】
続いて、ステップS2の後、第1循環工程の開始指令が出力され(ステップS3)、第1電磁弁SV1及び第2電磁弁SV2が開弁制御されると共に、第3電磁弁SV3が閉弁制御される(ステップS4)。すなわち、この第1循環工程では、供給ラインLsに加えて循環ラインLcを開くことによって、パリソンPの内部に供給されたエアの一部が、循環ラインLcを通じて大気に放出される。これにより、パリソンPの内部圧力が低下すると共に、パリソンPの内部のエアの入れ替えによりパリソンPの内面が冷却される。このように、第1循環工程では、放出ラインLrを閉じてエアの放出量を制限することにより、パリソンPの内部の圧力が比較的高く維持されて、パリソンPの外面の良好な転写性を確保することができる。また、供給ラインLsと循環ラインLcを開いてパリソンPの内部のエアを循環させることにより、パリソンPの内面の冷却を図ることができる。
【0041】
続いて、ステップS4の後、第2循環工程の開始指令が出力され(ステップS5)、第1電磁弁SV1、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3が開弁制御される(ステップS6)。すなわち、この第2循環工程では、第1循環工程で開いていた供給ラインLs及び循環ラインLcに加えて放出ラインLrについても開放することにより、パリソンPの内部圧力の排出量が増加し、第1循環工程よりもさらにパリソンPの内部圧力が低下する。これにより、放出工程に移行した際のパリソンPの内部圧力がさらに低下し、パリソンPの内部圧力を速やかに排出することが可能となる。また、第2循環工程では、第1循環工程での冷却によって第1循環工程よりもパリソンPが固化した状態となっているため、パリソンPの外面に対する刻印等の転写は概ね完了しており、放出ラインLrの開放によりパリソンPの内部圧力を低下させても、パリソンPの外面の転写性を損なうおそれがない。
【0042】
続いて、ステップS6の後、放出工程の開始指令が出力され(ステップS7)、第1電磁弁SV1が閉弁制御されると共に、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3が開弁制御される(ステップS8)。すなわち、この放出工程では、第1電磁弁SV1が閉じられ、第2電磁弁SV2及び第3電磁弁SV3のみを開くことにより、パリソンPの内部圧力を大気圧程度まで低下させる。これにより、成形金型3の型開きの際に、成形品Sが吹き飛んだり破裂したりする不具合を防止することができる。
【0043】
(ブロー成形機の成形サイクル)
図7は、本実施形態に係るブロー成形機の成形サイクルにおけるパリソンの内部の圧力の状態を示すグラフを示している。なお、図7に示すグラフでは、実線が本実施形態に係るブロー成型時のエア圧を示し、破線が従来技術に係るブロー成形時のエア圧を示している。
【0044】
図7に破線で示すように、従来技術に係るブロー成形では、吹込工程において、時間の経過に比例するかたちでパリソンPの内部圧力がレギュレータRGの設定圧(本実施形態では700kPa)まで概ね線型的に上昇し、パリソンPの内部に圧縮エアが充満していく。続いて、循環ラインLcが開弁し、放出ラインLrが閉弁する循環工程に移行すると、循環ラインLcの開放により、およそ630kPa程度まで、当該循環ラインLcの開放分だけパリソンPの内部圧力が低下する。その後、供給ラインLsが閉弁し、循環ラインLc及び放出ラインLrが開弁する放出工程に移行し、パリソンPの内部圧力が大気圧程度(およそ100kPa)まで低下する。このように、従来のブロー成形では、パリソンPに対する良好な転写性を考慮して、循環工程でのパリソンPの内部圧力が比較的高く維持される。このため、放出工程におけるパリソンPの内部圧力の排出に比較的長い時間を要していた。
【0045】
これに対し、図7に実線で示すように、本実施形態に係るブロー成形では、吹込工程にてパリソンPの内部圧力がレギュレータRGの設定圧まで上昇した後、まず循環工程の第1段階である第1循環工程へと移行する。この第1循環工程では、第1電磁弁SV1及び第2電磁弁SV2が開弁し、第3電磁弁SV3が閉弁することで、前記従来の循環工程と同様、およそ630kPa程度まで循環ラインLcの開放分だけパリソンPの内部圧力が低下する。すなわち、この第1循環工程では、パリソンPの内部圧力を比較的高く維持することにより、パリソンPに対する良好な転写性が確保される。換言すれば、パリソンPに対する良好な転写は第1循環工程にて概ね完了する。
【0046】
続いて、所定時間が経過して第1循環工程が完了すると、循環工程の第2段階である第2循環工程へと移行する。この第2循環工程では、第1電磁弁SV1及び第2電磁弁SV2に加えて第3電磁弁SV3が開弁することにより、およそ530kPa近傍まで、放出ラインLrの開放分だけ第1循環工程よりもさらにパリソンPの内部圧力が低下する。すなわち、パリソンPに対する転写が概ね完了した当該第2循環工程では、放出工程に先駆けて、パリソンPの内部圧力の低下をさらに促進させる。これにより、供給ラインLsが閉弁し、循環ラインLc及び放出ラインLrが開弁する放出工程に移行した後、当該放出工程において、パリソンPの内部圧力が大気圧程度まで低下する時間を、図7に示す差分Xの分だけ前記従来のブロー成形よりも短縮することができる。
【0047】
なお、第1循環工程を実施する第1循環工程実施時間tc1と、第2循環工程を実施する第2循環工程実施時間tc2の時間配分は、任意の手段で調整することが可能である。また、この時間配分については、作業者が自身の勘や経験に基づいて手動で調整してもよく、また、フィードバック制御等の任意の制御方法により成形機側で自動的に調整してもよい。望ましくは、第1循環工程実施時間tc1及び第2循環工程実施時間tc2の時間配分については、第1循環工程実施時間tc1をより長く設定する一方、第2循環工程実施時間tc2を最小限に設定することが望ましい。これにより、パリソンPに対する良好な転写性を確保しつつ、ブロー成形のサイクル時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
(本実施形態の作用効果)
図8は、本発明に係るブロー成形機の成形サイクルのタイムチャートを示し、(a)は従来のブロー成形機の成形サイクルのタイムチャート、(b)は本発明に係るブロー成形機の成形サイクルのタイムチャートを示している。
【0049】
前記従来のブロー成形機では、前述したように循環工程にてパリソンPの内部圧力(例えば0.5MPa)が比較的高く維持されていたため、図8(a)に示すように、その後の放出工程にてパリソンPの内部圧力の排出時間DTx(=11.8sec)が比較的長くなっていた。これにより、ブロー成形のサイクル時間CTx(=26.3sec)が長くなってしまう点で、改善の余地が残されていた。なお、具体的には、およそ9~11sec(本実施形態では9.5sec)かかっていた。
【0050】
これに対して、本実施形態に係るブロー成形機及びブロー成形機の制御方法によれば、以下の効果が奏せられることにより、前記従来のブロー成形機の課題を解決することができる。
【0051】
すなわち、本実施形態に係るブロー成形機では、図8(b)に示すように、前記従来のブロー成形の循環工程が、前半の第1循環工程(例えば5sec)と、後半の第2循環工程(例えば6.8sec)と、に分割して構成されている。このため、前半の第1循環工程では、第1電磁弁SV1及び第2電磁弁SV2を開いて、第3電磁弁SV3を閉じることにより、パリソンPの内部圧力(例えば0.5MPa)が比較的高く維持されて、パリソンPに対する良好な転写性を確保することができる。
【0052】
また、パリソンPに対する転写が概ね完了した後半の第2循環工程では、第1電磁弁SV1及び第2電磁弁SV2に加えて第3電磁弁SV3を開くことによって、パリソンPの内部圧力(例えば0.2MPa)をさらに低下させることができ、その後の放出工程におけるパリソンPの内部圧力の排出時間DTを短縮することができる。具体的には、従来の排出時間DTxがおよそ9~11sec(本実施形態では9,5sec)かかっていたのに対し、本実施形態の排出時間DTがおよそ6~10sec(本実施形態では8.3sec)となり、およそ1~3sec(本実施形態では1.2sec)短縮可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、循環ラインLsにおける流量調整弁CVの開度が、操作部OPに対する事前の入力によって、成形サイクルの任意のタイミングで変更可能となっている。換言すれば、流量調整弁CVの開度を制御することにより、第1循環工程及び第2循環工程からなる複数の循環工程を実行することが可能となっている。これにより、電気的に流量調整弁CVの開度を調整するという比較的簡素な構成によりパリソンPの内部圧力を一層的確に設定可能となり、パリソンPの内部圧力の排出にかかる時間を一層効果的に短縮することができる。
【0054】
また、本実施形態では、パリソンPの内部圧力を検知可能な検知部としての圧力計PGが設けられている。このため、ブロー成形機のオペレータは、圧力計PGの測定結果に応じて流量調整弁CVの開度量や各工程の切替タイミングを正確に設定することが可能となる。これにより、放出工程におけるパリソンP(成形品S)の内部圧力の排出にかかる時間を、最も効果的に短縮することができる。
【0055】
(ブロー成形機の制御方法の他例)
図9は、本発明に係るブロー成形機の制御方法の他例を示している。なお、かかる変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、前記第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0056】
図9に示すように、まず、異常フラグがONとなっているか否かを判断する(ステップS11)。ここで、異常フラグがONとなっている場合、制御フローが終了する。
【0057】
一方、ステップS11において、異常フラグがONとなっていない場合には、次ステップに移行し、続いて適正フラグがONとなっているか否かを判断する(ステップS12)。ここで、適正フラグがONとなっている場合、制御フローが終了する。
【0058】
一方、ステップS12において、適正フラグONとなっていない場合には、次ステップに移行し、第1循環工程における第1定常時間t1、第2循環工程における第2定常時間t2の計測を行う(ステップS13)。ここで、第1定常時間t1とは、第1循環工程において、パリソンPの内部圧力が下がり切って定常状態となっている時間である(図7参照)。同様に、第2定常時間t2とは、第2循環工程において、パリソンPの内部圧力が下がり切って定常状態となっている時間である(図7参照)。
【0059】
第1、第2定常時間t1,t2の計測後、次ステップに移行して、第2定常時間t2がゼロ(t2=0)であるか否かを判断する(ステップS14)。ここで、NOと判断された場合、すなわち第2定常時間t2がゼロでない場合には、第1循環工程実施時間tc1を第2定常時間t2の分だけ増加させると共に、第2循環工程実施時間tc2を第2定常時間t2の分だけ減少させた後(ステップS15)、適正フラグをONに設定し(ステップS16)、本制御フローが終了する。
【0060】
一方、ステップS14においてYESと判断された場合は、次ステップにて第1定常時間t1がゼロ(t1=0)であるか否かを判断する(ステップS17)。ここで、NOと判断された場合、すなわち第1定常時間t1がゼロでない場合には、第1循環工程実施時間tc1を第1定常時間t1の分だけ増加させると共に、第2循環工程実施時間tc2を第1定常時間t1の分だけ減少させた後(ステップS18)、ステップS13へ戻る。また、ステップS17においてYESと判断された場合、すなわちt1=0である場合には、表示画面MDに異常を出力した後(ステップS19)、異常フラグをONに設定して(ステップS20)、本制御フローが終了する。
【0061】
(他例の作用効果)
ブロー成形では、循環工程において、第2循環工程を最小限とし、第1循環工程をより長く設定することにより、パリソンの良好な転写性を確保しつつ、成形サイクル時間の短縮化を図ることが望ましい。しかしながら、第1循環工程と第2循環工程の時間配分の最適化を図る場合、作業者が自らの勘や経験に基づき、手動により時間配分を調整することになる。この場合、作業者が等しく第1循環工程と第2循環工程の時間配分を最適化することは困難であり、また、仮に最適化できたとしても各工程の時間配分の決定にも多くの時間を要することになる。
【0062】
そこで、本発明によれば、第1定常時間t1と第2定常時間t2をそれぞれ計測し、第2定常時間t2がゼロでない場合、この第2定常時間t2の分だけ第2循環工程実施時間tc2を減少させると共に、この減少させた第2定常時間t2の分だけ第1循環工程実施時間tc1を増加させる。このように、第2定常時間t2を計測して、第2循環工程実施時間tc2から第2定常時間t2を削減することにより、第2循環工程実施時間tc2が自動的に最適化され、作業者が第2循環工程実施時間tc2を手動によって調整する必要がない。これにより、第2循環工程実施時間tc2が効率的に調整され、第1循環工程実施時間tc1と第2循環工程実施時間tc2とを短時間で適切に分配することができる。
【0063】
[第2実施形態]
図10図11は、本発明に係るブロー成形機の第2実施形態を示し、本実施形態は、前記第1実施形態に係るブロー成形機の循環ラインの構成を変更したものである。なお、当該変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、前記第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0064】
(ブロー成形機の構成)
図10は、本発明の第2実施形態に係るブロー成形機の空圧回路のバルブ開閉制御に係るブロック図を示している。
【0065】
図10に示すように、本実施形態では、前記第1実施形態に係る循環ラインLcが、複数(本実施形態では2つ)の循環ラインである第1循環ラインLc1と、第2循環ラインLc2と、で構成されている。そして、第1循環ラインLc1には、第1循環ラインLc1を流れるエアの流量を調整可能な第1流量調整弁CV1と、第1流量調整弁CV1の下流側に設けられ、第1循環ラインLc1を開閉制御する第1循環ライン電磁弁SV21と、が配置されている。同様に、第2循環ラインLc2には、第2循環ラインLc2を流れるエアの流量を調整可能な第2流量調整弁CV2と、第2流量調整弁CV2の下流側に設けられ、第2循環ラインLc2を開閉制御する第2循環ライン電磁弁SV22と、が配置されている。ここで、第1循環ライン電磁弁SV21及び第2循環ライン電磁弁SV22は、コントローラPCと電気的に接続されていて、コントローラPCの電気信号に応じて開閉制御する。
【0066】
(ブロー成形機の制御方法)
図11は、本実施形態のブロー成形機のブロー成形に係る制御フローチャートを示している。
【0067】
図11に示すように、本実施形態に係るブロー成形機によるブロー成形では、まず、吹込工程の開始指令が出力され(ステップS1)、第1電磁弁SV1が開弁制御され、第1循環ライン電磁弁SV21、第2循環ライン電磁弁SV22及び第3電磁弁SV3が閉弁制御される(ステップS2)。すなわち、この吹込工程では、第1循環ライン電磁弁SV21及び第2循環ライン電磁弁SV22及び第3電磁弁SV3が閉じられ、第1電磁弁SV1のみが開くことにより、パリソンPの内部に圧縮エアが吹き込まれて、パリソンPを賦形すると共に、当該パリソンPの外面を成形金型3の内面に転写する。
【0068】
続いて、ステップS2の後、第1循環工程の開始指令が出力され(ステップS3)、第1電磁弁SV1及び第1循環ライン電磁弁SV21が開弁制御されると共に、第2循環ライン電磁弁SV22及び第3電磁弁SV3が閉弁制御される(ステップS4)。すなわち、この第1循環工程では、供給ラインLsに加えて第1循環ラインLc1を開くことにより、パリソンPの内部に供給されたエアの一部が、第1循環ラインLc1を通じて大気に放出される。これにより、パリソンPの内部圧力が低下すると共に、パリソンPの内部のエアの入れ替えによりパリソンPの内面が冷却される。このように、第1循環工程では、放出ラインLrを閉じてエアの放出量を制限することによって、パリソンPの内部の圧力が比較的高く維持されて、パリソンPの外面の良好な転写性を確保することができる。また、供給ラインLsと第1循環ラインLc1を開いてパリソンPの内部のエアを循環させることにより、パリソンPの内面の冷却を図ることができる。
【0069】
続いて、ステップS4の後、第2循環工程の開始指令が出力され(ステップS5)、第1電磁弁SV1、第1循環ライン電磁弁SV21、第2循環ライン電磁弁SV22が開弁制御されると共に、第3電磁弁SV3が閉弁制御される(ステップS6)。すなわち、この第2循環工程では、第1循環工程で開いていた供給ラインLs及び第1循環ラインLc1に加えて第2循環ラインLc2についても開放することにより、パリソンPの内部圧力の排出量が増加し、第1循環工程よりもさらにパリソンPの内部圧力が低下する。これにより、放出工程に移行した際のパリソンPの内部圧力がさらに低下し、パリソンPの内部圧力を速やかに排出することが可能となる。また、第2循環工程では、第1循環工程での冷却によって第1循環工程よりもパリソンPが固化した状態となっているため、パリソンPの外面に対する刻印等の転写は概ね完了しており、第2循環ラインLc2の開放によってパリソンPの内部の圧力を低下させても、パリソンPの外面の転写性を損なうおそれがない。
【0070】
続いて、ステップS6の後、放出工程の開始指令が出力され(ステップS7)、第1電磁弁SV1が閉弁制御されると共に、第1循環ライン電磁弁SV21、第2循環ライン電磁弁SV22及び第3電磁弁SV3が開弁制御される(ステップS8)。すなわち、この放出工程では、第1電磁弁SV1が閉じられ、第1循環ライン電磁弁SV21、第2循環ライン電磁弁SV22及び第3電磁弁SV3のみを開くことにより、パリソンPの内部圧力を大気圧程度まで低下させる。これにより、成形金型3の型開きの際に、成形品Sが吹き飛んだり破裂したりする不具合を防止することができる。
【0071】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態では、前記第1実施形態に係る循環ラインLcが、複数の循環ラインである第1循環ラインLc1及び第2循環ラインLc2で構成されている。このため、第1循環ラインLc1及び第2循環ラインLc2に配置される第1循環ライン電磁弁SV21及び第2循環ライン電磁弁SV22を開閉制御することにより、第1循環工程及び第2循環工程におけるパリソンPの内部圧力の排出量をより的確に設定することが可能となる。これにより、パリソンPの内部圧力の排出にかかる時間をより効果的に短縮することができる。
【0072】
本発明は、前記実施形態等で例示した構成や態様に限定されるものではなく、前述した本発明の作用効果を奏し得るような形態であれば、適用対象の仕様やコスト等に応じて自由に変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
2…ダイヘッド
3…成形金型
P…パリソン
Ls…供給ライン
Lc…循環ライン
Lc1…第1循環ライン
Lc2…第2循環ライン
Lr…放出ライン
CV…流量調整弁
SV1…第1電磁弁(電磁弁)
SV2…第2電磁弁(電磁弁)
SV3…第3電磁弁(電磁弁)
PG…圧力計(検知部)
PC…プログラマブル・ロジック・コントローラ(制御部)
OP…操作部
図1
図2
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