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特開2024-17090シャッタ装置およびそれを用いた米飯処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017090
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】シャッタ装置およびそれを用いた米飯処理装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240201BHJP
【FI】
A23L7/10 E
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119495
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】中沢 和樹
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LE16
4B023LP19
4B023LP20
4B023LT26
4B023LT44
4B023LT45
(57)【要約】
【課題】上面が丸みを帯びた形状の米飯を得ることのできるシャッタ装置を得る。
【解決手段】対向配置されて水平方向に開閉可能に設けられ、上方から送られてきた米飯Rを分割する一対のシャッタ31a,31bで構成されるシャッタ装置31であって、一対のシャッタ31a,31bは、一対のシャッタベース31a-1,31b-1と、一対のシャッタベース31a-1,31b-1の対向部において水平で且つ互い違いとなる位置にそれぞれ設けられ、上に凸となる略弧状に配置された複数の櫛歯状部材の集合体からなるシャッタ本体31a-2,31b-2とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置されて水平方向に開閉可能に設けられ、上方から送られてきた米飯を分割する一対のシャッタで構成されるシャッタ装置であって、
前記一対のシャッタは、
一対のシャッタベースと、
前記一対のシャッタベースの対向部において水平で且つ互い違いとなる位置にそれぞれ設けられ、上に凸となる略弧状に配置された複数の櫛歯状部材の集合体からなるシャッタ本体とを備える、
ことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
少なくとも一方の前記シャッタは、前記シャッタ装置が閉鎖位置に移動して米飯を分割した後に下方に傾動して米飯を切り離す、
ことを特徴とする請求項1記載のシャッタ装置。
【請求項3】
前記シャッタベースは、
水平方向が長手方向となって立設され、相互に同軸上となるように両端に形成された傾動軸を中心に下方に傾動する板状体、
または、前記シャッタ本体に沿って上に凸となる略弧状に形成されるとともに両端が相互に同軸上となるように屈曲形成された傾動軸を中心に下方に傾動する棒状体である、
ことを特徴とする請求項2記載のシャッタ装置。
【請求項4】
一方の前記シャッタは、前記シャッタ装置が閉鎖位置に移動して米飯を分割した後に下方に平行移動して米飯を切り離す、
ことを特徴とする請求項1記載のシャッタ装置。
【請求項5】
投入された米飯を解しながら下方へと供給する米飯供給装置と、
前記米飯供給装置から供給された米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形装置と、
前記米飯成形装置を通過した米飯を分割する請求項1~4の何れか一項に記載のシャッタ装置と、
前記シャッタ装置の下方において当該シャッタ装置と間隔を空けて水平方向に開閉可能に配置され、前記シャッタ装置が米飯を所定の厚みに分割するときには閉鎖位置となり、前記シャッタ装置が米飯を分割したならば開放位置となって当該米飯を落下させる厚み調整部と、
を有することを特徴とする米飯処理装置。
【請求項6】
前記厚み調整部から落下した米飯は、
当該米飯を搭載して次工程に搬送する搬送用コンベア、または容器に盛り付けられる、
ことを特徴とする請求項5記載の米飯処理装置。
【請求項7】
前記厚み調整部の下方において水平方向に接近・離間可能に設けられた一対の上部ゲートおよび水平方向に開閉可能に設けられた一対の下部ゲートで構成され、前記シャッタ装置で分割されて開放位置となった前記厚み調整部から落下した米飯を前記上部ゲートで所定形状に成形した後に前記下部ゲートを開放して落下させるゲート機構をさらに有する、
ことを特徴とする請求項5記載の米飯処理装置。
【請求項8】
前記ゲート機構から落下した米飯は、
当該米飯を搭載して次工程に搬送する搬送用コンベア、または容器に盛り付けられる、
ことを特徴とする請求項7記載の米飯処理装置。
【請求項9】
投入された米飯を解しながら下方へと供給する米飯供給装置と、
前記米飯供給装置から供給された米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形装置と、
前記米飯成形装置を通過した米飯を所定量に分割する請求項1~4の何れか一項に記載のシャッタ装置と、
所定の間隔を空けて周方向に複数形成されて前記シャッタ装置で分割された米飯が投入される成形孔が形成され、間欠回転するターンテーブルと、
を有することを特徴とする米飯処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ装置およびそれを用いた米飯処理装置に関し、特に、シャッタ装置で分割された米飯の形状に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホッパに投入された米飯を容積計量(米飯が通過する計量枡の水平断面積と分割された米飯の厚み(高さ)で規定される容積で米飯の計量を行う技術)してシャッタ装置で所定量に分割して所定量の米飯を得る米飯処理装置が知られている。そして、米飯処理装置で得られた米飯は、例えば弁当などの容器の米飯盛付部に盛り付けられたり、寿司ネタが載せられるシャリ玉として用いられる。
【0003】
ここで、米飯処理装置で得られた米飯を容器に盛り付けたりシャリ玉として用いる際において、シャッタ装置という機械により米飯の分割した印象を無くし、手で盛り付けたり手で握ったりした印象にしたいというユーザからの要望がある。具体的には、上面が丸みを帯びた形状の米飯にしたいという要望である。
【0004】
なお、シャッタ装置により所定量に分割した米飯を得る技術については、例えば特許文献1(特開2005-185112号公報)、特許文献2(特開2007-282564号公報)、特許文献3(特開2015-216912号公報)などに記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-185112号公報
【特許文献2】特開2007-282564号公報
【特許文献3】特開2015-216912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献に記載の技術では、一直線上に並んだ複数の櫛歯状部を備えた一対のシャッタを水平方向へ開閉移動させることにより米飯を分割している。
【0007】
そのため、分割された米飯は、不可避的に上面が平らで角のある形状、すなわちユーザの要望に沿わない形状になってしまう。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、上面が丸みを帯びた形状の米飯を得ることのできるシャッタ装置およびそれを用いた米飯処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のシャッタ装置は、対向配置されて水平方向に開閉可能に設けられ、上方から送られてきた米飯を分割する一対のシャッタで構成されるシャッタ装置であって、前記一対のシャッタは、一対のシャッタベースと、前記一対のシャッタベースの対向部において水平で且つ互い違いとなる位置にそれぞれ設けられ、上に凸となる略弧状に配置された複数の櫛歯状部材の集合体からなるシャッタ本体とを備える、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明のシャッタ装置は、上記請求項1に記載の発明において、少なくとも一方の前記シャッタは、前記シャッタ装置が閉鎖位置に移動して米飯を分割した後に下方に傾動して米飯を切り離す、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明のシャッタ装置は、上記請求項2記載の発明において、前記シャッタベースは、水平方向が長手方向となって立設され、相互に同軸上となるように両端に形成された傾動軸を中心に下方に傾動する板状体、または、前記シャッタ本体に沿って上に凸となる略弧状に形成されるとともに両端が相互に同軸上となるように屈曲形成された傾動軸を中心に下方に傾動する棒状体である、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明のシャッタ装置は、上記請求項1記載の発明において、一方の前記シャッタは、前記シャッタ装置が閉鎖位置に移動して米飯を分割した後に下方に平行移動して米飯を切り離す、ことを特徴とする
【0013】
請求項5に記載の本発明の米飯処理装置は、投入された米飯を解しながら下方へと供給する米飯供給装置と、前記米飯供給装置から供給された米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形装置と、前記米飯成形装置を通過した米飯を分割する請求項1~4の何れか一項に記載のシャッタ装置と、前記シャッタ装置の下方において当該シャッタ装置と間隔を空けて水平方向に開閉可能に配置され、前記シャッタ装置が米飯を所定の厚みに分割するときには閉鎖位置となり、前記シャッタ装置が米飯を分割したならば開放位置となって当該米飯を落下させる厚み調整部と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の本発明の米飯処理装置は、上記請求項5記載の発明において、前記厚み調整部から落下した米飯は、当該米飯を搭載して次工程に搬送する搬送用コンベア、または容器に盛り付けられる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の本発明の米飯処理装置は、上記請求項5記載の発明において、前記厚み調整部の下方において水平方向に接近・離間可能に設けられた一対の上部ゲートおよび水平方向に開閉可能に設けられた一対の下部ゲートで構成され、前記シャッタ装置で分割されて開放位置となった前記厚み調整部から落下した米飯を前記上部ゲートで所定形状に成形した後に前記下部ゲートを開放して落下させるゲート機構をさらに有する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の本発明の米飯処理装置は、上記請求項7記載の発明において、前記ゲート機構から落下した米飯は、当該米飯を搭載して次工程に搬送する搬送用コンベア、または容器に盛り付けられる、ことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の本発明の米飯処理装置は、投入された米飯を解しながら下方へと供給する米飯供給装置と、前記米飯供給装置から供給された米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形装置と、前記米飯成形装置を通過した米飯を所定量に分割する請求項1~4の何れか一項に記載のシャッタ装置と、所定の間隔を空けて周方向に複数形成されて前記シャッタ装置で分割された米飯が投入される成形孔が形成され、間欠回転するターンテーブルと、を有することを特徴とする米飯処理装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シャッタ装置を構成している複数の櫛歯状部材であるシャッタ本体が上に凸となる略弧状に配置されている。したがって、シャッタ装置によって分割された米飯の上面を、シャッタ本体の配置に倣って丸みを帯びた形状にすることができる。
【0019】
これにより、容器に盛り付けられた米飯は手で盛り付けたような見た目になり、機械により分割された印象が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態であるシャッタ装置が用いられた米飯処理装置を示す正面図である。
図2図1の米飯処理装置の構成要素である米飯分割部を示す説明図である。
図3】本発明の一実施の形態であるシャッタ装置を示す斜視図である。
図4図3のシャッタ装置を構成する一対のシャッタの片方を示す正面図である。
図5図3のシャッタ装置を構成する一対のシャッタのシャッタ本体の取付位置を示す説明図である。
図6図2の米飯分割部を構成する投入ゲートユニットを示す斜視図である。
図7】(a)~(f)は図1の米飯処理装置に設けられた米飯分割部の動作を連続して示す説明図である。
図8図7の米飯分割部の動作におけるシャッタ装置の動作を抽出して示す斜視図である。
図9】本発明の一実施の形態であるシャッタ装置の変形例であり、(a)は一対のシャッタが相互に接近する水平方向へと移動している状態を示す斜視図であり、(b)は片方のシャッタが下方に傾動した状態を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施の形態であるシャッタ装置の他の変形例であり、(a)は一対のシャッタが相互に接近する水平方向へ移動した状態を示す斜視図であり、(b)は片方のシャッタが下方に平行移動した状態を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施の形態であるシャッタ装置に対して比較参考となるシャッタ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は本発明の一実施の形態であるシャッタ装置が用いられた米飯処理装置を示す正面図、図2図1の米飯処理装置の構成要素である米飯分割部を示す説明図、図3は本発明の一実施の形態であるシャッタ装置を示す斜視図、図4図3のシャッタ装置を構成する一対のシャッタの片方を示す正面図、図5図3のシャッタ装置を構成する一対のシャッタのシャッタ本体の取付位置を示す説明図、図6図2の米飯分割部を構成する投入ゲートユニットを示す斜視図である。
【0023】
本実施の形態の米飯処理装置Mは、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、持ち帰り弁当店等で販売される弁当の容器(一般的には、ポリスチレン(発泡スチロールも含む)、ポリプロピレンなどの材質からなる容器)に盛り付けられる米飯R(図7)を生成処理するもので、米飯Rを設定重量に計量して成形する機能を有するものである。
【0024】
図1に示すように、米飯処理装置Mは、投入された米飯Rを解しながら下方へと供給するホッパ(米飯供給装置)10と、ホッパ10から供給された米飯Rを通過させることにより当該米飯Rの水平断面を所定の形状に成形する米飯成形部(米飯成形装置)20と、米飯成形部20を通過した米飯Rを設定重量値に相当する厚みに分割して落下させる米飯分割部30とが上方から下方に向けて配置されている。また、設定重量値に対して不足した重量分の米飯Rを落下させる補助計量部40と、米飯Rを次工程に搬送するベルトコンベア(搬送用コンベア)50と、作業者が装置の動作設定条件を入力するための入力部60とが設けられている。
【0025】
なお、入力部60は、米飯処理装置Mの駆動、停止、再起動などを行う操作スイッチ61や、米飯Rの設定重量、生産数量などの設定を行う操作パネル62などで構成されている。
【0026】
さて、図1に示すように、ホッパ10は、米飯Rが投入される本体部11と、本体部11内の米飯Rを解しながら落下させる解しローラ12と、解しローラ12から落下した米飯Rの一部を補助計量部40に送る搬送ローラ13とを備えている。
【0027】
また、図1および図2に示すように、米飯成形部20には、上方のホッパ10から供給された米飯Rの水平断面形状を規制しながら下方へと通過させるための規制孔21が形成されている。
【0028】
図2に詳しく示すように、米飯分割部30は、上方から下方に向けて配置されたシャッタ装置31と、厚み調整ゲート(厚み調整部)32と、投入ゲートユニット(ゲート機構部)33とからなる。
【0029】
シャッタ装置31は、水平方向に開閉可能に設けられて上方の米飯成形部20から送られてきた米飯Rを分割する。図3に示すように、シャッタ装置31は、対向配置されて米飯Rを分割する一対のシャッタ31a,31bで構成されている。これら一対のシャッタ31a,31bは、一対のシャッタベース31a-1,31b-1と、一対のシャッタベース31a-1,31b-1の対向部において水平に向けてそれぞれ設けられた複数の櫛歯状部材の集合体であるシャッタ本体31a-2,31b-2とを備えている。そして、シャッタ本体31a-2,31b-2は、上に凸となる略弧状に配置されている。
【0030】
図4に示すように、シャッタベース31a-1,31b-1は水平方向が長手方向となって立設された板状体であり、この板状体の高さを利用して、複数の櫛歯状部材であるシャッタ本体31a-2,31b-2が上に凸となる略弧状に配置されている。
【0031】
また、図5に示すように、複数の櫛歯状部材の集合体であるシャッタ本体31a-2,31b-2は、一対のシャッタベース31a-1,31b-1の対向部において互い違いとなる位置にそれぞれ設けられている。
【0032】
さらに、本実施の形態のシャッタ装置31では、片方のシャッタベース31a-1の両端において相互に同軸上となるように形成された傾動軸31a-3を中心にして下方に傾動可能になっている(図7図8参照)。そして、一対のシャッタ31a,31bが閉鎖位置に移動して米飯Rを分割した後に、片方のシャッタ31aが下方に傾動して米飯Rを切り離す。なお、他方のシャッタ31bが傾動可能になっていても、両方のシャッタ31a,31bが傾動可能になっていてもよい。また、何れのシャッタ31a,31bも傾動しなくてもよい。
【0033】
ここで、シャッタ本体31a-2,31b-2を上に凸となる略弧状に配置するだけであれば、図11の比較参考図に示すように、シャッタベース131a-1,131b-1を同形状(つまり、上に凸となる略弧状)の棒状体で形成すればよい。しかしながら、このような棒状体で形成してシャッタ31aを下方へ傾動させるようにすると、シャッタベース131a-1の両端131a-3が相互に異なった方向の傾動軸となるために、複雑な傾動機構とならざるを得ず、コストアップになってしまう。
【0034】
そこで、本実施の形態のシャッタ装置31では、複数の櫛歯状部材であるシャッタ本体31a-2,31b-2を上に凸となる略弧状に配置するために、前述のように、シャッタ本体31a-2,31b-2が設けられるシャッタベース31a-1,31b-1を、水平方向が長手方向となって立設された板状体としている。そして、このようなシャッタベース31a-1の両端に、相互に同軸上となった傾動軸31a-3を形成し、この傾動軸31a-3を中心にして下方に傾動可能になっている。よって、シンプルな傾動機構でよくなり、コストアップになることもない。
【0035】
さて、厚み調整ゲート32は、シャッタ装置31と所定の間隔を空けて水平方向に開閉可能に配置された一対の部材で構成されており、シャッタ装置31が米飯Rを所定の厚みに分割するときには閉鎖位置となり、シャッタ装置31が米飯Rを分割したならば開放位置となる。
【0036】
本実施の形態において、厚み調整ゲート32は上下移動可能となっており、閉鎖位置にして米飯成形部20からの米飯Rを受け止めた状態にしておいてシャッタ装置31によって所定の厚みに分割し、分割後に開放位置になって米飯Rを投入ゲートユニット33へ落下させる。このとき、前述した米飯成形部20の規制孔21の水平断面積と、シャッタ装置31で分割された米飯Rの厚み(シャッタ装置31と厚み調整ゲート32との間隔)とで規定される容積によって設定重量値の米飯Rが計量される。したがって、分割落下される米飯Rの重量は、米飯成形部20の規制孔21の水平断面積と、シャッタ装置31と厚み調整ゲート32との距離で調整される。なお、厚み調整ゲート32を上下移動不能にし、シャッタ装置31で分割される米飯Rの厚み(重量)が調整されないようにしてもよい。
【0037】
投入ゲートユニット33は、シャッタ装置31で分割されて開放位置となった厚み調整ゲート32から落下した米飯Rを所定形状に成形した後に落下させる機構部である。図6に示すように、投入ゲートユニット33は、水平方向に移動して開閉可能に設けられた一対の上部ゲート33aおよび一対の下部ゲート33bで構成されている。図示するように、一対の上部ゲート33aの対向面33a-1は正面視で下方に向けて外側に傾斜した形状になっている。したがって、閉鎖位置になった一対の下部ゲート33b上に落下した米飯Rの上部両端が、一対の上部ゲート33aが接近位置に移動することで、対向面33a-1によって面取りされるように押圧成形される。その後、下部ゲート33bが開放位置に移動すると、当該米飯Rはベルトコンベア50へ落下する。
【0038】
ベルトコンベア50は、搬送方向の上流側から下流側に向けて、第1のコンベア51、第2のコンベア52および第3のコンベア53の3台のコンベアが設けられている。第1のコンベア51の直上には前述した米飯分割部30が配置されており、米飯分割部30からの米飯Rは第1のコンベア51上に落下し、当該第1のコンベア51から第2のコンベア52、第3のコンベア53へと搬送される。また、第3のコンベア53の直上には、前述した補助計量部40が配置されている。なお、米飯分割部30と第1のコンベア51との間には、米飯Rの落下をガイドして散逸を防止するための落下ガイド35が取り付けられている。
【0039】
第2のコンベア52には、米飯分割部30から落下供給された米飯Rの重量を計測するためのロードセル(図示せず)が設けられている。そして、ロードセルで計測された米飯重量が作業者の設定した米飯Rの設定重量に対して所定重量以上に不足していたならば、不足重量分の米飯Rが補助計量部40で計量され、第3のコンベア53へ搬送された米飯Rに対して落下供給される。
【0040】
なお、本実施の形態では、投入ゲートユニット33から落下した米飯Rがベルトコンベア50により次工程(例えば、容器に盛り付けられる工程)に搬送される構成となっているが、米飯Rが直接容器に盛り付けられる構成としてもよい。
【0041】
また、投入ゲートユニット33を設けることなく、厚み調整ゲート32から落下した米飯Rがベルトコンベア50に搭載されて次工程に搬送される構成や直接容器に盛り付けられる構成となっていてもよい。
【0042】
次に、本実施の形態の米飯処理装置Mに備えられた米飯分割部30の動作について、図7および図8を用いて説明する。ここで、図7(a)~(f)は図1の米飯処理装置に設けられた米飯分割部の動作を連続して示す説明図、図8図7の米飯分割部の動作におけるシャッタ装置の動作を抽出して示す斜視図である。
【0043】
図7(a)に示すように、ホッパ10から米飯成形部20の規制孔21に米飯Rが詰め込まれ、シャッタ装置31および厚み調整ゲート32が閉鎖位置、投入ゲートユニット33の上部ゲート33aが離間位置で下部ゲート33bが閉鎖位置となった状態において、図7(b)および図8(a)に示すように、シャッタ装置31が開くと(つまり、シャッタ装置31を構成する一対のシャッタ31a,31bが相互に離間する水平方向へと移動すると)、米飯Rが厚み調整ゲート32まで下降する。
【0044】
そして、米飯Rが厚み調整ゲート32まで下降した状態において、図8(b)に示すように、シャッタ装置31を構成する一対のシャッタ31a,31bが相互に接近する水平方向へと移動を開始し、図8(c)に示すように、シャッタ31a,31bをそれぞれ構成するシャッタ本体31a-2,31b-2が相互に交差する閉鎖位置まで移動すると、図7(c)に示すように、シャッタ装置31により米飯Rが上下に分割(つまり、シャッタ装置31と厚み調整ゲート32と間に位置する米飯Rと、シャッタ装置31の上に位置する米飯Rとに分割)される。
【0045】
このとき、前述のように、複数の櫛歯状部材であるシャッタ本体31a-2,31b-2は上に凸となる略弧状に配置されているので、米飯Rの上面はシャッタ本体31a-2,31b-2の配置に倣って丸みを帯びた形状になる。
【0046】
次に、図7(d)および図8(d)に示すように、米飯Rが分割された状態においてシャッタ装置31を構成するシャッタ31aが傾動軸31a-3を中心にして下方に傾動して米飯Rを切り離すとともに厚み調整ゲート32が開放位置に移動すると、シャッタ装置31で切り離された米飯R(つまり、シャッタ装置31と厚み調整ゲート32と間に位置する米飯R)は、閉鎖位置となっている下部ゲート33b上に落下する。このとき、シャッタ本体31a-2,31b-2の配置形状が反映されて、下部ゲート33b上に落下した米飯Rは上面が丸みを帯びた形状になっている。
【0047】
次に、図7(e)に示すように、上部ゲート33aが接近位置に移動することにより、当該上部ゲート33aの対向面33a-1によって、下部ゲート33b上の上面が丸みを帯びた米飯Rの上両端が面取りされるように押圧成形される。
【0048】
最後に、図7(f)に示すように、下部ゲート33bが開放位置に移動すると、米飯Rは直下に位置する第1のコンベア51上に落下し、第2のコンベア52で計量された後、必要に応じて補助計量部で計量された米飯Rが第3のコンベア53上で追加され、次工程(例えば、容器への盛り付け工程)へと搬送される。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、シャッタ装置31を構成している複数の櫛歯状部材であるシャッタ本体31a-2,31b-2が上に凸となる略弧状に配置されている。したがって、シャッタ装置31によって分割された米飯Rの上面は、シャッタ本体31a-2,31b-2の配置に倣って丸みを帯びた形状になる。
【0050】
これにより、容器に盛り付けられた米飯Rは手で盛り付けたような見た目になり、機械により分割された印象が無くなる。
【0051】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0052】
例えば、本実施の形態のシャッタ装置31では、板状体のシャッタベース31a-1,31b-1に複数の櫛歯状部材であるシャッタ本体31a-2,31b-2を上に凸となる略弧状に配置し、シャッタベース31a-1の両端に、相互に同軸上となった傾動軸31a-3を形成して下方に傾動可能にしているが、図9(a)に示すように、シャッタベース31a-1,31b-1をシャッタ本体31a-2,31b-2に沿った形状(つまり、複数の櫛歯状部材の集合体が上に凸となる略弧状)の棒状体で形成するとともに、両端が相互に同軸上となるように傾動軸31a-3を屈曲形成するようにしてもよい。このような構成でも、図9(b)に示すように、シンプルな傾動機構により傾動軸31a-3を中心にしてシャッタ31aを下方に傾動可能にすることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、シャッタ31a(またはシャッタ31b、もしくは両方のシャッタ31a,31b)が下方に傾動して米飯を切り離すようになっているが、図10に示すように、一方のシャッタ31aまたはシャッタ31b(図示する場合には、シャッタ31a)が、シャッタ装置31が閉鎖位置に移動して米飯を分割したならば(図10(a))、下方に平行移動して米飯を切り離す(図10(b))ようにしてもよい。
【0054】
なお、図10に示す場合には、リンク機構31a-4(ここでは、4節のリンク機構)でシャッタ31aが平行移動するようになっているが、モータやシリンダ装置などのアクチュエータを用いるなど、図示以外の機構で平行移動するようになっていてもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態では、本発明に係るシャッタ装置31を、弁当の容器に盛り付ける米飯Rを生成処理する米飯処理装置Mに用いた場合が説明されている。そのため、米飯処理装置Mの構成要素として、ホッパ10と、米飯成形部20と、シャッタ装置31と、厚み調整ゲート32と、投入ゲートユニット33とを備えている。
【0056】
しかしながら、本発明に係るシャッタ装置31は、例えば、握り寿司用のシャリ玉やおむすびにも適用可能である。
【0057】
この場合の米飯処理装置Mの構成要素として、ホッパ10と、米飯成形部20と、シャッタ装置31と、間欠回転するターンテーブル(図示せず)とを備えたものが考えられる。そして、シャッタ装置31で分割された米飯Rは、ターンテーブルに所定の間隔を空けて周方向に複数形成された成形孔(シャリ玉用の成形孔、あるいはおむすび用の成形孔)に投入される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明のシャッタ装置を用いた米飯処理装置では、成形された米飯を弁当などの容器に盛り付けれる装置や、握り寿司用のシャリ玉やおむすびを成形するための装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 ホッパ(米飯供給装置)
20 米飯成形部(米飯成形装置)
21 規制孔
30 米飯分割部
31 シャッタ装置
31a,31b シャッタ
31a-1,31b-1 シャッタベース
31a-2,31b-2 シャッタ本体
31a-3 傾動軸
31a-4 リンク機構
32 厚み調整ゲート(厚み調整部)
33 投入ゲートユニット(ゲート機構部)
33a 上部ゲート
33a-1 対向面
33b 下部ゲート
35 落下ガイド
40 補助計量部
50 ベルトコンベア(搬送用コンベア)
M 米飯処理装置
R 米飯
図1
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図11